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Title:
ALUMINUM SILICATE COMPLEX, AND HIGH-PERFORMANCE ADSORBENT COMPRISING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084632
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an adsorbent which has excellent adsorption properties for use as a dehumidifying agent for a desiccant air conditioner which exhibits high adsorption properties at a middle or high humidity, and for use as an adsorbent for a gas such as carbon dioxide, ammonia or formaldehyde. A precursor suspension having a Si/Al ratio of 0.70 to 1.0 is prepared. The precursor suspension is heated at 110˚C for 2 days to synthesize a complex of a layered low-crystalline clay mineral and an amorphous aluminum silicate. The complex produced in this manner has excellent water vapor-adsorbing properties of 45 wt% or more at a relative humidity of 60%, and therefore can be used as an adsorbent for a desiccant air conditioner. The complex also has excellent carbon dioxide-adsorbing/-desorbing properties of 12 wt% or more at 100 to 900 kPa, and therefore can be used as an adsorbent for a gas such as ammonia and formaldehyde.

Inventors:
SUZUKI MASAYA (JP)
TSUKIMURA KATSUHIRO (JP)
KAWABATA SUMIKO (JP)
IKEDA CHIEKO (JP)
NAKANISHI RYOUSUKE (JP)
TAJIRI KOJI (JP)
INUKAI KEIICHI (JP)
MAEDA MASAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073735
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
SUZUKI MASAYA (JP)
TSUKIMURA KATSUHIRO (JP)
KAWABATA SUMIKO (JP)
IKEDA CHIEKO (JP)
NAKANISHI RYOUSUKE (JP)
TAJIRI KOJI (JP)
INUKAI KEIICHI (JP)
MAEDA MASAKI (JP)
International Classes:
C01B33/38; B01D53/28; B01J20/12; C01B33/26
Foreign References:
JP2002121018A2002-04-23
JP2001220129A2001-08-14
JP2001064010A2001-03-13
JPS61257234A1986-11-14
JP2001064010A2001-03-13
JP2006240956A2006-09-14
JP2008179533A2008-08-07
JP2008224574A2008-09-25
JP2003019435A2003-01-21
JP2005040753A2005-02-17
Other References:
See also references of EP 2233438A4
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Claims:
 低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体。
 X線源としてCuを用いた粉末X線回折図形において、2θ=20、26、35、39°付近に4つのブロードなピークを有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体。
  29 Si固体NMRスペクトルにおいて-78ppm付近および-84~-94ppmの範囲にピークを有する請求項1又は2に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体。
 モノケイ酸水溶液とアルミニウム溶液をSi/Al比が0.7~1.0となるように混合し、酸又はアルカリを添加してpHを6~8に調整し、その後脱塩処理したものを110℃以上で加熱することによって得られるものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体。
 請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体からなることを特徴とする吸着剤。
 相対湿度60%において水蒸気吸着量が45wt%以上を有することを特徴とする請求項5に記載の吸着剤。
 請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体からなることを特徴とするデシカント空調用吸着剤。
 請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体からなることを特徴とする二酸化炭素吸着剤。
 圧力に依存して二酸化炭素を吸着・脱離する吸着剤であって、1気圧(大気圧)~10気圧における吸脱着可能量が12wt%以上であることを特徴とする請求項8に記載の二酸化炭素吸着剤。
 請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミニウムケイ酸塩複合体からなることを特徴とするガス吸着剤。
Description:
アルミニウムケイ酸塩複合体及 該複合体からなる高性能吸着剤

 本発明は、次世代の産業を支える重要な 盤技術として、実用化が強く期待されてい ナノテクノロジーの技術分野において、そ 特異な形状に起因する微細構造により、高 表面積、高細孔容積、イオン交換能、及び 着能等に優れた物理化学的な特性を示し、 新的な機能性材料としての応用が期待され いる物質に関するものであり、特に、優れ 水蒸気吸放湿特性を有する低結晶性層状粘 鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からな 複合体、及びそれを用いた吸着剤に関する のである。

