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Patent Searching and Data


Title:
VARIABLE VALVE GEAR, AND ENGINE DEVICE AND VEHICLE HAVING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078547
Kind Code:
A1
Abstract:
Rotational movement of a weight is limited when the speed of an engine is low. In this case, the forward end of a lock pin is not inserted into a pin fitting hole and pin sliding hole in a lock pin fitting section, so that an idling cam section is rotatable about a cam fixation shaft of a camshaft. When the speed of the engine is increased, the weight tries to rotate about a rotation shaft. This causes the lock pin to be inserted into the pin fitting hole and the lock pin to be inserted into the pin sliding hole. As a result, the idling cam section is prevented from rotating relative to the camshaft.

Inventors:
KIRIMURA AKIHIRO
Application Number:
PCT/JP2007/073833
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 11, 2007
Export Citation:
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Assignee:
YAMAHA MOTOR CO LTD (JP)
KIRIMURA AKIHIRO
International Classes:
F01L13/00
Foreign References:
JPH01166707U1989-11-22
JPS562004U1981-01-09
JPH01157208U1989-10-30
JPH11229831A1999-08-24
Attorney, Agent or Firm:
FUKUSHIMA, Yoshito (4-1 Hiroshiba-cho,Suita-shi, Osaka 52, JP)
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Claims:
エンジンのバルブを駆動するための可変動弁装置であって、
 前記エンジンの回転に連動して回転可能に設けられた回転軸と、
 前記回転軸とともに回転するように設けられ、前記バルブを開閉するように作用する第1のカム部材と、
 前記回転軸に対して回転可能に設けられ、前記バルブを開閉するように作用する第2のカム部材と、
 前記回転軸に対する前記第2のカム部材の回転を一定の角度範囲に制限する回転制限機構と、
 前記回転軸に対する前記第2のカム部材の回転を阻止する回転阻止機構とを備え、
 前記第2のカム部材は、前記回転軸の周方向に沿って長尺状に延びる第1の孔部を有し、
 前記回転制限機構は、
 前記回転軸とともに回転するように設けられ、前記第2のカム部材の前記第1の孔部から退出する第1の状態と前記第2のカム部材の前記第1の孔部に進入する第2の状態とに移行可能に設けられた制限部材と、
 前記制限部材を前記第1の状態に移行させる付勢力を発生する第1の付勢部材と、
 前記回転軸の回転に伴う遠心力により前記第1の付勢部材による付勢力に抗して前記制限部材を前記第2の状態に移行させるように作動する第1の駆動部材とを含む、可変動弁装置。
前記第1の駆動部材は、前記回転軸の回転に伴う遠心力により第1の位置から第2の位置に回動可能に設けられ、
 前記制限部材は、前記第1の駆動部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ回動することにより前記第1の状態から前記第2の状態に移行し、
 前記第1の付勢部材は、前記第1の駆動部材が前記第1の位置に向かうように前記第1の駆動部材を付勢する、請求項1記載の可変動弁装置。
前記第1の孔部は、前記第2のカム部材の重心の位置が前記回転軸の位置とほぼ一致するように設けられる、請求項1記載の可変動弁装置。
前記制限部材が前記第1の状態および前記第2の状態の少なくとも一方にあるときに前記制限部材を係止する係止部材をさらに備えた、請求項1記載の可変動弁装置。
前記制限部材は第1の凹部を有し、
 前記係止部材は、前記制限部材が前記第1の状態にあるときに前記第1の凹部に嵌合される、請求項4記載の可変動弁装置。
前記制限部材は第2の凹部を有し、
 前記係止部材は、前記制限部材が前記第2の状態にあるときに前記第2の凹部に嵌合される、請求項4記載の可変動弁装置。
前記第2のカム部材は、第2の孔部をさらに含み、
 前記回転阻止機構は、
 前記回転軸とともに回転するように設けられ、前記第2のカム部材の第2の孔部から退出する第3の状態と前記第2のカム部材の前記第2の孔部に嵌合される第4の状態とに移行可能に設けられたロック部材と、
 前記ロック部材を前記第3の状態に移行させる付勢力を発生する第2の付勢部材と、
 前記回転軸の回転に伴う遠心力により前記第2の付勢部材による付勢力に抗して前記ロック部材を前記第4の状態に移行させるように作動する第2の駆動部材とを含む、請求項1記載の可変動弁装置。
前記第2の駆動部材は、前記回転軸の回転に伴う遠心力により第3の位置から第4の位置に回動可能に設けられ、
 前記ロック部材は、前記第2の駆動部材が前記第3の位置から前記第4の位置へ回動することにより前記第3の状態から前記第4の状態に移行し、
 前記第2の付勢部材は、前記第2の駆動部材が前記第3の位置に向かうように前記第2の駆動部材を付勢する、請求項7記載の可変動弁装置。
前記回転軸の回転に伴う遠心力により前記第1の駆動部材が前記第1の付勢部材による付勢力に抗して前記制限部材を前記第2の状態に移行させるように作動する際の前記エンジンの回転速度は、前記回転軸の回転に伴う遠心力により前記第2の駆動部材が前記第2の付勢部材による付勢力に抗して前記ロック部材を前記第4の状態に移行させるように作動する際の前記エンジンの回転速度よりも高い、請求項7記載の可変動弁装置。
前記回転阻止機構は、前記第2のカム部材の前記第1の孔部内に進入した前記制限部材を前記第1の孔部内の所定の位置で掛止する掛止部材を含む、請求項1記載の可変動弁装置。
前記第1のカム部材の回転に連動して揺動することにより前記バルブを上下動させる第1の伝達部材と、
 前記第2のカム部材の回転に連動して前記第1の伝達部材を揺動させる第2の伝達部材とをさらに備えた、請求項1記載の可変動弁装置。
前記第2の伝達部材を前記第2のカム部材に押し当てるように付勢する第3の付勢部材をさらに備える、請求項11記載の可変動弁装置。
前記第3の付勢部材は、前記第1の伝達部材と前記第2の伝達部材との間に接続されたばねを含む、請求項12記載の可変動弁装置。
バルブを有するエンジンと、
 前記エンジンの前記バルブを駆動するための可変動弁装置とを備え、
 前記可変動弁装置は、
 前記エンジンの回転に連動して回転可能に設けられた回転軸と、
 前記回転軸とともに回転するように設けられ、前記バルブを開閉するように作用する第1のカム部材と、
 前記回転軸に対して回転可能に設けられ、前記バルブを開閉するように作用する第2のカム部材と、
 前記回転軸に対する前記第2のカム部材の回転を一定の角度範囲に制限する回転制限機構と、
 前記回転軸に対する前記第2のカム部材の回転を阻止する回転阻止機構とを備え、
 前記第2のカム部材は、前記回転軸の周方向に沿って長尺状に延びる第1の孔部を有し、
 前記回転制限機構は、
 前記回転軸とともに回転するように設けられ、前記第2のカム部材の前記第1の孔部から退出する第1の状態と前記第2のカム部材の前記第1の孔部に進入する第2の状態とに移行可能に設けられた制限部材と、
 前記制限部材を前記第1の状態に移行させる付勢力を発生する第1の付勢部材と、
 前記回転軸の回転に伴う遠心力により前記第1の付勢部材による付勢力に抗して前記制限部材を前記第2の状態に移行させるように作動する第1の駆動部材とを含む、エンジン装置。
請求項14記載のエンジン装置と、
 駆動輪と、
 前記エンジン装置により発生される動力を前記駆動輪に伝達する伝達機構とを備える、車両。
Description:
可変動弁装置、それを備えたエ ジン装置および車両

 本発明は、エンジンのバルブを駆動する 変動弁装置、それを備えるエンジン装置お び車両に関する。

 従来、燃費の向上、排気ガス中の有害物 の低減、および特定の回転速度領域での高 力化を目的としてエンジンの吸排気を制御 る種々の可変バルブ機構が開発されている

 吸排気の効率を高めるためには、エンジ の回転速度が低い低回転領域およびエンジ の回転速度が高い高回転領域において、吸 量を最適に切り替えることが好ましい。

 特許文献1には、低速用カムと高速用カムと の切替を簡単でコンパクトな構造で行うエン ジンの動弁装置が提案されている。この動弁 装置においては、カム軸に低速用カムが固定 され、この低速用カムに並列してカム軸に相 対変位可能に高速用カムが設けられている。 カム軸内には、軸方向に往復移動可能に制御 軸が設けられている。制御軸の軸方向の移動 により高速用カムがカム軸に垂直な方向に突 出し、低速用カムと高速用カムとが切り替え られる。

特開平09-256827号公報

 特許文献1の動弁装置では、低速用カムか ら高速用カムへの切替を油圧アクチュエータ により行う。具体的には、制御軸と連動する ように制御レバーが設けられており、スプリ ングにより付勢された制御レバーを油圧アク チュエータにより移動させる。それにより、 制御軸が軸方向に移動し、低速用カムから高 速用カムへと切り替えられる。

 しかしながら、スプリングの付勢力、バ ブから高速用カムへ加わる反力、およびバ ブから制御軸へ加わる反力に抗して制御レ ーを移動させるには、大きな油圧が必要と る。そのため、油圧アクチュエータにオイ を供給するオイルポンプとして、より大型 、より高価なものが必要となる。その結果 生産コストが増大するとともに、車両の小 化が妨げられる。

 本発明の目的は、小型かつ低コストで、 ンジンの回転速度に応じてカムを最適に切 替えることができる可変動弁装置、それを えるエンジン装置および車両を提供するこ である。

 (1)本発明の一局面に従う可変動弁装置は エンジンのバルブを駆動するための可変動 装置であって、エンジンの回転に連動して 転可能に設けられた回転軸と、回転軸とと に回転するように設けられ、バルブを開閉 るように作用する第1のカム部材と、回転軸 に対して回転可能に設けられ、バルブを開閉 するように作用する第2のカム部材と、回転 に対する第2のカム部材の回転を一定の角度 囲に制限する回転制限機構と、回転軸に対 る第2のカム部材の回転を阻止する回転阻止 機構とを備え、第2のカム部材は、回転軸の 方向に沿って長尺状に延びる第1の孔部を有 、回転制限機構は、回転軸とともに回転す ように設けられ、第2のカム部材の第1の孔 から退出する第1の状態と第2のカム部材の第 1の孔部に進入する第2の状態とに移行可能に けられた制限部材と、制限部材を第1の状態 に移行させる付勢力を発生する第1の付勢部 と、回転軸の回転に伴う遠心力により第1の 勢部材による付勢力に抗して制限部材を第2 の状態に移行させるように作動する第1の駆 部材とを含むものである。

 この可変動弁装置においては、エンジン 回転に連動して回転軸が回転する。第1のカ ム部材は、回転軸の回転に伴い回転し、バル ブを開閉するように作用する。第2のカム部 は、エンジンの回転速度に応じて、回転軸 対して回転可能な状態と回転軸に対する回 が阻止される状態との間で切り替えられる

 エンジンの回転速度が低い場合には、第1 の付勢部材が発生する付勢力により、制限部 材は第2のカム部材の第1の孔部から退出する 1の状態に維持される。エンジンの回転速度 が高くなると、回転軸の回転に伴う遠心力に より、第1の駆動部材が第1の付勢部材による 勢力に抗して制限部材を第2の状態に移行さ せる。そのため、制限部材が第2のカム部材 第1の孔部に進入する。それにより、回転軸 対する第2のカム部材の回転が一定の角度範 囲に制限される。この場合、制限部材が長尺 状の第1の孔部内で移動可能な範囲内でのみ 2のカム部材が回転可能な状態となる。

