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Patent Searching and Data


Title:
RUBBER COMPOSITION FOR BELT, AND RUBBER BELT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105415
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a rubber composition for a belt, which is suitable for an industrial rubber belt having less energy loss and excellent durability including flex crack growth resistance. Specifically disclosed is a rubber composition for a belt, which comprises: 90 to 5 mass% of a vinyl-cis-polybutadiene rubber (A) comprising 1 to 30 mass% of a specific syndiotactic-1,2-polybutadiene crystal fiber (b) and 99 to 70 mass% of a cis-polybutadiene rubber (a), wherein the syndiotactic-1,2-polybutadiene crystal fiber (b) has an average fiber length of 200 nm or less and an average fiber aspect ratio of 10 or less, contains crystal fibers having fiber length of 200 nm or less at a density of 90 fibers or more per 25 μm2, and has a melting point of 170°C or higher; 10 to 95 mass% of a diene rubber (B) which is different from the component (A); and a rubber reinforcing agent (C) in an amount of 20 to 70 parts by mass relative to 100 parts by mass of the total amount of the rubber components (A) and (B), wherein the rubber reinforcing agent (C) comprises at least carbon black and silica, and the content of silica in the rubber reinforcing agent (C) is 70 mass% or less.

Inventors:
OKAMOTO NAOMI (JP)
WADA TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053314
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UBE INDUSTRIES (JP)
OKAMOTO NAOMI (JP)
WADA TAKASHI (JP)
International Classes:
C08L9/00; C08F4/70; C08F36/06; C08K3/00; C08L21/00
Domestic Patent References:
WO2008007733A12008-01-17
WO2006052035A12006-05-18
Foreign References:
JP2007119743A2007-05-17
JP2007002057A2007-01-11
JP2006249299A2006-09-21
JP2004346220A2004-12-09
JP2007031568A2007-02-08
JP2006249298A2006-09-21
JP2006022246A2006-01-26
JP2006022243A2006-01-26
JP2006022243A2006-01-26
JP2006022245A2006-01-26
JP2004346220A2004-12-09
Other References:
See also references of EP 2116569A4
Attorney, Agent or Firm:
ITAMI, Masaru et al. (Suite 4A2-5, Kanda-Surugadai,Chiyoda-ku, Tokyo 62, JP)
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Claims:
 結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下であり、アスペクト比の平均が10以下、及び繊維長200nm以下の結晶繊維数が25μm 2 当たり90以上であり、かつ融点が170℃以上である特定のシンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)1~30質量%、及びシス-ポリブタジエンゴム(a)99~70質量%のビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)90~5質量%と、(A)以外のジエン系ゴム(B)10~95質量%とからなるゴム成分(A)+(B)100質量部に対しゴム補強剤(C)20~70質量部を配合してなり、
 前記ゴム補強剤(C)が少なくともカーボンブラック及びシリカを含み、ゴム補強剤中におけるシリカの配合量が70質量%以下であることを特徴とすることを特徴とするベルト用ゴム組成物。
数1に示すδHが、0.1以下であることを特徴とする請求項1記載のベルト用ゴム組成物。
 該ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)が下記(イ)乃至(ニ)の特性を有することを特徴とする請求項1又は2記載のベルト用ゴム組成物。
(イ)1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)の分子量指標ηsp/cが0.5~4の範囲にあること。
(ロ)シス-ポリブタジエンゴム(a)のミクロ構造中のシス構造含有量が90mol%以上であること。
(ハ)シス-ポリブタジエンゴム(a)のトルエン溶液粘度とムーニー粘度の関係がT-cp/ML≧1であること。
(ニ)シス-ポリブタジエンゴム(a)の固有粘度[η]の値が1.0~5.0の範囲にあること。
 (A)以外のジエン系ゴム(B)が、天然ゴム及びポリイソプレンの少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のベルト用ゴム組成物。
 請求項1乃至4いずれか記載のベルト用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とするゴムベルト。
Description:
ベルト用ゴム組成物及びゴムベ ト

 本発明は、軽量で、エネルギーロスが小 く、耐屈曲亀裂成長性や低発熱性等の耐久 に優れ、加工性・基本特性・耐久性・省エ 特性等の各物性バランスが良好である工業 ゴムベルトに好適なベルト用ゴム組成物及 ゴムベルトに関する。

 一般に工業用ゴムベルトは、動力を伝達 る伝導ベルトと物を運搬するコンベヤベル に大別され、ゴム素材としては、例えば、 然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン・ タジエンゴム、エチレンプロピレンジエン ム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化 リエチレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニ リルゴムなどが用いられている。

 ゴムベルトに用いられるゴム組成物は、 張強度の大きいこと、適度な硬度で柔軟性 弾性を持ち屈曲性が大きいこと、耐衝撃性 大きいことなどが要求され、さらに、省エ ルギ-化や軽量化も求められている。これら の要求を満たすため、無機補強剤や短繊維等 での補強が提案されている。短繊維での補強 を図るものとしては、例えば特許文献1に、 然ゴムと結晶性シンジオタクチック-1,2-ポリ ブタジエン樹脂を含むブタジエンゴム(ビニ ・シス-ポリブタジエンゴムともいう)とを配 合することにより、高破断強度、耐摩耗性等 の基本物性を維持しつつ、コンベヤベルトに したときの消費電力が低減されたコンベヤベ ルト用ゴム組成物が開示されている。

