MITSUTANI TETSURO (JP)
JPH11229828A | 1999-08-24 | |||
JP2016044652A | 2016-04-04 | |||
JPH01134011A | 1989-05-26 | |||
JPH1181926A | 1999-03-26 | |||
JPH1193627A | 1999-04-06 | |||
JP2018128023A | 2018-08-16 |
\¥0 2020/175226 26 卩(:17 2020 /006174 請求の範囲 [請求項 1 ] 駆動軸 (4) から動力が伝達されてバルブ (3) を開閉駆動する従 動軸 (2 0 0) の端部に固定され、 前記駆動軸に対する前記従動軸の 相対回転位相を調整することにより、 前記バルブのバルブタイミング を調整するバルブタイミング調整装置 (1 0 0) であって、 内部空間を有し、 前記駆動軸から動力を受けるハウジング部材 (8 0) と、 前記内部空間を複数の油圧室に区画するべーン (2 2) を有し、 前 記従動軸に連結され、 前記油圧室へ導入された作動油の圧力を受けて 前記ハウジング部材に対して相対回転可能に設けられているべーンロ —夕 (2 0) と、 前記べーンロータを前記従動軸に締結する固定部材 (6 0) と、 径方向に沿った前記ハウジング部材と前記固定部材との間に配置さ れ、 前記ハウジング部材の軸受けをする軸受け部 (3 1) と、 を備え、 前記ハウジング部材は、 前記駆動軸から前記従動軸へと動力を伝達 する伝達部材 (3 0 0) が巻き掛けられる外周面に形成された卷回部 (1 1 1) を有し、 前記軸受け部と前記巻回部とは、 前記固定部材の軸方向と垂直な方 向に見て、 互いに少なくとも一部が重複する、 バルブタイミング調整装置。 [請求項 2] 請求項 1 に記載のバルブタイミング調整装置において、 前記外周面における前記卷回部の位置は、 前記軸方向において前記 バルブタイミング調整装置に対して前記従動軸が設けられている側で あるリア側と、 前記軸方向における前記リア側とは反対側であるフロ ント側と、 のうち、 前記フロント側の位置である、 バルブタイミング 調整装置。 [請求項 3] 請求項 2に記載のバルブタイミング調整装置において、 〇 2020/175226 27 卩(:170? 2020 /006174 前記卷回部は、 前記軸方向と垂直な方向に見て、 前記べーンロータ に対して、 前記軸方向における前記フロント側に配置されている、 バ ルブタイミング調整装置。 [請求項 4] 請求項 1から請求項 3までのいずれか一項に記載のバルブタイミン グ調整装置において、 径方向に沿った前記固定部材と前記ハウジング部材との間に配置さ れたプッシング部材 (3 0) を、 さらに備え、 前記プッシング部材は、 前記軸受け部を有する、 バルブタイミング 調整装置。 [請求項 5] 請求項 1から請求項 4までのいずれか一項に記載のバルブタイミン グ調整装置において、 前記固定部材は、 前記作動油の流動を制御する作動油制御弁 (6 0 ) であって、 ソレノイ ド (7 0) によって前記軸方向に移動させられ るスプール (6 3) と、 前記スプールを前記軸方向に移動自在に支持 し、 前記べーンロータを前記従動軸に締結するために固定配置された スリーブ (6 1、 6 2) と、 を有する作動油制御弁により構成されて いる、 バルブタイミング調整装置。 [請求項 6] 請求項 4に従属する請求項 5に記載のバルブタイミング調整装置に おいて、 前記ソレノイ ドに対してソレノイ ドカバー (7 2) が取り付けられ た場合に、 前記軸方向に沿って前記ソレノイ ドカバーと前記ハウジン グ部材との間に、 前記軸受け部と前記作動油制御弁の内部とのうち少 なくとも一方から漏れ出た前記作動油を貯留するための貯留用空間 ( 39) が形成され、 前記ブッシング部材における前記軸受け部には、 前記貯留用空間と 外部空間とを連通して前記作動油を排出する排出油路 (9 1) の一部 を構成する溝 (3 2) が形成されている、 バルブタイミング調整装置 〇 2020/175226 28 卩(:170? 2020 /006174 [請求項 7] 請求項 6に記載のバルブタイミング調整装置において、 前記ハウジング部材には、 前記従動軸が貫く前記軸方向の収容孔 ( 1 3 2) が形成されており、 前記ハウジング部材において前記収容孔を形成する収容孔形成壁面 (1 3 1) と、 前記従動軸の外周面との間には第 1 クリアランス (〇 !_ 1) が形成されており、 前記第 1 クリアランスは、 前記排出油路の一部を形成する、 バルブ タイミング調整装置。 [請求項 8] 請求項 7に記載のバルブタイミング調整装置において、 前記第 1 クリアランスの大きさは、 前記ハウジング部材と前記軸受け部との間の第 2クリアランスの 大きさと、 前記べーンロータに対して前記ハウジング部材が最も傾いたとき に前記従動軸が前記収容孔形成壁面に接しないための前記従動軸の外 周面と前記収容孔形成壁面との間の最小のクリアランスである第 3ク リアランス (〇 !_ 3) の大きさと、 の合計値以上である、 バルブタイミング調整装置。 [請求項 9] 請求項 6から請求項 8までのいずれか一項に記載のバルブタイミン グ調整装置において、 前記ハウジング部材に対し、 前記軸方向において前記バルブタイミ ング調整装置に対して前記従動軸が設けられている側であるリア側と 、 前記軸方向における前記リア側とは反対側であるフロント側と、 の うち、 前記フロント側に取り付けられ、 前記貯留用空間と接するフロ ントプレート (5 0) を、 さらに備え、 前記フロントプレートは、 自身と前記ソレノイ ドカバーとの間にお ける前記作動油の漏れを抑制するためのシール部材 (7 4) が配置さ れるシール配置部 (5 4) を有し、 前記シール配置部と前記軸受け部とは、 いずれも前記ハウジング部 〇 2020/175226 29 卩(:170? 2020 /006174 材の前記軸方向の中心に対して前記フロント側に配置されている、 バ ルブタイミング調整装置。 [請求項 10] 請求項 9に記載のバルブタイミング調整装置において、 前記シール配置部と前記軸受け部とは、 前記軸方向と垂直な方向に 見て、 互いに隣接または重複する、 バルブタイミング調整装置。 [請求項 1 1 ] 請求項 9または請求項 1 0に記載のバルブタイミング調整装置にお いて、 前記シール配置部と前記軸受け部との間の前記軸方向の距離 (!_ 1 ) は、 前記シール配置部の前記軸方向の距離であるシール長 (1- 5 4 ) と、 前記軸受け部の前記軸方向の距離である軸受け長 (1- 3 1) と の合計長さよりも短い、 バルブタイミング調整装置。 |
発明の名称 : バルブタイミング調整装置
関連出願の相互参照
[0001 ] 本出願は、 2 0 1 9年2月 2 8日に出願された日本出願番号 2 0 1 9— 3
5 1 0 7号に基づくもので、 ここにその記載内容を援用する。
技術分野
[0002] 本開示は、 バルブタイミング調整装置に関する。
背景技術
[0003] 従来から、 内燃機関の吸気弁や排気弁のバルブタイミン グを調整するバル ブタイミング調整装置が用いられている。 特許文献 1 には、 駆動軸であるク ランクシャフトから従動軸であるカムシャフ トまでの動力伝達経路に配置さ れ、 これら 2つのシャフトの相対回転位相を調整するこ により、 バルブタ イミングを調整するバルブタイミング調整装 置が開示されている。 特許文献 1のバルブタイミング調整装置は、 カムシャフトの端部に取り付けられたべ —ンロータと、 ベーンロータを収容してベーンロータにより 進角油圧室およ び遅角油圧室に区画される油圧室を形成する ハウジング部材と、 ベーンロー 夕とハウジング部材とを合わせてカムシャフ トに締結するとともに進角油圧 室および遅角油圧室への作動油の供給および 排出を制御する作動油制御弁と 、 作動油制御弁とハウジング部材との間に配置 され、 ハウジングの軸受けを 行うプッシング部材と、 を備えている。 また、 ハウジング部材の外周面には 、 タイミングチェーンが巻き掛けられる巻回部 が形成されており、 かかる巻 回部とクランクシャフトとの間にタイミング チェーンが架けわたされて、 ク ランクシャフトからカムシャフトへと動力が 伝わる。
先行技術文献
特許文献
[0004] 特許文献 1 :特開 2 0 1 8 - 1 6 8 7 7 6号公報
