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Patent Searching and Data


Title:
VESICLE-CONTAINING COMPOSITION, AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143140
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a vesicle-containing composition which comprises a vesicle bilayer membrane composed of a silicone surfactant and a perfume component enclosed in the vesicle bilayer membrane stably. Also disclosed is a method for producing, in a simple manner, a vesicle-containing composition which contains a perfume component stably. Specifically disclosed is a vesicle-containing composition comprising (A) a perfume component, (B) a silicone oil, (C) a silicone surfactant, (D) one or more members selected from ethanol, propylene glycol, dipropylene glycol and 1,3-butylene glycol and (E) water, wherein the silicone surfactant (C) forms a vesicle, and the perfume component (A) and the silicone oil (B) are present in the bilayer membrane of the vesicle.

Inventors:
WATANABE KEI (JP)
ARAKI HIDEFUMI (JP)
NAGARE YUKO (JP)
NAKAMA YASUNARI (JP)
ISHINO HIROKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058965
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHISEIDO CO LTD (JP)
WATANABE KEI (JP)
ARAKI HIDEFUMI (JP)
NAGARE YUKO (JP)
NAKAMA YASUNARI (JP)
ISHINO HIROKAZU (JP)
International Classes:
A61K8/06; A61K8/34; A61K8/891; A61K8/894; A61Q5/12; A61Q13/00; A61Q19/00
Domestic Patent References:
WO2005102248A22005-11-03
Foreign References:
JP2006513280A2006-04-20
JPH07323222A1995-12-12
JPH08239475A1996-09-17
JPH09175931A1997-07-08
JPH09175930A1997-07-08
JP2008024681A2008-02-07
JPH07323222A1995-12-12
JPH08239475A1996-09-17
JPH09175930A1997-07-08
Other References:
LIN S. B.; POSTIAUX S.; THOMPSON J.: "Novel Silicone Vesicles for Delivery of Cosmetic Actives", PROCEEDING OF THE 24TH IFSCC CONGRESS, 2006
See also references of EP 2149362A4
Attorney, Agent or Firm:
IWAHASHI, Yuji (Kanagawa Kanagawa-k, Yokohama-shi Kanagawa 45, JP)
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Claims:
(A)香料と、
(B)シリコーン油と、
(C)シリコーン系界面活性剤と、
(D)エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールより選ばれる1種または2種以上と、
(E)水と
を含有し、
該(C)シリコーン系界面活性剤がベシクルを形成し、
該(A)香料及び(B)シリコーン油が該ベシクルの二分子膜内に存在することを特徴とするベシクル含有組成物。
請求項1に記載のベシクル含有組成物において、前記(A)香料と(B)シリコーン油との配合量比が、質量比で(A):(B)=5:95~70:30であることを特徴とするベシクル含有組成物。
請求項1又は2に記載のベシクル含有組成物において、さらに(F)水溶性低分子界面活性剤を含有することを特徴とするベシクル含有組成物。
請求項1から3のいずれかに記載のベシクル含有組成物において、さらに(G)IOBが0.1~0.4の極性油を含有することを特徴とするベシクル含有組成物。
請求項1から4のいずれかに記載のベシクル含有組成物において、前記(B)シリコーン油が、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンであることを特徴とするベシクル含有組成物。
請求項1から5のいずれかに記載のベシクル含有組成物において、前記(C)シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)に示すポリオキシアルキレン変性シリコーンであることを特徴とするベシクル含有組成物。
 
(式中、R 1 は、水素又は炭素数1~6のアルキル基である。Aは、少なくともその1つが式: -(CH 2 ) a -(C 2 H 4 O) b -(C 3 H 6 O) c -R 2  (式中、R 2 は水素又は炭素数1~6のアルキル基であり、aは1~6、bは0~50、cは0~50の整数であり、b+cは少なくとも5以上である。)で示されるポリオキシアルキレン基であり、その他のAは水素又は炭素数1~6のアルキル基である。mは1~200、nは0~50の整数である。)
請求項3から6のいずれかに記載のベシクル含有組成物において、前記(F)水溶性低分子界面活性剤が、分子量2000未満の界面活性剤であることを特徴とするベシクル含有組成物。
請求項1から7のいずれかに記載のベシクル含有組成物において、前記(D)成分が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールより選ばれる1種または2種以上であることを特徴とするベシクル含有組成物。
 請求項4から8のいずれかに記載のベシクル含有組成物において、前記(G)成分が、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、セチルイソオクタノエート、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、イソノナン酸イソノニルより選ばれる1種または2種以上であることを特徴とするベシクル含有組成物。
(A)香料と、(B)シリコーン油とを含む油性成分を混合する油性成分混合工程と、
前記工程により得られた油性成分混合物を、(C)シリコーン系界面活性剤及び(D)エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールより選ばれる1種または2種以上と混合し、さらに(E)水を含む水性処方とともに混合して、該(C)シリコーン系界面活性剤からなるベシクルを形成するベシクル形成工程と
を備えることを特徴とするベシクル含有組成物の製造方法。
請求項10に記載のベシクル含有組成物の製造方法において、前記(A)香料と(B)シリコーン油との配合量比が、質量比で(A):(B)=5:95~70:30であることを特徴とするベシクル含有組成物の製造方法。
請求項10又は11に記載のベシクル含有組成物の製造方法において、前記ベシクル形成工程の後、さらに(F)水溶性低分子界面活性剤を添加混合することを特徴とするベシクル含有組成物の製造方法。
請求項10から12のいずれかに記載のベシクル含有組成物の製造方法において、前記油性成分混合工程の際に、(G)IOBが0.1~0.4の極性油をともに混合することを特徴とするベシクル含有組成物の製造方法。
 請求項1から9に記載のベシクル含有組成物からなることを特徴とする化粧料。
Description:
ベシクル含有組成物及びその製 方法 関連出願

