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Title:
BASE CLOTH FOR AIR BAG, RAW YARN FOR AIR BAG, AND METHOD FOR PRODUCTION OF THE RAW YARN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113325
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a base cloth for an air bag, which is composed of a polyamide multifilament having a total fiber fineness of 200 to 700 dtex and a single fiber fineness of 1 to 2 dtex as both a warp and a woof, and which has a cover factor (CF) of 1800 to 2300, wherein the ratio of the slippage resistance (ECw) to the single fiber fineness (Mtw) (ECw/Mtw) in a longitudinal direction and the ratio of the slippage resistance (ECf) to the single fiber fineness (Mtf) (ECf/Mtf) in a transverse direction are both 250 to 1000 N/dtex.

Inventors:
HORIGUCHI HIROTAKA (JP)
OZAWA HIROAKI (JP)
YOKOI DAISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050713
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
January 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
HORIGUCHI HIROTAKA (JP)
OZAWA HIROAKI (JP)
YOKOI DAISUKE (JP)
International Classes:
D03D1/02; D02G3/44; D03D15/00
Domestic Patent References:
WO1999022967A11999-05-14
WO2001009416A12001-02-08
Foreign References:
JP2002266161A2002-09-18
JPH06306728A1994-11-01
JP2007247118A2007-09-27
JP2006016707A2006-01-19
JP2008025089A2008-02-07
Other References:
See also references of EP 2264235A4
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Claims:
 総繊度が200~700dtex、単繊維繊度が1~2dtexであるポリアミドマルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として構成された基布であり、該基布のカバーファクター(CF)が1800~2300であり、かつ、タテ方向の滑脱抵抗力ECwと単繊維繊度Mtwとの比ECw/Mtwとヨコ方向の滑脱抵抗力ECfと単繊維繊度Mtfとの比ECf/Mtfがともに250~1000N/dtexであることを特徴とするエアバッグ用基布。
 該基布のタテ方向とヨコ方向の滑脱抵抗力がともに500~1000Nであることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ用基布。
 試験差圧19.6kPaで測定したときの通気量(AP)が0.5L/cm 2 /min以下であることを特徴とする請求項1または2記載のエアバッグ用基布。
 通気量AP(L/cm 2 /min)と基布のカバーファクターCFとの積AP×CFが1100L/cm 2 /min以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載のエアバッグ用基布。
 タテ糸のカバーファクターCFwがヨコ糸のカバーファクターCFfより、50~200小さいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載のエアバッグ用基布。
 パッカビリティーが1500以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載のエアバッグ用基布。
 総繊度が200~700dtex、単繊維繊度が1~2dtex、強度が7~10cN/dtex、伸度が20~30%であるポリアミドマルチフィラメントから構成されていることを特徴とするエアバッグ用原糸。
 ポリアミドがポリヘキサメチレンアジパミドであって、かつ硫酸相対粘度が3~4であることを特徴とする請求項7記載のエアバッグ用原糸。
 繊度斑が0.5~1.5%であることを特徴とする請求項7または8記載のエアバッグ用原糸。
 請求項7~9のいずれか1項記載のエアバッグ用原糸の製造方法であって、ポリアミドを溶融紡糸し、環状冷却装置を用いて冷却してから延伸することを特徴とするエアバッグ用原糸の製造方法。
 溶融紡糸により紡糸口金から押し出された繊維に水蒸気を付与した後、徐冷筒を通過させることを特徴とする請求項10記載のエアバッグ用原糸の製造方法。
 徐冷筒の長さが30~150mmであり、環状冷却装置の冷却風吹出し長さが600~1200mmであることを特徴とする請求項11記載のエアバッグ用原糸の製造方法。
 環状冷却装置の冷却筒内と大気圧との差圧が500~1200Paであることを特徴とする請求項10~12のいずれか1項記載のエアバッグ用原糸の製造方法。
 環状冷却装置長手方向に対する冷却風の風速が不均一であり、上部側風速V U が下部側風速V L より小さく、V L /V U が2~3であり、V U が10~30m/分、V L が40~80m/分であることを特徴とする請求項10~13のいずれか1項記載のエアバッグ用原糸の製造方法。
 水蒸気の吹出し圧力が100~600Paであることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項記載のエアバッグ用原糸の製造方法。
Description:
エアバッグ用基布ならびにエア ッグ用原糸およびその製造方法

 本発明は、エアバッグ用基布ならびにエ バッグ用原糸およびその製造方法に関する のである。詳しくは、低通気度、滑脱抵抗 に優れ、同時にエアバッグとしての収納性 も優れたエアバッグ用基布ならびにエアバ グ用原糸およびその製造方法に関するもの ある。

 近年、交通安全意識の向上に伴い、自動 の事故が発生した際に乗員の安全を確保す ために、種々のエアバッグが開発されるに いその有効性が認識され、急速に実用化が んでいる。

 エアバッグは、車両が衝突してから極め 短時間に車内で膨張展開することで、衝突 反動で移動する乗員を受け止め、その衝撃 吸収して乗員を保護するものである。この 用上、袋を構成する布帛の通気量は小さい とが求められている。また、エアバッグ作 時の衝撃に耐える必要から、布帛には一定 上の強度が求められる。さらにエアバッグ 膨張展開し、乗員を受け止める際にバッグ 内圧を一定以上に保つためにはエアバッグ 縫製部の目ズレを極力少なくする、すなわ 抗目ズレ性を向上させる必要がある。また 車内の意匠性や他の部品との関係から、収 時のコンパクト性が求められ、さらには低 スト化の要求もより一層高まっている。

 従来、これらエアバッグに要求される各 性を向上させる試みとして種々の基布が提 されている。

 例えば、縫製部の抗目ズレ性に優れたエ バッグ用基布として、超高基布密度のエア ッグ用基布が開示されている(例えば特許文 献1参照)。

 この提案では、カバーファクターが2300~26 00の範囲である高い基布密度の基布を用いる とによって、基布の機械的特性や滑脱抵抗 を向上させており、さらにノンコート基布 しては十分な通気度を有している。しかし がら、エアバッグに必要である収納時のコ パクト性の点で劣っており、滑脱抵抗力と 気度、収納時のコンパクト性を兼ね備えた 布ではなかった。

 一方、軽量、コンパクトなエアバッグを る手段の一つとして、産業用繊維としては 躍的に細い繊維を用いてエアバッグ用基布 製造する提案もなされており、例えば、単 繊度が1.0~3.3デシテックス、全繊度が66~167デ シテックスの原糸からなり、全繊度と基布密 度が特定の関係を満たすエアバッグ用基布が 開示されている(例えば特許文献2参照)。

 しかしながら特許文献2で提案された基布 は、引裂強力等の面で問題があるものであり 、係る問題を解決する手段として、0.8重量% 上の油剤を付着させたエアバッグ用基布が 示されている(例えば特許文献3参照)。

 この手段によると、確かに収納時のコンパ ト性は向上するものの、基布へ多量の油剤 付着しているが故に、滑脱抵抗力は低下し 満足できる抗目ズレ性を得ることはできな った。また、得られた基布のJIS L-1096 8.27.1 A法による通気度は0.2cm 3 /cm 2 /secであって、近年通常使用される19.6kPaの高 法による測定では満足できるものではなく 要求度の高まる高度なバッグ展開性を保証 るものではなかった。加えて、特許文献2や 特許文献3で提案されるような細い繊維から るエアバッグ用基布は、繊度低下に伴う原 強力の低下を勘案して、原糸強度を向上さ ることで布帛の強力を確保することが必要 なるが、このような細い繊度範囲では従来 産業用繊維と同等の高強度繊維すら得る技 は開示されておらず、これまで開示された い繊維からなるエアバッグ用基布では機械 特性に劣っているのが現状であった。

