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Patent Searching and Data


Title:
VERTICAL MAGNETIC RECORDING MEDIUM AND MAGNETIC RECORDING/REPRODUCING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031630
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for easily manufacturing a low cost ECC type magnetic recording medium which is easily designed. A magnetic recording/reproducing device is also provided. In a vertical magnetic recording medium, at least a soft magnetic lining layer, a base layer, an intermediate layer and a vertical magnetic recording layer are arranged on a nonmagnetic substrate. The magnetic recording layer is composed of at least one main recording layer and an auxiliary recording layer. The main recording layer is composed of a layer having vertical magnetic anisotropy. The auxiliary recording layer is a multilayer film which has three or more layers and is configured by alternate lamination of soft magnetic layers and nonmagnetic layers, and the outermost layer to a nonmagnetic substrate is the soft magnetic layer.

Inventors:
HASHIMOTO ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066007
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
September 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
HASHIMOTO ATSUSHI (JP)
International Classes:
G11B5/66; G11B5/65; G11B5/667; G11B5/673; G11B5/738
Foreign References:
JP2005038569A2005-02-10
JP2008140460A2008-06-19
JP2002133635A2002-05-10
JP2004079043A2004-03-11
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と下地層と中間層と垂直磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体において、
 前記磁気記録層は少なくとも1層以上の主記録層と、補助記録層から構成され、
 前記主記録層は、垂直磁気異方性を有する層から構成され、
 前記補助記録層は、軟磁性層と非磁性層との交互積層により構成された3層以上の多層膜であり、前記非磁性基板に対する最外層が軟磁性層であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
 前記補助記録層を構成する各非磁性層の膜厚は0.2nm~3nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 前記補助記録層を構成する非磁性層は、Ru、Ir、Rh、Re、Cr、Cu、Ta、W、およびTiから選ばれる金属または合金を少なくとも1種類以上含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 前記補助記録層を構成する各軟磁性層の膜厚は4nm以下であり、補助記録層を構成する軟磁性層の総厚が、主記録層の総厚の半分以下であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 前記主補助記録層を構成する非磁性層および軟磁性層が、金属結晶粒部分を非磁性の酸化物粒界が取り囲むグラニュラ構造をとり、その酸化物が、Si、Ti、Ta、Cr、Al、W、Nb、Mg、Ru、およびYから選ばれる元素の酸化物を少なくとも1種類含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 前記補助記録層に含まれる酸化物の総量が、2モル%~20モル%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 前記主記録層のうち少なくとも一層は、磁性結晶粒部分を非磁性の酸化物粒界が取り囲むグラニュラ構造をとり、該主記録層に含まれる酸化物が、Si、Ti、Ta、Cr、Al、W、Nb、Mg、Ru、およびYから選ばれる元素の酸化物を少なくとも1種類含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 前記主記録層に含まれる酸化物の総量が、2モル%~20モル%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 前記主記録層の磁性結晶粒の平均粒径が、3nm~12nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 前記主記録層の膜厚が1nm~20nmの範囲内であり、これを含む垂直磁気記録層の膜厚が2nm~40nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 軟磁性裏打ち層が、軟磁性の非結晶質構造もしくは微結晶構造であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
 垂直磁気記録媒体と、該垂直磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、
 垂直磁気記録媒体が請求項1に記載の垂直磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
Description:
垂直磁気記録媒体および磁気記 再生装置

 本発明は、垂直磁気記録媒体およびこの垂 磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置に するものである。
 本願は、2007年9月6日に出願された特願2007-23 1841号に基づき優先権を主張し、その内容を こに援用する。

 近年、磁気ディスク装置、可撓性ディス 装置、および磁気テープ装置等の磁気記録 置の適用範囲は著しく増大している。そし その重要性が増すと共に、これらの装置に いられる磁気記録媒体の記録密度は、著し 向上しつつある。特にMRヘッド、およびPRML 術が導入されて以来、面記録密度の上昇は らに激しさを増し、近年ではさらにGMRヘッ またはTuMRヘッドなども導入され、1年に約10 0%ものペースで増加を続けている。

 このように、磁気記録媒体には今後更なる 記録密度化が要求されており、そのために 気記録層の高保磁力化、高信号対雑音比(S/N 比)、および高分解能を達成することが要求 れている。これら要求を満たすためには、 報を保持する記録層の磁性結晶粒の微細化 よび磁気的孤立化を促進する必要がある。
 しかしながら従来技術である面内磁気記録 式では、粒径を減少させると,磁化反転体積 と結晶磁気異方性エネルギー(K u )との積で表される磁化反転ポテンシャルエ ルギーが低下してしまい、その結果、熱緩 により磁化反転しやすくなってしまうとい 問題があった。 
 このような背景から、更なる高記録密度を 現するための有力な技術として注目されて るのが垂直磁気記録法式である。本方式は 内磁気記録方式とは異なり、磁性結晶粒子 磁化容易軸が媒体面に垂直な方向であるこ を特徴とする。ここで磁化容易軸とは、磁 が向きやすい軸のことである。Co系合金の 化容易軸は、Coのhcp構造の(0001)面の法線に平 行な軸(c軸)である。このため、原理的に高記 録密度状態においても記録ビット間の反磁界 の影響が少なく、静磁気的に安定となる。

