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Title:
ROTATING ELECTRIC MACHINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175333
Kind Code:
A1
Abstract:
This rotating electric machine (700) is provided with: a bearing (792) for rotatably supporting the rotational axis (701) of a rotor (710); a housing (771) having a bearing holding portion (780) to which the bearing is fixed; and a resolver (800) for outputting a rotation angle signal. An end of the bearing holding portion in the axial direction constitutes an expanded-diameter side fixing portion (783) in which a hole connected to the opening of the end in the axial direction is formed. A portion of the bearing holding portion adjacent to the expanded-diameter side fixing portion in the axial direction constitutes a reduced-diameter side fixing portion (782) in which a hole having a smaller hole diameter than that of the expanded-diameter side fixing portion is formed. The rotational axis is inserted into the respective holes of the expanded-diameter side fixing portion and the reduced-diameter side fixing portion. The bearing is fixed to one of the expanded-diameter side fixing portion and the reduced-diameter side fixing portion. The resolver stator (802) of the resolver is fixed to one of the expanded-diameter side fixing portion and the reduced-diameter side fixing portion to which the bearing is not fixed.

Inventors:
TSUCHIYA HIROYUKI (JP)
TAKAHASHI YUKI (JP)
MAWATARI YUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006903
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 20, 2020
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Assignee:
DENSO CORP (JP)
International Classes:
H02K11/225; H02K1/27; H02K21/22
Domestic Patent References:
WO2018147012A12018-08-16
WO2019017496A12019-01-24
Foreign References:
JPH0143958B21989-09-25
JP2016027786A2016-02-18
JP2010268633A2010-11-25
JP2007153495A2007-06-21
JP2015190566A2015-11-02
Attorney, Agent or Firm:
YAMADA, Tsuyoshi (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175333 143 卩(:17 2020 /006903

請求の範囲

[請求項 1 ] 回転子 (7 1 0) と、

前記回転子の回転軸 (7 0 1) を回転自在に支持する軸受 (7 9 2 ) と、

前記軸受が固定された軸受保持部 (7 8 0) を有するハウジング ( 7 7 1) と、

前記軸受保持部に固定されたレゾルバステータ (8 0 2) 、 及び前 記回転軸のうち径方向において前記レゾルバステータと対向する位置 に固定されたレゾルバロータ (8 0 1) を有し、 前記回転子の回転角 信号を出力するレゾルバ (8 0 0) と、 を備える回転電機 (7 0 0) において、

前記軸受保持部のうち軸方向端部は、 その軸方向端部の開口に繫が る孔が形成された拡径側固定部 (7 8 3) とされており、

前記軸受保持部のうち前記拡径側固定部と軸方向に隣り合う部分は 、 前記拡径側固定部の孔径よりも小さい孔が形成された縮径側固定部 (7 8 2) とされており、

前記拡径側固定部及び前記縮径側固定部それぞれの孔に前記回転軸 が揷通されており、

前記拡径側固定部及び前記縮径側固定部のうち一方に前記軸受が固 定されており、

前記拡径側固定部及び前記縮径側固定部のうち前記軸受が固定され ていない方に前記レゾルバステータが固定されている回転電機。

[請求項 2] 前記軸受を縮径側軸受とし、

前記縮径側軸受が前記縮径側固定部に固定されており、

前記レゾルバステータが拡径側固定部に固定されており、 前記軸受保持部のうち軸方向において前記縮径側固定部を挟んで前 記拡径側固定部とは反対側は、 孔が形成された基端側固定部 (7 8 1 ) とされており、 〇 2020/175333 144 卩(:171? 2020 /006903

前記拡径側固定部、 前記縮径側固定部及び前記基端側固定部それぞ れの孔に前記回転軸が揷通されており、

前記基端側固定部に固定され、 前記回転軸を回転自在に支持する基 端側軸受 (7 9 1) を備え、

前記回転軸のうち軸方向において前記基端側軸受側に前記回転子が 固定されており、

前記縮径側軸受及び前記基端側軸受は、 外輪と、 内輪と、 それら外 輪及び内輪の間に配置された複数の玉とを有するラジアル玉軸受であ り、

前記基端側軸受の外径寸法が前記縮径側軸受の外径寸法よりも大き い請求項 1 に記載の回転電機。

[請求項 3] 前記基端側軸受における外輪及び内輪と玉との間の隙間寸法が、 前 記縮径側軸受における外輪及び内輪と玉との間の隙間寸法よりも大き い請求項 2に記載の回転電機。

[請求項 4] 前記拡径側固定部のうち、 軸方向において前記レゾルバステータ及 び前記軸受よりも開口側に固定された円環状のカバー部材 (8 0 3) を備える請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載の回転電機。

[請求項 5] 径方向において前記回転子と対向する固定子 (7 3 0) を備え、 前記回転子は、

前記回転軸に対して固定された円板状の端板部 (7 1 3) を有し、 前記回転軸と同軸に配置されたキャリア (7 1 1) と、

前記回転軸と同軸に配置された円環状の磁石ユニッ ト (7 1 2) と 、 を有し、

前記磁石ユニッ トは、

軸方向における一端が前記端板部に対して固定された円筒状の磁石 ホルダ (7 2 1) と、

前記磁石ホルダのうち径方向において前記固定子側の周面に固定さ れ、 周方向に極性が交互となる磁石 (7 2 2) と、 を有し、 〇 2020/175333 145 卩(:171? 2020 /006903

前記磁石ホルダが非磁性材料にて構成されており、

前記磁石において、 軸における磁化容易軸の向きが、 軸に平行 な向きからずらされている請求項 1〜 4のいずれか 1項に記載の回転 電機。

[請求項 6] 前記磁石において 9軸と 9軸間の磁束授受面 (7 2 4) との交 点を中心点 (〇 ) とし、 かつ前記磁石の径方向の厚み寸法を半径と する円を、 前記磁石の磁化容易軸を定める配向円 (X) とする場合、 前記磁石が前記配向円の四半円分を包括する構成となっている請求項 5に記載の回転電機。

Description:
\¥0 2020/175333 1 ?01/^2020/006903

明 細 書

発明の名称 : 回転電機

関連出願の相互参照

[0001 ] 本出願は、 2 0 1 9年2月 2 5日に出願された日本出願番号 2 0 1 9— 0

3 2 1 8 4号に基づくもので、 ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002] この明細書における開示は、 回転電機に関する。

背景技術

[0003] 従来、 特許文献 1 に記載されているように、 回転子に固定された車軸 (回 転軸) と、 中空筒状の車輪支持部と、 車輪支持部に対して車軸を回転自在に 支持するベアリングとを備える回転電機が知 られている。 ベアリングは、 車 輪支持部のうち軸方向一端側の内周面に固定 されている。

[0004] 回転電機は、 回転センサユニッ トを備えている。 このユニッ トは、 車輪支 持部のうち軸方向においてべアリングが固定 された側とは反対側に固定され た検出器と、 車軸のうち径方向において検出器と対向する 位置に固定された 歯車とを有している。 検出器は、 径方向に対向する歯車の歯の位置を検出し 、 その歯の位置情報に基づいて回転子の回転角 信号を出力する。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 1 3 _ 1 8 2 3 1 7号公報

発明の概要

[0006] 特許文献 1 に記載の回転電機では、 車輪支持部における検出部の固定部が 、 車輪支持部のうち軸方向においてべアリング の固定部とは反対側に設けら れている。 このため、 車軸のうち、 ベアリングによる支持部と、 歯車の固定 部との軸方向距離が長くなってしまう。 この場合、 車軸の振れが大きくなり 、 回転センサユニッ トによる回転位置の検出精度が悪化する懸念 がある。

[0007] 本開示は、 上記事情に鑑みてなされたものであり、 回転子の回転位置の検 \¥0 2020/175333 2 卩(:17 2020 /006903

出精度を向上させることができる回転電機 を提供することを主たる目的とす る。

[0008] この明細書における開示された複数の態様は 、 それぞれの目的を達成する ために、 互いに異なる技術的手段を採用する。 この明細書に開示される目的 、 特徴、 および効果は、 後続の詳細な説明、 および添付の図面を参照するこ とによってより明確になる。

[0009] 手段 1は、 回転子と、

前記回転子の回転軸を回転自在に支持する軸 受と、

前記軸受が固定された軸受保持部を有するハ ウジングと、

前記軸受保持部に固定されたレゾルバステー タ、 及び前記回転軸のうち径 方向において前記レゾルバステータと対向す る位置に固定されたレゾルバロ —夕を有し、 前記回転子の回転角信号を出力するレゾルバ と、 を備える回転 電機において、

前記軸受保持部のうち軸方向端部は、 その軸方向端部の開口に繫がる孔が 形成された拡径側固定部とされており、

前記軸受保持部のうち前記拡径側固定部と軸 方向に隣り合う部分は、 前記 拡径側固定部の孔径よりも小さい孔が形成さ れた縮径側固定部とされており \

前記拡径側固定部及び前記縮径側固定部それ ぞれの孔に前記回転軸が揷通 されており、

前記拡径側固定部及び前記縮径側固定部のう ち一方に前記軸受が固定され ており、

前記拡径側固定部及び前記縮径側固定部のう ち前記軸受が固定されていな い方に前記レゾルバステータが固定されてい る。

[0010] 手段 1では、 拡径側固定部と縮径側固定部とが軸方向にお いて隣り合って いる。 この構成によれば、 回転軸のうち、 軸受による支持部と、 レゾルバロ —夕の固定部との軸方向距離を短くすること ができ、 回転軸の振れを低減で きる。 その結果、 レゾルバステータに対するレゾルバロータの 振れを低減で 〇 2020/175333 3 卩(:171? 2020 /006903

き、 回転子の回転位置の検出精度を向上させるこ とができる。

[001 1 ] また、 拡径側固定部と、 拡径側固定部より孔径の小さい孔が形成され た縮 径側固定部とが軸方向において隣り合ってい る構成は、 軸受保持部において 中ぐり加工等により孔加工を行う際に、 拡径側固定部と縮径側固定部とを同 —方向から同軸で連続加工することができる 。 このため、 拡径側固定部及び 縮径側固定部のうち、 一方に固定された軸受と、 他方に固定されたレゾルバ ステータとの同軸度を高めることができる。 これにより、 レゾルバロータと レゾルバステータとの同軸度を高めることが でき、 レゾルバステータに対す るレゾルバロータの振れを低減できる。 その結果、 回転位置の検出精度の向 上効果をより高めることができる。

[0012] 手段 2は、 手段 1 において、 前記軸受を縮径側軸受とし、

前記縮径側軸受が前記縮径側固定部に固定さ れており、

前記レゾルバステータが拡径側固定部に固定 されており、

前記軸受保持部のうち軸方向において前記縮 径側固定部を挟んで前記拡径 側固定部とは反対側は、 孔が形成された基端側固定部とされており、 前記拡径側固定部、 前記縮径側固定部及び前記基端側固定部それ ぞれの孔 に前記回転軸が揷通されており、

前記基端側固定部に固定され、 前記回転軸を回転自在に支持する基端側軸 受を備え、

前記回転軸のうち軸方向において前記基端側 軸受側に前記回転子が固定さ れており、

前記縮径側軸受及び前記基端側軸受は、 外輪と、 内輪と、 それら外輪及び 内輪の間に配置された複数の玉とを有するラ ジアル玉軸受であり、

前記基端側軸受の外径寸法が前記縮径側軸受 の外径寸法よりも大きい。

[0013] 手段 2では、 回転軸のうち軸方向において基端側軸受側に 回転子が固定さ れている。 このため、 基端側軸受は、 縮径側軸受に比べて回転子の振動や遠 心荷重を受けやすい。 ここで、 手段 2では、 基端側軸受の外径寸法が縮径側 軸受の外径寸法よりも大きい。 軸受の外径寸法が大きいほど、 外輪及び内輪 〇 2020/175333 4 卩(:171? 2020 /006903

と玉との間の隙間寸法が大きくなる。 このため、 手段 2によれば、 回転子の 荷重吸収の効果が高めることができ、 軸受保持部のうち、 基端側固定部の側 に作用する荷重を低減できる。 これにより、 回転軸のうち縮径側軸受による 支持部の振れを低減でき、 レゾルバステータに対するレゾルバロータの 振れ を低減できる。 その結果、 回転子の回転位置の検出精度を向上させるこ とが できる。

[0014] 手段 4は、 手段 1〜 3のいずれか 1つにおいて、 前記拡径側固定部のうち 、 軸方向において前記レゾルバステータ及び前 記軸受よりも開口側に固定さ れた円環状のカバー部材を備える。

[0015] 手段 4によれば、 レゾルバ及び軸受を異物から保護することが できる。

[0016] 手段 5は、 手段 1〜 4のいずれか 1つにおいて、 径方向において前記回転 子と対向する固定子を備え、

前記回転子は、

前記回転軸に対して固定された円板状の端板 部を有し、 前記回転軸と同軸 に配置されたキヤリアと、

前記回転軸と同軸に配置された円環状の磁石 ユニッ トと、 を有し、 前記磁石ユニッ トは、

軸方向における一端が前記端板部に対して固 定された円筒状の磁石ホルダ と、

前記磁石ホルダのうち径方向において前記固 定子側の周面に固定され、 周 方向に極性が交互となる磁石と、 を有し、

前記磁石ホルダが非磁性材料にて構成されて おり、

前記磁石において、 軸における磁化容易軸の向きが、 軸に平行な向き からずらされている。

[0017] 手段 5では、 磁石ホルダが非磁性材料にて構成されている 。 このため、 回 転子の軽量化を図ることができ、 回転軸の振れを低減できる。 これにより、 レゾルバステータに対するレゾルバロータの 振れを低減でき、 回転子の回転 位置の検出精度を向上させることができる。 〇 2020/175333 卩(:171? 2020 /006903

[0018] ここで、 手段 5では、 磁石において、 9軸における磁化容易軸の向きが、

9軸に平行な向きからずらされている。 この構成によれば、 ラジアル配向さ れた磁石を備える構成と比較して、 磁石から磁石ホルダへの磁束漏れを抑制 することができ、 回転電機のトルクの低下を抑制することがで きる。 このよ うに、 手段 5によれば、 回転電機のトルクの低下を抑制しつつ、 回転子の回 転位置の検出精度を向上させることができる 。

[0019] 手段 6は、 手段 5において、 前記磁石において 9軸と 9軸間の磁束授 受面との交点を中心点とし、 かつ前記磁石の径方向の厚み寸法を半径とす る 円を、 前記磁石の磁化容易軸を定める配向円とする 場合、 前記磁石が前記配 向円の四半円分を包括する構成となっている 。

[0020] 手段 6では、 磁石において、 9軸を横切るように円弧状の磁化容易軸が設 けられることとなる。 その磁化容易軸のうち、 径方向において磁束授受面と は反対側の周面と 9軸との交点を通る磁化容易軸、 すなわち配向円 Xを通る 磁化容易軸により最も強い磁石磁束が生じる 。 手段 6によれば、 この最も強 い磁石磁束の磁路が磁石ホルダ側に形成され ることを回避でき、 磁石から磁 石ホルダへの磁束漏れの抑制効果を高めるこ とができる。

図面の簡単な説明

[0021] 本開示についての上記目的およびその他の目 的、 特徴や利点は、 添付の図 面を参照しながら下記の詳細な記述により、 より明確になる。 その図面は、 [図 1]図 1は、 回転電機の縦断面斜視図であり、

[図 2]図 2は、 回転電機の縦断面図であり、

[図 3]図 3は、 図 2の 111— 111線断面図であり、

[図 4]図 4は、 図 3の一部を拡大して示す断面図であり、

[図 5]図 5は、 回転電機の分解図であり、

[図 6]図 6は、 インバータユニッ トの分解図であり、

[図 7]図 7は、 固定子巻線のアンペアターンとトルク密度と の関係を示すトル ク線図であり、

[図 8]図 8は、 回転子及び固定子の横断面図であり、 20/175333 6 卩(:171? 2020 /006903

[図 9]図 9は、 図 8の一部を拡大して示す図であり、

[図 10]図 1 0は、 固定子の横断面図であり、

[図 1 1]図 1 1は、 固定子の縦断面図であり、

[図 12]図 1 2は、 固定子卷線の斜視図であり、

[図 13]図 1 3は、 導線の構成を示す斜視図であり、

[図 14]図 1 4は、 素線の構成を示す模式図であり、

[図 15]図 1 5は、 n層目における各導線の形態を示す図であり

[図 16]図 1 6は、 n層目と n + 1層目の各導線を示す側面図であり、

[図 17]図 1 7は、 実施形態の磁石について電気角と磁束密度と の関係を示す 図であり、

[図 18]図 1 8は、 比較例の磁石について電気角と磁束密度との 関係を示す図 であり、

[図 19]図 1 9は、 回転電機の制御システムの電気回路図であり 、

[図 20]図 2 0は、 制御装置による電流フィードバック制御処理 を示す機能ブ ロック図であり、

[図 21]図 2 1は、 制御装置によるトルクフィードバック制御処 理を示す機能 ブロック図であり、

[図 22]図 2 2は、 第 2実施形態における回転子及び固定子の横断 図であり

[図 23]図 2 3は、 図 2 2の一部を拡大して示す図であり、

[図 24]図 2 4は、 磁石ユニッ トにおける磁束の流れを具体的に示す図であ り

[図 25]図 2 5は、 変形例 1 における固定子の断面図であり、

[図 26]図 2 6は、 変形例 1 における固定子の断面図であり、

[図 27]図 2 7は、 変形例 2における固定子の断面図であり、

[図 28]図 2 8は、 変形例 3における固定子の断面図であり、

[図 29]図 2 9は、 変形例 4における固定子の断面図であり、

[図 30]図 3 0は、 変形例 7における回転子及び固定子の横断面図であ 、 〇 2020/175333 7 卩(:171? 2020 /006903

[図 31]図 3 1は、 変形例 8において操作信号生成部の処理の一部を示 機能 ブロック図であり、

[図 32]図 3 2は、 キヤリア周波数変更処理の手順を示すフロー チヤートであ り、

[図 33]図 3 3は、 変形例 9において導線群を構成する各導線の接続形 を示 す図であり、

[図 34]図 3 4は、 変形例 9において 4対の導線が積層配置されている構成を 示す図であり、

[図 35]図 3 5は、 変形例 1 0においてインナロータ型の回転子及び固定 の 横断面図であり、

[図 36]図 3 6は、 図 3 5の一部を拡大して示す図であり、

[図 37]図 3 7は、 インナロータ型の回転電機の縦断面図であり 、

[図 38]図 3 8は、 インナロータ型の回転電機の概略構成を示す 縦断面図であ り、

[図 39]図 3 9は、 変形例 1 1 においてインナロータ構造の回転電機の構成 を 示す図であり、

[図 40]図 4 0は、 変形例 1 1 においてインナロータ構造の回転電機の構成 を 示す図であり、

[図 41]図 4 1は、 変形例 1 2において回転電機子形の回転電機の構成を す 図であり、

[図 42]図 4 2は、 変形例 1 4における導線の構成を示す断面図であり、 [図 43]図 4 3は、 リラクタンストルク、 磁石トルク及び口1\/1の関係を示す図 であり、

[図 44]図 4 4は、 テイースを示す図であり、

[図 45]図 4 5は、 インホイールモータ構造の車輪及びその周辺 構造を示す斜 視図であり、

[図 46]図 4 6は、 車輪及びその周辺構造の縦断面図であり、

[図 47]図 4 7は、 車輪の分解斜視図であり、 20/175333 8 卩(:171? 2020 /006903

[図 48]図 4 8は、 回転電機を回転軸の突出側から見た側面図で あり、

[図 49]図 4 9は、 図 4 8の 4 9 - 4 9線断面図であり、

[図 50]図 5 0は、 図 4 9の 5 0— 5 0線断面図であり、

[図 51]図 5 1は、 回転電機の分解断面図であり、

[図 52]図 5 2は、 回転子の部分断面図であり、

[図 53]図 5 3は、 固定子巻線及び固定子コアの斜視図であり、

[図 54]図 5 4は、 固定子巻線を平面状に展開して示す正面図で あり、

[図 55]図 5 5は、 導線のスキューを示す図であり、

[図 56]図 5 6は、 インバータユニットの分解断面図であり、

[図 57]図 5 7は、 インバータユニットの分解断面図であり、

[図 58]図 5 8は、 インバータハウジングでの各電気モジュール の配置の状態 を示す図であり、

[図 59]図 5 9は、 電力変換器の電気的構成を示す回路図であり 、

[図 60]図 6 0は、 スイッチモジュールの冷却構造例を示す図で あり、

[図 61]図 6 1は、 スイッチモジュールの冷却構造例を示す図で あり、

[図 62]図 6 2は、 スイッチモジュールの冷却構造例を示す図で あり、

[図 63]図 6 3は、 スイッチモジュールの冷却構造例を示す図で あり、

[図 64]図 6 4は、 スイッチモジュールの冷却構造例を示す図で あり、

[図 65]図 6 5は、 冷却水通路に対する各電気モジュールの配列 順序を示す図 であり、

[図 66]図 6 6は、 図 4 9の 6 6— 6 6線断面図であり、

[図 67]図 6 7は、 図 4 9の 6 7— 6 7線断面図であり、

[図 68]図 6 8は、 バスバーモジュールを単体で示す斜視図であ り、

[図 69]図 6 9は、 各電気モジュールとバスバーモジュールとの 電気的な接続 状態を示す図であり、

[図 70]図 7 0は、 各電気モジュールとバスバーモジュールとの 電気的な接続 状態を示す図であり、

[図 71]図 7 1は、 各電気モジュールとバスバーモジュールとの 電気的な接続 〇 2020/175333 9 卩(:171? 2020 /006903

状態を示す図であり、

[図 72]図 7 2は、 インホイールモータにおける変形例 1 を説明するための構 成図であり、

[図 73]図 7 3は、 インホイールモータにおける変形例 2を説明するための構 成図であり、

[図 74]図 7 4は、 インホイールモータにおける変形例 3を説明するための構 成図であり、

[図 75]図 7 5は、 インホイールモータにおける変形例 4を説明するための構 成図であり、

[図 76]図 7 6は、 変形例 1 5における回転電機の全体を示す斜視図であ 、 [図 77]図 7 7は、 回転電機の縦断面図であり、

[図 78]図 7 8は、 回転電機の構成要素を分解した分解断面図で あり、

[図 79]図 7 9は、 回転子の縦断面図であり、

[図 80]図 8 0は、 磁石ユニッ トの断面構造を拡大して示す部分断面図であ り

[図 81]図 8 1は、 磁石の配向方法を示す図であり、

[図 82]図 8 2は、 インナユニッ トの縦断面図であり、

[図 83]図 8 3は、 軸受が組み付けられた状態のインナユニッ トの縦断面図で あり、

[図 84]図 8 4は、 変形例 1 6における回転子の縦断面図である。

発明を実施するための形態

[0022] 図面を参照しながら、 複数の実施形態を説明する。 複数の実施形態におい て、 機能的におよび/または構造的に対応する部 および/または関連付け られる部分には同一の参照符号、 または百以上の位が異なる参照符号が付さ れる場合がある。 対応する部分および/又は関連付けられる部 については 、 他の実施形態の説明を参照することができる 。

[0023] 本実施形態における回転電機は、 例えば車両動力源として用いられるもの となっている。 ただし、 回転電機は、 産業用、 車両用、 家電用、 〇八機器用 〇 2020/175333 10 卩(:171? 2020 /006903

、 遊技機用などとして広く用いられることが可 能となっている。 なお、 以下 の各実施形態相互において、 互いに同 _ 又は均等である部分には、 図中、 同 _符号を付しており、 同 _ 符号の部分についてはその説明を援用す る。

[0024] (第 1実施形態)

本実施形態に係る回転電機 1 〇は、 同期式多相交流モータであり、 アウタ 口ータ構造 (外転構造) のものとなっている。 回転電機 1 0の概要を図 1乃 至図 5に示す。 図 1は、 回転電機 1 0の縦断面斜視図であり、 図 2は、 回転 電機 1 0の回転軸 1 1 に沿う方向での縦断面図であり、 図 3は、 回転軸 1 1 に直交する方向での回転電機 1 〇の横断面図 (図 2の 111 - 111線断面図) で あり、 図 4は、 図 3の一部を拡大して示す断面図であり、 図 5は、 回転電機 1 〇の分解図である。 なお、 図 3では、 図示の都合上、 回転軸 1 1 を除き、 切断面を示すハッチングを省略している。 以下の記載では、 回転軸 1 1が延 びる方向を軸方向とし、 回転軸 1 1の中心から放射状に延びる方向を径方向 とし、 回転軸 1 1 を中心として円周状に延びる方向を周方向と している。

[0025] 回転電機 1 0は、 大別して、 軸受ユニッ ト 2 0と、 ハウジング 3 0と、 回 転子 4 0と、 固定子 5 0と、 インバータユニッ ト 6 0とを備えている。 これ ら各部材は、 いずれも回転軸 1 1 と共に同軸上に配置され、 所定順序で軸方 向に組み付けられることで回転電機 1 0が構成されている。 本実施形態の回 転電機 1 0は、 「界磁子」 としての回転子 4 0と、 「電機子」 としての固定 子 5 0とを有する構成となっており、 回転界磁形の回転電機として具体化さ れるものとなっている。

[0026] 軸受ユニッ ト 2 0は、 軸方向に互いに離間して配置される 2つの軸受 2 1 , 2 2と、 その軸受 2 1 , 2 2を保持する保持部材 2 3とを有している。 軸 受 2 1 , 2 2は、 例えばラジアル玉軸受であり、 それぞれ外輪 2 5と、 内輪 2 6と、 それら外輪 2 5及び内輪 2 6の間に配置された複数の玉 2 7とを有 している。 保持部材 2 3は円筒状をなしており、 その径方向内側に軸受 2 1 , 2 2が組み付けられている。 そして、 軸受 2 1 , 2 2の径方向内側に、 回 転軸 1 1及び回転子 4 0が回転自在に支持されている。 軸受 2 1 , 2 2によ 〇 2020/175333 1 1 卩(:171? 2020 /006903

り、 回転軸 1 1 を回転可能に支持する一組の軸受が構成され ている。

[0027] 各軸受 2 1 , 2 2では、 不図示のリテーナにより玉 2 7が保持され、 その 状態で各玉同士のピッチが保たれている。 軸受 2 1 , 2 2は、 リテーナの軸 方向上下部に封止部材を有し、 その内部に非導電性グリース (例えば非導電 性のウレア系グリース) が充填されている。 また、 内輪 2 6の位置がスぺ一 サにより機械的に保持され、 内側から上下方向に凸となる定圧予圧が施さ れ ている。

[0028] ハウジング 3 0は、 円筒状をなす周壁 3 1 を有する。 周壁 3 1は、 その軸 方向に対向する第 1端と第 2端を有する。 周壁 3 1は、 第 1端に端面 3 2と 有するとともに、 第 2端に開口 3 3を有する。 開口 3 3は、 第 2端の全体に おいて開放されている。 端面 3 2には、 その中央に円形の孔 3 4が形成され ており、 その孔 3 4に揷通させた状態で、 ネジやリベッ ト等の固定具により 軸受ユニッ ト 2 0が固定されている。 また、 ハウジング 3 0内、 すなわち周 壁 3 1及び端面 3 2により区画された内部スペースには、 中空円筒状の回転 子 4 0と中空円筒状の固定子 5 0とが収容されている。 本実施形態では回転 電機 1 〇がアウタロータ式であり、 ハウジング 3 0内には、 筒状をなす回転 子 4 0の径方向内側に固定子 5 0が配置されている。 回転子 4 0は、 軸方向 において端面 3 2の側で回転軸 1 1 に片持ち支持されている。

[0029] 回転子 4 0は、 中空筒状に形成された磁石ホルダ 4 1 と、 その磁石ホルダ 4 1の径方向内側に設けられた環状の磁石ユニ ト 4 2とを有している。 磁 石ホルダ 4 1は、 略カップ状をなし、 磁石保持部材としての機能を有する。 磁石ホルダ 4 1は、 円筒状をなす円筒部 4 3と、 同じく円筒状をなしかつ円 筒部 4 3よりも小径の固定部 (3 3 1116^) 4 4と、 それら円筒部 4 3及び 固定部 4 4を繫ぐ部位となる中間部 4 5とを有している。 円筒部 4 3の内周 面に磁石ユニッ ト 4 2が取り付けられている。

[0030] なお、 磁石ホルダ 4 1は、 機械強度が充分な冷間圧延鋼板 や 、 鍛造用鋼、 炭素繊維強化プラスチック 等により構成されてい る。 〇 2020/175333 12 卩(:171? 2020 /006903

[0031 ] 固定部 4 4の貫通孔 4 4 3には回転軸 1 1が揷通される。 貫通孔 4 4 3内 に配置された回転軸 1 1 に対して固定部 4 4が固定されている。 つまり、 固 定部 4 4により、 回転軸 1 1 に対して磁石ホルダ 4 1が固定されている。 な お、 固定部 4 4は、 凹凸を利用したスプライン結合やキー結合、 溶接、 又は かしめ等により回転軸 1 1 に対して固定されているとよい。 これにより、 回 転子 4 0が回転軸 1 1 と一体に回転する。

[0032] また、 固定部 4 4の径方向外側には、 軸受ユニッ ト 2 0の軸受 2 1 , 2 2 が組み付けられている。 上述のとおり軸受ユニッ ト 2 0はハウジング 3 0の 端面 3 2に固定されているため、 回転軸 1 1及び回転子 4 0は、 ハウジング 3 0に回転可能に支持されるものとなっている これにより、 ハウジング 3 0内において回転子 4 0が回転自在となっている。

[0033] 回転子 4 0には、 その軸方向に対向する二つの端部の一方にの み固定部 4 4が設けられており、 これにより、 回転子 4 0が回転軸 1 1 に片持ち支持さ れている。 ここで、 回転子 4 0の固定部 4 4は、 軸受ユニッ ト 2 0の軸受 2 1 , 2 2により、 軸方向に異なる 2位置で回転可能に支持されている。 すな わち、 回転子 4 0は、 磁石ホルダ 4 1の、 その軸方向に対向する二つの端部 の一方において、 その軸方向に離間する二つの軸受 2 1 , 2 2により回転可 能に支持されている。 そのため、 回転子 4 0が回転軸 1 1 に片持ち支持され る構造であっても、 回転子 4 0の安定回転が実現されるようになっている この場合、 回転子 4 0の軸方向中心位置に対して片側にずれた位 で、 回転 子 4 0が軸受 2 1 , 2 2により支持されている。

[0034] また、 軸受ユニッ ト 2 0において回転子 4 0の中心寄り (図の下側) の軸 受 2 2と、 その逆側 (図の上側) の軸受 2 1 とは、 外輪 2 5及び内輪 2 6と 玉 2 7との間の隙間寸法が相違しており、 例えば回転子 4 0の中心寄りの軸 受 2 2の方が、 その逆側の軸受 2 1 よりも隙間寸法が大きいものとなってい る。 この場合、 回転子 4 0の中心寄りの側において、 回転子 4 0の振れや、 部品公差に起因するインバランスによる振動 が軸受ユニッ ト 2 0に作用して も、 その振れや振動の影響が良好に吸収される。 具体的には、 回転子 4 0の 〇 2020/175333 13 卩(:171? 2020 /006903

中心寄り (図の下側) の軸受 2 2において予圧により遊び寸法 (隙間寸法) を大きく していることで、 片持ち構造において生じる振動がその遊び部 分に より吸収される。 前記予圧は、 定位置予圧、 又は定圧予圧のいずれであって も良い。 定位置予圧の場合、 軸受 2 1 と軸受 2 2の外輪 2 5はいずれも保持 部材 2 3に対して、 圧入、 又は接着等の方法を用いて接合されている。 また 、 軸受 2 1 と軸受 2 2の内輪 2 6はいずれも回転軸 1 1 に対して、 圧入、 又 は接着等の方法を用いて接合されている。 ここで軸受 2 1の外輪 2 5を軸受 2 1の内輪 2 6に対して軸方向に異なる位置に配置する事 予圧を発生させ ることができる。 軸受 2 2の外輪 2 5を軸受 2 2の内輪 2 6に対して軸方向 に異なる位置に配置する事でも予圧を発生さ せることができる。

[0035] また定圧予圧を採用する場合には、 軸方向において、 軸受 2 2と軸受 2 1 に挟まれた領域から軸受 2 2の外輪 2 5に向けて予圧が発生する様に予圧用 パネ、 例えばゥェーブワッシャ 2 4等を軸受 2 2と軸受 2 1 に挟まれた同領 域に配置する。 この場合も、 軸受 2 1 と軸受 2 2の内輪 2 6はいずれも回転 軸 1 1 に対して、 圧入、 又は接着等の方法を用いて接合されている。 軸受 2 1、 又は軸受 2 2の外輪 2 5は、 保持部材 2 3に対して所定のクリアランス を介して配置される。 このような構成とすることで、 軸受 2 2の外輪 2 5に は軸受 2 1から離れる方向に予圧用パネのパネカが作 する。 そして、 この 力が回転軸 1 1 を伝わることで、 軸受 2 1の内輪 2 6を軸受 2 2の方向に押 し付ける力が作用する。 これにより、 軸受 2 1 , 2 2ともに、 外輪 2 5と内 輪 2 6の軸方向の位置がずれ、 前述した定位置予圧と同様に 2つのべアリン グに予圧を掛けることができる。

[0036] なお、 定圧予圧を発生させる際には、 必ずしも図 2に示す様に軸受 2 2の 外輪 2 5にパネカを印加する必要は無い。 例えば、 軸受 2 1の外輪 2 5にバ ネカを印加しても良い。 また軸受 2 1 , 2 2のいずれかの内輪 2 6を回転軸 1 1 に対して所定のクリアランスを介して配置し 、 軸受 2 1 , 2 2の外輪 2 5を保持部材 2 3に対して圧入、 又は接着等の方法を用いて接合することで 、 2つのベアリングに予圧を掛けても良い。 〇 2020/175333 14 卩(:171? 2020 /006903

[0037] 更には、 軸受 2 1の内輪 2 6が軸受 2 2に対して離れるように力を作用さ せる場合には、 軸受 2 2の内輪 2 6も軸受 2 1 に対して離れるように力を作 用させる方が良い。 逆に、 軸受 2 1の内輪 2 6が軸受 2 2に対して近づくよ うに力を作用させる場合には、 軸受 2 2の内輪 2 6も軸受 2 1 に対して近づ くように力を作用させる方が良い。

[0038] なお、 本回転電機 1 0を車両動力源等の目的で車両に適用する場 には、 予圧を発生させる機構に対して予圧の発生方 向の成分を持つ振動が加わる可 能性や、 予圧を印加する対象物に掛る重力の方向が変 動してしまう可能性が ある。 その為、 本回転電機 1 0を車両に適用する場合には、 定位置予圧を採 用することが望ましい。

[0039] また、 中間部 4 5は、 環状の内側肩部 4 9 3 と環状の外側肩部 4 9匕を有 する。 外側肩部 4 9 13は、 中間部 4 5の径方向において内側肩部 4 9 3の外 側に位置している。 内側肩部 4 9 3 と外側肩部 4 9匕は、 中間部 4 5の軸方 向において互いに離間している。 これにより、 中間部 4 5の径方向において 、 円筒部 4 3と固定部 4 4とは部分的に重複している。 つまり、 固定部 4 4 の基端部 (図の下側の奧側端部) よりも軸方向外側に、 円筒部 4 3が突出す るものとなっている。 本構成では、 中間部 4 5が段差無しで平板状に設けら れる場合に比べて、 回転子 4 0の重心近くの位置で、 回転軸 1 1 に対して回 転子 4 0を支持させることが可能となり、 回転子 4 0の安定動作が実現でき るものとなっている。

[0040] 上述した中間部 4 5の構成によれば、 回転子 4 0には、 径方向において固 定部 4 4を囲みかつ中間部 4 5の内寄りとなる位置に、 軸受ュニッ ト 2 0の 一部を収容する軸受収容凹部 4 6が環状に形成されるとともに、 径方向にお いて軸受収容凹部 4 6を囲みかつ中間部 4 5の外寄りとなる位置に、 後述す る固定子 5 0の固定子巻線 5 1のコイルエンド 5 4を収容するコイル収容凹 部 4 7が形成されている。 そして、 これら各収容凹部 4 6 , 4 7が、 径方向 の内外で隣り合うように配置されるようにな っている。 つまり、 軸受ユニッ 卜 2 0の一部と、 固定子卷線 5 1のコイルエンド 5 4とが径方向内外に重複 〇 2020/175333 15 卩(:171? 2020 /006903

するように配置されている。 これにより、 回転電機 1 0において軸方向の長 さ寸法の短縮が可能となっている。

[0041 ] 中間部 4 5は、 回転軸 1 1側から径方向外側に張り出すように設けら て いる。 そして、 その中間部 4 5に、 軸方向に延び、 固定子 5 0の固定子巻線 5 1のコイルエンド 5 4に対する接触を回避する接触回避部が設け れてい る。 中間部 4 5が張出部に相当する。

[0042] コイルエンド 5 4は、 径方向の内側又は外側に曲げられることで、 そのコ イルエンド 5 4の軸方向寸法を小さくすることができ、 固定子 5 0の軸長を 短縮することが可能である。 コイルエンド 5 4の曲げ方向は、 回転子 4 0と の組み付けを考慮したものであるとよい。 回転子 4〇の径方向内側に固定子 5 0を組み付けることを想定すると、 その回転子 4 0に対する揷入先端側で は、 コイルエンド 5 4が径方向内側に曲げられるとよい。 コイルエンド 5 4 の反対側のコイルエンドの曲げ方向は任意で よいが、 空間的に余裕のある外 側に曲げた形状が製造上好ましい。

[0043] また、 磁石部としての磁石ユニッ ト 4 2は、 円筒部 4 3の径方向内側にお いて、 周方向に沿って極性が交互に変わるように配 置された複数の永久磁石 により構成されている。 これにより、 磁石ユニッ ト 4 2は、 周方向に複数の 磁極を有する。 ただし、 磁石ユニッ ト 4 2の詳細については後述する。

[0044] 固定子 5 0は、 回転子 4 0の径方向内側に設けられている。 固定子 5 0は 、 略筒状 (環状) に卷回形成された固定子巻線 5 1 と、 その径方向内側に配 置されたべース部材としての固定子コア 5 2とを有しており、 固定子巻線 5 1が、 所定のエアギャップを挟んで円環状の磁石ユ ニッ ト 4 2に対向するよ うに配置されている。 固定子巻線 5 1は複数の相巻線よりなる。 それら各相 巻線は、 周方向に配列された複数の導線が所定ピッチ で互いに接続されるこ とで構成されている。 本実施形態では、 リ相、 V相及び 相の 3相卷線と、 X相、 丫相及び 相の 3相卷線とを用い、 それら 3相の巻線を 2つ用いるこ とで、 固定子巻線 5 1が 6相の相巻線として構成されている。

[0045] 固定子コア 5 2は、 軟磁性材である電磁鋼板が積層された積層鋼 板により 〇 2020/175333 16 卩(:171? 2020 /006903

円環状に形成されており、 固定子巻線 5 1の径方向内側に組み付けられてい る。 電磁鋼板は、 例えば鉄に数%程度 (例えば 3 %) の珪素を添加した珪素 鋼板である。 固定子巻線 5 1が電機子巻線に相当し、 固定子コア 5 2が電機 子コアに相当する。

[0046] 固定子巻線 5 1は、 径方向において固定子コア 5 2に重複する部分であり 、 かつ固定子コア 5 2の径方向外側となるコイルサイ ド部 5 3と、 軸方向に おいて固定子コア 5 2の一端側及び他端側にそれぞれ張り出すコ ルエンド 5 4 , 5 5とを有している。 コイルサイ ド部 5 3は、 径方向において固定子 コア 5 2と回転子 4 0の磁石ユニッ ト 4 2にそれぞれ対向している。 回転子

4 0の内側に固定子 5 0が配置された状態では、 軸方向両側のコイルエンド

5 4 , 5 5のうち軸受ユニッ ト 2 0の側 (図の上側) となるコイルエンド 5 4が、 回転子 4 0の磁石ホルダ 4 1 により形成されたコイル収容凹部 4 7に 収容されている。 ただし、 固定子 5 0の詳細については後述する。

[0047] インバータユニッ ト 6 0は、 ハウジング 3 0に対してボルト等の締結具に より固定されるユニッ トべース 6 1 と、 そのユニッ トべース 6 1 に組み付け られる複数の電気コンポーネント 6 2とを有している。 ユニッ トべース 6 1 は、 例えば炭素繊維強化プラスチック により構成されている。 ユニッ トべース 6 1は、 ハウジング 3 0の開口 3 3の縁に対して固定される エンドプレート 6 3と、 そのエンドプレート 6 3に一体に設けられ、 軸方向 に延びるケーシング 6 4とを有している。 エンドブレート 6 3は、 その中心 部に円形の開口 6 5を有しており、 開口 6 5の周縁部から起立するようにし てケーシング 6 4が形成されている。

[0048] ケーシング 6 4の外周面には固定子 5 0が組み付けられている。 つまり、 ケーシング 6 4の外径寸法は、 固定子コア 5 2の内径寸法と同じか、 又は固 定子コア 5 2の内径寸法よりも僅かに小さい寸法になっ いる。 ケーシング

6 4の外側に固定子コア 5 2が組み付けられることで、 固定子 5 0とユニッ 卜べース 6 1 とが一体化されている。 また、 ユニッ トべース 6 1がハウジン グ 3 0に固定されることからすると、 ケーシング 6 4に固定子コア 5 2が組 〇 2020/175333 17 卩(:171? 2020 /006903

み付けられた状態では、 固定子 5 0が/ \ウジング 3 0に対して一体化された 状態となっている。

[0049] なお、 固定子コア 5 2は、 ユニッ トべース 6 1 に対して接着、 焼きばめ、 圧入等により組み付けられているとよい。 これにより、 ユニッ トべース 6 1 側に対する固定子コア 5 2の周方向又は軸方向の位置ずれが抑制され 。

[0050] また、 ケーシング 6 4の径方向内側は、 電気コンポーネント 6 2を収容す る収容空間となっており、 その収容空間には、 回転軸 1 1 を囲むようにして 電気コンポーネント 6 2が配置されている。 ケーシング 6 4は、 収容空間形 成部としての役目を有している。 電気コンポーネント 6 2は、 インバータ回 路を構成する半導体モジュール 6 6や、 制御基板 6 7、 コンデンサモジュー ル 6 8を具備する構成となっている。

[0051 ] なお、 ユニッ トべース 6 1が、 固定子 5 0の径方向内側に設けられ、 固定 子 5 0を保持する固定子ホルダ (電機子ホルダ) に相当する。 ハウジング 3 0及びユニッ トべース 6 1 により、 回転電機 1 0のモータハウジングが構成 されている。 このモータハウジングでは、 回転子 4 0を挟んで軸方向の一方 側においてハウジング 3 0に対して保持部材 2 3が固定されるとともに、 他 方側においてハウジング 3 0及びユニッ トべース 6 1が互いに結合されてい る。 例えば電気自動車である電動車両等において は、 その車両等の側にモー タハウジングが取り付けられることで、 回転電機 1 0が車両等に装着される

[0052] ここで、 上記図 1〜図 5に加え、 インバータユニッ ト 6 0の分解図である 図 6を用いて、 インバータユニッ ト 6 0の構成をさらに説明する。

[0053] ユニッ トべース 6 1 において、 ケーシング 6 4は、 筒状部 7 1 と、 その軸 方向において対向する両端の一方 (軸受ユニッ ト 2 0側の端部) に設けられ た端面 7 2とを有している。 筒状部 7 1の軸方向両端部のうち端面 7 2の反 対側は、 エンドブレート 6 3の開口 6 5を通じて全面的に開放されている。 端面 7 2には、 その中央に円形の孔 7 3が形成されており、 その孔 7 3に回 転軸 1 1が揷通可能となっている。 孔 7 3には、 回転軸 1 1の外周面との間 〇 2020/175333 18 卩(:171? 2020 /006903

