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Title:
THIN FILM FUEL CELL AND METHOD FOR MANUFACTURING THIN FILM FUEL CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157420
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a thin film fuel cell (100) composed of Vycor glasses (1, 11); third conductive layers (2, 10) which are electron conducting layers respectively formed on a surface of the Vycor glasses (1, 11); primer layers (3, 9); a first conductive layer (4) and a second conductive layer (8) which are electron conducting layers; an anode electrode layer (5); an electrolyte layer (6); and a cathode electrode layer (7).  The primer layers (3, 9), the first conductive layer (4), the anode electrode layer (5), the electrolyte layer (6), the cathode electrode layer (7) and the second conductive layer (8) respectively have a structure wherein a cationic substance and an anionic substance are alternately laminated.  Consequently, there can be formed flat and smooth layers having no defect, which are in firm and close contact with each other by the electrostatic action between the layers.

Inventors:
MATSUDA ATSUNORI (JP)
DAIKO YUSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061356
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NAT UNIV CORP TOYOHASHI UNIV T (JP)
MATSUDA ATSUNORI (JP)
DAIKO YUSUKE (JP)
International Classes:
H01M4/86; H01M4/88; H01M8/02; H01M8/10
Domestic Patent References:
WO2007088975A12007-08-09
WO2008053770A12008-05-08
Foreign References:
JP2002203568A2002-07-19
JP2005026119A2005-01-27
JP2006260797A2006-09-28
JPH07335233A1995-12-22
JP2009139164A2009-06-25
Attorney, Agent or Firm:
YAMAMOTO, Hisashi et al. (JP)
Yamamoto In addition (JP)
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Claims:
 アニオン性物質とカチオン性物質とが交互に積層した構造を有する電解質層と、
 前記電解質層を挟み対向して配置され積層されたアノード電極層とカソード電極層であって、前記アノード電極層と前記カソード電極層とのうち少なくとも一方が、アニオン性物質とカチオン性物質とが交互に積層した構造を有している前記アノード電極層と前記カソード電極層と
を備えた薄膜燃料電池。
 前記電解質層を構成するアニオン性物質は、スルホ基又はホスホ基を備えていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜燃料電池。
 前記電解質層を構成する前記カチオン性物質は、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、及び第4級アンモニウム塩のうちいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜燃料電池。
 アニオン性物質とカチオン性物質とが交互に積層した構造を有する前記アノード電極層及び前記カソード電極層のうち少なくとも一方は、アニオン性物質とカチオン性物質とが少なくとも2層以上積層していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薄膜燃料電池。
 多孔質性の基材基板を備え、
 前記アノード電極層及び前記カソード電極層のうち少なくとも一方は、前記基材基板の表面側に積層されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薄膜燃料電池。
 前記基材基板の表面に電子伝導層が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の薄膜燃料電池。
 前記アノード電極層における前記電解質層と接する面の反対側の面に、電子伝導層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薄膜燃料電池。
 前記カソード電極層における前記電解質層と接する面の反対側の面に、電子伝導層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薄膜燃料電池。
 前記電極層に積層した前記電子伝導層は、アニオン性物質とカチオン性物質とが交互に積層した構造を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の薄膜燃料電池。
 前記アノード電極層と前記カソード電極層とのうち少なくとも一方を構成するアニオン性物質は、白金コロイドであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薄膜燃料電池。
 前記電解質層のうち前記アノード電極層と接する部分の層の帯電極性と、前記アノード電極層のうち前記電解質層と接する部分の層の帯電極性とが反対極性であり、
 前記電解質層のうち前記カソード電極層と接する部分の層の帯電極性と、前記カソード電極層のうち前記電解質層と接する部分の層の帯電極性とが反対極性であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の薄膜燃料電池。
 前記薄膜燃料電池の厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の薄膜燃料電池。
 アニオン性物質とカチオン性物質とを交互に積層させることにより、アノード電極層又はカソード電極層のうち一方の電極層を形成させる第一電極層形成工程と、
 前記第一電極層形成工程にて形成された前記一方の電極層における一方の面に、アニオン性物質とカチオン性物質とを交互に積層させることにより電解質層を形成させる電解質層形成工程と、
 前記電解質層形成工程にて形成された前記電解質層における、前記一方の電極層と接する面の反対側の面に、アニオン性物質とカチオン性物質とを交互に積層させることにより、アノード電極層又はカソード電極層のうち他方の電極層を形成させる第二電極層形成工程と
を備えた薄膜燃料電池製造方法。
 前記第一電極層形成工程は、基材基板の表面側に前記カソード電極層又は前記アノード電極層を形成させることを特徴とする請求項13に記載の薄膜燃料電池製造方法。
 前記基材基板の表面に電子伝導層が形成されていることを特徴とする請求項14に記載の薄膜燃料電池製造方法。
 前記第一電極層形成工程、及び、前記第二電極層形成工程のうち少なくとも一方は、前記電解質層と接する面の反対側の面に、電子伝導層を形成させる伝導層形成工程を備えたことを特徴とする請求項13乃至15に記載の薄膜燃料電池製造方法。
 前記伝導層形成工程は、アニオン性物質とカチオン性物質とを交互に積層することにより前記電子伝導層を形成させることを特徴とする請求項16に記載の薄膜燃料電池製造方法。
Description:
薄膜燃料電池及び薄膜燃料電池 造方法

 本開示は薄膜燃料電池及び薄膜燃料電池 造方法に関する。

 燃料電池は、原理上高い効率で発電する とが可能である。燃料電池は、小型であっ も十分な電力を取り出すことが可能である 従って燃料電池は、携帯電話やノートパソ ン等、モバイル機器用電源としての応用が 待されている。また、燃料電池を小型化す ことによって、電極材料として使用される 金属材料や、電解質層材料として使用され パーフルオロカーボンスルホン酸等、高価 構成材料の使用量を抑制することが可能と る。従って、燃料電池のコストを抑制する とが可能となる。

 燃料電池の高発電効率化、及び小型化の具 的手段として、燃料電池を形成する電解質 や電極膜の膜厚を薄くする方法が検討され いる。膜厚の薄膜化により、構成材料の使 量を抑制することが可能となる。また、セ の積層方向の厚さを抑制することが可能と る。さらに、電解質膜の抵抗率が小さくな ので、発電効率を向上させることが可能と る。現在、電解質膜や電極膜の膜厚の薄膜 を実現するための研究が盛んに行われてい (例えば、特許文献1参照)。

特開2003-187825号公報

 しかしながら、均一の膜厚を保持しつつ 解質膜や電極膜を薄膜化することは、非常 難易度が高い。また、電解質膜や電極膜の 膜化により、膜が基材基板や他層から剥が 易くなってしまう。これらの要因で、電解 膜や電極膜の膜厚は、モバイル機器用電源 応用することが可能なレベルに到達できて ないという問題点があった。

 本開示は上述の問題点を解決するために されたものであり、電解質膜や電極膜を安 な状態で薄膜化した薄膜燃料電池、及び、 解質膜や電極膜を安定な状態で薄膜化する とが可能な薄膜燃料電池製造方法を提供す ことを目的とする。

 本開示の第一の態様によれば、アニオン 物質とカチオン性物質とが交互に積層した 造を有する電解質層と、前記電解質層を挟 対向して配置され積層されたアノード電極 とカソード電極層であって、前記アノード 極層と前記カソード電極層とのうち少なく も一方が、アニオン性物質とカチオン性物 とが交互に積層した構造を有している前記 ノード電極層と前記カソード電極層とを備 た薄膜燃料電池が提供される。

 本開示の第二の態様によれば、アニオン 物質とカチオン性物質とを交互に積層させ ことにより、アノード電極層又はカソード 極層のうち一方の電極層を形成させる第一 極層形成工程と、前記第一電極層形成工程 て形成された前記一方の電極層における一 の面に、アニオン性物質とカチオン性物質 を交互に積層させることにより電解質層を 成させる電解質層形成工程と、前記電解質 形成工程にて形成された前記電解質層にお る、前記一方の電極層と接する面の反対側 面に、アニオン性物質とカチオン性物質と 交互に積層させることにより、アノード電 層又はカソード電極層のうち他方の電極層 形成させる第二電極層形成工程とを備えた 膜燃料電池製造方法が提供される。