 垂直磁気記録媒体は、非磁性基板上に下 層、中間層、磁気記録層、および保護層の に成膜されるのが一般的である。また、保 層上に潤滑層を設ける場合も多い。また、 磁性裏打ち層とよばれる磁性膜が下地層の に設けられる場合も多い。下地層および中 層は、磁気記録層の特性をより高める目的 形成される。具体的には、磁気記録層の結 配向を整えると同時に磁性結晶径および磁 的孤立性を制御する。

 優れた特性を有する高記録密度化垂直磁気 録媒体を製造するには、熱安定性を保ちな らノイズを低減させる必要がある。ノイズ 減法としては、記録層の磁性結晶粒を膜面 で磁気的に孤立させ、磁性結晶粒子間の磁 的相互作用を低減させると同時に、磁性結 粒子を微細化する方法が一般に用いられて る。
 しかしながら、このような方法で低ノイズ を追求すると、熱安定性を確保するために 性結晶粒子のK u を必然的に増加させる必要がある。磁性結晶 粒子の磁気異方性エネルギーを増加させると 、異方性磁界、飽和磁界、そして保磁力もま た大きくなってしまう。これにより、書き込 みの際、磁化を反転させるのに必要な記録磁 界も大きくなってしまう。そのため、記録ヘ ッドによる書込み能力(Writability)が低下し、 録・再生特性が劣化するという問題が生じ 。

 この問題を克服するため、グラニュラ構 において磁気的に孤立した硬磁性粒子から る垂直磁気記録層(主記録層)の上または下 、同様に磁気的に孤立した軟磁性粒子から る層(補助記録層)を設けた、いわゆるECC(Excha nge Coupled Composite)媒体が提案されている(例 ば、非特許文献1)。このECC媒体の最大の特長 は、硬磁性粒子と軟磁性粒子とを合わせた垂 直磁気記録層全体の磁化は残留磁化状態では 垂直方向を向いているが、磁化反転する際に は、磁性結晶粒内で磁気モーメントが一斉に 反転せず、膜厚方向に磁気モーメントがねじ れてインコヒーレントに反転する点にある。

 具体的には、記録磁界を印加しない状態 は、磁気モーメントはすべて垂直方向を向 ている。記録磁界印加時には、従来の垂直 気記録媒体と異なり、ECC媒体の補助記録層 分の磁気モーメントがねじれて主記録層に 立って磁化回転を開始できる。このため、 記録層の硬磁性粒子は磁化反転の際に、印 磁界や自身の反磁界に加えて、補助記録層 軟磁性粒子との間に働く交換磁界のアシス を受ける。このため、従来の垂直磁気記録 体比べ、低い印加磁界で磁化反転が容易と り、Writabilityを著しく向上させることがで る。

 また非特許文献2および非特許文献3は、強 性層間に極薄の非磁性層を挿入することに り,強磁性層間に間接交換結合エネルギーが くことが記載している。
IEEE Transaction on Magnetics,vol.41,pp.537 S.S.P. Parkin, Phys. Rev. Lett., 67, 3598 (1991 ). P. Bruno and C. Chappert, Phys. Rev. Lett., 67 , 1602 (1991).

 以上述べたように、ECC媒体の特徴を発揮 るためには、磁化反転モードの制御、すな ち補助記録層と垂直磁気記録層との間の交 結合、および補助記録層内の交換結合の制 が必須である。このうち、補助記録層-垂直 磁気記録層間の交換結合は、磁性もしくは非 磁性の層を挿入し、その膜厚を変化させるこ とにより調整可能である。しかしながら補助 記録層内の交換結合は、軟磁性材料のみで補 助記録層を構成すると、用いた材料により決 まるため、制御が困難である。

 また非特許文献2および非特許文献3によれ 、強磁性層間に極薄の非磁性層を挿入する とにより,強磁性層間に間接交換結合エネル ーが働く。この現象をRKKY的相互作用と呼び 、このとき働く間接交換結合をRKKY的層間結 と呼ぶ。
 図2に示すように、このRKKY的層間結合は、 磁性層(Spacer Layer)の膜厚を増加させると、 換結合の符号が正から負へ、すなわち強磁 結合から反強磁性結合へと振動的に変化す 。ここで強磁性結合とは、強磁性層の磁気 ーメントを並行に揃えようとするエネルギ である。反強磁性結合とは、強磁性層の磁 モーメントを反平行に揃えようとするエネ ギーである。
 また、図3に示すように、RKKY的層間結合は 挿入する非磁性材料の種類によってもその が異なる。図3はCoと遷移金属とを含有する 磁性層間に非磁性層を挿入した場合の結合 数(J1)を示している。特にRu、Ir、およびRhのR KKY的層間結合定数の値が大きいことがわかる 。

 このことから、RKKY的層間結合を用いて、 非磁性層の材料および膜厚を変化させれば、 強磁性層間の交換結合を容易に制御すること できることがわかる。つまり、補助記録層と して軟磁性層と極薄非磁性層とからなる多層 膜を用いることで、補助記録層内の交換結合 を制御できると考えられる。

 本発明は、上記考察に鑑みてなされたも で、交換結合を制御できる補助記録層を設 ることにより、記録磁化の良好な熱安定性 Writabirityとを両立し、高密度情報の記録再 が可能な垂直磁気記録媒体および磁気記録 生装置を提供することを目的とする。