 ナノサイズのチューブ状アルミニウムケ 酸塩は、例えば、天然において、イモゴラ トとして産出するが、このイモゴライトは 土壌中に存在し、主に火山灰由来の土壌に する。また、天然のイモゴライトは、類縁 物であるアロフェンと並んで、土壌におけ 養分や水分の移動及び植物への供給、更に 有害な汚染物質の集積や残留等に対して影 を与えるものである。このチューブ状アル ニウムケイ酸塩は、主な構成元素をケイ素( Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)と 、多数のSi-O-Al結合で組み立てられた水和珪 アルミニウムであって、外径が2.2~2.8nm、内 が0.5~1.2nm、長さが10nm~数μmのチューブ状の 態を有し、天然には、火山灰及び軽石等の 下火山噴出物を母材とする土壌に分布して る粘土成分である。

 プロトイモゴライトは、イモゴライトの前 体物質であり、水溶液中に分散したこの前 体を100℃程度で加熱することによりイモゴ イトとなる。それゆえイモゴライト形成過 途中の前駆体物質をプロトイモゴライトと ぶ。プロトイモゴライトは、イモゴライト 構造に由来する性質を有しているため、 29 Si固体NMRでは、イモゴライトと同じ-78ppmにピ クを示し、ケイ素はOH-Si-(OAl) 3 の配位を有している。そのため水蒸気吸着特 性においてもイモゴライトとプロトイモゴラ イトとは相対湿度20%以下における吸着挙動が ほぼ同じであり、プロトイモゴライトは結晶 性のイモゴライトのように比較的長いチュー ブ状の形態にまでは成長していないが、イモ ゴライトの構造をそれなりに有していると考 えられている。それゆえプロトイモゴライト においても、低湿度領域においてはイモゴラ イトと同様な吸着剤の性質を有している。

 その一方で層状の粘土鉱物も優れた吸着 能を有する。膨潤性粘土として主に止水剤 して使用されているベントナイト(鉱物名は モンモリロナイト)は、水の吸着に対し約10倍 程度にまで膨潤することが知られている。ま たある程度の水蒸気吸着性能を有しているこ とが知られている。

 上記のように、ナノサイズのチューブ状ア ミニウムケイ酸塩であるイモゴライト及び 状粘土鉱物の特異な形状及び物性は、工業 にも有用であると考えられる。すなわち、 モゴライト及び層状粘土鉱物は、その特異 微細構造に基づいて、各種物質を吸着する とができる特性を有することから、例えば 有害汚染物質吸着剤、脱臭剤などとしての 用可能性については、従来から言及されて る。また、イモゴライトは優れた水蒸気吸 性能を有することから、ヒートポンプ熱交 材、結露防止剤、自律的調湿材料などの応 として期待されている。その一方で古くか 知られている層状の粘土鉱物においても水 気の吸着性能を有していることから、その 能をさらに高めることが期待されている。
 特に、デシカント空調では外気から導入さ る空気中の湿分を取り除くことが目的であ ため、夏場の高湿度の空気からでも効率的 湿分を取り除けることが必要とされており そのためデシカント空調において求められ 吸着剤は、一般的に相対湿度が5%程度から60 %における吸着量が多いことであるとされて るが、高湿度域での吸着量も多いことが望 しい。

 そのような中で、チューブ状アルミニウ ケイ酸塩の上記特性を有しつつ、工業的に 価で大量に合成することが求められている 、NMR測定から明らかとなっているイモゴラ ト構造を含む非晶質物質のみでは、ゼオラ トやシリカゲルと比較して1.2~1.5倍程度の吸 着性能を有するに留まっていた。そのような 背景から、デシカント空調の小型化も念頭に おくと、既存の素材として比較して2倍程度 上の吸着性能を有する吸着剤の合成が必要 なる。

