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Patent Searching and Data


Title:
BEARING SEAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157274
Kind Code:
A1
Abstract:
A pack seal type bearing seal equipped with a magnetic encoder and adapted to an application in which an inner ring rotates, wherein the width of formation and mounting of the magnetic encoder is increased.  The bearing seal is provided with a first slinger member (7) provided with a circular tube section (7a) and an outwardly facing flange section (7b), the circular tube section (7a) being fitted over an inner ring (2), the outwardly facing flange section (7b) being connected to an end of the circular tube section (7a); a second slinger member (8) provided with a circular tube section (8a) and an outwardly facing flange section (8b), the circular tube section (8a) being fitted over the circular tube section (7a) of the first slinger member (7), the outwardly facing flange section (8b) being connected to an end of the circular tube section (8a); a core member (9) provided with a circular tube section (9a) and an inwardly facing flange section (9b), the circular tube section (9a) being fitted in an outer ring (3), the inwardly facing flange section (9b) being connected to the circular tube section (9a); a stationary-side seal lip member (10) secured to the core member (9) and having seal lips (10a, ...) in elastic sliding contact with the second slinger member (8); a rotation-side seal lip member (11) secured to the second slinger member (8) and having seal lips (11a, ...) in elastic sliding contact with the core member (9); and an annular multi-pole magnet (12) mounted to the outwardly facing flange section (7b) of the first slinger member (7).

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Inventors:
TERASAWA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059966
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 01, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UCHIYAMA MFG (JP)
TERASAWA HIROSHI (JP)
International Classes:
F16C33/78; F16C41/00
Foreign References:
JP2007270992A2007-10-18
JP2005331002A2005-12-02
JP2006125424A2006-05-18
Attorney, Agent or Firm:
NAKAI HIROYUKI (JP)
Hiroyuki Nakai (JP)
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Claims:
 外輪側の固定側部材に対して内輪側の回転側部材を回転自在に支持する軸受ユニットに装着されるパックシールタイプのベアリングシールであって、
 上記回転側部材に外嵌される円筒部及びこの円筒部の一端に連設された外向鍔部を備える第1スリンガ部材と、該第1スリンガ部材の円筒部に外嵌される円筒部及びこの円筒部の一端に連設された外向鍔部を備える第2スリンガ部材と、固定側部材に内嵌される円筒部及びこの円筒部の一端に連設された内向鍔部を備える芯金部材と、該芯金部材に固着され上記第2スリンガ部材に弾性摺接するシールリップを備える固定側シールリップ部材と、第2スリンガ部材に固着され上記芯金部材に弾性摺接するシールリップを備える回転側シールリップ部材と、上記第1スリンガ部材の外向鍔部に添設された環状多極磁石とよりなることを特徴とするベアリングシール。
 請求項1に記載のベアリングシールにおいて、
 前記第1スリンガ部材及び第2スリンガ部材を嵌合させた際、第2スリンガ部材の外向鍔部と第1スリンガ部材の外向鍔部とが合体状態とされ、且つ該第2スリンガ部材における外向鍔部の外周縁部と第1スリンガ部材の外向鍔部との間に隙間部が形成されるよう構成され、
 前記回転側シールリップ部材は、該第2スリンガ部材の外向鍔部に対して上記外周縁部を把持するよう固着されていることを特徴とするベアリングシール。
 請求項2に記載のベアリングシールにおいて、
 前記第2スリンガ部材における外向鍔部の外周縁部を、該第2スリンガ部材の円筒部側に屈曲して屈曲部となし、該屈曲部によって前記隙間部が形成されるようにしたことを特徴とするベアリングシール。
 請求項2に記載のベアリングシールにおいて、
 前記第2スリンガ部材における外向鍔部の外周縁部を、前記合体部側より該第2スリンガ部材の円筒部側に圧偏して薄肉部となし、該薄肉部によって前記隙間部が形成されるようにしたことを特徴とするベアリングシール。
 請求項1に記載のベアリングシールにおいて、
 前記第2スリンガ部材は、その外向鍔部の外周縁部から連設された外側円筒部を更に備えて断面形状をコの字形となし、前記固定側シールリップ部材のシールリップの一部がこの外側円筒部の内径部に弾性摺接するよう構成されていることを特徴とするベアリングシール。
 請求項1乃至5のいずれかに記載のベアリングシールにおいて、
 前記回転側シールリップ部材には、前記第1スリンガ部材と第2スリンガ部材とを嵌合させた際、第1スリンガ部材の外向鍔部に対して弾性変形を伴い圧接される環状突部が形成されていることを特徴とするベアリングシール。
 請求項1に記載のベアリングシールにおいて、
 前記第1スリンガ部材が非磁性材からなり、前記環状多極磁石は、第1スリンガ部材の外向鍔部の円筒部側の面に添設され、第1スリンガ部材と第2スリンガ部材とを嵌合させた際、第1スリンガ部材の外向鍔部と第2スリンガ部材の外向鍔部との間に挟装されるよう構成されていることを特徴とするベアリングシール。
Description:
ベアリングシール

