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Title:
SCALE-LIKE GLASS AND COATED SCALE-LIKE GLASS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154064
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a scale-like glass (10) having improved heat resistance and improved chemical durability, which is composed of a glass base material satisfying, as expressed in mass%, 60 ≤ SiO2 ≤ 70, 5 ≤ Al2O3 ≤ 15, 1 ≤ MgO ≤ 10, 10 ≤ CaO ≤ 25 and 4 < (Li2O + Na2O + K2O) < 9.  The temperature difference ∆T obtained by taking the devitrification temperature of the glass base material from the working temperature thereof is preferably within the range of 0-200˚C.  The glass transition temperature of the glass base material is preferably within the range of 560-750˚C.  It is desirable that the value of ∆W, which serves as an index for the acid resistance of the glass base material, is within the range of 0.05-1.2 mass%.

Inventors:
FUJIWARA KOSUKE (JP)
KOYAMA AKIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059766
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
May 28, 2009
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Assignee:
NIPPON SHEET GLASS CO LTD (JP)
FUJIWARA KOSUKE (JP)
KOYAMA AKIHIRO (JP)
International Classes:
C03C12/00; A61K8/25; A61Q1/02; C03B37/005; C08K7/00; C09C1/30; C09C3/06
Domestic Patent References:
WO2006068255A12006-06-29
Foreign References:
JP2001080935A2001-03-27
JP2001213639A2001-08-07
JPH11314933A1999-11-16
JPH11310432A1999-11-09
JPH11310429A1999-11-09
JPH11240734A1999-09-07
JPH10297930A1998-11-10
Other References:
See also references of EP 2287124A4
None
Attorney, Agent or Firm:
ONDA, Hironori et al. (JP)
Hironori Onda (JP)
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Claims:
質量%で表して、
 60≦SiO 2 ≦70、
  5≦Al 2 O 3 ≦15、
  1≦MgO≦10、
 10≦CaO≦25、
  4<(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)<9
の組成であるガラス素地から形成されることを特徴とする鱗片状ガラス。
前記ガラス素地の作業温度から失透温度を差し引いた温度差δTが0~200℃であることを特徴とする請求項1に記載の鱗片状ガラス。
前記ガラス素地のガラス転移温度が560~750℃であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鱗片状ガラス。
前記ガラス素地の耐酸性の指標であるδWが0.05~1.2質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鱗片状ガラス。
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鱗片状ガラスと、前記鱗片状ガラスの表面を被覆する、金属又は金属酸化物を主成分とする被膜とを備えることを特徴とする被覆鱗片状ガラス。
質量%で表して、
 60≦SiO 2 ≦70、
  5≦Al 2 O 3 ≦15、
  1≦MgO≦10、
 10≦CaO≦25、
  4<(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)<9
の組成であるガラス素地を溶融した後、ガラス素地を粉砕することを備える、請求項1に記載の鱗片状ガラスを製造する方法。
請求項1に記載の鱗片状ガラスを形成するためのガラス素地であって、
質量%で表して、
 60≦SiO 2 ≦70、
  5≦Al 2 O 3 ≦15、
  1≦MgO≦10、
 10≦CaO≦25、
  4<(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)<9
の組成であるガラス素地。
Description:
鱗片状ガラス及び被覆鱗片状ガ ス

 本発明は、例えば樹脂組成物、塗料、イ キ(インク)、化粧料等に配合されて使用さ 、優れた色調や光沢を発揮することができ 鱗片状ガラス及び被覆鱗片状ガラスに関す ものである。

 係る鱗片状ガラスは、例えば樹脂組成物( 樹脂マトリックス)中に分散させると、該樹 組成物から得られる樹脂成形体の強度や寸 精度を向上させることができる。また、鱗 状ガラスは、ライニング材として、塗料に 合されて金属やコンクリート表面に塗布さ る。この鱗片状ガラスは、その表面を金属 被覆することにより金属色を呈するように り、鱗片状ガラスの表面を金属酸化物で被 することにより鱗片状ガラスは反射光の干 による干渉色を呈するようになる。つまり 金属被膜又は金属酸化物被膜で被覆された 片状ガラスは、光輝性顔料として好適に利 される。このような鱗片状ガラスを用いた 輝性顔料は、塗料や化粧料等の色調や光沢 重要視される用途において好んで使用され いる。

 ところで、鱗片状ガラスは、例えば溶融 ラス素地をブローノズルで風船状に膨らま て中空状ガラス膜とし、この中空状ガラス を押圧ローラで粉砕することにより製造さ る。このような製造工程を勘案すると、鱗 状ガラスは、溶融性に優れていて成形性が 好であること、適正な温度-粘度特性を持つ こと、及び作業温度よりも失透温度が低いこ とが求められる。作業温度は、ガラスの粘度 が100Pa・s(1000P)であるときの温度である。ま 、失透温度は、溶融ガラス素地中に結晶が 成し、成長しはじめるときの温度である。

 温度-粘度特性としては、特に作業温度が 高くなり過ぎると鱗片状ガラスが成形し難く なるため、作業温度が1300℃以下であること 好ましい。ガラスの作業温度が低いほど、 ラス原料を溶融する際の燃料費を節約する とができる。また、溶融窯や鱗片状ガラス 製造装置が受ける熱損傷が小さくなるので 溶融窯や製造装置の寿命を延ばすことがで る。

 さらに、金属被膜又は金属酸化物被膜を 片状ガラスの表面に形成する際に、鱗片状 ラスを高温処理する場合がある。また、鱗 状ガラス又は被覆鱗片状ガラスは塗料に配 され、焼き付け塗装等の用途に用いられ高 処理される場合がある。従って、鱗片状ガ スには十分な耐熱性も要求される。いわゆ 板ガラス組成として一般的に用いられてい ソーダライムガラスは、アルカリ金属酸化 を多量に含有し、耐熱性が十分ではなかっ 。塗料や化粧料に配合されるという鱗片状 ラスの用途を考慮すると、塗膜や被膜には 酸性、耐アルカリ性等が必要とされ、鱗片 ガラスには高い化学的耐久性が要求される

 これらの要求に対し、本願出願人は既に次 ような鱗片状ガラスを提案した。例えば、 許文献1では、二酸化ケイ素(SiO 2 )の含有量、二酸化ケイ素と酸化アルミニウ (Al 2 O 3 )との合計の含有量、酸化マグネシウム(MgO)と 酸化カルシウム(CaO)との合計の含有量及び酸 リチウム(Li 2 O)と酸化ナトリウム(Na 2 O)と酸化カリウム(K 2 O)との合計の含有量を特定した鱗片状ガラス 提案した。

 特許文献2では、二酸化ケイ素の含有量、酸 化マグネシウムと酸化カルシウムとの合計の 含有量、酸化リチウムと酸化ナトリウムと酸 化カリウムとの合計の含有量及び二酸化チタ ン(TiO 2 )の含有量を特定した鱗片状ガラスを提案し 。

特開2007-145699号公報

特開2007-145700号公報

 ところで、二酸化ケイ素及び酸化アルミ ウムはガラスの骨格を形成する成分であり 二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの含有 が十分でないとガラス転移温度が高くなら 、耐熱性が不足する。また、二酸化ケイ素 耐酸性を向上させる傾向を示し、酸化アル ニウムは耐酸性を悪化させる傾向を示すこ から、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウム バランスが重要である。酸化マグネシウム び酸化カルシウムは、ガラスの失透温度及 粘度を良好に調整する成分である。

 しかしながら、特許文献1及び2には、酸 アルミニウムの含有量が5%以下であることが 好ましいと記載されており、実施例では酸化 アルミニウムの含有量が特許文献1では3.20質 %以下であり、特許文献2では4.84質量%以下で ある。特許文献1及び2では、二酸化ケイ素の 有量が酸化アルミニウムの含有量に比べて 剰に設定されている。このため、鱗片状ガ スの耐熱性が不足すると共に、耐水性など 化学的耐久性も悪化するという問題があっ 。

