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Patent Searching and Data


Title:
SUPERCONDUCTING COMPOUND AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104611
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a superconducting compound which has a structure obtained by partially substituting oxygen ions of a compound, which is represented by the following chemical formula: LnTMOPh (wherein Ln represents at least one element selected from Y and rare earth metal elements (La, Ce, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb and Lu); TM represents at least one element selected from transition metal elements (Fe, Ru, Os, Ni, Pd and Pt); and Pn represents at least one element selected from pnictide elements (N, P, As and Sb) and has a ZrCuSiAs-type crystal structure (space group P4/nmm), with at least one kind of monovalent anion (F-, Cl- or Br-). The superconducting compound alternatively has a structure obtained by partially substituting Ln ions of the compound with at least one kind of tetravalent metal ion (Ti4+, Zr4+, Hf4+, C4+, Si4+, Ge4+, Sn4+ or Pb4+) or a structure obtained by partially substituting Ln ions of the compound with at least one kind of divalent metal ion (Mg2+, Ca2+, Sr2+ or Ba2+). The Tc of the superconducting compound is controlled in accordance with the substitution amount of the compound.

Inventors:
HOSONO HIDEO (JP)
KAMIHARA YOICHI (JP)
HIRANO MASAHIRO (JP)
KAMIYA TOSHIO (JP)
YANAGI HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052714
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN SCIENCE & TECH AGENCY (JP)
HOSONO HIDEO (JP)
KAMIHARA YOICHI (JP)
HIRANO MASAHIRO (JP)
KAMIYA TOSHIO (JP)
YANAGI HIROSHI (JP)
International Classes:
C01G1/00; C01B25/00; C01G49/00; C01G53/00
Foreign References:
JP2007320829A2007-12-13
Other References:
KAMIHARA, Y. ET AL.: "Iron-Based Layered Superconductor: LaOFeP", JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 128, no. 31, 9 August 2006 (2006-08-09), pages 10012 - 10013
"Abstracts of the Meeting of the Physical Society of Japan, 21 August, 2007 (21.08.07)", vol. 62, article YOICHI KAMIHARA ET AL.: "Fe-kei Sojo Chodendotai LaOFeP no Denki Dendo Tokusei to Jisei", pages: 609
"Dai 49 Kai Program and Abstracts, High Pressure Conference of Japan, Koatsuryoku no Kagaku to Gijutsu, 01 November, 2008 (01.11.08)", vol. 18, article HIRONARI OKADA ET AL.: "Oxypnictide Kagobutsu LaFe (O1-XFX) to SmFeAsO no Atsuryoku Koka", pages: 166
D.JOHRENDT ET AL.: "Pnictide Oxides: A New Class of High-Tc Superconductors", ANGEWANDTE CHEMIE INTERNATIONAL EDITION, vol. 47, no. 26, 16 June 2008 (2008-06-16), pages 4782 - 4784
WATANABE, T. ET AL.: "Nickel-Based Oxyphosphide Superconductor with a Layered Crystal Structure, LaNiOP", INORGANIC CHEMISTRY, vol. 46, no. 19, 17 September 2007 (2007-09-17), pages 7719 - 7721
Attorney, Agent or Firm:
NISHI, Yoshiyuki (Suite 704 17-1, Sugita 1-chome,Isogo-ku, Yokohama-sh, Kanagawa 33, JP)
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Claims:
化学式LnTMOPh[ここで、Lnは、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の少なくとも一種である。]で示され、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有する化合物の酸素イオンを一価の陰イオン(F - ,Cl - ,Br - )の少なくとも一種で一部置換した構造を有し、超伝導転移を示すことを特徴とする超伝導化合物。
化学式LnTMOPh[ここで、Lnは、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の少なくとも一種である。]で示され、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有する化合物のLnイオンを四価の金属イオン(Ti 4+ ,Zr 4+ ,Hf 4+ ,C 4+ ,Si 4+ ,Ge 4+ ,Sn 4+ ,Pb 4+ )の少なくとも一種で一部置換した構造を有し、超伝導転移を示すことを特徴とする超伝導化合物。
化学式LnTMOPh[ここで、Lnは、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の少なくとも一種である。]で示され、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有する化合物のLnイオンを二価の金属イオン(Mg 2+ ,Ca 2+ ,Sr 2+ ,Ba 2+ )の少なくとも一種で一部置換した構造を有し、超伝導転移を示すことを特徴とする超伝導化合物。
LnがLa,Y,Luの少なくも一種であり、TMがNi又はFeであり、PhがP,As,Sbの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の超伝導化合物。
LnがSmであり、TMがNi又はFeであり、PhがP又はAsであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の超伝導化合物。
化学式LnTMOPhで示される化合物がLaFeOAsであり、一価の陰イオンがF - (弗素イオン)であり、酸素イオンを4原子%以上20原子%以下の該F - で置換したことを特徴とする請求項1記載の超伝導化合物。
化学式LnTMOPh[ここで、Lnは、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の少なくとも一種である。]で示される化合物の酸素イオンを一価の陰イオン(F - ,Cl - ,Br - )の少なくとも一種で一部置換することによって、該置換量に応じて超伝導転移温度が制御された超伝導化合物を形成すること特徴とする請求項1記載の超伝導化合物の製造方法。
化学式LnTMOPh[ここで、Lnは、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の少なくとも一種である。]で示される化合物のLnイオンを四価の金属イオン(Ti 4+ ,Zr 4+ ,Hf 4+ ,C 4+ ,Si 4+ ,Ge 4+ ,Sn 4+ ,Pb 4+ )の少なくとも一種で一部置換することによって、該置換量に応じて超伝導転移温度が制御された超伝導化合物を形成すること特徴とする請求項2記載の超伝導化合物の製造方法。
化学式LnTMOPh[ここで、Lnは、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の少なくとも一種である。]で示される化合物のLnイオンを二価の金属イオン(Mg 2+ ,Ca 2+ ,Sr 2+ ,Ba 2+ )の少なくとも一種で一部置換することによって、該置換量に応じて超伝導転移温度が制御された超伝導化合物を形成すること特徴とする請求項3記載の超伝導化合物の製造方法。
Description:
超伝導化合物及びその製造方法

