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Patent Searching and Data


Title:
ATARACTIC AGENT AND FUNCTIONAL FOOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126367
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are a pharmaceutical agent and a functional food each of which comprises a safe food component or nutrient having long experience of food production, and which has an ataractic activities including an anxiolytic activity, an antidepressant activity and an anti-stress activity. Specifically disclosed is an ataractic agent comprising a vitamin K as an active ingredient. The vitamin K is preferably menaquinone-4 and/or menaquinone-7. Also specifically disclosed is a supplement, health food or functional food for ataractic purposes, which comprises a vitamin K as an active ingredient.

Inventors:
SATO TOSHIRO (JP)
KAMO SHUICHI (JP)
KAWAHARA RUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000770
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
J OIL MILLS INC (JP)
SATO TOSHIRO (JP)
KAMO SHUICHI (JP)
KAWAHARA RUMI (JP)
International Classes:
A61K31/122; A23L33/15; A61P25/18; A61P25/22; A61P25/24
Domestic Patent References:
WO2006005185A12006-01-19
WO1996024345A21996-08-15
WO1998008522A11998-03-05
Foreign References:
JP2003226639A2003-08-12
JP2004501937A2004-01-22
JP2004515508A2004-05-27
JP2004534854A2004-11-18
JPH05155803A1993-06-22
JPH0873396A1996-03-19
JPH1192414A1999-04-06
JPH10295393A1998-11-10
JP2001136959A2001-05-22
Other References:
COCCHETTO D.M. ET AL.: "BEHAVIORAL PERTURBATIONS IN THE VITAMIN K-DEFICIENT RAT", PHYSIOLOGY & BEHAVIOR, vol. 34, no. 5, 1985, pages 727 - 734, XP024316197
SUMI H. ET AL.: "Sakekasurui, Tokuni Shochu Joryukasu o Genryo to shita Nattokinase Oyobi Vitamin K2 (Menaquinone-7) no Hakko Seisan", JOURNAL OF THE BREWING SOCIETY OF JAPAN, vol. 99, no. 12, 2004, pages 867 - 872, XP008115800
SHIRAKAWA H. ET AL.: "Sanka Stress ni yoru Shinkei Saibo no Apoptosis o Sogai suru Vitamin K no Sayo", VITAMINS, vol. 78, no. 3, 2004, pages 147 - 150
HIDEHIKO YOKOGOSHI: "Development and Prospects of Anti-stress Foods", 2006, CMC PUBLISHING CO., LTD
CARRIE, I, J. NUTR., vol. 134, 2004, pages 167 - 172
DENISOVA, NA; BOOTH, SL, NUTR. REV., vol. 63, 2005, pages 111 - 121
RUMI OZAKI ET AL., VITAMINS, vol. 80, 2006, pages 203
See also references of EP 2130533A4
Attorney, Agent or Firm:
NAKAJIMA, Shinsuke (Kyobashi NS Bldg. 3F 5-21, Kyobashi 2-chom, Chuo-ku Tokyo 31, JP)
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Claims:
 ビタミンKを有効成分として含有する精神安定剤。
 前記ビタミンKがビタミンK2である、請求項1に記載の精神安定剤。
 前記ビタミンKがメナキノン-4および/またはメナキノン-7である、請求項1に記載の精神安定剤。
 請求項1~3のいずれか一項の精神安定剤を含有するサプリメント、健康食品または機能性食品。
Description:
精神安定剤および機能性食品

 本発明は、精神安定剤およびこれを含有 る機能性食品に関し、より詳細には食品由 で安全性の高い精神安定剤およびこれを含 する機能性食品に関する。

 近年、精神的苦痛や肉体的苦痛からくる 度のストレスによって生じる精神疾患、特 うつ病、不安症、自律神経失調症などが増 、深刻な問題となっている。この様な背景 ら、化学物質を有効成分とする抗うつ薬や 不安薬が数多く開発され、使用されている 従来の医薬品は、副作用、依存性などの問 があることも知られている。

