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Title:
ROLLING ROLL AND ROLLER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143161
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a rolling roll comprising a rolling ring and a base metal, which rolling roll has reduced tensile stress acting on the rolling ring located on the outer peripheral side and thus can avoid the occurrence of crack. A rolling roll (10) comprises a rolling ring (11) and a ring-shaped base metal (12) provided on the inner periphery of the rolling ring (11). The rolling ring (11) is formed of cemented carbide and has, on its outer peripheral surface (11a), a rolling part (13) for rolling an object material. Inner and outer peripheral surfaces (14) of the rolling ring (11) and the base metal (12) provided opposite to each other are pressure bonded in a radial direction to the central axis line (L) of the inner and outer peripheral surfaces (14) while providing a tightening margin, and, at the same time, are bonded to each other with an adhesive (M).

Inventors:
YURI KOICHI (JP)
TAKATSUKI MITSUHIRO (JP)
OGURA EIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059008
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI MATERIALS CORP (JP)
YURI KOICHI (JP)
TAKATSUKI MITSUHIRO (JP)
OGURA EIJI (JP)
International Classes:
B21B27/03; B21B27/02
Foreign References:
JPS59135806U1984-09-11
JPH1024303A1998-01-27
JPS645702U1989-01-13
JP2004050216A2004-02-19
JPS6368207A1988-03-28
JP3116040B22000-12-11
JPH03154B21991-01-07
Other References:
See also references of EP 2147728A4
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Claims:
 外周面に被加工物を圧延成形するための圧延部が形成された超硬合金よりなる圧延リングと、
 前記圧延リングの内周に配設されるリング状の台金とを備え、
 前記圧延リングと前記台金の互いに対向する内外周面は、該内外周面の中心軸線に対する径方向に締め代をもって圧着されているとともに、接着剤によって接着されていることを特徴とする圧延ロール。
 前記内外周面は、前記中心軸線方向に傾斜するテーパ面であって、前記圧延リングに前記台金が圧入されることによって圧着されていることを特徴とする請求項1記載の圧延ロール。
 前記内外周面の前記中心軸線に対して傾斜するテーパ角度が、0°10″から2°00″の範囲内であることを特徴とする請求項2記載の圧延ロール。
 前記接着剤がメタクリレート系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧延ロール。
 軸線回りに回転されるテーパシャフトに、内周にテーパ面が設けられたテーパスリーブが取り付けられ、該テーパスリーブの外周に請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧延ロールが同軸に取り付けられて構成されていることを特徴とする圧延機。
Description:
圧延ロール及び圧延機

 本発明は、線材あるいは棒材の熱間圧延に 用される圧延ロール及び該圧延ロールを備 た圧延機に関する。

 一般に金属等の線材や棒材を連続的に生産 る場合には、外周面に圧延部となる成形溝 形成された圧延ロールによって被加工物で る金属素材を連続圧延加工することが広く われている。このような圧延には、一端が 動機の出力軸に接続されたシャフトを有す いわゆる方持ち式の圧延機が使用されてい 。該圧延機を用いた連続圧延加工において 、製品(線材や棒材)の表面を滑らかに仕上 るために、超硬合金で構成された圧延ロー がシャフトの外周に着脱可能に組み付けら ている(例えば特許文献1参照)。

 図5に、片持ち式の圧延機の一例を示す。こ の圧延機1は例えば鋼材によって形成され、 線Lに沿って延びる概略円柱状をなすシャフ 2を有し、このシャフト2の一端側(図5におい て左側)が出力軸(図示省略)に接続された片持 ち式の圧延機1である。シャフト2の他端側(図 5において右側)は、多段円柱状をなす小径部4 が形成されており、該小径部4の一端側には 他端側に向かうに従って外径が小さくなる ーパシャフト3が形成されている。

 このテーパシャフト3には、該テーパシャフ ト3に嵌合可能なテーパ孔6を有するテーパス ーブ5がテーパシャフト3の他端側から装着 れている。このテーパスリーブ5の外周面は 線Lと平行な円筒面とされており、テーパス リーブ5の肉厚は一端側に向かうにしたがい 次薄くなるように構成されている。また、 ーパスリーブ5の他端側には、テーパ孔6と同 軸状に延びる挿通孔7が穿設されていて、シ フト2の小径部4が挿入されている。

