Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
THREAD MILLING CUTTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057192
Kind Code:
A1
Abstract:
Since as illustrated in a developed view of FIG.2, helical flutes (16a, 16c) is differentiated from the lead angle β of adjoining helical flutes (16b, 16d) around the axis center, the lead angle α of cutting edges (20a, 20c) provided along the helical flutes (16a, 16c) is differentiated from the lead angle β of adjoining cutting edges (20b, 20d) around the axis center, and the interval of the cutting edges (20a-20d) around the axis center S becomes unequal because the interval of the cutting edges (20a-20d) is varied continuously in the axial direction. Since an increase/decrease in cutting resistance becomes irregular when a screw is cut, the occurrence of chatter due to resonance is suppressed and a screw can be cut with excellent machining precision under various machining conditions.

Inventors:
OSAWA JIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/071037
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
October 29, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
OSG CORP (JP)
OSAWA JIRO (JP)
International Classes:
B23G5/18; B23C3/00; B23C5/10
Foreign References:
JPS4022398Y1
JPH0270928U1990-05-30
Attorney, Agent or Firm:
IKEDA, Haruyuki (Nagoya-Dia. Bldg. No.215-1, Meieki 3-chome,Nakamura-ku, Nagoya-shi, Aichi 02, JP)
Download PDF:
Claims:
 外周部にリードの無い凸条が軸方向に一定のピッチで多数設けられるとともに、該凸条と交差するように複数の溝が設けられることにより複数のランドに分断され、該ランドの周方向の一端にそれぞれ該溝に沿って切れ刃が形成されているねじ切りフライスにおいて、
 前記複数の切れ刃は、それぞれ一定のリードで設けられているとともに、少なくとも一つの切れ刃のリードが軸心まわりに隣接する切れ刃のリードと相違させられ、それ等の切れ刃の間隔が軸方向において連続的に変化させられている
 ことを特徴とするねじ切りフライス。
 外周部にリードの無い凸条が軸方向に一定のピッチで多数設けられるとともに、該凸条と交差するように複数の溝が設けられることにより複数のランドに分断され、該ランドの周方向の一端にそれぞれ該溝に沿って切れ刃が形成されているねじ切りフライスにおいて、
 前記複数の切れ刃は、前記多数の凸条が設けられた刃部の軸方向の所定の中間位置では軸心まわりにおいて等間隔であるが、該中間位置から先端側および後端側へずれるとそれぞれ不等間隔になる
 ことを特徴とするねじ切りフライス。
 前記複数の切れ刃は、それぞれ一定のリードで設けられているとともに、少なくとも一つの切れ刃のリードが軸心まわりに隣接する切れ刃のリードと相違させられることにより、それ等の切れ刃の間隔が前記中間位置から先端側および後端側へ向かうに従って対称的に滑らかに増減させられている
 ことを特徴とする請求項2に記載のねじ切りフライス。
 前記複数の溝はそれぞれ一定の幅寸法および一定のリードで設けられているとともに、少なくとも一つの溝のリードが軸心まわりに隣接する溝のリードと相違させられることにより、該一つの溝に沿って設けられた切れ刃のリードが軸心まわりに隣接する切れ刃のリードと相違させられている
 ことを特徴とする請求項3に記載のねじ切りフライス。
 前記複数の溝は互いに等しい一定のリードで設けられているとともに、少なくとも一つの溝の幅寸法がリニアに増加または減少させられることにより、該溝に沿って設けられた切れ刃のリードが軸心まわりに隣接する切れ刃のリードと相違させられている
 ことを特徴とする請求項3に記載のねじ切りフライス。
 前記複数の切れ刃は2種類の異なるリードで交互に偶数設けられている
 ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のねじ切りフライス。
 前記複数の切れ刃は、L1およびL2の2種類のリードで設けられているとともに、小さい方のリードL2は0.7×L1~0.95×L1の範囲内で設定されている
 ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載のねじ切りフライス。
 前記複数の切れ刃は、前記刃部の軸方向の中央部において等間隔とされている
 ことを特徴とする請求項2~7の何れか1項に記載のねじ切りフライス。
Description:
ねじ切りフライス