薄膜燃料電池100の断面構成を示す模式 である。 薄膜燃料電池100の製造方法を示すフロ チャートである。 薄膜燃料電池100の断面構成を示す模式 である。 バイコールガラス1に対する前処理工程 を示す模式図である。 第三伝導層2の形成工程を示す模式図で ある。 プライマー層3~第二伝導層8を積層させ 積層工程を示す模式図である。 電極21及び22を接続する工程を示す模式 図である。 開回路電圧の経時変化特性である。 開回路電圧の経時変化特性である。 インピーダンス測定結果である。

 以下、本開示を具体化した薄膜燃料電池1 00、及び、薄膜燃料電池製造方法の実施の形 について、図面を参照して説明する。なお これらの図面は、本開示が採用しうる技術 特徴を説明するために用いられるものであ 、記載されている内容は、それのみに限定 る趣旨ではなく、単なる説明例である。

 はじめに、図1を参照し、薄膜燃料電池100 の構成について説明する。

 図1に示すように、薄膜燃料電池100は、バ イコールガラス1及び11を備えている。バイコ ールガラス1及び11の表面にそれぞれ形成され た電子伝導層である第三伝導層2及び10を備え ている。プライマー層3及び9を備えている。 子伝導層である第一伝導層4及び第二伝導層 8を備えている。アノード電極層5と、電解質 6と、カソード電極層7とを備えている。バ コールガラス1の表面に形成された第三伝導 2のうち、バイコールガラス1と接する面の 対側面にプライマー層3が積層される。プラ マー層3のうち第三伝導層2と接する面の反 側面に第一伝導層4が積層される。第一伝導 4のうちプライマー層3と接する面の反対側 にアノード電極層5が積層される。アノード 極層5のうち第一伝導層4と接する面の反対 面に電解質層6が積層される。電解質層6のう ちアノード電極層5と接する面の反対側面に ソード電極層7が積層される。カソード電極 7のうち電解質層6と接する面の反対側面に 二伝導層8が積層される。第二伝導層8のうち カソード電極層7と接する面の反対側面にプ イマー層9が積層される。プライマー層9にお ける第二伝導層8と接する面と反対側面が、 イコールガラス11の表面に形成された状態の 第三伝導層10と接している。

 また、第一伝導層4と第二伝導層8には、 極21及び22がそれぞれ接続している。電極21 おける第一伝導層4と接続する側の反対側端 及び電極22における第二伝導層8と接続する の反対側端に、負荷23が接続している。薄 燃料電池100にて電気化学反応が生じた場合 電極21及び22を介し、第一伝導層4から第二伝 導層8に向けて電子が流れる。これによって 負荷23に電流が通流する。

 バイコールガラス1及び11は、バイコール ラス1とバイコールガラス11との間に挟まれ 状態の各層(プライマー層3及び9、第一伝導 4、アノード電極層5、電解質層6、カソード 極層7、第二伝導層8、第三伝導層2及び10)を 持する。バイコールガラス1及び11は、薄膜 料電池100本体に強度を持たせるための基材 板として使用される。バイコールガラス1及 び11は、多孔質性を備えており、気体や液体 透過させることが可能である。外部から供 される燃料(水素ガスなど)や酸化剤(酸素ガ など)が、バイコールガラス1及び11を透過す る。透過した燃料は、アノード電極層5、電 質層6、及びカソード電極層7において電気化 学反応を生じさせる(詳細は後述する。)。

 本実施の形態では、上述の各層(プライマ ー層3及び9、第一伝導層4、アノード電極層5 電解質層6、カソード電極層7、第二伝導層8) 構成する材料としてカチオン性物質及びア オン性物質が使用される(詳細は後述する) カチオン性物質は、正電荷を有する。アニ ン性物質は、負電荷を有する。アニオン性 質とカチオン性物質とが交互に積層される とによって、バイコールガラス1及び11上に 定的に上述の各層が形成される。また、バ コールガラス1及び11がプラス又はマイナス 帯電した状態で各層が積層される。これに って、各層はバイコールガラス1及び11に対 て強固に密着する。なお図1にて示されてい ように、第一伝導層4、アノード電極層5、 解質層6、カソード電極層7、及び第二伝導層 8の其々は、アニオン性物質とカチオン性物 とが交互に積層されていてもよい。これに って、上述の各層のうち一の層に他の層を 層する場合において、接する部分に配置さ る其々の層の帯電極性を逆極性とすること 容易に可能となる。

 バイコールガラス1及び11は、通常アルカリ ロシリケート(Na 2 O-B 2 O 3 -SiO 2 )ガラスの分相とエッチングによって製造さ 、多孔性を有している。また、バイコール ラス1及び11は、通常水溶液中ではマイナス 帯電している。バイコールガラス1及び11以 にも、多孔質性を有し気体や液体が透過可 な従来周知の材料を使用することができる

 例えば、炭素微粒子(カーボンブラック) 疎水性バインダー粒子(フッ素樹脂粉末)を混 合し、これをホットプレスして多孔質状に作 製された多孔質基板も、バイコールガラス1 び11の代わりに使用することができる。また 、バイコールガラス1及び11又は炭素系多孔質 基板の代わりに、多孔質ステンレスや多孔質 ステンレス管も使用することができる。炭素 系多孔質基板や多孔質ステンレス材料が使用 された場合には、基板自身が高い電子伝導性 を有するため、後述の第三伝導層2、及び10の 積層を省略することが可能となる。なお、炭 素系多孔質基板および多孔質ステンレス材料 は、バイコールガラスに比べると電荷は小さ いが、水溶液中でマイナイスに帯電しやすい 特性を有している。

 バイコールガラス1及び11の表面には、第 伝導層2及び10がそれぞれ形成される。第三 導層2は、電気化学反応によってアノード電 極層5に発生する電流を集電し、外部に取り し易くする。第三伝導層2は、外部に電子が り出される場合における電子の通流障壁を げる。電子を取り出すための電極が第三伝 層2に接続された場合に、第三伝導層2は効 よく電子を電極に受け渡すことができる。 三伝導層10は、カソード電極層7に外部から 子を供給し易くするために設けられる。第 伝導層10は、外部から電子が供給される場合 における電子の通流障壁を下げる。電子を供 給する為の電極が第三伝導層10に接続された 合に、第三伝導層10は効率よく電子をカソ ド電極層7に受け渡すことができる。

 第三伝導層2及び10を構成する材料として 、電子伝導性を有している従来周知の材料 使用される。例えば、金やBaytron(登録商標) 使用される。また、第三伝導層2及び10の積 方法としては、使用する電子伝導性材料を 膜化して積層することが可能な従来周知の 法が使用される。例えば、真空蒸着法やデ ップコート法、スピンコート法が使用され 。

 なお図1においては、電極21及び22は第一 導層4及び第二伝導層8に接続されている。し かしながら本開示はこの構成に限定されない 。第三伝導層2及び10は電子伝導性を有してい る。このため、第三伝導層2及び10に電極21及 22を接続した場合であっても、効率よく電 が通流し、負荷23に電流が流れる。

 プライマー層3及び9は、隣接して積層さ る第一伝導層4及び第二伝導層8を均一層厚に て平滑に積層させるために設けられる。バイ コールガラス1及び11は多孔質性を有している 。このため、その表面には多数の孔が形成さ れている。プライマー層3及び9がこれらの孔 充填される。バイコールガラス1及び11の表 に、プライマー層3及び9からなる平滑面が 成される。これによって、表面が平滑な第 伝導層4及び第二伝導層8を積層することが可 能となる。第一伝導層4及び第二伝導層8の層 が均一となるので、薄膜の欠損部の発生が 止される。

 プライマー層3及び9を構成する材料とし は、バイコールガラス1及び11の表面に平滑 表面を形成させることが可能な材料が使用 れる。例えば、カチオン性物質であるポリ アリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA) 、アニオン性物質であるポリスチレンスル ン酸(PSS)が使用される。プライマー層3及び9 隣接する層(バイコールガラス1及び11、第一 伝導層4、第二伝導層8など)の有する帯電極性 と反対極性を有する物質が使用される。これ によって、隣接する層とプライマー層3及び9 の間には、引き合う方向に静電気的な力が 用する。このため、隣接層と強固に密着し プライマー層3及び9が形成される。また、 述の物質が複数使用され、アニオン性物質 カチオン性物質とが交互に積層されてもよ 。カチオン性物質とアニオン性物質とが交 に積層されることによって、カチオン性物 とアニオン性物質との間には、引き合う方 に静電気的な力が作用する。このため、ア オン性物質とカチオン性物質とが強固に密 する。欠損部のないプライマー層3及び9が形 成される。プライマー層3及び9の積層方法と ては、プライマー層3及び9として使用する 料を薄膜化して積層することが可能な従来 知の方法が使用される。例えば、ディップ ート法やスピンコート法が使用される。

