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Patent Searching and Data


Title:
SLIDING MATERIAL COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/087920
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a sliding material composition having excellent low-friction and low-abrasion characteristics by which a lubricant can be continuously supplied on the surface of a sliding part. Namely, a sliding material composition prepared by adding at least a porous silica and a lubricant to a resin material, wherein the total content of the porous silica and the lubricant amounts to 30 to 60% by volume and the continuity ratio of the oil-containing porous silica, wherein the lubricant is held by the porous silica, determined by a definite computing method on the basis of the Monte Carlo principle is 20% or higher.

Inventors:
EGAMI MASAKI
SHIMAZU EIICHIROU
Application Number:
PCT/JP2008/050311
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
January 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
EGAMI MASAKI
SHIMAZU EIICHIROU
International Classes:
C10M169/04; C10M125/26; F16C33/20
Foreign References:
JP2002129183A2002-05-09
JP2002098189A2002-04-05
JP2005024094A2005-01-27
JP2003120822A2003-04-23
Other References:
See also references of EP 2110427A4
Attorney, Agent or Firm:
WAKI, Misao (Toin-cho Inabe-gun, Mie 33, JP)
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Claims:
 樹脂材料に、多孔質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合してなる摺動材組成物であって、前記多孔質シリカおよび前記潤滑剤の合計配合量が、摺動材組成物全体に対して 30~60 容量%であることを特徴とする摺動材組成物。
 前記多孔質シリカは、一次微粒子が集合した連続孔を有する球状多孔質シリカであり、該球状多孔質シリカの平均粒子径が 0.5~100μm であることを特徴とする請求項1記載の摺動材組成物。
 前記多孔質シリカの内部と外表面がシラノール基で覆われていることを特徴とする請求項1記載の摺動材組成物。
 前記多孔質シリカは、吸油量が 300~400 ml/100g であり、前記潤滑剤が予め含浸された多孔質シリカであることを特徴とする請求項1記載の摺動材組成物。
 前記樹脂材料は、ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の摺動材組成物。
 前記潤滑剤は、シリコーン油であることを特徴とする請求項1記載の摺動材組成物。
 前記多孔質シリカおよび潤滑剤の合計配合量である 30~60 容量%のうち、前記多孔質シリカが 5~10 容量%、前記潤滑剤が 25~50 容量%であることを特徴とする請求項1記載の摺動材組成物。
 前記摺動材組成物において、所定の計算方法で求めた、前記多孔質シリカに前記潤滑剤が保持された含油多孔質シリカの連通率が 20 %以上であり、
 前記所定の計算方法は、前記含油多孔質シリカと前記樹脂材料とからなると仮定したバルク体を、該含油多孔質シリカの平均粒子径を一辺の長さとした立方体セルを面方向であるX軸方向、Y軸方向にそれぞれ任意セル数、深さ方向であるZ軸方向に少なくとも 25 セル積み重ねたモデルとして表現するモデル化ステップと、
 前記モデルにおいて、バルク体における含油多孔質シリカの配合割合分の個数のセルを含油多孔質シリカセルとしてモデル内のランダムな位置に配置するランダム配置ステップと、
 前記モデルにおいて、上下・左右・前後の6方向のいずれかで接触しているセル同士を相互に連続しているセルとし、最上面のセルで構成されたXY面をバルク体の表面層とし、該表面層の含油多孔質シリカセルおよび該セルから 25 セルの深さまで継続的に連続しているモデル内の含油多孔質シリカセルを連通セルとしてカウントする連通セル数カウントステップとを備えてなり、
 前記連通セル数カウントステップで得られた連通セルの個数が、前記モデルを構成する 25 セルの深さまでに存在する含油多孔質シリカセルの個数に占める割合を連通率として算定する計算方法であることを特徴とする請求項1記載の摺動材組成物。
 前記モデル化ステップにおいて用いるセル数は、前記X軸方向に 30個以上、前記Y軸方向に 30個以上とし、かつ、一層のセル数を 1000 個以上とすることを特徴とする請求項8記載の摺動材組成物。
Description:
摺動材組成物

 本発明は、潤滑剤を微量ずつ継続的に摺 界面に滲み出させることができる摺動材組 物に関する。

 潤滑性樹脂組成物を成形して得られる樹 摺動材などの摺動材組成物に求められる機 は、年々厳しさを増しており、初期状態に ける優れた低摩擦・低摩耗化と、その初期 動性を長期間維持することが強く求められ いる。これまで低摩擦・低摩耗化のために 、樹脂材料等に、黒鉛やポリテトラフルオ エチレン、二硫化モリブデン、窒化硼素等 固体潤滑材を配合したり、ガラス繊維やカ ボン繊維等の補強材を配合したりして摺動 性を付与してきた。しかし、上記の固体潤 剤を配合した場合は摩擦係数の低減には限 があり、材料のさらなる低摩擦化のため、 滑油などの潤滑剤を配合する手法が試みら ている。