 本発明はねじ切りフライスに係り、特に 工具のビビリ振動が抑制されて優れた加工 度が得られるねじ切りフライスに関するも である。

 外周部にリードの無い凸条が軸方向に一定 ピッチで多数設けられるとともに、その凸 と交差するように複数の溝が設けられるこ により複数のランドに分断され、そのラン の周方向の一端にそれぞれその溝に沿って れ刃が形成されているねじ切りフライスが られている(特許文献1参照)。そして、この うなねじ切りフライスによれば、NCマシニ グセンタなどにより、軸心まわりに回転駆 するとともにねじ素材に対して相対的に公 させつつ軸方向へリード送りすることによ 、単一の工具を用いて上記凸条に対応する 断面を有する種々の径寸法のおねじやめね を切削加工することができる。

特開平9-192930号公報

 しかしながら、このような従来のねじ切 フライスは、複数の切れ刃が互いに等しい 定のリードで、且つ工具の軸心まわりにお て等間隔で設けられているため、ねじを切 加工する際に一定の周期で切削抵抗が増減 ることにより振動が発生し、且つ共振によ 増幅されることによりビビリ振動が生じて ねじのフランク等に波形状の凹凸が生じる どして加工精度が低下したり異音が発生し りすることがあり、このようなビビリ振動 防止するために切削条件を下げることを余 なくされていた。

 本発明は以上の事情を背景として為され もので、その目的とするところは、種々の 削条件下で工具のビビリ振動が抑制され、 れた加工精度でねじを切削加工できるよう することにある。

 かかる目的を達成するために、第1発明は 、外周部にリードの無い凸条が軸方向に一定 のピッチで多数設けられるとともに、その凸 条と交差するように複数の溝が設けられるこ とにより複数のランドに分断され、そのラン ドの周方向の一端にそれぞれその溝に沿って 切れ刃が形成されているねじ切りフライスに おいて、前記複数の切れ刃は、それぞれ一定 のリードで設けられているとともに、少なく とも一つの切れ刃のリードが軸心まわりに隣 接する切れ刃のリードと相違させられ、それ 等の切れ刃の間隔が軸方向において連続的に 変化させられていることを特徴とする。

 第2発明は、外周部にリードの無い凸条が 軸方向に一定のピッチで多数設けられるとと もに、その凸条と交差するように複数の溝が 設けられることにより複数のランドに分断さ れ、そのランドの周方向の一端にそれぞれそ の溝に沿って切れ刃が形成されているねじ切 りフライスにおいて、前記複数の切れ刃は、 前記多数の凸条が設けられた刃部の軸方向の 所定の中間位置では軸心まわりにおいて等間 隔であるが、その中間位置から先端側および 後端側へずれるとそれぞれ不等間隔になるこ とを特徴とする。

 第3発明は、第2発明のねじ切りフライス おいて、前記複数の切れ刃は、それぞれ一 のリードで設けられているとともに、少な とも一つの切れ刃のリードが軸心まわりに 接する切れ刃のリードと相違させられるこ により、それ等の切れ刃の間隔が前記中間 置から先端側および後端側へ向かうに従っ 対称的に滑らかに増減させられていること 特徴とする。

 第4発明は、第3発明のねじ切りフライス おいて、前記複数の溝はそれぞれ一定の幅 法および一定のリードで設けられていると もに、少なくとも一つの溝のリードが軸心 わりに隣接する溝のリードと相違させられ ことにより、その一つの溝に沿って設けら た切れ刃のリードが軸心まわりに隣接する れ刃のリードと相違させられていることを 徴とする。

 第5発明は、第3発明のねじ切りフライス おいて、前記複数の溝は互いに等しい一定 リードで設けられているとともに、少なく も一つの溝の幅寸法がリニアに増加または 少させられることにより、その溝に沿って けられた切れ刃のリードが軸心まわりに隣 する切れ刃のリードと相違させられている とを特徴とする。

 第6発明は、第1発明~第5発明の何れかのね じ切りフライスにおいて、前記複数の切れ刃 は2種類の異なるリードで交互に偶数設けら ていることを特徴とする。

 第7発明は、第1発明~第6発明の何れかのね じ切りフライスにおいて、前記複数の切れ刃 は、L1およびL2の2種類のリードで設けられて るとともに、小さい方のリードL2は0.7×L1~0.9 5×L1の範囲内で設定されていることを特徴と る。

