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Title:
SOLUTION FOR SELF-DEPOSITING COATING TREATMENT OF METAL MATERIALS AND SELF-DEPOSITING COATING TREATMENT METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/147911
Kind Code:
A1
Abstract:
The issue is to provide a solution for a self-depositing coating treatment for which the process length has been shortened compared to prior coating processes, that generates almost no by-products that are harmful to the environment such as sludge, that has excellent throwing power in bag-structured interiors, that does not use components that are harmful to the environment such as chromium compounds, that has anti-corrosion properties, and with which a baked finish can be applied to the obtained coating. The solution for a self-depositing coating treatment of metal materials is an aqueous solution comprising a novolak resin having methylol groups, a cross-linking agent, ferric ions, a fluorine component and an oxidant. The above cross-linking agent is a cross-linking agent that has cross-linking groups that can undergo heat-curing reactions with said methylol groups, phenol nuclei and/or phenolic hydroxyl groups. The solids weight concentration ratio of the above novolak resin to the above cross-linking agent is in the range of 1:1 to 1:10. The molar concentration of the above fluorine component is at least 3 times that of the above ferric ions and the pH is in a range of 2 to 6.

Inventors:
FUJINO TAKAHIRO (JP)
KAWABE SATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/058088
Publication Date:
December 10, 2009
Filing Date:
April 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIHON PARKERIZING (JP)
FUJINO TAKAHIRO (JP)
KAWABE SATOSHI (JP)
International Classes:
C23C22/34; B05D7/14; C08G8/28
Domestic Patent References:
WO1999037712A11999-07-29
Foreign References:
JP2006152436A2006-06-15
JP2003176449A2003-06-24
Attorney, Agent or Firm:
ITOH, ATSUSHI (JP)
Atsushi Ito (JP)
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Claims:
 ノボラック樹脂と、架橋剤と、第二鉄イオンと、フッ素元素と、酸化剤とを含む水溶液であって、
 前記ノボラック樹脂が、フェノール類とアルデヒド類とをF/P比が2.5から3の範囲でアルカリ触媒存在下において反応させることで得られるレゾール樹脂と、隣接する芳香環炭素上に二以上のヒドロキシル基を有するヒドロキシフェノール類と、フェノール類と、を混合撹拌し、更にフェノール類とアルデヒド類と酸触媒を加えて重合することにより得られる、F/P比が0.7~1.0のメチロール基を有するノボラック樹脂であり、
 前記架橋剤が、該メチロール基、フェノール核および/またはフェノール性ヒドロキシル基と熱硬化反応可能な架橋基を有する架橋剤であり、
 前記ノボラック樹脂と前記架橋剤との固形分質量濃度比が1:1から1:10の範囲であり、
 前記フッ素元素のモル濃度が前記第二鉄イオンの少なくとも3倍であり、かつ、pHが2から6の範囲である
ことを特徴とする、金属材料の自己析出被膜処理用表面処理液。
 前記ノボラック樹脂が、式1に示す構造式を有することを特徴とする、請求項1記載の金属材料の自己析出被膜処理用表面処理液。
(式中、mおよびnは1~5の整数、pは0~5の整数、R1はメチロール、R2は独立にヒドロキシル又はアルキルアリール、R3は独立にメチロール、ヒドロキシル又はアルキルアリール、aは0又は1である。)
 前記架橋剤の熱硬化反応可能な架橋基がイソシアネート基である、請求項1又は2に記載の金属材料の自己析出被膜処理用表面処理液。
 前記架橋剤が、1モルのポリオールに対して、予め一方のイソシアネート基がブロック剤でブロックされた少なくとも2モルのポリイソシアネートを付加した多官能ブロックイソシアネートである、請求項3に記載の金属材料の自己析出被膜処理用表面処理液。
 前記架橋剤中のポリオールが少なくとも一分子のビスフェノールA構造を有することを特徴とする、請求項4に記載の金属材料の自己析出被膜処理用表面処理液。
 前記ノボラック樹脂の濃度が水溶液中の固形分濃度として1~5質量%であることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の金属材料の自己析出被膜処理用表面処理液。
 酸化剤が過塩素酸、次亜塩素酸、溶存酸素、オゾン、過マンガン酸、過酸化水素から選ばれる少なくとも一種である、請求項1から6の何れか一項に記載の金属材料の自己析出被膜処理用表面処理液。
 白金電極で測定される酸化還元電位が、300から500mVであることを特徴とする、請求項7に記載の自己析出被膜処理用表面処理液。
 予め脱脂、水洗処理によって表面を清浄化した金属材料を、請求項1から8の何れか一項に記載された表面処理液と接触させた後、さらに水洗工程で該金属材料表面に付着した余剰な前記処理液を除去し、次いで焼き付け処理を行うことによって被膜を熱硬化させることを特徴とする金属材料の自己析出被膜処理方法。
 前記金属材料が、鉄系金属材料であることを特徴とする、請求項9に記載の金属材料の自己析出被膜処理方法。
 金属材料表面に請求項9又は10に記載された方法によって析出した自己析出被膜層を有し、かつ焼き付け硬化後の自己析出被膜層の膜厚が10~30μmであることを特徴とする自己析出被覆金属材料。
Description:
金属材料の自己析出被膜処理液 および自己析出被膜処理方法

 本発明は、自動車車体や自動車部品、ス ール家具、および家電製品のように耐食性 必要とされ、かつ用途に応じて塗料の重ね りが施されることがある鉄系金属材料表面 、単独でも十分な耐食性を有し、かつ塗料 重ね塗りが可能な有機塗膜を化学反応で析 させるための自己析出被膜処理用表面処理 、自己析出被膜処理方法、および自己析出 膜を有する金属材料に関する。

 金属材料を使用した工業製品は、一部の 別な用途、および材料を除き、そのほとん が塗装されている。塗装の目的は、美観の 上もさることながら、金属の宿命である酸 、すなわち腐食を防止することである。こ で、金属材料に用いられる塗料は、その塗 方法や成分で様々に分類することができ、 塗装材料に要求される性能や可能な塗装方 によって選定される。ここで、自動車車体 ように、被塗装材料が複雑な構造を有し、 つ高度な耐食性を要求される場合には、つ まわり性と称される袋構造部内部の塗膜厚 確保が重要である。

 袋構造部内部の耐食性を確保するために いられる一般的な方法は、塗装下地用の化 処理であるリン酸亜鉛処理とカチオン電着 装の組み合わせである。何れの方法も、被 装材料を処理浴に浸漬して化成処理、およ 塗装を行うため、袋構造部内部までも化成 理液、および塗料と接触させることができ 。しかしながら、リン酸亜鉛処理工程は、 洗→予備脱脂→脱脂→多段水洗(通常2から3 )→表面調整→皮膜化成→多段水洗(通常2か 3段)→イオン交換水洗であり、さらにカチ ン電着塗装工程は、電着塗装→多段水洗(通 3から5段)→イオン交換水洗→焼き付けであ ため、その処理工程は非常に長く、例えば 動車車体の場合には200mを超える工程長とな る。

 リン酸亜鉛処理工程においては、従来か 知られている通り、皮膜析出反応の副反応 あるリン酸鉄スラッジの発生が避けられず 環境問題の観点から改良が望まれている。 た、昨今のカチオン電着塗料は改良されて いるものの、塗膜が電解によって析出し、 出した塗膜の電気抵抗によって塗膜がつき わっていくメカニズム上、初期に塗膜が析 する外板部と遅れて塗膜が析出する袋構造 内部との膜厚差の発生は避けては通れない 題である。

