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Title:
BEARING FOR WHEEL AND BEARING DEVICE ADAPTED TO BE USED FOR WHEEL AND HAVING THE BEARING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/129799
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a bearing device for a wheel that is reduced in weight, size, and cost and has enhanced sealing ability, bearing accuracy, and durability. [MEANS FOR SOLVING THE PROBLEMS] A bearing device adapted for use in a wheel and having the first generation structure is constructed from a hub ring (1) integrally having at one end a wheel mounting flange (5), and from a back-to-back type double row angular ball bearing. An outer member (7) and an inner ring (8) are made from a pipe material by cold rolling. Seals (11) are fitted in hollow circular cylindrical sections (13) formed at opposite ends of the outer member (7). Shoulders (14) extending in the axial direction are formed at the ends on the large-diameter sides of the inner ring (8). Seal lips of the seals (11) are in slidable contact with the shoulders (14). Rolling surfaces (7a, 8a), the hollow circular cylindrical sections (13), in which the seals (11) are fitted, of the outer member (7), and the shoulders (14) of the inner ring (8) are formed to predetermined dimensions and accuracies by grinding. The shoulders (14) function as lands for the seals (11).

Inventors:
TORII AKIRA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000640
Publication Date:
October 30, 2008
Filing Date:
March 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
TORII AKIRA (JP)
International Classes:
B60B35/14; F16C33/64; B60B35/18; F16C19/18; F16C25/08; F16C33/78; F16C35/063; F16J15/32
Domestic Patent References:
WO2007034819A12007-03-29
Foreign References:
JPH01210612A1989-08-24
JP2003130060A2003-05-08
JP2007051665A2007-03-01
JP2003246203A2003-09-02
JP2006528326A2006-12-14
Attorney, Agent or Firm:
KOSHIKAWA, Takao (111-2 Itayamachi, Naka-ku,Hamamatsu-sh, Shizuoka 91, JP)
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Claims:
 内周に複列の円弧状の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
 外周に前記複列の外側転走面に対向する円弧状の内側転走面が形成された一対の内輪と、
 これら内輪と前記外方部材の両転走面間に収容された複列のボールと、
 前記外方部材と内輪との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備え、
 前記内輪の小径側端面が突合せ状態で衝合して背面合せタイプの複列のアンギュラ玉軸受を構成する車輪用軸受において、
 前記外方部材と内輪がパイプ材から塑性加工によって形成されると共に、前記両転走面および前記シールのランド部または嵌合部となる前記内輪の肩部が研削加工により所定の寸法、精度に形成されていることを特徴とする車輪用軸受。
 前記外方部材と内輪が冷間のローリング加工によって形成されている請求項1に記載の車輪用軸受。
 前記ボールの直径をDwとした時、前記外方部材の外側転走面の溝底径と内径の高さHが、H/Dw=0.30~0.43の範囲になるように設定されている請求項1または2に記載の車輪用軸受。
 前記外方部材の両端部に円筒部がローリング加工により形成され、この円筒部に前記シールが内嵌されると共に、前記内輪の大径側の端部に軸方向に延びる肩部がローリング加工により形成され、この肩部に前記シールのシールリップが摺接されている請求項1乃至3いずれかに記載の車輪用軸受。
 前記シールが、断面が略L字状に形成され、互いに対向配置されたスリンガと環状のシール板とからなり、このシール板がサイドリップとラジアルリップとを有すると共に、前記外方部材の両端部に円筒部がローリング加工により形成され、この円筒部に前記シール板が内嵌され、前記内輪の大径側の端部に軸方向に延びる肩部がローリング加工により形成され、この肩部に前記スリンガが圧入され、このスリンガに前記シール板のシールリップが摺接されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受。
 前記外方部材の両端部に径方向内方に延びる肩部がローリング加工により形成され、この肩部に前記シールが一体に接合されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受。
 前記外方部材の両端面と前記内輪の大径側端面が塑性加工後に旋削加工されると共に、熱処理後に、前記両転走面と前記外方部材の外径面および前記内輪の内径面と小径側端面が研削加工によって所定の寸法、精度に形成されている請求項1乃至6いずれかに記載の車輪用軸受。
 前記外方部材の中央部を凹ませて内周に環状凸部がフラット形状に形成されると共に、前記外側転走面から前記環状凸部に繋がる肩部が、総型砥石によって前記外側転走面と同時に研削加工され、円弧状に形成されている請求項1乃至7いずれかに記載の車輪用軸受。
 前記環状凸部の内径が、ローリング加工によって前記肩部と微小な段差をもって形成されている請求項8に記載の車輪用軸受。
 前記複列の外側転走面が総型砥石によって同時に研削加工されている請求項8または9に記載の車輪用軸受。
 前記外方部材の外径と環状凹部の繋ぎ部が所定の曲率半径からなる円弧状に形成され、この部位が略均等な肉厚に設定されている請求項1乃至10いずれかに記載の車輪用軸受。
 前記繋ぎ部の曲率半径Rが、前記ボールの半径をRwとした時、R=1.5~1.8Rwの範囲になるように設定されている請求項11に記載の車輪用軸受。
 前記保持器が、合成樹脂から射出成形によって形成されたスナップオンタイプで構成され、前記ボールが径方向に脱落しないように転動自在に保持されていると共に、少なくとも前記外側転走面の肩部に対向する部位にカウンタ部が塑性加工により形成されている請求項1乃至12いずれかに記載の車輪用軸受。
 前記カウンタ部の内径が、前記保持器に前記ボールが保持されたボールカセットにおける当該ボールの外接円径よりも小径に設定されている請求項13に記載の車輪用軸受。
 前記内側転走面の肩部に対向する部位にカウンタ部が塑性加工により形成され、前記カウンタ部の外径が、前記保持器に前記ボールが保持されたボールカセットにおける当該ボールの内接円径よりも大径に設定されている請求項13または14に記載の車輪用軸受。
 前記カウンタ部が、熱処理後に前記側転走面と同時に総型砥石によって研削加工されている請求項13乃至15いずれかに記載の車輪用軸受。
 一端部に車輪取付フランジを一体に有し、この車輪取付フランジから肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪と、このハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された前記請求項1乃至16いずれかに記載の車輪用軸受とを備え、前記ハブ輪に等速自在継手の外側継手部材がセレーションを介して内嵌され、前記一対の内輪が前記ハブ輪の肩部と前記外側継手部材の肩部とで挟持されて所定の軸受予圧が付与されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
Description:
車輪用軸受およびこれを備えた 輪用軸受装置