 加えて、特許文献1及び2に記載されている 片状ガラスでは、いずれも酸化リチウムと 化ナトリウムと酸化カリウムの合計の含有 (Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)が13質量%以上である。ところが、この(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)の含有量が13質量%以上の場合、特にNa 2 Oの含有量が多い場合には、鱗片状ガラスの 熱性が不足するという問題があった。

 本発明の目的は、耐熱性及び化学的耐久 の向上した鱗片状ガラス及び被覆鱗片状ガ スを提供することにある。

 本発明者らは、上記の目的を達成するため 、鱗片状ガラスの好適なガラス組成につい 鋭意検討を重ねた。その結果、二酸化ケイ (SiO 2 )及び酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )の含有量、そしてアルカリ金属酸化物の合 含有量(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)を制御することにより、耐熱性、化学的耐 性(特に耐酸性)及び成形し易さを向上させ 鱗片状ガラスが得られることを見出し、本 明を完成した。

 すなわち、本発明の第1の側面に係る鱗片状 ガラスは、質量%で表して、
 60≦SiO 2 ≦70、
  5≦Al 2 O 3 ≦15、
  1≦MgO≦10、
 10≦CaO≦25、
  4<(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)<9
の組成であるガラス素地から形成されること を特徴とする。

 一例では、ガラス素地の作業温度から失透 度を差し引いた温度差δTが0~200℃である。
 一例では、ガラス素地のガラス転移温度が5 60~750℃である。

 一例では、ガラス素地の耐酸性の指標であ δWが0.05~1.2質量%である。
 本発明の一側面に係る被覆鱗片状ガラスは 第1の側面に係る鱗片状ガラスと前記鱗片状 ガラスの表面を被覆する、金属又は金属酸化 物を主成分とする被膜とを備えることを特徴 とする。

 本発明の第1の側面に係る発明の鱗片状ガラ スを形成するガラス素地が60≦SiO 2 ≦70及び5≦Al 2 O 3 ≦15を満たすように設定されている。このた 、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの含 量が十分に確保され、二酸化ケイ素と酸化 ルミニウムによるガラスの骨格を形成する 能を十分に発現することができ、ガラス転 温度が高く、溶融性が良く、耐酸性や耐水 を高めることができる。また、酸化マグネ ウム及び酸化カルシウムの含有量が1≦MgO≦ 10及び10≦CaO≦25に設定されている。このため 、ガラスの耐熱性を維持しつつ、ガラス形成 時における失透温度及び粘度を良好にするこ とができる。その上、酸化リチウム、酸化ナ トリウム及び酸化カリウムの合計量が4<(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)<9に設定されている。このようにアルカ 金属酸化物の含有量が十分であることから ガラス形成時における失透温度及び粘度を 好にすることができる。以上の組成を有す ガラス素地によれば、鱗片状ガラスの耐熱 及び化学的耐久性を向上させることができ 。

 ガラス素地の作業温度から失透温度を差 引いた温度差δTが0~200℃であ場合、ガラス 成時における失透を抑制することができる 共に、より均質な鱗片状ガラスを得ること できる。

 ガラス素地のガラス転移温度が560~750℃であ る場合、鱗片状ガラスの耐熱性を向上させる ことができる。
 ガラス素地の耐酸性の指標であるδWが0.05~1. 2質量%である場合、鱗片状ガラスの耐酸性を めることができる。

 鱗片状ガラスの表面が金属又は金属酸化 を主成分とする被膜により被覆されている 覆鱗片状ガラスは、被膜により金属色、干 色などを発色することができる。

(a)は実施形態における鱗片状ガラスを 式的に示す斜視図、(b)は鱗片状ガラスを示 平面図。 被覆鱗片状ガラスを模式的に示す断面 。 基材の表面に鱗片状ガラス又は被覆鱗 状ガラスを含む塗膜を形成した状態を示す 面図。 鱗片状ガラスを製造する装置を示す断 図。 鱗片状ガラスを製造する別の装置を示 断面図。

 以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説 する。
 本明細書において、組成を示す数値は質量% を表す。本実施形態の鱗片状ガラスを形成す るガラス素地の組成は、質量%で表して次の うに設定される。

 60≦SiO 2 ≦70、
  5≦Al 2 O 3 ≦15、
  1≦MgO≦10、
 10≦CaO≦25、
 4<(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)<9。

 本明細書において、上記SiO 2 は二酸化ケイ素(ケイ酸)、Al 2 O 3 は酸化アルミニウム(アルミナ)、MgOは酸化マ ネシウム、CaOは酸化カルシウム、Li 2 Oは酸化リチウム、Na 2 Oは酸化ナトリウム及びK 2 Oは酸化カリウムを意味する。

 図1(a)は鱗片状ガラス10を示す斜視図及び図1 (b)は鱗片状ガラス10を示す平面図である。図1 (a)に示すように、本実施形態の鱗片状ガラス 10の平均厚さtは、0.1~15μmである。また、鱗片 状ガラス10のアスペクト比(平均粒子径a/平均 さt)は、2~1000である。従って、鱗片状ガラ 10は、薄片状粒子である。鱗片状ガラス10の 面形状は図1(b)に示す六角形状のほか、五角 形状、八角形状等いずれの形状であってもよ い。本明細書において、平均粒子径aは、鱗 状ガラス10を図1(b)に示すように平面視した きの面積Sの平方根によって定義される(a=S 1/2 )。

 次に、鱗片状ガラス10の組成、鱗片状ガ ス10の製造方法、鱗片状ガラス10の物性、被 鱗片状ガラス及び用途(樹脂組成物、塗料、 インキ組成物及び化粧料)について順に説明 る。

   〔鱗片状ガラス10の組成〕
 鱗片状ガラス10を形成するガラス素地の組 について説明する。
   (SiO 2 )
 二酸化ケイ素(SiO 2 )は、鱗片状ガラス10の骨格となる主成分であ る。本明細書において、主成分とは、含有量 が最も多い成分であることを意味する。また 、SiO 2 はガラスの耐熱性を保持しながらガラス形成 時の失透温度及び粘度を調整する成分であり 、耐酸性を向上させる成分でもある。このSiO 2 の含有量が60質量%未満の場合には、失透温度 が上昇し過ぎて、鱗片状ガラス10を形成する とが難しくなると共に、鱗片状ガラス10の 酸性も悪化する。SiO 2 の含有量が70質量%を超える場合には、ガラス の融点が高くなり過ぎて、原料を均一に溶融 することが困難になる。

 従って、SiO 2 の下限は、60質量%以上であり、63質量%以上が 好ましく、64質量%以上がより好ましく、65質 %より大きいことが最も好ましい。SiO 2 の上限は、70質量%以下であり、69質量%以下が 好ましく、68質量%以下がより好ましく、67質 %以下が最も好ましい。よって、SiO 2 の含有量の範囲は、これら上限と下限の任意 の組み合わせから選ばれ、例えば63~68質量%で あることがより好ましい。

   (B 2 O 3 )
 三酸化二ホウ素(B 2 O 3 )は、ガラスの骨格を形成する成分であり、 ラス形成時の失透温度及び粘度を調整する 分でもある。B 2 O 3 の含有量は、0≦B 2 O 3 ≦6であることが好ましい。B 2 O 3 の含有量が6質量%を超えると、ガラスを溶融 る際に溶融窯や蓄熱窯の炉壁を浸食して窯 寿命を著しく低下させる。従って、B 2 O 3 の上限は、6質量%以下が好ましく、2質量%未 がより好ましく、1質量%未満がさらに好まし く、実質的に含有しないことが最も好ましい 。