特開2004-346220号公報

 しかしながら硬度や引張応力、破断強度 耐摩耗性等を大きくするため、カーボンブ ック等の無機補強剤を増量すると、動的発 が大きくなってしまい、さらに、配合物の 重が大きくなるため軽量化にふさわしくな という問題がある。一方、特許文献1に記載 のゴム組成物では、マトリックス成分である ブタジエンゴム中への1,2-ポリブタジエン短 維結晶の極微細分散が十分でないため、加 性、引張応力、引張強さ及び耐屈曲亀裂成 性などの点で必ずしも十分な効果を得られ いという問題がある。

 そこで、上記の課題を解決するため、本 明は、軽量で、エネルギーロスが小さく、 屈曲亀裂成長性や低発熱性等の耐久性に優 、加工性・基本特性・耐久性・省エネ特性 の各物性バランスが良好である工業用ゴム ルトに好適なベルト用ゴム組成物及びゴム ルトを提供することを目的とする。

 上記の目的を達成するため、本発明者らは 鋭意研究を重ねた結果、所定のビニル・シ -ポリブタジエンゴムにゴム補強剤としてカ ーボンブラック及びシリカを配合し、補強剤 におけるシリカの配合量を70質量%以下とする ことによって、エネルギーロスが小さく、耐 屈曲亀裂成長性等の耐久性に優れた工業用ゴ ムベルトを提供できることを見出した。すな わち、本発明は、結晶繊維の繊維長の平均が 200nm以下であり、アスペクト比の平均が10以 、及び繊維長200nm以下の結晶繊維数が25μm 2 当たり90以上であり、かつ融点が170℃以上で る特定のシンジオタクチック-1,2-ポリブタ エン結晶繊維(b)1~30質量%、及びシス-ポリブ ジエンゴム(a)99~70質量%のビニル・シス-ポリ タジエンゴム(A)90~5質量%と、(A)以外のジエ 系ゴム(B)10~95質量%とからなるゴム成分(A)+(B)1 00質量部に対しゴム補強剤(C)20~70質量部を配 してなり、前記ゴム補強剤(C)が少なくとも ーボンブラック及びシリカを含み、ゴム補 剤中におけるシリカの配合量が70質量%以下 あることを特徴とすることを特徴とするベ ト用ゴム組成物である。また、本発明に係 ゴムベルトは、ベルト用ゴム組成物をゴム 材として用いる。

 本発明によれば、エネルギーロスが小さ 、耐屈曲亀裂成長性等の耐久性に優れ、加 性・基本特性・耐久性・省エネ特性等の各 性バランスが良好である工業用ゴムベルト 好適なベルト用ゴム組成物及びゴムベルト 提供することができる。

 本発明に係るベルト用ゴム組成物をなす ニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)は、一般 に次のような構成となっている。即ち、融点 が170℃以上であるシンジオタクチック-1,2-ポ ブタジエン(以下、「1,2-ポリブタジエン」 する)結晶繊維(b)1~30質量%、及びシス-ポリブ ジエンゴム(a)99~70質量%からなる。

 上記1,2-ポリブタジエンの結晶繊維(b)として は、結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下、好 しくは150nm以下であり、また、平均のアス クト比が10以下、好ましくは4以下であり、 維長200nm以下の結晶繊維数が25μm 2 当たり90以上、好ましくは100以上であり、か 融点が170℃以上、好ましくは190~220℃である 。

 本発明に係るベルト用ゴム組成物を構成 るビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)は、 マトリックス成分である上記シス-ポリブタ エンゴム(a)中に、繰り返し単位当たり少な とも1個の不飽和二重結合を有する不飽和高 子物質(c)が1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)に 吸着した状態で分散していることが好ましい 。ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)の沸 n-ヘキサン不溶分は、1,2-ポリブタジエン結 繊維(b)と不飽和高分子物質(c)の一部又は全 であり、赤外吸収スペクトル分析により1,2- リブタジエン結晶繊維への不飽和高分子物 (c)の吸着割合(グラフト率)が算出できる。1, 2-ポリブタジエン結晶繊維(b)への不飽和高分 物質(c)の吸着割合(グラフト率)は5~200質量% 好ましくは10~120質量%、特に好ましくは20~90 量%である。この範囲内であることは、シン オタクチック-1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b )分散性を向上させて、ビニル・シス-ポリブ ジエンゴムに生じうる諸物性の低下を抑制 る効果があるので好ましい。なお、沸騰n- キサン不溶分は、2gのビニル・シスポリブタ ジエンゴム(A)を200mlのn-ヘキサンにて4時間ソ クスレー法によって沸騰抽出した抽出残部 質量%で示した値である。

 上記シス-ポリブタジエンゴム(a)は、高シス -1,4-ポリブタジエンそのもの及び高シス-1,4構 造を主要な構造とするポリブタジエンの少な くとも1以上を主成分とするものである。ま 、シス-ポリブタジエンゴムは、以下の特性 有することが望ましい。即ち、シス-1,4構造 含有率が一般に90mol%以上、好ましくは95mol%以 上であり、ムーニー粘度(ML 1+4 ,100℃。以下、「ML」という。)が10~130、好ま くは15~80であり、トルエン溶液粘度(以下、 T-cp」という。)が10~200cp、好ましくは10~150cp あり、実質的にゲル分を含有しないことが ましい。

