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Title:
ULTRASONIC MEASURING DEVICE AND ULTRASONIC MEASURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044528
Kind Code:
A1
Abstract:
An ultrasonic measuring method by which a plurality of ultrasonic waves which are subjected to spread spectrum with codes different from one another are received by first and second receivers, first and second received signals are subjected to an inverse spread processing with a selected code and an unselected code, the amplitude ratio of the generated selected inverse spread signal to the unselected inverse spread signal is obtained, a threshold is determined on the basis of the amplitude ratio, a signal having an amplitude not less than the threshold is extracted from the unselected inverse spread signal to generate an interference signal, the interference signal is subjected to a spread processing with a corresponding unselected code and then removed from the first and second received signals to generate first and second received signals from which the interference signals are removed, the first and second received signals from which the interference signals are removed are subjected to the inverse spread with the selected code to obtain first and second inverse spread signals from which the interference signals are removed, and the propagation distance and propagation orientation of selected ultrasonic waves are calculated from the time at which the first and second inverse spread signals have reached the first and second receivers.

Inventors:
SUGINOUCHI TAKEHIKO
WANG YONG
HASHIMOTO MASAHIKO
Application Number:
PCT/JP2008/002710
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
September 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
SUGINOUCHI TAKEHIKO
WANG YONG
HASHIMOTO MASAHIKO
International Classes:
G01S15/32; G01S3/808; G01S7/526; G01S11/14; G01S15/42
Domestic Patent References:
WO2008010306A12008-01-24
Foreign References:
JP2004108826A2004-04-08
JPH07303092A1995-11-14
JP2000353981A2000-12-19
JPH11205286A1999-07-30
JP2002353866A2002-12-06
JP2000261412A2000-09-22
JPH1188230A1999-03-30
JP2002271234A2002-09-20
Attorney, Agent or Firm:
OKUDA, Seiji (10th Floor Osaka Securities Exchange Bldg.,8-16, Kitahama 1-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 41, JP)
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Claims:
 互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波から、選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうち、少なくとも一方を計測する超音波測定方法であって、
 前記互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波を第1および第2の受波器で受信し、第1および第2の受信信号を生成するステップ(A)と、
 第1および第2の受信信号を、選択された超音波の拡散に用いられた選択符号および少なくとも1つの前記複数の超音波から選択されなかった非選択の超音波の拡散に用いられた対応する非選択符号でそれぞれ逆拡散処理することにより、前記第1および第2の受信信号について、選択逆拡散信号および少なくとも1つの非選択逆拡散信号をそれぞれ生成するステップ(B)と、
 前記第1および第2の受信信号のそれぞれについて、前記選択逆拡散信号と前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号との振幅比をそれぞれ求めるステップ(C)と、
 前記第1および第2の受信信号のそれぞれについて、前記振幅比に基づいて、前記少なくとも1つの閾値をそれぞれ決定するステップ(D)と、
 前記第1および第2の受信信号のそれぞれについて、前記閾値を用いて、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号から前記閾値以上の振幅を有する信号を抽出することにより、少なくとも1つの干渉信号を生成するステップ(E)と、
 前記第1および第2の受信信号のそれぞれについて、前記少なくとも1つの干渉信号を対応する非選択符号で拡散処理した後、前記第1および第2の受信信号から除去することにより、干渉信号が除去された第1および第2の受信信号を生成するステップ(F)と、
 前記干渉信号が除去された第1および第2の受信信号を前記選択符号でそれぞれ逆拡散することにより、前記干渉信号が除去された第1および第2の逆拡散信号を得るステップ(G)と、
 前記干渉信号が除去された第1および第2の逆拡散信号の前記第1および第2の受波器への到達時間から、前記選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうちの少なくとも一方を算出するステップ(H)と、
を包含し、
 前記ステップ(D)は、前記干渉信号が除去された受信信号のS/N比が所定の値以上となる場合の閾値と前記振幅比との関係をあらかじめ求め、前記あらかじめ求めた関係に基づいて、前記振幅比に対し閾値を決定する超音波測定方法。
 互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波から、選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうち、少なくとも一方を計測する超音波測定方法であって、
 前記互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波を第1および第2の受波器で受信し、第1および第2の受信信号を生成するステップ(A)と、
 第1および第2の受信信号を、選択された超音波の拡散に用いられた選択符号および少なくとも1つの前記複数の超音波から選択されなかった非選択の超音波の拡散に用いられた対応する非選択符号でそれぞれ逆拡散処理することにより、前記第1および第2の受信信号について、選択逆拡散信号および少なくとも1つの非選択逆拡散信号をそれぞれ生成するステップ(B)と、
 前記第1および第2の受信信号のそれぞれについて、前記選択逆拡散信号と前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号との振幅比をそれぞれ求めるステップ(C)と、
 前記第1および第2の受信信号のそれぞれについて、前記振幅比に基づいて、前記少なくとも1つの閾値をそれぞれ決定するステップ(D)と、
 前記第1および第2の受信信号のそれぞれについて、前記閾値を用いて、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号から前記閾値以上の振幅を有する信号を抽出することにより、少なくとも1つの干渉信号を生成するステップ(E)と、
 前記第1および第2の受信信号のそれぞれについて、前記少なくとも1つの干渉信号を対応する非選択符号で拡散処理した後、前記第1および第2の受信信号から除去することにより、干渉信号が除去された第1および第2の受信信号を生成するステップ(F)と、
 前記干渉信号が除去された第1および第2の受信信号を前記選択符号でそれぞれ逆拡散することにより、前記干渉信号が除去された第1および第2の逆拡散信号を得るステップ(G)と、
 前記干渉信号が除去された第1および第2の逆拡散信号の前記第1および第2の受波器への到達時間から、前記選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうちの少なくとも一方を算出するステップ(H)と、
を包含し、
 前記ステップ(D)は、少なくとも2つの受波器から得られた前記干渉信号が除去された受信信号の相関値が所定の値以上となる場合の閾値と前記振幅比との関係をあらかじめ求め、前記あらかじめ求めた関係に基づいて、前記振幅比に対し閾値を決定する超音波測定方法。
 前記ステップ(E)は、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号の正規化された振幅情報に基づいて、前記閾値以上の振幅を有する信号を抽出し、
 前記振幅比および閾値をそれぞれxおよびyとしたとき、前記関係は、
y=1(0<x<0.3)
1>y≧0.4(0.3≦x≦0.7)
y≧-x/3+0.6かつy≦-x/3+0.8(0.7<x<1.2)
0.2≦y≦0.4(1.2≦x)
である請求項1に記載の超音波測定方法。
 前記ステップ(E)は、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号の正規化された振幅情報に基づいて、前記閾値以上の振幅を有する信号を抽出し、
 前記振幅比および閾値をそれぞれxおよびyとしたとき、前記関係は、
である請求項2に記載の超音波測定方法。
 前記符号はM系列の擬似拡散符号である請求項1または2に記載の超音波測定方法。
 前記符号に、前記超音波の位相の0度および180度の状態を割り当てる請求項1または2に記載の超音波測定方法。
 互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波から、選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうち、少なくとも一方を計測する超音波測定装置であって、
 前記互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波を受信し、第1および第2の受信信号をそれぞれ生成する第1および第2の受波器と、
 第1および第2の受信信号を、選択された超音波の拡散に用いられた選択符号および少なくとも1つの前記複数の超音波から選択されなかった非選択の超音波の拡散に用いられた対応する非選択符号でそれぞれ逆拡散処理することにより、選択逆拡散信号および少なくとも1つの非選択逆拡散信号をそれぞれ生成する第1および第2の逆拡散部と、
 前記選択逆拡散信号と前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号との振幅比をそれぞれ求める第1および第2の振幅比算出部と、
 前記振幅比に基づいて、前記少なくとも1つの閾値を決定する第1および第2の閾値決定部と、
 前記閾値を用いて、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号から閾値以上の振幅を有する信号を抽出することにより、少なくとも1つの干渉信号をそれぞれ生成する第1および第2の抽出部と、
 前記少なくとも1つの干渉信号を対応する非選択符号でそれぞれ拡散処理する第1および第2の拡散部と、
 前記少なくとも1つの拡散された干渉信号を前記第1および第2の受信信号からそれぞれ除去することにより、干渉信号が除去された第1および第2の受信信号をそれぞれ生成する第1および第2の干渉信号除去部と、
 前記干渉信号が除去された第1および第2の受信信号を前記選択符号で逆拡散することにより、前記干渉信号が除去された第1および第2の逆拡散信号をそれぞれ生成する第1および第2の再逆拡散部と、
 前記干渉信号が除去された第1および第2の逆拡散信号の第1および第2の前記受波器への到達時間から、前記選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうちの少なくとも一方を算出する距離方位算出部と、
を備え、
 前記第1および第2の閾値決定部のそれぞれは、記憶部を含み、あらかじめ求められた前記干渉信号が除去された第1または第2の受信信号のS/N比が所定値以上となる場合の閾値と対応する前記振幅比とが前記記憶部に記憶されており、
 前記振幅比を第1および第2の振幅比算出部から受けとり、前記記憶部に記憶された前記振幅比に対応する閾値を出力する超音波測定装置。
 互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波から、選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうち、少なくとも一方を計測する超音波測定装置であって、
 前記互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波を受信し、第1および第2の受信信号をそれぞれ生成する第1および第2の受波器と、
 第1および第2の受信信号を、選択された超音波の拡散に用いられた選択符号および少なくとも1つの前記複数の超音波から選択されなかった非選択の超音波の拡散に用いられた対応する非選択符号でそれぞれ逆拡散処理することにより、選択逆拡散信号および少なくとも1つの非選択逆拡散信号をそれぞれ生成する第1および第2の逆拡散部と、
 前記選択逆拡散信号と前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号との振幅比をそれぞれ求める第1および第2の振幅比算出部と、
 前記振幅比に基づいて、前記少なくとも1つの閾値を決定する第1および第2の閾値決定部と、
 前記閾値を用いて、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号から閾値以上の振幅を有する信号を抽出することにより、少なくとも1つの干渉信号をそれぞれ生成する第1および第2の抽出部と、
 前記少なくとも1つの干渉信号を対応する非選択符号でそれぞれ拡散処理する第1および第2の拡散部と、
 前記少なくとも1つの拡散された干渉信号を前記第1および第2の受信信号からそれぞれ除去することにより、干渉信号が除去された第1および第2の受信信号をそれぞれ生成する第1および第2の干渉信号除去部と、
 前記干渉信号が除去された第1および第2の受信信号を前記選択符号で逆拡散することにより、前記干渉信号が除去された第1および第2の逆拡散信号をそれぞれ生成する第1および第2の再逆拡散部と、
 前記干渉信号が除去された第1および第2の逆拡散信号の第1および第2の前記受波器への到達時間から、前記選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうちの少なくとも一方を算出する距離方位算出部と、
を備え、
 前記第1および第2の閾値決定部はそれぞれ記憶部を含み、前記干渉信号が除去された第1および第2の受信信号の相関値が所定の値以上となる場合の閾値と対応する前記振幅比とが前記記憶部に記憶されており、
 前記振幅比を第1および第2の振幅比算出部から受けとり、前記記憶部に記憶された前記振幅比に対応する閾値を出力する超音波測定装置。
 前記第1および第2の抽出部は、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号の正規化された振幅情報に基づいて、前記閾値以上の振幅を有する信号を抽出し、
 前記振幅比および閾値をそれぞれxおよびyとしたとき、前記記憶部に記憶された前記振幅比および閾値は、
y=1(0<x<0.3)
1>y≧0.4(0.3≦x≦0.7)
y≧-x/3+0.6かつy≦-x/3+0.8(0.7<x<1.2)
0.2≦y≦0.4(1.2≦x)
の関係を満たしている請求項7に記載の超音波測定装置。
 前記第1および第2の抽出部は、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号の正規化された振幅情報に基づいて、前記閾値以上の振幅を有する信号を抽出し、
 前記振幅比および閾値をそれぞれxおよびyとしたとき、前記記憶部に記憶された前記振幅比および閾値は、
の関係を満たしている請求項8に記載の超音波測定装置。
 前記符号はM系列の擬似拡散符号である請求項7または8に記載の超音波測定装置。
 前記符号に、前記超音波の位相の0度および180度の状態を割り当てる請求項7または8に記載の超音波測定装置。
 互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波から、選択された超音波の伝播距離および伝播方位のうち、少なくとも一方を計測する超音波測定装置であって、
 前記互いに異なる符号でスペクトラム拡散された複数の超音波を受信し、受信信号を生成する受波器と、
 前記受信信号を、選択された超音波の拡散に用いられた選択符号および少なくとも1つの前記複数の超音波から選択されなかった非選択の超音波の拡散に用いられた対応する非選択符号でそれぞれ逆拡散処理することにより、選択逆拡散信号および少なくとも1つの非選択逆拡散信号をそれぞれ生成する逆拡散部と、
 前記選択逆拡散信号と前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号との振幅比をそれぞれ求める振幅比算出部と、
 前記振幅比に基づいて、前記少なくとも1つの閾値を決定する閾値決定部と、
 前記閾値を用いて、前記少なくとも1つの非選択逆拡散信号から閾値以上の振幅を有する信号を抽出することにより、少なくとも1つの干渉信号をそれぞれ生成する抽出部と、
 前記少なくとも1つの干渉信号を対応する非選択符号でそれぞれ拡散処理する拡散部と、
 前記少なくとも1つの拡散された干渉信号を前記受信信号から除去することにより、干渉信号が除去された受信信号をそれぞれ生成する干渉信号除去部と、
 前記干渉信号が除去された受信信号を前記選択符号で逆拡散することにより、前記干渉信号が除去された逆拡散信号を生成する再逆拡散部と、
 前記干渉信号が除去された逆拡散信号の受波器への到達時間から、前記選択された超音波の伝播距離を算出する距離方位算出部と、
を備えた超音波測定装置。
Description:
超音波測定装置および超音波測 方法

