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Patent Searching and Data


Title:
RESIN MOLDING, RESIN FOAM MOLDING, AND SCROLL ROTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2021/124909
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a resin molding, a resin foam molding, and a scroll rotor, in which mechanical strength is maintained and excellent dimensional precision is obtained even while the cost thereof is kept low. A scroll rotor (1) is a resin molding of a resin composition including a thermoplastic resin as a base resin, a particulate inorganic material, and a fibrous inorganic material, the resin composition including 20-40 vol% of the particulate inorganic material and 10-30 vol% of the fibrous inorganic material with respect to the total volume of the resin composition, the resin molding being an injection molding of the resin composition, and the ratio (AMD/ATD) of the coefficient of linear expansion of the resin molding or the ratio (BMD/BTD) of the mold shrinkage factor of the resin molding being 0.5-1, where MD is the flow direction of the metled resin composition during injection molding, and TD is the direction orthogonal to MD.

Inventors:
HARANO TAKUJI (JP)
SATOJI FUMINORI (JP)
FURUYA SHICHIRO (JP)
NISHIKAWA HIDETOSHI (JP)
NAKASAKU KAZUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/045067
Publication Date:
June 24, 2021
Filing Date:
December 18, 2020
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
International Classes:
B29C45/00; B29C44/00; C08J5/00; C08J9/04; C08J9/12; C08K3/013; C08K7/04; C08L101/00; F04C18/02; B29K71/00; B29K81/00; B29K105/06; B29K105/12
Domestic Patent References:
WO2017057533A12017-04-06
Foreign References:
JP2005082760A2005-03-31
JP2003067958A2003-03-07
JP2005194532A2005-07-21
Other References:
"PLASTICS PROCESSING DATABOOK. 2nd ed.", 28 January 2002, NIHON KOGYO SHINBUNSHA
Attorney, Agent or Firm:
WAKI Hikaru et al. (JP)
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Claims:
\¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

50 請 求の範囲

[請求項 1 ] ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、 粒状無機物と、 繊維状無機物 とを含む樹脂組成物の樹脂成形体であって、 前記樹脂組成物は、 前記粒状無機物および前記繊維状無機物の合計 体積が、 前記樹脂組成物全体積の 3 0体積%〜 7 0体積%であり、 前記樹脂成形体は、 前記樹脂組成物の射出成形体であり、 射出成形時において溶融した前記樹脂組成物の流れ方向を IV! 0と定 め、 前記 IV! 0に直交する方向を丁 0と定めた場合、 前記樹脂成形体の 線膨張係数の比 (A M D/A T D) 、 または前記樹脂成形体の成形収縮 率の比 が〇. 5〜 1であることを特徴とする樹脂成 形体。

[請求項 2] 前記樹脂成形体は、 前記 IV! 0および前記丁 0における成形収縮率が いずれも 1 %以下であることを特徴とする請求項 1記載の樹脂成形体

[請求項 3] 前記樹脂組成物は、 さらに非晶性樹脂としてポリフエニレンエーテ ル樹脂を含み、 該ポリフエニレンエーテル樹脂は、 前記樹脂組成物全 体積に対して 5体積%〜 2 0体積%含まれることを特徴とする請求項 1記載の樹脂成形体。

[請求項 4] . 前記粒状無機物の平均粒径が〇. 5 〜 1 0 0 であり、 前記繊維状無機物の平均繊維長が 1 〇 〜 3 171 111であり、 平均ア スぺクト比が 2〜 1 0 0 0であることを特徴とする請求項 1記載の樹 脂成形体。

[請求項 5] 前記樹脂組成物において、 前記粒状無機物の含有割合が前記繊維状 無機物の含有割合よりも多いことを特徴とする請求項 1記載の樹脂成 形体。

[請求項 6] 略平板状の基板と、 前記基板から略直角に延設された渦巻き状の側 板とを備え、 相手側ロータとの間で圧縮室を形成し、 流体を圧縮また は圧送させるスクロールロータであって、 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

51 前記スクロールロータが請求項 1記載の樹脂成形体であることを特 徴とするスクロ _ルロ _夕。

[請求項 7] 前記基板は略円板状であり、 前記基板の前記側板が設けられた側の 略中央部にゲート痕が形成されており、 前記基板の前記側板が設けられた側とは反対側の面に、 前記基板を 補強する複数のリブが設けられ、 該リブは、 前記基板の内側から外側 に向けて放射状に延設され、 かつ、 前記基板の円周方向に略等間隔で 設けられていることを特徴とする請求項 6記載のスクロールロータ。

[請求項 8] ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、 充填材とを含む樹脂組成物の 樹脂発泡成形体であって、 前記樹脂発泡成形体は、 前記樹脂組成物の射出成形体であり、 射出成形時において溶融した前記樹脂組成物の流れ方向を IV! と定 め、 前記 IV! 0に直交する方向を丁口と定めた場合、 前記樹脂発泡成形 体の線膨張係数の比 、 または前記樹脂発泡成形体の 成形収縮率の比 が 0 5〜 1であり、 前記樹脂発泡成形体は、 内部に気泡を有する発泡層と、 前記発泡層 の表面に形成されたスキン層とを有することを特徴とする樹脂発泡成 形体。

[請求項 9] 前記充填材は、 粒状無機物と繊維状無機物とを含み、 前記粒状無機 物および前記繊維状無機物の合計体積が、 前記樹脂組成物全体積の 3 0体積%〜 7 0体積%であることを特徴とする請求項 8記載の樹脂発 泡成形体。

[請求項 10] 前記樹脂発泡成形体は、 発泡率が〇. 5 %未満であることを特徴と する請求項 8記載の樹脂発泡成形体。

[請求項 11 ] 前記樹脂発泡成形体は、 前記 1\/1口および前記丁口における成形収縮 率がいずれも 1 %以下であることを特徴とする請求項 8記載の樹脂発 泡成形体。

[請求項 12] 前記樹脂組成物は、 さらに非晶性樹脂としてポリフエニレンエーテ \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

52 ル樹脂を含み、 該ポリフエニレンエーテル樹脂は、 前記樹脂組成物全 体積に対して 5体積%〜 2 0体積%含まれることを特徴とする請求項 8記載の樹脂発泡成形体。

[請求項 13] 略平板状の基板と、 前記基板から略直角に延設された渦巻き状の側 板とを備え、 相手側ロータとの間で圧縮室を形成し、 流体を圧縮また は圧送させるスクロールロータであって、 前記スクロールロータが請求項 8記載の樹脂発泡成形体であること を特徴とするスクロールロータ。

[請求項 14] 前記基板および前記側板はそれぞれ、 前記発泡層とその両側に前記 スキン層とを有し、 前記発泡層の厚さは、 前記基板の厚さおよび前記 側板の厚さに対して、 それぞれ 3 0 %〜 6 0 %の厚さであることを特 徴とする請求項 1 3項記載のスクロールロータ。

[請求項 15] 前記気泡の直径が 1 0〇 以下であることを特徴とする請求項 1 3記載のスクロールロータ。

Description:
\¥0 2021/124909 ?€7/^2020/045067

1 明 細 書 発明の名称 : 樹脂成 形体、 樹脂発泡成形体 、 およびスクロール ロータ 技術分野

[0001 ] 本発明は、 樹脂成形体、 樹脂発泡成形体、 および、 スクロール型圧縮機な どに搭載されるスクロールロータに関する。 背景技術

[0002] 冷風または温風を送り出し、 室内または車内の温度を調節する冷暖房設備 機、 空気調和設備機、 空気調和機、 冷凍/冷蔵シヨーケース、 冷蔵庫などの 冷凍機などには、 冷媒圧縮機が使用されている。 冷媒圧縮機の中でも、 スク 口ール型冷媒圧縮機は近年注目され、 用途が拡大するとともに、 高効率化や 耐久性の向上などが求められている。 特に、 スクロール型冷媒圧縮機内は、 通常の冷媒圧縮機で約 1 0 0 、 自動車用空気調和機いわゆる力一 ·エア - コンディシヨナなどでは 1 5 0 ° 〇程度に加熱されるので、 各種スクロール部 材においても耐熱性およびそのような高温条 件での耐久性が要求されている

[0003] スクロール型冷媒圧縮機として、 例えば特許文献 1の圧縮機が知られてい る。 図 1 4に、 この種の圧縮機の概要を示す縦断面図を示す 。 密閉容器 3 1 は、 内部に圧縮機構部 3 2とモータ機構部 3 3とが配設され、 流体吸入口 3 4 3および流体吐出口 3 4 13により外部と接続されている。 圧縮機構部 3 2 は、 流体吸入口 3 4 より吸入した冷媒を圧縮して流体吐出口 3 4 I)より吐 出する部分であり、 基板 (いわゆる鏡板) とその表面に直立する渦巻き状の 側板 (いわゆるラップ) とを備えた固定側スクロールロータ 3 6と、 この固 定側スクロールロータ 3 6に対して旋回運動する可動側スクロールロ タ 3 7 とから構成されている。 この可動側スクロールロータ 3 7も基板とその表 面に直立する渦巻き状の側板とを備えている 。

[0004] モータ機構部 3 3は、 可動側スクロールロータ 3 7に旋回駆動力を与える \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

2 部分であり、 固定子 3 3 3と回転子 3 3 13とから構成されている。 また、 密 閉容器 3 1の底部には、 圧縮機構部 3 2およびモータ機構部 3 3の摺動部を 潤滑する冷凍機油 4 1が貯えられ、 油供給機構 (図示省略) により圧縮機構 部 3 2に供給されている。 なお、 可動側スクロールロータ 3 7は、 スラスト 軸受 (図示省略) により支えられ、 このスラスト軸受がさらに軸受部品によ り支承され、 回転子 3 3 13の主軸の端部に設けられた偏心軸受により 回運 動する機構となっている。 スクロール型冷媒圧縮機が運転を開始すると 、 回 転子 3 3 13の回転により可動側スクロールロータ 3 7が旋回運動を始める。 流体吸入口 3 4 3より圧縮機構部 3 2に入った冷媒は、 旋回する渦巻き状の 側板の外周から中心に移動しながら圧縮され 固定側スクロ _ ルロータ 3 6の 開口部 3 5を経て流体吐出口 3 4 13より外部に吐出される。

[0005] 次に、 スクロール型冷媒圧縮機の圧縮機構部につい て、 図 1 5〜図 1 7に 基づいて説明する。 図 1 5は、 スクロール型冷媒圧縮機の圧縮機構部の縦断 面図を示し、 図 1 6は、 チップシールが装着されたスクロールロータ の側板 の断面図を示し、 図 1 7は、 スクロール型冷媒圧縮機の圧縮機構部の説明 図 を示す。

[0006] 図 1 5に示すように、 基板 3 6 3、 3 7 &の片面に渦巻き状の側板 3 6匕 、 3 7匕を形成した一対のスクロールロータ 3 6、 3 7を対向位置に配置し て、 側板 3 6 1〇、 3 7 13を偏心状態にかみ合わせて、 各側板の壁面部 3 9の 間に圧縮室 3 3を形成する。 一対のスクロールロータ 3 6、 3 7を相対的に 公転運動させて圧縮室 3 8を外周から中心に向けて移動させながら (図 1 7 參照) 圧縮室 3 8内の流体を圧縮し、 その圧縮流体を中心部の開口部 3 5か ら吐出させる。

[0007] 圧縮室 3 8内の流体の漏洩を防止するために、 側板 3 6 13、 3 7(3の軸方 向端面に渦巻き状のシール溝 3 7〇 (図 1 6参照) が形成され、 そのシール 溝 3 7〇内に渦巻き状で長手方向に幅が均等なチ プシール 4 0が収納され る。 チップシール 4 0は圧縮室 3 8内の流体圧力によって、 対向する各スク ロールロータ 3 6、 3 7の基板 3 6 、 3 7 の内側面に圧接される。 これ \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067 により、 壁面部 3 9の間を通過する冷媒のシールを行っている

[0008] また、 スクロール型冷媒圧縮機においては、 圧縮流体が両スクロールロー 夕 3 6、 3 7の側板 3 6 13、 3 7匕の隙間から漏れ出さないように、 固定側 スクロールロータ 3 6の側板 3 6 13と可動側スクロ _ルロータ 3 7の側板 3 7 13とが近接する側板 3 6 、 3 7 13の隙間は、 高い寸法精度で管理されて いる。 この隙間の大小によってスクロール型冷媒圧 縮機の効率などが大きく 影響するため、 隙間を厳密に管理する必要がある。 例えば、 隙間を一定に保 つために、 各スクロールロータの基板、 および該基板に対する側板の直角度 などを精度よく管理することが必要である。 先行技術文 献 特許文献

[0009] 特許文献 1 :特開平〇 7 - 1 3 9 4 7 9号公報 発明の概 要 発明が解決 しようとす る課題

[0010] 近年、 冷媒などを圧縮するスクロール型圧縮機など のスクロール機械の需 要が拡大され、 それに伴って、 スクロール機械の低価格化が望まれている。 また、 スクロール機械の静音化も要求されている。 例えば、 スクロール機械 のスクロールロータを射出成形法に基づいて 樹脂製とすることが可能になれ ば、 スクロール機械における大きな原低効果が期 待できる。

[0011 ] しかしながら、 単に射出成形法に基づいて一般的な樹脂によ りスクロール ロータを作製した場合、 樹脂の不均一な収縮による寸法精度の低下な どの不 具合が懸念される。 具体的には、 図 1 6において、 スクロールロータ 3 7の 基板 3 7 3 に対し側板 3 7 bが傾いてしまい、 基板 3 7 3に対する側板 3 7 の直角度が下がるという不具合や、 基板 3 7 3 の摺接面 3 7 から側板 3 7 の軸方向端面 3 7 8まで側板 3 7 13の幅が不均一となって、 基板 3 7 3 の摺接面 3 7 と側板 3 7 13の軸方向端面 3 7 6との平行度が下がるという 不具合が発生するおそれがある。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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[0012] このように、 射出成形法に基づいて作製された樹脂製のス クロールロータ は、 切削加工によって作製されたアルミニウム製 のスクロールロータと比べ て、 寸法精度が劣るため、 スクロールロータの樹脂化が困難であった。 また 、 寸法精度が劣るスクロールロータをスクロー ル機械に組み込んで使用する 場合、 スクロール機械から生じる異音も問題となり える。

[0013] また、 スクロールロータを樹脂化する際には、 スクロールロータの機械的 強度などを確保して耐久性なども配慮する必 要がある。

[0014] 本発明はこのような事情に鑑みてなされたも のであり、 価格を低く抑えな がらも、 寸法精度に優れるとともに、 機械的強度が確保された樹脂成形体、 樹脂発泡成形体、 およびスクロールロータを提供することを目 的とする。 課題を解決 するため の手段