 前記ビニル・シス-ポリブタジエンゴムに おいて、上記1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b) 上記シス-ポリブタジエンゴム(a)の割合は、 ス-ポリブタジエンゴム(a)99~70質量%に対して 1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)が1~30質量%であ る。1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)の割合が 記を超える場合、シス-ポリブタジエンゴム( a)中の1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)の短繊維 結晶が大きくなりやすく、その分散性が悪く なるので好ましくない。また、1,2-ポリブタ エン結晶繊維(b)の割合が上記未満の場合、1, 2-ポリブタジエン結晶繊維(b)による補強性が 下し、特長となる加工性、引張応力、引張 さ及び耐屈曲亀裂成長性などの優れた特性 発現し難くなるので好ましくない。上記不 和高分子物質(c)の割合は、ビニル・シス-ポ リブタジエンゴム(A)の0.1~30質量%、好ましく 1~20質量%である。この範囲内であることは、 1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)の分散性を向 させて、ビニル・シス-ポリブタジエンゴム 生じうる諸物性の低下を抑制する効果があ ので好ましい。

 前記ビニル・シス-ポリブタジエンゴムは 、例えば以下の製造方法により好適に製造さ れる。

 前記ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A) の製造においては、一般に炭化水素系溶媒を 用いて1,3-ブタジエンの重合を行う。この炭 水素系溶媒としては、溶解度パラメーター( 下、「SP値」という。)が9.0以下である炭化 素系溶媒が好ましく、更に好ましくは8.5以 の炭化水素系溶媒である。SP値が9.0以下で る炭化水素系溶媒としては、例えば、脂肪 炭化水素又は脂環族炭化水素であるn-ヘキサ ン(SP値:7.2)、n-ペンタン(SP値:7.0)、n-オクタン( SP値:7.5)、シクロヘキサン(SP値:8.1)、及びn-ブ ン(SP値:6.6)などが挙げられる。中でも、シ ロヘキサンなどが好ましく用いられる。

 これらの溶媒のSP値は、ゴム工業便覧(第 版、社団法人日本ゴム協会、平成6年1月20日 発行、721頁)などの文献で公知である。

 SP値が9.0よりも小さい溶媒を使用するこ で、マトリックス成分であるシス-ポリブタ エンゴム中への1,2-ポリブタジエン短繊維結 晶の分散性が向上し、その結果得られるビニ ル・シス-ポリブタジエンゴムは、加工性、 張応力、引張強さ及び耐屈曲亀裂成長性な の優れた特性を発現することができる。

 前記ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A) の製造においては、まず、1,3-ブタジエンと 記炭化水素系溶媒とを混合し、次いで、得 れた溶液中の水分の濃度を調節する。水分 、前記溶液中の、シス-1,4重合触媒として用 られる後記有機アルミニウム化合物1モル当 たり、好ましくは0.1~1.0モル、特に好ましく 0.2~1.0モルの範囲である。この範囲では、充 な触媒活性が得られ、好適なシス-1,4構造含 有率及び分子量が得られる。さらに、重合時 のゲルの発生が抑制されるため重合槽などへ のゲルの付着を防ぐことができ、連続重合時 間を延ばすことができるので好ましい。水分 の濃度を調節する方法は、公知の方法が適用 できる。多孔質濾過材を通して添加・分散さ せる方法(特開平4-85304号公報)も有効である。

 水分の濃度を調節して得られた上記溶液に 、シス-1,4重合触媒の一つとして、有機アル ミニウム化合物を添加する。有機アルミニウ ム化合物としては、一般式AlR n X 3-n で表される化合物が好ましく用いられる。そ の具体例として、ジエチルアルミニウムモノ クロライド、ジエチルアルミニウムモノブロ マイド、ジイソブチルアルミニウムモノクロ ライド、ジシクロヘキシルアルミニウムモノ クロライド、ジフェニルアルミニウムモノク ロライド、及びジエチルアルミニウムセスキ クロライドなどが好適である。有機アルミニ ウム化合物の使用量としては、1,3-ブタジエ の全量1モル当たり0.1ミリモル以上が好まし 、0.5~50ミリモルであることがより好ましい

 次いで、有機アルミニウム化合物を添加 た混合溶液に、シス-1,4重合触媒として、可 溶性コバルト化合物を添加して、1,3-ブタジ ンをシス-1,4重合する。可溶性コバルト化合 としては、用いる炭化水素系溶媒又は液体1 ,3-ブタジエンに可溶なものであるか、又は、 均一に分散できる、例えばコバルト(II)アセ ルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセ トナートなどコバルトのβ-ジケトン錯体、コ バルトアセト酢酸エチルエステル錯体などコ バルトのβ-ケト酸エステル錯体、コバルトオ クトエート、コバルトナフテネート、コバル トベンゾエートなど炭素数6以上の有機カル ン酸コバルト塩、塩化コバルトピリジン錯 、塩化コバルトエチルアルコール錯体など ハロゲン化コバルト錯体などが好適である 可溶性コバルト化合物の使用量は、1,3-ブタ エンの1モル当たり0.001ミリモル以上が好ま く、0.005ミリモル以上であることがより好 しい。また、可溶性コバルト化合物に対す 有機アルミニウムクロライドのモル比(Al/Co) 10以上であり、特に50以上であることが好ま しい。また、可溶性コバルト化合物以外にも 、ニッケルの有機カルボン酸塩、ニッケルの 有機錯塩、有機リチウム化合物、ネオジウム の有機カルボン酸塩、及びネオジウムの有機 錯塩を使用することも可能である。

