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Patent Searching and Data


Title:
RUBBER COMPOSITION FOR INNER LINER AND TIRE HAVING INNER LINER MADE OF THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044652
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a rubber composition for inner liner, which enables to improve air permeation resistance, low heat generation properties and breaking strength. Specifically disclosed is a rubber composition for inner liner, which contains a specific rubber component (A), a specific mica (B), carbon black and/or silica (C) and an alkylphenol-sulfur chloride condensate (D) represented by the following formula (D1). (In the formula, R1-R3 each represents an alkyl group having 5-12 carbon atoms; x and y each represents an integer of 2-4; and n represents an integer of 0-10.)

Inventors:
MIYAZAKI TATSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067174
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
September 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO RUBBER IND (JP)
MIYAZAKI TATSUYA (JP)
International Classes:
C08L23/22; B60C5/14; C08K3/04; C08K3/34; C08K3/36; C08K5/375; C08L7/00; C08L9/00
Foreign References:
JP2006328193A2006-12-07
JPS5813648A1983-01-26
JPH0288658A1990-03-28
US3992362A1976-11-16
JP2006199792A2006-08-03
JPH08511050A1996-11-19
JPS6151041A1986-03-13
JPS51128342A1976-11-09
JPS4731092B1
US3968062A1976-07-06
Attorney, Agent or Firm:
ASAHINA, Sohta et al. (2-22 Tanimachi 2-chome, Chuo-k, Osaka-shi Osaka 12, JP)
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Claims:
 (A)ブチル系ゴム30~80重量%ならびに
天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のジエン系ゴム20~70重量%からなるゴム成分100重量部に対して、
(B)アスペクト比が25~100であり、かつ平均粒子径が25~100μmであるマイカを10~50重量部、
(C)カーボンブラックおよび/またはシリカを20~39重量部、ならびに
(D)式(D1):
(式中、R 1 ~R 3 は同じかまたは異なり、いずれも炭素数5~12のアルキル基;xおよびyは同じかまたは異なり、いずれも2~4の整数;nは0~10の整数である)
で示されるアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物を0.2~10重量部含有するインナーライナー用ゴム組成物。
 ゴム成分(A)中のブタジエンゴムが1,2-シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムである請求の範囲第1項記載のインナーライナー用ゴム組成物。
 請求の範囲第1項または第2項記載のインナーライナー用ゴム組成物からなるインナーライナーを有するタイヤ。
Description:
インナーライナー用ゴム組成物 よびそれからなるインナーライナーを有す タイヤ

 本発明は、インナーライナー用ゴム組成 およびそれからなるインナーライナーを有 るタイヤに関する。

 近年、車の低燃費化に対する強い社会的 請から、タイヤの低発熱化や軽量化が図ら ており、タイヤ部材のなかでも、タイヤの 部に配され、空気入りタイヤ内部から外部 の空気の漏れの量(空気透過量)を低減して 気保持性を向上させるはたらきをもつイン ーライナーにおいても、軽量化などが行な れるようになってきた。

 現在、インナーライナー用ゴム組成物と ては、ブチル系ゴムを高配合することで、 イヤの空気保持性を向上させることがおこ われている。しかし、ブチル系ゴムは、空 透過量の低減効果は優れるが、硫黄が溶解 にくいため、架橋密度が低く、充分な強度 得られないという問題があった。そのため たとえば、特開2006-328193号公報に記載され いるように、マイカを含むインナーライナ 用ゴム組成物に、ゴム成分として、ブチル ゴム、天然ゴムまたはイソプレンゴムに加 て、ブタジエンゴムを配合することで、耐 裂成長性を向上させていた。しかしながら ブタジエンゴムの配合比率を増やすと、空 透過量が増大するという問題があった。

