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Title:
STERN SHAPE OF DISPLACEMENT TYPE SHIP
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/099462
Kind Code:
A1
Abstract:
Stern shape of a displacement type ship in which hull resistance can be reduced and propeller cavitation can be suppressed in a displacement type ship sailing in such a speed region that the Froude number is smaller than the last hump. The stern shape of a displacement type ship sailing in such a speed region that the Froude number is smaller than the last hump has a knuckle line (14) formed continuously, in the front and back direction of the hull from the start point in front of a propeller to the end point in the rear of the propeller, by connecting knuckle points (13) provided in the cross-sectional profile of the hull at the stern. Frame lines (12a) on the inside of the knuckle line (14) in the width direction of the hull are formed into dome shape having a curvature of upward convexity. Hull length forming the dome shape is set equal to or longer than 10% of the overall length or equal to or longer than one time the propeller diameter, and the position of the start point in the width length of the hull is set on the outside of the radial position of the propeller.

Inventors:
SAKAMOTO TOSHINOBU (JP)
YAMAMOTO KENICHI (JP)
UEDA NAOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/052500
Publication Date:
August 21, 2008
Filing Date:
February 13, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI HEAVY IND LTD (JP)
SAKAMOTO TOSHINOBU (JP)
YAMAMOTO KENICHI (JP)
UEDA NAOKI (JP)
International Classes:
B63B1/08; B63B1/40; B63B3/40; B63H5/16
Foreign References:
JPS512193A1976-01-09
JP2005186714A2005-07-14
JPS5846694U1983-03-29
JP2002154475A2002-05-28
JPS4937386A1974-04-06
US3635186A1972-01-18
Attorney, Agent or Firm:
FUJITA, Takaharu et al. (3-1 Minatomirai 1-chome,Nishi-k, Yokohama-shi Kanagawa 12, JP)
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Claims:
 フルード数がラストハンプより小さい速度域で航走する排水量型船舶の船尾形状であって、
 船尾の船体断面形状に設けた凸部を結んでプロペラ前方の始点からプロペラ後方の終点まで船体前後方向に連続して形成される凸部ラインを備え、
 前記凸部ラインの船体幅方向内側にあるフレームラインを上に凸の曲率を有するドーム形状に形成し、
 前記ドーム形状を形成する船体長さを全長の10%以上またはプロペラ直径の1倍以上に設定するとともに、
 前記始点の船体幅方向位置をプロペラ半径位置よりも外側となるように設定したことを特徴とする排水量型船舶の船尾形状。
 前記凸部ラインが船尾端まで続いていることを特徴とする請求項1に記載の排水量型船舶の船尾形状。
 前記凸部ラインの船体幅方向外側にあるフレームラインが、下に凸の曲率を有するとともに船側外板へ滑らかに接する曲面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の排水量型船舶の船尾形状。
 前記凸部ラインの船体幅方向外側にあるフレームラインが、上に凸の曲率を有する曲面を部分的に形成する領域を前記凸部の近傍に備えていることを特徴とする請求項3に記載の排水量型船舶の船尾形状。
 前記凸部がフレームラインに形成されたフィレット部であり、該フィレット部は、フレームラインの曲率変化がフレームライン外側からの急激な増大とフレームライン内側への急激な減少との転換点となるフレームライン途中の最大曲率位置であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
 前記フィレット部から船体外部へ突出する突起部を備えていることを特徴とする請求項5に記載の排水量型船舶の船尾形状。
 前記凸部ラインが、船体後方へ徐々に船体中心線へ接近するように、あるいは、前記船体中心線と平行に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
 前記ドーム形状に船底突起物の取付位置前方で下降する部分を設けたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
 前記凸部ラインの直下に舵を設置したことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
 前記凸部ラインの直下に推進器を設置したことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
 船尾端にウエッジ部が設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
 
Description:
排水量型船舶の船尾形状

 本発明は、たとえばタンカー、コンテナ やフェリー等のように、フルード数(Fn)がラ ストハンプより小さい速度域で航走する排水 量型船舶の船尾形状に関する。

 従来、船体の一部が水中を航走する排水 型船舶においては、流れをプロペラ上方の 置に誘導するスタンタンネルフィンと呼ば るフィンをプロペラ前方の船体からプロペ 上方の船体に取り付けたものが知られてい 。このような排水量型船舶は、スタンタン ルフィンがプロペラに流入する流れを加速 均一化してプロペラキャビテーションの発 を抑制するので、船体振動の発生が抑制さ る。(たとえば、特許文献1参照)

