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Patent Searching and Data


Title:
ULTRASONIC ACTUATOR AND MAGNETIC RECORDER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054274
Kind Code:
A1
Abstract:
An ultrasonic actuator capable of acquiring high durability performance while maintaining excellent driving performance without bringing the complexity and high price of a device, and a magnetic recorder are provided. The ultrasonic actuator comprises a vibrator having a contact portion for performing a predetermined vibration and a rotor which has a contacted portion pressurized and contacted by the contact portion and in which the vibration of the contact portion results in a relative displacement to the vibrator. In the ultrasonic actuator, a lubricant in which a gelling agent is mixed is interposed between the contact portion of the vibrator and the contacted portion of the rotor.

Inventors:
MATSUO TAKASHI (JP)
TOCHIMOTO SHIGEAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068466
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA OPTO INC (JP)
MATSUO TAKASHI (JP)
TOCHIMOTO SHIGEAKI (JP)
International Classes:
H02N2/00
Foreign References:
JP2002165470A2002-06-07
JPH0322886A1991-01-31
JPH04285478A1992-10-09
JPH1180765A1999-03-26
JP2004180493A2004-06-24
JP2004048984A2004-02-12
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Claims:
所定の振動を行う当接部を有する振動体と、
前記当接部に加圧接触される被当接部を有して前記当接部の振動により、前記振動体に対して相対移動を生じる移動体と、を備えた超音波アクチュエータにおいて、
前記振動体の当接部と前記移動体の被当接部との間には、ゲル化剤を配合した潤滑剤が介在されていることを特徴とする超音波アクチュエータ。
前記当接部の近傍の前記潤滑剤は、
前記当接部による超音波振動が印加されるにともない、液状化または粘性が低下し、該超音波振動の休止中にゲル化することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の超音波アクチュエータ。
前記潤滑剤は、鉱物系または合成系の基油に、ワックスまたは高級脂肪酸を配合したものであることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の超音波アクチュエータ。
前記潤滑剤の基油は、トラクションオイルであることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の超音波アクチュエータ。
前記潤滑剤には、添加剤として極圧剤が配合されていることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の超音波アクチュエータ。
前記振動体の当接部および前記移動体の被当接部またはそのいずれか一方の接触面には、前記潤滑剤を溜める複数の凹部または穴が形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか1項に記載の超音波アクチュエータ。
情報を記録する記録媒体と、
前記記録媒体に前記情報を読み書きする磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記記録媒体に対して相対移動可能に支持するアームと、
請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか1項に記載の超音波アクチュエータと、を有し、
前記アームは、前記超音波アクチュエータに設けられた前記移動体に固定されることを特徴とする磁気記録装置。
Description:
超音波アクチュエータ、及び磁 記録装置

 本発明は、超音波アクチュエータ、及び 気記録装置に関し、特に移動体を振動体に 圧接触させて相対移動を発生させる超音波 クチュエータ、及び磁気記録装置に関する

 従来、様々な移動装置に超音波アクチュ ータを用いることが試みられている。超音 アクチュエータは、通常、電気-機械エネル ギー変換素子である圧電素子を備えた振動体 と、該振動体に加圧された状態で接触する被 駆動体(移動体)等から構成される。超音波ア チュエータは、振動体に駆動信号を入力し 振動体を伸縮運動させ、振動体の一部に楕 振動(以下、円振動を含む。)をさせること より、振動体に加圧接触された被駆動体と 間で摩擦力により相対運動を発生させるも である。

 超音波アクチュエータは、小型、且つ静 性に優れ、また高速、高精度な位置決め制 が可能なことから、電子カメラ等の電子機 の駆動装置として利用されている。また、 年では、磁気記録装置(HDD)の磁気ヘッドの 動装置として用いることが検討され、その 途はさらに拡大しつつある。