 そこで、化学反応によって有機塗膜を析 させることで、工程短縮を図りつつ、リン 鉄スラッジ発生の問題と袋構造部内部の塗 厚の問題を解決すべく技術が古くから提案 れており、このような組成物はオートデポ ション組成物、または自己析出組成物、ま は自己沈着組成物と称されている。

 例えば、特許文献1は、塩化ビニリデンコ ポリマーを用いたオートデポジション組成物 に関するものである。塩化ビニリデン樹脂は 、防湿性、耐湿性、およびガスバリア性が非 常に優れるため、塗膜とした際の腐食に対す る抑制作用が非常に大きい。しかしながら、 塩化ビニリデン樹脂は周知の通り耐熱性が非 常に低い。そこで、特許文献1には、塩化ビ リデンモノマーをコモノマーたとえばアク ル系コモノマーと共重合させ、鎖中に熱に り安定なコモノマーを挿入することで耐熱 を改善できることが開示されている。しか ながら、鎖中に安定な部位を挿入しても、 化ビニリデン基本構造の耐熱性の低さは根 的に改善できない。従って、塩化ビニリデ を用いたオートデポジション技術は、高温 晒される環境で使用される金属材料には使 できないばかりか、オートデポジション塗 の上に、焼き付け塗装による重ね塗りが出 ない問題点を有していた。

 塩化ビニリデンを使用しないオートデポ ション組成物も数多く開示されている。塩 ビニリデン以外にオートデポジション組成 に用いられる樹脂成分の例としては、特許 献2,3および4に引用されるとおり、スチレン ブタジエン、アクリル重合体およびその共重 合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ テトラフルオロエチレン、アクリロニトリル ブタジエンおよびウレタン樹脂が開示されて いる。

 しかしながら、何れの方法においてもオ トデポジション塗膜の耐食性は、塩化ビニ デンを用いたものと比較すると著しく低か た。そこで、耐食性を向上させるためには 特許文献3に示される通り、現在では環境問 題の観点から使用が規制されるクロム化合物 を使用した後処理をオートデポジション塗装 の後に施す必要があった。

 そこで、近年になって特許文献5に示され る通り、エポキシ樹脂と架橋剤とを組み合わ せたオートデポジション組成物が提案された 。しかしながら、本発明者らが前記発明の効 果を検証した結果、エポキシ樹脂を使用した オートデポジション塗膜は、耐食性が未だ十 分であるとは言い難く、かつ、溶剤塗料との 密着性が著しく低く、重ね塗りが出来ないと いう致命的な欠陥を有することを見出した。

 特許文献6および7には、水分散性フェノ ル樹脂、及び柔軟剤重合体からなる、金属 持体上に自動付着できることを特徴とする 性塗料組成物が開示されている。しかしな ら、本方法で得られた焼き付け前のオート ポジション塗膜には多量の水分を含んでい ため、焼き付け前の塗膜を水洗することが きない。従って、平板な被塗装材料であれ 問題はないが、袋構造部を有する材料であ 場合には、袋構造部内部に残った塗料を洗 出すことができないため、焼き付け後に塗 膨れや剥離等の、耐食性に著しい影響を及 す重大な欠陥が生じる。

 従って、従来技術では、リン酸亜鉛処理 電着塗装の組み合わせからなる塗装工程と 較して、工程長を短縮し、スラッジ等の環 に有害な副生成物を生じず、袋構造部内部 つきまわり性に優れ、クロム化合物のよう 環境に有害な成分を使用せず、耐食性を有 、かつ得られた塗膜の上に更に焼き付け塗 を重ね塗り可能なオートデポジション塗膜 提供することは不可能であった。

特開昭60-58474

特開昭47-32039

特開昭48-13428

特開昭61-168673

特開2003-176449

特表2002-501100

特表2002-501124

 本発明の目的は、従来技術の問題点を解 することである。すなわち、リン酸亜鉛処 と電着塗装の組み合わせからなる塗装工程 比較して工程長を短縮し、スラッジ等の環 に有害な副生成物をほとんど生じず、袋構 部内部のつきまわり性に優れ、クロム化合 のような環境に有害な成分を使用せず、耐 性を有し、かつ得られた塗膜の上に更に焼 付け塗装を重ね塗り可能な自己析出被膜処 用表面処理液を提供することである。

 本発明者らは前記課題を解決するための 段について鋭意検討した結果、従来技術に ない自己析出被膜処理用表面処理液、自己 出被膜処理方法及び自己析出被膜を有する 属材料を発明するに至った。

 すなわち、本発明に係る自己析出被膜処 用表面処理液は、フェノール類とアルデヒ 類とをF/P比が2.5から3の範囲でアルカリ触媒 存在下において反応させることで得られるレ ゾール樹脂と、隣接する芳香環炭素上に二以 上のヒドロキシル基を有するヒドロキシフェ ノール類と、フェノール類と、を混合撹拌し 、更にフェノール類とアルデヒド類と酸触媒 を加えて重合することにより得られる、F/P比 が0.7~1.0のメチロール基を有するノボラック 脂と、該メチロール基、フェノール核およ /またはフェノール性ヒドロキシル基と熱硬 反応可能な架橋基を有する架橋剤とを前記 ボラック樹脂と架橋剤との固形分質量濃度 が1:1から1:10の範囲で含み、第二鉄イオンと 、少なくとも第二鉄イオンの三倍モル濃度の フッ素元素(好適には溶解型フッ素元素)と、 化剤とを更に含み、pHが2から6の範囲である 水溶液である。

 前記ノボラック樹脂が、少なくとも、芳香 に置換したメチロール基と、互いに隣接す 芳香環炭素上に二以上のヒドロキシル基を するフェノール類部位を有することが好ま く、式1に示す構造式を有することがより好 ましい。
(式中、mおよびnは1~5の整数、pは0~5の整数、R1 はメチロール、R2は独立にヒドロキシル又は ルキルアリール、R3は独立にメチロール、 ドロキシル又はアルキルアリール、aは0又は 1である。)

 前記架橋剤の熱硬化反応可能な架橋基が ソシアネート基であることが好ましい。

 さらに前記架橋剤が、1モルのポリオール に対して、予め一方のイソシアネート基がブ ロック剤でブロックされた少なくとも2モル ポリイソシアネートを付加した多官能ブロ クイソシアネートであることが好ましい。

 また、前記架橋剤中のポリオールが少な とも一分子のビスフェノールA構造を有する ことが好ましい。

 前記ノボラック樹脂の濃度が水溶液中の 形分濃度として1~5質量%であることが好まし い。

 前記酸化剤が過塩素酸、次亜塩素酸、溶 酸素、オゾン、過マンガン酸、過酸化水素 ら選ばれる少なくとも一種であることが好 しい。

 白金電極で測定される自己析出被膜処理 表面処理液の酸化還元電位が、300から500mV あることが好ましい。

 また、本発明は、金属材料を予め脱脂、 洗処理によって表面を清浄化した後、前記 己析出被膜処理用表面処理液に記載された 溶液と接触させた後、さらに水洗工程で該 属材料表面に付着した余剰な前記処理液を 去し、次いで焼き付け処理を行うことによ て被膜を熱硬化させることを特徴とする金 材料の自己析出被膜処理方法である。