   (Al 2 O 3 )
 酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )は、鱗片状ガラス10の骨格を形成する成分で あり、耐熱性を保ちながらガラス形成時の失 透温度及び粘度を調整する成分でもある。ま た、Al 2 O 3 は、耐水性を向上させる成分である一方で、 耐酸性を悪化させる成分でもある。Al 2 O 3 が5質量%未満の場合には、失透温度及び粘性 調整を十分に行うことができず、或いは耐 性を十分に改善することができない。一方 Al 2 O 3 の含有量が15質量%を超える場合、ガラスの融 点が高くなり過ぎて、原料を均一に溶融する ことが困難になり、耐酸性も悪化する。従っ て、Al 2 O 3 の下限は、5質量%以上であり、6質量%以上が ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量% 以上が最も好ましい。Al 2 O 3 の上限は、15質量%以下であり、13質量%以下が 好ましく、12質量%未満がより好ましい。よっ て、Al 2 O 3 の含有量の範囲は、これら上限と下限の任意 の組み合わせから選ばれるが、例えば8~13質 %であることが好ましい。

   (MgO、CaO)
 酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO) は、ガラスの耐熱性を保持しつつ、ガラス形 成時の失透温度及び粘度を調整する成分であ る。このMgOの含有量は、1≦MgO≦10である。MgO の含有量が1質量%未満の場合には、失透温度 び粘度を調整するのに十分な効果を得るこ ができない。MgOの含有量が10質量%を超える 合には、失透温度が上昇し過ぎて、鱗片状 ラス10を形成することが難しくなる。従っ 、MgOの下限は、1質量%以上であり、2質量%以 が好ましい。MgOの上限は、10質量%以下であ 、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がより 好ましく、4質量%以下が最も好ましい。よっ 、MgOの含有量の範囲は、これら上限と下限 任意の組み合わせから選ばれるが、例えば2 ~5質量%であることが好ましい。

 CaOの含有量は、10≦CaO≦25である。CaOの含 有量が10質量%未満である場合、失透温度及び 粘度を十分に調整することができなくなる。 CaOの含有量が25質量%を超える場合、失透温度 が上昇し過ぎて、鱗片状ガラス10を形成する とが難しくなる。従って、CaOの下限は、10 量%以上であり、12質量%以上が好ましく、14 量%以上がより好ましく、15質量%より大きい とが最も好ましい。CaOの上限は、25質量%以 であり、23質量%以下が好ましく、21質量%以 がより好ましく、20質量%以下が最も好まし 。よって、CaOの含有量の範囲は、これら上 と下限の任意の組み合わせにより決定され が、例えば12~21質量%であることが好ましい

   (SrO)
 酸化ストロンチウム(SrO)は、ガラス形成時 失透温度及び粘度を調整する成分である。 方で、SrOはガラスの耐酸性を悪化させる成 でもある。SrOは必須ではないが、ガラス形 時の失透温度及び粘度を調整するための成 として使用してもよい。しかし、SrOの含有 が10質量%を超えると、耐酸性が悪化する。 って、SrOの上限は10質量%以下が好ましく、5 量%以下がより好ましく、2質量%以下がさら 好ましく、実質的に含有しないことが最も ましい。

   (BaO)
 酸化バリウム(BaO)は、ガラス形成時の失透 度及び粘度を調整する成分である。その一 で、BaOはガラスの耐酸性を悪化させる成分 もある。BaOは、必須ではないが、ガラス形 時の失透温度及び粘度を調整するための成 として使用してもよい。しかし、BaOの含有 が10質量%を超えると、耐酸性が悪化する。 って、BaOの上限は、10質量%以下が好ましく 5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさ に好ましく、実質的に含有しないことが最 好ましい。

   (ZnO)
 酸化亜鉛(ZnO)は、ガラス形成時の失透温度 び粘度を調整する成分である。その一方で ZnOは揮発し易いため、溶融時に飛散する可 性がある。ZnOの含有量が10質量%を超えると 揮発による成分比の変動が顕著となり、ガ ス中の含有量を管理し難くなる。従って、Zn Oの上限は、10質量%以下が好ましく、5質量%以 下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ま く、実質的に含有しないことが最も好まし 。

   (Li 2 O、Na 2 O、K 2 O)
 アルカリ金属酸化物(Li 2 O、Na 2 O、K 2 O)は、ガラス形成時の失透温度及び粘度を調 する成分である。アルカリ金属酸化物の合 含有量(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)は、4<(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)<9である。(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)が4質量%以下であるとき、ガラスの融点が くなりすぎて、原料を均一に溶融すること 困難になり、また鱗片状ガラス10を形成する ことが難しくなる。他方、(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)が9質量%以上では、ガラス転移温度が低く り、ガラスの耐熱性が悪くなる。従って、(L i 2 O+Na 2 O+K 2 O)の下限は、4質量%より大きく、4.5質量%以上 好ましく、5質量%以上がより好ましい。(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)の上限は、9質量%未満であり、8.5質量%以下 好ましく、8質量%以下がより好ましい。(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)の範囲は、これら上限と下限の任意の組み わせから選ばれるが、例えば4.5~8.5質量%が ましい。

 酸化リチウム(Li 2 O)は、必須ではないが、ガラス形成時の失透 度及び粘度を調整するための成分として使 することが望ましい。ガラスの融点を下げ 効果があるため、含有させることにより、 ラス原料を均一に溶融し易くなる。また、L i 2 Oは、作業温度を下げる効果があるため、鱗 状ガラス10が形成し易くなる。他方、Li 2 Oの含有量が5質量%を超えると、ガラス転移温 度が低くなり、ガラスの耐熱性が悪くなる。 また、失透温度に対して作業温度が低くなり 過ぎて、鱗片状ガラス10を形成することが難 くなる。従って、Li 2 Oの下限は、0質量%以上が好ましく、0.1質量% 上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好 しく、1質量%以上が最も好ましい。Li 2 Oの上限は、5質量%以下が好ましく、4質量%以 がより好ましく、3質量%以下がさらに好ま く、2質量%未満が最も好ましい。Li 2 Oの範囲は、これら上限と下限の任意の組み わせから選ばれるが、例えば0.5~3質量%が好 しい。

 酸化ナトリウム(Na 2 O)は必須ではないが、ガラス形成時の失透温 及び粘度を調整するための成分として使用 ることが望ましい。しかし、Na 2 Oの含有量の上限が9質量%以上では、ガラス転 移温度が低くなり、ガラスの耐熱性が悪くな る。従って、Na 2 Oの下限は、0質量%以上が好ましく、1質量%以 がより好ましく、2質量より大きいことがさ らに好ましく、3質量%より大きいことが最も ましい。Na 2 Oの上限は、9質量%未満が好ましく、8質量%以 がより好ましく、7質量%以下がさらに好ま い。Na 2 Oの範囲は、これら上限と下限の任意の組み わせが選択されるが、例えば1~8質量%が好ま い。

 酸化カリウム(K 2 O)は必須ではないが、ガラス形成時の失透温 及び粘度を調整するための成分として使用 ることが望ましい。しかし、K 2 Oの含有量が5質量%を超えると、ガラス転移温 度が低くなり、ガラスの耐熱性が悪くなる。 従って、K 2 Oの下限は、0質量%以上が好ましく、0.1質量% 上がより好ましい。K 2 Oの上限は、5質量%以下が好ましく、4質量%以 がより好ましく、3質量%以下がさらに好ま く、2質量%未満が最も好ましい。K 2 Oの含有量は、これら上限と下限の任意の組 合わせから選択されるが、例えば0~4質量%が ましい。

