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Title:
COMPOSITE MATERIAL FOR ELECTRIC AND ELECTRONIC COMPONENTS, ELECTRIC AND ELECTRONIC COMPONENTS, AND METHOD FOR MANUFACTURING COMPOSITE MATERIAL FOR ELECTRIC AND ELECTRONIC COMPONENTS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078776
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a composite material for use in a material for electric and electronic components, formed by punching followed by bending, the composite material comprising a metallic base material, an insulating film having a substantially single-layer structure provided on at least a part of the metallic base material, and a metal layer provided between the metallic base material and the insulating film so that the peel width of the insulating film at the end of the material after punching is less than 10 μm, and, after bending, both the adhesion of the insulating film on the inner side of the bent material and the adhesion of the insulating film at the front end of the part extended from the outer side of the bent material are retained. There are also provided electric and electronic components using the composite material, and a method for manufacturing a composite material for electric and electronic components.

Inventors:
SUGAHARA CHIKAHITO (JP)
ZAMA SATORU (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074960
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 26, 2007
Export Citation:
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Assignee:
FURUKAWA ELECTRIC CO LTD (JP)
SUGAHARA CHIKAHITO (JP)
ZAMA SATORU (JP)
International Classes:
C23C26/00
Foreign References:
JP2004197224A2004-07-15
JPH05130759A1993-05-25
JP2006350875A2006-12-28
JP2007333316A2007-12-27
Other References:
See also references of EP 2119812A4
Attorney, Agent or Firm:
IIDA, Toshizo (1-10 Shimbashi 3-chome, Minato-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 打ち抜き加工により加工された後に折り曲げ加工されて形成される電気電子部品の材料として用いられる、金属基材上の少なくとも一部に実質的に1層の絶縁皮膜が設けられた電気電子部品用材料であって、前記金属基材と前記絶縁皮膜との間に、前記打ち抜き加工後の材料端部における前記絶縁被膜の剥離幅が10μm未満となり、かつ前記曲げ加工後の材料の曲げ内側における前記絶縁皮膜の付着状態および曲げ外側を延長した先の端部における前記絶縁皮膜の付着状態がともに維持されるように金属層が設けられていることを特徴とする電気電子部品用複合材料。
 前記金属基材が、銅系金属材料または鉄系金属材料により構成されていることを特徴とする、請求項1記載の電気電子部品用複合材料。
 前記金属基材の厚さが、0.04~0.4mmであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電気電子部品用複合材料。
 前記金属層が、Ni、Zn、Fe、Cr、Sn、Si、Tiから選択される金属またはこれらの金属間の合金により構成されることを特徴とする、請求項1記載の電気電子部品用複合材料。
 前記金属層の厚さが、0.001~0.5μmであることを特徴とする、請求項4記載の電気電子部品用複合材料。
 前記絶縁皮膜が熱硬化性樹脂で形成されたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電気電子部品用複合材料。
 金属基材上の少なくとも一部に絶縁皮膜が設けられた電気電子部品用材料が打ち抜き加工等により加工された後に折り曲げられた状態で、前記金属基材上の一部に絶縁皮膜が残存するように形成された電気電子部品であって、前記電気電子部品材料が、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気電子部品用複合材料であることを特徴とする電気電子部品。
 前記電気電子部品が、打ち抜き加工により加工された後に折り曲げられた状態で、前記絶縁皮膜が設けられていない箇所に湿式の後処理が行われたことを特徴とする請求項7記載の電気電子部品。
 金属基材上の少なくとも一部に絶縁皮膜を設ける電気電子部品用複合材料の製造方法において、前記金属基材表面に、前記金属基材と前記絶縁皮膜との密着性を向上させる金属層を、めっき等により設けることにより、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気電子部品用複合材料を形成することを特徴とする電気電子部品用複合材料の製造方法。
Description:
電気電子部品用複合材料、電気 子部品および電気電子部品用複合材料の製 方法

 本発明は、金属基材上に電気絶縁皮膜が けられた電気電子部品用複合材料、電気電 部品および電気電子部品用複合材料の製造 法に関する。

 金属基材上に電気的な絶縁皮膜(本発明に おいて単に絶縁皮覆ともいう。)が設けられ 絶縁皮膜付きの金属材料は、例えば回路基 等におけるシールド材料として利用されて る。この金属材料は、筐体、ケース、カバ 、キャップなどに用いることが好適である されており、とりわけ、素子内蔵用低背化( 部空間の高さをより低くすること)筐体に用 いることが特に好適であるとされている。