 第一伝導層4は、隣接するアノード電極層 5から電極21に対して電子が流れる場合におけ る通流障壁を下げる。第一伝導層4は、隣接 るアノード電極層5に発生する電子を集電し 電極を介して外部に取り出し易くする。図1 に示す構成では、アノード電極層5にて発生 、第一伝導層4にて集電された電子は、第一 導層4に取り付けられた電極21を介して負荷2 3に流れる。

 第一伝導層4を構成する材料については、 電子伝導性を有している従来周知の材料が使 用される。例えば、カチオン性物質であるPDD Aや、アニオン性物質であるBaytronが使用され 。なお、第一伝導層4に隣接する層(プライ ー層3、アノード電極層5など)の有する帯電 性と反対極性を有する物質が使用される。 れによって、双方の間には、引き合う方向 静電気的な力が作用する。このため、隣接 と強固に密着した第一伝導層4が形成される またこれらの物質が複数使用され、カチオ 性物質とアニオン性物質とが交互に積層さ てもよい。アニオン性物質とカチオン性物 とが交互に積層されることによって、アニ ン性物質とカチオン性物質との間には、引 合う方向に静電気的な力が作用する。この め、アニオン性物質とカチオン性物質とが 固に密着する。欠損部のない第一伝導層4が 形成される。第一伝導層4の積層方法として 、第一伝導層4として使用する材料を薄膜化 て積層することが可能な従来周知の方法が 用される。例えば、ディップコート法やス ンコート法が使用される。

 アノード電極層5では、バイコールガラス 1を透過した燃料が酸化され、プロトンと電 とが生成される。図1に示す構成では、生成 れた電子は、第一伝導層4にて集電され、電 極21を介して外部に取り出される。生成され プロトンは、電解質層6を透過してカソード 電極層7に伝達する。

 アノード電極層5を構成する材料としては 、燃料電池の電極触媒として使用される従来 周知の材料が使用される。例えば、白金や、 カーボンブラックに白金粒子を担持させたカ ーボン担持白金が使用される。また、カチオ ン性物質及びアニオン性物質として従来周知 の材料が使用される。例えば、カチオン性物 質としてはPDDAが使用され、アニオン性物質 しては白金コロイドが使用される。アノー 電極層5に隣接する層(第一伝導層4、電解質 6など)の有する帯電極性と反対極性を有する 物質が使用される。これによって、隣接する 層とアノード電極層5との間には引き合う方 に静電気的な力が作用する。このため、隣 層と強固に密着したアノード電極層5が形成 れる。また、これらの物質が複数使用され カチオン性物質とアニオン性物質とが交互 積層されることによって、アニオン性物質 カチオン性物質との間には、引き合う方向 力が作用する。このため、アニオン性物質 カチオン性物質とが強固に密着する。欠損 のないアノード電極層5が形成される。アノ ード電極層5の積層方法としては、アノード 極層5として使用する材料を薄膜化して積層 ることが可能な従来周知の方法が使用され 。例えば、ディップコート法やスピンコー 法が使用される。

 電解質層6は、アノード電極層5にて生成 たプロトンをカソード電極層7に伝達する。 た電解質層6は、燃料と酸化剤とが混ざり合 わないように隔離する。電解質層6の一部に 損等が存在している場合、アノード電極層5 カソード電極層7との間で短絡現象が発生し 、電池として作用しなくなってしまう。本実 施の形態では、電解質層6はカソード性物質 アノード性物質とを積層した積層構造を有 ている。これによって、電解質層6を薄化さ た場合であっても、欠損部の発生が防止さ る。薄膜燃料電池100の短絡発生を防止する とが可能となる。

 電解質層6を構成する材料としては、カチオ ン性物質とアニオン性物質とが使用される。 例えば、カチオン性物質としてはポリアリル アミンハイドロクロリド(PAH)が使用される。 ニオン性物質としてはNafion(登録商標)が使 される。カチオン性物質とアニオン性物質 が交互に積層されることによって、アニオ 性物質とカチオン性物質との間には、引き う方向に静電気的な力が作用する。このた 、アニオン性物質とカチオン性物質とが強 に密着する。欠損部のない電解質層6が形成 れる。カチオン性物質は、第1級アミン塩、 第2級アミン塩、第3級アミン塩、及び第4級ア ンモニウム塩のいずれかであることが好まし い。これらの物質は、正に帯電するカチオン 性を有している。このため、積層構造とした 場合にアニオン性物質との親和性が強い。ア ニオン性物質は、スルホ基(SO 3 H)やホスホ基(PO(OH) 2 )を有していることが好ましい。これらの基 、負に帯電するアニオン性を有している。 のため、積層構造とした場合にカチオン性 質との親和性が強い。これらの物質が使用 れることによって、より強固に密着し、欠 部のない電解質層6が形成される。

 カチオン性物質とアニオン性物質とを交 に積層する場合における積層方法は、電解 層6として使用する材料を薄膜化して積層す ることが可能な従来周知の積層方法が使用さ れる。例えば、ディップコート法やスピンコ ート法が使用される。

 カソード電極層7では、プロトンと、外部 より供給される酸化剤と、電極22より供給さ る電子とから水が生成される。プロトンは アノード電極層5にて生成され、電解質層6 透過してカソード電極層7の近傍に到達する 生成された水は、バイコールガラス11を透 して外部に排出される。

 カソード電極層7を構成する材料としては 、燃料電池の電極触媒として使用される従来 周知の材料が使用される。例えば、白金や、 カーボンブラックに白金粒子を担持させたカ ーボン担持白金が使用される。また、カチオ ン性物質及びアニオン性物質として従来周知 の材料が使用される。例えば、カチオン性物 質としてはPDDAが使用される。アニオン性物 としては白金コロイドが使用される。カソ ド電極層7に隣接する層(電解質層6、第二伝 層8など)の有する帯電極性と反対極性を有す る物質が使用される。これによって、隣接す る層とカソード電極層7との間には、引き合 方向に静電気的な力が作用する。このため 隣接層と強固に密着したアノード電極層5が 成される。また、これらの物質が複数使用 れ、カチオン性物質とアニオン性物質とが 互に積層されることによって、カチオン性 質とアニオン性物質との間には引き合う方 に力が作用する。このため、カチオン性物 とアニオン性物質とが強固に密着する。欠 部のないカソード電極層7が形成される。カ ソード電極層7の積層方法としては、カソー 電極層7として使用する材料を薄膜化して積 することが可能な従来周知の方法が使用さ る。例えば、ディップコート法やスピンコ ト法が使用される。

 第二伝導層8は、電極22から流れ込む電子 、第二伝導層8に隣接するカソード電極層7 流す場合における電子の通流障壁を下げる 第二伝導層8は、カソード電極層7への電子の 流入を促進する。これによって、電極21から 荷23を経由して電極22に流れ込む電子がカソ ード電極層7に供給される。

 第二伝導層8を構成する材料としては、電 子伝導性を有している従来周知の材料が使用 される。例えば、カチオン性物質であるPDDA 、アニオン性物質であるBaytronが使用される 第二伝導層8に隣接する層(プライマー層9、 ソード電極層7など)の有する帯電極性と反 極性を有する物質が使用される。これによ て、隣接する層と第二伝導層8との間には、 き合う方向に静電気的な力が作用する。こ ため、隣接層と強固に密着した第二伝導層8 が形成される。またこれらの物質が複数使用 され、カチオン性物質とアニオン性物質とが 交互に積層されてもよい。アニオン性物質と カチオン性物質とが交互に積層されることに よって、カチオン性物質とアニオン性物質と の間には引き合う方向に静電気的な力が作用 する。このため、カチオン性物質とアニオン 性物質とが強固に密着する。欠損部のない第 二伝導層8が形成される。第二伝導層8の積層 法としては、第二伝導層8として使用する材 料を薄膜化して積層することが可能な従来周 知の方法が使用される。例えば、ディップコ ート法やスピンコート法が使用される。