本発明は、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)を 格構造に有する層状超伝導化合物及びその 造方法に関する。

1911年に水銀において超伝導現象が見出さ て以来、数多くの化合物において超伝導が 出され、超伝導磁石及び磁気センサ(SQUID)な として実用化されている。また、高温超電 体(ペロブスカイト型銅酸化物)が発見され 以来、室温超伝導体を目指した材料の研究 発が活発に行われ、超伝導転移温度(Tc)が100K を超える超伝導化合物が見出された。

ペロブスカイト型銅酸化物の超伝導発現機構 についても理解が進んでいる(例えば、非特 文献1、2)。また、銅以外の遷移金属イオン 含む化合物、又は新規化合物として、Sr 2 RuO 4 (Tc=0.93K)(非特許文献3)、二ホウ化マグネシウ (Tc=39K)(非特許文献4、特許文献1)、Na 0.3 CoO 2 ・1.3H 2 O(Tc=5K)(非特許文献5、特許文献2,3)などが新た 見出された。

伝導帯バンド幅に比べて、伝導電子間の相 互作用が大きな強相関電子系化合物は、d電 の数が特定の値の場合に、高いTcを有する超 伝導体となる可能性が高いことが知られてい る。強相関電子系は、遷移金属イオンを骨格 構造に有する層状化合物で実現されている。 こうした層状化合物の多くは、電気伝導性は モット絶縁体で、電子のスピン同士には、反 平行に配列しようとする、反強磁性相互作用 が作用している。

しかし、例えば、ペロブスカイト型銅酸化物 であるLa 2 CuO 4 では、La 3+ サイトにSr 2+ を添加しLaの一部をSrで置換したLa 2-x Sr x CuO 4 において、xの値が0.05から0.28の範囲では、金 属伝導を示す遍歴電子状態となり、低温で超 伝導体状態が観測され、x=0.15で最高のTc=40Kが 得られている(非特許文献6)。

最近、本発明者らは、Feを主成分とする新し 強電子相関化合物、LaOFeP及びLaOFeAsが超電導 体であることを見出し、特許出願した(特許 献4、非特許文献7)。すなわち、強電子相関 では、d電子の数が特定の値のとき、金属伝 を示す遍歴電子状態となり、温度を低温に ると、ある特定温度(超伝導転移温度)以下 、超伝導状態へ転移する。さらに、この超 導体のTcは伝導キャリアの数によって5Kから4 0Kまで変化する。また、Hg、Ge 3 Nbなどの旧来の超電導体が、結晶格子の熱揺 ぎ(格子振動)に基づく電子対(クーパー対)が 、超伝導発生機構(BCS機構)とされているのに して、強電子相関系での超伝導は、電子ス ンの熱揺らぎに基づく電子対が、超伝導発 機構とされている。その後、LaONiPについて 超伝導体であることが見出された(非特許文 献8~10)。

こうした超伝導化合物での電子対では、それ ぞれの電子のスピンが反平行に配置したスピ ン一重項となっているが、最近、Sr 2 RuO 4 (Tc=0.93K)(非特許文献3)などで、電子対中の電 のスピンが平行に配置したスピン3重項電子 による超伝導が見出された。こうした電子 は、電子のスピン間相互作用が強磁性的(ス ピンを平行に整列させようとする相互作用) あるためと考えられている。該超伝導体で 、超伝導状態が磁場によって壊される臨界 場が大きいと考えられ、該超伝導体は、強 場中で用いる(例えば、タンデム的に磁場を 生させる場合の内側コイル)場合に優位であ る。

津田惟雄、那須奎一郎、藤森敦、白鳥紀 一、 改訂版「電気伝導性酸化物」,pp.350~452, 華房,(1993) 前川禎通,応用物理,Vol.75,No.1,pp.17-25,(2006) Y.Maeno, H.Hashimoto, K.Yoshida, S.Nishizaki,T.Fuji ta, J.G.Bednorz, F.Lichtenberg,Nature,372,pp.532-534(1994) J. Nagamatsu, N. Nakagawa, T. Muranaka,Y.Zenitani , and J.Akimitsu,Nature,410,pp.63-64,(2001) K.Takada, H.Sakurai, E.Takayama-Muromachi,F.Izumi,  R.A.Dilanian, T.Sasaki,Nature,422,pp.53-55,(2003) J.B.Torrance et al.,Phys.Rev.,B40,pp.8872-8877,(1989 ) Y.Kamihara et al.,J.AM.CHEM.SOC.,(Published on Web  07/15/2006),128,10012-10013(2006) T.Watanabe et al.,Inorganic Chemistry,46(19)(2007)7 719-7721(Published on Web 17/August/2007) T.Watanabe et al.,Extended Abstracts(The 68thAutum n Meeting,2007);The Japan Society of Applied Physics,N o.1,P.275,4p-ZE-2(2007) M.tegel et al.,Solid State Science, 10(2008)193-1 97(Published on Web 2/September/2007)

特開2002-211916号公報

特開2004-262675号公報

特開2005-350331号公報

特開2007-320829号公報

超伝導技術の応用を飛躍的に広げるために 、室温超伝導体の発見が強く望まれている。 層状ペロブスカイト型銅酸化物において、Tc 100Kを超える高温超電導体が見出されている が、まだ、室温超伝導体は見出されていない 。室温超伝導体を開発するための一つの方策 は、ペロブスカイト型銅酸化物に代わる遷移 金属元素を骨格構造に有する新しい層状化合 物群を見出し、電子濃度、格子定数などの物 質パラメータを、Tcの高温化を図るために、 適化し、それを実現する化合物組成を発見 ることである。