 本発明は、超音波を利用した測定装置お び測定方法に関する。特に複数の超音波信 が混信し得る環境において、正しく超音波 伝播距離または伝播方向を測定することの きる測定装置および測定方法に関する。

 超音波測定装置は、超音波を送信する送 器と超音波を受信する受波器とを備え、送 器による超音波の送信後、受波器が超音波 受信するまでに要した時間から、送波器と 波器との間の距離を計測する。あるいは、 波器による超音波の送信後、送波器から送 した超音波が対象物に到達し、対象物にお て反射した超音波を受波器が受信するまで 要した時間から、対象物と超音波測定装置 の間の距離を計測する。

 このような超音波測定装置が複数存在す 環境においては、各超音波測定装置から同 に超音波が送信されると、互いに混信し、 計測が生じ得る。このため、超音波を送信 るタイミングを超音波測定装置ごとにずら ことにより(時分割送信)、超音波の混信を ぐことが考えられる。

 しかし、超音波測定装置が独立して動作 ている場合、混信が生じないように各超音 測定装置の超音波信号を送信するタイミン を制御することはできない。そこで、超音 測定装置が使用する超音波を異なる符号で 号化することによって超音波を区別する方 が考えられている。

 混信した信号から所望の信号の符号を復 して取り出すことを考えると、他の信号は 望の信号とまったく似ていないことが望ま い。このような特性を持つ人為的にある規 に基づいて作られた不規則信号は擬似不規 信号と呼ばれる。取り扱いの簡単さから2値 信号(「1」と「0」)が利用されることが多く M系列、Barker系列、Golay系列などの擬似不規 信号が知られている。

 その中でもM系列は、スペクトラム拡散技 術を用いた通信システムで用いられる符号、 すなわち伝送される情報に対して、識別可能 な雑音状の搬送波として作用する符号である 。異なるM系列間では、所望の信号に対して の信号は雑音にしか見えないため、所望の 号を取り出すには非常に有効である。また 所望の信号同士であっても、時間が少しで ずれれば、雑音のようにしか見えないため 混信した受信信号の時系列の中から、どの 刻に存在しているのかがわかると考えられ 。

 したがって、超音波測定装置においても M系列の擬似不規則信号を用いて超音波を送 受信することにより、複数の超音波測定装置 が独立して動作している場合でも、各超音波 測定装置は他の超音波測定装置が送信する超 音波の影響を受けることなく、正確な測定を 行うことができると考えられる。

 特許文献1は、このようなM系列の擬似不 則信号を用いた超音波測定装置を開示して る。具体的には、M系列の擬似不規則信号を 音波で送信し、測定対象物において反射し 超音波を受信し、受信信号を得る。送信時 から所定の時間間隔でシフトさせた擬似不 則信号と受信信号との相関を求めることに って、相関値がピークとなる時刻が超音波 到達時刻として求められる。送信時刻から 達時刻までの時間が超音波の伝播時間であ ため、超音波の伝播速度に基づいて測定対 物までの距離を求めることができる。

 上述したように、M系列間では、所望の信 号に対して他の信号は雑音にしか見えないた め、別の超音波測定装置から送信された超音 波による受信信号との相関は非常に小さい。 このため、相関値のピークが検出されず、別 の超音波測定装置から得られた擬似不規則信 号を識別することができる。

 しかし、M系列離散を用いて符号化を行っ ても、他の超音波測定装置の送信した超音波 と重なる量が多くなると、相互相関に起因し た干渉が増大する。干渉が増大すると、相関 値のピーク値がなだらかになるため、正確な 超音波の受信時刻を決定することができなく なる。その結果、正確な距離の測定を行えな くなる可能性がある。他の超音波測定装置の 送信した超音波との重なりが大きくなりすぎ ると、相関値のピーク値が得られなくなり、 全く計測ができなくなる可能性もある。また 、他の超音波測定装置が送信した超音波のエ ネルギーのほうが大きい場合には相関値のピ ークもあいまいになり、明瞭なピークが得ら れない可能性もある。

 電波の分野においては、このような複数 波信号が多く混信する環境においても、良 な通信を行うため、自分以外の信号を受信 号からあらかじめ減算して干渉を除去する 法が知られている。

 特許文献2は、このような混信防止技術を 用いた携帯電話の基地局受信機を開示してい る。特許文献2の受信機は、N個(Nは自然数)の ーザに対応し、すべてのユーザからの信号 対して干渉を除去することができる。以下 図22を参照しながら、A、B、Cの3個のユーザ 中からユーザAの信号を取り出す例を説明す る。

 図22に示すように、受信機80は、複素マッ チドフィルタを含む逆拡散部22(1)、22(2)、信 の電力を求める復調部23(1)、23(2)、電力から 定比率の電圧値(閾値)を決める振幅比部25(1) 、25(2)、閾値によって波形を抽出する抽出部2 7(1)、27(2)、再拡散部28(1)、28(2)、遅延部30、お よび逆拡散部31を含む。復調部23(1)、振幅比 25(1)および抽出部27(1)ならびに復調部23(2)、 幅比部25(2)および抽出部27(2)を主波抽出部と ぶ。

 各ユーザ(送信機)から、それぞれ異なる 合で拡散された信号が送信される。拡散と 、送信したい情報(「1」または「0」)をM系列 符号のような擬似不規則符合によって時間的 に拡げることである。拡散された情報は、キ ャリア(搬送波)と呼ばれる正弦波にのせて発 される。正弦波の位相(例えば0度と180度)ま は周波数の違いが、符号化された信号の「1 」および「0」に相当している。