 また、絶縁皮膜付きの金属材料の、金属 材と絶縁皮膜との密着性を高める方法とし は、金属基材の表面にカップリング剤を塗 する方法や、金属基材の表面にデンドライ 状結晶を有しためっき層を形成する方法が られている。

 金属基材上に絶縁皮膜が設けられた金属 料を、その他の電気電子部品用の材料とし 適用する場合、この材料は、金属基材上に 縁皮膜が設けられているため、金属基材と 縁皮膜との界面を含めた箇所で打ち抜き加 等の加工を施してコネクタ接点等を形成す ことにより、前期コネクタ接点を狭ピッチ 配置することも可能となり、様々な応用が えられる。また、打ち抜き加工等の加工を した後に折り曲げ加工を施すことにより、 々な機能を有する電気電子部品への適用も えられる。

 ところで、金属基材と絶縁皮膜との界面 含めた箇所で打ち抜き加工等の加工を施し ところ、加工した箇所において金属基材と 縁皮膜との間に数μm~数十μm程度のわずかな 隙間ができることがある。この状態を図2に 略的に示す。図2において、2は電気電子部品 、21は金属基材、22は絶縁皮膜であり、金属 材21の打ち抜き加工面21aの近傍で金属基材21 絶縁皮膜22との間に隙間23が形成されている 。この傾向は、上記打ち抜き加工の際のクリ アランスが大きいほど(例えば上記金属基材 厚さに対して5%以上では)、より強まる。上 打ち抜き加工の際のクリアランスを小さく ることは実際上限度があるため、上記被加 体が微細化するほどこの傾向が強まると換 することもできる。

 このような状態になると、経年変化など より金属基材21から絶縁皮膜22が完全に剥離 してしまうこととなり、金属基材21上に絶縁 膜22を設けても意味がなくなる。また、微 加工後に絶縁皮膜を後付けするのは極めて 間がかかり、製品のコストアップにつなが ため実用的ではない。さらに、形成された 気電子部品の金属露出面(例えば打ち抜き加 面21a)をコネクタ接点等として使用したい場 合、金属露出面(例えば打ち抜き加工面21a)に っき等で金属層を後付けすることも考えら るが、めっき液に浸漬した際に隙間23から っき液が浸入して金属基材21から絶縁皮膜22 剥離することを助長してしまうおそれがあ 。

 また、打ち抜き加工等の加工を施した後 折り曲げ加工を施す場合、打ち抜き加工等 加工を施した段階で加工した箇所において 属基材と絶縁皮膜との間に隙間ができてい い場合でも、折り曲げ加工を施した後に金 基材と絶縁皮膜との間に隙間ができること ある。この状態を図3に概略的に示す。図3 おいて、3は電気電子部品、31は金属基材、32 は絶縁皮膜であり、金属基材31の折り曲げ箇 の内側に隙間33が、電気電子部品3の端部(特 に折り曲げた際の外側)に隙間34が形成されて いる。これらの隙間33、34は図3に示すとおり 折り曲げられた電気電子部品の折り曲げ箇 の側面や内表面側、電気電子部品の端部に 立ち、このような隙間があると金属基材31 ら絶縁皮膜32が剥離する原因となる。

 また、金属基材と絶縁皮膜との密着性を める方法として、金属基材の表面にカップ ング剤を塗布する方法を適用しようとする 合、カップリング剤の液寿命が短いため、 の管理に細心の注意をはらう必要があると う問題がある。また、金属基材表面全体に 質な処理を施すことが難しいため、前記し 微細な隙間に対しては効果がないことがあ 。金属基材の表面にデンドライト状結晶を しためっき層を形成する方法を適用しよう する場合、形成されるめっき層の結晶状態 制御するためには限定されためっき条件で っきを施す必要があり、管理に細心の注意 はらう必要がある。また、十分な密着性を るためにはめっき厚さをより厚くする必要 あるため、経済的にも好ましくない。

 本発明は、金属基材と絶縁皮膜との界面 含めた箇所で打ち抜き加工等の加工を施し も金属基材と絶縁皮膜との密着性が高い状 を保つ電気電子部品用複合材料を提供し、 わせてこの電気電子部品用複合材料により 成される電気電子部品およびこの電気電子 品用複合材料の製造方法を提供することを 題とする。