 これまでに、イモゴライトあるいは100℃ 度で加熱するとイモゴライトとなるプロト モゴライトを利用した非晶質物質の特異な 孔を利用した吸着剤の開発は行なわれてい (特許文献1及び2参照)が、しかしながら従来 の方法では、水蒸気吸着等温線において相対 湿度が60%にて、45wt%以上の吸着量を有するこ はできなかった。

 またSi/Al比が0.7~1で、かつ 29 Si固体NMRスペクトルにおいて-78ppmおよび-87ppm 近にピークを有する非晶質アルミニウムケ 酸塩を利用した吸着剤の開発も行なわれて る(特許文献3及び4参照)が、この方法におい ても、水蒸気吸着等温線において相対湿度60% にて、45wt%以上の吸着量を有することはでき かった。

 一方、気体の回収あるいは分離に関する技 はそれぞれの目的や用途に応じ発展してい が、中でも二酸化炭素に関する分離・回収 術は、地球温暖化の問題も含め重要な課題 なっている。
 乾燥ガスから二酸化炭素を回収する方法と ては、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト 活性炭、珪藻土などの多孔質物質や、シリ 、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化 リウム、酸化鉄などの吸着剤が用いられて る(特許文献5、6参照)。

 また二酸化炭素における圧力スイング吸着 においては、吸着剤としてゼオライト13Xを いたものが大半を占めている(非特許文献1 照)。ゼオライト13Xは、0~2気圧程度の範囲に いて優れた二酸化炭素の吸着量を有してい 。しかしながら、吸着した二酸化炭素を脱 させ有効に圧力スイング吸着剤として用い には、真空引きを行い0.2気圧以下にしなけ ばならないという問題があった。

特開2001-064010号公報

特開2006-240956号公報

特開2008-179533号公報

特願2008-224574号公報

特開2003-019435号公報

特開2005-040753号公報 最新吸着技術便覧 NTS出版(1999年)第133~140 頁

 本発明は、以上のような事情に鑑みてなさ たものであって、中湿度領域において優れ 吸着性能を有する材料、及びその優れた吸 特性を有する吸着剤、特にデシカント空調 吸着剤、さらにはホルムアルデヒドなどの スも吸着する吸着剤を提供することを目的 するものである。
 さらに本発明は、大気圧以上の圧力にて、 力を高くすることにより吸着させた二酸化 素を、真空に引くことなく大気圧以上でも 圧力を低くするだけで効果的に脱離するこ ができる吸着剤であって、特に圧力スイン 吸着(PSA)法における吸着剤を提供すること 目的とするものである。

 本発明者らは、上記目的を達成すべく、 粋なイモゴライトの合成においては110℃未 の温度で合成する必要があるという現象を とに、SiおよびAlの結合状態としてイモゴラ イトと同じ構造を部分的に含む非晶質アルミ ニウムケイ酸塩を110℃以上で加熱合成するこ とを検討した結果、中湿度領域および高湿度 領域において優れた吸着性能を有する、低結 晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ 酸塩の複合体からなる物質の合成法を開発す ることに成功し、本発明を完成するに至った 。

 すなわち、上記課題を解決するための本発 は、以下のとおりである。
[1]低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウ ムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複 合体。
[2]X線源としてCuを用いた粉末X線回折図形に いて、2θ=20、26、35、39°付近に4つのブロー なピークを有することを特徴とする上記[1] アルミニウムケイ酸塩複合体。
[3] 29 Si固体NMRスペクトルにおいて-78ppm付近および- 84~-94ppmの範囲にピークを有する上記[1]又は[2] のアルミニウムケイ酸塩複合体。
[4]モノケイ酸水溶液とアルミニウム溶液をSi/ Al比が0.7~1.0となるように混合し、酸又はアル カリを添加してpHを6~8に調整し、その後脱塩 理したものを110℃以上で加熱することによ て得られるものであることを特徴とする上 [1]~[3]のいずれかのアルミニウムケイ酸塩複 合体。
[5]上記[1]~[4]のいずれかのアルミニウムケイ 塩複合体からなることを特徴とする吸着剤
[6]相対湿度60%において水蒸気吸着量が45wt%以 を有することを特徴とする上記[5]の吸着剤
[7]上記[1]~[4]のいずれかのアルミニウムケイ 塩複合体からなることを特徴とするデシカ ト空調用吸着剤。
[8]上記[1]~[4]のいずれかのアルミニウムケイ 塩複合体からなることを特徴とする二酸化 素吸着剤。
[9]圧力に依存して二酸化炭素を吸着・脱離す る吸着剤であって、1気圧(大気圧)~10気圧にお ける吸脱着可能量が12wt%以上であることを特 とする上記[8]の二酸化炭素吸着剤。
[10]上記[1]~[4]のいずれかのアルミニウムケイ 塩複合体からなることを特徴とするガス吸 剤。