 さらに、本発明は鉄系金属材料表面に前 方法によって析出した自己析出被膜層を有 、かつ焼き付け硬化後の自己析出被膜層の 厚が10~30μmであることを特徴とする自己析 被覆金属材料である。

 ここで、本特許請求の範囲及び本明細書に いて使用する各用語の意味について説明す 。「第二鉄イオン」とは、Fe 3+ で示されるイオンであれば、表面処理用処理 液中での存在形態は特に限定されず、例えば 、Fe 3+ や配位子が配位した状態を示す。フッ素元素 が第二鉄イオンに配位した状態の例としては 、FeF 2+ 、FeF 2 + 、FeF 3 等を挙げることができる。「フッ素元素」と は、分子の状態、イオンの状態など、その形 態に特に限定されず、フッ化水素及び/又は の塩等のフッ素含有化合物によって供給さ るフッ素元素全般を意味する。更に「フッ 元素」の濃度とは、系内に存在する様々な ッ素元素の合計モル濃度である。例えば、 記フッ素含有化合物によって供給されるフ 素元素は水溶液のpHによって、F - 、HF、HF 2 - 等の解離形態をとることが出来、ここで言う フッ素元素の濃度とは、水溶液中の全てのF 合計モル濃度である。更には、第二鉄イオ と錯体を形成している場合、当該錯体は「 二鉄イオン」を含み「フッ素元素」をも含 。また、「溶解型フッ素元素」とは、分子 状態、イオンの状態など、その形態に特に 定されないが、本発明の自己析出被膜処理 表面処理液中において溶解せずに固体粒子 して存在する塩等に含まれるフッ素元素は かれる。更に「溶解型フッ素元素」の濃度 は、系内に存在する様々な溶解型フッ素元 の合計モル濃度である。また、「ノボラッ 樹脂」とは、フェノール類を酸触媒下でア デヒド類で重合した樹脂を意味する。また 「レゾール」とは、フェノール類をアルカ 触媒下でアルデヒド類で重合した樹脂を意 する。ここで、「フェノール類」とは、フ ノール性水酸基を有する芳香族化合物を意 する。「アルデヒド類」とは、1分子中に1個 以上のアルデヒド基をもつ化合物又は反応系 において容易にアルデヒド基を生成できる化 合物である。「アルキル」とは、C1~C10の、直 鎖又は分岐状の、置換又は非置換アルキルを 意味する。「アリール」とは、置換又は非置 換である、C6~C14の1~3環式アリール(ここで、 を構成するC原子の一以上がS,N、Oで置換され ていてもよい)を意味する。

 本発明の自己析出被膜処理用表面処理液 用いることで、湯洗→予備脱脂→脱脂→多 水洗(通常2から3段)→表面調整→皮膜化成→ 多段水洗(通常2から3段)→イオン交換水洗→ 着塗装→多段水洗(通常3から5段)→イオン交 水洗→焼き付けからなる従来技術、すなわ リン酸亜鉛処理と電着塗装の組み合わせか なる塗装工程と比較して工程長を短縮する とが可能である。さらに、本発明の方法に るとスラッジ等の環境に有害な副生成物を じず、かつ自己析出被膜処理浴にはクロム 合物のような有害な成分を使用しないため 環境に対する影響も小さい。また、本発明 自己析出被膜は耐食性に優れ、袋構造部内 のつきまわり性に優れるため、複雑な構造 有する被塗装物の耐食性向上の有効である さらに、本発明の自己析出被覆金属材料は 自己析出被膜の上に焼き付け塗装を重ね塗 することが可能である。従って、様々な塗 と組み合わせて使用することが可能である

 架橋剤をイソシアネートとすることによ 、より耐食性にすぐれた自己析出被膜を形 できるという効果を奏する。

 架橋剤として多官能ブロックイソシアネ トを使用することにより、よりいっそう耐 性に優れた自己析出膜を形成できるという 果を奏する。

 架橋剤に少なくとも一分子のビスフェノ ルA構造を有するものを用いることにより、 よりいっそう耐食性に優れた自己析出膜を形 成できるという効果を奏する。

 前記ノボラック樹脂の濃度を水溶液中の 形分濃度として1~5質量%とすることにより、 耐食性を得るのに十分な膜厚を有し、且つ、 成分の消費量を抑えることができる。

 前記ノボラック樹脂と架橋剤を固形分質 濃度比が1:1から1:10とすることにより、均一 な自己析出被膜外観が得られ、かつ耐食性も 向上するという効果を奏する。

 前記酸化剤が過塩素酸、次亜塩素酸、溶 酸素、オゾン、過マンガン酸、過酸化水素 ら選ばれる少なくとも一種とすることによ 、自己析出被膜処理用処理液の安定性を損 わずに自己析出反応を促進するという効果 奏する。

 白金電極で測定される酸化還元電位を300 ら500mVとすることにより、浴中に存在する ての鉄イオンを第二鉄イオンに酸化しその 化状態を維持するに十分な量の酸化剤が存 することとなり、自己析出膜の析出反応を 進し、かつ第一鉄イオンによる自己析出被 処理液の不安定化を抑制することができる

 本発明に係る自己析出被膜処理方法によ ば、本発明に係る処理液を使用することに り、より耐食性に優れた自己析出被膜を形 できるという効果を奏する。

 前記金属材料が、鉄系金属材料であるこ により、より自己酸化膜を形成し易くなり 耐食性に優れた該膜を形成することができ という効果を奏する。

 本発明者らは、金属材料を、フェノール とアルデヒド類とをF/P比が2.5から3の範囲で アルカリ触媒存在下において反応させること で得られるレゾール樹脂と、隣接する芳香環 炭素上に二以上のヒドロキシル基を有するヒ ドロキシフェノール類と、フェノール類と、 を混合撹拌し、更にフェノール類とアルデヒ ド類と酸触媒を加えて重合することにより得 られる、F/P比が0.7~1.0のメチロール基を有す ノボラック樹脂と、該メチロール基、フェ ール核および/またはフェノール性ヒドロキ ル基と熱硬化反応可能な架橋基を有する架 剤とを前記ノボラック樹脂と架橋剤との固 分質量濃度比が1:1から1:10の範囲で含み、第 二鉄イオンと、少なくとも第二鉄イオンの三 倍モル濃度のフッ素元素と、酸化剤とを更に 含み、pHが2から6の範囲である表面処理液と 触させることで、金属材料表面に耐食性に れる自己析出被膜を析出させることを可能 したのである。

 更に、前記ノボラック樹脂が、式1に示す構 造式を有することが好ましい。
(式中、mおよびnは1~5の整数、pは0~5の整数、R1 はメチロール、R2は独立にヒドロキシル又は ルキルアリール、R3は独立にメチロール、 ドロキシル又はアルキルアリール、aは0又は 1である。)

 本発明の自己析出被膜処理用表面処理液 、鉄系金属材料や亜鉛めっき鋼板に適用す ことができる。しかしながら、もっとも適 た金属材料は鉄系金属材料である。ここで う鉄系金属材料とは、冷延鋼板、及び熱間 延鋼板等の鋼板や、鋳鉄、及び焼結材等の 系金属を示す。

 本発明の金属材料の用途は、自動車車体 自動車部品、スチール家具、および家電製 等であり、各々の用途に応じて本発明の自 析出被膜のみの状態か、溶剤塗装等の他の 塗り塗装と組み合わせて使用することがで る。