 しかしながら、樹脂材料等に潤滑剤のみを 合した場合、以下に示すような問題がある
 例えば、樹脂材料に潤滑剤として潤滑油の を分散させた場合、混練により油の分散単 が変化するため、一定の摺動特性をもつ材 を安定して製造することが困難である。ま 、摺動特性(摩擦特性)を向上させるために 、潤滑油の配合量は多いほうが好ましいが 潤滑油の配合量が多くなると混練時にスク ュのすべりやあるいは計量時間が不安定と ってサイクルタイムが長くなる等、安定し 製造することが困難となる。また、金型に が付着したり、寸法精度が出にくくなった する等の問題もある。さらに、潤滑油と樹 材料との相溶性が悪い場合など、その組み わせによっては、潤滑油を均一に樹脂材料 分散できないという問題がある。

 また、潤滑油を配合させた樹脂材料は、 動時にベースの樹脂層が少しずつ摩耗して 滑油層が摺動部に現れると、潤滑油が摺動 表面に滲み出す。潤滑油の滲み出し具合は 御することが困難であり、潤滑油が滲み出 た跡の空孔は樹脂層の強度低下を引き起こ おそれがあるという問題がある。さらに充 材を加えて機械的強度や耐摩耗性を向上さ ようとすると、充填材の界面に油が局在化 るため、補強効果が十分とならない場合が る。

 このような問題を解決するため、熱可塑 樹脂に潤滑油を含浸した球状シリカゲルを 0.01~80 重量%配合した射出成形用樹脂組成物 提案されている(特許文献1参照)。また、基 に対して、特定の多孔質シリカにシリコー 油を含浸した潤滑性付与剤を配合した組成 が提案されている(特許文献2参照)。

 しかしながら、これらの提案を用いても 近年の厳しい摩擦条件(例えば高面圧)下で 必ずしも良好な摩擦摩耗特性が得られない いう問題があった。これは、多孔質シリカ の配合割合によっては、成形体内部に摺動 組成物表面まで連通していない多孔質シリ が多く存在し、これらの多孔質シリカが保 している潤滑剤が有効に利用されないため 摺動部表面において潤滑剤量が不足するこ 等に起因すると考えられる。従来の摺動材 成物においては、このような多孔質シリカ の連通性は考慮されておらず、多孔質シリ 等の配合割合は経験的・実験的に決定され いた。

 一方、樹脂に気孔形成材を配合した後、気 形成材を溶媒で抽出することにより樹脂製 孔体を製造する方法において、気孔形成材 配合量から気孔形成材の連通性を計算によ て求める方法が開示されている(特許文献3 照)。しかし、これは抽出法による多孔体の 造法に関するものであって、摺動材組成物 対する記述はない。

特開平7-3074号公報

特開2002-129183号公報

特開2006-282898号公報

 本発明はこのような問題に対処するため なされたものであり、組成物内部において 多孔質シリカに潤滑剤が保持された含油多 質シリカの連通率を高くして潤滑剤を摺動 表面に継続的に供給することができ、優れ 低摩擦・低摩耗性を有する摺動材組成物を 供することを目的とする。

 本発明の摺動材組成物は、樹脂材料に、 孔質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合 てなる摺動材組成物であって、上記多孔質 リカおよび上記潤滑剤の合計配合量が、摺 材組成物全体に対して 30 容量%~60 容量%で あることを特徴とする。

 上記多孔質シリカは、一次微粒子が集合し 連続孔を有する球状多孔質シリカであり、 球状多孔質シリカの平均粒子径が 0.5~100μm であることを特徴とする。
 また、上記多孔質シリカの内部と外表面が ラノール基で覆われていることを特徴とす 。
 また、上記多孔質シリカは、吸油量が 300~4 00 ml/100g であり、前記潤滑剤が予め含浸さ た多孔質シリカであることを特徴とする。

 上記樹脂材料は、ポリエチレン樹脂であ ことを特徴とする。また、上記潤滑剤は、 リコーン油であることを特徴とする。

 上記多孔質シリカおよび潤滑剤の合計配 量である 30~60 容量%のうち、上記多孔質シ リカが 5~10 容量%、上記潤滑剤が 25~50 容量 %であることを特徴とする。

 上記摺動材組成物において、所定の計算方 で求めた、上記多孔質シリカに上記潤滑剤 保持された含油多孔質シリカの連通率が 20  %以上であることを特徴とする。
 ここで、上記所定の計算方法は、上記含油 孔質シリカと上記樹脂材料とからなると仮 したバルク体を、該含油多孔質シリカの平 粒子径を一辺の長さとした立方体セルを面 向であるX軸方向、Y軸方向にそれぞれ任意 ル数、深さ方向であるZ軸方向に少なくとも 25 セル積み重ねたモデルとして表現するモ ル化ステップと、上記モデルにおいて、バ ク体における含油多孔質シリカの配合割合 の個数のセルを含油多孔質シリカセルとし モデル内のランダムな位置に配置するラン ム配置ステップと、上記モデルにおいて、 下・左右・前後の6方向のいずれかで接触し ているセル同士を相互に連続しているセルと し、最上面のセルで構成されたXY面をバルク の表面層とし、該表面層の含油多孔質シリ セルおよび該セルから 25 セルの深さまで 続的に連続しているモデル内の含油多孔質 リカセルを連通セルとしてカウントする連 セル数カウントステップとを備えてなり、 記連通セル数カウントステップで得られた 通セルの個数が、上記モデルを構成する 25  セルの深さまでに存在する含油多孔質シリ セルの個数に占める割合を連通率として算 する計算方法である。