 本発明は、自動車用車輪等の軸受部をシ ルし、且つ車輪等の回転側部材の回転数を 出する為の磁気エンコーダを備えるパック ールタイプのベアリングシールに関する。

 自動車用車輪は、内輪、外輪及び内外輪 に介在される転動体によって構成される軸 部を介して回転自在に支持される。そして 転動体が介在される軸受空間は、内外輪間 介装されたベアリングシールによって密封 れ、軸受部内に装填された潤滑剤の漏出防 や外部からの汚泥等の浸入の防止が図られ いる。このベアリングシールとしては、回 側部材(内輪、外輪のいずれか)に嵌合一体 装着されるスリンガと、固定側部材(同上)に 嵌合一体に装着され該スリンガに弾性摺接す るシールリップを備えるシールリップ部材と を組合せた所謂パックシールタイプのものが 多用されるようになった。

 近時、自動車用車輪におけるアンチロッ ブレーキシステム(ABS)や、トラクションコ トロールシステム(TCS)を制御する為、車輪の 回転数検出がなされるようになってきた。上 記のようなパックシールタイプのベアリング シールを用いた軸受部(軸受ユニット)によっ 車輪を支持するようにした自動車の場合、 記スリンガの外側面に多数のN極・S極が周 向に交互且つ等ピッチに着磁形成された環 多極磁石(磁気エンコーダ)を装着し、固定側 (車体側)にこの磁気エンコーダに対峙するよ 磁気センサを設置し、回転に伴う磁気変化 よって車輪の回転数を検出するよう構成さ た回転数検出装置が採用されている(例えば 、特許文献1及び特許文献2参照)。

 特許文献1および2に開示されたベアリング ールでは、回転側にもシールリップ部材が けられ、固定側に嵌合固定された芯金にそ シールリップを弾性摺接させるよう構成さ ている。特に、特許文献2のベアリングシー の場合、内輪が回転側となる為、スリンガ( 回転側取付環)に取付けられた回転側シール ップに遠心力による振り切り作用が生じ、 れにより優れた密封性能が発揮される。そ 為、近年このような内輪側回転の軸受に用 られるパックシールタイプのベアリングシ ルの場合、スリンガにもシールリップ部材 設けることが多くなった。

特開平9-257044号公報

特開2005-337345号公報

 特許文献2のベアリングシールの場合、ス リンガに、ゴム状弾性材料からなる回転側シ ールリップと、磁性粉末を混入したゴム状弾 性材料又は合成樹脂材料からなるパルサーリ ング(磁気エンコーダ或いはトーンホイール 相当)とを設けている。このように、スリン に回転側シールリップとパルサーリングと 一体に設ける(バイマット方式)場合、成形 過程で、シールリップを形成する未加硫材 と、パルサーリングを形成する磁性粉末入 未加硫材料とが部分的に混合して、パルサ リングによる回転検出精度に影響を及ぼす とがある。その為、特許文献2では、パルサ リングと回転側シールリップとを分離して 成するようにしている。しかし、パルサー ングと回転側シールリップとを分離して形 するには、成型金型の形状・機能とも関係 て両者の形成部位及び形成幅に制約がある 特に、パルサーリングの形成幅が小さくな 、これに対峙させる磁気センサとの位置決 関係が難しくなる。