 また、車の低燃費性を向上させるため、 然ゴムの配合比率を増やした場合にも、空 透過量が増大するという問題があった。

 このように、インナーライナー用ゴム組 物において、耐空気透過性、低発熱性およ 破断強度といった特性をすべて向上させる とは困難であった。

 本発明は、耐空気透過性、低発熱性およ 破断強度を向上させることができるインナ ライナー用ゴム組成物を提供することを目 とする。

 本発明は、(A)ブチル系ゴム30~80重量%ならび 天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエ ゴムよりなる群から選択される少なくとも1 種のジエン系ゴム20~70重量%からなるゴム成分 100重量部に対して、(B)アスペクト比が25~100で あり、かつ平均粒子径が25~100μmであるマイカ を10~50重量部、(C)カーボンブラックおよび/ま たはシリカを20~39重量部、ならびに(D)式(D1):
(式中、R 1 ~R 3 は同じかまたは異なり、いずれも炭素数5~12 アルキル基;xおよびyは同じかまたは異なり いずれも2~4の整数;nは0~10の整数である)
で示されるアルキルフェノール・塩化硫黄縮 合物を0.2~10重量部含有するインナーライナー 用ゴム組成物に関する。

 前記ゴム成分(A)中のブタジエンゴムが、1 ,2-シンジオタクチック結晶を含むブタジエン ゴムであることが好ましい。

 また、本発明は、前記インナーライナー ゴム組成物を用いたインナーライナーを有 るタイヤに関する。

 本発明のインナーライナー用ゴム組成物 、特定のゴム成分(A)、マイカ(B)、カーボン ラックおよび/またシリカ(C)、およびアルキ ルフェノール・塩化硫黄縮合物(D)を含有する 。

 前記ゴム成分(A)は、ブチル系ゴムならび 、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)および タジエンゴム(BR)よりなる群から選ばれる少 くとも1種のジエン系ゴムを含有する。

 ブチル系ゴムとしては、たとえば、ブチ ゴム(IIR)、臭素化ブチルゴム(Br-IIR)、塩素化 ブチルゴム(Cl-IIR)などがあげられる。なかで 、チェーファーやクリンチ等の隣接部材と 加硫速度が異なると接着不良を引き起こす で、加硫速度が隣接部材と同程度であり隣 部材との接着不良を抑えられるという点か 、臭素化ブチルゴムまたは塩素化ブチルゴ が好ましい。

 ゴム成分(A)中のブチル系ゴムの含有率は 充分な耐空気透過性が得られ、生じた亀裂 成長しにくく(耐亀裂成長性に優れ)、さら 使用中の劣化を抑えられるという点から、30 重量%以上であり、好ましくは40重量%以上で る。また、ゴム成分(A)中のブチル系ゴムの 有率はtanδの増加を抑制することで、インナ ーライナーの発熱性を抑えることができ、加 工性および破断強度に優れるNRも配合するこ ができるという点から、80重量%以下であり 好ましくは75重量%以下である。

 NRとしては、とくに制限はなく、タイヤ 業において一般的に使用されるRSS♯3、TSR20 どがあげられる。また、IRとしても同様に、 タイヤ工業において一般的に使用されるもの があげられる。なかでも、安価に破断特性を 確保できることから、TSR20が好ましい。

 ゴム成分(A)中にNRおよび/またはIRを配合 る場合には、破断強度、加工性および粘着 に優れるという点から、ゴム成分(A)中のNRお よび/またはIRの含有率は20重量%以上であり、 好ましくは25重量%以上である。また、耐空気 透過性に優れるという点から、ゴム成分(A)中 のNRおよび/またはIRの含有率は、70重量%以下 あり、好ましくは65重量%以下である。

 BRとしては、たとえば、タイヤ工業など おいて一般的に使用される宇部興産(株)製の BR150B、BR130Bなどがあげられる。また、他にも 、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結 を含むブタジエンゴム(SPB含有BR)があげられ 。