 シス-1,4重合の温度は、0℃を超えて100℃ 下、好ましくは10~100℃、更に好ましくは20~10 0℃までの範囲である。重合時間(平均滞留時 )は、10分~2時間の範囲が好ましい。シス-1,4 合後のポリマー濃度が5~26質量%となるよう 、シス-1,4重合を行うことが好ましい。重合 は、1槽又は2槽以上の槽を連結して行われ 。重合は、重合槽(重合器)内にて溶液を攪拌 混合して行う。重合に用いる重合槽としては 、高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特 公昭40-2645号公報に記載された装置を用いる とができる。

 前記ビニル・シス-ポリブタジエンゴムの 製造において、シス-1,4重合時に、公知の分 量調節剤、例えばシクロオクタジエン、ア ン、メチルアレン(1,2-ブタジエン)などの非 役ジエン類、又はエチレン、プロピレン、 テン-1などのα-オレフィン類を使用すること ができる。また、重合時のゲルの生成を更に 抑制するために、公知のゲル化防止剤を使用 することができる。また、重合生成物のシス -1,4構造含有率は、80mol%以上、好ましくは90mol %以上で、ムーニー粘度は、10~130、好ましく 15~80であり、実質的にゲル分を含有しないよ うにする。

 上記の如くして得られたシス-1,4重合反応混 合物に、シンジオタクチック-1,2重合(以下、 1,2重合」という。)触媒として、少なくとも 一般式AlR 3 で表せる有機アルミニウム化合物及び、必要 に応じて上記の可溶性コバルト化合物及び二 硫化炭素を添加して、これらの存在下、1,3- タジエンを1,2重合させて、ビニル・シス-ポ ブタジエンゴムを製造する。この際、前記 合反応混合物に1,3-ブタジエンを添加しても よいし、添加せずに未反応の1,3-ブタジエン 反応させてもよい。一般式AlR 3 で表せる有機アルミニウム化合物としては、 トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミ ニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ n-ヘキシルアルミニウム、及びトリフェニル ルミニウムなどを好適に挙げることができ 。有機アルミニウム化合物は、1,3-ブタジエ ン1モル当たり0.1ミリモル以上、特に0.5~50ミ モル以上が好ましい。二硫化炭素は、特に 定されないが、水分を含まないものである とが好ましい。二硫化炭素の濃度は、20ミリ モル/L以下、特に好ましくは0.01~10ミリモル/L ある。二硫化炭素の代替として、公知のイ チオシアン酸フェニルやキサントゲン酸化 物を使用してもよい。

 1,2重合の温度は、-5~100℃、好ましくは-5~7 0℃、更に好ましくは0~50℃の温度範囲である 1,2重合を行う際の重合系には、前記のシス- 1,4重合反応混合物100質量部当たり1~50質量部 好ましくは1~20質量部の1,3-ブタジエンを添加 することにより、1,2重合時の1,2-ポリブタジ ンの収量を増大させることができる。重合 間(平均滞留時間)は、10分~2時間の範囲が好 しい。1,2重合後のポリマー濃度が9~29質量%と なるように、1,2重合を行うことが好ましい。 重合槽は、1槽又は2槽以上の槽を連結して行 れる。重合は、重合槽(重合器)内にて重合 液を攪拌混合して行う。1,2重合に用いる重 槽としては、1,2重合中に更に高粘度となり リマーが付着しやすいので、高粘度液攪拌 置付きの重合槽、例えば特公昭40-2645号公報 記載された装置を用いることができる。

 上記のようにシス-1,4重合、次いで1,2重合 を行ってビニル・シス-ポリブタジエンゴム 製造するにあたり、繰り返し単位当たり少 くとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和 分子物質(c)を、ビニル・シス-ポリブタジエ ンゴムの製造系内に添加する工程を含むこと が好ましい。ビニル・シス-ポリブタジエン ム製造後、例えば配合時に、前記不飽和高 子物質を添加しても本願発明の効果は得ら ない。前記不飽和高分子物質の製造系内へ 添加は、前記シス-1,4重合を行う前から、前 1,2重合を行う際までの間の任意の時点で重 反応混合物中に添加することが好ましく、 ス-1,4重合の前及び/又は後に添加するのが らに好ましく、前記1,2重合を行うときに添 することがより好ましい。

 前記不飽和高分子物質(c)としては、ポリ ソプレン、融点170℃未満の結晶性ポリブタ エン、液状ポリブタジエン、及びそれらの 導体から選ばれた少なくとも1種であること が好ましい。

 ポリイソプレンとしては、通常の合成ポ イソプレン(シス構造90mol%以上のシス-1,4-ポ イソプレン等)、液状ポリイソプレン、トラ ンス-ポリイソプレン、及びその他の変性ポ イソプレン等が挙げられる。

 融点170℃未満の結晶性ポリブタジエンは 好ましくは融点0~150℃の結晶性ポリブタジ ンであり、例えば、低融点1,2-ポリブタジエ 、トランス-ポリブタジエン等が挙げられる 。

 液状ポリブタジエンとしては、固有粘度[ η]=1以下の極低分子のポリブタジエン等があ られる。ここで、固有粘度[η]は、試料ゴム 0.1gとトルエン100mlを三角フラスコに入れて30 で完全溶解させ、その後、30℃に維持され 恒温水槽中で、キャノンフェンスケ動粘度 に上記溶液10mlを入れ、溶液の落下時間(T)を 定し、下記式により求めた値とする。

 ηsp=T/T 0 -1(T 0 :トルエンだけの落下時間)
 ηsp/c=[η]+k’[η] 2 c
(ηsp:比粘度、k’:ハギンズ定数(0.37)、c:試料 度(g/ml))

