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Patent Searching and Data


Title:
TRANSFER FILM FOR BURNING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/153137
Kind Code:
A1
Abstract:
A transfer film for burning which has a multilayer structure including a functional pattern and a pressure-sensitive adhesive layer. The multilayer structure is free from a shape failure of the functional pattern and a decrease in adhesive force of the adhesive layer, and has the excellent transferability to a substrate.The transfer film gives a burned functional pattern free from defects such as a shape or function failure. The transfer film for burning is one for use in forming a burned functional pattern by transferring a multilayer structure including a functional pattern to a surface of a substrate and burning it. The transfer film comprises a release film and a multilayer structure formed so as to be in contact with one of the surfaces of the release film. The multilayer structure includes a functional pattern and a contact layer which has been formed so as to be in direct contact with the surface of the functional pattern and is constituted of one layer or a larger number of layers. The functional pattern comprises inorganic particles and an organic substance removable by burning. The contact layer comprises an organic substance and a solvent both removable by burning. The organic substance contained in the functional pattern is incompatible with the solvent contained in the contact layer.

Inventors:
IIKUMA AKIHIRO (JP)
SHINOZAKI HIDEAKI (JP)
KIKUCHI MASAHIRO (JP)
OTSUKA TATSUYA (JP)
KUBO TAIICHI (JP)
ONO KAZUHISA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060869
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
June 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOPPAN TDK LABEL CO LTD (JP)
NIPPON SHEET GLASS CO LTD (JP)
IIKUMA AKIHIRO (JP)
SHINOZAKI HIDEAKI (JP)
KIKUCHI MASAHIRO (JP)
OTSUKA TATSUYA (JP)
KUBO TAIICHI (JP)
ONO KAZUHISA (JP)
International Classes:
H05K3/20; B44C1/165
Foreign References:
JP2003338678A2003-11-28
JP2006203157A2006-08-03
JP2006037058A2006-02-09
JP2002270456A2002-09-20
JPH05139020A1993-06-08
JPH11135009A1999-05-21
JPH11260250A1999-09-24
JP2001211020A2001-08-03
JP2000151080A2000-05-30
Other References:
See also references of EP 2157840A4
Attorney, Agent or Firm:
KUMAKURA, Yoshio et al. (Shin-Tokyo Bldg.3-1, Marunouchi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 基体の表面に機能性パターンを含む積層体を転写し、焼成することにより、機能性パターンの焼成体を形成するために用いる、焼成用転写フィルムにおいて、
 前記焼成用転写フィルムは、剥離フィルムと、前記剥離フィルムの一方の表面に接するように形成された前記積層体とを含み、
 前記積層体はさらに、機能性パターンと、前記機能性パターンの表面に直接接するように形成される、1層またはそれより多数の層からなる接触層とを含み、
 前記機能性パターンは、無機粉体と焼成により除去可能な有機物とを含有し、
 前記接触層は、焼成により除去可能な有機物と溶媒とを含有し、
 前記機能性パターンに含まれる有機物は、前記接触層に含まれる溶媒と相溶しないことを特徴とする焼成用転写フィルム。
 前記機能性パターンに含まれる有機物の溶解性パラメーター(SPb)と前記接触層に含まれる溶媒の溶解性パラメーター(SP)とが、5<|SP-SPb|の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の焼成用転写フィルム。
 前記接触層は、前記積層体を前記基体に転写する際に前記基体の表面に粘着される粘着層であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼成用転写フィルム。
 前記積層体は、前記積層体を前記基体に転写する際に前記基体の表面に粘着される粘着層をさらに含み、
 前記接触層は、前記機能性パターンと前記粘着層との間に挟まれる中間層であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼成用転写フィルム。
 前記接触層のうちの1層は、前記機能性パターンの、前記剥離フィルムの前記一方の表面に間接的に接する表面を保護するための保護層であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の焼成用転写フィルム。
Description:
焼成用転写フィルム

 本発明は、ガラス等の基体に配線回路や 極等の導電性パターンや模様等の装飾パタ ンを形成すための転写フィルムに関するも で、特に基体に機能性パターンを転写した 、焼成するのに適した焼成用転写フィルム 関するものである。

 従来、基板上への電気回路等のパターンの 成、陶磁器の装飾、プラズマディスプレイ ネルにおける電極パターンやリブの形成、 載用ガラス板へのアンテナ形成等、ガラス 陶磁器等の基体に機能性パターンを付与す ことが各分野で行われている。
 機能性パターンを形成する方法は、例えば フォトリソグラフィー/エッチング法やスク リーン印刷法、スパッタリング法等が広く採 用されている。しかし、基体の形状が平滑な 面であれば直接上記の方法で形成することも 可能であるが、基体が湾曲している場合や凹 凸している場合では、上記の方法では対応が できない。そのためフィルム上に機能性パタ ーンをあらかじめ形成しておき、フィルムか ら基体へこの機能性パターンを転写する転写 方式が検討されている。転写方式であれば、 基体の寸法や形状にかかわらず、機能性パタ ーンを基体に追従させることが可能で、パタ ーニング性や生産性に優れ、低コストで、任 意の基体上に形成することができる。例えば 、特許文献1~5にはこのような転写用フィルム が記載されている。

 特許文献1には、印刷台紙上に複数の着色 層と着色層の間に中間層をスクリーン印刷に より順次形成し、最上部にカバー層を設けた 陶磁器装飾用の転写紙が、特許文献3には、 ースフィルム上に、剥離可能に設けられた 写層と応力吸収層を設け、転写層はガラス リットを含む無機成分と、焼成により除去 能な有機成分を含有し、応力吸収層の複素 性率を転写層の複素弾性率より小さくした ラズマディスプレイパネル作製用の転写シ トが、特許文献4には、転写フィルム上に積 された導体パターンを車載用ガラス板に転 方式で形成した車載用対数周期ダイポール ンテナが、特許文献5には、転写フィルム上 にガラスペーストにより印刷パターンを形成 し、この印刷パターンを基板上に熱転写し、 転写された印刷パターンを焼成する電気回路 等のパターン形成方法が、それぞれ開示され ている。これらは基体に転写した後、焼成す ることにより機能性パターンを形成する焼成 用転写フィルムである。

特開平05-139020号公報

特開平11-135009号公報

特開平11-260250号公報

特開2001-211020号公報

特開2000-151080号公報

 焼成用転写フィルムの機能性パターンを含 積層体は、機能性パターンの他に、少なく も機能性パターンを基体に接着するための 着層を必要とし、必要によりいくつかの層 積層された構成を有する。機能性パターン 、焼成後の所望の機能に応じた各種機能性 料としての無機粉体と、焼成後の機械的強 を発現するための熱融着可能な無機粉体と 焼成前の形状を維持し、焼成除去される有 物を少なくとも含有する。接着層は焼成に り除去可能な有機物により構成される。
 有機物は高温で焼成すると各有機物固有の 度で熱分解がおこり熱分解ガスとなって除 される。一方、機能性パターン中の無機粉 は粉体表面が溶融し粉体同士や基体と融着 る。焼成用転写フィルムでは、機能性パタ ンに含有される有機物の量はできるだけ少 くした方が、焼成後の機械的強度に優れ、 望の機能を十分に発現させることができ、 た機能性パターンの設計上も好ましい。