 ところで、HDDは、非常に高い耐久性、例 ば通電2万時間以上の耐久性能が求められる 。また、HDDのディスク室は、非常に高い清淨 度が求められる。この為、このようなHDDに超 音波アクチュエータを用いる場合、耐久性能 を高め、また、摺動部から発生する磨耗粉等 のアクチュエータユニットの外部への飛散を 厳しく規制することが必要とされる。

 このような要求に応える方法として、振動 の当接部と該当接部に接触される移動体の 動面との間に潤滑剤としてトラクションオ ルを介在させることにより磨耗を抑え耐久 を高め、さらに、フッ素系の撥水撥油剤を 動部以外の部分に浸漬塗布することにより ラクションオイルの漏洩を防止する方法が られている(例えば、特許文献1)。また、摺 面にグリースを塗布する方法が従来より知 れている。

特開2004-32985号公報

 しかしながら、特許文献1に開示されてい る方法は、少なくとも以下1乃至3項に示す問 がある。

 1.振動体、及び移動体(ロータ)をフッ素剤 に浸漬した後に、摺動面のフッ素剤を除去す る為に、摺動部を研磨、洗浄する必要があり 工程の複雑化を招く。

 2.撥油剤は、潤滑油をはじく作用はある 、潤滑油の量が多いと漏洩する恐れがある で、塗布量(膜厚)を厳密に管理する必要があ る。

 3.トラクションオイルは揮発性があり、 ラクションオイルを含侵させたセーム皮等 布状部材をロータに当接させてオイルを供 している。このような構成では、布状部材 、いつもロータに当接している為、駆動負 、特に双方向に駆動する場合の駆動負荷が きくなる。また、HDDに用いた場合、オイル 揮発分そのものが磁気ヘッドの故障の原因 なる。

 また、潤滑剤としてグリースを用いる方 は、グリースは、通常状態で半固体状であ ので、オイルに比べ保持性が高く、また、 洩もし難い。しかしながら、粘性が高い為 振動体の振動が減衰し、出力が低下する恐 がある。また、HDDにおける磁気ヘッドの駆 のように、非常に短い周期で往復運動する うな場合、摺動面の油膜が振動体の当接部 よって掻き取られ、ロータの当接面の摺動 域外へ押し退けられる。粘性の低いオイル 場合は、浸透速度が速いので、往復動作よ も早く摺動面に復帰し適正な油膜が常に保 れるが、グリースのように粘性が高い場合 は、往復運動よりも浸透速度が遅い為、油 れを起こし磨耗が生じる、といった問題が る。

 本発明は、上記課題を鑑みてなされたも で、装置の複雑化と高価格化を招くことな 、優れた駆動性能を維持しつつ高い耐久性 を得ることが可能な超音波アクチュエータ 及び磁気記録装置を提供することを目的と る。

 上記目的は、下記の1乃至7のいずれか1項 記載の発明によって達成される。

 1.所定の振動を行う当接部を有する振動体 、
前記当接部に加圧接触される被当接部を有し て前記当接部の振動により、前記振動体に対 して相対移動を生じる移動体と、を備えた超 音波アクチュエータにおいて、
前記振動体の当接部と前記移動体の被当接部 との間には、ゲル化剤を配合した潤滑剤が介 在されていることを特徴とする超音波アクチ ュエータ。

 2.前記当接部の近傍の前記潤滑剤は、
前記当接部による超音波振動が印加されるに ともない、液状化または粘性が低下し、該超 音波振動の休止中にゲル化することを特徴と する前記1に記載の超音波アクチュエータ。

 3.前記潤滑剤は、鉱物系または合成系の 油に、ワックスまたは高級脂肪酸を配合し ものであることを特徴とする前記2に記載の 音波アクチュエータ。

 4.前記潤滑剤の基油は、トラクションオ ルであることを特徴とする前記3に記載の超 波アクチュエータ。

 5.前記潤滑剤には、添加剤として極圧剤 配合されていることを特徴とする前記4に記 の超音波アクチュエータ。

 6.前記振動体の当接部および前記移動体 被当接部またはそのいずれか一方の接触面 は、前記潤滑剤を溜める複数の凹部または が形成されていることを特徴とする前記1乃 5のいずれか1項に記載の超音波アクチュエ タ。