 また低通気性、高強度と収納時のコンパ ト性、さらには抗目ズレ性のバランスに優 たエアバッグ用基布を得る手段として、同 合成繊維をタテ糸およびヨコ糸としてなり ヨコ糸の基布密度とタテ糸の基布密度との が1.10以上であるエアバッグ用基布が開示さ れている(特許文献4参照)。

 この提案によると、確かにバランスに優 たエアバッグ用基布を得ることができるが 通気度や滑脱抵抗力、機械的特性の向上と 納コンパクト性の向上を両立することはで ず、これらの特性がそれぞれ向上したエア ッグ用基布を得るには至らないものであっ 。

 このように、従来技術では、エアバッグ用 布に必要な低通気性、高強度と収納時のコ パクト性や抗目ズレ性の各特性がそれぞれ 善されたエアバッグ用基布は実現されてい い。

特開2006-16707号公報(請求項1)

WO99/22967号公報(請求項1、7)

WO01/009416号公報(請求項1)

特開2008-25089号公報(請求項1)

 本発明は、上述した従来技術における問 点の解決を課題として検討した結果達成さ たものであり、エアバッグ用基布に求めら る低通気性と機械的特性を有し、膨張展開 の乗員を受け止める際のエアバッグの縫製 の目ズレが小さく、抗目ズレ性に優れ、か これまでこれらの特性とともに改善するこ はできなかったエアバッグ収納時のコンパ ト性をも兼ね備えたエアバッグ用基布およ エアバッグの提供を目的とするものである

 上記目的を達成するために本発明によれ 、総繊度が200~700dtex、単繊維繊度が1~2dtexで るポリアミドマルチフィラメントをタテ糸 よびヨコ糸として構成された基布であり、 基布のカバーファクター(CF)が1800~2300であり 、かつ、タテ方向の滑脱抵抗力ECwと単繊維繊 度Mtwとの比ECw/Mtwとヨコ方向の滑脱抵抗力ECf 単繊維繊度Mtfとの比ECf/Mtfがともに250~1000N/dte xであることを特徴とするエアバッグ用基布 提供される。

 なお、本発明のエアバッグ用基布において 、
前記基布のタテ方向とヨコ方向の滑脱抵抗力 がともに500~1000Nであること、
試験差圧19.6kPaで測定したときの通気量が0.5L/ cm 2 /min以下であること、
通気量AP(L/cm 2 /min)とカバーファクターCFとの積AP×CFが1100L/cm 2 /min以下であること、
前記基布のタテ糸のカバーファクターCFwがヨ コ糸のカバーファクターCFfより50~200小さいこ と、および
パッカビリティーが1500以下であることがい れも好ましい条件である。

 また、本発明のエアバッグ用基布を構成す 原糸においては、
総繊度が200~700dtex、単繊維繊度が1~2dtex、強度 が7~10cN/dtex、伸度が20~30%であるポリアミドマ チフィラメントから構成されていること、
硫酸相対粘度3~4のポリアミドからなり、ポリ アミドが、ポリヘキサメチレンアジパミドで あること、
繊度斑が0.5~1.5%であること、
が好ましい条件であり、その製造方法として 、
ポリアミドを溶融紡糸し、環状冷却装置を用 いて冷却してから延伸すること、
溶融紡糸により紡糸口金から押し出された繊 維に水蒸気を付与した後、徐冷筒を通過させ ること、
徐冷筒の長さが30~150mmであり、環状冷却装置 冷却風吹き出し長さが600~1200mmであること、
また、冷却筒内と大気圧との差圧が500~1200Pa なるように加圧して冷却風が送風される環 冷却装置を用いていること、および
装置長手方向に対する冷却風の風速が不均一 であり、上部側風速V U が下部側風速V L より小さく、前記V L /V U が2~3、V U が10~30m/分、V L が40~80m/分である環状冷却装置を用いている と、
水蒸気の吹出し圧力が100~600Paであることが、 より好ましい条件であり、これらの条件を適 用することによってさらに優れた効果を期待 することができる。

 本発明によれば、以下に説明するとおり 低通気性と高強度を有し、抗目ズレ性にも れたコンパクトなエアバッグが得られる。 た該エアバッグに適したエアバッグ用原糸 よび基布を高品位かつ安価に製造すること できる。

 以下、本発明について詳細に説明する。

 本発明のエアバッグ用基布を構成する繊 の総繊度は200~700dtexであることが必要であ 。総繊度が200dtex未満の場合、前記したよう 、基布の引裂強力や燃焼性が低下し、それ 回避すべく多量の油剤を基布へ付着させる 基布の滑脱抵抗力が大きく低下することに る。また、高強度の繊維を安定して得るこ が困難となるため、基布の品位も悪化し、 糸・基布ともに生産性が悪化する。一方、7 00dtexを越えると、本願発明の単繊維繊度1~2dte xのポリアミドマルチフィラメントを得るに 単糸数が多くなりすぎ、現状の技術では紡 が極めて困難であるため、2~3本の糸条を合 して形成した繊維糸条とする必要が生じ、 産性を損なうことになるし、収納時のコン クト性や通気性も満足できなくなる。好ま い総繊度の範囲は230~500dtexであり、より好ま しくは250~400dtex、さらに好ましくは280~370dtex ある。この範囲内の総繊度にすることで、 布の強力、滑脱抵抗力、低通気性、柔軟性 コンパクト収納性をそれぞれかつ、バラン よく向上させることができる。

 単繊維繊度は1~2dtexであることが必要であ り、1.1~1.9dtexとすることが好ましく、1.2~1.8dte xとすることがさらに好ましい。エアバッグ の繊維に関しては、総繊度、単繊維繊度を もに小さくすることが長年に渡り検討され けてきたが、本願発明のように総繊度200~700d texの範囲で2dtex未満の単繊維繊度を有するポ アミド繊維が実際に開示された例はなく、 のようなポリアミド繊維を用いてエアバッ 用の布帛を構成した場合に具備される特性 ついても当然開示された例はない。これは 従来の検討では、基布の特性向上が3~4dtex程 度まで単繊維繊度を小さくすると飽和する傾 向にあったことに加え、単繊維数が100本以上 で2dtex以下の単繊維繊度を有する産業用のポ アミド繊維を直接紡糸延伸法にて安定して 造することが極めて困難であったことによ 。本発明者らは、後述の方法にて単繊維数 100本以上で2dtex以下のポリアミド繊維を得 方法、および該ポリアミド繊維から構成さ たエアバッグ用基布が有する特性について 意検討した。その結果、単繊維繊度のみ異 るポリアミド繊維を同じ方法によって基布 した場合、単繊維繊度を2dtex以下とすること で通気性、収納時のコンパクト性、滑脱抵抗 力が全て向上することを究明したものである 。特に1.8dtex以下の単繊維繊度とすることに る滑脱抵抗力および低通気性の向上度合い 、従来の検討結果から推測される値を大き 上回ることを究明したものである。なお本 明の方法を用いても、単繊維繊度が1dtex未満 で、かつエアバッグ用に適したポリアミド繊 維を得ることは困難である。

