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Title:
VISIBLE-LIGHT-RESPONSIVE PHOTOCATALYST MATERIAL AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116516
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a photocatalyst material which does not use platinum and can be obtained at low cost. The photocatalyst material is responsive even to visible light. Also disclosed is a method for producing the photocatalyst material. Specifically disclosed is a photocatalyst material containing tungsten oxide and tungsten carbide. More specifically disclosed is a photocatalyst material which is obtained by bringing tungsten oxide into contact with tungsten carbide. Also specifically disclosed is a method for producing such a photocatalyst material.

Inventors:
HASHIMOTO KAZUHITO (JP)
IRIE HIROSHI (JP)
KIM YOUNG-HO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055129
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOKYO (JP)
HASHIMOTO KAZUHITO (JP)
IRIE HIROSHI (JP)
KIM YOUNG-HO (JP)
International Classes:
B01J35/02; B01J27/22; B01J37/04
Foreign References:
JP2003272660A2003-09-26
JP2004121371A2004-04-22
JP2005261997A2005-09-29
Attorney, Agent or Firm:
INAMI, MINORU (JP)
Inami Fruit (JP)
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Claims:
 タングステン酸化物及びタングステンカーバイドを有する光触媒材料。
 前記タングステン酸化物が前記タングステンカーバイドと接触してなる請求項1記載の材料。
 前記タングステン酸化物の表面の少なくとも一部分が前記タングステンカーバイドで覆われてなる請求項1又は2記載の材料。
 前記タングステンカーバイド表面の少なくとも一部分が前記タングステン酸化物で覆われてなる請求項1又は2記載の材料。
 前記タングステン酸化物がWO 3 である請求項1~4のいずれか1項記載の材料。
 タングステン酸化物及びタングステンカーバイドを有する光触媒材料の製造方法であって、
 タングステン酸化物を準備する工程;
 タングステンカーバイドが前記タングステン酸化物に接触するように、前記タングステンカーバイドを前記タングステン酸化物の表面に配置する工程;
を有して、前記光触媒材料を得る、上記方法。
 タングステン酸化物及びタングステンカーバイドを有する光触媒材料の製造方法であって、
 粒状タングステン酸化物を準備する工程;
 粒状タングステンカーバイドを準備する工程;及び
 前記粒状タングステン酸化物と前記粒状タングステンカーバイドとを混合する工程;
を有して、前記光触媒材料を得る、上記方法。
Description:
可視光活性を有する光触媒材料 びその製造方法

 本発明は、タングステン酸化物及びタン ステンカーバイドを有する光触媒材料、特 可視光で応答可能な、タングステン酸化物 びタングステンカーバイドを有する光触媒 料に関する。また、本発明は、該光触媒材 の製造方法に関する。

 光触媒は、例えば有機物やNOxなどの一部無 物の酸化・分解力が大きく、且つエネルギ 源として低コスト且つ環境負荷が非常に小 い光を利用できることから、近年、環境浄 、脱臭、防汚、殺菌などの応用が進められ 種々のものが開発・研究されている。
 このうち、可視光で応答可能な光触媒材料 要望されており、その研究・開発が進めら ている。
 例えば、特許文献1は、酸化チタンなどの光 触媒粒子表面に、白金換算で0.01~1重量%の量 ハロゲン化白金化合 物を担持させた可視光 応答型光触媒を開示する。
 また、非特許文献1は、白金担持酸化タング ステンを用いる可視光応答型光触媒を開示す る。

特開2004-73910。 大谷文章及び阿部竜、会報光触媒 第23 (2007年7月号)、58~63頁。

 しかしながら、特許文献1で開示される光触 媒材料は、白金が微量(白金換算で0.01~1重量%) ではあるとはいえ、白金を用いること自体で 材料が高価になる、という問題点があった。
 また、非特許文献1に開示される光触媒材料 は、可視光応答型光触媒であるが、特許文献 1と同様に、白金を用いているため、材料が 価になる、という特許文献1と同様の問題点 あった。