 特許文献1のベアリングシールの場合、外 輪が回転側であって、シールリップを有する 外径側芯金と、トーンホイール(磁気エンコ ダ或いはパルサーリングに相当)を有する支 環とを互いに嵌合関係で、回転側となる外 の内径面に内径側芯金を嵌合させ、上記シ ルリップがこの固定側の内径側芯金に弾性 接するよう構成されている。この場合、回 側シールリップを支持する部材と、トーン イールを支持する部材とが別部材である為 上記のような成形上の制約がなく、トーン イールの形成幅を大きく確保することがで る。しかし、外輪が回転側となる為、回転 遠心力により内径側芯金に対するシールリ プの弾性摺接力が弱まる傾向となり、密封 能にも影響が生じることになる。

 本発明は、上記実情に鑑みなされたもの あり、磁気エンコーダの取付形成幅を大き 確保することができるパックシールタイプ 内輪回転用磁気エンコーダ付きベアリング ールを提供することを目的としている。

 本発明のベアリングシールは、外輪側の 定側部材に対して内輪側の回転側部材を回 自在に支持する軸受ユニットに装着される ックシールタイプのベアリングシールであ て、上記回転側部材に外嵌される円筒部及 この円筒部の一端に連設された外向鍔部を える第1スリンガ部材と、該第1スリンガ部 の円筒部に外嵌される円筒部及びこの円筒 の一端に連設された外向鍔部を備える第2ス ンガ部材と、固定側部材に内嵌される円筒 及びこの円筒部の一端に連設された内向鍔 を備える芯金部材と、該芯金部材に固着さ 上記第2スリンガ部材に弾性摺接するシール リップを備える固定側シールリップ部材と、 第2スリンガ部材に固着され上記芯金部材に 性摺接するシールリップを備える回転側シ ルリップ部材と、上記第1スリンガ部材の外 鍔部に添設された環状多極磁石とよりなる とを特徴とする。

 前記環状多極磁石は、固定側の磁気セン と組み合って回転検出装置を構成する磁気 ンコーダの機能を奏するものであり、ゴム いは樹脂に磁性粉末を混練して環状に成型 た磁石や環状焼結磁石が用いられ、その周 向に多数のN極及びS極が交互に着磁形成さ たものとされ、前記第1のスリンガの外向鍔 の反軸受部側面(反円筒部側面)或いは軸受 側面(円筒部側面)に接着一体とされる。

 本発明において、前記第1スリンガ部材及び 第2スリンガ部材を嵌合させた際、第2スリン 部材の外向鍔部と第1スリンガ部材の外向鍔 部とが合体状態とされ、且つ該第2スリンガ 材における外向鍔部の外周縁部と第1スリン 部材の外向鍔部との間に隙間部が形成され よう構成し、前記回転側シールリップ部材 、該第2スリンガ部材の外向鍔部に対して上 記外周縁部を把持するよう固着されているも のとすることができる。
 この場合、前記第2スリンガ部材における外 向鍔部の外周縁部を、該第2スリンガ部材の 筒部側に屈曲して屈曲部となし、該屈曲部 よって前記隙間部が形成されるようにして 良い。また、前記第2スリンガ部材における 向鍔部の外周縁部を、前記合体部側より該 2スリンガ部材の円筒部側に圧偏して薄肉部 となし、該薄肉部によって前記隙間部が形成 されるようにしても良い。

 また、本発明において、前記第2スリンガ 部材が、その外向鍔部の外周縁部から連設さ れた外側円筒部を更に備えて断面形状をコの 字形となし、前記固定側シールリップ部材の シールリップの一部がこの外側円筒部の内径 部に弾性摺接するよう構成されているものと することも可能である。

 これらの場合において、前記回転側シー リップ部材には、前記第1スリンガ部材と第 2スリンガ部材とを嵌合させた際、第1スリン 部材の外向鍔部に対して弾性変形を伴い圧 される環状突部が形成されているものとし も良い。

 また、本発明において、前記第1スリンガ 部材を非磁性材からなるものとし、前記環状 多極磁石が、第1スリンガ部材の外向鍔部の 筒部側の面に添設され、第1スリンガ部材と 2スリンガ部材とを嵌合させた際、第1スリ ガ部材の外向鍔部と第2スリンガ部材の外向 部との間に挟装されるよう構成することも 能である。