 本発明は、自動車等の車両の車輪を回転 在に支承する車輪用軸受、詳しくは、軽量 コンパクト化と低コスト化を図ると共に、 受の耐久性の向上を図った車輪用軸受およ これを備えた車輪用軸受装置に関するもの ある。

 従来から自動車等の車輪を支持する車輪 軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ を複列の転がり軸受を介して回転自在に支 するもので、駆動輪用と従動輪用とがある 構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転 式が、従動輪用では内輪回転と外方部材回 の両方式が一般的に採用されている。この 輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナ クルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸 等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代 と称される構造から、外方部材の外周に直接 車体取付フランジまたは車輪取付フランジが 形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外 に一方の内側転走面が直接形成された第3世 構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の 側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が 接形成された第4世代構造とに大別されてい る。

 従来から、内輪および外輪(外方部材)が 板からプレス加工によって形成された構造 アンギュラ玉軸受が知られている。例えば 図11に示すアンギュラ玉軸受50は、磁気ハー ディスク装置等に使用されるものであるが 外輪51および一対の内輪52、53は、ステンレ 鋼板からプレス加工またはローリング加工 よって形成されている。

 外輪51は、内周面の略中間部に径方向内 に突出する環状凸部51aが形成され、この環 凸部51aの両側の内周面に外側転走面51b、51c 形成されている。この外輪51は、外周面がハ ウジング54の穴に嵌合され、一端部に形成さ たフランジ51dがハウジング54の端面に当接 れて、軸方向の位置決めが行われている。 た、環状凸部51aにより、外輪51の外周面には 環状凹部51eが形成され、この環状凹部51eに接 着剤が充填されてハウジング54の穴に外輪51 固定されている。

 一方、内輪52、53は、外輪51の複列の外側 走面51b、51cの内側に軸方向の両側からそれ れ嵌合される。これら内輪52、53の軸方向外 端外周には、湾曲肩部52a、53aが形成され、こ の湾曲肩部52a、53aに内側転走面52b、53bが形成 されている。そして、複列のボール56、56が れらの内側転走面52b、53bと外輪51の複列の外 側転走面51b、51cとの間に配置され、保持器57 57により各列毎に保持されている。

 内輪52、53の内周面には、軸部材55に隙間 めされる嵌合部52c、53cが形成されている。 輪52、53が軸部材55に軸方向から隙間嵌めさ た後、一方の内輪52の湾曲肩部52aに重量が 定の円筒形の重錘59が乗せられ、この重錘59 重量により、内輪52、ボール56、外輪51、ボ ル56を経由して他方の内輪53が押圧され、湾 曲肩部53aが軸部材55の鍔部55aに当接するまで 合される。これにより、アンギュラ玉軸受5 0に適正な予圧が設定される。

 この隙間嵌めが完了すると、一方の内輪52 湾曲肩部52aと軸部材55との間の隙間に接着剤 60が充填され、この接着剤60で一方の内輪52の 嵌め外れが防止されると共に、軸部材55の鍔 55aで他方の内輪53の嵌め外れが防止される

実開平6-1835号公報

 然しながら、この種のプレス製のアンギ ラ玉軸受を車輪用軸受として使用した場合 シール性を確保するためにシール装置(図示 せず)を外輪51と内輪52、53との間に形成され 環状空間の開口部に装着する必要があるが 部品点数が増えるだけでなく、シールスペ スを確保するための構造変更が余儀なくさ 、加工コストと共に組立工数が嵩んでコス アップは否めない。さらに、従来の削り出 の軸受と比較して各部位の精度、特に、各 走面の精度を同等にすることは困難であっ 。

 また、車両の旋回時等に負荷されるモー ント荷重によって、ボール56の接触楕円が り上げて外側転走面51bから外れる、所謂肩 り上げが発生することがある。そして、こ 肩乗り上げによって肩部Aにエッジロードが 生する恐れがあった。ここで、エッジロー とは、角部等に発生する過大な応力集中の とで、早期剥離の要因の一つとなる事象を う。

 そこで、外輪51のローリング加工時、外 51の中央部を凹ませて環状凸部51aを形成する 際、外側転走面51bから環状凸部51aの肩高さを 高くすれば旋回モーメント負荷時にボール56 肩部Aを乗り上げ難くなるが、この場合、外 径から環状凹部51eへの繋ぎ部Bの曲率半径Rの きさ如何によっては肉厚が薄くなるだけで く、肩高さを高くすると絞り率が高くなり 部Aに亀裂が発生し易くなる恐れがあった。 したがって、工程数を増やしてこの絞り率を 低く抑えて亀裂の発生を防止することも考え られるが、これでは、製造コストが高騰する だけでなく、加工精度が低下して所望の軸受 精度を確保することが困難であった。

 本発明は、このような事情に鑑みてなさ たもので、軽量・コンパクト化と低コスト を図ると共に、密封性と軸受精度の向上を った車輪用軸受およびこれを備えた車輪用 受装置を提供することを目的としている。

 また、本発明の他の目的は、軸受の耐久 の向上を図ることである。

 係る目的を達成すべく、本発明は、内周 複列の円弧状の外側転走面が一体に形成さ た外方部材と、外周に前記複列の外側転走 に対向する円弧状の内側転走面が形成され 一対の内輪と、これら内輪と前記外方部材 両転走面間に収容された複列のボールと、 記外方部材と内輪との間に形成される環状 間の開口部に装着されたシールとを備え、 記内輪の小径側端面が突合せ状態で衝合し 背面合せタイプの複列のアンギュラ玉軸受 構成する車輪用軸受において、前記外方部 と内輪がパイプ材から塑性加工によって形 されると共に、前記両転走面および前記シ ルのランド部または嵌合部となる前記内輪 肩部が研削加工により所定の寸法、精度に 成されている。・・・請求項1

 このように、外方部材と内輪がパイプ材 ら塑性加工によって形成されると共に、両 走面およびシールのランド部または嵌合部 なる内輪の肩部が研削加工により所定の寸 、精度に形成されているので、生産性が向 して歩溜まりが良く低コスト化ができると に、従来の軸受と同等の精度や密封性を確 することができる。

 好ましくは、本発明のように、前記外方 材と内輪が冷間のローリング加工によって 成されていれば、肉厚を略均等にすること できると共に、形状、寸法を所定の精度に 保することができる。・・・請求項2

 また、本発明のように、前記ボールの直 をDwとした時、前記外方部材の外側転走面 溝底径と内径の高さHが、H/Dw=0.30~0.43の範囲 なるように設定されていれば、所望の軸受 度を確保すると共に、肩部に亀裂が発生す のを防止し、かつ、旋回モーメント負荷時 ボールの接触楕円が肩部を乗り上げるのを 止することができ、軸受の耐久性の向上を った車輪用軸受を提供することができる。 ・・請求項3