 ゴム成分(A)中にBRを配合する場合には、 亀裂成長性に優れるという点から、ゴム成 (A)中のBRの含有率は、好ましくは10重量%以上 であり、より好ましくは20重量%以上であり、 さらに好ましくは25重量%以上である。また、 耐空気透過性およびロールへの巻きつき易さ (加工性)に優れるという点から、ゴム成分(A) のBR含有率は70重量%以下であり、好ましく 65重量%以下である。

 ゴム成分(A)中に、ブタジエンゴムとしてS PB含有BRを使用すると、シートの平坦性やエ ジのスムースさといった加工性および耐亀 成長性に優れる。

 SPB含有BRを使用する場合、宇部興産(株)製 のVCR412のように、高シス含有量のBRと高結晶 の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結 晶を複合化したものが好ましい。

 SPB含有BR中の1,2-シンジオタクチックポリ タジエン結晶(SPB)の含有量は3重量%以上が好 ましく、5重量%以上がより好ましい。SPBの含 量が3重量%未満では、SPBの割合が小さいた 、粘度が低く、練り時の生産性の充分な改 効果が得られない傾向がある。また、SPBの 有量は25重量%以下が好ましく、20重量%以下 より好ましい。SPBの含有量が25重量%をこえ と、ポリブタジエン結晶の分散性が低下し 耐亀裂成長性が低下する傾向がある。

 ゴム成分(A)中にSPB含有BRを配合する場合 は、耐亀裂成長性および加工性に優れると う点から、ゴム成分(A)中のSPB含有BRの含有率 は、好ましくは10重量%以上であり、より好ま しくは20重量%以上であり、さらに好ましくは 25重量%以上である。また、耐空気透過性に優 れるという点から、ゴム成分(A)中のSPB含有BR 含有率は70重量%以下であり、好ましくは65 量%以下である。

 マイカ(雲母)(B)としては、マスコバイト( 雲母)、フロゴバイト(金雲母)、バイオタイ (黒雲母)などがあげられ、単独で用いても く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 かでも、他のマイカよりアスペクト比(扁平 率)が大きく、空気遮断効果に優れることか 、フロゴバイトが好ましい。

 マイカ(B)の平均粒子径は、充分な耐空気 過性が得られるという点から、25μm以上で り、好ましくは27μm以上であり、より好まし くは30μm以上である。また、マイカ(B)の平均 子径は、マイカが起点となる亀裂の発生を え、インナーライナーの屈曲疲労による割 を抑えるという点から、100μm以下であり、 ましくは60μm以下である。ここで、マイカ 平均粒子径とは、マイカの長径の平均値の とをいう。

 マイカ(B)のアスペクト比は、充分な耐空 透過性が得られるという点から、25以上で り、30以上が好ましい。また、マイカ(B)のア スペクト比は、マイカの強度を維持してマイ カの割れを抑えるという点から、100以下であ り、好ましくは60以下である。ここでアスペ ト比とは、マイカにおける最大長径と厚さ 比(最大長径/厚さ)のことをいう。

 本発明で使用するマイカ(B)は、湿式粉砕 乾式粉砕などの粉砕方法によって得ること できる。湿式粉砕はきれいな表面ができ、 空気透過性の改善効果がやや高い。また、 式粉砕は製造工程が簡単でコストが安いと うそれぞれの特徴がある。それぞれのケー により、使い分けることが好ましい。

 マイカ(B)の配合量は、耐空気透過性、シ ト平坦性やエッジ凹凸といった加工性に優 るという点から、ゴム成分(A)100重量部に対 て10重量部以上、好ましくは20重量部以上で ある。また、マイカ(B)の配合量は、充分な引 き裂き強度を維持してクラックの発生を抑え 、良好なマイカ(B)の分散を確保するという点 から、ゴム成分(A)100重量部に対して50重量部 下、好ましくは45重量部以下、より好まし は40重量部以下である。

 カーボンブラックおよび/またはシリカ(C) としては、破断強度および紫外線劣化防止作 用に優れるという点から、カーボンブラック が好ましい。

 カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N 2 SA)は、充分な補強性が得られ、耐亀裂成長性 に優れるという点から、20m 2 /g以上が好ましく、30m 2 /g以上がより好ましい。また、カーボンブラ クのN 2 SAは、ゴムの硬度を抑え、低発熱性に優れる いう点から、70m 2 /g以下が好ましく、60m 2 /g以下がより好ましい。