 また、これらの誘導体としては、たとえ 、イソプレン・イソブチレン共重合体、イ プレン・スチレン共重合体、スチレン・イ プレン・スチレンブロック共重合体、液状 ポキシ化ポリブタジエン、及び液状カルボ シル変性ポリブタジエン等、並びにこれら 導体の水添物等が挙げられる。

 上記の各不飽和高分子物質のうち、イソ レン、スチレン・イソプレン・スチレンブ ック共重合体、及び融点70~110℃の1,2-ポリブ タジエンが好ましく用いられる。また、上記 の各不飽和高分子物質は、単独で用いること も、2種以上を混合して用いることもできる

 上記のように不飽和高分子物質(c)を添加 ると、得られるビニル・シス-ポリブタジエ ンゴム(A)において、不飽和高分子物質(c)の相 溶効果により、融点が170℃以上の1,2-ポリブ ジエンの、マトリックス成分であるシス-ポ ブタジエンゴム中への分散性が著しく向上 る。その結果得られるビニル・シス-ポリブ タジエンゴムは、加工性、引張応力、引張強 さ及び耐屈曲亀裂成長性などの物性に優れた ものとなる。

 上記不飽和高分子物質の添加量は、得ら るビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)に対 して0.1~30質量%の範囲であることが好ましく 1~20質量%の範囲であることが更に好ましい。 また、いずれの時点で添加する場合でも、添 加後10分~3時間攪拌することが好ましく、10分 ~30分間攪拌することが更に好ましい。

 また、ビニル・シス-ポリブタジエンゴム を製造するにあたり、1個以上の酸素結合を 有する有機化合物及び高分子化合物の少な とも1以上を添加することができる。これら 化合物は、エーテル基、エポキシ基、カル キシル基、エステル基、水酸基、又はカル ニル基を含有する化合物であることが好ま い。具体的化合物として、例えば、酸無水 、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、 肪族エーテル・芳香族エーテル、脂肪族カ ボン酸・芳香族カルボン酸・不飽和カルボ 酸、脂肪族カルボン酸エステル・芳香族カ ボン酸エステル・不飽和カルボン酸エステ 、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリウ タン、ポリエチレングリコール、エポキシ ポリブタジエン、ポリエステル、エポキシ スチレンブタジエン共重合体、及びポリア ールエーテルなどが挙げられる。

 上記1個以上の酸素結合を含有する有機化 合物及び高分子化合物の少なくとも1以上を 合系に添加することにより、ビニル・シス- リブタジエンゴムのマトリックス成分であ シス-ポリブタジエンと1,2-ポリブタジエン 脂の界面親和性が変化し、結果として、1,2- リブタジエン樹脂の繊維結晶の単分散化及 ビニル・シス-ポリブタジエンゴムの上記物 性の向上に効果がある。

 重合反応が所定の重合率に達した後、常 に従って公知の老化防止剤を添加すること できる。老化防止剤としては、フェノール の2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、リン系 トリノニルフェニルフォスファイト(TNP)、 黄系の4.6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレ ール、及びジラウリル-3,3’-チオジプロピオ ネート(TPL)などが挙げられる。これらを単独 も2種以上組み合わせて用いてもよく、老化 防止剤の添加は、ビニル・シス-ポリブタジ ンゴム100質量部に対して0.001~5質量部である 次に、重合停止剤を重合系に加えて、重合 応を停止させる。その方法として、例えば 重合反応終了後、重合反応混合物を重合停 槽に供給し、この重合反応混合物にメタノ ル及びエタノールなどのアルコール、又は などの極性溶媒を大量に投入する方法、並 に塩酸及び硫酸などの無機酸、酢酸及び安 香酸などの有機酸、又は塩化水素ガスを重 溶液に導入する方法などは、公知である。 いで、通常の方法に従い、生成したビニル シス-ポリブタジエンゴムを分離回収し、洗 浄、乾燥して目的のビニル・シス-ポリブタ エンゴムを取得する。

 上記のビニル・シス-ポリブタジエンゴム の製造方法においては、生成したビニル・シ ス-ポリブタジエンゴムを分離取得した残余 、未反応の1,3-ブタジエン、炭化水素系溶媒 び二硫化炭素などを含有する重合反応混合 母液から、通常、蒸留により1,3-ブタジエン 及び炭化水素系溶媒を分離し、また、二硫化 炭素の吸着分離処理、あるいは二硫化炭素付 加物の分離処理によって二硫化炭素を分離除 去して、二硫化炭素を実質的に含有しない1,3 -ブタジエン及び炭化水素系溶媒を回収する また、前記重合反応混合物母液から、蒸留 よって3成分を回収して、この蒸留物から上 の吸着分離あるいは二硫化炭素付着物分離 理によって二硫化炭素を分離除去すること よっても、二硫化炭素を実質的に含有しな 1,3-ブタジエン及び炭化水素系溶媒を回収す ることもできる。上記のようにして回収され た二硫化炭素と炭化水素系溶媒とは、新たに 補充した1,3-ブタジエンを混合して再使用す ことができる。

 上記のビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A) を製造する際、上記の方法により得られたシ ス-ポリブタジエンマトリックス中に1.2ポリ タジエン結晶繊維(b)が10~60質量%、好ましく 20~50質量%含有したビニル・シス-ポリブタジ ン(e)溶液に、炭化水素系溶媒とシス-1,4構造 含有率が80mol%以上であるシス-ポリブタジエ (f)溶液を溶液混合することによって、ビニ ・シス-ポリブタジエンゴム(A)を製造するこ もできる。
 なお、シス-ポリブタジエンの5質量%トルエ 溶液粘度は、30~250cp、好ましくは50~200cp、よ り好ましくは100~200cpである。