 基本分子構造中に少なくとも一つのメチ ール基を含有するノボラック樹脂は、本発 における必須成分の一つである。本発明は 鉄系金属材料をある特定の水溶液と接触さ ることを特徴とする、金属材料の自己析出 膜処理用表面処理液である。従って、本発 の処理方法に用いる成分は、第一に水溶性 は水分散性である必要がある。さらに、自 析出被膜の主成分となる樹脂分は、本発明 提示される処理条件において鉄系金属材料 の自己析出性を有する必要があり、かつ自 析出後の焼き付け処理において熱硬化性を せ持つ必要がある。

 本発明者らは、式1に示す特別な構造を有 するノボラック樹脂を使用することによって 、前記本発明に必要な条件を満たし、かつ優 れた性能が得られることを見出したのである 。式1において、mおよびnは1~5の整数、pは0~5 整数、R1はメチロール、R2は独立にヒドロキ ル又はアルキルアリール、R3は独立にメチ ール、ヒドロキシル又はアルキルアリール aは0又は1である。さらに、R2およびR3の好ま いアルキルアリールは、ベンジル基、また トリル基である。

 一般にノボラック樹脂、レゾール樹脂と される樹脂は、フェノール類とアルデヒド を用いて重合される。ここで、フェノール (P)とアルデヒド類(F)とを反応させる際の反 モル比をF/P比という。一般にノボラックと される樹脂は、フェノール類を酸触媒を用 てアルデヒド類で重合することによって得 れる。ノボラックは、分子構造が三次元化 ることを防止するために小さいF/P比で重合 れ、フェノール類へ付加したアルデヒド類 、フェノール類の重合反応に使用される。 って、ホルムアルデヒドをアルデヒド類と て使用した場合でも、一般に言われるノボ ック樹脂には、ホルムアルデヒドはフェノ ル類の重合に使用され、ホルムアルデヒド 付加によるメチロール基は存在しない。本 良形態に係るノボラック樹脂は、特に限定 れないが、F/P比が、0.7~1.0が好適であり、0.7 5~0.95がより好適であり、0.75~0.9が更に好適で る。

 メチロール基が存在しないノボラック樹 は、水との親和性が著しく低いため水には 散せず、かつ熱によって架橋する官能基を たないため、本発明の用途には適さない。 や、アルカリ触媒下で高いF/P比でホルムア デヒドとフェノール類を重合させるレゾー 樹脂は、メチロール基を有する熱硬化型樹 であるが、その水分散物の酸性水溶液中で 安定性が著しく低いために本発明に使用す ことはできない。

 本発明に用いられる式1に示すノボラック 樹脂は、少なくとも一つのメチロール基を有 するものである。メチロール基を有すること によって、ノボラック樹脂には熱硬化性が付 与される。さらに、メチロール基を有するこ とによって、ノボラック樹脂の親水性を改善 することができる。しかしながら、メチロー ル基のみでは十分な水溶性、水分散性を与え ることはできない。また、メチロール基を付 与したのみのノボラック樹脂では、自己析出 性を得ることもできない。そこで、メチロー ル基を有するノボラック樹脂に、イオン性基 を有するジヒドロキシフェノール類を導入す ることで、その水溶性、水分散性を改善し、 更に自己析出性を付与したのである。

 式1に示すとおり、本発明のノボラック樹 脂に用いるイオン性基を有するジヒドロキシ フェノールとしては、2,3-ジヒドロキシナフ レン-6-スルホン酸が最も好ましい。スルホ 酸基によってノボラック樹脂に十分な水溶 、水分散性を、オルソ位の二つのヒドロキ 基によって自己析出性を付与することがで る。なお、ノボラック樹脂の合成に際して 、2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-スルホン酸 ルカリ金属塩を使用することができる。

 本発明に用いる式1に示す構造式の中にメチ ロール基を有するノボラック樹脂は、予めフ ェノール類をアルカリ触媒下において、好ま しくは2.5から3の範囲のF/P比でアルデヒド類 反応させることでレゾール樹脂を合成した に、該レゾール樹脂に2,3-ジヒドロキシナフ レン-6-スルホン酸ナトリウム塩とフェノー 類を混合撹拌し、さらにフェノール類とア デヒド類と酸触媒を加えて重合することで 成することができる。尚、最終的なノボラ クのF/P比は、全てのフェノール類(ヒドロキ シフェノール類も含む)とアルデヒド類のモ 比である。従って、レゾール樹脂合成に用 たフェノール類とアルデヒド類も最終的なF/ P比に含まれる。さらに、合成されたノボラ ク樹脂にメチロール基が存在するか否かは 赤外分光法による1000cm -1 付近に現れるメチロール基の吸収を測定する ことで判断可能である。

 ここで、フェノール類としては、フェノ ル、カテコール、レソルシノール、ピロガ ール、クレゾール等を、アルデヒド類とし は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド アセトン、ベンズアルデヒド等を用いるこ ができる。中でも最も好ましいアルデヒド は、ホルマリンとして市販されるホルムア デヒドである。

 本発明に用いるメチロール基、フェノー 核、およびフェノール性ヒドロキシル基と 硬化反応可能な架橋基を有する架橋剤の架 基としては、メチロール基、カルボキシル 、グリシジル基、グリシジル基が開環した 級アルコール基、およびイソシアネート基 を用いることができ、中でもイソシアネー 基であることが好ましい。

 さらに前記架橋剤が、1モルのポリオール に対して、予め一方のイソシアネート基がブ ロック剤でブロックされた少なくとも2モル ポリイソシアネートを付加した多官能ブロ クイソシアネートであることが好ましい。 ソシアネート基は、ブロック剤でブロック ることによって、水との反応を抑制するこ ができ、かつ熱を与えることでブロック剤 解離して架橋反応が起こるため、本発明の 橋剤として最適である。

 本発明に用いることができるポリイソシ ネートとしては、公知のものを用いること できる。例えば、1,4-テトラメチレンジイソ シアネート、エチル(2,6-ジイソシアナート)ヘ キサノエート、1,6-ヘキサメチレンジイソシ ネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネー ト、2,2,4-または2,4,4-トリメチルヘキサメチレ ンジイソシアネートの様な脂肪族ジイソシア ネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネ ート、1,8-ジイソシアナート-4-イソシアナー メチルオクタン、2-イソシアナートエチル(2, 6-ジイソシアナート)ヘキサノエートの様な脂 肪族トリイソシアネートやイソホロンジイソ シアネートの様な環状構造を有するジイソシ アネート、更には、m-またはp-フェニレンジ ソシアネート、トルエン-2,4-または2,6-ジイ シアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソ シアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネー 、ジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、4,4 -ジイソシアナート-3,3’-ジメチルジフェニ 、3-メチル-ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシ アネート、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイソ アネートの様な芳香族ジイソシアネート等 用いることができる。

 本発明に好適なポリイソシアネートは、 られる被膜の柔軟性の観点からは1,6-ヘキサ メチレンジイソシアネート、イソシアネート 基の反応性の観点からはトルエン-2,4-または2 ,6-ジイソシアネートである。