 7.情報を記録する記録媒体と、
前記記録媒体に前記情報を読み書きする磁気 ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記記録媒体に対して相対 移動可能に支持するアームと、
前記1乃至6のいずれか1項に記載の超音波アク チュエータと、を有し、
前記アームは、前記超音波アクチュエータに 設けられた前記移動体に固定されることを特 徴とする磁気記録装置。

 本発明によれば、振動体の当接部と移動 の被当接部との間に、ゲル化剤を配合した 滑剤を介在させる構成とした。すなわち、 動体の当接部が当接し摺動する移動体の摺 面(被当接部)にゲル状潤滑剤を塗布するこ により、良好な耐摩耗性が得られ、高い耐 性能を得ることができる。また、磨耗粉や 滑剤を確実に保持でき、漏洩を防止するこ ができるので、高い清淨度を得ることがで る。

 また、このような構成の超音波アクチュ ータを磁気記録装置のヘッドの駆動に用い ことにより、優れた駆動性能を維持しつつ い耐久性能を得ることができる。

本発明の実施形態に係る超音波アクチ エータの全体構成図である。 振動体の固定方法を示す図である。 振動体の構成を示す図である。 振動体の固有モードにおける変形の様 を示す模式図である。 駆動信号の位相差に対する楕円軌跡の 化の様子を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る磁気記録装置 概略を示す全体構成図である。 振動体のチップ部材が通過した後のゲ 状潤滑剤の態様を示す模式図である。 移動体の摺動面の別例による構成を示 図である。

符号の説明

 1A 磁気記録装置(HDD)
 1 筐体
 2 ディスク
 3 ヘッド
 4 アーム
 5 超音波アクチュエータ
 10 振動体
 10a 貫通穴
 101 圧電部材
 101a A相電極
 101b B相電極
 101c 共通電極
 103 チップ部材
 20 ロータ(移動体)
 20a V字状溝
 20b 摺動面
 201 ゲル状潤滑剤
 30 FPC(フレキシブルプリント配線板)
 40 固定部材
 401 固定ピン
 403 ネジ
 405 接着剤

 以下図面に基づいて、本発明に係る超音 アクチュエータ、及び磁気記録装置の実施 形態を説明する。尚、本発明を図示の実施 形態に基づいて説明するが、本発明は該実 の形態に限られない。

 最初に、本発明に係る超音波アクチュエ タ5の構成を図1を用いて説明する。図1(a)は 超音波アクチュエータ5の全体構成の概要を 示す正面図、図1(b)は、図1(a)におけるA-A″断 図である。

 超音波アクチュエータ5は、図1(a)に示す に、振動体10、ロータ20、FPC30、固定部材40等 から構成される。

 振動体10は、正三角形状をなし、正三角 の各頂点に円筒形状のロータ20が外接してい る。ロータ20は、本発明における移動体に該 し、振動体10に組み込まれる前は、各接触 の寸法が、振動体10の寸法より小さく設定さ れており、組み込まれることにより接触部以 外の部位が弾性変形して(組み込み状態で、 ータ20は、わずかに三角形状になる)、振動 10の各接触部には、ロータ20により所定の押 力が働く。

 図1(b)に示すように、ロータ20の円周断面 は、V字状の溝20aが形成されている。振動体 10の各頂点に設けられた後述の凸形状の3つの チップ部材(当接部)103がロータ20のV字状の溝2 0a嵌まり込むため、スラスト方向への揺動が 制され、ロータ20は高精度に回転を行うこ ができる。また、振動体10に設けられたチッ プ部材103が当接し摺動するロータ20の摺動面( 被当接部)20bには、ゲル状潤滑剤201が塗布さ ている。尚、ゲル状潤滑剤201の詳細につい は後述する。