 安全な食品由来成分で上記の機能を有する のがあれば望ましい。抗うつ作用や抗不安 用の知られている食品または食品成分には GABA、朝鮮人参、セントジョーンズワート、 羅布麻エキスなどがある。また、抗ストレス 作用の知られている食品または食品成分には 、テアニン、大豆ペプチド、カカオポリフェ ノール、マツタケ、マイタケなどがある(非 許文献1)。しかし、いずれも、作用効果が緩 和である。
抗ストレス食品の開発と展望 横越英彦 修 シーエムシー出版(2006年)

 食経験豊富で安全な食品成分または栄養 で、抗不安、抗うつ、抗ストレス性などの 神安定作用を発揮するものが好ましいとこ 、そのような物質は現在知られていない状 にあって、本発明の目的は、より安全で食 験豊富な食品成分に由来し精神安定作用効 を高い物質を提供することにある。

 本発明者らは、食品から摂取されたビタ ンK1やビタミンK2が体内組織においてメナキ ノン-4(MK-4)へ変換されることを見出し、特に でMK-4の濃度が高くなっていることから、ビ タミンKの脳での機能解明を試みてきた。こ らの研究を経て、本発明者らは、ビタミンK は、抗不安、抗うつ、抗ストレス作用など 精神安定作用があることを見いだし、本発 に至った。すなわち、本発明は、ビタミンK を含有する精神安定剤を提供するものである 。

 本明細書では、「精神安定剤」の用語を 抗不安剤、抗うつ剤、抗ストレス剤等の上 概念の意味で使用する。

 従来知られている脳におけるビタミンKの 機能は、スフィンゴ脂質の濃度(Carrie, I et.al . (2004) J. Nutr. 134, 167-172)やスルファチドの 代謝への関与の示唆にとどまり、現在のとこ ろ明確ではない(Denisova, NA & Booth, SL (200 5) Nutr. Rev. 63, 111-121)。したがって、ビタミ ンKが脳で何らかの生理作用に関与すること 示唆されるものの、ヒトを含む動物にビタ ンKを投与することによって精神安定効果が られることは全く予見されていなかった。

 ビタミンKには、植物によって作られるビ タミンK1、微生物によって作られるビタミンK 2、および合成物のビタミンK3がある。ビタミ ンK2は、さらにイソプロノイド側鎖の長さの いによって、MK-4からMK-15まで分類される。 タミンKは、上記したように体内でMK-4に転 されるため、本発明の医薬に使用するビタ ンKは、ビタミンK1およびビタミンK2のいずれ でもよい。好ましくは、生理活性のより高い ビタミンK2であり、より好ましくは、メナキ ン-4および/またはメナキノン-7である。

 本発明は、また、上記精神安定剤を含有 るサプリメント、健康食品または機能性食 を提供する。

 本発明のビタミンKを有効成分として含有 する抗不安剤によれば、人体にとって安全性 の高い精神安定剤を得ることができる。ヒト が一日あたり必要とされるビタミンKの目安 は55~80μg(日本人の食事摂取基準2005年版)であ るが、許容上限摂取量は設定されておらず、 ビタミンKは安全性の高い物質といえる。し がって、本発明の精神安定剤は、従来知ら ている抗不安剤、抗うつ剤および抗ストレ 剤よりも安全性の点で優れる。

