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Patent Searching and Data


Title:
ANTI-ANGIOGENIC AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084574
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a composition having an anti-angiogenic activity, which is safe even when ingested for a long period, and can exert a prophylactic or therapeutic effect on a disease associated with angiogenesis to a satisfactory level even when administered in an oral route. Also disclosed is an anti-angiogenic agent comprising the composition. Further disclosed is a food or beverage having an anti-angiogenic activity, which comprises the composition. The composition having an anti-angiogenic activity comprises a β-glucan derived from a fruit body and/or a mycelium of a cauliflower mushroom or a material containing the β-glucan.

Inventors:
YAMAMOTO KYOSUKE
KIMURA TAKASHI
Application Number:
PCT/JP2007/067173
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
September 04, 2007
Export Citation:
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Assignee:
UNITIKA LTD (JP)
YAMAMOTO KYOSUKE
KIMURA TAKASHI
International Classes:
C08B37/00; A23L1/30; A61K31/716; A61K36/06; A61P9/10; A61P9/14; A61P17/06; A61P19/02; A61P27/02; A61P29/00; A61P35/00; A61P35/04; A61P43/00
Foreign References:
JP2000217543A2000-08-08
JP2004307453A2004-11-04
JP2004043441A2004-02-12
Other References:
NAOHITO OHNE ET AL.: "Antitumor 1, 3-beta-Glucan from Cultured Fruit Body of Sparassis crispa", BIOL. PHARM. BULL., vol. 23, no. 7, 2000, pages 866 - 872, XP003022924
YAMAMOTO K. ET AL.: "Sparassis crispa beta-glucan no Kekkan Shinsei Sogai Sayo", THE PHARMACEUTICAL SOCIETY OF JAPAN NENKAI YOSHISHU, vol. 127, no. 4, 5 March 2007 (2007-03-05), pages 60, XP003022925
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-shimbashi 1-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体に由来するβ-グルカン又はβ-グルカン含有物を含む血管新生阻害活性を有する組成物。
 請求項1に記載の血管新生阻害活性を有する組成物を有効成分として含む血管新生阻害剤。
 経口投与されるものである請求項2記載の血管新生阻害剤。
 請求項1に記載の血管新生阻害活性を有する組成物を含有する血管新生阻害効果を有する飲食品。
 ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体に由来するβ-グルカン又はβ-グルカン含有物を含む血管新生阻害活性を有する組成物を有効量投与することを含む血管新生病の治療方法。
 ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体に由来するβ-グルカン又はβ-グルカン含有物を含む血管新生阻害活性を有する組成物の血管新生阻害剤の製造のための使用。
Description:
血管新生阻害剤

 本発明は、血管新生阻害活性を有する組 物並びにそれを含有する血管新生阻害剤及 飲食品に関する。

 血管新生とは、すでに胎生期や成育過程 完成された血管から何らかの刺激に伴って しい血管が枝を伸ばすように作られること ある。女性性周期や皮膚の切傷の治癒過程 どにおいて見られるものであるが、多くの 気とも関わっている。そのような病気は血 新生病と呼ばれており、失明につながる糖 病性網膜症や加齢性黄斑変性症、尋常性乾 、関節リウマチ、腫瘍または癌の増殖・転 などが該当する。新生血管の形成は、腫瘍 しくは癌、組織などへの栄養供給を行うと う役割を有することから、それらの増殖・ 大化に不可欠である。従って、このような 生血管の形成を抑制することができれば、 瘍もしくは癌の増殖・転移、慢性炎症、網 症などの病態を抑制することができると考 られている。

 腫瘍もしくは癌細胞は、1~2 mm 3 程度の大きさになると血管を新生する必要が 生じる。すなわち、腫瘍もしくは癌細胞は血 管新生促進物質を産生し、それ自体が成長し ていくために必要な酸素や栄養を運搬するた めの血管の新生を誘導する。それによって、 これらの細胞の増殖は促進される。このよう に、血管新生は腫瘍もしくは癌の増大に必須 であるが、転移にも深く関与している。なぜ ならば、原発巣で増大した腫瘍もしくは癌が 周辺結合組織へ浸潤後、血管内に侵入すると 、癌細胞は血管を通じて他の組織へ移動しう るからである。さらに、その転移巣の増大に も血管新生が関与する。

 また、糖尿病患者が網膜症を発症し、網 の毛細血管が閉塞をきたして低酸素状態に ると、網膜の酸素不足を補うために血管新 が生じる。こうして生じた新生血管は硝子 組織の癒着を引き起こし、またもろく出血 やすいため、症状が進行すると緑内障の発 や失明の危険性がある。さらに加齢性黄斑 性症では、網膜やブルッフ膜に加齢性の変 が生じ、脈絡膜からの血管新生が誘導され 。この新生血管からの出血が繰り返される 、最終的には網膜の視細胞が破壊されて失 につながる。