 また、プロペラ上部の船尾船底を上方へ湾 させることにより、プロペラと船体との距 を保つようにした船尾形状が提案されてい 。この船尾形状によれば、プロペラ起振力 よる船尾振動を従来船尾形状船と同等に保 、プロペラ直径の増大による推進効率向上 可能になるとされる。(たとえば、特許文献 2参照)
 また、フルード数がラストハンプよりも大 い高速の速度域において、船体を喫水線よ 浮上させた状態で航走する滑走型高速艇に 用される船型として、チャイン船型と呼ば るものが知られている。このチャイン船型 、船底部がドーム状となっており、船底部 船側外板とが角度をもって接合されている (たとえば、特許文献3参照)

実公昭59-28960号公報(図5参照)

特許第2716658号公報(図1及び図2参照)

特開昭61-044090号公報

 ところで、近年の排水量型船舶においては 船舶の大型化や高速化が求められている。 のため、船体抵抗を減少させるとともに、 ロペラキャビテーションを抑制して、船体 動を減少させることが必要となる。
 しかし、上述したスタンタンネルフィンに 、流れを加速・整流することによる船体抵 低減の効果があるものの、船体から突出し フィンが抵抗発生源ともなる。このため、 体抵抗低減効果及び抵抗発生源というよう 相反する特性から、スタンタンネルフィン 体としては必ずしも抵抗低減とならない場 もある。このため、スタンタンネルフィン 採用する場合には、船体形状等の制約を受 ることとなる。
 さらに、スタンタンネルフィンは、形状を きくするほどプロペラ上方の流れを加速・ 一化する効果が増大する反面、フィンの抵 も増加して速力性能を大きく低下させるた 、実用上あまり大きなものを採用できない 問題を有している。

 本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも であり、その目的とするところは、フルー 数がラストハンプより小さい速度域で航走 る排水量型船舶を対象とし、船体抵抗の低 及びプロペラキャビテーションの抑制によ 、船体振動の低減が可能になる排水量型船 の船尾形状を提供することにある。
 なお、ラストハンプは、フルード数Fn(Fn=船 /(船長×重力加速度) 1/2  )が0.4~0.5の付近にある抵抗係数が最大になる である。

 本発明は、上記の課題を解決するため、下 の手段を採用した。
 本発明は、フルード数がラストハンプより さい速度域で航走する排水量型船舶の船尾 状であって、船尾の船体断面形状に設けた 部を結んでプロペラ前方の始点からプロペ 後方の終点まで船体前後方向に連続して形 される凸部ラインを備え、前記凸部ライン 船体幅方向内側にあるフレームラインを上 凸の曲率を有するドーム形状に形成し、前 ドーム形状を形成する船体長さを全長の10% 上またはプロペラ直径の1倍以上に設定する とともに、前記始点の船体幅方向位置をプロ ペラ半径位置よりも外側となるように設定し たことを特徴とするものである。

 このような排水量型船舶の船尾形状によれ 、船尾の船体断面形状に設けた凸部を結ん プロペラ前方の始点からプロペラ後方の終 まで船体前後方向に連続して形成される凸 ラインを備え、凸部ラインの船体幅方向内 にあるフレームラインを上に凸の曲率を有 るドーム形状に形成し、このドーム形状を 成する船体長さを全長の10%以上またはプロ ラ直径の1倍以上に設定するとともに、凸部 ライン始点の船体幅方向位置をプロペラ半径 位置よりも外側となるように設定したので、 凸部付近の流れを船体中心線方向へ誘導する とともに、凸部ラインより船体幅方向内側の 流れをプロペラ位置から上方の船尾部へ効率 よく引き込むことができる。
 また、凸部ラインの終点がプロペラ後方と ることによりプロペラ軸より上方の流れを 速して、プロペラ流場を改善することがで る。なお、プロペラ流場を改善するために 、凸部ラインの終点を少なくともプロペラ 置に設定する必要がある。