 本出願は、2007年5月15日付け出願の日本国 特許出願2007-129777号の優先権を主張しており ここに折り込まれるものである。

 本発明はベシクル含有組成物及びその製 方法、特にシリコーン系界面活性剤からな ベシクル中への香料成分の配合及びその安 化に関する。

 親水性-疎水性の双方の性質を有する両親 媒性の化合物のうち、例えば、リン脂質等の ように、水性相中で二分子膜(ラメラ相)から る球状の小胞体を形成するものがある。こ ような二分子膜小胞体をリポソームあるい ベシクルといい、これらは、その小胞体内 に水性成分を、あるいは小胞体膜内に油性 分を安定に保持することができる。このた 、例えば、油性である香料を小胞体膜内に 持させると、香料を水性処方中に可溶化す とともに、香料の揮発速度を制限すること でき、香りを長期間にわたって維持できる と等の利点から、医薬、化粧品、食品分野 への応用が期待される。

 また、近年、このようなベシクルを形成 得る両親媒性の化合物として、シリコーン の界面活性剤が報告されている(例えば、特 許文献1~3参照)。シリコーン系界面活性剤に り形成されるベシクルの特徴としては、例 ば、他のベシクル形成性の界面活性剤を用 た場合と比べて、容易にベシクルを調製す ことが可能であること等が挙げられる。し しながら、シリコーン系界面活性剤を用い 調製したベシクルは、香料成分をそのベシ ル二分子膜内に長期間安定に保持すること できず、香料成分が水相中に分離してしま ため、香料配合ベシクル組成物としての製 化は不可能であった。

 また、非特許文献1には、シリコーン系界 面活性剤で調製したベシクルに後から香料を 加え、高せん断力を加える(Post-load法)と、ベ クルが一時的に破壊され、再構築する際に 料を保持できることが記載されている。し し、非特許文献1中においても記載されてい るように、均質性が失われ、複雑な構造をと るなど品質面の課題があった。また、高せん 断力を加えるため、高エネルギーが必要であ るという製造プロセス上の課題が存在した。 さらに、非特許文献1中にはベシクル形成前 香料を加えるPre-load法では可溶化できないこ とが明記されている。

特開平07-323222号公報

特開平08-239475号公報

特開平09-175930号公報 Lin S.B., Postiaux S., Thompson J., Novel Silic one Vesicles for Delivery of Cosmetic Actives,Proceedi ng of THE 24th IFSCC congress, Osaka, 19B60, 2006

 本発明は前記従来技術の課題に鑑みて行 れたものであり、その目的は、シリコーン 界面活性剤からなるベシクル二分子膜内に 料成分を安定に配合したベシクル含有組成 を提供すること、さらには香料成分を安定 配合したベシクル含有組成物を簡便に製造 る方法を提供することにある。

 前記従来技術の課題を解決するため、本 明者らが鋭意検討を行った結果、予めシリ ーン油と香料とを含む油性成分を混合し、 いで該混合物を、シリコーン系界面活性剤 エタノール、プロピレングリコール、ジプ ピレングリコール、1,3-ブチレングリコール より選ばれる1種または2種以上の溶液と混合 、さらに水を含む水性処方とともに混合し 、該シリコーン系界面活性剤によるベシク を形成することにより、該ベシクル二分子 内に香料が安定に配合されたベシクル含有 成物が得られることを見出し、本発明を完 するに至った。

 すなわち、本発明にかかるベシクル含有 成物は、(A)香料と、(B)シリコーン油と、(C) リコーン系界面活性剤と、(D)エタノール、 ロピレングリコール、ジプロピレングリコ ル、1,3-ブチレングリコールより選ばれる1 または2種以上と、(E)水とを含有し、該(C)シ コーン系界面活性剤がベシクルを形成し、 (A)シリコーン油及び(B)香料が該ベシクルの 分子膜内に存在することを特徴とするもの ある。

 また、前記ベシクル含有組成物において、 記(A)香料と(B)シリコーン油との配合量比が 質量比で(A):(B)=5:95~70:30であることが好適で る。また、前記ベシクル含有組成物におい 、さらに(F)水溶性低分子界面活性剤を含有 ることが好適である。また、前記ベシクル 有組成物において、さらに(G)IOBが0.1~0.4の極 性油を含有することが好適である。
 また、前記ベシクル含有組成物において、 記(B)シリコーン油が、オクタメチルシクロ トラシロキサン及び/又はデカメチルシクロ ペンタシロキサンであることが好適である。

 また、前記ベシクル含有組成物において、 記(C)シリコーン系界面活性剤が、下記一般 (1)に示すポリオキシアルキレン変性シリコ ンであることが好適である。
 
(式中、R 1 は、水素又は炭素数1~6のアルキル基である。 Aは、少なくともその1つが式: -(CH 2 ) a -(C 2 H 4 O) b -(C 3 H 6 O) c -R 2  (式中、R 2 は水素又は炭素数1~6のアルキル基であり、a 1~6、bは0~50、cは0~50の整数であり、b+cは少な とも5以上である。)で示されるポリオキシ ルキレン基であり、その他のAは水素又は炭 数1~6のアルキル基である。mは1~200、nは0~50 整数である。)また、前記ベシクル含有組成 において、前記(F)水溶性低分子界面活性剤 、分子量2000未満の界面活性剤であることが 好適である。また、前記ベシクル含有組成物 において、前記(D)成分が、プロピレングリコ ール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレ グリコールより選ばれる1種または2種以上で あることが好適である。また、前記ベシクル 含有組成物において、前記(G)成分が、トリ2- チルヘキサン酸グリセリル、セチルイソオ タノエート、テトラ2-エチルヘキサン酸ペ タエリスリット、イソノナン酸イソノニル り選ばれる1種または2種以上であることが好 適である。

 また、本発明にかかるベシクル含有組成 の製造方法は、(A)香料と、(B)シリコーン油 を含む油性成分を混合する油性成分混合工 と、前記工程により得られた油性成分混合 を、(C)シリコーン系界面活性剤及び(D)エタ ール、プロピレングリコール、ジプロピレ グリコール、1,3-ブチレングリコールより選 ばれる1種または2種以上と混合し、さらに(E) を含む水性処方とともに混合して、該(C)シ コーン系界面活性剤からなるベシクルを形 するベシクル形成工程とを備えることを特 とするものである。