 このテーパスリーブ5の外周側には、超硬合 金で一体形成された概略円環状をなす圧延ロ ール8が配置されている。この圧延ロール8の 周面の軸線L方向中央部には、径方向内側に 向けて凹んだ断面半円状をなす圧延部9が形 されており、圧延ロール8の内周面は、軸線L と平行な円筒面とされている。

 ここで、シャフト2に装着されたテーパスリ ーブ5を一端側へと移動させることにより、 ーパシャフト3によってテーパスリーブ5が径 方向外側に向けて広がるように変形させられ ることになる。すると、テーパスリーブ5に って圧延ロール8の内周面が径方向外側に向 て広がるように押圧されることになり、テ パスリーブ5の外周面に圧延ロール8が固定 れる。ここで、テーパシャフト3とテーパス ーブ5とがテーパ嵌合によって固定されてい るので、シャフト2、テーパスリーブ5及び圧 ロール8が一体となって圧延機1が構成され ことになる。

 また上記のような超硬合金によって一体形 された圧延ロール8とは別に、圧延時にワー クと接触する外周部のみをリング状の超硬合 金として、その内周部に鋳鉄製リングを圧入 し、その鋳鉄製リングの内周に円筒状の鋼材 を冷やし嵌めし、その後それらに温度を加え て一体化させることによって、圧延ロール全 体として高価な超硬合金の使用を抑え、製作 コストを低減させた圧延ロールが知られてい る(例えば特許文献2参照)。

特許第3116040号公報

特公平3-154号公報

 ところで、特許文献1に記載の圧延ロールを 用いた圧延機においては、テーパスリーブ5 よって超硬合金で構成された圧延ロール8の 周面が径方向外側に向けて押し上げるよう 押圧して固定しているため、圧延ロール8の 外周面には円周方向への引っ張り応力が作用 することになる。ここで、超硬合金は、一般 に引張応力に対して脆いため、圧延ロール8 外周面にクラックが発生することがあった このクラックの発生を抑制するために、圧 ロール8の径方向の肉厚を大きくして剛性を 保しているが、この場合、圧延に使用され 部分が圧延ロール8全体に対して相対的に小 さくなり、必要以上に超硬合金の使用量が大 きくなって圧延ロール8の製作コストが大幅 増加してしまっていた。

 一方、特許文献2に記載の圧延ロールにおい ては、圧延時にワークと接触する外周部のみ をリング状の超硬合金としているため製作コ ストを低減させることは可能であるが、リン グ状の超硬合金に鋳鉄製リングを圧入した後 、該鋳鉄製リングの内周へ円筒状の鋼材を冷 やし嵌めするため、圧入と冷やし嵌めといっ た二段階で締め代が設けられることになり、 両リングが強固に一体化される一方で、圧延 リングの内周面が受ける面圧は大きなものと なり、圧延リングの外周面には円周方向に大 きな引張応力が作用してしまっていた。

 従って、このような特許文献2に記載の圧延 ロールを特許文献1に記載の片持ち式の圧延 1のシャフト2に固定した場合、圧延ロールの 内周面が径方向外側に向けて広がるように押 圧されるため、圧延リングが受ける引張応力 はさらに大きなものとなり、クラックの発生 が起こりやすくなってしまう。圧延ロールの 外周面にクラックが発生した場合には、この クラック内に金属素材等が入りこんで圧延を 良好に行うことができなくなるとともに、ク ラックが拡大して圧延ロール自体が破損して しまうおそれがある。このため、クラックが 発生した場合には圧延ロールを早期に交換す る必要があり、この圧延機の使用コストは却 って大幅に増大するおそれがあった。

 この発明は、このような課題に鑑みて、圧 リングと台金を一体化させてなる圧延ロー において、両リングを確実に一体化させる ともに、外周側に位置する圧延リングに作 する引張応力を低減させて、固定時に圧延 ールの内周面が径方向に押圧される片持ち の圧延機に使用してもクラックの発生を防 ことができる圧延ロール及び圧延機の提供 目的とする。