の空隙を封鎖するシール材 1 7 1が設けられている。 シール材 1 7 1は、 例 えば樹脂材料よりなる摺動シールであるとよ い。

[0054] ケーシング 6 4の筒状部 7 1は、 その径方向外側に配置される回転子 4 0 及び固定子 5 0と、 その径方向内側に配置される電気コンポーネ ント 6 2と の間を仕切る仕切り部となっており、 筒状部 7 1 を挟んで径方向内外に、 回 転子 4 0及び固定子 5 0と電気コンポーネント 6 2とが並ぶようにそれぞれ 配置されている。

[0055] また、 電気コンポーネント 6 2は、 インバータ回路を構成する電気部品で あり、 固定子巻線 5 1の各相卷線に対して所定順序で電流を流し 回転子 4 0を回転させる力行機能と、 回転軸 1 1の回転に伴い固定子巻線 5 1 に流れ る 3相交流電流を入力し、 発電電力として外部に出力する発電機能とを 有し ている。 なお、 電気コンポーネント 6 2は、 力行機能と発電機能とのうちい ずれか一方のみを有するものであってもよい 。 発電機能は、 例えば回転電機 1 〇が車両用動力源として用いられる場合、 回生電力として外部に出力する 回生機能である。

[0056] 電気コンポーネント 6 2の具体的な構成として、 図 4に示すように、 回転 軸 1 1の周りには、 中空円筒状をなすコンデンサモジュール 6 8が設けられ ており、 そのコンデンサモジュール 6 8の外周面上に、 複数の半導体モジュ —ル 6 6が周方向に並べて配置されている。 コンデンサモジュール 6 8は、 互いに並列接続された平滑用のコンデンサ 6 8 3 を複数備えている。 具体的 には、 コンデンサ 6 8 3は、 複数枚のフィルムコンデンサが積層されてな る 積層型フィルムコンデンサであり、 横断面が台形状をなしている。 コンデン サモジュール 6 8は、 1 2個のコンデンサ 6 8 3が環状に並べて配置される ことで構成されている。

[0057] なお、 コンデンサ 6 8 3の製造過程においては、 例えば、 複数のフィルム が積層されてなる所定幅の長尺フィルムを用 い、 フィルム幅方向を台形高さ 方向とし、 かつ台形の上底と下底とが交互になるように 長尺フィルムが等脚 台形状に切断されることにより、 コンデンサ素子が作られる。 そして、 その 〇 2020/175333 19 卩(:171? 2020 /006903

コンデンサ素子に電極等を取り付けること でコンデンサ 6 8 3が作製される

[0058] 半導体モジュール 6 6は、 例えば 1\/1〇3 巳丁や I 〇巳丁等の半導体スイ ツチング素子を有し、 略板状に形成されている。 本実施形態では、 回転電機 1 〇が 2組の 3相巻線を備えており、 その 3相卷線ごとにインバータ回路が 設けられていることから、 計 1 2個の半導体モジュール 6 6を環状に並べて 形成された半導体モジュール群 6 6八が電気コンポーネント 6 2に設けられ ている。

[0059] 半導体モジュール 6 6は、 ケーシング 6 4の筒状部 7 1 とコンデンサモジ ュール 6 8との間に挟まれた状態で配置されている。 半導体モジュール群 6 6八の外周面は筒状部 7 1の内周面に当接し、 半導体モジュール群 6 6八の 内周面はコンデンサモジュール 6 8の外周面に当接している。 この場合、 半 導体モジュール 6 6で生じた熱は、 ケーシング 6 4を介してエンドブレート 6 3に伝わり、 エンドブレート 6 3から放出される。

[0060] 半導体モジュール群 6 6八は、 外周面側、 すなわち径方向において半導体 モジュール 6 6と筒状部 7 1 との間にスぺーサ 6 9を有しているとよい。 こ の場合、 コンデンサモジュール 6 8では軸方向に直交する横断面の断面形状 が正 1 2角形である一方、 筒状部 7 1の内周面の横断面形状が円形であるた め、 スぺーサ 6 9は、 内周面が平坦面、 外周面が曲面となっている。 スぺ一 サ 6 9は、 半導体モジュール群 6 6八の径方向外側において円環状に連なる ように一体に設けられていてもよい。 スぺーサ 6 9は、 良熱伝導体であり、 例えばアルミニウム等の金属、 又は放熱ゲルシート等であるとよい。 なお、 筒状部 7 1の内周面の横断面形状をコンデンサモジュ ル 6 8と同じ 1 2角 形にすることも可能である。 この場合、 スぺーサ 6 9の内周面及び外周面が いずれも平坦面であるとよい。

[0061 ] また、 本実施形態では、 ケーシング 6 4の筒状部 7 1 に、 冷却水を流通さ せる冷却水通路 7 4が形成されており、 半導体モジュール 6 6で生じた熱は 、 冷却水通路 7 4を流れる冷却水に対しても放出される。 つまり、 ケーシン 〇 2020/175333 20 卩(:171? 2020 /006903

グ 6 4は水冷機構を備えている。 図 3や図 4に示すように、 冷却水通路 7 4 は、 電気コンポーネント 6 2 (半導体モジュール 6 6及びコンデンサモジュ —ル 6 8) を囲むように環状に形成されている。 半導体モジュール 6 6は筒 状部 7 1の内周面に沿って配置されており、 その半導体モジュール 6 6に対 して径方向内外に重なる位置に冷却水通路 7 4が設けられている。

[0062] 筒状部 7 1の外側には固定子 5 0が配置され、 内側には電気コンポーネン 卜 6 2が配置されていることから、 筒状部 7 1 に対しては、 その外側から固 定子 5 0の熱が伝わるとともに、 内側から電気コンポーネント 6 2の熱 (例 えば半導体モジュール 6 6の熱) が伝わることになる。 この場合、 固定子 5 0と半導体モジュール 6 6とを同時に冷やすことが可能となっており 回転 電機 1 0における発熱部材の熱を効率良く放出する とができる。

[0063] 更に、 固定子巻線 5 1への通電を行うことで回転電機を動作させ インバ —夕回路の一部、 又は全部を構成する半導体モジュール 6 6の少なくとも一 部が、 ケーシング 6 4の筒状部 7 1の径方向外側に配置された固定子コア 5 2に囲まれた領域内に配置されている。 望ましくは、 1つの半導体モジュー ル 6 6の全体が固定子コア 5 2に囲まれた領域内に配置されている。 更に、 望ましくは、 全ての半導体モジュール 6 6の全体が固定子コア 5 2に囲まれ た領域内に配置されている。

[0064] また、 半導体モジュール 6 6の少なくとも一部が、 冷却水通路 7 4により 囲まれた領域内に配置されている。 望ましくは、 全ての半導体モジュール 6 6の全体がヨーク 1 4 1 に囲まれた領域内に配置されている。

[0065] また、 電気コンポーネント 6 2は、 軸方向において、 コンデンサモジュー ル 6 8の一方の端面に設けられた絶縁シート 7 5と、 他方の端面に設けられ た配線モジュール 7 6とを備えている。 この場合、 コンデンサモジュール 6 8は、 その軸方向に対向した二つの端面、 すなわち第 1端面と第 2端面を有 している。 コンデンサモジュール 6 8の軸受ユニッ ト 2 0に近い第 1端面は 、 ケーシング 6 4の端面 7 2に対向しており、 絶縁シート 7 5を挟んだ状態 で端面 7 2に重ね合わされている。 また、 コンデンサモジュール 6 8の開口 〇 2020/175333 21 卩(:171? 2020 /006903

6 5に近い第 2端面には、 配線モジュール 7 6が組み付けられている。

[0066] 配線モジュール 7 6は、 合成樹脂材よりなり円形板状をなす本体部 7 6 3 と、 その内部に埋設された複数のバスバー 7 6匕, 7 を有しており、 そ のバスバー 7 6匕, 7 6〇により、 半導体モジュール 6 6やコンデンサモジ ュール 6 8と電気的接続がなされている。 具体的には、 半導体モジュール 6 6は、 その軸方向端面から延びる接続ピン 6 6 3を有しており、 その接続ピ ン 6 6 3が、 本体部 7 6 3の径方向外側においてバスバー 7 6匕に接続され ている。 また、 バスバー 7 6〇は、 本体部 7 6 3の径方向外側においてコン デンサモジュール 6 8とは反対側に延びており、 その先端部にて配線部材 7 9に接続されるようになっている (図 2参照) 。

[0067] 上記のとおりコンデンサモジュール 6 8の軸方向に対向する第 1端面に絶 縁シート 7 5が設けられ、 かつコンデンサモジュール 6 8の第 2端面に配線 モジュール 7 6が設けられた構成によれば、 コンデンサモジュール 6 8の放 熱経路として、 コンデンサモジュール 6 8の第 1端面および第 2端面から端 面 7 2及び筒状部 7 1 に至る経路が形成される。 すなわち、 第 1端面から端 面 7 2への経路と、 第 2端面から筒状部 7 1へ至る経路が形成される。 これ により、 コンデンサモジュール 6 8において半導体モジュール 6 6が設けら れた外周面以外の端面部からの放熱が可能に なっている。 つまり、 径方向へ の放熱だけでなく、 軸方向への放熱も可能となっている。

[0068] また、 コンデンサモジュール 6 8は中空円筒状をなし、 その内周部には所 定の隙間を介在させて回転軸 1 1が配置されることから、 コンデンサモジュ —ル 6 8の熱はその中空部からも放出可能となって る。 この場合、 回転軸 1 1の回転により空気の流れが生じることによ 、 その冷却効果が高められ るようになっている。

[0069] 配線モジュール 7 6には、 円板状の制御基板 6 7が取り付けられている。

制御基板 6 7は、 所定の配線パターンが形成されたプリントサ ーキッ トボー ド ( 〇巳) を有しており、 そのボード上には各種丨 〇や、 マイコン等から なる制御部に相当する制御装置 7 7が実装されている。 制御基板 6 7は、 ネ 〇 2020/175333 22 卩(:171? 2020 /006903

ジ等の固定具により配線モジュール 7 6に固定されている。 制御基板 6 7は 、 その中央部に、 回転軸 1 1 を揷通させる揷通孔 6 7 3 を有している。

[0070] なお、 配線モジュール 7 6は、 軸方向に互いに対向する、 すなわち、 その 厚み方向において互いに対向する第 1面と第 2面を有する。 第 1面は、 コン デンサモジュール 6 8に面する。 配線モジュール 7 6は、 その第 2面に、 制 御基板 6 7を設けている。 制御基板 6 7の両面の一方側から他方側に配線モ ジュール 7 6のバスバー 7 6〇が延びる構成となっている。 かかる構成にお いて、 制御基板 6 7には、 バスバー 7 6〇との干渉を回避する切欠が設けら れているとよい。 例えば、 円形状をなす制御基板 6 7の外縁部の一部が切り 欠かれているとよい。

[0071 ] 上述のとおり、 ケーシング 6 4に囲まれた空間内に電気コンポーネント 6

2が収容され、 その外側に、 ハウジング 3 0、 回転子 4 0及び固定子 5 0が 層状に設けられている構成によれば、 インバータ回路で生じる電磁ノイズが 好適にシールドされるようになっている。 すなわち、 インバータ回路では、 所定のキャリア周波数による \^/1\/1制御を利用して各半導体モジュール 6 6 でのスイッチング制御が行われ、 そのスイッチング制御により電磁ノイズが 生じることが考えられるが、 その電磁ノイズを、 電気コンポーネント 6 2の 径方向外側のハウジング 3 0、 回転子 4 0、 固定子 5 0等により好適にシー ルドできる。

[0072] 更に、 半導体モジュール 6 6の少なくとも一部が、 ケーシング 6 4の筒状 部 7 1の径方向外側に配置された固定子コア 5 2に囲まれた領域内に配置す ることで、 半導体モジュール 6 6と固定子巻線 5 1 とが固定子コア 5 2を介 さずに配置されている構成に比べて、 半導体モジュール 6 6から磁束が発生 したとしても、 固定子巻線 5 1 に影響を与えにくい。 また、 固定子巻線 5 1 から磁束が発生したとしても、 半導体モジュール 6 6に影響を与えにくい。 なお、 半導体モジュール 6 6の全体が、 ケーシング 6 4の筒状部 7 1の径方 向外側に配置された固定子コア 5 2に囲まれた領域内に配置されると更に効 果的である。 また、 半導体モジュール 6 6の少なくとも一部が、 冷却水通路 〇 2020/175333 23 卩(:171? 2020 /006903

7 4により囲まれている場合、 固定子巻線 5 1や磁石ユニッ ト 4 2からの発 熱が半導体モジュール 6 6に届きにくいという効果を得ることができ 。

[0073] 筒状部 7 1 においてエンドブレート 6 3の付近には、 その外側の固定子 5

0と内側の電気コンポーネント 6 2とを電気的に接続する配線部材 7 9 (図 2参照) を揷通させる貫通孔 7 8が形成されている。 図 2に示すように、 配 線部材 7 9は、 圧着、 溶接などにより、 固定子巻線 5 1の端部と配線モジュ —ル 7 6のバスバー 7 6〇とにそれぞれ接続されている。 配線部材 7 9は、 例えば/《スバーであり、 その接合面は平たく潰されていることが望ま しい。 貫通孔 7 8は、 1力所又は複数箇所に設けられているとよく 本実施形態で は 2力所に貫通孔 7 8が設けられている。 2力所に貫通孔 7 8が設けられる 構成では、 2組の 3相巻線から延びる巻線端子を、 それぞれ配線部材 7 9に より容易に結線することが可能となり、 多相結線を行う上で好適なものとな っている。

[0074] 上述のとおりハウジング 3 0内には、 図 4に示すように径方向外側から順 に回転子 4 0、 固定子 5 0が設けられ、 固定子 5 0の径方向内側にインパー タユニッ ト 6 0が設けられている。 ここで、 ハウジング 3 0の内周面の半径 を とした場合に、 回転子 4 0の回転中心から X〇. 7 0 5の距離よりも 径方向外側に回転子 4 0と固定子 5 0とが配置されている。 この場合、 回転 子 4 0及び固定子 5 0のうち径方向内側の固定子 5 0の内周面 (すなわち固 定子コア 5 2の内周面) から径方向内側となる領域を第 1領域 X 1、 径方向 において固定子 5 0の内周面からハウジング 3 0までの間の領域を第 2領域 X 2とすると、 第 1領域 X 1の横断面の面積は、 第 2領域 X 2の横断面の面 積よりも大きい構成となっている。 また、 径方向において回転子 4 0の磁石 ユニッ ト 4 2及び固定子巻線 5 1が重複する範囲で見て、 第 1領域 X 1の容 積が第 2領域 X 2の容積よりも大きい構成となっている。

[0075] なお、 回転子 4 0及び固定子 5 0を磁気回路コンポーネントアッセンプリ とすると、 ハウジング 3 0内において、 その磁気回路コンポーネントアッセ ンプリの内周面から径方向内側となる第 1領域 X 1が、 径方向において磁気 回路コンポーネントアッセンプリの内周面か らハウジング 3 0までの間の第 2領域 X 2よりも容積が大きい構成となっている。

[0076] 次いで、 回転子 4 0及び固定子 5 0の構成をより詳しく説明する。

[0077] 一般に、 回転電機における固定子の構成として、 積層鋼板よりなりかつ円 環状をなす固定子コアに周方向に複数のスロ ッ トを設け、 そのスロッ ト内に 固定子巻線を巻装するものが知られている。 具体的には、 固定子コアは、 ヨ —クから所定間隔で径方向に延びる複数のテ ィースを有しており、 周方向に 隣り合うティース間にスロッ トが形成されている。 そして、 スロッ ト内に、 例えば径方向に複数層の導線が収容され、 その導線により固定子巻線が構成 されている。

[0078] ただし、 上述した固定子構造では、 固定子巻線の通電時において、 固定子 巻線の起磁力が増加するのに伴い固定子コア のティース部分で磁気飽和が生 じ、 それに起因して回転電機のトルク密度が制限 されることが考えられる。 つまり、 固定子コアにおいて、 固定子巻線の通電により生じた回転磁束がテ ィースに集中することで、 磁気飽和が生じると考えられる。

[0079] また、 一般的に、 回転電機における 丨 P M (Inter i or Permanent Magnet) ロータの構成として、 永久磁石が d _ q座標系における d軸に配置され、 q 軸にロータコアが配置されたものが知られて いる。 このような場合、 d軸近 傍の固定子巻線が励磁されることで、 フレミングの法則により固定子から回 転子の q軸に励磁磁束が流入される。 そしてこれにより、 回転子の q軸コア 部分に、 広範囲の磁気飽和が生じると考えられる。

[0080] 図 7は、 固定子巻線の起磁力を示すアンペアターン [ A T ] とトルク密度

[ N m / L ] との関係を示すトルク線図である。 破線が一般的な丨 P M口一 夕型の回転電機における特性を示す。 図 7に示すように、 一般的な回転電機 では、 固定子において起磁力を増加させていくこと により、 スロッ ト間のテ ィース部分及び q軸コア部分の 2力所で磁気飽和が生じ、 それが原因でトル クの増加が制限されてしまう。 このように、 当該一般的な回転電機では、 ア ンペアターン設計値が A 1で制限されることになる。 [0081 ] そこで本実施形態では、 磁気飽和に起因する制限を解消すべく、 回転電機 1 0において、 以下に示す構成を付与するものとしている。 すなわち、 第 1 の工夫として、 固定子において固定子コアのティースで生じ る磁気飽和をな くすべく、 固定子 5 0においてスロッ トレス構造を採用し、 かつ 丨 P M口一 夕の q軸コア部分で生じる磁気飽和をなくすべく S P M (Surface Permane nt Magnet) ロータを採用している。 第 1の工夫によれば、 磁気飽和が生じる 上記 2力所の部分をなくすことができるが、 低電流域でのトルクが減少する ことが考えられる (図 7の一点鎖線参照) 。 そのため、 第 2の工夫として、

S P M口一夕の磁束増強を図ることでトルク減少 挽回すべく、 回転子 4 0 の磁石ユニッ ト 4 2において磁石磁路を長く して磁力を高めた極異方構造を 探用している。

[0082] また、 第 3の工夫として、 固定子巻線 5 1のコイルサイ ド部 5 3において 導線の固定子 5 0における径方向厚さを小さく した扁平導線構造を採用して トルク減少の挽回を図っている。 ここで、 上述の磁力を高めた極異方構造に よって、 磁石ユニッ ト 4 2に対向する固定子巻線 5 1 には、 より大きな渦電 流が発生することが考えられる。 しかしながら、 第 3の工夫によれば、 径方 向に薄い扁平導線構造のため、 固定子巻線 5 1 における径方向の渦電流の発 生を抑制することができる。 このように、 これら第 1〜第 3の各構成によれ ば、 図 7に実線で示すように、 磁力の高い磁石を採用してトルク特性の大幅 な改善を見込みつつも、 磁力の高い磁石ゆえに生じ得る大きい渦電流 発生の 懸念も改善できるものとなっている。

[0083] さらに、 第 4の工夫として、 極異方構造を利用し正弦波に近い磁束密度分 布を有する磁石ユニッ トを採用している。 これによれば、 後述するパルス制 御等によって正弦波整合率を高めてトルク増 強を図ることができるとともに 、 ラジアル磁石と比べ緩やかな磁束変化のため 渦電流損 (渦電流による銅損 : eddy cur rent loss) もまた更に抑制することができるのである。

[0084] 以下、 正弦波整合率について説明する。 正弦波整合率は、 磁石の表面を磁 束プローブでなぞる等して計測した表面磁束 密度分布の実測波形と周期及び 〇 2020/175333 26 卩(:171? 2020 /006903

ピーク値が同じ正弦波との比較から求める 事ができる。 そして、 回転電機の 基本波である 1次波形の振幅が、 実測波形の振幅、 即ち基本波に他の高調波 成分を加えた振幅に対して、 占める割合が正弦波整合率に相当する。 正弦波 整合率が高くなると、 表面磁束密度分布の波形が正弦波形状に近づ いていく 。 そして、 正弦波整合率を向上させた磁石を備えた回転 電機に対して、 イン バータから 1次の正弦波の電流を供給すると、 磁石の表面磁束密度分布の波 形が正弦波形状に近い事と相まって、 大きなトルクを発生させることができ る。 なお、 表面磁束密度分布は実測以外の方法、 例えばマクスウヱルの方程 式を用いた電磁界解析によって推定しても良 い。

[0085] また、 第 5の工夫として、 固定子巻線 5 1 を複数の素線を寄せ集めて束ね た素線導体構造としている。 これによれば、 素線が並列結線されているため 、 大電流が流せるとともに、 扁平導線構造で固定子 5 0の周方向に広がった 導線で発生する渦電流の発生を、 素線それぞれの断面積が小さくなるため、 第 3の工夫による径方向に薄くする以上に効果 に抑制することができる。 そして、 複数の素線を撚り合わせた構成にすることで 、 導体からの起磁力に 対しては、 電流通電方向に対して右ネジの法則で発生す る磁束に対する渦電 流を相殺することができる。

[0086] このように、 第 4の工夫、 第 5の工夫をさらに加えると、 第 2の工夫であ る磁力の高い磁石を採用しながら、 さらにその高い磁力に起因する渦電流損 を抑制しながらトルク増強を図ることができ る。

[0087] 以下に、 上述した固定子 5 0のスロッ トレス構造、 固定子巻線 5 1の扁平 導線構造、 及び磁石ユニッ ト 4 2の極異方構造について個別に説明を加える 。 ここではまずは、 固定子 5 0におけるスロッ トレス構造と固定子巻線 5 1 の扁平導線構造とを説明する。 図 8は、 回転子 4 0及び固定子 5 0の横断面 図であり、 図 9は、 図 8に示す回転子 4 0及び固定子 5 0の一部を拡大して 示す図である。 図 1 0は、 図 1 1の X - X線に沿った固定子 5 0の横断面を 示す断面図であり、 図 1 1は、 固定子 5 0の縦断面を示す断面図である。 ま た、 図 1 2は、 固定子卷線 5 1の斜視図である。 なお、 図 8及び図 9には、 磁石ユニッ ト 4 2における磁石の磁化方向を矢印にて示して る。

[0088] 図 8乃至図 1 1 に示すように、 固定子コア 5 2は、 軸方向に複数の電磁鋼 板が積層され、 かつ径方向に所定の厚さを有する円筒状をな しており、 回転 子 4 0側となる径方向外側に固定子巻線 5 1が組み付けられるものとなって いる。 固定子コア 5 2において、 回転子 4 0側の外周面が導線設置部 (導体 エリア) となっている。 固定子コア 5 2の外周面は凹凸のない曲面状をなし ており、 その外周面において周方向に所定間隔で複数 の導線群 8 1が配置さ れている。 固定子コア 5 2は、 回転子 4 0を回転させるための磁気回路の一 部となるバックヨークとして機能する。 この場合、 周方向に隣り合う各 2つ の導線群 8 1の間には軟磁性材からなるティース (つまり、 鉄心) が設けら れていない構成 (つまり、 スロッ トレス構造) となっている。 本実施形態に おいて、 それら各導線群 8 1の間隙 5 6には、 封止部材 5 7の樹脂材料が入 り込む構造となっている。 つまり、 固定子 5 0において、 周方向における各 導線群 8 1の間に設けられる導線間部材が、 非磁性材料である封止部材 5 7 として構成されている。 封止部材 5 7の封止前の状態で言えば、 固定子コア 5 2の径方向外側には、 それぞれ導線間領域である間隙 5 6を隔てて周方向 に所定間隔で導線群 8 1が配置されており、 これによりスロッ トレス構造の 固定子 5 0が構築されている。 言い換えれば、 各導線群 8 1は、 後述するよ うに二つの導線 (conductor) 8 2からなり、 固定子 5 0の周方向に隣り合う 各二つの導線群 8 1の間は、 非磁性材のみが占有している。 この非磁性材と は、 封止部材 5 7以外に空気などの非磁性気体や非磁性液体 どをも含む。 なお、 以下において、 封止部材 5 7は導線間部材 (conductor-to- conductor member; ともいう。

[0089] なお、 周方向に並ぶ各導線群 8 1の間においてティースが設けられている 構成とは、 ティースが、 径方向に所定厚さを有し、 かつ周方向に所定幅を有 することで、 各導線群 8 1の間に磁気回路の一部、 すなわち磁石磁路を形成 する構成であると言える。 この点において、 各導線群 8 1の間にティースが 設けられていない構成とは、 上記の磁気回路の形成がなされていない構成 で 〇 2020/175333 28 卩(:171? 2020 /006903

あると言ス ·る。

[0090] 図 1 0に示すように、 固定子巻線 (すなわち電機子巻線) 5 1は、 所定の 厚み丁 2 (以下、 第 1寸法とも言う) と幅 \^/ 2 (以下、 第 2寸法とも言う) を有するように形成されている。 厚み丁 2は、 固定子卷線 5 1の径方向にお いて互いに対向する外側面と内側面との間の 最短距離である。 幅 2は、 固 定子卷線 5 1の多相 (実施例では 3相: II相、 V相及び 相の 3相あるいは X相、 丫相及び 相の 3相) の一つとして機能する固定子巻線 5 1の一部分 の固定子卷線 5 1の周方向の長さである。 具体的には、 図 1 0において、 周 方向に隣り合う 2つの導線群 8 1が 3相の内の一つである例えば II相として 機能する場合、 周方向において当該 2つの導線群 8 1の端から端までの幅 2である。 そして、 厚み丁 2は幅 \^ 2より小さくなっている。

[0091 ] なお、 厚み丁 2は、 幅 2内に存在する 2つの導線群 8 1の合計幅寸法よ り小さいことが好ましい。 また、 仮に固定子巻線 5 1 (より詳しくは導線 8 2) の断面形状が真円形状や楕円形状、 又は多角形形状である場合、 固定子 5〇の径方向に沿った導線 8 2の断面のうち、 その断面において固定子 5 0 の径方向の最大の長さを 1 2、 同断面のうち固定子 5 0の周方向の最大の 長さを 1 1 としても良い。

[0092] 図 1 0及び図 1 1 に示すように、 固定子巻線 5 1は、 封止材 (モールド材 ) としての合成樹脂材からなる封止部材 5 7により封止されている。 つまり 、 固定子巻線 5 1は、 固定子コア 5 2と共にモールド材によりモールドされ ている。 なお樹脂は、 非磁性体、 又は非磁性体の均等物として巳 3 = 0と看 做すことができる。

[0093] 図 1 0の横断面で見れば、 封止部材 5 7は、 各導線群 8 1の間、 すなわち 間隙 5 6に合成樹脂材が充填されて設けられており 封止部材 5 7により、 各導線群 8 1の間に絶縁部材が介在する構成となってい 。 つまり、 間隙 5 6において封止部材 5 7が絶縁部材として機能する。 封止部材 5 7は、 固定 子コア 5 2の径方向外側において、 各導線群 8 1 を全て含む範囲、 すなわち 径方向の厚さ寸法が各導線群 8 1の径方向の厚さ寸法よりも大きくなる範囲 〇 2020/175333 29 卩(:171? 2020 /006903

で設けられている。

[0094] また、 図 1 1の縦断面で見れば、 封止部材 5 7は、 固定子巻線 5 1の夕一 ン部 8 4を含む範囲で設けられている。 固定子巻線 5 1の径方向内側では、 固定子コア 5 2の軸方向に対向する端面の少なくとも一部 含む範囲で封止 部材 5 7が設けられている。 この場合、 固定子巻線 5 1は、 各相の相巻線の 端部、 すなわちインバータ回路との接続端子を除く 略全体で樹脂封止されて いる。

[0095] 封止部材 5 7が固定子コア 5 2の端面を含む範囲で設けられた構成では、 封止部材 5 7により、 固定子コア 5 2の積層鋼板を軸方向内側に押さえ付け ることができる。 これにより、 封止部材 5 7を用いて、 各鋼板の積層状態を 保持することができる。 なお、 本実施形態では、 固定子コア 5 2の内周面を 樹脂封止していないが、 これに代えて、 固定子コア 5 2の内周面を含む固定 子コア 5 2の全体を樹脂封止する構成であってもよい

[0096] 回転電機 1 0が車両動力源として使用される場合には、 封止部材 5 7が、 高耐熱のフッ素樹脂や、 エポキシ樹脂、 樹脂、 巳巳 樹脂、 !_〇 樹脂、 シリコン樹脂、 丨樹脂、 I樹脂等により構成されていることが 好ましい。 また、 膨張差による割れ抑制の観点から線膨張係数 を考えると、 固定子巻線 5 1の導線の外被膜と同じ材質であることが望 しい。 すなわち 、 線膨張係数が、 一般的に他樹脂の倍以上であるシリコン樹脂 は望ましくは 除外される。 なお、 電気車両の如く、 燃焼を利用した機関を持たない電気製 品においては、 1 8 0 °〇程度の耐熱性を持つ 〇樹脂やフエノール樹脂、 [¾ 樹脂も候補となる。 回転電機の周囲温度が 1 〇〇 ° 〇未満と見做せる分 野においては、 この限りではない。

[0097] 回転電機 1 0のトルクは磁束の大きさに比例する。 ここで、 固定子コアが ティースを有している場合には、 固定子での最大磁束量がティースでの飽和 磁束密度に依存して制限されるが、 固定子コアがティースを有していない場 合には、 固定子での最大磁束量が制限されない。 そのため、 固定子巻線 5 1 に対する通電電流を増加して回転電機 1 〇のトルク増加を図る上で、 有利な 構成となっている。

[0098] 本実施形態では、 固定子 5 0においてティースを無く した構造 (スロッ ト レス構造) を用いたことにより、 固定子 5 0のインダクタンスが低減される 。 具体的には、 複数のティースにより仕切られた各スロッ トに導線が収容さ れる一般的な回転電機の固定子ではインダク タンスが例えば 1 m H前後であ るのに対し、 本実施形態の固定子 5 0ではインダクタンスが 5〜 6 0 M H程 度に低減される。 本実施形態では、 アウタロータ構造の回転電機 1 〇としつ つも、 固定子 5 0のインダクタンス低減により機械的時定数 T mを下げるこ とが可能となっている。 つまり、 高トルク化を図りつつ、 機械的時定数 T m の低減が可能となっている。 なお、 イナーシャを J、 インダクタンスを L、 トルク定数を K t、 逆起電力定数を K eとすると、 機械的時定数 T mは、 次 式により算出される。

T m = ( J X L ) / ( K t X K e )

この場合、 インダクタンス Lの低減により機械的時定数 T mが低減されるこ とが確認できる。

[0099] 固定子コア 5 2の径方向外側における各導線群 8 1は、 断面が扁平矩形状 をなす複数の導線 8 2が固定子コア 5 2の径方向に並べて配置されて構成さ れている。 各導線 8 2は、 横断面において 「径方向寸法<周方向寸法」 とな る向きで配置されている。 これにより、 各導線群 8 1 において径方向の薄肉 化が図られている。 また、 径方向の薄肉化を図るとともに、 導体領域が、 テ ィースが従来あった領域まで平らに延び、 扁平導線領域構造となっている。 これにより、 薄肉化により断面積が小さくなることで懸念 される導線の発熱 量の増加を、 周方向に扁平化して導体の断面積を稼ぐこと で抑えている。 な お、 複数の導線を周方向に並べ、 かつそれらを並列結線とする構成であって も、 導体被膜分の導体断面積低下は起こるものの 、 同じ理屈に依る効果が得 られる。 なお、 以下において、 導線群 8 1のそれぞれ、 および導線 8 2のそ れぞれを、 伝導部材 (conduct i ve member) とも言う。

[0100] スロッ トがないことから、 本実施形態における固定子巻線 5 1では、 その 〇 2020/175333 31 卩(:171? 2020 /006903

周方向の一周における固定子巻線 5 1が占める導体領域を、 固定子巻線 5 1 が存在しない導体非占有領域より大きく設計 することができる。 なお、 従来 の車両用回転電機は、 固定子巻線の周方向の一周における導体領域 /導体非 占有領域は 1以下であるのが当然であった。 一方、 本実施形態では、 導体領 域が導体非占有領域と同等又は導体領域が導 体非占有領域よりも大きくなる ようにして、 各導線群 8 1が設けられている。 ここで、 図 1 0に示すように 、 周方向において導線 8 2 (つまり、 後述する直線部 8 3) が配置された導 線領域を 、 隣り合う導線 8 2の間となる導線間領域を 巳とすると、 導 線領域 は、 導線間領域 巳より周方向において大きいものとなってい る

[0101 ] 固定子巻線 5 1 における導線群 8 1の構成として、 その導線群 8 1の径方 向の厚さ寸法は、 1磁極内における 1相分の周方向の幅寸法よりも小さいも のとなっている。 すなわち、 導線群 8 1が径方向に 2層の導線 8 2よりなり 、 かつ 1磁極内に 1相につき周方向に 2つの導線群 8 1が設けられる構成で は、 各導線 8 2の径方向の厚さ寸法を丁〇、 各導線 8 2の周方向の幅寸法を とした場合に、 「丁〇 2 <\^〇 2」 となるように構成されている。 なお、 他の構成として、 導線群 8 1が 2層の導線 8 2よりなり、 かつ 1磁極 内に 1相につき周方向に 1つの導線群 8 1が設けられる構成では、 「丁〇 X 2く \N c _i の関係となるように構成されるとよい。 要するに、 固定子巻線 5 1 において周方向に所定間隔で配置される導線 部 (導線群 8 1) は、 その径 方向の厚さ寸法が、 1磁極内における 1相分の周方向の幅寸法よりも小さい ものとなっている。

[0102] 言い換えると、 1本 1本の各導線 8 2は、 径方向の厚さ寸法丁〇が周方向 の幅寸法 よりも小さいとよい。 またさらに、 径方向に 2層の導線 8 2よ りなる導線群 8 1の径方向の厚さ寸法 (2丁〇) 、 すなわち導線群 8 1の径 方向の厚さ寸法 (2丁〇) が周方向の幅寸法 よりも小さいとよい。

[0103] 回転電機 1 0のトルクは、 導線群 8 1の固定子コア 5 2の径方向の厚さに 略反比例する。 この点、 固定子コア 5 2の径方向外側において導線群 8 1の 〇 2020/175333 32 卩(:171? 2020 /006903

厚さを薄く したことにより、 回転電機 1 〇のトルク増加を図る上で有利な構 成となっている。 その理由としては、 回転子 4 0の磁石ユニッ ト 4 2から固 定子コア 5 2までの距離 (つまり鉄の無い部分の距離) を小さく して磁気抵 抗を下げることができるためである。 これによれば、 永久磁石による固定子 コア 5 2の鎖交磁束を大きくすることができ、 トルクを増強することができ る。

[0104] また、 導線群 8 1の厚さを薄く したことにより、 導線群 8 1から磁束が漏 れても固定子コア 5 2に回収されやすくなり、 磁束がトルク向上のために有 効に利用されずに外部に漏れることを抑制す ることができる。 つまり、 磁束 漏れにより磁力が低下することを抑制でき、 永久磁石による固定子コア 5 2 の鎖交磁束を大きく して、 トルクを増強することができる。

2匕により被覆された被覆導線よりなり、 径方向に互いに重なる導線 8 2同 士の間、 及び導線 8 2と固定子コア 5 2との間においてそれぞれ絶縁性が確 保されている。 この絶縁被膜 8 2匕は、 後述する素線 8 6が自己融着被覆線 であるならその被膜、 又は、 素線 8 6の被膜とは別に重ねられた絶縁部材で 構成されている。 なお、 導線 8 2により構成される各相卷線は、 接続のため の露出部分を除き、 絶縁被膜 8 2 による絶縁性が保持されるものとなって いる。 露出部分としては、 例えば、 入出力端子部や、 星形結線とする場合の 中性点部分である。 導線群 8 1では、 樹脂固着や自己融着被覆線を用いて、 径方向に隣り合う各導線 8 2が相互に固着されている。 これにより、 導線 8 2同士が擦れ合うことによる絶縁破壊や、 振動、 音が抑制される。

[0106] 本実施形態では、 導体 8 2 3 が複数の素線 1 1^) 8 6の集合体として構成 されている。 具体的には、 図 1 3に示すように、 導体 8 2 3 は、 複数の素線 8 6を撚ることで撚糸状に形成されている。 また、 図 1 4に示すように、 素 線 8 6は、 細い繊維状の導電材 8 7を束ねた複合体として構成されている。 例えば、 素線 8 6は〇1\1丁 (力ーボンナノチューブ) 繊維の複合体であり、

〇 !\1丁繊維として、 炭素の少なくとも一部をホウ素で置換したホ ウ素含有微 〇 2020/175333 33 卩(:171? 2020 /006903

細繊維を含む繊維が用いられている。 炭素系微細繊維としては、 〇1\1丁繊維 以外に、 気相成長法炭素繊維 ( 〇〇 ) 等を用いることができるが、 〇 丁繊維を用いることが好ましい。 なお、 素線 8 6の表面は、 エナメルなどの 高分子絶縁層で覆われている。 また、 素線 8 6の表面は、 ポリイミ ドの被膜 やアミ ドイミ ドの被膜からなる、 いわゆるエナメル被膜で覆われていること が好ましい。

[0107] 導線 8 2は、 固定子巻線 5 1 において n相の巻線を構成する。 そして導線

8 2 (すなわち、 導体 8 2 の各々の素線 8 6は、 互いに接触状態で隣接 している。 導線 8 2は、 巻線導体が、 複数の素線 8 6が撚られて形成される 部位を、 相内の 1か所以上に持つとともに、 撚られた素線 8 6間の抵抗値が 素線 8 6そのものの抵抗値よりも大きい素線集合体 なっている。 言い換え ると、 隣接する各 2つの素線 8 6はその隣接する方向において第 1電気抵抗 率を有し、 素線 8 6の各々はその長さ方向において第 2電気抵抗率を有する 場合、 第 1電気抵抗率は第 2電気抵抗率より大きい値になっている。 なお、 導線 8 2が複数の素線 8 6により形成されるとともに、 第 1電気抵抗率が極 めて高い絶縁部材により複数の素線 8 6を覆う素線集合体となっていても良 い。 また、 導線 8 2の導体 8 2 3 は、 撚り合わされた複数の素線 8 6により 構成されている。

[0108] 上記の導体 8 2 3 では、 複数の素線 8 6が撚り合わされて構成されている ため、 各素線 8 6での渦電流の発生が抑えられ、 導体 8 2 3における渦電流 の低減を図ることができる。 また、 各素線 8 6が捻られていることで、 1本 の素線 8 6において磁界の印加方向が互いに逆になる 位が生じて逆起電圧 が相殺される。 そのため、 やはり渦電流の低減を図ることができる。 特に、 素線 8 6を繊維状の導電材 8 7により構成することで、 細線化することと捻 り回数を格段に増やすこととが可能になり、 渦電流をより好適に低減するこ とができる。

[0109] なお、 ここでいう素線 8 6同士の絶縁方法は、 前述の高分子絶縁膜に限定 されず、 接触抵抗を利用し撚られた素線 8 6間で電流を流れにくくする方法 〇 2020/175333 34 卩(:171? 2020 /006903

であってもよい。 すなわち撚られた素線 8 6間の抵抗値が、 素線 8 6そのも のの抵抗値よりも大きい関係になっていれば 、 抵抗値の差に起因して発生す る電位差により、 上記効果を得ることができる。 たとえば、 素線 8 6を作成 する製造設備と、 回転電機 1 0の固定子 5 0 (電機子) を作成する製造設備 とを別の非連続の設備として用いることで、 移動時間や作業間隔などから素 線 8 6が酸化し、 接触抵抗を増やすことができ、 好適である。

[01 10] 上述のとおり導線 8 2は、 断面が扁平矩形状をなし、 径方向に複数並べて 配置されるものとなっており、 例えば融着層と絶縁層とを備えた自己融着被 覆線で被覆された複数の素線 8 6を燃った状態で集合させ、 その融着層同士 を融着させることで形状を維持している。 なお、 融着層を備えない素線や自 己融着被覆線の素線を撚った状態で合成樹脂 等により所望の形状に固めて成 形してもよい。 導線 8 2における絶縁被膜 8 2 匕の厚さを例えば 8 0 〜 1 0 0 とし、 一般に使用される導線の被膜厚さ (5〜 4 0 ) よりも 厚肉とした場合、 導線 8 2と固定子コア 5 2との間に絶縁紙等を介在させる ことをしなくても、 これら両者の間の絶縁性が確保することがで きる。

[01 1 1 ] また、 絶縁被膜 8 2匕は、 素線 8 6の絶縁層よりも高い絶縁性能を有し、 相間を絶縁することができるように構成され ていることが望ましい。 例えば 、 素線 8 6の高分子絶縁層の厚さを例えば 5 程度にした場合、 導線 8 2 の絶縁被膜 8 2 の厚さを 相間の絶縁を 好適に実施できるようにすることが望ましい 。

[01 12] また、 導線 8 2は、 複数の素線 8 6が撚られることなく束ねられている構 成であってもよい。 つまり、 導線 8 2は、 その全長において複数の素線 8 6 が撚られている構成、 全長のうち一部で複数の素線 8 6が撚られている構成 、 全長において複数の素線 8 6が撚られることなく束ねられている構成の ずれかであればよい。 まとめると、 導線部を構成する各導線 8 2は、 複数の 素線 8 6が束ねられているとともに、 束ねられた素線間の抵抗値が素線 8 6 そのものの抵抗値よりも大きい素線集合体と なっている。

[01 13] 各導線 8 2は、 固定子巻線 5 1の周方向に所定の配置パターンで配置され 〇 2020/175333 35 卩(:171? 2020 /006903

るように折り曲げ形成されており、 これにより、 固定子巻線 5 1 として相ご との相巻線が形成されている。 図 1 2に示すように、 固定子巻線 5 1では、 各導線 8 2のうち軸方向に直線状に延びる直線部 8 3によりコイルサイ ド部 5 3が形成され、 軸方向においてコイルサイ ド部 5 3よりも両外側に突出す る夕ーン部 8 4によりコイルエンド 5 4 , 5 5が形成されている。 各導線 8 2は、 直線部 8 3とターン部 8 4とが交互に繰り返されることにより、 波巻 状の一連の導線として構成されている。 直線部 8 3は、 磁石ユニッ ト 4 2に 対して径方向に対向する位置に配置されてお り、 磁石ユニッ ト 4 2の軸方向 外側となる位置において所定間隔を隔てて配 置される同相の直線部 8 3同士 が、 夕ーン部 8 4により互いに接続されている。 なお、 直線部 8 3が 「磁石 対向部」 に相当する。

[01 14] 本実施形態では、 固定子巻線 5 1が分布巻きにより円環状に巻回形成され ている。 この場合、 コイルサイ ド部 5 3では、 相ごとに、 磁石ユニッ ト 4 2 の 1極対に対応する間隔で周方向に直線部 8 3が配置され、 コイルエンド 5 4 , 5 5では、 相ごとの各直線部 8 3が、 略 V字状に形成されたターン部 8 4により互いに接続されている。 1極対に対応して対となる各直線部 8 3は 、 それぞれ電流の向きが互いに逆になるものと なっている。 また、 一方のコ イルエンド 5 4と他方のコイルエンド 5 5とでは、 夕ーン部 8 4により接続 される一対の直線部 8 3の組み合わせがそれぞれ相違しており、 そのコイル エンド 5 4 , 5 5での接続が周方向に繰り返されることによ 、 固定子巻線 5 1が略円筒状に形成されている。

[01 15] より具体的には、 固定子巻線 5 1は、 各相 2対ずつの導線 8 2を用いて相 ごとの巻線を構成しており、 固定子巻線 5 1のうち一方の 3相卷線 (II相、

V相、 相) と他方の 3相卷線 (X相、 丫相、 相) とが径方向内外の 2層 に設けられるものとなっている。 この場合、 固定子巻線 5 1の相数を 3 (実 施例の場合は 6) 、 導線 8 2の一相あたりの数を とすれば、 極対ごとに 2 個の導線 8 2が形成されることになる。 本実施形態では、 相数 3が 6、 数 が 4であり、 8極対 (1 6極) の回転電機であることから 〇 2020/175333 36 卩(:171? 2020 /006903

、 6X4X8= 1 92の導線 82が固定子コア 52の周方向に配置されてい る。

[0116] 図 1 2に示す固定子巻線 5 1では、 コイルサイ ド部 53において、 径方向 に隣接する 2層で直線部 83が重ねて配置されるとともに、 コイルエンド 5 4, 55において、 径方向に重なる各直線部 83から、 互いに周方向逆とな る向きで夕ーン部 84が周方向に延びる構成となっている。 つまり、 径方向 に隣り合う各導線 82では、 固定子巻線 5 1の端部を除き、 ターン部 84の 向きが互いに逆となっている。