[0015] 本発明の樹脂成形体の特徴を以下に説明する 。 本発明の樹脂成形体は、 ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、 粒状無機物 と、 繊維状無機物とを含む樹脂組成物の樹脂成形 体であって、 上記樹脂組成 物は、 上記粒状無機物および上記繊維状無機物の合 計体積が、 上記樹脂組成 物全体積の 3 0体積%〜 7 0体積%であり、 上記樹脂成形体は、 上記樹脂組 成物の射出成形体であり、 射出成形時において溶融した上記樹脂組成物 の流 れ方向を IV!口と定め、 上記 IV! に直交する方向を丁口と定めた場合、 上記樹 脂成形体の線膨張係数の比 (A M D /A T D ) 、 または上記樹脂成形体の成形収 縮率の比 が〇. 5〜 1であることを特徴とする。

[0016] 上記樹脂成形体は、 上記 IV!口および上記丁 0における成形収縮率がいずれ も 1 %以下であることを特徴とする。

[0017] 上記熱可塑性樹脂がポリアリーレンサルファ イ ド ( 3) 系樹脂である ことを特徴とする。

[0018] 上記樹脂組成物は、 さらに非晶性樹脂としてポリフエニレンエー テル ( 卩巳) 樹脂を含み、 該 巳樹脂は、 上記樹脂組成物全体積に対して 5体積 %~ 2 0体積%含まれることを特徴とする。

[0019] 上記粒状無機物の平均粒径が〇. 5 〜 1 0 0 であり、 上記繊維状 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

5 無機物の平均繊維長が 1 〇 〜 であり、 平均アスペクト比が 2〜 1 0 0 0であることを特徴とする。

[0020] 上記樹脂組成物において、 上記粒状無機物の含有割合が上記繊維状無機 物 の含有割合よりも多いことを特徴とする。

[0021 ] 上記粒状無機物は炭酸カルシウムであること を特徴とする。

[0022] 上記繊維状無機物はガラス繊維であることを 特徴とする。

[0023] 本発明の樹脂発泡成形体の特徴を以下に説明 する。 本発明の樹脂発泡成形体は、 ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、 充填材 とを含む樹脂組成物の樹脂発泡成形体であっ て、 上記樹脂発泡成形体は、 上 記樹脂組成物の射出成形体であり、 射出成形時において溶融した上記樹脂組 成物の流れ方向を 1\/1口と定め、 上記 1\/1 0に直交する方向を丁 0と定めた場合 、 上記樹脂発泡成形体の線膨張係数の比 (A MD /A T D ) 、 または上記樹脂発 泡成形体の成形収縮率の比 (巳 /日 70 ) が〇. 5〜 1であり、 上記樹脂発 泡成形体は、 内部に気泡を有する発泡層と、 上記発泡層の表面に形成された スキン層とを有することを特徴とする。

[0024] 上記充填材は、 粒状無機物と繊維状無機物とを含み、 上記粒状無機物およ び上記繊維状無機物の合計体積が、 上記樹脂組成物全体積の 3 0体積%〜 7 〇体積%であることを特徴とする。

[0025] 上記樹脂発泡成形体は、 発泡率が〇. 5 %未満であることを特徴とする。

[0026] 上記樹脂発泡成形体は、 上記 IV!口および上記丁 0における成形収縮率がい ずれも 1 %以下であることを特徴とする。

[0027] 上記熱可塑性樹脂がポリアリーレンサルファ イド ( 八 ) 系樹脂である ことを特徴とする。

[0028] 上記樹脂組成物は、 さらに非晶性樹脂としてポリフエニレンエー テル ( 巳) 樹脂を含み、 該卩 日樹脂は、 樹脂組成物全体積に対して 5体積%〜 2 0体積%含まれることを特徴とする。

[0029] 上記粒状無機物の平均粒径が 0 5 〜 1 0 0 であり、 上記繊維状 無機物の平均繊維長が 1 〇 〜 3 171 111であり、 平均アスペクト比が 2〜 1

I \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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0 0 0であることを特徴とする。

[0030] 上記粒状無機物は、 上記樹脂組成物全体積に対して 2 0体積%〜 4 0体積 %含まれ、 上記繊維状無機物は、 上記樹脂組成物全体積に対して 1 〇体積% 〜 3 0体積%含まれることを特徴とする。

[0031 ] 上記粒状無機物は炭酸カルシウムであること を特徴とする。

[0032] 上記繊維状無機物はガラス繊維であることを 特徴とする。

[0033] 本発明のスクロールロータの特徴を以下に説 明する。 本発明のスクロールロータは、 略平板状の基板と、 上記基板から略直角に 延設された渦巻き状の側板とを備え、 相手側ロータとの間で圧縮室を形成し 、 流体を圧縮または圧送させるスクロールロ _ 夕であって、 上記スクロール ロータが本発明の樹脂成形体または本発明の 樹脂発泡成形体であることを特 徴とする。

[0034] 上記基板は略円板状であり、 上記基板の上記側板が設けられた側の略中央 部にゲート痕が形成されており、 上記基板の上記側板が設けられた側とは反 対側の面に、 上記基板を補強する複数のリブが設けられ、 該リブは、 上記基 板の内側から外側に向けて放射状に延設され 、 かつ、 上記基板の円周方向に 略等間隔で設けられていることを特徴とする 。

[0035] 上記スクロールの上記側板の上記相手側ロー タ側の端面に、 上記相手側口 —夕の基板と摺接するチッブシールの装着が 可能な溝が形成されていること を特徴とする。

[0036] 上記流体が冷媒または油であることを特徴と する。

[0037] 上記スクロールロータが本発明の樹脂発泡成 形体である構成において、 上 記基板および上記側板はそれぞれ、 上記発泡層とその両側に上記スキン層と を有し、 上記発泡層の厚さは、 上記基板の厚さおよび上記側板の厚さに対し て、 それぞれ 3 0 %〜 6 0 %の厚さであることを特徴とする。

[0038] また、 上記気泡の直径が 1 0 0 以下であることを特徴とする。 発明の効果

[0039] 本発明の樹脂成形体における効果を以下に説 明する。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

7 本発明の樹脂成形体は、 ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、 所定量の粒 状無機物と繊維状無機物を含む樹脂組成物の 射出成形体であるので、 射出成 形による大量生産を可能としながらも、 要求される寸法精度を確保しつつ、 機械的強度も確保した樹脂成形体となる。 また、 生産性よく効率的に大量に 生産できることから、 樹脂成形体の価格を低く抑えることが可能に なる。

[0040] また、 上記樹脂成形体は、 樹脂成形体の線膨張係数の比 (A M D /A T D ) 、 または樹脂成形体の成形収縮率の比 が〇. 5〜 1であるので 、 成形収縮方向にほぼムラが生じず、 寸法精度に特に優れた樹脂成形体とな る

[0041 ] 樹脂成形体は、 および丁〇における成形収縮率がいずれも 1 %以下で あるので、 射出成形直後において成形体が冷やされつつ 収縮する際に、 安定 して収縮することができる。 そのため、 より寸法精度に優れた樹脂成形体と なる。

[0042] 熱可塑性樹脂が、 耐熱性、 耐寒性、 耐ヒートショック性、 耐クリープ性、 疲労特性、 難燃性に優れた 系樹脂であるので、 樹脂成形体に必要な特 性を付与しやすい。 また、 八 3系樹脂は、 比較的低価格であるため、 樹脂 成形体の低価格化に寄与できる。

[0043] 樹脂組成物は、 さらに非晶性樹脂として 巳樹脂を含み、 該 巳樹脂 は、 樹脂組成物全体積に対して 5体積%〜 2 0体積%含まれる。 日樹脂 は、 軟化点が高く、 機械的特性、 低い吸水性、 寸法安定性に優れた性質を有 するため、 樹脂組成物に所定量配合することで、 樹脂成形体に優れた寸法精 度を付与することができるとともに、 八 系樹脂の有する優れた各種特性 を発揮させることができる。

[0044] 粒状無機物の平均粒径が〇. 5 11!〜 1 0 0 であり、 繊維状無機物の 平均繊維長が 1 〇 〜 であり、 平均アスぺクト比が 2〜 1 0 0 0で あるので、 樹脂成形体に要求される寸法精度と機械的強 度を両立させやすい

[0045] 樹脂組成物において、 粒状無機物の含有割合が繊維状無機物の含有 割合よ \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

8 りも多いので、 特に寸法精度を重視しつつ、 機械的強度を確保した樹脂成形 体となる。

[0046] 粒状無機物が炭酸カルシウムであるので、 溶融状態の樹脂組成物の流動方 向にほぼ関係なく、 樹脂成形体において異方性が発現しにくい。 そのため、 補強用無機充填材として機能しつつ、 優れた寸法精度を発揮させることがで きる。

[0047] 繊維状無機物はガラス繊維であるので、 樹脂成形体に要求される強度を確 保しつつ、 価格を低く抑えた樹脂成形体となる。

[0048] 本発明の樹脂発泡成形体における効果を以下 に説明する。 本発明の樹脂発泡成形体は、 ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、 充填材 とを含む樹脂組成物の射出成形体であるので 、 射出成形による大量生産が可 能となる。 また、 樹脂発泡成形体は、 線膨張係数の比 、 また は成形収縮率の比 が〇. 5〜 1であるので、 成形収縮方向に ほぼムラが生じない成形体となる。 さらに、 樹脂発泡成形体は、 微細発泡法 が射出成形法と併せて行われることにより成 形体の中で気泡が形成され、 発 泡層を有する構造であるので、 内部の気泡によって、 射出成形後の冷却時の 樹脂の収縮による 「ひけ」 が抑えられる。 その結果、 寸法精度に特に優れた 樹脂発泡成形体となる。 また、 発泡層の表面はスキン層によって覆われてい るため、 外観性を維持できる。 また、 成形体などから生じる異音は、 内部の 気泡によって吸収されやすくなるので、 異音の発生も抑制できる。

[0049] また、 充填材は、 粒状無機物と繊維状無機物とを含み、 上記粒状無機物お よび上記繊維状無機物の合計体積が、 上記樹脂組成物全体積の 3 0体積%〜 7 0体積%であるので、 成形体に要求される寸法精度を確保しつつ、 機械的 強度も確保した樹脂発泡成形体となる。 また、 生産性よく効率的に大量に生 産できることから、 樹脂発泡成形体の価格を低く抑えることが可 能になる。

[0050] 樹脂発泡成形体は、 発泡率が〇. 5 %未満であるので、 内部の気泡が表面 に露出することを防ぐことができ、 外観性を好適に維持できる。

[0051 ] 樹脂成形発泡体は、 IV! 0および丁口における成形収縮率がいずれも 1 %以 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

9 下であるので、 射出成形直後において成形体が冷やされつつ 収縮する際に、 安定して収縮することができる。 そのため、 より寸法精度に優れた樹脂発泡 成形体となる。

[0052] 熱可塑性樹脂が、 耐熱性、 耐寒性、 耐ヒートショック性、 耐クリープ性、 疲労特性、 難燃性に優れた 八 3系樹脂であるので、 成形体に必要な特性を 付与しやすい。 また、 八 系樹脂は、 比較的低価格であるため、 樹脂発泡 成形体の低価格化に寄与できる。

[0053] 樹脂組成物は、 さらに非晶性樹脂として 巳樹脂を含み、 該 巳樹脂 は、 樹脂組成物全体積に対して 5体積%〜 2 0体積%含まれる。 日樹脂 は、 軟化点が高く、 機械的特性、 低い吸水性、 寸法安定性に優れた性質を有 するため、 樹脂組成物に所定量配合することで、 樹脂発泡成形体に優れた寸 法精度を付与することができるとともに、 八 3系樹脂の有する優れた各種 特性を発揮させることができる。

[0054] 粒状無機物の平均粒径が〇. 〜 1 0 0 171であり、 繊維状無機物の 平均繊維長が 1 0 111〜3 171であり、 平均アスペクト比が 2〜 1 0 0 0で あるので、 成形体に要求される寸法精度と機械的強度を 両立させやすい。

[0055] 粒状無機物は、 樹脂組成物全体積に対して 2 0体積%〜 4 0体積%含まれ 、 繊維状無機物は、 樹脂組成物全体積に対して 1 0体積%〜 3 0体積%含ま れるので、 寸法精度と機械的強度との両立が好適に行え る。

[0056] 粒状無機物は炭酸カルシウムであるので、 溶融状態の樹脂組成物の流動方 向にほぼ関係なく、 . 樹脂発泡成形体において異方性が発現し にくい。 そのた め、 補強用無機充填材として機能しつつ、 優れた寸法精度を発揮させること ができる。

[0057] 繊維状無機物はガラス繊維であるので、 成形体に要求される強度を確保し つつ、 価格を低く抑えた樹脂発泡成形体となる。

[0058] 本発明のスクロールロータにおける効果を以 下に説明する。 本発明のスクロールロータは、 略平板状の基板と、 基板から略直角に延設 された渦巻き状の側板とを備え、 相手側ロータとの間で圧縮室を形成し、 流 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

10 体を圧縮または圧送させるスクロールロータ であって、 スクロールロータが 本発明の樹脂成形体または本発明の樹脂発泡 成形体であるので、 複雑な形状 でありながら、 射出成形によって製造できる。 このため、 例えば切削加工で 製造する場合よりも、 生産性よく効率的に大量にスクロールロータ を製造す ることができ、 ひいては、 スクロールロータの低価格化にも寄与できる 。 ま た、 このスクロールロータは、 寸法精度に優れるとともに、 機械的強度が確 保されていることから、 圧縮/圧送流体を精度よく圧縮することがで る。

[0059] 基板は略円板状であり、 基板の側板が設けられた側の略中央部にゲー ト痕 が形成されているので、 溶融した樹脂組成物をキヤビティに略均等に 行き渡 せることができ、 流動ムラが抑えられる。 これにより、 スクロールロータの 基板および側板の寸法精度が向上する。

[0060] 基板の側板が設けられた側とは反対側の面に 、 基板を補強するリブが設け られ、 該リブは、 基板の内側から外側に向けて放射状に延設さ れ、 かつ、 基 板の円周方向に略等間隔で設けられているの で、 スクロールロータの基板お よび側板の寸法精度が更に向上する。 射出成形時において、 溶融した樹脂組 成物は、 成形金型内のキヤビティに対して、 略中央部の射出ゲートから充填 される。 この際、 溶融した樹脂組成物が、 放射状の複数のリブを形成する空 間を含めたキヤビティを通って、 速やかに基板の略中央部側から外側に向け て流れ、 キヤビティの隅々にまで到達することができ 、 基板とともに側板を 形成する。 そのため、 溶融した樹脂組成物の流動ムラが抑えられ、 スクロー ルロータの基板および側板の精度がさらに向 上する。