発明の概要 〇 2020/175226 2 卩(:170? 2020 /006174
[0005] 特許文献 1のバルブタイミング調整装置では、 巻回部とプッシング部材に おける軸受け部とは、 径方向に見たときに、 バルブタイミング調整装置の軸 線方向に互いにずれている。 より具体的には、 径方向に見たときに、 卷回部 (タイミングスプロケッ ト) は、 プッシング部材 (付勢ユニッ ト) における 軸受け部よりも、 軸線方向においてカムシャフト側にずれてい る。 このよう に卷回部と軸受け部とが径方向に見たときに 軸線方向にずれるように配置さ れている構成においては、 巻回部にタイミングチェーンの張力が掛かっ たと きに、 ハウジング部材に対して姿勢が傾くように力 が加えられる。 このため 、 ハウジング部材からべーンロータに対して軸 方向に大きなスラストカが加 えられてしまう。 このようにべーンロータに大きなスラストカ が加えられる と、 ハウジング部材とべーンロータとの摩擦力が 増加して、 応答速度の低下 やハウジング部材およびべーンロータの摩耗 量の増大といった問題が起こり 得る。 なお、 このような問題は、 タイミングチェーンに限らずタイミングべ ルトなど任意の伝達部材を用いた構成におい ても共通する。 このため、 バル ブタイミング調整装置において、 ハウジング部材とべーンロータとの間にお けるスラストカの発生を抑制可能な技術が望 まれている。
[0006] 本開示は、 以下の形態として実現することが可能である 。
[0007] 本開示の一形態として、 駆動軸から動力が伝達されてバルブを開閉駆 動す る従動軸の端部に固定され、 前記駆動軸に対する前記従動軸の相対回転位 相 を調整することにより、 前記バルブのバルブタイミングを調整するバ ルブタ イミング調整装置が提供される。 このバルブタイミング調整装置は、 内部空 間を有し、 前記駆動軸から動力を受けるハウジング部材 と、 前記内部空間を 複数の油圧室に区画するべーンを有し、 前記従動軸に連結され、 前記油圧室 へ導入された作動油の圧力を受けて前記ハウ ジング部材に対して相対回転可 能に設けられているべーンロータと、 前記べーンロータを前記従動軸に締結 する固定部材と、 径方向に沿った前記ハウジング部材と前記固 定部材との間 に配置され、 前記ハウジング部材の軸受けをする軸受け部 と、 を備える。 前 記ハウジング部材は、 前記駆動軸から前記従動軸へと動力を伝達す る伝達部 〇 2020/175226 3 卩(:170? 2020 /006174
材が巻き掛けられる外周面に形成された卷 回部を有する。 前記軸受け部と前 記卷回部とは、 前記固定部材の軸方向と垂直な方向に見て、 互いに少なくと も一部が重複する。
[0008] 上記形態のバルブタイミング調整装置によれ ば、 軸受け部と巻回部とは、 固定部材の軸方向と垂直な方向に見て、 互いに少なくとも一部が重複するの で、 巻回部に伝達部材の張力が掛かった場合に、 ハウジング部材に対して姿 勢が傾く方向に力が加えられることを抑制で きる。 このため、 ハウジング部 材とべーンロータとの間にスラストカが発生 することを抑制できる。
[0009] 本開示は、 バルブタイミング調整装置以外の種々の形態 で実現することも 可能である。 例えば、 バルブタイミング調整装置を備える車両、 バルブタイ ミング調整方法、 かかる方法を実現するためのコンピュータプ ログラム、 か かるコンピュータブログラムを記憶した記憶 媒体等の形態で実現することが できる。
図面の簡単な説明
[0010] 本開示についての上記目的およびその他の目 的、 特徴や利点は、 添付の図 面を参照しながら下記の詳細な記述により、 より明確になる。 その図面は、 [図 1]図 1は、 本開示の一実施形態としてのバルブタイミン グ調整装置が用い られるエンジンの動力伝達系統を示す模式図 であり、
[図 2]図 2は、 バルブタイミング調整装置の構成要素の一部 を示す分解斜視図 であり、
[図 3]図 3は、 図 5の丨 丨 丨 _ 丨 丨 丨断面線におけるバルブタイミング調整装 置の断面図であり、
[図 4]図 4は、 図 3の丨 V - I V断面線におけるバルブタイミング調整装置 断面図であり、
[図 5]図 5は、 バルブタイミング調整装置の正面図であり、
[図 6]図 6は、 バルブタイミング調整装置の背面図であり、
[図 7]図 7は、 作動油制御弁を主として示す断面図であり、
[図 8]図 8は、 排出油路を主として示す拡大断面図であり、 〇 2020/175226 4 卩(:170? 2020 /006174
[図 9]図 9は、 巻回部とシール配置部と軸受け部とを主とし て示す拡大断面図 であり、
[図 10]図 1 0は、 卷回部にベルトの張力が掛かっていない場合 のベーンロー 夕と、 ハウジング部材と、 カムシャフトとを示す模式図であり、
[図 1 1]図 1 1は、 卷回部にベルトの張力が掛かっている場合の ベーンロータ と、 ハウジング部材と、 カムシャフトとを示す模式図である。
発明を実施するための形態
[001 1] [ . 全体構成]
図 1 に示すように、 本開示の一実施形態としてのバルブタイミン グ調整装 置 1 0 0は、 エンジン 1の動力伝達系統に用いられる。 動力伝達系統では、 エンジン 1の駆動軸としてのクランクシャフト 4に固定されるプーリ 5と、 従動軸としての 2つのカムシャフト 7、 2 0 0にそれぞれ固定される 2つの プーリ 6、 1 0とにベルト 3 0 0が巻き掛けられ、 ベルト 3 0 0を介してク ランクシャフト 4から 2つのカムシャフト 7、 2 0 0へと動力が伝達される 。 カムシャフト 2 0 0は、 吸気バルブ 3を駆動する。 また、 カムシャフト 7 は、 排気バルブ 2を駆動する。 カムシャフト 7、 2 0 0は、 いずれも略円柱 状の外観形状を有する。
[0012] プーリ 1 0は、 バルブタイミング調整装置 1 0 0の一部を構成しており、 上述のように、 ベルト 3 0 0を介してクランクシャフト 4から動力を受ける 。 また、 バルブタイミング調整装置 1 0 0が備える後述のベーンロータ 2 0 は、 カムシャフト 2 0 0に固定されている。 バルブタイミング調整装置 1 0 0は、 プーリ 1 0に対するべーンロータ 2 0の相対回転位相を調整すること により、 クランクシャフト 4に対するカムシャフト 2 0 0の相対回転位相を 調整する。 これにより、 吸気バルブ 3が開閉するタイミングであるバルブタ イミングが調整される。
[0013] 各プーリ 5、 6、 1 0およびべルト 3 0 0を全体的に覆うようにべルトカ バー 8が設けられている。 ベルトカバー 8は、 ベルト 3 0 0に後述の作動油 や潤滑油が付着することを防ぐ。 なお、 図 1 における矢印 は、 ベルト 3 0 〇 2020/175226 5 卩(:170? 2020 /006174
0の回転方向を表している。
[0014] [巳. バルブタイミング調整装置の詳細構成]
図 2に示すように、 バルブタイミング調整装置 1 0 0は、 プーリ 1 0と、 ハウジングべーン 4 0と、 ベーンロータ 2 0と、 プッシング部材 3 0と、 フ ロントプレート 5 0とを備える。 プーリ 1 0と、 ハウジングべーン 4 0と、 ベーンロータ 2 0と、 プッシング部材 3 0と、 フロントプレート 5 0とは、 いずれも回転体であり、 いずれの回転軸も軸〇 Xに一致するように配置され ている。 本実施形態において、 軸〇乂と平行な方向を軸方向 と呼ぶ。 ま た、 軸方向〇 においてバルブタイミング調整装置 1 0 0に対してカムシャ フト 2 0 0が設けられている側および方向を 「リア側」 と呼び、 軸方向 におけるリア側とは反対側および方向を 「フロント側」 と呼ぶ。 なお、 図 2 は、 バルブタイミング調整装置 1 0 0の主要な構成要素の一部のみを分解し て表わしており、 後述する作動油制御弁 6 0、 ボルト 1 9、 シール部材 4 1 1、 4 1 2などの一部の構成要素は、 図示の便宜上省略されている。