 第8発明は、第2発明~第7発明の何れかのね じ切りフライスにおいて、前記複数の切れ刃 は、前記刃部の軸方向の中央部において等間 隔とされていることを特徴とする。

 第1発明のねじ切りフライスにおいては、 複数の切れ刃がそれぞれ一定のリードで設け られているとともに、少なくとも一つの切れ 刃のリードが軸心まわりに隣接する切れ刃の リードと相違させられ、それ等の切れ刃の間 隔が軸方向において連続的に変化させられて いるため、軸心まわりにおける切れ刃の間隔 が不等になる。これにより、ねじを切削加工 する際の切削抵抗の増減が不規則になり、共 振によりビビリ振動が発生することが抑制さ れ、種々の加工条件下で優れた加工精度でね じを切削加工できるようになる。また、複数 の切れ刃のリードが何れも一定であることか ら、そのような切れ刃を容易に高い精度で形 成することができる。

 第2発明のねじ切りフライスにおいては、 刃部の軸方向の所定の中間位置では複数の切 れ刃が等間隔に位置しているが、その中間位 置から先端側および後端側へずれるとそれぞ れ不等間隔になるため、その中間位置の近傍 を含んでねじの切削加工が行われることによ り、刃部の軸方向において中間位置の前後に おける偏荷重が緩和され、その中間位置を中 心としてねじの切削加工が安定して行われる ようになる。これにより、その中間位置の両 側における切れ刃の不等間隔と相まってビビ リ振動が一層効果的に抑制され、種々の加工 条件下で優れた加工精度でねじを切削加工で きるようになる。

 第3発明では、複数の切れ刃がそれぞれ一 定のリードで設けられているとともに、少な くとも一つの切れ刃のリードが軸心まわりに 隣接する切れ刃のリードと相違させられるこ とにより、それ等の切れ刃の間隔が前記中間 位置から先端側および後端側へ向かうに従っ て対称的に増減させられているため、その中 間位置を中心としてねじの切削加工が一層安 定して行われるようになるとともに、切れ刃 のリードが何れも一定であることから、その ような切れ刃を容易に高い精度で形成するこ とができる。

 第4発明では、複数の溝が何れも一定の幅 寸法および一定のリードで設けられていると ともに、少なくとも一つの溝のリードが軸心 まわりに隣接する溝のリードと相違させられ ることにより、その一つの溝に沿って設けら れた切れ刃のリードが軸心まわりに隣接する 切れ刃のリードと相違させられているため、 例えば溝を研削加工するために工具素材をリ ード送りする際の回転速度または送り速度を 変化させて溝のリードを変化させるだけで、 所定のリードの切れ刃を簡単且つ安価に高い 精度で形成することができる。

 第5発明では、複数の溝が互いに等しい一 定のリードで設けられているとともに、少な くとも一つの溝の幅寸法がリニアに増加また は減少させられることにより、その溝に沿っ て設けられた切れ刃のリードが軸心まわりに 隣接する切れ刃のリードと相違させられてい るため、例えば溝を研削加工する研削砥石の 姿勢を変化させて溝の幅寸法を連続的に変化 させるだけで、所定のリードの切れ刃を簡単 且つ安価に高い精度で形成することができる 。

 第6発明では、複数の切れ刃が2種類の異 るリードで交互に偶数設けられているため 4枚刃以上の多数刃のねじ切りフライスにお ても、一つの切れ刃のリードを変化させる けの場合に比較して、切削抵抗の周期変化 起因するビビリ振動が効果的に抑制される

 第7発明では、複数の切れ刃がL1およびL2 2種類のリードで設けられているとともに、 さい方のリードL2は0.7×L1~0.95×L1の範囲内で 定されており、リードL1の95%以下であるた 、リードの相違に伴う切れ刃の不等間隔に るビビリ振動の抑制効果が安定して得られ 。また、リードL2はリードL1の70%以上である め、例えば4枚刃のねじ切りフライスにおい ても隣接する切れ刃が交差しない範囲で、ね じを切削加工できる刃部として所定の軸方向 長さを確保することができる。

 第8発明では、複数の切れ刃が刃部の軸方 向の中央部において等間隔とされているが、 一般に刃部の中央部を含んでねじの切削加工 が行われるため、特に刃部のうち加工に関与 する部位を意識的に設定することなく、偏荷 重やビビリ振動を抑制して加工精度を向上さ せる効果が安定して得られる。