 本発明に係るベアリングシールによれば 外輪側の固定側部材に内嵌される芯金部材 固着された固定側シールリップ部材のシー リップが、第2スリンガ部材に弾性摺接し、 また、第2スリンガ部材に固着された回転側 ールリップ部材のシールリップが固定側の 金部材に弾性摺接するから、軸受部のシー 機能がこの両シールリップの弾性摺接によ て維持される。特に、回転側のシールリッ には、内輪の回転に伴う遠心力により振り り作用が生じ、塵埃や汚泥等の軸受部への 入阻止が効果的になされる。また、この遠 力により回転側シールリップの固定側芯金 材に対する弾性摺接力が強まり、よりシー 機能が向上する。そして、第1スリンガ部材 外向鍔部に環状多極磁石を添設し、また、 2スリンガ部材に回転側シールリップ部材を 固着するよう構成したから、第1スリンガ部 に環状多極磁石を成形によって添設する際 、回転側シールリップ部材の制約を受けず 第1スリンガ部材における外向鍔部の幅寸法 環状多極磁石の添設スペースとして有効に 用することができ、環状多極磁石の形成幅 大きく確保することができる。従って、環 多極磁石の磁力を十分に発現させることが き、また、環状多極磁石を磁気エンコーダ し、これに磁気センサを対峙させて回転検 装置を構成する場合、磁気エンコーダと磁 センサとの相互の位置決めがし易く、回転 出装置の設計自由度が拡大される。

 本発明において、前記第1スリンガ部材及 び第2スリンガ部材を嵌合させた際、第2スリ ガ部材の外向鍔部と第1スリンガ部材の外向 鍔部とが合体状態となるよう構成した場合、 第1及び第2のスリンガ部材によって、スリン 機能部分の剛性が高められる。この場合、 第2スリンガ部材における外向鍔部の外周縁 部と第1スリンガ部材の外向鍔部との間に隙 部が形成されるよう構成し、前記回転側シ ルリップ部材が、該第2スリンガ部材の外向 部に対して上記外周縁部を把持するよう固 されているものとすれば、実質的に回転側 ールリップ部材の一部が、この隙間部に回 込むようになり、回転側シールリップ部材 第2スリンガ部材に対する固着が強固になさ れ、回転遠心力によっても安定したシール機 能が維持される。該隙間部を、前記第2スリ ガ部材における外向鍔部の外周縁部を屈曲 た前記屈曲部により形成し、或いは、前記 2スリンガ部材における外向鍔部の外周縁部 圧偏した前記薄肉部により形成するように れば、該隙間部の確保が簡易になされる。 して、これら隙間部は、第1及び第2のスリ ガ部材の嵌合時の、両外向鍔部の合体状態 おいて、回転側シールリップ部材の圧縮に る逃げ部となり、合体部分のシール機能が 好に維持される。

 また、第2スリンガ部材を、上記のように 外側円筒部を更に備えた断面がコの字形の形 状のものとし、固定側シールリップ部材のシ ールリップの一部がこの外側円筒部の内径部 に弾性摺接するよう構成した場合、固定側シ ールリップ部材の第2スリンガ部材に対する 質的な弾性摺接範囲が広くなり、シール性 向上すると共に固定側シールリップの設計 由度が広がる。

 これらの発明において、回転側シールリ プ部材に、上記の環状突部を設けた場合、 1スリンガ部材と第2スリンガ部材とを嵌合 せた際に、この突部が弾性変形を伴い圧縮 れるから、その弾性面圧により、第1スリン 部材及び第2スリンガ部材の嵌合部がシール され、当該嵌合部への汚泥等の浸入の防止が 図られ、信頼性の高い回転検出装置を構成す ることができる。特に、前記隙間部を形成し た場合、前記突部の弾性変形を伴う圧縮時の 逃げ場がこの隙間部で確保され、第1スリン 部材及び第2スリンガ部材の嵌合部のシール が良好に維持される。

 更に、第1スリンガ部材を非磁性材からな るものとし、第1スリンガ部材の外向鍔部と 2スリンガ部材の外向鍔部との間に環状多極 石を挟装するよう構成した場合、環状多極 石が第1スリンガ部材によって保護される。 特に本発明のベアリングシールを自動車用の 軸受ユニットに適用した場合には、塵埃等の アタックが激しい苛酷な環境に晒されるが、 環状多極磁石は第1スリンガ部材によって保 されるから、その傷付き等が抑えられ、磁 エンコーダとしての機能が長く維持される しかも、第1スリンガ部材は非磁性材からな から、磁気センサを対峙させて回転検出装 を構成した場合に、その磁気変化の検出機 も低下することがない。