[0117] ここで、 固定子巻線 5 1 における導線 82の卷回構造を具体的に説明する 。 本実施形態では、 波巻にて形成された複数の導線 82を、 径方向に隣接す る複数層 (例えば 2層) に重ねて設ける構成としている。 図 1 5 ( 3 ) 、 図 1 5 (匕) は、 n層目における各導線 82の形態を示す図であり、 図 1 5 ( a) には、 固定子巻線 5 1の側方から見た導線 82の形状を示し、 図 1 5 ( b) には、 固定子巻線 5 1の軸方向一側から見た導線 82の形状を示してい る。 なお、 図 1 5 (3) 、 図 1 5 (匕) では、 導線群 81が配置される位置 をそれぞれ口 1 , 02, 03, と示している。 また、 説明の便宜上、 3本 の導線 82のみを示しており、 それを第 1導線 82_八、 第 2導線 82_巳 、 第 3導線 82_〇としている。

[0118] 各導線 82_八~82_〇では、 直線部 83が、 いずれも n層目の位置、 すなわち径方向において同じ位置に配置され 、 周方向に 6位置 (3X01対分 ) ずつ離れた直線部 83同士が夕ーン部 84により互いに接続されている。 換言すると、 各導線 82_八~82_〇では、 いずれも回転子 40の軸心を 中心とする同一の円上において、 固定子卷線 5 1の周方向に隣接して並ぶ 7 個の直線部 83の両端の二つが一つのターン部 84により互いに接続されて いる。 例えば第 1導線 82 八では、 一対の直線部 83が 01 , 07にそれ それ配置され、 その一対の直線部 83同士が、 逆 V字状のターン部 84によ り接続されている。 また、 他の導線 82_巳, 82_〇は、 同じ n層目にお いて周方向の位置を 1つずつずらしてそれぞれ配置されている。 この場合、 〇 2020/175333 37 卩(:171? 2020 /006903

各導線 82_八~82_〇は、 いずれも同じ層に配置されるため、 ターン部 84が互いに干渉することが考えられる。 そのため本実施形態では、 各導線 82 八~82_〇の夕ーン部 84に、 その一部を径方向にオフセッ トした 干渉回避部を形成することとしている。

[0119] 具体的には、 各導線 82_八~82_〇の夕ーン部 84は、 同一の円 (第

1の円) 上で周方向に延びる部分である 1つの傾斜部 843と、 傾斜部 84 3からその同一の円よりも径方向内側 (図 1 5 (b) において上側) にシフ 卜し、 別の円 (第 2の円) に達する頂部 84匕、 第 2の円上で周方向に延び る傾斜部 84〇及び第 1の円から第 2の円に戻る戻り部 84 とを有してい る。 頂部 84匕、 傾斜部 84〇及び戻り部 84 が干渉回避部に相当する。 なお、 傾斜部 84〇は、 傾斜部 843に対して径方向外側にシフトする構成 であつてもよい。

[0120] つまり、 各導線 82_八~82_〇のターン部 84は、 周方向の中央位置 である頂部 84 を挟んでその両側に、 一方側の傾斜部 84 3 と他方側の傾 斜部 84〇とを有しており、 それら各傾斜部 84 84〇の径方向の位置

(図 1 5 (3) では紙面前後方向の位置、 図 1 5 (13) では上下方向の位置 ) が互いに相違するものとなっている。 例えば第 1導線 82_八の夕ーン部 84は、 層の 01位置を始点位置として周方向に沿って延び 周方向の中 央位置である頂部 84 で径方向 (例えば径方向内側) に曲がった後、 周方 向に再度曲がることで、 再び周方向に沿って延び、 さらに戻り部 84 で再 び径方向 (例えば径方向外側) に曲がることで、 終点位置である 1·!層の 07 位置に達する構成となっている。

[0121] 上記構成によれば、 導線 82_八~82_〇では、 一方の各傾斜部 84 3 が、 上から第 1導線 82 _八 ®第 2導線 82 _巳 ®第 3導線 82 0の順に 上下に並ぶとともに、 頂部 84匕で各導線 82_八〜82_〇の上下が入れ 替わり、 他方の各傾斜部 84〇が、 上から第 3導線 82 _〇®第 2導線 82 巳®第 1導線 82 八の順に上下に並ぶ構成となっている。 そのため、 各 導線 82 八〜82 〇が互いに干渉することなく周方向に配置で きるよう 〇 2020/175333 38 卩(:171? 2020 /006903

になっている。

[0122] ここで、 複数の導線 8 2を径方向に重ねて導線群 8 1 とする構成において 、 複数層の各直線部 8 3のうち径方向内側の直線部 8 3に接続されたターン 部 8 4と、 径方向外側の直線部 8 3に接続されたターン部 8 4とが、 それら 各直線部 8 3同士よりも径方向に離して配置されている よい。 また、 夕一 ン部 8 4の端部、 すなわち直線部 8 3との境界部付近で、 複数層の導線 8 2 が径方向の同じ側に曲げられる場合に、 その隣り合う層の導線 8 2同士の干 渉により絶縁性が損なわれることが生じない ようにするとよい。

[0123] 例えば図 1 5 (3) 、 図 1 5 (匕) の 0 7〜0 9では、 径方向に重なる各 導線 8 2が、 ターン部 8 4の戻り部 8 4 でそれぞれ径方向に曲げられる。 この場合、 図 1 6に示すように、 層目の導線 8 2と + 1層目の導線 8 2 とで、 曲がり部の曲率半径を相違させるとよい。 具体的には、 径方向内側 ( 〇層目) の導線 8 2の曲率半径 1 を、 径方向外側 (n + 1層目) の導線 8 2の曲率半径 2よりも小さくする。

[0124] また、 層目の導線 8 2と + 1層目の導線 8 2とで、 径方向のシフト量 を相違させるとよい。 具体的には、 径方向内側 (11層目) の導線 8 2のシフ 卜量 3 1 を、 径方向外側 (n + 1層目) の導線 8 2のシフト量 3 2よりも大 きくする。

[0125] 上記構成により、 径方向に重なる各導線 8 2が同じ向きに曲げられる場合 であっても、 各導線 8 2の相互干渉を好適に回避することができる これに より、 良好な絶縁性が得られることとなる。

[0126] 次に、 回転子 4 0における磁石ユニッ ト 4 2の構造について説明する。 本 実施形態では、 磁石ユニッ ト 4 2が永久磁石からなり、 残留磁束密度巳 「= 1 . 0 [丁] 、 固有保磁力 1 ~ 1〇 」 = 4 0 0 [1<八/〇1] 以上のものを想定し ている。 要は、 本実施形態で用いる永久磁石は、 粒状の磁性材料を焼結して 成型固化した焼結磁石であり、 」一1 ~ 1曲線上の固有保磁力 1 ~ 1〇 」は 4 0 0 [ 1<八/〇1] 以上であり、 かつ残留磁束密度巳 「は 1 . 0 [丁] 以上である。 5 0 0 0〜 1 0 0 0 0 [八丁] が相間励磁により掛かる場合、 1極対、 すな 〇 2020/175333 39 卩(:171? 2020 /006903

わち 1\1極と 3極の磁気的長さ、 言い換えれば、 1\1極と 3極間の磁束が流れる 経路のうち、 磁石内を通る長さが 25 [ ] の永久磁石を使えば、 」

= 1 0000 [八] となり、 減磁をしないことが伺える。

[0127] また換言すれば、 磁石ユニッ ト 42は、 飽和磁束密度」 3が 1. 2 [丁] 以上で、 かつ結晶粒径が 1 0 [ ] 以下であり、 配向率を《とした場合に 0 [丁] 以上であるものとなっている。

[0128] 以下に磁石ユニッ ト 42について補足する。 磁石ユニッ ト 42 (磁石) は 、 2. 1 5 [丁] 2 [丁] であることが特徴である。 言い換え れば、 磁石ユニッ ト 42に用いられる磁石として、 ド611丁_||\1、 2ド6148、 〇! 2ド617 、 1_10型結晶を有する 61^磁石などが挙げられる。 なお、 通例サマコ バと言われる 31^〇5や、 どの構成は使うことができな い。 注意としては、 同型の化合物、 例えば 2ド6148と 2ド6148のように、 一 般的に、 重希土類であるデイスプロシウムを利用して 、 ネオジウムの高い」

3特性を少しだけ失いながらも、 〇 の持つ高い保磁力を持たせた磁石でも 2 . 1 5 [丁] 2 [丁] を満たす場合があり、 この場合も採用可 能である。 このような場合は、 例えば([ 11〇 乂]2ド6148)と呼ぶこととする 。 更に、 異なる組成の 2種類以上の磁石、 例えば、 ド61\1丨プラス 31112ド617 とい うように 2種類以上の材料からなる磁石でも、 達成が可能であるし、 例えば 、 」 3 = 1. 6 [丁] と、 」 3に余裕のある 2ド6148の磁石に、 」 3<1 [ 丁] の、 例えば 0 2卩 6 148を少量混ぜ、 保磁力を増加させた混合磁石などでも 達成が可能である。

[0129] また、 人間の活動範囲外の温度、 例えば砂漠の温度を超える 60 ° 〇以上で 動作されるような回転電機、 例えば、 夏においておけば車中温度が 80 ° 〇近 くなる車両用モータ用途などにおいては、 特に温度依存係数の小さい、 61^

、 31112ド617 の成分を含むことが望ましい。 これは、 人間の活動範囲内である 北欧の一 40°〇近い温度状態から、 先述の砂漠温度を超える 60 °〇以上、 又 はコイルエナメル被膜の耐熱温度 1 80〜 240°〇程度までのモータ動作に おいて温度依存係数によって大きくモータ特 性を異ならせるため、 同一のモ —タドライバでの最適制御などが困難となる ためである。 前記 L10型結晶を有 する FeN i、 又は Sm2Fe17N3などを用いれば、 Nd2Fe14Bと比べ、 半分以下の温度 依存係数を所持しているその特性から、 モータドライ/ の負担を好適に減ら すことができる。

[0130] 加えて、 磁石ユニッ ト 4 2は、 前記磁石配合を用いて、 配向以前の微粉体 状態の粒子径の大きさが 1 〇 M m以下、 単磁区粒子径以上としていることを 特徴としている。 磁石では、 粉体の粒子を数百 n mオーダまで微細化するこ とにより保磁力が大きくなるため、 近年では、 できるだけ微細化された粉体 が使用されている。 ただし、 細かく しすぎると、 酸化などにより磁石の B H 積が落ちてしまうため、 単磁区粒子径以上が好ましい。 単磁区粒子径までの 粒子径であれば、 微細化により保磁力が上昇することが知られ ている。 なお 、 ここで述べてきた粒子径の大きさは、 磁石の製造工程でいうところの配向 工程の際の微粉体状態の粒子径の大きさであ る。

[0131 ] 更に、 磁石ユニッ ト 4 2の第 1磁石 9 1 と第 2磁石 9 2の各々は、 磁性粉 末を高温で焼き固めた、 いわゆる焼結により形成された焼結磁石であ る。 こ の焼結は、 磁石ユニッ ト 4 2の飽和磁化 J sが 1 . 2 T以上で、 第 1磁石 9 1および第 2磁石 9 2の結晶粒径が 1 0 M m以下であり、 配向率を aとした 場合、 J s X aが 1 . O T (テスラ) 以上の条件を満足するよう行われる。 また、 第 1磁石 9 1 と第 2磁石 9 2の各々は、 以下の条件を満足するように 焼結されている。 そして、 その製造過程において配向工程にて配向が行 われ ることにより、 等方性磁石の着磁工程による磁力方向の定義 とは異なり、 配 向率 (or i entat i on rat i o) を持つ。 本実施形態の磁石ユニッ ト 4 2の飽和磁 化 J sが 1 . 2 T以上で、 第 1磁石 9 1 と第 2磁石 9 2の配向率 aが、 J r ³ J s X a ³ 1 . 0 [ T ] となるように高い配向率を設定されている。 なお 、 ここで言う配向率 aとは、 第 1磁石 9 1又は第 2磁石 9 2の各々において 、 例えば、 磁化容易軸が 6つあり、 そのうちの 5つが同じ方向である方向 A 1 0を向き、 残りの一つが方向 A 1 0に対して 9 0度傾いた方向 B 1 0を向 いている場合、 a = 5 / 6であり、 残りの一つが方向 A 1 0に対して 4 5度 〇 2020/175333 41 卩(:171? 2020 /006903

傾いた方向巳 1 0を向いている場合には、 残りの一つの方向八 1 0を向く成 分は 0 0 3 4 5 ° = 0 . 7 0 7であるため、 《= (5 + 0 . 7 0 7) / 6と なる。 本実施例では焼結により第 1磁石 9 1 と第 2磁石 9 2を形成している が、 上記条件が満足されれば、 第 1磁石 9 1 と第 2磁石 9 2は他の方法によ り成形してもよい。 例えば、 1\/1〇3磁石などを形成する方法を採用するこ ができる。

[0132] 本実施形態においては、 配向により磁化容易軸をコントロールした永 久磁 石を利用しているから、 その磁石内部の磁気回路長を、 従来 1 . 0 [丁] 以 上を出す直線配向磁石の磁気回路長と比べて 、 長くすることができる。 すな わち、 1極対あたりの磁気回路長を、 少ない磁石量で達成できる他、 従来の 直線配向磁石を利用した設計と比べ、 過酷な高熱条件に曝されても、 その可 逆減磁範囲を保つことができる。 また、 本願開示者は、 従来技術の磁石を用 いても、 極異方性磁石と近しい特性を得られる構成を 見いだした。

[0133] なお、 磁化容易軸は、 磁石において磁化されやすい結晶方位のこと をいう 。 磁石における磁化容易軸の向きとは、 磁化容易軸の方向が揃っている程度 を示す配向率が 5 0 %以上となる方向、 又は、 その磁石の配向の平均となる 方向である。

[0134] 図 8及び図 9に示すように、 磁石ユニッ ト 4 2は、 円環状をなしており、 磁石ホルダ 4 1の内側 (詳しくは円筒部 4 3の径方向内側) に設けられてい る。 磁石ユニッ ト 4 2は、 それぞれ極異方性磁石でありかつ極性が互い に異 なる第 1磁石 9 1及び第 2磁石 9 2を有している。 第 1磁石 9 1及び第 2磁 石 9 2は周方向に交互に配置されている。 第 1磁石 9 1は、 固定子巻線 5 1 に近い部分において !\!極を形成する磁石であり、 第 2磁石 9 2は、 固定子巻 線 5 1 に近い部分において 3極を形成する磁石である。 第 1磁石 9 1及び第 2磁石 9 2は、 例えばネオジム磁石等の希土類磁石からなる 永久磁石である

[0135] 各磁石 9 1 , 9 2では、 図 9に示すように、 公知の ¢1 - 座標系において 磁極中心である〇!軸( 「6〇1;-3乂_13)と !\1極と 3極の磁極境界である (言い換え 〇 2020/175333 42 卩(:171? 2020 /006903

れば、 磁束密度が〇テスラである) 軸(9113〇1「31;11「6-3乂_13)との間において 磁 化方向が円弧状に延びている。 各磁石 9 1 , 9 2それぞれにおいて、 軸側 では磁化方向が円環状の磁石ユニッ ト 4 2の径方向とされ、 9軸側では円環 状の磁石ユニッ ト 4 2の磁化方向が周方向とされている。 以下、 更に詳細に 説明する。 磁石 9 1 , 9 2のそれぞれは、 図 9に示すように、 第 1部分 2 5 0と、 磁石ユニッ ト 4 2の周方向において第 1部分 2 5 0の両側に位置する 二つの第 2部分 2 6 0とを有する。 言い換えれば、 第 1部分 2 5 0は、 第 2 部分 2 6 0より 軸に近く、 第 2部分 2 6 0は、 第 1部分 2 5 0より 9軸に 近い。 そして、 第 1部分 2 5 0の磁化容易軸 3 0 0の方向は、 第 2部分 2 6 0の磁化容易軸 3 1 0の方向よりも 軸に対してより平行となるように磁石 ユニッ ト 4 2が構成されている。 言い換えれば、 第 1部分 2 5 0の磁化容易 軸 3 0 0が 軸となす角度 0 1 1が、 第 2部分 2 6 0の磁化容易軸 3 1 0が 軸となす角度 0 1 2よりも小さくなるように磁石ユニッ ト 4 2が構成され ている。

[0136] より詳細には、 角度 0 1 1は、 軸において固定子 5 0 (電機子) から磁 石ユニッ ト 4 2に向かう方向を正とした時に、 軸と磁化容易軸 3 0 0とが なす角度である。 9軸において固定子 5 0 (電機子) から磁 石ユニッ ト 4 2に向かう方向を正とした時に、 9軸と磁化容易軸 3 1 0とが なす角度である。 なお角度 0 1 1及び角度 0 1 2共に、 本実施形態では 9 0 ° 以下である。 ここでいう、 磁化容易軸 3 0 0 , 3 1 0のそれぞれは、 以下 の定義による。 磁石 9 1 , 9 2のそれぞれの部分において、 一つの磁化容易 軸が方向八 1 1 を向き、 もう一つの磁化容易軸が方向巳 1 1 を向いていると した場合、 方向 1 1 と方向巳 1 1の成す角度 0のコサインの絶対値 ( | 〇 〇 3 0 |) を磁化容易軸 3 0 0或いは磁化容易軸 3 1 0とする。

[0137] すなわち、 各磁石 9 1 , 9 2のそれぞれは、 軸側 ( 軸寄りの部分) と

9軸側 (9軸寄りの部分) とで磁化容易軸の向きが相違しており、 軸側で は磁化容易軸の向きが ¢1軸に平行な方向に近い向きとなり、 軸側では磁化 容易軸の向きが 9軸に直交する方向に近い向きとなっている そして、 この 〇 2020/175333 43 卩(:171? 2020 /006903

磁化容易軸の向きに応じて円弧状の磁石磁 路が形成されている。 なお、 各磁 石 9 1 , 9 2において、 軸側では磁化容易軸を 軸に平行な向きとし、 9 軸側では磁化容易軸を 軸に直交する向きとしてもよい。

[0138] また、 磁石 9 1 , 9 2では、 各磁石 9 1 , 9 2の周面のうち固定子 5 0側 (図 9の下側) となる固定子側外面と、 周方向において 9軸側の端面とが、 磁束の流入流出面である磁束作用面となって おり、 それらの磁束作用面 (固 定子側外面及び 軸側の端面) を繫ぐように磁石磁路が形成されている。

[0139] 磁石ユニッ ト 4 2では、 各磁石 9 1 , 9 2により、 隣接する 1\1 , 3極間を 円弧状に磁束が流れるため、 例えばラジアル異方性磁石に比べて磁石磁路 が 長くなっている。 このため、 図 1 7に示すように、 磁束密度分布が正弦波に 近いものとなる。 その結果、 図 1 8に比較例として示すラジアル異方性磁石 の磁束密度分布とは異なり、 磁極の中心側に磁束を集中させることができ 、 回転電機 1 0のトルクを高めることができる。 また、 本実施形態の磁石ユニ ッ ト 4 2では、 従来のハルバッハ配列の磁石と比べても、 磁束密度分布の差 異があることが確認できる。 なお、 図 1 7及び図 1 8において、 横軸は電気 角を示し、 縦軸は磁束密度を示す。 また、 図 1 7及び図 1 8において、 横軸 の 9 0 ° は 軸 (すなわち磁極中心) を示し、 横軸の 0 ° , 1 8 0 ° は 9軸 を示す。

[0140] つまり、 上記構成の各磁石 9 1 , 9 2によれば、 軸での磁石磁束が強化 され、 かつ 軸付近での磁束変化が抑えられる。 これにより、 各磁極におい て 軸から 軸にかけての表面磁束変化がなだらかになる 磁石 9 1 , 9 2を 好適に実現することができる。

[0141 ] 磁束密度分布の正弦波整合率は、 例えば 4 0 %以上の値とされていればよ い。 このようにすれば、 正弦波整合率が 3 0 %程度であるラジアル配向磁石 、 パラレル配向磁石を用いる場合に比べ、 確実に波形中央部分の磁束量を向 上させることができる。 また、 正弦波整合率を 6 0 %以上とすれば、 ハルバ ッハ配列のような磁束集中配列と比べ、 確実に波形中央部分の磁束量を向上 させることができる。 〇 2020/175333 44 卩(:171? 2020 /006903

[0142] 図 1 8に示すラジアル異方性磁石では、 軸付近において磁束密度が急峻 に変化する。 磁束密度の変化が急峻なほど、 固定子巻線 5 1 に発生する渦電 流が増加してしまう。 また、 固定子巻線 5 1側での磁束変化も急峻となる。 これに対し、 本実施形態では、 磁束密度分布が正弦波に近い磁束波形となる 。 このため、 軸付近において、 磁束密度の変化が、 ラジアル異方性磁石の 磁束密度の変化よりも小さい。 これにより、 渦電流の発生を抑制することが できる。

[0143] 磁石ユニッ ト 4 2では、 各磁石 9 1 , 9 2の 軸付近 (すなわち磁極中心 ) において、 固定子 5 0側の磁束作用面 2 8 0に直交する向きで磁束が生じ 、 その磁束は、 固定子 5 0側の磁束作用面 2 8 0から離れるほど、 軸から 離れるような円弧状をなす。 また、 磁束作用面に直交する磁束であるほど、 強い磁束となる。 この点において、 本実施形態の回転電機 1 0では、 上述の とおり各導線群 8 1 を径方向に薄く したため、 導線群 8 1の径方向の中心位 置が磁石ユニッ ト 4 2の磁束作用面に近づくことになり、 固定子 5 0におい て回転子 4 0から強い磁石磁束を受けることができる。

[0144] また、 固定子 5 0には、 固定子巻線 5 1の径方向内側、 すなわち固定子巻 線 5 1 を挟んで回転子 4 0の逆側に円筒状の固定子コア 5 2が設けられてい る。 そのため、 各磁石 9 1 , 9 2の磁束作用面から延びる磁束は、 固定子コ ア 5 2に引きつけられ、 固定子コア 5 2を磁路の一部として用いつつ周回す る。 この場合、 磁石磁束の向き及び経路を適正化することが できる。

[0145] 以下に、 回転電機 1 0の製造方法として、 図 5に示す軸受ユニッ ト 2 0、 ハウジング 3 0、 回転子 4 0、 固定子 5 0及びインバータユニッ ト 6 0につ いての組み付け手順について説明する。 なお、 インバータユニッ ト 6 0は、 図 6に示すようにユニッ トべース 6 1 と電気コンポーネント 6 2とを有して おり、 それらユニッ トべース 6 1及び電気コンポーネント 6 2の組み付けエ 程を含む各作業工程を説明する。 以下の説明では、 固定子 5 0及びインパー タユニッ ト 6 0よりなる組立品を第 1ユニッ ト、 軸受ユニッ ト 2 0、 ハウジ ング 3 0及び回転子 4 0よりなる組立品を第 2ユニッ トとしている。 〇 2020/175333 45 卩(:171? 2020 /006903

[0146] 本製造工程は、

-ユニッ トべース 6 1の径方向内側に電気コンポーネント 6 2を装着する第 1工程と、

-固定子 5〇の径方向内側にユニッ トべース 6 1 を装着して第 1ユニッ トを 製作する第 2工程と、

ハウジング 3 0に組み付けられた軸受ユニッ ト 2 0に、 回転子 4 0の固定 部 4 4を挿入して第 2ユニッ トを製作する第 3工程と、

-第 2ユニッ トの径方向内側に第 1ユニッ トを装着する第 4工程と、

-ハウジング 3 0とユニッ トべース 6 1 とを締結固定する第 5工程と、 を有している。 これら各工程の実施順序は、 第 1工程 ®第 2工程 ®第 3工程 ®第 4工程 ®第 5工程である。

[0147] 上記の製造方法によれば、 軸受ユニッ ト 2 0、 ハウジング 3 0、 回転子 4

0、 固定子 5 0及びインバータユニッ ト 6 0を複数の組立品 (サブアセンブ リ) として組み立てた後に、 それら組立品同士を組み付けるようにしたた め 、 ハンドリングのし易さやユニッ ト毎の検査完結などを実現でき、 合理的な 組み立てラインの構築が可能となる。 したがって、 多品種生産にも容易に対 応が可能となる。

[0148] 第 1工程では、 ユニッ トべース 6 1の径方向内側及び電気コンポーネント

6 2の径方向外部の少なくともいずれかに、 熱伝導が良好な良熱伝導体を塗 布や接着等により付着させておき、 その状態で、 ユニッ トべース 6 1 に対し て電気コンポーネント 6 2を装着するとよい。 これにより、 半導体モジユー ル 6 6の発熱をユニッ トべース 6 1 に対して効果的に伝達させることが可能 となる。

[0149] 第 3工程では、 ハウジング 3 0と回転子 4 0との同軸を維持しながら、 回 転子 4 0の挿入作業を実施するとよい。 具体的には、 例えばハウジング 3 0 の内周面を基準として回転子 4 0の外周面 (磁石ホルダ 4 1の外周面) 又は 回転子 4 0の内周面 (磁石ユニッ ト 4 2の内周面) の位置を定める治具を用 い、 その治具に沿ってハウジング 3 0及び回転子 4 0のいずれかをスライ ド 〇 2020/175333 46 卩(:171? 2020 /006903

させながら、 ハウジング 3 0と回転子 4 0との組み付けを実施する。 これに より、 軸受ユニッ ト 2 0に偏荷重を掛けることなく重量部品を組み けるこ とが可能となり、 軸受ユニッ ト 2 0の信頼性が向上する。

[0150] 第 4工程では、 第 1ユニッ トと第 2ユニッ トとの同軸を維持しながら、 そ れら両ユニッ トの組み付けを実施するとよい。 具体的には、 例えば回転子 4 0の固定部 4 4の内周面を基準としてユニッ トべース 6 1の内周面の位置を 定める治具を用い、 その治具に沿って第 1ユニッ ト及び第 2ユニッ トのいず れかをスライ ドさせながら、 これら各ユニッ トの組み付けを実施する。 これ により、 回転子 4 0と固定子 5 0との極少隙間間での互いの干渉を防止しな がら組み付けることが可能となるため、 固定子巻線 5 1へのダメージや永久 磁石の欠け等、 組み付け起因の不良品の撲滅が可能となる。

[0151 ] 上記各工程の順序を、 第 2工程 ®第 3工程 ®第 4工程 ®第 5工程 ®第 1エ 程とすることも可能である。 この場合、 デリケートな電気コンポーネント 6 2を最後に組み付けることになり、 組み付け工程内での電気コンポーネント 6 2へのストレスを最小限にとどめることがで る。

[0152] 次に、 回転電機 1 0を制御する制御システムの構成について説 する。 図

1 9は、 回転電機 1 0の制御システムの電気回路図であり、 図 2 0は、 制御 装置 1 1 0による制御処理を示す機能ブロック図であ 。

[0153] 図 1 9では、 固定子巻線 5 1 として 2組の 3相卷線 5 1 3 , 5 1 匕が示さ れており、 3相卷線 5 1 3は II相巻線、 V相卷線及び 相巻線よりなり、 3 相卷線 5 1 13は X相巻線、 丫相卷線及び 相巻線よりなる。 3相卷線 5 1 3 , 5 1 13ごとに、 電力変換器に相当する第 1インバータ 1 0 1 と第 2インバ —夕 1 0 2とがそれぞれ設けられている。 インバータ 1 0 1 , 1 0 2は、 相 巻線の相数と同数の上下アームを有するフル ブリッジ回路により構成されて おり、 各アームに設けられたスイッチ (半導体スイッチング素子) のオンオ フにより、 固定子巻線 5 1の各相卷線において通電電流が調整される

[0154] 各インバータ 1 0 1 , 1 0 2には、 直流電源 1 0 3と平滑用のコンデンサ

1 0 4とが並列に接続されている。 直流電源 1 0 3は、 例えば複数の単電池 〇 2020/175333 47 卩(:171? 2020 /006903

が直列接続された組電池により構成されて いる。 なお、 インバータ 1 0 1 , 1 0 2の各スイッチが、 図 1等に示す半導体モジュール 6 6に相当し、 コン デンサ 1 0 4が、 図 1等に示すコンデンサモジュール 6 8に相当する。

[0155] 制御装置 1 1 0は、 〇 IIや各種メモリからなるマイコンを備えてお 、 回転電機 1 〇における各種の検出情報や、 力行駆動及び発電の要求に基づい て、 インバータ 1 0 1 , 1 0 2における各スイッチのオンオフにより通電 御を実施する。 制御装置 1 1 〇が、 図 6に示す制御装置 7 7に相当する。 回 転電機 1 〇の検出情報には、 例えば、 レゾルバ等の角度検出器により検出さ れる回転子 4 0の回転角度 (電気角情報) や、 電圧センサにより検出される 電源電圧 (インバータ入力電圧) 、 電流センサにより検出される各相の通電 電流が含まれる。 制御装置 1 1 〇は、 インバータ 1 0 1 , 1 0 2の各スイッ チを操作する操作信号を生成して出力する。 なお、 発電の要求は、 例えば回 転電機 1 〇が車両用動力源として用いられる場合、 回生駆動の要求である。

[0156] 第 1インバータ 1 0 1は、 II相、 V相及び 相からなる 3相において上ア —ムスイッチ 3 と下アームスイッチ 3 との直列接続体をそれぞれ備えて いる。 各相の上アームスイッチ 3 の高電位側端子は直流電源 1 0 3の正極 端子に接続され、 各相の下アームスイッチ 3 の低電位側端子は直流電源 1 0 3の負極端子 (グランド) に接続されている。 各相の上アームスイッチ 3 と下アームスイッチ 3 nとの間の中間接続点には、 それぞれ II相巻線、 V 相巻線、 相巻線の _端が接続されている。 これら各相卷線は星形結線 (丫 結線) されており、 各相卷線の他端は中性点にて互いに接続され ている。

[0157] 第 2インバータ 1 0 2は、 第 1インバータ 1 0 1 と同様の構成を有してお り、 X相、 丫相及び 相からなる 3相において上アームスイッチ 3 と下ア —ムスイッチ 3 との直列接続体をそれぞれ備えている。 各相の上アームス イッチ 3 の高電位側端子は直流電源 1 0 3の正極端子に接続され、 各相の 下アームスイッチ 3 nの低電位側端子は直流電源 1 0 3の負極端子 (グラン ド) に接続されている。 各相の上アームスイッチ 3 と下アームスイッチ 3 nとの間の中間接続点には、 それぞれ X相巻線、 丫相巻線、 相巻線の一端 が接続されている。 これら各相卷線は星形結線 (Y結線) されており、 各相 巻線の他端は中性点で互いに接続されている 。

[0158] 図 20には、 U, V, W相の各相電流を制御する電流フィードバッ 制御 処理と、 X, Y, z相の各相電流を制御する電流フィードバッ 制御処理と が示されている。 ここではまず、 U, V, W相側の制御処理について説明す る。

[0159] 図 20において、 電流指令値設定部 1 1 1は、 トルクー d qマップを用い 、 回転電機 1 〇に対する力行トルク指令値又は発電トルク 指令値や、 電気角 0を時間微分して得られる電気角速度 £〇に基づいて、 d軸の電流指令値と q 軸の電流指令値とを設定する。 なお、 電流指令値設定部 1 1 1は、 U, V,

W相側及び X, Y, Z相側において共通に設けられている。 なお、 発電トル ク指令値は、 例えば回転電機 1 0が車両用動力源として用いられる場合、 回 生トルク指令値である。

[0160] d q変換部 1 1 2は、 相ごとに設けられた電流センサによる電流検 出値 (

3つの相電流) を、 界磁方向(d i rect i on of an axis of a magnetic field,。 r field d i rect i on)を d軸とする直交 2次元回転座標系の成分である d軸電 流と q軸電流とに変換する。

[0161] d軸電流フィードバック制御部 1 1 3は、 d軸電流を d軸の電流指令値に フィードバック制御するための操作量として d軸の指令電圧を算出する。 ま た、 q軸電流フィードバック制御部 1 1 4は、 q軸電流を q軸の電流指令値 にフィードバック制御するための操作量とし て q軸の指令電圧を算出する。 これら各フィードバック制御部 1 1 3, 1 1 4では、 d軸電流及び q軸電流 の電流指令値に対する偏差に基づき、 P 丨 フィードバック手法を用いて指令 電圧が算出される。

[0162] 3相変換部 1 1 5は、 d軸及び q軸の指令電圧を、 U相、 V相及び W相の 指令電圧に変換する。 なお、 上記の各部 1 1 1〜 1 1 5が、 d q変換理論に よる基本波電流のフィードバック制御を実施 するフィードバック制御部であ り、 U相、 V相及び W相の指令電圧がフィードバック制御値であ 。 〇 2020/175333 49 卩(:171? 2020 /006903

[0163] そして、 操作信号生成部 1 1 6は、 周知の三角波キャリア比較方式を用い 、 3相の指令電圧に基づいて、 第 1インバータ 1 0 1の操作信号を生成する 。 具体的には、 操作信号生成部 1 1 6は、 3相の指令電圧を電源電圧で規格 化した信号と、 三角波信号等のキャリア信号との大小比較に 基づく \^/1\/1制 御により、 各相における上下アームのスイッチ操作信号 (デューティ信号) を生成する。

[0164] また、 X , 丫, 相側においても同様の構成を有しており、 変換部 1

2 2は、 相ごとに設けられた電流センサによる電流検 出値 (3つの相電流) を、 界磁方向を ¢1軸とする直交 2次元回転座標系の成分である ¢1軸電流と 軸電流とに変換する。

[0165] ¢1軸電流フィードバック制御部 1 2 3は ¢1軸の指令電圧を算出し、 軸電 流フィードバック制御部 1 2 4は 9軸の指令電圧を算出する。 3相変換部 1 2 5は、 軸及び 9軸の指令電圧を、 X相、 丫相及び 相の指令電圧に変換 する。 そして、 操作信号生成部 1 2 6は、 3相の指令電圧に基づいて、 第 2 インバータ 1 0 2の操作信号を生成する。 具体的には、 操作信号生成部 1 2 6は、 3相の指令電圧を電源電圧で規格化した信号 、 三角波信号等のキャ リア信号との大小比較に基づく \^/1\/1制御により、 各相における上下アーム のスイッチ操作信号 (デューティ信号) を生成する。

[0166] ドライバ 1 1 7は、 操作信号生成部 1 1 6 , 1 2 6にて生成されたスイッ チ操作信号に基づいて、 各インバータ 1 0 1 , 1 0 2における各 3相のスイ ッチ 3 , 3 をオンオフさせる。

[0167] 続いて、 トルクフィードバック制御処理について説明 する。 この処理は、 例えば高回転領域及び高出力領域等、 各インバータ 1 0 1 , 1 0 2の出力電 圧が大きくなる運転条件において、 主に回転電機 1 〇の高出力化や損失低減 の目的で用いられる。 制御装置 1 1 〇は、 回転電機 1 〇の運転条件に基づい て、 トルクフィードバック制御処理及び電流フィ ードバック制御処理のいず れか一方の処理を選択して実行する。

[0168] 図 2 1 には、 II , V , 相に対応するトルクフィードバック制御処理 と、 \¥0 2020/175333 50 卩(:17 2020 /006903

X, 丫, 相に対応するトルクフィードバック制御処理 とが示されている。 なお、 図 2 1 において、 図 2〇と同じ構成については、 同じ符号を付して説 明を省略する。 ここではまず、 II, V, \/\/相側の制御処理について説明する

[0169] 電圧振幅算出部 1 2 7は、 回転電機 1 0に対する力行トルク指令値又は発 電トルク指令値と、 電気角 0を時間微分して得られる電気角速度〇)と 基づ いて、 電圧べクトルの大きさの指令値である電圧振 幅指令を算出する。

[0170] トルク推定部 1 2 8 3は、 ¢1 変換部 1 1 2により変換された ¢1軸電流と

9軸電流とに基づいて、 リ, V , 相に対応するトルク推定値を算出する。 なお、 トルク推定部 1 2 8 3は、 軸電流、 軸電流及び電圧振幅指令が関 係付けられたマップ情報に基づいて、 電圧振幅指令を算出すればよい。

[0171 ] トルクフィードバック制御部 1 2 9 3は、 力行トルク指令値又は発電トル ク指令値にトルク推定値をフィードバック制 御するための操作量として、 電 圧べクトルの位相の指令値である電圧位相指 令を算出する。 トルクフィード バック制御部 1 2 9 3では、 力行トルク指令値又は発電トルク指令値に対 す るトルク推定値の偏差に基づき、 丨 フィードバック手法を用いて電圧位相 指令が算出される。

[0172] 操作信号生成部 1 3 0 3 は、 電圧振幅指令、 電圧位相指令及び電気角 0に 基づいて、 第 1インバータ 1 0 1の操作信号を生成する。 具体的には、 操作 信号生成部 1 3 0 3 は、 電圧振幅指令、 電圧位相指令及び電気角 0に基づい て 3相の指令電圧を算出し、 算出した 3相の指令電圧を電源電圧で規格化し た信号と、 三角波信号等のキャリア信号との大小比較に 基づく \^/1\/1制御に より、 各相における上下アームのスイッチ操作信号 を生成する。

[0173] ちなみに、 操作信号生成部 1 3 0 3は、 電圧振幅指令、 電圧位相指令、 電 気角 0及びスイッチ操作信号が関係付けられたマ プ情報であるパルスバタ —ン情報、 電圧振幅指令、 電圧位相指令並びに電気角 0に基づいて、 スイッ チ操作信号を生成してもよい。

[0174] また、 X , 丫, 相側においても同様の構成を有しており、 トルク推定部 〇 2020/175333 51 卩(:171? 2020 /006903

1 2 8 13は、 ¢1 変換部 1 2 2により変換された ¢1軸電流と 軸電流とに基 づいて、 X , 丫, 相に対応するトルク推定値を算出する。

[0175] トルクフィードバック制御部 1 2 9匕は、 力行トルク指令値又は発電トル ク指令値にトルク推定値をフィードバック制 御するための操作量として、 電 圧位相指令を算出する。 トルクフィードバック制御部 1 2 9匕では、 力行卜 ルク指令値又は発電トルク指令値に対するト ルク推定値の偏差に基づき、 I フィードバック手法を用いて電圧位相指令が 算出される。

[0176] 操作信号生成部 1 3 0 は、 電圧振幅指令、 電圧位相指令及び電気角 0に 基づいて、 第 2インバータ 1 0 2の操作信号を生成する。 具体的には、 操作 信号生成部 1 3 0匕は、 電圧振幅指令、 電圧位相指令及び電気角 0に基づい て 3相の指令電圧を算出し、 算出した 3相の指令電圧を電源電圧で規格化し た信号と、 三角波信号等のキャリア信号との大小比較に 基づく \^/1\/1制御に より、 各相における上下アームのスイッチ操作信号 を生成する。 ドライバ 1 1 7は、 操作信号生成部 1 3 0 3 , 1 3 0匕にて生成されたスイッチ操作信 号に基づいて、 各インバータ 1 0 1 , 1 0 2における各 3相のスイッチ 3 , 3 をオンオフさせる。

[0177] ちなみに、 操作信号生成部 1 3 0 は、 電圧振幅指令、 電圧位相指令、 電 気角 0及びスイッチ操作信号が関係付けられたマ プ情報であるパルスバタ —ン情報、 電圧振幅指令、 電圧位相指令並びに電気角 0に基づいて、 スイッ チ操作信号を生成してもよい。

[0178] ところで、 回転電機 1 0においては、 軸電流の発生に伴い軸受 2 1 , 2 2 の電食が生じることが懸念されている。 例えば固定子巻線 5 1の通電がスイ ッチングにより切り替えられる際に、 スイッチングタイミングの微小なずれ (スイッチングの不均衡) により磁束の歪みが生じ、 それに起因して、 回転 軸 1 1 を支持する軸受 2 1 , 2 2において電食が生じることが懸念される。 磁束の歪みは固定子 5〇のインダクタンスに応じて生じ、 その磁束の歪みに より生じる軸方向の起電圧によって、 軸受 2 1 , 2 2内での絶縁破壊が起こ り電食が進行する。 〇 2020/175333 52 卩(:171? 2020 /006903

[0179] この点本実施形態では、 電食対策として、 以下に示す 3つの対策を講じて いる。 第 1の電食対策は、 固定子 5 0のコアレス化に伴いインダクタンスを 低減したこと、 及び磁石ユニツ ト 4 2の磁石磁束をなだらかにしたことによ る電食抑制対策である。 第 2の電食対策は、 回転軸を軸受 2 1 , 2 2による 片持ち構造としたことによる電食抑制対策で ある。 第 3の電食対策は、 円環 状の固定子巻線 5 1 を固定子コア 5 2と共にモールド材によりモールドした ことによる電食抑制対策である。 以下には、 これら各対策の詳細を個々に説 明する。

[0180] まず第 1の電食対策では、 固定子 5 0において、 周方向における各導線群

8 1の間をテイースレスとし、 各導線群 8 1の間に、 テイース (鉄心) の代 わりに非磁性材料よりなる封止部材 5 7を設ける構成としている (図 1 0参 照) 。 これにより、 固定子 5 0のインダクタンス低減が可能となっている 固定子 5 0におけるインダクタンス低減を図ることで 仮に固定子巻線 5 1 の通電時にスイツチングタイミングのずれが 生じても、 そのスイツチングタ イミングのずれに起因する磁束歪みの発生を 抑制し、 ひいては軸受 2 1 , 2 2の電食抑制が可能になっている。 なお、 ¢1軸のインダクタンスが 軸のイ ンダクタンス以下になっているとよい。

[0181 ] また、 磁石 9 1 , 9 2において、 軸側において 9軸側に比べて磁化容易 軸の向きが 軸に平行となるように配向がなされた構成と した (図 9参照)

。 これにより、 軸での磁石磁束が強化され、 各磁極において 軸から 軸 にかけての表面磁束変化 (磁束の増減) がなだらかになる。 そのため、 スイ ツチング不均衡に起因する急激な電圧変化が 抑制され、 ひいては電食抑制に 寄与できる構成となっている。

[0182] 第 2の電食対策では、 回転電機 1 0において、 各軸受 2 1 , 2 2を、 回転 子 4 0の軸方向中央に対して軸方向のいずれか一 側に偏って配置している (図 2参照) 。 これにより、 複数の軸受が軸方向において回転子を挟んで 両 側にそれぞれ設けられる構成と比べて、 電食の影響を軽減できる。 つまり、 回転子を複数の軸受により両持ち支持する構 成では、 高周波磁束の発生に伴 〇 2020/175333 53 卩(:171? 2020 /006903

い回転子、 固定子及び各軸受 (すなわち、 回転子を挟んで軸方向両側の各軸 受) を通る閉回路が形成され、 軸電流により軸受の電食が懸念される。 これ に対し、 回転子 4 0を複数の軸受 2 1 , 2 2により片持ち支持する構成では 上記閉回路が形成されず、 軸受の電食が抑制される。

[0183] また、 回転電機 1 0は、 軸受 2 1 , 2 2の片側配置のための構成に絡み、 以下の構成を有する。 磁石ホルダ 4 1 において、 回転子 4 0の径方向に張り 出す中間部 4 5に、 軸方向に延びて固定子 5 0に対する接触を回避する接触 回避部が設けられている (図 2参照) 。 この場合、 磁石ホルダ 4 1 を経由し て軸電流の閉回路が形成される場合にあって は、 閉回路長を長く してその回 路抵抗を大きくすることが可能となる。 これにより、 軸受 2 1 , 2 2の電食 の抑制を図ることができる。

[0184] 回転子 4 0を挟んで軸方向の一方側においてハウジン 3 0に対して軸受 ユニッ ト 2 0の保持部材 2 3が固定されるとともに、 他方側においてハウジ ング 3 0及びユニッ トべース 6 1 (固定子ホルダ) が互いに結合されている (図 2参照) 。 本構成によれば、 回転軸 1 1の軸方向においてその軸方向の 片側に各軸受 2 1 , 2 2を偏って配置する構成を好適に実現するこ ができ る。 また本構成では、 ユニッ トべース 6 1がハウジング 3 0を介して回転軸 1 1 に繫がる構成となるため、 ユニッ トべース 6 1 を、 回転軸 1 1から電気 的に離れた位置に配置することができる。 なお、 ユニッ トべース 6 1 とハウ ジング 3 0との間に樹脂等の絶縁部材を介在させれば ユニッ トべース 6 1 と回転軸 1 1 とが電気的に一層離れた構成となる。 これにより、 軸受 2 1 ,

