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Title:
RESISTANCE VARIABLE ELEMENT, RESISTANCE VARIABLE STORAGE DEVICE AND RESISTANCE VARIABLE DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081742
Kind Code:
A1
Abstract:
A resistance variable element (10), a resistance variable storage device and a resistance variable device are provided with a first electrode(2); a second electrode (4); and a resistance variable layer (3), which is arranged between the first electrode (2) and the second electrode (4) and is electrically connected with the first electrode (2) and the second electrode (4). The resistance variable layer (3) includes a material, which is expressed by a chemical formula of (NiXFe1-X)Fe2O4, where X is 0.35 or more but not more than 0.9, and has a spinel structure. The resistance variable element, the resistance variable storage device and the resistance variable device have such characteristics that the electrical resistance between the first electrode (2) and the second electrode (4) lowers when a first voltage pulse having a first voltage is applied between the first electrode (2) and the second electrode (4) and that the electrical resistance between the first electrode (2) and the second electrode (4) increases when a second voltage pulse having a second voltage with a polarity different from that of the first voltage is applied between the first electrode (2) and the second electrode (4).

Inventors:
MURAOKA SHUNSAKU
OSANO KOICHI
FUJII SATORU
Application Number:
PCT/JP2007/074559
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 20, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MATSUSHITA ELECTRIC IND CO LTD (JP)
MURAOKA SHUNSAKU
OSANO KOICHI
FUJII SATORU
International Classes:
H01L27/10; G11C13/00; H01L45/00; H01L49/00
Domestic Patent References:
WO2006028117A12006-03-16
WO2005101420A12005-10-27
Foreign References:
JP2006080259A2006-03-23
Attorney, Agent or Firm:
PATENT CORPORATE BODY ARCO PATENT OFFICE (Bo-eki Bldg.123-1, Higashimachi,Chuo-ku, Kobe-shi, Hyogo, JP)
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Claims:
 第1電極と、
 第2電極と、
 前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極と前記第2電極とに電気的に接続された抵抗変化層とを備え、
 前記抵抗変化層が(Ni x Fe 1-x )Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、

 Xが0.35以上0.9以下であり、
 前記第1電極と前記第2電極との間に第1の電圧を有する第1電圧パルスを印加することで前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が低下し、
 前記第1電極と前記第2電極との間に前記第1の電圧と極性が異なる第2の電圧を有する第2電圧パルスを印加することで前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が上昇する性質を有する、抵抗変化型素子。
 前記化学式で表される材料の抵抗率が0.5ωcm以上100ωcm以下である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
 前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも何れか一方が、Ag、Au、Pt、Ru、RuO 2 、Ir、IrO 2 、TiO、TiN、TiAlN、Ta、TaNよりなる群から選ばれた一つあるいは複数の材料を用いて構成された電極である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
 前記抵抗変化層の厚みが、10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
 請求項1に記載の抵抗変化型素子と、
 電圧パルス印加装置とを備え、
 前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に所定の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗値の変化に対応して、1ビットデータまたは多値データを前記抵抗変化型素子に記憶する、抵抗変化型記憶装置。
 前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に正極性の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化型素子を低抵抗状態へと変化させ、
 前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に負極性の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化型素子を高抵抗状態へと変化させることにより、
 前記抵抗変化型素子の抵抗状態に対応させて1ビットデータを記憶する、請求項5に記載の抵抗変化型記憶装置。
 第1方向に延びる複数のワード線と、
 前記ワード線に交差して第2方向に延びる複数のビット線と、
 前記複数のビット線に一対一で対応して前記第2方向に延びる複数のプレート線と、
 第1主端子と第2主端子と制御端子とを備え前記ワード線と前記ビット線との間の交差点に対応して設けられた複数のトランジスタと、
 第1電極と第2電極と前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極と前記第2電極とに電気的に接続された抵抗変化層とを備え前記トランジスタのそれぞれに一対一で対応する複数の抵抗変化型素子と、
 前記複数のワード線に接続して前記ワード線への電圧印加を制御するワード線駆動部と、
 前記複数のビット線と前記複数のプレート線とに接続して、前記ビット線および前記プレート線への電圧印加を制御するビット線/プレート線駆動部と、
 前記ワード線駆動部と前記ビット線/プレート線駆動部とを制御する制御部とを備え、
 前記トランジスタの第1主端子がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記ビット線と電気的に接続され、
 前記トランジスタの第2主端子がそれぞれ対応する前記抵抗変化型素子の第1電極に電気的に接続され、
 前記抵抗変化型素子の第2電極がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記プレート線と電気的に接続され、
 前記トランジスタの制御端子がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記ワード線に電気的に接続され、
 前記抵抗変化層が(M’ x Fe 1-x )Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、
 前記化学式中のM’はMn、Co、Ni、Cu、Znよりなる群から選ばれた一つあるいは複数の遷移金属である、抵抗変化型記憶装置。
 前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて所定のデータを記憶する前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタのゲートに接続されたいずれか一つのワード線に対し択一的に前記トランジスタのドレインおよびソース間の導通を図るための活性化電圧を印加するように構成されており、
 前記ビット線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて前記所定のデータを記憶する予定の前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタに接続されたいずれか一つのビット線に対し択一的に第1電圧パルスを印加するとともに、前記ビット線に対応するプレート線に対し第2電圧パルスを印加するように構成されている、請求項7記載の抵抗変化型記憶装置。
 前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて予め記憶された所定のデータを読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタのゲートに接続されたいずれか一つのワード線に対し択一的に前記トランジスタのドレインおよびソース間の導通を図るための活性化電圧を印加するように構成されており、
 前記ビット線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて前記所定のデータを読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタに接続されたいずれか一つのビット線に対し択一的に第1読出電圧を印加するとともに、前記ビット線に対応するプレート線に対し第2読出電圧を印加するように構成されている、請求項7記載の抵抗変化型記憶装置。
 請求項7乃至9の何れかに記載の抵抗変化型記憶装置と、
 所定のデータに基づいて演算を実行する論理回路と、を備え、
 前記論理回路は、書き込みモードと読み出しモードとを有し、前記書き込みモードでは前記抵抗変化型記憶装置に前記データを記憶させるように前記抵抗変化型記憶装置を制御し、前記読み出しモードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶された前記データを読み出すように前記抵抗変化型記憶装置を制御するように構成されている、抵抗変化型装置。
 請求項7乃至9の何れかに記載の抵抗変化型記憶装置と、
 外部からの入力を受付ける入力装置と、
 前記入力装置に通信可能に接続されたプロセッサと、を備え、
 前記抵抗変化型記憶装置はプログラムを記憶可能に構成され、
 前記プロセッサは、プログラム実行モードとプログラム書き換えモードとを有し、前記プログラム書き換えモードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶されたプログラムを外部から入力装置を介して受け取ったプログラムに書き換え、前記プログラム実行モードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶されたプログラムを実行するように構成されている、抵抗変化型装置。
 請求項1の抵抗変化型素子の第1電極と第2電極との間に極性の異なる2種類の電圧パルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵抗変化型素子にデータを記録する、抵抗変化型素子へのデータ記録方法。
 請求項1の抵抗変化型素子の第1電極と第2電極との間に複数種類の電圧パルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵抗変化型素子にデータを記録し、前記複数種類の電圧パルスのうち少なくとも1種類は、他の電圧パルスと極性が異なっている、抵抗変化型素子へのデータ記録方法。
Description:
抵抗変化型素子、抵抗変化型記 装置、および抵抗変化型装置


 本発明は、抵抗変化型素子、抵抗変化型記 装置、および抵抗変化型装置に関する。よ 詳しくは、印加される電圧パルスに応じて 気抵抗が変化する抵抗変化型素子、および れを利用した抵抗変化型記憶装置と抵抗変 型装置に関する。


 電子機器におけるデジタル技術の進展に伴 、画像などのデータを保存するため、不揮 性抵抗変化型素子の大容量化、書き込み電 の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、 および長寿命化の要求が高まっている。こう した要求に対して、既存のフローティングゲ ートを用いたFLASHメモリの微細化には限界が ると言われている。

 上記要求に応えることのできる可能性のあ 第1の従来技術として、ペロブスカイト材料 (例えば、Pr (1-x) Ca X MnO 3 [PCMO]、LaSrMnO 3 [LSMO]、GdBaCo X O Y [GBCO]など)を用いた不揮発性抵抗変化型素子 提案されている(特許文献1)。この技術は、 ロブスカイト材料に所定の極性の異なる(ま は同極性で電圧値の異なる)電圧パルス(継 時間の短い波状の電圧)を印加してその抵抗 を増大または減少させ、変化する抵抗値に ータを対応させることによってデータを記 させるというものである。

 また、第2の従来技術として、遷移金属酸化 物(NiO、V 2 O、ZnO、Nb 2 O 5 、TiO 2 、WO 3 、またはCoO)の膜に上記電圧パルスを印加す ことにより、当該遷移金属酸化膜の抵抗値 変化することを利用した不揮発性抵抗変化 素子もある(特許文献2参照)。

 また、第3の従来技術として、アモルファ ス酸化物(例えば、Ti、V、Fe、Co、Y、Zr、Nb、Mo 、Hf、Ta、W、Ge、Siの中から選ばれる1つ以上 元素の酸化物)にAgまたはCuの電極を設けて電 圧を印加することによって、電極材料である AgまたはCuをイオン化して薄膜中に拡散させ アモルファス酸化物の抵抗値を変化させた 揮発性抵抗変化型素子もある(特許文献3参照 )。

 第4の従来技術として、スピネル構造を有 する材料層を電極で挟み、高抵抗化のための 電気パルスの極性と低抵抗化の電気パルスの 極性とが異なる(バイポーラ駆動される)よう 構成された抵抗変化素子が提案されている( 特許文献4、5)。

 上述のような抵抗変化材料をメモリセルと て用い、さらに個々のメモリセル選択のた のトランジスタと組み合わせて構成するこ により、不揮発性抵抗変化型素子の動作が 現される。

米国特許第6204139号明細書

特開2004-363604号公報

特開2004-342843号公報

特開2005-317787号公報

特開2006-080259号公報


 しかしながら、前記第1の従来技術において は、動作の安定性や再現性が不十分であった 。(Pr 0.7 Ca 0.3 MnO 3 )のようなペロブスカイト構造を有する酸化 結晶では、その結晶化のために通常650℃~850 という高温を必要とするため、半導体製造 ロセスに導入すると、他の材料が劣化する いう問題もあった。