 前記課題を解決するため、本発明は以下の 段を提案している。
 即ち、本発明に係る圧延ロールは、外周面 被加工物を圧延成形するための圧延部が形 された超硬合金よりなる圧延リングと、前 圧延リングの内周に配設されるリング状の 金とを備え、前記圧延リングと前記台金の いに対向する内外周面は、該内外周面の中 軸線に対する径方向に締め代をもって圧着 れているとともに、接着剤によって接着さ ていることを特徴としている。

 圧延リングの内周面と台金との外周面とが 触してなる内外周面に締め代が設けられて 着されることによって一定の面圧が確保さ 、さらに該内外周面には接着剤が塗布され ため、圧延リング及び台金は面圧による圧 力と接着剤による接着力とによって強固に 体化される。また、必要以上に大きな締め を設けなくとも接着剤の接着力でその分の 着力をカバーし圧延リング及び台金を強固 一体化することができるため、径方向外側 向かって必要以上の押圧力が生じることは く、外周部に設けられた圧延リングに大き 引張応力が作用することはない。

 また、本発明に係る圧延ロールにおいては 前記内外周面は、前記中心軸線方向に傾斜 るテーパ面であって、前記圧延リングに前 台金が圧入されることによって圧着されて るものであってもよい。

 圧延リングに台金を圧入しテーパ嵌合させ ことによって締め代を設け、それにより一 の面圧を確保することによって圧延リング び台金を一体化することができるとともに 内外周面がテーパ状に傾斜しているため、 外周面が中心軸線に平行な場合に比べてそ 面積が大きくなり、接着剤を塗布すること できる範囲が増加して接着力をより大きな のとすることが可能となる。さらに、テー 状に傾斜した圧延リングの内周面に、外周 が同じく傾斜した台金を挿入することによ て、内外周面における接着剤が剥がれ落ち ことがなく均一に広がるため、接着剤によ 接着力を十分に確保することが可能となる

 さらに、本発明に係る圧延ロールにおいて 、前記内外周面の中心軸線に対して傾斜す テーパ角度が、0°10″から2°00″の範囲内で あることが好ましい。

 テーパ角度が0°10″以下の場合は、圧延リ グに台金を圧入する際に接着層が剥がれて まい接着剤による接着力を十分に確保する とができない。一方、テーパ角度が2°より きい場合にあっては十分な接着力が得られ いことが実験による測定結果から明らかと っている。従って、テーパ角を0°10″から2° 00″の範囲に設定することにより、接着剤に る接着力を十分に生かし、圧延リングと台 を強固に一体化させることが可能となる。

 また、本圧延ロールは前記接着剤がメタク レート系樹脂であることが好ましい。該接 剤は、せん断強度が19.6N/mm 2 以上と高い接着強度を有するとともに、空気 の供給が絶たれることによって素早く硬化し このような高い強度を発揮するため、より確 実に素早く圧延リングと台金を一体化させる ことができる。

 本発明に係る圧延機は、軸線回りに回転さ るテーパシャフトに、内周にテーパ面が設 られたテーパスリーブが取り付けられ、該 ーパスリーブの外周に上記の圧延ロールが 軸に取り付けられて構成されていることを 徴としている。

 この圧延機は、テーパシャフトによってテ パスリーブが径方向外側に向けて広がるよ に変形することによって、テーパスリーブ 圧延ロールの内周面を径方向外側に向けて げるように押圧し、テーパスリーブの外周 に圧延ロールが固定される構成となってい 。本発明に係る圧延ロールは、圧延リング 内周面と台金の外周面との間に必要以上に きな締め代を設けなくとも接着剤による接 力でその分の圧着力をカバーすることによ て圧延リング及び台金を一体化することが きるため、外周側に位置する圧延リングに 要以上の引張応力が作用することはない。 って、テーパシャフトによって径方向外側 の押圧力が作用しても、外周側の圧延リン にクラックが生じることはない。

 本発明によれば、圧延リングと台金を一体 させてなる圧延ロールにおいて、内外周面 締め代を設けてさらに接着剤を塗布するこ によって圧延リング及び台金を確実に一体 させることができるとともに、外周側に位 する圧延リングに作用する引張応力を低減 せることができ、特に固定時に圧延ロール 内周面が径方向に押圧される片持ち式の圧 機に使用した際であっても、クラックの発 を防ぐことが可能となる。