 振動体10は、後述するように振動の比較 小さい各辺の中央付近を、固定部材40に設け られた3つの固定ピン401により保持される。 持は、圧入、または接着により行う。また 振動体10の各辺の中央付近に切り欠きを設け て固定ピン401により保持することにより、固 定部材40に対する位置決めを行うようにして よい。固定部材40を例えば、後述の磁気記 装置の筐体やフレームに固定することによ 、超音波アクチュエータ5は位置決めされる

 図2に振動体10の別例による固定方法を示 。図2(a)は、振動体10の概要を示す正面図、 2(b)は、図2(a)におけるA-A″断面図である。

 図2(b)に示すように、振動体10の重心位置 貫通穴10aを設け、ネジ403等を用いて固定し もよい。重心位置は、振動の節に当たるの 、固定による振動への影響を最小限に抑え ことができる。

 ロータ20の材料には、弾性の大きな材料 好ましく、ステンレス等の金属材料を用い 。また、磨耗を防ぐため、表面には、窒化 理などの硬化処理を行う。また、CrNやTiCN等 セラミックコーティングを行ってもよい。

 振動体10には、FPC(フレキシブルプリント 線板)30が接続され、図示しない駆動信号生 部から、FPC30を介して、後述する所定の駆 信号が入力される。

 振動体10に駆動信号が入力されると、振 体10の各頂点に設けられた後述の3つのチッ 部材103に、それぞれ同じ方向に回転する高 波の楕円振動が発生する。チップ部材103に 、ロータ20が所定の押圧力で接しているため 、摩擦力によって、ロータ20が回転を行う。 1(a)において、各頂点が時計回りに楕円振動 を行う場合は、ロータ20も時計方向に回転し 各頂点が反時計回りに楕円振動を行う場合 、ロータ20も反時計方向に回転する。尚、 円振動の大きさを変えることにより、速度 トルクを変化させることができる。

 ロータ20は、正三角形状の振動体10の頂点 に設けられた3つのチップ部材103により保持 れるので、ラジアル方向の姿勢安定性が非 に高く、且つ、スラスト方向にはV字状の溝2 0aにより揺動を規制されているので、芯振れ がなく非常に高精度に回転が可能である。 た、ガタがないので、剛性が高く、モータ 応答性を高めることができる。また、振動 10の3つの頂点の他にロータ20を保持する箇 を必要としないため、駆動ロスが抑制され い駆動効率を得ることができる。

 次に、振動体10の構成を図3を用いて説明 る。図3(a)は、振動体10の構成を示す正面図 図3(b)は、側面図、図3(c)は、裏面図である

 図3(a)に示すように、振動体10は、ロータ2 0に当接する3つのチップ部材103と正三角形の 点に平面部が形成された圧電部材101から構 される。チップ部材103は、圧電部材101に接 により結合される。接着には、接着強度が く、剛性の高いエポキシ系接着剤を用いる

 チップ部材103の材料には、磨耗を防ぐた 、硬度の高い、アルミナ、ジルコニア等の ラミックス、あるいは超硬合金等を用いる

 圧電部材101は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛 )等の圧電特性を示す圧電材料からなり、圧 部材a面には駆動用電極、b面には共通薄膜電 極(GND電極)101cが形成される。電極は、銀や銀 パラジウムからなり、蒸着等により形成され る。駆動用電極は、図3(a)に示すように、振 体10の各頂点から対向する辺へ下ろした各垂 線で分割される形状(6分割)で、各頂点に一対 のA相電極領域、B相電極領域を有し、各A相電 極101a、各B相電極101bが、FPC30を介してそれぞ 共通接続されている。FPC30は、後述する振 の節である三角形重心位置付近で接続する とにより振動への影響を最小限に抑えるこ ができる。尚、接続には、ハンダ、または 電性接着剤等を用いる。

 次に、このような構成の超音波アクチュ ータ5の駆動方法について説明する。駆動方 法の基本は、ロータ20を回転させる為の共振 用いた楕円振動駆動である。共振を用いる とにより振動体10の各頂点に楕円振動を励 して駆動する方法であり、振幅を数十倍に 大でき、低電圧で効率的に大きな楕円振動 得ることができる。以下に、その原理と駆 特性について説明する。