 前記第2の従来技術および前記第4の従来 術においては、抵抗変化層が安定して所定 抵抗値を示すようにするために、製造(層形 )後に高い電圧を印可するフォーミングと呼 ばれる動作が必要であった。各素子毎にフォ ーミングをするとなると、非常に多くの素子 を有する抵抗変化型記憶装置などの製造に長 い時間が必要となるという問題があった。さ らに、前記第2の従来技術においては、低抵 状態から高抵抗状態への変化(リセット)時に はミリ秒オーダーの長いパルス幅の電圧パル ス印加が必要となるために、低抵抗状態から 高抵抗状態への書き込み速度(記録速度)が非 に遅いという問題もあった。

 前記第3の従来技術においては、抵抗変化 層がアモルファス構造であるため、長期間使 用すると、抵抗変化層が結晶化して、特性が 変化する可能性があるという問題があった。

 本発明は前記従来の問題を解決すること 目的とするものである。すなわち本発明は 製造温度が低く、フォーミングが不要であ 、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み 度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子 抵抗変化型記憶装置、抵抗変化型装置を提 することを目的とする。


 本発明者らは、抵抗変化型素子の抵抗変化 に用いられる材料を鋭意検討した。その結 、Fe 3 O 4 を主体とする抵抗変化材料を用いた場合に、 低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度 が向上できることが判明した。しかしながら 、Fe 3 O 4 を用いるとフォーミングが必要となることも 明らかとなった。

 本発明者らは、Fe 3 O 4 を抵抗変化材料とした場合に、フォーミング を不要とする技術を鋭意検討した。その結果 、Fe 3 O 4 にNiやZnを不純物として混合すると、抵抗値 上昇し、フォーミングが不要となることが 明した。さらに、NiやZnを混合した材料を用 た構成では、製造温度が低く(例えば300℃以 下)、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込 速度が速く(100ns程度)、データの保持特性(リ テンション)が長いということが判明した。

 得られた結果から考察を加えた結果、NiやZn 以外でも、Cu、Mn、Coなどでも同様の効果が得 られることが類推された。

 すなわち、本発明の抵抗変化型素子は、第1 電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電 極との間に配設され前記第1電極と前記第2電 とに電気的に接続された抵抗変化層とを備 、前記抵抗変化層が(Ni x Fe 1-x )Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する材 料を含み、Xが0.35以上0.9以下であり、前記第1 電極と前記第2電極との間に第1の電圧を有す 第1電圧パルスを印加することで前記第1電 と前記第2電極との間の電気抵抗が低下し、 記第1電極と前記第2電極との間に前記第1の 圧と極性が異なる第2の電圧を有する第2電 パルスを印加することで前記第1電極と前記 2電極との間の電気抵抗が上昇する性質を有 する。

 かかる構成では、製造温度が低く、フォー ングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗 態への書き込み速度が速く、安定性に優れ 抵抗変化型素子を提供できる。

 また、上記抵抗変化型素子において、前 化学式で表される材料の抵抗率が0.5ωcm以上 100ωcm以下であってもよい。

 かかる構成では、抵抗率を所定の範囲に 整した結果、製造温度が低く、フォーミン が不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態 の書き込み速度が速く、安定性に優れた抵 変化型素子を提供できる。

 また、上記抵抗変化型素子において、前記 1電極および前記第2電極のうちの少なくと 何れか一方が、Ag、Au、Pt、Ru、RuO 2 、Ir、IrO 2 、TiO、TiN、TiAlN、Ta、TaNよりなる群から選ば た一つあるいは複数の材料を用いて構成さ た電極である、請求項1に記載の抵抗変化型 子。

 かかる構成では、所定の金属を電極とし 、抵抗変化型素子を形成できる。

 また、上記抵抗変化型素子において、前 抵抗変化層の厚みが、10nm以上200nm以下であ 、請求項1に記載の抵抗変化型素子。

 かかる構成では、パターンニングプロセ においてリソグラフィーを使用する場合に 加工し易くなり、抵抗変化型素子の抵抗値 変化させる電圧パルスの電圧値を低くする とが可能となる。また、電圧印加時のブレ クダウン(絶縁破壊)をより確実に回避する とが可能となる。

 また、本発明の抵抗変化型記憶装置は、 記抵抗変化型素子と、電圧パルス印加装置 を備え、前記電圧パルス印加装置が、前記 1電極と前記第2電極との間に所定の電圧パ スを印加することにより、前記抵抗値の変 に対応して、1ビットデータまたは多値デー を前記抵抗変化型素子に記憶する。

 かかる構成では、電圧パルス印加装置か 印加される電圧パルスによって抵抗変化型 子にデータが記録可能となる。よって、製 温度が低く、フォーミングが不要であり、 抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度 速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置 提供できる。

 また、上記抵抗変化型記憶装置において 前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と 前記第2電極との間に正極性の電圧パルスを 加することにより、前記抵抗変化型素子を 抵抗状態へと変化させ、前記電圧パルス印 装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に 負極性の電圧パルスを印加することにより、 前記抵抗変化型素子を高抵抗状態へと変化さ せることにより、前記抵抗変化型素子の抵抗 状態に対応させて1ビットデータを記憶して よい。

 かかる構成では、電圧パルス印加装置か 印加される正極性および負極性の電圧パル によって抵抗変化型素子にデータが記録可 となる。よって、製造温度が低く、フォー ングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗 態への書き込み速度が速く、安定性に優れ 抵抗変化型記憶装置を提供できる。

 また、上記抵抗変化型記憶装置において、 1方向に延びる複数のワード線と、前記ワー ド線に交差して第2方向に延びる複数のビッ 線と、前記複数のビット線に一対一で対応 て前記第2方向に延びる複数のプレート線と 第1主端子と第2主端子と制御端子とを備え 記ワード線と前記ビット線との間の交差点 対応して設けられた複数のトランジスタと 第1電極と第2電極と前記第1電極と前記第2電 との間に配設され前記第1電極と前記第2電 とに電気的に接続された抵抗変化層とを備 前記トランジスタのそれぞれに一対一で対 する複数の抵抗変化型素子と、前記複数の ード線に接続して前記ワード線への電圧印 を制御するワード線駆動部と、前記複数の ット線と前記複数のプレート線とに接続し 、前記ビット線および前記プレート線への 圧印加を制御するビット線/プレート線駆動 と、前記ワード線駆動部と前記ビット線/プ レート線駆動部とを制御する制御部とを備え 、前記トランジスタの第1主端子がそれぞれ 応する前記交差点を通る前記ビット線と電 的に接続され、前記トランジスタの第2主端 がそれぞれ対応する前記抵抗変化型素子の 1電極に電気的に接続され、前記抵抗変化型 素子の第2電極がそれぞれ対応する前記交差 を通る前記プレート線と電気的に接続され 前記トランジスタの制御端子がそれぞれ対 する前記交差点を通る前記ワード線に電気 に接続され、前記抵抗変化層が(M’ x Fe 1-x )Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する材 料を含み、前記化学式中のM’はMn、Co、Ni、Cu 、Znよりなる群から選ばれた一つあるいは複 の遷移金属であってもよい。

 かかる構成では、上記抵抗変化型素子を セルに含むメモリセルアレイを備えた抵抗 化型記憶装置が実現される。よって、高密 化され、製造温度が低く、フォーミングが 要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変 型記憶装置を提供できる。

 また、上記抵抗変化型記憶装置において 前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御 基づいて所定のデータを記憶する前記抵抗 化型素子に対応する前記トランジスタのゲ トに接続されたいずれか一つのワード線に し択一的に前記トランジスタのドレインお びソース間の導通を図るための活性化電圧 印加するように構成されており、前記ビッ 線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御 に基づいて前記所定のデータを記憶する予定 の前記抵抗変化型素子に対応する前記トラン ジスタに接続されたいずれか一つのビット線 に対し択一的に第1電圧パルスを印加すると もに、前記ビット線に対応するプレート線 対し第2電圧パルスを印加するように構成さ ていてもよい。

 かかる構成では、制御部の制御に基づい 印加される電圧パルスによって抵抗変化型 子にデータが記録可能となる。よって、製 温度が低く、フォーミングが不要であり、 抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度 速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置 提供できる。

 また、上記抵抗変化型記憶装置において 前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御 基づいて予め記憶された所定のデータを読 出す前記抵抗変化型素子に対応する前記ト ンジスタのゲートに接続されたいずれか一 のワード線に対し択一的に前記トランジス のドレインおよびソース間の導通を図るた の活性化電圧を印加するように構成されて り、前記ビット線/プレート線駆動部は、前 記制御部の制御に基づいて前記所定のデータ を読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前 記トランジスタに接続されたいずれか一つの ビット線に対し択一的に第1読出電圧を印加 るとともに、前記ビット線に対応するプレ ト線に対し第2読出電圧を印加するように構 されていてもよい。

 かかる構成では、制御部の制御に基づい 印加される電圧によって抵抗変化型素子に 録されたデータが読み出し可能となる。よ て、製造温度が低く、フォーミングが不要 あり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型 憶装置を提供できる。

 本発明の抵抗変化型装置は、上記いずれ の抵抗変化型記憶装置と、所定のデータに づいて演算を実行する論理回路と、を備え 前記論理回路は、書き込みモードと読み出 モードとを有し、前記書き込みモードでは 記抵抗変化型記憶装置に前記データを記憶 せるように前記抵抗変化型記憶装置を制御 、前記読み出しモードでは前記抵抗変化型 憶装置に記憶された前記データを読み出す うに前記抵抗変化型記憶装置を制御するよ に構成されている。

 かかる構成では、論理回路を備えること より、製造温度が低く、フォーミングが不 であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書 込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化 装置(Embedded-RAM)が実現される。

 あるいは本発明の抵抗変化型装置は、上 いずれかの抵抗変化型記憶装置と、外部か の入力を受付ける入力装置と、前記入力装 に通信可能に接続されたプロセッサと、を え、前記抵抗変化型記憶装置はプログラム 記憶可能に構成され、前記プロセッサは、 ログラム実行モードとプログラム書き換え ードとを有し、前記プログラム書き換えモ ドでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶され プログラムを外部から入力装置を介して受 取ったプログラムに書き換え、前記プログ ム実行モードでは前記抵抗変化型記憶装置 記憶されたプログラムを実行するように構 されている。