本発明のベアリングシールを用いて組 てられた軸受ユニットの一例を示す縦断面 である。 図1におけるX部の拡大図である。 同ベアリングシールの変形例の断面図 ある。 同ベアリングシールの別の実施形態の 面図であって、図2と同様図である。 同ベアリングシールの更に別の実施形 の断面図であって、図3と同様図である。 同ベアリングシールの更に別の実施形 の断面図であって、図3と同様図である。

 以下に本発明の最良の実施の形態につい 、図面に基づいて説明する。図1は本発明の ベアリングシールを用いて組立てられた軸受 ユニットの一例を示す縦断面図、図2は図1に けるX部の拡大図、図3乃至図6は同ベアリン シールの他の実施形態の断面図である。

 図1は自動車の車輪を転がり軸受ユニット 1により支持する構造の一例を示すものであ 、内輪(回転側部材)2を構成するハブ2Aのハブ フランジ2aにボルト2bによりタイヤホイール( 図示)が固定される。また、ハブ2Aに形成さ たスプライン軸孔2cには駆動シャフト(不図 )がスプライン嵌合されて、該駆動シャフト の回転駆動力がタイヤホイールに駆動伝達さ れる。そして、ハブ2Aは内輪部材2Bと共に内 2を構成する。外輪(固定側部材)3は、車体の 架装置(不図示)に取付固定される。この外 3と上記内輪2との間に2列の転動体(玉)4…が テーナ4aで保持された状態で介装されている 。この転動体4…及び内外輪2,3に形成された 軌道面により軸受部1Aが構成され、軸受部1A 介して、内輪2が外輪3に対して軸回転可能 支持される。2列の転動体(玉)4…の軌道面の 方向外側、即ち、上記軸受部1Aの軸方向両 には、上記転動体4…の転動部(軸受空間)に 填される潤滑剤(グリス)の漏出或いは外部か らの汚泥等の浸入を防止するためのシールリ ング(ベアリングシール)5,6が、外輪3と内輪2 の間に圧入装着されている。そして、車体 シールリング6に対峙するよう、磁気センサ1 3が外輪3又は車体(固定側部材)に設置され、 の磁気センサ13と後記する環状多極磁石(磁 エンコーダ)12とにより、タイヤホイールの 転速度や回転角度等を検出する回転検出装 14が構成される(図2参照)。

 図2は、車体側シールリング6の装着部の 大断面図を示す。該シールリング6は、上記 輪部材(回転側部材)2Bの外周(外径面)に嵌合 体に装着される円筒部7a及びこの円筒部(以 、第1スリンガ円筒部と言う)7aの一端に連設 された外向鍔部(以下、第1スリンガ鍔部と言 )7bを備える第1スリンガ部材7と、第1スリン 円筒部7aの外周(外径面)に嵌合一体に装着さ れる円筒部8a及びこの円筒部(以下、第2スリ ガ円筒部と言う)8aの一端に連設された外向 部(以下、第2スリンガ鍔部と言う)8bを備える 第2スリンガ部材8と、外輪(固定側部材)3の内 (内径面)に嵌合一体に装着される円筒部9a及 びこの円筒部(以下、芯金円筒部と言う)9aの 端に連設された内向鍔部(以下、芯金鍔部と う)9bを備える芯金部材9とを有する。そして 、該芯金部材9には、上記第2スリンガ部材8に 弾性摺接するシールリップ10a,10bを備える固 側シールリップ部材10が固着され、また、第 2スリンガ部材8には、上記芯金部材9に弾性摺 接するシールリップ11a,11bを備える回転側シ ルリップ部材11が固着されている。上記第1 リンガ鍔部7bの車体側面(磁気センサ13側面) は、環状多極磁石(磁気エンコーダ)12が添設 れている。これにより、パックシールタイ の磁気エンコーダ付ベアリングシールとし 構成されている。