 本発明に用いるイソシアネート基のブロ ク剤としては、公知のものを用いることが きる。例えば、メタノール、エタノール、n -プロピルアルコール、iso-プロピルアルコー 、n-ブチルアルコール、iso-ブチルアルコー 、tert-ブチルアルコール等のアルコール類 フェノール、メチルフェノール、クロルフ ノール、p-iso-ブチルフェノール、p-tert-ブチ フェノール、p-iso-アミルフェノール、p-オ チルフェノール、p-ノニルフェノール等のフ ェノール類、マロン酸ジメチルエステル、マ ロン酸ジエチルエステル、アセチルアセトン 、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の 活性メチレン化合物類、ホルムアルドキシム 、アセトアルドキシム、アセトンオキシム、 シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノン オキシム、ベンゾフェノンオキシム、2-ブタ ンオキシム等のオキシム類、ε-カプロラク ム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム のラクタム類、およびチオ硫酸塩等が挙げ れる。

 イソシアネート基からの解離温度が低い ロック剤を選択することによって、本発明 自己析出被膜処理における被膜の焼き付け 度を低下させることができる。しかしなが 、あまりにも解離温度が低い場合には、自 析出被膜処理用表面処理液の安定性を損な 恐れがある。そこで、ホルムアルドキシム アセトアルドキシム、アセトンオキシム、 クロヘキサノンオキシム、アセトフェノン キシム、ベンゾフェノンオキシム、2-ブタ ンオキシム等のオキシム類、およびチオ硫 塩の使用が好ましい。尚、ここで用いるブ ック剤は、イソシアネート基に対して、使 するポリイソシアネートがジイソシアネー の場合は1/2倍のモル量が好ましく、トリイ シアネートの場合には2/3倍のモル量が好ま い。当該ブロック剤を用いると、ポリオー と反応させた後の架橋剤の水との反応を抑 し、自己析出表面処理用処理液の安定性を 持しつつ、焼き付け前の自己析出被膜に熱 与えることで塗膜を硬化させるという効果 奏する。

 本発明に用いることができるポリオール しては、ポリプロピレングリコール、ポリ チレングリコール、ポリテトラメチレング コールの様なポリエーテルポリオール、ポ エチレンアジベート、ポリジエチレンアジ ート、ポリプロピレンアジベート、ポリテ ラメチレンアジベート、ポリ-ε-カプロラク トンの様なポリエステルポリオール、ポリカ ーボネートポリオール、アクリルポリオール 、エポキシポリオール、トリメチロールプロ パン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、 スフェノールAD等が挙げられる。

 中でも、分子構造中に少なくとも一分子の スフェノールA構造を有するエポキシポリオ ールやビスフェノールAが好ましい。ここで 「少なくとも一分子のビスフェノールA構造 有する」とは、前記エポキシポリオールの うなポリマーの直鎖の中に組み込まれてい ことや、ビスフェノールAの繰り返し単位を 一部に有するポリマーであることや、ビスフ ェノールAのホモポリマーや、ビスフェノー Aそのものであることを意味する。ビスフェ ールAは、ベンゼン環を基本骨格に有し、か つ二つのベンゼン環が二つのメチル基がつい たメチレン鎖で繋がれているため、樹脂自体 の頑丈さ(堅さ)と高い耐薬品性を併せ持つ構 である(HO-C 6 H 4 -C(CH 3 ) 2 -C 6 H 4 -OH)。従って、ビスフェノールA構造を有する リオールを本発明の多官能ブロックイソシ ネートに用いることによって、本発明によ て得られる耐食性が飛躍的に向上するので る。

 前記ノボラック樹脂の濃度が水溶液中の 形分濃度として1~5質量%であることが好まし く、より好ましくは、1~3質量%である。前述 たとおり、メチロール基を有するノボラッ 樹脂は、自己析出性と熱硬化性を有してい 。従って、その濃度が1質量%よりも小さい時 は、十分な自己析出性が得られず、本発明の 効果のひとつである耐食性を得られるだけの 自己析出塗膜厚が得られない。また、5質量% りも大きい場合は、被塗装物による処理液 持ち出しに起因する自己析出浴成分の消費 が増えるばかりか、持ち出された処理液は 洗工程で除去されて排水処理工程へ送られ ため、不要な廃棄物の増大を招くこととな 。従って、より好ましいノボラック樹脂の 限濃度は3質量%である。

 水溶液中の前記ノボラック樹脂と架橋剤 の固形分質量濃度比が1:1から1:10であること が好ましく、より好ましくは1:1から1:5であり 、さらにより好ましくは1:1から1:3である。本 発明に用いるノボラック樹脂は、その分子構 造中に少なくとも1分子のメチロール基を有 るために、メチロール基同士の架橋反応、 なわちエーテル結合、またはメチレン架橋 よって、架橋剤を添加しなくとも熱を与え ことで硬化することができる。しかしなが 本発明者らは、実用上十分な、本発明の目 とするところの耐食性を得るためには、さ に架橋剤を添加して架橋密度を高めること 重要であることを見いだしたのである。

 さらに、メチロール基を有するノボラッ 樹脂とビスフェノールA構造を有するブロッ クポリイソシアネートを組み合わせることで 、従来にない耐食性が発現される。しかしな がら、本発明者らが鋭意検討した結果、いた ずらに架橋剤の添加量を増加すれば、自己析 出被膜の耐食性が向上するわけではないこと が判明した。

 ノボラック樹脂によって形成された塗膜 、本来硬い性質を有する。さらに、架橋剤 複雑に架橋させることによって、塗膜の硬 は増していき最終的には非常に脆い塗膜と ってしまう。本発明者らが検討した結果、 ボラック樹脂を利用した硬くて脆い塗膜は 密着性に劣ることが判明した。さらに、硬 て脆い塗膜は、塗膜に加えられた衝撃、お び塗装された金属材料の変形によって、容 に破損してしまうため実用に適さない。

 メチロール基を有するノボラック樹脂に する架橋剤の比率が1倍未満の場合は、架橋 密度が低く十分な耐食性を得ることができな い。また、10倍よりも大きい場合は、架橋密 が高すぎて塗膜が脆くなり実用に適さない である。

 さらに本発明には、表面処理液中の成分 特に架橋剤の水溶性向上、および焼き付け 化後の被膜の外観を向上するための溶剤成 を添加することができる。本発明に好適な 剤としては、エチレングリコールモノエチ エーテル、エチレングリコールモノブチル ーテル、エチレングリコールモノヘキシル ーテル、ジエチレングリコールモノヘキシ エーテル、および2,2,4-トリメチルペンタン オール-1,3-モノイソブチレート等が挙げら る。

 本発明は自己析出被膜処理用表面処理液 関するものである。ここで、自己析出反応 、pHが2から6であることによる鉄系金属材料 の溶解反応、および第二鉄イオンによる金属 鉄の酸化反応によって浴中に溶け出した第一 鉄イオンと、メチロール基を有するノボラッ ク樹脂中の2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-ス ホン酸分子のオルソ位の二つのヒドロキシ が第一鉄イオンとキレートすることによっ 、ノボラック樹脂が不溶化し自己析出被膜 して析出するのである。

 さらに、自己析出反応に使用されなかっ 余剰の第一鉄イオンは、本発明の自己析出 理浴中の酸化剤によって速やかに第二鉄イ ンに酸化される。酸化された第二鉄イオン 、そのままでは自己析出処理浴の安定性を なう原因となり得るが、本発明の処理浴に まれるフッ素元素が配位することによって 処理浴中でのノボラック樹脂とのキレート 応が抑制され、処理浴の安定性が保たれる である。