[0061 ] また、 略円板状の基板は上記リブにより補強されて いるので、 射出成形後 において基板の甚だしい不均一な収縮が抑え られることで、 基板の寸法精度 が一層向上する。 また、 基板の寸法精度が一層向上することに伴って 、 基板 から略直角に延設された渦巻き状の側板の寸 法精度も一層向上する。

[0062] スクロールロータは、 側板の相手側口ータ側の端面に、 相手側口ータの基 板と摺接するチッブシールの装着が可能な溝 が形成されているので、 ·よリ複 雑な形状となっているところ、 射出成形によって製造できることから、 例え \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

11 ば切削加工で製造する場合よりも、 生産性よく効率的に大量にスクロールロ —夕を製造することができ、 ひいては、 スクロールロータの低価格化にも寄 与できる。

[0063] 基板および側板はそれぞれ、 発泡層とその両側にスキン層とを有し、 発泡 層の厚さは、 基板の厚さおよび側板の厚さに対して、 それぞれ 3 0 %〜 6 0 %の厚さであるので、 スキン層の厚みをある程度確保しつつ、 内部の気泡の 数を十分に確保することで 「ひけ」 を抑えやすくなり、 ひいてはスクロール ロータの寸法精度の向上に寄与する。 また、 気泡の直径が 1 0 0 171以下で あるので、 気泡が表面に露出することをより防ぐことが できる。 図面の簡単 な説明

[0064] [図 1]本発明の樹脂成形体の第一実施形態 (スクロールロータ) を示す斜視図 である。

[図 2]図 1のスクロールロータの底面図である。

[図 3]図 2の 一 線に沿った断面図である。

[図 4]本発明の樹脂成形体の第二実施形態 (スクロールロータ) を示す斜視図 である。

[図 5]本発明の樹脂発泡成形体の第一実施形態 (スクロールロータ) を示す斜 視図である。

[図 6]樹脂発泡成形体であるスクロールロータ 側板の断面の顕微鏡写真であ る。

[図 7]発泡層を示す顕微鏡写真である。

[図 8]発泡層を示す顕微鏡写真である。

[図 9]発泡層を示す顕微鏡写真である。

[図 10]スクロールロータのスキン層および発泡 を説明する図である。

[図 11]チップシールを示す斜視図である。

[図 12]チップシールが取り付けられたスクロー ロータの斜視図である。

[図 13]スクロール型圧縮機の圧縮機構部の一部 面図である。

[図 14]スクロール型冷媒圧縮機の概要を示す縦 面図である。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

12

[図 15]スクロール型冷媒圧縮機の圧縮機構部を す縦断面図である。

[図 16]チップシールが装着されたスクロールロ タの側板を示す断面図であ る。

[図 17]スクロール型冷媒圧縮機の圧縮機構部を す説明図である。

[図 18]試験片形状を示す図である。 発明を実施 するための 形態

[0065] 以下に、 本発明に係る樹脂成形体および樹脂発泡成形 体について図面を用 いて説明する。 まず、 本発明に係る樹脂成形体の一実施形態である スクロー ルロータについて、 図 1〜図 3に基づいて説明する。 図 1は、 スクロールロ —夕の一例を示す斜視図であり、 図 2は、 該スクロールロータの底面図であ り、 図 3は、 図 2の八一八線に沿った断面図である。 このスクロールロータ は、 上述の図 1 4で示したスクロール型圧縮機における固定 スクロールロ —夕として用いてもよく、 可動側スクロールロータとして用いてもよい 。 [0066] 図 1に示すように、 スクロールロータ 1は、 略平板状の基板 2と、 基板 2 から略直角に延設された渦巻き状の側板 3とを備えている。 基板 2の平面形 状は円形状であり、 基板 2の内側面 2 3の略中央部には射出成形時のゲート 痕 5が形成されている。 スクロールロータ 1の側板 3の端面 (天面) 3 3は 、 対向する相手側ロータの基板との摺動面であ り、 圧縮室内の圧縮流体をシ —ルするシール面になる。 この端面 3 には、 図 1 1に示すチップシールが 装着可能な取付溝 4が形成されている。 取付溝 4は、 側板 3において渦巻の 内周面 3 6と渦巻の外周面 3 に開口しておらず、 摺動面内で閉じた凹溝と なっている。 また、 取付溝 4は、 側板 3の厚み方向の略中央部に設けられて いる。

[0067] ここで、 便宜上、 スクロールロータ 1の基板 2の上下方向について説明す ると、 側板 3が設けられた側を基板 2の上面側とされる内側面 2 3 と言い、 内側面 2 3 の反対側を基板 2の下面側とされる外側面と言う。 図 1は、 内側 面 2 3側から見た斜視図であり、 図 2は、 外側面側から見た平面図である。 [0068] 図 2に示すように、 基板 2の外側面 2 13には内周側から外周側に向けて放 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

13 射状に設けられた複数 (図 2では 7本) のリブ 6が形成されている。 外側面 2 匕には、 中心軸 0を中心として同心円状に設けられた内側円 部 2〇と外 側円筒部 2〇1が形成されている。 リブ 6は、 内側円筒部 2〇と外側円筒部 2 を連結するように径方向に沿って延設されて いる。 図 2において、 リブ 6 は、 円周方向に等間隔に配置されており、 円周方向に隣接するリブ同士の間 には軸穴部 7が形成されている。 軸穴部 7も円周方向に等間隔に配置されて いる。 リブ 6は、 軸穴部 7などの他の部分と干渉することなく、 直線状に基 板 2の周縁まで延設されている。 また、 内側円筒部 2〇と外側円筒部 2 1 リブ 6、 軸穴部 7により区画された肉ぬすみ部 2 6が基板 2の外側面 2 13に 形成されている。 肉ぬすみ部 2 6が基板 2の外側面 2 13に形成されることに より、 スクロールロータ 1の軽量化、 薄肉化が図られている。

[0069] 外側面 2 13におけるリブの数は、 特に限定されないが、 溶融樹脂を速やか にキヤビティ全体に行き渡らすためには 4本以上設けることが好ましく、 5 〜 8本設けることがより好ましい。 リブの幅は、 図 2に示すように一定幅で もよく、 外周側に向けて連続的にまたは段階的に拡幅 してもよい。 また、 軸 穴部は、 リブ間のすべてに設けられる必要はなく、 例えば、 リブ間に周方向 に 1つおきに設けられてもよい。

[0070] このように、 外側面 2 13に基板 2を補強する複数のリブ 6を設けることで 、 スクロールロータ 1の基板 2および側板を射出成形によって精度よく形 できる。 射出成形時には、 成形金型内に、 スクロールロータ 1の形状に対応 したキヤビティが形成される。 溶融した樹脂組成物は、 ゲート痕 5の位置に 対応する射出ゲートからキヤビティに射出充 填される。 図 2の構成の場合、 複数のリブ 6に対応して、 基板 2の略中央部側から外側に向けて複数の直線 状の空間部が形成されるため、 溶融樹脂はその空間部を通って速やかに基板 2の周縁部の隅々にまで到達することができ 。 そのため、 溶融樹脂の流動 ムラが抑えられ、 スクロールロータ 1の基板 2および側板の寸法精度が向上 する。

[0071 ] また、 スクロールロータ 1の円板状の基板 2において、 複数のリブ 6は、 \¥02021/124909 2020 /045067

14 基板 2の略中央部側から外周側に向けて延設され かつ、 基板 2の円周方向 に等間隔に設けられているので、 射出成形された後に樹脂が収縮する際の甚 だしい不均一な収縮が抑えられ、 基板 2の寸法精度がさらに向上する。 また 、 基板 2の寸法精度の向上に伴って、 基板 2から略直角に延設された側板の 精度もさらに向上する。

[0072] 図 3の断面図に示すように、 スクロールロータ 1において、 内側面 か ら側板 3が直角に立設している。 内側面 2 3は、 相手側ロータの側板の端面 との摺接面である。 本発明のスクロールロータは、 寸法精度に優れているた め、 内側面 2 3に対する側板 3の直角度に優れている。 本発明において 「直 角度」 は、 基板 2の内側面 2 3 を基準面とした場合の側板 3の 1 1 長さ あたりの直角方向の変位量で表すことができ 、 内側面 2 3と側板 3の内周面 3 13との 「直角度」 と、 内側面 2 3 と側板 3の外周面 3〇との 「直角度」 で それぞれ表される。 各直角度はいずれも〇. 0 2 5 111以下であることが好 ましく、 いずれも〇. 0 2〇 以下であることがより好ましい。 また、 本 発明のスクロールロータは、 基板 2の内側面 2 3に対する側板 3の端面 3 3 の平行度に優れている。 本発明において 「平行度」 は、 端面 3 3に置かれた ブロックゲージに三次元測定機の測定子を当 て 8箇所の測定点を取得したと きの 1\/1 3 値と 1\/1 丨 门値の差で表すことができ、 平行度は〇. 〇 2 5 171以 下であることが好ましく、 〇. 0 2 以下であることがより好ましい。

[0073] また、 図 3に示すように、 内側円筒部 2〇は、 外側円筒部 2〇1、 リブ 6、 および軸穴部 7の端面よりも突出している。 軸孔部 7は、 内側面 2 側に貫 通していない。

[0074] ここで、 図 1に示すスクロールロータ 1は、 ベース樹脂としての熱可塑性 樹脂と、 粒状無機物と、 繊維状無機物とを含む樹脂組成物の樹脂成形 体であ り、 射出成形法に基づいて形成される。 射出成形法は、 大量生産性に優れて いるので、 射出成形法が用いられることにより、 効率よく成形体を製造する ことが可能となり、 成形体の価格を低く抑えることができる。 なお、 射出成 形法に基づいて製造された成形体には、 ゲート痕、 突出しピン痕などの痕跡 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

15 が残されているので、 射出成形法に基づいて製造されたものか否か の判別は 可能である。

[0075] また、 本発明に係る樹脂発泡成形体の一実施形態で あるスクロールロータ を、 図 5に示す。 図 5は、 スクロールロータの一例を示す斜視図である 。 図 5に示すように、 スクロールロータ 1 1は、 略平板状の基板 1 2と、 基板 1 2から略直角に延設された渦巻き状の側板 1 3とを備えている。 基板 1 2の 平面形状は円形状であり、 基板 1 2の内側面 1 2 3の略中央部には射出成形 時のゲート痕 1 5が形成されている。 また、 スクロールロータ 1 1の側板 1 3の端面 (天面) 1 3 3には、 図 1 1に示すチップシールが装着可能な取付 溝 1 4が形成されている。 なお、 このスクロールロータの底面図および断面 図は、 上述の図 2および図 3と同様であり、 説明を省略する。

[0076] ここで、 図 5に示すスクロールロータ 1 1は、 ベース樹脂としての熱可塑 性樹脂と、 粒状無機物と、 繊維状無機物とを含む樹脂組成物の樹脂発泡 成形 体である。 この樹脂発泡成形体は、 射出成形法に基づいて形成されており、 しかも、 成形体内に微細発泡法に基づく気泡 (内部微細気泡ともいう) が形 成されている。 射出成形法は、 大量生産性に優れているので、 射出成形法が 用いられることにより、 効率よく成形体を製造することが可能となり 、 成形 体の価格を低く抑えることができる。

[0077] また、 図 5に示すスクロールロータ 1 1は、 射出成形法とともに微細発泡 法に基づいて形成される。 微細発泡法として、 例えば、 超臨界発泡法などが 挙げられる。 超臨界発泡法は、 超臨界流体を発生させる超臨界発生装置を射 出成形機に接続して射出成形を行う方法であ る。 超臨界流体とは、 臨界温度 圧力以上で気体と液体との両方の性質を備え 持った流体を意味する。 ボン ベなどの流体供給源から調整されつつ供給さ れる窒素、 二酸化炭素などの気 体や、 ガスとなるものをボンプなどの圧送装置を用 いて加圧して超臨界流体 が生成される。 窒素、 二酸化炭素などの気体やガスの超臨界流体は 、 バルブ などの流量調整装置などにより一定の流量で 射出成形機のシリンダ内へ送り 込まれる。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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[0078] 超臨界発泡法では、 窒素、 二酸化炭素などの高温高圧下でも気体である 安 定した物質を、 物理発泡剤として用いる。 加圧状態で物理発泡剤を樹脂に注 入させてこれを溶解させたのちに、 気液相分離させて物理的な変化を生じさ せることで、 気泡を発生させる。

[0079] 超臨界発泡法に基づいて、 スクロールロータが射出成形されることによ り 、 寸法精度を向上させることができる。 射出成形時において、 成形体は、 成 形金型内および/または成形金型から取り出 れた後に、 冷却により収縮し たり 「ひけ」 が生じたりする傾向にある。 超臨界発泡法が射出成形法と併せ て行われることで、 成形金型内および/または成形金型から取り された後 の成形体の中で気泡が形成され、 これにより成形体に生じる収縮や 「ひけ」 が抑えられる。

[0080] また、 スクロールロータの内部に気泡が形成される ので、 スクロールロー 夕などから生じる異音は、 スクロールロータの内部微細気泡にて吸収さ れや すくなり、 スクロール型圧縮機やスクロール型圧送機か らの異音の発生を抑 えることができる。

[0081] なお、 微細発泡法に基づいて作製された樹脂発泡成 形体は、 内部に気泡が 形成されているので、 成形体内部の断面を拡大観察することにより 、 微細発 泡法に基づいて作製されたものか否かの判別 が可能とされている。

[0082] 本発明において、 樹脂組成物を射出成形する際に、 溶融した樹脂組成物の 流れ方向を M D (Ma c h i n e D i r e c t i o n) と定め、 M Dに直 交する方向を T D (T「 a v e r s e D i r e c t i o n) と定める。

[0083] ここで、 本発明では、 樹脂成形体の線膨張係数の比 (A MD /A TD ) 、 また は樹脂成形体の成形収縮率の比 (B MD /B TD ) が〇. 5〜 1であることを特 徴としている。 言い換えると、 樹脂成形体の線膨張係数に基づく異方性数値 が A MD : A TD = 1 : 1〜 1 : 2の範囲内であるか、 成形収縮率に基づく異方 性数値が B md : B TD = 1 : 1〜 1 : 2の範囲内である。 このように、 線膨張 係数の比および成形収縮率の比の少なくとも いずれか一方が 1 / 2〜 1であ ることで、 成形収縮方向にほぼムラの生じない樹脂成形 体が得られる。 その \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