 また、回転軸に対する第2のカム部材の回 転が回転阻止機構によって阻止されると、第 2のカム部材が回転軸とともに回転し、バル を開閉するように作用する。

 このようにして、エンジンの回転速度に じて、第2のカム部材が回転軸に対して回転 可能な状態と、回転軸に対する第2のカム部 の回転が回転阻止機構により阻止される状 とが切り替えられる。それにより、第1のカ 部材がバルブに作用する状態と、第2のカム 部材がバルブに作用する状態とを切り替える ことができる。

 したがって、第1のカム部材および第2の ム部材をそれぞれエンジンの低回転時およ 高回転時に最適な形状に形成することによ 、通常走行(中低速走行)時の燃費を向上させ 、排気ガス中の有害物質を低減することがで きるとともに、高速走行時の高出力化を実現 することができる。

 また、第1の孔部が長尺状に設けられるこ とにより、制限部材は第1の孔部に容易に進 することができる。さらに、制限部材が第1 孔部に進入して回転軸に対する第2のカム部 材の回転を一定の角度範囲に制限することに より、回転阻止機構が回転軸に対する第2の ム部材の回転を容易に阻止することができ 。したがって、エンジンの回転速度に応じ 第2のカム部材の切り替えを迅速かつ確実に うことができる。

 また、回転軸の回転による遠心力を利用 て第1のカム部材と第2のカム部材とが切り えられるため、油圧系統による駆動源が不 である。したがって、小型かつ低コストの 変動弁装置が実現される。

 (2)第1の駆動部材は、回転軸の回転に伴う 遠心力により第1の位置から第2の位置に回動 能に設けられ、制限部材は、第1の駆動部材 が第1の位置から第2の位置へ回動することに り第1の状態から第2の状態に移行し、第1の 勢部材は、第1の駆動部材が第1の位置に向 うように第1の駆動部材を付勢してもよい。

 この場合、第1の付勢部材による付勢力は 、第1の駆動部材が第1の位置に向かうように く。回転軸の回転に伴う遠心力は、第1の駆 動部材が第1の位置から第2の位置に回動する うに働く。

 エンジンの回転速度が低い場合には、第1 の付勢部材による付勢力が第1の駆動部材に わる遠心力よりも大きい。そのため、第1の 動部材が第1の位置で維持される。それによ り、制限部材が第1の状態に維持される。

 エンジンの回転速度が高い場合には、第1 の駆動部材に加わる遠心力が第1の付勢部材 よる付勢力よりも大きくなる。そのため、 1の駆動部材が第1の位置から第2の位置に回 する。それにより、制限部材が第1の状態か 第2の状態へ移行する。

 このように、簡単な構成で、制限部材を 1の状態または第2の状態に移行させること できる。

 (3)第1の孔部は、第2のカム部材の重心の 置が回転軸の位置とほぼ一致するように設 られてもよい。

 この場合、第2のカム部材が回転軸周りに 回転しても、その回転方向における第2のカ 部材の慣性力の発生が低減される。それに り、エンジンの低回転時に第2のカム部材が ルブの開閉に作用することが防止される。

 (4)制限部材が第1の状態および第2の状態 少なくとも一方にあるときに制限部材を係 する係止部材をさらに備えてもよい。

 この場合、制限部材が係止部材によって 止されることにより、制限部材が第1の状態 と第2の状態との間で不安定になることが防 される。特に、第1の付勢部材の付勢力によ 制限部材が第1の状態に移行する力と、第1 駆動部材に加わる遠心力により制限部材が 2の状態に移行する力とが釣り合う状態で、 限部材の動きが不安定になることを防止す ことができる。

 (5)制限部材は第1の凹部を有し、係止部材 は、制限部材が第1の状態にあるときに第1の 部に嵌合されてもよい。

 この場合、係止部材が制限部材の第1の凹 部に嵌合されることにより、制限部材が第1 状態で維持される。第1の駆動部材に加わる 心力が大きくなると、制限部材が第2の状態 に移行する力が大きくなる。それにより、係 止部材が制限部材の第1の凹部から退出し、 限部材が第2の状態に移行する。したがって 簡単な構成で安定に制限部材を第1の状態か ら第2の状態に移行させることができる。

 (6)制限部材は第2の凹部を有し、係止部材 は、制限部材が第2の状態にあるときに第2の 部に嵌合されてもよい。

 この場合、係止部材が制限部材の第2の凹 部に嵌合されることにより、制限部材が第2 状態で維持される。第1の駆動部材に加わる 心力が小さくなると、制限部材が第1の状態 に移行する力が大きくなる。それにより、係 止部材が制限部材の第2の凹部から退出し、 限部材が第1の状態に移行する。したがって 簡単な構成で安定に制限部材を第2の状態か ら第1の状態に移行させることができる。

 (7)第2のカム部材は、第2の孔部をさらに み、回転阻止機構は、回転軸とともに回転 るように設けられ、第2のカム部材の第2の孔 部から退出する第3の状態と第2のカム部材の 2の孔部に嵌合される第4の状態とに移行可 に設けられたロック部材と、ロック部材を 3の状態に移行させる付勢力を発生する第2の 付勢部材と、回転軸の回転に伴う遠心力によ り第2の付勢部材による付勢力に抗してロッ 部材を第4の状態に移行させるように作動す 第2の駆動部材とを含んでもよい。

 この場合、エンジンの回転速度が低い場 には、第2の付勢部材が発生する付勢力によ り、ロック部材は第2のカム部材の第2の孔部 ら退出する第3の状態に維持される。そのた め、回転軸に対する第2のカム部材の回転が 止されない。

 エンジンの回転速度が高くなると、回転 の回転に伴う遠心力により、第2の駆動部材 が第2の付勢部材による付勢力に抗してロッ 部材を第4の状態に移行させる。そのため、 ック部材が第2のカム部材の第2の孔部に嵌 される。それにより、回転軸に対する第2の ム部材の回転が阻止される。

 なお、本発明に係る可変動弁装置におい は、回転制限機構によって回転軸に対する 2のカム部材の回転を制限することができる ので、ロック部材を迅速かつ確実に第2の孔 に嵌合させることができる。

 (8)第2の駆動部材は、回転軸の回転に伴う 遠心力により第3の位置から第4の位置に回動 能に設けられ、ロック部材は、第2の駆動部 材が第3の位置から第4の位置へ回動すること より第3の状態から第4の状態に移行し、第2 付勢部材は、第2の駆動部材が第3の位置に かうように第2の駆動部材を付勢してもよい

 この場合、第2の付勢部材による付勢力は 、第2の駆動部材が第3の位置に向かうように く。回転軸の回転に伴う遠心力は、第2の駆 動部材が第3の位置から第4の位置に回動する うに働く。

 エンジンの回転速度が低い場合には、第2 の付勢部材による付勢力が第2の駆動部材に わる遠心力よりも大きい。そのため、第2の 動部材が第3の位置で維持される。それによ り、ロック部材が第3の状態に維持され、回 軸に対する第2のカム部材の回転が阻止され い。

 エンジンの回転速度が高い場合には、第2 の駆動部材に加わる遠心力が第2の付勢部材 よる付勢力よりも大きくなる。そのため、 2の駆動部材が第3の位置から第4の位置に回 する。それにより、ロック部材が第3の状態 ら第4の状態へ移行し、回転軸に対する第2 カム部材の回転が阻止される。

 このように、簡単な構成で、ロック部材 第3の状態または第4の状態に移行させるこ ができる。

 (9)回転軸の回転に伴う遠心力により第1の 駆動部材が第1の付勢部材による付勢力に抗 て制限部材を第2の状態に移行させるように 動する際のエンジンの回転速度は、回転軸 回転に伴う遠心力により第2の駆動部材が第 2の付勢部材による付勢力に抗してロック部 を第4の状態に移行させるように作動する際 エンジンの回転速度よりも高くてもよい。

 この場合、エンジンの回転速度の上昇時 おいて、第1の駆動部材が制限部材を第1の 態から第2の状態に移行させようとする前に 2の駆動部材がロック部材を第3の状態から 4の状態に移行させようとする。それにより ロック部材が迅速に第2の孔部に挿入される 。そのため、先に制限部材が第1の孔部に挿 された場合でも、制限部材のみが第1の孔部 挿入されている時間が短縮される。その結 、エンジンの加速時に、迅速かつ安定に第2 のカム部材の切り替えを行うことができる。

 また、エンジンの回転速度の下降時にお ては、制限部材が第2の状態から第1の状態 移行した後、ロック部材が第4の状態から第3 の状態に移行する。それにより、制限部材の みが第1の孔部に挿入された状態が回避され 。したがって、エンジンの減速時に、迅速 つ安定に第2のカム部材の切り替えを行うこ ができる。

 (10)回転阻止機構は、第2のカム部材の第1 孔部内に進入した制限部材を第1の孔部内の 所定の位置で掛止する掛止部材を含んでもよ い。

 この場合、制限部材が掛止部材によって 1の孔部内の所定の位置で掛止されることに より、回転軸に対する第2のカム部材の回転 阻止される。なお、上記のロック部材、第2 駆動部材および第2の付勢部材とともに掛止 部材を用いることにより、より迅速かつ確実 に回転軸に対する第2のカム部材の回転を阻 することができる。

 (11)第1のカム部材の回転に連動して揺動 ることによりバルブを上下動させる第1の伝 部材と、第2のカム部材の回転に連動して第 1の伝達部材を揺動させる第2の伝達部材とを らに備えてもよい。

 この場合、第1のカム部材が回転軸の回転 に伴い回転することにより第1の伝達部材が 動する。それにより、バルブの上下動が行 れる。また、回転軸に対する第2のカム部材 回転が阻止された状態において、第2のカム 部材が回転軸とともに回転することにより第 2の伝達部材が揺動する。それにより、第1の 達部材が揺動し、バブルの上下動が行われ 。

 (12)第2の伝達部材を第2のカム部材に押し てるように付勢する第3の付勢部材をさらに 備えてもよい。

 この場合、エンジンの低回転時に、第2の カム部材が慣性力または摩擦力等によって回 転しようとしても、第3の付勢部材の付勢力 より第2の伝達部材が第2のカム部材に押し当 てられることにより、第2のカム部材の回転 阻止される。そのため、エンジンの低回転 にバルブの開閉動作を正常に維持すること できる。

 (13)第3の付勢部材は、第1の伝達部材と第2 の伝達部材との間に接続されたばねを含んで もよい。

 この場合、第1の伝達部材と第2の伝達部 との間にばねが接続されることにより、第2 伝達部材が第2のカム部材に押し当てられる ように付勢される。また、ばねが第1の伝達 材と第2の伝達部材との間に接続されるため 第1の伝達部材および第2の伝達部材の周囲 スペースを有効に利用することができる。