   (TiO 2 )
 二酸化チタン(TiO 2 )は、ガラスの溶融性及び鱗片状ガラス10の化 学的耐久性及び紫外線吸収特性を向上させる 成分である。従って、TiO 2 は必須成分ではないが、ガラスの溶融性及び 鱗片状ガラス10の化学的耐久性及び光学特性 調整するための成分として含むことが好ま い。しかし、TiO 2 の含有量が5質量%を超えると、ガラスの失透 度が上昇し過ぎて、鱗片状ガラス10を形成 ることが難しくなる。従って、TiO 2 の下限は、0質量%以上が好ましく、0.1質量%以 上がより好ましい。TiO 2 の上限は、5質量%以下が好ましく、2質量%以 がより好ましく、1質量%未満がさらに好まし い。

   (ZrO 2 )
 酸化ジルコニウム(ZrO 2 )は、ガラス形成時の失透温度及び粘度を調 する成分である。その一方で、ZrO 2 はガラスの失透成長を速める働きを有してい る。しかし、ZrO 2 の含有量が5質量%を超えると、失透温度が上 し過ぎて、鱗片状ガラス10を形成すること 難しくなる。従って、ZrO 2 の含有量の上限は、5質量%以下が好ましく、2 質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさら に好ましく、実質的に含有しないことが最も 好ましい。

   (Fe)
 通常、ガラス中の鉄(Fe)は、Fe 2+ 又はFe 3+ の状態で存在する。Fe 3+ は鱗片状ガラス10の紫外線吸収特性を高める 分であり、Fe 2+ は熱線吸収特性を高める成分である。従って 、鉄(Fe)は必須成分ではないが、鱗片状ガラ 10の光学特性を調整するための成分として含 まれていてもよい。また、鉄(Fe)は、意図的 含ませなくとも、工業用原料により不可避 に混入する場合がある。他方、鉄(Fe)の含有 が多くなると、鱗片状ガラス10の着色が顕 になる。この着色は鱗片状ガラス10の色調や 光沢が重要視される用途においては、好まし くないことがある。従って、鉄(Fe)の上限は Fe 2 O 3 換算にて5質量%以下が好ましく、2質量%以下 より好ましく、0.5質量%以下がさらに好まし 、0.1質量%以下が特に好ましく、実質的に含 有しないことが最も好ましい。

   (SO 3 )
 三酸化硫黄(SO 3 )は必須成分ではないが、清澄剤として含ま ていてもよい。硫酸塩の原料を使用すると 0.5質量%以下の含有量で含まれることがある

   (F)
 フッ素(F)は、揮発し易いため、溶融時に飛 する可能性があると共に、ガラス中の含有 を管理し難いという問題もある。従って、F は、実質的に含有しないことが好ましい。

   (SiO 2 -Al 2 O 3 )
 鱗片状ガラス10の耐酸性を重視する場合、 片状ガラス10の耐酸性を向上させるSiO 2 の含有量と、耐酸性を悪化させるAl 2 O 3 の含有量の差(SiO 2 -Al 2 O 3 )が重要である。この差は50≦(SiO 2 -Al 2 O 3 )≦60であることが好ましい。(SiO 2 -Al 2 O 3 )が50質量%未満の場合、鱗片状ガラス10の耐酸 性が不十分となる。(SiO 2 -Al 2 O 3 )が60質量%を超える場合、失透温度が上昇し ぎて、鱗片状ガラス10を形成することが困難 になる。従って、(SiO 2 -Al 2 O 3 )の下限は、50質量%以上が好ましく、51質量% 上がより好ましく、52質量%以上がさらに好 しく、53質量%より大きいことが最も好まし 。(SiO 2 -Al 2 O 3 )の上限は、60質量%以下が好ましく、59質量% 下がより好ましく、58質量%以下がさらに好 しく、57質量%以下が最も好ましい。(SiO 2 -Al 2 O 3 )の含有量の範囲は、これら上限と下限の任 の組み合わせから選択され、例えば51~59質量 %である。

   (MgO+CaO)
 鱗片状ガラス10の成形し易さを重視する場 、ガラス形成時の失透温度及び粘度を調整 る成分であるMgO及びCaOの含有量の和(MgO+CaO) 重要である。この和は11≦(MgO+CaO)≦35である とが好ましい。(MgO+CaO)が11質量%未満の場合 鱗片状ガラス10の耐酸性が不十分となる。(M gO+CaO)の含有量が35質量%を超える場合、失透 度が上昇し過ぎて、鱗片状ガラス10を形成す ることが難しくなる。従って、(MgO+CaO)の下限 は、11質量%以上が好ましく、13質量%以上がよ り好ましく、14質量%より大きいことがさらに 好ましく、15質量%以上が特に好ましく、17質 %より大きいことが最も好ましい。(MgO+CaO)の 上限は、35質量%以下が好ましく、30質量%以下 がより好ましく、26質量%以下がさらに好まし く、24質量%以下が最も好ましい。(MgO+CaO)の含 有量の範囲は、これら上限と下限の任意の組 み合わせから選択され、例えば13~30質量%であ る。

 本実施形態において、物質を実質的に含 させないとは、例えば工業用原料により不 避的に混入される場合を除き、意図的に含 せないことを意味する。具体的には、0.1質 %未満の含有量を意味する。

 以上詳述したように、本実施形態における 片状ガラス10を形成するガラス素地は、SiO 2 、Al 2 O 3 、MgO及びCaOを必須成分とし、さらにLi 2 O、Na 2 O及びK 2 Oからなる群より選ばれた少なくとも1種を含 し、必要に応じてB 2 O 3 、SrO、BaO、ZnO、TiO 2 、ZrO 2 、酸化鉄(FeO又はFe 2 O 3 )、SO 3 等を含有していてもよい。

   〔鱗片状ガラス10の製造方法〕
 本実施形態の鱗片状ガラス10は、例えば図4 示した製造装置を用いて製造することがで る。図4に示すように、耐火窯槽20内で溶融 れた前記ガラス組成を有するガラス素地21 、ブローノズル22に送り込まれたガス23によ て、風船状に膨らみ、中空状ガラス膜24と る。得られた中空状ガラス膜24を一対の押圧 ローラ25によって粉砕することにより、鱗片 ガラス10が得られる。

 また、本実施形態の鱗片状ガラス10は、 えば図5に示した製造装置を用いても製造す ことができる。この図5に示すように、回転 カップ26に流し込まれた溶融状態の前記ガラ 組成を有するガラス素地21は、遠心力によ て回転カップ26の上縁部から放射状に流出し 、上下に配置された環状プレート27間の隙間 通って空気流で吸引され、環状サイクロン 捕集機28に導入される。環状プレート27間の 隙間を通過する間に、ガラス素地21が薄膜の で冷却、固化し、さらには微小片に破砕さ ることにより、鱗片状ガラス10が得られる

   〔鱗片状ガラス10の物性〕
 本実施形態の鱗片状ガラス10の各物性につ て、以下詳細に説明する。
   (温度特性)
 溶融ガラスの粘度が100Pa・s(1000P)のときの温 度は、作業温度と呼ばれ、鱗片状ガラス10の 形に最も適した温度とされている。例えば 図4の製造装置によると、中空状ガラス膜24 平均厚さすなわち鱗片状ガラス10の平均厚 は、0.1~15μmである。このような薄肉の中空 ガラス膜24を形成する場合、ガラスの温度低 下が著しい。この温度低下のため、中空状ガ ラス膜24の可塑性が急激に低下し、引き延ば 難くなる。可塑性の低下により、中空状ガ ス膜24が均一に成長し難くなり、ガラス膜 にばらつきが発生することがある。そこで 作業温度は、1100℃以上であることが好まし 、1150℃以上であることがより好ましく、118 0℃以上であることがさらに好ましく、1200℃ 上であることが最も好ましい。