 また、前記ベシクル含有組成物の製造方 において、前記(A)香料と(B)シリコーン油と 配合量比が、質量比で(A):(B)=5:95~70:30である とが好適である。また、前記ベシクル含有 成物の製造方法において、前記ベシクル形 工程の後、さらに(F)水溶性低分子界面活性 を添加混合することが好適である。また、 記ベシクル含有組成物の製造方法において 前記油性成分混合工程の際に、(G)IOBが0.1~0.4 の極性油をともに混合することが好適である 。

 また、本発明にかかる化粧料は、前記ベ クル含有組成物からなることを特徴とする のである。

 本発明によれば、予めシリコーン油と香 とを含む油性成分を混合し、次いで該混合 を、(C)シリコーン系界面活性剤及び(D)エタ ール、プロピレングリコール、ジプロピレ グリコール、1,3-ブチレングリコールより選 ばれる1種または2種以上と混合し、さらに(E) を含む水性処方とともに混合して、該(C)シ コーン系界面活性剤からなるベシクルを形 することによって、該ベシクル二分子膜内 香料が安定に配合されたベシクル含有組成 が得られる。

本発明のベシクル含有組成物の説明図 ある。 各種濃度の香料又はデカメチルシクロ ンタシロキサンとシリコーン系界面活性剤 を用いて形成したベシクル組成物の透明度( L値)の測定結果をまとめた図である。 各種混合比で混合した香料/シリコーン 油を用いた場合の、シリコーン系界面活性剤 ベシクル中への香料又はシリコーン油の取り 込み量の測定結果をまとめた図である。 処方例3の化粧水中のベシクル粒子の電 子顕微鏡写真図である。 処方例3の化粧水中のベシクル粒子の粒 径測定結果を示す図である。

 以下、本発明の好適な実施形態について説 する。
 本発明にかかるベシクル含有組成物は、(A) 料と、(B)シリコーン油と、(C)シリコーン系 面活性剤と、(D)エタノール、プロピレング コール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチ レングリコールより選ばれる1種または2種以 と、(E)水とを含有し、該(C)シリコーン系界 活性剤がベシクルを形成し、該(A)香料及び( B)シリコーン油が該ベシクルの二分子膜内に 在することを特徴とするものである。

(A)香料
 本発明に用いられる(A)香料は、通常、化粧 や医薬品の分野で用いられ香料成分であれ 、特に限定されることなく用いることがで る。なお、(A)香料は、植物などから分離さ た揮発性の高い油性成分である天然香料や テルペン類などを代表とする合成香料、精 などの各種香料成分を目的に応じて調合し 混合物である。香料成分としては、天然香 および合成香料がある。天然香料としては 花、葉、材、果皮等から分離した植物性香 、ムスク、シベット等の動物性香料が挙げ れる。合成香料としては、例えば、モノテ ペン等の炭化水素類、脂肪族アルコール、 香族アルコール等のアルコール類、テルペ アルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデ ド類、脂環式ケトン等のケトン類、テルペ 系エステル等のエステル類、ラクトン類、 ェノール類、オキサイド類、含チッソ化合 類、アセタール類等が挙げられる。これら 香料成分は単独で使用しても良いが、通常 適宜目的に応じて調合され、使用される。

 (A)香料の配合量は、特に限定されるもの はないが、組成物全量に対して0.01~5質量%で あることが好ましく、さらに好ましくは、0.0 5~2質量%である。(A)香料の配合量が少ないと 十分な香りが得られない場合があり、一方 、配合量が多すぎると、香りが強くなりす てしまったり、さらにベシクル含有組成物 外用剤として用いた場合に、べたつきが生 る等、使用感に悪影響を及ぼす場合がある

(B)シリコーン油
 本発明に用いられる(B)シリコーン油は、ポ シロキサン構造を有する油性成分であれば 特に限定されるものではなく、直鎖構造あ いは環状構造、また、揮発性あるいは不揮 性のいずれのものを用いても構わない。(B) リコーン油としては、具体的には、ジメチ ポリシロキサン、メチルフェニルポリシロ サン、メチルハイドロジェンポリシロキサ 等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロ トラシロキサン、デカメチルシクロペンタ ロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロ サン等の環状シリコーン等が挙げられ、こ ら(B)シリコーン油は単独で用いてもよく、 た、複数を組み合わせて用いても構わない

 これらの(B)シリコーン油のうち、揮発性 環状シリコーン油、特にオクタメチルシク テトラシロキサン、デカメチルシクロペン シロキサンを好適に用いることができる。 れら揮発性の環状シリコーン油を用いるこ によって、より多くの香料成分をベシクル 分子膜中に取り込むことができ、さらにベ クル含有組成物を外用剤として用いた場合 べたつきが少なく、優れた使用感が得られ 。

 (B)シリコーン油の配合量は、特に限定さ るものではないが、組成物全量に対して0.1~ 1.0質量%であることが好ましく、さらに好ま くは0.2~0.4質量%である。(B)シリコーン油の配 合量が少ないと、香料成分がベシクル二分子 膜中に存在できなくなり、水相中で相分離が 生じてしまう場合があり、一方で、配合量が 多すぎると、ベシクルの安定性に劣る場合が ある。

 なお、本発明にかかるベシクル含有組成 において、(A)香料と(B)シリコーン油との配 量比が、質量比で(A):(B)=5:95~70:30であること 好ましく、さらに好ましくは、(A):(B)=10:90~30 :70である。(A)香料と(B)シリコーン油との配合 量比が前記範囲内である場合には、(A)香料及 び(B)シリコーン油をベシクル二分子膜中に特 に効率的に取り込むことができる。

(C)シリコーン系界面活性剤
 本発明に用いられる(C)シリコーン系界面活 剤は、疎水性基としてポリシロキサン構造 有する界面活性剤であれば、特に限定され ものではない。(C)シリコーン系界面活性剤 しては、具体的には、例えば、下記一般式( 1)に示すポリオキシアルキレン変性シリコー が挙げられる。

