Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
ROTATING ARMATURE CONTROLLER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096066
Kind Code:
A1
Abstract:
A motor driving error is prevented. In concrete, disturbance in a rotation detection signal of a resolver due to motor noise is reduced. An inverter is controlled to set output torque of a rotating armature at target torque using the target torque, rotation speed and a rotation angle of the rotating armature. Three-phase/two-phase modulation takes place, wherein control of the inverter is changed from three-phase modulation to two-phase modulation when a modulation ratio expressed as a ratio of voltage applied to the rotating armature for voltage input to the inverter is larger than three-phase/two-phase modulation changeover boundary. Even in a three-phase modulation region where the modulation ratio is smaller than the three-phase/two-phase modulation changeover boundary, the modulation is changed over to the two-phase modulation in a specific region where torque of the rotating armature corresponding to the mentioned boundary, a torque threshold lower than the rotation speed and electric noise applied by the rotating armature exceeding the rotation speed threshold to the resolver are large. In an embodiment using step-up voltage (Vuc), the torque threshold is made to be the lower the higher the step-up voltage, to enlarge the specific region.

Inventors:
NISHIMURA KEISUKE (JP)
SAKAKIBARA MASUHO (JP)
NAKAGAWA YOSHINARI (JP)
OONO YOSHINORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068202
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
October 07, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
AISIN AW CO (JP)
NISHIMURA KEISUKE (JP)
SAKAKIBARA MASUHO (JP)
NAKAGAWA YOSHINARI (JP)
OONO YOSHINORI (JP)
International Classes:
H02P6/08; H02P6/06; H02P6/15; H02P6/17; H02P6/28; H02P21/00; H02P21/05; H02P21/13; H02P21/22; H02P23/04; H02P27/04; H02P27/08
Foreign References:
JPS63290170A1988-11-28
JP2007202311A2007-08-09
JPH0823698A1996-01-23
JP2004364460A2004-12-24
JP2007110781A2007-04-26
Attorney, Agent or Firm:
Vesta International Patent Office (Gifu-shi, Gifu 67, JP)
Download PDF:
Claims:
 1次側直流電源と回転電機との間で電力変換を行うインバータ;
 前記回転電機の回転角および回転速度に対応する回転検出信号を発生するレゾルバ;
 該回転検出信号に基づいて、回転角および回転速度を算出する手段;
 前記回転電機の目標トルク,前記回転速度,回転角を用いて、前記回転電機の出力トルクを前記目標トルクにするように、前記インバータを制御し、前記インバータに入力される電圧に対する前記回転電機に印加する電圧の比である変調比が3相/2相変調切換え境界より大きくなると前記インバータの制御を3相変調から2相変調に切換える3相/2相変調切換え手段;および、
 前記変調比が前記3相/2相変調切換え境界より小さい領域においても、前記回転電機がレゾルバに与える電気的ノイズが大きい特定領域では2相変調に切換える、モータ制御手段;
を備える回転電機制御装置。
 前記モータ制御手段は、前記変調比が前記3相/2相変調切換え境界より小さい領域においても、前記3相/2相変調切換え境界に対応する前記回転電機の回転速度よりも低い回転速度閾値を超え、かつ所定のトルク閾値を超える、前記回転電機がレゾルバに与える電気的ノイズが大きい特定領域では2相変調に切換える;請求項1に記載の回転電機制御装置。
 前記特定領域は、前記回転電機の回生時より力行時の方が大きい;請求項1又は2に記載の回転電機制御装置。
 前記特定領域は、前記回転電機の力行時のみ設定され、回生時には設定されない;請求項1乃至3のいずれか1つに記載の回転電機制御装置。
 前記1次側直流電源の電圧を昇圧して2次側電圧として前記インバータに給電し、前記インバータからの回生電力を降圧して前記1次側直流電源に逆給電するコンバータ;
 前記回転電機の目標トルクおよび回転速度に対応した2次側目標電圧を導出する2次側目標電圧決定手段;および、
 前記2次側電圧を、前記2次側目標電圧とするように、前記コンバータを制御するコンバータ制御手段;を更に備え、
 前記モータ制御手段は、前記目標トルク,回転速度,回転角および2次側目標電圧を用いて、前記回転電機の出力トルクを前記目標トルクにするように、前記インバータを制御し、前記2次側電圧が高くなるほど3相変調から2相変調に切換える前記閾値トルクを小さくして前記特定領域を大きくする;請求項1乃至4のいずれか1つに記載の回転電機制御装置。
 前記インバータは、第1および第2回転電機と電力のやり取りを制御する第1および第2インバータを含み;
 前記レゾルバは、第1回転電機の回転角および回転速度に対応する回転検出信号を発生する第1レゾルバ、および、第2回転電機の回転角および回転速度に対応する回転検出信号を発生する第2レゾルバ、を含み;
 前記回転角および回転速度を算出する手段は、第1レゾルバの回転検出信号に基づいて、第1回転電機の回転角および回転速度を算出する第1手段、および、第2レゾルバの回転検出信号に基づいて、第2回転電機の回転角および回転速度を算出する第2手段、を含み;
 前記2次側目標電圧決定手段は、第1回転電機の目標トルクに割り当てられた、回転速度対応の2次側目標電圧特性に基づいて、第1回転電機の回転速度に対応する第1目標電圧を導出する第1の2次側目標電圧決定手段,第2回転電機の目標トルクに割り当てられた、回転速度対応の2次側目標電圧特性に基づいて、第2回転電機の回転速度に対応する第2目標電圧を導出する第2の2次側目標電圧決定手段、および、第1および第2目標電圧の高い方を、2次側目標電圧に定める手段、を含み;
 前記3相/2相変調切換え手段は、前記第1インバータを制御し、前記第1インバータに入力される電圧に対する前記第1回転電機に印加する電圧の比である第1変調比が第1の3相/2相変調切換え境界より大きくなると前記第1インバータの制御を3相変調から2相変調に切換える第1の3相/2相変調切換え手段、および、前記第2インバータを制御し、前記第2インバータに入力される電圧に対する前記第2回転電機に印加する電圧の比である第2変調比が第2の3相/2相変調切換え境界より大きくなると前記第2インバータの制御を3相変調から2相変調に切換える第2の3相/2相変調切換え手段、を含み;
 前記モータ制御手段は、前記第1変調比が前記第1の3相/2相変調切換え境界より小さい3相変調領域においても、前記第1の3相/2相変調切換え境界に対応する前記第1回転電機のトルク,回転速度よりも低い第1トルク閾値,第1回転速度閾値を超える、前記第1回転電機が前記第1レゾルバに与える電気的ノイズが大きい第1特定領域では、2相変調に切換える、第1モータ制御手段、および、前記第2変調比が前記第2の3相/2相変調切換え境界より小さい3相変調領域においても、前記第2の3相/2相変調切換え境界に対応する前記第2回転電機のトルク,回転速度よりも低い第2トルク閾値,第2回転速度閾値を超える、前記第2回転電機が前記第2レゾルバに与える電気的ノイズが大きい第2特定領域では、2相変調に切換える、第1モータ制御手段、を含む;
請求項5に記載の回転電機制御装置。
 第1モータ制御手段は、前記2次側電圧が高くなるほど前記第1トルク閾値を小さくして2相変調の領域を大きくする;請求項6に記載の回転電機制御装置。
 第2モータ制御手段は、前記2次側電圧が高くなるほど前記第2トルク閾値を小さくして2相変調の領域を大きくする;請求項6又は7に記載の回転電機制御装置。
Description:
回転電機制御装置

 本発明は、インバータから電動機に給電 る電力およびその逆方向の回生電力を制御 る回転電機制御装置に関し、特に、レゾル を備える回転電機制御装置の、インバータ 御モードすなわち変調モードの制御に関す 。本発明の回転電機制御装置は例えば、電 機で車輪を駆動する電気自動車(EV)、および 、該電動機に加えて燃料エンジンおよび該エ ンジンによって回転駆動される発電機(電動 または発電動機と言われることもある)を備 るハイブリッド電気自動車(HEV)に使用する とができる。