[0015] 図 3では、 バルブタイミング調整装置 1 0 0およびカムシャフト 2 0 0に 加えて、 ソレノイ ド 7 0と、 ソレノイ ドカバー 7 2と、 リアカバー 2 9 0と が描かれている。 なお、 図 3では、 図 1 に示すベルトカバー 8は、 省略され ている。 ソレノイ ド 7 0は、 押圧ピン 7 1 を備え、 図示しない電子制御装置 (巳〇11) からの通電によって生じる電磁力を利用して 押圧ピン 7 1 を軸方 に駆動する。 ソレノイ ドカバー 7 2には、 ソレノイ ド 7 0のリア側の —部を収容する貫通孔 7 5が形成されている。 また、 ソレノイ ドカバー 7 2 には、 貫通孔 7 5の周りおいてリア側に突出した筒状の封止 7 3が形成さ れている。 リアカバー 2 9 0は、 カムシャフト 2 0 0のフロント側の端部を 全周に亙って覆っている。
[0016] [ 6 1 . プーリの構成]
図 2および図 3に示すように、 プーリ 1 0は、 有底筒状の概略形状を有す る。 プーリ 1 0は、 筒状の外歯部 1 1 と、 フランジ部 1 2と、 筒部 1 3とを 備える。 本実施形態では、 外歯部 1 1、 フランジ部 1 2および筒部 1 3は、 〇 2020/175226 6 卩(:170? 2020 /006174
一体形成されている。 なお、 これらを別体形成し、 溶接等により互いに接合 してもよい。
[0017] 図 1および図 4〜 6に示すように、 外歯部 1 1 には、 径方向外側に延びる 歯が、 全周に亙って所定の間隔で並んでいる。 径方向とは、 本実施形態では 、 軸方向〇 と垂直な方向を意味する。 なお、 図 5は、 バルブタイミング調 整装置 1 0 0をソレノイ ド 7 0からリア側に見たときの正面図を表してい 。 図 6は、 バルブタイミング調整装置 1 0 0をカムシャフト 2 0 0からフロ ント側に見たときの背面図を表している。
[0018] 外歯部 1 1 には、 ベルト 3 0 0が巻き掛けられ、 クランクシャフト 4の動 力を、 ベルト 3 0 0を介して受ける。 図 3に示すように、 外歯部 1 1 におい てべルト 3 0 0が巻き掛けられている部分 (以下、 「巻回部」 と呼ぶ) 1 1 1は、 フロント側寄りの部分である。 換言すると、 外歯部 1 1 における巻回 部 1 1 1の位置は、 外歯部 1 1 におけるフロント側の位置である。 「巻回部 1 1 1の位置」 とは、 卷回部 1 1 1の軸方向 0 の中心位置を意味する。 ま た、 卷回部 1 1 1は、 軸方向〇 と垂直な方向に見て、 ベーンロータ 2 0に 対してフロント側に位置する。 「ベーンロータ 2 0に対してフロント側に位 置する」 とは、 卷回部 1 1 1の軸方向〇 の中心位置が、 ベーンロータ 2 0 の軸方向〇 の中心位置に比べてフロント側であることを 意味する。
[0019] フランジ部 1 2は、 円盤状の外観形状を有し、 軸方向 と垂直な方向に 沿って配置されて外歯部 1 1のリア側の端部に連なる。 筒部 1 3は、 筒状の 外観形状を有し、 外歯部 1 1 と同心状に配置されている。 筒部 1 3は、 収容 孔 1 3 2を形成する収容孔形成壁面 1 3 1 を備える。 筒部 1 3のフロント側 端部は、 フランジ部 1 2に連なる。 フランジ部 1 2の中央部分には貫通孔が 設けられており、 かかる貫通孔が収容孔 1 3 2と連通するように、 筒部 1 3 は配置されている。 収容孔 1 3 2には、 カムシャフト 2 0 0が収容される。 収容孔 1 3 2を形成する壁面 (以下、 「収容孔形成壁面」 と呼ぶ) 1 3 1 と カムシャフト 2 0 0の外周面との間には、 所定の大きさのクリアランス (以 下、 「第 1 クリアランス」 と呼ぶ) 〇 !_ 1が形成されている。 第 1 クリアラ 〇 2020/175226 7 卩(:170? 2020 /006174
ンス(3 !_ 1は、 後述の排出油路 9 1の一部を形成する。 筒部 1 3のリア側は 、 全周に亙ってリアカバー 2 9 0に覆われている。 筒部 1 3とリアカバー 2 9 0との間には、 リアシール部材 2 8 0が配置されている。 リアシール部材 2 8 0は、 筒部 1 3とリアカバー 2 9 0との間から作動油が漏れることを抑 制する。
[0020] [ 6 2 . ハウジングべーンの構成]
図 2に示すように、 ハウジングべーン 4 0は、 有底筒状であって底に貫通 孔が形成された外観形状を有する。 図 3に示すように、 ハウジングべーン 4 0は、 ハウジングべーン 4 0のリア側に向いた開口部がプーリ 1 0のフラン ジ部 1 2のフロント側の面に対向するように、 プーリ 1 0の内部空間、 すな わち内径側に形成された空間に収容される。 ハウジングべーン 4 0のリア側 の端面とフランジ部 1 2のフロント側の端面との間の隙間は僅かで り、 こ れら端面の間をシ _ルするための環状のシ _ル部材 4 1 1が配置されている 。 ハウジングべーン 4 0の内部空間、 すなわち内径側に形成された空間には 、 ベーンロータ 2 0が収容される。 図 2に示すように、 ハウジングべーン 4 〇は、 前壁部 4 7と周壁部 4 1 とを備える。 前壁部 4 7は、 略円盤状の外観 形状を有し、 ハウジングべーン 4 0において最もフロント側において、 軸方 向〇 と垂直な方向に沿って配置されている。 前壁部 4 7の中央部分には、 貫通孔 4 6を形成する貫通孔形成部 4 5が形成されている。 貫通孔形成部 4 5は、 筒状の外観形状を有する。 周壁部 4 1は、 筒状の外観形状を有し、 前 壁部 4 7の外周縁部からリア側に突出するように配 されている。 図 4に示 すように、 周壁部 4 1は径方向に所定の厚さを有し、 全周に亙って形成され ている。 ハウジングべーン 4 0は、 さらに、 3つの突出部 4 2を備える。 各 突出部 4 2は、 いずれも、 周壁部 4 1から径方向内側に向かって突出してい る。 換言すると、 突出部 4 2が形成された位置において周壁部 4 1の径方向 の厚さは、 大きく形成されている。 3つの突出部 4 2は、 周方向に沿って互 いに所定角度 (1 2 0度) ずつずれて配置されている。
[0021 ] 上述のように、 ハウジングべーン 4 0のリア側に向いた開口部がフランジ 〇 2020/175226 8 卩(:170? 2020 /006174
部 1 2のフロント側の面に対向するようにハウジ グべーン 4 0が配置され ることにより、 前壁部 4 7と、 周壁部 4 1 と、 突出部 4 2と、 フランジ部 1 2とにより所定の大きさの内部空間が形成さ る。 かかる内部空間には、 ベ —ンロータ 2 0が収容される。 また、 かかる空間においてべーンロータ 2 0 を除いた部分は、 作動油が充填される油圧室として機能する。 ベーンロータ 2 0 (後述の 3つのべーン 2 2) の周方向の位置は、 油圧室の圧力を利用し て調整される。 このように、 本実施形態においては、 ハウジングべーン 4 0 とプーリ 1 0とは、 ベーンロータ 2 0を収容するハウジング部材 8 0として 機能する。
[0022] [巳 3 . ベーンロータの構成]
図 2および図 4に示すように、 ベーンロータ 2 0は、 口ータ 2 1 と、 3つ のべーン 2 2とを備える。 ロータ 2 1は、 略円筒の外観形状を有し、 中央に 軸方向〇 に沿って収容孔 2 9が形成されている。 ロータ 2 1のフロント側 の端面には環状溝 2 3が形成されている。 この環状溝 2 3は、 収容孔 2 9を 形成する収容孔形成部 2 9 3に対して径方向外側に接して配置されてい 。 図 3に示すように、 ベーンロータ 2 0は、 作動油制御弁 6 0およびブッシン グ部材 3 0によりカムシャフト 2 0 0に固定されており、 自身が回転するこ とにより、 カムシャフト 2 0 0を回転させる。 図 4に示すように、 各べーン 2 2は、 口ータ 2 1から径方向外側に向かって突出している。 換言すると、 ベーン 2 2が形成された位置においてロータ 2 1の径方向の厚さは、 大きく 形成されている。 3つのべーン 2 2は、 周方向に沿って互いに所定角度 ( 1 2 0度) ずつずれて配置されている。 ベーン 2 2は、 前壁部 4 7と、 周壁部 4 1 と、 突出部 4 2と、 フランジ部 1 2とにより形成されるハウジング部材 8 0の内部空間を、 複数の油圧室に区画する。 具体的には、 隣り合う突出部 4 2間の周方向に沿った 3つの油圧室 4 9を、 それぞれ遅角室 4 3と進角室 4 4とに区画する。 遅角室 4 3には、 ベーンロータ 2 0内に形成されている 遅角油路 1 2 3を介して作動油が供給され、 また、 作動油が排出される。 同 様に、 進角室 4 4には、 ベーンロータ 2 0内に形成されている進角油路 1 2 〇 2020/175226 9 卩(:170? 2020 /006174