 脂溶性であるビタミンKは、従来の抗不安 剤、抗うつ剤、抗ストレス剤よりも体内に蓄 積されやすいため、作用が長続きするという 効果もある。

 本発明の精神安定剤は、また、機能性食 や健康食品として日常的に摂取することが めて容易であるので、うつ病などの疾病の 防も企図される。

本発明に従うビタミンK群および比較例 のコントロール群(媒体対照群)のマウスの飼 摂取1週間の体重変化を示すグラフである。 データは、10匹の平均値±標準偏差で示した コントロール群とメナキノン-4群あるいはメ ナキノン-7群の値を、Student’s t検定で解析 た結果、有意差は認められなかった。 本発明に従うビタミンK群および比較例 のコントロール群のマウスの恐怖条件付け誘 発無動時間(60秒毎)を示すグラフである。デ タは、平均値±標準誤差で示した。二元配置 分散分析の結果、メナキノン-4ならびにメナ ノン-7はコントロール群と比べてそれぞれ P<0.01およびP<0.05の危険率で有意に無動 間の短縮が認められた。

 以下に、本発明の精神安定剤の一実施形 を詳細に説明する。まず、本発明の精神安 剤に使用可能なビタミンKには、ビタミンK1~ K3がある。ビタミンK1は、緑黄色野菜、豆類 植物油、海藻類、魚介類などに多く含まれ 。ビタミンK1は、脂肪に可溶な淡黄色油状で あって、熱に対して安定であるが、光に対し ては不安定である。ビタミンK1は、酸化物で ってもよい。

 ビタミンK1は、青しそ、エゴマ、モロヘ ヤ、パセリ、春菊、小松菜、ほうれん草、 つ葉、アルファルファ、はしばみの葉、栗 葉、大麦の若茎、からす麦の若茎、キャベ 、ブロッコリー、カリフラワー、トマト、 物油(大豆油、ナタネ油、ゴマ油、落花生油 コーン油、サフラワー油、ひまわり油、米 か油、オリーブ油)などから、公知の方法( えば特開平5-155803)によって、抽出および精 される。ビタミンK1は、合成によっても得ら れる。本発明には、市販のビタミンK1も制限 く使用することができる。

 ビタミンK2には、ナフトキノン骨格につ 側鎖イソプレノイド基の長さに応じてメナ ノン-4(MK-4)からメナキノン-15(MK-15)の同族体 存在する。ビタミンK2は、微生物が産生し、 納豆や、チーズなどの乳製品に多く含まれる が、例えばチーズにはMK-6~MK-9が、納豆にはMK- 7が多量に含まれている。ビタミンK2は腸管内 の細菌によっても作り出される。

 ビタミンK2は、例えば特開平08-073396、特 平11-92414、特開平10-295393、特開2001-136959など 記載の方法に従って、納豆菌などの微生物 よって醗酵生産される。本発明には、市販 ビタミンK2も制限なく使用することができ 。

 食品から摂取されたビタミンK1やビタミ K2は、生体内で側鎖がはずれ、ゲラニル基に 転換され、MK-4に変換されることが知られて る。このため、MK-4は、ビタミンK依存性タン パク質のGla化とは別の直接的な作用があると 考えられ、活性型のMK-4とも言われる。MK-4を 接摂取するよりも、納豆由来のMK-7を摂取し た方が脳内でMK-4が顕著に増えることも知ら ている(小崎瑠美ら,(2006),ビタミン,80,203)。

 ビタミンK3は合成物である。ビタミンK3は 、多量に摂取すると副作用が心配される。よ って、これまでの食経験から、野菜から抽出 精製されるビタミンK1や納豆菌などを用いた 酵物から抽出されるビタミンK2が、安全性 より高い点で好ましい。さらに好ましくは 安価かつ容易に生産可能なビタミンK2が好ま しい。食経験のあるメナキノン-4(MK-4)および ナキノン-7(MK-7)の単独使用または併用が特 好ましい。

 本発明の精神安定剤には、必須成分のビ ミンKに加えて、抗うつ効果や抗ストレス効 果の従来知られている食品成分やハーブなど の一種または二種以上を添加してもよい。

 本発明の精神安定剤には、必須成分のビ ミンKや適宜の抗うつ効果や抗ストレス効果 のある食品成分やハーブ物質のほかに、薬理 学上使用可能な媒体、賦形剤、助剤などを、 本発明の効果を阻害しない範囲で添加するこ とができる。