 3相インバータの、3相のPWMスイッチング より3相交流を生成して3相交流回転電機の各 相コイルに印加する3相変調モードは、PWMス ッチングを3相に対して行うのでスイッチン 電力損失が高く、2相変調による電流歪が小 さくなる運転領域では、3相変調モードから 2相変調モードに切換えることが行われてい (例えば特許文献1)。なお、2相変調モードと は、1相は正弦波を形成するためのPWMスイッ ングを停止して半波区間の間連続高レベル は低レベルとし、これを相を順番に切り換 て実行するものである。

 ところで、ベクトル制御を用いる電動機 御では、電動機の動作状態を把握しベクト 制御にフィードバックするために、電動機 回転角(磁極位置)θの検出が必要である。特 許文献2は、モータ電流に基づいて磁極位置 推定算出し、モータ電流の高周波成分を抽 してそれに基づいて磁極位置補正量を算出 て、磁極位置を補正する、センサレスのモ タ制御を記載している。しかし、電動機に ータリーエンコーダ又はレゾルバを連結し 磁極位置を検出する態様もある。

 レゾルバは、高周波電流で励磁される巻 がある回転子を電動機で回転駆動し、固定 巻線に誘起する電圧が、励磁電流周波数の 起電圧が回転子の回転により昇降する(変調 される)ものであるので、これを広域カット ィルタを通して(復調して)回転子の回転を表 す正弦波(又は余弦波)を、電動機の回転角お び回転速度を表す回転検出信号として出力 るものである。回転検出信号の位相は、電 機の回転角(電気角θ)に対応し、周波数は電 動機の回転速度ωに比例する。回転検出信号 ら、角度,速度演算によって、電動機の回転 角θおよび回転速度ωを算出することができ 。

 なお、特許文献3は、弱め界磁制御による電 力損失やシステム効率の低下をなくすために 、弱め界磁制御を省略し、インバータに印加 する動作電圧を高くする昇圧回路を備え、バ ッテリ電圧がモータの目標動作に対して不足 するときは、昇圧回路からインバータに給電 するモータ駆動制御装置を記載している。特 許文献4は、バッテリ電圧を昇圧する回路を えて、モータの目標動作および速度起電力 対応する所要昇圧電圧を算出して、該昇圧 圧になるように昇圧回路を制御するモータ 動制御装置を記載している。

特許第3844060号公報

特開2007-151344号公報

特開平10-66383号公報

特許第3746334号公報

 ところが、レゾルバは電動機に、又はそ 近傍に配設されるので、電動機が発生する 気的ノイズすなわち高周波ノイズを受けや い。電動機が発生する高周波ノイズがレゾ バの固定子巻線または信号処理回路、ある は出力リードに作用すると、レゾルバの回 検出信号が乱される可能性がある。車輪駆 モータの場合は、通電電流が大きいので、 のスイッチングノイズは強く、レゾルバの 転検出信号が乱される可能性が高い。

 仮に、ノイズの作用によってレゾルバの 転検出信号(正弦波又は余弦波)の波形が崩 ると、電動機の回転角検出値θがエラーとな って、ベクトル制御で電動機を正確に制御で きなくなってしまう。特に、3相変調モード は、インバータのスイッチング回数が多い で、高トルク(高電流)出力になると、電流の 高調波成分が増大することにより電磁ノイズ が増大して、レゾルバの回転検出信号が乱さ れる可能性が高くなる。また3相変調モード は、回転数が高くなるとコンバータ(昇圧回 )の2次側電圧(出力電圧)を上げるので、イン バータ電圧があげられ、インバータのスイッ チングで発生する電界ノイズが強くなり、レ ゾルバの回転検出信号が乱される可能性が高 くなる。

 本発明は、回転電機の駆動制御エラーを 止することを目的とする。具体的には、電 的ノイズによるレゾルバの回転検出信号の れを低減すること、換言すると、回転検出 号の乱れによる回転電機の駆動制御の乱れ 低減すること、を目的とする。

 上記目的を達成するために本発明におい は、回転電機の目標トルク,回転速度,回転 を用いて、回転電機の出力トルクを目標ト クにするように、インバータを制御し、イ バータに入力される電圧に対する回転電機 印加する電圧の比である変調比が3相/2相変 切換え境界より大きくなるとインバータの 御を3相変調から2相変調に切換える3相/2相変 調を行うが、変調比が前記3相/2相変調切換え 境界より小さい領域においても、前記回転電 機がレゾルバに与える電気的ノイズが大きい 特定領域(An)では2相変調に切換える。これを 施する本発明の第1態様の電動機制御装置は 、次の(1)項のものである。

 (1)1次側直流電源(18,22)と回転電機(10m)との間 で電力変換を行うインバータ(19m);
 前記回転電機の回転角(θ)および回転速度(ω )に対応する回転検出信号(SG θm)を発生する ゾルバ(17m);
 該回転検出信号に基づいて、回転角および 転速度を算出する手段(32);
 前記回転電機の目標トルク,前記回転速度, 転角を用いて、前記回転電機の出力トルク 前記目標トルクにするように、前記インバ タを制御し、前記インバータに入力される 圧に対する前記回転電機に印加する電圧の である変調比が3相/2相変調切換え境界より きくなると前記インバータの制御を3相変調 ら2相変調に切換える3相/2相変調切換え手段 (30m);および、
 前記変調比が前記3相/2相変調切換え境界よ 小さい領域においても、前記回転電機がレ ルバに与える電気的ノイズが大きい特定領 (An)では2相変調に切換える、モータ制御手 (30m);
を備える回転電機制御装置(図5~図9)。

 なお、理解を容易にするためにカッコ内 は、図面に示し後述する実施例の対応又は 当要素又は事項の符号を、例示として参考 でに付記した。以下も同様である。

 回転電機がレゾルバに与える電気的ノイ が大きい特定領域(An)では、2相変調に切換 るので、回転電機の目標トルクおよび回転 度が、3相変調では電気的ノイズが強くなる トルクかつ高回転速度の領域(An)となるとき には、自動的に2相変調に切り換えられる。 れにより、インバータのPWMスイッチングの 数が減少し、回転電機のノイズ発生が低減 、その分レゾルバの回転検出信号が乱れる 能性が低減し、回転電機駆動制御の信頼性 向上する。

 (2)前記モータ制御手段(30m)は、前記変調 が前記3相/2相変調切換え境界より小さい領 においても、前記3相/2相変調切換え境界に 応する前記回転電機の回転速度より低い回 速度値を超え、かつ所定のトルク閾値を超 る、前記回転電機がレゾルバに与える電気 ノイズが大きい特定領域(An)では2相変調に切 換える;上記(1)に記載の回転電機制御装置。

 変調比が前記3相/2相変調切換え境界より さい3相変調領域においても、前記3相/2相変 調切換え境界に対応する前記回転電機のトル ク,回転速度よりも低いトルク閾値,回転速度 値を超える、前記回転電機がレゾルバに与 る電気的ノイズが大きい特定領域(An)では、 2相変調に切換えるので、回転電機の目標ト クおよび回転速度が、3相変調では電気的ノ ズが強くなる高トルクかつ高回転速度の領 (An)となるときには、自動的に2相変調に切 換えられる。これにより、インバータのPWM イッチングの回数が減少し、回転電機のノ ズ発生が低減し、その分レゾルバの回転検 信号が乱れる可能性が低減し、回転電機駆 制御の信頼性が向上する。

 (3)前記特定領域は、前記回転電機の回生 より力行時の方が大きい;上記(1)又は(2)に記 載の回転電機制御装置。

 同一トルク,回転速度の場合、力行時の方 が回生時よりも、必要な電流(変調率)が大き 。力行時には、モータ電流→インバータ(損 失)→モータ(損失)→トルクの過程でモータ電 流がトルクに変換されるのに対し、回生時は 、トルク→モータ(損失)→インバータ(損失) モータ電流の過程でトルクがモータ電流に 換される。力行時と回生時とでトルクを同 にしようとした場合、力行時はインバータ 失とモータ損失を追加した分だけ高いモー 電流が必要になるのに対し、回生時は逆に 生トルクによって発生するモータ電流は、 ータ損失とインバータ損失の分だけ低いも となる。このため、同一トルク,回転速度で 回生時より力行時のほうが大きなモータ電 となる。レゾルバノイズの大きさはモータ 流(変調率)に比例して大きくなる傾向があ 。すなわち前記特定領域が広がる。本実施 様ではこれに着目して前記特定領域を、前 回転電機の回生時より力行時の方を大きく るので、力行時の回転電機のノイズ発生を 分に低減することができる。