 (14)本発明の他の局面に従うエンジン装置 は、バルブを有するエンジンと、エンジンの バルブを駆動するための可変動弁装置とを備 え、可変動弁装置は、エンジンの回転に連動 して回転可能に設けられた回転軸と、回転軸 とともに回転するように設けられ、バルブを 開閉するように作用する第1のカム部材と、 転軸に対して回転可能に設けられ、バルブ 開閉するように作用する第2のカム部材と、 転軸に対する第2のカム部材の回転を一定の 角度範囲に制限する回転制限機構と、回転軸 に対する第2のカム部材の回転を阻止する回 阻止機構とを備え、第2のカム部材は、回転 の周方向に沿って長尺状に延びる第1の孔部 を有し、回転制限機構は、回転軸とともに回 転するように設けられ、第2のカム部材の第1 孔部から退出する第1の状態と第2のカム部 の第1の孔部に進入する第2の状態とに移行可 能に設けられた制限部材と、制限部材を第1 状態に移行させる付勢力を発生する第1の付 部材と、回転軸の回転に伴う遠心力により 1の付勢部材による付勢力に抗して制限部材 を第2の状態に移行させるように作動する第1 駆動部材とを含んでもよい。

 このエンジン装置においては、可変動弁 置によりエンジンのバルブが駆動される。 変動弁装置においては、エンジンの回転に 動して回転軸が回転する。第1のカム部材は 、回転軸の回転に伴い回転し、バルブを開閉 するように作用する。第2のカム部材は、エ ジンの回転速度に応じて、回転軸に対して 転可能な状態と回転軸に対する回転が阻止 れる状態との間で切り替えられる。

 エンジンの回転速度が低い場合には、第1 の付勢部材が発生する付勢力により、制限部 材は第2のカム部材の第1の孔部から退出する 1の状態に維持される。エンジンの回転速度 が高くなると、回転軸の回転に伴う遠心力に より、第1の駆動部材が第1の付勢部材による 勢力に抗して制限部材を第2の状態に移行さ せる。そのため、制限部材が第2のカム部材 第1の孔部に進入する。それにより、回転軸 対する第2のカム部材の回転が一定の角度範 囲に制限される。この場合、制限部材が長尺 状の第1の孔部内で移動可能な範囲内でのみ 2のカム部材が回転可能な状態となる。

 また、回転軸に対する第2のカム部材の回 転が回転阻止機構によって阻止されると、第 2のカム部材が回転軸とともに回転し、バル を開閉するように作用する。

 このようにして、エンジンの回転速度に じて、第2のカム部材が回転軸に対して回転 可能な状態と、回転軸に対する第2のカム部 の回転が回転阻止機構により阻止される状 とが切り替えられる。それにより、第1のカ 部材がバルブに作用する状態と、第2のカム 部材がバルブに作用する状態とを切り替える ことができる。

 したがって、第1のカム部材および第2の ム部材をそれぞれエンジンの低回転時およ 高回転時に最適な形状に形成することによ 、通常走行(中低速走行)時の燃費を向上させ 、排気ガス中の有害物質を低減することがで きるとともに、高速走行時の高出力化を実現 することができる。

 また、第1の孔部が長尺状に設けられるこ とにより、制限部材は第1の孔部に容易に進 することができる。さらに、制限部材が第1 孔部に進入して回転軸に対する第2のカム部 材の回転を一定の角度範囲に制限することに より、回転阻止機構が回転軸に対する第2の ム部材の回転を容易に阻止することができ 。したがって、エンジンの回転速度に応じ 第2のカム部材の切り替えを迅速かつ確実に うことができる。

 また、回転軸の回転による遠心力を利用 て第1のカム部材と第2のカム部材とが切り えられるため、油圧系統による駆動源が不 である。したがって、小型かつ低コストの 変動弁装置が実現される。それにより、エ ジン装置の小型化および低コスト化が可能 なる。

 (15)本発明のさらに他の局面に従う車両は 、第2の発明に係るエンジン装置と、駆動輪 、エンジン装置により発生される動力を駆 輪に伝達する伝達機構とを備えるものであ 。

 この車両においては、第2の発明に係るエ ンジン装置により発生される動力が、伝達機 構により駆動輪に伝達され、駆動輪が駆動さ れる。エンジン装置においては、可変動弁装 置により、エンジンのバルブが駆動される。

 この場合、エンジンの回転速度に応じて 可変動弁装置の第1のカム部材がバルブに作 用する状態と、可変動弁装置の第2のカム部 がバルブに作用する状態とが切り替えられ 。それにより、第1のカム部材および第2のカ ム部材をそれぞれエンジンの低回転時および 高回転時に最適な形状に形成することにより 、通常走行(中低速走行)時の燃費を向上させ 排気ガス中の有害物質を低減することがで るとともに、高速走行時の高出力化を実現 ることができる。

 また、遠心力を利用して第1のカム部材と 第2のカム部材とが切り替えられるため、油 系統による駆動源が不要である。したがっ 、小型かつ低コストの可変動弁装置が実現 れ、エンジン装置の小型化および低コスト が可能となる。

 本発明によれば、エンジンの回転速度に じて、第1のカム部材がバルブに作用する状 態と、第2のカム部材がバルブに作用する状 とが切り替えられる。それにより、第1のカ 部材および第2のカム部材をそれぞれエンジ ンの低回転時および高回転時に最適な形状に 形成することにより、通常走行(中低速走行) の燃費を向上させ、排気ガス中の有害物質 低減することができるとともに、高速走行 の高出力化を実現することができる。また 回転軸の回転による遠心力を利用して第1の カム部材と第2のカム部材とが切り替えられ ため、油圧系統による駆動源が不要である したがって、小型かつ低コストの可変動弁 置が実現される。

図1は本発明の一実施の形態に係る自動 二輪車の模式図である。 図2は図1のエンジン内に設けられる可 動弁装置の概要を説明するための図である 図3は可変動弁装置の構成を説明するた めの組立て斜視図である。 図4は可変動弁装置の構成を説明するた めの組立て斜視図である。 図5は可変動弁装置の状態の切り替わり について説明するための図である。 図6は可変動弁装置の状態の切り替わり について説明するための図である。 図7はエンジン内に取り付けた可変動弁 装置の状態を示す図である。 図8はエンジン内に取り付けた可変動弁 装置の状態を示す図である。 図9はばね収容部の内部の構成を示す断 面図である。 図10は係止部材および係止ばねによる 用を説明するための図である。 図11は吸気ハイカムロッカーアームが 勢されていない場合の吸気バルブのリフト 作を示す図である。 図12はストッパを示す図である。 図13は異常バルブリフトについて説明 るための図である。 図14は異常バルブリフトについて説明 るための図である。 図15は異常バルブリフトが発生した場 の吸気バルブのリフト動作を模式的に示す である。 図16は異常バルブリフトの抑制方法の 要について説明するための図である。 図17は角度θ1の範囲を簡易的に説明す ための指標図である。 図18はギャップセンサにより吸気バル のリフト量を検出した結果を示す図である 図19はギャップセンサにより吸気バル のリフト量を検出した結果を示す図である 図20は固定プレートを示す図である。

 以下、本発明の一実施の形態に係る可変 弁装置、それを備えるエンジン装置および 両について説明する。なお、本実施の形態 おいては、車両としては小型の自動二輪車 ついて説明する。

 (1)車両の構成
 図1は、本発明の一実施の形態に係る自動二 輪車の模式図である。この自動二輪車100にお いては、本体フレーム6の前端にヘッドパイ 3が設けられている。ヘッドパイプ3にフロン トフォーク2が左右方向に揺動可能に設けら ている。フロントフォーク2の下端に前輪1が 回転可能に支持されている。ヘッドパイプ3 上端にはハンドル4が取り付けられている。

 本体フレーム6の中央部にはエンジン7が 持されている。エンジン7内には、後述の可 動弁装置が設けられている。エンジン7の上 部には燃料タンク8が設けられ、燃料タンク8 後方にはシート9が設けられている。エンジ ン7の後方に延びるように、本体フレーム6に アアーム10が接続されている。リアアーム10 は、後輪11および後輪ドリブンスプロケット1 2を回転可能に保持する。エンジン7には排気 13が接続されている。排気管13の後端にマフ ラー14が取り付けられている。

 エンジン7のドライブシャフト26に後輪ド イブスプロケット15が取り付けられている 後輪ドライブスプロケット15は、チェーン16 介して後輪11の後輪ドリブンスプロケット12 に連結されている。

 (2)可変動弁装置の概要
 図2は、図1のエンジン7内に設けられる可変 弁装置の概要を説明するための図である。 2(a)は可変動弁装置の模式的上面図を示し、 図2(b)は可変動弁装置の模式的側面図を示す

 図2(a)および(b)に示すように、エンジン7 シリンダヘッド7Sに可変動弁装置200が設けら れる。可変動弁装置200は、カム用ドリブンス プロケット250、吸気ハイカム320、排気カム360 および吸気ローカム370を備える。

 ピストン21がシリンダ20内で往復動作する ことによりクランクシャフト23が回転し、ク ンクシャフト23に設けられたカム用ドライ スプロケット24が回転する。カム用ドライブ スプロケット24の回転力は、チェーン25を介 て可変動弁装置200のカム用ドリブンスプロ ット250に伝達される。これにより、可変動 装置200が回転する。可変動弁装置200の回転 度は、エンジン7の回転速度(クランクシャフ ト23の回転速度)の2分の1である。

 可変動弁装置200においては、エンジン7の 回転速度に応じて吸気ハイカム320と吸気ロー カム370との切替が行われる。それにより、後 述する吸気バルブのリフト量が変化し、シリ ンダ20への吸気量が変化する。

 (3)可変動弁装置の構成
 可変動弁装置200の構成の詳細について説明 る。図3および図4は、可変動弁装置200の構 を説明するための組立て斜視図である。図3 よび図4においては、矢印X,Y,Zで示すように 互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ 方向と定義する。

 可変動弁装置200は、大きく分けてロック ン保持機構210(図3参照)、カム用ドリブンス ロケット250(図4参照)、連結部材260(図4参照) 遊動カム部300(図4参照)およびカムシャフト3 50(図4参照)から構成されている。

 図3は、ロックピン保持機構210の組立て斜 視図である。図3に示すように、ロックピン 持機構210は、XZ平面に平行な支持部材211を有 する。支持部材211の一面の上端部には、Y方 に延びるウエイト保持片211a,211bが形成され いる。支持部材211の一面の下端部には、Y方 に延びるウエイト保持片211c,211dが形成され いる。ウエイト保持片211a~211dの先端部には 軸保持孔212a~212dが形成されている。

 支持部材211の一面の略中央部には、板状 ばね保持部材213が取り付けられている。ば 保持部材213のZ方向に沿う一辺の上端部から Y方向に延びるようにばね保持片213aが形成さ ている。また、ばね保持部材213のZ方向に沿 う他辺の下端部からY方向に延びるようにば 保持片213bが形成されている。

 支持部材211の他面には、略円板状のばね 容部215が設けられている。ばね収容部215の 周面には、後述のロックピン挿入孔211Aに連 通するばね挿入孔215a、および後述のロック ン挿入孔211Bに連通するばね挿入孔215b(後述 図9参照)が形成されている。ばね挿入孔215a は係止部材216aおよび係止ばね217aが挿入され るとともに、その開口部が嵌合部材218aによ 閉塞される。ばね挿入孔215bには係止部材216b および係止ばね217bが挿入されるとともに、 の開口部が嵌合部材218bにより閉塞される。 ね収容部215の詳細については後述する。