本発明者らは、LnTMOPn化合物群 「Lnは、Y及 び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm ,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、遷移金 属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種であ 、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の少なく も一種である。」において、Ln(Y及び希土類 金属元素)、TM(遷移金属元素)、Pn(プニクタイ 元素)イオンの種類を変化させ、新しい超伝 導体を見出し、さらに、超伝導体に、不純物 添加などにより、電子又はホールをドープす ることによって、あるいは、LnTMOPn結晶体の 子定数を変化させることによって、Tcを制御 し得ることを見出し、Tcが最高温度になるよ に、LnTMOPn化合物組成を決定した。

また、超伝導発生機構には、遷移金属のd 子間の相互作用が主要な役割を果たしてい ために、該相互作用を制御することも必要 ある。そのための一つの方策は、遷移金属 素に最適のプニクタイドイオンを見出すこ である。例えば、砒素(As)イオン、燐(P)イオ は、p電子のエネルギー準位がFe3d電子のそ に近いため、p-d軌道混成が大きくなり、キ リア・電子間相互作用が大きくなる。また 層状化合物の層間相互作用を減少させ、電 の層内閉じ込め効果を大きくすることが有 である。閉じ込められた電子は、2次元性を し、磁気整列の阻害となるため、超伝導が 現しやすくなる。

こうした材料探索方針に基づき、本発明者 らが、新たに見出した遷移金属イオンを骨格 構造に有する層状構造化合物LnTMOPnを精力的 研究した結果、本発明者らは、新たな超伝 化合物を実現することに加えて、LnTMOPnの酸 イオンを電荷の異なるイオンで適量だけ置 し、その置換濃度を最適化することにより Tcが25K以上の超伝導化合物を見出した。ま 、LnTMOPhで示される超伝導化合物のLnイオン 四価の金属イオン又は二価の金属イオンの なくとも一種で適量だけ置換することによ Tcを高めることができることを見出した。

すなわち、本発明は、(1)化学式LnTMOPh[ここで Lnは、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd, Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TM 、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも 一種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb )の少なくとも一種である。]で示され、ZrCuSiA s型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有する化合物の 酸素イオンを一価の陰イオン(F - ,Cl - ,Br - )の少なくとも一種で一部置換した構造を有 、超伝導転移を示すことを特徴とする超伝 化合物、である。

また、本発明は、(2)化学式LnTMOPh[ここで、Ln 、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy, Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、 移金属元素(Fe,Ru,Os、Ni,Pd,Pt)の少なくとも一 であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の 少なくとも一種である。]で示され、ZrCuSiAs型 (空間群P4/nmm)の結晶構造を有する化合物のLn オンを四価の金属イオン(Ti 4+ ,Zr 4+ ,Hf 4+ ,C 4+ ,Si 4+ ,Ge 4+ ,Sn 4+ ,Pb 4+ )の少なくとも一種で一部置換した構造を有 、超伝導転移を示すことを特徴とする超伝 化合物、である。

また、本発明は、(3)化学式LnTMOPh[ここで、Ln 、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy, Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、 移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種 であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の なくとも一種である。]で示され、ZrCuSiAs型( 間群P4/nmm)の結晶構造を有する化合物のLnイ ンを二価の金属イオン(Mg 2+ ,Ca 2+ ,Sr 2+ ,Ba 2+ )の少なくとも一種で一部置換した構造を有 、超伝導転移を示すことを特徴とする超伝 化合物、である。

また、本発明は、(4)LnがLa,Y,Luの少なくも一種 であり、TMがNi又はFeであり、PhがP,As,Sbの少な くとも一種であることを特徴とする上記(1)~(3 )のいずれかに記載の超伝導化合物、である
また、本発明は、(5)LnがSmであり、TMがNi又はF eであり、PhがP又はAsであることを特徴とする 上記(1)~(3)のいずれかに記載の超伝導化合物 である。
また、本発明は、(6)化学式LnTMOPhで示される 合物がLaFeOAsであり、一価の陰イオンがF - (弗素イオン)であり、酸素イオンを4原子%以 20原子%以下の該F - で置換したことを特徴とする上記(1)記載の超 伝導化合物、である。

また、本発明は、(7)、化学式LnTMOPh[ここで、L nは、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb, Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは 遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一 種であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb) 少なくとも一種である。]で示される化合物 酸素イオンを一価の陰イオン(F - ,Cl - ,Br - )の少なくとも一種で一部置換することによ て、該置換量に応じて超伝導転移温度が制 された超伝導化合物を形成すること特徴と る上記(1)記載の超伝導化合物の製造方法、 ある。

また、本発明は、(8)化学式LnTMOPh[ここで、Ln 、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy, Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、 移金属元素(Fe,Ru,Os、Ni,Pd,Pt)の少なくとも一 であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の 少なくとも一種である。]で示される化合物 Lnイオンを四価の金属イオン(Ti 4+ ,Zr 4+ ,Hf 4+ ,C 4+ ,Si 4+ ,Ge 4+ ,Sn 4+ ,Pb 4+ )の少なくとも一種で一部置換することによ て、該置換量に応じて超伝導転移温度が制 された超伝導化合物を形成すること特徴と る上記(2)記載の超伝導化合物の製造方法、 ある。