 作業温度が1300℃を超えると、ガラスの製 造装置が、熱による腐食を受け易くなり、装 置寿命が短くなることがある。また、作業温 度が低いほど、ガラス原料を溶融する際の燃 料費を軽減することができる。そこで、作業 温度は、1300℃以下であることが好ましく、12 80℃以下であることがより好ましく、1260℃以 下であることがさらに好ましく、1250℃以下 あることが最も好ましい。失透温度は、1100~ 1250℃程度である。本明細書において、失透 は、溶融されたガラス素地21中に生成され成 長した結晶により白濁を生じることをいう。 このような溶融されたガラス素地21から作製 れたガラス中には、結晶化した塊が存在す ことがあるので、鱗片状ガラス10として好 しくない。

 作業温度から失透温度を差し引いた温度 δTが大きいほど、ガラス成形時に失透が生 難くなり、より均質な鱗片状ガラス10が高 歩留まりで製造できるようになる。δTが0℃ 上のガラスであれば、例えば、図4又は図5 製造装置を用いて、鱗片状ガラス10を高い歩 留まりで製造することができる。従って、δT は0℃以上であることが好ましく、20℃以上で あることがより好ましく、40℃以上であるこ がさらに好ましく、50℃以上であることが も好ましい。但し、δTが200℃以下であれば ガラス組成の調整が容易となるため好まし 、δTが180℃以下であればさらに好ましく、15 0℃以下であれば特に好ましい。

   (ガラス転移温度)
 鱗片状ガラス10は、ガラス転移温度(ガラス 移点、Tg)が高いほど耐熱性が高く、高温加 を伴う加工に対して変形し難くなる。ガラ 転移温度が560℃以上であれば、鱗片状ガラ 10の表面に金属又は金属酸化物を主成分と る被膜を形成する工程において、鱗片状ガ ス10の形状が変化するおそれが小さい。また 、鱗片状ガラス10又は被覆鱗片状ガラスを塗 に配合し、焼き付け塗装等の用途に好適に いることができる。本実施形態で規定した ラス組成であれば、560℃以上のガラス転移 度を有するガラスを容易に得ることができ 。鱗片状ガラス10のガラス転移温度は、560 以上であることが好ましく、580℃以上であ ことがより好ましく、600℃以上であること さらに好ましい。ガラス転移温度の上限は 750℃程度であることが好ましい。

   (化学的耐久性)
 本実施形態の鱗片状ガラス10は、耐酸性、 水性、耐アルカリ性等の化学的耐久性に優 るものである。そのため、本実施形態の鱗 状ガラス10は、樹脂成形体、塗料、化粧料、 インキ等の用途に好適に使用することができ る。

 耐酸性の指標には、鱗片状ガラス10を形 するガラス素地を粉砕し、JIS Z 8801に規定 れる補助網ふるい710μm及び標準網ふるい590μ mを通過し、標準網ふるい420μmを通過しない きさのガラス粉末をガラスの比重と同じグ ム数量り取り、80℃、10質量%の硫酸水溶液100 mLに72時間浸漬した場合の質量減少率δWを用 る。この質量減少率δWが低いほど耐酸性が いことを示す。この測定方法は、日本光学 子工業会規格(JOGIS)の「光学ガラスの化学的 久性の測定方法(粉末法)06-1975」に準拠して る。但し、後述する実施例では、JOGISの測 方法で用いられる0.01N(mol/L)硝酸水溶液の代 りに、10質量%の硫酸水溶液を用いている。 た、硫酸水溶液の温度は80℃とし、液量は、 JOGISの測定方法における80mLの代わりに、100mL している。さらに、処理時間は、JOGISの測 方法における60分間の代わりに、72時間とし いる。鱗片状ガラス10を形成するガラス素 とは、通常のガラス原料を溶融して作製し ガラスサンプルである。

 鱗片状ガラス10を含有する塗料等を、酸 環境下における防食ライニング材として用 る場合、上記指標(質量減少率δW)におけるガ ラスの耐酸性は、小さい値であることが望ま しい。質量減少率δWが大きな値を示す場合に は、酸性環境下における防食ライニング材の 防食性が低くなる。従って、質量減少率δWは 、1.2質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がよ 好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、 0.4質量%以下が最も好ましい。質量減少率δW 下限は、通常0.05質量%程度である。

   〔被覆鱗片状ガラス〕
 図2に模式的に示すように、前述した鱗片状 ガラス10をコアとして、その表面に金属又は 属酸化物を主成分とする被膜11を形成する とにより、被覆鱗片状ガラス12を製造するこ とができる。この被膜11は、実質的に、金属 び金属酸化物の少なくとも1種から形成され ることが好ましい。被膜11の形態は、単層、 合層又は複層のいずれであってもよい。

 被膜11は、具体的には銀、金、白金、パ ジウム及びニッケルからなる群より選ばれ 少なくとも1種の金属により形成される。或 は、被膜11は、酸化チタン、酸化アルミニ ム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ジルコニ ム、酸化亜鉛、酸化スズ及び二酸化ケイ素 らなる群より選ばれる少なくとも1種の金属 化物により形成される。これらの中でも、 折率及び透明性が高く、干渉色の発色がよ 二酸化チタン及び特徴のある干渉色を発色 きる酸化鉄が好ましい。

 被膜11は、金属を主成分とする第1膜と、金 酸化物を主成分とする第2膜とを含む積層膜 であってもよい。
 コアとなる鱗片状ガラス10の表面全体に被 11を形成してもよく、鱗片状ガラス10の表面 一部に被膜11を形成してもよい。

 被膜11の厚さは、用途によって適宜設定 ることができる。また、被膜11を鱗片状ガラ ス10の表面に形成する方法としては、一般的 知られている方法等のどのような方法も採 することができる。例えば、スパッタリン 法、ゾルゲル法、CVD法(化学蒸着法)、LPD法 は金属塩から酸化物をその表面に析出させ 液相析出法等、公知の方法を採用すること できる。LPD法(液相析出法、Liquid Phase Deposit ion Method)とは、反応溶液から基板などに金属 酸化物の薄膜を析出させる方法である。

   〔用途(樹脂組成物、塗料、インキ組成 及び化粧料)〕
 鱗片状ガラス10や被覆鱗片状ガラス12は、公 知の手段により、顔料として又は補強用充填 材として、樹脂組成物、塗料、インキ組成物 及び化粧料等に配合される。その結果、これ らの色調や光沢を高めることができると共に 、樹脂組成物、塗料及びインキ組成物におい ては、寸法精度及び強度等を改善することが できる。図3は、この鱗片状ガラス10を塗料に 配合して、基材13の表面に塗布した例を説明 るための模式的な断面図である。この図3に 示すように、鱗片状ガラス10又は被覆鱗片状 ラス12は、塗膜14の樹脂マトリックス15中に 散されている。

 樹脂組成物、塗料、インキ組成物及び化 料は、一般的に知られているものであれば 用途に応じて適宜選択して用いることがで る。また、鱗片状ガラス10とこれらの材料 の混合比も、適宜設定することができる。 らに、鱗片状ガラス10とこれらの材料との混 合方法も、一般的に知られている方法であれ ば適用することができる。例えば、鱗片状ガ ラス10又は被覆鱗片状ガラス12を塗料中に配 する場合には、母材樹脂に、熱硬化性樹脂 熱可塑性樹脂或いは硬化剤を適宜選択して 合することができる。

 熱硬化性樹脂としては、特に限定されず アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキ 樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、フッ素 脂、ポリエステル-ウレタン硬化系樹脂、エ ポキシ-ポリエステル硬化系樹脂、アクリル- リエステル系樹脂、アクリル-ウレタン硬化 系樹脂、アクリル-メラミン硬化系樹脂、ポ エステル-メラミン硬化系樹脂等が挙げられ 。