17 結果、 寸法精度に優れた樹脂成形体となる。

[0084] また、 本発明では、 樹脂発泡成形体の線膨張係数の比 、 ま たは樹脂発泡成形体の成形収縮率の比 が 〇. 5〜 1であるこ とを特徴としている。 言い換えると、 樹脂発泡成形体の線膨張係数が : 八丁 0 = 1 : 1〜 1 : 2の範囲内であるか、 成形収縮率が日 : 6 10 = 1 : 1 〜 1 : 2の範囲内である。 このように、 線膨張係数の比 (八 /八丁〇) およ び成形収縮率の比 の少なくともいずれか一方が 1 /2〜 1で あることで、 成形収縮方向にほぼムラの生じない樹脂発泡 成形体が得られる 。 その結果、 寸法精度に優れた樹脂発泡成形体となる。 成形収縮方向にムラ を生じさせないためには、 に対する丁口の比で表される各異方性数値が 1であることが理想とされる。 各異方性数値を〇. 5以上とすることで、 成 形収縮方向に生じるムラがほぼ抑えられる。

[0085] なお、 線膨張係数の比、 および、 成形収縮率の比は、 後述の実施例に示す ようなダンべル試験片 (多目的試験片: 」 丨 5 1< 71 39 —八 1、 (<71 62 — 1 八、 1 50 527-2- 1八など) およびそこから切り出し た評価試験片を用いて測定した数値から評価 することができる。

[0086] 本発明の樹脂成形体および樹脂発泡成形体に おいて、 上記線膨張係数の比 (八 /八丁 0 ) は、 好ましくは 1 /1 _ 9〜 1であり、 より好ましくは】 / 1. 8〜 1である。 異方性を一層 抑えることができる。 また、 上記成形収縮率の比 (巳 /日丁 0 ) は、 好まし くは 1 /1 _ 8〜 1であり、 より好ましくは 1 /1. 5〜 1である。 巳 と 日丁〇の差をより小さくすることで、 成形収縮方向のムラを一層抑えることが できる。

[0087] 本発明の樹脂成形体および樹脂発泡成形体に おいて、 上記線膨張係数の比 のいずれも 1 /2 〜 1であることが好ましい。

[0088] 樹脂成形体および樹脂発泡成形体の成形収縮 率は 1 %以下であることが好 ましく、 〇. 8%以下であることがより好ましく、 〇. 6%以下であること \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

18 がさらに好ましい。 なお、 成形収縮率は 0 %よりも大きい。 この場合の成形 収縮率は、 IV!口方向および丁口方向の両方向において、 所定の成形収縮率 ( 例えば 1 %) 以下とされることが好ましい。 これにより、 射出成形直後の樹 脂が冷やされつつ収縮する際に、 安定して収縮することができる。 その結果 、 寸法精度に優れたスクロールロータなどの樹 脂成形体および樹脂発泡成形 体が得られる。

[0089] また、 本発明の樹脂成形体および樹脂発泡成形体の 機械的強度については 、 曲げ強さが 1 0 0 IV! 3〜 2 0 0 IV! 3であり、 かつ、 曲げ弾性率が 1 5 0 ? 3〜 2 0 0 3であることが好ましい。 なお、 曲げ強度および曲げ弾性 率は、 八5丁1\/1 0 7 9 0に準拠して測定される温度 2 5 での曲げ強さおよ び曲げ弾性率である。 また、 引張強さが とが好ましい。 なお、 引張強さは、 八3丁1\/1 0 6 3 8に準拠して測定される 温度 2 5 での引張強さである。

[0090] 本発明の樹脂成形体および樹脂発泡成形体の 樹脂組成物において、 ベース 樹脂として用いる熱可塑性樹脂には、 結晶性樹脂または非晶性樹脂を用いる ことができる。 使用可能な熱可塑性樹脂として、 例えば、 ポリフエニレンサ ルファイ ド ( ) 樹脂などのポリアリーレンサルファイ ド ( 八 ) 系 樹脂、 ポリエーテルエーテルケトン ( 巳巳 ) 樹脂などのポリエーテルケ トン ( 巳 ) 系樹脂、 ポリアミ ド ( 八) 樹脂、 ポリプチレンテレフタレ - 卜 ( 巳丁) 樹脂、 ポリエーテルスルホン ( 已 ) 樹脂、 ポリエーテル イミ ド ( 巳 I) 樹脂、 ポリアミ ドイミ ド ( 八 I) 樹脂、 液晶ポリマー ( L C P)樹脂などが挙げられる。

[0091 ] これらの樹脂の中でも、 八 3系樹脂、 巳 系樹脂、 八樹脂、 巳丁 樹脂、 1_〇 樹脂などの結晶性樹脂が好ましい。 結晶性樹脂は、 耐熱性が高 く、 耐溶剤性に優れ、 溶融時の流れ性が良好なことから薄肉成形に 適し、 さ らに、 高剛性、 高硬度であることから、 摺動部材 (例えばスクロールロータ ) などの成形体に適した材料といえる。 結晶性樹脂の中でも、 八 系樹脂 がより好ましい。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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[0092] 八 系樹脂は、 スーパーエンジニアリングプラスチックの 1 つである。 八 系樹脂は、 耐熱性、 耐寒性、 耐ヒートショック性、 耐クリープ性、 疲 労特性、 難燃性、 耐薬品性、 ほぼ吸水しないことによる寸法安定性、 物性な どの変化が少ないことなどに優れている。 そのため、 八 5系樹脂を、 スク ロールロータのべース樹脂として用いること で、 例えば、 冷媒、 冷凍機油、 潤滑油が使用される冷暖房設備機や、 空気調和設備機、 空気調和機、 冷凍/ 冷蔵ショーケース、 冷蔵庫などの冷凍機などに用いられるスクロ ールロータ に要求される特性を付与することができる。 また、 八 系樹脂は、 比較的 低価格であるので、 スクロールロータの低価格化に寄与できる。

[0093] 八 系樹脂は、 一般的に下記式 (1) で示される合成樹脂である。 なお 、 この明細書中の各式において、 〇は任意の整数を表す。 また、 下記式 (1 ) 中の八「はアリーレン基を示し、 八「としては、 例えば下記式 (2) 〜式 (7) に示されるものが挙げられる。 なお、 下記式 (5) において、 は 、 (3 Iおよび巳 「から選ばれるハロゲンまたは 0 1~1 3 を示し、 111は 1〜 4の整 数を示す。

[0094] [化 1 ]

- [- ー 8 ^· (1 )

[0095] [化 2] \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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[0097] 八 3系樹脂としては、 上記式 (1) 中の八「が上記式 (2) である 5樹脂を好適に用いることができる。 樹脂は、 スーパーエンジニアリ ングプラスチックとして優れた各種特性を備 えていることに加えて、 スーパ —エンジニアリングプラスチックの中でも価 格が低く抑えられているので、 樹脂成形体および樹脂発泡成形体の低価格化 を一層図ることができる。

[0098] 八 系樹脂は、 繰り返し単位 (一八「一 3 —) の含有率が 7 0モル%以 上であることが好ましく、 9 0〜 1 0 0モル%であることがより好ましい。 ここでいう繰り返し単位の含有率とは、 八 系樹脂を構成する全モノマー 1 0 0 %に占める繰り返し単位の割合をいう。 繰り返し単位の含有率が 7 0 モル%未満の 八 系樹脂を用いた場合、 系樹脂の低い吸水性に基づ いた寸法安定性の効果が得られにくい傾向に ある。

[0099] 八 3系樹脂を得るためには公知の方法を用いる とができる。 例えば、 ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリと の反応 (特公昭 4 4 - 2 7 6 7 1号公報) や、 ルイス酸触媒共存下における芳香族化合物と 塩化硫黄との縮 合反応 (特公昭 4 6 — 2 7 2 5 5号公報) 、 または、 アルカリ触媒もしくは 銅塩などの共存下におけるチオフエノール類 の縮合反応 (米国特許第 3 2 7 4 1 6 5号公報) などによって合成される。 具体的な方法としては、 硫化ナ トリウムと卩ージクロロベンゼンとを ーメチルピロリ ドン、 ジメチルアセ \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

21 トアミドなどのアミド系溶媒もしくはスルホ ランなどのスルホン系溶媒中で 反応させることが挙げられる。

[0100] また、 八 3系樹脂の結晶性に影響を与えない範囲で、 例えば、 下記式 ( 8) 〜式 (1 2) に示される成分を、 共重合成分として 八 系樹脂に含ま せることができる。 下記式 (8) 〜式 (1 2) に示される成分の添加量は、 八 系樹脂を構成する全モノマー 1 0 0 %に対して 3 0モル%未満、 好ま しくは 1 0モル%未満でかつ 1モル%以上とすることができる。

[0101 ] [化 4]

[0102] [化 5]

[0103] ここで、 3樹脂は、 例えば、 硫化ナトリウムと ージクロロベンセン を N1 —メチルピロリ ドン、 ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒も しく \¥0 2021/124909 卩(:17 2020 /045067

22 はスルホランなどのスルホン系溶媒中で反応 させて得られ、 この段階の 3樹脂を重合上がりとしている。 この重合上がりの低分子量 樹脂を熱 処理などの工程にかけて、 樹脂中に交差結合が全くないものから部分的 交差 結合 (架橋) を有するものに至るまで各重合度のものを自 由に製造すること ができる。 これにより、 目的の溶融ブレンドに適正な溶融粘度特性を 有する ものを任意に選択することができる。 また、 架橋構造をとらない直鎖状の 3樹脂も使用できる。

[0104] 八 3系樹脂としては、 架橋型の 八 3系樹脂であるか、 または部分的交 差結合、 すなわち、 部分架橋を有する 八 5系樹脂であることが好ましい。 部分的交差結合を有する 八 3系樹脂は、 半架橋型またはセミリニア型とも 呼ばれる。 架橋型の 八 系樹脂は、 例えば、 製造工程中に酸素存在下で熱 処理を行ない分子量を必要な水準に高めるこ とで得られる。 架橋型の 八 系樹脂は、 分子の一部がお互いに酸素を介して架橋され た二次元または三次 元の架橋構造を有する。 そのため、 後述する架橋のないリニア型の 八 3系 樹脂に比較して、 高温環境下においても高い剛性を保持し、 クリープ変形が 少ない点や、 応力緩和されにくい点で優れている。 また、 架橋型または半架 橋型の 系樹脂は、 架橋のないリニア型の?八 系樹脂に比べ、 耐熱性 、 耐クリープ性などに優れており、 射出成形した成形体にバリの発生が少な く、 寸法精度に優れた成形体が得られやすい。

[0105] 一方、 リニア型の 八 系樹脂は、 製造工程において熱処理工程がないた めに分子中には架橋構造は含まれず、 分子は一次元の直鎖状とされている。 一般的にはリニア型の 八 系樹脂は架橋型の 八 系樹脂に比較して剛性 が低く、 靭性や伸びが多少高いのが特長とされている 。 また、 リニア型の 八 3系樹脂は、 特定方向からの機械的強度に優れており、 吸湿が少ないため に高温多湿雰囲気でも寸法変化が少ないなど の利点がある。 また、 リニア型 の 八 5系樹脂は、 例えば分子量を調整して溶融粘度を低くする ことが可能 となる。 このため、 リニア型の 八 系樹脂に、 ガラス繊維、 チタン酸カリ ウムウィスカなどの繊維状無機物、 炭酸カルシウム、 マイカなどの粒状無機 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

23 物、 金属粉末などの充填材を所定量混合させた樹 脂組成物であっても、 射出 成形性は著しく阻害されない。

[0106] 八 系樹脂に架橋または部分的交差結合を形成す る方法としては、 例え ば、 低重合度のポリマーを重合した後、 空気が存在する雰囲気で加熱する方 法や、 架橋剤や分岐剤を添加する方法がある。

[0107] 八 系樹脂の見かけの溶融粘度は、 1 0 0 0〜 1 0 0 0 0ボアズの範囲 とすることが好ましい。 見かけの溶融粘度が 1 0 0 0ボアズ未満であると、 樹脂成形体および樹脂発泡成形体の強度が低 下するおそれがある。 一方、 見 かけの溶融粘度が 1 0 0 0 0ボアズを超えると、 成形性が低下するおそれが ある。 架橋型の 系樹脂の溶融粘度は 1 0 0 0〜 5 0 0 0ボアズとする ことができ、 好ましくは 2 0 0 0〜 4 0 0 0ボアズである。 溶融粘度が低く なると、 1 5〇 以上の高温域で耐クリープ特性などの機械的 特性が低下す るおそれがある。 また、 溶融粘度が高くなると成形性が低下するおそ れがあ る。 なお、 溶融粘度の測定は、 測定温度 3 0 0 °〇、 オリフイスが穴径 1

、 長さ 1 0 171 171、 測定荷重 予熱時間 6分の条件下で、 高化 式フローテスタにて実施することができる。

[0108] また、 部分的交差結合を有する 八 系樹脂の熱安定性は、 上記の溶融粘 度測定条件にて、 予熱 6分後と 3 0分後の溶融粘度の変化率が一 5 0 %〜 1 5 0 %の範囲であることが好ましい。 なお、 変化率は下記の式で表される。 [変化率 = ( 3 0 — 6) / 6 X 1 0 0 ( 6 :予熱 6分後の測定値、 3 0 :予熱 3 0分後の測定値) ]

[0109] 系樹脂の分子量は、 射出成形性を考慮すると、 数平均分子量で 1 3 0 0 0〜 3 0 0 0 0が好ましく、 さらに耐疲労性、 高成形精度を考慮すると 、 数平均分子量で 1 8 0 0 0〜 2 5 0 0 0がより好ましい。 数平均分子量が 1 3 0 0 0未満の場合には、 分子量が低すぎて、 耐疲労性が劣る傾向にある 。 一方、 数平均分子量が 3 0 0 0 0を超える場合には耐疲労性は向上するも のの、 必要な衝撃強度などの機械的強度が低下する おそれがある。 なお、 こ こでの数平均分子量とは、 八 系樹脂を溶媒に溶解させた後、 ゲル ·パー \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

24 ミエーシヨン ·クロマトグラフ (6 〇法) で測定されるポリスチレン換算 での数平均分子量を示す。

[0110] 八 系樹脂の融点は、 例えば約 2 2 0 ° 〇~ 2 9〇 であり、 好ましくは

2 8 0 〜2 9 0 °〇である。 一般に、 ? 3樹脂の融点は、 約 2 8 5 であ るため、 樹脂を用いることが好ましい。 八 系 樹脂は吸水性が低いため、 吸水による寸法変化が低減される。 樹脂な どの 八 系樹脂をベース樹脂とする樹脂成形体および 樹脂発泡成形体は、 耐クリープ性、 耐薬品性などに優れるとともに、 吸水による寸法変化が低減 されるという優れた安定性を有する。