 ここで、鉄イオンの供給源としては、可 性の鉄塩、例えば硝酸鉄、硫酸鉄、塩化鉄 を用いることができ、第一鉄塩、第二鉄塩 いずれを用いても、自己析出被膜処理用表 処理液中の酸化剤で酸化することによって 処理液中で第二鉄イオンとすることができ 。また、鉄粉、酸化鉄、水酸化鉄等をフッ 水素酸で溶解して使用してもよい。

 前記自己析出反応が起こるための第二鉄 オンの濃度は0.1~3g/Lであり、好ましくは、0. 5~2.5g/Lであり、より好ましくは1~2g/Lである。 、第二鉄イオンの濃度は、当業界で一般的 方法で測定でき、例えば、予め樹脂分を酸 加熱によって分解、分離した自己析出被膜 理用表面処理液を用い、原子吸光法、ICP発 分析、EDTAによるキレート分析法によって測 定することができる。また、フッ素元素の好 ましい濃度は、第二鉄イオンの少なくとも三 倍モル濃度である。上限は特に限定されない が、例えば、第二鉄イオンの十倍モル濃度以 下である。尚、フッ素元素の濃度は、当業界 で一般的な方法で測定でき、例えば、本発明 の自己析出被膜処理用表面処理液を蒸留操作 を行い蒸留液中のフッ素元素濃度をイオンク ロマトグラフやキャピラリー電気泳動装置に より測定することができる。第二鉄イオン濃 度が0.1g/L未満では、自己析出に好適な量の鉄 の酸化溶解反応を起こしにくくなる。また、 3g/Lよりも大きい場合には、析出した自己析 塗膜にとりこまれる鉄分濃度が上昇し、鉄 オンとともに塗膜中に取り込まれる水分量 増えるために、自己析出塗膜が後の水洗工 で剥離しやすくなる。

 フッ素元素の供給源としては、フッ化水 酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アン ニウム、フッ化ナトリウム、二フッ化水素 トリウム、フッ化カリウム、二フッ化水素 リウム等を用いることができる。ここで、 ッ化水素酸以外のフッ化物を用いる場合に 、硝酸、硫酸等の酸を使用して自己析出被 処理用表面処理液のpHを調整してもよい。

 本発明の自己析出被膜処理用表面処理液 好ましいpHは2から6、より好ましくは、2.5か ら5、より好ましくは2.5から4である。尚、pH 測定方法は、JIS Z 8802の方法によるものと る。本発明の自己析出被膜処理方法は、前 したとおり、自己析出被膜処理用表面処理 中のフッ化水素酸よる鉄系金属材料の溶解 応、および第二鉄イオンによる金属鉄の酸 反応を起点とするものである。従って、pHが 6よりも大きいと金属材料の溶解反応が起こ にくく、かつ第二鉄イオンの還元反応も起 りにくくなるのである。また、pHが2よりも さいと自己析出被膜の析出反応に対する金 材料の溶解反応が大きくなりすぎて、自己 出被膜処理用表面処理液の安定性が損なわ る恐れがあるのである。

 前記酸化剤は過塩素酸、次亜塩素酸、溶 酸素、オゾン、過マンガン酸、過酸化水素 ら選ばれる少なくとも一種であることが好 しい。過酸化水素は、入手が容易であり、 つ自身の還元反応による副生成物が水であ ことから自己析出処理浴に対する影響を考 する必要がなく、本発明に好適な酸化剤で る。

 本発明の自己析出処理浴における酸化剤 濃度は、白金電極を作用局に用いた市販のO RP電極で測定される酸化還元電位で管理する とができる。ここで、本発明の自己析出反 メカニズムからは、全ての第一鉄イオンを 二鉄イオンに酸化した状態で余剰の酸化剤 処理浴に存在する状態が好ましい。即ち、 化剤の量は、浴中に存在する全ての鉄イオ を第二鉄イオンに酸化しその酸化状態を維 するに十分な量が好ましい。酸化還元電位 、選択した酸化剤によって与えられる値の 小値以上に保つことによって、前記状態を 持することが可能となる、ここで、過酸化 素を例にとった場合の好ましい酸化還元電 は、少なくとも300mV以上であり、より好ま くは350mV以上であり、さらにより好ましくは 400mV以上である。上限は特に限定されないが5 00mV以下である。

 さらに、本発明の金属材料の自己析出被 処理方法は、鉄系金属材料を予め脱脂、水 処理によって表面を清浄化した後、前記自 析出被膜処理用表面処理液に記載された水 液と接触させた後、さらに水洗工程で該金 材料表面に付着した余剰な水溶液を除去し 次いで焼き付け処理を行うことによって被 を熱硬化させることによって行う。

 ここで、脱脂処理は従来から一般に用い れている溶剤脱脂、アルカリ脱脂等を用い ことができ、その工法も流しかけ、スプレ 、浸漬、および電解等なんら制約されるも ではない。また、脱脂処理後、および自己 出被膜処理後に行われる水洗処理に関して 何ら制約はなく、流しかけ、スプレー、浸 等から選択することができる。水洗に用い れる水の水質にも特に制約はないが、自己 出被膜処理浴への微少成分の持ち込み、お び塗膜中への残存を考慮するとイオン交換 が望ましい選択である。

 本発明の自己析出被膜処理は、被塗装物 処理浴へ浸漬する浸漬法によって行われる 浸漬法が行われる処理浴に関しては、処理 中の成分濃度が均一に保たれる程度の攪拌 備えているのみでよい。また、好ましい浸 時間は1~10分であり、より好ましい浸漬時間 は2~5分である。

 被塗装材料の表面状態によっては酸洗工 を採用することもできる。その場合の処理 程は、脱脂→多段水洗(通常2から3段)→酸洗 →多段水洗(通常1~2段)→自己析出被膜化成→ 段水洗(通常2から3段)→焼き付けとなる。

 さらに、本発明は鉄系金属材料表面に前 方法によって析出した自己析出被膜層を有 、かつ焼き付け硬化後の自己析出被膜層の 厚が10~30μmであることを特徴とする自己析 被覆金属材料である。当該範囲内では、十 な耐食性を有し、クラックや収縮といった 観不良が生じにくくなる。

〔実施例〕

 以下に実施例を比較例とともに挙げ、本 明の自己析出被膜処理用表面処理液、およ 自己析出被膜処理された金属材料の効果を 体的に説明する。尚、実施例で使用した被 理金属材料、脱脂剤、及び塗料は市販され いる材料の中から任意に選定したものであ 、本発明の自己析出被膜処理用表面処理液 及び自己析出被膜処理された金属材料の実 の用途における材料の組み合わせを何ら限 するものではない。

(供試板)
 実施例と比較例に用いた供試板の略号と内 を以下に示す。
・ CRS(冷延鋼板:JIS-G-3141)

(自己析出被膜処理液組成と処理工程)

・ 製造例1:メチロール基を含有するノボラ ク樹脂の合成
 ジメチルアミノベンゼンをアルカリ触媒に い、フェノール(試薬)60gと37質量%ホルムア デヒド(試薬)135gとを70℃で混合攪拌し、F/P比 が2.6で固形分が55質量%の水溶性レゾール樹脂 を得た。前記水溶性レゾール樹脂200gに、40g 2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-スルホン酸ナ リウム塩(試薬)、35gのカテコ-ル(試薬)、及 50gの水を添加したものを90℃に加熱し3時間 拌した。攪拌後に210gのレソルシノ-ル(試薬) 及び85質量%リン酸(試薬)5gを添加した水200g 添加し、温度を90℃に保ったまま1時間攪拌 た。攪拌後、70gの37質量%ホルムアルデヒド( 薬)を少量ずつ加え、合成物の粘度が上昇す ることを目視で確認し、F/P比が0.84で固形分 度53%のノボラック樹脂を得た。合成物を赤 分光法で分析した結果、メチロール基の存 を示す吸収が確認された。