 次に、薄膜燃料電池100の駆動原理につい 、図1を参照して概説する。薄膜燃料電池100 にて電気化学反応を生じさせ、起電力を生じ させる。はじめに、バイコールガラス1にお る上述の各層(プライマー層3及び9、第一伝 層4、アノード電極層5、電解質層6、カソー 電極層7、第二伝導層8)が積層される側と反 側面から、燃料(水素ガス、メタノール等)が 供給される。また、バイコールガラス11にお る上述の各層が積層される側と反対側面か 、酸化剤(酸素ガス等)が供給される。

 バイコールガラス1に供給された燃料は、 バイコールガラス1を浸透する。さらに第三 導層2、プライマー層3、及び第一伝導層4を 透する。そしてアノード電極層5に到達する アノード電極層5にて燃料は酸化される。プ ロトンと電子とが生成される。

 生成された電子は、第一伝導層4を経由し 、第一伝導層4に接続された電極21を介して外 部に取り出される。取り出された電子は、電 極21に接続された負荷23に供給される。負荷23 に供給された電子は、電極22に流れ込む。ま 、生成されたプロトンは、電解質層6を透過 する。そしてカソード電極層7に到達する。

 カソード電極層7には、電極22より流れ込 だ電子が、第二伝導層8を経由して供給され る。バイコールガラス11に供給された酸化剤 、第三伝導層10、プライマー層9、及び第二 導層8を浸透する。そしてカソード電極層7 到達する。カソード電極層7において、プロ ンと電子と酸化剤とが反応し、水が生成さ る。生成された水は、第二伝導層8、プライ マー層9、第三伝導層10、及びバイコールガラ ス11を経由し、外部に排出される。

 以上のように、薄膜燃料電池100内にて電 化学反応を生じさせる。このことによって 薄膜燃料電池100は「電池」として動作する 薄膜燃料電池100は、負荷23に電流を通流さ ることが可能となる。図1に示す構成では、 膜燃料電池100から取り出せる電圧は理論上 1.2V程度である。従って、薄膜燃料電池100の 構成を多段に積層し直列に接続する。このこ とによって、大きな電圧を取り出すことが可 能となる。

 プロトンが電解質層6を透過する場合、拡 散抵抗成分が小さいほど、プロトンの透過に より生ずる電圧降下のレベルが小さくなる。 このため、より大きな電圧を取り出すことが でき、発電効率が向上する。拡散抵抗成分は 、電解質層6の層厚が薄くなることによって さくなる。ところが、電解質層6が薄化した 合、部分的に欠損部分が発生する可能性が くなる。電解質層6に欠損部が存在する場合 、アノード電極層5にて発生した電子は、電 質層6を経由して直接カソード電極層7に到達 する。このため、外部に取り出される電流が 減少して発電効率が減少する。

 本開示の薄膜燃料電池100では、電解質層6 は、カチオン性物質とアニオン性物質とが積 層されて形成される。これによって、従来の 電解質層形成方法と比較して、層の欠損部の 発生を抑制することが可能となる。アノード 電極層5とカソード電極層7との間の短絡の発 を抑制することが可能となる。また、層を 化することが可能となる。これによって、 ロトンが電解質層6を透過する場合の抵抗成 分を小さくする。電圧降下量を抑え、発電効 率を向上させることが可能となる。

 また、カチオン性物質とアニオン性物質 は交互に積層される。カチオン性物質とア オン性物質との間に発生する引き合う方向 静電気力によって、カチオン性物質とアニ ン性物質とは強固に密着する。剥離しにく 電解質層6が形成される。層厚を薄化した状 態でも優れた強度を有する電解質層6が形成 れる。

 また本開示では、各層(プライマー層3及 9、第一伝導層4、アノード電極層5、カソー 電極層7、第二伝導層8)は、カチオン性物質 アニオン性物質とが積層されて形成される これによって、電解質層6と同様、層の欠損 の発生を抑制し、且つ全体の層厚を薄化す ことが可能となる。このため、薄膜燃料電 100全体の積層方向の厚さが抑制される。薄 燃料電池100の小型化が可能となる。さらに カチオン性物質とアニオン性物質との間に 引き合う方向の静電気力が生じる。これに って、優れた強度を有する各層(プライマー 層3及び9、第一伝導層4、アノード電極層5、 ソード電極層7、第二伝導層8)が形成される

 薄膜燃料電池100の製造方法について、図2 を参照して説明する。なお、以下の実施形態 においては、マイナスに帯電したバイコール ガラス1及び11が使用されて薄膜燃料電池100が 製造される場合を想定している。しかしなが ら、バイコールガラス1の帯電特性はこのよ な場合に限定されない。プラスに帯電する イコールガラス1を使用して薄膜燃料電池100 作成されてもかまわない。以下の説明にお ては、図1におけるバイコールガラス1のう 、各層(第三伝導層2、プライマー層3、第一 導層4、アノード電極層5、電解質層6、カソ ド電極層7、第二伝導層8、プライマー層9、 三伝導層10)が形成される側を上側と定義す 。

 図2に示すように、薄膜燃料電池100が製造 される工程では、はじめに、バイコールガラ ス1の上側に第三伝導層2が形成される(S11)。 下、第三伝導層2がバイコールガラス1の表面 に形成される工程を、「第三伝導層形成工程 」という。

 次いで、第三伝導層形成工程にてバイコ ルガラス1の上側に形成された第三伝導層2 上側に、プライマー層3が積層される(S13、S15 )。プライマー層3を構成する材料として、カ オン性物質(以下、「プライマーカチオン」 という。)とアニオン性物質(以下「プライマ アニオン」という。)との2種類が使用され 。其々の物質が交互に積層されることによ て、プライマー層3が形成される。以下、プ イマー層3が第三伝導層2上に形成される工 を、「プライマー層形成工程」という。

 プライマー層形成工程では、はじめに、 イコールガラス1の帯電極性(マイナス)と反 の極性を有するプライマーカチオンが、第 伝導層2の上側に積層される(S13)。バイコー ガラス1とプライマーカチオンとの間には、 引き合う方向に静電気的な力が作用する。こ のため、バイコールガラス1とプライマーカ オンとは強固に密着する。次いで、積層さ たプライマーカチオンの上側に、プライマ カチオンの極性(プラス)と反対の極性を有す るプライマーアニオンが積層される(S15)。プ イマーカチオンとプライマーアニオンとの には、引き合う方向に静電気的な力が作用 る。このため、プライマーカチオンとプラ マーアニオンとは強固に密着する。

 次いで、S13及びS15にて積層されたプライ ーカチオンとプライマーアニオンとが、所 の層数分積層されたか否かが判断される(S17 )。所定の層数分積層されていない場合には(S 17:NO)、S13に戻る。プライマーアニオンの上側 にプライマーカチオンが積層される(S13)。プ イマーアニオンとプライマーカチオンとの には引き合う方向に静電気的な力が作用す 。このため、プライマーアニオンとプライ ーカチオンとは強固に密着する。そして上 の処理が繰り返される。一方、プライマー チオンとプライマーアニオンとが所定の層 分積層された場合には(S17:YES)、プライマー 形成工程は終了される。次いで、第一伝導 4の形成工程が実行される。

 プライマー層形成工程の終了後、プライ ー層形成工程にて形成されたプライマー層3 の上側に、第一伝導層4が積層される(S19、S21) 。第一伝導層4を構成する材料として、カチ ン性物質(以下、「第一伝導カチオン」とい 。)とアニオン性物質(以下、「第一伝導ア オン」という。)との2種類が使用される。其 々の物質が交互に積層されることによって、 第一伝導層4が形成される。以下、第一伝導 4がプライマー層3上に形成される工程を、「 第一伝導層形成工程」という。