 (4)前記特定領域は、前記回転電機の力行 のみ設定され、回生時には設定されない;上 記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の回転電機 御装置。

 上記(3)項で説明したように、力行時と回 時とでトルクを同じにしようとした場合、 行時はインバータとモータの損失を追加し 分だけ高いモータ電流が必要になるのに対 、回生時は逆に回生トルクによって発生す モータ電流は、モータとインバータの損失 だけ低いものとなる。したがって回生時は 記特定領域でのレゾルバノイズは小さい。 記特定領域での3相変調から2相変調の切換 は、本来3相変調で制御したい領域を2相変調 で制御することになるため、少なからず電流 歪が発生する。本実施態様ではこれに着目し てレゾルバノイズ対策の必要性が低い回生時 には、前記特定領域は設定せず、2相変調へ 切換えは行わず、電流歪の増大を回避する

 (5)前記1次側直流電源の電圧を昇圧して2次 電圧(Vuc)として前記インバータに給電し、前 記インバータからの回生電力を降圧して前記 1次側直流電源に逆給電するコンバータ(1);
 前記回転電機の目標トルクおよび回転速度 対応した2次側目標電圧(Vuc*)を導出する2次 目標電圧決定手段(45);および、
 前記2次側電圧を、前記2次側目標電圧とす ように、前記コンバータを制御するコンバ タ制御手段(46,47);を更に備え、
 前記モータ制御手段(30m)は、前記目標トル ,回転速度,回転角および2次側目標電圧を用 て、前記回転電機の出力トルクを前記目標 ルクにするように、前記インバータを制御 、前記2次側電圧が高くなるほど3相変調から 2相変調に切換える前記閾値トルクを小さく て前記特定領域(An)を大きくする;上記(1)乃至 (5)のいずれか1つに記載の回転電機制御装置

 これは、1次側直流電源(18,22)の電圧を昇 してインバータに給電する双方向コンバー を備える態様である。昇圧電圧すなわち2次 電圧(Vuc)が高くなるとインバータのPWMスイ チングに伴って生じるスパイク電流が大き なって、回転電機のノイズが増大する可能 が高いが、3相変調から2相変調に切換える前 記閾値トルクを下げて特定領域を広げるので 、2次側電圧が高いときには自動的に早期に2 変調に切換えられて、回転電機のノイズ発 が低減し、回転電機駆動制御の信頼性が更 向上する。

 (6)前記インバータは、第1および第2回転電 と電力のやり取りを制御する第1および第2イ ンバータ(19m,19g)を含み;
 前記レゾルバは、第1回転電機の回転角およ び回転速度に対応する回転検出信号を発生す る第1レゾルバ(17m)、および、第2回転電機の 転角および回転速度に対応する回転検出信 を発生する第2レゾルバ(17g)、を含み;
 前記回転角および回転速度を算出する手段 、第1レゾルバの回転検出信号に基づいて、 第1回転電機の回転角および回転速度を算出 る第1手段(30m)、および、第2レゾルバの回転 出信号に基づいて、第2回転電機の回転角お よび回転速度を算出する第2手段(30g)、を含み ;
 前記2次側目標電圧決定手段は、第1回転電 の目標トルクに割り当てられた、回転速度 応の2次側目標電圧特性に基づいて、第1回転 電機の回転速度に対応する第1目標電圧を導 する第1の2次側目標電圧決定手段(30m),第2回 電機の目標トルクに割り当てられた、回転 度対応の2次側目標電圧特性に基づいて、第2 回転電機の回転速度に対応する第2目標電圧 導出する第2の2次側目標電圧決定手段(30g)、 よび、第1および第2目標電圧の高い方を、2 側目標電圧に定める手段(30m)、を含み;
 前記3相/2相変調切換え手段は、前記第1イン バータを制御し、前記第1インバータに入力 れる電圧に対する前記第1回転電機に印加す 電圧の比である第1変調比が第1の3相/2相変 切換え境界より大きくなると前記第1インバ タの制御を3相変調から2相変調に切換える 1の3相/2相変調切換え手段(30m)、および、前 第2インバータを制御し、前記第2インバータ に入力される電圧に対する前記第2回転電機 印加する電圧の比である第2変調比が第2の3 /2相変調切換え境界より大きくなると前記第 2インバータの制御を3相変調から2相変調に切 換える第2の3相/2相変調切換え手段(30g)、を含 み;
 前記モータ制御手段は、前記第1変調比が前 記第1の3相/2相変調切換え境界より小さい3相 調領域においても、前記第1の3相/2相変調切 換え境界に対応する前記第1回転電機のトル ,回転速度よりも低い第1トルク閾値,第1回転 度閾値を超える、前記第1回転電機が前記第 1レゾルバに与える電気的ノイズが大きい第1 定領域では、2相変調に切換える、第1モー 制御手段(30m)、および、前記第2変調比が前 第2の3相/2相変調切換え境界より小さい3相変 調領域においても、前記第2の3相/2相変調切 え境界に対応する前記第2回転電機のトルク, 回転速度よりも低い第2トルク閾値,第2回転速 度閾値を超える、前記第2回転電機が前記第2 ゾルバに与える電気的ノイズが大きい第2特 定領域では、2相変調に切換える、第1モータ 御手段(30g)、を含む;上記(5)に記載の回転電 制御装置。

 2次側電圧(Vuc)が高くなるとインバータのP WMスイッチングに伴って生じるスパイク電流 大きくなる。第1および第2目標電圧の高い を、2次側目標電圧(Vuc*)に選択して、この電 になるようにコンバータの2次側電圧(Vuc)を 御すると、選択されなかった方の回転電機 給電するインバータは、必要以上に高い電 をPWMスイッチングするので、該回転電機の イズが増大する可能性が高いが、3相変調か ら2相変調に切換える前記閾値トルクを下げ 特定領域を広げるので、2次側電圧が高いと には自動的に早期に2相変調に切換えられて 、回転電機のノイズ発生が低減し、回転電機 駆動制御の信頼性が向上する。

 (7)第1モータ制御手段(30m)は、前記2次側電 圧が高くなるほど前記第1トルク閾値を小さ して第1特定領域を大きくする;上記(6)に記載 の回転電機制御装置。2次側電圧が高いとき は、第1インバータの制御が自動的に早期に2 相変調に切換えられて、第1回転電機のノイ 発生が低減し、回転電機駆動制御の信頼性 更に向上する。

 (8)第2モータ制御手段(30g)は、前記2次側電 圧が高くなるほど前記第2トルク閾値を小さ して第2特定領域を大きくする;上記(6)又は(7) に記載の回転電機制御装置。2次側電圧が高 ときには、第2インバータの制御が自動的に 期に2相変調に切換えられて、第2回転電機 ノイズ発生が低減し、回転電機駆動制御の 頼性が更に向上する。

図1は、本発明の第1実施例の構成の概 を示すブロック図である。 図2は、図1に示すモータ制御装置30mの 能構成の概要を示すブロック図である。 図3は、図2に示すマイコンMPUのモータ 御の概要を示すフローチャートである。 図4は、図3に示す「変調モード決定」(1 4)の内容を示すフローチャートである。 図5は、本発明の第2実施例の構成の概 を示すブロック図である。 図6は、図5に示すモータ制御装置30mの 能構成の概要を示すブロック図である。 図7は、図6に示すマイコンMPUのモータ 御の概要を示すフローチャートである。 図8は、図7に示す「変調モード決定」(1 4a)の内容を示すフローチャートである。 図9は、電気モータ10mの変調領域区分を 示すグラフである。