 焼成用転写フィルムは、例えば剥離フィ ムを支持体として、機能性パターン、粘着 等を印刷方式等の方法で積層形成すること より作製される。このとき、機能性パター に含有される有機物と機能性パターンに直 接して積層形成される層(以下、接触層とい う)に含有される溶媒とが、相溶しやすい組 合わせの場合、機能性パターンと接触層と 各材料が互いに混ざり合うことがある。こ ため、機能性パターンが、機能性パターン 含有される有機物の溶出による収縮や接触 に含有される材料の流入による膨張を起こ 、パターン形状に変形や断裂等の欠陥が生 ることがある。また、接触層においても、 能性パターンからの材料の流入や機能性パ ーンへの材料の流出により、本来の機能を 揮できないことがある。接触層が粘着層で る場合は、粘着力の低下が起こることがあ 。その結果、機能性パターンの焼成に悪影 を与える現象を引き起こすことがある。特 、機能性パターンに含有する有機物の量が ない場合、機能性パターンに接して積層形 する層に含有する溶媒は、機能性パターン 浸透しやすく、機能性パターンの焼成に悪 響を引き起こしやすい。

 よって本発明の目的は、機能性パターン 含む積層体に機能性パターンの形状不良や 着層の粘着力の低下がなく、基体への転写 に優れ、機能性パターンの焼成体に形状や 能不良等の欠陥を生じない焼成用転写フィ ムを提供しようとするものである。

 本発明は、基体の表面に機能性パターン 含む積層体を転写し、焼成することにより 機能性パターンの焼成体を形成するために いる、焼成用転写フィルムにおいて、剥離 ィルムと、剥離フィルムの一方の表面に接 るように形成された上記積層体とを含み、 記積層体はさらに、機能性パターンと、前 機能性パターンの表面に直接接するように 成される、1層またはそれより多数の層から なる接触層とを含み、機能性パターンは、無 機粉体と焼成により除去可能な有機物とを含 有し、接触層は、焼成により除去可能な有機 物と溶媒とを含有し、機能性パターンに含ま れる有機物は、接触層に含まれる溶媒と相溶 しないことを特徴とする焼成用転写フィルム である。

 本発明の1つの実施形態によると、機能性パ ターンに含まれる有機物の溶解性パラメータ ー(SPb)と接触層に含まれる溶媒の溶解性パラ ーター(SP)とは、5<|SP-SPb|の関係を満たす
 本発明の別の実施形態によると、接触層は 上記積層体を基体に転写する際に基体の表 に粘着される粘着層である。
 本発明のさらに別の実施形態によると、上 積層体は、上記積層体を基体に転写する際 基体の表面に粘着される粘着層をさらに含 、接触層は、機能性パターンと粘着層との に挟まれる中間層である。
 本発明のまた別の実施形態によると、接触 のうちの1層は、機能性パターンの、剥離フ ィルムの上記一方の表面に間接的に接する表 面を保護するための保護層である。

 本発明に係る焼成用転写フィルムは、剥 フィルムと、前記剥離フィルムの一方の表 に接するように形成された前記積層体とを んでいる。前記積層体は、無機粉体と焼成 より除去可能な有機物とを含有する機能性 ターンと、前記機能性パターンの表面に直 接するように形成される、1層またはそれよ り多数の層からなる、焼成により除去可能な 有機物と溶媒とを含有する接触層とを含んで いる。そして、機能性パターンに含有される 有機物が、接触層に含まれる溶媒と相溶しな いことを特徴とする。従って、前記溶媒が機 能性パターンに含有される有機物を溶解し、 機能性パターンと接触層との各材料が互いに 混ざり合うことがないので、機能性パターン の形状に変形や断裂等の欠陥のない焼成用転 写フィルムを得ることができる。

 また、機能性パターンを含む積層体に別 層を追加する場合に、接触層を介して別の を形成することにより、機能性パターンと の層とが直接接することがないので、別の に含有される溶媒が機能性パターンに含有 れる有機物に影響を与えることがない。例 ば、別の層は、機能性パターンを含む積層 を基体に転写するための接着性に優れた接 層とすることができる。従って、機能性パ ーンの形状に変形や断裂等の欠陥がなく、 写性にも優れた焼成用転写フィルムを得る とができる。

 以下に本発明について詳細に説明する。
(第1実施形態)
 図1と図4は、本発明の第1実施形態である焼 用転写フィルムの構造を例示する拡大断面 型図である。図1の例では、焼成用転写フィ ルムは、剥離フィルム1と、前記剥離フィル の一方の表面に接するように形成された機 性パターンを含む積層体とを含んでいる。 4の例では、焼成用転写フィルムは、第1剥離 フィルム1と、第2剥離フィルム6と、前記第1 離フィルム1と第2剥離フィルム6との間に形 された機能性パターンとを含む積層体と、 含んでいる。
 前記積層体は、無機粉体と焼成により除去 能な有機物を含有する機能性パターン2と、 焼成により除去可能な有機物と溶媒とを含有 する粘着層3と、を含んでいる。
 これらの例では、機能性パターンは略等間 に配置された複数の線条の集まりとして表 れており、そして図4の例では、粘着層3も 能性パターンと略同じパターンで形成され おり、これらは連続して形成されていない しかし、本発明においては、このようなパ ーンもそれぞれ一つの層として扱うものと る。

 前記積層体の構成においては、粘着層3が 機能性パターン2に直接接するので接触層に 当する。図1の例では、接触層3が機能性パタ ーン2の全ての線条を覆って形成されており 図4の例では接触層3が機能性パターン2と同 パターンで形成されている。図4の例では、 らに接着層3と接して第2剥離フィルム6が追 されている。

 積層体が(第1)剥離フィルム1を支持体とし て形成される場合は、第2剥離フィルム6は、 須の構成要件ではないが、焼成用転写フィ ムの保管や基体へ積層体を転写するまでの の積層体の保護の役割を担っている。積層 が第2剥離フィルム6を支持体として形成さ る場合は、第2剥離フィルム6は、形成後に取 り除いてもよいが、そのまま残してもよい。

(第2実施形態)
 図2と図5は、本発明の第2実施例である焼成 転写フィルムの構造を例示する拡大断面模 図である。この構成の機能性パターンを含 積層体は、第1実施形態に示した積層体の機 能性パターン2と粘着層3との間に、焼成によ 除去可能な有機物と溶媒とを含有する中間 4を含んでいる。この積層体の構成において は、中間層4が機能性パターン2に直接接触す ので接触層に該当する。