 
(式中、R 1 は、水素又は炭素数1~6のアルキル基である。 Aは、少なくともその1つが式: -(CH 2 ) a -(C 2 H 4 O) b -(C 3 H 6 O) c -R 2  (式中、R 2 は水素又は炭素数1~6のアルキル基であり、a 1~6、bは0~50、cは0~50の整数であり、b+cは少な とも5以上である。)で示されるポリオキシ ルキレン基であり、その他のAは水素又は炭 数1~6のアルキル基である。mは1~200、nは0~50 整数である。)

 ここで、上記一般式(1)において、R 1 は、主鎖のポリシロキサン構造における側鎖 であって、水素又は炭素数1~6のアルキル基で ある。また、これらは同一であっても、ある いは異なっていてもよい。例えば、R 1 がすべてメチル基である場合にはジメチルポ リシロキサン構造、メチル基及びフェニル基 である場合には、メチルフェニルポリシロキ サン構造となる。また、Aは、主鎖のポリシ キサン構造において、ポリオキシアルキレ 基が導入され得る箇所であり、少なくとも の1つが式: -(CH 2 ) a -(C 2 H 4 O) b -(C 3 H 6 O) c -R 2  (式中、R 2 は水素又は炭素数1~6のアルキル基であり、a 1~6、bは0~50、cは0~50の整数であり、b+cは少な とも5以上である。)で示されるポリオキシ ルキレン基である。

 なお、上記一般式(1)において、Aの一部が 前記ポリオキシアルキレン基である場合に、 その他のAは水素又は炭素数1~6のアルキル基 あってもよい。例えば、末端の2つのAがポリ オキシアルキレン基である場合、A-B-A型で示 れるポリオキシアルキレン変性シリコーン なる。他方、非末端のAのみがポリオキシア ルキレン基である場合、ペンダント型のポリ オキシアルキレン変性シリコーンとなる。ポ リオキシアルキレン基としては、ポリオキシ エチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリ オキシエチレン・ポリオキシプロピレン基の いずれであってもよい。非置換ポリシロキサ ン構造のモル数を示すmは1~200であり、ポリオ キシアルキレン置換ポリシロキサン構造のモ ル数を表すnは0~50である。なお、nが0の場合 は、末端の2つのAのいずれかあるいは両方が 、ポリオキシアルキレン基である必要がある 。

 本発明に用いられる(C)シリコーン系界面 性剤としては、さらに具体的には、ポリオ シエチレン(12モル)変性ジメチルポリシロキ サン(直鎖状ジメチルポリシロキサンの側鎖 チル基をポリオキシエチレン(12モル)基によ 置換したペンダント型のポリオキシアルキ ン変性シリコーン)、ポリオキシエチレン(8 ル)変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキ シエチレン(20モル)変性ジメチルポリシロキ ン等が挙げられる。この他にABAタイプポリ キシエチレン-メチルシロキサン-ポリオキシ エチレンブロックコポリマーなどがある。こ れらのポリオキシエチレン変性シリコーンの 場合、全分子量中に占めるエチレンオキサイ ドの分子量は20~60%であることが望ましい。な お、本発明に用いられる(C)シリコーン系界面 活性剤は、公知の製法により製造することも 可能であり、また、市販品を用いてもよい。 市販のシリコーン系界面活性剤としては、例 えば、SH3772M,SH3773M,SH3775M(いずれもダウ・コー ニングシリコーン社製)、IM-22(Wacker Chemical社 )等が挙げられる。また、これらの(C)シリコ ーン系界面活性剤は単独で用いてもよく、ま た、複数を組み合わせて用いても構わない。

  (C)シリコーン系界面活性剤は、本発明 かかるベシクル含有組成物において、ベシ ルとして含有している。ベシクルの形成は 公知の方法によって容易に行うことができ 例えば、水性処方中に(C)シリコーン系界面 性剤及び(D)エタノール、プロピレングリコ ル、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレン リコールより選ばれる1種または2種以上を 合攪拌することで、水性処方中に(C)シリコ ン系界面活性剤からなるベシクルを形成す ことができる。なお、ベシクルの粒子径は 特に限定されるものではないが、通常、20~50 0nm程度であり、好ましくは50~200nmである。

 (C)シリコーン系界面活性剤のHLBは、特に 定されるものではないが、ベシクル形成の 点から、4~12であることが好ましく、さらに 好ましくは、6~9である。(C)シリコーン系界面 活性剤のHLBが前記範囲を逸脱すると、安定な ベシクルを形成しにくくなり、さらには(A)香 料及び(B)シリコーン油をベシクル二分子膜中 に効率的に取り込むことができない場合があ る。

 (C)シリコーン系界面活性剤の配合量は、 シクルを形成し得る量であれば特に限定さ るものではないが、組成物全量に対して0.1~ 10質量%であることが好ましく、さらに好まし くは0.2~5.0質量%である。(C)シリコーン系界面 性剤の配合量が少ないとベシクル形成によ 効果が得られない場合があり、一方で、配 量が多すぎると、ベシクルの安定性に劣る 合がある。なお、本発明にかかるベシクル 有組成物において、(B)シリコーン油と(C)シ コーン系界面活性剤との配合量比が、質量 で(B):(C)=1:0.1~1:0.4であることが好ましい。

(D)エタノール類
 (D)成分は、エタノール、プロピレングリコ ル、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレン グリコールより選ばれる1種または2種以上で る。なお、エタノールはベシクル中に香料 分を安定に配合する点では問題が無いが、 タノールを大量に配合すると皮膚に対する 激が懸念され、また、特有の刺激臭のため 料の匂い立ちを阻害してしまうことから、 タノールの配合量は少ない方がよい。(D)成 としては、望ましくはプロピレングリコー 、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレング リコールであり、特に望ましいものはジプロ ピレングリコールである。(D)成分の配合量は 、特に限定されるものではないが、組成物全 量に対して0.1~15質量%であることが好ましく さらに好ましくは1~5質量%である。(D)成分の 合量が前記範囲を逸脱すると、(C)シリコー 系界面活性剤からなるベシクルを形成でき い場合がある。