 第1スリンガ円筒部7aと第2スリンガ円筒部 8aとは、それぞれの鍔部7b,8bに対する形成方 が互いに同方向とされ、後者が前者に外嵌 た状態で互いに嵌合合体され、更にこの合 状態で第1スリンガ円筒部7aをして内輪部材2B の外径面に嵌合一体に装着されている。第2 リンガ鍔部8bの外周縁部は、第2スリンガ円 部8a方向に30~60°程度の角度で屈曲されて屈 部8cとされ、この屈曲部8cが回転側シールリ プ部材11の固着基部とされる。そして、こ 屈曲部8cによって、第1スリンガ鍔部7b及び第 2スリンガ鍔部8bの合体状態で第1スリンガ鍔 7bの外周縁部と第2スリンガ鍔部8bとの間に隙 間部8dが形成される。環状多極磁石12として 、ゴム或いは樹脂に磁性粉末を混練して環 に成型した磁石や環状焼結磁石の周方向に 数のN極及びS極を交互且つ等ピッチで着磁形 成したものが用いられるが、図例ではゴム磁 石によるものを示し、第1スリンガ鍔部7bの車 体側面であってその外周縁部に回り込むよう 加硫成型時に第1スリンガ部材7と接着一体に 設されている。そして、第1スリンガ鍔部7b 車体側面に添設された環状多極磁石12には 固定側に設置された磁気センサ13の検出面が 近接対峙し、これにより環状多極磁石12の回 に伴う磁気変化を検出して車輪の回転数や 転角度等を判定する回転検出装置14が構成 れている。

 固定側シールリップ部材10及び回転側シ ルリップ部材11は、ゴム等の弾性材からなり 、それぞれが上記のようにシールリップ10a,10 b及び11a,11bを備え、芯金部材9及び第2スリン 部材8に固着一体とされている。固定側シー リップ部材10は、芯金鍔部9bに対しその内周 縁部を包み且つ軸受部1A側の面(反車体側の面 )の全面を覆うよう固着されている。そして その最外周部分には、外輪3の内径面に嵌合 た際に弾性圧縮され、その弾性面圧により 輪3の内径面との間をシールする所謂ノーズ 部としての環状突部10cが形成されている。シ ールリップ10a,10bは、いずれもラジアルリッ として、第2スリンガ円筒部8aの外径面に弾 摺接するよう形成され、軸受部1A内に装填さ れたグリース(不図示)の漏出を防止するよう 能する。

 回転側シールリップ部材11は、第2スリン 鍔部8bの外周縁部に形成された屈曲部8cを把 持するよう、且つ一部が前記隙間部8dに回り むよう固着され、第1スリンガ鍔部7bと接す 部分には、環状突部(ノーズ部)11cが形成さ ている。この環状突部11cは、第1スリンガ部 7と第2スリンガ部材8とを嵌合させた際に弾 圧縮され、第1スリンガ鍔部7bに対して弾性 形を伴い圧接されるよう形成されたもので り、この弾性変形を伴った圧接により、第1 スリンガ部材7及び第2スリンガ部材8の嵌合部 がシールされ、当該嵌合部への汚泥等の浸入 の防止が図られる。外周縁部を上記のように 第2スリンガ円筒部8a方向に30~60°程度の角度 屈曲させることによって、第1スリンガ鍔部7 bとの間に、環状突部11cの弾性圧縮の際のゴ 材の逃げ場(隙間部)8dが確保され、上記弾性 形が円滑になされる。また、屈曲部8cに、 転側シールリップ部材11を把持するよう固着 させることによって、回転側シールリップ部 材11の固着強度を高めることができる。

 回転側シールリップ部材11を構成するシ ルリップ11a,11bの内、前者11aは芯金円筒部9a 内径面に弾性摺接するラジアルリップとさ 、また、後者11bは、芯金鍔部9bの車体側面に 弾性摺接するアキシャルリップ(サイドリッ )とされている。これらシールリップ11a,11bは 、芯金円筒部9aの内径面と環状多極磁石12の 周縁部との間のラビリンスrからベアリング ール6内への汚泥や塵埃等の浸入を阻止する 。特に、シールリップ11a,11bは内輪2の回転に い回転するから、その遠心力により振り切 作用が働き、上記汚泥等の浸入阻止機能が り効果的となる。また、シールリップ11aは 回転遠心力により芯金円筒部9aの内径面に して強く押付けられることになるから、よ 優れたシール機能を発揮する。

 上記のように構成された軸受ユニット1に おいて、車輪(不図示)及び内輪2が軸受部1Aを し外輪3に対して回転可能に支持される。こ の車輪及び内輪2の回転に伴い、第1スリンガ 材7、第2スリンガ部材8及び第1スリンガ部材 7に添設された環状多極磁石12が軸回転する。 環状多極磁石12の回転に伴うN極・S極の磁気 化が、磁気センサ13によって逐次検出され、 この検出情報に基づき車輪の回転速度や回転 角度等の算出がなされる。