2 2の電食を適正に抑制することができる。

[0185] 本実施形態の回転電機 1 0では、 各軸受 2 1 , 2 2の片側配置等により、 軸受 2 1 , 2 2に作用する軸電圧が低減されている。 また、 回転子 4 0と固 定子 5 0との間の電位差が低減されている。 そのため、 軸受 2 1 , 2 2にお いて導電性グリースを用いなくても、 軸受 2 1 , 2 2に作用する電位差の低 減が可能になっている。 導電性グリースは、 一般的に力ーボンなどの細かい 粒子を含むため音鳴りが生じることが考えら れる。 この点、 本実施形態では 〇 2020/175333 54 卩(:171? 2020 /006903

、 軸受 2 1 , 2 2において非導電性グリースを用いる構成と ている。 その ため、 軸受 2 1 , 2 2において音鳴りが生じる不都合を抑制でき 。 例えば 電気自動車などの電動車両への適用時には回 転電機 1 0の音鳴り対策が必要 になると考えられるが、 その音鳴り対策を好適に実施することが可能 となる

[0186] 第 3の電食対策では、 固定子巻線 5 1 を固定子コア 5 2と共にモールド材 によりモールドすることで、 固定子 5 0での固定子巻線 5 1の位置ずれを抑 制する構成としている (図 1 1参照) 。 特に本実施形態の回転電機 1 〇では 、 固定子巻線 5 1 における周方向の各導線群 8 1の間に導線間部材 (ティー ス) を有していないため、 固定子巻線 5 1 における位置ずれ生じる懸念が考 えられるが、 固定子巻線 5 1 を固定子コア 5 2と共にモールドすることによ り、 固定子巻線 5 1の導線位置にずれが抑制される。 したがって、 固定子巻 線 5 1の位置ずれによる磁束の歪みや、 それに起因する軸受 2 1 , 2 2の電 食の発生を抑制することができる。

[0187] なお、 固定子コア 5 2を固定するハウジング部材としてのユニッ トべース

6 1 を、 炭素繊維強化プラスチック により構成したため、 例え ばアルミ等により構成する場合に比べて、 ユニッ トべ—ス 6 1への放電が抑 制され、 ひいては好適な電食対策が可能となっている 。

[0188] その他、 軸受 2 1 , 2 2の電食対策として、 外輪 2 5及び内輪 2 6の少な くともいずれかをセラミックス材により構成 する、 又は、 外輪 2 5の外側に 絶縁スリーブを設ける等の構成を用いること も可能である。

[0189] 以下に、 他の実施形態を第 1実施形態との相違点を中心に説明する。

[0190] (第 2実施形態)

本実施形態では、 回転子 4 0における磁石ユニッ ト 4 2の極異方構造を変 更しており、 以下に詳しく説明する。

[0191 ] 図 2 2及び図 2 3に示すように、 磁石ユニッ ト 4 2は、 ハルバッハ配列と 称される磁石配列を用いて構成されている。 すなわち、 磁石ユニッ ト 4 2は 、 磁化方向 (磁化べクトルの向き) を径方向とする第 1磁石 1 3 1 と、 磁化 〇 2020/175333 55 卩(:171? 2020 /006903

方向 (磁化ベクトルの向き) を周方向とする第 2磁石 1 3 2とを有しており 、 周方向に所定間隔で第 1磁石 1 3 1が配置されるとともに、 周方向におい て隣り合う第 1磁石 1 3 1の間となる位置に第 2磁石 1 3 2が配置されてい る。 第 1磁石 1 3 1及び第 2磁石 1 3 2は、 例えばネオジム磁石等の希土類 磁石からなる永久磁石である。

[0192] 第 1磁石 1 3 1は、 固定子 5 0に対向する側 (径方向内側) の極が交互に

1\1極、 3極となるように周方向に互いに離間して配 されている。 また、 第 2磁石 1 3 2は、 各第 1磁石 1 3 1の隣において周方向に極性が交互となる ように配置されている。 これら各磁石 1 3 1 , 1 3 2を囲うように設けられ る円筒部 4 3は、 軟磁性材料よりなる軟磁性体コアであるとよ く、 バックコ アとして機能する。 なお、 この第 2実施形態の磁石ユニッ ト 4 2も、 一9 座標系において、 軸や 9軸に対する磁化容易軸の関係は上記第 1実施形態 と同じである。

[0193] また、 第 1磁石 1 3 1の径方向外側、 すなわち磁石ホルダ 4 1の円筒部 4

3の側には、 軟磁性材料よりなる磁性体 1 3 3が配置されている。 例えば磁 性体 1 3 3は、 電磁鋼板や軟鉄、 圧粉鉄心材料により構成されているとよい 。 この場合、 磁性体 1 3 3の周方向の長さは第 1磁石 1 3 1の周方向の長さ (特に第 1磁石 1 3 1の外周部の周方向の長さ) と同じである。 また、 第 1 磁石 1 3 1 と磁性体 1 3 3とを一体化した状態でのその一体物の径方 の厚 さは、 第 2磁石 1 3 2の径方向の厚さと同じである。 換言すれば、 第 1磁石 1 3 1は第 2磁石 1 3 2よりも磁性体 1 3 3の分だけ径方向の厚さが薄くな っている。 各磁石 1 3 1 , 1 3 2と磁性体 1 3 3とは、 例えば接着剤により 相互に固着されている。 磁石ユニッ ト 4 2において第 1磁石 1 3 1の径方向 外側は、 固定子 5 0とは反対側であり、 磁性体 1 3 3は、 径方向における第 1磁石 1 3 1の両側のうち、 固定子 5 0とは反対側 (反固定子側) に設けら れている。

[0194] 磁性体 1 3 3の外周部には、 径方向外側、 すなわち磁石ホルダ 4 1の円筒 部 4 3の側に突出する凸部としてのキー 1 3 4が形成されている。 また、 円 〇 2020/175333 56 卩(:171? 2020 /006903

筒部 4 3の内周面には、 磁性体 1 3 3のキ_ 1 3 4を収容する凹部としての キー溝 1 3 5が形成されている。 キー 1 3 4の突出形状とキー溝 1 3 5の溝 形状とは同じであり、 各磁性体 1 3 3に形成されたキ _ 1 3 4に対応して、 キー 1 3 4と同数のキー溝 1 3 5が形成されている。 キー 1 3 4及びキー溝 1 3 5の係合により、 第 1磁石 1 3 1及び第 2磁石 1 3 2と磁石ホルダ 4 1 との周方向 (回転方向) の位置ずれが抑制されている。 なお、 キー 1 3 4及 びキー溝 1 3 5 (凸部及び凹部) を、 磁石ホルダ 4 1の円筒部 4 3及び磁性 体 1 3 3のいずれに設けるかは任意でよく、 上記とは逆に、 磁性体 1 3 3の 外周部にキー溝 1 3 5を設けるとともに、 磁石ホルダ 4 1の円筒部 4 3の内 周部にキ _ 1 3 4を設けることも可能である。

[0195] ここで、 磁石ユニッ ト 4 2では、 第 1磁石 1 3 1 と第 2磁石 1 3 2とを交 互に配列することにより、 第 1磁石 1 3 1での磁束密度を大きくすることが 可能となっている。 そのため、 磁石ユニッ ト 4 2において、 磁束の片面集中 を生じさせ、 固定子 5 0寄りの側での磁束強化を図ることができる

[0196] また、 第 1磁石 1 3 1の径方向外側、 すなわち反固定子側に磁性体 1 3 3 を配置したことにより、 第 1磁石 1 3 1の径方向外側での部分的な磁気飽和 を抑制でき、 ひいては磁気飽和に起因して生じる第 1磁石 1 3 1の減磁を抑 制できる。 これにより、 結果的に磁石ユニッ ト 4 2の磁力を増加させること が可能となっている。 本実施形態の磁石ユニッ ト 4 2は、 言うなれば、 第 1 磁石 1 3 1 において減磁が生じ易い部分を磁性体 1 3 3に置き換えた構成と なっている。

[0197] 図 2 4 (3) 、 図 2 4 (匕) は、 磁石ユニッ ト 4 2における磁束の流れを 具体的に示す図であり、 図 2 4 (3) は、 磁石ユニッ ト 4 2において磁性体 1 3 3を有していない従来構成を用いた場合を示 、 図 2 4 (匕) は、 磁石 ユニッ ト 4 2において磁性体 1 3 3を有している本実施形態の構成を用いた 場合を示している。 なお、 図 2 4 (3) 、 図 2 4 (匕) では、 磁石ホルダ 4 1の円筒部 4 3及び磁石ユニッ ト 4 2を直線状に展開して示しており、 図の 下側が固定子側、 上側が反固定子側となっている。 〇 2020/175333 57 卩(:171? 2020 /006903

[0198] 図 2 4 ( 3 ) の構成では、 第 1磁石 1 3 1の磁束作用面と第 2磁石 1 3 2 の側面とが、 それぞれ円筒部 4 3の内周面に接触している。 また、 第 2磁石 1 3 2の磁束作用面が第 1磁石 1 3 1の側面に接触している。 この場合、 円 筒部 4 3には、 第 2磁石 1 3 2の外側経路を通って第 1磁石 1 3 1 との接触 面に入る磁束 1 と、 円筒部 4 3と略平行で、 かつ第 2磁石 1 3 2の磁束 2を引きつける磁束との合成磁束が生じる。 そのため、 円筒部 4 3において 第 1磁石 1 3 1 と第 2磁石 1 3 2との接触面付近において、 部分的に磁気飽 和が生じることが懸念される。

[0199] これに対し、 図 2 4 (匕) の構成では、 第 1磁石 1 3 1の固定子 5 0とは 反対側において第 1磁石 1 3 1の磁束作用面と円筒部 4 3の内周面との間に 磁性体 1 3 3が設けられているため、 その磁性体 1 3 3で磁束の通過が許容 される。 したがって、 円筒部 4 3での磁気飽和を抑制でき、 減磁に対する耐 力が向上する。

[0200] また、 図 2 4 (匕) の構成では、 図 2 4 ( 3 ) とは異なり、 磁気飽和を促 す 2を消すことができる。 これにより、 磁気回路全体のパーミアンスを効 果的に向上させることができる。 このように構成することで、 その磁気回路 特性を、 過酷な高熱条件下でも保つことができる。

[0201 ] また、 従来の 3 1\/1ロータにおけるラジアル磁石と比べて、 磁石内部を通 る磁石磁路が長くなる。 そのため、 磁石パーミアンスが上昇し、 磁力を上げ 、 トルクを増強することができる。 さらに、 磁束が ¢1軸の中央に集まること により、 正弦波整合率を高くすることができる。 特に、 \^/1\/1制御により、 電流波形を正弦波や台形波とする、 又は 1 2 0度通電のスイッチング I 〇を 利用すると、 より効果的にトルクを増強することができる 。

[0202] なお、 固定子コア 5 2が電磁鋼板により構成される場合において 固定子 コア 5 2の径方向厚さは、 磁石ユニッ ト 4 2の径方向厚さの 1 / 2、 又は 1 / 2よりも大きいとよい。 例えば、 固定子コア 5 2の径方向厚さは、 磁石ユ ニッ ト 4 2において磁極中心に設けられる第 1磁石 1 3 1の径方向厚さの 1 / 2以上であるとよい。 また、 固定子コア 5 2の径方向厚さは、 磁石ユニッ 〇 2020/175333 58 卩(:171? 2020 /006903

卜 4 2の径方向厚さより小さいとよい。 この場合、 磁石磁束は約 1 [丁] で あり、 固定子コア 5 2の飽和磁束密度は 2 [丁] であるため、 固定子コア 5 2の径方向厚さを、 磁石ユニッ ト 4 2の径方向厚さの 1 / 2以上にすること で、 固定子コア 5 2の内周側への磁束漏洩を防ぐことができる

[0203] ハルバッハ構造や極異方構造の磁石では、 磁路が擬似円弧状になっている ため、 周方向の磁束を扱う磁石厚みに比例して、 その磁束を上昇させること ができる。 こういった構成においては、 固定子コア 5 2に流れる磁束は、 周 方向の磁束を超えることはないと考えられる 。 すなわち、 磁石の磁束 1 [丁 ] に対して飽和磁束密度 2 [丁] の鉄系金属を利用した場合、 固定子コア 5 2の厚みを磁石厚みの半分以上とすれば、 磁気飽和せず好適に小型かつ軽量 の回転電機を提供することができる。 ここで、 磁石磁束に対して固定子 5 0 からの反磁界が作用するため、 磁石磁束は一般的に 0 . 9 [丁] 以下となる 。 そのため、 固定子コアは磁石の半分の厚みを持てば、 その透磁率を好適に 高く保つことができる。

[0204] 以下に、 上述した構成の一部を変更した変形例につい て説明する。

[0205] (変形例 1)

上記実施形態では、 固定子コア 5 2の外周面を凹凸のない曲面状とし、 そ の外周面に所定間隔で複数の導線群 8 1 を並べて配置する構成としたが、 こ れを変更してもよい。 例えば、 図 2 5に示すように、 固定子コア 5 2は、 固 定子卷線 5 1の径方向両側のうち回転子 4 0とは反対側 (図の下側) に設け られた円環状のヨーク 1 4 1 と、 そのヨーク 1 4 1から、 周方向に隣り合う 直線部 8 3の間に向かって突出するように延びる突起 1 4 2とを有してい る。 突起部 1 4 2は、 ヨーク 1 4 1の径方向外側、 すなわち回転子 4 0側に 所定間隔で設けられている。 固定子巻線 5 1の各導線群 8 1は、 突起部 1 4 2と周方向において係合しており、 突起部 1 4 2を導線群 8 1の位置決め部 として用いつつ周方向に並べて配置されてい る。 なお、 突起部 1 4 2が 「導 線間部材」 に相当する。

[0206] 突起部 1 4 2は、 ヨーク 1 4 1からの径方向の厚さ寸法、 言い換えれば、 〇 2020/175333 59 卩(:171? 2020 /006903 図 2 5に示すように、 ヨーク 1 4 1の径方向において、 直線部 8 3のヨーク 1 4 1 に隣接する内側面 3 2 0から突起部 1 4 2の頂点までの距離 が、 径 方向内外の複数層の直線部 8 3のうち、 ヨーク 1 4 1 に径方向に隣接する直 線部 8 3の径方向の厚さ寸法の 1 / 2 (図の 1 ~ 1 1) よりも小さい構成となっ ている。 言い換えれば、 固定子巻線 5 1 (固定子コア 5 2) の径方向におけ る導線群 8 1 (伝導部材) の寸法 (厚み) 丁 1 (導線 8 2の厚みの 2倍、 言 い換えれば、 導線群 8 1の固定子コア 5 2に接する面 3 2 0と、 導線群 8 1 の回転子 4 0に向いた面 3 3 0との最短距離) の 4分の 3の範囲は非磁性部 材 (封止部材 5 7) が占有していればよい。 こうした突起部 1 4 2の厚さ制 限により、 周方向に隣り合う導線群 8 1 (すなわち直線部 8 3) の間におい て突起部 1 4 2がティースとして機能せず、 ティースによる磁路形成がなさ れないようになっている。 突起部 1 4 2は、 周方向に並ぶ各導線群 8 1の間 ごとに全て設けられていなくてもよく、 周方向に隣り合う少なくとも 1組の 導線群 8 1の間に設けられていればよい。 例えば、 突起部 1 4 2は、 周方向 において各導線群 8 1の間の所定数ごとに等間隔で設けられてい とよい。 突起部 1 4 2の形状は、 矩形状、 円弧状など任意の形状でよい。

[0207] また、 固定子コア 5 2の外周面では、 直線部 8 3が一層で設けられていて もよい。 したがって、 広義には、 突起部 1 4 2におけるヨーク 1 4 1からの 径方向の厚さ寸法は、 直線部 8 3における径方向の厚さ寸法の 1 / 2よりも 小さいものであればよい。

[0208] なお、 回転軸 1 1の軸心を中心とし、 かつヨーク 1 4 1 に径方向に隣接す る直線部 8 3の径方向の中心位置を通る仮想円を想定す と、 突起部 1 4 2 は、 その仮想円の範囲内においてヨーク 1 4 1から突出する形状、 換言すれ ば仮想円よりも径方向外側 (すなわち回転子 4 0側) に突出しない形状をな しているとよい。

[0209] 上記構成によれば、 突起部 1 4 2は、 径方向の厚さ寸法が制限されており 、 周方向に隣り合う直線部 8 3の間においてティースとして機能するもの ないため、 各直線部 8 3の間にティースが設けられている場合に比 て、 隣 〇 2020/175333 60 卩(:171? 2020 /006903

り合う各直線部 8 3を近づけることができる。 これにより、 導体 8 2 3 の断 面積を大きくすることができ、 固定子巻線 5 1の通電に伴い生じる発熱を低 減することができる。 かかる構成では、 テイースがないことで磁気飽和の解 消が可能となり、 固定子巻線 5 1への通電電流を増大させることが可能とな る。 この場合において、 その通電電流の増大に伴い発熱量が増えるこ とに好 適に対処することができる。 また、 固定子巻線 5 1では、 夕ーン部 8 4が、 径方向にシフトされ、 他の夕ーン部 8 4との干渉を回避する干渉回避部を有 することから、 異なる夕ーン部 8 4同士を径方向に離して配置することがで きる。 これにより、 夕ーン部 8 4においても放熱性の向上を図ることができ る。 以上により、 固定子 5 0での放熱性能を適正化することが可能にな て いる。

[0210] また、 固定子コア 5 2のヨーク 1 4 1 と、 回転子 4 0の磁石ユニッ ト 4 2 (すなわち各磁石 9 1 , 9 2) とが所定距離以上離れていれば、 突起部 1 4 2の径方向の厚さ寸法は、 図 2 5の!· I 1 に縛られるものではない。 具体的に は、 ヨーク 1 4 1 と磁石ユニッ ト 4 2とが 2 以上離れていれば、 突起部

1 4 2の径方向の厚さ寸法は、 図 2 5の!· I 1以上であってもよい。 例えば、 直線部 を越えており、 かつ導線群 8 1が径方 向内外の 2層の導線 8 2により構成されている場合に、 ヨーク 1 4 1 に隣接 していない直線部 8 3、 すなわちヨーク 1 4 1から数えて 2層目の導線 8 2 の半分位置までの範囲で、 突起部 1 4 2が設けられていてもよい。 この場合 、 突起部 1 4 2の径方向厚さ寸法が 「1 ~ 1 1 3 / 2」 までになっていれば、 導線群 8 1 における導体断面積を大きくすることで、 前記効果を少なからず 得ることはできる。

[021 1 ] また、 固定子コア 5 2は、 図 2 6に示す構成であってもよい。 なお、 図 2

6では、 封止部材 5 7を省略しているが、 封止部材 5 7が設けられていても よい。 図 2 6では、 便宜上、 磁石ユニッ ト 4 2及び固定子コア 5 2を直線状 に展開して示している。

[0212] 図 2 6の構成では、 固定子 5 0は、 周方向に隣接する導線 8 2 (すなわち 〇 2020/175333 61 卩(:171? 2020 /006903

直線部 8 3) の間に、 導線間部材としての突起部 1 4 2を有している。 固定 子 5 0は、 固定子巻線 5 1が通電されると、 磁石ユニッ ト 4 2の磁極の一つ (1\1極、 または 3極) とともに磁気的に機能し、 固定子 5 0の周方向に延び る一部分 3 5 0を有する。 この部分 3 5 0の固定子 5 0の周方向への長さを !·!とすると、 この長さ範囲 !·!に存在する突起部 1 4 2の合計の幅 (すな わち、 固定子 5 0の周方向への合計の寸法) を とし、 突起部 1 4 2の飽 和磁束密度を巳 5、 磁石ユニッ ト 4 2の 1極分の周方向の幅寸法を \/\/ 01、 磁 石ユニッ ト 4 2の残留磁束密度を巳 「とする場合、 突起部 1 4 2は、

X巳 3 〇1 X巳 「 ( 1)

となる磁性材料により構成されている。

[0213] なお、 範囲 W n は、 周方向に隣接する複数の導線群 8 1であって、 励磁時 期が重複する複数の導線群 8 1 を含むように設定される。 その際、 範囲 W n を設定する際の基準 (境界) として、 導線群 8 1の間隙 5 6の中心を設定す ることが好ましい。 例えば、 図 2 6に例示する構成の場合、 周方向において 極の磁極中心からの距離が最も短いものから 順番に、 4番目までの導線群 8 1が、 当該複数の導線群 8 1 に相当する。 そして、 当該 4つの導線群 8 1 を含むように範囲 w n が設定される。 その際、 範囲 W n の端 (起点と終点) が間隙 5 6の中心とされている。

[0214] 図 2 6において、 範囲 nの両端には、 それぞれ突起部 1 4 2が半分ずつ 含まれていることから、 範囲 W nには、 合計 4つ分の突起部 1 4 2が含まれ ている。 したがって、 突起部 1 4 2の幅 (すなわち、 固定子 5 0の周方向に おける突起部 1 4 2の寸法、 言い換えれば、 隣接する導線群 8 1の間隔) を 八とすると、 範囲 W nに含まれる突起部 1 4 2の合計の幅は、

八+八十八+八+ 1 / 2八= 4八となる。

[0215] 詳しくは、 本実施形態では、 固定子巻線 5 1の 3相巻線が分布巻であり、 その固定子巻線 5 1では、 磁石ユニッ ト 4 2の 1極に対して、 突起部 1 4 2 の数、 すなわち各導線群 8 1の間となる間隙 5 6の数が 「相数 〇」 個とな っている。 ここで〇とは、 1相の導線 8 2のうち固定子コア 5 2と接する数 である。 なお、 導線 82が回転子 40の径方向に積層された導線群 81であ る場合には、 1相の導線群 81の内周側の導線 82の数であるともいえる。 この場合、 固定子巻線 5 1の 3相巻線が各相所定順序で通電されると、 1極 内において 2相分の突起部 1 42が励磁される。 したがって、 磁石ユニッ ト 42の 1極分の範囲において固定子巻線 5 1の通電により励磁される突起部 1 42の周方向の合計幅寸法 Wtは、 突起部 1 42 (つまり、 間隙 56) の 周方向の幅寸法を Aとすると、 「励磁される相数 XQX A = 2 X 2 X A」 と なる。

[0216] そして、 こうして合計幅寸法 Wtが規定された上で、 固定子コア 52にお いて、 突起部 1 42が、 上記 (1) の関係を満たす磁性材料として構成され ている。 なお、 合計幅寸法 W tは、 1極内において比透磁率が 1 よりも大き くなりえる部分の周方向寸法でもある。 また、 余裕を考えて、 合計幅寸法 W tを、 1磁極における突起部 1 42の周方向の幅寸法としてもよい。 具体的 には、 磁石ユニッ ト 42の 1極に対する突起部 1 42の数が 「相数 XQ」 で あることから、 1磁極における突起部 1 42の周方向の幅寸法 (合計幅寸法 Wt) を、 「相数 XQXA = 3X2XA = 6 A」 としてもよい。

[0217] なお、 ここでいう分布巻とは、 磁極の 1極対周期 (N極と S極) で、 固定 子卷線 5 1の一極対があるものである。 ここでいう固定子巻線 5 1の一極対 は、 電流が互いに逆方向に流れ、 ターン部 84で電気的に接続された 2つの 直線部 83とターン部 84からなる。 上記条件みたすものであれば、 短節卷 (Short Pitch Winding) であっても、 全節卷 (Fu 11 Pitch Winding) の分布 巻の均等物とみなす。

[0218] 次に、 集中巻の場合の例を示す。 ここでいう集中巻とは、 磁極の 1極対の 幅と、 固定子巻線 5 1の一極対の幅とが異なるものである。 集中巻の一例と しては、 1つの磁極対に対して導線群 81が 3つ、 2つの磁極対に対して導 線群 81が 3つ、 4つの磁極対に対して導線群 81が 9つ、 5つの磁極対に 対して導線群 81が 9つのような関係であるものが挙げられる。

[0219] ここで、 固定子巻線 5 1 を集中巻とする場合には、 固定子巻線 5 1の 3相 〇 2020/175333 63 卩(:171? 2020 /006903

巻線が所定順序で通電されると、 2相分の固定子巻線 5 1が励磁される。 そ の結果、 2相分の突起部 1 4 2が励磁される。 したがって、 磁石ユニッ ト 4 2の 1極分の範囲において固定子巻線 5 1の通電により励磁される突起部 1 4 2の周方向の幅寸法 1:は、 「八 2」 となる。 そして、 こうして幅寸法 が規定された上で、 突起部 1 4 2が、 上記 (1) の関係を満たす磁性材 料として構成されている。 なお、 上記で示した集中巻の場合は、 同一相の導 線群 8 1 に囲まれた領域において、 固定子 5 0の周方向にある突起部 1 4 2 の幅の総和を八とする。 また、 集中巻における \ZV rnは 「磁石ユニッ ト 4 2の エアギャップに対向する面の全周」 X 「相数」 ÷ 「導線群 8 1の分散数」 に 相当する。

[0220] ちなみに、 ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石、 フェライ ト磁石とい った巳1 ~ 1積が 2 0 [ 1\/1〇〇6 ] 以上の磁石では巳 = 1 . 0 強 [丁] 、 鉄では巳 「= 2 . 0強 [丁] である。 そのため、 高出カモータと しては、 固定子コア 5 2において、 突起部 1 4 2が、

関係を満たす磁性材料であればよい。

[0221 ] また、 後述するように導線 8 2が外層被膜 1 8 2を備える場合には、 導線

8 2同士の外層被膜 1 8 2が接触するように、 導線 8 2を固定子コア 5 2の 周方向に配置しても良い。 この場合は、 は、 0又は接触する両導線 8 2 の外層被膜 1 8 2の厚さ、 と看做すことができる。

[0222] 図 2 5や図 2 6の構成では、 回転子 4 0側の磁石磁束に対して不相応に小 さい導線間部材 (突起部 1 4 2) を有する構成となっている。 なお、 回転子 4 0は、 インダクタンスが低くかつ平坦な表面磁石型 ロータであり、 磁気抵 抗的に突極性を有していないものとなってい る。 かかる構成では、 固定子 5 0のインダクタンス低減が可能となっており 固定子巻線 5 1のスイッチン グタイミングのずれに起因する磁束歪みの発 生が抑制され、 ひいては軸受 2 1 , 2 2の電食が抑制される。

[0223] (変形例 2)

上記式 (1) の関係を満たす導線間部材を用いる固定子 5 0として、 以下 〇 2020/175333 64 卩(:171? 2020 /006903

の構成を採用することも可能である。 図 2 7では、 固定子コア 5 2の外周面 側 (図の上面側) に、 導線間部材として歯状部 1 4 3が設けられている。 歯 状部 1 4 3は、 ヨーク 1 4 1から突出するようにして周方向に所定間隔 設 けられており、 径方向に導線群 8 1 と同じ厚み寸法を有している。 歯状部 1 4 3の側面は導線群 8 1の各導線 8 2に接している。 ただし、 歯状部 1 4 3 と各導線 8 2との間に隙間があってもよい。

[0224] 歯状部 1 4 3は、 周方向における幅寸法に制限が付与されてお り、 磁石量 に対して不相応に細い極歯 (ステータティース) を備えるものとなっている 。 かかる構成により、 歯状部 1 4 3は、 1 . 8丁以上で磁石磁束により確実 に飽和し、 パーミアンスの低下によりインダクタンスを 下げることができる

[0225] ここで、 磁石ユニッ ト 4 2において、 固定子側における磁束作用面の 1極 あたりの表面積を 3 、 磁石ユニッ ト 4 2の残留磁束密度を巳 「とすると、 磁石ユニッ ト側の磁束は、 例えば 「3 巳 「」 となる。 また、 各歯状部 1 4 3における回転子側の表面積を 3 I、 導線 8 2の一相あたりの数を とし 、 固定子巻線 5 1の通電により 1極内において 2相分の歯状部 1 4 3が励磁 されるとすると、 固定子側の磁束は、 例えば 「3 I 2 X巳 3」 となる 。 この場合、

(2)

の関係が成立するように歯状部 1 4 3の寸法を制限することで、 インダクタ ンスの低減が図られている。

[0226] なお、 磁石ユニッ ト 4 2と歯状部 1 4 3とで軸方向の寸法が同一である場 合、 磁石ユニッ ト 4 2の 1極分の周方向の幅寸法を \ZVrn、 歯状部 1 4 3の周 方向の幅寸法を Iとすると、 上記式 (2) は、 式 (3) のように置き換 えられる。

より具体的には、 例えば巳 3 = 2丁、 巳 「= 1 丁であり、 01 = 2であると 想定すると、 上記式 (3) は、 の関係となる。 この場 〇 2020/175333 65 卩(:171? 2020 /006903

合、 歯状部 1 4 3の幅寸法 3 1を、 磁石ユニッ ト 4 2の 1極分の幅寸法 の 1 / 8よりも小さくすることで、 インダクタンスの低減が図られている 。 なお、 数 が 1であれば、 歯状部 1 4 3の幅寸法 3 Iを、 磁石ユニッ ト 4 2の 1極分の幅寸法 \ZV rnの 1 / 4よりも小さくするとよい。

[0227] なお、 上記式 (3) において、 「\^/ 3 I 2」 は、 磁石ユニッ ト 4 2 の 1極分の範囲において固定子巻線 5 1の通電により励磁される歯状部 1 4 3の周方向の幅寸法に相当する。

[0228] 図 2 7の構成では、 上述した図 2 5 , 図 2 6の構成と同様に、 回転子 4 0 側の磁石磁束に対して不相応に小さい導線間 部材 (歯状部 1 4 3) を有する 構成となっている。 かかる構成では、 固定子 5 0のインダクタンス低減が可 能となっており、 固定子巻線 5 1のスイッチングタイミングのずれに起因す る磁束歪みの発生が抑制され、 ひいては軸受 2 1 , 2 2の電食が抑制される

[0229] (変形例 3)

上記実施形態では、 固定子巻線 5 1 を覆う封止部材 5 7を、 固定子コア 5 2の径方向外側において各導線群 8 1 を全て含む範囲、 すなわち径方向の厚 さ寸法が各導線群 8 1の径方向の厚さ寸法よりも大きくなる範囲 設ける構 成としたが、 これを変更してもよい。 例えば、 図 2 8に示すように、 封止部 材 5 7を、 導線 8 2の一部がはみ出すように設ける構成とする より具体的 には、 封止部材 5 7を、 導線群 8 1 において最も径方向外側となる導線 8 2 の一部を径方向外側、 すなわち固定子 5 0側に露出させた状態で設ける構成 とする。 この場合、 封止部材 5 7の径方向の厚さ寸法は、 各導線群 8 1の径 方向の厚さ寸法と同じ、 又はその厚さ寸法よりも小さいとよい。

[0230] (変形例 4)

図 2 9に示すように、 固定子 5 0において、 各導線群 8 1が封止部材 5 7 により封止されていない構成としてもよい。 つまり、 固定子卷線 5 1 を覆う 封止部材 5 7を用いない構成とする。 この場合、 周方向に並ぶ各導線群 8 1 の間に導線間部材が設けられず空隙となって いる。 要するに、 周方向に並ぶ 〇 2020/175333 66 卩(:171? 2020 /006903

各導線群 8 1の間に導線間部材が設けられていない構成 なっている。 なお 、 空気を非磁性体、 又は非磁性体の均等物として巳 3 = 0と看做し、 この空 隙に空気を配置しても良い。

[0231 ] (変形例 5)

固定子 5 0おける導線間部材を非磁性材料により構成 る場合に、 その非 磁性材料として、 樹脂以外の材料を用いることも可能である。 例えば、 オー ステナイ ト系のステンレス鋼である 3 II 3 3 0 4を用いる等、 金属系の非磁 性材料を用いてもよい。

[0232] (変形例 6)

固定子 5 0が固定子コア 5 2を具備していない構成としてもよい。 この場 合、 固定子 5 0は、 図 1 2に示す固定子巻線 5 1 により構成されることにな る。 なお、 固定子コア 5 2を具備していない固定子 5 0において、 固定子卷 線 5 1 を封止材により封止する構成としてもよい。 又は、 固定子 5 0が、 軟 磁性材からなる固定子コア 5 2に代えて、 合成樹脂等の非磁性材からなる円 環状の巻線保持部を備える構成であってもよ い。

[0233] (変形例 7)

上記第 1実施形態では、 回転子 4 0の磁石ユニッ ト 4 2として周方向に並 ベた複数の磁石 9 1 , 9 2を用いる構成としたが、 これを変更し、 磁石ユニ ッ ト 4 2として円環状の永久磁石である環状磁石を いる構成としてもよい 。 具体的には、 図 3 0に示すように、 磁石ホルダ 4 1の円筒部 4 3の径方向 内側に、 環状磁石 9 5が固定されている。 環状磁石 9 5には、 周方向に極性 が交互となる複数の磁極が設けられており、 軸及び 9軸のいずれにおいて も一体的に磁石が形成されている。 環状磁石 9 5には、 各磁極の 軸におい て配向の向きが径方向となり、 各磁極間の 軸において配向の向きが周方向 となるような円弧状の磁石磁路が形成されて いる。

[0234] なお、 環状磁石 9 5では、 軸寄りの部分において磁化容易軸が 軸に平 行又は 軸に平行に近い向きとなり、 かつ 軸寄りの部分において磁化容易 軸が 軸に直交又は 軸に直交に近い向きとなる円弧状の磁石磁路 が形成さ れるように配向がなされていればよい。

[0235] (変形例 8)

本変形例では、 制御装置 1 1 〇の制御手法の一部を変更している。 本変形 例では、 主に、 第 1実施形態で説明した構成に対する相違部分 ついて説明 する。

[0236] まず、 図 3 1 を用いて、 図 20に示した操作信号生成部 1 1 6, 1 26及 び図 2 1 に示した操作信号生成部 1 30 a, 1 30 b内の処理について説明 する。 なお、 各操作信号生成部 1 1 6, 1 26, 1 30 a, 1 3 O bにおけ る処理は基本的には同様である。 このため、 以下では、 操作信号生成部 1 1 6の処理を例にして説明する。

[0237] 操作信号生成部 1 1 6は、 キャリア生成部 1 1 6 aと、 U, V, W相比較 器 1 1 6 b U, 1 1 6 b V, 1 1 6 bWとを備えている。 本実施形態におい て、 キャリア生成部 1 1 6 aは、 キャリア信号 S i g Cとして三角波信号を 生成して出力する。

[0238] U, V, W相比較器 1 1 6 b U, 1 1 6 b V, 1 1 6 bWには、 キャリア 生成部 1 1 6 aより生成されたキャリア信号 S i g Cと、 3相変換部 1 1 5 により算出された U, V, W相指令電圧とが入力される。 U, V, W相指令 電圧は、 例えば正弦波状の波形であり、 電気角で位相が 1 20 ° ずつずれて いる。

[0239] U, V, W相比較器 1 1 6 b U, 1 1 6 b V, 1 1 6 bWは、 U, V, W 相指令電圧とキャリア信号 S i g Cとの大小比較に基づく PWM (PWM : p ulse width modulation) 制御により、 第 1インバータ 1 01 における U, V , W相の上アーム及び下アームの各スイッチ S p, S nの操作信号を生成す る。 具体的には、 操作信号生成部 1 1 6は、 U, V, W相指令電圧を電源電 圧で規格化した信号と、 キャリア信号との大小比較に基づく PWM制御によ り、 U, V, W相の各スイッチ S p, S nの操作信号を生成する。 ドライバ 1 1 7は、 操作信号生成部 1 1 6により生成された操作信号に基づいて、 第 1インバータ 1 01 における U, V, W相の各スイッチ S p, S nをオンオ 〇 2020/175333 68 卩(:171? 2020 /006903

フさせる。

[0240] 制御装置 1 1 0は、 キャリア信号 3 丨 キャリア周波数干〇、 すなわ ち各スイッチ 3 , 3 nのスイッチング周波数を変更する処理を行 。 キャ リア周波数干〇は、 回転電機 1 0の低トルク領域又は高回転領域において高 く設定され、 回転電機 1 0の高トルク領域において低く設定される。 この設 定は、 各相卷線に流れる電流の制御性の低下を抑制 するためになされる。

[0241 ] つまり、 固定子 5 0のコアレス化に伴い、 固定子 5 0におけるインダクタ ンスの低減を図ることができる。 ここで、 インダクタンスが低くなると、 回 転電機 1 〇の電気的時定数が小さくなる。 その結果、 各相卷線に流れる電流 のリップルが増加して巻線に流れる電流の制 御性が低下し、 電流制御が発散 する懸念がある。 この制御性低下の影響は、 巻線に流れる電流 (例えば、 電 流の実効値) が高電流領域に含まれる場合よりも低電流領 域に含まれる場合 に顕著となり得る。 この問題に対処すべく、 本変形例において、 制御装置 1 1 0はキャリア周波数干〇を変更する。

[0242] 図 3 2を用いて、 キャリア周波数干〇を変更する処理について 説明する。

この処理は、 操作信号生成部 1 1 6の処理として、 制御装置 1 1 0により、 例えば所定の制御周期で繰り返し実行される 。

[0243] ステップ 3 1 0では、 各相の巻線 5 1 3に流れる電流が低電流領域に含ま れているか否かを判定する。 この処理は、 回転電機 1 0の現在のトルクが低 トルク領域であることを判定するための処理 である。 低電流領域に含まれて いるか否かの判定手法としては、 例えば、 以下の第 1 , 第 2の方法が挙げら れる。

[0244] <第 1の方法>

〇1 変換部 1 1 2により変換された 軸電流と 9軸電流とに基づいて、 回 転電機 1 〇のトルク推定値を算出する。 そして、 算出したトルク推定値が卜 ルク閾値未満であると判定した場合、 巻線 5 1 3に流れる電流が低電流領域 に含まれていると判定し、 トルク推定値がトルク閾値以上であると判定 した 場合、 高電流領域に含まれていると判定する。 ここで、 トルク閾値は、 例え 〇 2020/175333 69 卩(:171? 2020 /006903

ば、 回転電機 1 0の起動トルク (拘束トルクともいう) の 1 / 2に設定され ていればよい。

[0245] <第 2の方法>

角度検出器により検出された回転子 4 0の回転角度が速度閾値以上である と判定した場合、 巻線 5 1 3に流れる電流が低電流領域に含まれている す なわち高回転領域であると判定する。 ここで、 速度閾値は、 例えば、 回転電 機 1 0の最大トルクがトルク閾値となる場合の回 速度に設定されていれば よい。

[0246] ステップ 3 1 0において否定判定した場合には、 高電流領域であると判定 し、 ステップ 3 1 1 に進む。 ステップ 3 1 1では、 キャリア周波数干〇を第 1周波数干!_に設定する。

[0247] ステップ 3 1 0において肯定判定した場合には、 ステップ 3 1 2に進み、 キャリア周波数干〇を、 第 1周波数干!_よりも高い第 2周波数干 ! !に設定す る。

[0248] 以上説明した本変形例によれば、 各相卷線に流れる電流が高電流領域に含 まれる場合よりも低電流領域に含まれる場合 においてキャリア周波数チ〇が 高く設定される。 このため、 低電流領域において、 スイッチ 3 , 3 のス イッチング周波数を高くすることができ、 電流リップルの増加を抑制するこ とができる。 これにより、 電流制御性の低下を抑制することができる。

[0249] 一方、 各相卷線に流れる電流が高電流領域に含まれ る場合、 低電流領域に 含まれる場合よりもキャリア周波数チ〇が低 く設定される。 高電流領域にお いては、 低電流領域よりも巻線に流れる電流の振幅が 大きいため、 インダク タンスが低くなったことに起因する電流リッ プルの増加が、 電流制御性に及 ぼす影響が小さい。 このため、 高電流領域においては、 低電流領域よりもキ ャリア周波数干〇を低く設定することができ 、 各インバータ 1 0 1 , 1 0 2 のスイッチング損失を低減することができる 。

[0250] 本変形例においては、 以下に示す形態の実施が可能である。

[0251 ] キャリア周波数干〇が第 1周波数干!_に設定されている場合において 図 32のステップ S 1 0において肯定判定されたとき、 キャリア周波数 f c を、 第 1周波数 f Lから第 2周波数 f Hに向かって徐変させてもよい。

[0252] また、 キャリア周波数 f cが第 2周波数 f Hに設定されている場合におい て、 ステップ S 1 0において否定判定されたとき、 キャリア周波数 f cを、 第 2周波数 f Hから第 1周波数 f Lに向かって徐変させてもよい。

[0253] PWM制御に代えて、 空間べクトル変調 (S VM : space vector modu la tion) 制御によりスイッチの操作信号が生成されて もよい。 この場合であっ ても、 上述したスイッチング周波数の変更を適用す ることができる。

[0254] (変形例 9 )

上記各実施形態では、 導線群 81 を構成する各相 2対ずつの導線が、 図 3 3 (a) に示すように並列接続されていた。 図 33 (a) は、 2対の導線で ある第 1 , 第 2導線 88 a, 88 bの電気的接続を示す図である。 ここで、 図 33 (a) に示す構成に代えて、 図 33 (b) に示すように、 第 1 , 第 2 導線 88 a, 88 bが直列接続されていてもよい。

[0255] また、 3対以上の多層導線が径方向に積層配置され いてもよい。 図 34 に、 4対の導線である第 1〜第 4導線 88 a〜 88 dが積層配置されている 構成を示す。 第 1〜第 4導線 88 a〜 88 dは、 固定子コア 52に近い方か ら、 第 1 , 第 2, 第 3, 第 4導線 88 a, 88 b, 88 c, 88 dの順に径 方向に並んで配置されている。

[0256] ここで、 図 33 (c) に示すように、 第 3, 第 4導線 88 c, 88 dが並 列接続されるとともに、 この並列接続体の一端に第 1導線 88 aが接続され 、 他端に第 2導線 88 bが接続されていてもよい。 並列接続にすると、 その 並列接続された導線の電流密度を低下させる ことができ、 通電時の発熱を抑 制できる。 そのため、 冷却水通路 74が形成されたハウジング (ユニッ トべ —ス 6 1 ) に筒状の固定子巻線を組み付ける構成におい て、 並列接続されて いない第 1 , 第 2導線 88 a, 88 bがユニッ トべース 6 1 に当接する固定 子コア 52側に配置され、 並列接続された第 3, 第 4導線 88 c, 88 dが 反固定子コア側に配置されている構成とする 。 これにより、 多層導線構造に 〇 2020/175333 71 卩(:171? 2020 /006903

おける各導線 8 8 3〜8 8〇1の冷却性能を均等化することができる。

[0257] なお、 第 1〜第 4導線 8 8 3 ~ 8 8 からなる導線群 8 1の径方向の厚さ 寸法は、 1磁極内における 1相分の周方向の幅寸法よりも小さいものと れ ていればよい。

[0258] (変形例 1 0)

回転電機 1 〇をインナロータ構造 (内転構造) としてもよい。 この場合、 例えばハウジング 3 0内において、 径方向外側に固定子 5 0が設けられ、 そ の径方向内側に回転子 4 0が設けられるとよい。 また、 固定子 5 0及び回転 子 4 0の軸方向両端のうちその一方の側又はその 方の側にインバータユニ ッ ト 6 0が設けられているとよい。 図 3 5は、 回転子 4 0及び固定子 5 0の 横断面図であり、 図 3 6は、 図 3 5に示す回転子 4 0及び固定子 5 0の一部 を拡大して示す図である。

[0259] インナロータ構造を前提とする図 3 5及び図 3 6の構成は、 アウタロータ 構造を前提とする図 8及び図 9の構成に対して、 回転子 4 0及び固定子 5 0 が径方向内外で逆になっていることを除いて 、 同様の構成となっている。 簡 単に説明すると、 固定子 5 0は、 扁平導線構造の固定子巻線 5 1 と、 ティー スを持たない固定子コア 5 2とを有している。 固定子巻線 5 1は、 固定子コ ア 5 2の径方向内側に組み付けられている。 固定子コア 5 2は、 アウタロー 夕構造の場合と同様に、 以下のいずれかの構成を有する。