 上記の発明において、前記凸部ラインは 尾端まで続いていることが好ましく、これ より、船尾端の流れを加速して、船体抵抗 一層低減することができる。すなわち、凸 ラインの終点は、プロペラ位置より後方で 尾端に近いほど船体抵抗の減少が顕著とな 。

 上記の発明において、前記凸部ラインの船 幅方向外側にあるフレームラインは、下に の曲率を有するとともに船側外板へ滑らか 接する曲面に形成されていることが好まし 、これにより、航走時に船側部から船底部 流れ込む流れが当たって渦を発生する角部 なくすことができる。
 この場合、前記凸部ラインの船体幅方向外 にあるフレームラインは、上に凸の曲率を する曲面を部分的に形成する領域を前記凸 の近傍に備えていることが好ましく、これ より、凸部の形状がより角張ってシャープ 明確なものとなる。

 上記の発明において、前記凸部がフレーム インに形成されたフィレット部であり、該 ィレット部は、フレームラインの曲率変化 フレームライン外側からの急激な増大とフ ームライン内側への急激な減少との転換点 なるフレームライン途中の最大曲率位置で ることが好ましく、これにより、凸部の形 が容易になる。
 この場合、前記フィレット部から船体外部 突出する突起部を備えていることが好まし 、これにより、シャープな角形状を容易に 成することができる。

 上記の発明において、前記凸部ラインは 船体後方へ徐々に船体中心線(軸線)へ接近 るように、あるいは、前記船体中心線と平 に形成されていることが好ましく、これに り、凸部ラインと交差する流れを防止する とができる。

 上記の発明において、前記ドーム形状に 底突起物の取付位置前方で下降する部分を けることが好ましく、これにより、船底突 物に当たる流れを減速するとともに、船底 起物の船体からの露出を低減することがで る。

 上記の発明において、舵が設けられる場 、前記凸部ラインの直下に舵を設置するこ が好ましく、これにより、舵の船体からの 出を低減することができる。

 上記の発明において、推進器が設けられ 場合、前記凸部ラインの直下に前記推進器 設置することが好ましく、これにより、推 器の船体からの露出を低減することができ 。なお、この場合の推進器としては、アジ ススラスタやPOD等がある。

 上記の発明において、船尾端にウエッジ が設けられていると、ウエッジ部の抵抗低 効果は向上する。

 上述した本発明の排水量型船舶の船尾形状 よれば、プロペラ位置から船尾船底部へか ての流れを加速することで船体抵抗を低減 、さらに、プロペラに流入する流れを均一 することでプロペラキャビテーションを抑 して船体振動を低減することができる。
 また、船底突起物の前方で周辺のドーム形 より船体が下降する部分や凸部ラインの直 に舵や推進器等の船底突起物を設置すれば 船底突起物の船体からの露出量を低減する とができ、船底突起物による航走時の抵抗 加を低減することができる。
 また、上述した本発明の船尾形状は船尾船 部の流れを加速するので、船尾端にウエッ 形状を備えている場合には、その抵抗低減 果を増大させることができる。

本発明に係る第1の実施形態として、1 船を船尾側から見た排水量型船舶の船尾形 を示す断面図(図2のA-A断面、B-B断面及びC-C断 面)である。 本発明に係る排水量型船舶の船尾形状 して、1軸船の船尾側船底部分を示す側面図 である。 図1及び図2に示した排水量型船舶の船 形状を示す船尾船底部分の底面図である。 本発明に係る第1の実施形態を2軸船に 用した場合の船尾形状を示す図である。 図1に示した第1の実施形態について、 尾形状の第1変形例を示す図である。 本発明に係る第2の実施形態として排 量型船舶の船尾形状を示す図である。 図6Aの船尾形状について船体幅方向の 率変化を示す図である。 図6Aに示した第2の実施形態に係るフィ レット部の第1変形例を示す図である。 図6Aに示した第2の実施形態に係るフィ レット部の第2変形例を示す図である。 本発明に係る第3の実施形態として、排 水量型船舶の船尾形状を示す船尾船底部分の 底面図である。 本発明に係る第4の実施形態として、排 水量型船舶の船尾形状を示す図である。 図9の船尾形状に取り付けられた船底 起物を示す図で、舵を取り付けた状態が示 れている。 図9の船尾形状に取り付けられた船底 起物を示す図で、PODを取り付けた状態が示 れている。 本発明に係る第4の実施形態をスケグ 適用した例として船尾側船底部分を示す側 図である。 本発明に係る第5の実施形態を2舵船に 適用した場合について、排水量型船舶の船尾 形状(図12BのG-G断面)を示す図である。 図12Aの側面図である。 本発明に係る第5の実施形態を二つのP ODを備えた船舶に適用した場合について、排 量型船舶の船尾形状(図13BのH-H断面)を示す である。 図13Aの側面図である。 本発明に係る第5の実施形態を一対の ロペラ及び舵と二つのPODとを備えた船舶に 用した場合について、排水量型船舶の船尾 状を示す図である。 図14Aの側面図である。 本発明の第6の実施形態に係るウエッ 部を示す図で、船尾端近傍の船底面に設け 例が示されている。 本発明の第6の実施形態に係るウエッ 部を示す図で、船尾端の後部に張り出して けた例が示されている。 本発明の第6の実施形態に係るウエッ 部を示す図で、船尾端の船尾形状が示され いる。 本発明の第6の実施形態に係るウエッ 部を示す図で、船底形状の横断面図(図16Cの F-F断面図)が示されている。 本発明の第6の実施形態に係るウエッ 部を示す図で、図16A及び図16CのD-D断面及びE -E断面を示す断面図である。