(第3実施形態)
 図3と図6は、本発明の第3実施例である焼成 転写フィルムの構造を例示する拡大断面模 図である。この構成の機能性パターンを含 積層体は、第2実施形態に示した積層体の機 能性パターン2の粘着層3と反対側つまり(第1) 離フィルム1の表面に直接形成された焼成に より除去可能な有機物と溶媒とを含有する保 護層5をさらに含んでいる。この積層体の構 においては、中間層4と保護層5が機能性パタ ーン2に直接接触するので共に接触層に該当 る。なお、第3実施例においては、中間層4は 必須の構成要件ではない。中間層4を有さな 積層体の構成においては、粘着層3と保護層5 が機能性パターン2に直接接触するので共に 触層に該当する。

 上記第1ないし第3実施形態に示した焼成 転写フィルムは、前記第2剥離フィルム6を有 する場合はこれを剥離し、前記粘着層3を基 (図示せず)の表面に貼着した後、前記(第1)剥 離フィルム1を剥がすことにより機能性パタ ンを含む積層体を基体の表面に転写し、そ て前記積層体が転写された基体を焼成する とにより基体の表面に機能性パターンの焼 体を付与することができる。

 以下に、焼成用転写フィルムの各構成要素 ついて説明する。
 剥離フィルムは、機能性パターンを含む積 体を構成する機能性パターンと粘着層、さ に中間層や保護層を印刷方式等で形成する きの支持体の役割を有している。
 剥離フィルムは機能性パターンを含む積層 と剥離性を有するものであれば良く、フィ ム基材をそのまま用いても良いが、必要に りフィルム基材上にシリコーン系やアルキ 樹脂系等からなる剥離層や再剥離用の微粘 層を形成した構成であっても良い。機能性 ターンを含む積層体の粘着層面に第2剥離フ ィルムを有する場合、第1剥離フィルム側の 離荷重よりも、第2剥離フィルム側の剥離荷 が軽いことが必要であり、剥離界面の接着 度は、フィルム基材や剥離層の種類、膜厚 によって調整可能である。

 剥離フィルムの基材は、転写時の施工性 考慮してフレキシブル性のある基材が好ま く、例えば、ポリエチレン、ポリイミド、 リエチレンテレフタレート、アクリル等の ラスチックや紙等が使用できる。また基材 厚みは特に限定されるものではないが、転 時の圧力や熱の伝達性とフィルムの屈曲性 のバランスの点から最適な厚みを選定すれ よく、25~250μm、好ましくは35~125μm、さらに ましくは50~75μmが、作製上もしくは施工上 適に用いられる。

 剥離フィルム上への機能性パターンや各 の形成には、スクリーン印刷、オフセット 刷等の印刷方式やグラビアコーティング、 イヤーバー等の塗布方式を使用可能である パターンを形成する場合は、前記印刷方法 好適に用いられる。広い面積に一様に層を 成する場合は、前記印刷方法に加えて前記 布方法も好適に用いられる。

 前記印刷方法や塗布方法により機能性パタ ンや各層を形成する場合は、これらに含有 れる無機粉体や有機物を溶媒中に分散また 溶解してなる塗布液(ペースト)を作製し、 用する。溶媒としては、有機物の溶解性や 散性、印刷工程に適した沸点を考慮し、水 、アルコール系、ケトン系、エステル系、 ーテル系、炭化水素系等を、単独または混 して使用することが可能である。そしてこ らの溶媒は、粘度やチキソ性等の印刷適正 そして固形分を適宜調整して用いる。これ の溶媒は、機能性パターンの印刷や塗布後 大部分が揮発するが、残留する分は焼成に って揮発または分解除去される。
 必要により印刷時の気泡対策や粘度調整の めに消泡剤や増粘剤等の添加剤を使用する とも可能である。添加剤は焼成によって分 除去できるものを使用する。

 機能性パターンは、焼成後の所望の機能に じた各種機能性材料としての無機粉体と、 に焼成後の機械的強度を発現するための基 に熱融着可能な無機粉体と、焼成前の形状 維持し、焼成除去される有機物とを含有す 。
 機能性パターンは一つのパターンでも複数 パターンでもよい。例えば、一つの焼成用 写フィルムに、複数のアンテナパターンを 成することができる。また、複数の機能性 ターンを積層してもよい。例えば、導電性 機能性パターンが絶縁性の機能性パターン よって覆われるように形成することができ 。機能性パターンの膜厚は、目的とする機 に合わせて適宜決定される。

 機能性パターンに含有される熱融着可能 無機粉体としては、各種機能性材料を焼成 に基体に担持させ、耐久性を向上させる等 目的のために、ガラスフリット等の材料が 用可能であり、焼成温度や熱収縮率等のバ ンスを考慮して、好適な組成のガラスフリ トを選定すればよい。

 機能性パターンに含有される機能性材料と ては、焼成後の所望の機能に応じた材料を 宜選択して使用する。例えば、配線や電極 には、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Sn、Pb、Zn、Bi、In 粉体やこれらを含む合金の粉体を使用する とが可能である。またコンデンサ部品等の 電体や高抵抗部品等に使用される材料とし 、BaTiO、SiC、TiO 2 、SiO 2 、やRuO等の粉体が挙げられる。

 機能性パターンに含有される有機物とし は、焼成により除去可能な材料を用いれば に限定されず、例えば、アクリル、メチル ルロース、ニトロセルロース、エチルセル ース、酢酸ビニル、ポリビニルブチラール ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコ ル、ポリエチレンオキサイド、ポリエステ 等の樹脂が挙げられ、単独、またはこれら 混合物を主要成分として使用することがで る。また補助の有機成分として焼成前の塗 に可とう性を付与する目的で可塑剤を添加 てもよい。可塑剤としては脂肪酸エステル 、リン酸エステル系等が使用可能である。

 しかし、機能性パターンに含有される有 物は、接触層を形成するための塗布液(以下 、接触層ペーストという)に含有される溶媒 相溶しないことが重要である。先に形成さ た機能性パターンの上に後から接触層ペー トを塗布する場合は、特に重要である。先 形成された接触層の上に後から機能性パタ ンを形成する場合は、接触層から殆どの溶 を揮発させることにより、相溶しやすさの 響を軽減することが可能である。しかしこ 場合でも、機能性パターンに含有される有 物は、接触層に含有される溶媒と相溶しな ことが重要である。