実施の形態に係る圧延ロールの側断面 である。 本実施の形態に係る圧延機の側断面図 ある。 本実施形態に係る圧延ロールの第一変 例である。 本字氏形態に係る圧延ロールの第二変 例である。 従来の圧延ロール及び圧延機の側断面 である。 実施例1及び実施例2における試験装置 概略構成図である。 実施例2における、テーパ角度と圧延リ ングから台金を抜くために要する抜力との関 係を示したグラフである。

符号の説明

 10  圧延ロール
 11  圧延リング
 12  台金
 13  圧延部
 14  内外周面
 20  圧延機
 23  テーパシャフト
 24  テーパスリーブ
 L   中心軸線
 M   接着剤
 θ   テーパ角度

 以下、本発明に係る圧延ロール及び圧延機 実施の形態について図1及び図2を用いて詳 に説明する。図1はこの発明の一実施形態に る圧延ロールを示す図、図2はこの発明の一 実施形態に係る圧延機を示す図である。圧延 ロール10は、外周側に位置する圧延リング11 、内周側に位置する台金12との二つのリング から構成される。

 圧延リング11は、超硬合金により略円筒状 一体成形され、その外周面11aには被加工物 なる金属素材を圧延加工するための溝であ 圧延部13が二つ形成されている。また、圧延 リング11の内周面11bは、一方の端面から他方 端面に向かって縮径するようなテーパ状に 成されており、そのテーパ角度θは中心軸 Lを基準として0°10″から2°00″の範囲に設定 されている。

 また、台金12は、例えば鋼材からなる略円 状の形状を有し、その中心軸線L方向の長さ 圧延リング11と同一の長さとなっている。 た、その外周面12aは一方の端面から他方の 面に向かって縮径するように、圧延リング11 と同じテーパ角度θを有するテーパ状に形成 れている。さらに、台金12の平均外径は圧 リング11の平均内径より僅かに大きく、例え ば圧延リング11の平均内径の0.01%~0.1%の範囲内 に設定されている。

 このような圧延リング11と台金12が一体化さ れる際には、まず圧延リング11の内周面11bと 金12の外周面12aにメタクリレート系樹脂の 着剤Mが塗布される。このとき、接着剤Mは該 内周面11b及び外周面12aに出来る限り均一に塗 布されることが望ましい。また、接着剤Mは せん断強度が4.9N/mm 2 以上のものが望ましく、好適には例えばメタ クリレートエステルを主成分とするメタクリ レート系樹脂の接着剤Mが用いられる。この 態で圧延リング11の内径の大きい方の端面か ら台金12の外径の小さい方の端面を挿入する うにして、圧延リング11の内周に台金12を嵌 め込んでいく。

 圧延リング11の内周面11bと台金12の外周面12a が接触した後には、さらに嵌め込む方向に圧 力を加え、圧延リング11の内周に台金12を圧 させていく。このとき、台金12の平均外径は 圧延リング11の平均内径より僅かに大きく設 されているため、二つのリング11、12が接触 する内外周面14には一定の締め代が設けられ 。圧入によって圧延リング11及び台金12の端 面が一致したところで、圧延リング11の内周 11bと台金12の外周面12aが締め代による面圧 接着剤Mによる接着力によって一体化させら 圧延ロール10が形成される。

 以上のような構成の圧延ロール10は、図2に すような片持ち式の圧延機20に固定されて 用される。該圧延機20は、例えば鋼材によっ て形成され中心軸線Lに沿って延びる概略円 状をなすシャフト21を有し、このシャフト21 一端(図2において左側)が出力軸(図示省略) 接続されている。シャフト2の他端側(図2に いて右側)は、多段円柱状をなす小径部22が 成されており、該小径部22の一端側には、他 端側に向かうに従って外径が小さくなるテー パシャフト23が形成されている。

 このテーパシャフト23には、該テーパシャ ト23に嵌合可能なテーパ孔25を有し、例えば 材からなるテーパスリーブ24がテーパシャ ト23の他端側から装着されている。このテー パスリーブ24の外周面は中心軸線Lと平行な円 筒面とされており、テーパスリーブ24の肉厚 一端側に向かうにしたがい漸次薄くなるよ に構成されている。また、テーパスリーブ2 4の他端側には、テーパ孔25と同軸状に延びる 挿通孔26が穿設されていて、シャフト21の小 部22が挿入されている。