 本発明により得られる低結晶性層状粘土 物と非晶質アルミニウムケイ酸塩との複合 は、相対湿度60%において45wt%以上の優れた 蒸気吸着性能を有しており、また80℃程度の 温度で脱水が可能であることからデシカント 空調用吸着剤として用いることができる。ま た、100kPa~900kPaにおいて12wt%以上の優れた二酸 化炭素吸脱着可能量を有しており、二酸化炭 素吸着剤として用いることができる。さらに は、アンモニアやホルムアルデヒドなどのガ ス吸着剤や、有害汚染物質の吸着剤、脱臭剤 、メタンなどのガス貯蔵剤を提供できる。

実施例1の粉末X線回折図形を示す図。 実施例1の 29 Si固体NMRスペクトルを示す図。 比較例1の粉末X線回折図形を示す図。 比較例1の 29 Si固体NMRスペクトルを示す図。 実施例1、比較例1及び比較例2について 水蒸気吸着等温線を示す図。 実施例1及び比較例3の真空圧を基準と た二酸化炭素吸着・脱離量の曲線を示す図 実施例1及び比較例3の大気圧を基準と た二酸化炭素吸着・脱離量の曲線を示す図

 次に、本発明について更に詳細に説明する
 本発明における低結晶性層状粘土鉱物と非 質アルミニウムケイ酸塩との複合体からな 物質のうち、非晶質アルミニウムケイ酸塩 、構成元素をケイ素(Si)、アルミニウム(Al) 酸素(O)及び水素(H)とし、多数のSi-O-Al結合で み立てられた水和ケイ酸アルミニウムであ 。低結晶性層状粘土鉱物は、水酸化アルミ ウムからなる単層あるいは数層程度のギブ イトあるいは層方向の積層をほとんど示さ い低結晶性の層状粘土鉱物である。

 この低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アル ニウムケイ酸塩との複合体は、無機ケイ素 合物溶液と無機アルミニウム化合物溶液をS i/Al比が0.7~1.0となるように混合し、酸又はア カリを添加してpHを6~8に調整し、その後脱 処理したものを110℃以上にて加熱すること より人工的に得ることが可能である。

 本発明では、低結晶性層状粘土鉱物と非晶 アルミニウムケイ酸塩との複合体は、相対 度60%において45wt%以上の水蒸気を吸着する 能を有し、また1気圧~10気圧における吸脱着 能量が12wt%以上であるものであって、従来 知のチューブ状アルミニウムケイ酸塩であ イモゴライトや100℃程度で加熱するとイモ ライトとなるプロトイモゴライト、さらに 非晶質アルミニウムケイ酸塩とは異なる高 着性物質である。
 すなわち、本発明者らが鋭意検討を重ねた 果、非晶質アルミニウムケイ酸塩の組成と 結晶性層状粘土鉱物を生成する組成とを混 させた組成比で前駆体を調整し、かつ低結 性層状粘土が形成される温度領域において 熱することにより、低結晶性層状粘土鉱物 非晶質アルミニウムケイ酸塩との複合化を い、その結果、従来では得られなかった、 れた水蒸気吸湿挙動を有する物質の提供が 能となったものである。