 かかる構成では、入力装置とプロセッサ を備えることにより、製造温度が低く、フ ーミングが不要であり、低抵抗状態から高 抗状態への書き込み速度が速く、安定性に れた抵抗変化型装置(Reconfigurable-LSI)が実現 れる。

 本発明の抵抗変化型素子へのデータ記録 法は、請求項1の抵抗変化型素子の第1電極 第2電極との間に極性の異なる2種類の電圧パ ルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状 態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づい て前記抵抗変化型素子にデータを記録する。  

 かかる構成では、極性の異なる電圧パル を用いて、上記抵抗変化型素子にデータを 録できる。よって、バイポーラ型の駆動に り、製造温度が低く、フォーミングが不要 あり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型 子を用いた記憶装置を実現できる。

 あるいは本発明の抵抗変化型素子へのデ タ記録方法は、抵抗変化型素子の第1電極と 第2電極との間に複数種類の電圧パルスを印 して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化 せ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵 変化型素子にデータを記録し、前記複数種 の電圧パルスのうち少なくとも1種類は、他 電圧パルスと極性が異なっている。

 かかる構成では、少なくとも一種類は極性 異なる電圧パルスを用いて、上記抵抗変化 素子にデータを記録できる。よって、バイ ーラ型の駆動により、多値メモリ型であっ 、製造温度が低く、フォーミングが不要で り、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込 速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素 を用いた記憶装置を実現できる。

 本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び 点は、添付図面参照の下、以下の好適な実 態様の詳細な説明から明らかにされる。


 本発明は、上記のような構成を有し、以下 ような効果を奏する。すなわち、製造温度 低く、フォーミングが不要であり、低抵抗 態から高抵抗状態への書き込み速度が速く 安定性に優れた抵抗変化型素子、抵抗変化 記憶装置、抵抗変化型装置を提供すること 可能となる。

図1は、本発明の第1実施形態の抵抗変 型素子の構成の一例を示した模式図である 図2は、本発明の第1実施形態の抵抗変 型素子を動作させる回路の一例を示す図で る。 図3は、本発明の第1実施形態の抵抗変 型素子にデータを書き込む場合における動 を示す図である。 図4は、本発明の第1実施形態の抵抗変 型素子にデータを書き込む際の抵抗値変化 示す図である。 図5は、本発明の第1実施形態の抵抗変 型素子に書き込まれたデータを読み出す場 における動作を示す図である。 図6は、本発明の第1実施形態の抵抗変 型素子において、読み出し時に回路を流れ 電流と抵抗変化型素子の抵抗値との関係を す図である。 図7は、実施例1の抵抗変化型素子に対 て電圧パルスを印加したときの抵抗値変化 示す図である。 図8は、実施例2の抵抗変化型素子に対 て電圧パルスを印加したときの抵抗値変化 示す図である。 図9は、実施例3の抵抗変化型素子に対 て電圧パルスを印加したときの抵抗値変化 示す図である。 図10は、実施例3で得られた抵抗変化型 素子に対し、約2万回の低抵抗状態への書き み動作(電圧パルス:+2V、100ns)と高抵抗状態へ の書き込み動作(電圧パルス:-2V、100ns)を繰り した時の抵抗値変化を示す図である。 図11は、実施例5の抵抗変化型素子に対 して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化 を示す図である。 図12は、比較例1の抵抗変化型素子に対 して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化 を示す図である。 図13は、比較例2の抵抗変化型素子に対 して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化 を示す図である。 図14は、比較例3の抵抗変化型素子に対 して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化 を示す図である。 図15は、実施例6の抵抗変化型素子に対 して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化 を示す図である。 図16は、本発明の第2実施形態の抵抗変 化型記憶装置の一構成例を示したブロック図 である。 図17は、本発明の第3実施形態の半導体 集積回路(Embedded-RAM)の一構成例を示したブロ ク図である。 図18は、本発明の第4実施形態の半導体 集積回路(ReconfigurableLSI)の一構成例を示した ロック図である。 図19は、本発明の第1実施形態の抵抗変 化型素子を用いた周波数可変回路の構成を示 したブロック図である。 図20は、本発明の第1実施形態の抵抗変 化型素子を用いたミキシング回路の構成を示 したブロック図である。

符号の説明


 1 基板
 2 下部電極
 3 抵抗変化層
 4 上部電極
 5 電極
 10 抵抗変化型素子
 11 第1端子
 12 第2端子
 200 抵抗変化型記憶装置
 201 メモリアレイ
 202 アドレスバッファ
 203 制御部
 204 行デコーダ
 205 ワード線ドライバ
 206 列デコーダ
 207 ビット線/プレート線ドライバ
 300 抵抗変化型装置
 301 論理回路
 400 抵抗変化型装置
 401 プロセッサ
 402 インターフェイス
 W1、W2 ワード線
 B1、B2 ビット線
 P1、P2 プレート線
 T211、T212、T221、T222 トランジスタ
 MC211、MC212、MC221、MC222 メモリセル
 SWa、SWb スイッチ

 以下、本発明の好ましい実施の形態を、図 を参照しながら説明する。

 (第1実施形態)
 [構成]
 図1は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型 子の構成の一例を示した模式図である。

 図1に示すように、本実施形態の抵抗変化 型素子10は、基板1と、基板1の上に形成され 下部電極2(第1電極)と、下部電極2の上に形成 された抵抗変化層3と、抵抗変化層3の上に形 された上部電極4(第2電極)と、を備える。下 部電極2と上部電極4とは、それぞれ抵抗変化 3に電気的に接続されている。なお、上部電 極4が第1電極、下部電極2が第2電極であって よい。

 基板1は、例えばシリコン基板により構成 される。

 下部電極2および上部電極4は、例えば、Ag( )、Au(金)、Pt(白金)、Ru(ルテニウム)、RuO 2 (酸化ルテニウム)、Ir(イリジウム)、IrO 2 (酸化イリジウム)、TiO(酸化チタン)、TiN(窒化 タン)、TiAlN(窒化チタンアルミニウム)、Ta( ンタル)、TaN(窒化タンタル)よりなる群から ばれた一つあるいは複数の材料を用いて構 することができる。これらの材料は、300℃ 度の温度でも安定であり、後述する抵抗変 層3の層形成時の条件にも適合する。

 抵抗変化層3は、(M’ x Fe 1-x )Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する材 料よりなり、M’は、Mn(マンガン)、Co(コバル )、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)よりなる群 から選ばれた一つあるいは複数の遷移金属で ある。すなわち、抵抗変化層3の材料は、Fe 3 O 4 (四酸化三鉄)を主成分として、所定の遷移金 を不純物として含む。なお、抵抗変化層3が 複数の遷移金属(Fe以外)を含む場合、それぞ の遷移金属(Fe以外)が結晶中でFeのサイトに 換している比率(上記化学式を参照)の合計を Xとする。

 抵抗変化層3の抵抗率(体積抵抗率)は、0.5 cm以上100ωcm以下であることが好ましい。M’ Niの場合には、X(不純物としてのNiの割合)が 0.35以上0.9以下であることが好ましい。

 抵抗変化層3の厚みは1μm以下であること 好ましい。かかる構成により、電圧パルス 加によって抵抗変化型素子の抵抗値を変化 せることが充分に可能となる。

 抵抗変化層3の厚みは200nm以下であること さらに好ましい。かかる構成により、パタ ンニングプロセスにおいてリソグラフィー 使用する場合に、加工し易くなり、抵抗変 型素子の抵抗値を変化させる電圧パルスの 圧値を低くすることが可能となる。

 抵抗変化層3の厚みは、少なくとも10nm以 であることが好ましい。かかる構成により 電圧印加時のブレークダウン(絶縁破壊)をよ り確実に回避することが可能となる。

 なお、抵抗変化型素子の抵抗値を変化さ る電圧パルスの電圧値を低くするという観 からは、抵抗変化層3の厚みは薄いほど好ま しい。

 [製造方法]
 まず、基板1の上に、スパッタリングなどに より、下部電極2(厚さは例えば0.2μm)が形成さ れる。M’Fe 2 O 4 のターゲットとFe 3 O 4 のターゲットが用意され、スパッタリングに よりそれぞれのターゲットを同時に放電させ て、下部電極2の上に(M’ x Fe 1-x )Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する抵 抗変化層3が形成される。さらに抵抗変化層3 上に、スパッタリングなどにより上部電極4 (厚さは例えば0.2μm)が形成され、抵抗変化型 子10が得られる。

 下部電極2や上部電極4、抵抗変化層3の大 さや形状は、マスクとリソグラフィによっ 調整可能である。

 抵抗変化層3の抵抗率(あるいはXの値)は、 それぞれのターゲットへの印加電圧を調整す ることにより容易に調整されうる。基板温度 は300℃とすることができる。

 [動作]
 図1に示すように、抵抗変化型素子10の使用 には、下部電極2と上部電極4とが、それぞ 電源5(電圧パルス印加装置)の異なる端子に 気的に接続される。電源5は、抵抗変化型素 10を駆動するための電源である。電源5は、 部電極2と上部電極4との間に所定の電圧お び時間幅の電気パルス(電圧パルス)を印加可 能に構成されている。以下、電圧パルスの電 圧は下部電極2を基準にした上部電極4の電位 特定されるものとする。

 電源5により該電気パルスが印加されると 、抵抗変化層3の抵抗値(電気抵抗)は増加また は減少する。以下、抵抗変化層3の抵抗値が い所定の値にある場合を、抵抗変化型素子10 が高抵抗状態にあるといい、抵抗変化層3の 抗値が高抵抗状態よりも低い所定の値にあ 場合を、抵抗変化型素子10が低抵抗状態にあ るという。

 例えば、電圧が第1の閾値電圧(プラスの 圧)以上の(電圧の絶対値の大きな)電圧パル (第1の電圧を有する第1電圧パルス)が印加さ た場合に抵抗変化層2の抵抗値が減少するが 、第1の閾値電圧よりも小さな(絶対値の小さ )電圧パルスが印加されても、抵抗変化層2 抵抗値は変化しない。