 上記媒体などの具体例として、乳糖、シ 糖、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、白 、精製白糖、エリスリトール、キシリトー 、ソルビトール、マンニトール、パラチノ ス、還元パラチノース、粉末還元麦芽糖、 アメ、カルメロース、デキストリン、トウ ロコシデンプン、アルファー化デンプン、 分アルファー化デンプン、バレイショデン ン、コーンスターチ、ヒドロキシプロピル ターチ、アミノ酸、カオリン、無水ケイ酸 ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、重炭酸ナト ウム、リン酸カルシウム、リン酸二水素カ シウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウ 、水酸化アルミニウム、脂肪酸またはその 、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリ 、アルコール、植物油、オリーブ油、ダイ 油、トウモロコシ油、脂肪油、油脂、粘性 ラフィン、プロピレングリコール、エチレ グリコール、ポリエチレングリコール、グ セリンなどの担体または賦形剤;結晶セルロ ース、結晶セルロース・カルメロースナトリ ウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ ルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピル セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー スフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセ ルロースアセテートサクシネート、カルメロ ースナトリウム、エチルセルロース、カルボ キシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエ チルセルロース、コムギデンプン、コメデン プン、トウモロコシデンプン、バレイショデ ンプン、アルファー化デンプン、部分アルフ ァー化デンプン、ヒドロキシプロピルスター チ、デキストリン、プルラン、ポリビニルピ ロリドン、アミノアルキルメタクリレートコ ポリマーE、アミノアルキルメタクリレート ポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メ クリル酸コポリマー、ポリビニルアセター ジエチルアミノアセテート、ポリビニルア コール、アラビアゴム、アラビアゴム末、 天、ゼラチン、白色セラック、トラガント マクロゴールなどの結合剤;コムギデンプン コメデンプン、トウモロコシデンプン、合 ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニ ムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウ 、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素 ルシウム、ロウ類、水素添加植物油、ポリ チレングリコール、軽質無水ケイ酸、合成 イ酸アルミニウム、ステアリン酸、マクロ ール、タルク、ステアリン酸マグネシウム ステアリン酸カルシウム、含水二酸化ケイ 、ショ糖脂肪酸エステルなどの滑沢剤;潤滑 剤;結晶セルロース、メチルセルロース、低 換度ヒドロキシプロピルセルロース、カル ロース、カルメロースカルシウム、カルメ ースナトリウム、クロスカルメロースナト ウム、コムギデンプン、コメデンプン、ト モロコシデンプン、バレイショデンプン、 分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロ ルスターチ、カルボキシメチルスターチナ リウム、トラガントなどの崩壊剤;大豆レシ ン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸 リオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマ 油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピ ングリコール、セスキオレイン酸ソルビタ 、トリオレイン酸ソルビタン、モノステア ン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビ ン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソル ート、モノステアリン酸グリセリン、ラウ ル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールな の界面活性剤;乳化剤;リン酸ナトリウムな の溶解補助剤;吸収促進剤;塩酸、クエン酸、 クエン酸ナトリウム、酢酸、酒石酸、水酸化 ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナト リウム、炭酸ナトリウム、乳酸などのpH調整 ;天然樹脂などの光沢剤;安定化剤;酸化防止 ;保存剤;湿潤剤;着色剤;芳香剤;無痛化剤な が挙げられる。

 本発明の精神安定剤に含有されるビタミ Kの含有量は、組成物の摂取量によって変わ ってくるが、通常、0.0001~100重量%でよく、好 しくは0.001%~90重量%、より好ましくは0.01~70 量%、さらに好ましくは1~50重量%の範囲であ 。ビタミンKの含有量が0.0001重量%以下である と、抗不安、抗うつ、および/または抗スト ス効果を得るのに必要な量を摂取できない 合がある。