[0111 ] また、 八 3系樹脂を有する樹脂組成物は、 1 5 0 7 5 — 1、 2 (1 . 8 の試験法に基づいて測定された荷重たわみ温 度が、 例えば 1 0 5 以上とされる。

[0112] 以上のように、 八 系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からな る樹脂 成形体および樹脂発泡成形体は、 例えば、 冷媒、 油を圧縮するスクロール型 圧縮機や、 空気を圧送するスクロール型圧送機を構成す るスクロールロータ に要求される特性を備えている。

[0113] 上記樹脂組成物は、 上述したベース樹脂の熱可塑性樹脂に加えて 、 さらに ベース樹脂とは異なる非晶性樹脂を含むこと が好ましい。 一般に、 非晶性樹 脂製の成形体は、 柔軟であり、 強靭であり、 割れにくく、 反りが少なく、 収 縮率が小さいという優れた特性を有する。 八 3系樹脂などの射出成形可能 な結晶性樹脂に対し、 このような優れた特性をもつ非晶性樹脂が含 有される ことにより、 樹脂成形体および樹脂発泡成形体の成形収縮 率が小さくなり、 例えばスクロールロータの場合、 基板および側板の反りが抑えられる。 また 、 スクロールロータの基板および側板の割れの 発生も抑えられるとともに、 機械的強度の向上も期待できる。

[0114] 非晶性樹脂として、 例えば、 アクリロニトリル ·ブタジエン ·スチレン ( 八巳3) 樹脂、 ポリスチレン ( ) 樹脂、 ポリカーボネート ( 〇 樹脂 、 ポリメチルメタクリレート (P M M A) 樹脂、 ポリフエニレンエーテル/ \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

25 ポリフエニレンオキシド ( 巳/ 〇) 樹脂、 ポリスルホン ( ) 樹脂、 巳 樹脂、 ポリフエニルスルホン ( II) 樹脂、 巳 丨樹脂' 八 丨樹脂などが挙げられる。 これらの中でも、 日/ 〇樹脂を用い ることが好ましい。

[0115] 巳樹脂は、 非晶性樹脂のエンジニアリングプラスチック であり、 軟化 点が高く、 機械的特性、 低い吸水性、 寸法安定性に優れている。 巳樹脂 としては、 種々の樹脂が用いられるが、 例えば、 下記式 (1 3) に示される 2 , 6 —ジ置換フエノールの単独重合体、 2, 6 —ジ置換フエノールと多価 フエノールとの酸化共重合体などが用いられ 、 通常、 分子量が 2 0 0 0以上 、 好ましくは 1 0 0 0 0〜 3 5 0 0 0の樹脂が用いられる。 なお、 ここでい う分子量は数平均分子量である。

[0116] [化 6]

[0117] 式中、 [¾ ,、 水素、 ハロゲン、 炭素数 4以下のアルキル、 ハロアル キル、 アルコキシ、 または炭素数 9以下のアリル誘導体、 アラルキル基を示 す。

[0118] 巳樹脂は、 フエノール' 2, 6 —ジメチルフエノール、 2, 6 —ジエ チルフエノール、 2 , 6 —ジイソプロピルフエノール、 2 —メチルー 6 —メ トキシフエノールなどのフエノール類を、 金属/アミン、 金属キレート/塩 基性有機化合物などの共触媒下に酸素と反応 させ、 脱水反応により得られる ものであるが、 上記の条件を満たす樹脂であれば、 いずれの製造方法による ものであってもよい。 具体的には、 2 , 6 -ジメチルフエニレンオキサイド 重合体、 2, 6 -ジメチルフエノールービスフエノール八共 合体、 2, 6 ージエチルフエニレンオキサイド重合体など が用いられて生成される。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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[0119] 日樹脂として、 特に、 変性ポリフエニレンエーテル/変性ポリフエ レンオキシド (巾一 巳/ |71 — 〇) 樹脂を用いることが好ましい。 - 巳樹脂は、 芳香族ポリエーテル構造を有するポリフエニ レンエーテル を主成分とした射出成形可能な熱可塑性樹脂 である。 一 巳樹脂は、 例 えば、 耐衝撃性ポリスチレン樹脂、 樹脂などの他の合成樹脂とアロイ 化されたポリマーアロイである。 171 — 巳樹脂は、 引張強さ、 降伏強さ、 弾性率などの機械的性質に優れ、 耐衝撃性にも優れ、 伸びが大きく、 粘り強 い特性を有しており、 さらに温度や湿度の変化に影響されにくい特 性を有し ている。 また、 吸水性が低く、 加水分解も起きにくいものとされている。 さ らに、 成形収縮率が小さいので、 樹脂成形体および樹脂発泡成形体に 「ひけ 」 が生じにくく、 寸法精度に優れる。

[0120] 卩日樹脂などの非晶性樹脂の含有量は、 特に限定されないが、 樹脂組成 物全体積に対して 5体積%〜 2 0体積%含まれることが好ましい。 非晶性樹 脂の含有量が 5体積%未満の場合、 寸法精度が低下するおそれがある。 一方 、 非晶性樹脂の含有量が 2 0体積%を超える場合、 ベース樹脂である結晶性 の熱可塑性樹脂の優れた各種特性が発揮され にくくなるおそれがある。 非晶 性樹脂の含有量を 5体積%〜 2 0体積%とすることで、 優れた成形精度を有 するとともに、 結晶性樹脂のもつ優れた各種特性を発揮させ ることができる 。 なお、 卩 系樹脂などの結晶性樹脂に、 例えば 巳樹脂などの非晶性 樹脂が所定量配合されてポリマーブレンド化 された樹脂は、 結晶性樹脂が 「 海」 状とされ、 非晶性樹脂が 「島」 状とされた、 いわゆる海島構造となって いる。

[0121 ] また、 本発明に用いる樹脂組成物には、 無機充填材として、 粒状無機物お よび繊維状無機物が含まれている。 粒状無機物および繊維状無機物を用いる ことにより、 スクロールロータなどに要求される寸法精度 と機械的強度との 両立が可能となる。 粒状無機物は、 主に寸法精度の向上に寄与し、 繊維状無 機物は、 主に機械的強度の向上に寄与する。

[0122] 本発明に用いる粒状無機物は、 球状、 不定形の粒状、 板状、 扁平状、 鱗片 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

27 状などの非繊維状の充填材である。 このような形態であれば、 射出成形体に おいて粒状無機物による異方性が発現されに くくなる。 粒状無機物として、 例えば、 珪藻土、 ガラスフレーク、 ガラスビーズ、 ガラスバルーン、 シリカ バルーン、 球状黒鉛、 フッ化黒鉛、 グラフアイト、 球状セラミック、 アルミ ナ、 カオリン、 タルク、 クレー、 マイカ、 シリカ、 酸化マグネシウム、 硫酸 カルシウム、 酸化カルシウム、 水酸化カルシウム、 炭酸カルシウムなどの粉 末状のカルシウム化合物などが挙げられる。 また、 粒状無機物としては、 1 種単独の粒状無機物ばかりでなく、 複数種の粒状無機物を混合して使用する こともできる。

[0123] 上述の粒状無機物の中でも、 ガラスフレーク、 アルミナ、 タルク、 クレー 、 マイカ、 シリカ、 酸化マグネシウム、 炭酸カルシウムは、 比較的低価格で あるため好ましい。 さらに、 これらの中でも炭酸カルシウムがより好まし い 。 炭酸カルシウムは、 で表され、 その形状は例えば不安定とされる 異形状であるので、 射出成形時において溶融した樹脂組成物の流 動方向にほ ぼ関係なく、 異方性が発現しにくい補強用の無機充填材と して機能する。 ま た、 炭酸カルシウムは、 水に溶けにくい性質を有し、 例えば樹脂組成物の吸 水性を低く抑える役割も果す。

[0124] 粒状無機物の平均粒径は、 下限が〇. 5 以上、 好ましくは 1 从 以上 、 より好ましくは 3 以上、 さらに好ましくは 5 〇1以上であり、 上限が 1 〇〇 以下、 好ましくは 8 0 以下、 より好ましくは 5 0 以下、 さらに好ましくは 3 0 以下である。 平均粒径が所定の平均粒径 (例えば 〇. 5 ) 未満の場合は、 粒子間の凝集が起こり、 均一分散が困難となる おそれがある。 また、 平均粒径が所定の平均粒径 (例えば 1 〇〇 ) を超 える場合は、 表面平滑性が悪くなるおそれがある。 ここで、 平均粒径は、 レ —ザー回折 ·散乱法により測定して得られる体積平均粒 径 (1\/1 ) である

[0125] 本発明に用いる繊維状無機物として、 例えば、 ケイ酸カルシウムウィスカ 、 炭酸カルシウムウィスカ、 硫酸カルシウムウィスカ、 硫酸マグネシウムウ \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

28 ィスカ、 硝酸マグネシウムウィスカ、 チタン酸カリウムウィスカ、 酸化チタ ンウィスカ、 酸化亜鉛ウィスカ、 ホウ酸アルミニウムウィスカ、 シリコーン 力ーバイドウィスカ、 サファイアウィスカ、 ウォラストナイトウィスカ、 グ ラファイトウィスカなどのウィスカ、 ウォラストナイ ト、 炭化珪素繊維、 バ サルト繊維、 グラファイ ト繊維、 炭素繊維、 ガラス繊維、 タングステン心線 または炭素繊維などにボロン、 炭化ケイ素などを蒸着したいわゆるボロン繊 維、 炭化ケイ素繊維、 チラノ繊維などの複合繊維などが挙げられる 。 上記炭 素繊維として、 例えば、 ピッチ系、 ポリアクリロニトリル系 ( 八1\1系) 、 力ーボン質、 グラファイト質、 レーヨン系、 リグニンーポバール系混合物な ど原料の種類によらない炭素繊維を使用でき る。 また、 繊維状無機物として は、 1種単独の繊維状無機物ばかりでなく、 複数種の繊維状無機物を混合し て使用することもできる。

[0126] 上述の繊維状無機物の中でも、 八 系炭素繊維、 ピッチ系炭素繊維など の炭素繊維、 ガラス繊維は、 比較的低価格であるため好ましい。 粒状無機物 として、 タルク、 クレー、 マイカ、 ガラスフレーク、 酸化マグネシウム、 ア ルミナ、 シリカ、 および炭酸カルシウムの中から少なくとも 1つを選択し、 かつ、 繊維状無機物として、 系炭素繊維、 ピッチ系炭素繊維、 および ガラス繊維の中から少なくとも 1つを選択することにより、 樹脂成形体およ び樹脂発泡成形体の価格を低く抑えることが できる。

[0127] 繊維状無機物の平均繊維長は、 下限は 1 0 以上、 好ましくは 2 0 以上、 より好ましくは 3 0 以上であり、 繊維状無機物の種類によっては 4 〇 171以上、 さらには 5 0 111以上である。 上限は 3 171171以下、 実質的に は 2 |11 以下、 より実質的には 1 以下であり、 繊維状無機物の種類によ っては 7 0 0 以下、 さらには 3 0〇 以下である。 なお、 本発明にお いて、 平均繊維長は数平均繊維長であり、 概ねカット長さに相当する。 平均 繊維長は、 例えば、 光学顕微鏡の観察で得られる画像に対して、 繊維長を測 定する対象の繊維状無機物をランダムに抽出 してその長辺を測定し、 得られ た測定値に基づいて得られる。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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[0128] 繊維状無機物の平均繊維径は、 下限は 5 以上、 好ましくは 6 〇!以上 であり、 上限は 2 5 以下、 好ましくは 1 5 以下、 より好ましくは 1 3 以下である。 なお、 平均繊維径は、 本分野において通常使用される電 子顕微鏡や原子間力顕微鏡などにより測定さ れる。 平均繊維径は、 上記測定 に基づき数平均繊維径として算出できる。

[0129] 繊維状無機物の平均繊維長が所定値 (例えば 1 〇 ) 未満であったり、 平均繊維径が所定値 (例えば 5 171) 未満であったりすると、 樹脂組成物に 必要とされる機械的強度が期待できないおそ れがある。 一方、 繊維状無機物 の平均繊維長が所定値 (例えば ) を超えたり、 平均繊維径が所定値 ( 例えば ら ) を超えたりすると、 樹脂と混合する際に均一に分散させる ことが困難になるおそれがあり、 ひいては射出成形に悪影響を及ぼすおそれ がある。

[0130] 繊維状無機物の平均アスペクト比は、 下限は 2以上、 好ましくは 3以上、 より好ましくは 4以上であり、 状無機物の種類によっては 5以上、 さら には 6以上である。 上限は 1 0 0 0以下、 実質的には 7 0 0以下、 より実質 的には 5 0 0以下、 繊維状無機物の種類によっては 3 0 0以下、 さらには 5 0以下である。 平均アスペクト比が所定値 (例えば 2) 未満の場合、 マトリ ックス自体の補強効果が損なわれて機械的特 性が低下するおそれがある。 平 均アスペクト比が所定値 (例えば 1 〇〇〇) を超える場合には、 混合時の均 —分散が困難となりやすく、 品質低下を招くおそれがある。

[0131 ] なお、 「平均アスペクト比」 とは、 「平均繊維長/平均繊維径」 を意味し 、 詳しくは 「平均繊維長」 を 「平均繊維径」 で除した値である。

[0132] 繊維状無機物として、 より好ましくはガラス繊維が用いられている 。 例え ば' ガラス繊維は、 I 0 2 、 巳 2 3 、 八 I 2 3 、 C a〇. 1\/1 9 〇、 N 3 2 0 、 < 2 0、 6 2 0 3 などを主成分とする無機ガラスから得ら れるものであり、 一般に無アルカリガラス (巳ガラス) が用いられて形成されているが、 例え ば含アルカリガラス (〇ガラス、 八ガラス、 ロガラス) などが用いられて形 成もされている。 ガラス繊維の引張り強さは、 ほぼ 2 5 0 01\/1 & 〜 5 0 0 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

30 とされ、 ガラス繊維の弾性率は、 ほぼ 7 0 0 3〜 9 0 0 3とさ れており、 価格も低く抑えられている。 そのため、 繊維状無機物としてガラ ス繊維が用いられることにより、 要求される強度を確保させつつ、 価格を低 く抑えた樹脂成形体および樹脂発泡成形体を 形成させることが可能となる。