 一方、電圧が第2の閾値電圧(マイナスの 圧)以下の(電圧の絶対値の大きな)電圧パル (第2の電圧を有する第2電圧パルス)が印加さ た場合に抵抗変化層2の抵抗値が増加する一 方、第2の閾値電圧(マイナスの電圧)よりも大 きな(絶対値の小さな)電圧パルスが印加され も、抵抗変化層2の抵抗値は変化しない。

 このように、本実施形態の抵抗変化型素 は、バイポーラ型の駆動に用いることがで る。本実施形態の抵抗変化型素子10では、 えば、電圧パルスの強さ(電圧)が±2V、パル 幅が100ns(高抵抗状態から低抵抗状態への書 込み時も、低抵抗状態から高抵抗状態への き込み時も同じ)などとすることができる。

 本実施形態においては、高抵抗状態を「0 」に対応させ、低抵抗状態を「1」に対応さ 、抵抗変化型素子10の初期状態は高抵抗状態 (「0」)にあるものとする。なお、いずれの抵 抗状態にいずれの値を割り当てるか、および いずれの抵抗状態を初期状態とするかは任意 である。

 図2は、本発明の第1実施形態の抵抗変化 素子を動作させる回路の一例を示す図であ 。ここでは、抵抗変化型素子10はメモリとし て使用され、1ビットデータの処理(書き込み 読み出し)を行うものとする。図2の回路は 抵抗変化型素子10と、第1端子11と第2端子12と を備えている。抵抗変化型素子10の上部電極4 は第1端子11に電気的に接続されており、下部 電極2は第2端子12に電気的に接続されている

 図3は、本発明の第1実施形態の抵抗変化 素子にデータを書き込む場合における動作 示す図である。図4は、本発明の第1実施形態 の抵抗変化型素子にデータを書き込む際の抵 抗値変化を示す図である。図3に示すように 書き込み時には、第2端子12は接地(グランド: GND)され、第1端子11に電圧パルスが印加され 。電圧パルスは、下部電極2および接地点を 準に特定される。

 第1端子11に第1の閾値電圧(例えば+1V)以上 プラス(正極性)の書き込み用電圧パルス(以 、正極性パルス:第1電圧パルス)が印加され と、図4に示すように抵抗変化型素子10の抵 値は、高抵抗状態のRbから低抵抗状態のRaへ と減少する。一方、第1端子11に第2の閾値電 (例えば-1V)以下のマイナス(負極性)の書き込 用電圧パルス(以下、負極性パルス:第2電圧 ルス)が印加されると、図4に示すように抵 変化型素子10の抵抗値は、低抵抗状態のRaか 高抵抗状態のRbへと増加する。すなわち、 3の矢印の向きに電流が流れるように電圧パ スが印加されると抵抗変化型素子の抵抗値 減少する一方、該矢印に対して逆向きに電 が流れるように電圧パルスが印加されると 抗変化型素子の抵抗値が増加する。

 抵抗変化型素子10に、「1」を表す1ビット データを書き込む(記録する)場合には、抵抗 化型素子10は低抵抗状態へと変化する(もと と低抵抗状態にあって変化しない場合を含 )。かかる動作を、「低抵抗状態への書き込 み」と呼ぶ。低抵抗状態への書き込みにおい ては、図3の第2端子12が接地され、第1端子11 書き込み用の正極性パルスが印加される。 極性パルスの電圧値は例えば+2V、パルス幅 例えば100nsとされる。かかる動作によれば、 抵抗変化型素子10には正極性パルスが印加さ 、抵抗変化型素子10の抵抗値は低抵抗状態 Raとなる。すなわち、電圧パルス印加前の抵 抗値がRbの場合にはRaへと変化し、電圧パル 印加前の抵抗値がRaの場合にはRaのまま変化 ない。以上の方法により、抵抗変化型素子1 0の低抵抗状態への書き込みが行われる。

 抵抗変化型素子10に、「0」を表す1ビット データを書き込む(記録する)場合には、抵抗 化型素子10は高抵抗状態へと変化する(もと と高抵抗状態にあって変化しない場合を含 )。かかる動作を、「高抵抗状態への書き込 み」と呼ぶ。高抵抗状態への書き込みにおい ては、図3の第2端子12が接地され、第1端子11 書き込み用の負極性パルスが印加される。 極性パルスの電圧値は例えば-2V、パルス幅 例えば100nsとされる。かかる動作によれば、 抵抗変化型素子10には負極性パルスが印加さ 、抵抗変化型素子10の抵抗値は高抵抗状態 Rbとなる。すなわち、電圧パルス印加前の抵 抗値がRbの場合にはRbのまま変化せず、電圧 ルス印加前の抵抗値がRaの場合にはRbへと変 する。以上の方法により、抵抗変化型素子1 0の高抵抗状態への書き込みが行われる。

 図5は、本発明の第1実施形態の抵抗変化 素子に書き込まれたデータを読み出す場合 おける動作を示す図である。図6は、本発明 第1実施形態の抵抗変化型素子において、読 み出し時に回路を流れる電流と抵抗変化型素 子の抵抗値との関係を示す図である。図5に すように、書き込み時には、第2端子12は接 (グランド:GND)され、第1端子11に読出電圧が 加される。読出電圧は、下部電極2および接 点を基準に特定される。

 第1端子11に第1の閾値電圧より小さいプラ ス(正極性)あるいは第2の閾値電圧より大きい マイナス(負極性)の読み出し用電圧が印加さ ると、抵抗変化型素子10の抵抗値に応じた 流が回路を流れる。すなわち、図6に示すよ に、抵抗変化型素子10の抵抗値が低抵抗状 のRaのときには出力される電流値がIaとなり 抵抗変化型素子10の抵抗値が高抵抗状態のRb のときには出力される電流値がIbとなる。

 抵抗変化型素子10の抵抗状態を読み出す 合、図5の第2端子12が接地され、第1端子11に 出電圧が印加される。読出電圧は例えば+0.5 Vに設定される。抵抗変化型素子10に読出電圧 が印加されると、回路を流れる電流の大きさ は、抵抗変化型素子の抵抗値に応じた電流値 となる。第1端子11と第2端子12との間を流れる 電流の電流値を検出することにより、抵抗変 化型素子10の抵抗値が得られる。すなわち、 流値がIaであれば、抵抗変化型素子10の抵抗 値が低抵抗状態のRaであるから、抵抗変化型 子10に書き込まれているデータが「1」であ ことが分かり、電流値がIbであれば、抵抗 化型素子10の抵抗値が高抵抗状態のRbである ら、抵抗変化型素子10に書き込まれている ータが「0」であることが分かる。以上の方 により、抵抗変化型素子10に書き込まれて るデータの読み出しが行われる。

 本実施形態の抵抗変化型素子10は、電源 切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有 る。

 [効果]
 本実施形態の抵抗変化型素子10では、パル 幅が100nsという短い電圧パルスで書き込み( 抵抗状態あるいは低抵抗状態への書き込み) 可能である。抵抗変化型素子10は、300℃程 という低温で製造可能であるために、従来 半導体製造プロセス(400℃~500℃)との親和性 高い。さらに、フォーミングが不要であり データの保持特性(リテンション)も十分長く なる。

 すなわち、本実施形態の抵抗変化型素子1 0によれば、製造温度が低く、フォーミング 不要であり、書込速度(特に高抵抗状態への 込速度)が速く、安定性に優れた抵抗変化型 素子および抵抗変化型記憶装置を提供するこ とが可能となる。

 また、本実施形態の抵抗変化型素子10は 電圧パルス印加時に流れる電流の大きさが さく、大容量の記憶装置を実現するために 細化した場合に、省電力を実現できる可能 が十分ある。

 [変形例]
 第1の閾値電圧、第2の閾値電圧、正極性パ スおよび負極性パルスの電圧およびパルス 、読出電圧の値は、上述の値に限定されな 。実際に製造される抵抗変化型素子に適合 た値であれば、どのような値であってもよ 。

 下部電極2と抵抗変化層3との間および抵 変化層3と上部電極4との間には、別の層が挟 持されていてもよい。下部電極2と抵抗変化 3とが電気的に接続され、抵抗変化層3と上部 電極4とが電気的に接続されていればよい。

 上述の説明では、M’Fe 2 O 4 とFe 3 O 4 のターゲット材料を同時放電させてスパッタ リングを行い、スパッタリング時の各ターゲ ットの投入電力を調整することにより、(M’ X Fe 1-X )Fe 2 O 4 の化学式のXの値を変化させる例を示した。 かし、抵抗変化層の成分を調整する方法は れだけに限定されるものではない。例えば M’Fe 2 O 4 とFe 3 O 4 を所定の比率で混合したターゲットを用いて スパッタリングを行えば、(M’ X Fe 1-X )Fe 2 O 4 の化学式のXの値を変化させることができる

 (実施例)
 [実施例1]
 シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるよ に、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm) がスパッタリングにより形成された。NiFe 2 O 4 とFe 3 O 4 のターゲットが用意され、スパッタリングに よりそれぞれのターゲットが同時に放電させ され、マスクとリソグラフィを用いて、下部 電極の上に(Ni x Fe 1-x )Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する抵 抗変化層(大きさは10μm×10μm:面積100μm 2 )が形成された。抵抗変化層を形成する時の 板温度は300℃とした。下部電極と抵抗変化 とが接する部分の大きさは2μm×2μm(面積4μm 2 )とした。抵抗変化層の厚さは100nmとした。さ らに、抵抗変化層の上に、0.2μmの厚さとなる ように、マスクとリソグラフィを用いて、Pt りなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッ リングにより形成され、抵抗変化型素子が られた。上部電極と抵抗変化層とが接する 分の大きさは2μm×2μm(面積4μm 2 )とした。

 実施例1では、抵抗変化層を構成する(Ni x Fe 1-x )Fe 2 O 4 のXの値が0.35となるように、それぞれのター ットに印加される電圧が調整された。Xの値 は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリン )法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせ 検証された。検証の結果、Xの値は0.35であっ た。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。 施例1では、抵抗変化層の抵抗率は0.5ωcmで った。

 上記方法により得られた抵抗変化型素子 電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧 +2Vが-2V、パルス幅はいずれも100ns)が交互に 加された。電圧は、下部電極に対する上部 極の電位が高くなる電圧をプラスとした。

 電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変 型素子の抵抗値が測定された。測定時には +0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度 の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化し なかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電 とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算さ た。