 熱可塑性樹脂としては、特に限定されず 例えばポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、 リエチレン、ポリスチレン、ポリエステル ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチ ン、ポリブチレンテレフタレート又はこれ を形成する単量体を共重合してなる共重合 、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニ ンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン 液晶ポリマー(I型、II型又はIII型)、熱可塑 フッ素樹脂等が挙げられる。

 硬化剤としては、特に限定されず、ポリ ソシアネート、アミン、ポリアミド、多塩 酸、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化 ウ素酸、酸ジヒドラジド、イミダゾール等 挙げられる。

 また、鱗片状ガラス10又は被覆鱗片状ガラ 12を樹脂組成物中に配合する場合には、母材 樹脂に前述の各種熱硬化性樹脂又は熱可塑性 樹脂を使用することができる。
 インキ組成物としては、各種ボールペン、 ェルトペン等の筆記具用インキ及びグラビ インキ、オフセットインキ等の印刷インキ あるが、いずれのインキ組成物にも適用す ことができる。インキ組成物を構成するビ クルは、顔料を分散させ、紙にインキを固 させる働きをする。ビヒクルは、樹脂類、 分と溶剤等から構成される。

 筆記具用インキのビヒクルは、樹脂とし 、アクリル樹脂、スチレン-アクリル共重合 体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸 塩、アクリル単量体-酢酸ビニル共重合体、 ンサンガム等の微生物産生多糖類、グアー ム等の水溶性植物性多糖類等が挙げられる さらに、溶剤としては、水、アルコール、 化水素、エステル等が挙げられる。

 グラビアインキ用ビヒクルは、樹脂とし 、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロ ン、ライムロジン、ロジンエスエル、マレ ン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、 トロセルロース、酢酸セルロース、エチル ルロース、塩化ゴム、環化ゴム、エチレン- 酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂、ポリ エステル樹脂、アルキド樹脂、ギルソナイト 、ダンマル、セラック等の樹脂の混合物、前 記樹脂を水溶化した水溶性樹脂又は水性エマ ルション樹脂が挙げられる。さらに、溶剤と して、炭化水素、アルコール、エーテル、エ ステル、水等が挙げられる。

 オフセットインキ用ビヒクルは、樹脂と て、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂 アルキド樹脂、又はこれらの乾性変性樹脂 が挙げられ、油分として、アマニ油、桐油 大豆油等の植物油が挙げられる。さらに、 剤として、n-パラフィン、イソパラフィン アロマテック、ナフテン、α-オレフィン、 等が挙げられる。前述の各種ビヒクル成分 は、染料、顔料、界面活性剤、潤滑剤、消 剤、レベリング剤等の慣用の添加剤を適宜 択して配合してもよい。

 化粧料としては、フェーシャル化粧料、 ーキャップ化粧料、ヘア化粧料等幅広い範 の化粧料が挙げられる。これらの中でも、 にファンデーション、粉白粉、アイシャド 、ブラッシャー、化粧下地、ネイルエナメ 、アイライナー、マスカラ、口紅、ファン ーパウダー等のメーキャップ化粧料に好適 適用される。

 化粧料の用途に応じて、鱗片状ガラス10に 水化処理を適宜施することができる。疎水 処理の方法としては、以下の5つの方法を挙 ることができる。
(1)メチルハイドロジェンポリシロキサン、高 粘度シリコーンオイル及びシリコーン樹脂等 のシリコーン化合物による処理方法。
(2)アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤 等の界面活性剤による処理方法。
(3)ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポ リエチレン、各種フッ素樹脂〔ポリテトラフ ルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエ チレン-パーフルオロアルキルビニルエーテ 共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘ サフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラ フルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、 リビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロ トリフルオロエチレン(PCTFE)等〕、ポリアミ 酸等の高分子化合物による処理方法。
(4)パーフルオロ基含有化合物、レシチン、コ ラーゲン、金属石鹸、親油性ワックス、多価 アルコール部分エステル又は完全エステル等 による処理方法。
(5)これらを複合した処理方法。

 但し、一般に粉末の疎水化処理に適用でき 方法であれば、前述の方法以外でも利用す ことができる。
 また、この化粧料には、通常化粧料に用い れる他の材料を必要に応じて適宜配合する とができる。例えば、無機粉末、有機粉末 顔料や色素、炭化水素、エステル類、油性 分、有機溶媒、樹脂、可塑剤、紫外線吸収 、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、保湿 、香料、水、アルコール、増粘剤等が挙げ れる。

 無機粉末としては、タルク、カオリン、 リサイト、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲 、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マ ネシウム、炭酸カルシウム、ケイソウ土、 イ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケ 酸アルミニウム、硫酸バリウム、タングス ン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイ 、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミックス ウダー等が挙げられる。

 有機粉末としては、ナイロンパウダー、 リエチレンパウダー、ポリスチレンパウダ 、ベンゾグアナミンパウダー、ポリ四フッ エチレンパウダー、(ジスチレンベンゼンポ リマーパウダー)、エポキシ樹脂パウダー、 クリル樹脂パウダー、微結晶性セルロース が挙げられる。

 顔料は、無機顔料と有機顔料に大別される
 無機顔料としては、各種色別に以下のもの 挙げられる。無機白色顔料:酸化チタン、酸 化亜鉛等、無機赤色系顔料:酸化鉄(ベンガラ) 、チタン酸鉄等、無機褐色系顔料:γ酸化鉄等 、無機黄色系顔料:黄酸化鉄、黄土等、無機 色系顔料:黒酸化鉄、カーボンブラック等、 機紫色系顔料:マンゴバイオレット、コバル トバイオレット等、無機緑色系顔料:チタン コバルト等、無機青色系顔料:群青、紺青等

 また、パール調顔料として、酸化チタン 膜雲母、酸化チタン被膜オキシ塩化ビスマ 、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被膜タ ク、魚鱗箔、着色酸化チタン被膜雲母等が げられる。さらに、金属粉末顔料として、 ルミニウムパウダー、カッパーパウダー等 挙げられる。

 有機顔料としては、以下のものが用いら る。すなわち、赤色201号、赤色202号、赤色2 04号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色2 28号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色2 05号、黄色401号及び青色404号等が挙げられる

 また、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バ ウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムホ イト等の体質顔料に、以下に挙げる染料を ーキ化した有機顔料が用いられる。すなわ 、染料としては、赤色3号、赤色104号、赤色 106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色 505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202 、黄色203号、緑色3号及び青色1号等が挙げ れる。さらに、色素としては、クロロフィ 、β-カロテン等の天然色素が挙げられる。

 また、炭化水素としては、スクワラン、 動パラフィン、ワセリン、マイクロクリス リンワックス、オケゾライト、セレシン、 リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸 オレイン酸、イソステアリン酸、セチルア コール、ヘキサデシルアルコール、オレイ アルコール、2-エチルヘキサン酸セチル、 ルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸 2-オクチルドデシル、ジ-2-エチルヘキサン酸 オペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキ ン酸グリセロール、オレイン酸-2-オクチル デシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリ ソステアリン酸グリセロール、トリヤシ油 肪酸グリセロール、オリーブ油、アボガド 、ミツロウ、ミリスチン酸ミリスチル、ミ ク油、ラノリン等が挙げられる。

 さらに、シリコーン油、高級脂肪酸、油 類等のエステル類や、高級アルコール、ロ 等の油性成分が挙げられる。また、アセト 、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エステル等 有機溶剤や、アルキド樹脂、尿素樹脂等の 脂、カンファ、クエン酸アセチルトリブチ 等の可塑剤が挙げられる。加えて、紫外線 収剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、 湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤等が げられる。