 血管新生においては、さまざまな促進及 抑制因子が知られている。促進因子として 、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖 子(FGF)、腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイ キン-8(IL-8)などのサイトカイン、マトリック メタロプロテアーゼ(MMP)などのプロテアー などが知られ、抑制因子としては、インタ フェロンα/β(IFN-α/β)やインターロイキン-12( IL-12)、形質転換増殖因子-β(TGF-β)などのサイ カイン、インターフェロンインデューシブ プロテイン-10(IP-10)、プラスミノーゲンアク チベータインヒビター(PAI)などのタンパク質 知られている。

 また、血管新生のプロセスは、がんや間 から産生される血管新生促進因子によって 管新生のスイッチが入る、MMPやプラスミノ ゲンアクチベータの関与により血管内皮細 下の基底膜が消化される、血管内皮細胞が 走・増殖する、血管内皮細胞が管腔を形成 る、という4つのステップに分けられる。こ れらの各段階において、上記の血管新生促進 因子及び抑制因子が複雑に作用し合うことが 知られている。

 通常は、抑制因子の発現は促進因子より 進しているが、血管新生病の場合には、促 因子の発現が抑制因子の発現より亢進して ることが明らかになってきている。従って 血管新生抑制因子を生体に投与して血管新 を抑制することが、血管新生病に対する効 的な治療法として期待されており、これま にも腫瘍または癌の増殖や転移に対する血 新生阻害物質の効果に関して様々な研究が われてきた。その場合、上記の4つのステッ プの内、いずれを阻害しても良いと考えられ る。

 これまでの研究においては、アンギオス チン(非特許文献1及び2)、エンドスタチン( 特許文献3)、アスペルギルス・フミガトゥス (Aspergillus fumigatus)に由来するフマギリン(fumag illin)及びその合成誘導体であるTNP-470(非特許 献4)、サイトジェニン(非特許文献5)、メタ プロテアーゼ阻害薬であるバチマスタット(B B-94)及びマリマスタット(BB-2516)(非特許文献6 び7)、などの合成化学物質の他、血管新生因 子(EGF、TGF-α、VEGFなど)とそれらに対応するレ セプターの結合を阻害するモノクローナル抗 体(非特許文献8)が、血管新生阻害物質として 知られている。しかしながら、これらの物質 は、副作用などを考慮しなければならないた め、容易には使用できないという欠点が存在 した。

 このほかに、副作用の心配がほとんどな という特徴のため、食品由来の物質から血 新生阻害作用を有する物質を探す試みが行 れてきた。例えば、サメ軟骨(非特許文献9) 緑茶成分であるエピガロカテキン(EGC)やエ ガロカテキンガレート(EGCG)(非特許文献10)、 豆のイソフラボンの一種であるゲニステイ (非特許文献11及び12)、アガリクス・ブラゼ 由来のエルゴステロール(非特許文献13)やピ ログルタミン酸(非特許文献14)などに、血管 生阻害作用が存在することが報告された。

 一方、キノコ類は古くから薬用/食用とし て利用されており、1970年代からそれらに含 れているβ-グルカンが抗腫瘍作用を発揮す ことが示された。

 β-グルカンとは、β-グルコースがグリコ ド結合により直鎖状に重合した多糖類の総 であり、その結合様式によって、β-1,3-グル カン、β-1,4-グルカン、β-1,6-グルカンなどに 類される。例えば、β-1,3-結合により重合し ている場合にはβ-1,3-グルカンと呼ばれる。 た、これらのβ-グルカンは、分岐したβ-グ コース残基を有する場合もある。例えば、β -1,3-グルカンにβ-1,6-結合でグルコースが1か 数残基付加している場合などであり、この 合はβ-1,6-分岐β-1,3-グルカンと呼ばれる。β- グルカンは、種々の生物、特に植物、真菌類 、細菌類の細胞壁の構成成分として豊富に含 まれており、水や有機溶媒などに対してはわ ずかしか溶けず、熱に対しては安定な性質を 持っている。

 なお、抗腫瘍性を発揮するβ-グルカンの くはβ-1,3結合を主鎖とし、その2~3残基毎に -1,6結合によって繋がったグルコースの側鎖 有するものであり、このようなβ-グルカン タンパク質が結合して複合体となっている のも知られている。このようなβ-1,6結合を 鎖に持ったβ-1,3グルカンを注射もしくは経 で担癌マウスに投与すると、免疫担当細胞 活性化させて抗腫瘍作用を示すことが次々 証明され、クレスチン、レンチナン、シゾ ィラン(いずれも商品名)などのβ-1,3-グルカ 含有製剤が抗悪性腫瘍剤として実用化され 。また、近年になって、アガリクス、メシ コブ、霊芝、ハナビラタケなどに含まれる -グルカンに抗腫瘍作用を期待し、それらの ノコ類の子実体や菌糸体の乾燥物や抽出物 健康食品素材として利用されるようになっ きた(例えば、特許文献1、2及び3)。