 本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切 ても抵抗値が変化しない不揮発性を有する とが確認された。また、電圧パルス印加時 流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下 あった。したがって、大容量の記憶装置を 現するために微細化した場合に、省電力を 現できる可能性が十分あることが分かった

 図7は、実施例1の抵抗変化型素子に対し 電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を す図である。図に示すように、1回目のパル 印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗 態(約5600ω)から低抵抗状態(約1800ω)へと変化 た。2回目のパルス印加(負極性パルスの印 )により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復 した。その後は、2種類の電圧パルス(正極 パルスと負極性パルス)の印加により、安定 て低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に 移した。すなわち、実施例1で得られた抵抗 変化型素子は1回目のパルス印加から良好の モリ特性を有していた。よって、実施例1の 抗変化型素子は、フォーミングが不要であ て、各層を形成して得られた抵抗変化型素 をそのままの状態でメモリとして用いるこ ができることが分かった。

 実施例1の抵抗変化型素子が低抵抗状態に あるときに正極性パルスを印加しても、抵抗 値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままで あった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状 態にあるときに負極性パルスを印加しても、 抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のま まであった。以上の結果から、実施例1の抵 変化型素子は上書き可能であることが分か た。

 [実施例2]
 実施例2では、パラメータが違うことを除け ば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子 形成され、書き込みおよび読み出しが行わ た。

 すなわち、実施例2では抵抗変化層を構成す る(Ni x Fe 1-x )Fe 2 O 4 のXの値が0.65となるように、それぞれのター ットに印加される電圧が調整された。Xの値 は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリン )法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせ 検証された。検証の結果、Xの値は0.65であっ た。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。 施例2における抵抗変化層の抵抗率は、10ωcm であった。

 本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切 ても抵抗値が変化しない不揮発性を有する とが確認された。また、電圧パルス印加時 流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下 あった。したがって、大容量の記憶装置を 現するために微細化した場合に、省電力を 現できる可能性が十分あることが分かった

 図8は、実施例2の抵抗変化型素子に対し 電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を す図である。図に示すように、1回目のパル 印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗 態(約30000ω)から低抵抗状態(約5000ω)へと変化 した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印 )により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復 帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極 パルスと負極性パルス)の印加により、安定 して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に 遷移した。すなわち、実施例2で得られた抵 変化型素子は1回目のパルス印加から良好の モリ特性を有していた。よって、実施例2の 抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であ って、各層を形成して得られた抵抗変化型素 子をそのままの状態でメモリとして用いるこ とができることが分かった。

 実施例2の抵抗変化型素子が低抵抗状態に あるときに正極性パルスを印加しても、抵抗 値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままで あった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状 態にあるときに負極性パルスを印加しても、 抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のま まであった。以上の結果から、実施例1の抵 変化型素子は上書き可能であることが分か た。

 [実施例3]
 実施例3では、パラメータが違うことを除け ば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子 形成され、書き込みおよび読み出しが行わ た。

 すなわち、実施例3では抵抗変化層を構成す る(Ni x Fe 1-x )Fe 2 O 4 のXの値が0.90となるように、それぞれのター ットに印加される電圧が調整された。Xの値 は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリン )法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせ 検証された。検証の結果、Xの値は0.90であっ た。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。 施例3における抵抗変化層の抵抗率は、100ωc mであった。

 本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切 ても抵抗値が変化しない不揮発性を有する とが確認された。また、電圧パルス印加時 流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下 あった。したがって、大容量の記憶装置を 現するために微細化した場合に、省電力を 現できる可能性が十分あることが分かった

 図9は、実施例3の抵抗変化型素子に対し 電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を す図である。図に示すように、1回目のパル 印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗 態(約50000ω)から低抵抗状態(約8500ω)へと変化 した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印 )により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復 帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極 パルスと負極性パルス)の印加により、安定 して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に 遷移した。すなわち、実施例3で得られた抵 変化型素子は1回目のパルス印加から良好の モリ特性を有していた。よって、実施例3の 抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であ って、各層を形成して得られた抵抗変化型素 子をそのままの状態でメモリとして用いるこ とができることが分かった。

 実施例3の抵抗変化型素子が低抵抗状態に あるときに正極性パルスを印加しても、抵抗 値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままで あった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状 態にあるときに負極性パルスを印加しても、 抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のま まであった。以上の結果から、実施例1の抵 変化型素子は上書き可能であることが分か た。

 [実施例4]
 実施例4では、実施例3で得られたX=0.90の抵 変化型素子を用いて、エンデュランス特性( 作の安定性)が検証された。

 図10は、実施例3で得られた抵抗変化型素 に対し、約2万回だけ低抵抗状態への書き込 み動作(電圧パルス:+2V、100ns)と高抵抗状態へ 書き込み動作(電圧パルス:-2V、100ns)を繰り した時の抵抗値変化を示す図である。図に すように、書き込みが2万回以上繰り返され も、抵抗変化型素子は、安定して低抵抗状 と高抵抗状態の間を周期的に遷移すること 分かった。また、実験の開始(図9)から最後( 図10)まで、低抵抗状態における抵抗値と高抵 抗状態における抵抗値がほとんど変化してい ないことが分かった。よって、実施例3で得 れた抵抗変化型素子は、良好なエンデュラ ス特性を示すことが分かった。

 [実施例5]
 シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるよ に、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm) がスパッタリングにより形成された。ZnFe 2 O 4 とFe 3 O 4 のターゲットが用意され、スパッタリングに よりそれぞれのターゲットが同時に放電させ され、下部電極の上に(Zn x Fe 1-x )Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する抵 抗変化層(大きさは10μm×10μm)が形成された。 抗変化層の厚さは100nmとした。さらに、抵 変化層の上に、0.2μmの厚さとなるように、Pt よりなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッ タリングにより形成され、抵抗変化型素子が 得られた。

 実施例5では、抵抗変化層を構成する(Zn x Fe 1-x )Fe 2 O 4 のXの値が0.50となるように、それぞれのター ットに印加される電圧が調整された。Xの値 は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリン )法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせ 検証された。検証の結果、Xの値は0.50であっ た。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。 施例5における抵抗変化層の抵抗率は、3ωcm あった。

 上記方法により得られた抵抗変化型素子 電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧 +5Vが-5V、パルス幅はいずれも200ns)が交互に 加された。電圧は、下部電極に対する上部 極の電位が高くなる電圧をプラスとした。

 電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変 型素子の抵抗値が測定された。測定時には +0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度 の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化し なかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電 とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算さ た。

 本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切 ても抵抗値が変化しない不揮発性を有する とが確認された。また、電圧パルス印加時 流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下 あった。したがって、大容量の記憶装置を 現するために微細化した場合に、省電力を 現できる可能性が十分あることが分かった

 図11は、実施例5の抵抗変化型素子に対し 電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を す図である。図に示すように、1回目のパル ス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗 態(約4500ω)から低抵抗状態(約2000ω)へと変化 した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印 )により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復 帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極 パルスと負極性パルス)の印加により、安定 して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に 遷移した。すなわち、実施例5で得られた抵 変化型素子は1回目のパルス印加から良好の モリ特性を有していた。よって、実施例5の 抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であ って、各層を形成して得られた抵抗変化型素 子をそのままの状態でメモリとして用いるこ とができることが分かった。

 実施例5の抵抗変化型素子が低抵抗状態に あるときに正極性パルスを印加しても、抵抗 値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままで あった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状 態にあるときに負極性パルスを印加しても、 抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のま まであった。以上の結果から、実施例1の抵 変化型素子は上書き可能であることが分か た。

 [比較例1]
 比較例1では、パラメータが違うことを除け ば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子 形成され、書き込みおよび読み出しが行わ た。

 すなわち、比較例1では抵抗変化層を構成す る(Ni x Fe 1-x )Fe 2 O 4 のXの値が0.30となるように、それぞれのター ットに印加される電圧が調整された。Xの値 は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリン )法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせ 検証された。検証の結果、Xの値は0.30であっ た。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。 較例1における抵抗変化層の抵抗率は、0.3ωc mであった。

 図12は、比較例1の抵抗変化型素子に対し 電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を す図である。図に示すように、X=0.30では、 圧パルスを印加しても抵抗値の変化はほと どなく、メモリ特性を示さなかった。

 [比較例2]
 比較例2では、パラメータが違うことを除け ば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子 形成され、書き込みおよび読み出しが行わ た。

 すなわち、比較例2では抵抗変化層を構成す る(Ni x Fe 1-x )Fe 2 O 4 のXの値が0.95となるように、それぞれのター ットに印加される電圧が調整された。Xの値 は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリン )法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせ 検証された。検証の結果、Xの値は0.95であっ た。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。 較例2における抵抗変化層の抵抗率は、150ωc mであった。

 図12は、比較例3の抵抗変化型素子に対し 電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を す図である。図に示すように、X=0.90では、 圧パルスを印加しても抵抗値の変化はほと どなく、メモリ特性を示さなかった。

 [比較例3]
 シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるよ に、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm) がスパッタリングにより形成された。Fe 3 O 4 のターゲットが用意され、スパッタリングに より、下部電極の上にFe 3 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する抵 抗変化層(大きさは10μm×10μm)が形成された。 抗変化層の厚さは100nmとした。さらに、抵 変化層の上に、0.2μmの厚さとなるように、Pt よりなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッ タリングにより形成され、抵抗変化型素子が 得られた。
抵抗率は、4端子4探針法で測定された。比較 3における抵抗変化層の抵抗率は、0.01ωcmで った。

 上記方法により得られた抵抗変化型素子 電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧 +3Vが-3V、パルス幅はいずれも100ns)が選択的 印加された。電圧は、下部電極に対する上 電極の電位が高くなる電圧をプラスとした

 電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変 型素子の抵抗値が測定された。測定時には +0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度 の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化し なかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電 とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算さ た。

 図14は、比較例3の抵抗変化型素子に対し 電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を す図である。図に示すように、比較例3の抵 抗変化型素子は、初期状態における抵抗値が 低く、-3V、100μsのフォーミング電圧パルスを 6回印加した後で始めて、メモリ特性が発揮 れるようになった。すなわち、比較例3で得 れた抵抗変化型素子はメモリ特性を発揮さ るためにフォーミングが必要であることが かった。