 (固有モード)
 最初に固有モードについて図4を用いて説明 する。振動体10の各頂点に同一回転方向の楕 振動を励起するために、本実施形態では、 4に示す2つの固有モードを用いる。図4(a)は 伸縮振動モード、図4(b)は、屈曲振動モード による振動体10の変形の様子を示す模式図で る。伸縮振動モードは、振動体10の重心位 Gを振動の節とし、各頂点を含む3分割された 領域が伸縮振動し、各頂点が同位相で放射状 に往復運動を行う。屈曲振動モードは、振動 体10の重心位置Gを振動の節とし、各頂点を含 む3分割された領域が屈曲振動し、各頂点が 位相で重心位置Gを中心とする振動体10の外 円の円周の接線方向に往復運動を行う。伸 振動モードは、各A相電極101a、各B相電極101b 同位相、屈曲振動モードは、逆位相の各共 周波数と一致する駆動信号を入力すること より、それぞれ励起することができる。

 (位相差駆動方法)
 前述の2つの固有モードの共振周波数を略一 致させ、A相電極101a、B相電極101bに位相の90度 ずれた共振周波数と一致する周波数の駆動信 号VA、VBを入力することにより、2つの固有モ ドが励起・合成され、振動体10の各頂点に じ回転方向の楕円振動が生成される。駆動 号VA、VBの位相を反転させることにより、楕 振動の回転方向が逆転する。また、駆動信 VA、VBの振幅や位相を変化させることにより 、楕円振動の軌跡形状や大きさを変えること ができる。

 楕円軌跡径は、振幅(電圧)に比例して変 する。また、駆動信号VA、VBの位相差を変化 せることにより、楕円形状を変化させるこ ができる。図5は、駆動信号VA、VBの位相差 対する楕円軌跡の変化の様子を示す模式図 ある。図5(a)は、駆動信号VAとVBの位相差が45 、図5(b)は、90°、図5(c)は、135°の場合を示す 。位相差が小さくなると、ロータ20との接触 における法線方向Nの楕円径が大きくなり、 位相差が大きくなると、接線方向Tの径が大 くなる。楕円軌跡形状を変化させることに って、後述する様に、駆動特性を変化させ ことができるので、速度制御や位置制御に 用することができる。また、2相の駆動信号V A、VBで駆動する位相差駆動を行うことにより 、低電圧で駆動できると伴に、位相差による 駆動制御が可能である。

 (単相駆動方法)
 前述の2つの固有モードの共振周波数を所定 値ずらし、その間の周波数の単相の駆動信号 をA相電極101a、B相電極101bのいずれか一方に 力することにより、振動体10の各頂点に同一 回転方向の楕円振動が励起される。入力する 電極を切り替えることにより、楕円の回転方 向を逆転できる。各固有モードの共振周波数 を所定値ずらすことにより、片方の電極駆動 による加振力によって、2つの固有モードの 相がずれて励起され、楕円振動が生成され 。単相の駆動信号によって駆動できるので 駆動回路が簡略化でき、コストを低減する とができる。

 (共振周波数の調整方法)
 2つの固有モードの共振周波数は、チップ部 材103の質量や、振動体10の重心位置に穴を設 て、穴径を調整することにより、所定の関 に設定することができる。また、製造時の2 つの固有モードの共振周波数の誤差を後加工 などで調整することができる。