 また、本発明のように、前記外方部材の 端部に円筒部がローリング加工により形成 れ、この円筒部に前記シールが内嵌される 共に、前記内輪の大径側の端部に軸方向に びる肩部がローリング加工により形成され この肩部に前記シールのシールリップが摺 されていれば、所望の密封性を確保するこ ができる。・・・請求項4

 また、本発明のように、前記シールが、断 が略L字状に形成され、互いに対向配置され たスリンガと環状のシール板とからなり、こ のシール板がサイドリップとラジアルリップ とを有すると共に、前記外方部材の両端部に 円筒部がローリング加工により形成され、こ の円筒部に前記シール板が内嵌され、前記内 輪の大径側の端部に軸方向に延びる肩部がロ ーリング加工により形成され、この肩部に前 記スリンガが圧入され、このスリンガに前記 シール板のシールリップが摺接されていれば 、一層強固な密封性が得られる。
・・・請求項5

 また、本発明のように、前記外方部材の両 部に径方向内方に延びる肩部がローリング 工により形成され、この肩部に前記シール 一体に接合されていれば、部品点数が削減 きると共に、組立工数が大幅に削減でき、 層の低コスト化を図ることができる。
・・・請求項6

 また、本発明のように、前記外方部材の 端面と前記内輪の大径側端面が塑性加工後 旋削加工されると共に、熱処理後に、前記 転走面と前記外方部材の外径面および前記 輪の内径面と小径側端面が研削加工によっ 所定の寸法、精度に形成されていれば、従 の軸受と同等の軸受精度を確保することが きる。・・・請求項7

 また、本発明のように、前記外方部材の 央部を凹ませて内周に環状凸部がフラット 状に形成されると共に、前記外側転走面か 前記環状凸部に繋がる肩部が、総型砥石に って前記外側転走面と同時に研削加工され 円弧状に形成されていれば、所望の軸受精 を確保して肩部に亀裂が発生するのを防止 ると共に、肩部が外側転走面から滑らかに がり、旋回モーメント負荷時にボールの接 楕円が肩部を乗り上げてエッジロードが発 するのを防止することができ、軸受の耐久 を向上させた車輪用軸受を提供することが きる。・・・請求項8

 また、本発明のように、前記環状凸部の 径が、ローリング加工によって前記肩部と 小な段差をもって形成されていれば、ロー ング加工時に、肩部に亀裂が発生するのを 止しつつ、肩部に素材を充足させて外側転 面と環状凸部との肩高さを適切に確保する とができる。・・・請求項9

 また、本発明のように、前記複列の外側 走面が総型砥石によって同時に研削加工さ ていれば、加工工数が削減でき、低コスト を図ることができると共に、複列の外側転 面の溝径相互差およびピッチを所定の精度 規制することができ、軸受精度を一層向上 せることができる。・・・請求項10

 また、本発明のように、前記外方部材の 径と環状凹部の繋ぎ部が所定の曲率半径か なる円弧状に形成され、この部位が略均等 肉厚に設定されていれば、肩部に亀裂が発 するのを防止し、かつ、旋回モーメント負 時にボールの接触楕円が肩部を乗り上げて ッジロードが発生するのを防止することが き、軸受の耐久性を向上させた車輪用軸受 提供することができる。ここで、略均等と 、成形前のパイプ材の肉厚が均等であり、 記繋ぎ部も円弧を形成する目的以外に特に 性流動させることなく成形を行った結果得 れた形状の肉厚の状態を意味し、前記繋ぎ の円弧を形成する際の材料の肉の変位によ 僅かに肉薄となったり、また肉厚となる状 は含むことを意味する。・・・請求項11

 好ましくは、本発明のように、前記繋ぎ の曲率半径Rが、前記ボールの半径をRwとし 時、R=1.5~1.8Rwの範囲になるように設定され いれば、肉厚が薄くなり剛性が低下するこ もなく、また、肉厚が厚くなり塑性加工の 工性が低下することもない。・・・請求項12

 また、本発明のように、前記保持器が、 成樹脂から射出成形によって形成されたス ップオンタイプで構成され、前記ボールが 方向に脱落しないように転動自在に保持さ ていると共に、少なくとも前記外側転走面 肩部に対向する部位にカウンタ部が塑性加 により形成されていれば、組立工程で一旦 み立てられたボールカセットが外方部材か 脱落するのを防止して組立の簡略化を図る とができる。ここで、スナップオンタイプ は、合成樹脂の弾性によりボールを脱着す スナップ型の保持器を言う。・・・請求項1 3

 好ましくは、本発明のように、前記カウ タ部の内径が、前記保持器に前記ボールが 持されたボールカセットにおける当該ボー の外接円径よりも小径に設定されていれば ボールカセットが外方部材から脱落するの 確実に防止することができる。・・請求項1 4

 また、本発明のように、前記内側転走面 肩部に対向する部位にカウンタ部が塑性加 により形成され、前記カウンタ部の外径が 前記保持器に前記ボールが保持されたボー カセットにおける当該ボールの内接円径よ も大径に設定されていれば、組立工程で一 組み立てられた内輪が軸方向に脱落するの 防止して組立の簡略化を一層図ることがで る。・・・請求項15

 また、本発明のように、前記カウンタ部 、熱処理後に前記側転走面と同時に総型砥 によって研削加工されていれば、熱処理に る変形を除去してカウンタ部の内径を一層 度良く仕上げることができ、組立時にボー が通過することによる擦過傷の発生を抑制 、品質的に信頼性の高い車輪用軸受を提供 ることができる。・・・請求項16

 また、本発明は、一端部に車輪取付フラ ジを一体に有し、この車輪取付フランジか 肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形 されたハブ輪と、このハブ輪の小径段部に 定のシメシロを介して圧入された前記請求 1乃至16いずれかに記載の車輪用軸受とを備 、前記ハブ輪に等速自在継手の外側継手部 がセレーションを介して内嵌され、前記一 の内輪が前記ハブ輪の肩部と前記外側継手 材の肩部とで挟持されて所定の軸受予圧が 与されている。・・・請求項17

 このように、第1世代構造の車輪用軸受装 置において、一端部に車輪取付フランジを一 体に有し、この車輪取付フランジから肩部を 介して軸方向に延びる小径段部が形成された ハブ輪と、このハブ輪の小径段部に所定のシ メシロを介して圧入された前記請求項1乃至16 いずれかに記載の車輪用軸受とを備え、前記 ハブ輪に等速自在継手の外側継手部材がセレ ーションを介して内嵌され、前記一対の内輪 が前記ハブ輪の肩部と前記外側継手部材の肩 部とで挟持されて所定の軸受予圧が付与され ているので、軸受剛性が高くなると共に、軸 受の転がり疲労寿命が向上する。