 一般的に、溶解性パラメーターの差が大 いほど物質同士は相溶しにくくなり、小さ ほど相溶しやすくなるので、接触層に含有 れる溶媒の溶解性パラメーター(SP)と機能性 パターンに含有される有機物の溶解性パラメ ーター(SPb)とが、5<|SP-SPb|を満たすことが好 ましい。なお、補助の有機成分を添加した場 合、その溶解性パラメーターも考慮する必要 があるが、添加物が少量であれば、無視する ことができる。また、先に形成された接触層 の上に後から機能性パターンを形成する場合 でも、接触層に含有する有機物と機能性パタ ーンに含有される溶媒の溶解性パラメーター の差を、接触層に含有される溶媒の溶解性パ ラメーター(SP)と機能性パターンに含有され 有機物の溶解性パラメーター(SPb)との差とみ なし、5<|SP-SPb|を満たすことが好ましい。

 例えば、機能性パターンに含有される有 物としてエチルセルロース樹脂を用いた場 、エチルセルロース樹脂の溶解性パラメー ー(SPb)は10~12である。この機能性パターン上 に形成される接触層に含有される溶媒として 水(溶解性パラメーター(SP) 23.4)を用いれば、 これら溶解性パラメーターの差の絶対値(以 、単に溶解性パラメーターの差という)|SP-SPb |は11.4~13.4となる。この溶解性パラメーター 差の値は相溶しにくいことを表している。 方、接触層に含有される溶媒としてトルエ (溶解性パラメーター(SP) 8.9)を用いれば、溶 解性パラメーターの差は1.1~3.1となる。この 解性パラメーターの差の値は相溶しやすい とを表している。

 複合材料の溶解性パラメーターは、各材 の重量割合と溶解性パラメーターの積の和 して表すことができる。例えば、溶媒が水( 溶解性パラメーター 23.4)とイソプロピルア コール(溶解性パラメーター 11.4)との50対50 混合溶媒の場合、その溶解性パラメーター 、17.4(=23.4×0.5+11.4×0.5)となる。

 粘着層は焼成により除去可能な有機物であ ば特に限定はされないが、常温で粘着性を するアクリル系、ゴム系等の粘着剤が使用 能である。
 粘着層は、機能性パターンに重なるように 様のパターンを形成してもよく(図4参照)、 能性パターンが露出しない程度に機能性パ ーンを覆うように形成してもよい(図5参照) このようにすると、広い範囲に機能性パタ ンの各構成部分が離れて形成されている場 に、粘着層の材料を節約することができる しかし、機能性パターンが、細い線条や小 なドット等の場合は、機能性パターンと同 または覆う程度では、粘着層の粘着力が確 できなくなることがある。このような場合 、粘着層は粘着力が確保できる程度に広く 成してもよく、剥離フィルムの支持体全面 覆うように形成してもよい(図1参照)。

 第1実施形態に示したように、粘着層が接 触層として機能性パターンに直接接する場合 は、前述したように接触層を形成するときに 用いる溶媒は機能性パターンに含有される有 機物と相溶しないことが重要である。

 粘着層の膜厚は、1~20μm、好ましくは2~10μ mである。1μm未満の場合、粘着力が不足し転 性が低下する。膜厚が20μmよりも厚くなる 、熱分解ガスの発生量が多くなるため機能 パターンに欠陥が生じやすく焼成不良とな 。よって、粘着層の膜厚は、粘着力を維持 きる範囲でできるだけ薄くすることが好ま い。粘着層が接触層である場合は、機能性 ターンが形成されている部分において、粘 層が前記膜厚を有することが好ましい。

 第2実施形態に示したように、本発明は機 能性パターンと粘着層との間に中間層を設け ることができる。機能性パターンと粘着層と は、それぞれの機能により材料が選ばれるの で、機能性パターンに含有される有機物と粘 着層に含有される溶媒とが相溶しやすい組み 合わせとなる場合がある。このような場合に 、中間層は機能性パターンと粘着層との間の バリアの役割を担っている。中間層は焼成に より除去可能な有機物であれば特に限定され ず、機能性パターンに用いられる有機物と同 様なものから選ぶことができる。しかし、機 能性パターンに含有される有機物と相溶しな い組み合わせとすることが好ましい。また、 特にガラス転移温度が50℃以上である高分子 脂が好ましい。

 中間層は機能性パターンと粘着層とが直接 しないように形成される必要がある。機能 パターンの存在しない部分には形成しなく もよい(図5参照)が、粘着層と重なる大きさ することにより、基体への転写後に粘着力 強い粘着層への異物の付着を防止すること できる。
 中間層が接触層として機能性パターンに直 接する場合は、前述したように接触層を形 するときに用いる溶媒は、機能性パターン 含有される有機物と相溶しないことが重要 ある。

 中間層の膜厚は、機能性パターンが形成 れている部分において0.5μm以上であればバ ア効果はあるが、好ましくは1μm以上を必要 とする。中間層が厚くなると熱分解ガスの発 生量が多くなるため機能性パターンに欠陥が 生じやすく焼成不良となることがある。よっ て、中間層の膜厚は10μm以下、好ましくは5μm 以下とし、できるだけ薄膜にすることが好ま しい。

 第3実施形態に示したように、本発明は剥 離フィルムと機能性パターンとの間に保護層 を設けることができる。保護層は基体に転写 形成した焼成前の機能性パターンを異物の付 着や傷の原因となる衝撃から保護する役割を 担っている。機能性パターンは含有する有機 物の割合が少ないため焼成前の膜質は硬く脆 い傾向にある。このため、転写フィルムを屈 曲させた場合、機能性パターンにひび割れが 発生しやすい。このような硬く脆い層をそれ よりも柔らかく柔軟性のある2つの層で挟む とにより、ひび割れを防止することができ 。このため保護層は、粘着層や中間層と共 フィルムを屈曲した際のひび割れ等を防止 る役割も担っている。保護層は焼成により 去可能な有機物であれば特に限定されず、 能性パターンに用いられる有機物と同様の のから選ぶことができるが、機能性パター に含有される有機物と相溶しない組み合わ とすることが好ましい。

 保護層が接触層として機能性パターンに直 接する場合は、前述したように接触層を形 するときに用いる溶媒は、機能性パターン 含有される有機物と相溶しないことが重要 ある。
 保護層は機能性パターンを覆うように形成 れていればよく、機能性パターンと同様の ターン形状で形成してもよい。また、粘着 と保護層との間に中間層が形成されていな 部分が存在する場合には、保護層を粘着層 重なるように形成することが好ましい。こ ようにすれば、基体への転写後に粘着力の い粘着層への異物の付着を防止することが きる。
 保護層の膜厚は、機能性パターンが形成さ ている部分において0.1~2μmであることが好 しい。