 上記したキノコ類の中でもハナビラタケ 、そのβ-グルカン含量が子実体乾燥粉末当 り43質量%以上と非常に高含有であり、その 造はβ-1,6-分岐β-1,3-グルカンであることが られている。また、担癌マウスを用いた抗 瘍試験で顕著な活性が認められており、医 品分野での用途も提案されている(特許文献4 及び5、非特許文献15)。

 このように、β-グルカンの生理活性につい は、その免疫賦活作用が特に注目されてい ためか、β-グルカンの抗腫瘍作用における 管新生阻害作用の関与について検討された 告は、クレスチンに関するものしかあらず 投与経路も腹腔内投与に限られている(非特 許文献16)。
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特開2001-10970号公報

特開2001-131083号公報

特開2003-183176号公報

特開2000-217543号公報

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 これまでに血管新生阻害作用が明らかに れたβ-グルカン含有組成物としてはクレス ンが挙げられ、血管新生病の予防または治 に有効であると考えられるが、その血管新 阻害作用については腹腔内投与による効果 か検証されておらず、経口投与による効果 不明確である。また、上記したβ-グルカン 外の血管新生阻害作用を有する化合物も同 に、血管新生病の予防または治療に有効で ると考えられるが、いずれの化合物も、継 的に、例えば食品として長期間摂取し続け 際の安全性については必ずしも保証されて るものではなく、また経口投与による効果 充分でない化合物も多い。いずれにせよ、 在のところ経口投与によって血管新生を阻 できる素材は極めて少なく、経口投与によ て顕著な血管新生阻害作用を発揮できる素 が求められている状態にある。

 本発明は、このような実情に鑑みなされ ものであり、長期間摂取し続けても安全で かつ経口投与によって、血管新生の異常な 進に伴って発症する糖尿病性網膜症、加齢 黄斑変性症、尋常性乾癬、関節リウマチ、 の増殖や転移などの予防及び治療効果を充 に発揮する血管新生阻害活性を有する組成 並びにそれを含有する血管新生阻害剤及び 管新生阻害効果を有する飲食品を提供する とを目的とするものである。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 規な素材の開発を求めて鋭意検討した結果 ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体から 得られたβ-グルカン含有組成物が血管新生を 顕著に阻害し、血管新生病に対する予防及び 治療効果を発揮するという事実を見いだした 。また、該組成物が経口投与でも充分な効果 を発揮することも新たに見出し、本発明に到 達した。

 本発明において血管新生病とは、糖尿病 網膜症、加齢性黄斑変性症、尋常性乾癬、 節リウマチ、癌の増殖や転移など、血管新 の異常な亢進によって発症または進行する 態のことを指すが、血管新生の亢進が原因 なる疾病であればこれらに限定されない。

 すなわち、本発明の第一の態様は、ハナ ラタケの子実体及び/又は菌糸体に由来する β-グルカン又はβ-グルカン含有物を含む血管 新生阻害活性を有する組成物を要旨とするも のである。

 本発明の第二の態様は、前記した本発明 血管新生阻害活性を有する組成物を有効成 として含む血管新生阻害剤を要旨とするも であり、好ましくは、経口投与されるもの ある。

 本発明の第三の態様は、前記した本発明 血管新生阻害活性を有する組成物を含有す 血管新生阻害効果を有する飲食品を要旨と るものである。

 本発明の第四の態様は、ハナビラタケの 実体及び/又は菌糸体に由来するβ-グルカン 又はβ-グルカン含有物を含む血管新生阻害活 性を有する組成物を有効量投与することを含 む血管新生病の治療方法を要旨とするもので ある。

 本発明の第五の態様は、ハナビラタケの 実体及び/又は菌糸体に由来するβ-グルカン 又はβ-グルカン含有物を含む血管新生阻害活 性を有する組成物の血管新生阻害剤の製造の ための使用を要旨とするものである。

 本発明によれば、優れた血管新生阻害活 を示す組成物が提供できる。また、古くか 薬用・食用として利用されているハナビラ ケを原料としているため、極めて安全性が いことから、飲食品に含ませて用いること できる他、経口投与剤に含ませて用いるこ もできる。従って、上記したような血管新 病を患った患者ごとに適した投与方法を選 することができる。