符号の説明

2:リアクトル
3:スイッチング素子(昇圧用)
4:スイッチング素子(降圧用)
5,6:ダイオード
7:温度センサ
10m,10g:電気モータ
11~13:3相のステータコイル
14m~16m:電流センサ
17m:第1レゾルバ
17g:第2レゾルバ
18:車両上のバッテリ
21:電圧センサ
22:1次側コンデンサ
23:2次側コンデンサ
24:2次側電圧センサ
Vdc:1次電圧(バッテリ電圧)
Vuc:2次側電圧(昇圧電圧)
Vuc*:2次目標電圧

 本発明の他の目的および特徴は、図面を 照した以下の実施例の説明より明らかにな う。

 -第1実施例-
 図1に、本発明の第1実施例の概要を示す。 御対象の第1回転電機である電気モータ(電動 機)10mは、この実施例では、車両に搭載され おり車輪を回転駆動するための永久磁石形 期電動機であって、ロータに永久磁石を内 したものであり、ステータにはU相,V相及びW の3相コイル11~13がある。電気モータ10mには 第1インバータである電圧型インバータ19mが 、車両上のバッテリ18の電力を供給する。電 モータ10mのロータに、ロータの磁極位置を 出するための第1レゾルバ17mのロータが連結 されている。レゾルバ17mは、そのロータの回 転角を表すアナログ電圧(回転角信号)SG θmを 発生し、モータ制御装置30mに与える。

 車両上の蓄電池であるバッテリ18には、 両上の電装部が電源オンのときには、1次側 ンデンサ22が接続されて、バッテリ18と共に 1次側電源を構成する。1次側電源の正極(+ラ ン)には、双方向コンバータ回路1のリアクト ル2の一端が接続されている。

 コンバータ回路1には更に、該リアクトル 2の他端と1次側電源の負極(-ライン)の間をオ ,オフする昇圧スイッチング素子3,2次側コン デンサ23の正極と前記他端との間をオン,オフ する降圧スイッチング素子4、および、各ス ッチング素子3,4に並列に接続された各ダイ ード5,6がある。ダイオード5のアノードはリ クトル2の他端に、カソードは1次側電源の 極(-ライン)に接続されており、ダイオード6 アノードは2次側コンデンサ23の正極に、カ ードはリアクトル2の他端に接続されている 。スイッチング素子3,4のいずれにも、本実施 例では、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用 いた。

 昇圧スイッチング素子3をオン(導通)にす と1次側電源(18,22)からリアクトル2を介して 圧スイッチング素子3に電流が流れ、これに よりリアクトル2が蓄電し、昇圧スイッチン 素子3がオフ(非導通)に切換るとリアクトル2 ダイオード6を通して2次側コンデンサ23に高 圧放電する。すなわち1次側電源の電圧より 高い電圧を誘起して2次側コンデンサ23を充 する。昇圧スイッチング素子3のオン,オフを 繰り返すことにより、2次側コンデンサ23の高 圧充電が継続する。すなわち、高い電圧で2 側コンデンサ23が充電される。一定周期でこ のオン,オフを繰り返すと、オン期間の長さ 応じてリアクトル2が蓄積する電力が上昇す ので、該一定周期の間のオン時間(オンデュ ーティ:該一定周期に対するオン時間比)を調 することによって、すなわちPWM制御によっ 、1次側電源18,22からコンバータ回路1を介し て2次側コンデンサ23に給電する速度(力行用 給電速度)を調整することが出来る。

 降圧スイッチング素子4をオン(導通)にす と、2次側コンデンサ23の蓄積電力が、降圧 イッチング素子4およびリアクトル2を通し 、1次側電源18,22に与えられる(逆給電:回生) この場合も、一定周期の間の降圧スイッチ グ素子4のオン時間を調整することによって すなわちPWM制御によって、2次側コンデンサ 23からコンバータ回路1を介して1次側電源18,22 に逆給電する速度(回生用の給電速度)を調整 ることができる。

 電圧型インバータ19mは、6個のスイッチン グトランジスタTr1~Tr6を備え、ドライブ回路20 mが並行して発生する6連の駆動信号の各連に ってトランジスタTr1~Tr6をオン(導通)駆動し 、2次側コンデンサ23の直流電圧(コンバータ 回路1の出力電圧すなわち2次側電圧)を3連の 位相差が2π/3の交流電圧、すなわち3相交流 圧に変換して、電気モータ10mの3相(U相,V相,W )のステータコイル11~13のそれぞれに印加す 。これにより電気モータ10mのステータコイ 11~13のそれぞれに各相電流iUm,iVm,iWmが流れ、 電気モータ10mのロータが回転する。6個のス ッチングトランジスタTr1~Tr6は、いずれもIGBT である。

 PWMパルスによるトランジスタTr1~Tr6のオン /オフ駆動(スイッチング)に対する電力供給能 力を高くしかつ電圧サージを抑制するために 、インバータ19mの入力ラインである、コンバ ータ回路1の2次側出力ラインには、大容量の2 次側コンデンサ23が接続されている。これに して1次側電源を構成する1次側コンデンサ22 は、小型かつ低コストの小容量のものであり 、1次側コンデンサ22の容量は、2次側コンデ サ23の容量よりもかなり小さい。電圧センサ 24が、コンバータ回路1の2次側電圧Vucを検出 てコンバータ制御装置30vに与える。電気モ タ10mのステータコイル11~13に接続した給電線 には、ホールICを用いた電流センサ14m~16mが装 着されており、それぞれ、各相電流iUm,iVm,iWm 検出し電流検出信号(アナログ電圧)を発生 、モータ制御装置30mに与える。

 図2に、第1モータ制御装置30mの機能構成 示す。第1モータ制御装置30mは、本実施例で 、マイクロコンピュータ(以下マイコンと言 う)MPUを主体とする電子制御装置であり、マ コンMPUと、ドライブ回路20m,電流センサ14~16, ゾルバ17および2次側電圧センサ24との間の 図示しないインターフェイス(信号処理回路) を含み、さらに、マイコンMPUと、前記車両上 の図示しない車両走行制御システムのメイン コントローラならびにモータ制御装置30gとの 間の、図示しないインターフェイス(通信回 )も含む。

 図2を参照すると、レゾルバ17mが与える回 転角信号SG θmに基づいて、モータ制御装置30 mであるマイコンMPUが、電気モータ10mのロー の回転角度(磁極位置)θおよび回転速度(角速 度)ωを算出する。

 なお、正確にいうと、電気モータ10mのロ タの回転角度と磁極位置とは同一ではない 、両者は比例関係にあり比例係数が電気モ タ10mの磁極数pによって定まる。また、回転 速度と角速度とは同一ではないが、両者も比 例関係にあり比例係数が電気モータ10mの磁極 数pによって定まる。本書においては、回転 度θは磁極位置を意味する。回転速度ωは角 度を意味するが、回転速度を意味する場合 ある。

 図示しない車両走行制御システムのメイン ントローラが、モータ目標トルクTM*をモー 制御装置30mすなわちマイコンMPUに与える。 お、該メインコントローラは、前記車両の 速及びアクセル開度に基づいて車両要求ト クTO * を算出し、該車両要求トルクTO * に対応してモータ目標トルクTM*を発生して、 マイコンMPUに与える。マイコンMPUは、電気モ ータ10mの回転速度ωrpmをメインコントローラ 出力する。

 マイコンMPUは、トルク指令制限34によって 2次目標電圧Vuc*および回転速度ωに対応する 限トルクTM*maxを制限トルクテーブル(ルック アップテーブル)から読み出して、目標トル TM*がTM*maxを超えていると、TM*maxを目標トル T * に定める。TM*max以下のときには、モータ目標 トルクTM*を目標トルクT * に定める。このような制限を加えて生成した モータ目標トルクT * が、2次目標電圧算出45および出力演算35に与 られる。

 なお、制限トルクテーブルは、2次目標電 圧Vuc*および回転速度範囲内の電圧の各値を ドレスとし、該各値で電気モータ10mに生起 せることができる最大トルクを制限トルクTM *maxとして書込んだメモリ領域であり、本実 例ではマイコンMPU内の図示しないRAMの1メモ 領域を意味する。制限トルクTM*maxは、2次目 標電圧Vuc*が高いほど大きく、低いほど小さ 。また、回転速度ωが低いほど大きく、高い ほど小さい。