(八) 固定子 5 0において、 周方向における各導線部の間に導線間部材を 設 け、 かつその導線間部材として、 1磁極における導線間部材の周方向の幅寸 法を 1、 導線間部材の飽和磁束密度を巳 3、 1磁極における磁石ユニッ ト の周方向の幅寸法を 〇!、 磁石ユニッ トの残留磁束密度を巳 「とした場合に 、 「の関係となる磁性材料を用いている。

(巳) 固定子 5 0において、 周方向における各導線部の間に導線間部材を 設 け、 かつその導線間部材として、 非磁性材料を用いている。

(〇) 固定子 5 0において、 周方向における各導線部の間に導線間部材を 設 けていない構成となっている。 〇 2020/175333 72 卩(:171? 2020 /006903

[0260] また、 磁石ユニッ ト 4 2の各磁石 9 1 , 9 2についても同様である。 つま り、 磁石ユニッ ト 4 2は、 磁極中心である ¢1軸の側において、 磁極境界であ る 9軸の側に比べて磁化容易軸の向きが 軸に平行となるように配向がなさ れた磁石 9 1 , 9 2を用いて構成されている。 各磁石 9 1 , 9 2における磁 化方向等の詳細は既述のとおりである。 磁石ユニッ ト 4 2において環状磁石 9 5 (図 3 0参照) を用いることも可能である。

[0261 ] 図 3 7は、 インナロータ型とした場合における回転電機 1 0の縦断面図で あり、 これは既述の図 2に対応する図面である。 図 2の構成との相違点を簡 単に説明する。 図 3 7において、 ハウジング 3 0の内側には、 環状の固定子 5 0が固定され、 その固定子 5 0の内側には、 所定のエアギャップを挟んで 回転子 4 0が回転可能に設けられている。 図 2と同様に、 各軸受 2 1 , 2 2 は、 回転子 4 0の軸方向中央に対して軸方向のいずれか一 側に偏って配置 されており、 これにより、 回転子 4 0が片持ち支持されている。 また、 回転 子 4 0の磁石ホルダ 4 1の内側に、 インバータユニッ ト 6 0が設けられてい る。

[0262] 図 3 8には、 インナロータ構造の回転電機 1 0として別の構成を示す。 図

3 8において、 ハウジング 3 0には、 軸受 2 1 , 2 2により回転軸 1 1が回 転可能に支持されており、 その回転軸 1 1 に対して回転子 4 0が固定されて いる。 図 2等に示す構成と同様に、 各軸受 2 1 , 2 2は、 回転子 4 0の軸方 向中央に対して軸方向のいずれか一方側に偏 って配置されている。 回転子 4 0は、 磁石ホルダ 4 1 と磁石ユニッ ト 4 2とを有している。

[0263] 図 3 8の回転電機 1 0では、 図 3 7の回転電機 1 0との相違点として、 回 転子 4〇の径方向内側にインバータユニッ ト 6 0が設けられていない構成と なっている。 磁石ホルダ 4 1は、 磁石ユニッ ト 4 2の径方向内側となる位置 で回転軸 1 1 に連結されている。 また、 固定子 5 0は、 固定子巻線 5 1 と固 定子コア 5 2とを有しており、 ハウジング 3 0に対して取り付けられている

[0264] (変形例 1 1) 〇 2020/175333 73 卩(:171? 2020 /006903

インナロータ構造の回転電機として別の構 成を以下に説明する。 図 3 9は 、 回転電機 2 0 0の分解斜視図であり、 図 4 0は、 回転電機 2 0 0の側面断 面図である。 なおここでは、 図 3 9及び図 4 0の状態を基準に上下方向を示 すこととしている。

[0265] 図 3 9及び図 4 0に示すように、 回転電機 2 0 0は、 環状の固定子コア 2

0 1及び多相の固定子巻線 2 0 2を有する固定子 2 0 3と、 固定子コア 2 0 1の内側に回転自在に配設される回転子 2 0 4とを備えている。 固定子 2 0 3が電機子に相当し、 回転子 2 0 4が界磁子に相当する。 固定子コア 2 0 1 は、 多数の珪素鋼板が積層されて構成されており 、 その固定子コア 2 0 1 に 対して固定子巻線 2 0 2が取り付けられている。 図示は省略するが、 回転子 2 0 4は、 回転子コアと、 磁石ユニッ トとして複数の永久磁石とを有してい る。 回転子コアには、 円周方向に等間隔で複数の磁石揷入孔が設け られてい る。 磁石揷入孔のそれぞれには、 隣接する磁極毎に交互に磁化方向が変わる ように磁化された永久磁石が装着されている 。 なお、 磁石ユニッ トの永久磁 石は、 図 2 3で説明したようなハルバッハ配列又はそれ 類する構成を有す るものであるとよい。 又は、 磁石ユニッ トの永久磁石は、 図 9や図 3 0で説 明したような磁極中心である 軸と磁極境界である 軸との間において配向 方向 (磁化方向) が円弧状に延びている極異方性の特性を備え るものである とよい。

[0266] ここで、 固定子 2 0 3は、 以下のいずれかの構成であるとよい。

(八) 固定子 2 0 3において、 周方向における各導線部の間に導線間部材を 設け、 かつその導線間部材として、 1磁極における導線間部材の周方向の幅 寸法を 1、 導線間部材の飽和磁束密度を巳 3、 1磁極における磁石ユニッ 卜の周方向の幅寸法を 、 磁石ユニッ トの残留磁束密度を巳 「とした場合 に、 「の関係となる磁性材料を用いている。

(巳) 固定子 2 0 3において、 周方向における各導線部の間に導線間部材を 設け、 かつその導線間部材として、 非磁性材料を用いている。

(〇) 固定子 2 0 3において、 周方向における各導線部の間に導線間部材を 〇 2020/175333 74 卩(:171? 2020 /006903

設けていない構成となっている。

[0267] また、 回転子 2 0 4において、 磁石ユニッ トは、 磁極中心である 軸の側 において、 磁極境界である 軸の側に比べて磁化容易軸の向きが 軸に平行 となるように配向がなされた複数の磁石を用 いて構成されている。

[0268] 回転電機 2 0 0の軸方向の一端側には、 環状のインバータケース 2 1 1が 設けられている。 インバータケース 2 1 1は、 ケース下面が固定子コア 2 0 1の上面に接するように配置されている。 インバータケース 2 1 1内には、 インバータ回路を構成する複数のパワーモジ ュール 2 1 2と、 半導体スイッ チング素子のスイッチング動作により生じる 電圧 ·電流の脈動 (リップル) を抑制する平滑コンデンサ 2 1 3と、 制御部を有する制御基板 2 1 4と、 相 電流を検出する電流センサ 2 1 5と、 回転子 2 0 4の回転数センサであるレ ゾルバステータ 2 1 6とが設けられている。 パワーモジュール 2 1 2は、 半 導体スイッチング素子である 丨 ◦巳丁やダイオードを有している。

[0269] インバータケース 2 1 1の周縁には、 車両に搭載されるバッテリの直流回 路と接続されるパワーコネクタ 2 1 7と、 回転電機 2 0 0側と車両側制御装 置との間で各種信号の受け渡しに用いられる 信号コネクタ 2 1 8とが設けら れている。 インバータケース 2 1 1はトップカバー 2 1 9で覆われている。 車載バッテリからの直流電力は、 パワーコネクタ 2 1 7を介して入力され、 パワーモジュール 2 1 2のスイッチングにより交流に変換されて各 の固定 子卷線 2 0 2に送られる。

[0270] 固定子コア 2 0 1の軸方向両側のうちインバータケース 2 1 1の反対側に は、 回転子 2 0 4の回転軸を回転可能に保持する軸受ユニッ ト 2 2 1 と、 そ の軸受ユニッ ト 2 2 1 を収容する環状のリアケース 2 2 2とが設けられてい る。 軸受ユニッ ト 2 2 1は、 例えば 2つ一組の軸受を有しており、 回転子 2 〇 4の軸方向中央に対して軸方向のいずれか一 側に偏って配置されている 。 ただし、 軸受ユニッ ト 2 2 1 における複数の軸受を固定子コア 2 0 1の軸 方向両側に分散させて設け、 それら各軸受により回転軸を両持ち支持する 構 成であってもよい。 リアケース 2 2 2が車両のギアケースや変速機などの取 〇 2020/175333 75 卩(:171? 2020 /006903

付部にボルト締結して固定されることで、 回転電機 2 0 0が車両側に取り付 けられるようになっている。

[0271 ] インバータケース 2 1 1内には、 冷媒を流すための冷却流路 2 1 1 3が形 成されている。 冷却流路 2 1 1 3は、 インバータケース 2 1 1の下面から環 状に凹設された空間を固定子コア 2 0 1の上面で閉塞して形成されている。 冷却流路 2 1 1 3は、 固定子巻線 2 0 2のコイルエンドを囲むように形成さ れている。 冷却流路 2 1 1 3内には、 パワーモジュール 2 1 2のモジュール ケース 2 1 2 3 が揷入されている。 リアケース 2 2 2にも、 固定子巻線 2 0 2のコイルエンドを囲むように冷却流路 2 2 2 3が形成されている。 冷却流 路 2 2 2 3 は、 リアケース 2 2 2の上面から環状に凹設された空間を固定子 コア 2 0 1の下面で閉塞して形成されている。

[0272] (変形例 1 2)

これまでは、 回転界磁形の回転電機にて具体化した構成を 説明したが、 こ れを変更し、 回転電機子形の回転電機にて具体化すること も可能である。 図 4 1 に、 回転電機子形の回転電機 2 3 0の構成を示す。

[0273] 図 4 1の回転電機 2 3 0において、 ハウジング 2 3 1 匕にはそ れぞれ軸受 2 3 2が固定され、 その軸受 2 3 2により回転軸 2 3 3が回転自 在に支持されている。 軸受 2 3 2は、 例えば多孔質金属に油を含ませてなる 含油軸受である。 回転軸 2 3 3には、 電機子としての回転子 2 3 4が固定さ れている。 回転子 2 3 4は、 回転子コア 2 3 5とその外周部に固定された多 相の回転子卷線 2 3 6とを有している。 回転子 2 3 4において、 回転子コア 2 3 5はスロッ トレス構造を有し、 回転子卷線 2 3 6は扁平導線構造を有し ている。 つまり、 回転子卷線 2 3 6は、 1相ごとの領域が径方向よりも周方 向に長い扁平構造となっている。

[0274] また、 回転子 2 3 4の径方向外側には、 界磁子としての固定子 2 3 7が設 けられている。 固定子 2 3 7は、 ハウジング 2 3 1 3に固定された固定子コ ア 2 3 8と、 その固定子コア 2 3 8の内周側に固定された磁石ユニッ ト 2 3 9とを有している。 磁石ユニッ ト 2 3 9は、 周方向に極性が交互となる複数 〇 2020/175333 76 卩(:171? 2020 /006903

の磁極を含む構成となっており、 既述した磁石ユニッ ト 4 2等と同様に、 磁 極中心である 軸の側において、 磁極境界である 軸の側に比べて磁化容易 軸の向きが 軸に平行となるように配向がなされて構成さ れている。 磁石ユ ニッ ト 2 3 9は、 配向が行われた焼結ネオジム磁石を有してお り、 その固有 保磁力は 4 0 0 [ 1< /〇! ] 以上、 かつ残留磁束密度は 1 . 0 [丁] 以上と なっている。

[0275] 本例の回転電機 2 3 0は、 2極 3コイルのブラシ付コアレスモータであり 、 回転子卷線 2 3 6は 3つに分割され、 磁石ユニッ ト 2 3 9は 2極である。 ブラシ付きモータの極数とコイル数は、 2 : 3、 4 : 1 0、 4 : 2 1などそ の用途に応じて様々である。

[0276] 回転軸 2 3 3にはコミュテータ 2 4 1が固定されており、 その径方向外側 には複数のブラシ 2 4 2が配置されている。 コミユテータ 2 4 1は、 回転軸 2 3 3に埋め込まれた導線 2 4 3を介して回転子卷線 2 3 6に電気接続され ている。 これらコミユテータ 2 4 1、 ブラシ 2 4 2、 導線 2 4 3を通じて、 回転子卷線 2 3 6に対する直流電流の流入及び流出が行われ 。 コミュテー 夕 2 4 1は、 回転子卷線 2 3 6の相数に応じて周方向に適宜分割されて構 されている。 なお、 ブラシ 2 4 2は、 そのまま電気配線を介して蓄電池など の直流電源に接続されていてもよいし、 端子台などを介して直流電源に接続 されていてもよい。

[0277] 回転軸 2 3 3には、 軸受 2 3 2とコミユテータ 2 4 1 との間に、 シール材 としての樹脂ワッシャ 2 4 4が設けられている。 樹脂ワッシャ 2 4 4により 、 含油軸受である軸受 2 3 2からしみ出た油がコミュテータ 2 4 1側に流れ 出ることが抑制される。

[0278] (変形例 1 3)

回転電機 1 〇の固定子巻線 5 1 において、 各導線 8 2を、 内外に複数の絶 縁被膜を有する構成としてもよい。 例えば、 絶縁被膜付きの複数の導線 (素 線) を 1本に束ね、 それを外層被膜により覆って導線 8 2を構成するとよい 。 この場合、 素線の絶縁被膜が内側の絶縁被膜を構成し、 外層被膜が外側の 〇 2020/175333 77 卩(:171? 2020 /006903

絶縁被膜を構成する。 また特に、 導線 8 2における複数の絶縁被膜のうち外 側の絶縁被膜の絶縁能力を、 内側の絶縁被膜の絶縁能力よりも高めておく と よい。 具体的には、 外側の絶縁被膜の厚さを、 内側の絶縁被膜の厚さよりも 厚くする。 例えば、 外側の絶縁被膜の厚さを 1 〇〇 、 内側の絶縁被膜の 厚さを 4 0 とする。 又は、 外側の絶縁被膜として、 内側の絶縁被膜より も誘電率の低い材料を用いるとよい。 これらは少なくともいずれかが適用さ れればよい。 なお、 素線が、 複数の導電材の集合体として構成されている と よい。

[0279] 上記のとおり導線 8 2における最外層の絶縁を強くすることによ 、 高電 圧の車両用システムに用いる場合に好適なも のとなる。 また、 気圧の低い高 地などでも、 回転電機 1 0の適正な駆動が可能となる。

[0280] (変形例 1 4)

内外に複数の絶縁被膜を有する導線 8 2において、 外側の絶縁被膜と内側 の絶縁被膜とで、 線膨張率 (線膨張係数) 及び接着強さの少なくともいずれ かが異なる構成としてもよい。 本変形例における導線 8 2の構成を図 4 2に 示す。

[0281 ] 図 4 2において、 導線 8 2は、 複数 (図では 4本) の素線 1 8 1 と、 その 複数の素線 1 8 1 を囲む例えば樹脂製の外層被膜 1 8 2 (外側絶縁被膜) と 、 外層被膜 1 8 2内において各素線 1 8 1の周りに充填された中間層 1 8 3 (中間絶縁被膜) とを有している。 素線 1 8 1は、 銅材よりなる導電部 1 8 1 3と、 絶縁材料よりなる導体被膜 1 8 1 (内側絶縁被膜) とを有してい る。 固定子巻線として見れば、 外層被膜 1 8 2により相間が絶縁される。 な お、 素線 1 8 1が、 複数の導電材の集合体として構成されている とよい。

[0282] 中間層 1 8 3は、 素線 1 8 1の導体被膜 1 8 1 匕よりも高い線膨張率を有 し、 かつ外層被膜 1 8 2よりも低い線膨張率を有している。 つまり、 導線 8 2では、 外側ほど線膨張率が高くなっている。 一般的に、 外層被膜 1 8 2で は導体被膜 1 8 1 匕よりも線膨張係数が高いが、 それらの間にその中間の線 膨張率を有する中間層 1 8 3を設けることにより、 その中間層 1 8 3がクッ 〇 2020/175333 78 卩(:171? 2020 /006903

シヨン材として機能し、 外層側及び内層側での同時割れを防ぐことが できる

[0283] また、 導線 8 2では、 素線 1 8 1 において導電部 1 8 1 3 と導体被膜 1 8

1 匕とが接着されるとともに、 導体被膜 1 8 1 匕と中間層 1 8 3、 中間層 1 8 3と外層被膜 1 8 2がそれぞれ接着されており、 それら各接着部分では、 導線 8 2の外側ほど、 接着強さが弱くなっている。 つまり、 導電部 1 8 1 3 及び導体被膜 1 8 1 の接着強さは、 導体被膜 1 8 1 及び中間層 1 8 3の 接着強さ、 中間層 1 8 3及び外層被膜 1 8 2の接着強さよりも弱くなってい る。 また、 導体被膜 1 8 1 匕及び中間層 1 8 3の接着強さと、 中間層 1 8 3 及び外層被膜 1 8 2の接着強さとを比較すると、 後者の方 (外側の方) が弱 いか、 又は同等であるとよい。 なお、 各被膜同士の接着強さの大きさは、 例 えば 2層の被膜を引き剥がす際に要する引っ張り さ等により把握可能であ る。 上記のごとく導線 8 2の接着強さが設定されていることで、 発熱又は冷 却による内外温度差が生じても、 内層側及び外層側で共に割れが生じること (共割れ) を抑制することができる。

[0284] ここで、 回転電機の発熱、 温度変化は、 主に素線 1 8 1の導電部 1 8 1 3 から発熱される銅損と、 鉄心内から発せられる鉄損として生じるが、 それら 2種類の損失は、 又は導線 8 2の外部より伝 わるものであり、 中間層 1 8 3に発熱源があるわけではない。 この場合、 中 間層 1 8 3が両方に対してクッションとなり得る接着 を持つことで、 その 同時割れを防ぐことができる。 したがって、 車両用途など、 高耐圧又は温度 変化の大きい分野での使用に際しても、 好適なる使用が可能となる。

[0285] 以下に補足する。 素線 1 8 1は、 例えばエナメル線であってもよく、 かか る場合には 、 I、 I等の樹脂被膜層 (導体被膜 1 8 1 匕) を有す る。 また、 素線 1 8 1 より外側の外層被膜 1 8 2は、 同様の 、 丨、 八 丨等よりなり、 かつ厚みが厚いものであることが望ましい。 これにより、 線膨張率差による被膜の破壊が抑えられる。 なお、 外層被膜 1 8 2としては 、 八、 丨、 八 I等の前記材料を厚く して対応するものとは別に、 〇 2020/175333 79 卩(:171? 2020 /006903

3、 巳巳 、 フッ素、 ポリカーボネート、 シリコン、 エポキシ、 ポリエチ レンナフタレート、 !_〇 といった、 誘電率が 丨、 八 丨 よりも小さいも のを使うことも回転機の導体密度を高めるた めには望ましい。 これらの樹脂 であれば、 導体被膜 1 8 1 匕同等の \ , P A \被膜よりも薄いか、 導体被 膜 1 8 1 13と同等の厚みであっても、 その絶縁能力を高くすることができ、 これにより導電部の占有率を高めることが可 能となる。 一般的には、 上記樹 脂は、 誘電率がエナメル線の絶縁被膜より良好な絶 縁を有している。 当然、 成形状態や、 混ぜ物によって、 その誘電率を悪くする例も存在する。 中でも 、 3、 巳巳 は、 その線膨張係数がエナメル被膜より一般的に は大き いが、 他樹脂よりも小さいため、 第 2層の外層被膜として適するのである。

[0286] また、 素線 1 8 1の外側における 2種類の被膜 (中間絶縁被膜、 外側絶縁 被膜) と素線 1 8 1のエナメル被膜との接着強さは、 素線 1 8 1 における銅 線とエナメル被膜との間の接着強さよりも弱 いことが望ましい。 これにより 、 エナメル被膜と前記 2種類の被膜とが一度に破壊される現象が抑 される

[0287] 固定子に水冷構造、 液冷構造、 空冷構造が付加されている場合には、 基本 的に、 外層被膜 1 8 2から先に熱応力や衝撃応力が掛かると考え れる。 し かし、 素線 1 8 1の絶縁層と、 前記 2種類の被膜とが違う樹脂の場合でも、 その被膜を接着しない部位を設けることによ り、 前記熱応力や衝撃応力を低 減することができる。 すなわち、 素線 (エナメル線) と空隙を設け、 フッ素 、 ポリカーボネート、 シリコン、 エポキシ、 ポリエチレンナフタレート、 !_ 〇 を配置することで前記絶縁構造がなされる。 この場合、 エポキシなどか らなる低誘電率で、 かつ低線膨張係数からなる接着材を用いて、 外層被膜と 内層被膜とを接着することが望ましい。 こうすることで、 機械的強度だけで なく、 導電部の振動による揺れなどによる摩擦によ る被膜破壊、 または線膨 張係数差による外層被膜の破壊を抑えること ができる。

[0288] 上記構成の導線 8 2に対しての、 機械的強度、 固定等を担う、 一般的には 固定子巻線周りの最終工程となる最外層固定 としては、 エポキシ、 3、 〇 2020/175333 80 卩(:171? 2020 /006903

巳巳 1_〇 などの成形性が良く、 誘電率、 線膨張係数といった性質が エナメル被膜と近い性質をもった樹脂が好ま しい。

[0289] —般的には、 ウレタン、 シリコンによる樹脂ポッティングが通例なさ れる が、 前記樹脂においてはその線膨張係数がその他 の樹脂と比べて倍近い差が あり、 樹脂をせん断し得る熱応力を発生する。 そのため、 厳しい絶縁規定が 国際的に用いられる 6 0 V以上の用途には不適である。 この点、 エポキシ、 3、 巳巳 、 !_ 0 などにより射出成型等により容易に作られる 最終 絶縁工程によれば、 上述の各要件を達成することが可能である。

[0290] 上記以外の変形例を以下に列記する。

[0291 ] 磁石ユニッ ト 4 2のうち径方向において電機子側の面と、 回転子の軸心 との径方向における距離口1\/1が 5 0 以上とされていてもよい。 具体的に は、 例えば、 図 4に示す磁石ユニッ ト 4 2 (具体的には、 第 1 , 第 2磁石 9 1 , 9 2) のうち径方向内側の面と、 回転子 4 0の軸心との径方向における 以上とされていてもよい。

[0292] スロッ トレス構造の回転電機としては、 その出力が数十 から数百 級の 模型用などに使用される小規模なものが知ら れている。 そして、 一般的には 1 0 を超すような工業用の大型の回転電機でスロ ッ トレス構造が採用さ れた事例を本願開示者は把握していない。 その理由について本願開示者は検 言寸した。

[0293] 近年主流の回転電機は、 次の 4種類に大別される。 それら回転電機とは、 ブラシ付きモータ、 カゴ型誘導モータ、 永久磁石式同期モータ及びリラクタ ンスモータである。

[0294] ブラシ付きモータには、 ブラシを介して励磁電流が供給される。 このため 、 大型機のブラシ付きモータの場合、 ブラシが大型化したり、 メンテナンス が煩雑になったりしたりする。 これにより、 半導体技術の目覚ましい発達に 伴い、 誘導モータ等のブラシレスモータに置換され てきた経緯がある。 一方 、 小型モータの世界では、 低い慣性及び経済性の利点から、 コアレスモータ も多数世の中に供給されている。 〇 2020/175333 81 卩(:171? 2020 /006903

[0295] カゴ型誘導モータでは、 1次側の固定子巻線で発生させる磁界を 2次側の 回転子の鉄心で受けてカゴ型導体に集中的に 誘導電流を流して反作用磁界を 形成することにより、 トルクを発生させる原理である。 このため、 機器の小 型高効率の観点からすれば、 固定子側及び回転子側ともに鉄心をなくすこ と は必ずしも得策であるとは言えない。

[0296] リラクタンスモータは、 当に鉄心のリラクタンス変化を活用するモー タで あり、 原理的に鉄心をなくすことは望ましくない。

[0297] 永久磁石式同期モータでは、 近年 I 1\/1 (つまり埋め込み磁石型回転子) が主流であり、 特に大型機においては、 特殊事情がない限り 丨 IV!である場 合が多い。

[0298] I 1\/1は、 磁石トルク及びリラクタンストルクを併せ持 つ特性を有してお り、 インバータ制御により、 それらトルクの割合が適時調整されながら運 転 される。 このため、 丨 IV!は小型で制御性に優れるモータである。

[0299] 本願開示者の分析により、 磁石トルク及びリラクタンストルクを発生す る 回転子表面のトルクを、 磁石ユニッ トのうち径方向において電機子側の面と 、 回転子の軸心との径方向における距離口 IV!、 すなわち、 一般的なインナロ —夕の固定子鉄心の半径を横軸にとって描く と図 4 3に示すものとなる。

[0300] 磁石トルクは、 下式 (6 9 1) に示すように、 永久磁石の発生する磁界強 度によりそのポテンシャルが決定されるのに 対し、 リラクタンストルクは、 下式 (6 2) に示すように、 インダクタンス、 特に 軸インダクタンスの 大きさがそのポテンシャルを決定する。

[0301 ] 磁石トルク 1 գ . (ø

9 1)

リラクタンストルク = !< . 1 . 1 〇1 . ( 6

9 2)

ここで、 永久磁石の磁界強度と巻線のインダクタンス の大きさとを口 IV!で 比較してみた。 永久磁石の発する磁界強度、 すなわち磁束量 は、 固定子と 対向する面の永久磁石の総面積に比例する。 円筒型の回転子であれば円筒の 〇 2020/175333 82 卩(:171? 2020 /006903

表面積になる。 厳密には、 1\1極と 3極とが存在するので、 円筒表面の半分の 専有面積に比例する。 円筒の表面積は、 円筒の半径と、 円筒長さとに比例す る。 つまり、 円筒長さが一定であれば、 円筒の半径に比例する。

[0302] —方、 巻線のインダクタンス1_ 9は、 鉄心形状に依存はするものの感度は 低く、 むしろ固定子巻線の巻数の 2乗に比例するため、 巻数の依存性が高い 。 なお、 を磁気回路の透磁率、 を巻数、 3を磁気回路の断面積、 3を磁 気回路の有効長さとする場合、 インダクタンス1_ = 1\1 2 \ 3 / 5であ る。 巻線の巻数は、 卷線スぺースの大きさに依存するため、 円筒型モータで あれば、 固定子の卷線スぺース、 すなわちスロッ ト面積に依存することにな る。 図 4 4に示すように、 スロッ ト面積は、 スロッ トの形状が略四角形であ るため、 周方向の長さ寸法 3及び径方向の長さ寸法 13との積 3 X匕に比例す る。

[0303] スロッ トの周方向の長さ寸法は、 円筒の直径が大きいほど大きくなるため 、 円筒の直径に比例する。 スロッ トの径方向の長さ寸法は、 当に円筒の直径 に比例する。 つまり、 スロッ ト面積は、 円筒の直径の 2乗に比例する。 また 、 上式 (6 2) からも分かる通り、 リラクタンストルクは、 固定子電流の 2乗に比例するため、 いかに大電流を流せるかで回転電機の性能が 決まり、 その性能は固定子のスロッ ト面積に依存する。 以上より、 円筒の長さが一定 なら、 リラクタンストルクは円筒の直径の 2乗に比例する。 このことを踏ま え、 磁石トルク及びリラクタンストルクと口 IV!との関係性をプロッ トした図 が図 4 3である。

[0304] 図 4 3に示すように、 磁石トルクは口 IV!に対して直線的に増加し、 リラク タンストルクは口 IV!に対して 2次関数的に増加する。 口 IV!が比較的小さい場 合は磁石トルクが支配的であり、 固定子鉄心半径が大きくなるに連れてリラ クタンストルクが支配的であることがわかる 。 本願開示者は、 図 4 3におけ る磁石トルク及びリラクタンストルクの交点 が、 所定の条件下において、 お およそ固定子鉄心半径 = 5 0〇!〇!の近傍であるとの結論に至った。 つまり、 固定子鉄心半径が 5 を十分に超えるような 1 0 級のモータでは、 〇 2020/175333 83 卩(:171? 2020 /006903

リラクタンストルクを活用することが現在 の主流であるため鉄心を無くすこ とは困難であり、 このことが大型機の分野においてスロッ トレス構造が採用 されない理由の 1つであると推定される。

[0305] 固定子に鉄心が使用される回転電機の場合、 鉄心の磁気飽和が常に課題と なる。 特にラジアルギャップ型の回転電機では、 回転軸の縦断面形状は 1磁 極当たり扇型となり、 機器内周側程磁路幅が狭くなりスロッ トを形成するテ ィース部分の内周側寸法が回転電機の性能限 界を決める。 いかに高性能な永 久磁石を使おうとも、 この部分で磁気飽和が発生すると、 永久磁石の性能を 十分にひきだすことができない。 この部分で磁気飽和を発生させないために は、 内周径を大きく設計することになり結果的に 機器の大型化に至ってしま うのである。

[0306] 例えば、 分布巻の回転電機では、 3相巻線であれば、 1磁極あたり 3つ乃 至 6つのティースで分担して磁束を流すのだが 周方向前方のティースに磁 束が集中しがちであるため、 3つ乃至 6つのティースに均等に磁束が流れる わけではない。 この場合、 一部 (例えば 1つ又は 2つ) のティースに集中的 に磁束が流れながら、 回転子の回転に伴って磁気飽和するティース も周方向 に移動してゆく。 これがスロッ トリップルを生む要因にもなる。

[0307] 以上から、 口1\/1が 5 となるスロッ トレス構造の回転電機におい て、 磁気飽和を解消するために、 ティースを廃止したい。 しかし、 ティース が廃止されると、 回転子及び固定子における磁気回路の磁気抵 抗が増加し、 回転電機のトルクが低下してしまう。 磁気抵抗増加の理由としては、 例えば 、 回転子と固定子との間のエアギャップが大き くなることがある。 このため 、 上述した口1\/1が 5 以上となるスロッ トレス構造の回転電機において

、 トルクを増強することについて改善の余地が ある。 したがって、 上述した 以上となるスロッ トレス構造の回転電機に、 上述したトルク を増強できる構成を適用するメリッ トが大きい。

[0308] なお、 アウタロータ構造の回転電機に限らず、 インナロータ構造の回転電 機についても、 磁石ユニッ トのうち径方向において電機子側の面と、 回転子 〇 2020/175333 84 卩(:171? 2020 /006903

の軸心との径方向における距離

[0309] 回転電機 1 0の固定子巻線 5 1 において、 導線 8 2の直線部 8 3を径方 向に単層で設ける構成としてもよい。 また、 径方向内外に複数層で直線部 8 3を配置する場合に、 その層数は任意でよく、 3層、 4層、 5層、 6層等で 設けてもよい。

[0310] 例えば図 2の構成では、 回転軸 1 1 を、 軸方向で回転電機 1 0の一端側 及び他端側の両方に突出するように設けたが 、 これを変更し、 一端側にのみ 突出する構成としてもよい。 この場合、 回転軸 1 1は、 軸受ユニッ ト 2 0に より片持ち支持される部分を端部とし、 その軸方向外側に延びるように設け られるとよい。 本構成では、 インバータユニッ ト 6 0の内部に回転軸 1 1が 突出しない構成となるため、 インバータユニッ ト 6 0の内部空間、 詳しくは 筒状部 7 1の内部空間をより広く用いることができる ととなる。

[031 1 ] 上記構成の回転電機 1 0では、 軸受 2 1 , 2 2において非導電性グリー スを用いる構成としたが、 これを変更し、 軸受 2 1 , 2 2において導電性グ リースを用いる構成としてもよい。 例えば、 金属粒子や力ーボン粒子等が含 まれた導電性グリースを用いる構成とする。

[0312] 回転軸 1 1 を回転自在に支持する構成として、 回転子 4 0の軸方向一端 側及び他端側の 2力所に軸受を設ける構成としてもよい。 この場合、 図 1の 構成で言えば、 インバータユニッ ト 6 0を挟んで一端側及び他端側の 2力所 に軸受が設けられるとよい。

[0313] 上記構成の回転電機 1 0では、 回転子 4 0において磁石ホルダ 4 1の中 間部 4 5が内側肩部 4 9 3 と感情の外側肩部 4 9匕を有する構成としたが、 これらの肩部 4 9 4 9匕を無く し、 平坦な面を有する構成としてもよい

[0314] 上記構成の回転電機 1 0では、 固定子巻線 5 1の導線 8 2において導体

8 2 3を複数の素線 8 6の集合体として構成したが、 これを変更し、 導線 8 2として断面矩形状の角形導線を用いる構成 してもよい。 また、 導線 8 2 として断面円形状又は断面楕円状の丸形導線 を用いる構成としてもよい。 〇 2020/175333 85 卩(:171? 2020 /006903

[0315] 上記構成の回転電機 1 0では、 固定子 5 0の径方向内側にインパータユ ニッ ト 6 0を設ける構成としたが、 これに代えて、 固定子 5 0の径方向内側 にインバータユニッ ト 6 0を設けない構成としてもよい。 この場合、 固定子 5 0の径方向内側となる内部領域を空間として くことが可能である。 また 、 その内部領域に、 インバータユニッ ト 6 0とは異なる部品を配することが 可能である。

[0316] 上記構成の回転電機 1 0において、 ハウジング 3 0を具備しない構成と してもよい。 この場合、 例えばホイールや他の車両部品の _ 部において、 回 転子 4 0、 固定子 5 0等が保持される構成であってもよい。

[0317] (車両用インホイールモータとしての実施形 態)

次に、 回転電機を、 車両の車輪に一体にインホイールモータとし て設けた 実施形態について説明する。 図 4 5は、 インホイールモータ構造の車輪 4 0 0及びその周辺構造を示す斜視図であり、 図 4 6は、 車輪 4 0 0及びその周 辺構造の縦断面図であり、 図 4 7は、 車輪 4 0 0の分解斜視図である。 これ ら各図は、 いずれも車輪 4 0 0を車両内側から見た斜視図である。 なお、 車 両においては、 本実施形態のインホイールモータ構造を種々 の形態で適用す ることが可能であり、 例えば車両前後にそれぞれ 2つの車輪を有する車両で は、 車両前側の 2輪、 車両後側の 2輪、 又は車両前後の 4輪に本実施形態の インホイールモータ構造を適用することが可 能である。 ただし、 車両前後の 少なくとも一方が 1輪である車両への適用も可能である。 なお、 インホイー ルモータは、 車両用駆動ユニッ トとしての適用例である。

[0318] 図 4 5〜図 4 7に示すように、 車輪 4 0 0は、 例えば周知の空気入りタイ ヤであるタイヤ 4 0 1 と、 タイヤ 4 0 1の内周側に固定されたホイール 4 0 2と、 ホイール 4 0 2の内周側に固定された回転電機 5 0 0とを備えている 。 回転電機 5 0 0は、 固定子 (ステータ) を含む部分である固定部と、 回転 子 (ロータ) を含む部分である回転部とを有し、 固定部が車体側に固定され るとともに、 回転部がホイール 4 0 2に固定されており、 回転部の回転によ りタイヤ 4 0 1及びホイール 4 0 2が回転する。 なお、 回転電機 5 0 0にお 〇 2020/175333 86 卩(:171? 2020 /006903

いて固定部及び回転部を含む詳細な構成は 後述する。

[0319] また、 車輪 4 0 0には、 周辺装置として、 不図示の車体に対して車輪 4 0 〇を保持するサスペンション装置と、 車輪 4 0 0の向きを可変とするステア リング装置と、 車輪 4 0 0の制動を行うブレーキ装置とが取り付けら てい る。

[0320] サスペンション装置は、 独立懸架式サスペンションであり、 例えばトレー リングアーム式、 ストラッ ト式、 ウィッシュボーン式、 マルチリンク式など 任意の形式の適用が可能である。 本実施形態では、 サスペンション装置とし て、 車体中央側に延びる向きでロアアーム 4 1 1が設けられるとともに、 上 下方向に延びる向きでサスペンションアーム 4 1 2及びスプリング 4 1 3が 設けられている。 サスペンションアーム 4 1 2は、 例えばショックアブソー バとして構成されているとよい。 ただしその詳細な図示は省略する。 ロアア —ム 4 1 1及びサスペンションアーム 4 1 2はそれぞれ、 車体側に接続され るとともに、 回転電機 5 0 0の固定部に固定された円板状のベースプレ ト 4 0 5に接続されている。 図 4 6に示すように、 回転電機 5 0 0側 (ベース プレート 4 0 5側) には、 ロアアーム 4 1 1及びサスペンションアーム 4 1 2が支持軸 4 1 4 , 4 1 5により互いに同軸の状態で支持されている

[0321 ] また、 ステアリング装置としては、 例えばラック &ピニオン式構造、 ボー ル &ナッ ト式構造の適用や、 油圧式パワーステアリングシステム、 電動式パ ワーステアリングシステムの適用が可能であ る。 本実施形態では、 ステアリ ング装置として、 ラック装置 4 2 1 とタイロッ ド 4 2 2とが設けられており 、 ラック装置 4 2 1がタイロッ ド 4 2 2を介して回転電機 5 0 0側のベース プレート 4 0 5に接続されている。 この場合、 不図示のステアリングシャフ 卜の回転に伴いラック装置 4 2 1が作動すると、 タイロッ ド 4 2 2が車両左 右方向に移動する。 これにより、 車輪 4 0 0が、 ロアアーム 4 1 1及びサス ペンションアーム 4 1 2の支持軸 4 1 4 , 4 1 5を中心として回転し、 車輪 方向が変更される。

[0322] ブレーキ装置としては、 ディスクブレーキやドラムブレーキの適用が 好適 〇 2020/175333 87 卩(:171? 2020 /006903

である。 本実施形態では、 ブレーキ装置として、 回転電機 5 0 0の回転軸 5 0 1 に固定されたディスクロータ 4 3 1 と、 回転電機 5 0 0側のベースプレ —卜 4 0 5に固定されたブレーキキヤリパ 4 3 2とが設けられている。 ブレ —キキヤリバ 4 3 2ではブレーキパッ ドが油圧等により作動されるようにな っており、 ブレーキパッ ドがディスクロータ 4 3 1 に押し付けられることに より、 摩擦による制動力を生じさせて車輪 4 0 0の回転が停止される。

[0323] また、 車輪 4 0 0には、 回転電機 5 0 0から延びる電気配線!· I 1や冷却用 配管!· I 2を収容する収容ダクト 4 4 0が取り付けられている。 収容ダクト 4 4 0は、 回転電機 5 0 0の固定部側の端部から回転電機 5 0 0の端面に沿っ て延び、 かつサスペンションアーム 4 1 2を避けるように設けられ、 その状 態でサスペンションアーム 4 1 2に固定されている。 これにより、 サスペン ションアーム 4 1 2における収容ダクト 4 4 0の接続部位は、 ベースプレー 卜 4 0 5との位置関係が固定されたものとなる。 そのため、 電気配線!· I 1や 冷却用配管 ! ! 2において車両の振動などに起因して生じる トレスを抑制で きるようになっている。 なお、 電気配線!· I 1は、 不図示の車載電源部や車載 巳〇 IIに接続され、 冷却用配管!· I 2は、 不図示のラジェータに接続される。

[0324] 次に、 インホイールモータとして用いられる回転電 機 5 0 0の構成を詳細 に説明する。 本実施形態では、 回転電機 5 0 0をインホイールモータに適用 した事例を示している。 回転電機 5 0 0は、 従来技術のように減速機を擁し た車両駆動ユニッ トのモータと比べて、 優れた動作効率、 出力を備える。 す なわち、 回転電機 5 0 0を従来技術に比べて、 コストダウンにより実用的な 価格を実現できるような用途に採用すれば、 車両駆動ユニッ ト以外の用途の モータとしても使ってもよい。 そのような場合であっても、 インホイールモ —夕に適用した場合と同様に、 優れた性能を発揮する。 なお、 動作効率とは 、 車両の燃費を導出する走行モードでの試験時 の際に使われる指標を指す。

[0325] 回転電機 5 0 0の概要を図 4 8〜図 5 1 に示す。 図 4 8は、 回転電機 5 0

0を回転軸 5 0 1の突出側 (車両内側) から見た側面図であり、 図 4 9は、 回転電機 5 0 0の縦断面図 (図 4 8の 4 9 - 4 9線断面図) であり、 図 5 0 〇 2020/175333 88 卩(:171? 2020 /006903

は、 回転電機 5 0 0の横断面図 (図 4 9の 5 0 - 5 0線断面図) であり、 図 5 1は、 回転電機 5 0 0の構成要素を分解した分解断面図である。 以下の記 載では、 回転軸 5 0 1が、 図 5 1 においては車体の外側方向に延びる方向を 軸方向とし、 回転軸 5 0 1から放射状に延びる方向を径方向とし、 図 4 8に おいては回転軸 5 0 1の中央、 言い換えれば回転部分の回転中心、 を通る断 面 4 9を作るために引いた中心線上の、 回転部分の回転中心以外の任意の点 より、 円周状に延びる 2つの方向をいずれも周方向としている。 言い換える と、 周方向は、 断面 4 9上の任意の点を起点とした時計回りの方向 又は反 時計回りの方向のいずれの方向であってもよ い。 また、 車両搭載状態からす れば、 図 4 9において右側が車両外側であり、 左側が車両内側である。 言い 換えると、 同車両搭載状態からすれば、 後述する回転子 5 1 0は、 回転子力 バ _ 6 7 0よりも車体の外側方向に配置される。

[0326] 本実施形態に係る回転電機 5 0 0は、 アウタロータ式の表面磁石型回転電 機である。 回転電機 5 0 0は、 大別して、 回転子 5 1 0と、 固定子 5 2 0と 、 インバータユニット 5 3 0と、 軸受 5 6 0と、 回転子カバー 6 7 0とを備 えている。 これら各部材は、 いずれも回転子 5 1 0に一体に設けられた回転 軸 5 0 1 に対して同軸に配置され、 所定順序で軸方向に組み付けられること で回転電機 5 0 0が構成されている。

[0327] 回転電機 5 0 0において、 回転子 5 1 0及び固定子 5 2 0はそれぞれ円筒 状をなしており、 エアギャップを挟んで互いに対向配置されて いる。 回転子 5 1 0が回転軸 5 0 1 と共に一体回転することにより、 固定子 5 2 0の径方 向外側にて回転子 5 1 0が回転する。 回転子 5 1 0が 「界磁子」 に相当し、 固定子 5 2 0が 「電機子」 に相当する。

[0328] 回転子 5 1 0は、 略円筒状の回転子キャリア 5 1 1 と、 その回転子キャリ ア 5 1 1 に固定された環状の磁石ユニッ ト 5 1 2とを有している。 回転子キ ャリア 5 1 1 に回転軸 5 0 1が固定されている。

[0329] 回転子キャリア 5 1 1は、 円筒部 5 1 3を有している。 円筒部 5 1 3の内 周面には磁石ユニッ ト 5 1 2が固定されている。 つまり、 磁石ユニッ ト 5 1 〇 2020/175333 89 卩(:171? 2020 /006903

2は、 回転子キャリア 5 1 1の円筒部 5 1 3に径方向外側から包囲された状 態で設けられている。 また、 円筒部 5 1 3は、 その軸方向に対向する第 1端 と第 2端とを有している。 第 1端は、 車体の外側の方向に位置し、 第 2端は 、 ベースプレート 4 0 5が存在する方向に位置する。 回転子キャリア 5 1 1 において、 円筒部 5 1 3の第 1端には端板 5 1 4が連続して設けられている 。 すなわち円筒部 5 1 3と端板 5 1 4とは一体の構造である。 円筒部 5 1 3 の第 2端は開放されている。 回転子キャリア 5 1 1は、 例えば機械強度が充 分な冷間圧延鋼板 (3 〇〇や 3 〇〇より板厚が厚い 3 1 ~ 1〇 、 鍛造用 鋼、 炭素繊維強化プラスチック などにより形成されている。

[0330] 回転軸 5 0 1の軸長は、 回転子キャリア 5 1 1の軸方向の寸法よりも長い 。 言い換えると、 回転軸 5 0 1は、 回転子キャリア 5 1 1の開放端側 (車両 内側方向) に突出しており、 その突出側の端部に、 上述のブレーキ装置等が 取り付けられるようになっている。