 本発明者等が鋭意検討した結果、金属基材 に特定の金属層を介して絶縁皮膜を設ける 、前記金属層の結晶状態や厚さによらず、 属基材と絶縁皮膜との密着性が十分に得ら ることを知見し、さらに検討を進めて本発 を完成させるに至った。
 すなわち本発明は、以下の第1~9の解決手段 提供するものである。
 本発明の第1の解決手段は、前記金属基材と 前記絶縁皮膜との間に、打ち抜き加工等によ り加工された後に折り曲げ加工されて形成さ れる電気電子部品の材料として用いられる、 金属基材上の少なくとも一部に金属基材上の 少なくとも一部に実質的に1層の絶縁皮膜が けられた電気電子部品用複合材料であって 前記金属基材と前記絶縁皮膜との間に、前 折り曲げ加工後の材料端部における前記絶 被膜の剥離幅が10μm未満となり、かつ前記曲 げ加工後の材料の曲げ内側における前記絶縁 皮膜の付着状態および曲げ外側を延長した先 の端部における前記絶縁皮膜の付着状態がと もに維持されるように金属層が設けられてい ることを特徴としている。

 本発明の第2の解決手段は、第1の解決手 において、前記金属基材が、銅系金属材料 たは鉄系金属材料により構成されているこ を特徴としている。

 本発明の第3の解決手段は、第1または第2 解決手段において、前記金属基材の厚さが 0.04~0.4mmであることを特徴としている。

 本発明の第4の解決手段は、第1の解決手 において、前記金属層が、Ni、Zn、Fe、Cr、Sn Si、Tiから選択される金属またはこれらの金 属間の合金により構成されることを特徴とし ている。

 本発明の第5の解決手段は、第4の解決手 において、前記金属層の厚さが、0.001~0.5μm あることを特徴としている。

 本発明の第6の解決手段は、第1から第5ま のいずれかの解決手段において、前記絶縁 膜が熱硬化性樹脂で形成されたことを特徴 している。

 本発明の第7の解決手段は、金属基材上の 少なくとも一部に絶縁皮膜が設けられた電気 電子部品用複合材料が打ち抜き加工等により 加工された後に折り曲げられた状態で、前記 金属基材上の一部に絶縁皮膜が残存するよう に形成された電気電子部品であって、前記電 気電子部品複合材料が、前記第1から第6まで いずれかの解決手段に記載された電気電子 品用材料であることを特徴としている。

 本発明の第8の解決手段は、第7の解決手 において、前記電気電子部品が、打ち抜き 工等により加工された後に折り曲げられた 態で、前記絶縁皮膜が設けられていない箇 に湿式の後処理が行われたことを特徴とし いる。

 本発明の第9の解決手段は、金属基材上の 少なくとも一部に絶縁皮膜を設ける電気電子 部品用複合材料の製造方法において、前記金 属基材表面に、前記金属基材と前記絶縁皮膜 との密着性を向上させる金属層を、めっき等 により設けることにより、前記第1から第6ま のいずれかの解決手段に記載された電気電 部品用複合材料を形成することを特徴とし いる。

 本発明において、打ち抜き加工後の材料 部における絶縁被膜の剥離幅は、クリアラ ス5%の金型を用いて5mm×10mmの矩形状に試料 打抜いた後、赤インクを溶かした水溶液中 浸漬して測定されたものである。

 さらに、本発明において、以下の構成を併 すると、金属基材と絶縁皮膜との密着性が い状態を保つ電気電子部品用複合材料をさ に容易に得ることができる。
(1)金属基材を銅系金属材料または鉄系金属材 料により構成すること。
(2)金属基材の厚さを0.04~0.4mmとすること。
(3)金属層をNi、Zn、Fe、Cr、Sn、Si、Tiから選択 れる金属またはこれらの金属間の合金によ 構成すること。
(4)金属層の厚さを0.001~0.5μmとすること。

 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、 宜添付の図面を参照して、下記の記載から り明らかになるであろう。

本発明の実施形態に係る電気電子部品 複合材料の一例を示す断面図。 金属基材と絶縁皮膜との間に隙間が形 された状態の一例を示す概念図。 金属基材と絶縁皮膜との間に隙間が形 された状態の一例を示す概念図。