 本発明の精神安定剤は、医薬、サプリメ ト、機能性食品または健康食品として使用 るために、液剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、 プセル剤、シロップ剤などの形態に加工さ る。ビタミンKは脂溶性であるため、形態は 錠剤またはカプセル剤が好ましい。

 本発明の精神安定剤は、パン、米飯、ス プ、総菜、菓子、キャンディなどの一般加 食品の加工時に原料に直接添加されてもよ 。

 本発明の精神安定剤を医薬として使用す 場合の摂取方法は、特に限定されない。例 ば、経口摂取、経皮投与、輸液、注射(筋肉 内、腹腔内、皮下または静脈)などである。 ましくは、患者の負担が少ない点で、錠剤 たはカプセル剤の経口摂取である。

 本発明の精神安定剤の用途には、ヒトの つ病、不安症、神経症、恐怖症性不安障害 対人恐怖症、強迫性障害、パニック障害、 的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス 害、自律神経失調症、妄想状態、幻覚、躁 、てんかん、これらの症状に起因する不眠 、疲労、ふるえ、けいれん、発汗、動悸、 脈、疼痛、胸痛、頭痛、夜尿症などが挙げ れる。

 本発明の精神安定剤の医薬としての用量 法は、患者の症状、体重、投与間隔、投与 法、ならびに他の臨床的作用を左右する種 の因子を考慮して決定され得る。典型的に 、成人男性一日あたりのビタミンK摂取量と して、通常、10μg~100mgでよく、20μg~100mgが好 しい。治療目的で使用する場合は、6mg~100mg 使用可能であるが、さらに強い効果を求め 場合成人体重60kgの場合は、1800mgまで使用可 である。

 本発明の精神安定剤をサプリメント、機 性食品、健康食品または一般の食品に用い 場合には、安全性を考慮して、成人男性一 あたりのビタミンKの摂取量として、10μg~45m gが好ましく、50μg~45mgがさらに好ましい。

 本発明の精神安定剤は、ヒト以外にも、 畜動物、愛玩動物などの哺乳動物へ摂取す 抗不安、抗うつおよび/または抗ストレス性 の機能を有する医薬や機能性食品として用い てもよい。投与方法は、注射などの非経口摂 取、機能性食品や配合飼料の形態の経口摂取 がある。

 以下に、実施例を用いて本発明をより詳細 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。
〔実施例1〕
 外界の刺激は、感覚器を通して脳に入り、 桃体および海馬-外側中隔系に送られ、ここ で有益か有害かが判断される(これを生物学 価値評価という)。評価された情報は、扁桃 および海馬に記憶されると同時に、生体反 が起こり、情動表出として観察者により視 される。ヒトや動物は、経験により得られ 生物学的価値評価の情報を学習(獲得)し、 び同じ刺激を受けたときに扁桃体および海 -外側中隔系において比較され、このときの 応を条件付け情動反応という。例えば、ラ トやマウスを限定した箱に入れて、これら 嫌悪する電気刺激を負荷し、6日後に再度同 じ箱に入れると電気刺激されていないにもか かわらず、ある期間すくみ行動(無動)を起こ 。この無動を恐怖条件付け誘発無動という 現在、無動の時間の短縮を指標として、抗 安および抗うつ作用を評価する動物モデル 広く用いられている。例えば、市販抗うつ である塩酸ミルナシプラン30mg/kgの7日間の 口投与で改善されることが確認されている

 上記の不安評価系を用いて、本発明の精 安定剤に市販の抗うつ薬と同様の効果があ かどうかを調べた。具体的には、ビタミンK と媒体とからなる試料、ならびにコントロー ルとして媒体のみからなる試料を、それぞれ 、恐怖条件付けマウスに7日間、強制経口投 し、各試料のマウス無動時間への影響を調 た。