 上記マイコン内には、該制限トルクテー ルのデータTM*maxを書込んだ不揮発性メモリ あり、マイコンに動作電圧が印加されてマ コンが、自身および図1に示すモータ駆動シ ステムを初期化する過程で、不揮発性メモリ から読み出してRAMに書き込む。マイコンには その他の同様なルックアップテーブルが複数 あり後に言及するが、これらも、制限トルク テーブルと同様に、不揮発性メモリにあった 参照データが書き込まれた、RAM上のメモリ領 域を意味する。

 モータ制御装置30mのマイコンMPUは、2次目 標電圧算出45において、目標トルクT*と回転 度ωに基づいて「力行」か「回生」かを判定 して、「力行」であると「力行」グループ内 の、「回生」であると「回生」グループ内の 、目標トルクT*に割り当てられた第1目標電圧 テーブルから、電動機10mの回転速度ωに割り てられた第1目標電圧Vuc*mを読み出す。

 もう1つのモータ制御装置30gのマイコンも 、2次目標電圧算出45と同様なデータ処理によ って、電動機(発電機)10gの目標トルクT*と回 速度ωに基づいて「力行」か「回生」かを判 定して、「力行」であると「力行」グループ 内の、「回生」であると「回生」グループ内 の、目標トルクT*に割り当てられた第2目標電 圧テーブルから、電動機10gの回転速度ωに割 当てられた第2目標電圧Vuc*gを読み出す。こ 第2目標電圧Vuc*gがマイコンMPU(図2)に与えら る。

 マイコンMPUの2次目標電圧算出45(図2)は、 身が算出した第1目標電圧Vuc*mと、モータ制 装置30gのマイコンが与えた第2目標電圧Vuc*g 内、高い方を2次目標電圧Vuc*として、前記 ルク指令制限34とフィードバック制御演算46 与える。

 フィードバック制御演算46は、電圧セン 24が検出した2次側電圧Vucを2次目標電圧Vuc*と するための制御出力PvcをフィードバックPI(比 例・積分)演算により算出し、PWMパルス発生47 に与える。該パルス発生47は、制御信号Pvcを 昇圧スイッチング素子3をオン,オフする昇 (力行)PWMパルスと、降圧スイッチング素子4 オン,オフする降圧(回生)PWMパルスに変換し 、ドライブ回路20vに出力する。ドライブ回 20vは、昇圧PWMパルスに対応して昇圧スイッ ング素子3をオン,オフし、降圧PWMパルスに対 応して降圧スイッチング素子4をオン,オフす 。これにより、双方向コンバータ1の2次側 圧Vucが、2次目標電圧Vuc*又はそれに直近の値 に制御される。なお、昇圧PWMパルスと降圧PWM パルスとの間には、昇圧スイッチング素子3 降圧スイッチング素子4の同時オン(出力短絡 )を防止するために、一方がオン指示レベル ときには他方をオフ拘束レベルとする保護 間(デッドタイム)が設定されている。

 モータ制御装置30mのマイコンMPUは、「出 演算」35において、電気モータ10mのロータ おける磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の 方向にq軸をそれぞれ採った、公知のd-q軸モ ル上のベクトル制御演算、による電動機駆 のためのフィードバック制御を行う。その め該マイコンは、電流センサ14~16の電流検出 信号iU,iV,iWをデジタル変換して読込み、電流 還演算にて、公知の固定/回転座標変換であ る3相/2相変換を用いて、固定座標上の3相電 値iU,iV,iWを、回転座標上のd軸およびq軸の2相 電流値id,iqに変換する。

 1つのルックアップテーブルである第1高効 トルク曲線テーブルAが出力演算35にあり、 の第1高効率トルク曲線テーブルAには、モー タ速度ωおよびモータ目標トルクT * に対応付けられた、各モータ速度で各目標ト ルクT * を発生するための各d軸電流値idが書き込まれ ている。

 d軸電流idおよびq軸電流iqの各値に対応して 気モータの出力トルクが定まるが、1つの回 転速度値に対して、すなわち同一のモータ回 転速度において、同一トルクを出力するため のid,iqの組合せが無数にあり、定トルクカー 上にある。定トルクカーブ上に、最も電力 用効率が高い(最低電力消費の)id,iqの組合せ があり、そこが高効率トルク点である。複数 のトルクカーブ上の高効率トルク点を連ねる 曲線が、高効率トルク曲線であって各回転速 度に対して存在する。モータの回転速度宛て の高効率トルク曲線上の、与えられたモータ 目標トルクT * の位置のd軸電流idおよびq軸電流iqを目標電流 値として電気モータ10mの付勢を行うことによ り、目標トルクT * を電気モータ10mが出力し、しかもモータ付勢 の電力使用効率が高い。

 本実施例では、高効率トルク曲線を、d軸 の値を表す第1高効率トルク曲線Aと、q軸の値 を表わす第2高効率トルク曲線Bの、2系統に分 け、しかも、第1高効率トルク曲線Aは、力行 域に適用するものと回生領域に適用するも を対にしたものとし、いずれもモータ回転 度と目標トルクに対するd軸目標電流を表す ものである。

 第1高効率トルク曲線テーブルAは、目標ト クT * に宛てられた、最低電力消費で目標トルクを 発生するためのd軸目標電流を書込んだメモ 領域であり、力行用の力行テーブルA1と、回 生用の回生テーブルA2をあわせた1対で構成さ れている。力行用と回生用のいずれのテーブ ルを用いるかは、電気モータの回転速度ωと えられる目標トルクT * に基づいて、力行か回生かを判定し、判定結 果に従って決定する。

 ただし、電気モータ10mの回転速度ωが上昇 るのに伴ってステータコイル11~13に発生する 逆起電力が上昇し、コイル11~13の端子電圧が 昇する。これに伴ってインバータ19からコ ル11~13への目標電流の供給が難しくなり、目 標とするトルク出力が得られなくなる。この 場合、与えられたモータ目標トルクT * の定トルク曲線上で、曲線に沿ってδid,δiq分 、d軸電流idおよびq軸電流iqを下げることによ り、電力使用効率は低下するが、目標トルク T * を出力することができる。これが弱め界磁制 御といわれている。d軸弱め界磁電流δidは、 磁調整代演算により生成して、d軸電流指令 を算出し、q軸電流指令を算出する。d軸弱め 磁電流δidは、弱め界磁電流演算41が算出す 。その内容は後に説明する。

 マイコンMPUは、「出力演算」35の中のd軸電 指令の算出では、トルク指令制限34によっ 決定した目標トルクT * に対応して第1高効率トルク曲線テーブルAか 読出したd軸電流値idから、d軸弱め界磁電流 δidを減算して、d軸目標電流id * を、id * =-id-δid、と算出する。

 q軸電流指令の算出では、出力演算35にある 2高効率トルク曲線テーブルBを用いる。第2 効率トルク曲線テーブルBは、高効率トルク 曲線の、q軸の値を表わす第2高効率トルク曲 Bを更に、d軸弱め界磁電流δidと対のq軸弱め 界磁電流δiqを減算したq軸目標電流を表わす 線に補正し、補正後の第2高効率トルク曲線 Bのデータ、を格納したものである。第2高効 トルク曲線テーブルBは、目標トルクT * およびd軸弱め界磁電流δidに宛てられた、最 電力消費で目標トルクを発生するためのd軸 目標電流、すなわち、補正後の第2高効率ト ク曲線Bの目標電流値、を書込んだメモリ領 であり、これも、力行用の力行テーブルB1 、回生用の回生テーブルB2をあわせた1対で 成されている。力行用と回生用のいずれを いるかは、電気モータの回転速度ωと目標ト ルクT * に基づいて、力行か回生かを判定し、判定結 果に従って決定する。

 q軸電流指令の算出では、目標トルクT * およびd軸弱め界磁電流δidに宛てられたq軸目 標電流iq * を、第2高効率トルク曲線テーブルBから読み してq軸電流指令とする。