符号の説明

  1  船体
  2  舵
  3  プロペラ
 11  船尾側船底
 12,12A~C  フレームライン
 12a  フレームライン(内側ドームライン)
 12b  フレームライン(外側ライン)
 12c  曲面部
 12d  下降部
 13  ナックル部(凸部)
 14,14″  ナックルライン(凸部ライン)
 20  フィレット部(凸部)
 21,22  突起部
 30  POD(推進器)
 40  スケグ
 50,60,70  ウエッジ部
  S  始点
  E  終点

 以下、本発明に係る排水量型船舶の船尾形 の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
 最初に、本発明に係る排水量型船舶の船尾 状について、第1の実施形態を図1から図3に づいて説明する。
 図2は、フルード数がラストハンプより小さ い速度域で航走する排水量型船舶の船尾形状 として、船尾側船底部分を示す側面図である 。排水量型船舶は、船体下部が部分的に水中 にあって浮力を受けるとともに、船体の一部 が水中を航走する船舶である。図示の排水量 型船舶は1軸船であり、船体1の船尾側船底11 は、船体中心線(軸線)CL上にプロペラ2及び舵 3がそれぞれ1つずつ設けられている。

 図1は、左右対称の船体1を船尾側から見て 船体中心線CLの左側半分のみを示す船尾形状 図であり、図2のA-A断面、B-B断面及びC-C断面 同一図面上に重ねて示されている。なお、 3は、船体1の船尾側船底11を示す底面図であ 。
 図示の船尾形状には、船尾の断面形状を形 するフレームライン12に凸部となるナック 点(角部)13が設けられている。そして、この ックル点13を結ぶことにより、船尾側船底11 の両側面には、プロペラ2の前方に位置する 点Sからプロペラ2の後方に位置する終点Eま 、船体前後方向に連続するナックルライン( 部ライン)14が形成されている。

 フレームライン12のうち、上述したナッ ルライン14の船体幅方向内側、すなわちナッ クルライン14より船体中心線CL側となる部分 フレームライン(以下、「内側ドームライン とも呼ぶ)12aは、図1に示すように、上に凸 曲率を有するドーム形状を形成している。 方、ナックルライン14の船体幅方向外側とな るフレームライン(以下、「外側ライン」と 呼ぶ)12bは、下側に凸の曲率を有して船側部 連結されている。このため、フレームライ 12は、ナックルライン14を境にして、下側に 凸の曲率を有する外側ライン12bが上に凸の曲 率を有する内側ドームライン12aに変化するこ とで、ナックルライン14より内側に上に凸と る曲面のドーム形状を形成している。換言 れば、フレームライン12は、船側部から船 1の外向きに凸の曲面を形成している外側ラ ン12bが、ナックルライン14を境にして、船 1の内向きに凸の曲面を形成する内側ドーム イン12aに変化する。