 上記の目的を達成するために、本発明は以 の構成とした。
(1)非磁性基板上に、少なくとも軟磁性裏打ち 層と、下地層と、中間層と、垂直磁気記録層 とを有する垂直磁気記録媒体において、前記 垂直磁気記録層は少なくとも1層以上の主記 層と補助記録層とを具備し、前記主記録層 垂直磁気異方性を有する層を具備し、前記 助記録層は軟磁性層と非磁性層とが交互に3 以上積層した多層膜であり、前記非磁性基 に対する最外層が軟磁性層であることを特 とする垂直磁気記録媒体。
(2)前記補助記録層を構成する各非磁性層の膜 厚は0.2nm~3nmの範囲にあることを特徴とする(1) に記載の垂直磁気記録媒体。
(3)前記補助記録層を構成する非磁性層は、Ru Ir、Rh、Re、Cr、Cu、Ta、およびWから選ばれる 金属または合金を少なくとも1種類以上含む とを特徴とする(1)から(2)の何れかに記載の 直磁気記録媒体。
(4)前記補助記録層を構成する各軟磁性層の膜 厚は4nm以下であり、補助記録層を構成する軟 磁性層の総厚が、主記録層の総厚の半分以下 であることを特徴とする(1)から(3)の何れかに 記載の垂直磁気記録媒体。
(5)前記補助記録層を構成する非磁性層および 軟磁性層が、金属結晶粒部分を非磁性の酸化 物粒界が取り囲むグラニュラ構造をとり、そ の酸化物が、Si、Ti、Ta、Cr、Al、W、Nb、Mg、Ru およびYから選ばれる元素の酸化物を少なく とも1種類含むことを特徴とする(1)から(4)の れかに記載の垂直磁気記録媒体。
(6)前記補助記録層に含まれる酸化物の総量が 、2モル%~20モル%の範囲内であることを特徴と する(1)から(5)の何れかに記載の垂直磁気記録 媒体。
(7)前記主記録層のうち少なくとも一層は、磁 性結晶粒部分を非磁性の酸化物粒界が取り囲 むにグラニュラ構造をとり、該主記録層に含 まれる酸化物が、Si、Ti、Ta、Cr、Al、W、Nb、Mg 、Ru、およびYから選ばれる元素の酸化物を少 なくとも1種類含むことを特徴とする(1)から(6 )の何れかに記載の垂直磁気記録媒体。
(8)前記主記録層に含まれる酸化物の総量が、 2モル%~20モル%の範囲内であることを特徴とす る(1)から(7)の何れかに記載の垂直磁気記録媒 体。
(9)前記主記録層の磁性結晶粒の平均粒径が、 3nm~12nmの範囲内であることを特徴とする(1)か (8)の何れかに記載の垂直磁気記録媒体。
(10)前記主記録層の膜厚が1nm~20nmの範囲内であ り、これを含む垂直磁気記録層の総膜厚が2nm ~40nmの範囲内であることを特徴とする(1)から( 9)のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
(11)軟磁性裏打ち層が、軟磁性の非結晶質構 もしくは微結晶構造を具備することを特徴 する(1)から(10)の何れかに記載の垂直磁気記 媒体。
(12)垂直磁気記録媒体と、該垂直磁気記録媒 に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備え 磁気記録再生装置であって、垂直磁気記録 体が(1)から(11)の何れかに記載の垂直磁気記 媒体であることを特徴とする磁気記録再生 置。

 本発明によれば、垂直磁気記録層の熱安 性を高く保ちつつ、良好な記録再生特性を し、高記録密度特性に優れた垂直磁気記録 体を供することができる。

本発明の垂直磁気記録媒体の断面構造 示す図である。 非特許文献2に記載のRKKY的層間結合の 標である飽和磁界と非磁性層膜厚の関係を す図である。 非特許文献2に記載の各種非磁性層を用いた 合のRKKY的層間結合定数J 1 の大きさを示す図である。 本発明の磁気記録再生装置の構造を示 図である。 本発明の垂直磁気記録媒体において、 助記録層を構成する軟磁性層の内の一層の 厚を変化させた際の、軟磁性層の総厚とSNR の関係を示す図である。 本発明の垂直磁気記録媒体において、 助記録層を構成する軟磁性層の内の一層の 厚を変化させた際の、軟磁性層の総厚と熱 らぎ耐性との関係を示す図である。 本発明の垂直磁気記録媒体において、 助記録層を構成する軟磁性層の積層回数を 化させた際の、軟磁性層の総厚とSNRとの関 を示す図である。 本発明の垂直磁気記録媒体において、 助記録層を構成する軟磁性層の積層回数を 化させた際の、軟磁性層の総厚と熱揺らぎ 性との関係を示す図である。 本発明の垂直磁気記録媒体において、 助記録層を構成する非磁性層の内の一層の 厚とSNRとの関係を示す図である。 本発明の垂直磁気記録媒体において、 補助記録層を構成する非磁性層の内の一層の 膜厚と熱揺らぎ耐性との関係を示す図である 。 本発明の垂直磁気記録媒体において、 補助記録層の酸化物量とSNRとの関係を示す図 である。 本発明の垂直磁気記録媒体において、 主記録層の酸化物量とSNRとの関係を示す図で ある。

符号の説明

1・・・・・非磁性基板
2・・・・・軟磁性裏打ち層
3・・・・・下地層
4・・・・・中間層
5・・・・・垂直磁気記録層
6・・・・・保護層
100・・・垂直磁気記録媒体
101・・・媒体駆動部
102・・・磁気ヘッド
103・・・ヘッド駆動部
104・・・記録再生信号系