 モータ制御装置30mのマイコンMPUは、出力演 35にて、d軸目標電流id * とd軸電流idとの電流偏差δid、及びq軸目標電 iq * とq軸電流iqとの電流偏差δiqを算出し、各電 偏差δid,δiqに基づいて、比例制御及び積分 御(フィードバック制御のPI演算)を行い、出 電圧としてのd軸電圧指令値vd * およびq軸電圧指令値vq * を算出する。

 弱め界磁電流演算41は、弱め界磁制御のた のパラメータである電圧飽和指標mを算出す 。すなわち、d軸電圧指令値vd * 及びq軸電圧指令値vq * に基づいて、電圧飽和の程度を表す値として 、電圧飽和算定値δVを算出し、界磁調整代を 算出する。該界磁調整代の算出では、δVを積 算し、積算値σδVが正の値を採る場合、積算 σδVに比例定数を乗算して弱め界磁制御を うためのd軸弱め界磁電流δidを算出し、正の 値に設定し、電圧飽和算定値δV又は積算値σ Vが零以下の値を採る場合、前記調整値δidお よび積算値σδVを零にする。調整値δidは、前 述の出力演算35において、d軸電流指令の算出 およびq軸電流指令の算出に使用する。

 次に、回転/固定座標変換である2相/3相変換 36にて、回転座標上の目標電圧vd * 及びvq * を、2相/3相変換に従って固定座標上の各相目 標電圧VU * ,VV * ,VW * に変換する。これは、電圧制御モードが3相 調であるときには、変調37を介してPWMパルス 発生50に送る。電圧制御モードが2相変調であ るときには、変調37の2相変調で3相変調モー の各相目標電圧VU * ,VV * ,VW * を2相変調のものに変換してPWMパルス発生50に 送る。電圧モードが、全相を矩形波通電とす る1pulseモードであるときには、変調37の1pulse 換で、3相変調モードの各相目標電圧VU * ,VV * ,VW * を各相矩形波通電とするものに変換してPWMパ ルス発生50に与える。

 PWMパルス発生50は、3相目標電圧VU * ,VV * ,VW * が与えられると、それら各値の電圧を出力す るための、PWMパルスMU,MV,MWに変換して、図1に 示されるドライブ回路20mに出力する。ドライ ブ回路20mは、PWMパルスMU,MV,MWに基づいて6連の 駆動信号を並行して発生し、各連の駆動信号 で、電圧型インバータ19mのトランジスタTr1~Tr 6のそれぞれをオン/オフする。これにより、 気モータ10mのステータコイル11~13のそれぞ に、VU * ,VV * およびVW * が印加され、相電流iU,iVおよびIWが流れる。2 変調モードの各相目標電圧が与えられると PWMパルス発生器は、2相はPWMパルスを発生し 残りの1相はオン又はオフ(定電圧出力)信号と する。該オン又はオフの定電圧とする相は、 順次に切り換える。1pulse変調モードの各相目 標電圧が与えられるときは、ドライブ回路20m は、各相を矩形波通電とする通電区間信号を 出力する。

 更に、2相/3相変換36にて、2相/3相変換の過 で電動機目標電圧Vm*を算出する。Vm*=√(Vd* 2 +Vq* 2 )、である。この電動機目標電圧Vm*と2次側コ デンサ23の電圧Vuc(電圧センサ24の電圧検出 )とから、変調制御42の変調比算出43が、変調 比Mi=Vm*/Vuc*mを算出する。変調モード決定44が 電動機10mの変調比Mi,目標トルクT*および回 速度ωに基いて、変調モードを決定する。決 定した変調モードに応じて、該変調モードの 各相目標電圧の出力を、変調37の中の選択40 指示する。選択40は、変調モードが3相変調 あるときには、変調37を介してPWMパルス発生 50に送る。変調モードが2相変調であるときに は、変調37の2相変調38で3相変調モードの各相 目標電圧VU * ,VV * ,VW * を2相変調のものに変換してPWMパルス発生50に 送る。変調モードが、全相を矩形波通電とす る1pulseモードであるときには、変調37の1pulse 換39で、3相変調モードの各相目標電圧VU * ,VV * ,VW * を各相矩形波通電とするものに変換してPWMパ ルス発生50に与える。

 図2に示すマイコンMPUには、CPUの他に、デ ータを記録したり、各種のプログラムを記録 したりするためのRAM,ROMおよびフラッシュメ リが備わっており、ROM又はフラッシュメモ に格納されたプログラム,参照データおよび ックアップテーブルをRAMに書き込んで、該 ログラムに基づいて、図2に2点鎖線ブロッ で囲んで示す入力処理,演算および出力処理 行う。

 図3に、該プログラムに基づいてマイコン MPU(のCPU)が実行するモータ駆動制御MDCの概要 示す。動作電圧が印加されるとマイコンMPU 、自身およびPWMパルス発生50およびドライ 回路20mの初期化を行って、電動機10mを駆動 るインバータ19mを停止待機状態に設定する そして図示しない車両走行制御システムの インコントローラからのモータ駆動スター 指示を待つ。モータ駆動スタート指示が与 られると、マイコンMPUは、「開始処理」(ス ップ1)によって、内部レジスタに電動機制 の初期値を設定して、「入力読込み」(ステ プ2)で、入力信号又はデータを読み込む。 なわち、メインコントローラが与える第1目 トルクTM*およびモータ制御装置30gが与える 2目標電圧Vuc*gを読み込み、また、電流セン 14m~16mが検出した各相電流値iU,iV,iW,レゾルバ 17の回転角信号SG θmおよび電圧センサ24が検 した2次側電圧Vucをデジタル変換により読込 む。

 なお、以下においては、括弧内には、ス ップという語を省略して、ステップ番号の を記す。

 次にマイコンMPUは、読込んだ回転角信号SG  θm(回転角データSG θm)に基づいて電動機10mの 回転角度θおよび回転速度ωを算出する(3)。 の機能を図2上には、角度,速度演算32として した。次にマイコンMPUは、読み込んだモー 目標トルクTM * ,読込んだ2次側電圧Vucおよび算出した回転速 ωに対応する制限トルクTM * maxを制限トルクテーブルから読み出して、読 み込んだモータ目標トルクTM * がTM * maxを超えていると、TM * maxを目標トルクT * に定める。TM * max以下のときには、読み込んだモータ目標ト ルクTM * を目標トルクT * に定める(4)。この機能を図2上には、トルク 令制限34として示した。

 次にマイコンMPUは、「2次側目標電圧算出 」(5)で、電動機10mが「力行」運転か「回生」 運転かを判定し、判定結果に対応してグルー プを選択し、その中の、目標トルクT*に対応 けられている第1目標電圧テーブルから、現 在の回転速度ωに割り当てられている第1目標 電圧Vuc*mを読み出し、それと、モータ制御装 30gが与えた第2目標電圧Vuc*gの内、高い方を2 次目標電圧VUc*に定める。この「2次側目標電 算出」(5)の内容は、上述の、図2に示す2次 目標電圧算出45の内容である。

 次にマイコンMPUは、「Pvc算出」(6)で、電 センサ24が検出した2次側電圧Vucを2次目標電 圧Vuc*とするための制御出力Pvcをフィードバ クPI(比例・積分)演算により算出する。そし 「Pvf,Pvr算出」(7)で、制御出力Pvcを、昇圧ス イッチング素子3をオン,オフする昇圧PWMパル のオンデューティデータPvfおよび降圧スイ チング素子4をオン,オフする降圧PWMパルス オンデューティデータPvrに変換する。「Pvc 出」(6)は図2に示すフィードバック制御演算( 46)の内容であり、「Pvf,Pvr算出」(7)は、図2に すPWMパルス発生47の、デューティ信号変換 該当する。PWMパルス発生47の、デューティ信 号対応のPWMパルス出力は、ステップ15の出力 新で行う。

 次にマイコンMPUは、読込んだ3相の電流検 出信号iU,IV,iWを、3相/2相変換により、2相のd 電流値idおよびq軸電流値に変換する(8)。こ 機能を図2上には、電流帰還31として示した 次にマイコンMPUは、d軸弱め界磁制御を行う めのd軸弱め界磁電流δidを算出する(9)。こ 機能を図2上には、弱め界磁電流演算41とし 示した。