 また、本発明のエアバッグ用基布を構成 るタテ糸およびヨコ糸は、ポリアミドから ることが必要である。ポリアミドからなる 維を用いることで柔軟性が向上し、収納コ パクト性に優れる基布を得ることができる ポリエステル系繊維では、現在の高速製織 適した毛羽の少ない高強度繊維を得ること できないし、またエアバッグ用基布の耐熱 等の点でも劣ることになる。硫酸相対粘度 好ましくは3~4、より好ましくは3.3~3.8である と、エアバッグ用途に適した高強度ポリアミ ド繊維を得やすい。ポリアミド繊維は、ポリ カプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレ ンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチ ンアジパミド(ナイロン46)等のいずれのポリ ミドポリマからなってもよいが、耐衝撃性 耐熱性等に優れるポリヘキサメチレンアジ ミドであることが好ましい。これらのポリ ミドは、5重量%以下の共重合成分を含むコ リマであっても良い。本発明で用いられる 重合成分としては、ε-カプロアミド、テト メチレンアジパミド、ヘキサメチレンセバ ミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド、 トラメチレンテレフタラミド、およびキシ レンフタラミド等がある。固相重合によっ 高粘度化された前記のポリアミドチップに 、必要に応じて耐候剤、耐熱剤、酸化防止 等の添加剤を添加し、溶融紡糸することが きる。添加剤は一部又は全部を重合時に添 してもよく、その他の方法で混合しても良 。また、ポリアミドチップ中には、アミノ 端基量の調整のため、ジアミンやモノカル ン酸等を含ませていてもいなくてもよく、 宜目的のアミノ末端基量となるよう調整す ばよい。

 本発明のエアバッグ用基布は、タテ方向 ヨコ方向の滑脱抵抗力がともに500~1000Nであ ことが好ましく、より好ましくは550~900Nで る。500N以上であれば、通気度が小さくなり エアバッグが膨張展開して乗員を拘束する の抗目ズレ性、すなわち縫製部の目ズレを え、エアバッグの内圧を保持する性能も充 となり好ましい。一方、1000N以下の場合は 基布を高生機密度で製織する必要はなくな 、収納時コンパクト性を悪化させることが くなるため好ましい。また、タテ方向とヨ 方向の滑脱抵抗力の比は1~15%であることがエ アバッグの等方的展開上好ましく、1~10%であ とより好ましい。これらタテ方向の滑脱抵 力ECwおよびヨコ方向の滑脱抵抗力ECfとタテ 向の単繊維繊度Mtwおよびヨコ方向の単繊維 度Mtfとの比であるECw/MtwおよびECf/Mtfがとも 250~1000N/dtexであることが必要であり、280~950N/ dtexであるとより好ましく、さらに好ましく 300~900N/dtexである。滑脱抵抗力と単繊維繊度 の比がこの範囲内であると、抗目ズレ性、 通気性、収納コンパクト性、機械特性およ コストパフォーマンスにおいてバランスの いエアバッグ用基布を得やすくなる。

 また、基布のカバーファクター(CF)は1800~2 300であることが必要であり、2000~2300であるこ とが好ましく、より好ましくは2100~2200である 。カバーファクターをこの範囲とすることで 、通気性、機械的特性、滑脱抵抗力、収納時 コンパクト性をそれぞれ、かつバランスよく 向上させることができる。タテ糸のカバーフ ァクターCFwおよびヨコ糸のカバーファクター CFfはそれぞれ950~1350であることが好ましく、9 50~1250であるとより好ましい。さらに、CFwがCF fより小さい、即ちヨコ方向のカバーファク ーを大きくすることが、タテ方向およびヨ 方向の滑脱抵抗力をともに向上させるため 好ましく、基布の等方性を向上させようと る場合は、同じ合成繊維をタテ糸とヨコ糸 用い、ヨコ糸の生機密度および基布密度を きくすることが好ましい。CFfとCFwとの差は50 ~200であることが好ましく、より好ましくは70 ~150である。

 ここで、基布のタテ糸のカバーファクター( CFw)およびヨコ糸のカバーファクター(CFf)とは 、タテ糸あるいはヨコ糸に用いられる糸の総 繊度と基布密度から計算される値であり、タ テ糸総繊度をDw(dtex)、ヨコ糸総繊度をDf(dtex) タテ糸の基布密度をNw(本/2.54cm)、ヨコ糸の基 布密度をNf(本/2.54cm)としたとき次の式で表さ 、CFはCFwとCFfの和である。
CFw=(Dw×0.9) 1/2 ×Nw
CFf=(Df×0.9) 1/2 ×Nf 

 本発明のエアバッグ用基布は、前記した 件が相乗効果を生みだし、エアバッグとし 要求される高滑脱性、低通気性、収納コン クト性をそれぞれ向上させることができる である。

 また、本発明のエアバッグ用基布は、JIS L 1096で規定するフラジール形法に基づいて試 差圧19.6kPaで測定したときの通気量(AP)が0.5L/ cm 2 ・min以下であることが好ましく、より好まし くは0.2~0.4L/cm 2 ・min、さらに好ましくは0.2~0.3L/cm 2 ・minである。通気量を上記の範囲に調整する ことで、衝突時にインフレーターから発せら れる膨張用ガスを漏れなく有効に使用するこ とができ、エアバッグの展開性能が向上し、 乗員を確実に受け止めることができる。通気 量(AP)が0.5L/cm 2 ・minを超えると、乗員の衝突によりエアバッ グの膨張状態を維持できず、乗員拘束性が劣 るため好ましくない。この通気量においては 、通気量AP(L/cm 2 /min)と基布のカバーファクターCFとの積AP×CF 1100L/cm 2 /min以下であることが好ましく、より好まし は1000L/cm 2 /min以下であり、さらに好ましくは900L/cm 2 /min以下である。カバーファクターCFを大きく すると、通常通気量APは小さくなるが、本発 の単繊維繊度が1~2dtexのエアバッグ用基布は 小さなカバーファクターでも通気量を小さく することができることを究明した。よって、 低通気性と収納コンパクト性の両立がより優 れたエアバッグ用基布とはAP×CFが1100L/cm 2 /min以下であると言い換えることができる。

 また、本発明のエアバッグ用基布は、ASTM  D-6478-02に従って測定したパッカビリティー 1500以下であることが好ましく、より好まし くは1000~1400であり、さらに好ましくは1100~1300 である。パッカビリティーを上記範囲に調整 することで、エアバッグの収納組立作業性が 向上し作業効率が向上する。さらに、ハンド ル内部に収納する運転席用エアバッグに対し ては、折り畳み後のバッグを小さくできるた め、ナビゲーションやシフトスイッチ等のボ タンをハンドルに追加することが可能となり 、自動車の機能性向上に貢献することが可能 となる。パッカビリティーが1500を超えると 収納組立作業性が悪化し作業効率が低下す 場合があり、特に上述の通り、運転席用エ バッグにおいてナビゲーションやシフトス ッチ等のボタンを追加し、収納スペースが さいハンドル内にバッグを収納できない場 があり好ましくない。

 本発明のエアバッグ用基布を構成するポ アミドマルチフィラメントの強度は、エア ッグ用基布として要求される機械的特性を 足するためと製糸操業面から7~10cN/dtexであ ことが好ましく、より好ましくは8~9cN/dtex、8 .3~8.7cN/dtexであるとさらに好ましい。同時に リアミドマルチフィラメントの伸度が20~30% あることが、エアバッグ用基布のタフネス 、破断仕事量を増大させるためと製糸性お び製織性向上の面から好ましく、より好ま くは20~25%、さらに好ましくは21~24%である。 

 また、本発明のポリアミドマルチフィラ ントの繊度斑は、0.5~1.5%であることが好ま く、より好ましくは0.5~1.0%、さらに好ましく は0.5~0.8%である。