[0331 ] 回転子キャリア 5 1 1の端板 5 1 4にはその中央部に貫通孔 5 1 4 3 が形 成されている。 回転軸 5 0 1は、 端板 5 1 4の貫通孔 5 1 4 3に揷通された 状態で、 回転子キャリア 5 1 1 に固定されている。 回転軸 5 0 1は、 回転子 キャリア 5 1 1が固定される部分に、 軸方向に交差 (直交) する向きに延び るフランジ 5 0 2を有しており、 そのフランジと端板 5 1 4の車両外側の面 とが面接合されている状態で、 回転子キャリア 5 1 1 に対して回転軸 5 0 1 が固定されている。 なお、 車輪 4 0 0においては、 回転軸 5 0 1のフランジ 5 0 2から車両外側方向に立設されたボルト等の 結具を用いてホイール 4 0 2が固定されるようになっている。

[0332] また、 磁石ユニッ ト 5 1 2は、 回転子 5 1 0の周方向に沿って極性が交互 に変わるように配置された複数の永久磁石に より構成されている。 これによ り、 磁石ユニッ ト 5 1 2は、 周方向に複数の磁極を有する。 永久磁石は、 例 えば接着により回転子キャリア 5 1 1 に固定されている。 磁石ユニッ ト 5 1 2は、 第 1実施形態の図 8 , 図 9において磁石ユニッ ト 4 2として説明した 構成を有しており、 永久磁石として、 固有保磁力が 4 0 0 [ 1<八/ ] 以上 〇 2020/175333 90 卩(:171? 2020 /006903

であり、 かつ残留磁束密度巳 「が 1 . 0 [丁] 以上である焼結ネオジム磁石 を用いて構成されている。

[0333] 磁石ユニッ ト 5 1 2は、 図 9等の磁石ユニッ ト 4 2と同様に、 それぞれ極 異方性磁石でありかつ極性が互いに異なる第 1磁石 9 1及び第 2磁石 9 2を 有している。 図 8及び図 9で説明したように、 各磁石 9 1 , 9 2ではそれぞ れ、 ¢1軸側 (〇1軸寄りの部分) と 9軸側 ( 軸寄りの部分) とで磁化容易軸 の向きが相違しており、 軸側では磁化容易軸の向きが 軸に平行な方向に 近い向きとなり、 軸側では磁化容易軸の向きが 軸に直交する方向に近い 向きとなっている。 そして、 この磁化容易軸の向きに応じた配向により円 弧 状の磁石磁路が形成されている。 なお、 各磁石 9 1 , 9 2において、 軸側 では磁化容易軸を 軸に平行な向きとし、 9軸側では磁化容易軸を 9軸に直 交する向きとしてもよい。 要するに、 磁石ユニッ ト 5 1 2は、 磁極中心であ る ¢1軸の側において、 磁極境界である 軸の側に比べて磁化容易軸の向きが 軸に平行となるように配向がなされて構成さ れている。

[0334] 各磁石 9 1 , 9 2によれば、 軸での磁石磁束が強化され、 かつ 軸付近 での磁束変化が抑えられる。 これにより、 各磁極において 軸から 軸にか けての表面磁束変化がなだらかになる磁石 9 1 , 9 2を好適に実現できるも のとなっている。 磁石ユニッ ト 5 1 2として、 図 2 2及び図 2 3に示す磁石 ユニッ ト 4 2の構成や、 図 3 0に示す磁石ユニッ ト 4 2の構成を用いること も可能である。

[0335] なお、 磁石ユニッ ト 5 1 2は、 回転子キャリア 5 1 1の円筒部 5 1 3の側 、 すなわち外周面側に、 複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成さ れた回 転子コア (バックヨーク) を有していてもよい。 つまり、 回転子キャリア 5 1 1の円筒部 5 1 3の径方向内側に回転子コアを設けるととも 、 その回転 子コアの径方向内側に永久磁石 (磁石 9 1 , 9 2) を設ける構成とすること も可能である。

[0336] 図 4 7に示すように、 回転子キャリア 5 1 1の円筒部 5 1 3には、 周方向 の所定間隔にて、 軸方向に延びる向きで凹部 5 1 3 3が形成されている。 こ 〇 2020/175333 91 卩(:171? 2020 /006903

の凹部 5 1 3 3は例えばプレス加工により形成されており 図 5 2に示すよ うに、 円筒部 5 1 3の内周面側には、 凹部 5 1 3 3の裏側となる位置に凸部 5 1 3匕が形成されている。 一方、 磁石ユニッ ト 5 1 2の外周面側には、 円 筒部 5 1 3の凸部 5 1 3匕に合わせて凹部 5 1 2 3が形成されており、 その 凹部 5 1 2 3内に円筒部 5 1 3の凸部 5 1 3匕が入り込むことで、 磁石ユニ ッ ト 5 1 2の周方向の位置ずれが抑制されるようにな ている。 つまり、 回 転子キヤリア 5 1 1側の凸部 5 1 3匕は、 磁石ユニッ ト 5 1 2の回り止め部 として機能する。 なお、 凸部 5 1 3匕の形成方法は、 プレス加工以外であっ てもよく任意である。

[0337] 図 5 2には、 磁石ユニッ ト 5 1 2における磁石磁路の方向が矢印により示 されている。 磁石磁路は、 磁極境界である 軸を跨ぐようにして円弧状に延 び、 かつ磁極中心である〇1軸では、 軸に平行又は平行に近い向きとなって いる。 磁石ユニッ ト 5 1 2には、 その内周面側に、 軸に相当する位置ごと に凹部 5 1 2匕が形成されている。 この場合、 磁石ユニッ ト 5 1 2では、 固 定子 5 2 0に近い側 (図の下側) と遠い側 (図の上側) とで磁石磁路の長さ が異なり、 固定子 5 2 0に近い側の方が磁石磁路長が短くなってお 、 その 磁石磁路長が最短となる位置に凹部 5 1 2匕が形成されている。 つまり、 磁 石ユニッ ト 5 1 2では磁石磁路長が短い場所において十分な 石磁束を生じ させることが困難になることを考慮して、 その磁石磁束の弱い場所で磁石を 削除するようにしている。

[0338] ここで、 磁石の実効磁束密度巳 は、 磁石内部を通る磁気回路の長さが長 いほど高くなる。 また、 パーミアンス係数 〇と磁石の実効磁束密度巳 と は、 そのうち一方が高くなると他方が高くなる関 係にある。 上記図 5 2の構 成によれば、 磁石の実効磁束密度巳 の高さの指標となるパーミアンス係数 〇の低下を抑制しつつ、 磁石量の削減を図ることができる。 なお、 巳一1 ~ 1 座標において、 磁石の形状に応じたパーミアンス直線と減磁 曲線との交点が 動作点であり、 その動作点の磁束密度が磁石の実効磁束密度 巳 である。 本 実施形態の回転電機 5 0 0では、 固定子 5 2 0の鉄量を少なく した構成とし 〇 2020/175333 92 卩(:171? 2020 /006903

ており、 かかる構成において 軸を跨いだ磁気回路を設定する手法は極めて 有効である。

[0339] また、 磁石ユニッ ト 5 1 2の凹部 5 1 2匕は、 軸方向に延びる空気通路と して用いることができる。 そのため、 空冷性能を高めることも可能となる。

[0340] 次に、 固定子 5 2 0の構成を説明する。 固定子 5 2 0は、 固定子巻線 5 2

1 と固定子コア 5 2 2とを有している。 図 5 3は、 固定子巻線 5 2 1 と固定 子コア 5 2 2とを分解して示す斜視図である。

[0341 ] 固定子巻線 5 2 1は、 略筒状 (環状) に卷回形成された複数の相巻線より なり、 その固定子巻線 5 2 1の径方向内側にベース部材としての固定子 ア 5 2 2が組み付けられている。 本実施形態では、 II相、 V相及び 相の相巻 線を用いることで、 固定子巻線 5 2 1が 3相の相巻線として構成されている 。 各相卷線は、 径方向に内外 2層の導線 5 2 3により構成されている。 固定 子 5 2 0は、 既述の固定子 5 0と同様に、 スロッ トレス構造と固定子巻線 5 2 1の扁平導線構造とを有することを特徴とし おり、 図 8〜図 1 6に示さ れた固定子 5 0と同様又は類似の構成を有している。

[0342] 固定子コア 5 2 2の構成について説明する。 固定子コア 5 2 2は、 既述の 固定子コア 5 2と同様に、 軸方向に複数の電磁鋼板が積層され、 かつ径方向 に所定の厚さを有する円筒状をなしており、 固定子コア 5 2 2において回転 子 5 1 0側となる径方向外側に固定子巻線 5 2 1が組み付けられている。 固 定子コア 5 2 2の外周面は凹凸のない曲面状をなしており 固定子巻線 5 2 1が組み付けられた状態では、 固定子コア 5 2 2の外周面に、 固定子巻線 5 2 1 を構成する導線 5 2 3が周方向に並べて配置されている。 固定子コア 5 2 2はバックコアとして機能する。

[0343] 固定子 5 2 0は、 以下の (八) 〜 (〇) のいずれかを用いたものであると よい。

(八) 固定子 5 2 0において、 周方向における各導線 5 2 3の間に導線間部 材を設け、 かつその導線間部材として、 1磁極における導線間部材の周方向 の幅寸法を I、 導線間部材の飽和磁束密度を巳 3、 1磁極における磁石ユ 〇 2020/175333 93 卩(:171? 2020 /006903

ニッ ト 5 1 2の周方向の幅寸法を \ZV rn、 磁石ユニッ ト 5 1 2の残留磁束密度 を巳 「とした場合に、 X巳 巳 「の関係となる磁性材料を用い ている。

(巳) 固定子 5 2 0において、 周方向における各導線 5 2 3の間に導線間部 材を設け、 かつその導線間部材として、 非磁性材料を用いている。

(〇) 固定子 5 2 0において、 周方向における各導線 5 2 3の間に導線間部 材を設けていない構成となっている。

[0344] こうした固定子 5 2 0の構成によれば、 固定子巻線としての各導線部の間 に磁気経路を確立するためのティース (鉄心) が設けられる一般的なティー ス構造の回転電機に比べて、 インダクタンスが低減される。 具体的には、 イ ンダクタンスを 1 / 1 0以下にすることが可能となっている。 この場合、 イ ンダクタンスの低下に伴いインピーダンスが 低下することから、 回転電機 5 0 0において入力電力に対する出力電力を大き し、 ひいてはトルク増加に 貢献できるものとなっている。 また、 インピーダンス成分の電圧を利用して トルク出力を行う (言い換えればリラクタンストルクを利用す る) 埋込み磁 石型回転子を用いた回転電機に比べて、 大出力の回転電機を提供することが 可能となっている。

[0345] 本実施形態では、 固定子巻線 5 2 1が、 固定子コア 5 2 2と共に樹脂等か らなるモールド材 (絶縁部材) により _ 体にモールドされており、 周方向に 並ぶ各導線 5 2 3の間には、 モールド材が介在する構成となっている。 かか る構成からすると、 本実施形態の固定子 5 2 0は、 上記 (八) 〜 (〇 のう ち (巳) の構成に相当する。 また、 周方向に隣り合う各導線 5 2 3は、 周方 向の端面同士が互いに当接するか、 又は微小な間隔を隔てて近接配置されて おり、 この構成から言えば上記 (0) の構成であってもよい。 なお、 上記 ( 八) の構成を採用する場合には、 軸方向における導線 5 2 3の向きに合わせ て、 すなわち例えばスキュー構造の固定子巻線 5 2 1であればスキュー角度 に合わせて、 固定子コア 5 2 2の外周面に突部が設けられているとよい。

[0346] 次に、 固定子巻線 5 2 1の構成を、 図 5 4を用いて説明する。 図 5 4は、 〇 2020/175333 94 卩(:171? 2020 /006903

固定子巻線 5 2 1 を平面状に展開して示す正面図であり、 図 5 4 ( a ) には 径方向において外層に位置する各導線 5 2 3を示し、 図 5 4 ( b ) には径方 向において内層に位置する各導線 5 2 3を示す。

[0347] 固定子巻線 5 2 1は、 分布巻きにより円環状に巻回形成されている 。 固定 子卷線 5 2 1では、 径方向内外 2層に導線材が卷回され、 かつ内層側及び外 層側の各導線 5 2 3にて互いに異なる方向へのスキユーが施さ ている (図 5 4 ( 3 ) 、 図 5 4 ( b ) 参照) 。 各導線 5 2 3は、 それぞれ相互に絶縁さ れている。 導線 5 2 3は、 複数の素線 8 6の集合体として構成されていると よい (図 1 3参照) 。 また、 同相でかつ通電方向を同じとする導線 5 2 3が 、 周方向に例えば 2本ずつ並べて設けられている。 固定子巻線 5 2 1では、 径方向に 2層かつ周方向に 2本 (すなわち計 4本) の各導線 5 2 3により同 相の 1つの導線部が構成され、 その導線部が 1磁極内で 1つずつ設けられて いる。

[0348] 導線部では、 その径方向の厚さ寸法を、 1磁極内における 1相分の周方向 の幅寸法よりも小さいものとし、 これにより固定子巻線 5 2 1 を扁平導線構 造とすることが望ましい。 具体的には,例えば、 固定子巻線 5 2 1 において、 径方向に 2層かつ周方向に 4本 (すなわち計 8本) の各導線 5 2 3により同 相の 1つの導線部を構成するとよい。 又は、 図 5 0に示す固定子巻線 5 2 1 の導線断面において、 周方向の幅寸法が径方向の厚さ寸法よりも大 きくなっ ているとよい。 固定子巻線 5 2 1 として、 図 1 2に示す固定子巻線 5 1 を用 いることも可能である。 ただしこの場合には、 回転子キャリア 5 1 1内に固 定子卷線のコイルエンドを収容するスペース を確保する必要がある。

[0349] 固定子巻線 5 2 1では、 固定子コア 5 2 2に対して径方向内外に重なるコ イルサイ ド 5 2 5において所定角度で傾斜させて導線 5 2 3が周方向に並べ て配置されるとともに、 固定子コア 5 2 2よりも軸方向外側となる両側のコ イルエンド 5 2 6において軸方向内側への反転 (折り返し) が行われて連続 結線がなされている。 図 5 4 ( a ) には、 コイルサイ ド 5 2 5となる範囲と コイルエンド 5 2 6となる範囲とがそれぞれ示されている。 内層側の導線 5 〇 2020/175333 95 卩(:171? 2020 /006903

2 3と外層側の導線 5 2 3とはコイルエンド 5 2 6にて互いに接続されてお り、 これにより、 コイルエンド 5 2 6で導線 5 2 3が軸方向に反転される都 度 (折り返される都度) 、 導線 5 2 3が内層側と外層側とで交互に切り替わ るようになっている。 要するに、 固定子巻線 5 2 1では、 周方向に連続する 各導線 5 2 3において、 電流の向きが反転するのに合わせて内外層の 切り替 えが行われる構成となっている。

[0350] また、 固定子巻線 5 2 1では、 軸方向の両端となる端部領域と、 その端部 領域に挟まれた中央領域とでスキュー角度が 異なる 2種類のスキューが施さ れている。 すなわち、 図 5 5に示すように、 導線 5 2 3において、 中央領域 のスキュー角度 0 3 1 と端部領域のスキュー角度 0 3 2とが異なっており、 スキュー角度 0 3 1がスキュー角度 0 3 2よりも小さくなる構成となってい る。 軸方向において、 端部領域は、 コイルサイ ド 5 2 5を含む範囲で定めら れている。 スキュー角度 0 3 1 , スキュー角度 0 3 2は、 軸方向に対して各 導線 5 2 3が傾斜している傾斜角度である。 中央領域のスキュー角度 0 3 1 は、 固定子巻線 5 2 1の通電により生じる磁束の高調波成分を削 するのに 適正な角度範囲で定められているとよい。

[0351 ] 固定子巻線 5 2 1 における各導線 5 2 3のスキュー角度を中央領域と端部 領域とで相違させ、 中央領域のスキュー角度 0 3 1 を端部領域のスキュー角 度 0 3 2よりも小さくすることで、 コイルエンド 5 2 6の縮小を図りつつも 、 固定子巻線 5 2 1の卷線係数を大きくすることができる。 言い換えれば、 所望の巻線係数を確保しつつも、 コイルエンド 5 2 6の長さ、 すなわち固定 子コア 5 2 2から軸方向にはみ出た部分の導線長を短く ることができる。 これにより、 回転電機 5 0 0の小型化を図りつつ、 トルク向上を実現するこ とができる。

[0352] ここで、 中央領域のスキュー角度 0 3 1 としての適正範囲を説明する。 固 定子卷線 5 2 1 において 1磁極内に導線 5 2 3が X本配置されている場合に は、 固定子巻線 5 2 1の通電により X次の高調波成分が生じることが考えら れる。 相数を 3、 対数を 111とする場合、 乂= 2 3 111である。 本願開示者 〇 2020/175333 96 卩(:171? 2020 /006903

は、 X次の高調波成分が、 X— 1次の高調波成分と乂+ 1次の高調波成分と の合成波を構成する成分であるため、 X— 1次の高調波成分又は乂+ 1次の 高調波成分の少なくともいずれかを低減する ことにより、 X次の高調波成分 を低減できることに着目した。 この着目を踏まえ、 本願開示者は、 電気角で 「360 ° / (乂+ 1) 〜 360 ° / (乂一 1) 」 の角度範囲内にスキュー 角度 03 1 を設定することにより、 X次の高調波成分を低減できることを見 出した。

[0353] 例えば 3 = 3、 = 2である場合、 乂= 1 2次の高調波成分を低減すべく 、 「360° /1 3~360° /1 1」 の角度範囲内にスキュー角度 03 1 を設定する。 つまり、 スキュー角度 03 1は、 27. 7° 〜 32. 7° の範 囲内の角度で設定されるとよい。

[0354] 中央領域のスキュー角度 03 1が上記のように設定されることにより、 そ の中央領域において、 3交互の磁石磁束を積極的に鎖交させること でき 、 固定子巻線 52 1の卷線係数を高くすることができる。

[0355] 端部領域のスキュー角度 032は、 上述した中央領域のスキュー角度 03

1 よりも大きい角度である。 この場合、 スキュー角度 032の角度範囲は、 「03 1 <032<90° 」 である。

[0356] また、 固定子巻線 52 1 において、 内層側の導線 523と外層側の導線 5

23とは、 各導線 523の端部どうしの溶接や接着により繫げられ ているか 、 又は折り曲げにより繫げられているとよい。 固定子巻線 52 1では、 軸方 向両側の各コイルエンド 526のうち一方側 (すなわち軸方向一端側) にて 各相卷線の端部が電力変換器 (インパータ) にバスバー等を介して電気的に 接続される構成となっている。 そのためここでは、 バスバー接続側のコイル エンド 526とその反対側のコイルエンド 526とを区別しつつ、 コイルエ ンド 526において各導線同士が繫げられている構成 を説明する。

[0357] 第 1の構成としては、 バスバー接続側のコイルエンド 526において各導 線 523を溶接にて繫げるとともに、 その反対側のコイルエンド 526にお いて各導線 523を溶接以外の手段にて繫げる構成とする。 溶接以外の手段 〇 2020/175333 97 卩(:171? 2020 /006903

とは、 例えば導線材の折り曲げによる繫ぎが考えら れる。 バスバー接続側の コイルエンド 5 2 6では、 各相卷線の端部にバスバーが溶接にて接続さ れる ことが想定される。 そのため、 それと同じコイルエンド 5 2 6において各導 線 5 2 3を溶接にて繫げる構成とすることで、 各溶接部を一連の工程で行わ せることができ、 作業効率の向上を図ることができる。

[0358] 第 2の構成としては、 バスバー接続側のコイルエンド 5 2 6において各導 線 5 2 3を溶接以外の手段にて繫げるとともに、 その反対側のコイルエンド 5 2 6において各導線 5 2 3を溶接にて繫げる構成とする。 この場合、 仮に バスバー接続側のコイルエンド 5 2 6において各導線 5 2 3を溶接にて繫げ る構成であると、 その溶接部とバスバーとの接触を避けるべく 、 バスバーと コイルエンド 5 2 6との間の離間距離を十分に取る必要が生じ が、 本構成 とすることで、 バスバーとコイルエンド 5 2 6との間の離間距離を小さくす ることができる。 これにより、 軸方向における固定子巻線 5 2 1の長さ又は /くスバーに関する規制を緩めることができ 。

[0359] 第 3の構成としては、 軸方向両側のコイルエンド 5 2 6において各導線 5

2 3を溶接にて繫げる構成とする。 この場合、 溶接前に用意する導線材はい ずれも短い線長のものでよく、 曲げ工程の削減による作業効率の向上を図る ことができる。

[0360] 第 4の構成としては、 軸方向両側のコイルエンド 5 2 6において各導線 5

2 3を溶接以外の手段にて繫げる構成とする。 この場合、 固定子巻線 5 2 1 において溶接が行われる部位を極力減らすこ とができ、 溶接工程での絶縁剥 離が生じることの懸念を低減できる。

[0361 ] また、 円環状の固定子巻線 5 2 1 を製作する工程において、 平面状に整列 された帯状巻線を製作し、 その後にその帯状巻線を環状に成形するとよ い。 この場合、 平面状の帯状卷線となっている状態で、 必要に応じてコイルエン ド 5 2 6での導線同士の溶接を行うとよい。 平面状の帯状巻線を環状に成形 する際には、 固定子コア 5 2 2と同径の円柱治具を用いてその円柱治具に き付けるようにして帯状巻線を環状に成形す るとよい。 又は、 帯状巻線を固 \¥0 2020/175333 98 卩(:17 2020 /006903

定子コア 5 2 2に直接巻き付けるようにしてよい。

[0362] なお、 固定子巻線 5 2 1の構成を以下のように変更することも可能 ある

[0363] 例えば、 図 5 4 (a) , (匕) に示す固定子巻線 5 2 1 において、 中央領 域及び端部領域のスキュー角度を同一とする 構成であってもよい。

[0364] また、 図 5 4 (a) , (1〇) に示す固定子卷線 5 2 1 において、 周方向に 隣り合う同相の導線 5 2 3の端部同士を、 軸方向に直交する向きに延びる渡 り線部により接続する構成であってもよい。

[0365] 固定子巻線 5 2 1の層数は、 2 c n 層 ( n は自然数) であればよく、 固定 子卷線 5 2 1 を、 2層以外に 4層、 6層等にすることも可能である。

[0366] 次に、 電力変換ユニッ トであるインバータユニッ ト 5 3 0について説明す る。 ここでは、 インバータユニッ ト 5 3 0の分解断面図である図 5 6及び図 5 7を併せ用いて、 インバータユニッ ト 5 3 0の構成を説明する。 なお、 図 5 7では、 図 5 6に示す各部材を 2つのサブアセンブリとして示している。

[0367] インバータユニッ ト 5 3 0は、 インバータハウジング 5 3 1 と、 そのイン バータハウジング 5 3 1 に組み付けられる複数の電気モジュール 5 3 2と、 それら各電気モジュール 5 3 2を電気的に接続するバスバーモジュール 5 3 3とを有している。

[0368] インバータハウジング 5 3 1は、 円筒状をなす外壁部材 5 4 1 と、 外周径 が外壁部材 5 4 1 よりも小径の円筒状をなし、 外壁部材 5 4 1の径方向内側 に配置される内壁部材 5 4 2と、 内壁部材 5 4 2の軸方向一端側に固定され るボス形成部材 5 4 3とを有している。 これら各部材 5 4 1〜 5 4 3は、 導 電性材料により構成されているとよく、 例えば炭素繊維強化プラスチック ( により構成されている。 インバータハウジング 5 3 1は、 外壁部 材 5 4 1 と内壁部材 5 4 2とが径方向内外に重ねて組み合わされ、 かつ内壁 部材 5 4 2の軸方向一端側にボス形成部材 5 4 3が組み付けられることで構 成されている。 その組み付け状態が図 5 7に示す状態である。

[0369] インバータハウジング 5 3 1の外壁部材 5 4 1の径方向外側には固定子コ 〇 2020/175333 99 卩(:171? 2020 /006903

ア 5 2 2が固定される。 これにより、 固定子 5 2 0とインバータユニッ ト 5

3 0とが一体化されるようになっている。

[0370] 図 5 6に示すように、 外壁部材 5 4 1 には、 その内周面に複数の凹部 5 4

1 3 , 5 4 1 13 , 5 4 1 〇が形成されるとともに、 内壁部材 5 4 2には、 そ の外周面に複数の凹部 5 4 2 5 4 2 13 , 5 4 2〇が形成されている。 そ して、 外壁部材 5 4 1及び内壁部材 5 4 2が互いに組み付けられることによ り、 これら両者の間には 5 4 4 13 , 5 4 4〇が形成 されている (図 5 7参照) 。 このうち、 中央の中空部 5 4 4匕は、 冷媒とし ての冷却水を流通させる冷却水通路 5 4 5として用いられる。 また、 中空部 5 4 4匕 (冷却水通路 5 4 5) を挟んで両側の中空部 5 4 4〇に はシール材 5 4 6が収容されている。 このシール材 5 4 6により、 中空部 5

4 4匕 (冷却水通路 5 4 5) が密閉化されている。 冷却水通路 5 4 5につい ては後で詳しく説明する。

[0371 ] また、 ボス形成部材 5 4 3には、 円板リング状の端板 5 4 7と、 その端板

5 4 7からハウジング内部に向けて突出するボス 5 4 8とが設けられてい る。 ボス部 5 4 8は、 中空筒状に設けられている。 例えば図 5 1 に示すよう に、 ボス形成部材 5 4 3は、 軸方向における内壁部材 5 4 2の第 1端とそれ に対向する回転軸 5 0 1の突出側 (すなわち車両内側) の第 2端とのうち、 第 2端に固定されている。 なお、 図 4 5〜図 4 7に示す車輪 4 0 0において は、 インバータハウジング 5 3 1 (より詳しくはボス形成部材 5 4 3の端板 5 4 7) にべースプレート 4 0 5が固定されるようになっている。

[0372] インバータハウジング 5 3 1は、 軸心を中心として径方向に二重の周壁を 有する構成となっており、 その二重の周壁のうち外側の周壁が外壁部材 5 4 1及び内壁部材 5 4 2により形成され、 内側の周壁がボス部 5 4 8により形 成されている。 なお、 以下の説明では、 外壁部材 5 4 1及び内壁部材 5 4 2 により形成された外側の周壁を 「外側周壁 \ZV A 1」 、 ボス部 5 4 8により形 成された内側の周壁を 「内側周壁 \ZV A 2」 とも言う。

[0373] インバータハウジング 5 3 1 には、 外側周壁 八 1 と内側周壁 八 2との 〇 2020/175333 100 卩(:171? 2020 /006903

間に環状空間が形成されており、 その環状空間内に、 周方向に並べて複数の 電気モジュール 5 3 2が配置されている。 電気モジュール 5 3 2は、 接着や ビス締め等により内壁部材 5 4 2の内周面に固定されている。 本実施形態で は、 インバータハウジング 5 3 1が 「ハウジング部材」 に相当し、 電気モジ ュール 5 3 2が 「電気部品」 に相当する。

[0374] 内側周壁 \ZV A 2 (ボス部 5 4 8) の内側には軸受 5 6 0が収容されており 、 その軸受 5 6 0により回転軸 5 0 1が回転自在に支持されている。 軸受 5 6 0は、 車輪中心部において車輪 4 0 0を回転可能に支えるハブべアリング である。 軸受 5 6 0は、 回転子 5 1 0や固定子 5 2 0、 インバータユニッ ト

5 3 0に対して軸方向に重複する位置に設けられ いる。 本実施形態の回転 電機 5 0 0では、 回転子 5 1 0において配向に伴い磁石ユニッ ト 5 1 2の薄 型化が可能であること、 固定子 5 2 0においてスロッ トレス構造や扁平導線 構造が採用されていることにより、 磁気回路部の径方向の厚み寸法を縮小し て、 磁気回路部よりも径方向内側の中空空間を拡 張することが可能となって いる。 これにより、 径方向に積層された状態での磁気回路部やイ ンパータユ ニッ ト 5 3 0、 軸受 5 6 0の配置が可能となっている。 ボス部 5 4 8は、 そ の内側に軸受 5 6 0を保持する軸受保持部となっている。

[0375] 軸受 5 6 0は、 例えばラジアル玉軸受であり、 筒状をなす内輪 5 6 1 と、 その内輪 5 6 1 よりも大径の筒状をなし内輪 5 6 1の径方向外側に配置され た外輪 5 6 2と、 それら内輪 5 6 1及び外輪 5 6 2の間に配置された複数の 玉 5 6 3とを有している。 軸受 5 6 0は、 外輪 5 6 2がボス形成部材 5 4 3 に組み付けられることでインバータハウジン グ 5 3 1 に固定されるとともに 、 内輪 5 6 1が回転軸 5 0 1 に固定されている。 これら内輪 5 6 1、 外輪 5

6 2及び玉 5 6 3は、 いずれも炭素鋼等の金属材料よりなる。

[0376] また、 軸受 5 6 0の内輪 5 6 1は、 回転軸 5 0 1 を収容する筒部 5 6 1 3 と、 その筒部 5 6 1 3の軸方向一端部から、 軸方向に交差 (直交) する向き に延びるフランジ 5 6 1 匕とを有している。 フランジ 5 6 1 匕は、 回転子キ ャリア 5 1 1の端板 5 1 4に内側から当接する部位であり、 回転軸 5 0 1 に 〇 2020/175333 101 卩(:171? 2020 /006903

軸受 5 6 0が組み付けられた状態では、 回転軸 5 0 1のフランジ 5 0 2と内 輪 5 6 1のフランジ 5 6 1 匕とにより挟まれた状態で、 回転子キャリア 5 1 1が保持されるようになっている。 この場合、 回転軸 5 0 1のフランジ 5 0 2及び内輪 5 6 1のフランジ 5 6 1 匕は、 軸方向に対する交差の角度が互い に同じであり (本実施形態ではいずれも直角であり) 、 これら各フランジ 5 0 2 , 5 6 1 匕の間に挟まれた状態で、 回転子キャリア 5 1 1が保持されて いる。

[0377] 軸受 5 6 0の内輪 5 6 1 により回転子キャリア 5 1 1 を内側から支える構 成によれば、 回転軸 5 0 1 に対する回転子キャリア 5 1 1の角度を適正角度 に保持でき、 ひいては回転軸 5 0 1 に対する磁石ユニッ ト 5 1 2の平行度を 良好に保つことができる。 これにより、 回転子キャリア 5 1 1 を径方向に拡 張した構成にあっても、 振動等に対する耐性を高めることができる。

[0378] 次に、 インバータハウジング 5 3 1内に収容される電気モジュール 5 3 2 について説明する。

[0379] 複数の電気モジュール 5 3 2は、 電力変換器を構成する半導体スイッチン グ素子や平滑用コンデンサといった電気部品 を、 複数に分割して個々にモジ ュール化したものであり、 その電気モジュール 5 3 2には、 パワー素子であ る半導体スイッチング素子を有するスイッチ モジュール 5 3 2八と、 平滑用 コンデンサを有するコンデンサモジュール 5 3 2巳とが含まれている。

[0380] 図 4 9及び図 5 0に示すように、 内壁部材 5 4 2の内周面には、 電気モジ ュール 5 3 2を取り付けるための平坦面を有する複数の ぺーサ 5 4 9が固 定され、 そのスぺーサ 5 4 9に電気モジュール 5 3 2が取り付けられている 。 つまり、 内壁部材 5 4 2の内周面が曲面であるのに対し、 電気モジュール 5 3 2の取付面が平坦面であることから、 スぺーサ 5 4 9により内壁部材 5 4 2の内周面側に平坦面を形成し、 その平坦面に電気モジュール 5 3 2を固 定する構成としている。

[0381 ] なお、 内壁部材 5 4 2と電気モジュール 5 3 2との間にスぺーサ 5 4 9を 介在させる構成は必須ではなく、 内壁部材 5 4 2の内周面を平坦面にする、 〇 2020/175333 102 卩(:171? 2020 /006903

又は電気モジュール 5 3 2の取付面を曲面することにより内壁部材 5 4 2に 対して電気モジュール 5 3 2を直接取り付けることも可能である。 また、 内 壁部材 5 4 2の内周面に対して非接触の状態で、 電気モジュール 5 3 2をイ ンバータハウジング 5 3 1 に固定することも可能である。 例えば、 ボス形成 部材 5 4 3の端板 5 4 7に対して電気モジュール 5 3 2を固定する。 スイッ チモジュール 5 3 2八を内壁部材 5 4 2の内周面に接触状態で固定するとと もに、 コンデンサモジュール 5 3 2巳を内壁部材 5 4 2の内周面に非接触状 態で固定することも可能である。

[0382] なお、 内壁部材 5 4 2の内周面にスぺーサ 5 4 9が設けられる場合、 外側 周壁 八 1及びスぺーサ 5 4 9が 「筒状部」 に相当する。 また、 スぺーサ 5 4 9が用いられない場合、 外側周壁 1が 「筒状部」 に相当する。

[0383] 上述したとおりインバータハウジング 5 3 1の外側周壁 八 1 には、 冷媒 としての冷却水を流通させる冷却水通路 5 4 5が形成されており、 その冷却 水通路 5 4 5を流れる冷却水により各電気モジュール 5 3 2が冷却されるよ うになっている。 なお、 冷媒として、 冷却水に代えて冷却用オイルを用いる ことも可能である。 冷却水通路 5 4 5は、 外側周壁 1 に沿って環状に設 けられており、 冷却水通路 5 4 5内を流れる冷却水は、 各電気モジュール 5 3 2を経由しながら上流側から下流側に流通す 。 本実施形態では、 冷却水 通路 5 4 5が、 径方向内外に各電気モジュール 5 3 2に重なり、 かつこれら 各電気モジュール 5 3 2を囲むように環状に設けられている。

[0384] 内壁部材 5 4 2には、 冷却水通路 5 4 5に冷却水を流入させる入口通路 5

7 1 と、 冷却水通路 5 4 5から冷却水を流出させる出口通路 5 7 2とが設け られている。 上述したように内壁部材 5 4 2の内周面には複数の電気モジュ —ル 5 3 2が固定されており、 かかる構成において、 周方向に隣り合う電気 モジュール間の間隔が 1力所だけ他よりも拡張され、 その拡張された部分に 、 内壁部材 5 4 2の一部が径方向内側に突出されて突出部 5 7 3が形成され ている。 そして、 その突出部 5 7 3に、 径方向に沿って横並びの状態で入口 通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2が設けられている。 [0385] インバータハウジング 5 3 1での各電気モジュール 5 3 2の配置の状態を 図 5 8に示す。 なお、 図 5 8は、 図 5 0と同一の縦断面図である。

[0386] 図 5 8に示すように、 各電気モジュール 5 3 2は、 周方向における電気モ ジュール同士の間隔を、 第 1間隔丨 N T 1又は第 2間隔丨 N T 2として周方 向に並べて配置されている。 第 2間隔丨 N T 2は、 第 1間隔丨 N T 1 よりも 広い間隔である。 各間隔丨 N T 1 , 丨 N T 2は、 例えば周方向に隣り合う 2 つ電気モジュール 5 3 2の中心位置同士の間の距離である。 この場合、 突出 部 5 7 3を挟まずに周方向に隣り合う電気モジュー 同士の間隔は第 1間隔 I N T 1 となり、 突出部 5 7 3を挟んで周方向に隣り合う電気モジュール 士の間隔は第 2間隔丨 N T 2となっている。 つまり、 周方向に隣り合う電気 モジュール同士の間隔が _ 部で拡げられており、 その拡げられた間隔 (第 2 間隔 I N T 2) の例えば中央となる部分に突出部 5 7 3が設けられている。

[0387] 各間隔丨 N T 1 , 丨 N T 2は、 回転軸 5 0 1 を中心とする同一円上におい て、 周方向に隣り合う 2つ電気モジュール 5 3 2の中心位置同士の間の円弧 の距離であってもよい。 又は、 周方向における電気モジュール同士の間隔は 、 回転軸 5 0 1 を中心とする角度間隔 0 i 1 , 0 i 2で定義されていてもよ い ( 0 i 1 < 0 i 2) 0

[0388] なお、 図 5 8に示す構成では、 第 1間隔丨 N T 1で並ぶ各電気モジュール

5 3 2が周方向に互いに離間する状態 (非接触の状態) で配置されているが 、 この構成に代えて、 それら各電気モジュール 5 3 2が周方向に互いに接触 する状態で配置されていてもよい。

[0389] 図 4 8に示すように、 ボス形成部材 5 4 3の端板 5 4 7には、 入口通路 5

7 1及び出口通路 5 7 2の通路端部が形成された水路ポート 5 7 4が設けら れている。 入口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2には、 冷却水を循環させる循 環経路 5 7 5が接続されるようになっている。 循環経路 5 7 5は冷却水配管 よりなる。 循環経路 5 7 5にはポンプ 5 7 6と放熱装置 5 7 7とが設けられ 、 ポンプ 5 7 6の駆動に伴い冷却水通路 5 4 5と循環経路 5 7 5とを通じて 冷却水が循環する。 ポンプ 5 7 6は電動ポンプである。 放熱装置 5 7 7は、 〇 2020/175333 104 卩(:171? 2020 /006903

例えば冷却水の熱を大気放出するラジェー タである。

[0390] 図 5 0に示すように、 外側周壁 八 1の外側には固定子 5 2 0が配置され 、 内側には電気モジュール 5 3 2が配置されていることから、 外側周壁 八 1 に対しては、 その外側から固定子 5 2 0の熱が伝わるとともに、 内側から 電気モジュール 5 3 2の熱が伝わることになる。 この場合、 冷却水通路 5 4 5を流れる冷却水により固定子 5 2 0と電気モジュール 5 3 2とを同時に冷 やすことが可能となっており、 回転電機 5 0 0における発熱部品の熱を効率 良く放出することができる。

[0391 ] ここで、 電力変換器の電気的構成を図 5 9を用いて説明する。

[0392] 図 5 9に示すように、 固定子巻線 5 2 1は II相巻線、 V相卷線及び 相巻 線よりなり、 その固定子巻線 5 2 1 にインバータ 6 0 0が接続されている。 インバータ 6 0 0は、 相数と同じ数の上下アームを有するフルプリ ッジ回路 により構成されており、 相ごとに上アームスイッチ 6 0 1及び下アームスイ ッチ 6 0 2からなる直列接続体が設けられている。 これら各スイッチ 6 0 1 , 6 0 2は駆動回路 6 0 3によりそれぞれオンオフされ、 そのオンオフによ り各相の巻線が通電される。 各スイッチ 6 0 1 , 6 0 2は、 例えば 1\/1〇3 巳丁や丨 ◦巳丁等の半導体スイッチング素子により構 成されている。 また、 各相の上下アームには、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2の直列接続体に並列に、 ス イッチング時に要する電荷を各スイッチ 6 0 1 , 6 0 2に供給する電荷供給 用のコンデンサ 6 0 4が接続されている。

[0393] 制御装置 6 0 7は、 〇 IIや各種メモリからなるマイコンを備えてお 、 回転電機 5 0 0における各種の検出情報や、 力行駆動及び発電の要求に基づ いて、 各スイッチ 6 0 1 , 6 0 2のオンオフにより通電制御を実施する。 制 御装置 6 0 7は、 例えば所定のスイッチング周波数 (キャリア周波数) での \^/1\/1制御や、 矩形波制御により各スイッチ 6 0 1 , 6 0 2のオンオフ制御 を実施する。 制御装置 6 0 7は、 回転電機 5 0 0に内蔵された内蔵制御装置 であってもよいし、 回転電機 5 0 0の外部に設けられた外部制御装置であっ てもよい。 〇 2020/175333 105 卩(:171? 2020 /006903

[0394] ちなみに、 本実施形態の回転電機 5 0 0では、 固定子 5 2 0のインダクタ ンス低減が図られていることから電気的時定 数が小さくなっており、 その電 気的時定数が小さい状況下では、 スイッチング周波数 (キャリア周波数) を 高く し、 かつスイッチング速度を速くすることが望ま しい。 この点において 、 各相のスイッチ 6 0 1 , 6 0 2の直列接続体に並列に電荷供給用のコンデ ンサ 6 0 4が接続されていることで配線インダクタン が低くなり、 スイッ チング速度を速く した構成であっても適正なサージ対策が可能 となる。

[0395] インバータ 6 0 0の高電位側端子は直流電源 6 0 5の正極端子に接続され 、 低電位側端子は直流電源 6 0 5の負極端子 (グランド) に接続されている 。 また、 インバータ 6 0 0の高電位側端子及び低電位側端子には、 直流電源 6 0 5に並列に平滑用のコンデンサ 6 0 6が接続されている。

[0396] スイッチモジュール 5 3 2八は、 発熱部品として各スイッチ 6 0 1 , 6 0

2 (半導体スイッチング素子) や、 駆動回路 6 0 3 (具体的には駆動回路 6 〇 3を構成する電気素子) 、 電荷供給用のコンデンサ 6 0 4を有している。 また、 コンデンサモジュール 5 3 2巳は、 発熱部品として平滑用のコンデン サ 6 0 6を有している。 スイッチモジュール 5 3 2八の具体的な構成例を図 6 0に示す。

[0397] 図 6 0に示すように、 スイッチモジュール 5 3 2八は、 収容ケースとして のモジュールケース 6 1 1 を有するとともに、 そのモジュールケース 6 1 1 内に収容された 1相分のスイッチ 6 0 1 , 6 0 2と、 駆動回路 6 0 3と、 電 荷供給用のコンデンサ 6 0 4とを有している。 なお、 駆動回路 6 0 3は、 専 用 丨 〇又は回路基板として構成されてスイッチモ ジュール 5 3 2八に設けら れている。

[0398] モジュールケース 6 1 1は、 例えば樹脂等の絶縁材料よりなり、 その側面 がインバータユニッ ト 5 3 0の内壁部材 5 4 2の内周面に当接した状態で、 外側周壁 八 1 に固定されている。 モジュールケース 6 1 1内には樹脂等の モールド材が充填されている。 モジュールケース 6 1 1内において、 スイッ チ 6 0 1 , 6 0 2と駆動回路 6 0 3、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2とコンデンサ 〇 2020/175333 106 卩(:171? 2020 /006903

6 0 4は、 それぞれ配線 6 1 2により電気的に接続されている。 なお詳しく は、 スイッチモジュール 5 3 2八は、 スぺーサ 5 4 9を介して外側周壁 八 1 に取り付けられるが、 スぺーサ 5 4 9の図示を省略している。

[0399] スイッチモジュール 5 3 2八が外側周壁 八 1 に固定された状態では、 ス イッチモジュール 5 3 2八において外側周壁 八 1 に近い側、 すなわち冷却 水通路 5 4 5に近い側ほど冷却性が高いため、 その冷却性に応じてスイッチ 6 0 1 , 6 0 2、 駆動回路 6 0 3及びコンデンサ 6 0 4の配列の順序が定め られている。 具体的には、 発熱量を比べると、 大きいものからスイッチ 6 0 1 , 6 0 2、 コンデンサ 6 0 4、 駆動回路 6 0 3の順序となるため、 その発 熱量の大きさ順序に合わせて、 外側周壁 1 に近い側からスイッチ 6 0 1 , 6 0 2、 コンデンサ 6 0 4、 駆動回路 6 0 3の順序でこれらが配置されて いる。 なお、 スイッチモジュール 5 3 2八の接触面は、 内壁部材 5 4 2の内 周面における接触可能面より小さいとよい。

[0400] なお、 コンデンサモジュール 5 3 2巳については詳細な図示を省略するが 、 コンデンサモジュール 5 3 2巳では、 スイッチモジュール 5 3 2八と同じ 形状及び大きさのモジュールケース内に、 コンデンサ 6 0 6が収容されて構 成されている。 コンデンサモジュール 5 3 2巳は、 スイッチモジュール 5 3 2八と同様に、 モジュールケース 6 1 1の側面がインバータハウジング 5 3 1の内壁部材 5 4 2の内周面に当接した状態で、 外側周壁 1 に固定され ている。

[0401 ] スイッチモジュール 5 3 2八及びコンデンサモジュール 5 3 2巳は、 イン バータハウジング 5 3 1の外側周壁 八 1の径方向内側において必ずしも同 心円上に並んでいなくてもよい。 例えばスイッチモジュール 5 3 2八がコン デンサモジュール 5 3 2巳よりも径方向内側に配置される構成、 又はその逆 となるように配置される構成であってもよい 。