 (楕円軌跡と駆動性能)
 ここで、楕円軌道と駆動性能の関係につい 前述の図5を用いて説明する。チップ部材103 に生じる楕円振動を、ロータ20の接線方向Tと 法線方向Nに分解した場合、ロータ20の速度は 、チップ部材103の楕円運動の方向Tの速度に って決まるため、楕円軌跡の方向Tの径Rtと 動周波数で決まり、Rtが大きいほど速度が大 きくなる。一方、駆動力は、加圧力と接触点 の摩擦係数の積で決まるが、楕円軌跡の法線 方向Nの径Rnも関係する。これは、楕円軌跡の 加圧方向の径Rnに対して、加圧力が相対的に い場合は、チップ部材103はロータ20に対し 接触、離脱を繰り返しながら、接触中に摩 力により駆動を行うが、径Rnに対して加圧力 が相対的に大きくなると、ロータ20や接触部 面の弾性変形や加圧力を受ける構造部材の 性変形により、常時接触した状態で楕円振 を行うことになる。この状態では、チップ 材103が振動周期中の反駆動方向への移動時 も摩擦力が働きブレーキとなるため、加圧 を上げてもRnで決まる値以上の駆動力は発 しない。また、このような状態での駆動に いては、速度ムラや再現性などの駆動状態 不安定になり、また、異音が発生する等の 具合が起きる場合もある。従って、楕円軌 の加圧方向の径Rnが大きいほど駆動力は大き くなり、安定した駆動が可能となる。

 従って、図5(a)に示す楕円軌跡は、低速高 トルク特性、図5(c)に示す楕円軌跡は、高速 トルク特性となり、駆動信号VA、VBの位相差 変化させることにより、駆動性能を制御す ことができ、等速制御や位置決め制御等の 精度な駆動を行うことができる。

 (DC駆動)
 次に、DC駆動について説明する。DC駆動は、 ロータ20を微小に揺動動作させるための駆動 法で、非常に高精度な位置決めが要求され 場合に用いられ、nmオーダーの位置決め分 能が得られる。前述の共振駆動により粗動( 速、広回転角駆動)を行った後、DC駆動によ 微動を行うことにより、広範囲、高速駆動 高精度位置決めが可能な駆動システムを実 できる。

 駆動方法としては、A相電極101aにのみ直 電圧を印可することにより、振動体10の各頂 点を含む3等分した領域が、図4(b)に示すよう 、CCW方向に屈曲し、チップ部材103の先端がC CW方向に倒れる。チップ部材103に摩擦接触し ロータ20は、摩擦力により同じ量だけ移動( 転)を行い、電圧印可を停止すると、元の状 態に戻る。同様に、B相電極101bにのみ直流電 を印可することにより、ロータ20をCW方向に 微少量移動することができる。また、A相電 101aに直流電圧印加時、B相電極101bにマイナ 電圧を印可することにより、振動体10の屈曲 量が大きくなり、ロータ20の回転量を大きく ることができる。

 このような構成の超音波アクチュエータ5 において、本発明は、振動体10のチップ部材1 03とロータ20の摺動面20bとの磨耗を抑えるこ により耐久性を高め、さらに、摺動部から 生する磨耗粉や潤滑油等のアクチュエータ ニットの外部への漏洩を防止することによ 清淨度を高める為に、ロータ20の摺動面20bに ゲル状潤滑剤201を塗布するものである。以下 にその詳細を説明する。

 (ゲル状潤滑剤の動作)
 ゲル状潤滑剤201は、ロータ20の摺動面20bに 分な量塗布される。特に正確な膜厚に塗布 る必要がないため、工程が非常に簡略であ 。

 振動体10がロータ20に組み込まれ、駆動を 開始すると、チップ部材103に踏みつけられた ゲル状潤滑剤201は、楕円振動により液化し、 余分なゲル状潤滑剤201は、摺動面20bの摺動領 域外に押し退けられる。図7に、振動体10のチ ップ部材103が通過した後のゲル状潤滑剤201の 態様を示す。押し退けられたゲル状潤滑剤201 は、図7に示すように、摺動領域Sの側方にゲ 状のまま土手状の盛り上がり部201bを形成す る。液化したゲル状潤滑剤201aは、この盛り がりにより外部に漏洩することなく、摺動 20bに留まることができる。液化することに り、非常に高速な往復動作であっても、ゲ 状潤滑剤201aの浸透速度が速いため、常に良 な油膜を形成して駆動することができ、磨 を抑えることができる。また、粘性が低い で、振動体10の振動の減衰も抑えられ、高 駆動性能を確保することができる。駆動を 止すると、摺動面20bの液化したゲル状潤滑 201aは、徐々にゲル化を開始するため、液化 よる揮発分は最低限に抑えることが可能で る。再び駆動を開始すると、摺動面20bのゲ 状潤滑剤201は再び液化し良好な油膜を形成 る。