また、本発明は、(9)化学式LnTMOPh[ここで、Ln 、Y及び希土類金属元素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy, Ho,Er,Tm,Yb,Lu)の少なくとも一種であり、TMは、 移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Pt)の少なくとも一種 であり、Pnは、プニクタイド元素(N,P,As,Sb)の なくとも一種である。]で示される化合物のL nイオンを二価の金属イオン(Mg 2+ ,Ca 2+ ,Sr 2+ ,Ba 2+ )の少なくとも一種で一部置換することによ て、該置換量に応じて超伝導転移温度が制 された超伝導化合物を形成すること特徴と る上記(3)記載の超伝導化合物の製造方法、 ある。

本発明は、成分の組み合わせが極めて多数 可能で、かつ高い超伝導転移温度を実現可能 な新しい系統の化合物群からなる超伝導化合 物を提供するものであり、新規超伝導物質開 発のブレークスルーとなる画期的効果をもた らすものである。

比較例1,実施例1,実施例2で得られた焼 体のX線回折パターンである。 比較例1,実施例1,実施例2で得られた焼 体の電気抵抗率の温度変化を示すグラフで る。 比較例1,実施例1,実施例2で得られた焼 体のTc付近での磁気モーメント(EMU)の温度変 を示すグラフである。 比較例3,実施例3で得られた焼結体のX線 回折パターンである。 実施例3で得られた焼結体の電気抵抗率 の温度変化(A)及び磁化の温度変化(B)を示すグ ラフである。 実施例3で得られた焼結体の超伝導転移 温度のフッ素イオン添加量依存性を示すグラ フである。 比較例4,比較例5で得られた焼結体のX線 回折パターンである。 比較例4,比較例5で得られた焼結体の電 抵抗率の温度変化を示すグラフである。 比較例4,比較例5で得られた焼結体の帯 率の温度変化を示すグラフである。 比較例4,実施例4,比較例5,実施例5で得 れた無添加及び添加物を含む焼結体の電気 抗率の温度変化を示すグラフである。 (a)は、比較例6で得られた焼結体のZrCuS iAs型結晶構造を示す模式図である。(b)は、比 較例6及び実施例6で得られた焼結体のX線回折 パターンである。 比較例6,実施例6で得られた焼結体の電 気抵抗率の温度変化を示すグラフである。 比較例6,実施例6で得られた焼結体の帯 磁率の温度変化を示すグラフである。 実施例6で得られた焼結体の超伝導転 温度のフッ素イオン添加量依存性を示すグ フである。

本発明の超伝導化合物は、一般化学式LnTMOP nで示される遷移金属元素を骨格構造に有す 層状化合物群であり、該化合物群はすべて ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm)の結晶構造を有する。 こで、Lnは、Y及びLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T m,Yb,Luから選ばれる希土類金属元素の少なく も一種であり、TMは、Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Ptから選ば る遷移金属元素の少なくとも一種であり、P nは、N,P,As,Sbから選ばれるプニクタイド元素 少なくとも一種である。

該化合物群の結晶構造は、電気伝導度の低 いLnO層と、金属的な電気伝導を示すTMPn層が 互に積層した層状構造である。このため、 気伝導又は超伝導に寄与する電子は、TMPn層 に2次元的に閉じ込められている。電子の2 元性により、電子間に強い相互作用が生じ 電子スピンの磁気整列を抑制する。超伝導 発現するためには、伝導電子間の磁気相互 用を、磁気整列状態の発現を抑制する程度 でに低減することが不可欠である。一方で d電子による超伝導は、伝導電子間の磁気相 作用の熱揺らぎにより発現するので、磁気 列が生じない範囲で、磁気相互作用が大き ほど、超伝導転移温度(Tc)が大きくなると考 えられる。

該磁気相互作用の大きさは、一般的に、伝導 電子の磁気モーメントと伝導電子間の交換相 互作用の大きさの積で与えられる。したがっ て、まず、磁気整列相の発現を抑制するため に、電子の磁気モーメントが小さいことが必 要である。偶数個のd電子数(n)を有する遷移 属元素のd電子系は、n/2個の電子のスピンを 互いに反平行に配置することにより、全体 して、磁気モーメントをゼロにすることが きる。こうしたことから、骨格構造にnが偶 数であるFe(3d 6 )、Ru(4d 6 )、Os(4d 7 )、Ni(3d 8 ),Pd(4d 8 )及びPt(5d 8 )が遷移金属元素として選ばれる。固体中のd 子は、主量子数が大きくなるにつれ、電子 有効質量が大きくなり、その結果、Tcが低 なる傾向があるので、主量子数の一番小さ 3d電子を有するFe及びNiが最も望ましい。

該交換相互作用は、元素間の共有結合性が 増加するほど大きくなる。TM-Pnの結合は、例 ば、TM-Ch(O,S,Se)に比較して大きいため、LnTMOP n化合物群は、単純な酸化物より、d電子間の 換相互作用が大きくなり、超伝導相が発現 やすい。磁気モーメントを有する希土類金 イオンは、一般的には、超伝導相の発現を 害する作用がある。しかし、LnTMOPn化合物群 では、LnO層とTMAs層が空間的に離れているた に、磁気モーメントによる阻害効果は小さ と考えられる。

磁気モーメントを有しないY,La,Luは、磁気 ーメントによる超伝導相発生阻害効果が原 的にないために望ましい元素である。該元 はイオン半径が異なるために、該元素を含 LnTMOPn化合物では、格子常数が異なり、その 果、間接的に、TM-Pn結合の共有性の大きさ 影響を与え、Tcが変化する。イオン半径の大 きさが適切で化合物の合成が容易な点で、La オンが最も適している。