 本発明の好ましい実施形態を説明する。
 本発明の第1の実施形態に係る電気電子部品 用複合材料の断面の一例を図1に示す。図1に すように、この電気電子部品用複合材料1は 、金属基材11上に絶縁皮膜12が設けられてお 、金属基材11と絶縁皮膜12との間に、両者の 着性を向上させる金属層13が設けられてい 。この金属層13は、金属基材11および絶縁皮 12との密着性が高いものとすることが、打 抜き加工等による加工性に優れた電気電子 品用複合材料1を実現する観点で好ましい。

 図1において、絶縁皮膜12は金属基材11の 面の一部と金属基材11の下面の全体に設けら れている例を示すが、これはあくまでも一例 であって、絶縁皮膜12は金属基材11の上面全 および下面全体に設けられていてもよく、 属基材11の上面の一部および下面の一部に設 けられていてもよい。すなわち、金属基材11 の少なくとも一部に絶縁皮膜12が設けられ いればよい。

 金属基材11としては、導電性などの観点 、銅系金属材料または鉄系金属材料を用い ことが好ましい。銅系金属材料としては、 ん青銅(Cu-Sn-P系)、黄銅(Cu-Zn系)、洋白(Cu-Ni-Zn )、コルソン合金(Cu-Ni-Si系)などの銅基合金 適用可能なほか、無酸素銅、タフピッチ銅 りん脱酸銅なども適用可能である。また、 系金属材料としては、SUS(Fe-Cr-Ni系)、42アロ (Fe-Ni系)などの鉄基合金が適用可能である。

 金属基材11の厚さは、0.04mm以上が好まし 。0.04mmより薄いと電気電子部品として十分 強度が確保できないためである。また、あ り厚いと打ち抜き加工の際にクリアランス 絶対値が大きくなり、打ち抜き部のダレが きくなるため、厚さは0.4mm以下とすることが 好ましく、0.3mm以下とすることがさらに好ま い。このように、金属基材11の厚さの上限 、打ち抜き加工等による加工の影響(クリア ンス、ダレの大きさ等)を考慮して決定され る。

 絶縁皮膜12は、適度な絶縁性を有するこ が好ましいため、エポキシ系樹脂などの樹 を用いることが好ましい。特に耐熱性が求 られる用途では、ポリイミド系樹脂、ポリ ミドイミド系樹脂などの耐熱樹脂で形成さ ることが好ましい。このような耐熱性樹脂 中でも熱硬化性樹脂が好ましい。

 絶縁皮膜12の材料としては、上記のとお 合成樹脂等の有機材料を用いることが加工 の点などから好ましいが、電気電子部品用 合材料1の要求特性等に応じて、絶縁皮膜12 材料を適宜選択することができる。例えば 成樹脂等の有機材料を基材としてこれに基 以外の添加物(有機物、無機物いずれも可)を 添加したものや無機材料なども採用すること ができる。

 金属基材11の表面に金属層13を介して絶縁皮 膜12を設ける方法には、金属基材上の絶縁を する箇所に、(a)接着剤付き耐熱性樹脂フィ ムを配し、前記接着剤を誘導加熱ロールに り溶融し、次いで加熱処理して反応硬化接 する方法、(b)樹脂または樹脂前躯体を溶媒 溶解したワニスを塗布し、溶媒を揮発させ 次いで加熱処理して反応硬化接合する方法 どが挙げられる。本発明の実施形態に係る 気電子部品用複合材料1においては、前記(b) の方法を用いることが、接着剤の影響を考慮 しなくてもよくなる点で好ましい。
 なお、上記(b)の方法の具体例は、絶縁電線 製造方法などでは一般的な技術であり、特 平5-130759号公報などでも知られている。当 公報においては絶縁被覆を複数層設けてお 、当該公報は本発明の参考技術として取り われる。

 ここで、前記(b)の方法は繰り返してもよ 。このようにすると、溶媒の揮発が不十分 なるおそれが少なくなり、絶縁皮膜12と金 層13との間に気泡などが発生するおそれを低 減することができ、絶縁皮膜12と金属層13と 密着性をさらに高めることができる。この うにしても、複数回に分けて形成された樹 硬化体が実質的に同一のものであれば、金 層13上に実質的に1層の絶縁皮膜12を設けるこ とができる。