 上記モデル化ステップにおいて用いるセ 数は、上記X軸方向に 30個以上、上記Y軸方 に 30個以上とし、かつ、一層のセル数を 1 000 個以上とすることを特徴とする。

 持続性ある摺動特性を有する摺動材を得る めに潤滑剤を配合する場合、多孔質シリカ 特に連続孔を有する多孔質シリカを利用し さらにこれらを特定の範囲の量配合するこ により摩擦・摩耗特性を向上させるととも 、その特性が長期間維持できることを見出 た。この特定の範囲は、多孔質シリカおよ 潤滑剤の合計配合量が、摺動材組成物全体 対して 30~60 容量%である。また、この範囲 において、多孔質シリカの連通率を 20%以上 できる。
 本発明は以上のような知見に基づくもので る。

 潤滑剤を含浸した多孔質シリカを上記の特 量配合することにより、次のような作用が められた。
(1)多孔質シリカが樹脂内部で連結し、厳しい 潤滑条件下でも摺動界面に継続して潤滑剤を 供給できるので、優れた摩擦・摩耗特性を持 続できる。
(2)成形性が確保できる範囲内で樹脂材料に潤 滑剤を配合し、さらに潤滑剤が含浸された多 孔質シリカを配合することで、組成物中の含 油量を多くできるので、従来の潤滑剤配合量 よりも多く配合できる。
(3)潤滑剤が含浸された多孔質シリカを配合す ることにより潤滑剤成分が多孔質シリカに保 持されているので、単に多量の潤滑剤を配合 した場合に比較して、射出成形時等にスクリ ュがすべる、計量が不安定となってサイクル タイムが長くなる、寸法精度がでにくい、金 型表面に潤滑剤が付着して成形面の仕上がり が悪くなるなどの不具合が生じない。

(4)樹脂材料と潤滑油との相溶性により、これ まで混練できなかった材料の組み合わせでも 、問題なく混練できる。
(5)多孔質シリカの中でも、特に球状多孔質シ リカは摺動界面のせん断力で破壊するため、 摺動する相手材が軟質材でも傷をつけない。
(6)含油樹脂と補強材との併用を考えた場合、 潤滑剤と補強材とをそれぞれ単体で配合して 混練すれば補強材と樹脂との界面に潤滑剤が 局存化するため、補強効果が十分発揮できな い場合が生じる。しかし、潤滑剤を多孔質シ リカ、特に球状多孔質シリカに含浸させて補 強材と混練すれば、補強材と樹脂との界面に 潤滑剤が存在しないため、所定の補強効果が 得られる。

 本発明の摺動材組成物は、樹脂材料に、多 質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合し なり、多孔質シリカおよび潤滑剤の合計配 量が 30~60 容量%であるので、潤滑剤が多孔 質シリカ内に保持され、かつ摺動界面におい て潤滑剤を少量ずつ供給できる。さらに、多 孔質シリカに潤滑剤が保持された含油多孔質 シリカが樹脂内部で連結し、所定の計算方法 により求められる含油多孔質シリカの連通率 が 20 %以上であるので、摺動界面に継続し 潤滑剤を供給でき、優れた摩擦・摩耗特性 持続できる。
 また、多孔質シリカに潤滑剤が含浸されて るので、摺動材組成物としての機械的性質 維持して組成物中の含油量を多く配合でき 。

 また、樹脂材料に予め潤滑剤が含浸され 多孔質シリカ(吸油量 300~400 ml/100 g )を配 することで、樹脂材料と潤滑油との相溶性 より、これまで混練できなかった材料の組 合わせでも、問題なく配合・混練できる。 た、樹脂材料中にも潤滑剤を配合できるの 、多量の潤滑剤を配合できる。また、射出 形時等にスクリュがすべる、計量が不安定 なってサイクルタイムが長くなる、寸法精 が出にくい、金型表面に潤滑剤が付着して 形面の仕上がりが悪くなるなどの不具合が じない。

 上記摺動材組成物に用いられる多孔質シリ は、一次微粒子が集合した連続孔を有する 状多孔質シリカであるので、摺動界面のせ 断力で球状多孔質シリカが破壊する。その 果、摺動する相手材が軟質材でも傷をつけ い。
 また、球状多孔質シリカの平均粒子径が 0. 5~100μm であるので、分散性に優れる。その め、他の補強材と併用しても補強材と樹脂 の界面に潤滑剤が存在するのを防ぐことが き、所定の補強効果が得られる。

 上記所定の計算方法のモデル化ステップ おいて、用いるセル数をX軸方向に 30個以 、Y軸方向に 30個以上とし、かつ、一層のセ ル数を 1000 個以上とするので、含油多孔質 リカの連通率を高い精度で評価できる。こ 結果、得られる摺動材組成物において含油 孔質シリカの連通率を正確に 20 %以上とで き、上記のように優れた摩擦・摩耗特性を持 続できる。

摩擦・摩耗試験結果を示す図である。 本発明における摺動材組成物モデルの 考図である。 連続しているセルとする位置関係を示 図である。 含油多孔質シリカ配合量と連通率との 係を示す図である。