 このテーパスリーブ24の外周側に圧延ロー 10が配置され、テーパスリーブ24を一端側へ 押し込むことにより、テーパシャフト23に ってテーパスリーブ24が径方向外側に向けて 広がるように変形させられ、テーパスリーブ 24によって圧延ロール10の内周面が径方向外 に向けて広がるように押圧されることにな 、テーパスリーブ24の外周面に圧延ロール10 固定される。そして、連続圧延加工をする には、出力軸の回転によって、シャフト21 テーパスリーブ24及び圧延ロール10が一体と って回転し、圧延ロール10の圧延部13によっ て被加工物である金属素材に加工が施される 。

 本実施形態における圧延ロール10は、圧延 ング11と台金12の二つの部材が一体化するこ により構成され、圧延リング11の内周面11b 台金12に外周面12aが接触してなる内外周面14 は、台金12の平均外径が圧延リング11の平均 内径より僅かに大きく設定されていることに よって締め代が設けられている。これによっ て台金12の外周面12aから圧延リング11の内周 11bに向けて広がるように押圧されることに り、周方向に均一な面圧が加えられる。さ に、内外周面14には接着剤Mが塗布されてい ため、両リングは面圧による圧着力に加え 接着剤Mによる接着力によって強固に一体化 れる。

 このように、圧延ロール10は、圧延リング11 及び台金12の締め代のみならず接着剤Mも併用 して一体化されているため、大きな締め代を 設けなくとも接着剤Mによる接着力でその分 圧着力をカバーすることができる。従って 径方向外側に向かって大きな面圧を生じさ る必要がないため、外周側に設けられた圧 リングに大きな引張応力が作用することは い。

 また、圧延リング11と台金12とはその内周面 11bと外周面12aからなる内周接触面14がテーパ となっている。即ち、圧延リング11及び台 12はテーパ嵌合されることによって締め代が 設けられることで面圧が確保されており、こ れにより圧延リング11及び台金12を一体化さ る圧着力が生じている。さらに、内外周面14 は傾斜しているため、内外周面14が中心軸線L に平行な場合に比べて面積が増加するため、 接着剤Mを塗布することができる範囲が増加 る。また、テーパ状に傾斜した圧延リング11 の内周面11bに、外周面12bが同じく傾斜した台 金12を嵌め込むため、ストレート嵌合する場 のように接着剤Mが剥がれ落とされてしまう ことはない。

 さらに、本圧延ロール10においては、圧延 ング11の内周面11b及び台金12の外周面12aが接 してなる内外周面14の軸方向に対してのテ パ角度θが、0°10″から2°00″の範囲内に設 されている。テーパ角度θが0°10″以下と非 に小さい場合は、ストレート嵌合に近くな ため、圧延リング11に台金12を圧入する際に 接着剤Mの接着層が剥がれてしまい接着力を 分に確保することができない。一方、テー 角度が2°00″より大きい場合にあっては十分 な接着力が得られないことが後述する実験に よる測定結果から明らかとなっている。従っ て、テーパ角θを0°10″から2°の範囲に設定 ることにより、圧延リング11と台金12を確実 一体化させることが可能となる。

 また、本実施形態において、接着剤Mとして メタクリレート系樹脂が用いられており、該 メタクリレート系樹脂は、せん断強度が19.6N/ mm 2 以上と高い接着強度を有するとともに、空気 の供給が絶たれることによって素早く硬化し 高い強度を発揮するため、より確実に素早く 圧延リング11と台金12を一体化させることが 能となる。

 圧延ロール10が圧延機20に固定される際には 、テーパシャフト23によってテーパスリーブ2 4が径方向外側に向けて広がるように変形す ことによって、テーパスリーブ24が圧延ロー ル10の内周面を径方向外側に向けて広げるよ に押圧し、テーパスリーブ24の外周面に該 延ロール10が固定される。一方、圧延ロール 10は、圧延リング11の内周面11bと台金12の外周 面12aとの間に大きな締め代を設けなくとも接 着剤Mの接着力でその分の圧着力をカバーす ことによって圧延リング11及び台金12が一体 されているため、外周側に位置する圧延リ グ11には大きな引張応力が作用することは い。従って、テーパスリーブ24によって径方 向外側への押圧力が作用しても、外周側の圧 延リング11にクラックが生じることはない。