 上述したドーム形状を形成する船体長さLd( 3参照)は、船体1の全長Lを基準にして10%以上 (Ld≧0.1L)となるように、あるいは、プロペラ2 の直径Dを基準として1倍以上(Ld≧D)となるよ に設定されている。すなわち、ドーム形状 、なるべく船体1の前方から開始されるとと に、プロペラ2の位置より後方まで続くよう に形成されることが好ましい。
 この場合の船体長さLdは、船体1の平面視に いて、船体中心線CL上でドーム形状が形成 れている船体長さ方向の範囲である。換言 れば、この場合の船体長さLdは、船体1の平 視において、船体中心線CLに沿って測定され るナックルライン14の始点Sから終点Eまでの さである。なお、より好ましい船体長さLdは 、船体1の全長Lを基準にして20%以上(Ld≧0.2L) あるが、船体1の最大横断面位置が船体長さL dの上限を規定する際の前方位置となる。

 また、ナックルライン14の始点Sは、船体1の 幅方向においてプロペラ2の半径位置より外 に設定されている。すなわち、船体中心線CL から始点Sまでの船体幅方向距離Wdは、プロペ ラ2の半径(D/2)より大きな値(Wd>D/2)となるよ に設定されている。
 ここで、上述したナックル点13は、船尾側 底11となる板材をプレス成形したり、あるい は板材の接合等により形成される凸部であり 、後述する流れの誘導作用を増すためには、 可能な限りシャープな(角張った)エッジ形状 することが好ましい。しかし、実際の製造 び成形加工においては、加工方法や板厚等 諸条件に応じてナックル点13の先端がR形状 溶接線となることもある。このため、本発 では、先端形状にR形状や溶接線が残ったナ ックル点13も包含するものとする。

 以下、上述した排水量型船舶の船尾形状に いて、その作用効果を説明する。
 上述したように、ナックルライン14を形成 て内側のフレームライン12aをドーム形状と た船尾形状によれば、航走時における水流 、図3に矢印Fで示すように、ナックル点13付 の流れが船体中心線CLの方向へ誘導される このため、左右一対のナックルライン14より 内側の流れは、プロペラ2の位置から上方の 尾部へ効率よく引き込まれる。このとき、 ックルライン14の始点S側を幅広とし、さら 、始点Sをなるべく船体1の前方に配置するこ とにより、流れの誘導及び引き込みを効果的 に行うことができる。
 なお、図中に示す矢印F″は、ナックルライ ン14がない場合の水流を示しており、船体中 線CLと略平行な流れとなっている。

 このようにして、ナックルライン14より内 の流れがプロペラ2の位置より上方の船尾部 効率よく引き込まれると、プロペラ2の位置 から上方の船尾部では流れが加速されるので 、船体抵抗を減少させることができる。また 、プロペラ2に流入する流れが均一化される め、プロペラキャビテーションを抑制して 体振動を低減することができる。なお、プ ペラキャビテーションを防止するためには 終点Eの位置について、少なくともプロペラ2 の位置より船尾側とする必要がある。
 さらに、上述した船尾形状は、従来技術で 明したスタンタンネルフィンのように船体1 から突出する大きな突起物がないため、突起 物により抵抗が発生することはない。このた め、船体抵抗や船体振動を低減する効果を増 す場合には、ナックルライン14の幅を増すこ で対応できるので、スタンタンネルフィン ように船体抵抗低減効果とともに抵抗も増 するようなことはない。

 すなわち、本発明の船尾形状によれば、 ックル点13を形成する位置を船体1の幅方向 調整することで、ドーム形状となる部分の を変化させて流場の改善効果を調整できる で、突起物による抵抗の発生及び変動を伴 ことなく、スタンタンネルフィンの大きさ 変化させることと同様の流場改善効果が得 れる。

 ところで、上述した実施形態では、ナック ライン14の終点Eがプロペラ2の後方に位置す るものとしたが、船体抵抗を一層低減するた めには、ナックルライン14を船尾側船底11で も後端となる船尾端まで連続して延長する とが好ましい。すなわち、ナックルライン14 の終点Eは、船尾端に位置することが好まし 。
 また、上述した実施形態においては、排水 型船舶の1軸船に適用した例を示して説明し たが、本発明はこれに限定されることはなく 、たとえば図4に示すように、プロペラ2が左 一対設けられる2軸船への適用も可能である 。