 本発明の摺動材組成物は、樹脂材料に、多 質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合し なる摺動材組成物であり、上記多孔質シリ および上記潤滑剤の合計配合量が 30~60 容 %である。特に所定の計算方法により求める 含油多孔質シリカの連通率が 20 %以上とな ように、上記配合割合を決定することが好 しい。
 本発明における上記計算方法は、モンテカ ロ法の原理を利用するものであり、摺動材 成物において表面から相互に連続している 油多孔質シリカの総体積が、配合した含油 孔質シリカ総体積に占める割合、すなわち 通率を算定するものである。なお、モンテ ルロ法とは、乱数を用いて多数の資料を作 し、これらの資料から求めようとする解ま は法則を近似的に求めようとする方法であ 。

 本発明における連通率の計算方法は、以下 各ステップから構成されている。
(1)モデル化ステップ
 含油多孔質シリカと、母材である樹脂材料 からなるバルク体を仮定し、図2に示すよう に、立方体セルを面方向であるX軸方向、Y軸 向、および深さ方向であるZ軸方向にそれぞ れ任意個数積み重ねたモデルとして表現する 。また、図2は参考図でありZ軸方向は3セルで あるが、実際のモデル化時には少なくとも 2 5 セルとする。なお、立方体セルの一辺の長 さは、含油多孔質シリカの平均粒子径とする 。

(2)ランダム配置ステップ
 バルク体における含油多孔質シリカの配合 合分の個数のセルを、含油多孔質シリカセ としてモデル内のランダムな位置に配置す 。ここでいう「配置する」とは、上記モデ において、ランダムで選定されたセルを含 多孔質シリカセルであるとして定義付ける 作である。

(3)連通セル数カウントステップ
 モデルでは、立方体セルが図2に示すように 配置されている。本発明では、セル同士が相 互に連続するのはセルが面接触する場合のみ と仮定し、表層面、最下層面を構成するセル を除き、図3に示すように1つの任意セル(中心 のセル)に対して連続するセルは、上下・左 ・前後の6個のセルであるとした。なお、X軸 方向、Y軸方向には周期境界条件を設定する
 また、バルク体表面まで連通している含油 孔質シリカセルの部分が潤滑剤の移動可能 連通路となる。よって、図2に示すモデルに おいて、最上面のセルで構成されたXY面をバ ク体(成形体)の表面層とし、該表面層の含 多孔質シリカセルから連続している、表面 から 25 セルの深さまでの含油多孔質シリ セルを連通セルとしてカウントする。
 連通セルの個数は、表面層の含油多孔質シ カセル数と、表面層下であって表面層の含 多孔質シリカセルから途切れることなく連 している含油多孔質シリカセルの数とを合 したものである。

(4)連通率の計算
 連通セルの個数およびモデルを構成する 25  セルの深さまでに存在する含油多孔質シリ セル(非連通セルも含む)の個数から、連通 (%)は以下の式(1)により算定される。

 モデル化ステップにおいて、パラメータと て含油多孔質シリカの平均粒子径および成 物の厚みを与えることにより、Z軸方向に配 置するセルの個数が決定する。例えば、成形 物厚みが 3 mm であり含油多孔質シリカの平 均粒子径が 100μm である場合は、Z軸方向の ル数は 30 個となる。
 また、X軸方向、Y軸方向に配置するセルの 数は、任意個数とすることができる。セル 配置数が少な過ぎる場合では、精度のよい 似ができないため、X軸方向に 30 個程度以 、Y軸方向に 30 個程度以上配置し、一層の セル数を 1000 個以上にすることが好ましい 一層のセル数を 1000 個以上とすることに り、含油多孔質シリカの連通率を 0.1 %以上 の精度で評価できる。

 ランダム配置ステップでは、任意量の含油 孔質シリカ粒子をバルク体に配合すると想 し、モデル内において含油多孔質シリカの 合割合分の個数のセルを、含油多孔質シリ セルとしてランダムな位置に配置する。
 例えば、含油多孔質シリカの配合割合を、 脂材料、含油多孔質シリカ、およびその他 材料を含めた全量に対して 40 容量%とする 場合であって、モデルを構成する全セル個数 が 1000 個である場合には、1000 個内の 400  個のセルをランダムに選定し、含油多孔質シ リカセルとする。なお、それ以外の 600 個 セルは樹脂等を表すセルとなる。含油多孔 シリカセルのランダム選定は、X軸方向、Y軸 方向およびZ軸方向の全方向でランダムに選 する。

 連通セル数カウントステップは、1セル深 さ毎に表面層(XY面)から連続している含油多 質シリカセルをカウントし、表面層から 25 セルの深さ(Z軸方向のセル数)までにおける 連続している含油多孔質シリカセルの総数 連通セルの個数とする。表面層からの連続 途切れた含油多孔質シリカセルはカウント ない。なお、Z軸方向に 25 セルをこえてセ を配置した場合であっても、25 セル深さま でを考慮する。

 X軸方向の両端の層において、X軸方向への 続が途切れることを防止するため、周期境 条件を適用する。具体的には、X軸方向の一 の層が、X軸方向の他端の層の1セル分外側 存在していると仮定し、その逆にX軸方向の 記他端の層が、X軸方向の上記一端の層の1 ル分外側に存在していると仮定する。これ 仮定したセルは、端層のセルの連続性を判 するためだけのものであり、セルの個数と ては含まれない。なお、Y軸方向においても 様の周期境界条件を適用する。
 X軸方向およびY軸方向に上記周期境界条件 適用することにより、X軸、Y軸それぞれの両 端の層において、セルの連続の途切れを防止 でき、より実際に近いシミュレートが可能と なる。
 カウントされた連通セル数から、上記式(1) 基づき連通率(%)が計算される。