DAS法による血管新生誘導系において、 ナビラタケ由来のβ-グルカン含有物の経口 与が、血管新生の程度に与える影響を示し 図である。縦軸は、血管新生スコアを示す マトリゲルプラグ法による血管新生誘 系において、ハナビラタケ由来のβ-グルカ 含有物の経口投与が、マトリゲル重量に与 る影響を示した図である。縦軸は、マトリ ル重量(g)を示す。 マトリゲルプラグ法による血管新生誘 系において、ハナビラタケ由来のβ-グルカ 含有物の経口投与が、マトリゲル中のヘモ ロビン含量に与える影響を示した図である 縦軸は、マトリゲル中のヘモグロビン含量( mg/マトリゲル)を示す。 マウス転移モデル系において、ハナビラタケ 由来のβ-グルカン含有物の経口投与が、腫瘍 サイズの増大に与える影響を示した図である 。縦軸は腫瘍サイズ(mm 3 )を示す。 マウス転移モデル系において、ハナビ タケ由来のβ-グルカン含有物の経口投与が 肺への転移コロニー数に与える影響を示し 図である。縦軸は転移コロニー数(コロニー /肺)を示す。

 以下、本発明を詳細に説明する。

 本明細書において、特に断らない限り、比 、百分率、等は全て重量によるものである 用語「質量%」は、「重量%」と同義である
 ハナビラタケは、カラマツ等の針葉樹に生 るキノコであって、非常に希少なキノコで る。歯ごたえがよく、その純白の色合いと 牡丹のような形態が特徴である食用キノコ ある。これまで、このハナビラタケは成長 遅く人工栽培は非常に困難であるとされて たが、最近になって、比較的短期間で栽培 能な新しい栽培法が確立され、商業規模で 供給が可能となっている。

 本発明において用いられるハナビラタケ 実体は、天然のものでも栽培されたもので よい。人工栽培の方法としては、従来から られている人工栽培用の菌床を作成するこ により行うことができる(詳細は、例えば、 特開平11-56098号公報、日本特許第3746440号、日 本特許第3509736号参照)。

 また、本発明においては、ハナビラタケ 菌糸体も用いることができる。菌糸体は液 培養法によって得ることができる。培地に 用する炭素源としては、グルコースなどの 糖の他、デキストリン、グリセロールなど 常用いられる炭素源が使用できる。また、 素源としては無機又は有機窒素源が使用で るが、生育速度の観点からは有機窒素源を いるほうが好ましい。また、必要に応じて 量元素やビタミン等の生育因子を添加する とは通常の培養と何ら変わりはない。培養 度は15℃~30℃、好ましくは18℃~28℃、20℃~25 が最も好ましい。pHは2.5~8.0、好ましくは3.0~ 7.0、3.5~5.0が最も好ましい。培地成分には不 成分を添加することが均一に生育させるこ ができることから好ましい。培養期間は培 組成や菌株により、数日から数週間程度に 定されうる。

 なお、ハナビラタケのβ-グルカン含量は 人工栽培された子実体乾燥重量当たり43質 %以上であることが知られている。人工培養 た菌糸体におけるβ-グルカン含有量は、乾 重量当たり18質量%前後であることから、本 明のβ-グルカン含有組成物を高効率に抽出 るためには子実体を用いることが好ましい

 本発明で用いられるβ-グルカンあるいは -グルカン含有物を抽出するには、このよう して得られたハナビラタケの子実体あるい 菌糸体をそのまま抽出工程に移してもよい 、まず乾燥した後、破砕機などを用いてハ ビラタケの組織を機械的に破砕したものを 試してもよい。乾燥するには、熱風や凍結 燥のような方法が挙げられる。また、ここ 用いられる破砕機としては、ミキサーや石 などが挙げられる。

 本発明における抽出操作は、酵素を用い ハナビラタケ中のβ-グルカン以外の成分を 解させる方法を適用することが好ましい。 た、アルカリ溶液を用いてβ-グルカンを抽 することもできる。さらに、得られた抽出 に対してアルコール沈殿を行ったり、真空 燥や凍結乾燥を行ったりすることで、β-グ カン含有物を濃縮することができる。

 本発明における酵素処理で用いられる酵 の種類としては、市販されているα-アミラ ゼ、アミログルコシダーゼ、プロテアーゼ ど、ハナビラタケに含まれるβ-グルカン以 の多糖類やタンパク質成分の分解酵素を使 することが望ましい。このような酵素は単 で使用してもよいし、複数の酵素を組み合 せて使用することもできる。

 酵素処理に用いる酵素の量に特に制限は いが、ハナビラタケの乾燥粉末重量に対し 0.1~10質量%、0.2~5質量%を用いることが好まし く、0.5~2質量%がさらに好ましい。0.2質量%以 では酵素処理の効率が悪く、5質量%以上では コスト面での負担が高くなる。

 また、酵素処理は1種又は複数種の酵素を 用いて、複数回行うこともできる。複数回行 う場合は、ハナビラタケからの抽出でもよい し、ハナビラタケから得られた抽出画分ある いは抽出後のハナビラタケ残渣をさらに抽出 してもよい。また、それらを組み合わせて行 うことができる。