 [実施例6]
 実施例1ないし実施例5では、抵抗変化型素 が2つの抵抗状態を有する。かかる特定を使 して、それぞれの抵抗状態における抵抗値 数値を割り当ることにより、「1ビット」の データを読み書き可能とした。しかし、3個 上の抵抗状態を設定し、書き込む値に応じ 各抵抗状態へと抵抗変化型素子を遷移させ ことで、多値データ(3つ以上の値を取りうる データ)を読み書き可能とすることが可能と る。

 図15は、実施例6の抵抗変化型素子に対して 圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示 図である。本実施例では、抵抗変化層とし Ni 0.9 Fe 0.1 Fe 2 O 4 の化学式で表されるスピネル構造を有する材 料を抵抗変化層に用いて抵抗変化型素子を形 成した(実施例3と同様)。この抵抗変化型素子 に、+3V、100nsの正極性パルスを印加すると、 15に示すように、抵抗変化型素子の抵抗値 、約50000ωから約8600ωへと変化した。(抵抗率 は、4端子4探針法で測定された。)続いて、-1V 、100nsの負極性パルスを抵抗変化型素子に印 すると、図15に示すように、1回目の印加で1 5000ωへ、2回目の印加で25000ωへ、3回目の印加 で40000ωへ変化し、4回目の印加で約50000ωへと 復帰した。同様の処理を繰り返すことにより 、再現性よく、5個の抵抗状態の間を遷移し 。

 以上の結果から、実施例6の抵抗変化型素 子は多値メモリとして利用可能であることが 分かった。なお、例えば負極性パルスの電圧 やパルス幅を調整することで、1回のみの電 パルス印加で、抵抗変化型素子を所望の抵 値へと変化させることとしてもよい。この 合、正極性パルスの種類は1種類のみである 、負極性パルスの種類は複数存在すること なる。

 [考察]
 比較例3から、Fe 3 O 4 を抵抗変化層に用いた抵抗変化型素子にメモ リ特性を発現させるためには、フォーミング と呼ばれる前処理が必要であることが分かる 。比較例3のフォーミング処理では、-3V、100μ sの電圧パルスを数回印加することで抵抗値 増加する。このことから、該フォーミング 理は、Fe 3 O 4 の一部をγ-Fe 2 O 4 あるいはα-Fe 2 O 4 の高抵抗相に変える(酸化する)過程と考えら る。

 パルス抵抗変化を示しているのは、あくま もFe 3 O 4 であると考えられる。メモリ特性を発現させ るためには抵抗の低いFe 3 O 4 が抵抗の高い材料と混じりあい、全体として 抵抗値が高くなる必要があると考えられる。

 実施例1ないし5で判明したように、Fe 3 O 4 にNiやZnなどの添加元素を入れると抵抗値が 加する。実施例1ないし5でフォーミングが不 要となったのは、NiやZnなどの遷移金属を添 することで抵抗値が増加したためと考えら る。NiやZn以外でも、Fe 3 O 4 と同じ構造を有し(スピネル構造のFe 3 O 4 において、結晶構造を維持したままFeのサイ を置換可能であり)、電気抵抗を上昇させる 元素であれば、該元素をFeの代わりに部分的 存在させることでフォーミングが不要にな ことが類推される。かかる元素としては、N i、Zn以外に、Cu、Mn、Coが挙げられる。

 また、各実施例で得られた抵抗変化層は モルファス構造ではなく多結晶構造を有す 。よって、本実施例の抵抗変化型素子は、 来の抵抗変化型素子よりも長期間使用して メモリとしての信頼性を維持できることが かる。また、データが書き込まれた状態で 時間放置しても、抵抗値の変化が起こりに く、データのリテンションが十分確保され ことが分かる。

 (第2実施形態)
 本実施形態では、第1実施形態で述べた抵抗 変化型素子の応用例として、当該抵抗変化型 素子を組み込んだ抵抗変化型記憶装置200の構 成および動作を説明する。

 [抵抗変化型記憶装置200の構成] 
 図16は、本発明の第2実施形態の抵抗変化型 憶装置の一構成例を示したブロック図であ 。 

 抵抗変化型記憶装置200は、メモリアレイ2 01と、アドレスバッファ202と、制御部203(電圧 パルス印加装置)と、行デコーダ204と、ワー 線ドライバ205(ワード線駆動部)と、列デコー ダ206と、ビット線/プレート線ドライバ207(ビ ト線/プレート線駆動部)とを備える。

 メモリアレイ201には、図16に示すように 第1方向に延びる2本のワード線W1、W2と、ワ ド線W1、W2と交差して第2方向に延びる2本の ット線B1、B2と、ビット線B1、B2に一対一で対 応して第2方向に延びる2本のプレート線P1、P2 と、ワード線W1、W2とビット線B1、B2との間の 交差点に対応してマトリクス状に設けられ 4個のトランジスタT211、T212、T221、T222と、 ランジスタT211、T212、T221、T222に一対一で対 してマトリクス状に設けられた4個のメモリ セルMC211、MC212、MC221、MC222と、がある。勿論 ここで述べた個数や本数に限られるもので く、例えば、図16の抵抗変化型記憶装置200 は、メモリアレイ201中に4つのメモリセルMC21 1、MC212、MC221、MC222を含む例が示されている 、5つ以上のメモリセルをマトリックス状に 列するよう、メモリアレイを構成しても良 。

 なおメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222の 々は、本発明の抵抗変化型素子を備えてお 、例えば第1実施形態の図2に示した抵抗変化 型素子10からなる。

 ここで、トランジスタT211およびメモリセ ルMC211は、ビット線B1とプレート線P1との間に おいて、トランジスタT211のソース(第2主端子 )とメモリセル211の第1端子11(図2参照)とが接 されるようにして直列に並んでいる。より しくは、トランジスタT211は、ビット線B1と モリセルMC211との間で、ビット線B1とメモリ ルMC211とに接続され、メモリセルMC211は、ト ランジスタT211とプレート線P1との間で、トラ ンジスタT211とプレート線P1とに接続されてい る。なお、トランジスタT211のドレイン(第1主 端子)はビット線B1に接続され、メモリセルMC2 11の第2端子12(図2参照)は、プレート線P1に接 されている。また、トランジスタT211のゲー (制御端子)がワード線W1に接続されている。 なお、トランジスタT211のソースとドレイン 、入れ替わっていてもよい。すなわち、ソ ス(第1主端子)がビット線B1に、ドレイン(第2 端子)がメモリセル211の第1端子11に接続され ていてもよい。トランジスタは例えばMOS-FET もよいが、制御端子と第1主端子、第2主端子 を備えるスイッチング素子であればどのよう なものでもよい。

 なおここで、他の3個のトランジスタT212 T221、T222およびこれらのトランジスタT212、T2 21、T222と直列配置される3個のメモリセルMC212 、MC211、MC222は、トランジスタT211とメモリセ MC211と同様の態様でビット線およびプレー 線に接続される(図16参照)。

 これにより、トランジスタT211、T212、T221 T222の各々のゲートに、ワード線W1またはワ ド線W2を介して所定の電圧(活性化電圧)が印 加されると、トランジスタT211、T212、T221、T22 2のドレインとソースとの間が導通する。

 アドレスバッファ202は、外部回路(不図示 )からアドレス信号ADDRESSを受け取り、このア レス信号ADDRESSに基づいて行アドレス信号ROW を行デコーダ204に出力するとともに、列アド レス信号COLUMNを列デコーダ206に出力する。ア ドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC211、MC212、M C221、MC222のうちの選択されるメモリセルのア ドレスを示す信号である。行アドレス信号ROW は、アドレス信号ADDRESSに示されたアドレス うちの行のアドレスを示す信号であり、列 ドレス信号COLUMNは、アドレス信号ADDRESSに示 れたアドレスのうちの列のアドレスを示す 号である。

 制御部203は、外部回路から受け取ったモ ド選択信号MODEに応じて、書き込みモード(Di nの値によって、低抵抗状態への書き込みモ ドまたは高抵抗状態への書き込みモードが 一的に選択される)または読み出しモードの ちのいずれか1つのモードを選択する。

 制御部203は、書き込みモードでは、外部 路から受け取った入力データDinに応じて、 低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」 たは「高抵抗状態への書き込み電圧パルス 加」を指示する制御信号CONTをビット線/プ ート線ドライバ207に出力する。

 制御部203は、読み出しモードでは、「読み し(再生)電圧印加」を指示する制御信号CONT ビット線/プレート線ドライバ207に出力する 。制御部203は、読み出しモードでは、更に、 ビット線/プレート線ドライバ207から出力さ る信号I READ を受け取り、この信号I READ に応じたビット値を示す出力データDoutを外 回路へ出力する。なお、この信号I READ は、読み出しモード時にプレート線P1、P2を れる電流の電流値を示す信号である。

 行デコーダ204は、アドレスバッファ202か 出力された行アドレス信号ROWを受け取り、 の行アドレス信号ROWに応じて、2本のワード 線W1、W2のうちのいずれか一方を選択する。 ード線ドライバ205は、行デコーダ204の出力 号に基づいて行デコーダ204によって選択さ たワード線に活性化電圧を印加する。

 列デコーダ206は、アドレスバッファ202か 列アドレス信号COLUMNを受け取り、この列ア レス信号COLUMNに応じて、2本のビット線B1、B 2のうちいずれか一方を選択するとともに、2 のプレート線P1、P2のうちのいずれか一方を 選択する。

 ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部 203から「低抵抗状態への書き込み電圧パルス 印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると 列デコーダ206の出力信号に基づいて列デコ ダ206によって選択されたビット線に低抵抗 態への書き込み電圧パルスV WRITELOW (第1電圧パルス)を印加するとともに、列デコ ーダ206によって選択されたプレート線を接地 (第2電圧パルス)状態にする。

 ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部 203から「高抵抗状態への書き込み電圧パルス 印加」を指示する制御信号CONTを受けると、 デコーダ206の出力信号に基づいて列デコー 206によって選択されたビット線に高抵抗状 への書き込み電圧パルスV WRITEHIGH (第1電圧パルス)を印加するとともに、列デコ ーダ206によって選択されたプレート線を接地 (第2電圧パルス)状態にする。

 ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部 203から「読み出し電圧印加」を指示する制御 信号CONTを受け取ると、列デコーダ206の出力 号に基づいて列デコーダ206によって選択さ たビット線に読み出し電圧V READ (第1読出電圧)を印加するとともに、列デコー ダ206によって選択されたプレート線を接地( 2読出電圧)状態にする。その後、ビット線/ レート線ドライバ207は、そのプレート線を れる電流の電流値を示す信号I READ を制御部203に出力する。

 なおここで、低抵抗状態への書き込み電圧 ルスV WRITELOW の電圧値は、例えば「+2V」に設定され、その パルス幅が「100ns」に設定される。高抵抗状 への書き込み電圧パルスV WRITEHIGH の電圧値は、例えば「-2V」に設定され、その パルス幅が「100ns」に設定される。読み出し 圧V READ の電圧値は、例えば「+0.5V」に設定される。

 [抵抗変化型記憶装置200の動作] 
 次に、図16に示した抵抗変化型記憶装置200 動作例を説明する。

 この抵抗変化型記憶装置200の動作には、 モリセルに「1」を書き込む低抵抗状態への 書き込みモードと、メモリセルに「0」を書 込む高抵抗状態への書き込みモードと、メ リセルに書き込まれたデータを出力データDo utとして出力(再生)する読み出しモードとが 在する。以下、これらの各モードの動作を 番に述べる。

 なお以下の説明の便宜上、メモリセルMC21 1、MC212、MC221、MC222は、高抵抗の状態に初期 されているものとし、アドレス信号ADDRESSは メモリセルMC211のアドレスを示す信号であ とする。

 [低抵抗状態への書き込みモード]
 まず、抵抗変化型記憶装置200の低抵抗状態 の書き込みモードの動作例を説明する。

 制御部203は、外部回路から入力されるMODE 信号が書き込みモードを示す場合に、外部回 路から入力データDinを受け取る。そして、制 御部203は、この入力データDinが「1」である 合には、「低抵抗状態への書き込み電圧パ ス印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレ ート線ドライバ207に出力する。

 次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、 制御部203から「低抵抗状態への書き込み電圧 パルス印加」を示す制御信号CONTを受け取る 、列デコーダ206によって選択されたビット B1に低抵抗状態への書き込み電圧パルスV WRITELOW を印加する。また、ビット線/プレート線ド イバ207は、列デコーダ206によって選択され プレート線P1を接地状態にする。

 なおこの場合、ワード線ドライバ205は、 デコーダ204によって選択されたワード線W1 活性化電圧を印加する。これにより、トラ ジスタT211のドレインおよびソース間が導通 態になっている。

 電圧値を「+2V」およびパルス幅を「100ns」 設定させた低抵抗状態への書き込み電圧パ スV WRITELOW (正極性パルス)が、メモリセルMC211には印加 れ、これにより、メモリセルMC211の抵抗値は 、高抵抗の状態から低抵抗の状態になる。一 方、メモリセルMC221、MC222には正極性パルス 印加されず、メモリセルMC212と直列接続され たトランジスタT212のゲートには活性化電圧 印加されないので、これらのメモリセルMC212 、MC221、MC222の抵抗状態は変化しない。

 このようにして、メモリセルMC211の抵抗 態のみを、低抵抗状態へと変化させること でき、これにより、メモリセルMC211に、低抵 抗状態に対応する「1」を示す1ビットデータ 書き込まれる(1ビットデータを記憶できる)

 なおメモリセルMC211への書き込みが完了 ると、アドレスバッファ202に新たなアドレ 信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変化型 憶装置200の低抵抗状態への書き込みモード 動作が、メモリセルMC211以外のメモリセル 対して繰り返される。

 [高抵抗状態への書き込みモード]
 次に、抵抗変化型記憶装置200の高抵抗状態 の書き込みモードの動作例を説明する。

 制御部203は、外部回路から入力されるMODE 信号が書き込みモードを示す場合に、外部回 路から入力データDinを受け取る。そして、制 御部203は、この入力データDinが「0」である 合には、「高抵抗状態への書き込み電圧パ ス印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレ ート線ドライバ207に出力する。

 次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、 制御部203から「高抵抗状態への書き込み電圧 パルス印加」を示す制御信号CONTを受け取る 、列デコーダ206によって選択されたビット B1に高抵抗状態への書き込み電圧パルスV WRITEHIGH を印加する。また、ビット線/プレート線ド イバ207は、列デコーダ206によって選択され プレート線P1を接地状態にする。

 なおこの場合、ワード線ドライバ205は、 デコーダ204によって選択されたワード線W1 活性化電圧を印加する。これにより、トラ ジスタT211のドレインおよびソース間が導通 態になっている。

 電圧値を「-2V」およびパルス幅を「100ns」 設定させた高抵抗状態への書き込み電圧パ スV WRITEHIGH (負極性パルス)が、メモリセルMC211には印加 れ、これにより、メモリセルMC211の抵抗値は 、低抵抗の状態から高抵抗の状態になる。一 方、メモリセルMC221、MC222には負極性パルス 印加されず、メモリセルMC212と直列接続され たトランジスタT212のゲートには活性化電圧 印加されないので、これらのメモリセルMC212 、MC221、MC222の抵抗状態は変化しない。

 このようにして、メモリセルMC211の抵抗 態のみを、高抵抗状態へと変化させること でき、これにより、メモリセルMC211に、高抵 抗状態に対応する「0」を示す1ビットデータ 書き込まれる(1ビットデータを記憶できる)

 なおメモリセルMC211への書き込みが完了 ると、アドレスバッファ202に新たなアドレ 信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変化型 憶装置200の低抵抗状態への書き込みモード 動作が、メモリセルMC211以外のメモリセル 対して繰り返される。

 [読み出しモード]
 次に、抵抗変化型記憶装置200の読み出しモ ドの動作例を説明する。

 制御部203は、外部回路から入力されるMODE 信号が読み出しモードを示す場合に、「読み 出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビ ト線/プレート線ドライバ207に出力する。

 次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、 制御部203から「読み出し電圧印加」を示す制 御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によ て選択されたビット線B1に読み出し電圧V READ を印加する。また、ビット線/プレート線ド イバ207は、列デコーダ206によって選択され プレート線P1を接地状態にする。

 なおこの場合、ワード線ドライバ205は、 デコーダ204によって選択されたワード線W1 活性化電圧を印加されている。これにより トランジスタT211のドレインおよびソース間 導通状態になっている。

 このため、電圧値を「+0.5V」に設定させた み出し電圧V READ としての測定電圧が、メモリセルMC211には印 され、これにより、メモリセルMC211の抵抗 に応じた電流値を示す電流がメモリセルMC211 を通って、プレート線P1に流れ込む。

 なおメモリセルMC221、MC222には測定電圧が 印加されず、メモリセルMC212と直列接続され トランジスタT212のゲートには活性化電圧が 印加されないので、メモリセルMC212、MC221、MC 222には上記電流が流れない。

 次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、 プレート線P1を流れる電流の電流値を測定し その測定値を示す信号I READ を制御部203に出力する。

 次に、制御部203は、その信号I READ に示された電流値に応じた出力データDoutを 部に出力する。例えば、メモリセルMC211が低 抵抗の状態のときに流れる電流の電流値であ れば、制御部203は、「1」を示す出力データDo utを出力する。

 このようにして、メモリセルMC211のみに モリセルMC211の抵抗値の状態を反映させた電 流を流せ、当該電流がプレート線P1に流出す ので、メモリセルMC211から1ビットデータを み出される(1ビットデータを再生できる)。

 なお、メモリセルMC211からの読み出しが 了すると、アドレスバッファ202に新たなア レス信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変 型記憶装置200の読み出しモードの動作が、 モリセルMC211以外のメモリセルに対して繰 返される。

 [効果]
 以上に説明したように、第1実施形態で述べ た抵抗変化型素子をメモリセルMC211、MC212、MC 221、MC222としてメモリアレイ201に組み込み、 のメモリアレイ201を用いて抵抗変化型記憶 置200を構成できる。このため、本実施形態 抵抗変化型記憶装置200は、製造温度が低く フォーミングが不要であり、低抵抗状態か 高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定 に優れた抵抗変化型記憶装置を提供するこ が可能となる。

 なお、抵抗変化型素子を構成する抵抗変 層は、アモルファス構造ではなく多結晶構 を有する。したがって、この抵抗変化型記 装置200は、従来の抵抗変化型記憶装置より 長時間使用してもメモリアレイとしての信 性を維持できる。

 (第3実施形態) 
 本実施形態では、第2実施形態で述べた抵抗 変化型記憶装置200の応用例として、当該抵抗 変化型記憶装置200を組み込んだEmbedded-RAMであ る抵抗変化型装置300の構成および動作を説明 する。

 [抵抗変化型装置300の構成] 
 図17は、本発明の第3実施形態の抵抗変化型 置(Embedded-RAM)の一構成例を示したブロック である。この抵抗変化型装置300は、第2実施 態(図17)で述べた抵抗変化型記憶装置200と、 論理回路301とを備え、1つの半導体チップ上 形成される回路である。この抵抗変化型記 装置200は、ここでは、データRAMとして使用 れるが、抵抗変化型記憶装置200の構成は、 2実施形態で詳述したので、省略する。論理 路301は、所定の演算(例えば、音声データ・ 画像データの符号化/ 復号化)を行う回路で り、その演算の際に、抵抗変化型記憶装置20 0を利用する。すなわち、論理回路301は、抵 変化型記憶装置200に対するアドレス信号ADDRE SSおよびモード選択信号MODEを制御するよう構 成され、これにより、抵抗変化型記憶装置200 へのデータの書き込み/読み出しが実行され 。

 [抵抗変化型装置300の動作] 
 次に、図17に示した抵抗変化型装置300の動 を説明する。この抵抗変化型装置300の動作 は、抵抗変化型記憶装置200に「1」データを き込む低抵抗状態への書き込み処理と、抵 変化型記憶装置200に「0」データを書き込む 高抵抗状態への書き込み処理と、抵抗変化型 記憶装置200に書き込んだデータを読み出す読 み出し処理とが存在する。以下、これらの各 処理における動作を順番に述べる。なお以下 の動作においては、第2実施形態で説明した 抗変化型記憶装置200の「低抵抗状態への書 込みモード」、「読み出しモード」および 高抵抗状態への書き込みモード」の各動作 利用されるが、ここでは、抵抗変化型記憶 置200の詳細な動作説明は省く。