 本発明に係る車輪用軸受は、内周に複列 円弧状の外側転走面が一体に形成された外 部材と、外周に前記複列の外側転走面に対 する円弧状の内側転走面が形成された一対 内輪と、これら内輪と前記外方部材の両転 面間に収容された複列のボールと、前記外 部材と内輪との間に形成される環状空間の 口部に装着されたシールとを備え、前記内 の小径側端面が突合せ状態で衝合して背面 せタイプの複列のアンギュラ玉軸受を構成 る車輪用軸受において、前記外方部材と内 がパイプ材から塑性加工によって形成され と共に、前記両転走面および前記シールの ンド部または嵌合部となる前記内輪の肩部 研削加工により所定の寸法、精度に形成さ ているので、生産性が向上して歩溜まりが く低コスト化ができると共に、従来の軸受 同等の精度や密封性を確保することができ 。

 内周に複列の円弧状の外側転走面が一体 形成された外方部材と、外周に前記複列の 側転走面に対向する円弧状の内側転走面が 成された一対の内輪と、これら内輪と前記 方部材の両転走面間に収容された複列のボ ルと、前記外方部材と内輪との間に形成さ る環状空間の開口部に装着されたシールと 備え、前記内輪の小径側端面が突合せ状態 衝合して背面合せタイプの複列のアンギュ 玉軸受を構成する車輪用軸受において、前 外方部材と内輪がパイプ材からローリング 工によって形成され、前記外方部材の両端 に形成された円筒部に前記シールが内嵌さ ると共に、前記内輪の大径側の端部に軸方 に延びる肩部が形成され、この肩部に前記 ールのシールリップが摺接され、前記両転 面および前記シールの嵌合面とシールラン 部が研削加工により所定の寸法、精度に形 されている。

 以下、本発明の実施の形態を図面に基いて 細に説明する。
 図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1 実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の車輪 用軸受を示す拡大図、図3(a)は図2の外方部材 体を示す縦断面図、(b)は、図2の内輪単体を 示す縦断面図、図4(a)は、外方部材における 側転走面の研削加工を示す説明図、(b)は、 上、他の研削加工を示す説明図である。な 、以下の説明では、車両に組み付けた状態 車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面 側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)と う。

 この車輪用軸受装置は第1世代構造をなし 、ハブ輪1と、このハブ輪1に装着される車輪 軸受2とを備えている。ハブ輪1には等速自 継手3がトルク伝達自在に内嵌され、固定ナ ト4を介してハブ輪1と等速自在継手3が分離 能に一体化されている。

 ハブ輪1は、アウター側の一端部に車輪( 示せず)を取り付けるための車輪取付フラン 5を有し、外周にこの車輪取付フランジ5か 肩部1aを介して軸方向に延びる円筒状の小径 段部1bが形成され、内周にトルク伝達用のセ ーション(またはスプライン)1cが形成されて いる。このハブ輪1はS53C等の炭素0.40~0.80wt%を む中高炭素鋼で形成され、鍛造の生のまま ある。また、曲げ強度に対する疲労強度増 のために鍛造後に調質処理を行う方法や、 部1aから小径段部1bに亙って高周波焼入れに よって表面硬さを58~64HRCの範囲に硬化処理を ても良い。

 車輪用軸受2はナックル6に内嵌され、図2 拡大して示すように、内周に複列の円弧状 外側転走面7a、7aが形成された外方部材(外 )7と、外周にこれら複列の外側転走面7a、7a 対向する円弧状の内側転走面8a、8aが形成さ た一対の内輪8、8と、両転走面間に保持器9 9を介して転動自在に収容された複列のボー ル10、10と、外方部材7の両端部に装着された ール11とを備えている。そして、内輪8、8の 小径(正面)側端面8b、8bを突合せ状態で衝合し 、所謂背面合せタイプの複列のアンギュラ玉 軸受を構成している。

 シール11は、外方部材7の円筒部13に嵌合 れる芯金11aと、この芯金11aに加硫接着等に り一体に接合され、ニトリルゴム等のエラ トマーからなるシール部材11bからなり、一 のラジアルリップを備えている。そして、 受内部に封入されたグリースの漏洩と、外 から雨水やダスト等の異物が軸受内部に侵 するのを防止している。また、図示してい いが、内輪外径にスリンガを圧入し、この リンガに対向して外方部材7の円筒部13に装 されたシールとからなり、このシールのシ ルリップが摺接した所謂パックシールを用 ても良い。

 等速自在継手3は、図1に示すように、外 継手部材15と、継手内輪16とケージ17および ルク伝達ボール18とを備えている。外側継手 部材15は、カップ状のマウス部19と、このマ ス部19の底部となる肩部20と、この肩部20か 軸方向に延びる軸部21を一体に有している。 軸部21の外周にはハブ輪1のセレーション1cに 合するセレーション21aと、このセレーショ 21aの端部に雄ねじ21bが形成されている。そ て、肩部20が内輪8の大端面と衝合するまで ブ輪1に外側継手部材15がセレーション1c、21 aを介して内嵌され、一対の内輪8、8がハブ輪 1の肩部1aと外側継手部材15の肩部20に挟持さ た状態でハブ輪1の小径段部1bに所定のシメ ロを介して圧入されている。さらに、雄ね 21bに固定ナット4を所定の締付トルクで緊締 ることにより所定の軸受予圧が付与されて る。これにより、軸受剛性が高くなると共 、軸受の転がり疲労寿命が向上する。

 ここで、外方部材7および内輪8は、SUJ2等 軸受鋼やSCr420およびSCM415等の浸炭鋼からな パイプ材をプレス加工または冷間のローリ グ加工(以下、塑性加工という)によって形 されている。そして、SUJ2はズブ焼や高周波 入れ、浸炭鋼は浸炭焼入れによって表面硬 を50~64HRCの範囲に硬化処理されている。外 部材7および内輪8の材質としてこれ以外にも 、SCM440や冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)やS53 C等の炭素鋼を例示することができる。冷間 延鋼鈑や炭素鋼の場合、少なくとも外方部 7においては複列の外側転走面7a、7aが、また 、内輪8においては内側転走面8aが高周波焼入 れによって表面硬さを50~64HRCの範囲に硬化処 が施され、転がり疲労寿命を向上させてい 。そして、これらの転走面7a、8aは、研削加 工によって所定の寸法、精度に形成されてい る。なお、その後、必要に応じて超仕上げ加 工が施される。