電気伝導又は超伝導に寄与する電子の数及 び状態は、LnTMOPn化合物の構成元素と電荷が なるイオンを添加してO又はLnを一部置換す ことにより、微少に変化させることができ その変化の結果として、置換量に応じてTcを 制御することができる。電荷の異なるイオン は、LnO層に添加する方が、TMPn層に添加する り望ましい。これは、TMPn層への添加は、超 導相を根底から破壊してしまう可能性が大 いからである。これに対して、LnO層への添 は、TMPn層へ電子又はホールを供給はするが 、TMPnを大きくは変化させず、超伝導相の壊 的な破壊はもたらさないからである。

すなわち、LnO層の酸素イオン(O 2- )を一価の陰イオン(F - ,Cl - ,Br - )で、一部、好ましくは約25モル%以下まで置 することにより、TMPn層に電子を供給し、Tc 上昇させることができる。特に、実施例3及 実施例6にも示すように、LaFeOAs及びSmFeOAs中 酸素イオンを、約4原子%以上約20原子%以下 弗素イオン(F - )で置換することにより、Tcが20K超に上昇した 。

また、LnO層のLnイオン(Ln 3+ )を二価の金属イオン(Mg 2+ ,Ca 2+ ,Sr 2+ ,Ba 2+ )で約25モル%以下まで置換することにより、Tc を変化させることができる。実施例2にも示 ように、LaFeOPにCa 2+ を添加してLaイオンをCaイオンで一部置換す こと、LaNiOP及びLaNiOAsにCa 2+ を添加してLaイオンをCaイオンで一部置換す ことにより、Tcが2K以上上昇した。また、LnO のLnイオン(Ln 3+ )を四価の金属イオン(Ti 4+ ,Zr 4+ ,Hf 4+ ,C 4+ ,Si 4+ ,Ge 4+ ,Sn 4+ ,Pb 4+ )で約25モル%以下まで置換することで、置換 に応じてTcを制御することができる。

上記記載の異電荷イオンの添加は、格子常数 の変化ももたらし、それによるTcへの影響も えられる。また、Pn及び酸素イオン(O 2- )含有量の化学当量組成からのずれも、格子 数の変化をもたらし、該変化がTcに影響を与 える。極端な場合は、超伝導相が消失したり 、新たに発生したりする。このように、Tcが 合物組成に敏感なことは、本発明のオキシ ニクタイド化合物の超伝導発生機構そのも に由来していると考えられる。

本発明の超伝導化合物の形は、焼結多結晶 体、単結晶、薄膜のいずれでもよい。LnTMOPn 結多結晶体は、LnTMOPn化合物の構成元素の金 単体、プニクタイド化物及び酸化物を化学 量比に混合した粉体の混合物、好ましくは 焼成物に対して、一価の陰イオン、二価の 属イオン、又は四価の金属イオンの原料粉 を混合したものを、不活性雰囲気中で、約80 0℃以上1800℃以下、より好ましくは1000~1300℃ 度の温度で焼結すればよい。800℃未満では 料間の反応が進まず、LnTMOPn相が得られない 。1800℃を超えると揮発性の大きな成分が失 れ、LnTMOPn相以外の異相化合物が生成される で好ましくない。LnTMOPn化合物の単結晶は、 KCl、NaClなどの金属塩をフラックスとして、 記混合粉体から育成することができる。

LnTMOPn化合物薄膜は、単結晶基板上に、ま テンプレートとして機能するTM極薄膜を蒸着 法により成膜し、その上に、上記方法により 得られた焼結多結晶体をターゲットとして、 気相法(パルスレーザー蒸着法、スパッター など)により、アモルファス状態膜を堆積す 。最後に、得られた多層膜を、不活性雰囲 中で、約800℃以上1800℃以下の温度でアニー ルすればよい。

以下に、LaFeOAsを例に、本発明の超伝導化 物焼結多結晶体の製造方法を具体的に説明 る。まず、La,Fe,Asの各粉末を1:3:3モル比率で 合した混合体を石英管中に入れ、真空に排 した後、室温で不活性ガスを導入する。不 性ガスは、Arガスが適しているが、これに られるものでない。また、不活性ガスの圧 は、1気圧以下であればよい。不活性ガスを 入することにより、焼結中の石英ガラス管 収縮破裂を防ぐことができる。また、蒸気 の高い砒素化合物の蒸発を抑え、焼結体の 学量論組成からの組成ずれを防ぐ効果があ 。

得られた焼結体(LaAs,Fe 2 As,及びFeAsの混合物である。)と無水化したLa 2 O 3 を、LaとFeのモル比が1:1になるように混合し 混合体を石英管中に入れ、真空に排気した 、室温で不活性ガスを導入する。LaFeOAsにフ 素をドーピングする場は、前記混合体に、L aF 3 とLaの混合体をLa 2 O 3 に対するモル比率で、約0.01以上0.2以下を添 すればよい。

焼結は不活性ガス雰囲気中で、1100℃~1250℃ に加熱保持することにより行なう。好ましく は、該混合体を封入した石英管を約1200~1250℃ に昇温し、40時間程度保持する。前記砒素化 物のAsが昇華しやすいことを考慮し、混合 末には、Asを約2モル%過剰に加えることによ 化学当量組成の化合物を得ることができる 次に、石英管を約1100~1050℃に冷却し、10時 程度保持した後、250℃/時間程度の速度で、 温まで冷却する。約1200~1250℃にまで昇温す のは、化学反応速度を大きくし、LaFeOAsの単 一相を得るためであり、その後約1100~1050℃に 長時間保持するのは、焼成度を上げるためで ある。約1200~1250℃に長時間保持すると、Asが 発し、異相が生じてしまう。

図4(a)に、比較例3で得られた焼結体のX線回 折パターンを示している。この図4(a)から、 焼結体の結晶構造は、ZrCuSiAs型(空間群P4/nmm) あり、さらに、その相が90%超で構成されて ることが分かる。