本発明の一実施例であるねじ切りフラ スを示す図で、(a) は正面図、(b) は拡大底 面図、(c) は(a) におけるIC-IC拡大断面図、(d)  は(a) におけるID-ID拡大断面図である。 図1のねじ切りフライスの刃部の外周部 に設けられたねじれ溝、ランド、および切れ 刃を軸心Sまわりに展開して示す図である。 図1のねじ切りフライスを用いてめねじ を切削加工する際の手順の一例を説明する図 である。 本発明品(不等リード)および比較品(等 ード)を用いてめねじを切削加工した場合に 、xyz方向の切削抵抗を測定して、その合力の 変動を比較して示す図である。 図4と同じねじ加工時のxy方向の切削抵 の合力の変動を比較して示す図である。 図4と同じねじ加工時のz方向の切削抵 の変動を比較して示す図である。 図4~図6の切削抵抗の変動を分析した結 を説明する図である。 本発明の他の実施例を説明する図で、 じれ溝の幅寸法を連続的にリニアに変化さ て複数の切れ刃を不等リードとした場合の 2に対応する展開図である。

符号の説明

 10:ねじ切りフライス  14:刃部  16a~16d、4 0a~40d:ねじれ溝(溝)  18a~18d、42a~42d:ランド  2 0a~20d、44a~44d:切れ刃  S:軸心  α、β:リード

 本発明のねじ切りフライスは、NCマシニ グセンタなどにより、軸心まわりに回転駆 されるとともにねじ素材(被加工物)に対して 相対的に公転しつつ軸方向へリード送りされ ることにより、単一の工具を用いて径寸法が 異なる種々のおねじやめねじを切削加工する ことができる。めねじの切削加工は、有底の 止り穴であっても貫通した通り穴であっても 良い。

 また、ねじ切りフライスは、凸条によっ ねじ溝のみを切削加工し、下穴の内周面が のままめねじのねじ山の山頂を構成したり 円柱素材の外周面がそのままおねじのねじ の山頂を構成したりする場合でも良いが、 条の間の底部も切削加工に寄与し、ねじ山 山頂を含めて切削加工を行う総形切れ刃を するものでも良い。

 複数の溝は、シャンク側から見た切削回 方向と同じ方向にねじれているねじれ溝が 適に採用されるが、逆方向にねじれている じれ溝を設けることもできるし、軸心と平 な直溝を採用することもできる。直溝は、 ードが無限大の溝に相当する。

 第1発明は、少なくとも切れ刃が不等リー ドであれば良く、軸心まわりにおいて切れ刃 が等間隔に位置する部位(第2発明の中間位置) を備えている必要はなく、刃部の全長に亘っ て切れ刃が不等間隔であっても差し支えない 。なお、リードはねじれ角やリード角に対応 するため、リードの代わりにねじれ角やリー ド角で規定することもできる。他の発明につ いても同様である。

 第2発明において複数の切れ刃の間隔は、 所定の中間位置を挟んで刃部の軸方向におい て対称的に滑らかに増減すること、すなわち 不等間隔の不等割合が滑らかに拡大すること が望ましいが、非対称に増減する場合でも良 い。すなわち、第3発明では複数の切れ刃が れも一定のリードで形成されているため、 等割合が中間位置を挟んで対称的にリニア 拡大するが、第2発明の実施に際しては、切 刃のリードが途中で変化したり連続的に変 したりしていても良く、必ずしも不等割合 対称的に拡大する必要はない。

 また、複数の切れ刃の間隔が刃部の全域 おいて変化していても良いが、例えば刃部 後端部近傍或いは先端部近傍等の一部で、 れ刃の不等割合が一定すなわち切れ刃のリ ドが等しくされても良い。第1発明や第3発 においても、必ずしも刃部の全域で切れ刃 一定のリードである必要はなく、例えば刃 の90%以上の範囲でリードが一定であれば良 、刃部の後端部近傍や先端部近傍でリード 多少変化していても良い。第4発明および第5 発明の溝のリードについても同様である。

 切れ刃が等間隔となる所定の中間位置は 第8発明のように刃部の軸方向の中央部が望 ましいが、先端側或いは後端側へ偏った位置 であっても良い。第8発明の「中央部」は、 何学的に軸方向の中央のみを意味するもの はなく、刃部の軸方向寸法の5%以下の範囲で 中央から先端側または後端側へずれていても 中央部と見做すことができる。