 シリカとしては、湿式法で調製されたも や、乾式法で調製されたものがあげられる 、とくに制限はない。

 シリカのチッ素吸着比表面積(N 2 SA)は、補強性、破断強度に優れるという点か ら、80m 2 /g以上が好ましく、100m 2 /g以上がより好ましい。また、シリカのN 2 SAは、ゴム硬度を抑え、低発熱性に優れると う点から、200m 2 /g以下が好ましく、180m 2 /g以下がより好ましい。

 カーボンブラックおよび/またはシリカ(C) の配合量は、ポリマーとマイカが充分に分散 し、シート加工性に優れるという点から、ゴ ム成分(A)100重量部に対して20重量部以上、好 しくは23重量部以上である。また、カーボ ブラックおよび/またはシリカ(C)の配合量は 低発熱性に優れるという点から、ゴム成分( A)100重量部に対して、39重量部以下、好まし は35重量部以下である。

 カーボンブラックとシリカを併用する場 、シリカの分散性とカーボンブラックの低 熱性(低tanδ)を両立させるという理由、およ びカーボンブラックを配合することにより紫 外線劣化を防止できるという理由から、カー ボンブラックの配合量は5~35重量部およびシ カの配合量は5~20重量部が好ましく、カーボ ブラックの配合量は10~30重量部およびシリ の配合量は7~15重量部がより好ましい。

 アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(D)と 、式(D1):
(式中、R 1 ~R 3 は同じかまたは異なり、いずれも炭素数5~12 アルキル基;xおよびyは同じかまたは異なり いずれも2~4の整数;nは0~10の整数である)
で示されるものである。

 式(D1)で表わされるアルキルフェノール・ 塩化硫黄縮合物(D)は、ゴム成分(A)中のブチル 系ゴムとNRおよびIRの両方に溶解するので、 橋を均一に生成する効果がある。

 nは、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合 物(D)のゴム成分(A)中への分散性が良い点から 、0~10の整数であり、1~9の整数が好ましい。

 xおよびyは、高硬度を効率よく発現させ ことができる(リバージョン抑制)点から、同 じかまたは異なり、いずれも2~4の整数であり 、ともに2が好ましい。

 R 1 ~R 3 は、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(D) のゴム成分(A)中への分散性が良い点から、い ずれも炭素数5~12のアルキル基であり、炭素 6~9のアルキル基が好ましい。

 このアルキルフェノール・塩化硫黄縮合 (D)は、公知の方法で調製することができ、 くに制限されるわけではないが、たとえば アルキルフェノールと塩化硫黄とを、たと ば、モル比1:0.9~1.25で反応させる方法などが あげられる。

 アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(D)の 体例として、nが0~10、xおよびyが2、RがC 8 H 17 (オクチル基)であり、硫黄含有率が24重量%で る田岡化学工業(株)製のタッキロールV200:
(式中、nは0~10の整数である)
などがあげられる。

 アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(D) 配合量は、ゴム成分(A)100重量部に対して0.2 量部以上、好ましくは0.3重量部以上である アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(D)の 合量が0.2重量部未満では、転がり抵抗特性 上の効果が充分に得られない。つまり、ア キルフェノール・塩化硫黄縮合物(D)の配合 が0.2重量部未満では、tanδが低減せず、発 性を抑えることができない。また、アルキ フェノール・塩化硫黄縮合物(D)の配合量は ゴム成分(A)100重量部に対して10重量部以下、 好ましくは8重量部以下である。アルキルフ ノール・塩化硫黄縮合物(D)の配合量が10重量 部をこえると、ゴム焼けが生じやすい。

 アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(D) 加による作用効果として、以下のような機 が考えられる。

 アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(D) 中に含まれる硫黄がゴム配合中に放出され 。たとえば、前記タッキロールV200には24重 %の硫黄が含まれており、タッキロールV200 10重量部配合すると2.4重量部の硫黄を配合す ることになる。通常、ブチルゴムは、天然ゴ ム(NR)やブタジエンゴム(BR)等のジエン系ゴム 比べて、硫黄を溶解し難く、配合した硫黄 ブチルゴム表面に塊となって析出し易い。 黄がゴム表面に析出するとゴム焼けし易く 加工性が悪化する傾向がある。参考までに 硫黄の可溶量は、NR/BR100重量部に対しては2. 0重量部程度であるが、ブチルゴム100重量部 対しては0.8重量部程度に留まる。

 通常のゴム成分と硫黄の硫黄架橋構造は、
のように示される。Polymerとはゴム成分を表 、Sxのxは硫黄の数を表す。

 ゴム成分(A)にアルキルフェノール・塩化硫 縮合物(D)を配合すると、
のようにゴム成分(A)とアルキルフェノール・ 塩化硫黄縮合物(D)のハイブリッド硫黄架橋構 造が作られる。

 ゴム成分(A)とアルキルフェノール・塩化 黄縮合物(D)のハイブリッド硫黄架橋構造で 、通常の硫黄架橋に比べて、熱的に安定な 橋構造を形成する。

 そのため、加硫中も架橋部の崩壊やゴム リマーの切断(リバージョン)が生じ難く、 られるゴム組成物の低発熱性(低tanδ)、破断 度(TB)および破断時伸び(EB)が優れる。

 本発明のインナーライナー用ゴム組成物 、さらに、硫黄を含有することが好ましい

 硫黄の配合量は、補強性および適度な硬 が得られるという点から、ゴム成分(A)100重 部に対して0.2重量部以上が好ましく、0.25重 量部以上がより好ましい。また、硫黄の配合 量は、走行中の熱硬化の抑えることにより、 耐亀裂成長性に優れ、シート加工時のブルー ムを抑制するという点から、ゴム成分(A)100重 量部に対して1.2重量部以下が好ましく、1.0重 量部以下がより好ましい。なお、硫黄として 不溶性硫黄を配合する場合、硫黄の含有量と は、オイル分を除いた純硫黄分の含有量のこ とをいう。

 本発明のインナーライナー用ゴム組成物 は、ポリマー(ゴム成分)同士の分散性を良 し、さらにゴム成分とマイカの間の空隙を なくすることができることから、さらに、 溶化剤を配合することができる。相溶化剤 しては、ポリマーとフィラー間や異種ポリ ー間の界面の離反エネルギーを小さくし、 互に入り混じるのを助けるという特性を有 るものがよい。相溶化剤の具体例としては ストラクトール社製のストラクトール40MS(芳 香族炭化水素系樹脂および脂肪族炭化水素系 樹脂混合物)やHT324(ナフテン・芳香族系樹脂) どがあげられる。

 相溶化剤の配合量は、マイカ100重量部に して5重量部以上が好ましく、7重量部以上 より好ましい。相溶化剤の配合量が5重量部 満では、耐空気透過性の向上効果が少ない 向がある。また、相溶化剤の配合量は35重 部以下が好ましく、30重量部以下がより好ま しい。相溶化剤の含有量が35重量部をこえる 、tanδが大きくなってしまう傾向がある。

 本発明のインナーライナー用ゴム組成物 は、ハロゲン化ブチルゴムとの相溶性に優 るという点から、さらに、ミネラルオイル 配合することができる。ミネラルオイルの 体例としては、出光興産(株)製のダイアナ ロセスPA32、ジャパンエナジー(株)製のミネ ルオイル、新日本石油(株)製のスーパーオイ ルM32があげられる。