 以下、本発明の内容を具体的に説明する。
 図1は、本発明に係る垂直磁気記録媒体の一 例を表す断面図である。図1に示すように、 の垂直磁気記録媒体10は、非磁性基板1上に 軟磁性裏打ち層2、その直上の膜の配向性を 御する配向制御層を構成する下地層3及び中 間層4、垂直磁気記録層(磁気記録層と略すこ もある)5、および保護層6が形成された垂直 体である。垂直磁気記録層5は、磁化容易軸 (結晶c軸)が基板に対し主に垂直に配向した主 記録層と、軟磁気特性を有する補助記録層と を具備する。積層順番は、中間層4-補助記録 ―主記録層でもよいし、中間層4-主記録層 補助記録層でも構わない。

 以下、垂直磁気記録媒体の各層について説 する。
 まず、非磁性基板1について説明する。
 本発明の垂直磁気記録媒体に使用される非 性基板1としては、Alを主成分とした例えばA l-Mg合金等のAl合金基板や、通常のソーダガラ ス、アルミノシリケート系ガラス、アモルフ ァスガラス類、シリコン、チタン、セラミッ クス、サファイア、石英、各種樹脂からなる 基板など、非磁性基板であれば任意のものを 用いることができる。中でもAl合金基板や、 晶化ガラス、およびアモルファスガラス等 ガラス製基板を用いられることが多い。ガ ス基板の場合、ミラーポリッシュ基板やRa&l t;1Åのような低Ra基板などが好ましい。軽度 あれば、テクスチャが入っていても構わな 。

 磁気ディスクの製造工程においては、ま 基板の洗浄・乾燥が行われるのが通常であ 、本発明においても各層の密着性を確保す 見地からもその形成前に洗浄、乾燥を行う とが望ましい。洗浄については、水洗浄だ でなく、エッチング(逆スパッタ)による洗 も含まれる。また、基板サイズも特に限定 ない。

 次に、軟磁性裏打ち層(裏打ち層と略すこと もある)2について説明する。
 裏打ち層2は、垂直磁気記録媒体に信号を記 録する際、ヘッドからの記録磁界を導き、磁 気記録層5に対して記録磁界の垂直成分を効 よく印加する働きをする。

 材料としてはFeCo系合金、CoZrNb系合金、CoTaZr 系合金などいわゆる軟磁気特性を有する材料 を使用できる。軟磁性裏打ち層2は、表面粗 (Ra)を低減することにより、ヘッドの浮上量 低減させることができ、さらなる高記録密 化へとつながる。この観点から、軟磁性裏 ち層材料としては非晶質もしくは微結晶構 であることが好ましい。
 二つの軟磁性層間にRuなどの極薄い非磁性 膜をはさみ、軟磁性層間にAFCを持たせた裏 ち層を用いることもできる。裏打ち層2の総 厚は20nm~120nm程度であるが、記録再生特性と OW特性とのバランスにより適宜決定される。

 上記軟磁性裏打ち層2が微結晶を具備したり 、または非晶質構造をとる場合、材料や成膜 条件によってRaが大きくなることがある。
 この場合、裏打ち層2と下地層3との間に非 性の非晶質層を成膜することでRaを下げ、磁 気記録層5の結晶配向性を向上させることが きる。

 次に、裏打ち層2上に設けられる下地層3お び中間層4について説明する。
 本発明では、裏打ち層2の上に、磁気記録層 の配向性を制御する配向制御層を設ける。配 向制御層は複数層からなり、基板側から下地 層3および中間層4と称する。
 下地層3の材料としては、Taや、(111)面配向 るfcc構造を有する金属または合金、例えばNi 、Ni-Nb、Ni-Ta、Ni-V、Ni-W、およびPtなどが用い れる。

 中間層4の材料としては、磁気記録層と同 様にhcp構造をとる、RuやRe、またはそれらの 金が一般的である。中間層4は、磁気記録層5 の配向を制御することを目的として設けられ るので、hcp構造を具備しなくとも磁気記録層 の配向を制御できる材料であれば、どのよう な材料でも用いることができる。

 本発明においては、垂直磁気記録層を構 する主記録層がグラニュラ構造をとる場合 中間層4は成膜ガス圧を高くして表面の凹凸 をつけることが好ましい。ただし、ガス圧を 上げることで中間層4の結晶配向性が悪化し また表面粗さが大きくなりすぎる場合があ 。中間層4の成膜ガス圧を最適化する、また 中間層を2層化し低ガス圧成膜層と高ガス圧 成膜層とに分けて成膜することにより、配向 性と表面凹凸とのバランスをとることができ る。

 次に、垂直磁気記録層5について説明する。 垂直磁気記録層5は、主記録層と、補助記録 とを具備する。
 垂直磁気記録層を構成する層の中で、主記 層は文字通り、実際に信号の記録がなされ 層である。
 本発明における主記録層は単層であっても いし、2層以上の複数層であってもよい。そ の少なくとも1層が、酸化物と、Coを主成分と する合金の強磁性結晶粒とから構成されるグ ラニュラ構造を有することが好ましい。

 磁気記録層5が好ましく含有する強磁性結晶 粒としては、CoCr、CoCrPt、CoPt、CoCrB、CoPtB、CoC rPtRu、CoCrRu,CoCrPtRuB,CoPtRu、CoPtRuB,およびCoCrRuB どを例示できる。
 酸化物としては、Si、Ti、Ta、Cr、Al、W、Nb、 Mg、Ru、Yの酸化物の少なくとも1種を好ましく 用いることができる。