 逆拡散部22(1)、22(2)において、取り出した いユーザA以外のBおよびCの符号で受信信号を 逆拡散処理する。逆拡散処理とは、拡散処理 によって時間的に広がっている情報を、対応 する模擬不規則信号との相関処理によって元 に戻す処理である。

 逆拡散部22(1)はユーザBの符号で受信信号 逆拡散し、逆拡散部22(2)はユーザCの符号で 信信号を逆拡散する。逆拡散によって生成 た信号は、ユーザBとユーザCが送信した情 に相当する正弦波である。この正弦波は伝 路における歪みを受けており、また、熱雑 も含んでいる。したがって、時間的にどこ らどこまでが本当に送信された情報に相当 る正弦波であるかわからない。また、ユー BとユーザCの位置から基地局受信機80までの 播経路は異なっている。

 このため、主波抽出部によって、生成し 信号の閾値処理を行う。閾値処理とは、逆 散された信号から、信号の最大電力に対す 所定比率以上の信号を抽出することである

 具体的には、復調部23(1)は、逆拡散部22(1) から得られる逆拡散された信号の電力(振幅) 報を求める。振幅比部25(1)は電力情報から 大電力を求め、これに所定の比率をかけた 圧値(閾値)を求める。抽出部27(1)は、逆拡散 22(1)によって逆拡散された信号から閾値以 の信号を抽出する。抽出された信号は、再 散部28(1)において拡散処理される。閾値処理 によって、熱雑音成分は除去されるが、伝播 経路における歪みは保持されている。したが って、再拡散された信号は、ユーザBの送信 号が伝播した伝播路のプロファイルを考慮 た信号となる。同様にして、ユーザCが送信 た送信信号も得られる。

 加算器29は、再拡散によって得られたユ ザBの送信信号およびユーザCの送信信号を受 信信号から減算する。このとき、遅延部30は 再拡散部28(1)、28(2)から信号が出力されるま で、受信信号を遅延させる。

 このようにして得られた信号を逆拡散部3 1において、ユーザAの符号を用いて逆拡散す ことによって、ユーザB、Cからの送信信号 よる相互相関に起因した干渉を抑制し、品 の高い逆拡散信号を得ることができる。

 特許文献3も上述の混信防止技術を用いた携 帯電話の基地局受信機を開示している。特許 文献3によれば、N個のユーザに対応した基地 受信機は、受信信号をN個のマッチドフィル タで処理し、その出力を閾値処理して所定レ ベル以上の出力を抽出し、抽出された出力を 対応する拡散符号で再拡散し、受信信号と再 拡散された信号とが同期するように、受信信 号を遅延さえ、遅延させた受信信号から再拡 散された信号を減じることにより、所望のユ ーザからの信号を抽出する。

特開2004-108826号公報

特許第3476987号公報

特開平9-200179号公報

 特許文献2および3は携帯電話の基地局受 機に用いられる技術であり、基地局がカバ する広域のエリアに対して携帯電話を使用 ているユーザの相対的移動は小さい。この め、取り出したいユーザの受信信号や他の ーザの受信信号の振幅変動は小さい。つま 、閾値の評価基準である最大電力の変化は 較的小さい。

 しかし、超音波測定装置では、反射体や 律移動体などの測定対象物の移動速度が超 波測定装置の計測範囲に対して大きいこと ら、環境によって伝播路のプロファイルが 時間に大きく変化する。このため、測定ご に閾値を変化さる必要があり、また、その 動幅も大きい。特許文献2に開示された技術 によれば、このような超音波測定装置に特有 の問題に対して好適に対応することができな い。

 本発明は、このような従来技術の課題を 決し、超音波測定装置が複数存在する環境 おいて、精度の高い計測を行うことのでき 超音波測定装置および超音波測定方法を提 することを目的とする。

 本発明の超音波測定方法は、互いに異な 符号でスペクトラム拡散された複数の超音 から、選択された超音波の伝播距離および 播方位のうち、少なくとも一方を計測する 音波測定方法であって、前記互いに異なる 号でスペクトラム拡散された複数の超音波 第1および第2の受波器で受信し、第1および 2の受信信号を生成するステップ(A)と、第1 よび第2の受信信号を、選択された超音波の 散に用いられた選択符号および少なくとも1 つの前記複数の超音波から選択されなかった 非選択の超音波の拡散に用いられた対応する 非選択符号でそれぞれ逆拡散処理することに より、前記第1および第2の受信信号について 選択逆拡散信号および少なくとも1つの非選 択逆拡散信号をそれぞれ生成するステップ(B) と、前記第1および第2の受信信号のそれぞれ ついて、前記選択逆拡散信号と前記少なく も1つの非選択逆拡散信号との振幅比をそれ ぞれ求めるステップ(C)と、前記第1および第2 受信信号のそれぞれについて、前記振幅比 基づいて、前記少なくとも1つの閾値をそれ ぞれ決定するステップ(D)と、前記第1および 2の受信信号のそれぞれについて、前記閾値 用いて、前記少なくとも1つの非選択逆拡散 信号から前記閾値以上の振幅を有する信号を 抽出することにより、少なくとも1つの干渉 号を生成するステップ(E)と、前記第1および 2の受信信号のそれぞれについて、前記少な くとも1つの干渉信号を対応する非選択符号 拡散処理した後、前記第1および第2の受信信 号から除去することにより、干渉信号が除去 された第1および第2の受信信号を生成するス ップ(F)と、前記干渉信号が除去された第1お よび第2の受信信号を前記選択符号でそれぞ 逆拡散することにより、前記干渉信号が除 された第1および第2の逆拡散信号を得るステ ップ(G)と、前記干渉信号が除去された第1お び第2の逆拡散信号の前記第1および第2の受 器への到達時間から、前記選択された超音 の伝播距離および伝播方位のうちの少なく も一方を算出するステップ(H)とを包含し、 記ステップ(D)は、前記干渉信号が除去され 受信信号のS/N比が所定の値以上となる場合 閾値と前記振幅比との関係をあらかじめ求 、前記あらかじめ求めた関係に基づいて、 記振幅比に対し閾値を決定する。

 ある好ましい実施形態において、前記ステ プ(E)は、前記少なくとも1つの非選択逆拡散 信号の正規化された振幅情報に基づいて、前 記閾値以上の振幅を有する信号を抽出し、前 記振幅比および閾値をそれぞれxおよびyとし とき、前記関係は、
y=1(0<x<0.3)
1>y≧0.4(0.3≦x≦0.7)
y≧-x/3+0.6かつy≦-x/3+0.8(0.7<x<1.2)
0.2≦y≦0.4(1.2≦x)である。

 本発明の超音波測定方法は、互いに異な 符号でスペクトラム拡散された複数の超音 から、選択された超音波の伝播距離および 播方位のうち、少なくとも一方を計測する 音波測定方法であって、前記互いに異なる 号でスペクトラム拡散された複数の超音波 第1および第2の受波器で受信し、第1および 2の受信信号を生成するステップ(A)と、第1 よび第2の受信信号を、選択された超音波の 散に用いられた選択符号および少なくとも1 つの前記複数の超音波から選択されなかった 非選択の超音波の拡散に用いられた対応する 非選択符号でそれぞれ逆拡散処理することに より、前記第1および第2の受信信号について 選択逆拡散信号および少なくとも1つの非選 択逆拡散信号をそれぞれ生成するステップ(B) と、前記第1および第2の受信信号のそれぞれ ついて、前記選択逆拡散信号と前記少なく も1つの非選択逆拡散信号との振幅比をそれ ぞれ求めるステップ(C)と、前記第1および第2 受信信号のそれぞれについて、前記振幅比 基づいて、前記少なくとも1つの閾値をそれ ぞれ決定するステップ(D)と、前記第1および 2の受信信号のそれぞれについて、前記閾値 用いて、前記少なくとも1つの非選択逆拡散 信号から前記閾値以上の振幅を有する信号を 抽出することにより、少なくとも1つの干渉 号を生成するステップ(E)と、前記第1および 2の受信信号のそれぞれについて、前記少な くとも1つの干渉信号を対応する非選択符号 拡散処理した後、前記第1および第2の受信信 号から除去することにより、干渉信号が除去 された第1および第2の受信信号を生成するス ップ(F)と、前記干渉信号が除去された第1お よび第2の受信信号を前記選択符号でそれぞ 逆拡散することにより、前記干渉信号が除 された第1および第2の逆拡散信号を得るステ ップ(G)と、前記干渉信号が除去された第1お び第2の逆拡散信号の前記第1および第2の受 器への到達時間から、前記選択された超音 の伝播距離および伝播方位のうちの少なく も一方を算出するステップ(H)とを包含し、 記ステップ(D)は、少なくとも2つの受波器か 得られた前記干渉信号が除去された受信信 の相関値が所定の値以上となる場合の閾値 前記振幅比との関係をあらかじめ求め、前 あらかじめ求めた関係に基づいて、前記振 比に対し閾値を決定する。

 ある好ましい実施形態において、前記ステ プ(E)は、前記少なくとも1つの非選択逆拡散 信号の正規化された振幅情報に基づいて、前 記閾値以上の振幅を有する信号を抽出し、前 記振幅比および閾値をそれぞれxおよびyとし とき、前記関係は、
である。