4を介して作動油が供給され、 また、 作動油が排出される。 ベーンロータ 2 〇は、 遅角室 4 3および進角室 4 4に供給される作動油の油圧に応じて、 ハ ウジング部材 8 0に対して相対回転する。
[0023] ロータ 2 1の外周面およびべーン 2 2の外周面には、 それぞれシール部材 4 8が配置されている。 シール部材 4 8は、 ベーン 2 2と周壁部 4 1 との径 方向の隙間、 および口ータ 2 1 と突出部 4 2との径方向の隙間を介した遅角 室 4 3と進角室 4 4との間の作動油の流れを規制する。
[0024] 3つのべーン 2 2のうち、 1つのべーン 2 2は、 他の 2つのべーン 2 2よ りも大きく構成されている。 かかる大きなベーン 2 2には、 軸方向 と並 行な貫通孔 2 5が形成されている。 貫通孔 2 5には、 ストッパピン 2 7が軸 方向 0 に往復移動可能に収容されている。 図 3に示すように、 ハウジング ベーン 4 0において、 ベーンロータ 2 0が最遅角位置に配置されている場合 にストッパピン 2 7と対向する位置には、 凹部が形成されており、 かかる凹 部に環状部材 4 1 3が配置されている。 ベーンロータ 2 0が最遅角位置に配 置されている場合に、 ストッパピン 2 7のフロント側端部は、 バネ 2 8の付 勢力により環状部材 4 1 3の内孔に入り込む。 したがって、 ベーンロータ 2 0がハウジング部材 8 0に対して相対回転することが抑制される。 これによ り、 例えば、 エンジン始動時において、 オイルが油圧室 4 9に供給されるま での間、 カムシャフト 2 0 0が受けるトルク変動に起因するハウジング 材 8 0とべーンロータ 2 0との打音の発生が抑制される。 ここで、 ベーンロー 夕 2 0において、 ストッパピン 2 7の周囲には、 進角室 4 4と連通する圧力 室 4 1 4が形成されている。 そして、 進角室 4 4の圧力が上昇すると、 圧力 室 4 1 4の作動油がストッパピン 2 7をリア側に押し返す力がとバネ 2 8の 付勢力に比べて大きくなり、 ストッパピン 2 7の先端部は、 環状部材 4 1 3 から抜け出す。 これにより、 ベーンロータ 2 0は、 ハウジング部材 8 0に対 して相対回転することが可能になる。 ロータ 2 1 には、 排出油路形成部 2 6 が形成されている。 排出油路形成部 2 6は、 軸方向 に沿って形成された 貫通孔として形成されている。 排出油路形成部 2 6は、 後述の排出油路 9 1 〇 2020/175226 10 卩(:170? 2020 /006174
の _ 部を構成する。
[0025] [巳 4 . ブッシング部材の構成]
図 2に示すように、 プッシング部材 3 0は、 軸方向 に沿った貫通孔が 形成された円筒状の外観形状を有する。 図 3に示すように、 プッシング部材 3 0は、 径方向に沿ったハウジング部材 8 0 (ハウジングべーン 4 0) と作 動油制御弁 6 0との間に配置され、 ハウジング部材 8 0の軸受けをする。 ブ ッシング部材 3 0のリア側の端部は、 ベーンロータ 2 0の環状溝 2 3に収容 されており、 固定ピン 2 4および外周圧入によりべーンロータ 2 0に固定さ れている。 ブッシング部材 3 0において環状溝 2 3に収容されている部分を 除く他の部分は、 ハウジングべーン 4 0の貫通孔 4 6に収容されている。 ブ ッシング部材 3 0の外周面と、 ハウジングべーン 4 0の貫通孔形成部 4 5と の間には、 径方向のクリアランス (後述の第 2クリアランス) が形成されて いる。 かかる第 2クリアランスの詳細については、 後述する。 プッシング部 材 3 0において、 貫通孔 4 6に収容されて貫通孔形成部 4 5と対面する部分 (以下、 「軸受け部」 と呼ぶ) 3 1は、 ハウジング部材 8 0の軸受けとして 機能する。 軸受け部 3 1の外周面には、 軸方向 に沿った複数の溝 3 2が 形成されている。 各溝 3 2は、 互いに周方向に所定の角度で離れて配置され ている。 各溝 3 2は、 後述の排出油路 9 1の一部を構成する。 プッシング部 材 3 0は、 上述の軸受けの機能と、 排出油路 9 1の一部を形成する機能とに 加えて、 作動油制御弁 6 0の座面としての機能、 進角室 4 4と連通する進角 油路の _ 部を形成する機能を有する。
[0026] [ 6 5 . フロントプレートの構成]
図 2および図 3に示すように、 フロントプレート 5 0は、 筒状の外観形状 を有する。 フロントプレート 5 0は、 バルブタイミング調整装置 1 0 0にお いて最もフロント側に位置し、 作動油制御弁 6 0のフロント側端部を収容す る。 また、 フロントプレート 5 0のフロント側の端部は、 ソレノイ ド 7 0の 封止部 7 3の内側 (内径側の空間) に収容されている。 フロントプレート 5 0は、 ハウジング部材 8 0とプッシング部材 3 0との間 (貫通孔形成部 4 5 〇 2020/175226 1 1 卩(:170? 2020 /006174
と軸受け部 3 1 との間) から漏れ出た作動油がバルブタイミング調整 装置 1 0 0の外部へと漏れ出ることを抑制する。 フロントプレート 5 0は、 筒部 5 1 とフランジ部 5 2とを備える。 筒部 5 1 とフランジ部 5 2とは、 一体形成 されている。 なお、 これらを別体形成し、 溶接等により互いに接合してもよ い。 筒部 5 1は、 筒状の外観形状を有し、 軸方向 の内孔 5 3に作動油制 御弁 6 0のフロント側端部を収容する。 フランジ部 5 2は、 中央部分に貫通 孔が形成された円盤状の外観形状を有し、 筒部 5 1のリア側の端部に連なる 。 フランジ部 5 2のリア側の面は、 ハウジングべーン 4 0の前壁部 4 7のフ ロント側の面に接する。 フロントプレート 5 0とハウジングべーン 4 0との 間には、 環状のシール部材 4 1 2が配置されている。 シール部材 4 1 2は、 フランジ部 5 2のリア側の端面と、 ハウジングべーン 4 0のフロント側の端 面との間をシールする。 図 3に示すように、 プーリ 1 0と、 ハウジングべ一 ン 4 0と、 フロントプレート 5 0とは、 軸方向〇 に重ねられてボルト 1 9 により互いに締結されている。 換言すると、 フロントプレート 5 0は、 ボル 卜 1 9により、 ハウジング部材 8 0に対してフロント側に取り付けられてい る。
[0027] 図 3に示すように、 フロントプレート 5 0は、 フロント側の端部、 換言す ると筒部 5 1のフロント側の端部の外周面にシール配置 5 4を有する。 シ —ル配置部 5 4の径方向外側には、 フロントシール部材 7 4が配置される。 フロントシール部材 7 4は、 円環状の外観形状を有し、 フロントシール部材 7 4の内周部は、 全周に亙って上述のシール配置部 5 4に接する。 また、 フ ロントシール部材 7 4の外周部は、 全周に亙って封止部 7 3の内周部に接す る。 これにより、 フロントシール部材 7 4は、 フロントプレート 5 0とソレ ノイ ドカバー 7 2との間における作動油の漏れを抑制する。
[0028] [ 6 6 . 作動油制御弁の構成]
作動油制御弁 6 0は、 作動油の油圧室 4 9への供給と、 油圧室 4 9からの 作動油の排出とを制御する。 また、 作動油制御弁 6 0は、 ベーンロータ 2 0 をカムシャフト 2 0 0に締結する固定部材としての機能を有する 図 7を用 〇 2020/175226 12 卩(:170? 2020 /006174 いて作動油制御弁 6 0の詳細構成を説明する前に、 バルブタイミング調整装 置 1 0 0への作動油の供給および排出について概略 明する。