 そこで、本発明の目的は、上記問題点を解 すること、及び上記要望に応えることにあ 。
 具体的には、本発明の目的は、白金を用い に、低コストで得られる光触媒材料、特に 視光にも応答可能な光触媒材料、及びその 造方法を提供することにある。

 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意 討した結果、次の発明を見出した。
 <1> タングステン酸化物及びタングス ンカーバイドを有する光触媒材料。
 <2> 上記<1>において、タングステ 酸化物がタングステンカーバイドと接触し なるのがよい。

 <3> 上記<1>又は<2>において、 ングステン酸化物の表面の少なくとも一部 が前記タングステンカーバイドで覆われて るのがよい。
 <4> 上記<1>又は<2>において、 ングステンカーバイド表面の少なくとも一 分が前記タングステン酸化物で覆われてな のがよい。
 <5> 上記<1>~<4>のいずれかにお て、タングステン酸化物がWO 3 であるのがよい。

 <6> 上記<1>~<5>のいずれかにお て、光触媒材料が、粒子、薄膜、または薄 の形態であるのがよい。
 <7> 上記<1>~<6>のいずれかにお て、光触媒材料が、空気浄化作用、殺菌及 消毒処理作用、水浄化作用からなる群から ばれるいずれか1種に用いられるのがよい。
 <8> 上記<1>~<7>のいずれかにお て、光触媒材料が支持体の表面にコーティ グしてなるのがよい。支持体として、例え 、プラスチック、粒子、薄膜、シーツ、網 薄片、棒、及び纎維を挙げることができる これに限定されない。

 <9> タングステン酸化物及びタングス ンカーバイドを有する光触媒材料の製造方 であって、
 タングステン酸化物を準備する工程;
 タングステンカーバイドが前記タングステ 酸化物に接触するように、前記タングステ カーバイドを前記タングステン酸化物の表 に配置する工程;
を有して、前記光触媒材料を得る、上記方法 。

 <10> タングステン酸化物及びタングス ンカーバイドを有する光触媒材料の製造方 であって、
 粒状タングステン酸化物を準備する工程;
 粒状タングステンカーバイドを準備する工 ;及び
 前記粒状タングステン酸化物と前記粒状タ グステンカーバイドとを混合する工程;
を有して、前記光触媒材料を得る、上記方法 。

 <11> 上記<10>において、タングステ ン酸化物がタングステンカーバイドと接触し てなるのがよい。
 <12> 上記<9>~<11>のいずれかに いて、タングステン酸化物の表面の少なく も一部分が前記タングステンカーバイドで われてなるのがよい。
 <13> 上記<9>~<11>のいずれかに いて、タングステンカーバイド表面の少な とも一部分が前記タングステン酸化物で覆 れてなるのがよい。

 <14> 上記<9>~<13>のいずれかに いて、タングステン酸化物がWO 3 であるのがよい。
 <15> 上記<9>~<14>のいずれかに いて、光触媒材料が、粒子、薄膜、または 片の形態であるのがよい。
 <16> 上記<9>~<15>のいずれかに いて、光触媒材料が、空気浄化作用、殺菌 び消毒処理作用、水浄化作用からなる群か 選ばれるいずれか1種に用いられるのがよい
 <17> 上記<9>~<16>のいずれかに いて、光触媒材料が支持体の表面にコーテ ングしてなるのがよい。支持体として、例 ば、プラスチック、粒子、薄膜、シーツ、 、薄片、棒、及び纎維を挙げることができ がこれに限定されない。

 本発明により、白金を用いずに、低コス で得られる光触媒材料、特に可視光にも応 可能な光触媒材料、及びその製造方法を提 することができる。

 以下、本発明を詳細に説明する。
<光触媒に関して>
 本発明の説明に先立ち、光触媒について、 単に述べる。
 光触媒は、そのバンドギャップより大きい ネルギーを持つ光で照射されれば、電子が 電子バンドから伝導バンドへ励起され、正 は価電子バンドに残る。そして、価電子バ ド内に光生成された正孔は様々な有機汚染 の酸化に寄与し、最終生成物として二酸化 素を出す。この正孔による有機物の分解を 進させるためには伝導バンド内に光生成さ た電子の円滑な消費が同時に成り立たなけ ばならない。