・ 製造例2:ノボラック樹脂の合成
 85質量%リン酸(試薬)を酸触媒に用い、フェ ール(試薬)61gと37質量%ホルムアルデヒド(試 )42gとを70℃で混合攪拌し、F/P比が0.8で固形 が55質量%のノボラック樹脂を得た。前記ノ ラック樹脂140gに、40gの2,3-ジヒドロキシナフ タレン-6-スルホン酸ナトリウム塩(試薬)、35g カテコ-ル(試薬)、30gの37質量%ホルムアルデ ド(試薬)及び30gの水を添加したものを90℃に 加熱し3時間攪拌した。攪拌後に210gのレソル ノ-ル(試薬)、及び85質量%リン酸(試薬)5gを添 加した水200gを添加し、温度を90℃に保ったま ま1時間攪拌した。攪拌後、70gの37質量%ホル アルデヒド(試薬)を少量ずつ加え、合成物の 粘度が上昇することを目視で確認し、F/P比が 0.3で固形分濃度53%のノボラック樹脂を得た。 合成物を赤外分光法で分析した結果、メチロ ール基の存在を示す吸収は確認できなかった 。

・ 製造例3:架橋剤の合成
 乾燥窒素雰囲気下で、174gのトルエンジイソ シアネート(コロネートT80:日本ポリウレタン 業(株)製)に87gの2-ブタノンオキシムを、反 温度が40℃を超えないように外部から冷却し ながら加えた。40℃で1時間保持した後に、反 応容器を70℃に加温した。そこに、ビスフェ ールA(試薬)113g、さらにジブチル錫ラウレー ト(STANN BL:三共有機合成(株)製)0.02gを加え120 で2時間保持した後、エチレングリコールモ ブチルエーテル(試薬)で固形分濃度が30質量 %となるように希釈した。

・ 製造例4:架橋剤の合成
 乾燥窒素雰囲気下で、174gのトルエンジイソ シアネート(コロネートT80:日本ポリウレタン 業(株)製)に87gの2-ブタノンオキシムを、反 温度が40℃を超えないように外部から冷却し ながら加えた。40℃で1時間保持した後に、反 応容器を70℃に加温した。そこに、1,1,1-トリ (ヒドロキシメチル)プロパン(試薬)45g、さら にジブチル錫ラウレート(STANN BL:三共有機合 (株)製)0.02gを加え120℃で2時間保持した後、 チレングリコールモノブチルエーテル(試薬 )で固形分濃度が30質量%となるように希釈し 。

・ 実施例1~5、および比較例1
 市販のアルカリ脱脂剤であるファインクリ ナーL4460(日本パーカライジング(株)製)を水 2質量%に希釈し40℃に加温した液を供試板に スプレー装置で噴霧し脱脂処理を行った。脱 脂処理後の供試板表面を、スプレー装置を用 いてイオン交換水で洗浄した。前記表面を脱 脂洗浄した供試板を、製造例1のメチロール を含有するノボラック樹脂、製造例3の架橋 、鉄粉(試薬)、フッ化水素酸(試薬)、及び過 酸化水素水(試薬)を用いて調整した表1に示す 自己析出被膜処理浴に浸漬した後、スプレー 装置を用いてイオン交換水で洗浄し、次いで 160℃で20分間焼き付けを行った。自己析出浴 の浸漬時間は、膜厚が15μmとなるように設 した。各々の実施例および比較例で得られ 自己析出被覆金属材料を後述する方法に従 て評価した。

・ 実施例6~9、および比較例2,3
 市販のアルカリ脱脂剤であるファインクリ ナーL4460(日本パーカライジング(株)製)を水 2質量%に希釈し40℃に加温した液を供試板に スプレー装置で噴霧し脱脂処理を行った。脱 脂処理後の供試板表面を、スプレー装置を用 いてイオン交換水で洗浄した。前記表面を脱 脂洗浄した供試板を、製造例1のメチロール を含有するノボラック樹脂、製造例4の架橋 、鉄粉(試薬)、フッ化水素酸(試薬)、及び過 酸化水素水(試薬)を用いて調整した表2に示す 自己析出被膜処理浴に浸漬した後、スプレー 装置を用いてイオン交換水で洗浄し、次いで 160℃で20分間焼き付けを行った。さらに市販 アミノアルキッド系中塗り塗装(商品名アミ ラックTP-37グレー:関西ペイント(株)製、膜厚3 5μm、スプレー塗装、140℃で20分間焼き付け) および市販のアミノアルキッド系上塗り塗 (商品名アミラックTM-13白:関西ペイント(株) 、膜厚35μm、スプレー塗装、140℃で20分間焼 付け)を行った。各々の実施例および比較例 で得られた自己析出被覆金属材料を後述する 方法に従って評価した。

・ 実施例11~13
 市販のアルカリ脱脂剤であるファインクリ ナーL4460(日本パーカライジング(株)製)を水 2質量%に希釈し40℃に加温した液を供試板に スプレー装置で噴霧し脱脂処理を行った。脱 脂処理後の供試板表面を、スプレー装置を用 いてイオン交換水で洗浄した。前記表面を脱 脂洗浄した供試板を、製造例1のメチロール を含有するノボラック樹脂、市販のブロッ イソシアネート架橋剤であるエラストロンH3 8(第一工業製薬(株)製)、鉄粉(試薬)、フッ化 素酸(試薬)、及び過酸化水素水(試薬)を用い 調整した表3に示す自己析出被膜処理浴に5 間浸漬した後、スプレー装置を用いてイオ 交換水で洗浄し、次いで160℃で20分間焼き付 けを行った。さらに市販のアミノアルキッド 系中塗り塗装(商品名アミラックTP-37グレー: 西ペイント(株)製、膜厚35μm、スプレー塗装 140℃で20分間焼き付け)、および市販のアミ アルキッド系上塗り塗装(商品名アミラック TM-13白:関西ペイント(株)製、膜厚35μm、スプ ー塗装、140℃で20分間焼き付け)を行った。 々の実施例で得られた自己析出被覆金属材 を後述する方法に従って評価した。

・ 比較例4
 市販のアルカリ脱脂剤であるファインクリ ナーL4460(日本パーカライジング(株)製)を水 2質量%に希釈し40℃に加温した液を供試板に スプレー装置で噴霧し脱脂処理を行った。脱 脂処理後の供試板表面を、スプレー装置を用 いてイオン交換水で洗浄した。前記表面を脱 脂洗浄した供試板を、製造例1のメチロール を含有するノボラック樹脂、市販のブロッ イソシアネート架橋剤であるエラストロンH3 8(第一工業製薬(株)製)、鉄粉(試薬)、フッ化 素酸(試薬)、及び過酸化水素水(試薬)を用い 調整した表3に示す自己析出被膜処理浴に5 間浸漬した後、スプレー装置を用いてイオ 交換水で洗浄し、次いで160℃で20分間焼き付 けを行った。なお、塩化第二鉄と鉄粉の配合 割合は、塩化第二鉄を鉄分として1g/L、残り 鉄分を鉄粉とした。さらに市販のアミノア キッド系中塗り塗装(商品名アミラックTP-37 レー:関西ペイント(株)製、膜厚35μm、スプレ ー塗装、140℃で20分間焼き付け)、および市販 のアミノアルキッド系上塗り塗装(商品名ア ラックTM-13白:関西ペイント(株)製、膜厚35μm スプレー塗装、140℃で20分間焼き付け)を行 た。各々の実施例で得られた自己析出被覆 属材料を後述する方法に従って評価した。