 以下に本発明の具体例を説明する。本発明 これらの実施例により限定されるものでは い。
 (実施例1)
  (焼成用転写フィルムの作製)
 以下の手順で、第1実施形態に示した焼成用 転写フィルムを作製した。
 剥離フィルムとしてシリコーン系離形層を けたPETフィルム「A70」(帝人デュポンフィル ム(株)製、フィルムサイズ 20cm×30cm、厚み 50 μm)を用意した。
 機能性パターンの塗布液として黒色顔料と ラスフリットを含有したカラーペーストを 1に示す組成に基づき3本ロール式攪拌機を いて作製した。このカラーペーストに含有 れる焼成により除去可能な有機物の溶解性 ラメーター(SPb)は11であった。
 粘着層の塗布液としてアクリル系粘着剤「 カボンドS200」(中央理化工業(株)製)を、溶 として水(溶解性パラメーター(SP) 23.4)を用 て希釈し、粘着層ペーストとした。

 前記剥離フィルムの離形層上に、スクリー 印刷機を用いて前記カラーペーストをサイ  2cm×5cm、膜厚 15μmとなるように印刷し、 能性パターンを形成した。
 前記機能性パターンに重なるように、メイ ーバーを用いて前記粘着層ペーストをサイ  2cm×5cm、膜厚 3μmとなるように塗布し、粘 着層を形成した。
 乾燥は、120℃で10分間行った。

  (機能性パターン付き基体の作製)
 以下の手順で、機能性パターン付き基体を 製した。
 基体としてフロート法により製造されたガ ス板(サイズ 30cm×30cm)を用意した。
 このガラス板の表面に、前記焼成用転写フ ルムをその粘着層を向かい合わせて、ゴム ーラーを用いて剥離フィルム上から0.5kg/cm 圧力で貼り合わせた。その後、剥離フィル を剥離して、機能性パターンを含む積層体 転写されたガラス板を作製した。

 そして、このガラス板を焼成炉を用いて焼 した。焼成条件は、昇温速度 500℃/minで室 から650℃まで昇温し、その温度を30分間維 した後、炉内放冷で100℃以下まで冷却する ととした。
 そして、冷却された機能性パターン付きガ ス板を焼成炉から取り出した。

 (比較例1)
 粘着層の塗布液としてアクリル系粘着剤「S K1309」(綜研化学工業(株)製)を、溶媒としてト ルエンと酢酸エチルとの50対50の混合物を用 て希釈し、粘着層ペーストとした。この混 溶媒の溶解性パラメーター(SP)は9であった。
 その他は、実施例1と同様の方法により、焼 成用転写フィルムを作製した。
 実施例1と同様の方法により、機能性パター ンを含む積層体が転写されたガラス板の作製 を試みたが、転写できなかった。

 (評価)
 表2に、実施例1と比較例1における機能性パ ーンに含有される有機物と接着層に含有さ る溶媒の各溶解性パラメーター、これらの 解性パラメーターの差、そして転写性と焼 性の評価を示した。転写性の評価は、機能 パターンを含む積層体に歪みや浮き等の欠 がなく良好なものを「○」で、転写できず 良なものを「×」で示した。焼成性の評価 、機能性パターンの焼成体に歪みやひび割 、剥がれ等の欠陥がなく良好なものを「○ で、焼成できなかったものを「-」で示した
 実施例1における評価は、転写性、焼成性共 に良好であった。これに対して、比較例1に ける機能性パターンを含む積層体は転写で ず、従って、焼成は行わなかった。

 (対比)
 実施例1と比較例1との対比を行う。
 実施例1における機能性パターンに含有され る有機物と粘着層ペーストに含有さる溶媒と の溶解性パラメーターの差は、表2に示した うに12.4であり、この値はほとんど相溶しな ことを表している。これに対して、比較例1 における前記溶解性パラメーターの差は、表 2に示したように2であり、この値は相溶しや いことを表している。従って、実施例1にお ける機能性パターンに含有される有機物が粘 着層ペーストに含有され形成後の粘着層に残 留する溶媒に溶解されることなく、良好な機 能性パターンが得られ、粘着層も粘着性を失 わなかったと考えられる。これに対して、比 較例1における機能性パターンに含有される 機物が粘着層ペーストに含有され形成後の 着層に残留する混合溶媒に溶解され、良好 機能性パターンが得られず、溶解された前 有機物が粘着層と混じり合い粘着層の粘着 を失わせたと考えられる。

 (実施例2)
  (焼成用転写フィルムの作製)
 以下の手順で、第2実施形態に示した焼成用 転写フィルムを作製した。
 第1剥離フィルムとして実施例1と同様のPET ィルムを用意した。
 第2剥離フィルムとしてシリコーン系離形層 を設けたPETフィルム「A31」(帝人デュポンフ ルム(株)製、フィルムサイズ 20cm×30cm、厚み  25μm)を用意した。
 機能性パターンの塗布液として実施例1と同 様のカラーペーストを作製した。
 中間層の塗布液としてポリビニルアセター 系樹脂「KW3」(積水化学工業(株)製)を、溶媒 として水とイソプロピルアルコールとの50対5 0の混合物を用いて希釈し、中間層ペースト した。この混合溶媒の溶解性パラメーター(S P)は18であった。
 粘着層の塗布液として比較例2と同様の粘着 層ペーストを作製した。

 前記第1剥離フィルムの離形層上に、スクリ ーン印刷機を用いて前記導電性ペーストをサ イズ 2cm×5cm、膜厚 15μmとなるように印刷し 機能性パターンを形成した。
 前記機能性パターンを覆うように、メイヤ バーを用いて前記中間層ペーストをサイズ 5cm×10cm、機能性パターン上で膜厚 2μmとな ように塗布し、中間層を形成した。
 前記中間層に重なるように、メイヤーバー 用いて前記粘着層ペーストをサイズ 5cm×10c m、中間層上で膜厚 3μmとなるように塗布し 粘着層を形成した。
 前記粘着層を覆うように、第2剥離フィルム を離形層側から貼り合わせた。

  (機能性パターン付き基体の作製)
 以下の手順で、機能性パターン付き基体を 製した。
 基体としてフロート法により製造されたガ ス板(サイズ 30cm×30cm)を用意した。
 前記焼成用転写フィルムから第2剥離フィル ムを剥離した。ガラス板の表面に、前記焼成 用転写フィルムをその粘着層を向かい合わせ て、ゴムローラーを用いて第1剥離フィルム から0.5kg/cmの圧力で貼り合わせた。その後、 第1剥離フィルムを剥離して、機能性パター を含む積層体が転写されたガラス板を作製 た。

 そして、このガラス板を焼成炉を用いて焼 し、機能性パターン付きガラス板を作製し 。焼成条件は、昇温速度 500℃/minで室温か 650℃まで昇温し、その温度を10分間維持し 後、炉内放冷で100℃以下まで冷却すること した。
 そして、冷却された機能性パターン付きガ ス板を焼成炉から取り出した。