 ミネラルオイルの配合量は、シート加工 および粘着性に優れるという点から、ゴム 分(A)100重量部に対して、4重量部以上が好ま しく、5重量部以上がより好ましい。また、 ネラルオイルの配合量は、耐空気透過性に れ、隣接部材へのオイルの移行を防ぐとい 点から、ゴム成分(A)100重量部に対して、20重 量部以下が好ましく、16重量部以下がより好 しい。

 本発明のインナーライナー用ゴム組成物 、前記ゴム成分(A)、マイカ(B)、カーボンブ ックおよび/またはシリカ(C)、アルキルフェ ノール・塩化硫黄縮合物(D)および相溶化剤以 外にも、タイヤ工業において一般的に使用さ れる配合剤、たとえば、加硫促進剤、酸化亜 鉛、老化防止剤、ミネラルオイル、ステアリ ン酸などを適宜配合することができる。

 本発明のゴム組成物は、一般的な方法で 製される。すなわち、バンバリーミキサー ニーダー、オープンロールなどでゴム成分( A)、マイカ(B)、カーボンブラックおよび/また はシリカ(C)、必要に応じて他の配合剤を混練 りしたのち、アルキルフェノール・塩化硫黄 縮合物(D)、硫黄、加硫促進剤および酸化亜鉛 を配合して最終練りをし、加硫することによ り、本発明のゴム組成物を調製することがで きる。

 本発明のタイヤは、本発明のインナーラ ナー用ゴム組成物をインナーライナーに用 て、通常の方法によって製造される。すな ち、本発明のインナーライナー用ゴム組成 を、未加硫の段階でインナーライナーの形 に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機 で他のタイヤ部材とともに貼りあわせ、未 硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを 硫機中で加熱加圧することによって本発明 タイヤを製造できる。

 実施例にもとづいて、本発明を具体的に 明するが、本発明はこれらのみに限定され ものではない。

 実施例および比較例で使用した各種薬品に いて、まとめて説明する。
ブチル系ゴム:エクソンモービル(有)製のエク ソンクロロブチル1068(クロロブチルゴム)
天然ゴム(NR):RSS#3
1,2-シンジオタクチック結晶を含むブタジエ ゴム(SPB含有BR):宇部興産(株)製のVCR412(1,2-シ ジオタクチックポリブタジエン結晶を含む タジエンゴム、1,2-シンジオタクチックブタ エン結晶の含有率:12重量%)
マイカ1:(株)レブコ製のマイカ(雲母)S-200HG(フ ゴバイト、平均粒子径:50μm、アスペクト比: 55)
マイカ2:(株)レブコ製のマイカ(雲母)S-325(フロ ゴバイト、平均粒子径:27μm、アスペクト比:30 )
マイカ3:(株)レブコ製のマイカ(雲母)S-XF(フロ バイト、平均粒子径:3μm、アスペクト比:15)
マイカ4:コープケミカル(株)製のソマシフME-10 0(親水性膨潤性雲母、平均粒子径:5~7μm、アス ペクト比:20)
ミネラルオイル:出光興産(株)製のダイアナプ ロセスPA32
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシー ストV(N660、N 2 SA:27m 2 /g)
シリカ:ローディア社製のZ115GR(N 2 SA:112m 2 /g)
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
ステアリン酸:日本油脂(株)製の椿
相溶化剤1(分散向上剤):ストラクトール社製 ストラクトール40MS(芳香族炭化水素系樹脂お よび脂肪族炭化水素系樹脂混合物)
相溶化剤2(分散向上剤):ストラクトール社製 ストラクトールHT324(ナフテン・芳香族系樹 )
粉末硫黄:鶴見化学工業(株)製の5%オイル処理 末硫黄
加硫促進剤DM:大内新興化学工業(株)製のノク ラーDM(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)
V200:田岡化学工業(株)製のタッキロールV200(ア ルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、n:0~10、 xおよびy:2、R:C 8 H 17 のアルキル基、硫黄含有率:24重量%)
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物2:田岡 学工業(株)製の試作品(アルキルフェノール 塩化硫黄縮合物、n:0~10、xおよびy:2、R:C 5 H 11 のアルキル基)
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物3:田岡 学工業(株)製の試作品(アルキルフェノール 塩化硫黄縮合物、n:0~10、xおよびy:1.5、R:C 8 H 17 のアルキル基)