 この主記録層の膜厚は1nm以上20nm以下が好 ましい。そして含まれる強磁性結晶は平均粒 径3nm以上12nm以下が好ましい。平均粒径は平 TEM画像から測定することができる。

 上記の通り、主記録層は一層でもよいが、 らに上記第1の磁気記録層の上もしくは下に 第2の磁気記録層を形成し、磁気記録層を複 とすることもできる。
 第2の磁気記録層の強磁性材料及び酸化物は 前記した第1の材料の中で種類を代えて用い ことが可能である。ただし、第2の主記録層 は酸化物は含まれていても含まれていなく もよい。
 主記録層が複数の場合、その総膜厚が2nm以 40nm以下であることが好ましい。

 本発明における主記録層は、各層を形成 るための材料をターゲットとし、スパッタ より製造することができる。

 主記録層用ターゲットの強磁性合金材料 しては、Coを必須成分とすることが好まし し、好ましくはさらにCrを含む。例えばCoCr CoCrPt、CoCrPtRu、CoCrPtB、CoCrPtRuB、CoCrPtB-X、CoCrP tRuB-X、CoCrPtB-X-Y、CoCrPtRuB-X-YなどのCo系合金が 用される。X、Yは前記酸化物である。

 本発明における垂直磁気記録層5を構成す る層の中で、補助記録層は記録磁界印加時に 主記録層の磁化反転をアシストする層である 。

 本発明においては、補助記録層は、酸化物 界を有する非磁性層と、酸化物粒界を有す 軟磁性層との交互積層により構成される3層 以上の多層膜である。
 補助記録層をなす非磁性層と軟磁性層とは 金属結晶粒と非磁性である酸化物との結晶 界を含有するグラニュラ構造を具備するこ が好ましい。
 酸化物としては、Si、Ti、Ta、Cr、Al、W、Nb、 Mg、Ru、およびYの酸化物の少なくとも1種を用 いることが好ましい。

 主記録層と補助記録層の間には、必要に応 て交換結合を調整する交換結合制御層を設 ることができる。交換結合制御層は非磁性 料でもかまわないが、磁性材料がより好ま い。
 交換結合制御層を設けることにより、多層 補助記録層内の交換結合を制御することが きる。軟磁性層/非磁性層/軟磁性層のよう 、軟磁性層間に極薄非磁性層を挿入すると 上下の軟磁性層間に間接交換結合が生じる この間接交換結合は、非磁性層の厚さ、お び、軟磁性層/非磁性層/軟磁性層の繰り返し 回数で容易に制御することが可能となる。

 これに対して軟磁性層単層、もしくは、 磁性/軟磁性層の2層の場合は、交換結合は 磁性層の材料で決まるため補助記録層内の 換結合を制御することができない。すなわ 、補助記録層が二層で構成されている場合 軟磁性層間に非磁性層が挿入されていない め、補助記録層が一層の場合と同じく、交 結合の制御ができない。

 補助記録層を構成する非磁性層には、Ru Ir、Rh、Re、Cu、Cr、Ta、W、およびTiの金属も くは合金を少なくとも1種類以上含有する材 を好ましく用いることができるが、さらに ましくは、Ru、Ir、Rhの金属もしくは合金を なくとも1種類以上含む材料である。

 補助記録層を構成する非磁性層が複数層 る場合、各層の膜厚は0.2nm以上2nm以下が好 しい。非磁性層の厚さが0.2nm未満であると、 媒体全面に亘って均一性を保つことが困難と なり、上下の軟磁性層が直接交換結合してし まう場合がある。逆に、非磁性層の厚さが2nm を超えると、上下の軟磁性層の距離が離れて しまい、間接交換結合が働かなく恐れがある 。

 補助記録層を構成する軟磁性層の磁性金 材料としては、Co、Ni、Fe、CoB、NiFe、および CoFeなどの結晶性材料の他に、これらの材料 Si、B、Al、Zr、Nb、およびCなどを添加してア ルファス構造とした非晶質材料も用いるこ ができる。

 補助記録層が複数の軟磁性層を具備する 合、各層の膜厚は4nm以下が好ましい。各軟 性層の厚さが4nmを超えると、残留磁化の主 分が面内方向となり、垂直磁気記録媒体と ての信号強度が低下する場合があるためで る。

 さらに、補助記録層を多層膜とした際の 磁性層の総厚は、主記録層の総厚の半分以 であることが好ましい。これは、軟磁性層 総厚が、主記録層の総厚の半分を超えると 残留磁化の主成分が面内方向となり、垂直 気記録媒体としての信号強度が低下するた である。

 以上の各層の成膜には、通常、DCマグネト ンスパッタリング法またはRFスパッタリング 法が用いられる。RFバイアス、DCバイアス、 ルスDC、パルスDCバイアス、O 2 ガス、H 2 Oガス導入、N 2 ガスを用いることも可能である。
 スパッタリングガス圧力は各層ごとに特性 最適になるように適宜決定されるが、一般 0.1~30Pa程度の範囲にコントロールされる。 められる媒体の性能を考慮しながら調整さ る。