 以上によって、圧延リング11と台金12を一体 化させてなる圧延ロール10において、内外周 14に締め代を設けて、さらに該内外周面14に 接着剤Mを塗布することによって、圧延リン 11及び台金12を強固に一体化することができ とともに、接着剤Mを併用したことにより締 め代を必要以上に大きく設けなくとも十分な 固着力を得られるため、圧延リング11の内周 11bにかかる面圧を抑えて、該圧延リング11 作用する引張応力を低減させることができ 。従って、固定時に圧延ロール10の内周が径 方向に押圧される片持ち式の圧延機20に使用 た際であっても、クラックの発生を防ぐこ が可能となる。

 また、圧延リング11と台金とはテーパ嵌合 れているため、より多くの接着剤Mを塗布す ことが可能となり接着力を大きくすること できるとともに、嵌め込む際に接着剤Mが剥 がれ落ちることはなく均一に広がるため、接 着剤Mによる接着力を十分に確保することが きる。

 また、テーパ嵌合のテーパ角θを0°10″から 2°00″の範囲に設定し、さらに接着剤Mとして メタクリレート系の樹脂を用いることによっ て圧延リング11と台金12を確実に強固に一体 させることが可能となる。

 さらに、圧延ロール10は、該圧延ロール10の 内周が径方向に押圧される片持ち式の圧延機 20に使用できるため、従来のように超硬合金 一体成形された肉厚の圧延ロールを用いる 要がなく、圧延機20の作成コストを大幅に 減させることが可能となる。

 また、本実施形態の圧延ロール10では、重 の大きな超硬合金の圧延リング11が外周側の 必要最低限の部分にのみ使用される構成とな っており、超硬合金により一体成形した圧延 ロールに比べて圧延ロール10の重量は軽減さ ているため、ハンドリングが容易となる。 らに、圧延ロール10の台金12は鋼材により構 成されているため、本実施形態の圧延機20の うにテーパスリーブ24やテーパシャフト23も 同じ鋼製ならば、超硬合金により一体形成し た圧延ロールに比べて、テーパスリーブ24と 摩擦力が向上し、テーパスリーブ24の回転 対してのスリップを防止することができる

 以上、本発明である圧延ロール10及び圧延 20の実施形態について詳細に説明したが、本 発明の技術的思想を逸脱しない限り、これら に限定されることはない。例えば第一変形例 として、図3に示すように圧延リング31に一つ の圧延部13が設けられており、中心軸線L方向 の長さが圧延リング31よりも長く、かつ圧延 ング31を圧入した状態で該圧延リング31の一 端面31aに当接する当接面32aを有する台金32と らなる圧延ロール30であってもよい。この 形例では、該圧延リング31の一端面31aと台金 32の当接面32aにも接着剤Mを塗布することがで きるため、より圧延リング31と台金32との接 力を高めることができる。

 また、第二変形例として、図4に示すように 、圧延リング41の一端面41aが、中心軸線L方向 の長さが圧延リング41よりも長い台金42の当 面42aに当接しており、さらに圧延リング41の 他端面41b側に、該他端面41bに当接するととも に台金42の小径部42bに外嵌される当接リング4 3を備えた圧延ロール40であってもよい。これ により、圧延リング41を中心軸線L方向両側か らの側圧及び接着剤Mによる接着力によって 定することができ、より強固に一体化させ ことが可能となる。

 また、本実施形態では、圧延ロール10の内 周面14をテーパ面とすることによって、圧延 リング11に台金12を圧入することで締め代を たせて圧着させているが、内外周面14をテー パ面とせずに中心軸線Lに平行な円筒面とし 、例えば台金12に圧延リング11を焼き嵌めす ことによって締め代をもたせて圧着しても いし、圧延リング11に台金12を冷やし嵌めす ることによって締め代をもたせて圧着するも のであってもよい。