 次に、本発明のエアバッグ用基布を構成 るポリアミドマルチフィラメントの製造方 と、エアバッグ用基布を製造する方法につ て説明する。

 ポリアミドマルチフィラメントは公知の 融紡糸をベースに以下の方法で製造する。

 まず、前記したポリアミドチップをエクス ルーダー型紡糸機へ供給し、軽量ポンプに り紡糸口金へ配し、290~300℃で溶融紡糸する 。この際、紡糸口金の孔スペックは、単繊維 繊度のバラツキを小さくして製織中の毛羽の 発生を抑制するために、背面圧を少なくとも 60kg/cm 2 以上に設計することが好ましく、80~120kg/cm 2 とすることがより好ましい。また、同心円上 に吐出孔を配列させ、その列数は好ましくは 2~8列、より好ましくは3~6列である。列数が少 なすぎると単繊維間距離が小さくなりすぎ、 紡糸中に単繊維同士が衝突し、悪い場合は融 着するし、多すぎると冷却斑による単繊維間 の物性斑が大きくなるため好ましくない。ま た、最外周に配列した各吐出孔を同心円とし て結んだときの直径は、徐冷筒(加熱筒)や環 冷却装置の内径より小さくするが、好まし は8~25mm、より好ましくは10~20mm小さくすれば よい。徐冷筒は、溶融紡糸直後の糸を徐冷す ることで強伸度低下を防止するために設置さ れているものであり、一般的には冷却前の筒 内雰囲気温度を溶融状態で押し出された糸の 結晶化温度より高くするために加熱している か、断熱材を用いて保温している。そのため 加熱筒や保温筒などともいう。最外周の孔の 位置が徐冷筒(加熱筒)や環状冷却装置に近す ると、固化前の糸条が装置と接触しやすく り紡糸が不安定になるし、遠すぎる場合は 条の冷却が不十分になり、高強度・高伸度 ポリアミドマルチフィラメントを得難くな 。

 口金より吐出された紡出糸条には水蒸気 付与することが好ましい。ポリアミド繊維 溶融紡糸では、口金直下に不活性ガス、中 も水蒸気を滞留させることが一般的である 、特に産業用のポリアミド繊維の機械的特 が水蒸気によって変化するといったことは 示されたことはない。驚くべき事に、本発 の環状冷却装置を用いた単糸細繊度の高強 ポリアミドマルチフィラメントの製造にお ては、水蒸気が強度および伸度をともに向 させ、さらに繊度斑を低下させる効果があ ことを究明した。水蒸気の吹出し孔は直径0 .5~5mmで長さが1~10mm程度の公知のものを用いれ ばよい。水蒸気量を過度に多くすると、強度 および伸度の低下と繊度斑の悪化、毛羽や糸 切れの増大を引き起こすことになるため、吹 出し圧力は100~600Paが好ましく、200~400Paである とより好ましい。吹出し圧力は静圧値であり 、孔へ流入する蒸気の静圧を静圧測定装置で 測定すればよい。

 水蒸気を付与された糸条は、円筒状の徐 筒と円筒状の環状冷却装置を順次通過させ ことで冷却固化を完了させる。徐冷筒内径 環状冷却装置内径と同じにして、筒内の徐 筒と環状冷却装置の接触箇所での空気流の れを防止することが好ましく、好ましくは3 0~150mm、より好ましくは50~100mm、さらに好まし くは50~80mmの長さで筒内の雰囲気温度が250~350 となるように加熱した後、環状冷却装置を いて冷却することが好ましい。徐冷筒を用 ることで口金面の保温性を高めるとともに の変形を緩やかにすることで、タフネス性 優れたポリアミド繊維を得ることができる 、徐冷筒の長さが前記範囲であると、ポリ ミド繊維の長手方向の太さ斑がより均一に る。単繊維繊度が1.5dtex未満の場合は、徐冷 筒を使用せずに環状冷却装置を設置して、紡 出糸条をより早く冷却させ始めることで糸長 手方向の太さ斑が極端に悪化するのを防ぐこ ともできるが、その場合は、口金面を保温し て高強度・高伸度のポリアミドマルチフィラ メントを得るため、環状冷却装置の最上部か ら100mm以内の一定の長さで、100~250℃の熱風を 吹き出すようにすることが好ましい。

 環状冷却装置による糸条の冷却において 、ポリアミドをガラス転移点まで十分に冷 できるように10~50℃の冷却風を用いること 好ましい。環状冷却装置の基本構成は公知 ものを用いればよい。例えば、多数の毛細 状の孔を有する多孔質の部材から筒体を構 し、冷却筒内部に送られた冷却風が冷却風 吹出箇所から糸条方向へ整流されつつ吹き されるようにすればよい。また、冷却風速 調節するために、例えば、冷却筒エレメン のエア導入部にパンチング状のプレートや ッシュなど多孔質部材を設置することが好 しい。本発明のエアバッグ用基布を構成す 高強度・高伸度な単糸細繊度のポリアミド ルチフィラメントを得るには、以下の特徴 有する構成とすることが好ましい。

 冷却風は吐出孔群の外周側から中心側へ き出すようにする。この構成とすることで ポリエステル系に比べ、冷却難度の高いポ アミドマルチフィラメントを充分に冷却す だけの冷却風を供給することができる。中 側から外周側へ吹き出す構成とした場合、 発明のポリアミドマルチフィラメントを得 には単繊維が必要以上に外側へ張り出すた 、あるいは過度に長い冷却設備が必要とな ため、設備の大型化を招くことになり好ま くない。

 冷却筒の長さは、従来提案されている環 冷却設備より相当に長く、冷却風の吹出し さが600~1200mmの範囲にすることが好ましく、 より好ましくは800~1000mmである。600mm以上であ れば本発明のポリアミドマルチフィラメント を充分に冷却することができ、良好な機械的 特性および毛羽品位等を得ることができる。 1200mm以下であれば、設備自体が長くなりすぎ ず好ましい。

 冷却筒内と大気圧との差圧は、好ましく 500~1200Paであり、より好ましくは600~1100Pa、 らに好ましくは800~1000Paとなるように加圧し 冷却風を送風することが好ましい。差圧は 却筒へ流入する気体の静圧値を静圧測定装 で測定した値である。従来の横吹出し冷却 置を用いた場合、冷却風を弱めてマルチフ ラメントの機械的特性が低下すると毛羽品 も悪化する傾向にあった。ところが環状冷 装置を用いた場合、該差圧が本発明のポリ ミドマルチフィラメントの物性に与える影 は小さく、例えば200Pa程度でも延伸倍率の 整のみで機械的特性を調節することができ が、意外にも500Pa以上とすることで毛羽の発 生が著しく抑えられることがわかった。また 、1200Pa以下とすると、風速が大きくなりすぎ ず、糸同士の接触を防ぎやすくなるため好ま しい。

 また、該装置長手方向に対する冷却風の風 は不均一で、上部側風速V U を10~30m/分、下部側風速V L を40~80m/分とし、V U がV L より小さく、V L /V U が2~3であることが好ましい。より好ましいV U とV L の範囲はそれぞれ15~25m/分、50~70m/分である。 置長手方向で少なくとも2段階の大きな風速 比率変更を行い、前記風速範囲とすることで 、糸長手方向の太さ斑が悪化することなく繊 維物性を向上させることができる。特に上部 側で徐冷効果を生み出すことによって、繊維 のタフネス性が向上し、同一強度とした場合 の伸度が2~5%程度変化する。このような風速 率の変更に関しては、冷却風吹出し部の最 部から全長の10~50%程度の位置で変更させる とが好ましく、より好ましくは15~45%である その手段としては、冷却筒の外筒と多孔質 材からなる整流筒の間で、比率を変更した 位置にドーナツ状の多孔質部材を設置する とで、該位置を境界に筒中の上下間にさら 差圧を与え、上下の風速を変更する手段や 冷却装置自体を2段構成としてそれぞれの筒 と大気圧との差圧を調節する手段などが考 られるが、いずれの方法を用いても問題は い。