 ある好ましい実施形態において、前記符 はM系列の擬似拡散符号である。

 ある好ましい実施形態において、前記符 に、前記超音波の位相の0度および180度の状 態を割り当てる。

 本発明の超音波測定装置は、互いに異な 符号でスペクトラム拡散された複数の超音 から、選択された超音波の伝播距離および 播方位のうち、少なくとも一方を計測する 音波測定装置であって、前記互いに異なる 号でスペクトラム拡散された複数の超音波 受信し、第1および第2の受信信号をそれぞ 生成する第1および第2の受波器と、第1およ 第2の受信信号を、選択された超音波の拡散 用いられた選択符号および少なくとも1つの 前記複数の超音波から選択されなかった非選 択の超音波の拡散に用いられた対応する非選 択符号でそれぞれ逆拡散処理することにより 、選択逆拡散信号および少なくとも1つの非 択逆拡散信号をそれぞれ生成する第1および 2の逆拡散部と、前記選択逆拡散信号と前記 少なくとも1つの非選択逆拡散信号との振幅 をそれぞれ求める第1および第2の振幅比算出 部と、前記振幅比に基づいて、前記少なくと も1つの閾値を決定する第1および第2の閾値決 定部と、前記閾値を用いて、前記少なくとも 1つの非選択逆拡散信号から閾値以上の振幅 有する信号を抽出することにより、少なく も1つの干渉信号をそれぞれ生成する第1およ び第2の抽出部と、前記少なくとも1つの干渉 号を対応する非選択符号でそれぞれ拡散処 する第1および第2の拡散部と、前記少なく も1つの拡散された干渉信号を前記第1および 第2の受信信号からそれぞれ除去することに り、干渉信号が除去された第1および第2の受 信信号をそれぞれ生成する第1および第2の干 信号除去部と、前記干渉信号が除去された 1および第2の受信信号を前記選択符号で逆 散することにより、前記干渉信号が除去さ た第1および第2の逆拡散信号をそれぞれ生成 する第1および第2の再逆拡散部と、前記干渉 号が除去された第1および第2の逆拡散信号 第1および第2の前記受波器への到達時間から 、前記選択された超音波の伝播距離および伝 播方位のうちの少なくとも一方を算出する距 離方位算出部とを備え、前記第1および第2の 値決定部のそれぞれは、記憶部を含み、あ かじめ求められた前記干渉信号が除去され 第1または第2の受信信号のS/N比が所定値以 となる場合の閾値と対応する前記振幅比と 前記記憶部に記憶されており、前記振幅比 第1および第2の振幅比算出部から受けとり、 前記記憶部に記憶された前記振幅比に対応す る閾値を出力する。

 ある好ましい実施形態において、前記第1お よび第2の抽出部は、前記少なくとも1つの非 択逆拡散信号の正規化された振幅情報に基 いて、前記閾値以上の振幅を有する信号を 出し、前記振幅比および閾値をそれぞれxお よびyとしたとき、前記記憶部に記憶された 記振幅比および閾値は、
y=1(0<x<0.3)
1>y≧0.4(0.3≦x≦0.7)
y≧-x/3+0.6かつy≦-x/3+0.8(0.7<x<1.2)
0.2≦y≦0.4(1.2≦x)
の関係を満たしている。

 本発明の超音波測定装置は、互いに異な 符号でスペクトラム拡散された複数の超音 から、選択された超音波の伝播距離および 播方位のうち、少なくとも一方を計測する 音波測定装置であって、前記互いに異なる 号でスペクトラム拡散された複数の超音波 受信し、第1および第2の受信信号をそれぞ 生成する第1および第2の受波器と、第1およ 第2の受信信号を、選択された超音波の拡散 用いられた選択符号および少なくとも1つの 前記複数の超音波から選択されなかった非選 択の超音波の拡散に用いられた対応する非選 択符号でそれぞれ逆拡散処理することにより 、選択逆拡散信号および少なくとも1つの非 択逆拡散信号をそれぞれ生成する第1および 2の逆拡散部と、前記選択逆拡散信号と前記 少なくとも1つの非選択逆拡散信号との振幅 をそれぞれ求める第1および第2の振幅比算出 部と、前記振幅比に基づいて、前記少なくと も1つの閾値を決定する第1および第2の閾値決 定部と、前記閾値を用いて、前記少なくとも 1つの非選択逆拡散信号から閾値以上の振幅 有する信号を抽出することにより、少なく も1つの干渉信号をそれぞれ生成する第1およ び第2の抽出部と、前記少なくとも1つの干渉 号を対応する非選択符号でそれぞれ拡散処 する第1および第2の拡散部と、前記少なく も1つの拡散された干渉信号を前記第1および 第2の受信信号からそれぞれ除去することに り、干渉信号が除去された第1および第2の受 信信号をそれぞれ生成する第1および第2の干 信号除去部と、前記干渉信号が除去された 1および第2の受信信号を前記選択符号で逆 散することにより、前記干渉信号が除去さ た第1および第2の逆拡散信号をそれぞれ生成 する第1および第2の再逆拡散部と、前記干渉 号が除去された第1および第2の逆拡散信号 第1および第2の前記受波器への到達時間から 、前記選択された超音波の伝播距離および伝 播方位のうちの少なくとも一方を算出する距 離方位算出部とを備え、前記第1および第2の 値決定部はそれぞれ記憶部を含み、前記干 信号が除去された第1および第2の受信信号 相関値が所定の値以上となる場合の閾値と 応する前記振幅比とが前記記憶部に記憶さ ており、前記振幅比を第1および第2の振幅比 算出部から受けとり、前記記憶部に記憶され た前記振幅比に対応する閾値を出力する。

 ある好ましい実施形態において、前記第1お よび第2の抽出部は、前記少なくとも1つの非 択逆拡散信号の正規化された振幅情報に基 いて、前記閾値以上の振幅を有する信号を 出し、前記振幅比および閾値をそれぞれxお よびyとしたとき、前記記憶部に記憶された 記振幅比および閾値は、
の関係を満たしている。

 ある好ましい実施形態において、前記符 はM系列の擬似拡散符号である。

 ある好ましい実施形態において、前記符 に、前記超音波の位相の0度および180度の状 態を割り当てる。

 本発明の超音波測定装置は、互いに異な 符号でスペクトラム拡散された複数の超音 から、選択された超音波の伝播距離および 播方位のうち、少なくとも一方を計測する 音波測定装置であって、前記互いに異なる 号でスペクトラム拡散された複数の超音波 受信し、受信信号を生成する受波器と、前 受信信号を、選択された超音波の拡散に用 られた選択符号および少なくとも1つの前記 複数の超音波から選択されなかった非選択の 超音波の拡散に用いられた対応する非選択符 号でそれぞれ逆拡散処理することにより、選 択逆拡散信号および少なくとも1つの非選択 拡散信号をそれぞれ生成する逆拡散部と、 記選択逆拡散信号と前記少なくとも1つの非 択逆拡散信号との振幅比をそれぞれ求める 幅比算出部と、前記振幅比に基づいて、前 少なくとも1つの閾値を決定する閾値決定部 と、前記閾値を用いて、前記少なくとも1つ 非選択逆拡散信号から閾値以上の振幅を有 る信号を抽出することにより、少なくとも1 の干渉信号をそれぞれ生成する抽出部と、 記少なくとも1つの干渉信号を対応する非選 択符号でそれぞれ拡散処理する拡散部と、前 記少なくとも1つの拡散された干渉信号を前 受信信号から除去することにより、干渉信 が除去された受信信号をそれぞれ生成する 渉信号除去部と、前記干渉信号が除去され 受信信号を前記選択符号で逆拡散すること より、前記干渉信号が除去された逆拡散信 を生成する再逆拡散部と、記干渉信号が除 された逆拡散信号の受波器への到達時間か 、前記選択された超音波の伝播距離を算出 る距離方位算出部を備える。

 このように本発明によれば、干渉信号を 去した受信信号のS/N比が良好になるように 渉信号を生成する際に抽出に用いる閾値を 化させる。この閾値は、選択された超音波 拡散に用いられた選択符号を用いて受信信 を逆拡散した選択逆拡散信号と、選択しな った非選択の超音波の拡散に用いられた比 択符号を用いて受信信号を逆拡散した非選 逆拡散信号との振幅比から決定される。振 比に応じて閾値を決定することにより、非 択逆拡散信号に含まれるノイズの影響を適 に評価することができ、ノイズの影響が少 い正確な干渉信号を再現することができる したがって、本発明によれば、最適な干渉 去を行うことができ、対象物までの距離や 位を正確に測定することができる。

本発明による超音波測定装置の使用環 の一例を示す図である。 本発明で用いる2相位相シフト変調を説 明する図である。 拡散された信号を逆拡散することによ て得られる波形を説明する図である。 干渉波が重畳している拡散された信号 逆拡散することによって得られる波形を説 する図である。 本発明による超音波測定装置の実施形 の基本的な構成を示すブロック図である。 図5の超音波測定装置の演算部14で作成 れる駆動信号16の一例を示す図である。 図5の超音波測定装置の受信データ19を す図である。 図5の超音波測定装置の干渉除去器20の 本的な構成を示すブロック図である。 本実施形態による超音波測定方法を示 フローチャートである。 本実施形態において、干渉信号を除去 する前の逆拡散信号の波形を示している。 図10に示す逆拡散信号61、62、62の振幅 報の波形を示している。 図11の振幅情報の波形を正規化した後 設定される閾値を示す図である。 図11に示す閾値を用いて干渉信号から 値以上の信号を抽出した波形を示す図であ 。 受信信号から図12に示す干渉信号が除 された信号を逆拡散することによって得ら た信号の波形を示す図である。 閾値LUTを作成するための振幅比と閾値 との組み合わせによって得られるS/N比を示す 図である。 (a)および(b)は、超音波測定装置S2に割 当てられた拡散符号で逆拡散された波形62 振幅情報67と閾値LUT26の関係を示している。 閾値LUTとして好ましい振幅比と閾値と の範囲を示す図である。 図15の曲線32を近似する関数を示す図 ある。 図15の領域33を近似する関数を示す図 ある。 (a)から(d)は、本実施形態による実験結 果を示しており、逆拡散前の波形を示してい る。 (a)から(c)は、図20(a)、(c)、(d)に示す波 を逆拡散したものをそれぞれ示している。 従来の携帯電話の分野における干渉除 去装置の基本的な構成を示すブロック図であ る。