 (比較例2)
 中間層の塗布液としてブチラール系樹脂「B M-1」(積水化学工業(株)製)を、溶媒としてト エン(溶解性パラメーター(SP) 8.9)を用いて希 釈し、中間層ペーストとした。
 その他は、実施例2と同様の方法により、焼 成用転写フィルムを作製した。しかし、機能 性パターンと中間層との接触部分において、 均一な中間層を形成することができなかった 。この部分の中間膜上に形成した接着層も同 様であった。
 実施例2と同様の方法により、ガラス板の表 面に機能性パターンを含む積層体の転写を試 みたが、積層体が転写されない部分があった 。従って、焼成は行わなかった。

 (比較例3)
 中間層の塗布液として比較例2と同じ中間層 ペーストを用いた。
 中間層の膜厚を5μm、粘着層の膜厚を10μmと た他は、比較例2と同様の方法により、焼成 用転写フィルムを作製した。
 そして、実施例2と同様の方法により、機能 性パターン付きガラス板を作製した。

 (評価)
 表3に、実施例2と比較例3、4における機能性 パターンに含有される有機物と中間層に含有 さる溶媒の各溶解性パラメーター、これらの 溶解性パラメーターの差、そして転写性と焼 成性の評価を示した。転写性の評価は、機能 性パターンを含む積層体に歪みや浮き等の欠 陥がなく良好なものを「○」で、転写できず 不良なものを「×」で示した。焼成性の評価 、機能性パターンの焼成体に歪みやひび割 、剥がれ等の欠陥がなく良好なものを「○ で、欠陥があるものを「×」で、焼成でき かったものを「-」で示した。

 実施例2における評価は、転写性、焼成性 共に良好であった。これに対して、比較例2 おける機能性パターンを含む積層体は、転 されない部分があったので転写性の評価は 良であり、焼成したとしても焼成性の評価 不良であることは明らかであったので、焼 は行わなかった。比較例3における機能性パ ーンを含む積層体は、転写性の評価は良好 あったが、焼成後の機能性パターンの焼成 は色目の低下、ひび割れ、密着不良が部分 に発生したので、焼成性の評価は、不良で った。

 (対比)
 まず、比較例2と比較例3との対比を行う。
 比較例2と比較例3における機能性パターン 含む積層体の中間層と粘着層は同じ材料で 成され、相違点は各層の膜厚だけであり、 較例3の各層の膜厚が比較例2の各層の膜厚よ りも厚く形成されていた。

 機能性パターンに含有される有機物と中 層に含有される溶媒とは、溶解性パラメー ーの差が2.1であるので相溶しやすい組み合 せであり、機能性パターンに含有される有 物と粘着層に含有される溶媒とも、溶解性 ラメーターの差が2であるので相溶しやすい 組み合わせであることが分かる。そして、中 間層に含有される溶媒の溶解性パラメーター は8.9であり、粘着層に含有される溶媒の溶解 性パラメーターも略等しい9であるので、こ 2つの層は混ざりやすいことが分かる。従っ 、機能性パターンに含有される有機物と中 層および粘着層に含有される各溶媒や各有 物とは、互いに混ざり合いやすいことが分 る。

 比較例2の場合は、中間層と粘着膜の各膜厚 が薄いので、上記の混ざり合いが顕著に起こ り、粘着層の粘着力を弱めたと考えられる。 これに対して、比較例3の場合は、中間層と 着層の各膜厚が厚いので、上記の混ざり合 が粘着層の粘着力を弱めるほどではなかっ と考えられる。しかし、機能性パターンに 有される有機物は部分的に溶解され、中間 または/および粘着層の各溶媒や各有機物と ざり合ったために、機能性パターンの焼成 に、不良が発生したと考えられる。
 比較例2と比較例3との対比から、機能性パ ーンに含有される有機物と粘着層に含有さ る溶媒との溶解性パラメーターの差が小さ 相溶しやすい組み合わせであっても、中間 または/および粘着層の各膜厚を厚くするこ により、転写性を良好に保つことは可能で るが、良好な機能性パターンの焼成体が得 れないことが分かった。

 次に、実施例2と比較例2との対比を行う。
 実施例2と比較例2における機能性パターン 含む積層体の相違点は、中間膜の材料のみ あった。実施例2の場合は、機能性パターン 含有される有機物と中間層に含有される溶 とは、溶解性パラメーターの差が7であり相 溶しにくい組み合わせであったので、実施例 2の中間膜と粘着膜の各膜厚が、比較例2の中 膜と粘着膜の各膜厚と同じにもかかわらず 転写性と焼成性の両方に良好な結果が得ら たと考えられる。

 実施例2と比較例2との対比から、機能性 ターンに含有される有機物と粘着層に含有 れる溶媒とが相溶しやすい組み合わせであ たとしても、これらの間に機能性パターン 含有される有機物と相溶しにくい組み合わ の溶媒を含有する中間層を設けることによ 、転写性と焼成性を改善可能なことが分か た。これは、バリアの役割を担う中間層を けることにより、粘着層の材料を機能性パ ーンに含有される有機物との相溶しやすさ 関係なく、粘着層の機能により決定可能な とを表している。例えば、粘着性の調整や 膜厚を調整するための溶媒による塗布液の 度の調整等を比較的自由に行うことが可能 なる。

 次に、実施例2と比較例3との対比を行う。
 実施例2における中間層と粘着層との合計の 膜厚は5μmであり、比較例3における前記合計 膜厚は15μmであった。つまり、比較例3にお る中間層と粘着層とに含有される有機物の 分解ガスの量は、実施例2における前記熱分 解ガスの量よりも多くなることが分かる。比 較例3におけるこの比較的多くの熱分解ガス 、不均一になった機能性パターンに比較的 きな圧力を与えたことが考えられ、このこ が、機能性パターンに欠陥が生じた理由の つであるとも考えられる。従って、機能性 ターンと粘着層の間にバリアの役割を担う 間層を設けることにより、中間層と粘着層 の合計の膜厚を比較的薄くしても粘着層の 着性を損なうことがなく、中間層と粘着層 に含有される有機物の熱分解ガスの圧力が 能性パターンに与える影響を小さくするこ が可能なことが分かった。

 以上の実施例2、比較例2および比較例3の 比により、機能性パターンと粘着層の間に リアの役割を担う中間層を設けることによ 、機能性パターンと粘着層との間の各材料 互いに影響しないようにできるので、粘着 の材料の選定が比較的自由にできることが かった。また、溶解性パラメーターの差が7 の場合には相溶しにくく、前記差が2.1の場合 には相溶しやすいことが確認できたので、本 発明における相溶しやすさと相溶しにくさの 境目は、溶解性パラメーターの差が5付近で ると考えられる。