該焼結体をターゲットにして、パルスレー ザー堆積法により、550℃~900℃、より好まし は、600℃~700℃に昇温したMgO基板上にLaFeOAs薄 膜を成膜することができる。基板としては、 MgOが適しているが、900℃の温度に耐えられる シリカガラス、アルミナ、イットリウム安定 化ジルコニアなどの基板を使用することがで きる。また、室温の基板上に堆積し、シリカ ガラス中に不活性ガスと共に封入し、900℃か ら1100℃、10時間未満加熱してアニールしても よい。LaFeOP膜の堆積法は、パルスレーザー堆 積法が簡便であるが、スパッター法、蒸着法 などの他の気相法を用いることもできる。

図2に、比較例1で得られた焼結体の電気抵抗 の温度変化を示している。図2から、得られ た焼結体は約5Kで電気抵抗がゼロとなり、超 導相へ転移したことが分かる。超伝導相で 、マイスナー効果により、帯磁率が完全反 性を示すので、図3に示すこの焼結体の磁化 の温度変化から、該化合物が超伝導相に転移 したことを確認できる。次に、実施例及び比 較例により、本発明を詳細に説明する。
[比較例1]

(LaFeOP焼結多結晶体)
市販のLa 2 O 3 (純度99.99モル%、日本高純度化学株式会社)を6 00℃で10時間空気中で加熱して脱水した。ま 、La金属(純度99.5モル%、信越化学工業株式会 社)、Fe金属(純度99.9モル%、日本高純度化学株 式会社)、P(純度99.999%、株式会社レアメタリ ク)を1:3:3のモル比率で混合した。各原料の 量・微粉化・混合は、全て乾燥不活性ガス 充満したドライボックス中で行った。次に 混合した粉末(混合粉末A)を、シリカ管中に 入し、シリカ管内部を、室温で0.1気圧のア ゴンガスで充填し、700℃で10時間焼成した。

得られた焼成体は、LaP,Fe 2 P,FePの混合物(混合物A)であった。混合物Aと脱 水したLa 2 O 3 を、1:1のモル比で、該ドライボックス中で混 合し、混合物Aを得るために用いたと同じ方 でシリカ管に封入し、1200℃で40時間焼結し 。得られた焼結体は、図1(a)に示すX線回折(XR D)パターン(無添加)から、90%以上の純度を有 るLaFeOP多結晶体であることが示された。

上記で得られたLaFeOP焼結多結晶体の電気抵 抗を、銀ペーストで電極を形成し、四端子法 により、2Kから300Kの範囲で測定した。また、 試料振動型磁化測定装置(VSM装置)を用いて、 気モーメントを1.8~300Kの温度範囲で測定し 。これらの測定には、Quantum Design Physical社 PPMS装置を用いた。

図2(a)に示すように、2~4Kの温度領域で電気抵 は、急速に減少し、ゼロとなった。また、 3(a)に示すように、同じ温度で磁化が急速に 減少し、マイナスの値となった。ゼロ電気抵 抗及びマイナス磁化(マイスナー効果)から、 られたLaFeOP多結晶体が超伝導体であること 分かった。また、作成した試料により、Tc ばらつきがみられるが、このばらつきは、 素イオン(O 2- )又はリン元素(P)含有量が化学当量組成から れていることによると考えられる。ずれの きさは格子定数で評価でき、得られたLaFeOP 結晶体では、格子定数とTcには良い相関が見 られ、該格子定数が小さくなると、Tcが高く ることが示された。

(F - 添加LaFeOP焼結多結晶体)
比較例1により作成した無水La 2 O 3 の10モル%を、LaF 3 とLa金属を1:1のモル比で混合した粉末で置換 た。得られた粉末と混合物Aを1:1のモル比で 混合し、比較例1に示した方法と同じ方法で シリカ管中に封入し、1200℃で40時間焼結し 。

得られた焼結体は、図1(c)に示すXRDパターン(F - 添加)から、90%以上の純度を有するLaFeOP相で ることがわかった。また、比較例1で得られ LaFeOP多結晶体に比較し、格子定数が小さく っていることから、F - がO 2- を一部置換したことが示された。

上記で作成されたF - 添加LaFeOP焼結多結晶体の電気抵抗と磁化の温 度変化を、比較例1で示した方法と同じ条件 測定した。図2(c)及び図3(c)(F - 添加)に示すように、7K付近で、電気抵抗がゼ ロとなり、同じ温度で、磁化がマイナスの値 を示すことから、F - 添加LaFeOP焼結多結晶体は超伝導転移を示すこ とが示された。F - によるO 2- の適量の置換によりTcが3K超高くなった。

(Ca 2+ 添加LaFeOP焼結多結晶体)
Fe金属とPを1:1のモル比で混合し、シリカ管に アルゴンガスとともに封入し、1,000℃で10時 焼成し、FePを作成した。また、CaCo 3 (純度99.99%、日本高純度化学株式会社)を、空 中で、920℃、10時間焼成し、無水CaOを作成 た。該FePと該CaOを比較例1で示したLaFeOP焼結 を作成するための混合物Aに混ぜ、比較例1 示す方法で、シリカ管中にアルゴンガスと もに封入し、1200℃で、40時間焼結した。

得られた焼結体は、図1(b)に示すXRDパターン(C a添加)から、90%以上の純度を有するLaFeOP相で ることがわかった。また、比較例1で得られ たLaFeOP多結晶体に比較し、格子定数が小さく なっていることから、Ca 2+ がLa 3+ を一部置換したことが示された。