 実施の形態の圧延ロール10に関して、テー 面への圧入による圧着力及び接着剤Mによる 着力と、これらを併用した場合における圧 リング11と台金12の固着力を調べるため、図 6に示す試験装置60を用いて試験を行った。試 験装置60は、円形の開口部を有する試験台63 に、WC-15wt%Co(VU70相当)からなる超硬合金であ て、内周面61aが下方向に向かって縮径する ーパ面である試験用圧延リング61が置かれ その試験用圧延リング61の内周に、SUS420J2か なり下方向に向かって縮径するテーパ状の 周面62aを有する円筒形状の試験用台金62が め込まれて構成されている。また、本試験 置60においては試験用圧延リング61の軸線L方 向の長さは67.5mm、内径は図6の上側の上端面 おいて89mm、外径は158mmに設定されている。 して、試験用台金62の軸線L方向の長さは試 上の便宜を考慮して試験用圧延リング61より も長く設定され、内径は58.5mmに設定されてい る。なお、本実施例では、試験用圧延リング 61と試験用台金62の内外周面64のテーパ角度θ 0°17″に設定されている。

 試験方法としては、試験用台金62の上側か 押圧力を加えて圧入させて試験用圧延リン 61と試験用台金62を圧着させただけの場合、 圧力を加えずに試験用圧延リング61と試験 台金62との内外周面64を接着剤で接着しただ の場合、及びこれら圧着及び接着を併用し 試験用圧延リングと試験用台金を固着した 合の3つの場合において、試験用台金62の下 から力を加えて試験用圧延リング61から試 用台金62を抜き取るために必要な力である抜 力を測定した。なお、圧入時の圧入力は19.6N し、それによる圧入量は中心軸線Lの下方に 1mmであり、締め代の量は0.01mmであった。また 、接着剤Mとしては主成分がメタクリレート ステルであって、22N/mm 2 のせん断強度を有する、ヘンケルジャパン社 製の商品名ロックタイト(登録商標)638を用い 。

 表1に上記試験の測定結果を示した。圧入の みの場合の抜力は18.7kN、接着剤のみの場合の 抜力は342.0kN、圧入と接着剤の併用の場合の 力は473.0kNとなっている。従って、圧入と接 剤を併用して試験用圧延リング61と試験用 金62を固着させることによって、圧入と接着 剤を単独で使用した際の抜力の合計以上に大 きな抜力の値を得ることができた。これによ って圧入と接着剤Mを併用することが、圧延 ング11と台金12を強固に固着させるのに有効 あることがわかった。

 次に、実施の形態の圧延ロール10に関して テーパ角度θと接着力との関係について調べ るため、実施例1と同様の試験装置60を用いて 、試験用圧延リング61と試験用台金62との内 周面64のテーパ角度θとの関係を測定した。 験方法としては、様々な角度の内外周面に 施例1と同じ接着剤Mを塗布して、試験用圧 リング61の内周に試験用台金62を嵌め込み、 側から19.6kNの力を加えて圧入させた後に、 験用台金62の下側から力を加えて抜力を測 した。具体的には、テーパ角度θが0°から3° までの範囲を0°10″毎に5回の測定を行った。

 図7に測定結果である抜力とテーパ角度θの 係のグラフを示した。横軸がテーパ角度θ 、縦軸が抜力を示している。テーパ角度θが 0°のときは圧入の際に接着剤Mが剥がれ落ち しまったため大きな抜力を得ることができ かったが、0°10″から2°00″の範囲内では安 して高い抜力を得ることができた。またテ パ角度θが2°00″を超えると抜力の値にばら つきが生じ、それとともに抜力の値は徐々に 低下した。従って、圧延ロール10において、 ーパ角度θを0°10″から2°00″の範囲内に設 することによって、圧延リング11と台金12を 安定して強固に一体化できることがわかった 。

 圧延リングと台金とからなる圧延ロール おいて、内外周面に締め代を設けてさらに 着剤を塗布することによって圧延リング及 台金を確実に一体化させることができる。 らに、外周側に位置する圧延リングに作用 る引張応力を低減させることができ、特に 定時に圧延ロールの内周面が径方向に押圧 れる片持ち式の圧延機に使用しても、クラ クの発生を防ぐことが可能となる。