 本発明において、加熱前の複合体前駆物質 調製には、原料として、通常、無機ケイ素 物と無機アルミニウム化合物が用いられる
 ケイ素源として使用される試剤は、ケイ酸 あればよく、具体的には、オルトケイ酸ナ リウム、メタケイ酸ナトリウム、無定形コ イド状二酸化ケイ素(エアロジル等)、水ガ ス等が好適なものとして挙げられる。
 また、上記ケイ酸塩分子と結合させるアル ニウム源は、アルミニウムイオンであれば く、具体的には、例えば、塩化アルミニウ 、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムお びアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム 合物が挙げられる。これらのケイ素源及び ルミニウム源は、上記の化合物に限定され ものではなく、それらと同効のものであれ 同様に使用することができる。

 これらの原料を適切な水溶液に溶解させ 所定の濃度の溶液を調製する。本目的を満 す優れた吸着挙動を示す複合体を合成する は、ケイ素/アルミニウム比は0.7~1.0となる うに混合することが必要である。溶液中の イ素化合物の濃度は1~500mmol/Lで、アルミニウ ム化合物の溶液の濃度は1~1000mmol/Lであるが、 好適な濃度としては1~300mmol/Lのケイ素化合物 液と、1~500mmol/Lのアルミニウム化合物溶液 混合することが好ましい。これらの比率及 濃度に基づいて、アルミニウム化合物溶液 ケイ素化合物溶液を混合し、酸又はアルカ を添加してpHを6~8に調整して、前駆体を形成 した後、遠心分離、濾過、膜分離等により、 溶液中の共存イオンを取り除き、その後、回 収した前駆体を弱酸性~弱アルカリ性水溶液 分散させたものが、低結晶性層状粘土鉱物 非晶質アルミニウムケイ酸塩との複合体と る前駆体物質を含む懸濁液である。

 この前駆体物質を含む懸濁液を、110℃以 で加熱することにより、低結晶性層状粘土 物と非晶質アルミニウムケイ酸塩との複合 を生成することができ、目的の水蒸気吸着 性および二酸化炭素吸着特性において優れ 吸着剤を得ることができる。

 次に、本発明を実施例及び比較例に基づい 具体的に説明するが、本発明は、以下の実 例によって何ら限定されるものではない。
 (実施例1)
 Si源として360mmol/Lのオルトケイ酸ナトリウ 水溶液100mLと、Al源として450mmol/Lの塩化アル ニウム水溶液100mLを用いた。塩化アルミニ ム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液 加え、約10分間攪拌を行った。このときのSi/ Al比は0.80である。攪拌後、1Nの水酸化ナトリ ム水溶液を1mL/分の速さで滴下し、pHが6程度 になるまで添加した。水酸化ナトリウム水溶 液の滴下量は6mLであった。このようにして生 成させた前駆体懸濁液を遠心分離にて1回脱 処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用 て、回転速度3000rpm、時間10分で行った。脱 処理後前駆体を純水に分散させ全体で1Lとな るようにし、10分攪拌を行い前駆体懸濁液を 成した。
 調整した1Lのイモゴライト前駆体懸濁液を 100mL用テフロン(登録商標)製容器に70mL測り取 った後、ステンレス製回転反応容器に設置し 、120℃で2日間加熱を行った。反応後、遠心 離にて3回洗浄し、60℃で1日乾燥させた。

 得られた生成物については、粉末X線回折測 定を行った。図1に得られた生成物の粉末X線 折図形を示す。
 図1に見られるように、2θ=20、26、35、40°付 にブロードなピークが見られる。このうち2 0および35°に見られるピークは層状粘土鉱物 hk0面の反射から得られるものであり、層状 土鉱物に一般的に見られる00l反射が見られ いことから、積層方向の厚さがほとんどな 低結晶性の層状粘土鉱物であると推定され 。また2θ=26、40°付近のブロードなピークは 非晶質なアルミニウムケイ酸塩に特徴的なピ ークである。以上の結果から実施例1の物質 低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウ ケイ酸塩からなることが確認された。