 パラメータの付与後における、上記一連の 作による連通率の計算は、コンピュータ上 おいてC ++  言語等のプログラミング言語により作成さ た計算プログラムにより行なう。
 すなわち、コンピュータへの入力端末から 含油多孔質シリカの平均粒子径、成形物の み、含油多孔質シリカの配合割合、XY方向 セル数等の連通率の計算に必要なパラメー をコンピュータに入力することにより、コ ピュータがプログラムに基づき、上記モデ 化ステップ、ランダム配置ステップ、連通 ル数カウントステップを実行するとともに カウントされた連通セル数から連通率(%)を 算する。

 含油多孔質シリカの配合割合を数パターン えて、連通率を求めることにより、含油多 質シリカの配合割合と連通率との関係が導 できる。該関係より所定の連通率確保のた に必要な含油多孔質シリカの配合割合を概 で求めることができる。
 また、上記モンテカルロ法を利用した連通 の算定は、乱数に依存する計算工程を含む め、同じ配合割合等であっても計算毎に結 が若干異なる。よって各配合割合における 通率は、精度を向上させるため、同じパラ ータを用いて数百~数千回程度計算を行ない 、それらの平均値とすることが好ましい。

 本発明の摺動材組成物の母材は樹脂材料で り、樹脂単体またはこれに補強材などが配 されている場合を含む。また、塗膜を形成 きる樹脂材料も含む。
 樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化 樹脂等、摺動材として使用できる形態を形 できる合成樹脂であれば特に限定されない 例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリ チレン、超高分子量ポリエチレン等のポリ チレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、水架 ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、芳 族ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポ プロピレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタ 樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、 ロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフ オロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン 重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パ フルオロアルキルビニルエーテル共重合体 脂、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン・テ ラフルオロエチレン共重合体樹脂、ポリア タール樹脂、ポリエチレンテレフタレート 脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポ フェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネー 樹脂、脂肪族ポリケトン樹脂、ポリビニル ロリドン樹脂、ポリオキサゾリン樹脂、ポ フェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテ サルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂 ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエー ルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、 硬化性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フ ノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビ ルエステル樹脂等を例示できる。また、上 合成樹脂から選ばれた2種以上の材料の混合 物、すなわちポリマーアロイなどを例示でき る。
 これらの中で低摩擦性に優れるポリエチレ 樹脂を用いることが好ましい。

 塗膜を形成できる材料としては、上記合 樹脂であって、有機溶媒に溶解あるいは分 できる樹脂成分であれば使用できる。また 塗膜形成時の硬化反応で高分子量化する初 縮合物であっても使用できる。

 本発明に使用できる多孔質シリカとは、 続孔を有し、潤滑剤を含浸・保持できる多 質シリカであれば使用できる。好ましい多 質シリカは非晶質の二酸化ケイ素を主成分 する粉末である。例えば、一次粒子径が 15  nm 以上の微粒子の集合体である沈降性シリ カ、あるいはアルカリ金属塩またはアルカリ 土類金属塩を含有したケイ酸アルカリ水溶液 を有機溶媒中で乳化し、炭酸ガスでゲル化さ せることにより得られる粒子径が 3~8 nm の 次微粒子の集合体である真球状多孔質シリ (特開2000-143228号公報等参照)等が挙げられる 。

 本発明においては、粒子径が 3~8 nm 程 の一次微粒子が集合して真球状シリカ粒子 形成した多孔質シリカが、連続孔を有して り、摺動界面のせん断力で破壊する性質が るため、特に好ましい。真球状シリカ粒子 しては、平均粒子径が 0.5~100μm である。こ のような真球状シリカ粒子は、その内部に潤 滑剤を保持することが可能であり、かつ摺動 界面において内部に含浸した潤滑剤を少量ず つ供給することが可能である。平均粒子径が  0.5μm 未満では、ハンドリング性が悪い。 た、潤滑剤の含浸量が十分でない。平均粒 径が 100μm をこえると、溶融樹脂中での分 性が悪い。また、溶融樹脂の混練時にかか せん断力により、集合体が破壊し、球状を 持できない可能性がある。取り扱い易さや 動特性の付与を考慮した場合、平均粒子径  1~20μm が特に好ましい。このような真球 多孔質シリカとしては、旭硝子社製:サンス ェア、鈴木油脂工業社製:ゴットボール等が 例示できる。

 一次微粒子が集合した真球状シリカ粒子は 比表面積が 200~900 m 2 /g、好ましくは 300~800 m 2 /g、細孔容積が 1~3.5 ml/g 、細孔径が 5~30 nm 、好ましくは 20~30 nm、吸油量が 150~400 ml/10 0g、好ましくは 300~400 ml/100g の特性を有す ことが好ましい。また、水に浸漬したのち 度乾燥しても、上記細孔容積および吸油量 浸漬前の 90 容量%以上を保つことが好まし 。ここで、比表面積および細孔容積は窒素 着法により、吸油量はJIS K5101に準じて測定 した値である。また、上記真球状シリカ粒子 の内部と外表面はシラノール基(Si-OH)で覆わ ていることが、潤滑剤を内部に保持しやす なるため好ましい。さらに、多孔質シリカ 、母材に適した有機系、無機系などの表面 理を行なうことができる。