 次に、保護層6について説明する。
 保護層6はヘッドと媒体との接触によるダメ ージから媒体を保護するためのものである。 SiO 2 膜などが用いられるが、多くの場合はカーボ ン膜が用いられる。膜の形成にはスパッタリ ング法、プラズマCVD法などが用いられるが、 近年ではプラズマCVD法が用いられることが多 い。マグネトロンプラズマCVD法も可能である 。膜厚は1nm~10nm程度であり、好ましくは2nm~6nm 程度、さらに好ましくは2nm~4nmである。

 次に、上記層構造を有する垂直磁気記録媒 を用いた磁気記録再生装置を説明する。
 図4は、上記垂直磁気記録媒体を用いた磁気 記録再生装置の一例を示すものである。図4 示す磁気記録再生装置は、図1に示す構成の 気記録媒体100と、磁気記録媒体100を回転駆 させる媒体駆動部101と、磁気記録媒体100に 報を記録再生する磁気ヘッド102と、この磁 ヘッド102を磁気記録媒体100に対して相対運 させるヘッド駆動部103と、記録再生信号処 系104とを備えている。

 記録再生信号処理系104は、外部から入力 れたデ-タを処理して記録信号を磁気ヘッド 102に送り、磁気ヘッド102からの再生信号を処 理してデ-タを外部に送ることができる。

 本発明の磁気記録再生装置に用いる磁気 ッド102には、再生素子として異方性磁気抵 効果(AMR)を利用したMR(Magneto Resistance)素子だ けでなく、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したG MR素子、トンネル効果を利用したTuMR素子など を有した、より高記録密度に適した磁気ヘッ ドを用いることができる。

 以下、実施例を参照して本発明を具体的 説明する。

(実施例1-1)
 HD用ガラス基板をセットした真空チャンバ 予め1.0×10 -5 Pa以下に真空排気した。
 この基板上に、スパッタリング法により、C oNbZrを50nm積層して軟磁性裏打ち層2を得た。 いで、ガス圧0.6PaのAr雰囲気中で、fcc構造を るNiFeを5nm成膜して下地層2を得た。中間層4 しては、RuをArガス圧0.6Paで10nm成膜後、ガス 圧を上げて10PaにしてさらにRuを10nm成膜する とにより得た。
 垂直磁気記録層5は、Arガス圧2Paの雰囲気中 主記録層―補助記録層の順に成膜した。
 主記録層は、90(Co12Cr18Pt)-10(SiO 2 )を10nm成膜した。
 なお、上記式中、90および10は、Co12Cr18Ptお びSiO 2 のモル比である。12および18は、Crが12モル%、 そしてPtが18モル%であることを意味する。Co12 Cr18Ptの場合、Crが12モル%、そしてPtが18モル% 残りの70モル%がCoであることを意味する(以 同様)。
 補助記録層は、NiFe-10SiO 2 (1.2nm)とRu-10SiO 2 (0.6nm)とを2回交互成膜し、最後にNiFe-8SiO 2 を1.2nm成膜した。
 次いで保護層6としてC膜を成膜し、続いて ィップ法によりパーフルオロポリエーテル(P FPE)潤滑剤を15Åの厚さに塗布した。
 これにより本実施例の垂直磁気記録媒体を た。

(実施例1-2)
 補助記録層の非磁性層材料として、Ir-10SiO 2 を用いた以外は実施例1-1と同様にして本実施 例の媒体を得た。
(実施例1-3)
 補助記録層の非磁性層材料として、Rh-10SiO 2 を用いた以外は実施例1-1と同様にして本実施 例の媒体を得た。
(比較例1-1)
 比較例として、従来の磁気記録媒体として 主記録層膜厚を10nmとし、補助記録層を成膜 しないこと以外は実施例1と同様の要領で作 した。
(比較例1-2)
 比較例として、補助記録層にNiFe-10SiO 2 を3.6nmの単層で用いる以外は実施例1と同様の 要領で垂直磁気記録媒体を作製した。
(比較例1-3)
 比較例として、補助記録層にNiFe-10SiO 2 (1.2nm)とCo-10SiO 2 (0.6nm)とを2回交互成膜し、最後にNiFe-10SiO 2 を1.2nm成膜した多層膜を用いる以外は実施例1 と同様の要領で垂直磁気記録媒体を作製した 。なお、Co-10SiO 2 は強磁性膜である。

 得られた垂直磁気記録媒体の記録再生特性 、米国GUZIK社製リードライトアナライザ1632 びスピンスタンドS1701MPを用いて評価した。
 媒体SNRとして、微分回路を通した後の微分 形の信号対ノイズ比(SNR)(但し、Sは線記録密 度119kfciの出力、Nは716kfciでのrms値(root mean sq uare値)を評価した。
 媒体上書き特性は、119kfci信号を記録した後 、250kfci信号を上書きした前後の、119kfci信号 再生出力比(減衰率、OW)で評価した。

 媒体熱揺らぎ耐性は、温度70℃の環境下に ける、100kfci信号を一度記録した直後の100kfci 信号の再生出力と、1000秒放置後の再生出力 の比V 1000 /V 0 で評価した。

 膜垂直方向の静磁気特性は、Kerr測定装置 により評価した。

 各垂直磁気記録媒体について、Cu-kα線を 源としたX線回折装置を用いてθ―2θ法の測 を行うことにより、主記録層および補助記 層の結晶構造および結晶配向面を行った。