 また、実施例1で得られた生成物について 29 Si固体NMR測定を行った。図2に得られた生成物 の 29 Si固体NMR測定によるスペクトルを示す。
 実施例1で得られた物質において、ピークが -78ppm付近、-86ppm付近、-91ppm付近に見られた。 -78ppm付近に見られるピークはイモゴライトお よびプロトイモゴライトに特徴的な構造を示 すものであり、また-86ppm付近および-91ppm付近 見られるピークは層状ケイ酸塩に見られるピ ークである。

 (実施例2)
 Si源として360mmol/Lのオルトケイ酸ナトリウ 水溶液100mLと、Al源として424mmol/Lの塩化アル ニウム水溶液100mLを用いた。塩化アルミニ ム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液 加え、約10分間攪拌を行った。このときのSi/ Al比は0.85である。攪拌後、1Nの水酸化ナトリ ム水溶液を1mL/分の速さで滴下し、pHが6程度 になるまで添加した。水酸化ナトリウム水溶 液の滴下量は6.3mLであった。このようにして 成させた前駆体懸濁液を遠心分離にて1回脱 塩処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用 いて、回転速度3000rpm、時間10分で行った。脱 塩処理後前駆体を純水に分散させ全体で1Lと るようにし、10分攪拌を行い前駆体懸濁液 作成した。
 調整した1Lのイモゴライト前駆体懸濁液を 100mL用テフロン(登録商標)製容器に70mL測り取 った後、ステンレス製回転反応容器に設置し 、180℃で18時間加熱を行った。反応後、遠心 離にて3回洗浄し、60℃で1日乾燥させた。

 得られた生成物については、粉末X線回折 測定を行ったところ、実施例1と同様に、2θ=2 0、26、35、40°付近にブロードなピークが見ら れた。

 (比較例1)
 同じ前駆体懸濁溶液を100℃で2日間加熱した ものを比較例1とし、比較例1の非晶質アルミ ウムケイ酸塩を以下のようにして得た。
 Si源として0.36mol/Lのオルトケイ酸ナトリウ 水溶液100mLと、Al源として0.45mol/Lの塩化アル ニウム水溶液100mLを用いた。塩化アルミニ ム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液 加え、約10分間攪拌を行った。このときのSi/ Al比は0.80である。攪拌後、1Nの水酸化ナトリ ム水溶液を1mL/分の速さで滴下し、pHが6程度 になるまで添加した。水酸化ナトリウム水溶 液の滴下量は6mLであった。このようにして生 成させた前駆体懸濁液を遠心分離にて1回脱 処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用 て、回転速度3000rpm、時間10分で行った。脱 処理後前駆体を純水に分散させ全体で1Lとな るようにし、10分攪拌を行い前駆体懸濁液を 成した。
 調整した1Lのイモゴライト前駆体懸濁液を 100mL用テフロン(登録商標)製容器に70mL測り取 った後、ステンレス製回転反応容器に設置し 、100℃で2日間加熱を行った。反応後、遠心 離にて3回洗浄し、60℃で1日乾燥させた。

 得られた生成物については、粉末X線回折測 定を行った。図3に得られた生成物の粉末X線 折図形を示す。
 図3に見られるように、2θ=26、35、40°付近に ブロードなピークが見られる。この2θ=26、40 付近のブロードなピークは非晶質なアルミ ウムケイ酸塩に特徴的なピークである。以 の結果から比較例1の物質は非晶質アルミニ ムケイ酸塩からなる物質であることが確認 れた。

 また、比較例1で得られた生成物について、 29 Si固体NMR測定を行った。図4に得られた生成物 の 29 Si固体NMR測定によるスペクトルを示す。
 比較例1で得られた生成物の 29 Si固体NMR測定によるスペクトルでは、-78ppm付 、-85ppm付近にピークが見られた。-78ppm付近 見られるピークはイモゴライトおよびプロ イモゴライトに特徴的な構造を示すもので り、また-85ppm付近に見られるピークは層状 イ酸塩に見られるピークであると推測され 。