 環状多極磁石12は、第1スリンガ部材7にお ける第1スリンガ鍔部7bの車体側面に添設一体 とされるが、この第1スリンガ鍔部7bの車体側 面は、その全面を環状多極磁石12の添設面と ることができる。従って、環状多極磁石12 形成幅を大きく確保することができ、環状 極磁石12の磁力を十分に発現させることがで きる。特に、第1スリンガ鍔部7bは、前記ラビ リンスrを確保しさえすれば、可能な限り外 を大きくすることができ、回転側シールリ プ部材11の制約を受けることなく、環状多極 磁石12の添設面を大きく確保することができ 。また、環状多極磁石12に磁気センサ13を対 峙させて回転検出装置14を構成する際、磁気 ンコーダとしての環状多極磁石12と、磁気 ンサ13との相互の位置決めがし易く、回転検 出装置14の設計自由度が拡大される。加えて 第1スリンガ鍔部7bの外径を第2スリンガ鍔部 8bの外径より大きくすることにより、回転側 ールリップ部材11の第2スリンガ鍔部8bに対 る固着部位を充分に確保できる。

 図3に示すベアリングシール6Aは、図2に示す ベアリングシール6の変形例であって、固定 シールリップ部材10及び回転側シールリップ 部材11の構成が異なる。即ち、固定側シール ップ部材10は、上記と同様のラジアルリッ としてのシールリップ10a,10bに加えて、第2ス リンガ鍔部8bの軸受部1A側の面に弾性摺接す アキシャル(サイド)リップとしてのシールリ ップ10dを備えている。また、回転側シールリ ップ部材11は、上記アキシャルリップとして シールリップ11bをなくし、ラジアルリップ してのシールリップ11aのみを備えたものと ている。このようなシールリップ部材10,11 おけるシールリップの形成態様の相違は、 用される軸受ユニット1の仕様や、適用部位 大きさ(装着スペース)等に基づくもので、 計的事項として適宜選択採用されるもので る。
 その他の構成及び効果は、図2に示すものと 同様であるので、共通部分に同一の符号を付 し、その説明を割愛する。

 図4に示すベアリングシール6Bは、図2のベ アリングシール6の別の実施形態を示すもの ある。この実施形態のベアリングシール6Bに おいては、前記第2スリンガ鍔部8bの外周縁部 を、前記合体部側(車体側)より該第2スリンガ 円筒部8a側に圧偏して薄肉部8eとなし、この 肉部8eによって、第1スリンガ鍔部7b及び第2 リンガ鍔部8bの合体状態で第1スリンガ鍔部7b の外周縁部と第2スリンガ鍔部8bとの間に隙間 部8dが形成されている。この薄肉部8eは、前 と同様に、回転側シールリップ部材11の固着 基部とされ、回転側シールリップ部材11は、 2スリンガ鍔部8bの外周縁部に形成された薄 部8eを把持するよう、且つ一部が前記隙間 8dに回り込むよう固着されている。そして、 この固着基部の第1スリンガ鍔部7bと接する部 分には、前記と同様に、環状突部(ノーズ部)1 1cが形成されている。

 この例の場合も、隙間部8dが第1及び第2ス リンガ7b、8bの嵌合合体時における環状突部11 cの弾性圧縮の際のゴム材の逃げ場として機 し、上記弾性変形が円滑になされる。また 薄肉部8eに、回転側シールリップ部材11を把 するよう固着させることによって、回転側 ールリップ部材11の固着強度を高めること できることも同様である。而して、薄肉部8e を、第2スリンガ鍔部8bの外周縁部を、前記合 体部側より該第2スリンガ円筒部8a側に圧偏し て形成することにより、薄肉部8eが遠心方向 直状とされ、これにより前記ゴム材の過剰 逃げが抑制される。従って、前記環状突部1 1cの弾性圧縮の際の反力によるシール性が適 に発現される。

 隙間部8dを前記屈曲部8cによって形成するか 、上記薄肉部8eによって形成するかは、環状 部11cの形状やゴム材の材質に応じ、適宜設 的事項として採択されるものであるが、屈 部8cを曲げ加工によって形成する場合は、 工時の曲げ応力が蓄積され、シール部から 反力により曲げ変形を来たす懸念がある。 れに対し、薄肉部8eによって形成する場合は 、ゴム材の逃げの許容とシール性の維持との バランスがとり易く、設計上の優位性がある 。
 その他の構成及び効果は、図2に示すものと 同様であるので、共通部分に同一の符号を付 し、その説明を割愛する。