 支持部材211、ばね保持部材213およびばね 容部215の中央部をY方向に貫通するように貫 通孔210Gが形成されている。また、貫通孔210G 上下において支持部材211およびばね収容部2 15をY方向に貫通するようにロックピン挿入孔 211A,211Bが形成されている。貫通孔210Gの中心 ロックピン挿入孔211Aの中心との間の距離は 貫通孔210Gの中心とロックピン挿入孔211Bの 心との間の距離よりも大きく設定される。

 支持部材211の一面には、ウエイト221,226お よびばねS1,S2が取り付けられる。ウエイト221 略直方体状の本体部222を有し、XZ平面に平 な本体部222の一面から斜め下方に湾曲して びるように2つのピン保持部223が設けられて る。各ピン保持部223には、X方向に貫通する 軸挿入孔223aが形成されている。各ピン保持 223の下端部にはX方向に延びるピン保持溝223b が形成されている。

 本体部222の上部には、X方向に突出する2 の突出部222aが形成されている。また、YZ平 に平行な本体部221の一面および他面の下端 には、ばね係止孔224が形成されている。な 、図3においては示されないが、XY平面に平 な本体部221の一面(下面)には、Y方向に延び ピン当接溝が形成されている(後述のウエイ 226のピン当接溝249参照)。

 ウエイト221は支持部材211のウエイト保持 211a,211bの間に配置される。その状態で、ウ イト保持片211a,211bの軸保持孔212a,212bおよび エイト221の軸挿入孔223aを通して回動軸225が 挿入される。それにより、ウエイト221が支持 部材211上で回動可能に保持される。また、ウ エイト221のばね係止孔224の一方にはばねS1の 端が係止され、ばね保持部材213のばね保持 213bにはばねS1の他端が係止される。

 ウエイト226はウエイト221と同様の形状を し、ウエイト221の本体部222、ピン保持部223 軸挿入孔223a、ピン保持溝223b、突出部222a、 ね係止孔224およびピン当接溝に相当する本 部227、ピン保持部228、軸挿入孔228a、ピン保 持溝228b、突出部227a、ばね係止孔229およびピ 当接溝249を有する。

 ウエイト226は支持部材211のウエイト保持 211c,211dの間でウエイト221に対向するように 置される。その状態で、ウエイト保持片211c ,211dの軸保持孔212c,212dおよびウエイト226の軸 入孔228aを通して回動軸230が挿入される。そ れにより、ウエイト226が支持部材211上で回動 可能に保持される。また、ウエイト226のばね 係止孔229の一方にはばねS2の一端が係止され ばね保持部材213のばね保持片213aにはばねS2 他端が係止される。

 ロックピン挿入孔211Aには、Y方向に延び ロックピン240が挿入される。ロックピン240 一端部にはX方向に延びる1対の支持ピン241が 形成されている。この支持ピン241はウエイト 221のピン保持溝223bに嵌合される。また、ロ クピン240には、X方向に延びる一対の係止ピ 242が支持ピン241から所定の距離をおいて形 されている。ロックピン240の中央部の外周 には、凹部243,244がY方向に沿って所定の間 で形成されている。

 ロックピン挿入孔211Bには、Y方向に延び ロックピン245が挿入される。ロックピン245 ロックピン240と同様の形状を有し、ロック ン240の1対の支持ピン241、1対の係止ピン242、 および凹部243,244に相当する1対の支持ピン246 1対の係止ピン247および凹部248,249を有する ロックピン245の支持ピン246はウエイト226の ン保持溝228bに嵌合される。

 図4は、ロックピン保持機構210、カム用ド リブンスプロケット250、連結部材260、遊動カ ム部300およびカムシャフト350の組立て斜視図 である。なお、カム用ドリブンスプロケット 250はXZ平面と平行となるように配置され、連 部材260、遊動カム部300およびカムシャフト3 50は、その軸心JがY方向と平行になるように 置されている。

 図4に示すように、カム用ドリブンスプロ ケット250の中心部には貫通孔250Gが形成され 貫通孔250Gの上下にはロックピン挿入孔251A,25 1Bが形成されている。貫通孔250Gの中心とロッ クピン挿入孔251Aの中心との間の距離は、図3 示した貫通孔210Gの中心とロックピン挿入孔 211Aの中心との間の距離に等しく設定される また、貫通孔250Gの中心とロックピン挿入孔2 51Bの中心との間の距離は、図3に示した貫通 210Gの中心とロックピン挿入孔211Bの中心との 間の距離に等しく設定される。

 連結部材260は円筒形状を有し、その軸心J に沿うように貫通孔260Gが形成されている。 た、貫通孔260Gの上下において連結部材260をY 方向に貫通するようにロックピン挿入孔261A,2 61Bが形成されている。貫通孔260Gの中心とロ クピン挿入孔261Aの中心との間の距離は、図3 に示した貫通孔210Gの中心とロックピン挿入 211Aの中心との間の距離に等しく設定される また、貫通孔260Gの中心とロックピン挿入孔 261Bの中心との間の距離は、図3に示した貫通 210Gの中心とロックピン挿入孔211Bの中心と 間の距離に等しく設定される。

 ロックピン保持機構210に保持されたロッ ピン240は、カム用ドリブンスプロケット250 ロックピン挿入孔251Aおよび連結部材260のロ ックピン挿入孔261Aに挿入される。また、ロ クピン保持機構210に保持されたロックピン24 5は、カム用ドリブンスプロケット250のロッ ピン挿入孔251Bおよび連結部材260のロックピ 挿入孔261Bに挿入される。本実施の形態では 、エンジン7の回転速度に応じて、ロックピ 240,245が連結部材260の端面から突出した状態 、ロックピン240,245が連結部材260内に収納さ れた状態とが切り替わる。詳細は後述する。

 遊動カム部300は、ロックピン嵌合部310、 よび吸気ハイカム320から形成されている。 気ハイカム320はカムノーズ320Aを含む。なお 、本明細書において、カムノーズ320Aとは、 心Jからの半径が真円状のベース円の半径よ も増加された部分全体をいう。後述の排気 ム360のカムノーズ360Aおよび吸気ローカム370 のカムノーズ370Aに関しても同様とする。

 遊動カム部300には、軸心Jに沿うように貫 通孔300Gが形成されている。遊動カム部300の ックピン嵌合部310には、ピン嵌合孔311およ ピン摺動孔312が形成されている。ピン摺動 312は、ほぼ一定の幅を維持しつつ軸心Jを中 とする円周方向に延びるように形成されて る。なお、軸心Jからピン摺動孔312の中央部 に向かう方向は、軸心Jから吸気ハイカム320 カムノーズ320Aの先端に向かう方向に一致す 。

 軸心Jを中心とするピン摺動孔312の一端部 P1から他端部P2までの角度θ1は、40°~60°の範 であることが好ましい。角度θ1の設定につ ては後述する。

 ピン嵌合孔311の内径は、ロックピン240,245 の外径とほぼ等しい。また、ピン摺動孔312の 幅はロックピン240,245の外径とほぼ等しい。 ン嵌合孔311の中心と軸心Jとの間の距離は、 3に示した貫通孔210Gの中心とロックピン挿 孔211Aの中心との間の距離に等しく設定され 。軸心Jからピン摺動孔312の中心までの半径 方向の距離は、図3に示した貫通孔210Gの中心 ロックピン挿入孔211Bの中心との間の距離と 等しく設定される。

 カムシャフト350は、一端側にY方向に延び るカム固定軸352を有し、中央部に段差部351、 排気カム360および吸気ローカム370を有し、他 端側にY方向に延びる突出軸353を有する。排 カム360はカムノーズ360Aを含み、吸気ローカ 370はカムノーズ370Aを含む。カム固定軸352の 端部にはねじ孔350Hが形成されている。なお 本実施の形態では、遊動カム部300の吸気ハ カム320のカムノーズ320Aの長さは、吸気ロー ム370のカムノーズ370Aの長さよりも大きい。 また、吸気ハイカム320のベース円と、吸気ロ ーカム370のベース円とは互いに等しい形状で ある。なお、カムノーズ320A,370Aの長さとは、 軸心Jからカムノーズ320A,370Aの先端までの長 をいう。

 可変動弁装置200の組立て時には、カムシ フト350のカム固定軸352が、遊動カム部300の 通孔300G、連結部材260の貫通孔260Gに挿入さ る。そして、ロックピン保持機構210の貫通 210G(図3)およびカム用ドリブンスプロケット2 50の貫通孔250Gを通してカム固定軸352のねじ孔 350Hにねじ380がねじ込まれる。

 それにより、ロックピン保持機構210、カ 用ドリブンスプロケット250、連結部材260お びカムシャフト350が互いに固定される。一 、遊動カム部300は、カムシャフト350のカム 定軸352周りで回転可能に保持される。後述 ように、ロックピン240,245が遊動カム部300の ピン嵌合孔311およびピン摺動孔312に挿入され ると、カムシャフト350に対する遊動カム部300 の回転が阻止される。

 なお、ロックピン保持機構210、カム用ド ブンスプロケット250および連結部材260を一 的に形成してもよい。また、カムシャフト3 50の排気カム360、吸気ローカム370、段差部351 カム固定軸352および突出軸353は一体的に形 されてもよく、あるいはそれぞれ個別に形 されていてもよい。

 さらに、図4では図示しないが、カムシャ フト350のカム固定軸352とカム用ドリブンスプ ロケット250の貫通孔250Gとの接続部には、カ 用ドリブンスプロケット250に対するカムシ フト350の回転を制限する固定機構が設けら てもよい。

 この固定機構は、例えばカムシャフト350 カム固定軸352の先端部に突起部を設け、カ 用ドリブンスプロケット250の貫通孔250Gにカ ム固定軸352の突起部と嵌合可能な溝部を設け ることにより実現される。

 (4)可変動弁装置の状態の切り替わり
 上記図3および図4の構成を有する可変動弁 置200は、エンジンの回転速度に応じて状態 切り替わる。次に、可変動弁装置200の状態 切り替わりについて説明する。図5および図6 は、可変動弁装置200の状態の切り替わりにつ いて説明するための図である。図5および図6 おいては、説明を明確にするために支持部 211、ばね収容部215、カム用ドリブンスプロ ット250および連結部材260を除いた状態で可 動弁装置200を示している。

 エンジン7(図2)が作動することにより、図 5(a)に示すように、可変動弁装置200が軸心Jを 心として矢印M5の方向に回転する。それに り、ウエイト221に矢印M1の方向の遠心力が加 わるとともに、ウエイト226に矢印M2の方向の 心力が加わる。一方、ウエイト221はばねS1 より矢印M1の逆方向に付勢されている。また 、ウエイト226はばねS2により矢印M2の逆方向 付勢されている。

 エンジン7の回転速度が低い場合には、ウ エイト221,226に加わる遠心力がばねS1,S2による 付勢力よりも小さい。そのため、回動軸225周 りのウエイト221の回転動作および回動軸230周 りのウエイト226の回転動作が制限される。こ の場合、ウエイト221のピン当接溝(図示せず) ロックピン240に当接するとともに突出部222a (図3)が支持部材211のウエイト保持片211a,211b( 3)に当接する状態で維持される。同様に、ウ エイト226のピン当接溝249(図3)がロックピン245 に当接するとともに突出部227a(図3)がウエイ 保持片211c,211d(図3)に当接する状態で維持さ る。