 主記録層および補助記録層の微細構造は、 面TEMにより解析を行った。
 主記録層および補助記録層の平均結晶粒径 、平面TEM画像から解析を行った。
 XRD評価の結果、いずれの垂直磁気記録媒体 主記録層の磁性結晶粒子もhcp構造をとり、( 0001)面配向していることが分かった。

 また、実施例1-1、比較例1-2及び比較例1-3 垂直磁気記録媒体の補助記録層はいずれもh cp(0001)面もしくはfcc(111)面配向していること 分かった。

 平面TEM観察の結果、いずれの垂直磁気記録 体の主記録層も、磁性結晶粒の周りを粒界 域が取り囲むグラニュラ構造を具備するこ が分かった。磁性結晶粒子の平均粒径は7.8n mであった。
 また、実施例1-1、比較例1-2及び比較例1-3の 直磁気記録媒体の補助記録層は、主記録層 同様に、金属結晶粒の周りを粒界領域が取 囲むグラニュラ構造を取っていることが分 った。磁性結晶粒子の平均粒径は7.5nmであ た。

 断面TEM観察の結果、一つの主記録層の磁 結晶粒上に補助記録層の金属結晶粒は一つ 長しており、かつ結晶格子を揃えてエピタ シャル成長していることがわかった。

 表1に、各垂直磁気記録媒体の静磁気特性 の測定から求まった、保磁力:Hc、角型比:RSの 結果を示す。

 比較例1-1の媒体に比べて、実施例1-1~1-3、 比較例1-2及び1-3の媒体のHcはいずれも低減し いる。一方、実施例1-1~1-3と比較例1-1の媒体 の角型比が1であるのに対し、比較例1-2及び1- 3の媒体では1未満に劣化していることがわか た。比較例1-3は補助記録層に強磁性膜を用 たため特性が悪化している。

 表2に、各垂直磁気記録媒体の記録再生特性 の測定から求まった、媒体上書き特性:OW、信 号雑音比:SNR、熱揺らぎ耐性:V 1000 /V 0 の結果を示す。

 実施例1-1、比較例1-2、比較例1-3は、比較例1 -1に比べOWが向上している。これは、補助記 層を設けることにより保磁力が低下したた と考えられる。
 一方、熱揺らぎ耐性は、比較例1-1と比べる 実施例1-1~1-3ではほぼ同等であるのに対し、 比較例1-2及び1-3ではむしろ劣化していること がわかる。これは、角型比の劣化によるもの であると考えられる。
 SNRは、実施例1-1が一番良好な値を示してお 、次いで実施例1-2、実施例1-3となっている これは、NiFe-10SiO 2 層間に働くRKKY的層間結合の強さが影響して ると考えられる。

 次に、補助記録層中の軟磁性層一層の膜厚 よび積層回数を変化させた垂直磁気記録媒 を、以下の手順にて作製した。
(実施例2)
 実施例1-1と同じ要領で、中間層まで成膜し 後、主記録層は、90(Co12Cr18Pt)-10(SiO 2 )を10nm、補助記録層はNiFe-10SiO 2 (x nm)とRu-10SiO 2 (0.6 nm)とをy回交互成膜し、最後にNiFe-10SiO 2 をx nm成膜した。
 続いて実施例1-1と同様の要領で保護層成膜 潤滑剤塗布を順次行った。NiFe-10SiO 2 の膜厚xは、0から4 nmの範囲で、積層回数は0 ら8の範囲でそれぞれ変化させた。なお、こ のとき、補助記録層の軟磁性層の総厚はx×y+x となる。

 XRD評価の結果、いずれの垂直磁気記録媒 の主記録層の磁性結晶粒子もhcp構造をとり (0001)面配向していることが分かった。

 また、垂直磁気記録媒体の補助記録層は ずれもhcp(0001)面もしくはfcc(111)面配向して ることが分かった。

 平面TEM観察の結果、いずれの垂直磁気記録 体の主記録層も、磁性結晶粒の周りを粒界 域が取り囲むグラニュラ構造を取っている とが分かった。磁性結晶粒子の平均粒径は7 .8nmであった。
 また、垂直磁気記録媒体の補助記録層は、 記録層と同様に、金属結晶粒の周りを粒界 域が取り囲むグラニュラ構造を取っている とが分かった。磁性結晶粒子の平均粒径は7 .5nmであった。

 断面TEM観察の結果、一つの主記録層の磁 結晶粒上に補助記録層の金属結晶粒は一つ 長しており、かつ結晶格子を揃えてエピタ シャル成長していることがわかった。

 図5および図6に、補助記録層を構成する軟 性層の積層回数yを2とし、軟磁性層一層の膜 厚xを0から4nm間で変化させた際の、各垂直磁 記録媒体のSNR、V 1000 /V 0 と、軟磁性層の総厚3x(=2×x+x)との関係を示す
 軟磁性層の総厚が1.2nm(x=0.4nm)以上4.8nm(x=1.6nm) の範囲でSNRが顕著に向上し、かつ高い熱揺ら ぎ耐性を維持している。

 図7および図8に、補助記録層を構成する軟 性層一層の膜厚xを1nmとし、積層回数yを0か 8まで変化させた際の、各垂直磁気記録媒体 SNR、V 1000 /V 0 と、軟磁性層の総厚y+1(=y×1+1)との関係を示す 。
 軟磁性層の総厚が2nm(y=1)以上5nm(y=4)の範囲で SNRが顕著に向上し、かつ高い熱揺らぎ耐性を 維持している。