 「出力演算」(10)の内容は、上述の、図2 示す出力演算35の内容と同様である。該「出 力演算」(10)で算出したd-q軸の電圧目標値Vd*,V q*を、3相変調モードの各相目標電圧VU*,VV*,VW* 変換する(11)。このとき電動機目標電圧Vm*も 算出する。つぎの「変調制御」(12)で、変調 Miを算出し(13)、変調比Mi,目標トルクT*,回転 度ωおよび2次側電圧Vucに基いて、変調モー を決定する(14)。この内容は図4を参照して後 述する。

 図9に、変調モードの区分の大要(概要)を す。図9には目標トルクT*と回転速度ωをパ メータとして示すが、もう一つのパラメー として変調比Miがある。また、本実施例では 、コンバータ1の出力電圧すなわち2次側電圧V ucも、変調モード切換えのパラメータである マイコンMPUには、変調モード(3相変調,2相変 調,1pulse)に対応付けた変調閾値テーブル(ルッ クアップテーブル)があり、各変調閾値テー ルには、変調モード境界の閾値(本実施例で 、目標トルク値T*に対応付けた回転速度値ω )が格納されている。

 図9は、変調切換え境界の変調比境界に対 応する、トルク閾値,回転速度閾値の境界を している。3相変調から2相変調への切換えの 変調比境界に対応するトルク閾値,回転速度 値は、図9上に示す実線曲線部Aとそれに連続 する2点鎖線部Aoであり、2相変調から3相変調 の切換えの変調比境界に対応するトルク閾 ,回転速度閾値は、図9上に示す点線曲線部B それに連続する点線部Boである。しかし、 動機10mがレゾルバ17mに与える電気的ノイズ 大きい領域Anも2相変調とするために、その 分のトルク閾値,回転速度閾値を、As(3相変調 から2相変調への変更の閾値),Bs(2相変調から3 変調への変更の閾値)に変更して、2相変調 域を拡大している。As/Ao間,Bs/Bo間が、拡大し た特定領域である。

 図9上の細実線Cが2相変調から1pulseへの切 え閾値を表し、細点線Dが1pulseから2相変調 の切換え閾値を表している。2点鎖線Eは、2 変調の限界を表す。3相変調から2相変調への 切換え閾値(A,Ao)は、レゾルバ17mに対する電動 機10mのノイズが多く強くなる領域Anよりも高 の閾値Aoを、該領域Anよりも低い方向にAsま シフトしたものである。ここでの閾値は、 標トルクに対応付けた回転速度閾値である これと同様に、2相変調から3相変調への切 え閾値もBsまでシフトしたものである。これ により、3相変調では電動機ノイズが多く強 なる領域Anでは、それよりもノイズが少ない 2相変調が採用される。したがって、電動機 イズによるレゾルバ17mの回転検出信号SG θ の乱れが低減し、電動機10mの駆動制御の信 性が向上する。なお、3相変調と2相変調の間 の、目標トルクT*又は回転速度の僅かな増減 よる頻繁な切換えを防止するために、閾値B sはAsよりも低値として両者間にマージンを設 けている。すなわち、変調モードの切換りに ヒステリシスを持たせている。

 図4に、「変調モード決定」(11)の内容を す。本実施例は大枠として、変調比Miが閾値 (固定値)Mit未満では、変調モードは2相変調又 は1pulseモードに限定し、Mit以上では3相変調 は2相変調に限定するものである。「変調モ ド決定」(11)に進むとマイコンMPUは、現在の 変調比MiがMit未満であると、現在の目標トル T*に対応する、3相変調から2相変調に切り換 える境界の標準閾値ω32とその逆に切り換え 境界の標準閾値ω23を、変調閾値テーブルか 読み出す(22)。そして2次側電圧Vucが高いと れらの閾値ω32,ω23を下げるために、各閾値 「Vst/Vuc」を乗算した値(参照閾値)に、各閾 を変更する(23)。Vstは基準電圧であり、Vucは ンバータ1の出力電圧すなわち2次側電圧で る。2次側電圧がVstである場合の、最適な変 切り替え境界値が、標準閾値として変調閾 テーブルに書き込まれている。ステップ23 閾値変更により、現在の2次側電圧Vucが基準 圧Vstより高いと、低い値に参照閾値が変更 れる。2次側電圧Vucが基準電圧Vstと等しいと 、閾値は変更されない。

 現在の回転速度が参照閾値ω23以下である と変調モードを3相変調に定めるが(24,25)、そ ではなく参照閾値ω32以上であると2相変調 定める(26,27)。いずれでもなく、現在の変調 ードが1pulseであると2相変調に定めるが(28,27 )、1pulseでないと現在の変調モードを維持す (28,29)。すなわち次の「出力更新」15で設定 る変調モードに、現在の変調モードを定め 。

 現在の変調比MiがMit以上であった場合に 、現在の目標トルクT*に対応する、2相変調 ら1pulse変調に切り換える境界の標準閾値ω21 その逆に切り換える境界の標準閾値ω12を、 変調閾値テーブルから読み出す(30)。そして2 側電圧Vucが高いとこれらの閾値ω21,ω12を下 るために、各閾値に「Vst/Vuc」を乗算した値 (参照閾値)に、各閾値を変更する(31)。そして 、現在の回転速度が参照閾値ω21以上である 変調モードを1pulse変調に定めるが(32,33)、そ ではなく参照閾値ω12以下であると2相変調 定める(34,35)。いずれでもなく、現在の変調 ードが3相変調であると2相変調に定めるが(3 6,35)、3相変調でないと現在の変調モードを維 持する(36,37)。すなわち次の「出力更新」15で 設定する変調モードに、現在の変調モードを 定める。

 2つの電動機10m,10gを駆動する第1,第2イン ータ19m,19gを1つの双方向コンバータ1に接続 、該コンバータの2次目標電圧Vuc*を、第1電 機10mの駆動に必要な第1目標電圧Vuc*mと第2電 機10gの駆動に必要な第2目標電圧Vuc*gとの、 い方とするので、第2電動機10gが発電(回生) ードであるときには大抵の場合、第2電動機 10gから受電する第2インバータ19gが必要とす 第2目標電圧Vuc*gが、第1電動機10mに給電する 1インバータ19mが必要とする第1目標電圧Vuc*m よりも高い。すなわち、2次目標電圧Vuc*(=Vuc*g )が第1目標電圧Vuc*mよりも高い。これにより 1インバータ19mのPWMスイッチングに伴って生 るスパイク電流が大きくなるおそれがある 、この場合、本実施例では、参照閾値=標準 閾値×(Vst/Vuc)としこれにより3相変調から2相 調に切り換える参照閾値がさがるので、早 に3相変調から2相変調に切り換えられる。こ れにより、必要以上に高い第2目標電圧Vuc*gが 2次目標電圧Vuc*(Vuc)に選択されることによる 動機10mのノイズ増大が抑制され、電動機10m 駆動制御の信頼性が向上する。

 図3を再度参照する。次の「出力更新」(15 )では、変調制御(12)で決定した変調モードの 3相変換(11)で算出した各相目標電圧をPWMパ ス発生50に出力する。また、「Pvf,Pvr」(7)で 出したデューティPvf,Pvrの昇圧PWMパルスおよ 降圧PWMパルスをドライブ回路20vに出力し、2 次目標電圧Vuc*を第2モータ制御装置30gに出力 る。

 次に、次の繰返し処理タイミングになる を待ってから(16)、再度「入力読込み」(2)に 進む。そして上述の「入力読込み」(2)以下の 処理を実行する。次の繰返し処理タイミング になるのを待っている間に、システムコント ローラから停止指示があると、マイコンMPUは そこでモータ回転付勢のための出力を停止す る(17,18)。