・ 比較例5
 市販のアルカリ脱脂剤であるファインクリ ナーL4460(日本パーカライジング(株)製)を水 2質量%に希釈し40℃に加温した液を供試板に スプレー装置で噴霧し脱脂処理を行った。脱 脂処理後の供試板表面を、スプレー装置を用 いてイオン交換水で洗浄した。前記表面を脱 脂洗浄した供試板を、製造例1のメチロール を含有するノボラック樹脂を固形分として3 量%、鉄粉(試薬)を1.5g/L、フッ化水素酸(試薬 )をフッ素として1.6g/L、及び過酸化水素水(試 )を用いてORPを400mVに調整した自己析出被膜 理浴に5分間浸漬した後、スプレー装置を用 いてイオン交換水で洗浄し、次いで160℃で20 間焼き付けを行った。得られた自己析出被 金属材料を後述する方法に従って評価した

・ 比較例6~8
 市販のアルカリ脱脂剤でファインクリーナ L4460(日本パーカライジング(株)製)を水で2質 量%に希釈し40℃に加温した液を供試板にスプ レー装置で噴霧し脱脂処理を行った。脱脂処 理後の供試板表面を、スプレー装置を用いて イオン交換水で洗浄した。前記表面を脱脂洗 浄した供試板を、製造例2のノボラック樹脂 製造例3の架橋剤、鉄粉(試薬)、フッ化水素 (試薬)、及び過酸化水素水(試薬)を用いて調 した表4に示す自己析出被膜処理浴に浸漬し た後、スプレー装置を用いてイオン交換水で 洗浄し、次いで160℃で20分間焼き付けを行っ 。自己析出浴への浸漬時間は、膜厚が15μm なるように設定した。各々の比較例で得ら た自己析出被覆金属材料を後述する方法に って評価した。

・ 比較例9
 市販のアルカリ脱脂剤でファインクリーナ L4460(日本パーカライジング(株)製)を水で2質 量%に希釈し40℃に加温した液を供試板にスプ レー装置で噴霧し脱脂処理を行った。脱脂処 理後の供試板表面を、スプレー装置を用いて イオン交換水で洗浄した。前記表面を脱脂洗 浄した供試板を、市販の自己析出被膜処理薬 剤であるNSD-1000(塩化ビニリデンタイプ:日本 ーカライジング(株)製)をカタログ値の中心 調整した処理浴に2分間浸漬した後、スプレ 装置を用いてイオン交換水で洗浄し、次い 100℃で20分間焼き付けを行った。さらに市 のアミノアルキッド系中塗り塗装(商品名ア ラックTP-37グレー:関西ペイント(株)製、膜 35μm、スプレー塗装、140℃で20分間焼き付け) 、および市販のアミノアルキッド系上塗り塗 装(商品名アミラックTM-13白:関西ペイント(株) 製、膜厚35μm、スプレー塗装、140℃で20分間 き付け)を行った。上塗り塗装まで行った供 板塗膜の密着性を後述する方法に従って評 した。

(自己析出被覆処理金属材料の外観および膜 評価)
 実施例、及び比較例の自己析出被膜処理方 で処理を行った供試板の外観を目視で判定 た。また、被膜厚を電磁式膜厚計(フィッシ ャースコープMMS:FISCHER製)を用いて測定した。

(自己析出被覆金属材料の性能評価)
 実施例、及び比較例の性能評価を行った。 価項目と略号を以下に示す。尚、自己析出 膜処理完了時点での塗膜を自己析出塗膜、 塗り塗装完了時点での塗膜を3coats塗膜と称 ることとする。
(1)SST:塩水噴霧試験(自己析出塗膜)
(2)SDT:塩温水試験(自己析出塗膜)
(3)1 st ADH:1次密着性(3coats塗膜)
(4)2 nd ADH:耐水2次密着性(3coats塗膜)

・SST
 鋭利なカッターでクロスカットを入れた自 析出塗膜板に5質量%塩水を600時間噴霧(JIS-Z-2 371に準ずる)した。噴霧終了後にクロスカッ 部からの両側最大ふくれ幅を測定した。

・SDT
 鋭利なカッターでクロスカットを入れた自 析出塗膜板を、50℃に昇温した5質量%のNaCl 溶液に240時間浸漬した。浸漬終了後に水道 で水洗→常温乾燥したクロスカット部を粘 テープで剥離し、塗膜の両側最大剥離幅を 定した。

・ 1 st ADH
 3coats塗膜に鋭利なカッターで2mm間隔の碁盤 を100個切った。碁盤目部のセロテープ(登録 商標)剥離を行い碁盤目の残存個数を数えた

・2 nd ADH
 3coats塗装板を40℃の脱イオン水に240時間浸 した。浸漬後に鋭利なカッターで2mm間隔の 盤目を100個切った。碁盤目部のセロテープ 離を行い碁盤目の残存個数を数えた。

 表5に実施例1から5、および比較例1で得ら れた自己析出被膜の評価結果を示した。実施 例1から5は、全ての水準において均一な外観 得られ、かつ耐食性も優れていた。対して 比較例1は、焼き付け後の自己析出被膜全面 にクラックが発生したため、耐食性評価を行 わなかった。

 表6に実施例6から9、および比較例2,3で得 れた自己析出被膜の評価結果を示した。実 例6から9は、架橋剤にビスフェノールA構造 導入していないため、実施例1から5と比較 ると若干劣るものの実用上十分な耐食性を した。また、中上塗り塗装後の密着性も良 であった。対して、比較例2の自己析出被覆 属材料は、密着性は得られたものの、膜厚 低いため耐食性に劣る結果であった。比較 3では、焼き付け後の自己析出被膜にクラッ クが発生したため、耐食性評価を行わなかっ た。

 表7には、実施例11から13、および比較例4 得られた自己析出被膜の評価結果を示した 実施例11から13は、全ての水準において均一 な外観が得られ、かつ耐食性も優れていた。 また、中上塗り塗装後の密着性も良好であっ た。対して比較例4では、自己析出被膜処理 程の次工程である水洗工程において、焼き け前の塗膜が剥離した。

 表8に比較例5で得られた自己析出被膜の 価結果を示した。比較例5においては、自己 出被膜は得られたが、架橋剤を使用しなか たため著しく耐食性に劣る結果であった。

 表9に比較例6から8で得られた自己析出被 の評価結果を示した。比較例6から8に用い ノボラック樹脂は、メチロール基を有して ないため耐食性に劣っていた。また、処理 の安定性が著しく低く、自己析出被膜処理 1時間経過後には沈殿物が発生した。対して 全ての実施例においては、自己析出被膜処 後の処理液を1ヶ月間保管しても沈殿物の発 生はなく、かつ自己析出被膜処理によってス ラッジがほとんど発生しなかった。

 表10には、比較例9で得られた自己析出被 の評価結果を示した。比較例9は市販の自己 析出被膜処理剤であるため、比較的良好な耐 食性を示した。しかしながら、中上塗り塗装 後の密着性評価では、碁盤目部の塗膜が全て 剥離した。

 以上より、本発明の効果は明らかである。