 (実施例3)
  (焼成用転写フィルムの作製)
 以下の手順で、第3実施形態に示した焼成用 転写フィルムを作製した。
 第1剥離フィルムとして微粘着層を設けたPET フィルム「SRL-0754」(リンテック(株)製、フィ ムサイズ 20cm×30cm、厚み 75μm)を用意した
 第2剥離フィルムとしてシリコーン系離形層 を設けたPETフィルム「A31」(帝人デュポンフ ルム(株)製、フィルムサイズ 20cm×30cm、厚み  38μm)を用意した。
 機能性パターンの塗布液として実施例1と同 様のカラーペーストを作製した。
 中間層の塗布液としてポリビニルアセター 系粘着剤「KW1」(積水化学工業(株)製)を、溶 媒として水とイソプロピルアルコールとの50 50の混合物を用いて希釈し、中間層ペース とした。この混合溶媒の溶解性パラメータ (SP)は18であった。
 粘着層の塗布液としてアクリル系粘着剤「S K1309」(綜研化学工業(株)製)を用意し、粘着層 ペーストとした。
 保護層の塗布液としてポリエチレンオキサ ド系樹脂「PEO-8Z」(住友精化(株)製)を、溶媒 として水(溶解性パラメーター(SPc) 23.4)を用 て希釈し、保護層ペーストとした。

 前記第2剥離フィルムの離形層上に、メイヤ ーバーを用いて前記粘着層ペーストをサイズ  5cm×10cm、膜厚 5μmとなるように塗布し、粘 層を形成した。
 前記粘着層を覆うように、アプリケーター 用いて前記中間層ペーストをサイズ 6cm×12c m、粘着上で膜厚 2μmとなるように塗布し、 間層を形成した。
 前記中間層上の中央付近に、スクリーン印 機を用いて前記カラーペーストをサイズ2cm 5cm、膜厚15μmとなるように印刷し、機能性パ ターンを形成した。
 前記中間層に重なり前記機能性パターンを うように、アプリケーターを用いて前記保 層ペーストをサイズ 6cm×12cm、機能性パタ ン上で膜厚 3μmとなるように塗布し、保護 を形成した。
 前記保護層を覆うように、第2剥離フィルム を微粘着層側から貼り合わせた。

  (機能性パターン付き基体の作製)
 以下の手順で、機能性パターン付き基体を 製した。
 基体としてフロート法により製造されたガ ス板(サイズ 30cm×30cm)を用意した。
 前記焼成用転写フィルムから第2剥離フィル ムを剥離した。前記ガラス板の表面に、前記 焼成用転写フィルムをその粘着層を向かい合 わせて、φ5mmの曲率で屈曲させながら、ゴム ーラーを用いて第1剥離フィルム上から0.5kg/ cmの圧力で貼り合わせた。その後、第1剥離フ ィルムを剥離して、機能性パターンを含む積 層体が転写されたガラス板を作製した。

 そして、このガラス板を焼成炉を用いて焼 した。焼成条件は、昇温速度 20℃/minで室 から650℃まで昇温し、その温度を30分間維持 した後、炉内放冷で100℃以下まで冷却するこ ととした。
 そして、冷却された機能性パターン付きガ ス板を焼成炉から取り出した。

 (比較例4)
 中間層の塗布液としてエチルセルロース系 脂「N4」(ダウコーニング製)を、溶媒として トルエン(溶解性パラメーター(SP) 8.9)を用い 希釈し、中間層ペーストとした。前記中間 ペーストの塗布にはメイヤーバーを用いた 、サイズと膜厚は実施例3と同様とした。
 その他は、実施例3と同様の方法により、焼 成用転写フィルムを作製した。
 そして、実施例3と同様の方法により、機能 性パターン付きガラス板を作製した。

 (実施例4)
  (焼成用転写フィルムの作製)
 以下の手順で、第3実施形態に示した焼成用 転写フィルムを作製した。実施例4の焼成用 写フィルムの機能性パターンを含む積層体 形成順は、実施例3の前記積層体の形成順と 対とした。
 第1剥離フィルムとしてシリコーン系離形層 を設けたPETフィルム「A54」(帝人デュポンフ ルム(株)製、フィルムサイズ 20cm×30cm、厚み  50μm)を用意した。
 第2剥離フィルムとしてシリコーン系離形層 を設けたPETフィルム「A31」(帝人デュポンフ ルム(株)製、フィルムサイズ 20cm×30cm、厚み  25μm)を用意した。
 機能性パターンの塗布液として実施例1と同 様のカラーペーストを作製した。
 中間層の塗布液としてポリビニルアセター 系樹脂「KW3」(積水化学工業(株)製)を、溶媒 として水とイソプロピルアルコールとの50対5 0の混合物を用いて希釈し、中間層ペースト した。この混合溶媒の溶解性パラメーター(S P)は18であった。
 粘着層の塗布液としてアクリル系粘着剤「S K1309」(綜研化学工業(株)製)を用意し、粘着層 ペーストとした。
 保護層の塗布液としてメチルセルロース系 脂「60MP50」(松本油脂(株)製)を、溶媒として 水(溶解性パラメーター(SPc) 23.4)を用いて希 し、保護層ペーストとした。

 前記第1剥離フィルムの離形層上に、アプリ ケーターを用いて前記保護層ペーストをサイ ズ 6cm×12cm、膜厚2μmなるように塗布し、保護 層を形成した。
 前記保護層上の中央付近に、スクリーン印 機を用いて前記カラーペーストをサイズ 2c m×5cm、膜厚15μmとなるように印刷し、機能性 ターンを形成した。
 前記保護層上に重なり前記機能性パターン 覆うように、メイヤーバーを用いて前記中 層ペーストをサイズ 6cm×12cm、機能性パタ ン上で膜厚 2μmとなるように塗布し、中間 を形成した。
 前記中間層に重なるように、メイヤーバー 用いて前記粘着層ペーストをサイズ 6cm×12c m、膜厚 3μmとなるように塗布し、粘着層を 成した。
 前記粘着層を覆うように、第2剥離フィルム を離形層側から貼り合わせた。

  (機能性パターン付き基体の作製)
 以下の手順で、機能性パターン付き基体を 製した。
 基体としてフロート法により製造されたガ ス板(サイズ 30cm×30cm)を用意した。
 前記焼成用転写フィルムから第2剥離フィル ムを剥離した。前記ガラス板の表面に、前記 焼成用転写フィルムをその粘着層を向かい合 わせて、ゴムローラーを用いて第1剥離フィ ム上から0.5kg/cmの圧力で貼り合わせた。その 後、第1剥離フィルムを剥離して、機能性パ ーンを含む積層体が転写されたガラス板を 製した。

 そして、このガラス板を焼成炉を用いて焼 した。焼成条件は、昇温速度 500℃/minで室 から650℃まで昇温し、その温度を10分間維 した後、炉内放冷で100℃以下まで冷却する ととした。
 そして、冷却された機能性パターン付きガ ス板を焼成炉から取り出した。