[0133] また、 ガラス繊維として、 無アルカリガラス繊維を用いてもよい。 無アル カリガラスは、 例えば 丨 0 2 がほぼ 5 2〜 5 6質量%、 巳 2 3 がほぼ 8〜 1 3質量%、 八 I 2 0 3 がほぼ1 2〜 1 6質量%' 〇3〇がほぼ1 5〜 2 5質量 %を含有し、 これら以外に 1\/1 9 0がほぼ 6質量%以下、 N 3 2 0および/また は 1< 2 〇がほぼ 1質量%以下など、 これらのうち、 いずれか 1種以上を含有し ているものであってもよい。 無アルカリガラスは、 組成物中にアルカリ成分 がほとんど含まれていないホウケイ酸ガラス である。 このように、 無アルカ リガラスは、 アルカリ成分がほとんど入っていないので、 樹脂への影響がほ とんどなく、 樹脂の特性がほぼ変化しないことから、 優れた補強材とされて いる。 また、 無アルカリガラス繊維の引張り強さは、 平均してほぼ 3 5 0 0 IV! 3とされている。 また、 無アルカリガラス繊維の弾性率は、 平均してほ ぼ 7 2〇 3〜 7 7 6 3とされている。 さらに、 無アルカリガラス繊維は 、 価格も低く抑えられている。 これらの点から、 無アルカリガラスは、 樹脂 への安定性、 引張り強さ、 弾性率、 量産性に優れた低価格などの点で総合的 に優れたものである。

[0134] 本発明の樹脂成形体に用いる樹脂組成物は、 粒状無機物および繊維状無機 物の合計体積が、 樹脂組成物全体積の 3 0体積%〜 7 0体積%である。 所定 量の粒状無機物と繊維状無機物を含む樹脂組 成物の射出成形体であるので、 射出成形による大量生産を可能としながらも 、 寸法精度と機械的強度の調整 が可能となる。 特に、 本発明に用いる樹脂組成物では、 樹脂組成物全体積に 対して、 粒状無機物を 2 0体積%〜 4 0体積%含み、 かつ、 繊維状無機物を 1 0体積%〜 3 0体積%含む組成物とすることが好ましい。 粒状無機物と繊 維状無機物のそれぞれの含有割合を上記範囲 とすることで、 樹脂成形体にお いて要求される寸法精度と機械的強度を確保 しやすくなる。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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[0135] 粒状無機物が 2 0体積%未満の場合、 寸法精度の確保が難しくなるおそれ がある。 粒状無機物は、 主に樹脂成形体の寸法精度の向上に寄与して おり、 機械的強度の向上への寄与度は比較的低い。 そのため、 粒状無機物が多量に 含まれていても、 機械的強度の向上はそれほど期待できず、 粒状無機物が多 量とならないように上限 (4 0体積%以下) を設けることが好ましい。

[0136] 繊維状無機物が 1 〇体積%未満の場合、 機械的強度の確保が難しくなるお それがある。 繊維状無機物が 3 0体積%を超える場合、 寸法精度の確保が難 しくなるおそれがある。 繊維状無機物は、 主に樹脂成形体の機械的強度の向 上に寄与している。 その一方で、 繊維状無機物は多量に含まれると、 その繊 維配向性から異方性が発現されやすくなるた め、 所定以下とすることが好ま しい。

[0137] また、 樹脂組成物において、 繊維状無機物が占める体積%よりも、 粒状無 機物が占める体積%の方が多いことが好まし い。 これにより、 寸法精度を重 視させつつ、 機械的強度も確保された樹脂成形体となる。

[0138] 本発明の樹脂発泡成形体に用いる樹脂組成物 は、 粒状無機物および繊維状 無機物の合計体積が、 樹脂組成物全体積の 3 0体積%〜 7 0体積%であり、 かつ、 粒状無機物の含有割合が繊維状無機物の含有 割合よりも多い組成物で あることが好ましい。 このように、 粒状無機物と繊維状無機物の配合量を定 めることにより、 スクロールロータなどに要求される寸法精度 を確保しつつ 、 機械的強度も確保することができる。

[0139] 粒状無機物および繊維状無機物が 3 0体積%未満の場合、 樹脂発泡成形体 として要求される寸法精度が低下するととも に機械的強度も低下するおそれ がある。 粒状無機物および繊維状無機物が 7 0体積%を超える場合、 相対的 に樹脂の成分が少なくなり、 樹脂発泡成形体を要求通りの形状に射出成形 す ることが困難となるおそれがある。

[0140] また、 樹脂組成物において、 繊維状無機物が占める体積%よりも、 粒状無 機物が占める体積%の方を多くすることによ り、 寸法精度を重視させつつ、 機械的強度も確保された樹脂発泡成形体とな る。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

32

[0141 ] 樹脂発泡成形体の寸法精度および機械的強度 の観点から、 粒状無機物と繊 維状無機物の配合量は、 樹脂組成物全体積に対して、 粒状無機物が 2 0体積 %〜 4 0体積%であり、 かつ、 繊維状無機物が 1 0体積%〜 3 0体積%であ ることが好ましい。

[0142] なお、 本発明に用いる樹脂組成物には、 発明の目的を阻害しない配合量で 各種の添加剤を混合させることができる。 混合可能な各種の添加剤として、 例えば、 離型剤、 滑剤、 熱安定剤、 酸化防止剤、 紫外線吸収剤、 結晶核剤、 防鲭剤、 イオントラップ剤、 難燃剤、 難燃助剤、 染料 ·顔料などの着色剤、 帯電防止剤などの 1種以上のものが挙げられる。

[0143] このような樹脂組成物を用いて、 例えばスクロールロータが成形されるこ とにより、 単に一般的な樹脂を用いて射出成形した場合 よりも寸法精度を向 上させたスクロールロータの提供が可能とな る。 また、 ベース樹脂として熱 可塑性樹脂を用いることで、 大量生産性に適している射出成形法によって ス クロールロータが作製できることから、 スクロールロータの単価が下がり、 低価格化を図ることができる。 また、 金属製スクロールロータよりも樹脂製 スクロールロータの方が、 例えば、 金属音などの高音の発生が抑えられるの で、 スクロール型圧縮機の異音発生防止にも貢献 できる。

[0144] ここで、 図 6を参照して本発明の樹脂発泡成形体の断面 構造について説 明する。 図 6は、 スクロールロータの基板の断面の顕微鏡写真 (倍率 1 2 0 倍) である。 図 6に示すように、 スクロールロータ 1 1は、 内部に気泡 1 8 を有する発泡層 1 7と、 発泡層 1 7の表面に形成されたスキン層 1 6とを有 する。 気泡 1 8は、 樹脂発泡成形体を射出成形する際に、 溶融樹脂に注入さ れた流体によって生じた多数の泡の痕である 。

[0145] 図 6において、 発泡層 1 7におけるほぼ黒色の無数の小さい斑点は、 気泡 1 8を示し、 発泡層 1 7およびスキン層 1 6におけるほぼ淡い灰色の無数の 小さい斑点は、 粒状無機物である炭酸カルシウム 1 9を示し、 発泡層 1 7お よびスキン層 1 6におけるほぼ淡い灰色の細長いものは、 繊維状無機物であ るガラス繊維 2 0を示している。 また、 発泡層 1 7およびスキン層 1 6の残 \¥02021/124909 2020 /045067

33 リの濃い灰色の部分は、 樹脂などの結晶性樹脂に、 例えば - P P E 樹脂などの非晶性樹脂が配合された樹脂を示 す。

[0146] 本発明の樹脂発泡成形体は、 図 6に示すように、 発泡層 1 7の表面がスキ ン層 1 6で覆われている。 スキン層 1 6は、 スクロールロータ 1 1の各部の 厚さ方向において発泡層 1 7の両面に形成されている。 本発明において、 ス キン層とは気泡を持たない層、 すなわち樹脂組成物によリ形成される層のう ち未発泡部分である。 キャビティ内に射出された溶融樹脂は成形金 型によっ て冷却されることから、 発泡層 1 7が形成される中央部分の溶融樹脂よりも 成形金型に近い部分の溶融樹脂の方が速く固 化する。 この速く固化した溶融 樹脂によってスキン層 1 6が形成される。 発泡層とはその断面を顕微鏡観察 した場合に、 通常、 直径が 2 以上の気泡を有する層である。

[0147] 図 6では、 発泡層 1 7とスキン層 1 6の境界面巳卩を 2点鎖線で示してい る。 図 6に示すように、 発泡層 1 7とスキン層 1 6の境界面巳卩は、 スクロ —ルロータ 1 1の端面 (つまりスキン層 1 6の端面) と略平行な面で構成さ れる。 境界面巳 は、 断面を走査型電子顕微鏡 (3巳1\/1) で判別することが できる。

[0148] 続いて、 図 7〜図 9には、 発泡層の顕微鏡写真 (倍率 1 ◦〇〇倍). を示す 。 図 7は、 発泡率〇. 1質量%の条件下の微細発泡法に基づいて射 成形さ れたスクロールロータの発泡層であり、 図 8は発泡率〇. 2質量%の場合の 発泡層であり、 図 9は発泡率〇. 3質量%の場合の発泡層である。

[0149] ここで、 微細発泡法における発泡率について説明する と、 スクロールロー 夕の成形に用いる樹脂組成物を 1 〇〇質量%と定めた場合に、 その樹脂組成 物に対する、 窒素、 二酸化炭素などの液体、 気体、 ガスの超臨界流体などの 流体の含有率 (質量%) である。 例えば、 樹脂発泡成形体の発泡率は、 下記 の式で算出できる。 発泡率 (質量%) = (超臨界流体の注入質量/樹脂組成物の質量 X 1 〇〇 この場合、 例えば、 成形金型内におけるスクロールロータ、 スプルー、 ラ ンナーなどの成形に使用される樹脂発泡成形 体一式の発泡率を含んでいても \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

34 よい 0

[0150] 図 7〜図 9において、 ほぼ黒色の無数の小さい斑点は、 気泡 1 8を示し、 ほぼ淡い灰色の無数の小さい斑点は、 炭酸カルシウム 1 9を示し、 炭酸カル シウム 1 9の粒径 (例えば 5 〜 3 0 ) よりもはるかに小さい径 (例 えば〇. 1 ~ 5 ) のほぼ淡い灰色をした無数の小さい斑点は、 一 日樹脂などの非晶性樹脂 2 1を示し、 残りの濃い灰色の部分は、 卩 樹脂などの結晶性樹脂を示す。 樹脂などの結晶性樹脂に、 卩巳など の非晶性樹脂が配合されてポリマーブレンド 化された樹脂は、 図 7〜図 9に 示す通り、 海島構造の樹脂となっている。 この判別方法については、 発泡層 1 7、 スキン層ともに同様である。

[0151 ] 続いて、 樹脂発泡成形体であるスクロールロータの各 部の厚さと各層の関 係について説明する。 図 1 0にはスクロールロータの断面図の部分拡大 を 示す。 なお、 図 1 0では、 断面部分のハッチングを省略しており、 スキン層 1 6と発泡層 1 7の境界面日 を点線で示している。 図 1 0に示すように、 スクロールロータ 1 1の表面はスキン層 1 6で覆われており、 内部は発泡層 1 7が占めている。 つまり、 発泡層 1 7はスクロールロータ 1 1の表面に露 出していない。

[0152] 本発明において、 スクロールロータ 1 1の基板 1 2の厚さ丁 2 は、 内側面 1 2 3 および外側面 1 2 13間の距離であり、 基板 1 2の厚さ方向はスクロール ロータ 1 1の軸方向と平行である。 この厚さ丁 2 は、 例えば、 下限は 1 . 5〇1 111以上、 強度の点から好ましくは 2 171 171以上であり、 上限は 5 111以下、 小 型化の点から好ましくは 3 以下である。 また、 スクロールロータ 1 1の 側板 1 3の厚さ丁 3 ば、 内周面 1 3 13および外周面 1 3 ¢:間の距離であり、 側 板 1 3の厚さ方向はスクロールロータ 1 1の径方向と平行である。 この厚さ 丁 3 は、 例えば、 下限は 1 . 5 以上、 強度の点から好ましくは 2 以上 であり、 上限は 以下、 小型化の点から好ましくは 3 171以下である。

[0153] 基板 1 2および側板 1 3が上記のような (例えば 1 _ 5 ^1171〜 5 171 171の) 厚さのスクロールロータ 1 1において、 スキン層 1 6の厚さ丁 3 は、 例えば 0 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

35

. 好ましくは〇. 2(11 ^1〜〇. 9 171111であり、 より 好ましくは〇. 4〇!〇!〜0. 7 |71 である。 残りの部分の厚さが、 発泡層 1 7の厚さ である。 スキン層 1 6の厚さ丁 3 は、 スクロールロータ 1 1の各 端面 (内側面 1 2 3、 外側面 1 2匕、 内周面 1 3 13、 または外周面 1 3〇) から境界面巳 までの間隔である。 発泡層 1 7の厚さ丁 6 は、 一方側の境界面 巳 から他方側の境界面日 までの間隔である。 各厚さ 1\、 は、 3巳1\/1 などによって測定される。

[0154] なお、 と側板 1 3におけるスキン 層 1 6の厚さ丁 3 は、 互いに同じでも異なっていてもよい。 同様に、 基板 1 2 における発泡層 1 7の厚さ丁 ^と側板 1 3における発泡層 1 7の厚さ丁 は、 互いに同じでも異なっていてもよい。

[0155] 基板 1 2の厚さ丁 2 と、 発泡層 の関係について説明する。 発 泡層 1 7の厚さ丁 ^は、 基板 1 2の厚さ丁 2 の 3 0 %〜 6 0 %の厚さであるこ とが好ましい。 この数値範囲とすることで、 寸法精度よく、 また効率的にス クロールロータを形成できる。 なお、 この数値範囲は、 例えば、 超臨界微泡 法に基づいて射出成形する際に、 超臨界発生装置などによって、 窒素、 二酸 化炭素などの液体、 気体、 ガスの超臨界流体などの流体の充填量を調整 する ことにより達成できる。

[0156] 基板 1 2の厚さ丁 2 に対する発泡層 1 7の厚さ丁 bが 3 0 %未満の場合、 基 板 1 2の内部に形成される気泡の数が少なくなり その結果、 成形金型内や 成形金型から取り出された後の、 樹脂の収縮や 「ひけ」 を抑えることが困難 になるおそれがある。 一方、 上記比率が 6 0 %を超える場合、 スクロールロ 一夕の表面にも気泡が生じる可能性が高くな る。 気泡が表面に生じた樹脂発 泡成形体は不良品として取り扱われる場合が ある。 そのため、 スクロールロ — 夕の歩留り率が低下し、 スクロールロータの価格を低く抑えることが 困難 になるおそれがある。