 第一伝導層形成工程では、はじめに、プ イマー層3の最上層の帯電極性(最上層には ライマーアニオンが積層されている。帯電 性はマイナスである。S15参照)と反対の極性 有する第一伝導カチオンが、プライマー層3 の上側に積層される(S19)。第一伝導カチオン プライマー層3との間には、引き合う方向に 静電気的な力が作用する。このため、第一伝 導カチオンとプライマー層3とは強固に密着 る。次いで、積層された第一伝導カチオン 反対の極性を有する第一伝導アニオンが、 一伝導カチオンの上側に積層される(S21)。第 一伝導カチオンと第一伝導アニオンとの間に は引き合う方向に静電気的な力が作用する。 このため、第一伝導カチオンと第一伝導アニ オンとは強固に密着する。

 次いで、S19及びS21にて積層された第一伝 カチオンと第一伝導アニオンとが、所定の 数分積層されたか否かが判断される(S23)。 定の層数分積層されていない場合には(S23:NO) 、S19に戻る。第一伝導アニオンの上側に第一 伝導カチオンが積層される(S19)。第一伝導ア オンと第一伝導カチオンとの間には、引き う方向に静電気的な力が作用する。このた 、第一伝導アニオンと第一伝導カチオンと 強固に密着する。そして上述の処理が繰り される。一方、第一伝導カチオンと第一伝 アニオンとが所定の層数分積層された場合 は(S23:YES)、第一伝導層形成工程は終了され 。次いで、アノード電極層5の形成工程が実 行される。

 第一伝導層形成工程の終了後、第一伝導 形成工程にて形成された第一伝導層4の上側 に、アノード電極層5が積層される(S25、S27)。 アノード電極層5を構成する材料として、カ オン性物質(以下、「アノードカチオン」と う。)とアニオン性物質(以下、「アノード ニオン」という。)との2種類が使用される。 其々の物質が交互に積層されることによって 、アノード電極層5が形成される。以下、ア ード電極層5が第一伝導層4上に形成される工 程を、「アノード電極層形成工程」という。

 アノード電極層形成工程では、はじめに 第一伝導層4の最上層の帯電極性(最上層に 第一伝導アニオンが積層されている。帯電 性はマイナスである。S21参照)と反対の極性 有するアノードカチオンが、第一伝導層4の 上側に積層される(S25)。アノードカチオンと 一伝導層4との間には引き合う方向に静電気 的な力が作用する。このため、アノードカチ オンと第一伝導層4とは強固に密着する。次 で、積層されたアノードカチオンと反対の 性を有するアノードアニオンが、アノード チオンの上側に積層される(S27)。アノードカ チオンとアノードアニオンとの間には引き合 う方向に静電気的な力が作用する。このため 、アノードカチオンとアノードアニオンとは 強固に密着する。

 次いで、S25及びS27にて積層されたアノー カチオンとアノードアニオンとが、所定の 数分積層されたか否かが判断される(S29)。 定の層数分積層されていない場合には(S29:NO) 、S25に戻る。アノードアニオンの上側にアノ ードカチオンが積層される(S25)。アノードア オンとアノードカチオンとの間には引き合 方向に静電気的な力が作用する。このため アノードアニオンとアノードカチオンとは 固に密着する。そして上述の処理が繰り返 れる。一方、アノードカチオンとアノード ニオンとが所定の層数分積層された場合に (S29:YES)、アノード電極層形成工程は終了さ る。次いで、電解質層6の形成工程が実行さ れる。

 アノード電極層形成工程の終了後、アノ ド電極層形成工程にて形成されたアノード 極層5の上側に、電解質層6が積層される(S31 S33)。電解質層6を構成する材料として、カ オン性物質(以下、「電解質カチオン」とい 。)とアニオン性物質(以下、「電解質アニ ン」という。)との2種類が使用される。其々 の物質が交互に積層される。これによって、 電解質層6が形成される。以下、電解質層6が ノード電極層5上に形成される工程を、「電 解質層形成工程」という。

 電解質層形成工程では、はじめに、アノ ド電極層5の最上層の帯電極性(最上層には ノードアニオンが積層されている。帯電極 はマイナスである。S27参照)と反対の極性を する電解質カチオンが、アノード電極層5の 上側に積層される(S31)。電解質カチオンとア ード電極層5との間には、引き合う方向に静 電気的な力が作用する。このため、電解質カ チオンとアノード電極層5とは強固に密着す 。次いで、積層された電解質カチオンと反 の極性を有する電解質アニオンが、電解質 チオンの上側に積層される(S33)。電解質カチ オンと電解質アニオンとの間には、引き合う 方向に静電気的な力が作用する。このため、 電解質カチオンと電解質アニオンとは強固に 密着する。

 次いで、S31及びS33にて積層された電解質 チオンと電解質アニオンとが、所定の層数 積層されたか否かが判断される(S35)。所定 層数分積層されていない場合には(S35:NO)、S31 に戻る。電解質アニオンの上側に電解質カチ オンが積層される(S31)。電解質アニオンと電 質カチオンとの間には、引きう方向に静電 的な力が作用する。このため、電解質アニ ンと電解質カチオンとは強固に密着する。 して上述の処理が繰り返される。一方、電 質カチオンと電解質アニオンとが所定の層 分積層された場合には(S35:YES)、電解質層形 工程は終了される。次いで、カソード電極 7の形成工程が実行される。

 電解質層形成工程の終了後、電解質層形 工程にて形成された電解質層6の上側に、カ ソード電極層7が積層される(S37、S39)。カソー ド電極層7を構成する材料として、カチオン 物質(以下、「カソードカチオン」という。) とアニオン性物質(以下、「カソードアニオ 」という。)との2種類が使用される。其々の 物質が交互に積層される。これによって、カ ソード電極層7が形成される。以下、カソー 電極層7が電解質層6上に形成される工程を、 「カソード電極層形成工程」という。

 カソード電極層形成工程では、はじめに 電解質層6の最上層の帯電極性(最上層には 解質アニオンが積層されている。帯電極性 マイナスである。S33参照)と反対の極性を有 るカソードカチオンが、電解質層6の上側に 積層される(S37)。カソードカチオンと電解質 6との間には、引き合う方向に静電気的な力 が作用する。このため、アノードカチオンと 電解質層6とは強固に密着する。次いで、積 されたカソードカチオンと反対の極性を有 るカソードアニオンが、カソードカチオン 上側に積層される(S39)。カソードカチオンと カソードアニオンとの間には、引き合う方向 に静電気的な力が作用する。このため、カソ ードカチオンとカソードアニオンとは強固に 密着する。

 次いで、S37及びS39にて積層されたカソー カチオンとカソードアニオンとが、所定の 数分積層されたか否かが判断される(S41)。 定の層数分積層されていない場合には(S41:NO) 、S37に戻る。カソードアニオンの上側にカソ ードカチオンが積層される(S37)。カソードア オンとカソードカチオンとの間には引き合 方向に静電気的な力が作用する。このため カソードアニオンとカソードカチオンとは 固に密着する。そして上述の処理が繰り返 れる。一方、カソードカチオンとカソード ニオンとが所定の層数分積層された場合に (S41:YES)、カソード電極層形成工程は終了さ る。次いで、第二伝導層8の形成工程が実行 される。

 カソード電極層形成工程の終了後、カソ ド電極層形成工程にて形成されたカソード 極層7の上側に、第二伝導層8が積層される(S 43、S45)。第二伝導層8を構成する材料として カチオン性物質(以下、「第二伝導カチオン という。)とアニオン性物質(以下、「第二 導アニオン」という。)との2種類が使用され る。其々の物質が交互に積層される。これに よって、第二伝導層8が形成される。以下、 二伝導層8がカソード電極層7上に形成される 工程を、「第二伝導層形成工程」という。

 第二伝導層形成工程では、はじめに、カ ード電極層7の最上層の帯電極性(最上層に カソードアニオンが積層されている。帯電 性はマイナスである。S39参照)と反対の極性 有する第二伝導カチオンが、カソード電極 7の上側に積層される(S43)。第二伝導カチオ とカソード電極層7との間には、引き合う方 向に静電気的な力が作用する。このため、第 二伝導カチオンとカソード電極層7とは強固 密着する。

 次いで、積層された第二伝導カチオンと 対の極性を有する第二伝導アニオンが、第 伝導カチオンの上側に積層される(S45)。第 伝導カチオンと第二伝導アニオンとの間に 引き合う方向に、静電気的な力が作用する このため、第二伝導カチオンと第二伝導ア オンとは強固に密着する。