 また、この場合には、ロックピン240,245の 先端部は連結部材260(図4)内に収納された状態 であり、遊動カム部300のピン嵌合孔311および ピン摺動孔312に挿入されない。したがって、 遊動カム部300はカムシャフト350のカム固定軸 352周りで回転可能である。以下、図5(a)に示 たようにロックピン240,245がロックピン嵌合 310のピン嵌合孔311およびピン摺動孔312に挿 されていない状態を低回転状態と呼ぶ。

 エンジン7の回転速度が高くなると、ウエ イト221,226に加わる遠心力がばねS1,S2による付 勢力よりも大きくなり、ウエイト221,226が回 軸225,230周りで回転しようとする。それによ 、ロックピン240,245が遊動カム部300に向かっ て移動しようとする。

 この場合、ロックピン240の先端の位置が 動カム部300のピン嵌合孔311の位置に一致す ば、ロックピン240はピン嵌合孔311に挿入さ る。また、ロックピン245の先端の位置が遊 カム部300のピン摺動孔312の位置に一致すれ 、ロックピン245はピン摺動孔312に挿入され 。

 本実施の形態では、ピン摺動孔312を長尺 に形成していることにより、ロックピン240, 245を迅速かつ確実にピン嵌合孔311およびピン 摺動孔312に挿入させることができる。以下、 具体的に説明する。

 図5(a)に示した状態では、ロックピン240,24 5がエンジン7の回転の伴い矢印M5の方向に回 している。それに対して、遊動カム部300は カム固定軸352周りで回転可能であるため、 ムシャフト350の回転に同期しない。この場 、遊動カム部300に対するロックピン240,245の 対的な回転速度は、実際には数千rpmに及ぶ

 ピン嵌合孔311の内径はロックピン240の外 にほぼ等しいため、このような状況でロッ ピン240をピン嵌合孔311に挿入させることは 難である。それに対して、ピン摺動孔312は 尺状に形成されているので、図5(b)に示すよ うに、ロックピン245をピン嵌合孔312に挿入さ せることは比較的容易である。

 ロックピン245がピン嵌合孔312に挿入され と、ロックピン245がピン摺動孔312の一端部P 1に当接しつつ遊動カム部300を矢印M5の方向に 回転させる。それにより、遊動カム部300とロ ックピン240,245との間の相対的な回転速度が ぼ0となる。また、ロックピン245がピン摺動 312の一端部P1に当接する状態では、ロック ン240の先端部の位置とピン嵌合孔311の位置 が一致する。

 それにより、図6(c)に示すように、ロック ピン240を容易にピン嵌合孔311に挿入させるこ とができる。ロックピン240がピン嵌合孔311に 挿入されると、遊動カム部300がカムシャフト 350に対して固定され、カムシャフト350に対す る遊動カム部300の回転が阻止される。この場 合、軸心Jから吸気ハイカム320のカムノーズ32 0Aの先端に向かう方向は、軸心Jから吸気ロー カム370のカムノーズ370Aの先端に向かう方向 一致する。以下、図6(c)に示したようにロッ ピン240,245により遊動カム部300が固定された 状態を高回転状態と呼ぶ。

 エンジン7の回転速度が再び低くなると、 ウエイト221,226に加わる遠心力がばねS1,S2によ る付勢力よりも小さくなりウエイト221,226が 5(a)に示した状態に戻る。それにより、ロッ ピン240,245がピン嵌合孔311およびピン摺動孔 312から引き抜かれ、可変動弁装置200が低回転 状態に戻る。

 本実施の形態では、軸心Jからロックピン 240までの距離と軸心Jからロックピン245まで 距離とは互いに異なるように設定され、そ ぞれの距離に対応するように軸心Jからピン 合孔311までの距離および軸心Jからピン摺動 孔312までの距離が設定されている。そのため 、ロックピン240がピン摺動孔312に挿入される こと、またはロックピン245がピン嵌合孔311に 挿入されることが防止され、遊動カム部300は カムシャフト350に対して常に一定の姿勢で固 定される。

 また、ウエイト221,226の重量、ばねS1,S2の 勢力、カム嵌合孔311の大きさまたは形状、 ム摺動孔312の大きさ、および軸心Jとウエイ ト221,226との間の距離等を調整することによ 、可変動弁装置200が低回転状態から高回転 態に切り替わる際のエンジン7の回転速度(以 下、切り替わり回転速度と呼ぶ)を任意に設 することができる。また、後述する係止ば 217a,217bの付勢力等によっても切り替わり回 速度が変化する。

 なお、ウエイト221に加わる遠心力がばねS 1の付勢力よりも大きくなる際のエンジン7の 転速度は、ウエイト226に加わる遠心力がば S2の付勢力よりも大きくなる際のエンジン7 回転速度よりも低くなるように設定するこ が好ましい。この場合、エンジン7の回転速 度の上昇時において、ロックピン245が遊動カ ム部300に向かって移動しようとする前にロッ クピン240が遊動カム部300に向かって移動しよ うとする。そのため、より迅速にロックピン 240をピン嵌合孔311に挿入させることができる 。

 なお、ウエイト221の重量、ばねS1の付勢 、または軸心Jとウエイト221との間の距離等 調整することにより、ウエイト221に加わる 心力がばねS1の付勢力よりも大きくなる際 エンジン7の回転速度を任意に設定すること できる。また、ウエイト226の重量、ばねS2 付勢力、または軸心Jとウエイト226との間の 離等を調整することにより、ウエイト226に わる遠心力がばねS2の付勢力よりも大きく る際のエンジン7の回転速度を任意に設定す ことができる。

 以下の説明において、可変動弁装置200が 回転状態で維持されるエンジン7の回転速度 の領域を低回転領域と呼び、可変動弁装置200 が高回転状態で維持されるエンジン7の回転 度の領域を高回転領域と呼ぶ。

 (5)可変動弁装置のエンジンへの取り付け
 図7および図8は、エンジン7内に取り付けた 変動弁装置200の状態を示す図である。図7は 、エンジン7内の可変動弁装置200を上方から た図であり、図8は、エンジン7内の可変動弁 装置200をカムシャフト350の突出軸353の側から 見た図である。図7および図8においては、矢 X,Y,Zで示すように、互いに直交する3方向をX 方向、Y方向およびZ方向と定義する。

 図7に示すように、シリンダヘッド7S内に いて、可変動弁装置200がベアリングB1,B2に り回転可能に保持されている。可変動弁装 200の上方には、吸気ハイカムロッカーアー 400、排気カムロッカーアーム420および吸気 ーカムロッカーアーム440が設けられている 吸気ハイカムロッカーアーム400および吸気 ーカムロッカーアーム440は可変動弁装置200 一方側に並列に配置され、それぞれの中央 でシャフト410により回転可能に保持されて る。

 吸気ハイカムロッカーアーム400の一端は 気ハイカム320の上方に延び、吸気ローカム ッカーアーム440の一端は吸気ローカム370の 方に延びている。なお、吸気ハイカムロッ ーアーム400と吸気ローカムロッカーアーム4 40との間のシャフト410の部分には、ねじりコ ルばね455が取り付けられている。ねじりコ ルばね455の一端は吸気ハイカムロッカーア ム400に接続され、他端は吸気ローカムロッ ーアーム440に接続されている。これにより 吸気ハイカムロッカーアーム400と吸気ロー ムロッカーアーム440とが、シャフト410を軸 して互いに逆の回転方向に付勢される。詳 は後述する。

 排気カムロッカーアーム420は、可変動弁 置200の他方側に配置され、その中央部でシ フト411により回転可能に保持されている。 気カムロッカーアーム420の一端は、排気カ 360の上方、すなわち吸気ハイカムロッカー ーム400の一端と吸気ローカムロッカーアー 440の一端との間に延びている。

 図8に示すように、吸気ローカムロッカー アーム440はローラ441、アーム442、アジャスタ 443およびナット444から構成されている。X方 におけるアーム442の一端にローラ441が取り けられ、他端にアジャスタ443がナット444に り取り付けられている。アジャスタ443近傍 アーム442の部分には、Y方向に延びるピン445 吸気ハイカムロッカーアーム400の下方に突 するように取り付けられている(図7参照)。 気ローカムロッカーアーム440のローラ441は 変動弁装置200の吸気ローカム370に当接して る。

 吸気ローカムロッカーアーム440のアジャ タ443の下方には吸気バルブ450の上端部のス ムエンドが位置している。吸気バルブ450に バルブスプリング451が設けられており、バ ブスプリング451は吸気バルブ450を上方向に 勢している。

 吸気ハイカムロッカーアーム400はローラ4 01(図7参照)、アーム402、アジャスタ403および ット404から構成されている。X方向における アーム402の一端にローラ401が取り付けられ、 他端にアジャスタ403がナット404により取り付 けられている。吸気ハイカムロッカーアーム 400のローラ401は可変動弁装置200の吸気ハイカ ム320に当接している。吸気ハイカムロッカー アーム400のアジャスタ403は、吸気ローカムロ ッカーアーム440のピン445の上部に当接する。

 吸気ハイカムロッカーアーム400は、図7に 示したねじりコイルばね455によりローラ401が 吸気ハイカム320に押し当てられる方向に付勢 される(図8における矢印R1参照)。一方、吸気 ーカムロッカーアーム440は、ねじりコイル ね455によりアジャスタ443が吸気バルブ450に し当てられるように付勢される(図8におけ 矢印R2参照)。

 排気カムロッカーアーム420は、ローラ421 アーム422、アジャスタ423およびナット424か 構成されている。X方向におけるアーム422の 一端にローラ421が取り付けられ、他端にアジ ャスタ423がナット424により取り付けられてい る。排気カムロッカーアーム420のローラ421は 可変動弁装置200の排気カム360に当接している 。

 排気カムロッカーアーム420のアジャスタ4 23の下方には排気バルブ460の上端部のステム ンドが位置している。排気バルブ460にはバ ブスプリング461が設けられており、バルブ プリング461は排気バルブ460を上方向に付勢 ている。

 (6)可変動弁装置によるバルブの駆動
 可変動弁装置200が矢印M5(図8)の方向に回転 ることにより、吸気ハイカムロッカーアー 400、排気カムロッカーアーム420および吸気 ーカムロッカーアーム440が駆動される。そ により、吸気バルブ450および排気バルブ460 リフト動作を行う。以下、その詳細を説明 る。

 可変動弁装置200が低回転状態である場合 吸気ローカム370の回転により吸気ローカム ッカーアーム440のローラ441が上下動する。 れにより、アーム442がシャフト410を中心と て回動し、アジャスタ443に当接する吸気バ ブ450がリフト動作を行う。また、排気カム3 60の回転により排気カムロッカーアーム420の ーラ421が上下動する。それにより、アーム4 22がシャフト411を中心として回動し、アジャ タ423に当接する排気バルブ460がリフト動作 行う。一方、吸気ハイカム320はほとんど回 していない状態であり、吸気ハイカムロッ ーアーム400を駆動しない。

 可変動弁装置200が高回転状態である場合 ロックピン240,245により吸気ハイカム320がそ の回転方向に固定される(図6(c)参照)。この場 合、吸気ローカム370および排気カム360が上記 同様に吸気ローカムロッカーアーム440および 排気カムロッカーアーム420を駆動するのに加 えて、吸気ハイカム320が吸気ハイカムロッカ ーアーム400を駆動する。