符号の説明

 2   物体
 3、4、5   超音波伝播経路
 6   拡散符号
 12  送波器
 13  受波器
 14  送信部
 15  演算部
 17  受信部
 18  窓設定部
 20  干渉除去器
 21  距離方位算出部
 22  逆拡散部
 23  復調部
 25  振幅比算出部
 26  閾値LUT
 27  抽出部
 28  拡散部
 29  加算器
 30  遅延部
 31  再逆拡散部
 S1、S2、S3  超音波測定装置

 以下、図面を参照しながら本発明の超音 測定装置および超音波測定方法の実施形態 説明する。本発明の超音波測定装置は、複 の超音波から、所望の選択された超音波の 播距離および伝播方位のうち、少なくとも 方を計測する。図1は、本発明の超音波測定 装置が使用される環境を模式的に示しており 、超音波測定装置が複数存在している。

 超音波測定装置S1は、伝播経路3を通り物 2に向けて超音波を送信し、物体2において 射する反射波を受信することにより、伝播 路3の長さあるいは、物体2と超音波測定装置 S1との距離を計測する。また、超音波測定装 S1から見た物体2の方位を求めることも可能 ある。

 超音波測定装置S2および超音波測定装置S3 は、超音波を送受信することにより、それぞ れ距離や方位を計測している。超音波測定装 置S2が送信する超音波は、伝播経路4を通って 超音波測定装置S1に到達している。一方、超 波測定装置S3から送信される超音波は、超 波測定装置S1へは到達しない。

 超音波測定装置S1、超音波測定装置S2およ び超音波測定装置S3は、それぞれ独立して動 しており、お互いに他の超音波測定装置の 作に関する情報は送受信していない。

 以下、本実施形態として、超音波測定装 S1を説明する。なお、本実施形態では、超 波測定装置S1は超音波を送信するための送波 器および送波器を駆動する駆動部を備えてい るが、超音波測定装置S1は、送波器および駆 部を備えておらず、超音波測定装置S1とは 立した超音波送波装置から送信される超音 を受信することによって、超音波送波装置 超音波測定装置S1との距離を測定したり、超 音波送波装置の方位を測定したりしてもよい 。また、発明が理解しやすいように3つの超 波測定装置が動作している環境を説明する 、本発明はより多くの超音波測定装置が動 している環境において、好適に他の超音波 定装置からの影響を低減し、正確な距離や 位の測定を行うことができる。

 図1に示す超音波測定装置S1~S3が送信する 音波は、互いに異なるM系列符号によって符 号化され、スペクトラム拡散されている。符 号化のための変調方式には、たとえば、拡散 符号の「1」を100kHz以下の正弦波に対応させ 拡散符号の「0」を180度位相が反転した100kHz 下の正弦波に対応させる2相位相シフト変調 を用いる。なお、この100kHz以下の正弦波のこ とを搬送波と呼ぶ。

 拡散符号の単一の符号内に存在する正弦 の波数は、用いる送波器および受波器の帯 に応じて決定することが好ましい。帯域が い場合には波数を多くし、逆の場合には少 くする。波数が少ないほうが、スペクトラ 拡散の拡散率が高くなるので、耐雑音性は 上する。M系列の次数(M系列の長さ)は大きい ほど、他のM系列との相関が低くなる。した って、M系列の次数は、大きいほど干渉雑音 少ないため好ましい。しかし次数が大きく るにつれて、送信する超音波は長くなり、 境における変化の影響を受け易くなる。

 これらの点を考慮して、たとえば超音波 定器が最大で4台存在する環境においては、 7次のM系列を使用し、最大で10台存在する環 においては、たとえば、9次のM系列を使用す る。このように、同じ環境に存在する超音波 測定装置の台数によってM系列の長さを変更 ることが好ましい。たとえば、搬送波の周 数が40kHzであり、単一の符号内に存在する正 弦波の波数を1とした場合、7次のM系列を用い ると、送信する超音波の長さは、約3ms程度に なる。

 図2は、2相位相シフト変調方式を説明す 図である。たとえば「1、0、1、1」で表され 拡散符号6を用いて正弦波の搬送波を2相位 シフト変調方式によって拡散した場合、波 7のランダム波が得られる。波形7では、符号 「0」と符号「1」との境界において、位相が 転している。

 図3は、M系列の拡散符号を用い、2相位相 フト変調方式によって拡散された信号の一 である波形8を示している。波形8を同じ拡 符号で逆拡散すると、波形9が得られる。拡 で用いた符号と逆拡散で用いた符号とが異 れば、このように波形が現れることがない したがって、図1の超音波測定装置S1、超音 測定装置S2および超音波測定装置S3は、それ ぞれ異なる拡散符合で送信する超音波を拡散 し、受信時に自分の拡散符号で逆拡散するこ とで、自分が送信した波形のみを抽出するこ とができる。

 図4は、別の符号で拡散された信号が干渉 している信号の波形10を示している。干渉し いる信号の符号ではない、正しい拡散符号 よって、波形10を逆拡散することによって 波形11が得られる。図3の波形9と比べて、雑 部分と抽出した信号の振幅比(振幅の相対的 な大きさ)が小さくなっていることが分かる この振幅比は、干渉している信号数が多く るにつれて小さくなる。

 これは、拡散符号が完全にはランダムで ないため、異なる符号間でも多少の相互相 あり、相関値に応じて干渉している信号の 幅成分が重畳するからである。図4の波形10 は、干渉する信号の振幅が、自信号の振幅 ほぼ同じである場合を示しているが、干渉 る信号の振幅が自信号の振幅値よりも大き なると、雑音部分の振幅はさらに大きくな 、所望の信号を抽出することが困難となる

 図1に示された環境の場合、超音波測定装 置S1が物体2までの距離や方位の測定に用いる 超音波は、伝播経路3を通って物体2によって 射し、再び伝播経路3を通って超音波測定装 置S1に戻る。これに対して、超音波測定装置S 2から伝播経路4を通る超音波は、物体2などに 反射せず、超音波測定装置S1に直接到達する このため、超音波測定装置S2から超音波測 装置S1に到達する超音波は、超音波測定装置 S1が送信し、物体2から反射する超音波よりも エネルギーが大きい。つまり、超音波測定装 置S1では、自信号よりも干渉信号のほうが大 く、干渉信号を除去しないと、自信号の伝 時間を正確に測定することは困難となる。

 本発明の超音波測定装置は、干渉する信 を除去することによって、干渉による影響 ない受信信号を生成し、得られた受信信号 用いて、超音波の伝播時間を正確に測定す ことによって、正確な距離あるいは方位の 定を行うことができる。ただし、超音波測 装置S1~S3が、たとえば自走するロボットの うな移動体に搭載されている場合、超音波 定装置S1~S3の位置は常に変化する。このため 、他の超音波測定装置から到達する超音波の 方向や強度も大きく変化し、干渉する信号の 強度も大きく変化する。したがって、本発明 の超音波測定装置は、所望の超音波による信 号と干渉する超音波による信号との強度比に 基づいて干渉信号を正確に再現する。

 図5は、本発明による超音波測定装置S1の 本構成を示すブロック図である。超音波測 装置は、送波器12、第1の受波器13(1)、第2の 波器13(2)、送信部14、演算部15、第1の受信部 17(1)、第2の受信部(2)、窓設定部18、干渉除去 20および距離方位算出部21を備えている。干 渉除去器20など、超音波測定装置を構成する 構成要素あるいはその構成要素の果たす機 の一部は、ソフトウエアによって実現して よい。

 本実施形態では、超音波を第1の受波器13( 1)および第2の受波器13(2)で受信し、それぞれ 受信器で受信した超音波の伝播時間を求め 。伝播時間の差から超音波が伝播してきた 位を算出する。以下、第1の受波器13(1)およ 第2の受波器13(2)をまとめて参照する場合に 、受波器13と呼ぶこともある。

 超音波測定装置の最大測定距離(測定限界 )を5m~10mと設定した場合、最大測定距離と大 中における超音波の減衰特性とを考慮する とにより、使用する超音波の周波数を決定 ることができる。超音波の周波数が高けれ 波長が短くなるので、伝播時間測定におけ 時間分解能は向上する。しかし、周波数が いと、大気中での超音波の減衰も大きくな 。送波器12および受波器13の駆動も考慮し、 えば最大測定距離5mに設定する場合、100kHz 下の超音波が適している。本実施形態では 40kHzの超音波を計測に用いる。

 送波器12および受波器13には圧電セラミッ クのたわみ振動子を用いた超音波振動子、あ るいは、PVDF圧電高分子膜を振動子とした送 器および受波器などを用いることができる 第1の受波器13(1)および第2の受波器13(2)は、 離Lを隔てて隣接して配置されている。最大 定距離5mである場合、距離Lは超音波の波長 下(40kHzの場合8.5mm)であることが好ましい。 1の受波器13(1)および第2の受波器13(2)として じ規格の超音波振動子等を用いる限り、受 器の特性のばらつきは、計測精度にほとん 影響を与えない。

 演算部15はマイコンなどによって構成さ 、駆動信号を生成し、また、干渉除去器20、 窓設定部18および距離方位算出部21を制御す 。演算部15で生成する駆動信号の一例を図6 おいて、波形7で示す。演算部15で生成する 動信号は、M系列の拡散符号6により拡散処理 されたランダム波7の振幅の頂点で送信器12を 駆動する。演算部10で作成された駆動信号の ンプリング周期は、搬送波の周波数の4倍と する。演算部10から出力された駆動信号は、 信部14で増幅され送信器12を駆動する。これ により超音波が送信される。