 この化粧料の形態は特に制限されるもので なく、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、ス ィック状、軟膏状、液状、乳液状、クリー 状等が例示される。
 以上の実施形態によって発揮される効果を 下にまとめて記載する。

 ・ 本実施形態の鱗片状ガラス10では、該鱗 片状ガラス10を形成するガラス素地の組成が 60≦SiO 2 ≦70及び5≦Al 2 O 3 ≦15に設定されている。二酸化ケイ素及び酸 アルミニウムの含有量が十分に確保され、 酸化ケイ素と酸化アルミニウムがガラスの 格を形成する機能を十分に発現することが き、ガラス転移温度が高く、溶融性が良く 耐酸性や耐水性を高めることができる。さ に、酸化リチウム、酸化ナトリウム及び酸 カリウムの合計の含有量が4<(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)<9であることにより、ガラス形成時の失 温度及び粘度を良好に調整することができ 。その上、酸化マグネシウム及び酸化カル ウムの含有量が1≦MgO≦10及び10≦CaO≦25に設 されている。このため、ガラスの耐熱性を 持しつつ、ガラス形成時における失透温度 び粘度を良好にすることができる。

 従って、鱗片状ガラス10の耐熱性及び化 的耐久性を向上させることができる。耐熱 に優れることにより、鱗片状ガラス10が高温 に加熱されたときの変形を抑えることができ る。また、耐酸性に優れていることにより、 鱗片状ガラス10を例えば酸性環境下における 食ライニング材に適用することができると に、酸性溶液を用いた液相法により形成さ る被膜の基材としても有用である。さらに 作業温度を比較的低温に制御することがで るため、鱗片状ガラス10の形成が容易であ 。

 ・ 鱗片状ガラス10を形成するガラス素地 の作業温度から失透温度を差し引いた温度差 δTが0~200℃であることにより、ガラス形成時 おける失透を抑制することができると共に より均質な鱗片状ガラス10を得ることがで る。

 ・ 鱗片状ガラス10を形成するガラス素地の ガラス転移温度が560~750℃であることにより 鱗片状ガラス10の耐酸性を向上させることが できる。
 ・ 鱗片状ガラス10を形成するガラス素地の 耐酸性の指標であるδWが0.05~1.2質量%であるこ とにより、鱗片状ガラスの耐酸性を高めるこ とができる。

 ・ 被覆鱗片状ガラス12は、鱗片状ガラス 10の表面が金属又は金属酸化物を主成分とす 被膜11で被覆されさている。被膜11に基づい て金属色、干渉色などを発色することができ る。従って、この被覆鱗片状ガラス12は、光 性顔料として好適に利用することができる

 以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施 態をより具体的に説明するが、本発明は実 例に制限されるものではない。
   (実施例1~60、比較例1~11)
 表1~表7に示した組成となるように、珪砂等 通常のガラス原料を調合して、実施例及び 較例毎にガラス素地のバッチを作製した。 バッチについて、電気炉を用いて1400~1600℃ で加熱して溶融させ、組成が均一になるま 約4時間そのまま維持した。その後、溶融し たガラス素地を鉄板上に流し出して、電気炉 中で常温まで徐冷し、ガラスサンプルを得た 。

 このように作製したガラスサンプルにつ て、市販の膨張計〔(株)リガク、熱機械分 装置、TMA8510〕を用いて熱膨張係数を測定し 熱膨張曲線からガラス転移温度を求めた。 た、通常の白金球引き上げ法により粘度と 度の関係を調べて、その結果から作業温度 求めた。ここで、白金球引き上げ法とは、 融ガラス中に白金球を浸し、その白金球を 速運動で引き上げる際の負荷荷重(抵抗)と 白金球に働く重力や浮力などの関係を、微 の粒子が流体中を沈降する際の粘度と落下 度の関係を示したストークス(Stokes)の法則に 当てはめて粘度を測定する方法である。

 ガラスサンプルを粉砕し、JIS Z 8801に規 される標準網ふるい1.0mmを通過し、標準網 るい2.8mmを通過しない大きさのガラスを白金 ボートに入れ、温度勾配(900~1400℃)のついた 気炉にて2時間加熱し、結晶の出現位置に対 する電気炉の最高温度から失透温度を求め 。電気炉内の場所による温度挙動のバラツ を補償すべく、電気炉内の所定の場所にお る温度挙動を予め測定した。その所定の場 にガラスサンプルを置いて、失透温度を測 した。

 これらの測定結果を、表1~表7に示した。 1~表7中のガラス組成は、全て質量%で表示し た値である。δTは、前述したように作業温度 から失透温度を差し引いた温度差である。δW は、前述したように耐酸性の指標であり、前 記ガラスサンプルを粉砕し、JIS Z 8801に規定 される補助網ふるい710μm及び標準網ふるい590 μmを通過し、標準網ふるい420μmを通過しない 大きさのガラス粉末をガラスの比重と同じグ ラム数量り取り、80℃、10質量%の硫酸水溶液1 00mLに72時間浸漬した場合の質量減少率で表さ れる。

 実施例1~60のガラスのガラス転移温度は、 584~683℃であった。これは、これらのガラス 優れた耐熱性能を持つことを示している。 た、これらのガラスの作業温度は、1214~1283 であった。これは、鱗片状ガラスを作製す のに好適な温度である。さらに、これらの ラスのδT(作業温度-失透温度)は、41~142℃で った。これは、鱗片状ガラスの製造工程に いて、失透を生じさせない温度差である。 して、これらのガラスにおける耐酸性の指 である質量減少率δWは、0.08~0.44質量%であっ 。これは、これらのガラスが、良好な耐酸 を持つことを示している。

 一方、比較例1に示す従来の板ガラス組成は 、そのガラス転移温度が553℃であり、実施例 1~60のガラスのガラス転移温度より低く、耐 性が悪い。
 比較例2に示す従来のCガラスは、そのガラ 転移温度が549℃であり、実施例1~60のガラス ガラス転移温度より低く、耐熱性が悪い。

 比較例3に示す従来のEガラスは、その質量 少率δWが7.40質量%と大きく、耐酸性に劣る。
 比較例4のガラスの作業温度は、1382℃であ 、実施例1~60のガラスの作業温度より高かっ 。

 比較例5のガラスのδT(作業温度-失透温度)は 、-63℃であり、実施例1~60のガラスのδTより さい。
 比較例6のガラスの作業温度は、1307℃であ 、実施例1~60のガラスの作業温度より高かっ 。

 比較例7のガラスのδT(作業温度-失透温度)は 、-54℃であり、実施例1~60のガラスのδTより さかった。
 比較例8のガラスの作業温度は、1327℃であ 、実施例1~60のガラスの作業温度より高かっ 。さらに、このガラスのδT(作業温度-失透 度)は、-5℃であり、実施例1~60のガラスのδT り小さかった。

 比較例9のガラスのガラス転移温度は513℃で あり、実施例1~60のガラスのガラス転移温度 りかなり低かった。
 比較例10のガラスのδT(作業温度-失透温度) 、-26℃であり、実施例1~60のガラスのδTより さかった。

 比較例11のガラス作業温度は、1354℃であり 実施例1~60のガラスの作業温度より高かった 。
 以上の結果から、実施例1~60のように、二酸 化ケイ素(SiO 2 )、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO)及びアル カリ金属酸化物(Li 2 O、Na 2 O、K 2 O)の含有量が本発明の範囲内であるガラスは 優れた耐熱性、化学的耐久性(耐酸性)及び 形性を有していた。