 次に、図3を用いて、外方部材7および内輪8 構成について詳細に説明する。
 外方部材7は、(a)に示すように、素材となる パイプ材から塑性加工により、内周に径方向 内方に突出する環状凸部12と、この環状凸部1 2の両側に複列の円弧状の外側転走面7a、7aが 成されると共に、両端部にシール11の嵌合 となる円筒部13、13が形成される。そして、 述する複列の外側転走面7a、7aをはじめ、こ の円筒部13は、塑性加工後に研削加工によっ 所定の寸法、精度に形成される。なお、塑 加工でバリが発生する両端面は塑性加工後 旋削加工される。また、必要に応じて研削 工が施される。

 ここで、外側転走面7aから環状凸部12の肩 高さを適切に確保するために、外方部材7の 性加工時、環状凸部12の内径をフラット形状 に形成すると共に、外方部材7の中央部を凹 せて肩部22に素材を充足させるようにしてい る。

 一方、内輪8は、(b)に示すように、素材と なるパイプ材から塑性加工により、外周に円 弧状の内側転走面8aと、この内側転走面8aか 軸方向に延びる肩部14が形成される。ここで 、この肩部14はシール11のシールランド部と り、塑性加工後に内側転走面8aと同時に研削 加工され、所定の寸法、精度に形成される。 なお、外方部材7と同様、塑性加工でバリが 生する両端面は塑性加工後に旋削加工され 。また、必要に応じて研削加工が施される

 本実施形態では、外方部材7および内輪8 パイプ材から塑性加工で形成されると共に 両転走面7a、8aとシール11の嵌合面となる外 部材7の円筒部13、およびシール11のランド部 となる内輪8の肩部14が研削加工によって形成 されているので、生産性が向上して歩溜まり が良く、また、低コスト化ができると共に、 従来の軸受と同等の精度や密封性を確保する ことができる。

 ここで、塑性加工によって環状凸部12を 成する場合、外側転走面7aから環状凸部12に がる肩部22のR(曲率半径)は、素材の充足度 亀裂の発生を抑制するという観点から単に さくすれば良いという訳ではないので、外 転走面7aを研削加工する際、研削される範囲 がどうしても限定される。したがって、本実 施形態では、肩高さ、すなわち、塑性加工に おいて、外側転走面7aの溝底径と環状凸部12 内径の高さHが、所定の範囲になるように設 されている。具体的には、ボール10の直径 Dwとした時、この肩高さHをボール10の直径Dw 割った値が、H/Dw=0.30~0.43の範囲、好ましく 、H/Dw=0.35~0.40の範囲になるように設定されて いる。これにより、所望の軸受精度を確保す ると共に、肩部22に亀裂が発生するのを防止 、かつ、旋回モーメント負荷時にボール10 接触楕円が肩部22を乗り上げるのを防止する ことができる。

 このH/Dwが0.30未満では、通常の接触角25~35 °で、旋回モーメント負荷時にボール10の接 楕円が肩部22を乗り上げる恐れがあり、また 、H/Dwが0.43を超えると、絞り率が高くなって 部22に亀裂が発生し易くなるからである。

 なお、外方部材7と内輪8を冷間のローリ グ加工によって形成するのが好ましいが、 れに限らず、温間のローリング加工によっ 形成しても良く、また、ナックル6やハブ輪1 の嵌合面となる外方部材7の外径面および内 8の内径面、さらには突合せ面となる内輪8の 小径側端面8bを研削加工によって形成しても い。

 さらに、本実施形態では、図4(a)に示すよ うに、外側転走面7aから環状凸部12に繋がる 部22が、熱処理後に総型砥石23によって外側 走面7aと同時に研削加工されている(塑性加 後の肩部22を図中二点鎖線にて示す)。すな ち、この総型砥石23は、環状凸部12を避けて 小径に成形された小径部23aと、外側転走面7a 対応する溝部23bと、肩部22に対応する角部23 cが、予めロータリドレッサによって成形さ ている。そして、角部23cは所定の曲率半径R らなる円弧状に形成され、溝部23bから滑ら に繋がっている。これにより、所望の軸受 度を確保すると共に、肩部22に亀裂が発生 るのを防止し、かつ、旋回モーメント負荷 にボール10の接触楕円が肩部22を乗り上げて ッジロードが発生するのを防止することが き、軸受の耐久性を向上させた車輪用軸受2 を提供することができる。

 なお、図示はしないが、総型砥石23に複 の外側転走面7a、7aに対応する複列の溝部23b 23bを形成し、複列の外側転走面7a、7aとそれ ぞれの肩部22を同時に研削加工するようにし も良い。これにより、加工工数が削減でき 低コスト化を図ることができると共に、複 の外側転走面7a、7aの溝径相互差およびピッ チ(溝間距離)等を所定の精度に規制すること でき、軸受精度を一層向上させることがで る。

 図4(b)は、(a)の変形例を示している。この 外方部材24における環状凸部25の内径は、ロ リング加工によって肩部26と微小な段差δを って形成されている。そして、肩部26が、 処理後に総型砥石27によって外側転走面7aと 時に研削加工されている。この総型砥石27 、環状凸部25を避けて小径に成形された小径 部27aと、外側転走面7aに対応する溝27bと、肩 26に対応する角部27cが、予めロータリドレ サによって成形されている。角部27cは所定 曲率半径Rからなる円弧状に形成され、溝部2 7bから小径部27aに滑らかに繋がっている。こ により、ローリング加工時に、肩部26に亀 が発生するのを防止しつつ、肩部26に素材を 充足させて外側転走面7aと環状凸部25との肩 さを適切に確保すると共に、肩部26のエッジ を無くして旋回モーメント負荷時にボール10 接触楕円が肩部26を乗り上げてエッジロー が発生するのを防止することができる。

 なお、ここでは、外方部材7(24)と内輪8を 間のローリング加工によって形成したが、 れに限らず、温間のローリング加工によっ 形成しても良く、また、ナックル6やハブ輪 1の嵌合面となる外方部材7の外径面および内 8の内径面、さらには突合せ面となる内輪8 小径側端面8bを研削加工によって形成しても 良い。これにより、従来の鍛造、削り出しの 軸受と同等の軸受精度を確保することができ る。

 図5(a)は、前述した実施形態(図2)の変形例 であるが、シールの構成のみが異なっている 。なお、前述した実施形態と同一部品同一部 位あるいは同一機能を有する部品、部位には 同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

 この車輪用軸受28は、外方部材7と一対の 輪8、8と、両転走面間に保持器9、9を介して 転動自在に収容された複列のボール10、10と 外方部材7と内輪8との間に形成される環状空 間の開口部に装着されたシール29とを備えて る。