実施例1~26および比較例1~11
 表1および2に示す配合処方にしたがい、バ バリーミキサーを用いて、アルキルフェノ ル・塩化硫黄縮合物、硫黄、加硫促進剤お び酸化亜鉛以外の薬品を添加し、最高温度15 0℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得 。その後、得られた混練物にアルキルフェ ール・塩化硫黄縮合物、硫黄、加硫促進剤 よび酸化亜鉛を添加し、2軸オープンロール を用いて、最高温度95℃の条件下で4分間練り 込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未 加硫ゴム組成物を金型にてシート状に圧延し 、170℃の条件下で12分間プレス加硫すること より、実施例1~10および比較例1~11の加硫ゴ シートを作製した。

(空気透過性試験)
 ASTM D-1434-75M法にしたがい、加硫ゴムシート の空気透過量を測定し、それぞれ逆数をとっ た。そして、比較例1の耐空気透過性指数を10 0とし、下記計算式により、各配合の空気透 量の逆数を指数表示した。なお、耐空気透 性指数が大きいほど、加硫ゴムシートの空 透過量が小さく、加硫ゴムシートの耐空気 過性が向上し、好ましいことを示す。
  (耐空気透過性指数)=(比較例1の空気透過量 )
                í(各配合の空気透過 )×100

(粘弾性試験)
 (株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメー を用いて、周波数10Hz、初期歪10%、動歪2%の 件下で、70℃における加硫ゴムシートの損失 正接tanδの測定を行なった。なお、tanδが小 いほど、発熱が小さく、低発熱性に優れる とを示す。

(引張試験)
 JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張 特性の求め方」に準じて、実施例1~10および 較例1~11の前記加硫ゴムシートからなる3号ダ ンベル型試験片を用いて、破断強度(TB(MPa))お よび破断時伸び(EB(%))を測定した。なお、TBお よびEBともに、大きいほどゴム強度に優れる とを示す。

 前記未加硫ゴム組成物をタイヤ成型機上 てインナーライナー形状に成形し、他のタ ヤ部材と貼り合わせて得られた未加硫タイ を、170℃および25kgfの条件で12分間プレス加 硫することにより、実施例1~10および比較例1~ 11の試験用タイヤを作製した(タイヤサイズ:19 5/65 R15)。作製した試験用タイヤを用いて以 の試験をおこなった。

(マシン耐久性指数)
 温度80℃のオーブン内に1週間入れた試験用 イヤを、内圧200kPa、荷重340kgf(3334.261N)およ 速度80km/hの条件で、走行中に空気圧を補填 ずに走行させ、タイヤから空気が漏れはじ るまでの走行距離を求めた。検出精度5kPa以 で測定し、タイヤの内圧が初期状態の95%(190 kPa)となったときをエアー漏れの発生とした タイヤの内圧が低下すると、タイヤの耐久 も低下する。比較例1のタイヤで亀裂が発生 、空気漏れが発生するまでの走行距離を100 し、下記計算式により、各配合のマシン耐 性を指数表示した。なお、マシン耐久性指 が大きいほど、インナーライナーの耐久性 優れている。
  (マシン耐久性指数)
     =(各配合の亀裂発生によるエアー漏れ が発生するまでの走行距離)            í(比較例1の亀裂発生によるエアー漏れが発 するまでの走行距離)        ×100

 以上の評価結果を表1~7に示す。

 本発明によれば、特定のゴム成分、特定 マイカ、特定量のカーボンブラックおよび/ またはシリカおよび特定量のアルキルフェノ ール・塩化硫黄縮合物を含有することで、耐 空気透過性、低発熱性および破断強度を向上 させることができるインナーライナー用ゴム 組成物を提供することができる。