 吸気ハイカム320の回転により吸気ハイカ ロッカーアーム400のローラ401が上下動し、 ーム402がシャフト410を中心として回動する この場合、吸気ハイカム320のカムノーズ320A の長さが吸気ローカム370のカムノーズ370Aの さよりも大きいことにより、吸気ハイカム ッカーアーム400のアジャスタ403が吸気ロー ムロッカーアーム440に取り付けられたピン44 5を押し下げる。それにより、可変動弁装置20 0が低回転状態である場合と比べて、吸気ロ カムロッカーアーム440のアジャスタ443が下 に向かってより大きく移動する。したがっ 、吸気バルブ450のリフト量が大きくなる。

 このように、可変動弁装置200が低回転状 である場合には、吸気ハイカム320が吸気バ ブ450に対して作用しないため、吸気バルブ4 50のリフト量は吸気ローカム370のカムノーズ3 70Aの長さに依存する。可変動弁装置200が高回 転状態である場合には、吸気ハイカム320が吸 気バルブ450に対して作用するため、吸気バル ブ450のリフト量は吸気ハイカム320のカムノー ズ320Aの長さに依存する。

 なお、吸気ハイカムロッカーアーム400の ジャスタ403および吸気ローカムロッカーア ム440のアジャスタ443の両方を吸気バルブ450 ステムエンドに当接させるためには、ステ エンドの上面の面積を大きくする必要があ 。これに対して、本実施の形態では、吸気 イカムロッカーアーム400の上下動作が吸気 ーカムロッカーアーム440を介して吸気バル 450に伝達されるため、吸気バルブ450のステ エンドの上面の面積を小さくすることがで るとともに、吸気バルブ450に偏荷重が加わ ことを防止することができる。

 (7)ばね収容部の詳細
 次に、図3に示したばね収容部215の詳細につ いて説明する。図9は、ばね収容部215の内部 構成を示す断面図であり、図10は、ばね収容 部215に収容された係止部材216a,216bおよび係止 ばね217a,217bによる作用を説明するための図で ある。なお、図9に示す断面は、図3のXZ平面 相当する。

 図9に示すように、ばね収容部215には、そ の外周面からロックピン挿入孔211Aに連通す ようにばね挿入孔215aが形成され、その外周 からロックピン挿入孔211Bに連通するように ばね挿入孔215bが形成されている。ばね挿入 215aは嵌合部材218aにより閉塞されており、そ の内部には係止部材216aおよび係止ばね217aが 容されている。係止ばね217aの一端は嵌合部 材218aに当接し、他端は係止部材216aに当接し いる。それにより、係止部材216aは、ロック ピン挿入孔211Aに挿入されたロックピン240に し当てられるように付勢される。なお、係 部材216aの先端は半球状に形成されている。

 ばね挿入孔215bは嵌合部材218bにより閉塞 れており、その内部には係止部材216bおよび 止ばね217bが収容されている。係止ばね217b 一端は嵌合部材218bに当接し、他端は係止部 216bに当接している。それにより、係止部材 216bは、ロックピン挿入孔211Bに挿入されたロ クピン245に押し当てられるように付勢され 。なお、係止部材216bの先端は半球状に形成 されている。

 係止部材216aはロックピン240の移動を制限 する。係止部材216bはロックピン245の移動を 限する。以下、図10を参照しながら係止部材 216a,216bおよび係止ばね217a,217bによる作用につ いて説明する。なお、図10においては、係止 材216a、係止ばね217aおよびロックピン240の 係について示すが、係止部材216b、係止ばね2 17bおよびロックピン245の関係も同様である。

 図10(a)に示すように、ロックピン240が遊 カム部300のピン嵌合孔311に挿入されていな 状態では、係止部材216aの半球状の先端がロ クピン240の凹部244に嵌合される。図5に示し たように、ウエイト221に加わる遠心力がばね S1の付勢力よりも大きくなるとロックピン240 ピン嵌合孔311に向かって移動しようとする しかしながら、ロックピン240は係止部材216a により係止されているので、ロックピン240が 実際に移動するためには係止ばね217aの付勢 に抗するための力が必要となる。

 また、図10(b)に示すように、ロックピン24 0が遊動カム部300のピン嵌合孔311に挿入され 状態では、係止部材216aの半球状の先端がロ クピン240の凹部243に嵌合される。図5に示し たように、ウエイト221に加わる遠心力がばね S1の付勢力よりも小さくなると、ロックピン2 40がピン嵌合孔311から抜けるように移動しよ とする。しかしながら、ロックピン240は係 部材216aにより係止されているので、ロック ピン240が実際に移動するためには係止ばね217 aの付勢力に抗する力が必要となる。

 このように、本実施の形態では、ウエイ 221に加わる遠心力とばねS1の付勢力とが釣 合う状態ではロックピン240が移動しない。 エイト221に加わる遠心力がばねS1の付勢力よ りも一定値以上大きくまたは一定値以上小さ くなればロックピン240が移動可能となる。こ の場合、ウエイト221,226に加わる遠心力とば S1,S2の付勢力とが釣り合う状態で、ロックピ ン240,245の移動が不安定となることを防止す ことができる。それにより、可変動弁装置20 0を低回転状態と高回転状態との間で安定に り替えることができる。

 (8)ねじりコイルばね
 本実施の形態では、ねじりコイルばね455に り吸気ハイカムロッカーアーム400のローラ4 01が吸気ハイカム320に押し当てられるように 勢される。この場合、低回転領域において 吸気バルブ450のリフト動作を正常に維持す ことができる。以下、上記図8を参照しなが らその詳細を説明する。

 低回転領域においては、吸気ハイカム320 カム固定軸352に対して回転可能とすること より、吸気ハイカム320が吸気ハイカムロッ ーアーム400を駆動しないようにしている。 かしながら、吸気ハイカム320とカム固定軸3 52との間には摩擦およびオイルの粘性による が生じるため、カム固定軸352の回転に引っ られるように吸気ハイカム320も回転しよう する。以下、このような吸気ハイカム320と ム固定軸352との間の摩擦等による吸気ハイ ム320の回転をつれ回りと呼ぶ。

 吸気ハイカムロッカーアーム400が付勢さ ていない場合、吸気ハイカム320のつれ回り より吸気ハイカムロッカーアーム400が駆動 れることがある。その場合、吸気バルブ450 リフト動作が不安定になる。

 具体的には、吸気ハイカム320のつれ回り より、吸気ハイカム320のカムノーズ320Aが吸 気ハイカムロッカーアーム400のローラ401に衝 突することがある。この場合、その衝突の力 によってローラ401が上方に移動し、吸気ハイ カムロッカーアーム400が回動する。そして、 吸気ハイカムロッカーアーム400のアジャスタ 403がピン445を介して吸気ローカムロッカーア ーム440のアジャスタ443を押し下げる。それに より、不適正なタイミングで吸気バルブ450が リフトする。

 また、吸気バルブ450がリフトしている際 、吸気ハイカム320のカムノーズ320Aが吸気ハ イカムロッカーアーム400のローラ401の下方位 置に回り込むことがある。この場合、ローラ 401の下方への移動が吸気ハイカム320のカムノ ーズ320Aによって制止されるため、吸気ハイ ムロッカーアーム400の回動が妨げられ、吸 バルブ450の上方への移動が妨げられる。そ により、吸気バルブ450のリフト動作が不安 となる。

 図11は、吸気ハイカムロッカーアーム400 付勢されていない場合の吸気バルブ450のリ ト動作を示す図である。ここでは、ギャッ センサにより所定のカムアングルの範囲に いて吸気バルブ450のリフト量を検出した。 11には、ギャップセンサの電圧の変化が示さ れる。縦軸は電圧を示し、横軸はカムアング ルを示す。ギャップセンサの電圧は吸気バル ブ450の位置を示し、吸気バルブ450がリフトす ると、電圧が降下する。吸気バルブ450のリフ ト量が0である場合には、電圧は1.2V付近であ 。なお、エンジン7の回転速度は低回転領域 であるとする。

 図11に示すように、カムアングルが360°進 角するごとに吸気バルブ450がリフト動作を行 い、電圧が降下する。吸気バルブ450のリフト 動作が正常であれば、吸気バルブ450が下方へ 移動する際に電圧が連続的に降下し、吸気バ ルブ450が上方へ移動する際に電圧が連続的に 上昇する。しかしながら、カムアングルT1お びカムアングルT2において、電圧が上昇す 過程でその連続性が失われている。これは 吸気バルブ450の上方への移動が円滑に行わ なかったことを示す。原因としては、吸気 イカム320のカムノーズ320Aが吸気ハイカムロ カーアーム400のローラ401の下方位置に回り み、吸気バルブ450の上方への移動が妨げら たことが考えられる。

 また、カムアングルT3において、電圧が 下する過程でその連続性が失われている。 れは、吸気バルブ450の下方への移動が円滑 行われなかったことを示す。原因としては 吸気ハイカム320のカムノーズ320Aが吸気ハイ ムロッカーアーム400のローラ401に衝突した とが考えられる。

 さらに、エンジン7の回転速度が低回転領 域で維持されているにもかかわらず、カムア ングルT4およびカムアングルT5において、吸 バルブ450のリフト量が大幅に増加している このリフト量は、可変動弁装置200が高回転 態である場合の吸気バルブ450のリフト量に 当する。すなわち、吸気ハイカム320がロッ ピン240,245により固定されていないにもかか らず、可変動弁装置200が高回転状態である 合と同様に吸気ハイカムロッカーアーム400 駆動したと考えられる。

 このように、吸気ハイカム320がつれ回り ることにより、吸気バルブ450のリフト動作 不安定になる。そこで、ねじりコイルばね4 55により吸気ハイカムロッカーアーム400を付 すると、吸気ハイカム320のつれ回りによる 気バルブ450の不安定な動作を阻止すること できる。

 ねじりコイルばね455は、吸気ハイカム320 つれ回りによって回転しようとする力より 大きい力で吸気ハイカムロッカーアーム400 付勢する。それにより、吸気ハイカム320の ムノーズ320Aが吸気ハイカムロッカーアーム 400のローラ401に衝突しても、吸気ハイカムロ ッカーアーム400が吸気バルブ450に作用しない 状態で維持することができる。

 また、吸気ハイカム320のカムノーズ320Aが 吸気ハイカムロッカーアーム400のローラ401の 下方位置に回り込むことが防止されるので、 吸気バルブ450の上方への移動が妨げられるこ とがない。したがって、吸気ハイカム320のつ れ回りによる吸気バルブ450の不安定な動作を 確実に阻止することができる。可変動弁装置 200が高回転状態である場合には、吸気ハイカ ム320がねじりコイルばね455による付勢力に抗 して吸気ハイカムロッカーアーム400を駆動す る。

 なお、図4に示したように、本実施の形態 では、軸心Jからピン摺動孔312の中央部に向 う方向と軸心Jから吸気ハイカム320のカムノ ズ320Aの先端に向かう方向とが互いに一致す るように設定されている。この場合、軸心J りにおける遊動カム部300の重量の偏りが低 されるので、回転方向における吸気ハイカ 320の慣性力が低減される。そのため、吸気 イカム320がつれ回りによって吸気ハイカム ッカーアーム400のローラ401に衝突しても、 ーラ401に加わる力は小さい。それにより、 気バルブ450が不安定に動作することが抑制 れる。