 第1の受波器13(1)、第2の受波器13(2)は、物 2において反射した超音波をそれぞれ受信し 、受信した超音波を電気的な受信信号に変換 する。第1の受信部17(1)、第2の受信部17(2)は、 それぞれ受信信号を増幅し、A-D変換する。A-D 変換のサンプリング周波数は、搬送波の周波 数の4倍以上であることが好ましい。

 演算部15は、第1の受波器13(1)、第2の受波 13(2)によってそれぞれ受信され、デジタル ータに変換された受信信号から、送信開始 刻より一定時間経過した後の一定時間分を り出し、切り出された受信信号のデータが 渉除去器20へ出力される。ここで、一定時間 分とは、送信し超音波が第1の受波器13(1)、第 2の受波器13(2)へ最も早く超音波が到達する時 刻をT1とし、最も遅く超音波が到達する時刻 T2とした場合、T2-T1である。受信信号データ を切り出すための時間の設定は、超音波測定 装置の計測可能な測定距離および、計測に用 いる超音波の長さに基づいて設定される。

 例えば測定範囲が1m~5mである場合、超音 は測定範囲内にある物体と超音波測定装置 の間を往復するため、伝播距離は2m~10mとな 。超音波の空気中での音速は約340m/secである ので、2mおよび10mを伝播時間に換算すると、 れぞれ約6msecおよび約30msecとなる。また、7 のM系列の信号の長さは、搬送波の周波数を 40kHzとし、単一の符号内に存在する正弦波の 数を3とすると、約9.5msecである。したがっ 、最も早く超音波が到達する時刻T1は、6msで あり、最も遅く超音波が到達する時刻T2は、3 9.5msecとなる。したがって、窓設定部16は、超 音波の送信を開始した時刻をゼロとして、時 刻T1=6msから時刻T2=39.5msまでの期間を含むよう に受信データを切り出す窓を設定する。

 図7は、第1の受波器13(1)に受信され、切り 出された受信データ19の波形を示している。 様の波形のデータが第2の受波器13(2)からも られる。これらのデータは干渉除去器20へ 力される。

 図5に示すように、干渉除去器20は、第1の 干渉除去部20(1)および第2の干渉除去部20(2)を む。第1の干渉除去部20(1)および第2の干渉除 去部20(2)は、第1の受波器13(1)、第2の受波器13( 2)によってそれぞれ受信され、切り出された 信信号から除去すべき干渉信号を生成し、 信信号から干渉信号を除去する。本実施形 では図1に示すように超音波測定装置S2から 超音波を最適に取り除く干渉除去処理を行 。干渉除去器20の動作は以下において詳し 説明する。

 干渉除去処理が施された2つの受信信号は 距離方位算出器21に入力される。距離方位算 器21は、干渉除去処理が施された2つの受信 号、つまり、送信器12から送信され、物体2 おいて反射した超音波のみが第1の受波器13( 1)および第2の受波器13(2)により受信され、生 した受信信号の到達時刻を求め、到達時刻 差および送信開始からの経過時間を求める とにより、物体2との距離と方位が算出され る。受信信号から波形の時間的位置を直接求 めてもよいし、2つの受信信号を振幅情報に 換し、振幅情報のピーク値の時間的位置を めてもよい。たとえば、Japanese Journal of App lied Physics Vol.43, No.5B,2004, pp.3169-3175に記載 れる方法によって求めることができる。

 また、十分に遠い音源からの超音波を二つ 超音波受波器で検出した時間差をδT、超音 の音速をvとすると、二つの超音波受波器間 の距離Lを用いて、物体2の方向を示す角度θ 、次式より求められる。

 また、干渉信号が除去された2つの受信信 号の位相差より方位を求めてもよい。超音波 の搬送波の周波数が40kHzである場合、1波長が 25μs(=1/40kHz)となる。この1波長分の位相2πが25 μsに相当することから、位相差を時間差に換 算することができ、式(1)を用いることにより 、さらに方位を求めることができる。

 次に干渉除去器20の構成および動作を説 する。図8は、干渉除去器20に含まれる第1の 渉除去部20(1)および20(2)の基本的な構成を示 すブロック図である。第1の干渉除去部20(1)お よび20(2)のそれぞれは、逆拡散部22(1)~22(3)、 調部23(1)~23(3)、振幅比算出部25(1)~25(3)、抽出 27(1)、27(2)、閾値LUT(ルックアップテーブル)2 6、拡散部28(1)、28(2)、干渉信号除去部29、遅 部30および再逆拡散部31を含む。閾値LUT26は メモリなどの記憶部に記憶された値である

 本実施形態では、図1に示すように、超音 波測定装置S1のほかに除去すべき超音波を送 する超音波測定装置S2およびS3が存在する。 つまり3つの異なる拡散符号で拡散された超 波を取り扱う。このため、第1の干渉除去部2 0(1)および20(2)には、それぞれ3つの逆拡散部22 (1)~22(3)、復調部23(1)~23(3)、振幅比算出部25(1)~2 5(3)が設けられている。また、3つの異なる拡 符号で拡散された超音波のうち2つによる受 信信号は干渉信号として除去すべきであるの で、2つの抽出部27(1)、27(2)および拡散部28(1) 28(2)が設けられている。これらの構成要素は 、測定環境中における、異なる符号で拡散さ れた超音波の数に応じて設けられる。本願明 細書では、第1の干渉除去部20(1)の逆拡散部22( 1)~22(3)、復調部23(1)~23(3)、振幅比算出部25(1)~25 (3)、抽出部27(1)、27(2)、拡散部28(1)、28(2)、干 信号除去部29および再逆拡散部31を、それぞ れ、第1の逆拡散部22、第1の復調部23、第1の 幅比算出部25、第1の抽出部27、第1の拡散部28 、第1の干渉信号除去部29および第1の再逆拡 部31と呼ぶ場合がある。同様に、第2の干渉 去部20(2)の逆拡散部22(1)~22(3)、復調部23(1)~23(3 )、振幅比算出部25(1)~25(3)、抽出部27(1)、27(2) 拡散部28(1)、28(2)、干渉信号除去部29および 逆拡散部31を、それぞれ、第2の逆拡散部22、 第2の復調部23、第2の振幅比算出部25、第2の 出部27、第2の拡散部28第2の干渉信号除去部29 および第2の再逆拡散部31と呼ぶ場合がある。

 図9は、干渉除去器20を中心とした超音波 定装置の動作を説明するフローチャートで る。以下、図1、図5、図8および図9を参照し ながら、順に超音波測定装置の動作を説明す る。なお、以下の説明では、第1の受波器13(1) で受信される超音波を説明するが、第1の受 器13(1)および第2の受波器13(2)によって受信さ れる受信信号は、まったく同様の手順で処理 される。

 また、図1に示すように、本実施形態では 、超音波測定装置S1が送信する超音波が物体2 までの距離を測定するための所望の超音波で ある。以下、S1が送信する超音波を「選択さ た超音波」と呼び、選択された超音波に関 る符号や逆拡散信号などを「選択符号」、 選択拡散符号」などと呼ぶ場合がある。ま 、所望の超音波以外の超音波を「非選択の 音波」、「非選択符号」「非選択拡散信号 などと呼ぶ場合がある。

 (ステップS41)
 ステップS41はステップAに対応する。まず、 第1の受波器13(1)によって超音波を受信し、第 1の受信部17(1)により第1の受信信号をデジタ 信号に変換する。

 (ステップS42)
 ステップS42はステップBに対応する。上述し たように、窓設定部18により、第1の受信信号 から検出すべき超音波による信号が含まれて いる範囲のデータを切り出し、拡散除去器20 第1の拡散除去部20(1)へ入力する。

 (ステップS43)
 ステップS43はステップBに対応する。切り出 された第1の受信信号は、第1の拡散除去部20(1 )の逆拡散部22(1)~22(3)により、すべての符号で 逆拡散処理される。逆拡散部22(1)は超音波測 装置S1に割り当てられた拡散符号、つまり 選択された超音波の拡散に用いられた選択 号で逆拡散処理し、選択逆拡散信号を生成 る。逆拡散部22(2)および22(3)は、それぞれ超 波測定装置S2およびS3に割り振られた拡散符 号、つまり非選択の超音波の拡散に用いられ た非選択符号で逆拡散処理し、非選択逆拡散 信号を生成する。

 図10は、これらの逆拡散信号の一例であ 、超音波測定装置S1、S2およびS3に割り当て れた拡散符号で逆拡散された逆拡散信号61、 62、および63を示している。

 逆拡散信号61および62には、それぞれ100kHz 以下の正弦波64、65が含まれるが、逆拡散信 63には正弦波は含まれていない。これは、超 音波測定装置S1が、超音波測定装置S1および 音波測定装置S2から送信された超音波を受信 し、超音波測定装置S3から送信された超音波 受信していないことを示している。また、 弦波64および65は、それぞれ伝播経路3およ 4(図1)による固有の影響を受けるため、送信 後の波形とは異なっている。つまり、この 弦波64および65は伝播経路の特性を反映して いる。さらに正弦波65は正弦波64よりも早い 刻に到達している。しかし、逆拡散信号61に は正弦波65は含まれていないように見える。 れは、超音波測定装置S1に割り当てられた 散符号を用いて逆拡散することにより得ら る逆拡散信号61では、他の拡散符号で拡散さ れた超音波はノイズ程度の影響しか与えない からである。しかし、他の拡散符号で拡散さ れた超音波の数が増えると上述したように相 互相関に起因したピークが現れるようになる 。このため、他の拡散符号で拡散された超音 波による信号を干渉信号として除去する。