 シール29は、(b)に拡大して示すように、 いに対向配置されたスリンガ30と環状のシー ル板31とからなる、所謂パックシールで構成 れている。スリンガ30は、オーステナイト ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるい は、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSP CC系等)等からプレス加工にて断面が略L字状 形成され、内輪8の肩部14に圧入される円筒 30aと、この円筒部30aから径方向外方に延び 立板部30bとからなる。

 シール板31は断面略L字状に形成され、外 部材7の円筒部13に圧入される芯金32と、こ 芯金32に加硫接着等により一体に接合された シール部材33とからなる。芯金32は、オース ナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等) 、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JI S規格のSPCC系等)等からプレス加工にて形成さ れている。

 一方、シール部材33はニトリルゴム等の 性部材からなり、スリンガ30の立板部30bに摺 接するサイドリップ33aと、円筒部30aに摺接し 、二股状に形成されたラジアルリップ33b、33c とを有している。そして、スリンガ30におけ 立板部30bの外縁と芯金32とを僅かな径方向 きまを介して対峙させてラビリンスシール 構成され、外部から雨水やダスト等が直接 イドリップ33aに降りかかるのを防止して密 性を向上させている。

 本実施形態においても、生産性が向上し 歩溜まりが良く、低コスト化ができると共 、両転走面7a、8aとシール29の嵌合面となる 方部材7の円筒部13および内輪8の肩部14が研 加工によって形成されているので、従来の 受と同等の精度を確保し、一層強固な密封 を得ることができる。

 図6は、本発明に係る車輪用軸受装置の第 2の実施形態を示す縦断面図である。なお、 の実施形態は、前述した実施形態と基本的 は外方部材とシールが異なるだけで、その 同一部品同一部位あるいは同一機能を有す 部位には同じ符号を付して詳細な説明を省 する。

 この車輪用軸受装置は第1世代構造をなし 、ハブ輪1と、このハブ輪1に装着される車輪 軸受34とを備えている。車輪用軸受34は、内 周に複列の外側転走面7a、7aが形成された外 部材35と、外周にこれら複列の外側転走面7a 7aに対向する内側転走面8aが形成された一対 の内輪8、8と、両転走面間に保持器9、9を介 て転動自在に収容された複列のボール10、10 を備えている。

 外方部材35は、炭素量が比較的少ないSCr42 0やSCM415等の浸炭鋼からなるパイプ材を冷間 ローリング加工によって形成されている。 の外方部材35は、内周に複列の外側転走面7a 7aが形成されると共に、これら複列の外側 走面7a、7aの外端側に径方向内方に延びる肩 36が形成されている。そして、これら肩部36 にエラストマー製のシール37、37が加硫接着 より一体に接合されている。なお、肩部36に は旋削加工等の機械加工により段差部36aが形 成され、ナックル6の鍔部6aに係合して位置決 めされている。

 このように本実施形態では、外方部材35 肩部36にシール37が一体に接合され、これら シール37が内輪8の肩部14に摺接して軸受内 に封入されたグリースの漏洩と、外部から 水やダスト等の異物が軸受内部に侵入する を防止している。これにより、部品点数が 減できると共に、組立工数が大幅に削減で 、一層の低コスト化を図ることができる。

 図7は、本発明に係る車輪用軸受の第3の 施形態を示す縦断面図、図8(a)は、図7の外方 部材単体を示す縦断面図、(b)は、(a)の要部拡 大図、図9(a)は、図7の内輪単体を示す縦断面 、(b)は、(a)の要部拡大図である。なお、前 した実施形態と同一部品同一部位あるいは 一機能を有する部品、部位には同じ符号を して詳細な説明を省略する。

 この車輪用軸受38は、内周に複列の円弧 の外側転走面7a、7aが形成された外方部材39 、外周にこれら複列の外側転走面7a、7aに対 する円弧状の内側転走面8a、8aが形成された 一対の内輪40、40と、両転走面間に保持器9、9 を介して転動自在に収容された複列のボール 10、10と、外方部材39の両端部に装着されたシ ール11とを備えている。保持器9は、PA(ポリア ミド)66等の合成樹脂から射出成形によって形 成され、凹球面のポケット9aにボール10を保 する、所謂スナップオンタイプで構成され ボール10が径方向に脱落するのを防止してい る。そして、内輪40、40の小径側(正面側)の端 面8b、8bを突合せ状態で衝合し、所謂背面合 タイプの複列のアンギュラ玉軸受を構成し いる。

 シール11は、外方部材7の両端部に形成さ た円筒部13に嵌合される芯金11aと、この芯 11aに加硫接着等により一体に接合され、ニ リルゴム等のエラストマーからなるシール 材11bとからなり、一対のラジアルリップを えている。そして、軸受内部に封入された リースの漏洩と、外部から雨水やダスト等 異物が軸受内部に侵入するのを防止してい 。なお、シール11は、例示した一体型のシー ルに限らず、図示しないが、外方部材7の円 部13と内輪8の外径にそれぞれ装着され、互 に対向配置された環状のシール板とスリン とからなる、所謂パックシールであっても い。

 ここで、外方部材39および内輪40は、SUJ2 の軸受鋼やSCr420やSCM415等の浸炭鋼からなる イプ材を塑性加工によって形成されている そして、SUJ2はズブ焼や高周波焼入れ、浸炭 は浸炭焼入れによって表面硬さを50~64HRCの 囲に硬化処理されている。外方部材39および 内輪40の材質としてこれ以外にも、SCM440等の 炭鋼、あるいは冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC 等)やS45C等の炭素鋼を例示することができる 。

 一方、冷間圧延鋼鈑や炭素鋼の場合、少 くとも外方部材39においては複列の外側転 面7a、7aが、また、内輪40においては内側転 面8aが高周波焼入れによって表面硬さを50~64H RCの範囲に硬化処理が施され、転がり疲労寿 を向上させている。そして、これらの転走 7a、8aは、研削加工によって所定の寸法、精 度に形成されている。なお、その後、必要に 応じて超仕上げ加工が施される。

 次に、図8および図9を用いて、外方部材39お よび内輪40の構成について詳細に説明する。
 外方部材39は、図8(a)に示すように、素材と るパイプ材から塑性加工により、内周に径 向内方に突出する環状凸部12と、この環状 部12の両側に複列の円弧状の外側転走面7a、7 aが形成されると共に、両端部にシール11の嵌 合部となる円筒部13、13が形成される。そし 、複列の外側転走面7a、7aをはじめ、この円 部13は、塑性加工後に研削加工によって所 の寸法、精度に形成される。これにより、 来の軸受と同等の精度や密封性を確保する とができる。なお、塑性加工でバリが発生 る両端面は加工後に旋削加工される。また 必要に応じて研削加工が施される。