 第5発明では、溝の幅寸法がリニアに増加 または減少させられており、例えば溝を研削 加工する研削砥石の姿勢を連続的に変化させ ることによって幅寸法を変化させることがで きるが、リードが異なる複数の溝を部分的に 重複させて形成することにより、全体として 幅寸法がリニアに変化している溝を形成する こともできるなど、種々の態様が可能である 。

 第6発明は偶数刃のねじ切りフライスに関 するもので、リードが交互に相違させられて いるが、他の発明の実施に際しては、3枚刃 の奇数刃のねじ切りフライスを採用するこ もできるし、複数の切れ刃の1つのリードを りの切れ刃のリードと相違させるだけでも い。

 第7発明では、小さい方のリードL2が大き 方のリードL1の70%~95%の範囲内で設定されて るが、刃部の軸方向寸法が短い場合や刃数 少ない場合にはリードL2を70%より小さくし も差し支えないなど、他の発明の実施に際 ては、この範囲を超えてリードL2を設定する ことも可能である。

 ねじ切りフライスの材質としては、高速 工具鋼や超硬合金等の硬質工具材料が好適 用いられるとともに、切れ刃が設けられる 部には、必要に応じてTiAlN等の硬質被膜を ーティングすることが望ましい。

 以下、本発明の実施例を、図面を参照しつ 詳細に説明する。
 図1は、本発明の一実施例であるねじ切りフ ライス10を示す図で、(a) は軸心Sと直角方向 ら見た正面図、(b) は(a) の下方である先端 側から見た拡大底面図、(c) は(a) におけるIC -IC断面の拡大図、(d) は(a) におけるID-ID断面 の拡大図であり、マシニングセンタ等の主軸 に把持されるシャンク12と刃部14とを軸方向 一体に備えている。刃部14の外周部には、形 成すべきめねじ30(図3参照)等のねじ溝に対応 る断面形状のリードの無い凸条が軸方向に ねじ30と同じピッチPで多数設けられており その凸条を分断するように4本のねじれ溝16a ~16dが設けられることにより4つのランド18a~18d に分断され、それ等のランド18a~18dの周方向 一端にそれぞれねじれ溝16a~16dに沿って切れ 20a~20dが設けられている。本実施例のねじ切 りフライス10は、刃部14の軸方向長さが約26mm 、直径は約9.5mm、上記凸条のピッチPは1.75mm あり、超硬合金にて一体に構成されている ともに、刃部14の表面にはTiAlNの硬質被膜が コーティングされている。

 このねじ切りフライス10は、シャンク12側 から見て右まわりに回転駆動されることによ り切削加工を行うもので、ねじれ溝16a~16dは れもその切削回転方向と同じ右まわりにね れている。これ等のねじれ溝16a~16dは、図2の 展開図から明らかなように、それぞれ一定の リードおよび一定の幅寸法で設けられている が、交互にリードが相違させられている。す なわち、ねじれ溝16a、16cのリードL1は、ねじ 溝16b、16dのリードL2よりも大きく、リードL2 はリードL1の70%~95%の範囲内で、本実施例では 約83%とされており、具体的にはリードL1=60mm リードL2=50mmで、ねじれ溝16a、16cのリード角 ≒63°34″、ねじれ溝16b、16dのリード角β≒59 10″である。また、これ等のねじれ溝16a~16d 、刃部14の軸方向における中央部(本実施例 は略中央)で軸心Sまわりにおいて等間隔にな り、先端側および後端側へ向かうに従って間 隔が対称的に滑らかリニアに増減させられて おり、ランド18a~18dのランド幅(図2における左 右方向の寸法)は、そのねじれ溝16a~16dの間隔 化に対応して、刃部14の軸方向の中央部で 略同じであるが、先端側および後端側へ向 うに従って交互に増減させられている。す わち、ランド18aおよび18cのランド幅は、刃 14の先端から後端へ向かうに従って滑らかに リニアに漸増させられている一方、ランド18b および18dのランド幅は、刃部14の先端から後 へ向かうに従って滑らかにリニアに漸減さ られている。