 次いで、S43及びS45にて積層された第二伝 カチオンと第二伝導アニオンとが、所定の 数分積層されたか否かが判断される(S47)。 定の層数分積層されていない場合には(S47:NO) 、S43に戻る。第二伝導アニオンの上側に第二 伝導カチオンが積層される(S43)。第二伝導ア オンと第二伝導カチオンとの間には、引き う方向に静電気的な力が作用する。このた 、第二伝導アニオンと第二伝導カチオンと 強固に密着する。そして上述の処理が繰り される。一方、第二伝導カチオンと第二伝 アニオンとが所定の層数分積層された場合 は(S47:YES)、第二伝導層形成工程は終了され 。

 第二伝導層形成工程の終了後(S47:YES)、形 された第二伝導層8に、第三伝導層10及びプ イマー層9が表面に形成された状態のバイコ ールガラス11が貼付される(S49)。、バイコー ガラス11は、第二伝導層8とプライマー層9と 面接する向きで貼付される。そして薄膜燃 電池製造工程は終了される。

 以上説明した工程を経ることによって、 損部がなく薄い電解質層6を備えた薄膜燃料 電池100が製造される。本製造方法では、カチ オン性物質とアニオン性物質とを積層させる ことによって電解質層6が形成される。これ よって、電解質層6に欠損部が発生すること 防止される。従って、アノード電極層5とカ ソード電極層7との短絡による電圧降下が抑 される。発電効率の高い薄膜燃料電池100を 造することが可能となる。カチオン性物質 アニオン性物質との間に働く静電気力によ て、カチオン性物質とアニオン性物質とが 固に密着する。従って、電解質層6の剥離の 生を防止することが可能となる。安定で耐 性のある薄膜燃料電池100が製造される。電 質層6を薄くすることによって、電解質層6 構成する材料の使用量が抑制される。薄膜 料電池100の低コスト化が可能となる。電解 層6を薄くすることによって、薄膜燃料電池1 00の積層方向の厚さが小さくなる。薄膜燃料 池100を小型化することが可能となる。具体 には、薄膜燃料電池100の厚さを100μm以下と ることが可能となる。

 カチオン性物質とアニオン性物質とが積 されることによって、プライマー層3、第一 伝導層4、アノード電極層5、カソード電極層7 、第二伝導層8、及びプライマー層9が形成さ る。これによって、これらの層を薄くした 合であっても、欠損部の発生が防止される 層と層との短絡が防止される。燃料電池を 型化することが可能となる。カチオン性物 とアニオン性物質との間に働く静電気力に って、カチオン性物質とアニオン性物質が 固に密着する。従って、各層の剥離の発生 防止することが可能となる。安定で耐久性 ある薄膜燃料電池100が製造される。各層を 成する材料の使用量が抑制される。これに って、薄膜燃料電池100の低コスト化が可能 なる。

 なお、本開示は上記実施の形態に限定さ るものではなく、種々の変更が可能である

 薄膜燃料電池100では、第一伝導層4及び第 二伝導層8を含む構成を有していた。本開示 この構成に限定されず、第一伝導層4及び第 伝導層8を含まない構成であってもよい。第 一伝導層4及び第二伝導層8を含まない構成で っても、薄膜燃料電池100は上述の説明と同 の原理にて駆動し、起電力を発生させる。 の構成の場合、他の伝導層(第三伝導層2及 10)やアノード電極層5、カソード電極層7に電 極21及び22が接続される。これによって、薄 燃料電池100で発生した起電力を外部に取り すことが可能となる。

 薄膜燃料電池100では、プライマー層3及び 9を含む構成を有していた。本開示はこの構 に限定されず、プライマー層3及び9を含まな い構成であってもよい。プライマー層3及び9 含まない構成であっても、薄膜燃料電池100 上述の説明と同様の原理にて駆動し、起電 を発生させる。

 薄膜燃料電池100のうちプライマー層3及び 9を構成する材料として、電子伝導性を有す 材料を使用する。プライマー層3及び9に電極 21及び22接続することによって、薄膜燃料電 100で発生した起電力を外部に取り出すこと 可能となる。

 薄膜燃料電池100では、第三伝導層2及び10 含む構成を有していた。本開示はこの構成 限定されず、第三伝導層2及び10を含まない 成であってもよい。第三伝導層2及び10を含 ない構成であっても、薄膜燃料電池100は上 の説明と同様の原理にて駆動し、起電力を 生させる。

 薄膜燃料電池100では、バイコールガラス1 及び11を含む構成を有していた。本開示はこ 構成に限定されず、バイコールガラス1及び 11を含まない構成であってもよい。バイコー ガラス1及び11を含まない構成であっても、 膜燃料電池100は上述の説明と同様の原理に 駆動し、起電力を発生させる。

 薄膜燃料電池製造方法では、バイコール ラス1の上側に、プライマー層3、第一伝導 4、アノード電極層5、電解質層6、カソード 極層7、第二伝導層8、プライマー層9、及び イコールガラス11が順次積層されていた。本 開示はこの製造方法に限定されない。バイコ ールガラス11の上側に、プライマー層9、第二 伝導層8、カソード電極層7、電解質層6、アノ ード電極層5、第一伝導層4、プライマー層3、 及びバイコールガラス1が順次積層される方 であってもかまわない。

 本開示の薄膜燃料電池製造方法では、第 伝導層形成工程、プライマー層形成工程、 一伝導層形成工程、及び第二伝導層形成工 を省略した製造方法であってもよい。第三 導層2及び10、プライマー層3、第一伝導層4 及び第二伝導層8を形成させない方法であっ もよい。

 薄膜燃料電池製造方法では、各工程(プラ イマー層形成工程、第一伝導層形成工程、ア ノード電極層形成工程、電解質層形成工程、 カソード電極層形成工程、及び第二伝導層形 成工程)において、カチオン性物質がはじめ 積層され、次いで、アニオン性物質が積層 れていた。しかしながら本開示はこの方法 定されない。下地層の帯電極性がプラスで る場合には、マイナスの極性を有するアニ ン性物質をはじめに積層してもかまわない

 薄膜燃料電池製造方法では、各工程(プラ イマー層形成工程、第一伝導層形成工程、ア ノード電極層形成工程、カソード電極層形成 工程、及び第二伝導層形成工程)において、 ニオン性物質を積層させた後、所定の層数 積層されたか否かが判断されていた。しか ながら本開示はこの判断方法に限定されな 。カチオン性物質が積層された後も同様に 所定の層数分積層されたか否かが判断され もよい。

 薄膜燃料電池製造方法では、各工程(プライ マー層形成工程、第一伝導層形成工程、アノ ード電極層形成工程、カソード電極層形成工 程、及び第二伝導層形成工程)において、カ オン性物質とアニオン性物質とが交互に積 されることによって、各層が形成されてい 。しかしながら本開示はこの積層方法に限 されない。従って、唯一の物質が積層され ことによって、各層が形成されてもかまわ い。
<実施例>

 本開示の実施例について説明する。以下「1 .薄膜燃料電池100の構成」「2.使用した材料に ついて」「3.薄膜燃料電池100作成手順概略」 4.評価方法及び評価条件」「5.評価結果」の 順に説明する。
1.薄膜燃料電池100の構成

 作成した薄膜燃料電池100の構成について 図3を参照して説明する。図3における紙面 側を薄膜燃料電池100の上側と定義する。

 図3に示すように、本実施例では、バイコ ールガラス1上に、第三伝導層2、プライマー 3、アノード電極層5、電解質層6、カソード 極層7、及び第二伝導層8が順に積層された 第一伝導層4、プライマー層9、第三伝導層10 及びバイコールガラス11は積層されていな 。プライマー層3及び第二伝導層8にそれぞれ 電極21及び22が接続された。

 バイコールガラス1の下側より燃料(水素又 メタノール)が供給される。アノード電極層5 、及びカソード電極層7にて電気化学反応を じさせる。これによって、電極21及び電極22 ら電流が取り出される。電気化学反応時に いて必要な酸化剤(酸素)は、薄膜燃料電池10 0内へ強制的に供給されない。第二伝導層8の 側に空気を接触させることによって自然供 された。
2.使用した材料について