 ここで、外側転走面7aから環状凸部12の肩 高さを適切に確保するために、外方部材39の 性加工時、環状凸部12の内径をフラット形 に形成すると共に、外方部材39の軸方向中央 部を凹ませて環状凹部41を形成し肩部22に素 を充足させるようにしている。

 ここで、本実施形態では、外方部材39の 径7bと環状凹部41との繋ぎ部42の曲率半径Rが 定の範囲になるように設定されている。具 的には、ボール10の半径をRwとした時、この 曲率半径Rは、R=1.5~1.8Rwの範囲になるように設 定されている。これにより、この部位の肉厚 が略均等に形成できると共に、肩部22に亀裂 発生するのを防止し、かつ、旋回モーメン 負荷時にボール10の接触楕円が肩部22を乗り 上げてエッジロードが発生するのを防止する ことができる適切な肩高さを確保することが でき、軸受の耐久性を向上させた車輪用軸受 38を提供することができる。ここで、略均等 は、成形前のパイプ材の肉厚が均等であり 繋ぎ部42も円弧を形成する目的以外に特に 性流動させることなく成形を行った結果得 れた形状の肉厚の状態を意味し、繋ぎ部42の 円弧を形成する際の材料の肉の変位により僅 かに肉薄となったり、また肉厚となる状態は 含むことを意味する。

 繋ぎ部42の曲率半径Rがボール10の半径Rwの 1.5倍より小さい場合、肉厚が薄くなり剛性が 低下して旋回モーメント負荷時の応力に耐え られず、また、ボール10の半径Rwの1.8倍を超 た場合、肉厚が厚くなり塑性加工の加工性 低下するだけでなく、従来の鍛造成形品と 差ない形状となって軽量・コンパクト化に じて寄与しなくなるためである。

 さらに、(b)に拡大して示すように、外側 走面7aの肩部22に対向する部位にカウンタ部 43が塑性加工によりこの外側転走面7aと同時 形成されている。このカウンタ部43の内径Dc 、溝底径Doよりも2δoだけ小径に設定されて る(Dc=Do-2δo)。すなわち、ボールカセットが 方部材39から脱落しないように、ボールカ ットにおけるボール10の外接円径Dbよりも小 に設定されている(Dc<Db)。ここで、ボール 10の外接円径Dbは、保持器9のポケットに保持 れるボール10がそのポケット内で径方向内 に挙動する移動量も加味されている。これ より、組立工程で一旦組み立てられたボー カセットが外方部材39から脱落するのを確実 に防止して組立の簡略化を図ることができる 。

 さらに、外方部材39のカウンタ部43を熱処 理後に外側転走面7aと同時に総型砥石によっ 研削加工しても良い。これにより、熱処理 よる変形を除去してカウンタ部43の内径Dcを 一層精度良く仕上げることができ、組立時に ボール10が通過することによる擦過傷の発生 抑制し、品質的に信頼性の高い車輪用軸受3 8を提供することができる。

 一方、内輪40は、図9(a)に示すように、素 となるパイプ材から塑性加工により、外周 円弧状の内側転走面8aと、この内側転走面8a から軸方向に延びる肩部14が形成されている ここで、この肩部14はシール11のシールラン ド部となり、塑性加工後に内側転走面8aと同 に研削加工され、所定の寸法、精度に形成 れている。これにより、従来の軸受と同等 精度や密封性を確保することができる。な 、外方部材39と同様、塑性加工でバリが発 する両端面は加工後に旋削加工される。ま 、必要に応じて研削加工が施される。

 また、(b)に拡大して示すように、内側転 面8aの肩部14に対向する部位にカウンタ部44 塑性加工によりこの内側転走面8aと同時に 成されている。このカウンタ部44の外径dcは 溝底径diよりも2δiだけ大径に設定されてい (dc=di+2δi)。すなわち、内輪40が脱落しない うに、ボールカセットにおけるボール10の内 接円径dbよりも大径に設定されている(dc>db) 。ここで、ボール10の内接円形dbは、保持器9 ポケットに保持されるボール10がそのポケ ト内で径方向外方に挙動する移動量も加味 れている。これにより、組立工程で一旦組 立てられた内輪40が軸方向に脱落するのを確 実に防止して組立の簡略化を図ることができ る。

 さらに、外方部材39と同様、カウンタ部44 を熱処理後に内側転走面8aと同時に総型砥石 よって研削加工しても良い。これにより、 処理による変形を除去してカウンタ部44の 径dcを一層精度良く仕上げることができ、組 立時にボール10が通過することによる擦過傷 発生を抑制し、信頼性を向上させることが きる。

 なお、ここでは、ナックル6やハブ輪1の 合面となる外方部材7の外径7bおよび内輪40の 内径8c、さらには突合せ面となる内輪40の小 側端面8bを研削加工によって形成しても良い 。これにより、従来の鍛造、削り出しの軸受 と同等の軸受精度を確保することができる。

 図10は、本発明に係る車輪用軸受の第4の 施形態を示す縦断面図である。この実施形 は前述した実施形態と基本的には内輪とシ ルの構成が異なるだけで、その他同一部品 同一部位あるいは同一の機能を有する部品 部位には同じ符号を付して詳細な説明を省 する。

 車輪用軸受45は、内周に複列の円弧状の 側転走面7a、7aが形成された外方部材39と、 周にこれら複列の外側転走面7a、7aに対向す 円弧状の内側転走面8a、8aが形成された一対 の内輪46、46と、両転走面間に保持器9、9を介 して転動自在に収容された複列のボール10、1 0と、外方部材7の両端部に装着されたシール4 7、47とを備えている。そして、内輪46、46の 径側の端面8b、8bを突合せ状態で衝合し、所 背面合せタイプの複列のアンギュラ玉軸受 構成している。

 シール47は、外方部材39の円筒部13に嵌合 れる芯金48と、この芯金48に加硫接着等によ り一体に接合され、ニトリルゴム等のエラス トマーからなるシール部材49とからなり、一 のサイドリップ49a、49bを備えている。これ サイドリップ49a、49bは、後述する内輪46の 径側の端面46bに弾性接触し、軸受内部に封 されたグリースの漏洩と、外部から雨水や スト等の異物が軸受内部に侵入するのを防 すると共に、内輪46が軸方向に脱落するのを 防止している。

 車輪用軸受45は、前述した実施形態と同 、図示はしないが、ハブ輪に所定のシメシ を介して圧入され、内輪46の大径側の端面46b が外側継手部材の肩部とハブ輪の肩部に当接 して一対の内輪46、46が挟持された状態で所 の軸受予圧が付与されている。