[0029] 図 3に示すように、 オイルパン 5 0 0に溜まっている作動油がオイルボン プ 5 1 0により汲み上げられ、 リアカバー 2 9 0に設けられた厚さ方向の貫 通孔 2 9 1 と、 カムシャフト 2 0 0に設けられた厚さ方向の貫通孔 2 2 0と を介して、 作動油供給油路 2 5 0に供給される。 作動油供給油路 2 5 0は、 作動油制御弁 6 0の外周面と、 カムシャフト 2 0 0のフロント側端部に設け られた収容孔 2 0 1 を形成する内周面との間の隙間により構成さ れている。 作動油供給油路 2 5 0に供給された作動油は、 後述するように作動油制御弁 6 0を介して油圧室 4 9 (遅角室 4 3または進角室 4 4) に供給される。 ま た、 油圧室 4 9から排出される作動油の一部は、 作動油制御弁 6 0の内部と 、 カムシャフト 2 0 0の内部に形成された排出孔 2 3 0とを介してオイルパ ン 5 0 0へと排出される。 また、 進角室 4 4および油圧室 4 9内の作動油の —部は、 ハウジングベーン 4 0の貫通孔形成部 4 5と、 ブッシング部材 3 0 の軸受け部 3 1 との間の隙間を通って貯留用空間 3 に一時的に溜まる。 貯 留用空間 フロントプレート 5 0とソレノイ ド 7 0およびソレノイ ド カバー 7 2との軸方向 の間に形成された空間であり、 作動油を溜めるた めの空間である。 貯留用空間 3 に溜まった作動油は、 排出油路 9 1および リアカバー 2 9 0に形成された排出孔 2 9 2を介してオイルパン 5 0 0へと 排出される。 排出油路 9 1の詳細については、 後述する。 さらに、 油圧室 4 9から排出される作動油の一部は、 作動油制御弁 6 0のフロント側に設けら れた排出口 (後述の排出口 6 3 3) から作動油制御弁 6 0の外部へと排出さ れ、 貯留用空間 3 に一時的に溜まる。
[0030] 図 3および図 7に示すように、 作動油制御弁 6 0のうち軸方向〇 に沿っ てリア側の一部は、 カムシャフト 2 0 0に設けられた収容孔 2 0 1 に収容さ れている。 なお、 図 7は、 図 3において作動油制御弁 6 0が配置されている 部分を中心に切り出した断面図である。 作動油制御弁 6 0のうち軸方向〇 の中央部分は、 ベーンロータ 2 0の収容孔 2 9およびプッシング部材 3 0の 〇 2020/175226 13 卩(:170? 2020 /006174
内側空間に収容されている。 作動油制御弁 6 0のうちフロント側の一部は、 フロントプレート 5 0の内孔 5 3に収容されている。 作動油制御弁 6 0は、 アウタースリーブ 6 1 と、 インナースリーブ 6 2と、 スプール 6 3とを備え る。 アウタースリーブ 6 1およびインナースリーブ 6 2から成るスリーブは 、 スプール 6 3を軸方向〇 に移動自在に支持し、 ベーンロータ 2 0をカム シャフト 2 0 0に固定する。
[0031 ] アウタースリーブ 6 1は、 略円筒状の外観形状を有し、 作動油制御弁 6 0 をカムシャフト 2 0 0に固定させる機能と、 インナースリーブ 6 2およびス プール 6 3とを収容する機能と、 作動油供給油路 2 5 0を形成する機能とを 有する。 アウタースリーブ 6 1のリア側の端部の外周面には、 雄ねじ部 6 1 0が形成されている。 雄ねじ部 6 1 0は、 カムシャフト 2 0 0の収容孔 2 0 1のリア側の端部に形成されている雌ねじ部 2 1 〇と螺合する。 これにより 、 作動油制御弁 6 0は、 カムシャフト 2 0 0に固定される。 アウタースリー ブ 6 1のフロント側の端部には、 工具係合部 6 1 3が形成されている。 工具 係合部 6 1 3は、 六角レンジなどの工具と係合可能な外観形状 を有し、 作動 油制御弁 6 0をカムシャフト 2 0 0に固定する際に利用される。
[0032] アウタースリーブ 6 1 において、 工具係合部 6 1 3に対してリア側に隣接 する位置には、 突出部 6 1 4が形成されている。 突出部 6 1 4は、 フランジ 状に径方向外側に突出している。 工具係合部 6 1 3により作動油制御弁 6 0 がカムシャフト 2 0 0に固定される際に、 突出部 6 1 4は、 プッシング部材 3 0のフロント側端面に押し付けられる。 このようにして、 作動油制御弁 6 0の位置ずれは、 雄ねじ部 6 1 0と雌ねじ部 2 1 0との螺合と、 突出部 6 1 4がブッシング部材 3 0に押し付けられることとにより実現される また、 突出部 6 1 4によりプッシング部材 3 0がリア側へと押し付けられることに より、 プッシング部材 3 0を介して作動油制御弁 6 0とべーンロータ 2 0と が互いに締結される。 ここで、 作動油制御弁 6 0は、 カムシャフト 2 0 0に 固定されているので、 突出部 6 1 4によりプッシング部材 3 0がリア側へと 押し付けられることにより、 カムシャフト 2 0 0とべーンロータ 2 0とは、 〇 2020/175226 14 卩(:170? 2020 /006174
プッシング部材 3 0および作動油制御弁 6 0を介して互いに固定されること となる。 なお、 カムシャフト 2 0 0の収容孔 2 0 1のリア側の端部は、 排出 孔 2 3 0と連通している。 アウタースリーブ 6 1 には、 作動油供給孔 6 1 5 が形成されている。 作動油供給孔 6 1 5は、 厚さ方向に貫通する貫通孔とし て形成され、 作動油供給油路 2 5 0を介して供給される作動油を、 アウター スリーブ 6 1 とインナースリーブ 6 2との間の空間へと供給する。 アウター スリーブ 6 1の内部には、 軸方向 0 に形成された収容孔 6 4と排出孔 6 1 1 とが形成されている。 収容孔 6 4のリア側端部と、 排出孔 6 1 1のフロン 卜側端部とは、 互いに連通している。 また、 排出孔 6 1 1のリア側の端部と 、 排出孔 2 3 0のフロント側端部とは、 互いに連通している。
[0033] インナースリーブ 6 2は、 略円筒状の外観形状を有し、 スプール 6 3を収 容する機能と、 ベーンロータ 2 0に作動油を供給し、 また、 ベーンロータ 2 0から作動油を排出するためのポートを提供 る機能とを有する。 インナー スリーブ 6 2は、 アウタースリーブ 6 1 に形成されている収容孔 6 4に収容 されている。 インナースリーブ 6 2の径方向中央部分には、 軸方向 つた貫通孔が形成されている。 インナースリーブ 6 2には、 遅角側ポート 1 と、 進角側ポート 2と、 リサイクルポート 3と、 遅角側供給ポート 4と、 進角側供給ポート 5とが形成されている。 これらの 5つのポート いずれもインナースリーブ 6 2を厚さ方向に貫く貫通孔として 形成されている。 遅角側ポート 1は、 ベーンロータ 2 0内に形成されてい る遅角油路 1 2 3と連通可能に構成されている。 また、 進角側ポート 2は 、 ベーンロータ 2 0内に形成されている進角油路 1 2 4と連通可能に構成さ れている。 リサイクルポート 3は、 ベーンロータ 2 0から排出された作動 油の一部をベーンロータ 2 0に戻すためのポートである。 遅角側供給ポート 4および 5は、 いずれも、 アウタースリーブ 6 1 に形成されている作動 油供給孔 6 1 5と連通している。
[0034] スプール 6 3は、 有底筒状の外観形状を有し、 インナースリーブ 6 2の貫 通孔に軸方向 0 に移動可能に収容されている。 スプール 6 3の軸方向〇 〇 2020/175226 15 卩(:170? 2020 /006174
の長さは、 収容孔 6 4の軸方向〇 の長さよりも短い。 これにより、 スプー ル 6 3は、 図 7に示す位置からリア側に移動することが可 となる。 スプー ル 6 3のリア側にはバネ 6 5が配置されている。 バネ 6 5は、 コイルパネで あり、 フロント側の端部はスプール 6 3のリア側端部に接し、 リア側の端部 は、 アウタースリーブ 6 1の排出孔 6 1 1 に形成された段差に接している。 バネ 6 5は、 スプール 6 3をフロント側へと付勢する。 スプール 6 3のフロ ント側の端部は押圧ピン 7 1 と接しており、 押圧ピン 7 1がリア側に移動す ると、 スプール 6 3は、 バネ 6 5の付勢力に打ち勝ってリア側へと移動する 。 図 3および図 7の状態は、 押圧ピン 7 1がスプール 6 3をリア側に押して いない状態である。
[0035] スプール 6 3の外周側面には、 遅角側シール部 3 1 と、 進角側シール部3
2とが形成されている。 遅角側シール部 3 1および進角側シール部 3 2は、 いずれも全周に亙って径方向外側に突出した 形状を有する。