 また、上述した実施形態においては、ナ クルライン14の船体幅方向外側にある外側 イン12bが、船側部から下側に凸の曲率を有 るものとしたが、この外側ライン12bは、図1 示すように、下に凸の曲率を有するととも 略垂直な船側外板へ滑らかに接する曲面に 成されていることが好ましい。このように 外側ライン12bの船体幅方向外側が船側外板 滑らかに接する曲面になれば、航走時に船 部から船底部に流れ込む流れ(図1に示す矢 Fs参照)が当たって渦を発生する角部をなく ことができるので、航走時の抵抗低減に有 である。

 また、図5に示した第1変形例のフレーム イン12Aでは、ナックルライン14の船体幅方向 外側にあるフレームライン12bが、上に凸の曲 率を有する曲面を部分的に形成する領域とし て、ナックル点13の近傍に曲面部12cを備えて る。このような曲面部12cを備えたフレーム イン12Aを採用すると、より角張って明確な 状のナックル点13を容易に形成することが きる。すなわち、ナックル点13の両側を上に 凸の曲面とすることで、流れの誘導作用向上 に有効であるシャープな鋭角形状のナックル 点13を容易に形成することができる。

<第2の実施形態>
 続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾 状について、第2の実施形態を図6A、図6B、 7A及び図7Bに基づいて説明する。なお、上述 た実施形態と同様の部分には同じ符号を付 、その詳細な説明は省略する。
 この実施形態において、船尾の断面形状に けた凸部は、たとえば図6Aに示すように、 レームライン12Bの途中に形成されたフィレ ト部20である。従って、本実施形態における 凸部ラインは、フィレット部20を結んで船体 後方向に連続して形成されたフィレットラ ンとなる。

 上述したフィレット部20の先端は円弧形 とされ、製造要件から定められる最小の角 R形状である。このフィレット部20を具体的 説明すると、たとえば図6Bに示すように、フ レームライン12Bの曲率変化が、船体幅方向の 船側部側となるフレームライン外側からの急 激な増大と、船体幅方向の船体中心側となる フレームライン内側への急激な減少との転換 点となる位置である。すなわち、フィレット 部20は、フレームライン12Bの途中において、 側に凸の曲率を有する外側ライン12bと上に の曲率を有する内側ドームライン12aとの連 点であり、曲率が最大となる最大曲率位置 なる。なお、フィレット部20は、船体1に後 けされる別部品としてもよい。

 この場合、フィレットラインを形成するフ レット部20は、設計(CAD)上の形状定義が容易 になるため、曲率が一定の円弧とすることが 望ましい。さらに、フィレット部20の円弧半 をフィレットラインの全長にわたって一定 すれば、設計上の形状定義がより一層容易 なる。
 なお、ここでの曲率の正負(大小)は、船体1 外側への凸面を正(大)とし、凹面を負(小)と している。

 このようなフィレット部20の採用により、 作や建造上の都合により船体形状にナック 点13による凸部の形成が困難な場合であって も、上述した第1の実施形態と同様の作用効 を得ることができる。換言すれば、船体1の 尾側船底11に対し、曲率半径の小さいフィ ット部20を形成して凸部を設けることが容易 になる。
 また、円弧形状のフィレット部20は、流れ 誘導作用を増すためにはフレームライン12B 曲率を大きく(曲率半径を小さく)し、鋭角の シャープな角形状に近づけることが好ましい 。このため、フィレット部20の曲率半径は、5 00mm以下のできるだけ小さな値に設定するこ が望ましい。

 ところで、上述したフィレット部20は円弧 としたが、たとえば図7A、図7Bに示す変形例 採用することも可能である。
 図7Aに示す第1変形例では、円弧状としたフ レット部20から船体外側へ突出する三角形 面形状の突起部21が設けられている。また、 図7Bに示す第2変形例では、円弧状としたフィ レット部20から船体外側へ突出する平板状の 起部22が設けられている。
 このような突起部21,22は、船体1の船尾側船 11に取り付けた別部品であり、上述したナ クル点13に近いシャープな形状の凸部を容易 に形成して、流れの誘導作用を向上させるこ とができる。