(準備)
 媒体として使用するメチルセルロース(製品 名:メトローズ(登録商標)SM-400、以下MCという) を、信越化学工業株式会社より購入し、0.5w/v %となるよう注射用水(株式会社大塚製薬工場 )に溶解した。

 本発明に従う抗不安剤の有効成分として いるビタミンKとして、メナキノン-4および ナキノン-7を、和光純薬工業より購入し、 要量を秤量後、0.5%MCに所定濃度となるよう 懸濁した。コントロール群には、媒体(0.5%MC) のみを投与した。

 10週齢の雄マウス(C57BL/6NCrlCrlj、SPFグレー )を、日本チャールス・リバー株式会社より 購入し、5日間の検疫期間、その後5日間馴化 、体重測定ならびに一般状態の観察を1日1 行い、体重推移および一般状態に異常の認 られない動物を実験に供した。

 マウス10匹/群の群分けは、コンピュータ( 前臨床試験CPシステム)を用いて無作為抽出法 により各群の平均体重がほぼ均一になるよう に行った。動物は、入手日に耳パンチ法およ び背部の毛刈法の併用により識別した。群分 け後は、油性インク(群毎に色を変える)を用 て尾部へ記入することにより識別した。

 飼育環境は、設定温度23℃(許容範囲:20~26 )、設定湿度55%(許容範囲:40~70%)、明暗各12時 (照明:午前6時~午後6時)、換気回数12回/時(フ ィルターにより除菌した新鮮空気)に維持さ た飼育室で動物を飼育した。動物は、検疫 馴化期間中および群分け後ともに、オート レーブ処理した床敷を入れた平床式プラス ック製ケージ(W:175×D:245×H:125mm)を用いて1ケ ジ5匹の群飼育とした。

 飼料として、固型飼料(ANG93G、オリエンタ ル酵母工業株式会社)を、給餌器に入れ自由 摂取させた。飲料は、給水瓶を用いて自由 摂取させた。試料の投与は、定法に従って ディスポーザブルマウス用経口ゾンデ(有限 社フチガミ器械製)を取り付けたポリプロピ レン製ディスポーザブル注射筒(テルモ社製) 用いて強制経口投与した。なお、投与操作 には試料をスターラーで撹拌しながら使用 た。ビタミンKの投与量は体重kgあたり、30mg となるように投与した。投与液量は、投与日 の体重値より、10ml/kgで算出した。

(試験方法)
 一般状態および死亡の有無を、1日1回投与 に観察した。体重測定は、1日1回、投与前に 測定した。電気刺激および無動時間の測定は 、フェアードコンディション計測装置(Acti Me trics社)を用いた。群分けしたマウスをフェア ードコンディション計測装置の中に入れ、恐 怖条件付けの電気刺激を行い、同時に無動時 間を測定した。電気刺激は、15秒毎に1秒の0.3 mAの刺激を240秒間行った。電気刺激終了直後 、マウスに試料を投与した。投与7日後、コ ントロール(0.5%MC)群およびビタミンK投与群は 、最終投与から2時間~2時間1分後に再度、フ アードコンディション計測装置の中に入れ 電気刺激無しの条件で4分間の無動時間を測 した。なお、無動時間は、60秒毎の% of free zingとして表した。なお、マウスの呼吸に関 る骨格筋とひげの動き以外が観察されない 態を無動とし、観察される状態を活動と判 した。