 (8a)ねじりコイルばねの代替
 ねじりコイルばね455の代わりに、図12に示 ようなストッパ456を設けてもよい。ストッ 456は略V字形状を有し、その下端部がエンジ 7のシリンダヘッド7S(図8参照)に固定されて る。ストッパ456は2本の狭持片456aを有し、 の2本の狭持片456aによって吸気ハイカム320を 挟みこむように付勢する。この場合、可変動 弁装置200が低回転状態である場合には、吸気 ハイカム320が一定の姿勢で維持される。それ により、吸気ハイカム320のつれ回りが防止さ れ、吸気バルブ450が安定に動作する。可変動 弁装置200が高回転状態である場合には、吸気 ハイカム320がストッパ456の付勢力に抗して回 転し、吸気ハイカムロッカーアーム400を駆動 する。

 また、遊動カム部300の貫通孔300G(図3)の内 径とカム固定軸352の外径との差を大きくして もよい。あるいは、遊動カム部300の貫通孔300 Gに溝等を設けることにより遊動カム部300と ム固定軸352との間の接触面積を小さくして よい。この場合、吸気ハイカム320とカム固 軸352との間の摩擦およびオイルの粘性によ 力が低減されるので、吸気ハイカム320のつ 回りを抑制することができる。

 また、エンジン7の回転速度が低ければ、 吸気ハイカム320がつれ回りによって回転しよ うとする力が小さい。そのため、切り替わり 回転速度を低く設定することにより、吸気ハ イカム320のつれ回りによる吸気バルブ450の不 安定な動作を抑制することができる。

 また、吸気ハイカム320のカムノーズ320Aの 長さと吸気ローカム370のカムノーズ370Aの長 との差を大きくすることにより、低回転状 において吸気ハイカム320のカムノーズ320Aが ーラ401の下方位置に回り込むことを抑制す ことができる。

 (9)ピン摺動孔312
 次に、遊動カム部300のピン摺動孔312につい 詳細に説明する。可変動弁装置200において 、ピン摺動孔312の長さ(図4の角度θ1)を適正 設定することにより、吸気バルブ450のリフ 動作を正常に維持しつつ可変動弁装置200を 回転状態から高回転状態に切り替えること できる。以下、その詳細を説明する。

 (9-1)異常バルブリフト
 可変動弁装置200が低回転状態から高回転状 に切り替わる際に、ロックピン245のみが遊 カム部300に挿入された状態(図5(b)参照)で吸 ハイカムロッカーアーム400が駆動されると 以下に示す異常バルブリフトが発生するこ がある。

 図13および図14は、異常バルブリフトにつ いて説明するための図である。図13(a)に示す うに、ロックピン245が遊動カム部300のピン 動孔312に挿入されると、ロックピン245はピ 摺動孔312の一端部P1に当接しつつ遊動カム 300を矢印M5の方向に回転させる。それにより 、図13(b)に示すように、吸気ハイカム320のカ ノーズ320Aが吸気ハイカムロッカーアーム400 のローラ401を押し上げる。

 吸気ハイカムロッカーアーム400には、バ ブスプリング451(図8)による付勢力およびね りコイルばね455による付勢力が働く。その め、カムノーズ320Aが吸気ハイカムロッカー アーム400のローラ401を押し上げる際には、ロ ーラ401からカムノーズ320Aに力が加わる。

 カムノーズ320Aがローラ401を押し上げつつ カムノーズ320Aの先端部がローラ401に近づく きには、矢印M5の逆方向に吸気ハイカム320を 回転させようとする力が、ローラ401から吸気 ハイカム320に加わる。この場合、ロックピン 245がピン摺動孔312の一端部P1に当接している とにより、矢印M5の逆方向への吸気ハイカ 320の回転は阻止される。

 一方、カムノーズ320Aの先端部がローラ401 に到達すると、矢印M5の方向に吸気ハイカム3 20を回転させようとする力が、ローラ401から 気ハイカム320に加わる。この場合、図14(c) 示すように、吸気ハイカム320がローラ401に って押され、ロックピン245に先行して吸気 イカム320が矢印M5の方向に回転する。さらに 、図14(d)に示すように、ローラ401によって押 れた勢いを維持しつつ吸気ハイカム320が1回 転し、カムノーズ320Aがローラ401に衝突する

 ロックピン245がピン摺動孔312の一端部P1 当接する状態で、吸気ハイカム320が吸気ハ カムロッカーアーム400を駆動する場合には 吸気バルブ450(図8)が高回転領域における正 なリフト動作を行う。一方、ロックピン245 ピン摺動孔312の一端部P1から離れた状態で吸 気ハイカム320が吸気ハイカムロッカーアーム 400を駆動すると、吸気バルブ450のリフト動作 が不安定となる。本明細書において、ロック ピン245のみが遊動カム部300に挿入された状態 において発生するこのような吸気バルブ450の 不安定な動作を異常バルブリフトと呼ぶ。

 図15は、異常バルブリフトが発生した場 の吸気バルブ450のリフト動作を模式的に示 図である。図15において、横軸はカムアング ルを示し、縦軸は吸気バルブ450のリフト量を 示す。また、一点鎖線U1は正常に駆動された 気バルブ450のバルブリフト曲線であり、太 線U2は異常バルブリフトが発生した場合の 気バルブ450のバルブリフト曲線である。

 図15に示すように、吸気バルブ450が正常 駆動された場合には、バルブリフト曲線が 時連続的に推移するとともに、リフト量の 大値MA1を基準として、リフト量の増加時と 少時とでバルブリフト曲線がほぼ対称とな 。これに対して、異常バルブリフトが発生 た場合には、吸気ハイカム320がローラ401に って押されることにより(図14(c)参照)、最大 MA1からのリフト量の減少速度が速くなる(図 15の点線領域E1参照)。逆に、吸気バルブ450が 常に駆動された場合より最大値MA1からのリ ト量の減少速度が遅くなることもある(図示 せず)。

 また、吸気ハイカム320がローラ401に衝突 ることにより(図14(d)参照)、不適正なタイミ ングで吸気バルブ450がリフトする(図15の点線 領域E2参照)。さらに、吸気ハイカム320の衝突 の衝撃により、リフト量の最大値が最大値MA り大きくなることもある(図示せず)。

 (9-2)異常バルブリフトの抑制方法
 これに対して、遊動カム部300のピン摺動孔3 12の長さ(角度θ1)を最適に設定することによ 、以下のようにして異常バルブリフトを抑 する。図16は、異常バルブリフトの抑制方法 の概要について説明するための図である。

 図13および図14に示したように、ローラ401 によって押された吸気ハイカム320がそのまま 1回転すると、吸気ハイカム320のカムノーズ32 0Aがローラ401に衝突し、異常バルブリフトが 生する。そこで、図16に示すように、吸気 イカム320がローラ401に衝突する前に、ピン 動孔312の他端部P2にロックピン245を衝突させ ることにより、異常バルブリフトを抑制する ことができる。そこで、次の条件を満たすよ うにピン摺動孔312の長さ(角度θ1)を設定する

 以下の説明において、カムノーズ320Aの先 端部がローラ401に到達してから吸気ハイカム 320が1回転してカムノーズ320Aがローラ401に衝 するまでの期間を、ハイカム回転期間と呼 。このハイカム回転期間に、吸気ハイカム3 20が回転する角度をθ2とする。カムノーズ320A がその先端部に関して対称である場合には次 式(1)が成立し、カムノーズ320Aがその先端部 関して非対称である場合には次式(1A)が成立 る。

 θ2=360°-(カムノーズ320Aの作用角)×1/2 ・・ (1)
 θ2=360°-(カムノーズ320Aの開始点から先端ま の角度)・・・(1A)
 ロックピン245が矢印M5の方向に回転しない 合を考える。その場合、次式(2)が成立すれ 、ハイカム回転期間にロックピン245をピン 動孔312の他端部P2に衝突させることができる 。

 θ1<θ2 ・・・(2)
 実際には、ロックピン245は矢印M5の方向に 転している。ハイカム回転期間にロックピ 245が矢印M5の方向に回転する角度をθ3とする と、次式(3)が成立すれば、ハイカム回転期間 にロックピン245をピン摺動孔312の他端部P2に 突させることができる。

 θ1<θ2-θ3 ・・・(3)
 ここで、ローラ401によって押された吸気ハ カム320の勢いを十分に消滅させるためには ロックピン245がピン摺動孔312の他端部P2に 突した後に所定の時間が必要となる。その 間内に吸気ハイカム320が回転する角度をθ4 する。この場合、次式(4)が成立すれば、ハ カム回転期間にロックピン245をピン摺動孔31 2の他端部P2に衝突させることができるととも に、ローラ401によって押された吸気ハイカム 320の勢いを十分に消滅させることができる。 それにより、異常バルブリフトを十分に抑制 することができる。

 θ1<θ2-θ3-θ4 ・・・(4)
 一方、角度θ1が小さすぎると、エンジン7の 回転速度が低回転領域から高回転領域に移行 した際に、ロックピン245をピン摺動孔312に迅 速に挿入させることができない。したがって 、次式(5)に示すように、下限値の角度θ5を設 定する必要がある。

 θ5<θ1 ・・・(5)
 図17は、上式(4)および上式(5)を満たす角度θ 1の範囲を簡易的に説明するための指標図で る。図17(a)はエンジン7の回転速度と角度θ1 の関係を示し、図17(b)は吸気ハイカムロッカ ーアーム400から吸気ハイカム320に加わる力と 角度θ1との関係を示す。

 図17(a)において、縦軸は角度θ1を示し、 軸は低回転領域から高回転領域に切り替わ 際のエンジン7の回転速度(切り替わり回転速 度)を示す。また、境界線L1は上式(4)を満たす 角度θ1の上限値(θ2-θ3-θ4)を示し、境界線L2は 上式(5)を満たす角度θ1の下限値(θ5)を示す。

 エンジン7の回転速度が高くなると、ロッ クピン245の回転速度が高くなり、上式(4)の角 度θ3が大きくなる。そのため、切り替わり回 転速度が高くなるにつれて、角度θ1の上限値 が小さくなる。また、エンジン7の回転速度 高くなると、ロックピン245がピン摺動孔312 挿入しにくくなる。そのため、切り替わり 転速度が高くなるにつれて、角度θ1の下限 が大きくなる。

 図17(b)において、縦軸は角度θ1を示し、 軸は吸気ハイカムロッカーアーム400から吸 ハイカム320に加わる力を示す。吸気ハイカ ロッカーアーム400から吸気ハイカム320に加 る力は、バルブスプリング451の付勢力、ね りコイルばね455の付勢力、ならびに吸気ハ カムロッカーアーム400および吸気ローカム ッカーアーム440のレバー比(シャフト410とロ ラ401,441との間の距離と、シャフト410とアジ ャスタ403,443との間の距離との比)によって決 される。境界線L3は、上式(4)を満たす角度θ 1の上限値(θ2-θ3-θ4)を示す。