 (水蒸気吸着評価)
 実施例1で得られた低結晶性層状粘土鉱物と 非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体 、比較例1で得られた非晶質イモゴライトお び比較例2として用いた合成モンモリロナイ について、日本ベル社製Belsorp18により測定 行った水蒸気吸着等温線から水蒸気吸着評 を行った。図5に、その結果を示す。
 実施例1で得られた低結晶性層状粘土鉱物と 非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体 の相対湿度60%における吸着量は46.1wt%であっ 。これに対し比較例1のイモゴライトの相対 度60%における吸着量は34.8wt%、比較例2の合 モンモリロナイトの相対湿度60%における吸 量12.2wt%であった。
 上記吸着評価より、実施例1で得られた物質 の水蒸気吸着性能は、非晶質アルミニウムケ イ酸塩および層状粘土鉱物を混合することに よって得られることはできず、2つの物質に る複合体を形成することによって初めて得 れる性質であることが明らかとなった。
 また、本実施例の結果、低結晶性層状粘土 物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる 合体により相対湿度60%において45wt%以上の 着量を有していることが示された。

 (デシカント空調用吸着剤としての評価)
 デシカント空調用吸着剤としては、温度25 相対湿度60%での吸着量が多く、かつ低温で 生可能であることが必要である。デシカン 空調用吸着剤の評価として、以下の測定を なった。
 空の秤量瓶の重さを測定した後に、約0.3gの 粉末試料を入れ、100℃に設定した乾燥器に1 間入れ乾燥させた後、重量を測定し乾燥重 を求めた。次に、100℃で乾燥させた試料を25 ℃相対湿度60%に設定した恒温恒湿槽に1時間 れ水蒸気を吸着させた後、重量を測定し吸 量を求めた。さらに80℃に設定した乾燥器に 1時間入れ乾燥させた後、重量を測定し脱水 を求めた。吸着率については吸水量/乾燥重 、脱水率については脱水量/吸水量により求 めた。実施例1、実施例2、比較例1の吸水率、 脱水率を以下の表1に示す。

 以上のように、80℃で吸着した水の90%以 が脱水しており、デシカン戸空調用吸着剤 して適したものであることが明らかとなっ 。

 (二酸化炭素吸着・脱離評価)
 実施例1で得られた低結晶性層状粘土鉱物と 非晶質アルミニウムケイ酸塩との複合体、お よび比較例3として市販のゼオライト13Xを用 た。測定は、日本ベル製Belsorp HPにて、温度 25℃、圧力0~900kPa、平衡時間300秒にて、吸脱 量の測定を行なった。
 また上述の前処理としては110℃にて2時間真 空引きを行った。

 測定結果として得られた真空圧を基準とし 圧力と吸着量を図6に示す。また大気圧を基 準とした圧力と吸着量を図7に示す。
 図6より明らかなように、低結晶性層状粘土 鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩との複合 体は、二酸化炭素吸着時において圧力100~900kP aの範囲にて12.2wt%の吸着量を有し、かつ脱着 における100kPaの吸着量は吸着時における100k Paの吸着量を基準とすると0.1wt%とほとんどヒ テリシスがないことを示している。以上の とから、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質ア ミニウムケイ酸塩との複合体は、100kPa~900kPa における吸脱着可能量が12wt%以上であること 示された。
 一方比較例3のゼオライト13Xは、二酸化炭素 吸着時において圧力100~900kPaの範囲にて5.4wt% 吸着量を有していた。
 以上から低結晶性層状粘土鉱物と非晶質ア ミニウムケイ酸塩との複合体は、100kPa~900kPa における吸脱着可能量がゼオライト13Xに比べ て2倍以上多いことが示された。

 本発明は、中湿度および高湿度領域にお て高性能な吸着性を有する低結晶性層状粘 鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からな 複合体であり、デシカント空調用の除湿剤 よび圧力スイング用の二酸化炭素吸着剤の ならず、アンモニアやホルムアルデヒドな のガス吸着剤を提供するものとして有用で る。