 バイコールガラス1として、USA Corning社製 「7930」が使用された。バイコールガラス1は 2cm×3cmの大きさにカットされ使用された。 ライマー層3は、プライマーカチオンとプラ マーアニオンとが相互に積層されることに って形成された。アノード電極層5は、アノ ードカチオンとアノードアニオンとが相互に 積層されることによって形成された。電解質 層6は、電解質カチオンと電解質アニオンと 相互に積層されることによって形成された カソード電極層7は、カソードカチオンとカ ードアニオンとが相互に積層されることに って形成された。第二伝導層8は、第二伝導 カチオンと第二伝導アニオンとが交互に積層 されることによって形成された。プライマー カチオンとプライマーアニオンとは4層ずつ 層された。アノードカチオンとアノードア オンとは4層ずつ積層された。電解質カチオ と電解質アニオンとは20層ずつ積層された カソードカチオンとカソードアニオンとは4 ずつ積層された。第二伝導カチオンと第二 導アニオンとは4層ずつ積層された。

 プライマー層3を構成するプライマーカチオ ンとしてPDDAが使用された。プライマー層3を 成するプライマーアニオンとしてPSSが使用 れた。アノード電極層5を構成するアノード カチオンとしてPDDAが使用された。アノード 極層5を構成するアノードアニオンとして白 コロイドが使用された。電解質層6を構成す る電解質カチオンとしてPAHが使用された。電 解質層6を構成する電解質アニオンとしてNafio nが使用された。カソード電極層7を構成する ソードカチオンとしてPDDAが使用された。カ ソード電極層7を構成するカソードアニオン して白金コロイドが使用された。第二伝導 8を構成する第二伝導カチオンとしてPDDAが使 用された。第二伝導層8を構成する第二伝導 ニオンとしてBaytronが使用された。上述の内 をまとめて表1に示す。

 PDDAとしてAldrich社製品が使用された。0.5mo l/lの塩化ナトリウム水溶液がPDDAに加えられ 。PDDAの含有量が1mg/mlとなるように濃度が調 された。PSSとしてAldrich社製品が使用された 。PDDAと同様、0.5mol/lの塩化ナトリウム水溶液 がPDDAに加えられた。PSSの含有量が1mg/mlとな ようにPDDAの濃度が調製され使用された。

 1重量部のヘキサクロロ白金(IV)酸(6水和物) 溶液(「試薬A」という。)、メタノール(「試 B」という。)、0.04mol/lのクエン酸3ナトリウ 水溶液(「試薬C」という。)が使用された。 薬A(100μl)、試薬B(9000μl)、及び試薬C(200μl)が 混合された後、紫外光(中心波長:365nm、強度:1 0mW/cm 2 )が10分間照射された。紫外線照射によって光 還元法が生じ、白金ナノ粒子が分散したコロ イド溶液が得られた。得られたコロイド溶液 が白金コロイドとして使用された。

 PAHとしてAldrich社製品が使用された。0.5mol /lの塩化ナトリウム水溶液がPAHに加えられた PAHの含有量が1mg/mlとなるように濃度が調製 れた。Aldrich社製品Nafionが使用された。90体 %のメタノール水溶液が加えられ、Nafionの含 有量が1mg/mlとなるように濃度が調製され使用 された。

 ティーエーケミカル株式会社製品Baytronが使 用された。0.5mol/lの塩化ナトリウム水溶液が えられ、Baytronの含有量が1mg/mlとなるように 濃度が調製され使用された。
3.薄膜燃料電池100作成手順概略

 薄膜燃料電池100の作成手順の概略につい 、図4~図7を参照して説明する。

 図4を参照して、バイコールガラス1に対 る前処理工程について説明する。図4に示す うに、はじめに、バイコールガラス1の一部 分にマスキングテープ31(日東電工社製熱剥離 シート「リバアルファ」)が貼付された。マ キングテープ31は、電極22を接続する場合に 電極22が電極21と短絡してしまうことを防止 するために貼付された。マスキングテープ31 貼付することによって、貼付部分に第三伝 層2が積層されないようにした。

 図5を参照して、第三伝導層形成工程につ いて説明する。図5に示すように、第三伝導 形成工程では、一部分にマスキングテープ31 が貼付された状態のバイコールガラス1に、 三伝導層2が形成された。積層方法としてス ッタリング法が採用された。金からなる第 伝導層2がバイコールガラス1の表面に形成 れた。

 次いで、前処理工程にて貼付されたマス ングテープ31が剥離された。次いで、形成 れた第三伝導層2に電極21を接続するため、 三伝導層2の一部分にマスキングテープ32(日 電工社製熱剥離シート「リバアルファ」)が 貼付された。マスキングテープ32を貼付する とによって、貼付部分に他の層が積層され いようにした。

 図6を参照し、プライマー層3~第二伝導層8 を積層させる積層工程について説明する。図 6に示すように、積層工程では、プライマー 3、アノード電極層5、電解質層6、カソード 極層7、及び第二伝導層8が、バイコールガラ ス1及び第三伝導層2の上側に順次積層された

 プライマー層3、アノード電極層5、電解 層6、カソード電極層7、及び第二伝導層8の 層方法として、スピンコート法が使用され 。第三伝導層2が積層された状態のバイコー ガラス1が、スピンコーターにセットされた 。回転数が2000~3000rpmに設定された。バイコー ルガラス1を回転させた状態で、上方から上 の調製試薬が順次滴下された。これによっ 、各層が形成された。

 調製試薬の滴下は1滴ずつ行われた。滴下 後、直ぐにイオン交換水が数滴滴下された。 これによって余分な試薬が除去された。イオ ン交換水滴下後、直ぐに次層を構成する試薬 が1滴滴下された。この工程が、所望の層数 繰り返された。これによって、プライマー 3、アノード電極層5、電解質層6、カソード 極層7、及び第二伝導層8が積層された。プラ イマー層3は、第一伝導カチオン(PDDA)と第一 導アニオン(PSS)とが交互に4層ずつ積層され ことによって形成された。アノード電極層5 、アノードカチオン(PDDA)とアノードアニオ (白金コロイド)とが交互に4層ずつ積層され ことによって形成された。電解質層6は、電 解質カチオン(PAH)と電解質アニオン(Nafion)と 交互に20層ずつ積層されることによって形成 された。カソード電極層7は、カソードカチ ン(PDDA)とカソードアニオン(白金コロイド)と が交互に4層ずつ積層されることによって形 された。第二伝導層8は、第二伝導カチオン( PDDA)と第二伝導アニオン(Baytron)とが交互に4層 ずつ積層されることによって形成された。

 上述のように、アニオン性物質及びカチ ン性物質の組み合わせ、調製試薬における ニオン性物質及びカチオン性物質の濃度、 化ナトリウムの濃度等が決定された。この とによって、カチオン性物質及びアニオン 物質からなる各層の厚さが、構成物質の1分 子程度の大きさ(PDDA、PSS、PAH:約1nm、Nafion:約5~ 10nm)程度である、透明な層が形成された。

 各層の厚さは、ユーエスアイ社製水晶振動 微量天秤(QCM)(製品名:TYPE 7B)によって測定さ れた。QCMは、水晶振動子の圧電効果を利用し て、共振周波数の変化を重量に換算する。QCM は、気相および液相中においてナノグラムオ ーダーでの重量変化が測定可能である。測定 は、例えば以下のようにして行われる。はじ めに、QCM基板(金が電極として蒸着されてい もの)の表面が洗浄され、乾燥後、周波数が 定される。この値が基準周波数(F0)となる。 次いで、QCM基板上に既述の製膜方法で各々の 層が形成される。層形成後、水でよく洗浄さ れ、その後窒素ガスなどで乾燥される。その 後周波数が測定される。基準周波数との差(δ F)から、単位面積当たりに積層された層の重 がナノグラムオーダーの精度で求められる QCMの周波数変化(δF)、及び高分子膜の密度( )(単位:g/cm 3 )から、一層当たりの厚さ(d)(単位:nm)は次式に より求められる。
d = (f×δF)/ρ
fは、装置や電極面積などで決まる定数であ 。