 溶液混合するシス-ポリブタジエン(f)は、 上記のシス-1,4重合触媒を添加して1,3-ブタジ ンをシス-1,4重合する工程と同様にして得る ことができる。

 得られたシス-ポリブタジエン(f)は、シス -1,4構造含有率が80mol%以上、好ましくは90mol% 上、特に好ましくは95mol%以上であることが ましい。また、ムーニー粘度は、10~130、特 15~80が好ましく、実質的にゲル分を含有せず 、さらに、5質量%トルエン溶液粘度(Tcp)が、10 ~250cp、好ましくは30~200cpである。

 ビニル・シス-ポリブタジエン(e)とシス- リブタジエン(f)とを溶液混合して得られる ニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)における( e)と(f)の割合は(e):(f)=1:1~9であることが好まし い。

 上記のビニル・シス-ポリブタジエンゴム (A)の製造方法によれば、触媒成分の操作性に 優れ、高い触媒効率で工業的に有利に、本発 明に係るベルト用ゴム組成物をなすビニル・ シス-ポリブタジエンゴムを連続的に長時間 造することができる。特に、重合槽内の内 や攪拌翼、その他攪拌が緩慢な部分に重合 液が付着することもなく、高い転化率で工 的に有利に連続製造できる。

 上記の方法により得られたビニル・シス-ポ リブタジエンゴム(A)は、一般に、融点が170℃ 以上である1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)1~30 量%、シス-ポリブタジエンゴム(a)99~70質量% らなる。また、前記シス-ポリブタジエンゴ (a)のミクロ構造は、80mol%以上がシス-1,4-ポ ブタジエンであり、その残余がトランス-1,4- ポリブタジエン及びビニル-1,2-ポリブタジエ である。そして、前記融点が170℃以上であ 1,2-ポリブタジエン結晶繊維(b)は、融点が170 ~220℃、結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下、 平均アスペクト比が10以下、及び繊維長200nm 下の結晶繊維数が25μm 2 当たり90以上であるところの結晶繊維である また、前記シス-ポリブタジエンゴム(a)のML 、好ましくは10~130、さらに好ましくは15~80 ある。

 さらに、本発明に係るベルト用ゴム組成物 構成するビニル・シス-ポリブタジエンゴム (A)は、以下の特性を有することが望ましい。
(イ)1.2ポリブタジエン結晶繊維(b)の分子量指 ηsp/cが0.5~4の範囲にあること。
(ロ)シスーポリブタジエン(a)のミクロ構造中 シス構造含有量が90mol%以上であること。
(ハ)シスーポリブタジエン(a)のトルエン溶液 度とムーニー粘度の関係がT-cp/ML≧1である と。
(ニ)シスーポリブタジエン(a)の固有粘度[η]の 値が1.0~5.0の範囲にあること。

 上記のようにして製造したビニル・シス- ポリブタジエンゴムが加工性、引張応力、引 張強さ及び耐屈曲亀裂成長性など優れた物性 を発現するためには、ビニル・シス-ポリブ ジエンゴム中に分散した1,2-ポリブタジエン 晶繊維は、シス-ポリブタジエンゴムのマト リックス中に微細な結晶として単分散化した 形態で部分的に分散し、凝集構造を有する大 きな1,2-ポリブタジエン結晶繊維と共存して ることが好ましい。また、上記融点が170℃ 上である1,2-ポリブタジエン結晶繊維に加え 、上記の不飽和高分子物質がシス-ポリブタ ジエンゴムのマトリックス中に分散している ことが好ましい。この不飽和高分子物質は、 シス-ポリブタジエンゴムのマトリックス中 、1,2-ポリブタジエン結晶繊維と高い親和性 有し、1,2-ポリブタジエン結晶繊維近傍に物 理的、化学的に吸着した状態で分散している ことが好ましい。上記のように、融点が170℃ 以上である1,2-ポリブタジエン結晶繊維と不 和高分子物質とが共存してシス-ポリブタジ ンゴムのマトリックス中に分散されること よって、上記の諸物性が優れたものとなり ましい。

 上記のようにして製造したビニル・シス- ポリブタジエンゴム(A)90~5質量部に対して、(A )以外のジエン系ゴム(B)10~95質量部を配合する 。ジエン系ゴム(B)としては、天然ゴム及びポ リイソプレンのうち少なくとも1種以上であ ことが好ましい。

 本発明に係るベルト用ゴム組成物に配合 れるゴム補強剤(C)としては、少なくともカ ボンブラック及びシリカが含まれており、 の他に各種のホワイトカーボン、活性化炭 カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム等 どを含めても良い。特に好ましいカーボン ラックは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタ レート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブ ックであり、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF SRF、HAF等が用いられる。

 本発明に係るベルト用ゴム組成物におい 、上記ゴム補強剤(C)の配合量は、上記ビニ ・シス-ポリブタジエンゴム(A)及びジエン系 ゴム(B)からなるゴム成分100質量部に対して20~ 70質量部、好ましくは30~60質量部である。ま 、ゴム補強剤中におけるシリカの配合量が 70質量%以下であることが好ましく、5~65であ ことがさらに好ましく、10~63であることが に好ましい。シリカの配合量を増やせば、 ネルギーロスを小さくできるが、シリカの が70質量%を越えると、耐屈曲亀裂成長性等 耐久性が劣ってしまう。