[0402] 回転電機 5 0 0の駆動時には、 スイッチモジュール 5 3 2八及びコンデン サモジュール 5 3 2巳と冷却水通路 5 4 5との間で、 外側周壁 八 1の内壁 部材 5 4 2を介して熱交換が行われる。 これにより、 スイッチモジュール 5 〇 2020/175333 107 卩(:171? 2020 /006903

32八及びコンデンサモジュール 532巳における冷却が行われる。

[0403] 各電気モジュール 532は、 その内部に冷却水を引き込み、 モジュール内 部にて冷却水による冷却を行わせる構成であ ってもよい。 ここでは、 スイッ チモジュール 532八の水冷構造を、 図 6 1 (a) , (b) を用いて説明す る。 図 6 1 (3) は、 外側周壁 八 1 を横切る方向で、 スイッチモジュール 532八の断面構造を示す縦断面図であり、 図 6 1 (匕) は、 図 6 1 (a) の 6 1 6-6 1 巳線断面図である。

[0404] 図 6 1 (a) , (匕) に示すように、 スイッチモジュール 532八は、 図

60と同様にモジュールケース 6 1 1 と、 1相分のスイッチ 601 , 602 と、 駆動回路 603と、 コンデンサ 604とを有することに加え、 一対の配 管部 62 1 , 622及び冷却器 623からなる冷却装置を有している。 冷却 装置において、 一対の配管部 62 1 , 622は、 外側周壁 1の冷却水通 路 545から冷却器 623へ冷却水を流入させる流入側の配管部 62 1 と、 冷却器 623から冷却水通路 545へ冷却水を流出させる流出側の配管部 6 22とからなる。 冷却器 623は、 冷却対象物に応じて設けられ、 冷却装置 では 1段又は複数段の冷却器 623が用いられる。 図 6 1 (a) , (匕) の 構成では、 冷却水通路 545から離れる方向、 すなわちインバータユニッ ト 53〇の径方向に、 互いに離間した状態で 2段の冷却器 623が設けられて おり、 一対の配管部 62 1 , 622を介してそれら各冷却器 623に対して 冷却水が供給される。 冷却器 623は、 例えば内部が空洞になっている。 た だし、 冷却器 623の内部にインナフィンが設けられていても よい。

[0405] 2段の冷却器 623を備える構成では、 (1 ) 1段目の冷却器 623の外 側周壁 \ZVA 1側、 (2) 1段目及び 2段目の冷却器 623の間、 (3) 2段 目の冷却器 623の反外側周壁側が、 それぞれ冷却対象の電気部品を配置す る場所であり、 これら各場所は、 冷却性能の高いものから順から (2) 、 ( 1 ) 、 (3) となっている。 つまり、 2つの冷却器 623に挟まれた場所が 最も冷却性能が高く、 いずれか 1つの冷却器 623に隣接する場所では、 外 側周壁 八 1 (冷却水通路 545) に近い方が冷却性能が高くなっている。 〇 2020/175333 108 卩(:171? 2020 /006903

これを加味し、 図 6 1 (a) , (b) に示す構成では、 スイッチ 601 , 6

02が、 (2) 1段目及び 2段目の冷却器 623の間に配置され、 コンデン サ 604が、 (1 ) 1段目の冷却器 623の外側周壁 八 1側に配置され、 駆動回路 603が、 (3) 2段目の冷却器 623の反外側周壁側に配置され ている。 なお、 図示しないが、 駆動回路 603とコンデンサ 604とが逆の 配置であってもよい。

[0406] いずれの場合であってもモジュールケース 6 1 1内において、 スイッチ 6

01 , 602と駆動回路 603、 スイッチ 601 , 602とコンデンサ 60 4は、 それぞれ配線 6 1 2により電気的に接続されている。 また、 スイッチ 601 , 602が駆動回路 603とコンデンサ 604との間に位置するため 、 スイッチ 601 , 602から駆動回路 603に向かって延びる配線 6 1 2 と、 スイッチ 601 , 602からコンデンサ 604に向かって延びる配線 6 1 2は互いに逆方向に延びる関係である。

[0407] 図 6 1 (匕) に示すように、 一対の配管部 62 1 , 622は、 周方向、 す なわち冷却水通路 545の上流側及び下流側に並べて配置されてお り、 上流 側に位置する流入側の配管部 62 1から冷却器 623に冷却水が流入され、 その後、 下流側に位置する流出側の配管部 622から冷却水が流出される。 なお、 冷却装置への冷却水の流入を促すべく、 冷却水通路 545には、 周方 向に見て、 流入側の配管部 62 1 と流出側の配管部 62 1 との間となる位置 に、 冷却水の流れを規制する規制部 624が設けられているとよい。 規制部 624は、 冷却水通路 545を遮断する遮断部、 又は冷却水通路 545の通 路面積を小さくする絞り部であるとよい。

[0408] 図 62には、 スイッチモジュール 532八の別の冷却構造を示す。 図 62

(3) は、 外側周壁 八 1 を横切る方向で、 スイッチモジュール 532八の 断面構造を示す縦断面図であり、 図 62 (匕) は、 図 62 (a) の 62巳一 62巳線断面図である。

[0409] 図 62 ( 3 ) , (b) の構成では、 上述した図 6 1 (a) , (b) の構成 との相違点として、 冷却装置における一対の配管部 62 1 , 622の配置が 〇 2020/175333 109 卩(:171? 2020 /006903

異なっており、 一対の配管部 6 2 1 , 6 2 2が軸方向に並べて配置されてい る。 また、 図 6 2 (〇) に示すように、 冷却水通路 5 4 5は、 流入側の配管 部 6 2 1 に連通される通路部分と、 流出側の配管部 6 2 2に連通される通路 部分とが軸方向に分離して設けられ、 それら各通路部分が各配管部 6 2 1 ,

6 2 2及び各冷却器 6 2 3を通じて連通されている。

[0410] その他に、 スイッチモジュール 5 3 2八として、 次の構成を用いることも 可能である。

[041 1 ] 図 6 3 ( 3 ) に示す構成では、 図 6 1 ( 3 ) の構成と比べて、 冷却器 6 2

3が 2段から 1段に変更されている。 この場合、 モジュールケース 6 1 1内 において冷却性能の最も高い場所が図 6 1 ( a ) とは異なっており、 冷却器 6 2 3の径方向両側 (図の左右方向両側) のうち外側周壁 1側の場所が 最も冷却性能が高く、 次いで、 冷却器 6 2 3の反外側周壁側の場所、 冷却器 6 2 3から離れた場所の順に冷却性能が低くなっ いる。 これを加味し、 図 6 3 ( a ) に示す構成では、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2が、 冷却器 6 2 3の径 方向両側 (図の左右方向両側) のうち外側周壁 1側の場所に配置され、 コンデンサ 6 0 4が、 冷却器 6 2 3の反外側周壁側の場所に配置され、 駆動 回路 6 0 3が、 冷却器 6 2 3から離れた場所に配置されている。

[0412] また、 スイッチモジュール 5 3 2八において、 モジュールケース 6 1 1内 に 1相分のスイッチ 6 0 1 , 6 0 2と、 駆動回路 6 0 3と、 コンデンサ 6 0 4とを収容する構成を変更することも可能で る。 例えば、 モジュールケー ス 6 1 1内に 1相分のスイッチ 6 0 1 , 6 0 2と、 駆動回路 6 0 3及びコン デンサ 6 0 4のいずれ一方とを収容する構成としてもよ 。

[0413] 図 6 3 (匕) では、 モジュールケース 6 1 1内に、 一対の配管部 6 2 1 ,

6 2 2と 2段の冷却器 6 2 3とを設けるとともに、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2 を、 1段目及び 2段目の冷却器 6 2 3の間に配置し、 コンデンサ 6 0 4又は 駆動回路 6 0 3を、 1段目の冷却器 6 2 3の外側周壁 1側に配置する構 成としている。 また、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2と駆動回路 6 0 3とを一体化 して半導体モジュールとし、 その半導体モジュールとコンデンサ 6 0 4とを 〇 2020/175333 1 10 卩(:171? 2020 /006903

、 モジュールケース 6 1 1内に収容する構成とすることも可能である

[0414] なお、 図 6 3 (匕) では、 スイッチモジュール 5 3 2八において、 スイッ チ 6 0 1 , 6 0 2を挟んで両側に配置される冷却器 6 2 3のうち少なくとも —方の冷却器 6 2 3においてスイッチ 6 0 1 , 6 0 2とは逆側にコンデンサ が配置されているとよい。 すなわち、 1段目の冷却器 6 2 3の外側周壁 八 1側と、 2段目の冷却器 6 2 3の反周壁側とのうち一方にのみコンデンサ 6 0 4を配置する構成、 又は両方にコンデンサ 6 0 4を配置する構成が可能で ある。

[0415] 本実施形態では、 スイッチモジュール 5 3 2八とコンデンサモジュール 5

3 2巳とのうちスイッチモジュール 5 3 2八のみについて、 冷却水通路 5 4 5からモジュール内部に冷却水を引き込む構 としている。 ただし、 その構 成を変更し、 両方のモジュール 5 3 2八, 5 3 2巳に、 冷却水通路 5 4 5か ら冷却水を引き込む構成としてもよい。

[0416] また、 各電気モジュール 5 3 2の外面に冷却水を直接当てる状態にして、 各電気モジュール 5 3 2を冷却する構成とすることも可能である。 例えば、 図 6 4に示すように、 外側周壁 八 1 に電気モジュール 5 3 2を埋め込むこ とで、 電気モジュール 5 3 2の外面に冷却水を当てる構成とする。 この場合 、 電気モジュール 5 3 2の一部を冷却水通路 5 4 5内に浸潰させる構成や、 冷却水通路 5 4 5を図 5 8等の構成よりも径方向に拡張して電気モジ ール 5 3 2の全てを冷却水通路 5 4 5内に浸潰させる構成が考えられる。 冷却水 通路 5 4 5内に電気モジュール 5 3 2を浸潰させる場合、 浸潰されるモジュ —ルケース 6 1 1 (モジュールケース 6 1 1の浸漬部分) にフィンを設ける と、 冷却性能を更に向上させることができる。

[0417] また、 電気モジュール 5 3 2には、 スイッチモジュール 5 3 2八とコンデ ンサモジュール 5 3 2巳とが含まれ、 それら両者を比べた場合に発熱量に差 異がある。 この点を考慮して、 インバータハウジング 5 3 1 における各電気 モジュール 5 3 2の配置を工夫することも可能である。

[0418] 例えば、 図 6 5に示すように、 複数個のスイッチモジュール 5 3 2八を、 〇 2020/175333 1 1 1 卩(:171? 2020 /006903

分散させず周方向に並べ、 かつ冷却水通路 5 4 5の上流側、 すなわち入口通 路 5 7 1 に近い側に配置する。 この場合、 入口通路 5 7 1から流入した冷却 水は、 先ずは 3つのスイッチモジュール 5 3 2八の冷却に用いられ、 その後 に各コンデンサモジュール 5 3 2巳の冷却に用いられる。 なお、 図 6 5では 、 先の図 6 2 ( 3 ) , (b) のように一対の配管部 6 2 1 , 6 2 2が軸方向 に並べて配置されているが、 これに限らず、 先の図 6 1 (a) , (1〇) のよ うに一対の配管部 6 2 1 , 6 2 2が周方向に並べて配置されていてもよい。

[0419] 次に、 各電気モジュール 5 3 2及びバスバーモジュール 5 3 3における電 気的な接続に関する構成を説明する。 図 6 6は、 図 4 9の 6 6 - 6 6線断面 図であり、 図 6 7は、 図 4 9の 6 7— 6 7線断面図である。 図 6 8は、 バス バーモジュール 5 3 3を単体で示す斜視図である。 ここではこれら各図を併 せ用いて、 各電気モジュール 5 3 2及びバスバーモジュール 5 3 3の電気接 続に関する構成を説明する。

[0420] 図 6 6に示すように、 インバータハウジング 5 3 1 には、 内壁部材 5 4 2 に設けられた突出部 5 7 3 (すなわち、 冷却水通路 5 4 5に通じる入口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2が設けられた突出部 5 7 3) の周方向に隣となる 位置に、 3つのスイッチモジュール 5 3 2八が周方向に並べて配置されると ともに、 さらにその隣に、 6つのコンデンサモジュール 5 3 2巳が周方向に 並べて配置されている。 その概要として、 インバータハウジング 5 3 1では 、 外側周壁 八 1の内側が周方向に 1 0個 (すなわち、 モジュール数 + 1) の領域に等分に分けられ、 そのうち 9つの領域にそれぞれ電気モジュール 5 3 2が 1つずつ配置されるとともに、 残り 1つの領域に突出部 5 7 3が設け られている。 3つのスイッチモジュ _ ル 5 3 2八は、 リ相用モジュ _ ル、 V 相用モジュール、 \/\/相用モジュールである。

[0421 ] 図 6 6や前述の図 5 6、 図 5 7等に示すように、 各電気モジュール 5 3 2 (スイッチモジュール 5 3 2八及びコンデンサモジュール 5 3 2巳) は、 モ ジュールケース 6 1 1から延びる複数のモジュール端子 6 1 5を有している 。 モジュール端子 6 1 5は、 各電気モジュール 5 3 2における電気的な入出 〇 2020/175333 1 12 卩(:171? 2020 /006903

力を行わせるモジュール入出力端子である 。 モジュール端子 6 1 5は、 軸方 向に延びる向きで設けられており、 より具体的には、 モジュールケース 6 1 1から回転子キャリア 5 1 1の奧側 (車両外側) に向けて延びるように設け られている (図 5 1参照) 。

[0422] 各電気モジュール 5 3 2のモジュール端子 6 1 5は、 それぞれバスバーモ ジュール 5 3 3に接続されている。 モジュール端子 6 1 5の数は、 スイッチ モジュール 5 3 2八とコンデンサモジュール 5 3 2巳とで異なっており、 ス イッチモジュール 5 3 2八には 4つのモジュール端子 6 1 5が設けられ、 コ ンデンサモジュール 5 3 2巳には 2つのモジュール端子 6 1 5が設けられて いる。

[0423] また、 図 6 8に示すように、 バスバーモジュール 5 3 3は、 円環状をなす 環状部 6 3 1 と、 その環状部 6 3 1から延び、 電源装置や巳〇11 (電子制御 装置) 等の外部装置との接続を可能とする 3本の外部接続端子 6 3 2と、 固 定子卷線 5 2 1 における各相の卷線端部に接続される卷線接 続端子 6 3 3と を有している。 バスバーモジュール 5 3 3が 「端子モジュール」 に相当する

[0424] 環状部 6 3 1は、 インバータハウジング 5 3 1 において外側周壁 八 1の 径方向内側であり、 かつ各電気モジュール 5 3 2の軸方向片側となる位置に 配置されている。 環状部 6 3 1は、 例えば樹脂等の絶縁部材により成形され た円環状の本体部と、 その内部に埋設された複数のバスバーとを有 する。 そ の複数のバスバーは、 各電気モジュール 5 3 2のモジュール端子 6 1 5や、 各外部接続端子 6 3 2、 固定子巻線 5 2 1の各相卷線に接続されている。 そ の詳細は後述する。

[0425] 外部接続端子 6 3 2は、 電源装置に接続される高電位側の電力端子 6 3 2 八及び低電位側の電力端子 6 3 2巳と、 外部巳(3 IIに接続される 1本の信号 端子 6 3 2 0とからなる。 これら各外部接続端子 6 3 2 (6 3 2八~ 6 3 2 〇) は、 周方向に一列に並び、 かつ環状部 6 3 1の径方向内側において軸方 向に延びるように設けられている。 図 5 1 に示すように、 バスバーモジュー 〇 2020/175333 1 13 卩(:171? 2020 /006903

ル 5 3 3が各電気モジュール 5 3 2と共にインバータハウジング 5 3 1 に組 み付けられた状態では、 外部接続端子 6 3 2の一端がボス形成部材 5 4 3の 端板 5 4 7から突出するように構成されている。 具体的には、 図 5 6、 図 5 7に示すように、 ボス形成部材 5 4 3の端板 5 4 7には揷通孔 5 4 7 3が設 けられており、 その揷通孔 5 4 7 3に円筒状のグロメッ ト 6 3 5が取り付け られるとともに、 グロメッ ト 6 3 5を揷通させた状態で外部接続端子 6 3 2 が設けられている。 グロメッ ト 6 3 5は、 密閉コネクタとしても機能する。

[0426] 巻線接続端子 6 3 3は、 固定子巻線 5 2 1の各相の卷線端部に接続される 端子であり、 環状部 6 3 1から径方向外側に延びるように設けられて る。 巻線接続端子 6 3 3は、 固定子巻線 5 2 1 における II相巻線の端部に接続さ れる卷線接続端子 6 3 3 II、 V相巻線の端部に接続される卷線接続端子 6 3 3 V、 相巻線の端部にそれぞれ接続に接続される卷 線接続端子 6 3 3 \^/を 有する。 これらの各卷線接続端子 6 3 3、 各相卷線に流れる電流 (II相電流 、 V相電流、 相電流) を検出する電流センサ 6 3 4が設けられているとよ い (図 7 0参照) 。

[0427] なお、 電流センサ 6 3 4は、 電気モジュール 5 3 2の外部であって、 各卷 線接続端子 6 3 3の周辺に配置されてもよいし、 電気モジュール 5 3 2の内 部に配置されてもよい。

[0428] ここで、 各電気モジュール 5 3 2とバスバーモジュール 5 3 3との接続を 、 図 6 9及び図 7 0を用いてより具体的に説明する。 図 6 9は、 各電気モジ ュール 5 3 2を平面状に展開して示すとともに、 それら各電気モジュール 5 3 2とバスバーモジュール 5 3 3との電気的な接続状態を模式的に示す図で ある。 図 7 0は、 各電気モジュール 5 3 2を円環状に配置した状態での各電 気モジュール 5 3 2とバスバーモジュール 5 3 3との接続を模式的に示す図 である。 なお、 図 6 9には、 電力伝送用の経路を実線で示し、 信号伝送系の 経路を _ 点鎖線で示している。 図 7 0には、 電力伝送用の経路のみを示して いる。

[0429] バスバーモジュール 5 3 3は、 電力伝送用のバスバーとして、 第 1バスバ 〇 2020/175333 1 14 卩(:171? 2020 /006903

- 6 4 1 と第 2バスバー 6 4 2と第 3バスバー 6 4 3とを有している。 この うち第 1バスバー 6 4 1が高電位側の電力端子 6 3 2八に接続され、 第 2バ スバー 6 4 2が低電位側の電力端子 6 3 2巳に接続されている。 また、 3つ の第 3バスバー 6 4 3が、 II相の巻線接続端子 6 3 3 II、 V相の巻線接続端 子 6 3 3 V、 相の巻線接続端子 6 3 3 \^/にそれぞれ接続されている。

[0430] また、 巻線接続端子 6 3 3や第 3バスバー 6 4 3は、 回転電機 1 0の動作 により発熱しやすい部位である。 このため、 巻線接続端子 6 3 3と第 3バス バー 6 4 3との間に図示しない端子台を介在させると もに、 この端子台を 、 冷却水通路 5 4 5を有するインバータハウジング 5 3 1 に当接させてもよ い。 又は、 巻線接続端子 6 3 3や第 3バスバー 6 4 3をクランク状に曲げる ことで、 巻線接続端子 6 3 3や第 3バスバー 6 4 3を冷却水通路 5 4 5を有 するインバータハウジング 5 3 1 に当接させてもよい。

[0431 ] このような構成であれば、 巻線接続端子 6 3 3や第 3バスバー 6 4 3で発 生した熱を冷却水通路 5 4 5内の冷却水に放熱することができる。

[0432] なお、 図 7 0では、 第 1バスバー 6 4 1及び第 2バスバー 6 4 2を、 円環 形状をなすバスバーとして示すが、 これら各バスバー 6 4 1 , 6 4 2は必ず しも円環形状で繫がっていなくてもよく、 周方向の一部が途切れた略<3字状 をなしていてもよい。 また、 各卷線接続端子 6 3 3 II , 6 3 3 V , 6 3 3 \^/ は、 各相に対応するスイッチモジュール 5 3 2 に個々に接続されればよい ため、 バスバーモジュール 5 3 3を介することなく、 直接的に各スイッチモ ジュール 5 3 2八 (実際にはモジュール端子 6 1 5) に接続される構成であ ってもよい。

[0433] 一方、 各スイッチモジュール 5 3 2八は、 正極側端子、 負極側端子、 巻線 用端子及び信号用端子からなる 4つのモジュール端子 6 1 5を有している。 このうち正極側端子は第 1バスバー 6 4 1 に接続され、 負極側端子は第 2バ スバー 6 4 2に接続され、 卷線用端子は第 3バスバー 6 4 3に接続されてい る。

[0434] また、 バスバーモジュール 5 3 3は、 信号伝送系のバスバーとして第 4バ 〇 2020/175333 1 15 卩(:171? 2020 /006903

スバー 6 4 4を有している。 各スイッチモジュール 5 3 2八の信号用端子が 第 4バスバー 6 4 4に接続されるとともに、 その第 4バスバー 6 4 4が信号 端子 6 3 2〇に接続されている。

[0435] 本実施形態では、 各スイッチモジュール 5 3 2 に対する制御信号を信号 端子 6 3 2〇を介して外部巳〇11から入力する構成とし ている。 つまり、 各 スイッチモジュール 5 3 2八内の各スイッチ 6 0 1 , 6 0 2は、 信号端子 6 3 2〇を介して入力される制御信号によりオン フする。 そのため、 各スイ ッチモジュール 5 3 2八が、 途中で回転電機内蔵の制御装置を経由するこ と なく信号端子 6 3 2〇に対して接続される構成となっている。 ただし、 この 構成を変更し、 回転電機に制御装置を内蔵させ、 その制御装置からの制御信 号が各スイッチモジュール 5 3 2八に入力される構成とすることも可能であ る。 かかる構成を図 7 1 に示す。

[0436] 図 7 1の構成では、 制御装置 6 5 2が実装された制御基板 6 5 1 を有し、 その制御装置 6 5 2が各スイッチモジュール 5 3 2八に接続されている。 ま た、 制御装置 6 5 2には信号端子 6 3 2(3が接続されている。 この場合、 制 御装置 6 5 2は、 例えば上位制御装置である外部日(3 IIから力行又は発電に 関する指令信号を入力し、 その指令信号に基づいて各スイッチモジュー ル 5 3 2八のスイッチ 6 0 1 , 6 0 2を適宜オンオフさせる。

[0437] インバータユニッ ト 5 3 0においては、 バスバーモジュール 5 3 3よりも 車両外側 (回転子キャリア 5 1 1の奥側) に制御基板 6 5 1が配置されると よい。 又は、 各電気モジュール 5 3 2とボス形成部材 5 4 3の端板 5 4 7と の間に制御基板 6 5 1が配置されるとよい。 制御基板 6 5 1は、 各電気モジ ュール 5 3 2に対して少なくとも一部が軸方向に重複す ように配置される とよい。

[0438] また、 各コンデンサモジュール 5 3 2巳は、 正極側端子及び負極側端子か らなる 2つのモジュール端子 6 1 5を有しており、 正極側端子は第 1バスバ - 6 4 1 に接続され、 負極側端子は第 2バスバー 6 4 2に接続されている。

[0439] 図 4 9及び図 5 0に示すように、 インバータハウジング 5 3 1内には、 周 〇 2020/175333 1 16 卩(:171? 2020 /006903

方向に各電気モジュール 5 3 2と並ぶ位置に、 冷却水の入口通路 5 7 1及び 出口通路 5 7 2を有する突出部 5 7 3が設けられるとともに、 その突出部 5 7 3に対して径方向に隣り合うようにして外部 続端子 6 3 2が設けられて いる。 換言すれば、 突出部 5 7 3と外部接続端子 6 3 2とが、 周方向に同じ 角度位置に設けられている。 本実施形態では、 突出部 5 7 3の径方向内側の 位置に外部接続端子 6 3 2が設けられている。 また、 インバータハウジング 5 3 1の車両内側から見れば、 ボス形成部材 5 4 3の端板 5 4 7に、 径方向 に並べて水路ポート 5 7 4と外部接続端子 6 3 2とが設けられている (図 4 8参照) 。

[0440] この場合、 複数の電気モジュール 5 3 2と共に突出部 5 7 3及び外部接続 端子 6 3 2を周方向に並べて配置したことにより、 インバータユニッ ト 5 3 0としての小型化、 ひいては回転電機 5 0 0としての小型化が可能となって いる。

[0441 ] 車輪 4 0 0の構造を示す図 4 5及び図 4 7で見ると、 水路ポート 5 7 4に 冷却用配管!· I 2が接続されるとともに、 外部接続端子 6 3 2に電気配線!· I 1 が接続され、 その状態で、 電気配線!· I 1及び冷却用配管!· I 2が収容ダクト 4 4 0に収容されている。

[0442] なお、 上記構成では、 インバータハウジング 5 3 1内において外部接続端 子 6 3 2の隣に、 3つのスイッチモジュール 5 3 2八を周方向に並べて配置 するととともに、 さらにその隣に、 6つのコンデンサモジュール 5 3 2巳を 周方向に並べて配置する構成としたが、 これを変更してもよい。 例えば、 外 部接続端子 6 3 2から最も離れた位置、 すなわち回転軸 5 0 1 を挟んで反対 側となる位置に、 3つのスイッチモジュール 5 3 2八を並べて配置する構成 としてもよい。 また、 各スイッチモジュール 5 3 2八の両隣にコンデンサモ ジュール 5 3 2巳が配置されるように、 各スイッチモジュール 5 3 2八を分 散配置することも可能である。

[0443] 外部接続端子 6 3 2から最も離れた位置、 すなわち回転軸 5 0 1 を挟んで 反対側となる位置に各スイッチモジュール 5 3 2 を配置する構成とすれば 〇 2020/175333 1 17 卩(:171? 2020 /006903

、 外部接続端子 6 3 2と各スイツチモジュール 5 3 2八との間における相互 インダクタンスに起因する誤動作等を抑制で きる。

[0444] 次に、 回転角度センサとして設けられるレゾルバ 6 6 0に関する構成を説 明する。

[0445] 図 4 9〜図 5 1 に示すように、 インバータハウジング 5 3 1 には、 回転電 機 5 0 0の電気角 0を検出するレゾルバ 6 6 0が設けられている。 レゾルバ 6 6 0は、 電磁誘導式センサであり、 回転軸 5 0 1 に固定されたレゾルバロ —夕 6 6 1 と、 そのレゾルバロータ 6 6 1の径方向外側に対向配置されたレ ゾルバステータ 6 6 2とを備えている。 レゾルバロータ 6 6 1は、 円板リン グ状をなしており、 回転軸 5 0 1 を揷通させた状態で、 回転軸 5 0 1 に同軸 で設けられている。 レゾルバステータ 6 6 2は、 円環状をなすステータコア 6 6 3と、 ステータコア 6 6 3に形成された複数のティースに卷回された テータコイル 6 6 4とを備えている。 ステータコイル 6 6 4には、 1相の励 磁コイルと 2相の出カコイルとが含まれている。

[0446] ステータコイル 6 6 4の励磁コイルは、 正弦波状の励磁信号によって励磁 され、 励磁信号によって励磁コイルに生じた磁束は 、 _ 対の出カコイルを鎖 交する。 この際、 励磁コイルと一対の出カコイルとの相対的な 配置関係がレ ゾルバロータ 6 6 1の回転角 (すなわち回転軸 5 0 1の回転角) に応じて周 期的に変化するため、 一対の出カコイルを鎖交する磁束数は周期的 に変化す る。 本実施形態では、 一対の出カコイルのそれぞれに生じる電圧の 位相が互 いに / 2だけずれるように一対の出カコイルと励磁 イルとが配置されて いる。 これにより、 一対の出カコイルそれぞれの出力電圧は、 励磁信号を変 調波 3 丨 11 0、 〇〇 3 0のそれぞれによって変調した被変調波とな 。 より 具体的には、 励磁信号を 「 3 丨 1^ 0 1:」 とすると、 被変調波はそれぞれ 「 3 I 11 0 X 3 I 门〇 1:」 , 「0 0 3 0 X 3 1 门〇 1:」 となる。

[0447] レゾルバ 6 6 0はレゾルバデジタルコンバータを有してい 。 レゾルバデ ジタルコンバータは、 生成された被変調波及び励磁信号に基づく検 波によっ て電気角 0を算出する。 例えばレゾルバ 6 6 0は信号端子 6 3 2〇に接続さ 〇 2020/175333 1 18 卩(:171? 2020 /006903

れており、 レゾルバデジタルコンバータの算出結果は、 信号端子 6 3 2〇を 介して外部装置に出力される。 また、 回転電機 5 0 0に制御装置が内蔵され ている場合には、 その制御装置にレゾルバデジタルコンバータ の算出結果が 入力される。

[0448] ここで、 インバータハウジング 5 3 1 におけるレゾルバ 6 6 0の組み付け 構造について説明する。

[0449] 図 4 9及び図 5 1 に示すように、 インバータハウジング 5 3 1 を構成する ボス形成部材 5 4 3のボス部 5 4 8は中空筒状をなしており、 そのボス部 5 4 8の内周側には、 軸方向に直交する向きに延びる突出部 5 4 8 3が形成さ れている。 そして、 この突出部 5 4 8 3に軸方向に当接した状態で、 ネジ等 によりレゾルバステータ 6 6 2が固定されている。 ボス部 5 4 8内には、 突 出部 5 4 8 3を挟んで軸方向の一方側に軸受 5 6 0が設けられるとともに、 他方側にレゾルバ 6 6 0が同軸で設けられている。

[0450] また、 ボス部 5 4 8の中空部には、 軸方向においてレゾルバ 6 6 0の一方 の側に突出部 5 4 8 3が設けられるとともに、 他方の側に、 レゾルバ 6 6 0 の収容空間を閉鎖する円板リング状のハウジ ングカバー 6 6 6が取り付けら れている。 ハウジングカバー 6 6 6は、 炭素繊維強化プラスチック (〇 [¾ 9) 等の導電性材料により構成されている。 ハウジングカバー 6 6 6の中央 部には、 回転軸 5 0 1 を揷通させる孔 6 6 6 3が形成されている。 孔 6 6 6 3内には、 回転軸 5 0 1の外周面との間の空隙を封鎖するシール材 6 6 7が 設けられている。 シール材 6 6 7により、 レゾルバ収容空間が密閉されてい る。 シール材 6 6 7は、 例えば樹脂材料よりなる摺動シールであると よい。

[0451 ] レゾルバ 6 6 0が収容される空間は、 ボス形成部材 5 4 3において円環状 をなすボス部 5 4 8に囲まれ、 かつ軸方向が軸受 5 6 0とハウジングカバー 6 6 6とにより挟まれた空間であり、 レゾルバ 6 6 0の周囲は導電材料によ り囲まれている。 これにより、 レゾルバ 6 6 0に対する電磁ノイズの影響を 抑制できるようになっている。

[0452] また、 上述したとおりインバータハウジング 5 3 1は、 二重となる外側周 〇 2020/175333 1 19 卩(:171? 2020 /006903

壁 1 と内側周壁 2とを有しており (図 5 7参照) 、 その二重となる 周壁の外側 (外側周壁 八 1の外側) には固定子 5 2 0が配置され、 二重の 周壁の間 ( 八 1 , \ZV A 2の間) には電気モジュール 5 3 2が配置され、 二 重の周壁の内側 (内側周壁 八 2の内側) にはレゾルバ 6 6 0が配置されて いる。 インバータハウジング 5 3 1は導電性部材であるため、 固定子 5 2 0 とレゾルバ 6 6 0とは、 導電性の隔壁 (本実施形態では特に二重の導電性隔 壁) を隔てて配置されるようになっており、 固定子 5 2 0側 (磁気回路側) とレゾルバ 6 6 0とについて相互の磁気干渉の発生を好適に 制できるもの となっている。

[0453] 次に、 回転子キャリア 5 1 1の開放端部の側に設けられる回転子カバー 6

7 0について説明する。

[0454] 図 4 9及び図 5 1 に示すように、 回転子キャリア 5 1 1は軸方向の一方側 が開放されており、 その開放端部に、 略円板リング状の回転子カバー 6 7 0 が取り付けられている。 回転子カバー 6 7 0は、 溶接や接着、 ビス止め等の 任意の接合手法により回転子キャリア 5 1 1 に対して固定されているとよい 。 回転子カバー 6 7 0が、 磁石ユニッ ト 5 1 2の軸方向への移動を抑制でき るように回転子キャリア 5 1 1の内周よりも小さめに寸法設定されている 位を持つとなおよい。 回転子カバー 6 7 0は、 その外径寸法が、 回転子キャ リア 5 1 1の外径寸法に一致し、 内径寸法が、 インバータハウジング 5 3 1 の外径寸法よりも僅かに大きい寸法となって いる。 なお、 インバータハウジ ング 5 3 1の外径寸法と固定子 5 2 0の内径寸法とは同じである。

[0455] 上述したとおりインバータハウジング 5 3 1の径方向外側には固定子 5 2

0が固定されており、 それら固定子 5 2 0及びインバータハウジング 5 3 1 が互いに接合されている接合部分では、 固定子 5 2 0に対してインバータハ ウジング 5 3 1が軸方向に突出している。 そして、 インバータハウジング 5 3 1の突出部分を囲むように回転子カバー 6 7 0が取り付けられている。 こ の場合、 回転子カバー 6 7 0の内周側の端面とインバータハウジング 5 3 1 の外周面との間には、 それらの間の隙間を封鎖するシール材 6 7 1が設けら 〇 2020/175333 120 卩(:171? 2020 /006903

れている。 シール材 6 7 1 により、 磁石ユニッ ト 5 1 2及び固定子 5 2 0の 収容空間が密閉されている。 シール材 6 7 1は、 例えば樹脂材料よりなる摺 動シールであるとよい。

[0456] 以上詳述した本実施形態によれば、 以下の優れた効果が得られる。

[0457] 回転電機 5 0 0において、 磁石ユニッ ト 5 1 2及び固定子巻線 5 2 1 より なる磁気回路部の径方向内側に、 インバータハウジング 5 3 1の外側周壁 八 1 を配置し、 その外側周壁 1 に冷却水通路 5 4 5を形成した。 また、 外側周壁 1の径方向内側に、 その外側周壁 1 に沿って周方向に複数 の電気モジュール 5 3 2を配置する構成とした。 これにより、 回転電機 5 0 〇の径方向に積層されるようにして磁気回路 部、 冷却水通路 5 4 5、 電力変 換器を配置でき、 軸方向における寸法の縮小化を図りつつ、 効率の良い部品 配置が可能となる。 また、 電力変換器を構成する複数の電気モジュール 5 3 2について効率良く冷却を行わせることがで る。 その結果、 回転電機 5 0 0において、 高効率かつ小型化が実現可能となる。

[0458] 半導体スイッチング素子やコンデンサ等の発 熱部品を有する電気モジュー ル 5 3 2 (スイッチモジユール 5 3 2八、 コンデンサモジユール 5 3 2巳) を、 外側周壁 1の内周面に接した状態で設ける構成とした これにより 、 各電気モジュール 5 3 2における熱が外側周壁 1 に伝達され、 その外 側周壁 八 1での熱交換により電気モジュール 5 3 2が好適に冷却される。

[0459] スイッチモジュール 5 3 2八において、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2を挟んで 両側に冷却器 6 2 3をそれぞれ配置するとともに、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2 の両側の冷却器 6 2 3のうち少なくとも _方の冷却器においてスイッチ 6 0 1 , 6 0 2とは逆側にコンデンサ 6 0 4を配置する構成とした。 これにより 、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2に対する冷却性能を高めることができると もに 、 コンデンサ 6 0 4の冷却性能も高めることができる。

[0460] スイッチモジュール 5 3 2八において、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2を挟んで 両側に冷却器 6 2 3をそれぞれ配置するとともに、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2 の両側の冷却器 6 2 3のうち _ 方の冷却器においてスイッチ 6 0 1 , 6 0 2 〇 2020/175333 121 卩(:171? 2020 /006903

とは逆側に駆動回路 6 0 3を配置し、 他方の冷却器 6 2 3においてスイッチ 6 0 1 , 6 0 2とは逆側にコンデンサ 6 0 4を配置する構成とした。 これに より、 スイッチ 6 0 1 , 6 0 2に対する冷却性能を高めることができると もに、 駆動回路 6 0 3とコンデンサ 6 0 4についても冷却性能も高めること ができる。

[0461 ] 例えばスイッチモジュール 5 3 2八において、 冷却水通路 5 4 5からモジ ュール内部に冷却水を流入させ、 その冷却水により半導体スイッチング素子 等を冷却する構成とした。 この場合、 スイッチモジュール 5 3 2八は、 外側 周壁 八 1での冷却水による熱交換に加えて、 モジュール内部での冷却水に よる熱交換により冷却される。 これにより、 スイッチモジュール 5 3 2八の 冷却効果を高めることができる。

[0462] 冷却水通路 5 4 5に対して外部の循環経路 5 7 5から冷却水を流入させる 冷却システムにおいて、 スイッチモジュール 5 3 2八を冷却水通路 5 4 5の 入口通路 5 7 1 に近い上流側に配置するとともに、 コンデンサモジュール 5 3 2巳をスイッチモジュール 5 3 2八よりも下流側に配置する構成とした。 この場合、 冷却水通路 5 4 5を流れる冷却水が上流側ほど低温であるこ を 想定すれば、 スイッチモジュール 5 3 2八を優先的に冷却する構成を実現す ることが可能になる。

[0463] 周方向に隣り合う電気モジュール同士の間隔 を一部で拡げ、 その拡げた間 隔 (第 2間隔丨 1\1丁 2) となる部分に、 入口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2 を有する突出部 5 7 3を設ける構成とした。 これにより、 外側周壁 八 1の 径方向内側となる部分に、 冷却水通路 5 4 5の入口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2を好適に形成することができる。 つまり、 冷却性能を高めるには冷媒 の流通量を確保する必要があり、 そのためには入口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2の開口面積を大きくすることが考えられる この点、 上記のとおり電 気モジュール同士の間隔を一部で拡げて突出 部 5 7 3を設けることにより、 所望とする大きさの入口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2を好適に形成するこ とができる。 〇 2020/175333 122 卩(:171? 2020 /006903

[0464] バスバーモジュール 5 3 3の外部接続端子 6 3 2を、 外側周壁 1の径 方向内側において突出部 5 7 3に径方向に並ぶ位置に配置するようにした つまり、 外部接続端子 6 3 2を、 周方向に隣り合う電気モジュール同士の間 隔が拡げられた部分 (第 2間隔 I !\!丁 2に相当する部分) に突出部 5 7 3と 共に配置するようにした。 これにより、 各電気モジュール 5 3 2との干渉を 避けつつ、 外部接続端子 6 3 2を好適に配置することができる。

[0465] ァウタロータ式の回転電機 5 0 0において、 外側周壁 八 1の径方向外側 に固定子 5 2 0を固定し、 かつ径方向内側に複数の電気モジュール 5 3 2を 配置する構成とした。 これにより、 外側周壁 \ZV A 1 に対して、 その径方向外 側から固定子 5 2 0の熱が伝わるとともに、 径方向内側から電気モジュール 5 3 2の熱が伝わることになる。 この場合、 固定子 5 2 0と電気モジュール 5 3 2とを, 冷却水通路 5 4 5を流れる冷却水により同時に冷やすことが 能となり、 回転電機 5 0 0における発熱部材の熱を効率良く放出する とが できる。

[0466] 外側周壁 1 を挟んで径方向内側の電気モジュール 5 3 2と径方向外側 の固定子巻線 5 2 1 とを、 バスバーモジュール 5 3 3の卷線接続端子 6 3 3 により電気的に接続する構成とした。 またこの場合、 巻線接続端子 6 3 3を 、 冷却水通路 5 4 5に対して軸方向に離れた位置に設ける構成 した。 これ により、 外側周壁 1 において環状に冷却水通路 5 4 5が形成される構成 、 すなわち外側周壁 八 1の内外が冷却水通路 5 4 5により分断されている 構成であっても、 電気モジュール 5 3 2と固定子巻線 5 2 1 とを好適に接続 することができる。

[0467] 本実施形態の回転電機 5 0 0では、 固定子 5 2 0において周方向に並ぶ各 導線 5 2 3の間のテイース (鉄心) を小さくする又は無くすことで、 それら 各導線 5 2 3の間で生じる磁気飽和に起因するトルク制 を抑制するととも に、 導線 5 2 3を扁平薄型にすることでトルク低下を抑制 るものとしてい る。 この場合、 仮に回転電機 5 0 0の外径寸法が同じであっても、 固定子 5 2 0の薄型化により磁気回路部の径方向内側の 域を拡張することが可能と 〇 2020/175333 123 卩(:171? 2020 /006903

なり、 その内側領域を用いて、 冷却水通路 5 4 5を有する外側周壁 1や 、 外側周壁 1の径方向内側に設けられた複数の電気モジ ール 5 3 2を 好適に配置することができる。

[0468] 本実施形態の回転電機 5 0 0では、 磁石ユニッ ト 5 1 2において磁石磁束 が 軸側に集まることで 軸での磁石磁束が強化され、 それに伴う トルク増 強が可能となっている。 この場合、 磁石ユニッ ト 5 1 2において径方向の厚 さ寸法の縮小化 (薄型化) が可能になることに伴い、 磁気回路部の径方向内 側の領域を拡張することが可能となり、 その内側領域を用いて、 冷却水通路 5 4 5を有する外側周壁 1や、 外側周壁 1の径方向内側に設けられ た複数の電気モジュール 5 3 2を好適に配置することができる。

[0469] また、 磁気回路部、 外側周壁 八 1、 複数の電気モジュール 5 3 2だけで なく、 軸受 5 6 0やレゾルバ 6 6 0についても同様に、 径方向に好適に配置 することができる。

[0470] 回転電機 5 0 0をインホイールモータとして用いた車輪 4 0 0は、 インバ

—タハウジング 5 3 1 に固定されたべースプレート 4 0 5と、 サスペンシヨ ン装置等の装着機構とを介して車体に装着さ れる。 ここで、 回転電機 5 0 0 では小型化が実現されていることから、 車体への組み付けを想定しても省ス ペース化が可能となる。 そのため、 車両においてバッテリ等の電源装置の設 置領域を拡大したり、 車室スペースを拡張したりする上で有利な構 成を実現 できる。

[0471 ] 以下に、 インホイールモータに関する変形例を説明す る。

[0472] (インホイールモータにおける変形例 1)

回転電機 5 0 0では、 インバータユニッ ト 5 3 0の外側周壁 八 1の径方 向内側に、 電気モジュール 5 3 2及びバスバーモジュール 5 3 3が配置され るとともに、 外側周壁 1 を隔てて径方向の内側及び外側に、 電気モジュ —ル 5 3 2及びバスバーモジュール 5 3 3と、 固定子 5 2 0とがそれぞれ配 置されている。 かかる構成において、 電気モジュール 5 3 2に対するバスバ —モジュール 5 3 3の位置は任意に設定可能である。 また、 外側周壁 八 1 〇 2020/175333 124 卩(:171? 2020 /006903

を径方向に横切って固定子巻線 52 1の各相卷線とバスバーモジュール 53 3とを接続する場合において、 その接続に用いられる巻線接続線 (例えば巻 線接続端子 633) を案内する位置は任意に設定可能である。

[0473] すなわち、 電気モジュール 532に対するバスバーモジュール 533の位 置としては、 (《 1 ) バスバーモジュール 533を、 軸方向において電気モ ジュール 532よりも車両外側、 すなわち回転子キャリア 5 1 1側の奥側と する構成と、

{(X 2) バスバーモジュール 533を、 軸方向において電気モジュール 53 2よりも車両内側、 すなわち回転子キャリア 5 1 1側の手前側とする構成と が考えられる。