 Nafionの密度(1.64g/cm 3 )から、Nafion層の一層当たりの平均厚さは、pH 8のPAH溶液を用いた場合に5nmとなることわか た。なお、Nafion層の一層当たりの平均厚さ 、pH10のPAH溶液を用いた場合に14nmとなった。 積層されるNafion層の厚さは、PAH溶液のpHに大 く依存することがわかった。他の物質(PDDA PSS、PAH)が使用された場合の層についても同 に測定が行われた。層の厚さは、構成物質 1分子程度の大きさ程度となることが確認さ れた。

 図7を参照して、電極21及び22の接続工程 ついて説明する。この工程では、図7に示す うに、第三伝導層2上に貼付された状態のマ スキングテープ32が剥離された。マスキング ープ32が剥離されることによって露になっ 第三伝導層2に銅製のワイヤーが銀ペースト よって固定された。固定されたワイヤーが 極21となる。また、最上層の第二伝導層8の ち、前処理工程においてマスキングテープ3 1(図3参照)を貼付した部分に相当する部分に 銅製のワイヤーが銀ペーストにより固定さ た。固定されたワイヤーが電極22となる。以 上の工程を経て、薄膜燃料電池100が作成され た。作成された薄膜燃料電池100のうちバイコ ールガラス1を除く部分の積層方向の厚さは 約200~360nmであった。なお、バイコールガラ 1の厚さは、数十μmである。

 厚さは、以下のようにして試算された。P DDAが積層された場合の1層当たりの厚さを、PD DA1分子程度の大きさである1nmとした。PSSが積 層された場合の1層当たりの厚さを、PSS1分子 度の大きさである1nmとした。白金コロイド 積層された場合の1層当たりの厚さを、5~10nm とした。PAHが積層された場合の1層当たりの さを、PAH1分子程度の大きさである1nmとした Nafionが積層された場合の1層当たりの厚さを 、Nafion1分子程度の大きさである5~10nmとした Baytronが積層された場合の1層当たりの厚さを 、5~10nmとした。

 そして各層の厚さを、積層数分乗算した プライマー層3の厚さは(1nm(PDDA)+1nm(PSS))×4(層 )=8nmとなった。アノード伝導層5の厚さは(1nm(P DDA)+5~10nm(白金コロイド))×4(層)=24~44nmとなった 。電解質層6の厚さは(1nm(PAH)+5~10nm(Nafion))×20( )=120~220nmとなった。カソード電極層7の厚さ (1nm(PDDA)+5~10nm(白金コロイド))×4(層)=24nm~44nmと なった。第二伝導層8の厚さは(1nm(PDDA)+5~10nm(Ba ytron))×4(層)=24~44nmとなった。これらを合計し 200~360nmとなった。

 このように、本実施例において数百nmの ーダーの薄膜燃料電池100を作成可能である とが明らかとなった。従来の燃料電池の積 方向の厚さは数百μmであることから、従来 比較して非常に薄い燃料電池を作成するこ が可能であることが明らかとなった。

 なお、上述した各層の積層数は一例であっ 、本開示はこの積層数に限定されない。例 ば、各層を2以上繰り返し積層しない構成と してもよい。この場合、薄膜燃料電池100の積 層方向の厚さは、約26nmとなる。また、各層 上述の積層数の100倍積層した構成としても い。この場合、薄膜燃料電池100の積層方向 厚さは、約36μmとなる。従って、バイコール ガラス1(厚さ数十μm)が使用される場合であっ ても、少なくとも約100μm以下の厚さを有する 薄膜燃料電池100を作成することが可能である ことが明らかとなった。
4.評価方法及び評価条件

 作成された薄膜燃料電池100の評価方法に いて説明する。作成された薄膜燃料電池100 対して、開回路電圧測定を行った。作成さ た薄膜燃料電池100に対して、負荷をかけて ない状態での電極21と電極22との間の電圧が 測定された。また、インピーダンス測定を行 った。作成された薄膜燃料電池100に対して、 電極21と電極22との間のインピーダンスが測 された。短絡発生の有無、及び電池特性の 価が行われた。

 開回路電圧を測定する測定器としては、S olartron社製ポテンショ・ガルバノスタット「1 287」が使用された。燃料として純水素が供給 された条件と、メタノールが供給された条件 とで、開回路電圧が測定された。電池電圧の 測定結果から、薄膜燃料電池100の電池特性が 評価された。燃料として純水素が供給された 場合には、バイコールガラス1の下側より10ml/ minの流速となるように純水素が供給された。 燃料としてメタノールが供給される場合には 、20体積%のメタノール水溶液が、シリンジを 使用してバイコールガラス1の下側に供給さ た。

 インピーダンス測定を行う測定器としては Solartron社製ポテンショ・ガルバノスタット 1287」が使用された。振幅:1000mV、周波数:1~10 0kHzの方形波が、電極21と電極22との間に印加 れた。方形波が印加された場合のインピー ンスが測定された。測定は、作成した薄膜 料電池100を空気中に保持した条件と、燃料 してメタノールを供給した条件とで行われ 。電極21と電極22との間の短絡の有無が確認 され、電池特性が評価された。燃料としてメ タノールが供給される場合には、開回路電圧 測定時における供給条件と同一条件にてメタ ノール水溶液がバイコールガラス1に供給さ た。
5.評価結果

 開回路電圧の測定結果について、図8及び 図9を参照して説明する。図8は、燃料として 水素が供給された場合において、電極21と 極22との間に発生した開回路電圧の経時変化 特性が示されている。図9は、燃料としてメ ノールが供給された場合において、電極21と 電極22との間に発生した開回路電圧の経時変 特性が示されている。

 図8を参照して、燃料として純水素が使用 された場合における開回路電圧の経時変化の 測定結果について説明する。図8に示すよう 、純水素が燃料として使用された場合の開 路電圧は、純水素の供給が開始されてから 50秒経過した場合に、最大約約0.016Vとなった 。しかしながらその後電圧は上昇せず、150秒 経過後以降はほぼ0Vであった。この結果から 作成された薄膜燃料電池100に対し、燃料と て純水素が供給された場合には、十分な起 力を得ることができないことがわかった。 の原因は、素子の加湿が不十分であったた であると推察される。電解質層6を構成する Nafionは、水を含んだ状態で良好なプロトン伝 導性を有することが知られている。しかしな がら本実施例では、特に、乾燥しやすいアノ ード電極層側において特段の水分管理を行わ なかった。Nafionの加湿が不十分となってしま ったことが原因であると推定される。

 図9を参照し、燃料としてメタノールが使 用された場合における開回路電圧の経時変化 の測定結果について説明する。図9に示すよ に、メタノールが燃料として使用された場 の開回路電圧は、メタノールの供給が開始 れてから約150秒経過した場合に、最大約0.2V なった。純水素が燃料として使用された場 と比較して飛躍的に大きな電圧を発生させ ことが可能であることがわかった。この結 から、作成された薄膜燃料電池100が電池と て使用可能であることが明らかとなった。

 インピーダンス測定の結果について、図1 0を参照して説明する。図10には、作成された 薄膜燃料電池100が空気中に置かれた場合の、 電極21と電極22との間のインピーダンス測定 果が示されている。また、燃料としてメタ ールが供給された場合の、電極21と電極22と 間のインピーダンス測定結果が示されてい 。曲線41が、薄膜燃料電池100が空気中に置 れた場合におけるインピーダンス測定結果 ある。曲線42が、薄膜燃料電池100に対してメ タノールが供給された状態におけるインピー ダンス測定結果である。

 図10に示すように、インピーダンス測定 結果から、空気中に薄膜燃料電池100が置か た場合(曲線41)と比較して、燃料としてメタ ールが供給された場合(曲線42)の方が、イン ピーダンスが大きく低下することがわかった 。理由は、メタノール燃料中に含まれる水分 が電解質層6中に供給されたことによって、 解質層6が加湿され、プロトンがより動き易 なったためであることが推察される。また 周波数応答の結果から、空気中に薄膜燃料 池100が配置された場合(曲線41)、及び燃料と してメタノールが供給された場合(曲線42)に いて、入力された信号の周波数が100kHzから1H zの条件にて、インピーダンスの複素数成分 0以下の値となっていることがわかった。電 21と電極22との間で短絡が生じている状態で は、インピーダンスの複素成分は正の値をと る。このことから、作成した薄膜燃料電池100 が超薄膜でありながら短絡していないことが わかった。従って、電解質層6に欠損部が存 していないことが明らかとなった。