[0157] 次に、 基板 1 2の厚さ丁 2 とスキン層 1 6の厚さ の関係について説明す る。 スキン層 1 6は、 樹脂発泡成形体であるスクロールロータ 1 1の基板 1 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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2および側板 1 3の全周に形成される。

[0158] スキン層 1 6の厚さ丁 3 は、 基板 1 2の厚さ丁 2 の 2 0 %〜 3 5 %であるこ とが好ましい。 この数値範囲とすることで、 寸法精度よく、 また効率的にス クロールロータを形成できる。 なお、 この数値範囲は、 例えば、 超臨界発泡 法に基づいて射出成形する際に、 超臨界発生装置などによって、 窒素、 二酸 化炭素などの液体、 気体、 ガスの超臨界流体などの流体の充填量を調整 する ことにより達成できる。

[0159] 基板 1 2の厚さ丁 2 に対するスキン層 1 6の厚さ丁 3 が 2 0 %未満の場合、 スクロールロータの表面にも気泡が生じる可 能性が高くなる。 そのため、 上 述のように、 スクロールロータの価格を低く抑えることが 困難になるおそれ がある。 一方、 上記比率が 3 5 %を超える場合、 基板 1 2の内部に形成され る気泡の数が少なくなり、 樹脂の収縮や 「ひけ」 を抑えることが困難になる おそれがある。

[0160] なお、 スキン層 1 6の厚さ丁 3 については、 スクロールロータ 1 1の基板 1 2の片側の厚さとして説明したが、 両側のスキン層 1 6の合計の厚さは、 基 板 1 2の厚さ丁 2 の 4 0 %〜 7 0 %であることが好ましい。

[0161 ] 上記では、 発泡層 およびスキン層 1 6の厚さ丁 3 と、 基板 1 2の厚さ丁 2 との関係について説明したが、 発泡層 およびスキ ン層 1 6の厚さ丁 3 と、 側板 1 3の厚さ丁 3 との関係についても同様である。

[0162] 図 1 0では、 スキン層 1 6の厚さ丁 3 は、 各部位において略同一となってい るが、 スキン層 1 6の厚さ が、 部位によって異なるように形成されてもよ い。 例えば、 基板 1 2の厚さ丁 2 において、 内側面 1 2 3側のスキン層が、 外 側面 1 2 13側のスキン層よりも厚く形成されてもよい また、 側板 1 3の厚 さ丁 3 において、 内周面 1 3 13側のスキン層が、 外周面 1 3〇側のスキン層よ りも厚く形成されてもよい。

[0163] 微細発泡法に基づいて射出成形する際に、 超臨界発生装置などによって、 気泡の発生源となる液体または気体の充填量 や発泡率を調整することにより 、 気泡の大きさを調整することができる。 図 7〜図 9に示すように、 気泡 1 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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8の断面形状は、 略円形状から複雑な異形状まで様々である。 発泡層 1 7に おける気泡 1 8の直径 (略円形状の場合は直径、 異形状の場合は最大径) は 1 0 0 以下であることが好ましい。 気泡の発生源となる液体または気体 の充填量を増やすなどして気泡の直径が 1 〇〇 を超えると、 基板や側板 の 表面にも気泡が生じ、 外観性を損なうおそれがある。 気泡 1 8の直径は、 好ましくは 9 0 171以下であり、 より好ましくは 8〇从巾以下、 さらに好ま しくは 5〇 以下であり、 適宜、 気泡生成装置などを調整することによっ て行う。

[0164] 例えば、 図 7で示した発泡率〇. 1質量%の場合の発泡層 1 7の気泡 1 8 の直径は、 5 0 以下であり、 略円形状の気泡で言えば、 その直径は 2 111 ~ 2 0 171である。 また、 図 8で示した発泡率〇. 2質量%の場合の発泡 層 1 7の気泡 1 8の直径、 および、 図 9で示した発泡率〇. 3質量%の場合 の発泡層 1 7の気泡 1 8の直径についても同様である。 このように、 発泡率 0. 3質量%以下の条件下の微細発泡法を適用し 場合には、 発泡層 1 7の 気泡 1 8の直径に、 大きな差異は見られないことが分かる。 発泡率は、 0質 量%超えであり、 好ましくは〇. 0 5質量%以上であり、 より好ましくは 0 . 1質量%以上である。 また、 発泡率の上限は、 好ましくは〇. 5質量%未 満であり、 より好ましくは〇. 4質量%未満である。 具体的な数値範囲とし て、 発泡率は〇. 1質量%〜〇. 3質量%であることがより好ましい。

[0165] 本発明の樹脂成形体は、 射出成形機を用いて射出成形によって成形さ れる 。 上述した樹脂組成物を構成する各材料を、 必要に応じて、 ヘンシェルミキ サー、 ボールミキサー、 リボンブレンダーなどにて混合した後、 二軸混練押 出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、 成形用ペレツトを得ることがで きる。 なお、 充填材の投入は、 二軸押出し機などで溶融混練する際にサイド フイードを採用してもよい。 この成形用ペレツトを用いて射出成形により ス クロールロータなどの樹脂成形体を成形する 。

[0166] 射出成形の成形条件は、 特に限定されないが、 例えば、 シリンダ温度 2 9 〇〜 3 3 0 °〇、 金型温度 1 4 0〜 1 6 0 °〇、 射出圧力 射出速 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

38 度 5 0〇1(71/ 3 6 £:、 保圧力 3 0 ~ 1 2 0 1\/1 3、 保持時間 3 £ 6 0 , 冷却 時間 1 5〜 2 5 5 6 0:である。

[0167] また、 本発明の樹脂発泡成形体は、 上記で得られた成形用ペレツトを用い て、 微細発泡法に基づく射出成形によって得るこ とができる。 具体的には、 超臨界発生装置を搭載した射出成形機を用い て行われる。 成形用ペレツトを シリンダ内で溶融させつつ、 超臨界流体を、 上述した発泡率および所定の充 填圧力/充填量 (例えば窒素) の条件で混入させる。 超臨界流体を混入して 得られた溶融樹脂は、 上述したような射出条件下でキャビティ内に 充填され る

[0168] また、 本発明は、 上述した樹脂組成物を超臨界状態の不活性ガ スおよび/ または化学発泡剤とともに混錬する混錬工程 と、 混錬してなる溶融樹脂を、 成形金型で形成されたキャビティ内に射出充 填する射出充填工程とを備え、 発泡層がスキン層で覆われた樹脂発泡成形体 を形成する方法であり、 上記混 錬工程が、 上記射出充填に使用する上記樹脂組成物全量 に対して、 〇· 5質 量%未満の超臨界状態の不活性ガスおよび/ たは化学発泡剤を混錬するエ 程である。 より好ましくは、 上記混錬工程が、 上記射出充填に使用する上記 樹脂組成物全量に対して、 〇. 1質量%〜〇. 3質量%の超臨界状態の不活 性ガスを混錬する工程である。

[0169] 図 4は、 スクロールロータの第二実施形態を示す底面 図である。 なお、 図 1〜図 3に示すスクロールロータの第一実施形態と じものについては、 同 一の符号を付しその詳細な説明を省略した。

[0170] 基板 2の側板 3が設けられた側とは反対側の面に、 基板 2に形成されるウ エルドラインを回避した複数の凹部 2于が設けられている。 凹部 2 1=は、 基 板 2の円周方向に略等間隔で設けられている。 この凹部 2ザにより、 ウエル ドラインによる基板 2の寸法精度が低下するということは回避さ 、 基板 2 の寸法精度が一層向上する。

[0171 ] 基板 2の側板 3が設けられた側とは反対側の面に、 肉ぬすみ部 2 6が設け られている。 また、 樹脂成形体 (または樹脂発泡成形体) が射出金型から取 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

39 り出されるときに用いられる突出しピンの跡 2 9、 2 ^1が、 肉ぬすみ部 2 6 に形成されている。 突出しピンの跡 2 9、 2 11は、 基板 2の内側から外側に 向けて複数設けられ、 かつ、 基板 2の円周方向に複数設けられている。 突出 / しピンの跡がこのような配置となることで、 成形時において射出金型から樹 脂成形体が取り出されるときに、 樹脂成形体に無理な力がかかって樹脂成形 体が変形するという不具合の発生は回避され 、 樹脂成形体は、 金型から精度 よく取り出される。

[0172] 続いて、 図 1 1には、 チップシールの斜視図を示し、 図 1 2には、 スクロ —ルロータにチップシールを取り^·けた状態 の斜視図を示す。

[0173] 図 1 1に示すように、 チップシール 2 2は、 断面が略矩形状の長尺部材を 渦巻に巻いたような渦巻き形状を有する。 チップシール 2 2は、 スクロール 型圧縮機において、 相手側口ータの基板と摺動しながら圧縮室の シール性を 維持するためのシール部材である。 このチップシール 2 2は、 樹脂製であり 、 例えば、 ポリテトラフルオロエチレン ( 丁 巳) 樹脂などのフッ素系樹 脂などの結晶性樹脂で形成される。 フッ素系樹脂を用いることで摺動特性に 優れる。 チップシール 2 2は、 図 1 2に示すように、 取付溝 4に装着される

[0174] 本発明のスクロールロータは、 流体を圧縮または圧送させるスクロールロ —夕と して使用される。 この流体としては、 冷凍機油、 潤滑油などの油や、 空気、 冷媒などが使用される。 例えば、 冷暖房設備機、 空気調和設備機、 空 気調和機用いわゆるエア ·コンディシヨナ用、 冷凍/冷蔵シヨーケース、 冷 蔵庫、 冷凍機などの冷凍サイクル用などのスクロー ル型圧縮機や、 空気を圧 送するスクロール型圧送機などに使用可能で ある。 なお、 冷凍サイクルとは 、 冷凍機油/潤滑油共存下において、 冷媒が圧縮、 凝縮、 膨張、 蒸発を繰り 返し、 熱の移動を行う系をいう。

[0175] 図 1 3は、 一対のスクロールロータが組み付けられたス クロール型圧縮機 の圧縮機構部の要部を示す縦断面図である。 図 1 3において、 スクロール型 圧縮機の一対のスクロールロータ 1、 2 5は、 例えば、 スクロールロータ 1 \¥02021/124909 2020 /045067

40 が樹脂製の可動側スクロールロータであり' スクロールロータ 2 5がアルミ ニウム製の固定側スクロールロータである。 この場合、 樹脂製の可動側スク 口ールロータ (スクロールロータ 1) が本発明のスクロールロータとなる。

[0176] スクロール型圧縮機においては、 圧縮流体が両スクロールロータ 1、 2 5 の側板 3、 2 7の隙間から漏れ出さないように、 スクロールロータ 2 5の側 板 2 7とスクロールロータ 1の側板 3とが近接する両側板 3、 2 7の隙間は 、 高い寸法精度で管理されている。

[0177] また、 圧縮流体が、 スクロールロータ 1の側板 3とスクロールロータ 2 5 の基板 2 6との隙間から漏れ出さないように、 スクロールロータ 1の側板 3 の取付溝 4には、 スクロールロータ 2 5の基板 2 6と摺動しつつシール性を 保つチップシール 2 2が装着されている。 また、 圧縮流体が、 スクロールロ —夕 2 5の側板 2 7と、 スクロールロータ 1の基板 2との隙間から漏れ出さ ないように、 スクロールロータ 2 5の側板 2 7の取付溝 2 8には、 スクロー ルロータ 1の基板 2と摺動しつつシール性を保つチップシール 2 2が装備さ れている。

[0178] 各スクロールロータ 1、 2 5は、 側板 3、 2 7が対向するように配置され 、 各スクロールロータ 1、 2 5が相互に偏心状態でかみ合わされて、 側板 3 と側板 2 7の間に圧縮室 2 3が形成される。 スクロールロータ 1がスクロー ルロータ 2 5の軸線の周りで公転することにより、 圧縮室 2 3が渦巻き状の 外側から渦巻き状の中心側に移動して流体の 圧縮が行なわれる。 圧縮された 流体を、 スクロールロータ 2 5の略中心部に設けられる開口部 2 4から吐出 させる。

[0179] 本発明のスクロールロータは、 上述のとおり、 所定の樹脂組成物からなる 射出成形体であるか、 または、 所定の樹脂組成物からなり、 かつ微細発泡法 を適用した射出成形体であるので、 基板および側板の寸法精度に特に優れる 。 更には、 基板の外側面に放射状の複数のリブを設ける ことで、 射出成形時 の流動ムラを抑えることができ、 寸法精度を一層向上できる。 寸法精度とし て具体的には、 基板に対する側板の直角度が優れるとともに 、 基板の摺接面 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

41 に対する側板の端面の平行度が優れる。 そのため、 スクロールロータ間の漏 れを抑制でき、 流体の圧縮精度を向上させることができる。

[0180] また、 このスクロールロータをスクロール型圧縮機 やスクロール型圧送機 に用いることで、 例えば、 部品の変形や異音発生などの不具合が生じる こと なく、 良好に作動させることができる。

[0181] 本発明は、 上述した実施形態に限定されるものではなく 、 本発明の要旨を 逸脱しない範囲内で様々な変形、 応用が可能とされる。 例えば、 微細発泡法 に基づいて樹脂組成物中に気泡を形成させる 際に、 物理発泡剤に換えて化学 発泡剤を用いたり、 物理発泡剤と化学発泡剤を併用したりしても よい。 実施例

[0182] <樹脂成形体の評価> 試験例 A 1〜 A 4に用いた原材料を一括して以下に示す。 なお、 [ ] 内 は、 表 1に示す略称を示し、 表 1中の配合割合は全て体積%で示した。

( 1 — 1) ガラス繊維強化 (この樹脂組成物中において G F 30質量%/約 1 8体積%) 架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂 [P PS樹脂組成物 ( 1) ] : F Z- 1 1 30-D 5 (D I C社製、 商品名)

(1 —2) ガラス繊維強化 (この樹脂組成物中において G F 1 5質量%/約 9体積%) ポリフェニレンサルファイ ド樹脂 [P PS樹脂組成物 (2) ] : サスティール (登録商標) P — 1 3 (東ソー社製、 商品名)

(2) ポリフェニレンエーテル樹脂 [P PE樹脂] :ザイロン (登録商標) P P E P owd e r S 2 CM A (旭化成ケミカルズ社製、 商品名)