 従来の横吹出し冷却設備を用いて総繊度2 00~700dtex、単繊維繊度1~2dtexのポリアミド繊維 製造しようとした場合は、紡出部での糸揺 が激しくなりすぎ、単繊維同士の接触を抑 ることができなかったのに対し、前記した 発明の方法では、糸条固化前の冷却風の風 を小さくしても冷却風と紡出糸条との距離 近いため、冷却不足とはならず、かつエア ぶつかりあって下降気流を形成し、冷却風 水平方向速度成分を大きく低下させること できるため、糸揺れを抑えながら製糸可能 なるものと推察される。

 その後、得られた冷却糸条は公知の方法 油剤を付与し、引き取りロールで引き取り 延伸した後巻き取ることができる。油剤は 知の油剤を用いることができるが、引き取 ロール上での単糸巻き付きを抑制するため 、その付着量は0.3~1.5重量%が好ましく、さ に好ましくは0.5~1.0重量%である。

 また、引き取りロールの回転速度で定義 れる紡糸速度が500~1000m/分であることが好ま しく、より好ましくは700~900m/分である。紡糸 速度が500m/分以上であると、最終的な生産速 も充分となり、安価にポリアミド繊維を製 できる。1000m/分以下とすると、糸切れや毛 の多発を防ぐことができ好ましい。

 これら前記した方法で得られた紡出糸は、 知の方法を用いて延伸や弛緩熱処理、およ 巻取り等を行うことができ、例えば、2~3段 100~250℃の多段延伸熱処理を施した後、1~10% 50~200℃の弛緩熱処理を施すこと等が可能で る。
また、糸条に付与する交絡は織機の種類や製 織速度にあわせ適宜選択することができるが 、本発明による方法であれば過度に交絡を施 す必要はなく、15~30個/mの交絡数が得られる うに、交絡付与装置の種類や付与条件を変 すればよい。15個/mを大きく下回っても30個/m を上回っても、高次工程通過性は悪化する傾 向となる。同様に交絡の強度も公知の範囲の ものを用いればよい。

 また、本発明のポリアミド繊維の単糸断 形状は、特に限定されるものではなく、円 でもY型、V型、扁平型等の非円形、さらに 中空部を有するものも用いることができる 、円形であることが好ましい。

 こうして、従来提案された方法では製糸 きなかった総繊度200~700dtexで単繊維繊度が1~ 2dtexのエアバッグ用に適したポリアミドマル フィラメントを、好ましくは強度8~9cN/dtex、 伸度20~25%、沸騰水収縮率4~10%で糸斑なく、安 にかつ優れた製糸性や毛羽品位で得ること 可能となる。すなわち、直接紡糸延伸法に り、製糸速度3000m/分以上で、より好ましく 3500m/分以上で、かつ8糸条以上の多糸条同時 延伸法を用いて効率良く生産することができ る。

 次に、本発明のエアバッグ用基布は以下の 法で製造する。
まず、前記した素材および総繊度、単繊維繊 度を有するタテ糸を整経して織機にかけ、同 様にヨコ糸の準備をする。かかる織機として は例えば、ウォータージェットルーム、エア ージェットルームおよびレピアルームなどが 使用可能である。中でも生産性を高めるため には、高速製織が比較的容易なウォータージ ェットルームを用いるのが好ましい。

 製織においては、タテ糸張力を75~230cN/本 調整して行うことが好ましく、より好まし は100~200cN/本である。かかる範囲内にタテ糸 張力を調整することで、基布を構成するマル チフィラメント糸の糸束中の単繊維間空隙を 減少させることができ、したがって通気量を 低減させることができる。また、ヨコ糸打ち 込み後に、上記張力をかけられたタテ糸がヨ コ糸を押し曲げることで、ヨコ糸方向の基布 の組織拘束力を高め、基布の抗目ズレ性が向 上し、エアバッグとして袋体を形成するとき の縫製部分の目ズレによる空気漏れを抑える ことができる。タテ糸張力が75cN/本以上であ ば、タテ糸とヨコ糸との基布中での接触面 を増やすことができ、滑脱抵抗力が向上す 。また、単繊維間空隙を減少させる効果が きくなるため低通気性基布となり好ましい また、230cN/本以下であれば、タテ糸が毛羽 たず製織性が良好となる。

 タテ糸張力を上記範囲内に調整する具体 方法としては、織機のタテ糸送り出し速度 調整する他、ヨコ糸の打ち込み速度を調整 る方法が挙げられる。タテ糸張力が製織中 実際に上記範囲内となっているかどうかは 例えば織機稼動中に経糸ビームとバックロ ラーとの中間において、タテ糸一本当たり 加わる張力を張力測定器で測ることにより 確認することができる。

 また、タテ糸開口における上糸の張力と 糸の張力とに10~90%の差をつけることが好ま い。そうすることで、前述のタテ糸の曲が 構造が助長され、タテ糸とヨコ糸とが互い 強く押さえつけられて糸-糸間の摩擦抵抗力 が大きくなり、滑脱抵抗力を向上させること ができる。

 タテ糸開口における上糸の張力と下糸の 力とに差をつける方法としては例えば、バ クローラーを高めの位置に設置するなどし 、上糸の走行線長と下糸の走行線長とに差 つける方法がある。例えば、バックローラ と綜絖との間にガイドロールを配し、この イドロールにより開口支点をワープライン ら上または下にずらすことで、開口時に片 の糸の走行線長が他方に比べ長くなる分、 力が上がり、上糸の張力と下糸の張力とに をつけることが可能になる。ガイドロール 設置位置としては、バックローラーと綜絞 の間隔に対しバックローラー側から20~50%の 置に配置することが好ましい。また、開口 点の位置はワープラインから5cm以上離すこ が好ましい。

 また、上糸の張力と下糸の張力とに差を ける他の方法としては例えば、開口装置に ム駆動方式を採用し、上糸・下糸の片側の エル角を他方よりも100度以上大きく取る方 もある。ドエル角を大きくした方の張力が くなる。

 織機のテンプルとしては、バーテンプル 用いることが好ましい。バーテンプルを用 ると、織前全体を把持しながら筬打ちする とができるため、合成繊維フィラメント同 の空隙を小さくすることができ、その結果 通気量と抗目ズレ性が向上するからである

 次に製織工程が終わると、必要に応じて 精練、熱セット等の加工を施す。特に小さ 通気量が求められる場合には、必要に応じ 、基布表面に樹脂等を塗布したり、フィル を貼り付け、コート布としてもよい。

 本発明のエアバッグ用基布は、低通気性 機械的特性および抗目ズレ性と、これまで れらの特性と同時に改善することはできな ったエアバッグ収納時のコンパクト性をも 上させたものであり、各特性をバランスよ 改善したエアバッグ用基布を得ることはも ろん、例えば収納コンパクト性は従来品と 等で通気性および抗目ズレ性を格段に高め エアバッグ用基布、あるいは抗目ズレ性が 等で基布密度が少ない、つまり使用する繊 本数が減少したことによる安価で収納性に れるエアバッグ用基布を得ることも可能と る。本発明のエアバッグ用基布は、運転席 、助手席用および後部座席用、側面用エア ッグなどのいずれのエアバッグにも好適に 用することができる。

 以下、実施例により本発明を詳細に説明 る。本発明における各特性の定義および測 法は以下の通りである。

 (1)総繊度:JIS L1013(1999) 8.3.1 A法により、 定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊 とした。

 (2)単繊維数:JIS L1013(1999) 8.4の方法で算出 した。

 (3)単繊維繊度:総繊度を単繊維数で除する ことで算出した。

 (4)強度・伸度:JIS L1013 8.5.1標準時試験に される定速伸長条件で測定した。試料をオ エンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT-10 0を用い、掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/ で行った。なお、伸度はS-S曲線における最 強力を示した点の伸びから求めた。