 抽出操作の際の温度は、特に制限はない 2~200℃が好ましく、25~150℃がさらに好まし 、60~100℃が最も好ましい。2℃以下では抽出 率が悪く、200℃以上では抽出物が熱変性し 状が変化したりなどする。抽出時間にも特 制限はないが、10分~12時間程度が好ましく 20分~6時間がさらに好ましく、30分~2時間が最 も好ましい。10分以下では抽出量が少なく、3 日間以上では作業効率が低い。また、抽出は 静置のまま行うこともできるが、撹拌又は振 盪などすることによって抽出効率を高めるこ とができる。

 本発明におけるアルカリ抽出で用いるア カリ成分としては、水酸化ナトリウム、水 化カリウム、水酸化カルシウムなどを用い ことができる。その溶液濃度としては、0.1~ 10Mが好ましく、0.5~5Mがさらに好ましく、1~2.5M が最も好ましい。0.1M以下では抽出効率が悪 、10M以上ではコスト面での負担が高くなる

 また、アルカリ抽出は複数回行うことも きる。複数回行う場合は、ハナビラタケか の抽出でもよいし、ハナビラタケから得ら た抽出画分あるいは抽出後のハナビラタケ 渣をさらに抽出してもよい。また、それら 組み合わせて行うことができる。特に、抽 物中のβ-グルカン含有量を高めるためには エタノール抽出を済ませたハナビラタケの 出残渣に対してアルカリ抽出を行うことが β-グルカンを高濃度で抽出できるため好ま い。

 アルカリ抽出操作の際の温度は、特に制 はないが2~100℃が好ましく、4~65℃がさらに ましい。2℃以下では抽出効率が悪く、100℃ 以上では抽出作業に危険性が伴う。抽出時間 にも特に制限はないが、30℃以下の低温域で 出する場合は6時間~5日間が好ましく、12時 ~3日間がさらに好ましく、1日間~2日間が最も 好ましい。6時間以下では抽出量が少なく、5 間以上では作業効率が悪い。逆に、30℃以 の高温域で抽出する場合は、10分~1日間程度 好ましく、20分~8時間がさらに好ましく、30 ~3時間が最も好ましい。10分以下では抽出量 が少なく、1日間以上では作業効率が低い。 た、抽出は静置のまま行うこともできるが 撹拌又は振盪などすることによって抽出効 を高めることができる。

 本発明の血管新生阻害活性を有する組成 は、以上のようにしてハナビラタケの子実 及び/又は菌糸体の乾燥粉末から得られた抽 出画分であるβ-グルカンあるいはβ-グルカン 含有物を含むものである。本発明においては 、以上のようにして得られた処理液を脱塩・ 濃縮することが好ましい。脱塩の方法として は、透析膜を用いる方法、カラムを用いた方 法などが挙げられる。濃縮の方法としては、 アルコール沈殿、乾燥などの周知の分離手段 が用いられる。具体的には以下のようにして 行うことができる。

 上記のようにして得られたハナビラタケ 子実体及び/又は菌糸体の処理液を一旦真空 乾燥処理により乾燥物とした後、適当量の水 に再懸濁し、透析膜を用いて脱塩処理を行う 。透析膜は、市販の透析用セルロースチュー ブを用いればよく、透析外液には蒸留水を用 いる。透析外液(蒸留水)を満たした容器に上 の処理液乾燥物を再懸濁した水溶液を入れ 透析膜(チューブ)を浸漬し、1~3日静置、あ いは攪拌下で放置する。これにより透析内 中の塩類を取り除くことが出来る。また、 析外液を3~4回交換することで、透析内液中 塩類を完全に除くことができる。

 次に、得られた透析内液からエタノール 殿によってβ-グルカンあるいはβ-グルカン 有物を沈殿させる。すなわち、上記で得ら た透析内液に、終濃度が80%になるようにエ ノールを添加し、室温に1時間静置する。そ の後、遠心分離(8000×g、10分)によって沈殿を 収し、上清を破棄することでβ-グルカン含 物が得られる。

 本発明の血管新生阻害活性を有する組成 は、通常、ハナビラタケの子実体または菌 体から得られたβ-グルカン含有物を0.01~100 量%配合するのが好ましい。さらに好ましく 、0.1~80質量%配合するのが好ましい。この範 囲であれば製剤化が容易であり、かつ十分な 効果を期待できる。

 本発明の血管新生阻害活性を有する組成 の形態は、適用の仕方に応じて種々の形態 することができる。経口投与する場合には 錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、 剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロ プ剤、エキス剤、エリキシル剤とすること できる。

 製剤には薬剤的に許容できる種々の担体 加えることができる。例えば、賦形剤、結 剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘 剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化 、コーティング剤を含むことができるが、 れらに限定されない。本発明の血管新生阻 活性を有する組成物を持続性、徐放性のも としてもよい。