[0036] 図 3および図 7に示すように、 押圧ピン 7 1がスプール 6 3をリア側に押 していない状態においては、 遅角側供給ポート 4と遅角側ポート 1 とが 連通する。 また、 この状態においては、 進角側供給ポート 5と進角側ポー 卜 2との間は、 進角側シール部 3 2によりシールされており、 進角側供給 ポート 5から進角側ポート 2には作動油は供給されない。 また、 この状 態においては、 進角側ポート 2は、 リサイクルポート 3と連通している 。 このように、 図 3および図 7の状態では、 作動油制御弁 6 0からべーンロ —夕 2 0の遅角油路 1 2 3を介して遅角室 4 3に作動油が供給され、 また、 進角室 4 4からべーンロータ 2 0の進角油路 1 2 4を介して作動油が排出さ れる。 排出された作動油の一部は、 リサイクルポート 3を介して再び遅角 側ポート 1へと供給される。 また、 排出された作動油の一部は、 貫通孔 6 3 2を通ってスプール 6 3の内部に形成された内部排出孔 6 3 1へと排出さ れる。 内部排出孔 6 3 1内に排出された作動油の一部は、 排出孔 6 1 1およ び排出孔 2 3 0を介して外部へと排出される。
[0037] これに対して、 押圧ピン 7 1がスプール 6 3をリア側に押している状態に 〇 2020/175226 16 卩(:170? 2020 /006174
おいては、 遅角側供給ポート 4と遅角側ポート 1 との間は、 遅角側シー ル部 3 1 によりシールされており、 遅角側供給ポート 4から遅角側ポート 1 には作動油は供給されない。 また、 この状態においては、 進角側供給ポ —卜 5と進角側ポート 2とが連通する。 また、 この状態においては、 遅 角側供給ポート 4は、 リサイクルポート 3と連通している。 このような 状態においては、 作動油制御弁 6 0からべーンロータ 2 0の進角油路 1 2 4 を介して進角室 4 4に作動油が供給され、 また、 遅角室 4 3から遅角油路 1 2 3を介して作動油が排出される。 排出された作動油の一部は、 リサイクル ポート 3を介して再び進角側ポート 2へと供給される。 また、 排出され た作動油の一部は、 貫通孔 6 3 2を通って内部排出孔 6 3 1へと排出される 。 内部排出孔 6 3 1内に排出された作動油の一部は、 排出孔 6 1 1および排 出孔 2 3 0を介して外部へと排出される。
[0038] 図 1、 図 7および図 8に示すように、 バルブタイミング調整装置 1 0 0内 には、 排出油路 9 1が形成されている。 なお、 図 8では、 図 3における排出 油路 9 1 を中心とした部分を拡大して示している。 排出油路 9 1は、 ブッシ ング部材 3 0に形成されている溝 3 2と、 ベーンロータ 2 0に形成されてい る排出油路形成部 2 6と、 収容孔形成壁面 1 3 1 とカムシャフト 2 0 0の外 周面との間に形成された第 1 クリアランス〇!_ 1 と、 が軸方向 に連なっ て形成されている。 排出油路 9 1のフロント側の端部は、 貯留用空間 3 お よびフロントプレート 5 0の筒部 5 1内の空間 (内孔 5 3) に連通している 。 排出油路 9 1のリア側の端部は、 リアカバー 2 9 0に形成されている排出 孔 2 9 2に連通している。 進角室 4 4および油圧室 4 9内の作動油の一部は 、 ハウジングべーン 4 0の貫通孔形成部 4 5と、 プッシング部材 3 0の軸受 け部 3 1 との間の隙間を通って貯留用空間 3 および筒部 5 1内の空間 (内 孔 5 3) に一時的に溜まる。 また、 微量ではあるが、 油圧室 4 9からスプー ル 6 3の内部排出孔 6 3 1内に排出された作動油の一部は、 図 7に示すスプ —ル 6 3のフロント側端部に設けられた排出口 6 3 3から貯留用空間 3 お よび筒部 5 1内の空間 (内孔 5 3) に一時的に溜まる。 そして、 貯留用空間 〇 2020/175226 17 卩(:170? 2020 /006174
3 および内孔 5 3に溜まった作動油が所定の貯留量を超えた 合に、 排出 油路 9 1 を介して外部へと排出される。 上述のように、 排出油路 9 1の一部 は、 軸受け部 3 1 に形成された溝 3 2により形成されているので、 溝 3 2を 通る作動油を潤滑油として利用できる。 このため、 軸受け部 3 1 とハウジン グ部材 8 0の摩耗を抑制できる。 また、 排出油路 9 1の一部は、 第 1 クリア ランス〇!_ 1 により形成されているので、 排出油路 9 1 を形成するための加 エエ程を簡素化でき、 排出油路形成の費用を抑えることができる。
[0039] [〇. 巻回部と軸受け部との位置関係]
図 9では、 図 3におけるプッシング部材 3 0と、 フロントシール部材 7 4 と、 卷回部 1 1 1が設けられている部分を拡大して示してい 。 図 9に示す ように、 プッシング部材 3 0の軸受け部 3 1 と、 外歯部 1 1の卷回部 1 1 1 とは、 軸方向〇 と垂直な方向に見て、 すなわち、 径方向に見て、 部分的に 互いに重複している。 具体的には、 径方向に見て、 軸受け部 3 1は、 その全 てが卷回部 1 1 1 と重複している。 また、 径方向に見て、 卷回部 1 1 1 にお ける軸方向〇 の中央寄りの一部は、 軸受け部 3 1 と重複している。 したが って、 破線 !-〇に示すように、 卷回部 1 1 1 における軸方向 0 の中心位置 は、 径方向に見て、 軸受け部 3 1 と重複している。 換言すると、 卷回部 1 1 1 における軸方向 0 の中心は、 軸受け部 3 1上に位置している。 他方、 巻 回部 1 1 1 における軸方向 の両端側の一部は、 径方向に見て、 軸受け部 3 1 と重複していない。 本開示において、 「一部重複する」 とは、 一部が対 応する位置に配置されているという意味、 或いは、 軸受け部 3 1 と卷回部 1 1 1 とのうちの一方の他方への径方向の射影と、 他方とが互いに部分的に重 なっているという意味を有する。 このような軸受け部 3 1 と卷回部 1 1 1 と の位置関係により、 卷回部 1 1 1 に対してベルト 3 0 0の張力が径方向に掛 かった際に、 外歯部 1 1 を含むハウジング部材 8 0に対して姿勢が傾く方向 に力が加えられることを抑制できる。 姿勢が傾く方向とは、 例えば、 図面上 側がリア側に傾斜し、 図面下側がフロント側に傾斜するような方向 を意味す る。 仮に、 このような力がハウジング部材 8 0に加わり、 ハウジング部材 8 〇 2020/175226 18 卩(:170? 2020 /006174
0の姿勢が傾いた場合、 ハウジング部材 8 0からハウジングべーン 4 0に対 して軸方向〇 に沿ったスラストカが加えられることとなる 。 しかし、 本実 施形態によれば、 かかるスラストカの発生を抑制できるので、 ハウジング部 材 8 0とべーンロータ 2 0の摩擦力を抑制して、 応答速度の低下や、 ハウジ ング部材 8 0およびべーンロータ 2 0の摩耗量の増加を抑制できる。
[0040] [ 0 . 軸受け部とシール配置部との位置関係]
図 3および図 9に示すように、 本実施形態において、 プッシング部材 3 0 と、 フロントシール部材 7 4とは、 軸方向と垂直な方向に見て、 互いに若干 離れている。 このため、 軸受け部 3 1 とシール配置部 5 4とは、 軸方向と垂 直な方向に見て、 互いに若干離れている。 しかし、 軸受け部 3 1 とシール配 置部 5 4との間の軸方向 0 の距離 !_ 1は、 非常に短い。 具体的には、 距離 !_ 1は、 フロントシール部材 7 4の軸方向 0 の距離、 換言すると、 シール 配置部 5 4の軸方向〇 に沿った長さであるシール長!- 5 4よりも短い。 ま た、 距離 !_ 1は、 軸受け部 3 1の軸方向 0 の距離である軸受け長 !_ 3 1 よ りも短い。 このように、 軸受け部 3 1 とシール配置部 5 4との間の軸方向〇 に沿った距離 !_ 1が非常に短いことにより、 バルブタイミング調整装置 1 〇〇を構成する各部品の径方向の寸法公差に 起因してフロントプレート 5 0 が径方向にずれながら (振れながら) 回転する量 (以下、 「振れ周り量」 と 呼ぶ) の増大を抑制できる。 このため、 フロントシール部材 7 4の摩耗を抑 制できるとともに、 ハウジング部材 8 0を構成する各構成要素、 すなわち、 ハウジングべーン 4 0およびプーリ 1 0の製造バラツキ (設計公差) が大き いことを許容してバルブタイミング調整装置 1 0 0の製造コストを抑制でき る。