[0474] また、 巻線接続線を案内する位置としては、

((31 ) 巻線接続線を、 軸方向において車両外側、 すなわち回転子キャリア 5 1 1側の奥側で案内する構成と、

(/32) 巻線接続線を、 軸方向において車両内側、 すなわち回転子キャリア 5 1 1側の手前側で案内する構成と、

が考えられる。

[0475] 以下には、 電気モジュール 532、 バスバーモジュール 533及び卷線接 続線の配置に関する 4つの構成例を、 図 72 ( 3 ) 〜 (¢0 を用いて説明す る。 図 72 ( 3 ) 〜 (¢0 は、 回転電機 500の構成を簡略化して示す縦断 面図であり、 同図には、 既に説明した構成に同じ符号が付されている 。 巻線 接続線 637は、 固定子巻線 52 1の各相卷線とバスバーモジュール 533 とを接続する電気配線であり、 例えば既述の巻線接続端子 633がこれに相 当する。

[0476] 図 72 (a) の構成では、 電気モジュール 532に対するバスバーモジュ —ル 533の位置として上記 (《 1 ) を採用するとともに、 巻線接続線 63 7を案内する位置として上記 (/3 1 ) を採用している。 つまり、 電気モジュ —ル 532及びバスバーモジュール 533、 固定子巻線 52 1及びバスバー 〇 2020/175333 125 卩(:171? 2020 /006903

モジュール 5 3 3がいずれも車両外側 (回転子キャリア 5 1 1の奥側) で接 続される構成となっている。 なおこれは、 図 4 9に示す構成に相当する。

[0477] 本構成によれば、 外側周壁 八 1 において、 巻線接続線 6 3 7との干渉を 懸念することなく冷却水通路 5 4 5を設けることができる。 また、 固定子巻 線 5 2 1 とバスバーモジュール 5 3 3とを接続する卷線接続線 6 3 7を簡易 に実現できる。

[0478] 図 7 2 (匕) の構成では、 電気モジュール 5 3 2に対するバスバーモジュ —ル 5 3 3の位置として上記 (《 1) を採用するとともに、 巻線接続線 6 3 7を案内する位置として上記 (/3 2) を採用している。 つまり、 電気モジュ —ル 5 3 2とバスバーモジュール 5 3 3とが車両外側 (回転子キャリア 5 1 1の奥側) で接続されるとともに、 固定子巻線 5 2 1 とバスバーモジュール 5 3 3とが車両内側 (回転子キャリア 5 1 1の手前側) で接続される構成と なっている。

[0479] 本構成によれば、 外側周壁 1 において、 巻線接続線 6 3 7との干渉を 懸念することなく冷却水通路 5 4 5を設けることができる。

[0480] 図 7 2 (〇) の構成では、 電気モジュール 5 3 2に対するバスバーモジュ —ル 5 3 3の位置として上記 (《 2) を採用するとともに、 巻線接続線 6 3 7を案内する位置として上記 (/3 1) を採用している。 つまり、 電気モジュ —ル 5 3 2とバスバーモジュール 5 3 3とが車両内側 (回転子キャリア 5 1 1の手前側) で接続されるとともに、 固定子巻線 5 2 1 とバスバーモジュー ル 5 3 3とが車両外側 (回転子キャリア 5 1 1の奥側) で接続される構成と なっている。

[0481 ] 図 7 2 ( ) の構成では、 電気モジュール 5 3 2に対するバスバーモジュ —ル 5 3 3の位置として上記 (《 2) を採用するとともに、 巻線接続線 6 3 7を案内する位置として上記 (/3 2) を採用している。 つまり、 電気モジュ —ル 5 3 2及びバスバーモジュール 5 3 3、 固定子巻線 5 2 1及びバスバー モジュール 5 3 3がいずれも車両内側 (回転子キャリア 5 1 1の手前側) で 接続される構成となっている。 〇 2020/175333 126 卩(:171? 2020 /006903

[0482] 図 7 2 (〇) , 図 7 2 ( の構成によれば、 バスバーモジュール 5 3 3 が車両内側 (回転子キャリア 5 1 1の手前側) に配置されることで、 仮にフ ァンモータなどの電気部品を追加しようとす る場合に、 その配線が容易とな ることが考えられる。 また、 軸受よりも車両内側に配置されるレゾルバ 6 6 0に対してバスバーモジュール 5 3 3を近づけることが可能になり、 レゾル バ 6 6 0に対する配線が容易になることも考えられ 。

[0483] (インホイールモータにおける変形例 2)

以下に、 レゾルバロータ 6 6 1の取付構造の変形例を説明する。 すなわち 、 回転軸 5 0 1、 回転子キャリア 5 1 1及び軸受 5 6 0の内輪 5 6 1は一体 的に回転する回転体であり、 その回転体に対するレゾルバロータ 6 6 1の取 付構造の変形例について以下に説明する。

[0484] 図 7 3 (3) 〜 (〇) は、 上記回転体に対するレゾルバロータ 6 6 1の取 付構造例を示す構成図である。 いずれの構成においても、 レゾルバ 6 6 0は 、 回転子キャリア 5 1 1及びインバータハウジング 5 3 1等により囲まれ、 外部からの被水や被泥等から防護された密閉 空間に設けられている。 図 7 3 (3) 〜 (〇) のうち図 7 3 (a) では、 軸受 5 6 0を、 図 4 9と同じ構成 としている。 また、 図 7 3 (匕) 、 図 7 3 (〇) では、 軸受 5 6 0を、 図 4 9とは異なる構成とし、 かつ回転子キャリア 5 1 1の端板 5 1 4から離れた 位置に配置している。 これら各図には、 レゾルバロータ 6 6 1の取付場所と してそれぞれ 2力所を例示している。 なお、 レゾルバステータ 6 6 2につい ては図示されていないが、 例えばボス形成部材 5 4 3のボス部 5 4 8をレゾ ルバロータ 6 6 1の外周側又はその付近まで延ばし、 そのボス部 5 4 8にレ ゾルバステータ 6 6 2が固定されていればよい。

[0485] 図 7 3 (a) の構成では、 軸受 5 6 0の内輪 5 6 1 にレゾルバロータ 6 6

1が取り付けられている。 具体的には、 レゾルバロータ 6 6 1が、 内輪 5 6 1のフランジ 5 6 1 13の軸方向端面に設けられているか、 又は内輪 5 6 1の 筒部 5 6 1 3の軸方向端面に設けられている。

[0486] 図 7 3 (匕) の構成では、 回転子キャリア 5 1 1 にレゾルバロータ 6 6 1 〇 2020/175333 127 卩(:171? 2020 /006903

が取り付けられている。 具体的には、 レゾルバロータ 6 6 1が、 回転子キャ リア 5 1 1 において端板 5 1 4の内面に設けられている。 又は、 回転子キャ リア 5 1 1が、 端板 5 1 4の内周縁部から回転軸 5 0 1 に沿って延びる筒部 5 1 5を有する構成において、 レゾルバロータ 6 6 1が、 回転子キャリア 5 1 1の筒部 5 1 5の外周面に設けられている。 後者の場合、 レゾルバロータ 6 6 1は、 回転子キャリア 5 1 1の端板 5 1 4と軸受 5 6 0との間に配置さ れている。

[0487] 図 7 3 (〇) の構成では、 回転軸 5 0 1 にレゾルバロータ 6 6 1が取り付 けられている。 具体的には、 レゾルバロータ 6 6 1が、 回転軸 5 0 1 におい て回転子キャリア 5 1 1の端板 5 1 4と軸受 5 6 0との間に設けられている か、 又は回転軸 5 0 1 において軸受 5 6 0を挟んで回転子キャリア 5 1 1の 反対側に配置されている。

[0488] (インホイールモータにおける変形例 3)

以下に、 インバータハウジング 5 3 1及び回転子カバー 6 7 0の変形例を 図 7 4を用いて説明する。 図 7 4 ( 3 ) 、 図 7 4 (匕) は、 回転電機 5 0 0 の構成を簡略化して示す縦断面図であり、 同図には、 既に説明した構成に同 じ符号が付されている。 なお、 図 7 4 (a) に示す構成は、 実質的に図 4 9 等で説明した構成に相当し、 図 7 4 (匕) に示す構成は、 図 7 4 ( 3 ) の構 成の _ 部を変更した構成に相当する。

[0489] 図 7 4 ( 3 ) に示す構成では、 回転子キャリア 5 1 1の開放端部に固定さ れた回転子カバー 6 7 0が、 インバータハウジング 5 3 1の外側周壁 八 1 を囲むように設けられている。 つまり、 回転子カバー 6 7 0の内径側の端面 が外側周壁 八 1の外周面に対向しており、 それら両者の間にシール材 6 7 1が設けられている。 また、 インバータハウジング 5 3 1のボス部 5 4 8の 中空部にはハウジングカバー 6 6 6が取り付けられ、 そのハウジングカバー 6 6 6と回転軸 5 0 1 との間にシール材 6 6 7が設けられている。 バスバー モジュール 5 3 3を構成する外部接続端子 6 3 2は、 インバータハウジング 5 3 1 を貫通して車両内側 (図の下側) に延びている。 \¥0 2020/175333 128 卩(:17 2020 /006903

[0490] また、 インバータハウジング 5 3 1 には、 冷却水通路 5 4 5に連通する入 口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2が形成されるとともに、 それら入口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2の通路端部を含む水路ポート 5 7 4が形成されてい る。

[0491 ] これに対して、 図 7 4 (匕) に示す構成では、 インバータハウジング 5 3

1 (詳しくはボス形成部材 5 4 3) に、 回転軸 5 0 1の突出側 (車両内側) に延びる環状の凸部 6 8 1が形成されており、 回転子カバー 6 7 0が、 イン バータハウジング 5 3 1の凸部 6 8 1 を囲むように設けられている。 つまり 、 回転子カバー 6 7 0の内径側の端面が凸部 6 8 1の外周面に対向しており 、 それら両者の間にシール材 6 7 1が設けられている。 また、 バスバーモジ ュール 5 3 3を構成する外部接続端子 6 3 2は、 インバータハウジング 5 3 1のボス部 5 4 8を貫通してボス部 5 4 8の中空領域に延びるとともに、 ハ ウジングカバー 6 6 6を貫通して車両内側 (図の下側) に延びている。

[0492] また、 インバータハウジング 5 3 1 には、 冷却水通路 5 4 5に連通する入 口通路 5 7 1及び出口通路 5 7 2が形成されており、 それら入口通路 5 7 1 及び出口通路 5 7 2は、 ボス部 5 4 8の中空領域に延び、 かつ中継配管 6 8 2を介してハウジングカバー 6 6 6よりも車両内側 (図の下側) に延びてい る。 本構成では、 ハウジングカバー 6 6 6から車両内側に延びる配管部分が 水路ポート 5 7 4となっている。

[0493] 図 7 4 ( 3 ) 、 図 7 4 (b) の各構成によれば、 回転子キャリア 5 1 1及 び回転子カバー 6 7 0の内部空間の密閉性を保持しつつ、 これら回転子キャ リア 5 1 1及び回転子カバー 6 7 0をインバータハウジング 5 3 1 に対して 好適に回転させることができる。

[0494] また特に、 図 7 4 (13) の構成によれば、 図 7 4 (a) の構成に比べて、 回転子カバー 6 7 0の内径が小さくなっている。 そのため、 電気モジュール 5 3 2よりも車両内側となる位置に、 インバータハウジング 5 3 1 と回転子 カバー 6 7 0とが軸方向に二重に設けられるようになり 電気モジュール 5 3 2にて懸念される電磁ノイズによる不都合を 制することができる。 また \¥0 2020/175333 129 卩(:17 2020 /006903

、 回転子カバー 6 7 0の内径を小さくすることによりシール材 6 7 1の摺動 径が小さくなり、 回転摺動部分における機械的ロスを抑制する ことができる

[0495] (インホイールモータにおける変形例 4)

以下に、 固定子巻線 5 2 1の変形例を説明する。 図 7 5に、 固定子巻線 5 2 1 に関する変形例を示す。

[0496] 図 7 5に示すように、 固定子巻線 5 2 1は、 横断面が矩形状をなす導線材 を用い、 その導線材の長辺が周方向に延びる向きにし て波巻により巻回され ている。 この場合、 固定子巻線 5 2 1 においてコイルサイ ドとなる各相の導 線 5 2 3は、 相ごとに所定ピッチ間隔で配置されるととも に、 コイルエンド で互いに接続されている。 コイルサイ ドにおいて周方向に隣り合う各導線 5 2 3は、 周方向の端面同士が互いに当接するか、 又は微小な間隔を隔てて近 接配置されている。

[0497] また、 固定子巻線 5 2 1では、 コイルエンドにおいて相ごとに導線材が径 方向に折り曲げられている。 より詳しくは、 固定子巻線 5 2 1 (導線材) は 、 軸方向において相ごとに異なる位置にて径方 向内側に折り曲げられており 、 これにより、 II相、 V相及び 相の各相巻線における互いの干渉が回避さ れている。 図示の構成では、 各相卷線で導線材の厚み分だけ異ならせて、 相 ごとに導線材が径方向内側に直角に折り曲げ られている。 周方向に並ぶ各導 線 5 2 3において軸方向の両端間の長さ寸法は各導 5 2 3で同じであると よい。

[0498] なお、 固定子巻線 5 2 1 に固定子コア 5 2 2を組み付けて固定子 5 2 0を 製作する際には、 固定子巻線 5 2 1 において円環状の一部を非接続として切 り離しておき (すなわち、 固定子巻線 5 2 1 を略〇字状にしておき) 、 固定 子卷線 5 2 1の内周側に固定子コア 5 2 2を組み付けた後に、 切り離し部分 を互いに接続させて固定子巻線 5 2 1 を円環状にするとよい。

[0499] 上記以外に、 固定子コア 5 2 2を周方向にて複数 (例えば 3つ以上) に分 割しておき、 円環状に形成された固定子巻線 5 2 1の内周側に、 複数に分割 〇 2020/175333 130 卩(:171? 2020 /006903

されたコア片を組み付けるようにすること も可能である。

[0500] (変形例 1 5)

次に、 本変形例における回転電機 7 0 0について説明する。 回転電機 7 0 0は、 車両の駆動用ユニッ トとして用いられる。 回転電機 7 0 0の概要を図 7 6〜図 7 8に示す。 図 7 6は、 回転電機 7 0 0の全体を示す斜視図であり 、 図 7 7は、 回転電機 7 0 0の縦断面図であり、 図 7 8は、 回転電機 7 0 0 の構成要素を分解した分解断面図である。

[0501 ] 回転電機 7 0 0は、 アウタロータ型の表面磁石型回転電機である 。 回転電 機 7 0 0は、 大別して、 回転子 7 1 0、 固定子 7 3 0、 インナユニッ ト 7 7 0及びバスバーモジュール 8 1 0を有する回転電機本体と、 その回転電機本 体を囲むように設けられるハウジング 8 3 1及びカバー 8 3 2とを備えてい る。 これら各部材はいずれも、 回転子 7 1 0に一体に設けられた回転軸 7 0 1 に対して同軸に配置されており、 所定順序で軸方向に組み付けられること で回転電機 7 0 0が構成されている。 回転子 7 1 0は、 インナユニッ ト 7 7 〇の径方向内側に設けられた一対の軸受 7 9 1 , 7 9 2に片持ち支持され、 その状態で回転可能となっている。 回転軸 7 0 1 には、 車両の車軸や車輪等 に固定される連結軸 7 0 5が一体に設けられている。

[0502] 回転電機 7 0 0において、 回転子 7 1 0及び固定子 7 3 0はそれぞれ円筒 状をなしており、 エアギャップを挟んで径方向に対向配置され ている。 回転 子 7 1 0が回転軸 7 0 1 と共に一体回転することにより、 固定子 7 3 0の径 方向外側にて回転子 7 1 0が回転する。

[0503] 図 7 9に示すように、 回転子 7 1 0は、 略円筒状の回転子キャリア 7 1 1 と、 その回転子キャリア 7 1 1 に固定された円環状の磁石ユニッ ト 7 1 2と を有している。 回転子キャリア 7 1 1は、 端板部 7 1 3と、 その端板部 7 1 3の外周部から軸方向に延びる筒部 7 1 4とを有している。 端板部 7 1 3に は貫通孔 7 1 3 3が形成されており、 その貫通孔 7 1 3 3に揷通された状態 で、 ボルト等の締結具 7 1 5により端板部 7 1 3に回転軸 7 0 1が固定され ている。 回転軸 7 0 1は、 回転子キャリア 7 1 1が固定される部分に、 軸方 〇 2020/175333 131 卩(:171? 2020 /006903

向に交差 (直交) する向きに延びるフランジ 7 0 2を有しており、 そのフラ ンジ 7 0 2と端板部 7 1 3とが面接合されている状態で、 回転軸 7 0 1 に対 して回転子キャリア 7 1 1が固定されている。

[0504] 磁石ユニッ ト 7 1 2は、 円筒状の磁石ホルダ 7 2 1 と、 その磁石ホルダ 7

2 1の内周面に固定された磁石 7 2 2と、 磁石 7 2 2の軸方向両側において 回転子キャリア 7 1 1 とは逆側に固定された円環状のエンドブレー ト 7 2 3 とを有している。 磁石ホルダ 7 2 1は、 軸方向において磁石 7 2 2と同じ長 さ寸法を有している。 磁石 7 2 2は、 磁石ホルダ 7 2 1 に径方向外側から包 囲された状態で設けられている。 また、 磁石ホルダ 7 2 1及び磁石 7 2 2は 、 軸方向両端のうち一端側が回転子キャリア 7 1 1 に当接した状態で固定さ れ、 他端側がエンドブレート 7 2 3に当接した状態で固定されている。

[0505] 回転子キャリア 7 1 1、 磁石ホルダ 7 2 1及びエンドブレート 7 2 3は、 いずれも鉄よりも比重が小さい非磁性体であ るアルミニウム又は非磁性ステ ンレス (例えば 3 11 3 3 0 4) により構成されている。 これら各部材は、 ア ルミニウム等の軽金属により構成されること が望ましいが、 これに代えて、 合成樹脂により構成されることも可能である 。 これら各部材は、 接着又は溶 接により接合されているとよい。 なお、 例えば、 磁石ホルダ 7 2 1は、 非磁 性体の複数のコアシートが軸方向に積層され ることにより構成されるもので あってもよい。 コアシートは、 例えば円環板状に打ち抜き形成されている。 また、 例えば、 磁石ホルダ 7 2 1は、 ヘリカルコア構造を有するものであっ てもよい。 ヘリカルコア構造の磁石ホルダ 7 2 1では、 帯状のコアシートが 用いられ、 このコアシートが環状に卷回形成されるとと もに軸方向に積層さ れることで、 全体として円筒状の磁石ホルダ 7 2 1が構成される。

[0506] エンドプレート 7 2 3は、 磁石ホルダ 7 2 1 よりも比重が大きい非磁性材 料で構成されている。 これにより、 回転電機 7 0 0の製造工程にてエンドプ レート 7 2 3を削ることにより、 回転軸 7 0 1の軸心を中心とした回転子 7 1 0のバランスを取る場合において、 エンドブレート 7 2 3の削り量を削減 できる。 このため、 バランス取りの作業を容易化することができ る。 〇 2020/175333 132 卩(:171? 2020 /006903

[0507] 図 8 0は、 磁石ユニッ ト 7 1 2の断面構造を拡大して示す部分断面図であ る。 図 8 0には、 磁石 7 2 2の磁化容易軸を矢印にて示している。

[0508] 磁石ユニッ ト 7 1 2において、 磁石 7 2 2は、 回転子 7 1 0の周方向に沿 って極性が交互に変わるように並べて設けら れている。 これにより、 磁石 7 2 2は、 周方向に複数の磁極を有する。 磁石 7 2 2は、 極異方性の永久磁石 であり、 固有保磁力が 4 0 0 [ 1<八/〇1 ] 以上であり、 かつ残留磁束密度巳 「が 1 . 0 [丁] 以上である焼結ネオジム磁石を用いて構成さ れている。 磁 石 7 2 2は、 磁石ホルダ 7 2 1の内周面に、 例えば接着により固定されてい る。

[0509] 磁石 7 2 2は、 周方向に隣り合う 2磁極において各磁極の中心である 軸 間を 1磁石として設けられている。 つまり、 磁石 7 2 2は、 1磁極分を 1磁 石とし、 その周方向の中心が 軸となっている。 磁石 7 2 2において径方向 内側の周面が、 磁束の授受が行われる磁束授受面 7 2 4である。 磁石 7 2 2 では、 軸側 (〇1軸寄りの部分) と 9軸側 ( 軸寄りの部分) とで磁化容易 軸の向きが相違しており、 軸側では磁化容易軸の向きが 軸に平行する向 きとなり、 軸側では磁化容易軸の向きが 軸に直交する向きとなっている 。 この場合、 磁化容易軸の向きに沿って円弧状の磁石磁路 が形成されている 。 要するに、 磁石 7 2 2は、 磁極中心である 軸の側において、 磁極境界で ある 軸の側に比べて磁化容易軸の向きが 軸に平行となるように配向がな されて構成されている。

[0510] 周方向に並べられた各磁石 7 2 2によれば、 軸での磁石磁束が強化され

、 かつ 軸付近での磁束変化が抑えられる。 これにより、 各磁極において 軸から 軸にかけての表面磁束変化がなだらかになる 磁石 7 2 2を好適に実 現できるものとなっている。 磁石 7 2 2は、 周方向の中心を 軸とする構成 に代えて、 周方向の中心を 軸とする構成であってもよい。 また、 磁石 7 2 2として、 磁極数と同じ数の磁石を用いる構成に代えて 、 円環状に繫がった 磁石を用いる構成としてもよい。

[051 1 ] 磁石 7 2 2は以下の構成であることが望ましい。 磁石 7 2 2において、 径 〇 2020/175333 133 卩(:171? 2020 /006903

方向における厚み寸法は、 軸間の磁束授受面 7 2 4の円弧長さ以下と なっており、 具体的には上記円弧長さよりも小さくなって いる。 これにより 、 磁石 7 2 2の厚みを低減でき、 磁石 7 2 2の使用量を低減できる。

[0512] また、 図 8 1 に示すように、 磁石 7 2 2において 9軸と磁束授受面 7 2 4 との交点を中心点〇 とし、 かつ磁石 7 2 2の径方向の厚み寸法を半径とす る円を、 磁石 7 2 2の磁化容易軸を定める配向円 Xとする場合に、 磁石 7 2 2が配向円 Xの四半円分を包括する構成となっている。 つまり、 磁石 7 2 2 では、 軸を横切るように円弧状の磁化容易軸が設け られており、 その磁化 容易軸のうち、 径方向において磁束授受面 7 2 4とは反対側の周面と 9軸と の交点を通る磁化容易軸、 すなわち配向円 Xを通る磁化容易軸により最も強 い磁石磁束が生じる。 この場合、 磁石 7 2 2が配向円 Xの四半円分を包括す る構成であることにより、 軸を通る磁石磁路の長さを、 配向円 Xで規定さ れる長さとして確保した上で磁石磁束を生じ させることが可能となっている

[0513] ここで、 磁石 7 2 2において、 径方向における厚み寸法が 一9軸間の磁 束授受面 7 2 4の円弧長さよりも小さくなっていると、 磁石 7 2 2よりも径 方向外側、 すなわち反固定子側への磁束漏れの懸念が生 じる。 しかしながら 、 本実施形態では、 磁石ホルダ 7 2 1が非磁性材料にて構成されていること により、 磁束漏れの影響を軽減できるものとなってい る。

[0514] また、 磁石 7 2 2には、 径方向外側の外周面に、 軸を含む所定範囲で凹 部 7 2 5が形成されているとともに、 径方向内側の内周面に、 軸を含む所 定範囲で凹部 7 2 6が形成されている。 この場合、 磁石 7 2 2の磁化容易軸 の向きによれば、 磁石 7 2 2の外周面において 軸付近で磁石磁路が短くな るとともに、 磁石 7 2 2の内周面において 9軸付近で磁石磁路が短くなる。 そこで、 磁石 7 2 2において磁石磁路長が短い場所で十分な磁 磁束を生じ させることが困難になることを考慮して、 その磁石磁束の弱い場所で磁石が 削除されている。

[0515] 磁石ホルダ 7 2 1は、 周方向に並ぶ各磁石 7 2 2の径方向外側に設けられ 〇 2020/175333 134 卩(:171? 2020 /006903

ている。 また、 周方向における各磁石 7 2 2の間と各磁石 7 2 2の径方向内 側とを含む範囲で磁石ホルダ 7 2 1が設けられていてもよい。 つまり、 磁石 7 2 2を囲むようにして磁石ホルダ 7 2 1が設けられていてもよい。 磁石ホ ルダ 7 2 1 において各磁石 7 2 2の径方向外側の部分と径方向内側の部分と を有している場合、 径方向外側の部分が径方向内側の部分よりも 高強度であ るとよい。

[0516] 磁石ホルダ 7 2 1は、 磁石 7 2 2の凹部 7 2 5内に入り込む凸部 7 2 7を 有している。 この場合、 磁石 7 2 2の凹部 7 2 5と磁石ホルダ 7 2 1の凸部 7 2 7との係合により、 磁石 7 2 2の周方向の位置ずれが抑制されるように なっている。 つまり、 磁石ホルダ 7 2 1の凸部 7 2 7は、 磁石 7 2 2の回り 止め部として機能する。 また、 磁石ホルダ 7 2 1が、 磁石 7 2 2よりも径方 向内側 (固定子 7 3 0側) となる部分を有している場合には、 当該部分に、 磁石 7 2 2の凹部 7 2 6内に入り込む凸部が設けられていてもよい

[0517] なお、 回転子キヤリア 7 1 1、 磁石ホルダ 7 2 1及びエンドブレート 7 2

3は、 回転子キヤリア 7 1 1、 磁石ホルダ 7 2 1及びエンドブレート 7 2 3 それぞれの孔に揷通されたロッ ド (不図示) の軸方向両側が溶接されること により一体化されていればよい。

[0518] なお、 図 8 0では、 周方向に隣り合う磁石 7 2 2間の間に磁石ホルダ 7 2

1が設けられる構成としたがこれに限らず、 磁石ホルダ 7 2 1が設けられな い構成としてもよい。 この場合、 周方向に隣り合う磁石 7 2 2同士が当接す ることとなる。

[0519] 次に、 固定子 7 3 0の構成を説明する。

[0520] 固定子 7 3 0は、 固定子巻線 7 3 1 と固定子コア 7 3 2とを有している。

固定子コア 7 3 2は、 磁性体である電磁鋼板からなる複数のコアシ ートが軸 方向に積層され、 かつ径方向に所定の厚さを有する円筒状をな しており、 固 定子コア 7 3 2において回転子 7 1 0側となる径方向外側に固定子巻線 7 3 1が組み付けられている。 固定子コア 7 3 2の外周面は凹凸のない曲面状を なしている。 固定子コア 7 3 2はバックヨークとして機能する。 固定子コア 〇 2020/175333 135 卩(:171? 2020 /006903

7 3 2は、 例えば円環板状に打ち抜き形成された複数の コアシートが軸方向 に積層されて構成されている。 ただし、 ヘリカルコア構造を有するものであ ってもよい。 ヘリカルコア構造の固定子コア 7 3 2では、 帯状のコアシート が用いられ、 このコアシートが環状に卷回形成されるとと もに軸方向に積層 されることで、 全体として円筒状の固定子コア 7 3 2が構成されている。

[0521 ] 固定子 7 3 0は、 軸方向において、 回転子 7 1 0における磁石 7 2 2に径 方向に対向するコイルサイ ドに相当する部分と、 そのコイルサイ ドの軸方向 外側であるコイルエンドに相当する部分とを 有している。 この場合、 固定子 コア 7 3 2は、 軸方向においてコイルサイ ドに対応する範囲で設けられてい る。

[0522] 固定子巻線 7 3 1は、 複数の相巻線を有し、 各相の相巻線が周方向に所定 順序で配置されることで円筒状 (環状) に形成されている。 固定子巻線 7 3 1の径方向内側に固定子コア 7 3 2が組み付けられている。 本例では、 II相 、 V相及び 相の相巻線を用いることで、 固定子巻線 7 3 1が 3相の相卷線 を有する構成となっている。

[0523] 次に、 インナユニッ ト 7 7 0について説明する。

[0524] 図 8 2及び図 8 3は、 インナユニッ ト 7 7 0の縦断面図である。 なお、 図

8 3には、 インナユニッ ト 7 7 0に、 回転軸 7 0 1 を支持する軸受 7 9 1 ,

7 9 2を組み付けた状態を示している。 便宜上、 以下の説明では、 軸受 7 9 1 を第 1軸受 7 9 1 ( 「基端側軸受」 に相当) 、 軸受 7 9 2を第 2軸受 7 9 2 ( 「縮径側軸受」 に相当) とも称する。 第 1軸受 7 9 1は、 回転軸 7 0 1 の軸方向において基端側、 すなわち連結軸 7 0 5側に設けられた軸受であり 、 第 2軸受 7 9 2は、 回転軸 7 0 1の先端側に設けられた軸受である。

[0525] インナユニッ ト 7 7 0は、 インナハウジング 7 7 1 を有している。 インナ ハウジング 7 7 1は、 円筒状をなす外筒部材 7 7 2と、 外周径が外筒部材 7 7 2よりも小径の円筒状をなし、 外筒部材 7 7 2の径方向内側に配置される 内筒部材 7 7 3と、 これら外筒部材 7 7 2及び内筒部材 7 7 3の軸方向一端 側に固定される略円板状の端板 7 7 4とを有している。 これら各部材 7 7 2 〇 2020/175333 136 卩(:171? 2020 /006903

〜 7 7 4は、 導電性材料により構成されているとよく、 例えば炭素繊維強化 プラスチック により構成されている。 外筒部材 7 7 2と端板 7 7 4とは同一の外形寸法を有しており、 これら外筒部材 7 7 2及び端板 7 7 4により形成された空間内に内筒部材 7 7 3が設けられている。 内筒部材 7 7 3は、 ボルト等の締結具 7 7 5により外筒部材 7 7 2及び端板 7 7 4に対 してそれぞれ固定されている。

[0526] インナハウジング 7 7 1の外筒部材 7 7 2の径方向外側には固定子コア 7

3 2が固定される。 これにより、 固定子 7 3 0とインナユニッ ト 7 7 0とが —体化されるようになっている。

[0527] 外筒部材 7 7 2及び内筒部材 7 7 3の間には、 冷却水等の冷媒を流通させ る冷媒通路 7 7 7が形成されている。 冷媒通路 7 7 7は、 インナハウジング

7 7 1の周方向に環状に設けられている。 図示は省略するが、 冷媒通路 7 7 7には冷媒配管が接続されており、 その冷媒配管から流入する冷媒が冷媒通 路 7 7 7内で熱交換した後、 再び冷媒配管に流出するようになっている。

[0528] 内筒部材 7 7 3の径方向内側には環状空間が形成されてお 、 その環状空 間に、 例えば電力変換器としてのインバータを構成 する電気部品が配置され るとよい。 電気部品は、 例えば半導体スイッチング素子やコンデンサ をパッ ケージ化した電気モジュールである。 内筒部材 7 7 3に当接した状態で電気 モジュールを配置することにより、 冷媒通路 7 7 7を流れる冷媒により電気 モジュールが冷却されるようになっている。

[0529] 外筒部材 7 7 2は、 内筒部材 7 7 3よりも径方向内側に円筒状のボス部 7

8 0を有している。 ボス部 7 8 0は、 中空筒状に設けられており、 その中空 部に回転軸 7 0 1が揷通されるようになっている。 ボス部 7 8 0は、 軸受 7 9 1 , 7 9 2を保持する軸受保持部となっており、 その中空部に軸受 7 9 1 , 7 9 2が固定されている。 本実施形態において、 軸受 7 9 1 , 7 9 2は、 筒状の内輪と、 内輪の径方向外側に配置された筒状の外輪と 、 それら内輪及 び外輪の間に配置された複数の玉とを有する ラジアル玉軸受であり、 外輪が ボス部 7 8 0に固定されることで、 インナユニッ ト 7 7 0に組み付けられて 〇 2020/175333 137 卩(:171? 2020 /006903

いる。

[0530] ボス部 7 8 0の中空部には、 第 1軸受 7 9 1 を固定する第 1固定部 7 8 1 ( 「基端側固定部」 に相当) と、 第 2軸受 7 9 2を固定する第 2固定部 7 8 2 ( 「縮径側固定部」 に相当) とが設けられている。 第 1軸受 7 9 1及び第 2軸受 7 9 2は、 回転子 7 1 0の振動や遠心荷重を考慮して、 回転軸 7 0 1 における支持位置に応じて体格が異なってお り、 回転軸 7 0 1の基端側を支 持する第 1軸受 7 9 1の方が大きいサイズの軸受、 すなわち支持荷重の大き い軸受となっている。 そのため、 第 1固定部 7 8 1は、 第 2固定部 7 8 2に 比べて大径に形成されている。

[0531 ] また、 第 1軸受 7 9 1 と第 2軸受 7 9 2とを比べると、 第 1軸受 7 9 1は 、 第 2軸受 7 9 2に比べて径方向の内部隙間、 すなわちラジアル隙間が大き いものとなっている。 なお、 ラジアル隙間は、 軸受の内輪と外輪と玉との軸 方向の遊び量である。 ここで、 第 1軸受 7 9 1は、 第 2軸受 7 9 2に比べて 回転子 7 1 0の振動や遠心荷重を受けやすい軸受であり その第 1軸受 7 9 1のラジアル隙間を大きくすることにより、 荷重吸収の効果が高められる。 これにより、 回転軸 7 0 1の基端部側においてボス部 7 8 0に作用する荷重 が低減され、 回転軸 7 0 1の先端側における振れが抑制されるように って いる。

[0532] 第 1固定部 7 8 1は、 ボス部 7 8 0において軸方向に平行な平行面 7 8 1

3と、 軸方向に直交する直交面 7 8 1 匕とにより形成されており、 これら各 面に当接した状態で第 1軸受 7 9 1が固定されている。 また、 第 2固定部 7 8 2は、 ボス部 7 8 0において軸方向に平行な平行面 7 8 2 3と、 軸方向に 直交する直交面 7 8 2匕とにより形成されており、 これら各面に当接した状 態で第 2軸受 7 9 2が固定されている。 なお、 第 2固定部 7 8 2と第 3固定 部 7 8 3との段差と、 第 2軸受 7 9 2との間に、 第 2軸受 7 9 2に予圧を付 与する図示しないパネが設けられていてもよ い。

[0533] また、 ボス部 7 8 0の中空部には、 第 1固定部 7 8 1 と第 2固定部 7 8 2 とのうち第 2固定部 7 8 2の側に、 回転センサとしてのレゾルバ 8 0 0を固 〇 2020/175333 138 卩(:171? 2020 /006903

定する第 3固定部 7 8 3 ( 「拡径側固定部」 に相当) が設けられている。 第 3固定部 7 8 3は、 第 2固定部 7 8 2を段差状に拡径させることで形成され ている。

[0534] 図 7 7に示すように、 レゾルバ 8 0 0は、 回転軸 7 0 1 に固定されるレゾ ルバロータ 8 0 1 と、 そのレゾルバロータ 8 0 1の径方向外側に対向配置さ れたレゾルバステータ 8 0 2とを備えている。 レゾルバロータ 8 0 1は、 円 板リング状をなしており、 回転軸 7 0 1 を揷通させた状態で、 回転軸 7 0 1 に同軸に設けられている。 レゾルバステータ 8 0 2は、 不図示のステータコ アとステータコイルとを有し、 ボス部 7 8 0の第 3固定部 7 8 3に固定され ている。

[0535] 図 8 2に示すように、 ボス部 7 8 0の中空部には、 軸方向において第 1固 定部 7 8 1 と第 2固定部 7 8 2との間となる位置に、 これら各固定部 7 8 1 , 7 8 2よりも小径の縮径部 7 8 4 , 7 8 5が設けられている。 縮径部 7 8 4は第 1固定部 7 8 1 よりも径の小さい孔であり、 縮径部 7 8 5は第 2固定 部 7 8 2よりも径の小さい孔である。 また、 レゾルバ 8 0 0を固定する第 3 固定部 7 8 3は、 第 2固定部 7 8 2よりも軸方向外側となる位置、 換言すれ ば回転軸 7 0 1の先端側となる位置に、 第 2固定部 7 8 2よりも拡径された 部位として設けられている。 第 2固定部 7 8 2と第 3固定部 7 8 3とは、 軸 方向に隣り合う位置に設けられている。

[0536] この場合、 外筒部材 7 7 2において中ぐり加工等により孔加工を行う に 、 第 2固定部 7 8 2と第 3固定部 7 8 3とを同一方向から同軸で連続加工す ることが可能となる。 そのため、 第 2固定部 7 8 2に固定される第 2軸受 7 9 2と第 3固定部 7 8 3に固定されるレゾルバステータ 8 0 2との同軸度が 高められ、 ひいてはレゾルバロータ 8 0 1 とレゾルバステータ 8 0 2との同 軸度が高められることとなる。 この場合、 レゾルバロータ 8 0 1 に対するレ ゾルバステータ 8 0 2の振れが低減され、 ひいてはレゾルバ 8 0 0における 角度検出誤差が低減される。

[0537] 次に、 バスバーモジユール 8 1 0について説明する。 バスバーモジユール 〇 2020/175333 139 卩(:171? 2020 /006903

8 1 0は、 各相の固定子巻線 7 3 1 を電気的に接続する卷線接続部材である 。 バスバーモジユール 8 1 0は、 円環状をなしている。

[0538] 以上説明した本実施形態によれば、 以下の効果が得られる。

[0539] 第 3固定部 7 8 3と第 2固定部 7 8 2とが軸方向において隣り合っている 。 この構成によれば、 回転軸 7 0 1のうち、 第 2軸受 7 9 2による支持部と 、 レゾルバロータ 8 0 1の固定部との軸方向距離を短くすることが き、 回 転軸 7 0 1の振れを低減できる。 その結果、 レゾルバステータ 8 0 2に対す るレゾルバロータ 8 0 1の振れを低減でき、 回転子 7 1 0の回転位置の検出 精度を向上させることができる。

[0540] また、 第 2固定部 7 8 2と第 3固定部 7 8 3とが軸方向において隣り合っ ている構成は、 ボス部 7 8 0において、 軸方向において端板 7 7 4と対向す る側から中ぐり加工等により孔加工を行う際 に、 第 2固定部 7 8 2と第 3固 定部 7 8 3とを同一方向から同軸で連続加工すること できる。 このため、 第 2軸受 7 9 2とレゾルバステータ 8 0 2との同軸度を高めることができる 。 これにより、 レゾルバロータ 8 0 1 とレゾルバステータ 8 0 2との同軸度 を高めることができ、 レゾルバステータ 8 0 2に対するレゾルバロータ 8 0 1の振れを低減できる。 その結果、 回転位置の検出精度の向上効果をより高 めることができる。

[0541 ] 回転軸 7 0 1のうち軸方向において第 1軸受 7 9 1側にカップ状の回転子

7 1 0が固定されている。 このため、 第 1軸受 7 9 1は、 第 2軸受 7 9 2に 比べて回転子の振動や遠心荷重を受けやすい 。 ここで、 第 1軸受 7 9 1及び 第 2軸受 7 9 2としてラジアル玉軸受が用いられ、 第 2軸受 7 9 2よりも第 1軸受 7 9 1のラジアル隙間が大きくされている。 この構成によれば、 回転 子 7 1 0の荷重吸収の効果が高めることができ、 ボス部 7 8 0のうち、 第 1 軸受 7 9 1側に作用する荷重を低減できる。 これにより、 回転軸 7 0 1のう ち第 2軸受 7 9 2による支持部の振れを低減でき、 レゾルバステータ 8 0 2 に対するレゾルバロータ 8 0 1の振れを低減できる。 その結果、 回転位置の 検出精度の向上効果をより高めることができ る。 〇 2020/175333 140 卩(:171? 2020 /006903

[0542] 磁石ホルダ 7 2 1が非磁性材料にて構成されている。 このため、 回転子 7

1 0の軽量化を図ることができ、 回転軸 7 0 1の振れを低減できる。 その結 果、 レゾルバステータ 8 0 2に対するレゾルバロータ 8 0 1の振れを低減で き、 回転位置の検出精度の向上効果をより高める ことができる。

[0543] ここで、 磁石 7 2 2において 9軸と磁束授受面 7 2 4との交点を中心点〇 とし、 磁石 7 2 2の径方向の厚み寸法を半径とする円を配向 Xとする。 この場合において、 磁石 7 2 2が配向円 Xの四半円分を包括する構成となつ ている。 この構成によれば、 磁石 7 2 2において、 配向円 Xを通る磁化容易 軸により最も強い磁石磁束が生じる。 この最も強い磁石磁束の磁路が磁石ホ ルダ 7 2 1側に形成されることを回避でき、 磁石 7 2 2から磁石ホルダ 7 2 1への磁束漏れの抑制効果を高めることがで る。 このように、 本実施形態 によれば、 回転電機 7 0 0のトルクの低下を抑制しつつ、 回転位置の検出精 度を向上させることができる。

[0544] (変形例 1 6)

以下、 変形例 1 6について、 変形例 1 5との相違点を中心に説明する。 図 8 4に示すように、 第 3固定部 7 8 3のうち、 軸方向においてレゾルバステ —夕 8 0 2よりも開口側の内周面には、 円環状のカバー部材 8 0 3が固定さ れている。 この構成によれば、 1つのカバー部材 8 0 3により、 レゾルバ 8 0 0及び第 2軸受 7 9 2を異物から保護することができる。

[0545] (他の変形例)

-変形例 1 5 , 1 6において、 レゾルバステータ 8 0 2が第 2固定部 7 8 2に固定され、 第 2軸受 7 9 2が第 3固定部 7 8 3に固定されていてもよい

[0546] 変形例 1 5 , 1 6における磁石としては、 図 8 0及び図 8 1 に示したも のに限らず、 例えばハルバッハ配列のものが用いられても よい。

[0547] 変形例 1 5 , 1 6の構成を、 アウタロータ型の回転電機に代えて、 イン ナロータ型の回転電機に適用してもよい。

[0548] 例えば図 5 0に示すように、 回転電機 5 0 0では、 冷却水通路 5 4 5の 〇 2020/175333 141 卩(:171? 2020 /006903

入口通路 5 7 1 と出口通路 5 7 2とが一力所にまとめて設けられているが、 この構成を変更し、 入口通路 5 7 1 と出口通路 5 7 2とが周方向に異なる位 置にそれぞれ設けられていてもよい。 例えば、 入口通路 5 7 1 と出口通路 5 7 2とを周方向に 1 8 0度異なる位置に設ける構成や、 入口通路 5 7 1及び 出口通路 5 7 2の少なくともいずれかを複数設ける構成で ってもよい。

[0549] 上記実施形態の車輪 4 0 0では、 回転電機 5 0 0の軸方向の片側に回転 軸 5 0 1 を突出させる構成としたが、 これを変更し、 軸方向の両方に回転軸 5 0 1 を突出させる構成としてもよい。 これにより、 例えば車両前後の少な くとも一方が 1輪となる車両において好適な構成を実現で る。

[0550] 車輪 4 0 0に用いられる回転電機 5 0 0として、 インナロータ式の回転 電機を用いることも可能である。

[0551 ] 回転電機としては、 星形結線のものに限らず、 △結線のものであっても よい。

[0552] この明細書における開示は、 例示された実施形態に制限されない。 開示は 、 例示された実施形態と、 それらに基づく当業者による変形態様を包含 する 。 例えば、 開示は、 実施形態において示された部品および/また 要素の組 み合わせに限定されない。 開示は、 多様な組み合わせによって実施可能であ る。 開示は、 実施形態に追加可能な追加的な部分をもつこ とができる。 開示 は、 実施形態の部品および/または要素が省略さ たものを包含する。 開示 は、 ひとつの実施形態と他の実施形態との間にお ける部品および/または要 素の置き換え、 または組み合わせを包含する。 開示される技術的範囲は、 実 施形態の記載に限定されない。 開示されるいくつかの技術的範囲は、 請求の 範囲の記載によって示され、 さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範 囲 内での全ての変更を含むものと解されるべき である。

[0553] 本開示は、 実施例に準拠して記述されたが、 本開示は当該実施例や構造に 限定されるものではないと理解される。 本開示は、 様々な変形例や均等範囲 内の変形をも包含する。 加えて、 様々な組み合わせや形態、 さらには、 それ らに一要素のみ、 それ以上、 あるいはそれ以下、 を含む他の組み合わせや形 \¥0 2020/175333 142 卩(:17 2020 /006903

態をも、 本開示の範疇や思想範囲に入るものである。




 
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