 このようにねじれ溝16a~16dが不等リードで 設けられることにより、それ等のねじれ溝16a ~16dに沿って設けられた切れ刃20a~20dも不等リ ドとされ、軸心Sまわりにおける切れ刃20a~20 dの間隔が軸方向において滑らかにリニアに 化させられている。すなわち、ねじれ溝16a 16cに沿って設けられた切れ刃20a、20cは、そ 等のねじれ溝16a、16cと同じリードL1(リード α)で傾斜しているのに対し、ねじれ溝16b、16 dに沿って設けられた切れ刃20b、20dは、それ のねじれ溝16b、16dと同じリードL2(リード角β )で傾斜しているのであり、刃部14の軸方向に おける中央部では軸心Sまわりにおいて等間 であるが、先端側および後端側へ向かうに って間隔が対称的に滑らかにリニアに増減 せられて、不等間隔の不等割合すなわち間 が狭い部分の寸法と広い部分の寸法との比 拡大している。具体的には、切れ刃20aと20b の間隔、および切れ刃20cと20dとの間隔は、 れも刃部14の先端から後端へ向かうに従って 滑らかにリニアに漸増させられている一方、 切れ刃20bと20cとの間隔、および切れ刃20dと20a との間隔は、何れも刃部14の先端から後端へ かうに従って滑らかにリニアに漸減させら ており、刃部14の軸方向の中央部では等間 であるが、その中央部から先端側および後 側へずれると不等間隔となり、且つ先端側 よび後端側へ向かうに従って不等間隔の不 割合がリニアに拡大している。本実施例で 、切れ刃20a~20dが等間隔となる中央部が所定 中間位置に相当する。

 そして、このようなねじ切りフライス10 用いてめねじ30を切削加工する際には、先ず 、図3の(a) に示すように、めねじ30を加工す きねじ素材としての被加工物32に対して、 記刃部14よりも大径で且つめねじ30の内径寸 と同じか僅かに小さい径寸法の下穴34を形 するとともに、必要に応じてその下穴34の口 元(開口部)にテーパ形状の面取り36を設ける 図3は、止り穴のめねじ30を加工する場合で 下穴34も底部を備えている。

 次に、図3の(b) に示すように、マシニン センタ等の3次元加工機の主軸に取り付けら れたねじ切りフライス10を前記下穴34の中心 Oに沿って下穴34内に挿入し、(c) に示すよう に、ねじ切りフライス10を軸心まわりに回転 動しつつ、約90°のアプローチ範囲で下穴34 内周面に滑らかに食い付かせる。そして、 の状態で(d) に示すように、ねじ切りフラ ス10を軸心Sまわりに回転駆動しつつ、下穴34 の中心線Oまわりに360°公転させるとともに、 凸条の1ピッチP分だけ軸方向へリード送りす ことにより、目的とするめねじ30を切削加 する。本実施例では、ねじ切りフライス10を 左まわりに公転させるとともに、1ピッチP分 けシャンク12側へ後退させることにより、 ねじのめねじ30を切削加工する。この時、切 れ刃20a~20dが等間隔に位置する刃部14の中央部 を含んで、その中央部がめねじ30の軸方向の 中央に位置する状態で、そのめねじ30の切 加工が行われる。その後、(e) に示すように 90°のリリース範囲でねじ切りフライス10を滑 らかに下穴34の内周面から離間させて中心線O まで戻し、(f) に示すように中心線Oに沿って 引き抜くことにより、一連のねじ切削加工が 終了する。

 ここで、本実施例のねじ切りフライス10 、複数の切れ刃20a~20dがそれぞれ一定のリー L1(リード角α)またはL2(リード角β)で設けら ているとともに、切れ刃20a、20cのリードL1 軸心Sまわりに隣接する切れ刃20b、20dのリー L2と相違させられ、それ等の切れ刃20a~20dの 隔が軸方向において連続的に変化させられ いるため、軸心Sまわりにおける切れ刃20a~20 dの間隔が不等になる。これにより、ねじ(め じ30等)を切削加工する際の切削抵抗の増減 不規則になり、共振によりビビリ振動が発 することが抑制され、種々の加工条件下で れた加工精度でねじを切削加工できるよう なる。