 [書込処理]
 まず、抵抗変化型装置300による抵抗変化型 憶装置200への書込処理を説明する。

 論理回路301は、抵抗変化型記憶装置200に 定のデータ(例えば、符号化動画像データ等 )を書き込むために、抵抗変化型記憶装置200 「書き込みモード」を示すモード選択信号MO DEを制御部203に出力する。

 次に、論理回路301は、その所定のデータ 書き込むメモリセルを選択するために、ア レス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のア ドレスバッファ202に順次出力する。これによ り、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信 号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択され 。

 次に、論理回路301は、その所定のデータ 1ビットずつ、1ビットデータDinとして抵抗 化型記憶装置200の制御部203に出力する。

 次に、抵抗変化型記憶装置200では、入力 れるDinの値に応じて、第2実施形態で説明し た低抵抗状態への書き込みモードあるいは高 抵抗状態への書き込みモードと同様の動作が 択一的に行われる。これにより、抵抗変化型 記憶装置200にその所定のデータが1ビットず 書き込まれる。

 [読出処理]
 次に、抵抗変化型装置300による抵抗変化型 憶装置200からの読出処理を説明する。

 論理回路301は、抵抗変化型記憶装置200に き込んだデータを読み出すために、抵抗変 型記憶装置200の「読み出しモード」を示す ード選択信号MODEを制御部203に出力する。

 次に、論理回路301は、書き込まれたデー を読み出すメモリセルを選択するために、 ドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200の アドレスバッファ202に順次出力する。これに より、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス 信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択さ る。

 次に、抵抗変化型記憶装置200では、第2実 施形態で説明した読み出しモードと同様の動 作が行われる。これにより、抵抗変化型記憶 装置200に記憶されたデータが1ビットずつ、 力データDoutとして読み出される。

 [効果]
 以上に説明したように、第2実施形態で述べ た抵抗変化型記憶装置200を用いて抵抗変化型 装置300を構成できる。このため、本実施形態 の抵抗変化型装置300は、製造温度が低く、フ ォーミングが不要であり、低抵抗状態から高 抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に 優れた抵抗変化型記憶装置を提供することが 可能となる。

 そして、本実施形態の抵抗変化型装置300 よれば、格段に動作速度が高まった抵抗変 型記憶装置200に大量のデータを高速に記憶 せることができ好適である。

 (第4実施形態)
 本実施形態では、第2実施形態で述べた抵抗 変化型記憶装置200の他の応用例として、抵抗 変化型記憶装置200を組み込んだReconfigurable-LSI である抵抗変化型装置400の構成および動作を 説明する。

 [第2半導体集積回路の構成] 
 図18は、本発明の第4実施形態の抵抗変化型 置(Reconfigurable-LSI)の一構成例を示したブロ ク図である。

 この抵抗変化型装置400は、第2実施形態( 16)で述べた抵抗変化型記憶装置200と、プロ ッサ401と、インターフェイス402を備えてな 、これらが、1つの半導体チップ上に形成さ ている。抵抗変化型記憶装置200は、ここで 、プログラムROMとして使用され、プロセッ 401の動作に必要なプログラムを記憶するが 抵抗変化型記憶装置200の構成は、第2実施形 態で詳述したので、省略する。プロセッサ401 は、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプロ グラムに従って動作し、抵抗変化型記憶装置 200およびインターフェイス402を制御する。な お、外部機器(不図示)から入力されたプログ ムが、インターフェイス402を介して抵抗変 型記憶装置200に順次出力される。

 [第2抵抗変化型装置400の動作]
 次に、図18に示した半導体集積回路(Reconfigur able-LSI)400の動作を説明する。この抵抗変化型 装置400による動作には、記憶されたプログラ ムに従って動作するプログラム実行処理(プ グラム実行モード)と、抵抗変化型記憶装置2 00に記憶されたプログラムを別の新たなプロ ラムに書き換えるプログラム書き換え処理( プログラム書き換えモード)とが存在する。 お以下の動作においては、第2実施形態で説 した抵抗変化型記憶装置200の「低抵抗状態 の書き込みモード」、「読み出しモード」 よび「高抵抗状態への書き込みモード」の 動作が利用されるが、ここでは、抵抗変化 記憶装置200の詳細な動作説明は省く。

 [プログラム実行モード]
 まず、抵抗変化型装置400のプログラム実行 ードにおける動作を説明する。

 プロセッサ401は、抵抗変化型記憶装置200 記憶されたプログラムを読み出すために、 抗変化型記憶装置200の「読み出しモード」 示すモード選択信号MODEを制御部203に出力す る。

 次に、プロセッサ401は、その必要なプロ ラムが書き込まれたメモリセルを示すアド ス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアド レスバッファ202に順次出力する。これにより 、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号 ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される

 次に、抵抗変化型記憶装置200では、第2実 施形態で説明した読み出しモードと同様の動 作が行われる。これにより、抵抗変化型記憶 装置200に記憶されたプログラムが出力データ Doutとして1ビットずつ、読み出される。

 このようにして、プロセッサ401は、読み したプログラムに従って所定の演算を行え 。

 [プログラム書き換えモード]
 次に、抵抗変化型装置400のプログラム書き えモードにおける動作を説明する。

 プロセッサ401は、抵抗変化型記憶装置200 記憶されたプログラム(書換対象となるプロ グラム)を書き換えるために、抵抗変化型記 装置200の「書き込みモード」を示すモード 択信号MODEを制御部203に出力する。

 次に、プロセッサ401は、新たなプログラ を記憶すべきメモリセルの位置を示すアド ス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアド レスバッファ202に順次出力する。これにより 、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号 ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される

 次に、プロセッサ401は、外部からインタ フェイス402を介して1ビットずつ、抵抗変化 型記憶装置200の制御部203に出力する。抵抗変 化型記憶装置200では、プロセッサ401から入力 されたデータの値に基づいて、第2実施形態 説明した低抵抗状態への書き込みモードあ いは高抵抗状態への書き込みモードと同様 動作が択一的に行われる。これにより、新 なプログラムが抵抗変化型記憶装置200に1ビ トずつ記憶される。

 このように、抵抗変化型記憶装置200は書 換え可能な不揮発性メモリであるため、記 するプログラムの内容を書き換えた上で、 源を切ってもこれを保存することができる つまり、プロセッサ401において実現される 能が容易に改変できる。また、複数のプロ ラムを抵抗変化型記憶装置200に記憶してお 、読み出すプログラムに応じてプロセッサ4 01で実現される機能を変更することも可能で る。

 [効果]
 以上に説明したように、第2実施形態で述べ た抵抗変化型記憶装置200を用いて抵抗変化型 装置400を構成できる。このため、本実施形態 の抵抗変化型装置400は、製造温度が低く、フ ォーミングが不要であり、低抵抗状態から高 抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に 優れた抵抗変化型記憶装置を提供することが 可能となる。

 そして、本実施形態の抵抗変化型装置400 よれば、格段に動作速度が高まった抵抗変 型記憶装置200に用いて1つのプロセッサ(LSI) 異なる機能が実現でき(いわゆるre-configurable )好適である。

 (第2、第3、第4実施形態における変形例)
 なお、上記第2、第3および第4実施形態の説 においては、低抵抗状態への書き込み電圧 ルスV WRITELOW の電圧値(+2V)とパルス幅(100ns)、および、高抵 抗状態への書き込み電圧パルスV WRITEHIGH の電圧値(-2V)とパルス幅(100ns)を例示したが、 抵抗変化型素子の抵抗状態の変化させるため に必要な電圧パルスの条件を満たせば他の電 圧値やパルス幅を用いても良い。

 また、上記第2、第3および第4実施形態で 、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子を「 記憶素子」として利用する例を説明したが、 利用の用途はこれに限定されない。例えば、 第1実施形態で述べた抵抗変化型素子の他の 用形態として、第1実施形態で述べた抵抗変 型素子を、複数の信号の切り替えを決定す スイッチング素子、周波数の切り替えに用 られる抵抗変化型素子、複数の信号の混合 率を決定する抵抗変化型素子、または、コ デンサーとの組み合わせで時定数を決定す 時定数変化素子として用いることができる

 上述の説明では、抵抗変化型素子が上書 可能である場合を想定して説明したが、上 きすると正常に動作しにくい場合などには 書き込み前に抵抗変化型素子の抵抗状態を み出して書き込み用パルスを印加するか否 が選択されてもよいし、書き込み前に書き み対象となるそれぞれの抵抗変化型素子の 抗状態を初期状態に揃えた上で改めて必要 抵抗変化型素子に対して書き込みが行われ もよい。

 (第5実施形態)
 図19および図20は、第1実施形態で述べた抵 変化型素子と同様に構成された抵抗変化型 子の他の用途例を示したブロック図である 図19は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型 子を用いた周波数可変回路の構成を示した ロック図である。図20は、本発明の第1実施 態の抵抗変化型素子を用いたミキシング回 の構成を示したブロック図である。なお図14 において、抵抗変化型素子10および、これに 続される電源5とスイッチSWa、SWb以外の素子 の構成および動作の説明は省略する。図中VCO は、Voltage Controlled Oscillator(電圧[制御電圧] 発振周波数を制御する発振器)を示す。

 図19および図20において、抵抗変化型素子 10の抵抗値を変化させる場合、スイッチSWa、S Wbを切り替えて抵抗変化型素子10と電源5とを 気的に接続する。次に、電源5によって所定 の電圧パルスが抵抗変化型素子10に印加され 。これにより、抵抗変化型素子10の抵抗値 変化する。そして、スイッチSWa、SWbを元の 続状態に戻せば、抵抗変化型素子10の抵抗値 を容易に改変できる。このような抵抗変化型 素子10を使用することにより、図19に示した 波数可変回路や、図20に示した2つの信号の 合比率を変えるミキシング回路を構成でき 。

 本実施形態においても、上述の同様の変形 が適用可能である。

 上記説明から、当業者にとっては、本発明 多くの改良や他の実施形態が明らかである 従って、上記説明は、例示としてのみ解釈 れるべきであり、本発明を実行する最良の 様を当業者に教示する目的で提供されたも である。本発明の精神を逸脱することなく その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変 更できる。


 本発明の抵抗変化型素子および抵抗変化型 憶装置は、製造温度が低く、フォーミング 不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態へ 書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗 化型素子、抵抗変化型記憶装置、抵抗変化 装置として有用である。