 以上、車輪を回転駆動する電気モータ10m 動作を制御するモータ制御装置30mの制御機 を説明した。

 図1を再度参照する。車両上エンジンによ って回転駆動される第2回転電機である電気 ータ(電動機)10gは、発電機又は発電動機とい われることもあるが、本実施例では、電動機 10gは、エンジンを始動するときにはエンジン を始動駆動する電気モータ(力行)であり、エ ジンが始動するとエンジンによって回転駆 されて発電する発電機(回生)である。この 動機10gを制御する第2モータ制御装置30gの機 および動作は、モータ制御装置30mのものと 様であり、また、電動機10gに給電する第2イ ンバータ19gの構成および動作は、第1インバ タ19mと同様である。第2モータ制御装置30gの 成および機能は、第1モータ制御装置30mと同 様である。ただし、本実施例では、第1モー 制御装置30mが2次目標電圧Vuc*を算出して双方 向コンバータ1を制御するが(図2~45~47,図3のス ップ6,7)、第2モータ制御装置30gは、第2目標 圧Vuc*gを算出するが双方向コンバータ1の制 はしない。

 第2モータ制御装置30gに、エンジンを始動す るときに図示しないメインコントローラから 、正値の目標トルクTM * gが与えられ、第2モータ制御装置30gは、第1モ ータ制御装置30mの上述のモータ制御動作と同 様なモータ制御動作を行う。エンジンが始動 しその出力トルクが上昇するとメインコント ローラが目標トルクTM * gを、発電(回生)用の負値に切換える。これに より第2モータ制御装置30gは、第2電動機10gの 力トルクが、負値の目標トルク(エンジンの 目標負荷)となるように、第2インバータ19gを 御する。この内容(出力演算)も、第1モータ 御装置30mの上述の出力演算と同様である。

 -第2実施例-
 図5に、本発明の第2実施例の概要を示す。 御対象の回転電機である電気モータ(電動機) 10mは、この実施例では、車両に搭載されてお り車輪を回転駆動するための永久磁石形同期 電動機であって、ロータに永久磁石を内蔵し たものであり、ステータにはU相,V相及びW相 3相コイル11~13がある。電気モータ10mには、 1インバータである電圧型インバータ19mが、 両上のバッテリ18の電力を供給する。電気 ータ10mのロータに、ロータの磁極位置を検 するための第1レゾルバ17mのロータが連結さ ている。レゾルバ17mは、そのロータの回転 を表すアナログ電圧(回転角信号)SG θmを発 し、モータ制御装置30mに与える。

 この第2実施例では、1次側電源18,22の電圧 を昇圧出力するコンバータはなく、インバー タにはバッテリ電圧Vdcを印加するので、イン バータ19mの入力電圧は略一定である。すなわ ち、インバータ19mの入力電圧は、第1実施例 2次側電圧Vucのように大きく変動することは く、該変動と対比すると、第2実施例のイン バータ19mの入力電圧はバッテリ電圧Vdcであっ て、一定とみなすことができる。

 図6に、図5に示すモータ制御装置30mの機能 成を示す。この構成は、双方向コンバータ 用いていないので、第1実施例のモータ制御 置(図2)のコンバータ制御部(45~47)を省略した ものとなっている。トルク指令制限34は、バ テリ18が出力できる最高電圧Vdcm(固定値)お び回転速度ωに対応する制限トルクTM*maxを制 限トルクテーブル(ルックアップテーブル)か 読み出して、目標トルクTM*がTM*maxを超えて ると、TM*maxを目標トルクT * に定める。TM*max以下のときには、モータ目標 トルクTM*を目標トルクT * に定める。このような制限を加えて生成した モータ目標トルクT * が、出力演算35に与えられる。

 第2実施例では、電圧センサ21が電源電圧(バ ッテリ電圧)Vdcを検出し、弱め界磁電流演算41 2相/3相変換36は、電源電圧Vdcを参照してd軸弱 め界磁電流調整値δidを算出し、2相/3相変換36 は、電源電圧Vdcにもとづいて各相目標電圧VU * ,VV * ,VW * を算出する。

 図7に、第2実施例のモータ制御装置30mを 成するマイコンMPU(のCPU)が実行するモータ駆 動制御MDCの概要を示す。これは、第1実施例 、2次目標電圧算出35からPvf,Pvr算出7までの処 理を省略し、しかも、変調制御12の中の変調 ード決定14を、インバータ入力電圧が略一 とみなせるバッテリ電圧Vdcに対応付けた、 変調モード決定」14aに変更したものである

 図8に、「変調モード決定」14aの内容を示 す。これは、インバータ入力電圧がバッテリ 電圧(略一定)であるので、第1実施例(図4)の、 インバータ入力電圧Vucに対応して変調モード 切換え境界(閾値)を補正する処理ステップ23,3 1を省略したものとなっている。第2実施例の 調モード区分の大要(概要)は、図9に示すも と同様であるが、第2実施例ではインバータ 19mの入力電圧が昇圧電圧ではなくバッテリ電 圧であるので、変調領域境界の閾値は、第1 施例とは異なった値である。

 第2実施例のその他の構成および機能は、 上述の第1実施例のもの(図1~図4)と同様である 。第2実施例によっても、3相変調から2相変調 への切換え境界A,Aoを、電気モータ10mがレゾ バ17mに与える電気的ノイズが大きい高トル かつ高回転速度の領域Anで低目標トルクおよ び低回転速度側にシフトした3相/2相変調切換 え境界A,As、を用いて、3相変調を実行中に目 トルクおよび回転速度が該境界A,Asを超える と2相変調に切り換えるので、回転電機の目 トルクおよび回転速度が、3相変調では電気 ノイズが強くなる高トルクかつ高回転速度 領域Anとなるときには、自動的に2相変調に り換えられる。これにより、インバータのP WMスイッチングの回数が減少し、回転電機の イズ発生が低減し、その分レゾルバの回転 出信号が乱れる可能性が低減し、回転電機 動制御の信頼性が向上する。

 なお、上述の第1および第2実施例のいずれ も、図9に示すように、特定領域(As~Ao,As’~Ao )は、力行時のものを回生じのもの(As’~Ao’ )より大きくしている。同一トルク,回転速度 場合、力行時の方が回生時よりも、必要な 流(変調率)が大きい。力行時には、
モータ電流→インバータ(損失)→モータ(損失 )→トルク
の過程でモータ電流がトルクに変換されるの に対し、回生時は、
トルク→モータ(損失)→インバータ(損失)→ ータ電流
の過程でトルクがモータ電流に変換される。 力行時と回生時とでトルクを同じにしようと した場合、力行時はインバータ損失とモータ 損失を追加した分だけ高いモータ電流が必要 になるのに対し、回生時は逆に回生トルクに よって発生するモータ電流は、モータ損失と インバータ損失の分だけ低いものとなる。こ のため、同一トルク,回転速度では回生時よ 力行時のほうが大きなモータ電流となる。 ゾルバノイズの大きさはモータ電流(変調率) に比例して大きくなる傾向がある。すなわち 前記特定領域が広がる。第1および第2実施例 、これに着目して前記特定領域を、前記回 電機の回生時より力行時の方を大きくして る。

 これらの実施例の一変形例では、モータ 御装置30m,30gは、電気モータ10m,10gのトルク, 転速度が特定領域(As~Ao,As’~Ao’)にあるとき の2相変調への前記切換えを行い、回生時に 行わない。上述のように、力行時と回生時 でトルクを同じにしようとした場合、力行 はインバータとモータの損失を追加した分 け高いモータ電流が必要になるのに対し、 生時は逆に回生トルクによって発生するモ タ電流は、モータとインバータの損失分だ 低いものとなる。したがって回生時は特定 域(As’~Ao’)でのレゾルバノイズは小さい。 定領域での3相変調から2相変調の切換えは 本来3相変調で制御したい領域を2相変調で制 御することになるため、少なからず電流歪が 発生する。本変形例ではこれに着目してレゾ ルバノイズ対策の必要性が低い回生時には、 特定領域(As’~Ao’)にあるときの2相変調への 換えは行わず、電流歪の増大を回避する。 う1つの変形例では、回生時の特定領域(As’ ~Ao’)を省略する。すなわち、特定領域を、 生時の特定領域(As~Ao)のみとする。