<第3の実施形態>
 続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾 状について、第3の実施形態を図3及び図8に づいて説明する。なお、上述した実施形態 同様の部分には同じ符号を付し、その詳細 説明は省略する。
 この実施形態においては、たとえば図3に示 すように、ナックルライン(凸部ライン)14が 船体1の後方へ向けて徐々に船体中心線CL側 接近して船体後方(船尾側)が狭まるように、 あるいは、船体中心線CLと平行となるように 成されている。

 ナックルライン14は、流れを効果的にコン ロールする誘導作用の観点と、船体抵抗低 の観点とから、船体近傍の流れと大きく交 しないことが望ましい。船体後半部の流れ 、船体中心線CLに平行から、後方へ行くにつ れて幅方向へ狭まる方向の角度を有している ので、ナックルライン14にも同様の傾斜を設 てある。
 しかし、たとえば図8に示すナックルライン 14″のように、水流F″との傾斜角θが急すぎ 大きい場合には、ナックル点13の流れはナ クルライン14″と交差して流れる。このため 、船体中央部に流れを導く誘導作用が十分に 発揮されないばかりか、ナックル点13で渦が 生して船体抵抗を増加させることとなる。

 従って、CFD計算や模型試験等により、船体 傍の流線を知ることができれば、この流線 あわせてナックルライン14の形状を決定す ばよい。この場合、良好な誘導作用を得る めには、流線との角度が5度以上とならない うに、ナックルライン14の形状を決定する とが好ましい。
 この結果、ナックルライン14は、プロペラ2 付近に流れを効率よく誘導するとともに、 ックルライン14から発生する渦に起因する 抗も低減することができる。

<第4の実施形態>
 続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾 状について、第4の実施形態を図9から図11に 基づいて説明する。なお、上述した実施形態 と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細 な説明は省略する。
 この実施形態においては、上述したドーム 状に対し、船底突起物の取付位置前方で下 する部分(以下、「下降部」と呼ぶ)が設け れている。この下降部12dは、船底突起物に たる流れを減速するとともに、船底突起物 船体からの露出を低減するものである。こ 場合の船底突起物には、舵3の他にも、POD30 スケグ40等がある。

 図9に示す下降部12dは、船底突起物が船体中 央部に設置されている場合に適用されるもの であり、船底突起物の前方から船底突起物の 位置にかけての船底形状が、ナックル点13よ 内側でいったん上方へ上昇してドーム形状 なし、さらに、最上点から船体中心線CLに かって下降している船尾形状である。
 このような船尾形状では、プロペラ2の付近 から後方の船尾船底部において流れが加速さ れるので、舵3等の船底突起物に当たる流れ 加速されている。従って、舵3等の船底突起 には通常よりも速い流れが当たり、船底突 物の抵抗を増加することになる。

 そこで、たとえば図10Aに示す通常の1軸1舵 のように、船体中央に舵3が設置されている 合には、舵3の前方から舵位置にかけて、図 9のように船体中心線CLで下に下がる下降部12d を備えた船体形状を採用する。この結果、下 降部12dの存在により舵3に当たる流れを減速 ることができ、さらに、舵3の船体1からの露 出部分を減らすこともできるので、航走時に おける舵3の抵抗を減少させることができる
 また、上述した下降部12dは、たとえば図10B 示すPOD30等のように、船体1から吊り下げら て支持されている形式の推進器が船体中央 に設置されている場合についても同様の作 効果が得られる。
 さらに、上述した下降部12dは、たとえば図1 1に示すスケグ40を備えている場合についても 同様の作用効果が得られる。

<第5の実施形態>
 続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾 状について、第5の実施形態を図12Aから図14B に基づいて説明する。なお、上述した実施形 態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳 細な説明は省略する。
 図12A、図12Bに示す実施形態には、ナックル イン14の直下に舵3を1つずつ2枚設置した構 例が示されている。すなわち、二つの舵3が けられる船舶では、2本のナックルライン14 形成し、各ナックルライン14の直下に舵3を1 つずつ設置する構成が好ましい。また、舵3 2以上の複数設けられている船舶では、舵3と 同数のナックルライン14を形成し、各ナック ライン14の直下に舵3を1つずつ設置する構成 が好ましい。
 このような構成とすれば、上述した第4の実 施形態と同様に、舵3が船体1から露出する部 の割合を減らすことができるので、航走時 発生する舵3の抵抗を減少させることができ る。