 本発明の第二の態様の血管新生阻害剤は 上記した本発明の血管新生阻害活性を有す 組成物を含有するものである。この組成物 、上記したように、ハナビラタケの子実体 たは菌糸体に由来するものであり、ハナビ タケは古くから食用・薬用とされてきたこ から極めて安全な素材である。この点から 血管新生阻害活性を有する組成物の使用量 厳しく制限されるものではないと考えられ が、概ね、下限は予防又は治療という目的 応じた効果を発揮しうる量を、上限は使用 しやすさ、経済性等の観点から実際的な量 基準とし、通常、ハナビラタケ乾燥物に換 して成人1日あたり約0.01g~約100g、好ましく 約0.1g~約10gを使用すればよい。もちろん、使 用する者の年齢、体重、症状、使用期間、治 療経過等に応じて変化させることもできる。 1日あたりの量を数回に分けて投与すること できる。また、他の血管新生阻害剤(例えば 他のキノコ類から同様に抽出したβ-グルカ 含有組成物を含む血管新生阻害剤など)や、 転移阻害剤、抗悪性腫瘍剤、抗サイトカイン 剤、抗炎症剤など、血管新生病の予防や治療 に用いられる種々の薬剤並びに組成物と組み 合わせて使用することもできる。

 本発明の血管新生阻害剤は、服用の仕方 応じて種々の剤形にすることができる。中 も経口投与することが好ましく、その場合 は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸 、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、 ロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とする とができる。

 製剤には薬剤的に許容できる種々の担体 加えることができる。例えば、賦形剤、結 剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘 剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化 、コーティング剤を含むことができるが、 れらに限定されない。本発明の血管新生阻 剤を持続性、徐放性のものとしてもよい。

 本発明の第三の態様の飲食品は、上記し 本発明の血管新生阻害活性を有する組成物 含有するものである。ハナビラタケは古く ら食用・薬用とされてきたことから極めて 全な素材である。この点から、血管新生阻 活性を有する組成物の使用量は厳しく制限 れるものではないと考えられるが、概ね、 限は予防又は治療という目的に応じた効果 発揮しうる量を、上限は摂取のしやすさ、 済性等の観点から実際的な量を基準とし、 常、ハナビラタケ乾燥物に換算して成人1日 あたり約0.01g~約100g、好ましくは約0.1g~約10gを 摂取すればよい。もちろん、摂取する者の年 齢、体重、症状、投与期間、治療経過等に応 じて変化させることもできる。1日あたりの を数回に分けて摂取することもできる。

 本発明の飲食品は、加工飲食品、医薬部 品、医薬品に用いられる水性成分、油性成 、植物抽出液、動物抽出液、粉末、界面活 剤、油剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤 酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等を本発 の血管新生阻害活性を有する組成物ととも 原材料に配合することにより調製される。 態としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆 剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、 精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル などの健康飲食品類;麺類;パン類;無果汁飲 、果汁入り飲料、乳酸菌飲料、茶類飲料、 ーヒー飲料、豆乳飲料、スープ類等の飲料 ;スナック、クッキー、ガム、キャンディー の菓子類;アイスクリーム、シャーベット、 みぞれなど冷菓類;プリン、ババロア、ゼリ 、ヨーグルト、ケーキなどのデザート食品 及びその他のインスタント食品とすること できる。

 本発明の飲食品は、本発明の血管新生阻 活性を有する組成物及び上記した成分など ほかに、さらに、鉄、カルシウム等の無機 分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサ 等の食物繊維、大豆抽出物等のタンパク質 レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖 、乳酸菌を含んでいてもよい。

 また本発明の飲食品は、既存の健康食品 、飲料類、菓子類、冷菓類、デザート類及 その他インスタント食品類に、上記した本 明のβ-グルカン含有組成物を含む血管新生 害剤を含ませることによっても得ることが きる。

 さらに本発明の飲食品は、上記した本発 の血管新生阻害活性を有する組成物のほか 、他の血管新生阻害成分(他のキノコ類から 同様に抽出したβ-グルカン含有組成物を含む 血管新生阻害剤を含む)や、転移阻害剤、抗 性腫瘍剤、抗サイトカイン剤、抗炎症成分 他の有効成分を含ませるものであってもよ 、そうした場合、腫瘍壊死因子(TNF-α)、イン ターロイキン-8(IL-8)など複数の血管新生促進 子も同時に抑制することができることから より高い血管新生病予防効果及び治療効果 有する飲食品とすることができる。

 以下、本発明の実施例を挙げるが、これ は本発明を何ら限定するものではない。

 製造例1〔ハナビラタケ子実体の製造〕
ハナビラタケ子実体を以下のようにして製造 した。カラマツの大鋸屑、小麦粉、栄養分( ナナ、蜂蜜、エビオス、ペプトン、塩化カ シウム、ハイポネックス)及び水を、大鋸屑: 小麦粉:栄養分:水=100:11.5:1.9:51の重量比で含む 菌床基材を準備した。この菌床基材(520g)を、 850ml容のポリプロピレン製の培養瓶に入れ、 法に従って培養瓶を滅菌した後に、ハナビ タケの種菌(16g)を接種した。その後、この 養瓶を、23℃の温度下で、56日間放置するこ によりハナビラタケ子実体を収穫した。子 体の重量は培養瓶1本当たり140gであった。