 (5)沸騰水収縮率:原糸をカセ状にサンプリン グして、20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間以 上調整し、試料に0.045cN/dtex相当の荷重をかけ て長さL 0 を測定した。次に、この試料を無緊張状態で 沸騰水中に30分間浸漬した後、上記温湿度調 室で4時間風乾し、再び試料に0.045cN/dtex相当 の荷重をかけて長さL 1 を測定した。それぞれの長さL 0 およびL 1 から次式により沸騰水収縮率を求めた。
沸騰水収縮率=[(L 0 -L 1 )/L 0 ]×100(%)

 (6)繊度斑:ツェルベガー・ウースター(Zellw eger USTER)社製のウースター・テスター・モニ ターC(USTER TESTER MONITOR C)を用いてハーフ値 測定した。INEATモードを使用して、糸条速度 25m/分にて125mの測定を行った。

 (7)毛羽評価:得られた繊維パッケージを500 m/分の速度で巻き返し、巻き返し中の糸条か 2mm離れた箇所にヘバーライン社製レーザー 毛羽検知機“フライテックV”を設置し、検 知された毛羽総数を10万mあたりの個数に換算 して表示した。

 (8)風速:KANOMAX社製アネモマスターを各測定 で冷却風吹出部に密着させ測定した。測定 は冷却風吹出部を構成する筒体の上端部よ 0、50、100mmの位置と100mm以上は100mm毎に筒体 下端部まで、それぞれ円周方向に90度ずつ角 度を変え4点測定し、この4点の風速平均を冷 風吹出部上端部からの各距離での風速とし 。次いで、上下風速を設備的対応で変更し 場合は、該変更位置で上部側と下部側に線 きし、意図的な風速比率変更を行わない場 は、上端部より300mmの位置で上部側と下部 に線引きし、区間風速積分を各有効冷却長 除することによってV U とV L をそれぞれ求めた。

 例えば、筒体上端部よりammの位置の風速をV a、冷却風吹出し長さをLとすると、350mmの位 で意図的に風速比率を変更させた場合の算 法は下記のとおりとなる。
V U =[50(V 0 +2V 50 +V 100 )+100(V 100 +V 200 )+150(V 200 +V 300 )]/2/350
V L =[150(V 400 +V 500 )+100(V 500 +V 600 )+・・・]/2/(L-350)
 なお、・・・は600mm以降で最大測定点まで 様に計算して足しあわせることを意味する

 (9)基布厚さ
 JIS L 1096:1999 8.5に従って、試料の異なる5 所について厚さ測定機を用いて、23.5kPaの加 下、厚さを落ち着かせるために10秒間待っ 後に厚さを測定し、平均値を算出した。

 (10)タテ糸・ヨコ糸の生機密度および基布密 度
 JIS L 1096:1999 8.6.1に基づき測定した。

 試料を平らな台上に置き、不自然なしわ 張力を除いて、異なる5か所について2.54cmの 区間のタテ糸およびヨコ糸の本数を数え、そ れぞれの平均値を算出した。

 (11)カバーファクター
 タテ糸およびヨコ糸の総繊度をそれぞれDw(d tex)、Df(dtex)、タテ糸およびヨコ糸の基布密度 をそれぞれNw(本/2.54cm)、Nf(本/2.54cm)とし、下 の方法で算出した。
タテ糸カバーファクター:CFw=(Dw×0.9) 1/2 ×Nw
ヨコ糸カバーファクター:CFf=(Df×0.9) 1/2 ×Nf
総カバーファクター  :CF=CFw+CFf

 (12)基布目付け
 JIS L 1096:1999 8.4.2に従って、20cm×20cmの試験 片を3枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、 の平均値を1m 2 当たりの質量(g/m 2 )で表した。

 (13)引張強度
 JIS K 6404-3 6.試験方法B(ストリップ法)に従 て、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれにつ て、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から 糸を取り除いて幅30mmとし、定速緊張型の試 機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで 試験片が切断するまで引っ張り、切断に至る までの最大荷重を測定し、タテ方向及びヨコ 方向のそれぞれについて平均値を算出した。

 (14)破断伸度
 JIS K 6404-3 6.試験方法B(ストリップ法)に従 て、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれにつ て、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から 糸を取り除いて幅30mmとし、これら試験片の 央部に100mm間隔の標線を付け、定速緊張型の 試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/m inで試験片が切断するまで引っ張り、切断に るときの標線間の距離を読み取り、下記式 よって、破断伸度を算出し、タテ方向及び コ方向のそれぞれについて平均値を算出し 。
E=[(L-100)/100]×100
ここに、E:破断伸度(%)、L:切断時の標線間の 離(mm)。

 (15)引裂強力
 JIS K 6404-4 6.試験方法B(シングルタング法) 準じ、長辺200mm、短辺76mmの試験片をタテ、 コ、両方にそれぞれ5個の試験片を採取し、 試験片の短辺の中央に辺と直角に75mmの切込 を入れ、定速緊張型の試験機にてつかみ間 75mm、引張速度200mm/minで試験片が引ききるま 引裂き、その時の引裂き荷重を測定した。 られた引裂き荷重のチャート記録線より、 初のピークを除いた極大点の中から大きい に3点選び、その平均値をとった。最後にタ テ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、平 均値を算出した。 

 (16)通気量
 JIS L 1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に じて、試験差圧19.6kPaで試験したときの通気 量を測定した。試料の異なる5か所から約20cm 20cmの試験片を採取し、口径100mmの円筒の一 に試験片を取り付け、取り付け箇所から空 の漏れが無いように固定し、レギュレータ を用いて試験差圧19.6kPaに調整し、そのとき 試験片を通過する空気量を流量計で計測し 5枚の試験片についての平均値を算出した。

 (17)パッカビリティー
 ASTM D6478-02に従って測定した。

 (18)滑脱抵抗力
 ASTM D6479-02に従って、基布サンプルの端か 5mmの位置に目印をつけ、該位置に正確に針 刺し、測定した。

 タテ方向の滑脱抵抗力は、ヨコ糸に沿っ ピンを刺し、そのピンでヨコ糸をタテ糸方 に移動させるときの最大荷重を測定したも であり、ヨコ方向の滑脱抵抗力は、タテ糸 沿ってピンを刺し、そのピンでタテ糸をヨ 方向に移動させるときの最大荷重を測定し ものである。

 (19)タテ糸張力
 金井工機(株)製チェックマスター(登録商標) (形式:CM-200FR)を用い、織機稼動中に経糸ビー とバックローラーの中央部分において、タ 糸一本当たりに加わる張力を測定した。

 (20)タテ糸開口における上糸の張力・下糸の 張力
 タテ糸が開口した状態で織機を停止させ、 ックローラーと綜絞との間(バックローラー と綜絖との間にガイドロールを配している場 合には、ガイドロールと綜絞との間)におい 、上側にあるタテ糸一本あたりに加わる張 を上記(17)で用いたのと同様の張力測定機に 、上糸の張力として測定した。また同様に て、下側にあるタテ糸一本あたりに加わる 力を下糸の張力として測定した。