(E)水
 (E)水の配合量は、特に限定されるものでは いが、組成物全量に対して70~90質量%である とが好ましく、さらに好ましくは80~95質量% ある。(E)水の配合量が少ないと、ベシクル 形成できない場合があり、一方で、配合量 多すぎると、(A)香料及び(B)シリコーン油の 成物中の配合量が相対的に減少し、これら( A),(B)成分の配合効果が得られない場合がある 。

 本発明にかかるベシクル含有組成物は、 記(A)~(E)成分を含有しており、(C)シリコーン 系界面活性剤により形成されたベシクルの二 分子膜内に、(A)香料及び(B)シリコーン油が存 在しているものである。ここで、ベシクルは 、通常、界面活性剤分子の末端疎水基が近づ きあって、疎水基部分を内側、親水基部分を 外側に向けた二分子膜の連続構造によって球 状の小胞体を形成している。そして、本発明 にかかるベシクル含有組成物においては、図 1に示すように、(C)シリコーン系界面活性剤 らなる二分子膜の内部、すなわち(C)シリコ ン系界面活性剤の疎水基部分同士が向き合 た膜内部の空間に、(A)香料及び(B)シリコー 油が存在している。なお、(A)香料及び(B)シ コーン油は、必ずしもその全量がベシクル 分子膜内部に存在していなくてもよいが、 ましくは、組成物中に含まれる(A)香料及び(B )シリコーン油の95質量%以上が、ベシクル二 子膜内部に存在している。

(F)水溶性低分子界面活性剤
 本発明にかかるベシクル含有組成物におい は、さらに(F)水溶性低分子界面活性剤を配 することにより、(C)シリコーン系界面活性 からなるベシクルの安定性が改善される。
 本発明に用いられる(F)水溶性低分子界面活 剤は、前記(C)シリコーン系界面活性剤以外 ものであって、且つ水溶性を示し、さらに 分子量の界面活性剤であればよく、特に限 することなく用いることができる。ここで 低分子量とは、具体的には、分子量3000未満 であることを意味する。分子量が3000以上の 面活性剤を用いた場合には、十分なベシク 安定化効果が得られない。さらに、分子量20 00未満の界面活性剤であることが特に好適で る。(F)水溶性低分子界面活性剤としては、 体的には、例えば、ポリオキシエチレン(2 ル)ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテ スルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレ (2モル)ラウリルエーテル硫酸等のアニオン 界面活性剤、ポリオキシエチレン(24モル)・ ポリオキシプロピレン(13モル)2-デシルテトラ デシルエーテル、ポリオキシエチレン(60モル )硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30モル) クチルドデシルエーテル等の分岐鎖非イオ 性界面活性剤、ポリオキシエチレン(20モル) セチルエーテル、等の直鎖非イオン性界面活 性剤が挙げられる。また、これらのうち、ア ニオン性界面活性剤である場合、特に分子量 500未満のものを好適に用いることができる。 非イオン性界面活性剤である場合、特に分子 量2000未満のものを好適に用いることができ 。また、水溶性低分子界面活性剤としては 1種または2種以上を任意に選択して組み合わ せて用いてもよい。

 (F)水溶性低分子界面活性剤の配合量は、 成物全量に対して0.05~2.0質量%であることが ましく、さらに好ましくは0.1~0.3質量%であ 。(E)水溶性低分子界面活性剤の配合量が少 いとベシクルの安定化効果が十分に得られ い場合があり、一方で、配合量が多すぎる 、ベシクルを可溶化し始めてしまい、むし 悪影響を及ぼす場合がある。

 また、(F)水溶性低分子界面活性剤がアニ ン性界面活性剤である場合、(C)シリコーン 界面活性剤と(F)アニオン性界面活性剤との 合量比が、1:0.05~1:0.3であることが好ましい また、(F)水溶性低分子界面活性剤が分岐鎖 非イオン性界面活性剤である場合、(C)シリ ーン系界面活性剤と(F)分岐鎖非イオン性界 活性剤との配合量比が、1:0.05~1:1であること が好ましい。また、(F)水溶性低分子界面活性 剤が直鎖の非イオン性界面活性剤である場合 、(C)シリコーン系界面活性剤と(F)直鎖非イオ ン性界面活性剤との配合量比が、1:0.05~1:0.5で あることが好ましい。(C)シリコーン系界面活 性剤と(F)水溶性低分子界面活性剤との配合量 比が上記範囲を逸脱すると、ベシクルの安定 化効果が得られない場合がある。

(G)IOBが0.1~0.4の極性油
 本発明にかかるベシクル含有組成物におい は、さらに(G)IOBが0.1~0.4の極性油を配合する ことによって、より多量の(A)香料成分を安定 に配合することが可能となり、さらには組成 物の使用感触を向上させることができる。な お、(G)IOBが0.1~0.4の極性油は、前記(A)香料及 シリコーン油とともに、そのほぼ全量、好 しくは95質量%以上がベシクル二分子膜内部 存在している。

 本発明に用いられる(G)IOBが0.1~0.4の極性油 は、IOB値が前記範囲内の油性成分であれば、 特に限定されるものではなく用いることがで きる。なお、油性成分のIOB値については、そ の構造に基づいて公知の計算方法によって算 出することが可能である。(G)IOBが0.1~0.4の極 油としては、具体的には、例えば、トリ2-エ チルヘキサン酸クリセリル(IOB=0.35)、セチル ソオクタノエート(IOB=0.12)、テトラ2-エチル キサン酸ペンタエリスリット(IOB=0.35)、イソ ナン酸イソノニル(IOB=0.2)等が挙げられる。 お、(G)IOBが0.1~0.4の極性油としては、1種ま は2種以上を任意に選択して組み合わせて用 てもよい。

 (G)IOBが0.1~0.4の極性油の配合量は、組成物 全量に対して0.01~3質量%であることが好まし 。なお、本発明にかかるベシクル含有組成 において、(B)シリコーン油と(G)IOBが0.1~0.4の 性油との配合量比が、質量比で(B):(G)=7:3~3:7 あることが好ましい。