 光生成された電子は、主に酸素還元反応( ORR)で消費すると考えられ、このORRは、酸素 子の強い二重結合のため非常に遅い反応で る。したがって、ORRを促進させれば光触媒 活性が向上することができると考えられる

 光触媒において、ORRは一般に、次のような 電子反応によって消費すると考えられる。
 O 2 +H + +e - =HO 2  E 0 =-0.046V(vs.NHE,at pH=0)。

 したがって、伝導バンドのエネルギー準 が酸素の一電子還元反応の標準還元電位よ 低いタングステン酸化物、酸化亜鉛などの 属酸化物半導体はORRが効果的に成り立たな ため光触媒活性が低いと考えられる。一方 伝導バンドのエネルギー準位が酸素の一電 還元反応の標準還元電位より若干高い二酸 チタンは光触媒として最適の物質として知 れている。

 一方、酸素の多電子還元反応の標準還元 位は、次に示すように、酸素の一電子還元 応の標準還元電位より低いエネルギー準位 有する。

O 2 +2H + +2e - =H 2 O 2  E 0 =0.695V(vs.NHE,at pH=0)。
又は
O 2 +4H + +4e - =2H 2 O E 0 =1.229V(vs.NHE,at pH=0)。

 したがって、酸素の多電子還元反応を活 化させることができたら、伝導バンドのエ ルギー準位が一電子還元反応の標準還元電 より低い金属酸化物半導体も光触媒として 用することができるようになる、と考えら る。

 本発明者らは、これらの知見を基に、可視 吸収に適当なバンドギャップ、適当な伝導 ンドのエネルギー準位、そして無毒性と安 性を有するタングステン酸化物を金属酸化 半導体として選択した。
 また、本発明者らは、ORR触媒として、触媒 毒に対する抵抗性、及び高いORR触媒活性を するタングステンカーバイドを選択した。
 即ち、本発明は、タングステン酸化物及び ングステンカーバイドを有する光触媒材料 提供する。

 特に、本発明の材料において、タングステ 酸化物がタングステンカーバイドと接触し なるのがよい。
 また、タングステン酸化物上でのなされる 触媒反応と、タングステンカーバイド上で されるORR反応とは、共に、表面反応である め、両物質が同時に表面に露出されるのが い。
 したがって、本発明の光触媒材料において 高い光触媒活性を示すためには、該材料の 面に、タングステン酸化物及びタングステ カーバイドが存在するのがよい。

 例えば、本発明の光触媒材料は、タングス ン酸化物の表面の少なくとも一部分がタン ステンカーバイドで覆われてなるのがよい または、タングステンカーバイド表面の少 くとも一部分がタングステン酸化物で覆わ てなるのがよい。
 また、本発明の材料において、タングステ 酸化物がWO 3 であるのがよい。

 本発明の光触媒材料は、光触媒作用を示す であれば、いかなる形態であってもよく、 えば、粒子、薄膜、または薄片の形態であ のがよい。
 また、本発明の光触媒材料は、光触媒作用 示すのであれば、いかなる効果を伴うもの もよく、例えば、空気浄化作用、殺菌及び 毒処理作用、水浄化作用からなる群から選 れるいずれか1種の効果を奏するように用い られるのがよい。
 さらに、本発明の光触媒材料は、どのよう 用いても良いが、例えば光触媒材料を支持 の表面にコーティングされてなるのがよい 支持体として、例えば、プラスチック、粒 、薄膜、シーツ、網、薄片、棒、及び纎維 挙げることができるがこれに限定されない