 続いて、実施例1~60及び比較例10のガラス 用い、鱗片状及び被覆鱗片状ガラスを作製 た。まず、各組成のガラスを電気炉で再溶 した後、冷却しつつペレットに成形した。 のペレットを前記図1に示す製造装置に投入 して、平均厚さが0.5~1μmの鱗片状ガラスを作 した。鱗片状ガラスの平均厚さは、電子顕 鏡((株)キーエンス、リアルサーフェスビュ 顕微鏡、VE-7800)を用い、100粒の鱗片状ガラ の断面から鱗片状ガラスの厚さを測定し、 れらを平均して求めた。

   (実施例61~120)
 このようにして作製した実施例1~60の組成を 有する鱗片状ガラスから、以下の手順で実施 例61~120の被覆鱗片状ガラス12をそれぞれ製造 た。まず、鱗片状ガラスを粉砕して適当な 径とした後、液相法により鱗片状ガラス表 を酸化チタンで被覆した。この液相法は、 属塩から二酸化チタンを鱗片状ガラス10の 面に析出させる方法である。すなわち、イ ン交換水に金属塩として塩化第一スズ・二 和物を溶かし、それに希塩酸を加えてpH2.0~2. 5に調整した。この溶液に、鱗片状ガラス10を 撹拌しながら加え、10分後に濾過した。続い 、イオン交換水にヘキサクロロ白金酸・六 和物を溶かし、そこへ前記濾過した鱗片状 ラス10を撹拌しつつ投入し10分後に濾過した 。次いで、イオン交換水に塩酸溶液(35質量%) 加え、pH0.7の塩酸酸性溶液を得た。この酸 溶液に鱗片状ガラス10を撹拌しつつ投入し、 溶液温度を75℃まで昇温した。

 さらに、四塩化チタン(TiCl 4 )溶液をチタン換算で0.2g/分の割合で、前記溶 液中に添加し、pHが変化しないように水酸化 トリウムを同時に加え、中和反応により二 化チタン(TiO 2 )又はその水和物を鱗片状ガラス10表面に析出 させる方法で2時間処理を行った。その後、 面に被膜11が形成された鱗片状ガラス10を濾 し、180℃で2時間乾燥させた。このようにし て作製された被覆鱗片状ガラス12を電子顕微 で観察し、鱗片状ガラス10の表面上に酸化 タンの被膜11が形成されていることを確認し た。

   (実施例121~180)
 実施例1~60の組成の鱗片状ガラスから、以下 の手順で実施例121~180の被覆鱗片状ガラス12を それぞれ製造した。まず、鱗片状ガラスを粉 砕して適当な粒径とした後、通常の無電解め っき法により鱗片状ガラス表面を銀で被覆し た。この通常の無電解めっき法について説明 する。まず、鱗片状ガラス10について塩化第 スズとヘキサクロロ白金酸・六水和物によ 前処理を前記実施例61~120と同様に行った。 いて、イオン交換水10Lに硝酸銀200gとアンモ ニア水を適当量加え、銀液を製造した。この 銀液に、前処理を施した鱗片状ガラス1kgを撹 拌しつつ投入し、さらに14質量%の酒石酸ナト リウムカリウム溶液を還元液として添加し、 銀を鱗片状ガラス10表面に被覆した。その後 この鱗片状ガラス10を濾過し、400℃で2時間 燥させた。このようにして、鱗片状ガラス1 0の表面に銀の被膜11を有する被覆鱗片状ガラ ス12を得た。

 このようにして作製された被覆鱗片状ガラ 12を電子顕微鏡で観察し、鱗片状ガラス10の 表面に銀の被膜11が形成されていることを確 した。
   (実施例181~240及び比較例12)
 実施例1~60の組成を有する鱗片状ガラスを粉 砕して所定の粒子径とした後、ポリエステル 樹脂と混合し、鱗片状ガラス10を含有する実 例181~240のポリエステル樹脂組成物をそれぞ れ得た。このポリエステル樹脂組成物は、鱗 片状ガラス10の分散性が良く、外観が良好で った。

 一方、比較例12では比較例10の組成の鱗片 状ガラス10を粉砕して所定の粒子径とした後 ポリエステル樹脂と混合したところ、比較 10の鱗片状ガラス10が失透しているため、ポ リエステル樹脂組成物の外観は好ましくなか った。

   (実施例241~300)
 実施例61~120の被覆鱗片状ガラス12を、エポ シアクリレートと混合し、被覆鱗片状ガラ 12を含有する実施例241~300のビニルエステル 塗料をそれぞれ得た。このビニルエステル 塗料は、被覆鱗片状ガラス12の分散性が良く 、外観も良好であった。

   (実施例301~360)
 実施例61~120の被覆鱗片状ガラス12を、フェ シャル化粧料であるファンデーションと混 し、被覆鱗片状ガラス12を含有する実施例301 ~360の化粧料をそれぞれ得た。この化粧料は 被覆鱗片状ガラス12の分散性が良く、化粧料 として良好であった。

   (実施例361~420)
 実施61~120の被覆鱗片状ガラス12を、着色剤 樹脂及び有機溶剤を所定量配合したインキ 成物と混合し、被覆鱗片状ガラス12を含有す る実施例361~420のインキ組成物をそれぞれ得 。このインキ組成物は、被覆鱗片状ガラス12 の分散性が良く、インキ組成物として良好で あった。

 前記各実施形態を次のように変更すること 可能である。
 ・ ガラス素地の組成として、SiO 2 +Al 2 O 3 の範囲を規定し、ガラスの骨格を形成する成 分の範囲を明らかにすることもできる。

 ・ アルカリ金属酸化物(Li 2 O+Na 2 O+K 2 O)として、一価のアルカリ金属の酸化物であ 酸化セシウム(Ce 2 O)、酸化ルビジウム(Rb 2 O)等を加えることができる。

 ・ ガラス素地の組成として、アルカリ金 酸化物Li 2 O、Na 2 O及びK 2 Oのうち、2成分又は1成分の範囲を規定し、ガ ラスの骨格を形成する成分の範囲を明らかに することもできる。

 ・ 鱗片状ガラス10の厚さ方向の断面形状と しては、2つの主面が互いに平行な形状であ てもよく、2つの主面が傾斜した形状(テーパ 状)等の他の形状であってよい。
 次に、前記実施形態より把握できる技術的 想について以下に記載する。

 〇 前記ガラス素地が50≦(SiO 2 -Al 2 O 3 )≦60を満たすように設定されている。このよ うに構成した場合、鱗片状ガラスの耐酸性を 向上させることができる。
 〇 ガラス素地の作業温度は、1100~1300℃で る。このように構成した場合、請求項1から 求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて 、鱗片状ガラスを形成する際の作業性を向上 させることができる。

 〇 被覆鱗片状ガラスの被膜の主成分とし の前記金属は、ニッケル、金、銀、白金及 パラジウムからなる群より選ばれた少なく も1種である
 〇 被覆鱗片状ガラスの被膜の主成分とし の前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化鉄 酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化亜 、酸化スズ及び酸化ケイ素からなる群より ばれた少なくとも1種である
 〇 前記鱗片状ガラス又は前記被覆鱗片状 ラスを含有することを特徴とする樹脂組成 。このような樹脂組成物によれば、強度、 法精度等の物性の向上した樹脂成形体を得 ことができる。

 〇 前記鱗片状ガラス又は前記被覆鱗片 ガラスを含有することを特徴とする塗料。 のように構成した場合、塗料より形成され 塗膜に金属色や光沢を付与することができ 。

 〇 前記鱗片状ガラス又は前記被覆鱗片 ガラスを含有することを特徴とするインキ 成物。このように構成した場合、インキ組 物により形成される文字、図形等に金属色 光沢を付与することができる。

 〇 前記鱗片状ガラス又は前記被覆鱗片 ガラスを含有することを特徴とする化粧料 このように構成した場合、化粧料を顔面等 施した後に良好な色調や光沢を付与するこ ができる。




 
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