(統計解析方法)
 体重値は、群毎の平均値、標準偏差を算出 た。無動時間は、0~240秒の% of freezingを算 し、群毎の60秒毎および0~240秒の% of freezing 平均値、標準偏差を算出した。有意差検定 、コントロール群とビタミンK群との間でそ れぞれ2群間比較検定を行った。60秒毎の% of freezingの有意差検定は、二元配置分散分析を 行い、0~240秒の% of freezingの有意差検定は、 ントロール群と被験物質群との間でそれぞ F検定による等分散性の検定を行い、等分散 の場合はStudentのt検定を、不等分散の場合はW elch検定を行った。有意確率(p値)は、すべて 組み合わせについて表示した。また、いず の検定も危険率5%未満を有意とし、5%未満(p&l t;0.05)と1%未満(p<0.01)とに分けて表示した。 お、上記の有意差検定に使用するソフトウ アは、市販の統計プログラム(SAS software ReL .8.2 TS 020. SAS前臨床パッケージVersion 5.0; SA S Institute Japan株式会社)とした。得た成績で ストグラムおよび正規分布を確認し、検定 を確認した。ヒストグラムおよび正規分布 確認は、市販の統計プログラム(JMP、SASリリ ース5.1.1; SAS Institute Japan株式会社)を用いた 。

(結果)
 コントロール群とビタミンK群において、死 亡はみられず、一般状態に異常はみられなか った。図1に示すように、体重は、コントロ ル群とメナキノン-4群、メナキノン-7群のい れも、投与期間を通して、ほぼ同じ値を推 し、群間に差は認められなかった。

 恐怖条件付け誘発無動時間(60秒毎)の結果 を、図2に示す。これは、各60秒間のうちに動 きのなかった時間の比率(%)を示したもので、 %が高いほど恐怖、不安、ストレスを感じて ることを表している。

 コントロール群(媒体対照群;0.5%MC群)の無 時間は、39.85~47.03%を示した。一方、メナキ ン-4群の無動時間は、0~60秒で31.99%とコント ール群と比較して若干低かった。その後、 ナキノン-4群の無動時間は、徐々に短縮し 180~240秒では22.29%であった。コントロール群 メナキノン-4群の二元配置分散分析した結 、P<0.01で有意差が認められた。また、メ キノン-7の無動時間は0~60秒で38.84%とコント ール群と比較してほぼ同じであったが、そ 後徐々に無動時間は短縮し、180~240秒で20.83% あり、無動時間の有意な短縮が認められた

 ビタミンK投与群において、測定開始時で ある0~60秒でコントロール群と比較して無動 間はメナキノン-4では若干低く、メナキノン -7では同程度であるが、測定時間が経過する つれて無動時間はさらに短縮していった。 のことは、恐怖条件付けされた場所に再び 露されたマウスは不安を惹起したが、その 、電気刺激を受けないことを認知し、時間 経過とともに不安が寛解されていったため 考えられる。以上のことから、ビタミンKに は、抗不安および抗うつの指標である恐怖条 件付け誘発無動時間の短縮が認められ、ビタ ミンKを投与することによって、抗不安、抗 つ、抗ストレスなどの精神安定作用が発揮 れることがわかった。

 以上、本発明をその好ましい実施態様に いて詳細に説明してきた。しかし、当業者 本願の開示を考慮することによって、本発 の範囲および精神の範囲内で変形および改 を行い得ることが理解される。本発明の実 態様には、以下が挙げられる。

1. ビタミンKを有効成分として含有する精神 定剤。
2. ビタミンKの含有量が0.0001~100重量%である 上記1項に記載の精神安定剤。
3. 前記ビタミンKがビタミンK2である、上記1 に記載の精神安定剤。
4. 前記ビタミンKがメナキノン-4および/また メナキノン-7である、上記1項に記載の精神 定剤。
5. 上記いずれか一項の精神安定剤を含むサ リメント、健康食品または機能性食品。
6. ヒト用である、上記1項に記載の精神安定 。
7. ヒト用である、上記5項に記載のサプリメ ト、健康食品または機能性食品。
8. ビタミンKを有効成分として含有する、精 安定剤を投与することからなる、不安症、 つ病および/ストレスの治療方法。
9. ビタミンKを有効成分として含有する、精 安定剤を投与することからなる、不安症、 つ病および/ストレスの予防方法。
10. 精神安定剤を製造するためのビタミンKの 使用。