 本発明の光触媒材料は、より効率の良い 触媒作用を奏するために、二酸化チタンな の他の光触媒物質を有してもよい。また、 の他バインダーなどを有してもよい。

 本発明の光触媒材料は、例えば、次のよう 調製することができる。
 即ち、タングステン酸化物を準備する工程;
 タングステンカーバイドが前記タングステ 酸化物に接触するように、前記タングステ カーバイドを前記タングステン酸化物の表 に配置する工程;
を有して、前記光触媒材料を得る、上記方法 。

 製法の第1の工程は、タングステン酸化物を 準備する工程である。タングステン酸化物は 、その後の応用を考慮すると、粒状物である のが好ましい。
 製法の第2の工程は、タングステンカーバイ ドがタングステン酸化物に接触するように、 タングステンカーバイドをタングステン酸化 物の表面に配置する工程である。
 この工程は、例えば、タングステン酸化物 粒状物と、タングステンカーバイドの粒状 とをボールミル等の従来公知の物理的な混 法により混合することにより行うことがで る。
 また、タングステン酸化物の表面の一部を 元・炭化してタングステンカーバイドとす ことにより行うこともできる。

 本発明の光触媒材料は、具体的には、次の うな方法により得ることができる。
 即ち、粒状タングステン酸化物を準備する 程;
 粒状タングステンカーバイドを準備する工 ;及び
 粒状タングステン酸化物と粒状タングステ カーバイドとを混合する工程;
を有することにより、得ることができる。
 なお、粒状物の粒径は、タングステン酸化 及びタングステンカーバイドの双方が均一 分散できる程度の粒径であるのがよい。ま 、タングステン酸化物の粒径がタングステ カーバイドよりも大きいのが好ましい。さ に、光触媒活性を高めるため、粒状物の表 積が大きいことが好ましい。タングステン 化物は、例えば粒径10~500nmであり、タング テンカーバイドは、例えば粒径10~500nmである のがよい。

 なお、上述の方法とは全く異なる手法によ ても、本発明の光触媒材料を得ることもで る。
 例えば、タングステンカーバイドを準備す 工程;
 タングステン酸化物がタングステンカーバ ドに接触するように、タングステン酸化物 タングステンカーバイドの表面に配置する 程;
を有することにより、本発明の光触媒材料を 得ることもできる。
 なお、タングステン酸化物がタングステン ーバイドに接触するように、タングステン 化物をタングステンカーバイドの表面に配 する工程として、タングステンカーバイド 表面の一部を酸化して、酸化タングステン することを挙げることができる。

 本発明の光触媒材料は、紫外光のみならず 可視光にも応答可能な光触媒能を有する。
 したがって、本発明の光触媒材料は、種々 汚染物質を分解する用途として用いること できる。
 なお、汚染物質として、特に限定されず、 々の汚染物質を挙げることができる。
 種々の汚染物質として、例えば、土壌の汚 物質;ゴミ処理場における汚染水及び/又は 汚染水による土壌の汚染物質;鉄鉱石採掘場 どのいわゆるヤード近隣の汚染水及び/又は 該汚染水による土壌の汚染物質;及び自然発 的に存在する汚染物質等を挙げることがで るが、これらに限定されない。

 具体的には、有機リン、シアン系化合物 PCB、ジクロロメタン、4塩化炭素、1,2-ジク ロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2- クロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1, 1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペ 、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、 ンゼン、トルエン、ダイオキシン又はトリ ロロフェノールのような揮発性有機化合物 NOx、SOxなど、臭素酸イオン、次亜塩素酸イ ン、次亜臭素酸イオン、トリハロメタンな 水中に存在するハロゲン化合物やカビ臭の 因物質である2-メチルイソボルネオールや ェオスミンなど、一般に土壌汚染物質、大 汚染物質と呼ばれるものを全て挙げること できる。また、上記以外の有機物質も、本 明の方法の対象となる汚染物質に該当する