 本発明に係るベルト用ゴム組成物におい 、エネルギーロスは、下記数2に示すδHを指 標とすることができる。すなわち、δHが小さ いとエネルギーロスが少ないと判断でき、δH が0.1以下であることが好ましく、0.08以下で ることがさらに好ましい。

 本発明に係るベルト用ゴム組成物は、上 各成分を通常行われているバンバリー、オ プンロール、ニーダー、二軸混練り機など 用いて混練りすることで得られる。

 本発明に係るベルト用ゴム組成物には、 要に応じて、加硫剤、加硫助剤、老化防止 、充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステ リン酸など、通常ゴム業界で用いられる配 剤を混練してもよい。

 加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば 黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグ シウムなどの金属酸化物などが用いられる

 加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例 ばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類 グアニジン類、チオウレア類、チアゾール 、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キ ンテート類などが用いられる。

 老化防止剤としては、アミン・ケトン系 イミダゾール系、アミン系、フェノール系 硫黄系及び燐系などが挙げられる。

 充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基 炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、 藻土等の無機充填剤、再生ゴム、粉末ゴム の有機充填剤が挙げられる。

 プロセスオイルは、アロマティック系、 フテン系、パラフィン系のいずれを用いて よい。

 以下、実施例及び比較例を示して、本発 について具体的に説明する。実施例及び比 例において、ビニル・シス-ポリブタジエン ゴムの素ゴムの物性、並びに得られたゴム組 成物の配合物及び加硫物の物性は、以下のよ うにして測定した。なお、配合物及び加硫物 の物性の評価は、比較例1を100とし、指数を 出して行なった。

[素ゴム物性]
 ムーニー粘度(ML 1+4 ,100℃)は、JIS-K6300に準拠し、100℃にて
予熱1分測定4分の値をムーニー粘度計(島津製 作所製、SMV-202)により測定した。

 固有粘度[η]は、試料ゴム0.1gとトルエン100ml を三角フラスコに入れて30℃で完全溶解させ その後、30℃に維持された恒温水槽中で、 ャノンフェンスケ動粘度計に上記溶液10mlを れ、溶液の落下時間(T)を測定し、下記式に り求めた値とする。
 ηsp=T/T 0 -1(T 0 :トルエンだけの落下時間)
 ηsp/c=[η]+k’[η] 2 c
(ηsp:比粘度、k’:ハギンズ定数(0.37)、c:試料 度(g/ml))

 トルエン溶液粘度(T-cp)は、ポリマー2.28gを ルエン50mlに溶解した後
、標準液として粘度計校正用標準液(JIS-Z8809) 用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使 して、25℃で測定した。

 ミクロ構造は、赤外吸収スペクトル分析に って行った。シス740cm -1 、トランス967cm -1 、ビニル910cm -1 の吸収強度比からミクロ構造を算出した。

 ηsp/cは、1.2ポリブタジエン結晶繊維の分 量の目安として、0.20g/dlのo-ジクロロベンゼ ン溶液から135℃で還元粘度を測定した。

 1.2ポリブタジエン結晶繊維の融点及び含 量は、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC-50 )を使用し、昇温速度10℃/minで吸熱曲線を求 、そのピーク温度を融点とし、吸熱量から 有量を算出した。

 結晶繊維の平均繊維長、繊維長200nm以下の 晶繊維の数、及び結晶繊維の平均アスペク 比は、次のように求めた。ビニル・シス-ポ ブタジエンゴムを一塩化硫黄と二硫化炭素 混合溶液中で加硫を行い、その加硫物から ルトラミクロトーム(ライカ社製)により超 切片を切出した。その切片を透過型電子顕 鏡(日立製作所社製H-7100FA型)で観察し、5000倍 の写真を撮影した。その写真を画像解析ソフ ト(Win ROOF(三谷商事社製))を使用して、25μm 2 範囲で二値化を行い、結晶繊維の繊維長さ、 アスペクト比、面積を求めた。次に、平均の 繊維長さ、アスペクト比を、それぞれの結晶 繊維の値に面積分率を乗じて平均し、結晶繊 維の平均繊維長、及び結晶繊維の平均アスペ クト比とした。結晶繊維の数は繊維長200nm以 の繊維数を1.2ポリブタジエン結晶繊維含有 1質量%当たりで計算して求めた。

[配合物物性]
 ムーニー粘度(ML 1+4 ,100℃)は、JIS-K6300に準拠し、100℃にて
予熱1分測定4分の値をムーニー粘度計(島津製 作所製、SMV-202)により測定した。数値が小さ ほど粘度が低く、流動性が良好なことを示 。

 ダイ・スウェルは、配合物の寸法安定性の 安として、加工性測定装置(モンサント社製 、MPT)を用いて、100℃、100sec -1 のせん断速度で、押出時の配合物の断面積と ダイオリフィス断面積(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の を測定した。数値が小さいほど押出加工性 良好なことを示す。

[加硫物物性]
 硬度は、JIS-K6253に規定されている測定法に って測定した。

 100%引張応力は、JIS-K6251に準拠して100%引 応力を測定した。数値が大きいほど引張応 が高いことを示す。

 引張強度は、JIS-K6251に準拠して、破断時 引張強さを測定した。数値が大きいほど引 強度が高いことを示す。

 引裂強度は、JIS-K6252に準拠して測定した 数値が大きいほど引裂応力が高いことを示 。

 耐屈曲亀裂成長性は、JIS-K6260に準拠し、 ィマーチャ屈曲試験機(上島製作所製)を用 て、試験片つかみ具の運動距離を20mmで10万 屈曲したときの亀裂長さを測定した。数値 小さいほど耐屈曲亀裂成長性が良好なこと 示す。