 [実施例1~11]
  液相重合で得られたナイロン66チップに酸 化防止剤として酢酸銅の5重量%水溶液を添加 て混合し、ポリマ重量に対し、銅として68pp m添加吸着させた。次に沃化カリウムの50重量 %水溶液および臭化カリウムの20重量%水溶液 ポリマチップ100重量部に対してそれぞれカ ウムとして0.1重量部となるよう添加吸着さ 、バッチ式固相重合装置を用いて固相重合 せて硫酸相対粘度が3.8のナイロン66ペレット を得た。得られたナイロン66ペレットをエク トルーダーへ供給し、計量ポンプにより総 度が表1および表2の糸条を2本得るように吐 量を調節して紡糸口金に配し、295℃で溶融 糸した。ここで、硫酸相対粘度は試料2.5gを 96%濃硫酸25ccに溶解し、25℃恒温槽の一定温度 下において、オストワルド粘度計を用いて測 定した値である。各紡糸口金は、表1および 2に示す単繊維数の糸条を2糸条得ることので きる数、即ち表1および表2に示す単繊維数の2 倍の吐出孔が直径0.22mmで4つの同心円上に配 され、最外周の吐出孔群を同心円状に結ん ときの直径は、加熱筒および冷却筒の内径 り14mm小さいものを用いた。実施例6~11では、 直径2mmで深度が4mmの孔を均等間隔に12個有す 円状の水蒸気吹き出し装置から、260℃に加 した水蒸気を、表1および表2の圧力で糸条 出面の下方50mmの位置から斜め60℃方向に吹 出させた。さらに口金直下には300℃に加熱 た表1および表2の長さの徐冷筒を設け、表1 よび表2の冷却風吹出し長さを有する円筒状 環状冷却装置を用いて、20℃の冷却風を冷 筒内と大気圧との差圧が表1および表2の値と なるように加圧して送風し、紡出糸条を冷却 固化せしめた。冷却筒の冷却風吹出部を構成 する筒体としては、厚さ4.6mmで濾過精度40μm 孔を有するフェノール樹脂含浸セルロース ボンを螺旋状に巻き付け筒状に成形した富 フィルター製“フジボン”を用いた。また 冷却筒の冷却風吹出部の上端から350mmの位置 に、筒内上下での冷却風の速度を変更させる ようにドーナツ状で開口率22.7%のパンチング レートを配置した。冷却固化された糸条に 、次に平滑剤等を有する非水系油剤を付与 、紡糸引き取りローラに捲回し、紡出糸条 引き取った。引き続き、連続して糸条を延 ・熱処理ゾーンに供給し、直接紡糸延伸法 よりナイロン66繊維を製造した。この際、 も回転速度の大きい延伸ローラの回転速度( 下、延伸速度)を3600m/分の一定速度とし、引 取速度と延伸速度比で表される総合延伸倍率 が表1および表2に示される値となるように引 取りローラの回転速度を調節した。

 引き取られた糸条は、引き取りローラと給 ローラの間で5%のストレッチをかけ、次い 給糸ローラと第1延伸ローラの間で該ローラ の回転速度比が2となるように1段目の延伸 第1延伸ローラと第2延伸ローラの間で2段目 延伸を行った。引き続き、第2延伸ローラと 緩ローラとの間で6%の弛緩熱処理を施し、 絡付与装置にて糸条を交絡処理した後、巻 取り機にて巻き取った。各ローラの表面温 は、引き取りローラが常温、給糸ローラが40 ℃、第1延伸ローラが140℃、第2延伸ローラは2 30℃、弛緩ローラが150℃となるように設定し 。また、原糸付着油分量が1.0重量%となるよ うに非水系油剤の付与量を調整した。交絡処 理は、交絡付与装置内で走行糸条に直角方向 から高圧空気を噴射することにより行った。 交絡付与装置の前後には走行糸条を規制する ガイドを設け、噴射する空気の圧力は0.35MPa 一定とした。
冷却筒内の上部側および下部側平均風速測定 値を含む繊維製造条件と得られたナイロン66 維の特性を表1および表2に示す。

 上記方法を用いて製糸したナイロン66繊 の内50kgを500m/分の速度で巻き返し、レーザ 式毛羽検知器を用いて繊維パッケージ内に 在する毛羽を調べた結果も同様に表1および 2に示す。

 実施例1~11では、十分な機械的特性を有し 、毛羽の少ない単糸繊度1~2dtexのポリアミド 維を得ることができた。

 [比較例1]
 1500mmの長さを有する横吹出し冷却装置から3 0m/分の冷却風を均一に吹き出させることによ って、総繊度235dtexで単繊維数が136本の糸条 延伸速度が3000m/分で2糸条得ることができる うにしまた紡糸口金は、吐出孔間隔の最小 が7.5mmとなるように配列したものを用いて 表2の条件でナイロン66繊維の製造を試みた 外は実施例1と同様にして行った。

 実施例1~11に比べ延伸速度を低くしている にも関わらず、冷却部での糸揺れが激しく、 該冷却部で単繊維同士が衝突するため、引き 取りロールに切れた単糸が巻き付き、サンプ ル採取すら不能であった。

 [比較例2および比較例3]
 表2に示す製造条件以外は、実施例1と同様 してナイロン66繊維を製造した。

 得られた繊維特性、および毛羽評価結果 表2に示した。

 比較例2では、単繊維繊度が小さすぎて糸 切れが多発し、ナイロン66繊維を巻取機で巻 取ることができなかった。また、比較例3で は、繊維物性は実施例と遜色ないレベルでは あるが、冷却筒内と大気圧との差圧が小さい ため、毛羽が非常に多く、高速製織の求めら れるエアバッグ用繊維としては不適当なもの であった。

 [比較例4]
 冷却筒の冷却風吹出し長さを500mmとし、機 的な上下風速比率変更を行うことなく、表2 示す製造条件とした以外は、実施例1と同様 にしてナイロン66繊維を製造した。この際、1 つの口金から紡出される2糸条を引取ロール で合糸することで1本の糸条として、一旦巻 取ることなく延伸・弛緩熱処理を行い、巻 機で巻き取った。

 得られたナイロン66繊維の繊維特性、お び毛羽評価結果を表2に示した。

 得られたナイロン66繊維は伸度、すなわ タフネスが低下したため、実施例1~11に比べ 羽の多いものであった。

 [比較例5]
 徐冷筒を用いず、表2に示す製造条件とした 以外は、実施例1と同様にしてナイロン66繊維 を製造した。

 得られたナイロン66繊維の繊維特性、お び毛羽評価結果を表2に示した。

 得られたナイロン66繊維は伸度、すなわ タフネスが低下したため、実施例1~11に比べ 羽の多いものであった。

 [参考例1~5]
 紡糸口金の吐出孔数以外は比較例1と同じ製 糸設備を使用し、参考例1は延伸速度3200m/分 参考例2~5は延伸速度3600m/分で、表3の条件で イロン66繊維を製造した。

 得られた繊維特性、および毛羽評価結果 表3に示した。

 [実施例12]
 実施例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生 密度が56本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が63本/2 .54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、 筬打ち部とフリクションローラーとの間には バーテンプルを設置して基布を把持し、バッ クローラーと綜絞との間に、バックローラー から40cmの位置で、ワープラインから7cmタテ を持ち上げるようにガイドロールを取り付 た構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を147 cN/本、織機停止時の上糸の張力を118cN/本、下 糸の張力を167cN/本となるように調整し、織機 回転数は500rpmとした。

 次いでこの基布に、引き続きピンテンタ 乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィ ド率0%の寸法規制の下で160℃にて1分間の熱 ット加工を施した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表4に 示した。得られたエアバッグ用基布は、滑脱 抵抗力が予期せぬほど高い値を示すため、抗 目ズレ性が向上するものであった。さらに低 通気性、収納時のコンパクト性を兼ね備えた ものであった。

 [実施例13]
 実施例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生 密度が62.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が63.0 /2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、 筬打ち部とフリクションローラーとの間には バーテンプルを設置して基布を把持し、バッ クローラーと綜絞との間にはガイドロールを 配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を150 cN/本、織機停止時の上糸の張力を150cN/本、下 糸の張力を150cN/本となるように調整し、織機 回転数は500rpmとした。