 図5に示すベアリングシール6Cは、図2のベア リングシール6の更に別の実施形態を示すも である。この実施形態のベアリングシール6C においては、第2スリンガ部材8が、第2スリン ガ鍔部8bの外周縁部から連設された外側円筒 8fを更に備えて断面形状がコの字形とされ いる。固定側シールリップ部材10は、上記と 同様のシールリップ(ラジアルリップ)10a,10bに 加えて、この外側円筒部8fの内径部に弾性摺 するシールリップ(ラジアルリップ)10eを備 ている。また、回転側シールリップ部材11は 、芯金円筒部9aの内径面に弾性摺接する1個の シールリップ(ラジアルリップ)11aを備えてい 。このように、第2スリンガ部材8に外側円 部8fを連設することにより、固定側シールリ ップ部材10におけるシールリップ10a,10b,10eの 質的な摺接可能範囲を広く確保することが き、シールリップの設計自由度が拡大され 。
 尚、第2スリンガ鍔部8bに弾性摺接するアキ ャルリップを更に設けることはもとより可 である。その他の構成及び効果は上記と同 であるので、ここでも共通部分に同一の符 を付し、その説明を割愛する。

 図5に示すベアリングシール6Dは、図2に示す ベアリングシール6の更に別の実施形態を示 ものである。この実施形態のベアリングシ ル6Dにおいては、第1スリンガ部材7を非磁性 からなるものとし、環状多極磁石12が、第1 リンガ鍔部7bの軸受部1A側の面(第1スリンガ 筒部7a側の面)に添設され、第1スリンガ部材 7と第2スリンガ部材8とを嵌合させた際、第1 リンガ鍔部7bと第2スリンガ鍔部8bとの間に挟 装されるよう構成されている。従って、環状 多極磁石12の着磁面が第1スリンガ鍔部7bによ て覆われ、汚泥や塵埃等のアタックから保 され、その傷付きの防止が図られる。特に 自動車用の軸受ユニットの場合、過酷なア ック環境に晒される為、信頼性の高い回転 出を行う上で有効である。しかも、保護機 を備える第1スリンガ部材7が非磁性材から るから、この第1スリンガ部材7を通した磁気 変化の検出に支障を来たすこともない。
 尚、図2乃至図5に示す各実施形態における 1スリンガ部材7は、環状多極磁石12が第1スリ ンガ鍔部7bの車体側面に露出的に添設される ら、非磁性体とする必要がなく、寧ろ磁性 とすることにより、その着磁面から磁気セ サ13(図2参照)に指向される磁束密度を高め ことができ有利である。その他の構成及び 果は、図2に示す実施形態と同様であるので 共通部分に同一の符号を付し、ここでもそ 説明を割愛する。

 尚、上記実施形態では、隙間部8dを、屈 部8c或いは薄肉部8eで形成する例について述 たが、これに限らず他の手段によって形成 ることも可能である。また、自動車の車輪 支持する軸受ユニットに適用した例につい 述べたが、他の回転検出が求められる軸受 ニットにも本発明のベアリングシールを適 することができる。更に、軸受ユニット1が 、回転側の内輪2と固定側の外輪3とにより構 される例について述べたが、内輪側が直接 転駆動軸に形成される場合にも本発明を適 することができる。

 1   軸受ユニット
 2   内輪(回転側部材)
 3   外輪(固定側部材)
 6,6A~6D   ベアリングシール(シールリング)
 7   第1スリンガ部材
 7a  第1スリンガ円筒部
 7b  第1スリンガ鍔部(外向鍔部)
 8   第2スリンガ部材
 8a  第2スリンガ円筒部
 8b  第2スリンガ鍔部(外向鍔部)
 8c  屈曲部
 8d  隙間部
 8e  薄肉部
 8f  外側円筒部
 9   芯金部材
 9a  芯金円筒部
 9b  芯金鍔部
 10  固定側シールリップ部材
 10a,10b,10d,10e  シールリップ
 11  回転側シールリップ部材
 11a,11b  シールリップ
 12  環状多極磁石(磁気エンコーダ)