製造方法
 本発明にかかるベシクル含有組成物の製造 法は、(A)香料と、(B)シリコーン油とを含む 性成分を混合する油性成分混合工程と、前 工程により得られた油性成分混合物を、(C) リコーン系界面活性剤及び(D)エタノール、 ロピレングリコール、ジプロピレングリコ ル、1,3-ブチレングリコールより選ばれる1 または2種以上と混合し、さらに(E)水を含む 性処方とともに混合し、該(C)シリコーン系 面活性剤からなるベシクルを形成するベシ ル形成工程とを備えるものである。

 本発明にかかるベシクル含有組成物の製 方法においては、予め(A)香料と、(B)シリコ ン油とを含む油性成分の混合を行なう。(A) 料と(B)シリコーン油とを予め混合しておく とによって、該(A)香料がベシクル二分子膜 に取り込まれやすくなる。なお、この油性 分混合工程においては、(A),(B)成分の他に、 通常、化粧品、医薬品等に用いられる油性成 分をベシクル形成およびその安定性に影響の 無い範囲で含有していてもよい。

 また、前記油性成分混合工程において、( A),(B)成分とともに、さらに(G)IOBが0.1~0.4の極 油を添加混合することによって、より多量 (A)香料成分を安定に配合することが可能と り、さらには組成物の使用感触を向上させ ことができる。

 つづいて、前記工程によって得られた(A), (B)成分を含む油性成分混合物を、(C)シリコー ン系界面活性剤及び(D)エタノール、プロピレ ングリコール、ジプロピレングリコール、1,3 -ブチレングリコールより選ばれる1種または2 種以上と混合し、さらに(E)水を含む水性処方 とともに混合する。(C)シリコーン系界面活性 剤を(D)エタノール類とともに水性処方に混合 攪拌することによって、容易にベシクルが形 成される。ここで、(C),(D)成分は、油性成分 合物に対して、それぞれ個別に添加混合し も構わない。なお、水性処方とは、水及び/ は水性溶媒を主な媒体としてなる処方であ ば、特に限定されるものではなく、通常、 粧品、医薬品等に用いられる成分をベシク 形成およびその安定性に影響の無い範囲で 有していてもよい。

 以上のようにして、予め調製した(A)香料 (B)シリコーン油とを含む油性混合物を、(C) リコーン系界面活性剤及び(D)エタノール、 ロピレングリコール、ジプロピレングリコ ル、1,3-ブチレングリコールより選ばれる1 または2種以上と混合し、さらに(E)水を含む 性処方とともに混合することによって、該( A)香料及び(B)シリコーン油は、(C)シリコーン 界面活性剤からなるベシクルにより取り込 れ、該ベシクルの二分子膜内に存在するこ になる。なお、例えば、(A)香料と(B)シリコ ン油とを予め混合することなく、それぞれ 個別に、(C),(D)成分及び(E)水を含む水性処方 と混合した場合には、ほぼ(B)シリコーン油の みがベシクル二分子膜内に取り込まれ、多く の(A)香料は水相中に分離してしまうことにな る。あるいは、(A)香料をベシクル二分子膜内 に取り込むことができた場合であっても、経 時で分離が生じやすい。

 また、本発明にかかるベシクル含有組成 の製造方法においては、さらに(F)水溶性低 子界面活性剤を添加混合することによって (C)シリコーン系界面活性剤からなるベシク を安定化することができる。なお、(F)水溶 低分子界面活性剤は、ベシクル形成工程の に添加する必要がある。(F)水溶性低分子界 活性剤をベシクル形成工程の前に添加した 合、該(F)水溶性低分子界面活性剤によって( A)香料及び(B)シリコーン油が乳化されてしま ため、該(A),(B)成分をベシクル二分子膜内に 取り込むことはできない。さらには、(F)水溶 性低分子界面活性剤が、(C)シリコーン系界面 活性剤によるベシクルの形成に影響してしま い、ベシクルの安定性に悪影響を及ぼす場合 がある。

 本発明にかかるベシクル含有組成物は、 えば、化粧料として好適に用いることがで る。化粧料として用いる場合には、上記必 成分の他に、通常、医薬品、化粧品に用い れる成分を、ベシクル形成およびその安定 に影響が出ない範囲の配合量で配合するこ ができる。なお、他の処方成分は、油性成 混合物中、又はベシクル形成前あるい後の 性処方中に適宜配合してよい。また、例え 、任意の薬剤成分を水性処方中に配合して シクルを形成し、その後、外相を置換する とによって、内相中にのみ薬剤成分が存在 るマイクロカプセル組成物とすることも可 である。

 本発明にかかる化粧料の用途は特に限定 れないが、例えば、化粧水、ヘアリキッド として好適に使用することが可能である。

 以下に本発明の実施例を挙げて、本発明 ついてさらに詳しく説明を行うが、本発明 これらに限定されるものではない。なお、 下、特に断りの無い限り、配合量は質量%で 示す。

 先ず最初に、本発明者らは、シリコーン 界面活性剤からなるベシクル中への油性成 の取り込み量について検討するため、シリ ーン系界面活性剤としてポリオキシエチレ (12モル)ジメチルポリシロキサン(HLB=8)を用 てベシクルを形成し、このベシクル中への 料(リモネン:リナロール:ベンジルアセテー =1:1:1)及びデカメチルシクロペンタシロキサ の取り込み量について調べた。試験方法は 下のとおりである。結果を下記表1及び図2 示す。

〈試験方法〉
 シリコーン系界面活性剤(ポリオキシエチレ ン(12モル)ジメチルポリシロキサン(HLB=8))と、 油性成分(香料(リモネン:リナロール:ベンジ アセテート=1:1:1)又はデカメチルシクロペン シロキサン)とをエタノール中に添加混合し 、次いでシリコーン系界面活性剤の濃度が1.0 質量%になるまで水で希釈して、ベシクルを 成した。なお、油性成分の最終濃度が、そ ぞれ、0,0.1,0.2,0.3,0.4,及び0.5質量%となるよう 油性成分の添加量を変化させて、各種ベシ ル含有組成物を得た。得られたベシクル含 組成物について、Color-Eye7000A(Gretag
Machbeth社製)を用いて、透明度(L値)を測定した 。