(3) 炭酸カルシウム [CaC0 3 ] : A 平均粒径 1 2 Atm (三共精粉社製 ' 品名ノ

(4) ガラス繊維 [GF] :チョップドストランド ECS03-630 カット長 3 mm (平均繊維長 3 mm) 、 平均繊維径 9 Atm、 平均アスペクト 比 333 (セントラルファイバーグラス社製、 商品名)

[0183] 上記の原材料を表 1に示すとおりに配合し、 ヘンシェルミキサーで十分に 混合した後、 二軸溶融押出し機に供給し、 ストランドダイから押出してペレ \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

42 ット状に造粒した。 次に、 射出成形機に試験例 1 ~八3のペレットを投入 した。 シリンダ内 (シリンダ温度 300〜 320°〇 で溶融した樹脂を、 金 型のキャビティ内に、 金型温度 1 50 ° 〇、 射出圧力 2001\/1 3、 射出速度

5 0 /5 6 <:、 保圧力 701\/1 3、 保持時間 冷却時間 25

6 0の射出条件で充填し、 図 1に示すスクロールロータ、 および各試験用の 樹脂成形体を得た。 なお、 試験例八 4に示す樹脂組成物を用いた場合、 樹脂 成分の配合割合が少なかったことから射出成 形することができなかった。 得 られたスクロールロータ、 および各試験用の樹脂成形体を用いて以下の 評価 試験を行なった。

[0184] ( 3 ) 線膨張係数の比 (八 /八丁〇) 上述の射出成形によって、 図 1 8に示すダンべル試験片 (多目的試験片:

」 I 《 7 1 39参照) を成形し、 精密切削加工により、 方向用と八丁 0方向用のそれぞれについて、 縦 、 横 1 001171、 厚み 411101の平板状の 線膨張係数測定用の試験片 (口 4 X I 〇 ) を切り出した。 図 1 8に示す ように、 射出ゲートのゲート位置は、 ダンべル試験片の長手方向の端部 (サ イドゲート) であり、 ゲートサイズは、 フ である 線膨張係数は、 熱機械分析装置 (丁 IV!八 ;島津製作所社製、 丁1\/1八_60 ) により測定した。 毎分 5° ◦の昇温速度で、 一 5〇 から 90 まで昇温し 、 その間の平均線膨張係数を測定した。

IV! 方向における線膨張係数八 0 を丁 方向における線膨張係数八て〇で除 して、 線膨張係数の比 (八 /八丁 0 ) を求めた。

[0185] (匕) 成形収縮率の比 (巳^/巳丁〇)

」 I 1< 7 1 39多目的ダンべル試験片用の金型 (長さ 1 7 1. 68 、 平行部幅 1 0. 091711^) を用いて、 上述の射出成形によって成形体を 得た。 射出ゲートのゲート位置は、 ダンべル試験片の長手方向の端部 (サイ ドゲート) であり、 ゲートサイズは、 7|11 である。 流動方向 IV! 0 (試験片長さ) および流動直角方向丁 0 (試験片平行部幅) に \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

43 おける成形収縮率を測定した。 測定器として、 試験片長さはノギス (読取り 精度 ± 0. 0 1 ) 、 試験片平行部幅はデジタルマイクロメータ (読取り 精度土〇. 0 0 1 (11 ) を用いて測定し、 各成形収縮率はそれぞれ、 下記式 で算出した。 成形収縮率 = [ (2 3 ± 2 での金型内の成形体の各方向の寸法一成形後 の成形体の各方向の寸法) / 2 3 ± 2 ° 〇での金型内の成形体の各方向の寸法 1 X 1 0 0

IV!口方向における成形収縮率日 M 0 を丁 0方向における成形収縮率巳了 0 で除 して、 成形収縮率の比 を求めた。

[0186] (〇) 曲げ強さ、 曲げ弾性率 八3 丁1\/1 0 7 9 0に準じた曲げ試験を実施し、 曲げ強さおよび曲げ弾性率 を測定した。

[0187] (〇〇 引張強さ 3 丁1\/1 6 3 8に準じた引張試験を実施し、 引張強さを測定した。

[0188] ) 直角度 得 られたスクロールロータについて、 基板に対する側板の直角度を三次元 測定機を用いて求めた。 直角度は、 基板の内側面 2 3 (図 3参照) を基準面 として、 側板 3の 1 1 長さあたりの直角方向の変位量で表した。 渦巻き 状の内周面 3 13と外周面 3〇の 2箇所の各変位量を求め、 平均値を表 1に示 した。

[0189] (1=) 平行度 得 られたスクロールロータについて、 基板の摺接面に対する側板の端面の 平行度を三次元測定機を用いて求めた。 平行度は、 端面 3 3 (図 3參照) に 置かれたブロックゲージに三次元測定機の測 定子を当て 8箇所の測定点を取 得したときの X値と IV!丨 门値の差で表した。 渦巻き状の 8箇所の各変位 量を求め、 平均値を表 1に示した。 \¥0 2021/124909 卩(:171? 2020 /045067

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[0190] (9) 平面度 得られたスクロールロータについて、 基板の平面度を三次元測定機を用い て求めた。 平面度は、 基板 2の外側面 2 13の外側円筒部 2〇1に三次元測定機 の測定子を当て 8箇所の測定点を取得したときの IV! X値と IV!丨 II値の差で 表した。 8箇所の各変位量を求め、 平均値を表 1に示した。

[0191 ] [表 1 ]

[0192] 表 1の試験例 1〜八 2に示すように、 ベース樹脂に粒状無機物および繊 維状無機物を所定量ずつ含む樹脂組成物の樹 脂成形体は、 一般的な組成にか かる樹脂組成物の樹脂成形体 (試験例八 3) よりも寸法精度が向上した。 表 1 に示すように、 試験例 1〜 2の樹脂成形体は、 異方性の指標となる、 線膨張係数の比 および成形収縮率の比 (巳 /巳 1 [3 ) が 0. 5〜 1の範囲内であり、 試験例八 3の樹脂成形体よりも、 直角度および平行 度が向上した。 試験例 1〜八 2の樹脂成形体は、 その成形収縮率が IV! お よび丁口ともに小さく、 かつ、 と丁口の差も小さいため、 寸法精度の向 上につながった。 また、 チップシールが装着される側板の取付溝も精 度よく 形成された。

[0193] スクロールロータの寸法精度の向上について 具体的に説明すると、 スクロ ールロータの基板に対する側板の傾き (直角方向の変位量) が減ることで、 スクロールロータの基板に対する側板の直角 度が向上した。 また、 スクロー \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

45 ルロータの基板の摺接面から側板の端面にか けて側板の幅がほぼ均一となる ことで、 スクロールロータの基板の摺接面とスクロー ルロータの側板の端面 の平行度が向上した。 このように、 寸法精度が向上されつつ、 スクロール型 圧縮機におけるスクロールロータとして必要 な機械的強度も備わったスクロ —ルロータが形成された。

[0194] <樹脂発泡成形体の評価> 上記の樹脂成形体の評価で用いた原材料を表 2に示すとおりに配合し、 へ ンシェルミキサーで十分に混合した後、 二軸溶融押出し機に供給し、 ストラ ンドダイから押出してペレット状に造粒した 。 次に、 超臨界流体を発生させ る超臨界発生装置が併設された射出成形機に 試験例巳 1〜巳4のペレットを 投入した。 ペレットをシリンダ内 (シリンダ温度 3 0 0〜 3 2〇 )で溶融 させつつ、 窒素の超臨界流体を、 樹脂発泡成形体の発泡率が所定の値となる ように超臨界発生装置を調整して混錬させた 。

[0195] 超臨界流体を混錬して得られた溶融樹脂を、 成形金型のキャビティ内に、 金型温度 1 5 0 、 射出圧力 2 0 0 1\/1 3 、 射出速度 保 圧力 7 0 1\/1 3、 保持時間 3 3 6 0 , 冷却時間 2 5 3 6 0の射出条件で充填 し、 図 5に示すスクロールロータ、 および各試験用の樹脂発泡成形体を得た

[0196] また、 試験例巳 5 ~巳 7については、 微細発泡法を併用することなく、 通 常の射出成形機を用いて、 上記の射出条件で射出成形した。 なお、 試験例巳 7に示す樹脂組成物を用いた場合、 樹脂成分の配合割合が少なかったことか らショートショットなどの不具合が生じ、 所定の形状に射出成形することが できなかった。 そのため、 試験例巳 7についての各評価は省略した。 得られ たスクロールロータ、 および各試験用の樹脂発泡成形体を用いて評 価試験を 行なった。

[0197] 線膨張係数の比 ( 成形収縮率の比 (巳 /巳 > (〇) 曲げ強さ、 曲げ弾性率、 ( 〇 引張強さ、 (于) 平行度につい ては、 上記の樹脂成形体と同様に評価した。 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

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[0198] (ø) 直角度 得られたスクロールロータについて、 基板に対する側板の直角度を三次元 測定機を用いて求めた。 直角度は、 基板の内側面 2 3 (図 3参照) を基準面 として、 側板 3の 1 1 171 171長さあたりの直角方向の変位量で表した。 渦巻き 状の側板 3の内周面 3 13と基準面との変位量、 および渦巻き状の側板 3の外 周面 3〇と基準面との変位量をそれぞれ、 2箇所ずつ求め、 平均値を表 1に 7^した。

[0199] (9) 平面度 得られたスクロールロータについて、 基板の平面度を三次元測定機を用い て求めた。 平面度は、 基板 2の外側面 2 13の外側円筒部 2〇1に三次元測定機 の測定子を当て 8箇所の測定点を取得したときの IV! 3 X値と IV! 丨 〇値の差で 表した。 8箇所の各変位量を求め、 平均値を表 1 に示した。

[0200] (11) 外観検査 得 られたスクロールロータについて、 目視にて外観検査を行った。 スクロ —ルロータの表面に気泡が生じている場合を 「X」 と評価し、 気泡が生じて いない場合を 「〇」 と評価した。 なお、 目視で判断できる気泡の大きさは、 例えば 5 0〜 1 0 0 程度以上である。

[0201] [表 2]

[0202] 表 2の試験例巳 1 ~日 3に示すように、 ベース樹脂に所定量の粒状無機物 \¥02021/124909 卩(:171?2020/045067

47 および繊維状無機物を含む樹脂組成物を用い 、 かつ、 微細発泡法を適用した 樹脂発泡成形体は、 一般的な樹脂組成の樹脂成形体 (試験例巳 6) よりも寸 法精度が向上した。

[0203] 表 2に示すように、 試験例 8 1〜巳 3の樹脂発泡成形体は、 異方性の指標 となる、 線膨張係数の比 および成形収縮率の比 (巳^/日丁〇 ) が〇. 5〜 1の範囲内であり、 試験例巳 6の樹脂成形体よりも、 直角度お よび平行度が向上した。 試験例巳 1〜巳 3の樹脂発泡成形体は、 その成形収 縮率が および 0 0ともに小さく、 かつ、 〇と 0 の差も小さいため、 寸法精度の向上につながった。 さらに、 試験例巳 1〜巳 3の成形体は微細発 泡法が適用され、 内部に気泡が形成されているので、 「ヒケ』 などの発生が 好適に抑えられ、 その結果、 寸法精度が一層向上した。

[0204] スクロールロータの寸法精度の向上について 具体的に説明すると、 スクロ —ルロータの基板の内側面 (摺接面) に対する側板の内周面および外周面の 傾き (直角方向の変位量) が減ることで、 スクロールロータの基板に対する 側板の直角度が向上した。 また、 スクロールロータの基板の摺接面から側板 の端面にかけて側板の幅がほぼ均一となるこ とで、 スクロール 0 —夕の基板 の摺接面とスクロールロータの側板の端面の 平行度が向上した。 また、 スク 口ールロータの基板の表面がほぼ均一となる ことで、 スクロールロータの平 面度も向上した。 また、 チップシールが装着される側板の取付溝や、 基板の 外側面に設けられた補強用のリプも精度よく 形成された。

[0205] また、 試験例巳 1〜巳 3の樹脂発泡成形体は、 表面に気泡が生じることな く、 外観検査も良好な結果が得られた。

[0206] これに対して、 表 2の試験例巳 4の、 発泡率〇. 5質量%の条件下の微細 発泡法に基づいて射出成形されたスクロール ロータは、 基板および側板の表 面に気泡が生じ、 外観不良であった。 なお、 試験例巳 4については、 その他 の各評価を省略した。 また、 微細発泡法を適用せずに射出成形を行った試 験 例巳 5および試験例巳 6は、 寸法精度の点で試験例日 1 ~巳 3に比べて劣る ものであった。 試験例巳 5は、 樹脂組成は試験例巳 1〜巳 3と同じであるが 〇 2021/124909 卩〇^ 2020 /045067

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、 一部 (外周面側の直角度) の寸法精度が劣っていた。 また、 試験例巳 6は 、 一般的な樹脂組成を適用した例であり、 全体的に寸法精度が劣っていた。

[0207] このように、 試験例日 1 ~日3では' 寸法精度が向上されつつ、 スクロー ル型圧縮機やスクロール型圧送機におけるス クロールロータとして必要な機 械的強度も備わったスクロールロータが形成 された。 産業上の利 用可能性

[0208] 本発明のスクロールロータは、 価格を低く抑えつつ、 寸法精度を向上させ ることができるので、 例えば、 冷媒や油が使用される条件下で用いられる冷 暖房設備機、 空気調和設備機、 空気調和機 (エア ·コンディシヨナ) 、 冷凍 /冷蔵シヨーケース、 冷蔵庫などの冷凍機用などの冷媒圧縮用スク ロール型 圧縮機などのスクロール型圧縮機、 冷媒や油が使用されない空気圧縮用スク 口ール型ボンプなどのスクロール型圧送機や 機械に装備されるスクロールロ —夕として好適に利用できる。 符号の説明

[0209] 1 スクロールロータ (樹脂成形体)

2 基板 内側面

2 匕 外側面 2 〇 内側円筒部 2 〇1 外側円筒部 2 肉ぬすみ部 2 于 凹部

2 9、 2 11 突出しピンの跡

3 側板 3 & 端面

3 匕 内周面

3 〇 外周面

4 取付溝 \¥02021/124909 卩(:170? 2020 /045067

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5 ゲート痕

6 リブ

7 軸穴部

1 1 スクロールロータ (樹脂発泡成形体) 1 2 基板 1 2 ¾ 内側面

1 26 外側面 1 3 側板

1 33 端面

1 36 内周面 1 3〇 外周面 1 4 取付溝

1 5 ゲート痕

1 6 スキン層 1 7 発泡層

1 8 気泡

1 9 炭酸カルシウム

20 ガラス繊維 21 非晶性樹脂 22 チップシール 2 3 圧縮室

2 4 開口部