 製造例2〔ハナビラタケ菌糸体の製造〕
ハナビラタケ菌糸体を以下のようにして製造 した。イーストエキス0.4質量%、グルコース2 量%、リン酸2水素カリウム0.1質量%、リン酸 素2ナトリウム0.1質量%となるように水に溶 し、1Nの塩化水素でpH5.0に調製し、500ml容三 フラスコにそれぞれ200ml入れ、常法に従って 滅菌した。この液体培地にハナビラタケの種 菌を生育させた平板培地から径6mmの寒天片を 打ち抜き、その一片を接種し、24℃の暗黒下 、21日間振とう培養(100rpm)することによりハ ナビラタケ菌糸体を収穫した。菌糸体の乾燥 重量は三角フラスコ1本当たり2gであった。

 実施例1〔ハナビラタケ子実体からのβ-グル カン含有物の抽出〕
ハナビラタケのβ-グルカン含有画分を以下の ようにして抽出した。製造例1のハナビラタ 子実体を凍結乾燥後、石臼を用いて粉末化 た。この0.25gを250mlの0.08Mリン酸緩衝液(pH6.0) 懸濁し、耐熱性α-アミラーゼ(SIGAM社製)を50 l添加して100℃で30分間反応させた。これを 温まで放冷した後、NaOH溶液を用いてpH7.5に 調整し、プロテアーゼ溶液(50mg/ml;SIGMA社製) 50μl添加して60℃で30分間反応させた。これ 再度室温まで放冷し、HCl溶液を用いてpH4.3に 再調整し、アミログルコシダーゼ液(SIGMA社製 )を50μl添加して60℃で30分間反応させた。得 れた酵素処理液に終濃度が80%になるように タノールを添加し、室温下に1時間静置後、 心分離(8000×g、10分)によって沈殿物を得た この沈殿をイオン交換水に再懸濁し、蒸留 に対する透析により塩や低分子性の物質を り除いた。この透析内液を回収し、再度終 度が80%になるようにエタノールを添加し、 温に1時間静置後、再度遠心分離(8000×g、10分 )によって沈殿物を得た。この沈殿物を真空 燥させ、得られた画分をβ-グルカン含有物 した。なお、本画分の収量は1.54g、収率は61. 6%であった。

 〔β-グルカン含有物の成分分析〕
製造例3で得たβ-グルカン含有物をイオン交 水に溶解し、糖含量、タンパク質含量をそ ぞれフェノール硫酸法、ブラッドフォード によって算出した。その結果、糖含量は94.0% 、タンパク質含量は3.9%であった。

 試験例1〔血管新生阻害作用(in vivo~DAS法)、 イカワ(Oikawa)ら、「Effects of cytogenin, a nove l microbial product, on embryonic and tumor cell-indu ced angiogenic responses in vivo」、Anticancer Res. (1997)、17:1881-1886の方法を一部改変〕
実施例1で得られたハナビラタケ子実体由来β -グルカン含有物を含む組成物のin vivoにおけ る血管新生阻害作用を検討するため、Dorsal A ir Sac(DAS)法により検討した。

 すなわち、ディフュージョンチャンバーリ グ(外径14 mm、内径10 mm、高さ2 mm、ミリポ 製)の両面に、MFセメント(ミリポア製)を用 てメンブレンフィルター(ポアサイズ0.45μm、 ミリポア製)を接着させ、内部に空洞を有す チャンバーを作製し、乾燥後、EOG滅菌した その後、このチャンバーに、PBSに1.33×10 7 個/mlの濃度で懸濁したB16-F10細胞(ATCCより購入 )を注射器で150μl注入し、注入口をナイロン で封入した。細胞注入後のチャンバーは、 ウスに移植するまで氷冷PBS中に静置した。 お、陰性対照としては、B16-F10細胞の代わり PBSを注入したチャンバーを用いた。

 マウスへのB16-F10細胞注入チャンバーの移 植は以下のように行った。まず、予め背部を 剃毛しておいたICRマウス(メス、7週齢、日本 スエルシー)の背部皮下に26G針と注射筒を用 いて尾根部から空気を8ml注入した。尾根部か ら頭側に1.5cmのところで皮膚を体軸と垂直方 に切開し、先のチャンバーを背部皮下に1匹 当たり2個移植した。切開した皮膚はスキン テープラーによって縫合したのち、ポビド ヨード(イソジン液)で消毒した。