 (ステップS44)
 ステップS44はステップCに対応する。第1の 拡散部22によって得られた逆拡散信号を、図 8に示す第1の復調部23において、振幅情報に 換する。図11は、得られた逆拡散信号の波形 の振幅情報を示している。波形66、67および68 は、それぞれ超音波測定装置S1、S2およびS3に 割り当てられた拡散符号で逆拡散された逆拡 散信号の振幅情報である。

 (ステップS45、S46)
 ステップS45、S46はステップCに対応する。第 1の振幅比算出部25の振幅比算出部25(1)は、超 波測定装置S1に割り当てられた拡散符号で 拡散された逆拡散信号、つまり選択逆拡散 号の振幅情報66より、最大ピーク値69と、S/N 70を求める。そして、S/N比70から、窓設定部 18によって切り出された受信データ19(図7)の に、超音波測定装置S1から送信された超音波 、つまり選択された超音波による信号が含ま れているかどうかを判断する。S/N比70が所定 値よりも小さければ、超音波測定装置S1か 送信された超音波が含まれていないか、超 波測定装置S1から送信された超音波は含まれ ているが他の超音波の強度が強すぎ、正しく 超音波測定装置S1から送信された超音波を検 できないと考えられる。したがって、この 合は、その後の処理を中止する。

 (ステップS47)
 ステップS47はステップCに対応する。選択逆 拡散信号のS/N比が所定の値より大きい場合、 第1の振幅比算出部25の振幅比算出部25(2)およ 25(3)は、超音波測定装置S2およびS3に割り当 られた拡散符号で逆拡散された逆拡散信号 つまり非選択逆拡散信号の振幅情報67およ 68から最大ピーク値を求め、選択逆拡散信号 と非選択逆拡散信号との最大ピークの振幅比 をそれぞれ求める。

 (ステップS49)
 ステップS49はステップDに対応する。振幅比 算出部25(2)および25(3)は、求めた振幅比から 超音波測定装置S2およびS3に割り当てられた 散符号で逆拡散された逆拡散信号、つまり 選択逆拡散信号に含まれるノイズを除去す ための閾値をそれぞれ決定する。これは閾 LUT26を参照することにより行われる。閾値LU T26には、干渉信号が除去された受信信号のS/N 比が所定の値以上となる場合の閾値と振幅比 との関係があらかじめ求められ記憶されてい る。閾値LUT26の求め方については、以下にお て詳細に説明する。

 (ステップS50)
 ステップS50は、ステップEに対応する。抽出 部27は、決定した閾値を用いて、超音波測定 置S2およびS3に割り当てられた拡散符号で逆 拡散された逆拡散信号、つまり非選択逆拡散 信号から閾値以上の振幅を有する信号を抽出 する。具体的には、抽出部27は、非選択逆拡 信号において、閾値以上の波形が存在する 間帯を「1」とし、その他の時間を「0」と るパルス波形を生成し、図10に示す各逆拡散 信号と掛け合わせることによって、非選択逆 拡散信号からノイズを除去する。これにより 超音波測定装置S2およびS3から送信された超 波に対応する干渉信号が生成する。図12は、 超音波測定装置S2およびS3に割り当てられた 散符号で逆拡散された逆拡散信号、つまり 選択逆拡散信号の振幅情報67および68に設定 れた閾値71、および72を示している。図12に すように振幅情報67には強いピークが見ら るため、ピークに対してノイズレベルを除 するような閾値71が設定される。これに対し 、振幅情報68には強いピークはなく、ノイズ 分のみを含んでいる。したがって、ノイズ 分全体が除去されるように閾値72が設定さ る。

 図13は、抽出された干渉信号の波形73、74 示している。波形73には超音波測定装置S2が 送信した超音波に対応する信号波形が含まれ ており、ノイズ成分は完全に除去されている 。波形74には超音波測定装置S3が送信した超 波に対応する信号波形もノイズ成分も含ま ていない。

 (ステップS51)
 ステップS51はステップFに対応する。第1の 散部28は生成した干渉信号を対応する非選択 符号で拡散処理する。具体的には、拡散部28( 1)は超音波測定装置S2に割り当てられた拡散 号で、波形73の干渉信号を拡散処理する。同 様に拡散部28(2)は、超音波測定装置S3に割り てられた拡散符号で、波形74の干渉信号を拡 散処理する。

 (ステップ52)
 ステップS52はステップFに対応する。加算器 29は、第1の受信信号から非選択符号で拡散処 理された干渉信号を減算する。このとき、第 1の受信信号は、拡散処理された干渉信号の 成のタイミングと同期させるため、遅延部30 においてタイミングが調整され、加算器29に 力される。これにより、干渉信号が除去さ た第1の受信信号が得られる。

 (ステップS53)
 ステップS53はステップGに対応する。再逆拡 散部31は、干渉信号が除去された第1の受信信 号を選択符号で逆拡散する。つまり、超音波 測定装置S1に割り当てられた拡散符号で干渉 号が除去された第1の受信信号を選択符号で 逆拡散し、第1の逆拡散信号を得る。図14は、 再逆拡散部31から得られる第1の逆拡散信号の 波形75を示している。干渉信号を除去するこ なく、超音波測定装置S1に割り当てられた 散符号で受信信号を逆拡散することにより られた図10の波形61に比べて、S/N比が向上し いる。

 (ステップS54)
 ステップS54はステップHに対応する。ステッ プS41からS53の手順で第1の受信器13(1)および第 2の受信器13(2)から得られた受信信号を処理し 、第1のおよび第2の逆拡散信号を得た後、距 方位算出部21は、第1および第2の逆拡散信号 の第1の受信器13(1)および第2の受信器13(2)への 到達時間をそれぞれ算出する。これにより、 上述したように伝播距離および伝播方位のう ち、少なくとも1つを算出する。

 次に閾値LUT26の求め方を説明する。超音 は、空中を伝播することで減衰する。減衰 は周波数によって異なり、周波数が高いほ 減衰率は大きい。よって、伝播路が長いほ 、高い周波数成分が先に減少していくこと なる。図3のように拡散された信号では、符 「1」、「0」がそれぞれ「0」、「1」に変化 する部分が高い周波数成分によって構成され ている。伝播路が長いほど、この符号が変化 する部分があいまいになっていく。これによ って雑音は大きくなっていく。

 また、干渉している信号のエネルギーは それぞれの伝播経路によって異なる。さら 空気のゆらぎによって、超音波は時間的に 変化の影響をうけている(フェージング)。 れらのことから、干渉している信号に重畳 ているノイズ成分を除去するための閾値を 義的に決めることはできない。

 本実施形態では、干渉除去器20で除去す 信号は、他の超音波測定装置(ここでは超音 測定装置S2および超音波測定装置S3)からど にも反射せず、自超音波測定装置(ここでは 音波測定装置S1)に直接伝播してきた超音波( 直接音)によるもののみとする。

 対象物までの相対距離や相対方位を測定 るためには、対象物において反射した超音 を検出する必要がある。しかし、反射波は 象物における反射によって拡散するため、 射波のエネルギーは、他の超音波測定装置 ら直接伝播する超音波と比較して非常に小 い。

 一方、反射せずに直接伝播する超音波は 大きなエネルギーを有するため、伝播経路 よる波形の変形が小さい。さらに空気のゆ ぎによる時間的な変化の影響も少ない。こ ため、超音波の逆拡散に用いた次数が既知 あれば、理想的な自己相関値、つまり、信 が干渉していない場合のピーク値と雑音の 、および、干渉があった場合の相互相関値 予測できる(図3および図4参照)。言い換えれ ば、図11に示す逆拡散された波形の振幅情報 あれば、その波形のS/N比が予測でき、した って、ノイズを除去する閾値が容易に推定 きる。

 本実施例では、選択逆拡散信号と非選択 拡散信号との振幅比およびその振幅比にお る最適な閾値を閾値LUT26としてあらかじめ 意し、選択逆拡散信号と非選択逆拡散信号 の振幅比からルックアップテーブルを参照 て閾値を決定する。

 図15は、超音波測定装置S1から送信され、 壁に反射した信号を受信した受信信号と、超 音波測定装置S2から送信され、直接超音波測 装置S1にて受信した受信信号の振幅比、つ り、選択逆拡散信号と非選択逆拡散信号の 幅比と非選択逆拡散信号に含まれるノイズ 除去するために最適な閾値との関係を示し いる。この関係は、シミュレーションおよ 実験によって求める。

 図15において、振幅比を横軸にとり、閾 を縦軸にとっている。閾値は、正規化され 非選択逆拡散信号の振幅情報に対して適用 るように決定されている。したがって、閾 の最大値は1であり、この場合、すべての信 を除去する。また、図15において、濃淡は 干渉除去処理を行ったあとの信号のS/N比を している。濃淡が濃いほど、S/N比が高い。 15から分かるように、振幅比を決定すれば、 最もS/N比が高い閾値を選ぶことができる。図 15において、曲線32は、最もS/N比が高くなる 幅比と閾値と関係を示している。また、領 33は、S/N比が約18dB以上となる振幅比と閾値 範囲を示している。

 したがって、図15の最もS/N比が高くなる 幅比と閾値と関係を示す曲線32上の振幅比と 閾値とを閾値LUT26の値とすれば、最も適切に 渉信号を除去できる。あるいは、領域33を たす振幅比と閾値とを閾値LUT26の値としても よい。さらに、閾値LUT26から閾値を1つ決める のではなく、ある範囲たとえば領域33から複 の閾値を選択し、それぞれの閾値を用いて 成した干渉信号を除去した受信信号のS/N比 比較し、最もS/Nが一番高いものを干渉信号 除去された受信信号としてもよい。図15に れば、最適閾値を示す曲線32より少しでも低 い値閾値を選択すると、S/N比は極端に悪くな る(濃淡が薄い)ことがわかる。しかし、最適 値を示す曲線32より少し高めの閾値、つま 、領域33内ではS/N比の極端な変化がない。