 これらの結果より、補助記録層の軟磁性 の総厚が、主記録層の総厚の半分以下であ ば、高い熱揺らぎ耐性を維持しつつ良好な 録再生特性を示すことがわかる。

 次に、補助記録層中の非磁性層一層の膜厚 変化させた垂直磁気記録媒体を、以下の手 で作製した。
(実施例3)
 実施例1-1と同じ要領で、中間層まで成膜し 後、主記録層は、90(Co12Cr18Pt)-10(SiO 2 )を10nm、補助記録層はNiFe-10SiO 2 (1.2nm)とRu-10SiO 2 (z nm)とを2回交互成膜し、最後にNiFe-10SiO 2 を1.2nm成膜した。
 続いて実施例1-1と同様の要領で保護層成膜 潤滑剤塗布を順次行った。Ru-10SiO 2 の膜厚zは、0から4nmの範囲で変化させた。

 XRD評価の結果、いずれの垂直磁気記録媒体 主記録層の磁性結晶粒子もhcp構造をとり、( 0001)面配向していることが分かった。
 また、垂直磁気記録媒体の補助記録層はい れもhcp(0001)面もしくはfcc(111)面配向してい ことが分かった。

 平面TEM観察の結果、いずれの垂直磁気記録 体の主記録層も、磁性結晶粒の周りを粒界 域が取り囲むグラニュラ構造を取っている とが分かった。磁性結晶粒子の平均粒径は7 .8nmであった。
 また、垂直磁気記録媒体の補助記録層は、 記録層と同様に、金属結晶粒の周りを粒界 域が取り囲むグラニュラ構造を取っている とが分かった。磁性結晶粒子の平均粒径は7 .5nmであった。
 断面TEM観察の結果、一つの主記録層の磁性 晶粒上に補助記録層の金属結晶粒は一つ成 しており、かつ結晶格子を揃えてエピタキ ャル成長していることがわかった。

 図9および図10に、補助記録層中の非磁性層 層の膜厚zを0から4nmの間で変化させた際の 各垂直磁気記録媒体のSNR、V 1000 /V 0 と、非磁性層一層の膜厚zとの関係を示す。
 zが0.2nmから2nmの範囲でSNRが顕著に向上し、 つ高い熱揺らぎ耐性を維持している。zが2nm より大きくなるとSNR、V 1000 /V 0 共に低下する。この理由は、補助記録層中の 軟磁性層間が離れすぎてRKKY的層間結合が働 なくなってしまったためと考えられる。

 この結果より、補助記録層の非磁性層厚 0.2~2nmの範囲であれば、高い熱揺らぎ耐性を 維持しつつ良好な記録再生特性を示すことが わかる。

 次に、主記録層及び補助記録層の酸化物組 およびその材料を変化させた媒体を、以下 手順にて作製した。
(実施例4)
 実施例1-1と同じ要領で、中間層まで成膜し 後、主記録層は、90(Co12Cr18Pt)-a(SiO 2 )を10nm、補助記録層はNiFe-bSiO 2 (1.2nm)とRu-bSiO 2 (0.6nm)を2回交互成膜し、最後にNiFe-bSiO 2 を1.2nm成膜した。
 続いて実施例1-1と同様の要領で保護層成膜 潤滑剤塗布を順次行った。主記録層の酸化 量a、補助記録層の酸化物量bは、それぞれ0 ら30モル%の範囲で変化させた。この他、主 録層及び補助記録層の粒界領域物質として SiO 2 の代わりに、TiO、TiO 2 ,WO 3 、Cr 2 O 3 を用いた媒体も同様の要領で作製した。

 XRD評価の結果、いずれの垂直磁気記録媒体 主記録層の磁性結晶粒子もhcp構造をとり、( 0001)面配向していることが分かった。
 また、実施例1-1、比較例1-2及び比較例1-3の 直磁気記録媒体の補助記録層はいずれもhcp( 0001)面もしくはfcc(111)面配向していることが かった。

 平面TEM観察の結果、aが2以上の主記録層は 磁性結晶粒の周りを粒界領域が取り囲むグ ニュラ構造を取っていることが分かった。
 また、bが2以上の補助記録層は、磁性結晶 の周りを粒界領域が取り囲むグラニュラ構 を取っていることが分かった。

 図11は、主記録層のSiO 2 組成aを10とし、補助記録層のSiO 2 組成bを0から30の範囲で変化させた場合の、b SNRとの関係を示す。
 SiO 2 組成が1~20モル%の範囲でSNRmが顕著に向上し、 好ましいことがわかった。同様の傾向は、SiO 2 をTiO、TiO 2 ,Cr 2 O 3 に代えた媒体でも見られた。

 図12は、補助記録層のSiO 2 組成bを10とし、主記録層のSiO 2 組成aを0から30の範囲で変化させた場合の、a SNRの関係を示す。SiO 2 組成が2~20モル%の範囲でSNRが顕著に向上し、 ましいことがわかった。同様の傾向は、SiO 2 をTiO、TiO 2 ,Cr 2 O 3 に代えた媒体でも見られた。

 これらの結果より、補助記録層および主 録層の酸化物量を2~20モル%にすることで、 好な記録再生特性が得られることがわかる

 本発明によれば、垂直磁気記録層の熱安 性を高く保ちつつ、良好な記録再生特性を し、高記録密度特性に優れた垂直磁気記録 体を供することができる。