上記で作成されたCa 2+ 添加LaFeOP焼結多結晶体の電気抵抗と磁化の温 度変化を、比較例1で示した方法で測定した 図2(b)及び図3(b)(Ca 2+ 添加)に示すように、5K付近で、電気抵抗がゼ ロとなり、同じ温度で、磁化がマイナスの値 を示すことから、Ca 2+ 添加LaFeOP焼結多結晶体は超伝導転移を示すこ とが示された。Ca 2+ によるLa 3+ の適量の置換によりTcが1K程度高くなった。
[比較例2]

(SmFeOP焼結多結晶体)
比較例1のLa金属をSm金属に置き替え、その他 比較例1と同じ条件で、焼結体を作成した。 得られた焼結体は、90%超の純度を有するSmFeOP 多結晶体であった。これは、電気抵抗及び磁 化の温度変化から、Tcが2Kの超伝導体であっ 。LaをSmで完全置換しても、超伝導相は発現 るが、Tcが低下することが示された。
[比較例3]

(LaFeOAs焼結多結晶体)
市販のLa 2 O 3 (純度99.99モル%、日本高純度化学株式会社)を6 00℃で10時間空気中で加熱して脱水した。ま 、La金属(純度99.5モル%、信越化学工業株式会 社)、Fe金属(純度99.9モル%、日本高純度化学株 式会社)、As(純度99.999%、株式会社レアメタリ ク)を1:3:3のモル比率で混合した。各原料の 量・微粉化・混合は、全て乾燥不活性ガス 充満したドライボックス中で行った。次に 混合した粉末(混合粉末B)を、シリカ管中に 入し、シリカ管内部を、室温で0.1気圧のア ゴンガスで充填し、700℃で10時間焼成した 得られた焼成体は、LaAs,Fe 2 As,FeAsの混合物(混合物B)であった。混合物Bと 水したLa 2 O 3 を、1:1のモル比で、該ドライボックス中で混 合し、混合物Bを得るために用いたのと同じ 法で、シリカ管に封入し、1200℃で40時間焼 した。

得られた焼結体は、図4(a)に示すXRDパター (無添加LaFeOAs)から、90モル%以上の純度を有 るLaFeOAs多結晶体であることがわかった。

(F - 添加LaFeOAs多結晶体)
比較例1により作成した無水La 2 O 3 のXモル%(X=0モル%~20モル%)を、LaF 3 とLa金属を1:1のモル比で混合した粉末で置換 た。得られた粉末と混合物Bを1:1のモル比で 混合し、比較例1に示した方法と同じ方法で シリカ管中にアルゴンガスとともに封入し 1200℃で、40時間焼結した。

得られた焼結体は、図4(b)に示すXRDパターン(5 モル%フッ素添加LaFeOAs)から、90%以上の純度を 有するLaFeOP相であることがわかった。また、 格子定数は、Xモル%の値にほぼ比例して減少 た。測定された格子定数の減少から、F - によるO 2- の置換量を決定した。F - の含有量は、約20モル%まで可能であった。そ れ以上にLaF 3 を原料に仕込むと、未反応LaF 3 相が不純物相として折出することがXRDパター ンから確認された。特開2007-3208929号公報記載 の合成法では、F - は、3モル%未満しかLaFeOAs相に含有させること ができなかった。

(F - 添加LaFeOAsの超伝導転移温度の評価)
上記で得られたLaFeOAs焼結多結晶体及びフッ を含むLaFeOAs焼結多結晶体の電気抵抗を、比 例1と同じ方法で測定した。フッ素を含まな いLaFeOAs多結晶体は、電気抵抗は低下するも の、300Kから2Kまでの温度域では、電気抵抗 ゼロにはならず、超伝導転移は示さなかっ 。

LaFeOAs多結晶体の合成法では、混合物Bの作成 ロセスを経ているため、特開2007-320829号公 で示した合成方法に比較して、合成プロセ 中でのLa金属の酸化が低減され、作成された LaFeOAs多結晶体中のO 2- 及びAsの含有量が制御され、化学当量組成に くなったため超伝導転移が観測できなかっ と考えられる。

一方、フッ素イオンを4モル%以上添加したLaFe OAs多結晶体では、図5(A)に示すように、30K付 から電気抵抗が低下しはじめ、20K付近でゼ となる超伝導転移を示した。この抵抗ゼロ が超伝導転移であることは、図5(B)に示したF - を5モル%含むLaFeOAs多結晶体の磁化が大きなマ イナスの値を示すことで確認できた。

図6に、得られた焼結体の超伝導転移温度の ッ素イオン添加量依存性を示す。黒丸は、 点転移温度、白丸は、電気抵抗の低下が始 る温度(オフセット転移温度)を示す。図6に すように、LaFeOAs多結晶体中のF - 含有量によるTcは、該F - 含有量に依存し、該F - 含有量が11モル%のときに、最高転移温度(転 前の電気抵抗の1/2の電気抵抗を示す温度:中 転移温度)が、26Kとなった。すなわち、F - を、4モル%以上添加することにより、LaFeOAs焼 結多結晶体は超伝導転移を示し、Tcが20K超の 温となることが示された。
[比較例4]

(LaNiOP焼結多結晶体)
La(純度99.5%、信越化学工業株式会社)とP(純度9 9.9999%、株式会社レアメタリック)を1:1のモル で混合して、シリカ管にアルゴンガスとと に封入し、400℃12時間焼成してLaPを合成し 。該LaOとNiO(純度99.97%、日本高純度化学株式 社)を混合し、混合粉末Cを作成し、低温プ スによりペレットを作成した。該ペレット 、アルゴンガスとともにシリカ管に封入し 、1,000℃で、24時間焼結した。   

得られた焼結体は、図7(A)に示すXRDパター から、LaNiOP多結晶体であることが確認され 。該LaNiOP焼結多結晶体の電気抵抗及び磁化 温度変化を比較例1と同様の方法で測定した 該LaNiOP多結晶体は、図8、図9(A)に示すよう 、Tcが2.5Kの超伝導体であることが示された