 ここで、内輪46は、SUJ2等の軸受鋼やSCr420 SCM415等の浸炭鋼からなるパイプ材から塑性 工によって形成されている。そして、SUJ2は ズブ焼や高周波焼入れ、浸炭鋼は浸炭焼入れ によって表面硬さを50~64HRCの範囲に硬化処理 れている。

 内輪46は、外周に円弧状の内側転走面8aと 、この内側転走面8aから径方向外方に延びる 部46aが形成されている。この肩部46aの外径 、PCDよりも大径に形成され、軸受に大きな ーメント荷重が負荷されても肩乗り上げの 生を防止し、耐久性を向上させることがで る。ここで、この肩部46aの側面、すなわち 大径側の端面46bは、シール47のシールラン 部となり、塑性加工後に研削加工されてい 。これにより、塑性加工で発生したバリを 去することができると共に、所定の寸法、 度および表面粗さが得られる。

 また、内側転走面8aの肩部46aに対向する 位にカウンタ部44が塑性加工によりこの内側 転走面8aと同時に形成されている。これによ 、シール47を装着する前の組立工程あるい 搬送中であっても内輪46が軸方向に脱落する のを確実に防止することができる。

 以上、本発明の実施の形態について説明 行ったが、本発明はこうした実施の形態に 等限定されるものではなく、あくまで例示 あって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内 おいて、さらに種々なる形態で実施し得る とは勿論のことであり、本発明の範囲は、 許請求の範囲の記載によって示され、さら 特許請求の範囲に記載の均等の意味、およ 範囲内のすべての変更を含む。

 本発明に係る車輪用軸受装置は、一端部 車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と このハブ輪に圧入された一対の内輪とを備 た第1世代構造の車輪用軸受装置に適用でき る。

本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実 施形態を示す縦断面図である。 図1の車輪用軸受を示す拡大図である。 (a)は、図2の外方部材輪単体を示す縦断 面図である。 (b)は、同上、内輪単体を示す 断面図である。 (a)は、外方部材の研削加工を示す説明 である。 (b)は、(a)の変形例を示す説明図 ある。 (a)は、図2の車輪用軸受の変形例を示す 拡大図である。 (b)は、(a)のシールを示す拡 図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実 施形態を示す縦断面図である。 本発明に係る車輪用軸受の第3の実施形 態を示す縦断面図である。 (a)は、図7の外方部材単体を示す縦断面 図である。 (b)は、(a)の要部拡大図である。 (a)は、図7の内輪単体を示す縦断面図で ある。 (b)は、(a)の要部拡大図である。 本発明に係る車輪用軸受の第4の実施 態を示す縦断面図である。 従来の内・外輪がプレス加工によって 形成された構造のアンギュラ玉軸受を示す縦 断面図である。

符号の説明

1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ブ輪
1a、14、20、22、36、46a・・肩部
1b・・・・・・・・・・・・・・・・・・小 段部
1c、21a・・・・・・・・・・・・・・セレー ョン
2、28、34、38、45・・・・・・・車輪用軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 速自在継手
4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 定ナット
5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 輪取付フランジ
6・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ックル
7、24、35、39・・・・・・・・・・外方部材
7a・・・・・・・・・・・・・・・・・・外 転走面
7b・・・・・・・・・・・・・・・・・・外 部材の外径
8、40、46・・・・・・・・・・・・・内輪
8a・・・・・・・・・・・・・・・・・・内 転走面
8b・・・・・・・・・・・・・・・・・・小 側端面
9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 持器
9a・・・・・・・・・・・・・・・・・・ポ ット
10・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボ ル
11、29、37、47・・・・・・・・・シール
11a、32、48・・・・・・・・・・・芯金
11b、33、49・・・・・・・・・・・シール部
12・・・・・・・・・・・・・・・・・・環 凸部
13、30a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
15・・・・・・・・・・・・・・・・・・外 継手部材
16・・・・・・・・・・・・・・・・・・継 内輪
17・・・・・・・・・・・・・・・・・・ケ ジ
18・・・・・・・・・・・・・・・・・・ト ク伝達ボール
19・・・・・・・・・・・・・・・・・・マ ス部
21・・・・・・・・・・・・・・・・・・軸
21b・・・・・・・・・・・・・・・・・雄ね じ
23、27・・・・・・・・・・・・・・・総型 石
23a、27a・・・・・・・・・・・・・小径部
23b、27b・・・・・・・・・・・・・溝部
23c、27c・・・・・・・・・・・・・角部
30・・・・・・・・・・・・・・・・・・ス ンガ
30b・・・・・・・・・・・・・・・・・立板 部
31・・・・・・・・・・・・・・・・・・シ ル板
33a、49a、49b・・・・・・・・・サイドリップ
33b、33c・・・・・・・・・・・・・ラジアル リップ
36a・・・・・・・・・・・・・・・・・段差 部
41・・・・・・・・・・・・・・・・・・環 凹部
42・・・・・・・・・・・・・・・・・・繋 部
43、44・・・・・・・・・・・・・・・カウ タ部
46b・・・・・・・・・・・・・・・・・内輪 の大径側の端面
50・・・・・・・・・・・・・・・・・・ア ギュラ玉軸受
51・・・・・・・・・・・・・・・・・・外
51a・・・・・・・・・・・・・・・・・環状 凸部
51b、51c・・・・・・・・・・・・・外側転走 面
51d・・・・・・・・・・・・・・・・・フラ ンジ
51e・・・・・・・・・・・・・・・・・環状 凹部
52、53・・・・・・・・・・・・・・・内輪
52a、53a・・・・・・・・・・・・・湾曲肩部
52b、53b・・・・・・・・・・・・・内側転走 面
52c、53c・・・・・・・・・・・・・嵌合部
54・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハ ジング
55・・・・・・・・・・・・・・・・・・軸 材
55a・・・・・・・・・・・・・・・・・鍔部
56・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボ ル
57・・・・・・・・・・・・・・・・・・保 器
59・・・・・・・・・・・・・・・・・・重
60・・・・・・・・・・・・・・・・・・接 剤
A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 部
B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ぎ部
dc・・・・・・・・・・・・・・・・・・内 のカウンタ部の外径
Dc・・・・・・・・・・・・・・・・・・外 部材のカウンタ部の内径
di・・・・・・・・・・・・・・・・・・内 転走面の溝底径
Do・・・・・・・・・・・・・・・・・・外 転走面の溝底径
R・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 率半径
Rw・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボ ルの半径
δ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 差
δi・・・・・・・・・・・・・・・・・・内 輪のカウンタ部の突出量
δo・・・・・・・・・・・・・・・・・・外 方部材のカウンタ部の突出量




 
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