 上記のうち、有機物質、並びにNOx及びSOxな 、光触媒材料によって分解可能な物質は、 に本発明の分解される汚染物質として好ま い。
 さらに、本発明の方法の対象となる汚染物 としては、有機物を挙げることができる。 えば、シックハウス症候群の原因となるホ ムアルデヒドやトルエンなど揮発性有機化 物(VOC)を挙げることができる。また、1,1,1- リクロロエタン、トリクロロエチレン、テ ラクロロエチレン、クロロホルム、四塩化 素、及び二塩化エタンなどの常圧沸点が約60 ~120℃の揮発性塩素化炭化水素系物質なども げることができるが、これらに限定される のではない。

 以下、実施例に基づいて、本発明をさら 詳細に説明するが、本発明は本実施例に限 されるものではない。

<WC/WO 3 (0.6%)の調製>
 桐山社製穴サイズ1μmフィルターを利用して 直径1μm以下の薄い薄緑色のタングステン酸 物粉末を用意した。黒色のタングステンカ バイドをジルコニアビーズとともに3回ボー ミル後(500rpm、15分間)、ミリポア社製穴サイ ズ0.025μmフィルターを利用して濾過した。得 れたWO 3 粉末とWC(WO 3 100wt%に対して0.6wt%)を乳鉢で約1時間、よく混 し、試料粉末WC/WO 3 (0.6%)を得た。得られた試料粉末は薄い灰色だ った。

<粒径評価>
 実施例1で得られたタングステン酸化物粉末 及びタングステンカーバイド粉末それぞれの 粒径を日立社製走査型電子顕微鏡(SEM)を利用 て評価した。その結果、タングステン酸化 は粒径50~100nmの粒子が約200nmのクラスタを形 成しており、タングステンカーバイドは粒径 約50nmの粒子が約300~500nmのクラスタを形成し いることを観察した。

<WC/WO 3 (0.6%)のキャラクタライゼ-ション>
 可視光紫外線拡散反射分光器及びX線回折分 析(XRD)を利用して、上述の<WC/WO 3 (0.6%)の調製>で調製したWC/WO 3 (0.6%)試料のキャラクタライゼーションを行っ た。

<<透過度>>
 WC/WO 3 (0.6%)試料の透過度を、島津社製可視光 紫外 拡散反射分光器を用いて測定した。その結 を図1に示す。また、図1には、WC/WO 3 (0.6%)試料の他に、混合前のWO 3 のみの粉末の結果も示す。○は混合前のWO 3 のみの粉末についての結果、●はWC/WO 3 (0.6%)試料についての結果を示す。
 WC/WO 3 (0.6%)試料が光触媒として吸収する光の波長は 、WO 3 のみの粉末と同様に、460nm以下であることが かった。また、WC/WO 3 (0.6%)試料で光触媒反応に必要な光吸収を担当 するタングステン酸化物のバンドギャップは 、2.6eVであることがわかった。
 WO 3 のみの粉末の光吸収結果とWC/WO 3 (0.6%)試料の光吸収結果とを比較すると、WC/WO 3 (0.6%)試料の長波長帯の透過度の減少、即ち可 視光の吸収の増加が観察される。これは、タ ングステンカーバイドの伝導バンドがタング ステンカーバイドの価電子バンドとつながっ ており、可視光を吸収し黒色を示すためであ る。実際、WC/WO 3 (0.6%)試料は薄い灰色であることが観察された 。

<<X線回折分析(XRD)>>
 WC/WO 3 (0.6%)試料のX線回折分析(XRD)を、フィリップス 製X-ray generator(PW 1729) とdiffractometer control(PW  1710)を用いて行った。その結果を図2に示す
 タングステンカーバイドは、2θ値31.474(001) 35.626(100)及び48.266(101)に、3つの強いXRDピーク を有する。なお、35.626及び48.266のピーク位置 は、タングステン酸化物(121)及び(040)のピー 位置と重なるため、WC/WO 3 中のタングステンカーバイドの存在を確かめ るために、31.474のピークを測定した。図2に すように、WC/WO 3 (0.6%)試料は、2θ値31.474にタングステンカーバ イドに由来するピークが確認できた。