 尚、ロータ20の摺動面20bには、図8に示す うに、凹凸形状を設けてもよい。図8(a)は、 ロータ20の摺動面20bの展開図、図8(b)は、図8(a )におけるB-B″断面図である。

 凹凸形状は、凸部20dが中心線平均粗さで0 .5μm以下程度の平坦面で凹部20cは10μm以上の さに形成することが好ましい。この場合、 動体10のチップ部材103は、凸部20dの平面との 間で潤滑膜を形成しながら駆動を行い、一部 の液化したゲル状潤滑剤201aが凹部20cに溜ま 。従って、チップ部材103により掻き取られ ゲル状潤滑剤201が、浸透し摺動面20bに復帰 るまでの時間が、オイル溜まりが近いこと ら単一平面の場合よりも短くなる。従って より高速な往復動作であっても良好な潤滑 が形成できる。凹凸形状は、ロータ20製造時 にプレス金型面に凹凸形状を成型し、プレス 転写することで形成できる。また、凹部20cの 代わりに微小な穴を設けても、同様の効果を 得ることができる。

 (ゲル状潤滑剤の液化現象)
 本実施例における振動体10の楕円振動の周 数は、約200kHzであり、チップ部材103は、200kH zもの速度でロータ20に衝突、離反を繰り返す 。その結果、振動体10のチップ部材103とロー 20の摺動面20bの間には、局所的、瞬間的に 百度もの熱が発生する。そのときの熱およ 駆動時のせん断力によりゲル状潤滑剤201が 化する。また、潤滑油がない場合は、その きに発生する熱がロータ20の金属面を酸化さ せ磨耗の原因の一つになるが、本実施例の場 合、熱がゲル状潤滑剤201に吸収されるため磨 耗の低減にもつながる。

 このように、チップ部材103の近傍のゲル 潤滑剤201は、チップ部材103による超音波振 が印加されるにともない、液状化または粘 が低下し、該超音波振動の休止中にゲル化 る。尚、ゲル状潤滑剤201の粘度は、ゲル状 から液状化すると1/10以下に低下する。

 (ゲル状潤滑剤の材料)
 本実施例に用いるゲル状潤滑剤201は、液状 基油として、ナフテン系などの鉱物油、PAO( 合成炭化水素)やエステルなどの合成油を用 、ワックスや高級脂肪酸などのゲル化剤を10 ~30%程度配合したものである。ゲル化剤は、 10~150℃程度の融点を有し、ゲル状潤滑剤201 、その前後の温度において、ゲルと液体と 可逆的に変化する。

 基油にナフテン系のトラクションオイル 用いることにより、摩擦係数を高めること でき、超音波アクチュエータ5の推力を向上 させることができる。また、エステルは、揮 発性が低いので、蒸発量をさらに低減させる ことができる。

 また、超音波アクチュエータ5の潤滑駆動 においては、圧力が高く、速度が比較的遅い ため、完全な油膜を形成する流体潤滑や弾性 流体潤滑状態を得ることは困難であり、接触 面の微小な凹凸の一部が互いに接触する境界 潤滑状態になる。従って、潤滑剤の添加剤と して、硫黄やリン系、または、モリブデンな どの極圧剤を配合することで、耐摩耗性がさ らに向上する。ただし、若干の磨耗粉が発生 する場合もあるが、オイル中に拡散されるた め、外部に排出されることはない。また、必 要に応じて、酸化防止剤などの添加剤を配合 してもよい。