 図13A、図13Bに示す実施形態では、POD30やア マススラスタのような推進器とナックルラ ン14とが設けられている場合、ナックルライ ン14の直下に推進器を1つずつ設置した構成例 が示されている。すなわち、POD30とナックル イン14とが設けられる船舶では、ナックル イン14の直下にPOD30を設置する構成が好まし 。また、POD30等の推進器が2以上の複数設け れている船舶では、推進器と同数のナック ライン14を形成し、各ナックルライン14の直 下にPOD30を1つずつ設置する構成が好ましい。
 このような構成とすれば、上述した第4の実 施形態と同様に、POD30等の推進器が船体1から 露出する部分の割合を減らすことができるの で、航走時に発生する推進器の抵抗を減少さ せることができる。

 図14A、図14Bに示す実施形態は、上述した図1 0Aの構成及び図13A、図13Bの構成を組み合わせ ものである。すなわち、船体中央に設置さ た舵3の前方から舵位置にかけて下降部12dを 備えた船体形状を採用するとともに、ナック ルライン14の直下にPOD30を1つずつ設置する構 とを組み合わせている。
 このような構成とすれば、下降部12dの存在 より舵3に当たる流れを減速することができ 、さらに、舵3やPOD30が船体1からの露出する 分の割合を減らすこともできる。従って、 走時に発生する舵や推進器の抵抗を減少さ ることができる。

<第6の実施形態>
 続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾 状について、第6の実施形態を図15Aから図16C に基づいて説明する。なお、上述した実施形 態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳 細な説明は省略する。
 この実施形態では、上述した実施形態の船 形状に加えて、船体の船尾端にウエッジ部 設けられている。このウエッジ部は、たと ば図15A、図15Bに示すように、船尾端近傍の 底面または船尾端後部に対して、局部的な 方下がりの傾斜面を設けたものである。こ うち、図15Aに示すウエッジ部50は、船尾端 傍の船底面を局部的に後方下がりの傾斜面 したものであり、図15Bに示すウエッジ部60は 、船尾端の後部に張り出して底面が後方下が りの傾斜面を有する付加物(別部品)を取り付 たものである。

 上述したウエッジ部50,60は、船体抵抗を 減する技術として知られている。そこで、 述した各実施形態の船尾形状にウエッジ部50 ,60を組み合わせると、ドーム形状を有する船 尾形状ではプロペラ2から後方の船尾端部の れを加速する効果が得られるため、このよ な流速増大により船尾端に設けたウエッジ 50,60の抵抗低減効果はより一層顕著になる。

 また、図16Cに示すウエッジ部70は、ナック ライン14が船尾端まで続いており、ドーム状 の凹曲面をなす船体断面形状が船尾端まで続 いている船体1において、船尾端付近にある ックル点13,13間の船底面に後方下がりの傾斜 を設けてウエッジ形状としたものである。こ の場合のウエッジ部70は、後方下がりの量を 方向に調整することにより、図16Aに示すよ に、船尾端ではナックル点13,13間の船底面 さが等しい水平な直線としている。
 このような構成を採用しても、ウエッジ部7 0の抵抗低減効果はより一層顕著になる。さ に、船尾端においてウエッジ部70とその外側 との不連続が解消されているので、ウエッジ 部70と船体1との不連続部から発生する造波及 び波崩れによる抵抗増加も防止できるので、 これによってもウエッジ部70による抵抗低減 果をより一層増大させることができる。

 上述したように、本発明の排水量型船舶の 尾形状によれば、プロペラ2の位置から船尾 船底部へかけての流れを加速することで船体 抵抗を低減し、さらに、プロペラ2に流入す 流れを均一化することでプロペラキャビテ ションを抑制して船体振動を低減すること できる。
 また、船底突起物の前方で周辺のドーム形 より船体1が下降する部分やナックルライン 13の直下に舵3やPOD30等の船底突起物を設置す ば、船底突起物の船体からの露出量を低減 ることができるので、船底突起物による航 時の抵抗増加を低減することができる。

 また、本発明の船尾形状は、船尾船底部の れを加速して船底抵抗を低減するので、船 端に設けたウエッジ部50等においては、そ 抵抗低減効果が増大する。
 なお、本発明は上述した実施形態に限定さ るものではなく、本発明の要旨を逸脱しな 範囲内において適宜変更することができる