 なお、本発明においては、樹脂材料との み合わせ、配合程度によっては、多孔質シ カとして、平均粒子径が 1000μm 程度まで 使用可能である。また、粒子の形状は特に 定されない。例えば、平均粒子径、比表面 、吸油量等が上記真球状シリカ粒子の範囲 であれば、非球状多孔質シリカであっても 用できる。なお、摺動相手材への攻撃性や 練性の観点から、球状、真球状の粒子が好 しい。ここで、球状とは長径に対する短径 比が 0.8~1.0 の球をいい、真球状とは球状よ りもより真球に近い球をいう。

 本発明に使用できる潤滑剤とは、常温で 体の潤滑油、各種薬液やイオン性液体、常 で固体のワックス、あるいは潤滑油に増ち う剤を含んだグリース状物質等、潤滑効果 有する物質であれば特に限定されない。

 潤滑油としては、スピンドル油、冷凍機 、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の 油、ポリブテン、ポリ-α-オレフィン、アル キルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素 系合成油、または、天然油脂とポリオールと のエステル油、リン酸エステル、ジエステル 油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリ フェニルエーテル油、アルキルジフェニルエ ーテル油、アルキルベンゼン、フッ素化油等 の非炭化水素系合成油等、潤滑油として汎用 されているものであれば使用できる。潤滑油 は、本発明の摺動材組成物が使用される条件 、目標性能に合わせて選択できる。また、樹 脂の混練、成形温度に合わせた耐熱性を有す る潤滑油を選ぶこともできる。特に低摩擦が 求められる場合には、シリコーン油などを用 いることで好ましい結果が得られる。シリコ ーン油は上記真球状多孔質シリカ表面に残存 するシラノール基と親和性があるため特に好 ましい。シリコーン油としては、官能基を有 さないシリコーン油、官能基を有するシリコ ーン油のいずれも使用できる。

 ワックスとしては、炭素数が 24 以上の ラフィン系ワックス、炭素数が 26 以上の レフィン系ワックス、炭素数が 28 以上の ルキルベンゼン、あるいは結晶性のマイク クリスタリンワックス等の炭化水素系ワッ ス、またはミリスチン酸、パルチミン酸、 テアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、炭 数が 18 以上の不飽和脂肪酸(例えばオクタ デセン酸、パリナリン酸等)等の高級脂肪酸 導体ワックスが挙げられる。高級脂肪酸誘 体ワックスとしては、1)ベヘン酸エチル、ト リコ酸エチルなどの炭素数が 22 以上の高級 脂肪酸メチルおよびエチルエステル、炭素数 が略 16 以上の高級脂肪酸と炭素数が 15 以 上の高級1価アルコールとのエステル、ステ リン酸オクタデシルエステル、炭素数が 14 以上の高級脂肪酸トリグリセライド等の高 脂肪酸エステル類、2)パルチミン酸アミド、 ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の 高級脂肪酸アミド類、3)ステアリン酸リチウ 、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸 アルカリ金属およびアルカリ土類金属との 類等が挙げられる。

 グリース状物質は、基油となる上述の潤 油に増ちょう剤が添加されている。増ちょ 剤を例示すれば、1)石けん系として、カル ウム系石けん、ナトリウム系石けん、リチ ム系石けん、バリウム系石けん、アルミニ ム系石けん、亜鉛系石けん等、2)コンプレッ クス石けん系として、カルシウム系コンプレ ックス石けん、ナトリウム系コンプレックス 石けん、リチウム系コンプレックス石けん、 バリウム系コンプレックス石けん、アルミニ ウム系コンプレックス石けん、亜鉛系コンプ レックス石けん等、3)非石けん系として、ナ リウムテレフタメート、ジウレア化合物、 リウレア化合物、テトラウレア化合物、ポ ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、 ウレタン化合物、シリカエアロゲル、モン リロナイト、ベントン、ポリテトラフルオ エチレン、フルオリネートエチレンプロピ ンコポリマー、窒化ホウ素等がある。

 摺動材組成物における各材料の配合割合は 多孔質シリカと潤滑剤の合計配合量が摺動 組成物全体に対して 30~60 容量%、残部が樹 脂材料等である。より好ましくは、多孔質シ リカと潤滑剤の合計配合量が摺動材組成物全 体に対して 30~50 容量%である。
 多孔質シリカと潤滑剤の合計配合量が 30  量%未満では厳しい摩擦条件下で優れた特性 を維持することができない。また、合計配合 量が 60 容量%をこえるとベース樹脂の量が なくなり強度が大幅に低下するおそれがあ ので好ましくない。
 多孔質シリカと潤滑剤の合計配合量を 30~60  容量%とすることで、多孔質シリカに潤滑剤 が保持された含油多孔質シリカが樹脂内部で 連結し、摺動界面に継続して潤滑剤を供給で きるので、優れた摩擦・摩耗特性を持続でき る。