 また、刃部14の軸方向の中央部では複数 切れ刃20a~20dが等間隔に位置しているが、そ 中央部から先端側および後端側へずれると れぞれ不等間隔になるため、その中央部の 傍を含んでねじ(めねじ30等)の切削加工が行 われることにより、刃部14の軸方向において 央部の前後における偏荷重が緩和され、そ 中央部を中心としてねじの切削加工が安定 て行われるようになる。これにより、中央 の両側における切れ刃20a~20dの不等間隔と相 まってビビリ振動が一層効果的に抑制され、 種々の加工条件下で優れた加工精度でねじを 切削加工できるようになる。

 また、本実施例では複数の切れ刃20a~20dが それぞれ一定のリードL1(リード角α)またはL2( リード角β)で設けられているとともに、切れ 刃20a、20cのリードL1が軸心Sまわりに隣接する 切れ刃20b、20dのリードL2と相違させられるこ により、それ等の切れ刃20a~20dの間隔が中央 部から先端側および後端側へ向かうに従って 対称的に増減させられているため、その中央 部を中心としてねじの切削加工が一層安定し て行われるようになるとともに、切れ刃20a~20 dのリードL1、L2が何れも一定であることから そのような切れ刃20a~20dを容易に高い精度で 形成することができる。

 また、本実施例では、複数のねじれ溝20a~ 20dが何れも一定の幅寸法および一定のリード L1(リード角α)またはL2(リード角β)で設けられ ているとともに、ねじれ溝16a、16cのリードL1 軸心Sまわりに隣接するねじれ溝16b、16dのリ ードL2と相違させられることにより、そのね れ溝16a、16cに沿って設けられた切れ刃20a、2 0cのリードL1が軸心Sまわりに隣接する切れ刃2 0b、20dのリードL2と相違させられているため 例えばそれ等のねじれ溝16a~16dを研削加工す ために工具素材をリード送りする際の回転 度または送り速度を変化させてねじれ溝16a~ 16dのリードを変化させるだけで、所定のリー ドL1およびL2の切れ刃20a~20dを簡単且つ安価に い精度で形成することができる。

 また、本実施例では、4枚の切れ刃20a~20d 2種類の異なるリードL1(リード角α)、L2(リー 角β)で交互に偶数設けられているため、4枚 の切れ刃20a~20dの中の何れか一つのリードを 化させるだけの場合に比較して、切削抵抗 周期変化に起因するビビリ振動が効果的に 制される。

 また、本実施例では、複数の切れ刃20a~20d がL1およびL2の2種類のリードで設けられてい とともに、小さい方のリードL2は0.7×L1~0.95× L1の範囲内で設定されており、リードL1の95% 下であるため、リードの相違に伴う切れ刃20 a~20dの不等間隔によるビビリ振動の抑制効果 安定して得られる。また、リードL2はリー L1の70%以上であるため、4枚刃のねじ切りフ イス10においても隣接する切れ刃が交差しな い範囲で、ねじを切削加工できる刃部14とし 所定の軸方向長さを確保することができる

 また、本実施例では、複数の切れ刃20a~20d が刃部14の軸方向の中央部において等間隔と れているが、一般に刃部14の中央部を含ん ねじの切削加工が行われるため、特に刃部14 のうち加工に関与する部位を意識的に設定す ることなく、偏荷重やビビリ振動を抑制して 加工精度を向上させる効果が安定して得られ る。

 因みに、本実施例のねじ切りフライス10と ねじれ溝16a~16dのリードが何れもL2、すなわ 切れ刃20a~20dのリードがL2(=50mm)でリード角が (≒59°10″)であり、且つ軸心Sまわりにおい 等間隔で設けられている比較品とを用いて 以下の加工条件でめねじの切削加工を行い xyz方向の切削抵抗(N)を測定して比較したと ろ、図4~図7に示す結果が得られた。xy方向の 切削抵抗は、軸心Sと直角な方向すなわち軸 Sまわりの回転負荷や公転に対する負荷であ 、z方向は軸方向の負荷である。なお、加工 条件の中の「ゼロカット1公転」は、より高 形状精度が要求される場合に行われるもの 、切込み寸法0で切削加工と同じ加工(自転お よび公転)を繰り返す。
(加工条件)
・被削材:SCM440(40HRC)
・切削速度V:50m/min
・1刃当りの送り速度f:0.05mm/t
・加工めねじサイズ:M12×1.75(止り穴)
・ねじ立て長さ:約20mm
・切削油:水溶性切削油剤
・ねじ立て態様:切削加工1公転+ゼロカット1 転
・機械:たて型マシニングセンタ