 吸気ハイカムロッカーアーム400から吸気 イカム320に加わる力が大きくなると、ロー 401によって押された吸気ハイカム320の勢い 十分に消滅させるために必要な時間が長く る。それにより、上式(4)の角度θ4が大きく る。したがって、吸気ハイカムロッカーア ム400から吸気ハイカム320に加わる力が大き なるにつれて、角度θ1の上限値が小さくな 。

 このように、遊動カム部300のピン摺動孔3 12の長さ(角度θ1)は、種々の条件に応じて適 に設定される。

 (9-3)実施例および比較例
 (9-3-1)実施例
 ピン摺動孔312の長さ(角度θ1)を50°に設定し 異常バルブリフトの発生状況を調べた。図1 8には、所定のカムアングルの範囲において ャップセンサにより吸気バルブ450のリフト を検出した結果が示される。図18において、 縦軸は電圧を示し、横軸はカムアングルを示 す。なお、エンジン7の切り替わり回転速度 5500rpmに設定した。また、ロックピン240を使 せず、ロックピン245のみがピン摺動孔312に 入されるようにして吸気バルブ450を駆動し 。

 図18に示すように、ピン摺動孔312の長さ( 度θ1)を50°に設定した場合には、吸気バル 450のリフト量が切り替わった際に異常バル リフトがほとんど発生しなかった。

 また、種々の条件で実験および検討を行 た結果、角度θ1は40°~60°の範囲であること 好ましいと推定される。

 (9-3-2)比較例
 ピン摺動孔312の長さ(角度θ1)を100°に設定し 、異常バルブリフトの発生状況を調べた。図 19には、所定のカムアングルの範囲において ャップセンサにより吸気バルブ450のリフト を検出した結果が示される。なお、実施例 同様に、エンジン7の切り替わり回転速度を 5500rpmに設定した。また、ロックピン240を使 せず、ロックピン245のみがピン摺動孔312に 入されるようにして吸気バルブ450を駆動し 。

 図19に示すように、ピン摺動孔312の長さ( 度θ1)を100°に設定した場合には、吸気バル 450のリフト量が切り替わった際に、吸気ハ カム320がローラ401に衝突したことによるも と思われる異常バルブリフトが頻繁に発生 た。さらに、リフト量が最大値となるとき 、吸気バルブ450の挙動が不安定となること わかった。

 (9-4)異常バルブリフトの他の抑制方法
 (9-4-1)
 以下に示すような固定プレートを用いて、 常バルブリフトの発生を抑制してもよい。 20(a)は遊動カム部300の側面図であり、図20(b) は図20(a)のA-A線断面図である。図20(a)および 20(b)に示すように、吸気ハイカム320に対向す るロックピン嵌合部310の面に、固定プレート 600が取り付けられている。固定プレート600は 軸心Jの周方向に屈曲して延び、略中央部に いて軸ピン601により回動可能に保持されて る。

 固定プレート600の一端には鉤状部610が形 されている。鉤状部610はピン摺動孔312上に 置する。固定プレート600の他端には、ばね6 02の一端が係止されている。ばね602の他端は ロックピン嵌合部310に固定されたばね係止 603に係止されている。ばね602は、固定プレ ト600の鉤状部610が軸心Jに向かう方向に固定 プレート600を付勢する。

 固定プレート600は、ピン摺動孔312の一端 P1に向かうロックピン245の移動を可能とし ピン摺動孔312の一端部P1から離れる方向への ロックピン245の移動を阻止する。それにより 、ロックピン245がピン摺動孔312の一端部P1に 接した状態で固定される。この場合、吸気 イカム320がロックピン245に先行して回転す こと(図14(c)および図14(d)参照)が防止される それにより、吸気ハイカム320が吸気ハイカ ロッカーアーム400のローラ401によって押さ ることが防止されるとともに、吸気ハイカ 320がローラ401に衝突することが防止される したがって、異常バルブリフトの発生を抑 することができる。

 なお、固定プレート600を用いた場合には ロックピン240により遊動カム部300を固定し くても、カムシャフト350に対して遊動カム 300を一定姿勢で維持することができる。た し、その場合には固定プレート600に大きな 荷が加わり、固定プレート600の破損が懸念 れる。そのため、固定プレート600を用いた 合にも、ロックピン240により遊動カム部300 固定することが好ましい。また、図20にお ては固定プレート600がロックピン嵌合部310 外部に取り付けられるが、ロックピン嵌合 310内に固定プレート600を収容する空間を設 てもいい。

 (9-4-2)
 ウエイト221に加わる遠心力がばねS1の付勢 よりも大きくなる際のエンジン7の回転速度 、ウエイト226に加わる遠心力がばねS2の付 力よりも大きくなる際のエンジン7の回転速 よりも低くなるように設定することにより 異常バルブリフトの発生を抑制することが きる。

 この場合、上記のように、可変動弁装置2 00が低回転状態から高回転状態に切り替わる に、より迅速にロックピン240をピン嵌合孔3 11に挿入させることができる。そのため、た えロックピン240がピン嵌合孔311に挿入され よりも前にロックピン245がピン摺動孔312に 入されたとしても、単ロック期間(ロックピ ン245のみがロックピン嵌合部310に挿入されて いる期間)を短縮することができる。したが て、異常バルブリフトの発生を抑制するこ ができる。

 また、可変動弁装置200が高回転状態から 回転状態に切り替わる際には、ピン摺動孔3 12からロックピン245が抜き出された後に、ピ 嵌合孔311からロックピン240が抜き出される すなわち、単ロック期間が発生しない。し がって、減速時における異常バルブリフト 発生を確実に防止することができる。

 (10)本実施の形態の効果
 本実施の形態においては、遠心力を利用し 吸気ハイカム320および吸気ローカム370の切 を行う可変動弁装置200を用いる。この場合 油圧により2つの吸気カムの切替を行う場合 と比べて、油圧アクチュエータおよび油圧ポ ンプを必要としないため、より小型かつ低コ ストで吸気ハイカム320および吸気ローカム370 の切替を行うことができる。それにより、低 回転領域において、通常走行時の燃費を向上 させ、排気ガス中の有害物質を低減すること ができるとともに、高回転領域において、高 出力化を実現することができる。

 また、本実施の形態では、ロックピン245 挿入されるピン摺動孔312を長尺状に設けて る。この場合、低回転領域から高回転領域 移行する際に、ロックピン245をピン摺動孔3 12に容易に挿入させることができる。それに り、カムシャフト350に対する遊動カム部300 回転を一定の角度範囲に制限することがで る。したがって、ロックピン240を迅速かつ 実にピン嵌合孔311に挿入させることができ 。

 また、本実施の形態では、吸気ハイカム3 20および吸気ローカム370の切替が、構成部材 の摩擦力を用いることなく、ピン嵌合孔311 よびピン摺動孔312へのロックピン240,245の挿 入および引き抜きにより行われる。それによ り、構成部品の磨耗による劣化がほとんど生 じない。その結果、耐磨耗性の構成部材を使 用することなく可変動弁装置200の長寿命化が 実現されるとともに、低コスト化が実現され る。

 (11)他の実施の形態
 上記実施の形態では、可変動弁装置200を低 転状態と高回転状態との間で切り替えるこ により吸気バルブ450のリフト量を切り替え が、可変動弁装置200により排気バルブ460の フト量を調整してもよい。

 また、上記実施の形態では、可変動弁装 200を低回転状態と高回転状態との間で切り えることにより、吸気バルブ450のリフト量 みを変化させるが、リフト量に加えて吸気 ルブ450のリフト期間を変化させてもよい。 た、吸気バルブ450のリフト量を変化させず 、吸気バルブ450のリフト期間のみを変化さ てもよい。これらの場合、吸気ハイカム320 カムノーズ320Aの作用角を吸気ローカム370の カムノーズ370Aの作用角よりも大きく設定す 。

 また、上記実施の形態では、可変動弁装 200が高回転状態になると、軸心Jから吸気ハ イカム320のカムノーズ320Aの先端に向かう方 が軸心Jから吸気ローカム370のカムノーズ370A の先端に向かう方向と一致するが、所望のバ ルブ動作を実現できるのであれば、軸心Jか 吸気ハイカム320のカムノーズ320Aの先端に向 う方向が軸心Jから吸気ローカム370のカムノ ーズ370Aの先端に向かう方向と一致していな てもよい。

 また、上記実施の形態では、可変動弁装 200はSOHC(シングルオーバーヘッドカムシャ ト)構造のエンジン7に設けられているが、可 変動弁装置200が設けられるエンジン7はカム ャフトが設けられる構成であれば限定され い。例えば、エンジン7はSV(サイドバルブ)構 造のエンジン、OHV(オーバーヘッドバルブ)構 のエンジンまたはDOHC(ダブルオーバーヘッ カムシャフト)構造のエンジンであってもよ 。

 また、上記実施の形態では、可変動弁装 200は吸気ハイカムロッカーアーム400、吸気 ーカムロッカーアーム440および排気カムロ カーアーム420を備えるエンジン7に設けられ ているが、直打式のエンジンに設けられても よい。

 また、上記実施の形態では、ウエイト221, 226を付勢するために、ばねS1,S2が用いられて る。しかしながら、ウエイト221,226を所定の 方向に付勢する弾性体であれば、ばねS1,S2に えてゴム等が用いられてもよい。

 また、上記実施の形態では、車両として 動二輪車について説明したが、これに限ら 、可変動弁装置200はトラクターおよびカー 等の低排気量の小型車両ならびに小型船舶 エンジンにも設けることができる。

 (12)請求項の各構成要素と実施の形態の各要 素との対応
 以下、請求項の各構成要素と実施の形態の 要素との対応の例について説明するが、本 明は下記の例に限定されない。

 上記実施の形態においては、吸気バルブ4 50または排気バルブ460がバルブの例であり、 ムシャフト350が回転軸の例であり、吸気ロ カム370が第1のカム部材の例であり、遊動カ ム部300が第2のカム部材の例であり、ウエイ 226、ばねS2およびロックピン245が回転制限機 構の例であり、ウエイト221、ばねS1およびロ クピン240が回転阻止機構の一例であり、固 プレート600が回転阻止機構の他の例であり ピン摺動孔312が第1の孔部の例であり、ロッ クピン245が制限部材の例であり、ばねS2が第1 の付勢部材の例であり、ウエイト226が第1の 動部材の例である。

 また、係止部材216bが係止部材の例であり 、凹部248が第1の凹部の例であり、凹部249が 2の凹部の例であり、ピン嵌合孔311が第2の孔 部の例であり、ロックピン240がロック部材の 例であり、ばねS1が第2の付勢部材の例であり 、ウエイト221が第2の駆動部材の例であり、 定プレート600が掛止部材の例であり、吸気 ーカムロッカーアーム440が第1の伝達部材の であり、吸気ハイカムロッカーアーム400が 2の伝達部材の例であり、ねじりコイルばね 455が第3の付勢部材の例である。

 また、エンジン7および可変動弁装置200が エンジン装置の例であり、自動二輪車100が車 両の例であり、後輪11が駆動輪の例であり、 輪ドリブンスプロケット12、ドライブシャ ト26、後輪ドライブスプロケット15およびチ ーン16が伝達機構の例である。

 請求項の各構成要素として、請求項に記 されている構成または機能を有する他の種 の要素を用いることもできる。

 本発明は、自動二輪車、四輪の自動車等 エンジンを備える種々の車両および船舶等 利用することができる。