 また、摺動材組成物中において、多孔質シ カに潤滑剤が保持された含油多孔質シリカ 連通率は 20 %以上であることが好ましい。 20 %未満では含油多孔質シリカを連通路とし 成形体内部からの潤滑剤の移動量が十分で く、厳しい摩擦条件下で優れた特性を維持 ることができない。なお、この連通率は、 記計算方法により求められるものである。
 摺動材組成物において、多孔質シリカと潤 剤の合計配合量を 30~60 容量%とすれば、多 孔質シリカに潤滑剤が保持された含油多孔質 シリカの連通率を 20 %以上とできる(図4参照 )。

 多孔質シリカと潤滑剤の合計配合量 30~60  容量%の内訳は、多孔質シリカが 5~10 容量% 、潤滑油が 25~50 容量%である。多孔質シリ :潤滑剤の比率は 1:4~6 とし、多孔質シリカ 内部空孔を潤滑剤で充満させるように比率 決定すれば良好な摩擦摩耗特性を得ること できる。なお、各配合物の容量%の値にその 密度を乗じることにより配合重量を算出でき る。ここで、多孔質シリカの容量%は、多孔 でない固体のシリカを配合したと仮定して めた割合である。すなわち、多孔質シリカ 嵩比重でなく、真比重を用いて算出したも である。このため、内部に連通した空孔を する状態での実際の容量割合は、より大き 値となる。

 さらに摩擦・摩耗特性を改善して各種機 物性を向上させるために適当な充填材を添 することができる。例えば、ガラス繊維、 ッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、アラミド 維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ 繊維、窒化ケイ素繊維、窒化硼素繊維、ア ベスト、石英ウール、金属繊維等の繊維類 たはこれらを布状に編んだもの、炭酸カル ウム、リン酸リチウム、炭酸リチウム、硫 カルシウム、硫酸リチウム、タルク、シリ 、クレー、マイカ等の鉱物類、酸化チタン ィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ アルミニウムウィスカ、硫酸カルシウムウ スカなどの無機ウィスカ類、カーボンブラ ク、黒鉛、ポリエステル繊維、ポリイミド 脂やポリベンゾイミダゾール樹脂等の各種 硬化性樹脂が挙げられる。

 また、摺動性を向上させる目的で、アミ 酸化合物やポリオキシベンゾイルポリエス ル樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、液 樹脂、アラミド樹脂のパルプ、ポリテトラ ルオロエチレンや窒化硼素、二硫化モリブ ン、二硫化タングステン等を配合できる。

 また、摺動材組成物の熱伝導性を向上さ る目的で、カーボン繊維、金属繊維、黒鉛 末、酸化亜鉛等を配合してもよい。および 記充填材を複数組み合わせて使用すること もちろん可能である。なお、この発明の効 を阻害しない配合量で一般合成樹脂に広く 用しえる添加剤を併用してもよい。例えば 型剤、難燃剤、帯電防止剤、耐候性改良剤 酸化防止剤、着色剤、導電性付与剤等の工 用添加剤を適宜添加してもよく、これらを 加する方法も特に限定されるものではない

 本発明の摺動材組成物を製造する方法は、 通率確保のために必要な含油多孔質シリカ 配合割合を求める配合割合算定工程と、樹 に含油多孔質シリカを上記配合割合算定工 で得られた割合で配合して混練する工程と 上記含油多孔質シリカを含む樹脂材料を成 して成形体とする工程もしくは塗膜とする 程を備えてなる。
 該製造方法では、上記の連通率の計算方法 利用するので、所望の含油多孔質シリカの 通率を有する摺動材組成物を製造すること できる。

 本発明における摺動材組成物において、 脂材料と多孔質シリカ等の混練方法は、従 からよく知られた方法を利用できる。例え ヘンシェルミキサー、ボールミル、タンブ ーミキサー等の混合機によって混合した後 溶融混合性のよい射出成形機もしくは溶融 出し機(例えば2軸押出し機)に供給するか、 たは予め熱ローラ、ニーダ、バンバリーミ サー、溶融押出し機などを利用して溶融混 してもよく、あるいは真空成形、吹き込み 形、発泡成形、多層成形、加熱圧縮成型等 行なってもよい。

 なお、樹脂と多孔質シリカと潤滑剤との混 に際しては、混練順序は特に限定しないが 好ましくは多孔質シリカと潤滑剤とを予め 練し、多孔質シリカに油を含有させた後で ース樹脂と混練するのがよい。勿論、樹脂 多孔質シリカを混練し成形体とした後、潤 剤を含浸する方法も可能である。
 また、多孔質シリカは吸湿や吸水しやすい で、混練前に乾燥することが好ましい。乾 手段としては特に制限なく、電気炉での乾 、真空乾燥などを採用できる。

 摺動材組成物を塗膜とする場合、潤滑剤 含浸した多孔質シリカを樹脂成分に配合し 一般的なコーティング液と混合する。コー ィング処理は、通常のコーティング処理を なうことも可能である。コーティング処理 行なう場合、スプレー法や静電塗装法、流 浸漬法等特に限定されるものではない。