 図4~図7において、不等リードは本発明品 ことで、等リードは比較品のことであり、 4~図6のグラフの縦軸は切削抵抗(N)、横軸は 間(秒)であり、約10秒で1公転させられる。 た、図4は、xyz方向の切削抵抗の合力の変動 示すグラフで、図5は、xy方向の切削抵抗の 力の変動を示すグラフで、図6は、z方向の 削抵抗の変動を示すグラフであり、図7は、 れ等の切削抵抗のデータに基づいて平均値 最大値、最小値、標準偏差σを算出した結 である。そして、図4、図6のグラフおよび図 7の(a) 、(c) の算出値から明らかなように、 発明品(不等リード)の方が比較品(等リード) に比べて切削抵抗の変動幅や標準偏差σが小 く、ビビリ振動が大幅に改善されることが かる。図5および図7(b) のxy方向の切削抵抗 関するグラフや算出値については、本発明 と比較品とで大きな差が無いため、z方向( 方向)の切削抵抗による振動が特に改善され ものと考えられる。

 なお、上記実施例では、2種類のリードL1 よびL2で一定の幅寸法のねじれ溝16a~16dが設 られることにより、複数の切れ刃20a~20dが不 等リードとされていたが、図8に示すように 複数のねじれ溝40a~40dが互いに等しい一定の ードで設けられるとともに、ねじれ溝40a、4 0cについては先端から後端に向かうに従って 寸法がリニアに減少させられる一方、残り ねじれ溝40b、40dについては先端から後端に かうに従って幅寸法がリニアに増加させら ることにより、それ等のねじれ溝40a~40dに沿 って設けられた切れ刃44a~44dを不等リードと 、軸心Sまわりにおける切れ刃44a~44dの間隔を 軸方向において滑らかにリニアに変化させる こともできる。図8の一点鎖線はねじれ溝40a~4 0dの中心線で、互いに平行すなわち等リード あるが、各ねじれ溝40a~40dは、それぞれ中心 線に対して対称的に幅寸法が増減させられて いる。また、ねじれ溝40aおよび40cとねじれ溝 40bおよび40dとは、刃部14の中央部を挟んで軸 向において対称的に幅寸法が増減させられ おり、それ等のねじれ溝40a~40dによって形成 される4つのランド42a~42dのランド幅は、互い 略同じで且つ軸方向において全長に亘って 一定とされている。

 そして、上記ねじれ溝40a、40cに沿って設 られる切れ刃44a、44cについては、前記切れ 20a、20cと同様にリードL1(リード角α)で傾斜 せられ、ねじれ溝40b、40dに沿って設けられ 切れ刃44b、44dについては、前記切れ刃20b、2 0dと同様にリードL2(リード角β)で傾斜させら ている。また、刃部14の軸方向における中 部では軸心Sまわりにおいて切れ刃44a~44dは等 間隔であるが、先端側および後端側へ向かう に従って間隔が対称的に滑らかにリニアに増 減させられて、不等間隔の不等割合が拡大さ せられており、前記実施例と同様の作用効果 が得られる。

 この場合にはまた、ねじれ溝40aおよび40c 幅寸法が先端から後端に向かうに従って減 させられ、ねじれ溝40bおよび40dの幅寸法が 端から後端に向かうに従って増加させられ ことにより、切れ刃44a、44cのリードL1が軸 Sまわりに隣接する切れ刃44b、44dのリードL2 相違させられているため、例えばねじれ溝40 a~40dを研削加工する研削砥石の姿勢を変化さ てねじれ溝40a~40dの幅寸法を変化させるだけ で、所定のリードL1およびL2の切れ刃44a~44dを 単且つ安価に高い精度で形成することがで る。

 以上、本発明の実施例を図面に基づいて 細に説明したが、これ等はあくまでも一実 形態であり、本発明は当業者の知識に基づ て種々の変更、改良を加えた態様で実施す ことができる。

 本発明のねじ切りフライスは、複数の切 刃の少なくとも一つのリードが軸心まわり 隣接する切れ刃のリードと相違させられる どして、軸心まわりにおける切れ刃の間隔 不等とされているため、ねじを切削加工す 際の切削抵抗の増減が不規則になる。これ より、共振によりビビリ振動が発生するこ が抑制され、種々の加工条件下で高精度の じを切削加工する際に好適に用いられる。