(F - ,Ca 2+ ,又はY 3+ 添加LaNiOP焼結多結晶体)
比較例4と同様の方法でLaNiOPにF - 、Ca 2+ 、又はY 3+ を添加したLaNiOP焼結多結晶体を作成した。F - 、Ca 2+ の添加は、実施例1及び2と同様の方法で行っ 。Y 3+ の添加はCaOの代わりにY 2 O 3 を用いて実施例2のCa 2+ の添加と同様の方法で行った。図10(A)に示す うに、Y 3+ ,Ca 2+ 、又はF - 添加により、Tcが上昇した。特に、La 3+ をY 3+ で適量だけ置換することにより、Tcが上昇し ことから、格子定数が小さくなることで、T cの高温化に有効であることが示された。
[比較例5]

(LaNiOAs多結晶焼結体)
比較例4でのPをAsに置き替え、その他は比較 4と同じ条件で、焼結体を作成した。得られ 焼結体は、図7(B)に示すXRDパターンから、純 度が90%以上のLaNiOAs多結晶体であることが示 れた。該LaNiOAs多結晶体の電気抵抗及び磁化 温度変化を、比較例1で示した方法で測定し 、該LaNiOAs多結晶体は、図8、図9(B)に示すよう に、Tcが4Kの超伝導体であることが示された

(F - ,Ca 2+ ,又はY 3+ 添加LaNiOAs多結晶焼結体)
実施例4と同様の方法でLaNiOAsにF - 、Ca 2+ 、又はY 3+ を添加したLaNiOAs焼結体を作成した。図10(B)に 示すように、Y 3+ ,Ca 2+ 、又はF - 添加により、Tcが上昇した。特に、La 3+ をY 3+ で適量だけ置換することにより、Tcが上昇し ことから、格子定数が小さくなることで、T cの高温化に有効であることが示された。
[比較例6]

(SmFeAsO多結晶焼結体)
Sm 2 O 3 粉末(純度99.99重量%、株式会社レアメタリッ )を、空気中で、1000℃、5時間熱処理し、脱 した。Sm金属(純度99.9重量%、株式会社ニラコ )、Fe金属(純度99.9%重量%以上、日本高純度化 研究所株式会社)、As金属(純度99.9999重量%、 本高純度化学研究所株式会社)を、金属元素 が、1:3:3の当量比に混合し、石英管中に封 した。該石英管を、850℃で、10時間焼成した 。焼成物は、SmAs-Fe 2 As-FeAs混合粉末(混合物C)であった。

脱水したSm 2 O 3 粉末と、混合物粉Cを、1:1の当量比で混合し 加圧プレスし、ペレットを作成した。該ペ ットを、アルゴンガス0.2気圧で充填した石 管中に封入し、1300℃で、15時間、焼結した 得られた焼結体は、X線回折パターン(図11(b) x=0)から、ZrCuSiAs型結晶構造(図11(a))を有する SmFeAsO多結晶焼結体あることが示された。ま 、FeAsが不純物相として含まれているが、そ 重量%は、5%未満であった。

(F - 添加SmFeAsO多結晶焼結体)
比較例6により作成した無水Sm 2 O 3 粉末にSmF 3 (純度99.99重量%、株式会社レアメタリック社) びSm金属粉末(純度99.5重量%、株式会社レア タリック社)を設定重量%加えた。該混合粉末 と混合物Cを比較例6に示した方法と同じ方法 、石英管中にアルゴンガスとともに封入し 1300℃で、15時間焼結した。

得られた焼成ペレットは、X線回折スペクト (図11(b)のx=0.069)から、ZrCuSiAs型結晶構造を有 るSmFeAsO 1-x F x (xは、フッ素含有量の原子比)であることが示 された。格子定数が、SmFeAsOより減少してお 、Oの一部がFイオンで置換されていることが 示された。フッ素の含有量は、格子状数から 決定した。格子定数から求めた重量%は、仕 み量とほぼ一致した。また、FeAs、Sm 2 O 3 、及びSmOFが不純物相として含まれているが その総重量は、5%未満であった。

(F - 添加SmFeAsO多結晶焼結体の電気伝導度及び磁 温度変化測定)
比較例6及び実施例6で得られた多結晶焼結体 電気抵抗及び磁化を4.2K~300Kの範囲で測定し 。電気伝導度測定は4端子法、磁化の測定は 試料振動型磁化測定装置(Quantum Design社;PPMS V SM option)を用いた。酸素を6.9原子%のフッ素で 置換したF - 添加SmFeAsO 1-x F x (x=0.069)では、低温において、電気抵抗がゼロ となり、超伝導状態になることが示された( 12)。

また、x=0(フッ素ノンドープ)の試料では、 化は温度と共に増加し、常に正の値を示し 。一方、x=0.069の試料では、磁化は温度共に 次第に増加するが、Tc付近で、急激に減少し 負の値となるマイスナー効果が観測された( 図13)。図14に、超伝導転移温度(黒丸)とオン ット温度(白丸)を示す。超伝導転移温度は、 x=0.045から有限の値となり、フッ素濃度の増 と共に、急激に上昇するが、やがて増加の 合は小さくなる。得られた最高の超伝導転 温度は、約55Kであった。すなわち、フッ素 含まないSmFeAsOでは、超伝導を示さないが、 ッ素添加により、超伝導体に変化すること 示された。

本発明の超伝導化合物は、公知のペロブス カイト型銅酸化物系超伝導化合物と異なり、 遷移金属を含むオキシプニクタイド化合物で あり、安価に製造することができる。さらに 、本発明は、化学組成を変化させることで、 Tcの更なる高温化の可能性があり、臨界磁場 大きくできる超伝導化合物群を提供する。




 
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