 なお試験群は、1):PBS/水群(陰性対照群)、2 ):B16-F10/水群(陽性対照群)、3):B16-F10/β-グルカ 低用量群、4):B16-F10/β-グルカン高用量群の4 とし、チャンバー移植6日前から1)群と2)群 水を、3)群と4)群はハナビラタケβ-グルカン( それぞれ8mg/kg/day、160mg/kg/day)を、それぞれ移 6日後まで胃ゾンデを用いて連日経口投与(1 /日)した。

 移植後7日目にチャンバーを皮膚から丁寧 に剥離し、チャンバー移植部位の新生血管数 をカウントした。なお、長さ3mm以上の蛇行し た血管をチャンバー移植に伴う新生血管とし 、その本数をチャンバー移植部位ごとにカウ ントした。そして、群ごとに1チャンバー当 りの平均新生血管数と標準誤差を求めた。

 結果を、以下の図1に示す。図中、異なる 記号を付した群間には統計学的な有意差(p< 0.05)があることを示す。

 図1より、ハナビラタケの子実体由来のβ- グルカン含有物は、in vivoにおいて、癌細胞 よって誘導される血管新生を顕著に阻害す ことが示された。

 試験例2〔血管新生阻害作用(in vivo~マトリ ルプラグ法)、キムラ(Kimura)ら、「Isolation of an anti-angiogenic substance from Agaricus blazei Mur ill: Its antitumor and antimetastatic actions」、(200 4)、Cancer Sci.、95:758-764の方法に準ずる〕
 実施例1で得られたハナビラタケ子実体由来 β-グルカン含有物につき、上記した実施例1 は異なる実験系でも血管新生阻害作用が認 られるかどうかを確認するため、マトリゲ プラグ法によりさらに検討した。

 すなわち、VEGF(20ng/ml)とヘパリン(32U/ml)を トリゲル(日本BD製)に混合して氷上に静置し 、その0.5mlを麻酔下の7週齢の雌性C57BL/6Jマウ (日本クレア)に皮下注射して血管新生を誘 した。なお、陰性対照群にはVEGFを添加して ないマトリゲルを同様に皮下注射した。

 試験群は、1):マトリゲル/水群(陰性対照 )、2):VEGF添加マトリゲル/水群(陽性対照群)、 3):VEGF添加マトリゲル/β-グルカン低用量群、4 ):VEGF添加マトリゲル/β-グルカン高用量群の4 とし、チャンバー移植6日前から1)群と2)群 水を、3)群と4)群はハナビラタケβ-グルカン( それぞれ40mg/kg/day、160mg/kg/day)を、それぞれ移 植6日後まで胃ゾンデを用いて連日経口投与(1 回/日)した。

 移植後7日目にマトリゲルを摘出し、その 重量を測定した。また、マトリゲル中のヘモ グロビン含量をヘモグロビンアッセイキット (フナコシ製)により測定した。各測定結果に いて、群ごとに平均値と標準誤差を求めた

 結果を、以下の図2と図3に示す。図中、 なる記号を付した群間には統計学的な有意 (p<0.05)があることを示す。

 図2及び図3より、ハナビラタケの子実体 来のβ-グルカン含有物は、in vivoにおいて、 VEGFによって誘導される血管新生を顕著に阻 することが示された。

 試験例3〔転移阻害作用(in vivo)〕
 実施例1で得られたハナビラタケ子実体由来 β-グルカン含有物につき、転移阻害作用を検 討した。

 すなわち、5週齢の雌性C57BL/6Jマウスの右足 の皮下にB16-BL6細胞(大阪大学医学部保健学 より分譲)を1.5×10 5 個移植した。移植後は腫瘍サイズを以下の式 1に従って継時的に計測し、群ごとに平均値 標準誤差を求めた。移植24日後には腫瘍塊ご と右脚を切除し、さらにマウスの飼育を継続 した。移植から45日後にマウスを屠殺し、肺 の転移コロニー数を実体顕微鏡下で計測し 群ごとに平均値と標準誤差を求めた。

 試験群は、1):対照群、2):β-グルカン低用 (40mg/kg/day)群、3):β-グルカン高用量(160mg/kg/da y)群とした。投与はB16-BL6細胞を移植する5日 からマウスを屠殺する前日まで、胃ゾンデ 用いて連日経口投与(1回/日)した。なお、対 群にはPBSを投与した。

 結果を図4及び図5に示す。統計学的な有 差はアスタリスクで示す。

 図4及び図5より、ハナビラタケの子実体 来のβ-グルカン含有物は、腫瘍の増殖や転 を顕著に阻害することが示された。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2006年12月25日出願の日本特許出 (特願2006-347695)に基づくものであり、その内 はここに参照として取り込まれる。

 本発明は、血管新生病の治療に有効な、 れた血管新生阻害活性と安全性を有する組 物を提供する。