[0041 ] なお、 軸受け部 3 1 とシール配置部 5 4とは、 いずれもハウジング部材 8 〇の軸方向〇 の中心位置に対してフロント側に配置されて いる。
[0042] 第 1 クリアランスの大きさ]
第 1 クリアランス〇 !_ 1の大きさ、 すなわち、 図 8に示す収容孔形成壁面 1 3 1 とカムシャフト 2 0 0の外周面との間の径方向の隙間の大きさ△ ( 〇 2020/175226 19 卩(:170? 2020 /006174
半径分の隙間の大きさ△「) の 2倍の大きさは、 後述する第 2クリアランス の大きさと、 第 3クリアランスの大きさとの合計値以上に設 されている。 第 2クリアランスとは、 ハウジング部材 8 0 (ハウジングべーン 4 0) と、 プッシング部材 3 0の軸受け部 3 1 との間の径方向の隙間、 すなわち、 直径 分の隙間を意味する。 ハウジングべーン 4 0と、 軸受け部 3 1 との間には、 軸受け部 3 1がハウジング部材 8 0を軸受け可能であると共に、 軸受け部 3 1 とハウジング部材 8 0とが互いに摺動可能な程度の隙間 (第 2クリアラン ス) が形成されている。
[0043] 図 1 0および図 1 1 を用いて、 第 3クリアランスについて説明する。 図 1
0では、 卷回部 1 1 1 にべルト 3 0 0の張力が掛かっていない場合のベーン 口ータ 2 0と、 ハウジング部材 8 0と、 カムシャフト 2 0 0とが模式的に描 かれている。 また、 図 1 1では、 卷回部 1 1 1 にべルト 3 0 0の張力が掛か っている場合のベーンロータ 2 0と、 ハウジング部材 8 0と、 カムシャフト 2 0 0とが模式的に描かれている。 なお、 図 1 0および図 1 1では、 カムシ ャフト 2 0 0と筒部 1 3 (収容孔形成壁面 1 3 1) との間の隙間の大きさは 、 第 1 クリアランス〇 !_ 1の大きさとは異なり、 第 3クリアランス〇!_ 3の 大きさである。
[0044] 図 1 0の例では、 カムシャフト 2 0 0の外周面と、 筒部 1 3の収容孔形成 壁面 1 3 1 との間の 2つの隙間 3 2 1、 3 2 2を合わせた合成隙間が、 第 3 クリアランス〇 !_ 3となっている。 図 1 0の状態において、 卷回部 1 1 1 に ベルト 3 0 0の張カ 1がかかった場合、 上述した卷回部 1 1 1 と軸受け部 3 1 との位置関係が上述の位置関係であったとし ても、 図 1 1 に示すように 、 ベーンロータ 2 0に対するハウジング部材 8 0の姿勢が傾くおそれがある 。 図 1 1では、 ハウジング部材 8 0が最も傾いたときの様子が模式的に描か れている。 「最も傾いた」 とは、 図 1 1 に示すように、 ハウジング部材 8 0 が傾いた結果、 ベーンロータ 2 0のリア側の上方端部 <3 1がハウジング部材 8 0の内壁に接し、 これ以上に傾くことができないことを意味す る。 図 1 1 に示すように、 この状態においても、 筒部 1 3の収容孔形成壁面 1 3 1 と、 〇 2020/175226 20 卩(:170? 2020 /006174
カムシャフト 2 0 0の外周面とは、 互いに接していない。 このような状態は 、 筒部 1 3の径方向の大きさと、 カムシャフト 2 0 0の径方向の大きさとの うちの少なくとも一方を調整することにより 実現できる。 筒部 1 3の径方向 の大きさと、 カムシャフト 2 0〇の径方向の大きさとの差がより大きくな ように調整することで、 ハウジング部材 8 0が最も傾いたときに収容孔形成 壁面 1 3 1 とカムシャフト 2 0 0の外周面とが接触することをより抑制でき る。 これとは反対に、 筒部 1 3の径方向の大きさと、 カムシャフト 2 0 0の 径方向の大きさとの差がより小さくなるよう に調整することで、 ハウジング 部材 8 0が最も傾いたときに収容孔形成壁面 1 3 1 とカムシャフト 2 0 0の 外周面とが接触する可能性が高くなる。 そして、 本実施形態では、 ハウジン グ部材 8 0が最も傾いたときに収容孔形成壁面 1 3 1 とカムシャフト 2 0 0 の外周面とが接触しないための筒部 1 3の径方向の大きさとカムシャフト 2 0〇の径方向の大きさとの差を求め、 かかる差が第 3クリアランス〇 !_ 3の 大きさとして特定される。
[0045] 上述のように、 第 1 クリアランス〇 !_ 1の大きさが第 2クリアランスの大 きさと、 第 3クリアランスの大きさとの合計値以上に設 されていることに より、 ハウジング部材 8 0と軸受け部 3 1 との間のクリアランス (第 2クリ アランス) 分だけハウジング部材 8 0と部 3 1 との相対位置が径方向にずれ たとしてもカムシャフト 2 0 0とハウジング部材 8 0とが接触することを抑 制できるとともに、 ベルト 3 0 0の張力が卷回部 1 1 1 に掛かってハウジン グ部材 8 0がべーンロータ 2 0に対して傾いたときにカムシャフト 2 0 0と ハウジング部材 8 0とが接触することを抑制できる。
[0046] また、 そもそも第 1 クリアランス〇 !_ 1が形成されていることにより、 力 ムシャフト 2 0 0のフロント側端部の外周面が、 ハウジング部材 8 0の軸受 けとして機能せずに済む。 これにより、 軸方向〇 と垂直な方向に見て、 ハ ウジング部材 8 0の軸受けが卷回部 1 1 1 と重複しないことを抑制できる。
[0047] 以上説明したように、 本実施形態のバルブタイミング調整装置 1 0 0によ れば、 軸受け部 3 1 と卷回部 1 1 1 とは、 軸方向〇 と垂直な方向に見て、 〇 2020/175226 21 卩(:170? 2020 /006174
互いに重複するので、 卷回部 1 1 1 にべルト 3 0 0の張力が掛かった場合に 、 ハウジング部材 8 0に対して姿勢が傾く方向に力が加えられる とを抑制 できる。 したがって、 ハウジング部材 8 0とべーンロータ 2 0との間にスラ ストカが発生することを抑制できる。
[0048] また、 外歯部 1 1 における卷回部 1 1 1および軸受け部 3 1の位置は、 フ ロント側の位置であるので、 バルブタイミング調整装置 1 0 0のフロント側 の部分において振れ回りが生じることを抑制 できる。 したがって、 バルブタ イミング調整装置 1 0 0のフロント側の部分の振れ回りに起因して ロント シール部材 7 4が摩耗することを抑制できる。
[0049] また、 バルブタイミング調整装置 1 0 0は、 軸受け部 3 1 を有するブッシ ング部材 3 0を備えるので、 ベーンロータ 2 0の一部を軸受け部として利用 する構成に比べて、 ベーンロータ 2 0の構造を簡素化でき、 ベーンロータ 2 0の製造および組み付けを容易にできる。
[0050] また、 ベーンロータ 2 0をカムシャフ ト 2 0 0に締結する固定部材として 、 作動油制御弁 6 0が用いられるので、 固定部材と作動油制御弁とをそれぞ れ別部材とする構成に比べて部品点数を減少 でき、 バルブタイミング調整装 置 1 0 0を小型化できる。
[0051 ] また、 プッシング部材 3 0における軸受け部 3 1 には、 排出油路 9 1の一 部を構成する溝 3 2が形成されているので、 かかる溝 3 2を通る作動油を潤 滑油として用いることができ、 軸受け部 3 1およびハウジング部材 8 0の摩 耗を抑制できる。
[0052] また、 ハウジング部材 8 0 (プーリ 1 0) において収容孔 1 3 2を形成す る収容孔形成壁面 1 3 1 と、 カムシャフト 2 0 0の外周面との間の第 1 クリ アランス〇!_ 1は、 排出油路 9 1の一部を形成するので、 排出油路 9 1 を形 成するための加工工程を簡素化でき、 排出油路形成の費用を抑えることがで きる。
[0053] また、 軸受け部 3 1 とシール配置部 5 4との間の軸方向〇 の距離 !_ 1は 、 シール長 !_ 5 4および軸受け長 !_ 3 1のいずれよりも短い。 このため、 バ 〇 2020/175226 22 卩(:170? 2020 /006174
ルブタイミング調整装置 1 0 0を構成する各部品の径方向の寸法公差に起 するフロントプレート 5 0の振れ周り量の増大を抑制できる。