 多孔質シリカと潤滑剤とを予め混合する場 、潤滑剤の粘度が高いと球状多孔質シリカ 内部に油が浸透し難い。その際は、油が溶 する適当な溶媒で希釈し、その希釈液を多 質シリカに浸透させ、徐々に乾燥させて溶 を揮発させることで多孔質シリカの内部に 滑剤を含浸させる方法もある。
 あるいは多孔質シリカを潤滑剤中に浸し、 空引きを行なって強制的に多孔質シリカの 部に潤滑剤を浸透させる方法、常温で固体 潤滑剤の場合、適当な温度に加熱し、潤滑 を溶融させて含浸させる方法、常温で液体 潤滑剤でも、粘度が高い場合、適当な温度 加熱し、潤滑剤の粘度を低下させて含浸さ る方法等が有効な手法である。また、不飽 ポリエステル樹脂などの液状樹脂に球状多 質シリカの油含有物を混合した上で各種織 に含浸させ、それを積層して樹脂摺動材と て使用することも可能である。

 さらに、本発明の摺動材組成物の潤滑性 損なわない限り、中間製品または最終製品 形態において、別途、例えばアニール処理 の化学的または物理的な処理によって特性 善のための変性が可能である。

 本発明の摺動材組成物の使用例としては 摺動部分であれば特に限定されない。例え 、すべり軸受や歯車、すべりシート、シー リング、ローラ、各種キャリッジ等の摺動 品、転がり軸受の保持器、固形潤滑剤、転 り軸受のシール、直動軸受のシール、ボー ねじのボールとボールの間に入れるスペー 、転がり軸受のレース等の摺動材がある。

参考例1
 多孔質シリカとして旭硝子社製商品名:サン スフェアH33、潤滑剤となるシリコーン油とし て信越シリコーン社製商品名:KF96Hを準備して 、多孔質シリカ 1 容量部に対して、シリコ ン油を 5 容量部の割合で十分に混合し、 孔質シリカにシリコーン油を含浸させ、含 多孔質シリカ(表1中の略号:Si)を作製した。 られた含油多孔質シリカは、粉末状であり 脂材料に対する配合剤として使用できるも であった。

実施例1~実施例4
 ベース樹脂材料となるポリエチレン樹脂と て、三井石油化学社製商品名:ミペロンXM220( 表1中の略号:PE)を用い、参考例1で作製した含 油多孔質シリカと表1の割合で配合した。混 粉を金型に投入し加熱圧縮成形により成形 た。成形条件は温度: 220℃、圧力: 40 MPa  ある。成形品を旋削加工に供し、摺動材組 物であるφ17×φ21×10 mm のリング状摺動材試 験片を作製した。得られた試験片を用いて、 リング端面を回転するディスク相手に接触さ せ(リングオンディスク試験機)、以下の条件 よび評価方法で摩擦試験を行なった。結果 図1に示す。図1において、横軸は試験時間( min )、縦軸は動摩擦係数をそれぞれ表す。
 摩擦・摩耗試験条件を以下に示す。
 相手材:SUS304(Ra=0.1μm )
 面圧: 15 MPa
 周速: 0.1 m/s
 温度: 30℃
 時間: 60 min

比較例1~比較例5
 表1に示す配合割合を用いて実施例1と同様 して摺動材試験片を作製した。実施例1と同 件で摩擦・摩耗試験を行なった。結果を図1 に示す。なお、比較例5では、潤滑剤を含浸 た多孔質シリカの配合量が 65 容量%と多い め成形体がもろく、試験片を作製できなか た。

 表1には上述の計算方法によるシミュレーシ ョンにより求めた含油多孔質シリカの連通率 も併記した。シミュレーションでは、成形物 の厚さを 0.5 mm 、X軸方向、Y軸方向のセル  40 個、含油多孔質シリカの平均粒子径を  5μm と設定して計算を行なった。Z軸方向の ル数は 100 セルであり、このZ軸方向の 100 セル中の表面層から 25 セルまでの連通率 求めた。なお、計算は同パラメータで 1000  回反復して行ない、その平均値を表1に記載 た。
 また、表1に記載した以外の含油多孔質シリ カの配合割合についても同条件(配合割合以 )でシミュレーションを行ない、含油多孔質 リカの配合割合と連通率との関係を導出し 。結果を図4に示す。図4において、横軸は 油多孔質シリカ配合量(容量%)を、縦軸は連 率(%)をそれぞれ表す。

 表1および図1に示すように、樹脂材料に対 て潤滑剤を含浸した多孔質シリカを 30~60  量%とし、連通率を 20%以上に高めた実施例1~ 実施例4は初期から運転終了時まで低く安定 た摩擦係数を示した。
 それに対し、比較例1の樹脂単体では摩擦係 数が高い。比較例2~比較例4では潤滑剤を含浸 した多孔質シリカを配合したことで、運転初 期には摩擦係数は低いが、連通率が低いため 摩擦係数は運転時間の経過とともに増加した 。

 本発明の摺動材組成物は、潤滑剤を摺動 表面に継続的に供給することが可能となる れた低摩擦・低摩耗性を有するので、すべ 軸受や歯車、すべりシート、シールリング ローラ、各種キャリッジ等の摺動部品、転 り軸受の保持器、固形潤滑剤、転がり軸受 シール、直動軸受のシール、ボールねじの ールとボールの間に入れるスペーサ、転が 軸受のレース等の摺動材等として好適に利 できる。