 

 表1及び図1に示されるように、油性成分 して香料を用いた場合には、少量の配合で 明度が大きく低下しており、光学顕微鏡観 の結果、香料が約1μmの油滴として分離して ることが確認された。このことから、香料 ベシクル中にまったく取り込まれていない とがわかる。一方で、油性成分としてデカ チルシクロペンタシロキサンを用いた場合 は、シリコーン系界面活性剤1.0質量%に対し て0.4質量%程度まで透明度の低下が起こって らず、光学顕微鏡観察によっても油滴は確 されなかった。したがって、同配合量程度 でベシクル中に取り込むことが可能である 言える。

 また、本発明者らは、さらに異なる種類 各種油性成分を用いて、上記試験と同様に リコーン系界面活性剤ベシクル中への油性 分の最大取り込み量について調べた。なお 油性成分の最大取り込み量は、油性性分を 次増加していった場合に透明度が低下する 曲点である。結果を下記表2に示す。

 

 表2に示されるように、流動パラフィン、 エステル油等の各種炭化水素系油分を用いた 場合、これらの油分をベシクル中に取り込む ことはできなかった。これに対して、ジメチ ルシロキサン等の各種シリコーン油を用いた 場合には、シリコーン系界面活性剤1.0質量% 対して0.1~0.4質量%程度まで、ベシクル中に取 り込むことが可能であった。

 そして、上記試験結果に鑑み、本発明者 は、予め香料とシリコーン油とを混合して られた油性成分混合物を用い、シリコーン 界面活性剤からなるベシクル中への取り込 について検討を行なった。なお、香料とし は、上記試験と同様に、リモネン:リナロー ル:ベンジルアセテート=1:1:1混合物を用いた 試験に用いた各種組成と透明度の評価結果 を併せて下記表3に示す。また、透明度の測 条件は上記試験と同様である。

 

(製法) 香料と各種シリコーン油とを混合 、これをエタノール中に溶解したシリコー 系界面活性剤と混合した後、(シリコーン系 面活性剤が1.0質量%になるまで)イオン交換 を添加・混合してベシクルを形成した。

 表3に示されるように、香料とデカメチルシ クロペンタシロキサンとの混合物を用いた試 験例2のベシクル含有組成物では、油分を配 していない試験例1のベシクル含有組成物と 明度の差がまったく見られないことから、 料を含む油性成分混合物のほぼ全量がシリ ーン系界面活性剤からなるベシクル中に取 込まれていると言える。また、メチルフェ ルシロキサンを用いた試験例3においても、 試験例2同様に、香料を含む油性混合物がベ クル中に取り込まれていることがわかる。
 上記結果から、香料をシリコーン油と混合 た油性成分混合物として用いることによっ 、単独ではベシクル中に取り込むことので ない香料を、シリコーン系界面活性剤から るベシクル中に取り込むことが可能である とがわかった。

 つづいて、本発明者らは、香料とシリコー 油の好適な混合比について検討を行なうた 、香料/シリコーン油混合比を各種変化させ た混合物を用いて、上記試験と同様にしてベ シクル含有組成物を調製し、香料及びシリコ ーン油のそれぞれの取り込み量について調べ た。なお、上記試験と同様に、香料としては リモネン:リナロール:ベンジルアセテート=1:1 :1混合物、シリコーン油としてはデカメチル クロペンタシロキサン、シリコーン系界面 性剤としてはポリオキシエチレン(12モル)ジ メチルポリシロキサン(HLB=8)を用いた。シリ ーン系界面活性剤は最終濃度で1.0質量%とな ように調整し、Color-Eye7000A(Gretag
Machbeth社製)を用いて透明度(L値)を測定するこ とにより、油性成分の最大取り込み量を求め た。結果を下記表4及び図3に示す。

 

 表4及び図3に示されるように、シリコーン 中に徐々に香料を混合していった場合には 香料の添加量にしたがってベシクル中への 料の取り込み量も増大し、香料:シリコーン =20:80程度の混合比において、香料の取り込 量がほぼ最大となることがわかる。また、 料の添加量をさらに増やしていって、香料 シリコーン油とを半量ずつとした際には香 の取り込み量は最大値の約半分程度まで減 し、さらに全量が香料となったときにはゼ となる。
 図3の結果より、香料を効率的にベシクル中 に取り込むためには、香料とシリコーン油と の配合量比が、質量比で5:95~70:30程度である とが好ましく、さらに好ましくは10:90~30:70程 度であると考えられる。

 また、本発明者らは、以上のようにして 料を取り込んだベシクル含有組成物の安定 を図るため、水溶性低分子界面活性剤を添 したベシクル含有組成物の調製を試みた。 お、水溶性低分子界面活性剤としてはポリ キシエチレン(2モル)ラウリルエーテルカル ン酸ナトリウム、香料としては上記試験と 様に、リモネン:リナロール:ベンジルアセ ート=1:1:1混合物を用いた。なお、透明度の 定は、上記試験と同様にして、製造直後及 50℃,4週間経過後の2回行なった。試験に用い た各種組成と透明度の評価結果とを併せて下 記表5に示す。

 

(製法) 香料とシリコーン油とを混合し、 れをエタノールに溶解したシリコーン系界 活性剤と混合した後、イオン交換水を添加 混合してベシクルを形成した。さらに、そ 後、得られたベシクル含有組成物に水溶性 分子界面活性剤を添加・混合した。

 表5に示されるように、水溶性低分子界面 活性剤を配合していない試験例2のベシクル 有組成物では、50℃,4週間経過後に、やや透 度が低下しており、高温,経時でベシクル構 造の一部の崩壊が生じていることが示唆され る。これに対して、水溶性低分子界面活性剤 を0.01質量%添加配合した試験例4~6のベシクル 有組成物では、50℃,4週間の経過後にも透明 度の低下が生じておらず、高温,経時におい 、ベシクル構造が安定に保持されているこ がわかる。