 次いでこの基布に、引き続きピンテンタ 乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィ ド率0%の寸法規制の下で160℃にて1分間の熱 ット加工を施した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表4に 示した。得られたエアバッグ用基布は、滑脱 抵抗力が予期せぬほど高い値を示すため、抗 目ズレ性が向上するものであった。さらに低 通気性、収納時のコンパクト性を兼ね備えた ものであった。

 [実施例14]
 実施例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生 密度が58.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が59.5 /2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、 筬打ち部とフリクションローラーとの間には バーテンプルを設置して基布を把持し、バッ クローラーと綜絞との間にはガイドロールを 配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を150 cN/本、織機停止時の上糸の張力を150cN/本、下 糸の張力を150cN/本となるように調整し、織機 回転数は500rpmとした。

 次いでこの基布に、引き続きピンテンタ 乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィ ド率0%の寸法規制の下で160℃にて1分間の熱 ット加工を施した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表4に 示した。得られたエアバッグ用基布は、滑脱 抵抗力が予期せぬほど高い値を示すため、抗 目ズレ性が向上するものであった。さらに低 通気性、収納時のコンパクト性を兼ね備えた ものであった。 

 [実施例15]
 実施例8のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生 密度が52.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が53.5 /2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、 筬打ち部とフリクションローラーとの間には バーテンプルを設置して基布を把持し、バッ クローラーと綜絞との間にはガイドロールを 配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を180 cN/本、織機停止時の上糸の張力を180cN/本、下 糸の張力を180cN/本となるように調整し、織機 回転数は500rpmとした。

 次いでこの基布に、オープンソーパー型 練機で精練槽温度65℃、水洗槽温度40℃で精 練し、引き続き120℃で乾燥し、引き続きピン テンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバ フィード率0%の寸法規制の下で120℃にて1分 の熱セット加工を施した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表4に 示した。得られたエアバッグ用基布は、滑脱 抵抗力が予期せぬほど高い値を示すため、抗 目ズレ性が向上するものであった。さらに低 通気性、収納時のコンパクト性を兼ね備えた ものであった。

 [実施例16]
 実施例8のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生 密度が48.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が48.0 /2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、 筬打ち部とフリクションローラーとの間には バーテンプルを設置して基布を把持し、バッ クローラーと綜絞との間にはガイドロールを 配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を180 cN/本、織機停止時の上糸の張力を180cN/本、下 糸の張力を180cN/本となるように調整し、織機 回転数は500rpmとした。

 次いでこの基布に、オープンソーパー型 練機で精練槽温度65℃、水洗槽温度40℃で精 練し、引き続き120℃で乾燥し、引き続きピン テンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバ フィード率0%の寸法規制の下で120℃にて1分 の熱セット加工を施した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表4に 示した。得られたエアバッグ用基布は、滑脱 抵抗力が予期せぬほど高い値を示すため、抗 目ズレ性が向上するものであった。さらに低 通気性、収納時のコンパクト性を兼ね備えた ものであった。

 [実施例17]
 実施例2のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生 密度が71.5本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が71.5 /2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、 筬打ち部とフリクションローラーとの間には リングテンプルを設置して基布を把持し、バ ックローラーと綜絞との間にはガイドロール を配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を80c N/本、織機停止時の上糸の張力を80cN/本、下 の張力を80cN/本となるように調整し、織機回 転数は500rpmとした。

 次いでこの基布に、オープンソーパー型 練機で精練槽温度65℃、水洗槽温度40℃で精 練し、引き続き120℃で乾燥し、引き続きピン テンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバ フィード率0%の寸法規制の下で120℃にて1分 の熱セット加工を施した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表4に 示した。得られたエアバッグ用基布は、滑脱 抵抗力が予期せぬほど高い値を示すため、抗 目ズレ性が向上するものであった。さらに低 通気性、収納時のコンパクト性を兼ね備えた ものであった。

 [比較例6]
 参考例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、表5に示す条件とした以外は 実施例12と同様にしてエアバッグ用基布を製 した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表5に 示した。得られたエアバッグ用基布は、実施 例12の基布に比べ、抗目ズレ性、低通気性、 納時のコンパクト性のいずれも劣るもので った。

 [比較例7]
 参考例2のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、織機としてウォータージェ トルームを用い、筬打ち部とフリクション ーラーとの間にはリングテンプルを設置し 基布を把持する構成とし、ガイドロールを り付けず、表5に示す条件とした以外は実施 例12と同様にしてエアバッグ用基布を製造し 。
得られたエアバッグ用基布の特性を表5に示 た。得られたエアバッグ用基布は、実施例12 の基布に比べ、抗目ズレ性、低通気性、収納 時のコンパクト性のいずれも大きく劣るもの であった。

 [比較例8]
 参考例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、タテ糸の生機密度が62本/2.54 cm、ヨコ糸の生機密度が61.5本/2.54cmとした以 は実施例13と同様にしてエアバッグ用基布を 製造した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表5に 示した。得られたエアバッグ用基布は、実施 例13の基布に比べ、滑脱抵抗力、低通気性、 納時のコンパクト性のいずれも劣るもので った。

 [比較例9]
 参考例2のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、タテ糸の生機密度が62.5本/2. 54cm、ヨコ糸の生機密度が62.5本/2.54cmとした以 外は実施例13と同様にしてエアバッグ用基布 製造した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表5に 示した。得られたエアバッグ用基布は、実施 例13の基布に比べ、滑脱抵抗力、低通気性、 納時のコンパクト性のいずれも大きく劣る のであった。

 [比較例10]
 参考例2のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、タテ糸の生機密度が58.5本/2. 54cm、ヨコ糸の生機密度が58.5本/2.54cmとした以 外は実施例14と同様にしてエアバッグ用基布 製造した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表5に 示した。得られたエアバッグ用基布は、実施 例14の基布に比べ、滑脱抵抗力、低通気性、 納時のコンパクト性のいずれも大きく劣る のであった。

 [比較例11]
 参考例3のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用い、タテ糸の生機密度が52.0本/2. 54cm、ヨコ糸の生機密度が52.5本/2.54cmとした以 外は実施例15と同様にしてエアバッグ用基布 製造した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表6に 示した。得られたエアバッグ用基布は、実施 例15の基布に比べ、滑脱抵抗力、低通気性、 納時のコンパクト性のいずれも大きく劣る のであった。

 [比較例12]
 参考例3のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用いた以外は実施例16と同様にし エアバッグ用基布を製造した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表6に 示した。得られたエアバッグ用基布は、実施 例16の基布に比べ、滑脱抵抗力、低通気性、 納時のコンパクト性のいずれも大きく劣る のであった。

 [比較例13]
 参考例4のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用いた以外は実施例17と同様にし エアバッグ用基布を製造した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表6に 示した。得られたエアバッグ用基布は、実施 例17の基布に比べ、滑脱抵抗力、低通気性、 納時のコンパクト性のいずれも大きく劣る のであった。

 [比較例14]
 参考例5のナイロン66繊維をタテ糸およびヨ 糸として用いた以外は実施例17と同様にし エアバッグ用基布を製造した。

 得られたエアバッグ用基布の特性を表6に 示した。得られたエアバッグ用基布は、実施 例17の基布に比べ、滑脱抵抗力、低通気性、 納時のコンパクト性のいずれも大きく劣る のであった。

 本発明によるエアバッグ用基布は、従来 ない単糸細繊度の高強度エアバッグ用原糸 ら構成されており、エアバッグ用の基布に められる滑脱抵抗力が大きく向上しており また低通気性と収納時のコンパクト性の向 も兼ね備えている。そのため、本発明のエ バッグ用基布は、特に運転席、助手席用、 面衝突用サイドエアバッグなどに好適に用 ることができるが、その適用範囲がこれら 限られるものではない。