 (比較例5)
 保護層の塗布液としてアクリル系樹脂「BR11 22」(三菱レイヨン(株)製)を、溶媒としてトル エン(溶解性パラメーター(SPc) 8.9)を用いて希 釈し、保護層ペーストとした。前記保護層ペ ーストの塗布にはメイヤーバーを用い、膜厚 は3μmとしたが、サイズは実施例4と同様とし 。
 その他は、実施例4と同様の方法により、焼 成用転写フィルムを作製した。
 そして、実施例4と同様の方法により、機能 性パターン付きガラス板を作製した。

 (評価)
 表4に、実施例3、4と比較例4、5における機 性パターンに含有される有機物と中間層に 有される溶媒と保護層に含有される溶媒の 溶解性パラメーター、それらの溶解性パラ ーターの差、そして焼成用転写フィルムの 能性パターンの形状、転写性、焼成性の評 を示した。焼成用転写フィルムの機能性パ ーンの形状の評価は、パターン形状ににじ やひび割れ等の欠陥がなく良好なものを「 」で、欠陥があり不良なものを「×」で示し た。転写性の評価は、良好に転写できたなも のを「○」で、転写が不安定なものを「△」 で示した。焼成性の評価は、機能性パターン の焼成体に歪みやひび割れ、剥がれ等の欠陥 がなく良好なものを「○」で、欠陥があるも のを「×」で示した。

 実施例3、4における評価は、パターン形状 転写性、焼成性共に良好であった。
 比較例4における機能性パターンを含む積層 体では、機能性パターンににじみが発生し、 さらに乾燥中にひび割れが発生したので、パ ターン形状の評価は、不良であった。この積 層体の転写性は再現性が不安定であり、幾つ かのサンプルで試した結果、転写できたもの とできなかったものがあった。転写できたサ ンプルで確認した焼成性は、機能性パターン の焼成体の密着力が弱く、その形状にも変形 が見られたので、不良であった。
 比較例5における機能性パターンを含む積層 体では、機能性パターンににじみが発生し、 さらに乾燥中にひび割れが発生したので、パ ターン形状の評価は不良であった。転写性の 評価は、良好であったが、機能性パターンの 焼成体には色目の低下とパターン形状の変形 が見られたので、燃焼性の評価は不良であっ た。

 (対比)
 まず、実施例3と比較例4との対比を行う。
 実施例3における機能性パターンと中間層と の間には、互いの材料が混ざり合った形跡は 見られなかった。これは、機能性パターンに 含有される有機物と中間層に含有される溶媒 との溶解性パラメーターの差が7であり、こ らが相溶しにくい組み合わせになっていた らと考えられる。そして、同じく機能性パ ーンと保護層との間にも、互いの材料が混 り合った形跡は見られなかった。これも、 能性パターンに含有される有機物と保護層 含有される溶媒との溶解性パラメーターの が12.4であり、これらも相溶しにくい組み合 せになっていたからと考えられる。

 これに対して、比較例4における機能性パ ターンと中間層との間には、互いの材料が混 ざり合った結果と考えられるにじみが見られ た。これは、機能性パターンに含有される有 機物と中間層に含有される溶媒との溶解性パ ラメーターの差が1.9であり、相溶しやすい組 み合わせになっていたからと考えられる。そ して、この溶解の影響が粘着層まで達した結 果、粘着力が弱まり、転写性が不安定になっ たと考えられる。なお、機能性パターンと保 護層との間には、互いの材料が混ざり合った 形跡は見られなかった。これは、実施例3と 様に、機能性パターンに含有される有機物 保護層に含有される溶媒との溶解性パラメ ターの差が12.4であったからと考えられる。

 次に、実施例3と実施例4との対比を行う。
 実施例3と実施例4とは、前述したように焼 用転写フィルムの機能性パターンを含む積 体の形成を反対の手順で行った。そのため 施例3と実施例4とでは、中間層と保護層の材 料をそれぞれ異なるものを用いた。しかし、 各層の溶媒は同じものを用いたので、各溶解 性パラメーターの差は同じであった。その結 果、表4に示したように、実施例4における各 価も実施例3における各評価と同様に良好な ものであった。

 実施例3と実施例4との対比により、焼成 転写フィルムを作製するときの各層の形成 に係わりなく、機能性パターンに含有され 有機物と接触層に含有される溶媒との溶解 パラメーターの差を大きくして、相溶しに くすることが、良好な焼成用転写フィルム よび機能性パターンが転写された基体を作 するために重要となることが分かった。

 次に、実施例4と比較例5との対比を行う。
 実施例4における各評価は、前述したように 良好なものであった。
 これに対して、比較例5における機能性パタ ーンと保護層との間には、互いの材料が混ざ り合った結果と考えられるにじみが見られた 。これは、機能性パターンに含有される有機 物と保護層に含有される溶媒との溶解性パラ メーターの差が1.9であり、相溶しやすい組み 合わせになっていたからと考えられる。なお 、機能性パターンと中間層との間には、互い の材料が混ざり合った形跡は見られなかった 。これは、実施例4と同様に、機能性パター に含有される有機物と中間層に含有される 媒との溶解性パラメーターの差が7であった らと考えられる。この中間層がバリアの役 を果たしたために、積層体の転写性が良好 あったと考えられる。

 機能性パターンの焼成体にはパターン形 の変形と共に色目の低下が見られた。この 因として、保護層に含有される溶媒により 機能性パターンに含有される有機物が溶解 れ、機能性パターンの組成にむらが発生し 機能性パターンに含有されている無機成分 ある顔料とガラスフリットの混合状態が変 したことが考えられる。

 以上の実施例3、実施例4、比較例4および 較例5の対比により、良好な機能性パターン の焼成体を得るためには、機能性パターンを 含む積層体において機能性パターンとこれに 直接接する全ての接触層との間で、機能性パ ターンに含有される有機物と接触層に含有さ れる溶媒との溶解性パラメーターの差を大き くする、つまり相溶しにくくすることが重要 であることが分かった。

本発明の第1実施形態の焼成用転写フィ ルムを例示する拡大断面模型図である。 本発明の第2実施形態の焼成用転写フィ ルムを例示する拡大断面模型図である。 本発明の第3実施形態の焼成用転写フィ ルムを例示する拡大断面模型図である。 本発明の第1実施形態の別の焼成用転写 フィルムを例示する拡大断面模型図である。 本発明の第2実施形態の別の焼成用転写 フィルムを例示する拡大断面模型図である。 本発明の第3実施形態の別の焼成用転写 フィルムを例示する拡大断面模型図である。

符号の説明

1 剥離フィルム(第1剥離フィルム)
2 機能性パターン
3 粘着層
4 中間層
5 保護層
6 第2剥離フィルム




 
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