 次に、このような構成の超音波アクチュ ータ5を磁気記録ヘッドの駆動に用いた磁気 記録装置の実施の形態について説明する。

 従来の磁気記録装置(以下、HDDと記する) 磁気記録ヘッド(以下、ヘッドと略称する)の 駆動に用いられるアクチュエータは、ヘッド が取り付けられたアームをピボットベアリン グで回転支持する構成で、VCM(ボイスコイル ータ)を用いて駆動を行っている。HDDのヘッ を駆動する場合、高速で回転するディスク のトラックのうねり等に追従しながら位置 め制御を行う必要があり、アクチュエータ は、非常に高い応答性と分解能が要求され 。応答性が上がることにより、記録密度が まるので、HDDの記録容量を増加させること できる。

 しかしながら、従来のアクチュエータの 成は、ベアリングを使用しているため、揺 動作の周波数を上げていくと、ベアリング タに起因する不要な振動が励起され、その 振周波数以上に応答性を上げられないとい 問題がある。本実施形態による超音波アク ュエータ5をHDDのヘッドの駆動に用いること により、このような課題に対応することがで きる。

 図6に、本発明の実施形態に係るHDD1Aの概 構成を示す。HDD1Aは、記録用のディスク(記 媒体)2、超音波アクチュエータ5により矢印A の方向(トラッキング方向)に回転可能に設け れたアーム4、アーム4の先端に取り付けら たヘッド3、及びディスク2を矢印Bの方向に 転させる図示しないモータ等を筐体1の中に えており、ヘッド3がディスク2に対して相 的に移動しうるように構成されている。

 超音波アクチュエータ5は、前述の様に、 ロータ20の弾性で振動体10を保持しながら回 駆動するガタのない構成であり、また、振 体10の正三角形の各頂点でロータ20を保持で るので非常に保持安定性が高い。従って、 音波アクチュエータ5の共振周波数を高くす ることができ、従来の場合に比べて、非常に 高い応答性を得ることができる。

 また、ディスク2上の記録領域は、アーム 4の駆動角度にして約30°度程度ある一方、ト ックのうねりは、数nm~数十μmであり、広範 を高速駆動しながら、非常に高精度、高応 の位置決め性が要求される。本実施形態に る超音波アクチュエータ5では、前述の共振 駆動による粗動とDC駆動による微動を組み合 せることにより、これらの要求に応えるこ ができ、さらに、非常に簡単な構成である め、生産性を高め、製造コストを低減でき 。

 また、HDD1Aの図示しないディスク室は、 常に高い清浄度が保たれており、コンタミ( み)や部材のアウトガスなど厳密に管理され ている。従って、アクチュエータユニットか ら磨耗粉やオイルが漏れ出すことは厳禁であ り、また、オイルの揮発分も極力抑える必要 がある。本実施形態による超音波アクチュエ ータ5を用いることにより、これらの要求を 容易に且つ安価に満たすことができる。

 また、オイルが漏れ出さないので、HDD1A 有害と考えられる極圧材などの添加剤を配 することが可能となり、耐久性を飛躍的に 上させることができる。従来のオイルやグ ースでこのような機能を実現しようとする 、ユニットに排出防止用の磁性流体シール どの高価な部品が必要となる上、組み立て 複雑になる。

 以上、本発明を実施の形態を参照して説 してきたが、本発明は前述の実施の形態に 定して解釈されるべきでなく、適宜変更、 良が可能であることは勿論である。例えば 前述の実施形態においては、円筒形状のロ タ20に三角形状の振動体10を内接させて相対 的に円運動を生じさせる構成としたが、振動 体を一対の平行に配設されたガイドで移動可 能に支持し、相対的に直線移動を生じさせる 、所謂リニア駆動構成であってもよい。

 また、ゲル状潤滑剤201は、前述の材料に 定されるものではなく、同様の挙動を示す のであればよい。

 また、本実施形態による超音波アクチュ ータ5の用途としては、HDD1Aに限られるもの はなく、例えば、レンズ駆動装置などのオ ル漏れやごみの混入に敏感な装置に用いる とにより同様の効果を得ることができる。