 例えば、超音波測定装置S1から送信され 物体2に反射した信号を受信した受信信号と 超音波測定装置S2から送信され、超音波測 装置S1にて受信した受信信号の振幅比が0.4だ った場合、超音波測定装置S2から送信され、 音波測定装置S1にて受信した受信信号を取 除くために、超音波測定装置S2に割り当てら れた拡散符号で逆拡散された逆拡散信号の振 幅情報を正規化した信号における閾値は、0.4 1が最適である。

 次に、シミュレーションおよび実験にて められた閾値LUT26が、なぜこのような結果 示すのかを説明する。図16(a)および(b)は、超 音波測定装置S2に割り当てられた拡散符号で 拡散された波形62の振幅情報67と閾値LUT26の 係を示している。超音波測定装置S1から送 され、物体2に反射した信号を受信した受信 号と、超音波測定装置S2から送信され、超 波測定装置S1にて受信した受信信号の振幅比 が16(b)における直線34に相当するとする。

 振幅情報67を閾値でスライスした場合の 間幅35は、閾値を1から小さくしていくと、 初は急激に拡がるが、その後ゆるやかにな ことがわかる。時間幅35が急激にひろがる閾 値の範囲を範囲36とし、ゆるやかになる閾値 範囲を範囲37とする。閾値の範囲36の中で閾 値を変化させると、抽出される超音波測定装 置S2からの信号の幅が変化する。時間幅35が いほうがそれだけ超音波測定装置S2からの信 号を抽出できるので、除去率が向上し、干渉 除去処理後のS/N比が高くなる。これが図16(b) おける直線34上の範囲36に相当する。

 図16(a)の範囲37の中で閾値を変化させると 、抽出される超音波測定装置S2からの信号の はほとんど変化しない。よって、除去率も とんど変化せず、干渉除去処理後のS/N比も とんど変化しない。これが図16(b)の直線34上 の範囲37に相当する。

 図16(a)の範囲37より下の範囲38に閾値を設 した場合、超音波測定装置S2からの信号以 の雑音も同時に抽出してしまうことになる よって干渉除去処理後のS/N比は悪化する。 れが図16(b)の直線34上の範囲38に相当する。 囲38はノイズフロアの領域である。

 よって、範囲38は、超音波測定装置S1から 送信され、壁に反射した信号を受信した受信 信号と、超音波測定装置S2から送信され、超 波測定装置S1にて受信した受信信号の振幅 に、基本的には比例する。しかし超音波測 装置S1から送信され、壁に反射した信号を受 信した受信信号に対して、超音波測定装置S2 ら送信され、超音波測定装置S1にて受信し 受信信号の振幅が十分に大きい場合には、 音波測定装置S1から送信され、壁に反射した 信号を受信した受信信号の大きさに依存しな い雑音が支配的になるため、範囲38はほぼ固 された広さになる。これが図16(b)の振幅比 域39に相当する。

 超音波測定装置S1から送信され、壁に反 した信号を受信した受信信号と、超音波測 装置S2から送信され、超音波測定装置S1にて 信した受信信号の振幅比が図16(b)の振幅比 域40は、超音波測定装置S2に割り振られた拡 符号で逆拡散された波形の振幅情報は雑音 まぎれてしまう範囲であり、少しの閾値の 化で急激に干渉除去処理後のS/N比が変化す 。干渉除去処理後のS/N比が急激に変化する いうのは、閾値を0から1まで変化させたと の、干渉除去処理後のS/N比の変化を100%とし ときの変化であって、実際にはそれほど変 しない。なぜならもともと超音波測定装置S 2からの信号が小さいからである。

 つまり、超音波測定装置S2から送信され 超音波測定装置S1にて受信した受信信号が所 望信号に比べて十分に小さい場合には、干渉 除去をしてもしなくても結果はほとんどかわ らない。

 以上のことから、閾値LUT26を簡略化するた に、図17に示すように直線41に固定してもよ 。超音波測定装置S1から送信され、壁に反 した信号を受信した受信信号と、超音波測 装置S2から送信され、超音波測定装置S1にて 信した受信信号の振幅比が振幅比領域39の では固定の閾値で抽出処理を行い、振幅比 域40では干渉除去自体を行わない。それ以外 の振幅比領域では直線近似から閾値を求める 。例えば、選択逆拡散信号と非選択逆拡散信 号との振幅の比([非選択逆拡散信号]/[選択逆 散信号])をxとし、閾値をyとした場合、以下 の式(2)を満たすように閾値LUT26の振幅比と閾 を定めることができる。
y=1(0<x≦0.3)
y=-x/3+0.6(0.3<x≦1.2)
y=0.2(1.2<x)
                     ・・・・・・ (2)

 あるいは、図17において斜線で示す領域内 ある振幅比と閾値とを閾値LUT26としてもよい 。斜線の領域は以下の不等式で定められる。
y=1(0<x≦0.3)
1>y≧0.4(0.3≦x≦0.7)
y≧-x/3+0.6かつy≦-x/3+0.8(0.7<x<1.2)
0.2≦y≦0.4(1.2≦x)
                      ・・・・・( 3)

 図18は、図15の曲線32の近似曲線の一例であ 曲線101を示している。曲線32を4次の近似曲 で表した場合、最もS/N比が高くなる振幅比y と閾値xは以下の式(4)によって表される。

 図19は、振幅比と閾値との最適な組み合 せの評価として、第1の受信器13(1)および第2 受信器13(2)で受信した第1および第2の受信信 号を用い、干渉信号を除去した後の第1の受 信号および第2の受信信号の相関値を用いた 果を示している。図19において、ハッチン で示す領域は、相関値が0.7以上となった振 比および閾値の組み合わせを示している。S/ N比が高ければ、干渉信号を除去した後の第1 受信信号および第2の受信信号の波形は、計 測すべき超音波の到達時刻が異なることを除 けば理想的には一致し高い相関値が得られる 。したがって、S/N比の代わりに、相関値によ って、最適な振幅比と閾値との関係を求める ことができる。

 図19に示すように、相関値が0.7以上となる 域は折れ線103と曲線102とによって挟まれる 域になる。具体的には、以下の不等式(5)に って規定される。

 このように本発明によれば、干渉信号を 去した受信信号のS/N比が良好になるように 渉信号を生成する際に抽出に用いる閾値を 化させる。この閾値は、選択された超音波 拡散に用いられた選択符号を用いて受信信 を逆拡散した選択逆拡散信号と、選択しな った非選択の超音波の拡散に用いられた比 択符号を用いて受信信号を逆拡散した非選 逆拡散信号との振幅比から決定される。振 比に応じて閾値を決定することにより、非 択逆拡散信号に含まれるノイズの影響を適 に評価することができ、ノイズの影響が少 い正確な干渉信号を再現することができる したがって、本発明によれば、最適な干渉 去を行うことができ、対象物までの距離や 位を正確に測定することができる。

 また、干渉信号を除去した受信信号のS/N が良好となる閾値と振幅比との関係をあら じめ求めておき、求めた関係あるいは求め 関係を満たす閾値と振幅比との組み合わせ 基づいて、振幅比から閾値を決定すること より、計測中に最適な閾値を短時間で決定 ることができる。

 (実験例)
 本実施形態の構成によって、干渉信号がど ように除去できるかを実験した結果を示す

 図20(a)は、超音波測定装置S1に割り当てら れた符号で拡散した超音波の波形を示してお り、図20(b)は、超音波測定装置S1に割り当て れた符号で拡散した超音波と超音波測定装 S2に割り当てられた符号で拡散した超音波と を合わせた超音波の波形を示している。

 また、図20(c)は、超音波測定装置S1に割り 当てられた符号で拡散した超音波と超音波測 定装置S2に割り当てられた符号で拡散した超 波とを合わせた超音波(図20(b)に示す波形の 音波)を超音波測定装置S1に割り当てられた 号で逆拡散することにより、超音波測定装 S2の超音波を干渉波として除去した波形を している。図20(d)は、本実施形態の装置を用 いて、超音波測定装置S2の超音波を干渉波と て除去した波形を示している。

 図21(a)、図21(b)、図21(c)は、それぞれ図20(a )、図20(c)、図20(d)に示す波形の信号を超音波 定装置S1に割り当てられた符号で逆拡散し 得られた信号の一部を切り出すことによっ 得られた波形をそれぞれ示している。

 図21(a)から明らかなように、干渉する超 波がない場合、逆拡散によってSN比の高い波 形が得られる。

 これに対し、図21(b)および図21(c)に示すよ うに干渉する超音波が存在する場合、逆拡散 によって得られる波形のSN比は低下する。し し、図21(b)におけるP部分と図21(c)におけるQ 分を比較すれば明らかなように、t=0.3ミリ 付近以外のノイズの振幅は、本実施形態に るほうが小さくなっており、SN比が向上して いることが分かる。

 なお、本発明の超音波測定装置および超 波測定方法で用いる干渉信号の除去方法は 超音波を用いた距離、方位計測以外にも好 に用いることができる。具体的には、超音 を搬送波として、情報を伝達する室内音源 位、超音波タグなどに本発明で用いた干渉 号の除去方法を適用してもよい。また、本 施形態では、2つの受波器で超音波を受信す ることにより方位を測定することが可能であ るが、方位の測定が不要であれば、超音波測 定装置は、1つの受波器および1つの干渉除去 を備えていてもよい。

 本発明の超音波測定装置および超音波測 方法は、超音波測定装置が複数存在する環 においても、最適な干渉除去を行うことに って、高精度に距離や方位の測定をするこ ができる。特に、測定環境に変化が生じて 高い精度での計測が可能であり、自走する ボットに搭載される測距計や方位計に好適 用いられる。たとえば、鉄道駅や空港など 室内環境における搬送用ロボット等に好適 用いられる。