[0054] また、 第 1 クリアランス〇 !_ 1の大きさが第 2クリアランスの大きさと、 第 3クリアランスの大きさとの合計値以上に設 されていることにより、 ハ ウジング部材 8 0と軸受け部 3 1 との接触位置の径方向のずれが生じた場合 であってもカムシャフト 2 0 0とハウジング部材 8 0とが接触することを抑 制できるとともに、 ベルト 3 0 0の張力が卷回部 1 1 1 に掛かってハウジン グ部材 8 0がべーンロータ 2 0に対して傾いた場合であってもカムシャフ 2 0 0とハウジング部材 8 0とが接触することを抑制できる。 このため、 ハ ウジング部材 8 0およびべーンロータ 2 0の摩耗を抑制でき、 また、 バルブ タイミング調整装置 1 〇〇の応答速度の低下を抑制できる。
[0055] [ . 他の実施形態]
[ 1] 卷回部 1 1 1 と軸受け部 3 1 との位置関係は、 上記実施形態の位置 関係に限らない。 例えば、 卷回部 1 1 1 における軸方向〇 の中心位置は、 軸方向と垂直な方向 (径方向) に見て、 軸受け部 3 1 と重複していなくても (軸受け部 3 1上に存在しなくても) よい。 但し、 この構成においても、 巻 回部 1 1 1 における軸方向 0 の一部が、 軸受け部 3 1 と重複することによ り、 各実施形態と同様な効果を有する。 また、 例えば、 卷回部 1 1 1の軸方 の長さと、 軸受け部 3 1の軸方向 0 の長さとが同じ構成においては 、 径方向に見て、 軸受け部 3 1 と卷回部 1 1 1 とが互いに完全に重複しても よい。 また、 例えば、 各実施形態とは異なり、 卷回部 1 1 1 (ベルト 3 0 0 ) の軸方向〇 の長さが軸受け部 3 1の軸方向 0 の長さよりも短い構成と し、 径方向に見て、 卷回部 1 1 1のすべてが軸受け部 3 1 と重複し、 軸受け 部 3 1の一部のみが卷回部 1 1 1 と重複していてもよい。 すなわち、 一般に は、 軸受け部 3 1 と卷回部 1 1 1 とが軸方向 0 と垂直方向に見て、 互いに 少なくとも一部が重複する任意の構成を、 本開示のバルブタイミング調整装 置 1 0 0に適用してもよい。
[0056] [ 2] 軸受け部 3 1 とシール配置部 5 4との位置関係は、 上記実施形態の 〇 2020/175226 23 卩(:170? 2020 /006174
位置関係に限らない。 例えば、 距離 1- 1がシール長さ 1_ 5 4と、 軸受け長さ 1_ 3 1 とのうちのいずれか一方よりも長くてもよい 。 この構成においても、 距離 !_ 1は、 シール長 !_ 5 4と軸受け長 !_ 3 1 との合計長さよりも短く構成 することにより、 上述した実施形態の効果を奏することができ る。 特に、 距 離 !_ 1がゼロである構成が好ましい。 かかる構成とは、 シール配置部 5 4と 卷回部 1 1 1 とが、 軸方向〇 と垂直な方向に見て、 互いに隣接するまたは 重複する構成を意味する。 かかる構成によれば、 振れ回り量の増大をより確 実に抑制できる。 また、 例えば、 距離 1- 1が、 シール長 !_ 5 4と軸受け長 !_ 3 1 との合計長さ以上であってもよい。 かかる構成においても、 シール配置 部 5 4と軸受け部 3 1 とがいずれもハウジング部材 8 0の軸方向〇 の中心 に対してフロント側に位置することが好まし い。 かかる構成であっても、 シ —ル配置部 5 4と軸受け部 3 1 とのうちの一方がハウジング部材 8 0の軸方 向〇 の中心に対してフロント側に位置し、 他方がリア側に位置する場合に 比べて、 距離 !_ 1の大きさを小さくできる。 なお、 シール配置部 5 4と軸受 け部 3 1 とがいずれもハウジング部材 8 0の軸方向〇 の中心に対してリア 側に位置してもよい。
[0057] [ 3 ] 上記実施形態では、 外歯部 1 1 における卷回部 1 1 1の位置、 より 詳細には、 卷回部 1 1 1の軸方向〇 の中心位置は、 卷回部 1 1 1 において フロント側であったが、 本開示はこれに限定されない。 外歯部 1 1 における 卷回部 1 1 1の位置は、 卷回部 1 1 1 においてリア側であってもよい。 また 、 外歯部 1 1の中心位置と軸方向 0 において一致する位置であってもよい
[0058] [ 4 ] 上記実施形態では、 卷回部 1 1 1は、 軸方向 と垂直な方向に見 て、 ベーンロータ 2 0よりもフロント側であったが、 本開示はこれに限定さ れない。 卷回部 1 1 1は、 軸方向〇 と垂直な方向に見て、 ベーンロータ 2 0と同じ位置であってもよく、 また、 ベーンロータ 2 0よりもリア側であっ てもよい。 「ベーンロータ 2 0と同じ位置」 とは、 卷回部 1 1 1の軸方向〇 の中心位置が、 ベーンロータ 2 0の軸方向 0 の中心位置と一致すること 〇 2020/175226 24 卩(:170? 2020 /006174
を意味する。 また、 「ベーンロータ 2 0よりもリア側」 とは、 卷回部 1 1 1 の軸方向〇 の中心位置が、 ベーンロータ 2 0の軸方向〇 の中心位置より もリア側であることを意味する。
[0059] [ 5 ] 上記実施形態において、 プッシング部材 3 0を省略してもよい。 か かる構成においては、 例えば、 ベーンロータ 2 0において環状溝 2 3を省略 し、 環状溝 2 3とは逆に、 フロント側に突出するように構成して、 ハウジン グ部材 8 0の軸受けを行うように構成してもよい。 かかる構成においては、 ベーンロータ 2 0において、 ハウジング部材 8 0 (ハウジングべーン 4 0) の貫通孔形成部 4 5と径方向に対向する部分が、 本開示における軸受け部の 下位概念に相当する。
[0060] [ 6 ] 上記実施形態では、 ベーンロータ 2 0をカムシャフト 2 0 0に締結 する固定部材として、 作動油制御弁 6 0が用いられていたが、 本開示はこれ に限定されない。 作動油制御弁 6 0に代えて、 ボルトを固定部材として用い てもよい。 かかる構成では、 ボルトのねじをカムシャフト 2 0 0の雌ねじ部 2 1 0に螺合させ、 ボルトの頭部分により、 ブッシング部材 3 0をリア側に 押し付ける構成としてもよい。 また、 かかる構成においては、 カムシャフト 2 0 0とは異なる位置に作動油制御弁を設けると に、 かかる作動油制御弁 と遅角油路 1 2 3および進角油路 1 2 4とをつなげる作動油路を、 リアカバ — 2 9 0、 カムシャフト 2 0 0、 およびボルトのうちの少なくとも一部に形 成してもよい。
[0061 ] [ 7 ] 上記実施形態において、 貯留用空間 3 から作動油を排出するため の油路として、 排出油路 9 1 に代えて他の油路を形成してもよい。 例えば、 ソレノイ ドカバー 7 2に貯留用空間 3 と外部空間とを連通させる孔を形成 し、 かかる孔を、 作動油を排出するための油路として用いても よい。 また、 かかる構成においては、 第 1 クリアランス〇 !_ 1の大きさは、 第 2クリアラ ンスの大きさと、 第 3クリアランス〇!_ 3の大きさとの合計値よりも小さく 設定されてもよい。
[0062] [ 8 ] 上記実施形態のバルブタイミング調整装置 1 0 0の構成は、 あくま 〇 2020/175226 25 卩(:170? 2020 /006174
でも一例であり、 種々変更可能である。 例えば、 ベルト 3 0 0に代えてタイ ミングチェーンといった、 クランクシャフト 4からカムシャフト 2 0 0へと 動力を伝達可能な任意の種類の伝達部材を用 いてもよい。 また、 バルブタイ ミング調整装置 1 〇〇を、 排気バルブ 2のバルブタイミングを調整するため に用いてもよい。 また、 ハウジングべーン 4 0において突出部 4 2の数およ び配置角度は、 2つおよび 1 2 0度に限らず任意の数および角度であっても よい。 同様に、 ベーンロータ 2 0においてべーン 2 2の数および配置角度も 、 2つおよび 1 2 0度に限らず任意の数および角度であっても い。
[0063] 本開示は、 上述の実施形態に限られるものではなく、 その趣旨を逸脱しな い範囲において種々の構成で実現することが できる。 例えば、 発明の概要の 欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する 各実施形態中の技術的特徴は、 上述の課題の一部又は全部を解決するために 、 あるいは、 上述の効果の一部 又は全部を達成するために、 適宜、 差し替えや、 組み合わせを行うことが可 能である。 また、 その技術的特徴が本明細書中に必須なものと して説明され ていなければ、 適宜、 削除することが可能である。