[省エネ特性]
 M25(MPa)は、JIS K 6251に記載の方法に準拠し 、25%伸び時における引張応力を測定した(測 温度23℃)。

 損失係数(tanδ)は、RPA2000(アルファテクノ ジーズ社製)を使用して、60℃、10Hz、2%歪の 件で測定した。数値が小さいほどエネルギ ロスが小さく、良好なことを示す。

 比重の測定(SG)は、JIS K 6268に記載の方法 に準拠して行った。

δHは、上記測定値から、上記数1により求 た。

 δH(指数)は、比較例1で得られた組成物の各 定値(SG、tanδ、M25)を100とした場合の相対値 表した、SG(指数)、tanδ(指数)およびM 25 (指数)で規定する数2により求めた。

製造例1(ビニル・シス-ポリブタジエンゴム: ンプルA-1の製造)
 窒素ガスで置換した内容量5Lの撹拌機つき テンレス製反応槽中に、重合溶液3.5L(ブタジ エン:30質量%、シクロヘキサン:70質量%)を入れ 、水5.3mmol、ジエチルアルミニウムクロライ 10.5mmol、二硫化炭素1.8mmol、シクロオクタジ ン32mmol、及びコバルトオクトエート0.03mmolを 加え、50℃で30分間撹拌し、シス-1,4重合を行 た(a-1)。得られた重合生成液に、ポリイソ レン(IR)(ML=87、シス-1,4構造=98mol%)を10質量%(得 られるビニル・シス-ポリブタジエンゴムに する百分率)加え、50℃で1時間攪拌を行った その後、ブタジエン560ml、水4.5mmol、トリエ ルアルムニウムクロライド13.4mmol、及びコ ルトオクトエート0.07mmolを加え、50℃で30分 撹拌し、1,2重合を行った(b-1)。これに老化防 止剤として4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-ク レゾールのメタノール溶液を加え、重合を停 止した。その後、未反応のブタジエン及び2- テン類を蒸発除去し、105℃で60分間真空乾 して、ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A-1 )を得た。ビニル・シス-ポリブタジエンゴム( A-1)の沸騰n-ヘキサン不溶分は、1,2-ポリブタ エン結晶繊維(b)と不飽和高分子の一部又は 部であり、赤外吸収スペクトル分析により1, 2-ポリブタジエンへの不飽和高分子の吸着割 (グラフト率)が算出できる。沸騰n-ヘキサン 不溶分は、2gのビニル・シス-ポリブタジエン ゴム(A-1)を200mlのn-ヘキサンにて4時間ソック レー法によって沸騰抽出した抽出残部を質 %で示した値である(不飽和高分子物質添加系 以外では、1,2-ポリブタジエン結晶繊維の含 量である)。得られたビニル・シス-ポリブタ ジエンゴム(A-1)の沸騰n-ヘキサン不溶分の赤 吸収スペクトル分析より算出した1,2-ポリブ ジエンへのポリイソプレンの吸着割合(グラ フト率)は、67質量%であった。

製造例2(ビニル・シス-ポリブタジエンゴム: ンプルA-2の製造)
 炭化水素系溶媒としてシクロヘキサンをベ ゼンに変更し、ポリイソプレン(不飽和高分 子物質)を添加しなかったこと以外は、サン ルA-1の製造方法と同様にしてビニル・シス- リブタジエンゴム(A-2)を得た。

 前記サンプルA-1~A-2の物性を表1に示した

 次に、上記サンプルA-1に、表2の配合表に 示す天然ゴム、カーボンブラック及びシリカ 並びに表4に示す加硫促進剤及び硫黄以外の 合剤を添加してバンバリーミキサーにより4 混練し、その後オープンロールを用いて加 促進剤及び硫黄を配合し、実施例1~8に係る 合物を得た。また、上記サンプルA-1及びA-2 実施例1~8と同様にして表3配合量で配合し、 比較例1~6に係る配合物を得た。実施例1~8及び 比較例1~6に係る配合物の物性を測定し、表2 び表3に示した。

 さらに、実施例1~8及び比較例1~6に係る配 物を150℃で30分間プレス加硫して、加硫物 得た。得られた加硫物の物性を測定し、表2 び表3に示し、ゴム補強剤の配合量が40質量 である実施例1乃至4、並びに比較例2乃至4の ダイスウェル、耐屈曲亀裂成長及びδHの関係 を図2に示す。

 表2及び表3の結果から、実施例1~8に係る 合物及び加硫物は、比較例1~6と比較して、 出加工性、引張応力、引張強度、引裂強度 耐屈曲亀裂成長性、損失係数、δHそれぞれ ついて物性が向上していることが分かる。 た、図2からシリカの量を増やすとδHの値が くなるが、シリカの量が補強剤中の70質量% 越えると耐屈曲亀裂成長が悪くなることが かる。

サンプルA-1(a)及びサンプルA-2(b)の5000倍 電子顕微鏡写真を画像解析ソフト(Win ROOF,三 商事社製)により二値化処理したものである 。 ゴム補強剤の配合量が40質量部である 施例1乃至4、並びに比較例2乃至4のダイスウ ル、耐屈曲亀裂成長及びδHの関係を示すグ フである。