<光触媒活性の評価>
 上述の<WC/WO 3 (0.6%)の調製>で調製したWC/WO 3 (0.6%)試料を用いて、光触媒活性を評価した。
 WC/WO 3 (0.6%)試料0.3gを直径26.5mmのシャーレに平坦に げた後、このシャーレを500mLガラス容器に入 れた。ガラス容器内の二酸化炭素を除去する ため、アルバック社製ポータブルアスピレー ターを用いて30分間真空引きした後、容器内 へ合成空気を取り入れた。その後、試料表 の有機物を除去するため、容器内の二酸化 素濃度変化が2ppm/日以下になるまで紫外線 照射する前照射工程を約350時間行った。前 射工程後、容器内部を真空引きしてから新 な合成空気を取り入れた。

 光触媒活性評価は、可視光線下のイソプロ ルアルコール(IPA)の分解過程を利用して行 た。容器内へ導入される初期IPA濃度が300ppm なるよう調整した。導入されたIPAが十分に 料表面に吸着され、容器内部のIPA濃度が一 になるまで容器を暗所に置いた。
 容器内部のIPA、アセトン及び二酸化炭素の 度変化を測定するため、二台の島津社製ガ クロマトグラフを使用した。また、可視光 射(400~530nm)として、林社製キセノンランプ 東芝硝子のカットオフフィルター(L-42、B-47 及びC-40C)を使用した。
 可視光照射として照射面積が約5.5cm 2 、可視光強度が0.67mW/cm 2 (光子数5.0×10 14 quanta/cm 2 ・secに該当)になるよう調整した。

 WC/WO 3 (0.6%)試料の可視光応答性光触媒活性を、図3 示す。図3中、横軸は時間、縦軸は各期待の 度(ppm)を示す。なお、図3中、横軸の時間0は 、IPAガス導入時であり、点線で表示した72時 に可視光照射を始めたことを示す。さらに 図3中、●はIPA濃度、▲はアセトン濃度、■ は二酸化炭素濃度を示す。
 図3から、可視光照射下の二酸化炭素の濃度 増加の勾配から得た量子効率は3.20%であるこ がわかる。

<WC/WO 3 (0.3%)の調製>
 実施例1において、WCの量をWO 3 100wt%に対して0.3wt%とした以外、実施例1と同 の方法により、試料粉末WC/WO 3 (0.3%)を得た。得られた試料粉末は薄い灰色だ った。

<WC/WO 3 (0.3%)の光触媒活性の評価>
 実施例1と同様に、WC/WO 3 (0.3%)試料の可視光応答性光触媒活性を評価し た。その結果を図4に示す。図3と同様に、● IPA濃度、▲はアセトン濃度、■は二酸化炭 濃度を示す。
 図4から、可視光照射下の二酸化炭素の濃度 増加の勾配から得た量子効率は3.72%であるこ がわかる。

<WC/WO 3 (0.9%)の調製>
 実施例1において、WCの量をWO 3 100wt%に対して0.9wt%とした以外、実施例1と同 の方法により、試料粉末WC/WO 3 (0.9%)を得た。得られた試料粉末は薄い灰色だ った。

<WC/WO 3 (0.9%)の光触媒活性の評価>
 実施例1と同様に、WC/WO 3 (0.9%)試料の可視光応答性光触媒活性を評価し た。その結果を図5に示す。図3と同様に、● IPA濃度、▲はアセトン濃度、■は二酸化炭 濃度を示す。
 図5から、可視光照射下の二酸化炭素の濃度 増加の勾配から得た量子効率は2.93%であるこ がわかる。

本発明のWC/WO 3 (0.6%)試料、及びWO 3 のみの透過度を示すグラフである。 本発明のWC/WO 3 (0.6%)試料のXRD結果を示すグラフである。 本発明のWC/WO 3 (0.6%)試料の可視光応答性光触媒活性を示すグ ラフである。 本発明のWC/WO 3 (0.3%)試料の可視光応答性光触媒活性を示すグ ラフである。 本発明のWC/WO 3 (0.9%)試料の可視光応答性光触媒活性を示すグ ラフである。