 また、本発明者らは、(D)成分の違いによ 特性の変化について検討した。なお、水溶 低分子界面活性剤としてはポリオキシエチ ン(2モル)ラウリルエーテルカルボン酸ナト ウム、香料としては上記試験と同様に、リ ネン:リナロール:ベンジルアセテート=1:1:1 合物を用いた。透明度の測定は、上記試験 同様にして、製造直後及び50℃,4週間経過後 2回行なった。香料の匂い立ちの試験は専門 パネルにより行なった。評価基準は以下のと おりである。試験に用いた各種組成と匂い立 ち試験、透明度の評価結果とを併せて下記表 6に示す。

〈匂い立ちの評価方法〉
専門パネル5名により、顔に塗布したときの い立ちを評価した。
◎:5名が香料の匂い立ちが良好と評価
○:4名が香料の匂い立ちが良好と評価
△:3名が香料の匂い立ちが良好と評価
×:2名以下が香料の匂い立ちが良好と評価

 

 表6に示されるように、エタノールを4質 %配合した試験例7においては、透明度の点で は優れているものの、若干香料の匂い立ちが 阻害される傾向にあった。これに対して、ジ プロピレングリコールとエタノールとを2質 %ずつ配合した試験例8,ジプロピレングリコ ルを4質量%配合した試験例9においては、い れも香料の匂い立ちを阻害することなく、 れた透明度を有するベシクル含有組成物が られた。

 また、本発明者らは、以上のようにして られたベシクル含有組成物において、シリ ーン油の一部を極性油と置換し、上記試験 同様にして、香料を含むベシクルの安定化 果について検討した。さらに、得られたベ クル含有組成物について使用感触(なめらか さ)の評価を同時に行った。評価基準は以下 とおりである。試験に用いた各種組成と評 結果とを併せて下記表7に示す。

〈なめらかさの評価方法〉
専門パネル5名により、各試料を顔に塗布し ときのなめらかさ(使用感)を評価した。
◎:5名がなめらかさが良好と評価
○:4名がなめらかさが良好と評価
△:3名がなめらかさが良好と評価
×:2名以下がなめらかさが良好と評価

 

 表7に示されるように、試験例10においては 0.4質量%のシリコーン油に対して0.04質量%の 料が安定に配合されているものの、試験例1 1のように、さらにシリコーン油を0.5質量%に 量しても0.05質量%の香料を安定に配合する とはできなかった。
 これに対して、シリコーン油の一部をIOBが0 .12~0.35の極性油(トリ2-エチルヘキサン酸グリ リル、セチルイソオクタノエート)に置換す ることによって、試験例12,13及び15に示され ように、0.6質量%の油分に対して0.06質量%の 料まで安定に配合することが可能になった また、これに加えて、極性油の配合によっ 組成物のなめらかさが向上することも確認 れた。
 一方で、試験例16に示されるように、シリ ーン油の一部を非極性油分である流動パラ ィンに置換しても、香料を安定に配合する とはできなかった。

 以下に本発明のベシクル含有組成物の化 料としての処方例を挙げるが、本発明はこ らにより限定されるものではない。なお、 られた組成物はすべて、ベシクル形成能、 シクル安定性に優れているものであった。

 処方例1                         (質量%)  
(1)POE(12)ジメチルポリシロキサン(HLB=6)   0.5
(2)エタノール                        7
(3)グリセリン                        5
(4)ジプロピレングリコール                  2
(5)クエン酸                        0.1
(6)クエン酸ナトリウム                    0.4
(7)アスコルビン酸2-グルコシド              2
(8)水酸化カリウム                      1
(9)フェニルシロキサン                    0.1
(10)ベンジルアセテート                  0.02
(11)精製水                         残 量   
(製法) POE(12)ジメチルポリシロキサン(HLB=6)を エタノール/ジプロピレングリコール混合物 に溶解したものに、フェニルシロキサンと ンジルアセテートの混合物を溶解し、その の成分により構成される水相中に添加混合 て、化粧水とした。

 処方例2                         (質量%)  
(1)POE(12)ジメチルポリシロキサン(HLB=9)   5
(2)エタノール                        7
(3)1,3-ブチレングリコール               10
(4)リモネン                        0.1
(5)リナロール                        0.1
(6)デカメチルシクロペンタシロキサン            0.8
(7)EDTA3Na・2H 2 O                0.1
(8)フェノキシエタノール                  0.5
(9)精製水                         残 量   
(製法) POE(12)ジメチルポリシロキサン(HLB=6)を エタノール/1,3-ブチレングリコール混合物中 溶解したものに、デカメチルシクロペンタ ロキサンとリモネン、リナロールの混合物 溶解し、その他の成分により構成される水 に添加混合して、化粧水とした。

 処方例3                         (質量%)  
(1)POE(12)ジメチルポリシロキサン(HLB=9)   5
(2)ジプロピレングリコール                  7
(3)エチルビタミンC                    1
(4)リモネン                        0.1
(5)リナロール                        0.1
(6)デカメチルシクロペンタシロキサン            0.8
(7)EDTA3Na・2H 2 O                0.1
(8)フェノキシエタノール                  0.5
(9)POE(2モル)ラウリルエーテルカルボン酸カリ ウム   0.5
(10)精製水                         残 量   
(製法) POE(12)ジメチルポリシロキサン(HLB=6)を ジプロピレングリコールに溶解したものに、 デカメチルシクロペンタシロキサンとリモネ ン、リナロールの混合物を溶解し、POE(2モル) ラウリルエーテルカルボン酸カリウム以外の その他の成分により構成される水相に添加混 合した。その後、POE(2モル)ラウリルエーテル カルボン酸カリウムを添加し攪拌して化粧水 とした。

 上記処方例3により得られた化粧水のベシク ル粒子の電子顕微鏡写真図を図4に、ベシク 粒子の粒径測定結果を図5に示す。図4に示す ように、処方例3の化粧水中においてベシク 粒子が形成されていることが確認された。 た、図5に示すように、処方例3の化粧水中の ベシクル粒子平均粒径は約65nmであることが かった。