 また、金属基材11の面の一部に絶縁皮膜12 を設けたい場合には、金属基材11の表面に金 層13を設けた後に、例えば、塗装部をオフ ット(平版)印刷やグラビア(凹版)印刷のロー コート法設備を応用した方法、或いは感光 耐熱樹脂の塗工と紫外線や電子線によるパ ーン形成と樹脂硬化技術を応用する方法、 らには回路基板における露光現象エッチン 溶解による微細パターン形成技術の樹脂皮 への応用などから、樹脂皮膜の形成精度レ ルに応じた製造工法を採用することができ 。このようにすることで、金属基材11の面 うち必要な部分のみに絶縁皮膜12を設けるこ とが容易に実現可能となり、金属基材11を他 電気電子部品または電線等と接続するため 絶縁皮膜12を除去することが不要となる。

 絶縁皮膜12の厚さは、薄すぎると絶縁効 が期待できず、厚すぎると打ち抜き加工が 難になるため、2~20μmが好ましく、3~10μmがさ らに好ましい。

 金属層13は、金属基材11と絶縁皮膜12との密 性を向上させるために設けられる。金属基 11と絶縁皮膜12との密着性は打ち抜き加工後 の材料端部における前記絶縁被膜の剥離幅が 10μm未満であり、5μm未満とすることがさらに 好ましい。
 金属層13は、電気めっき、化学めっき等の 法で形成されることが好ましく、Ni、Zn、Fe Cr、Sn、Si、Tiから選択される金属またはこれ らの金属間の合金(Ni-Zn合金、Ni-Fe合金、Fe-Cr 金など)により構成することが好ましい。

 金属層13をめっきにより形成する場合は 湿式めっきでも乾式めっきでもよい。前記 式めっきの例としては電解めっき法や無電 めっき法が挙げられる。前記乾式めっきの としては物理蒸着(PVD)法や化学蒸着(CVD)法が げられる。

 金属層13の厚さは、薄すぎると金属層13と 金属基材11および絶縁皮膜12との密着性が向 せず、厚すぎると金属層13に割れが発生する おそれが高まるため、0.001~0.5μmが好ましく、 0.005~0.5μmがさらに好ましい。

 また、電気電子部品用複合材料1を打ち抜 き加工等により加工した後に折り曲げられた 状態で、絶縁皮膜12が設けられていない箇所 湿式の後処理が行われてもよい。絶縁皮膜1 2が設けられていない箇所とは、例えば図1に ける金属基材11の側面や、金属基材11の上面 の一部の絶縁皮膜12が設けられている部分以 の箇所などを意味する。ここで用いられる 式処理としては、例えば、湿式めっき(Niめ き、Snめっき、Auめっき等)、水系洗浄(酸洗 、アルカリ脱脂等)、溶剤洗浄(超音波洗浄 )などが挙げられる。例えば、湿式めっきに り後付け金属層を設けることにより、金属 材11の表面を保護することができるが、本 施形態の電気電子部品用複合材料1は、金属 材11と絶縁皮膜12との密着性を向上させた結 果、めっき等の後加工により後付け金属層( 示せず)を設けても絶縁皮膜12が金属基材11か ら剥離しない利点がある。

 ここで、後付け金属層の厚さは金属層13 厚さにかかわらず適宜決定されるが、金属 13と同様に0.001~0.5μmの範囲にしてもよい。後 付け金属層として用いられる金属は、電気電 子部品の用途により適宜選択されるが、電気 接点、コネクタなどに用いられる場合は、Au Ag、Cu、Ni、Snまたはこれらを含む合金であ ことが好ましい。

 本発明によれば、前記金属基材と前記絶 皮膜との間に、前記金属基材と前記絶縁皮 との密着性を向上させる金属層が介在され いるため、金属基材と絶縁皮膜との界面(具 体的には金属基材と金属層との界面および金 属層と絶縁皮膜との界面)を含めた箇所で打 抜き加工等の加工を施した後に折り曲げ加 を施しても金属基材と絶縁皮膜との密着性 高い状態を保ち、打ち抜き加工および曲げ 工等による加工性に優れた電気電子部品用 合材料を得ることができる。

 また、本発明の電気電子部品は、金属基 上の少なくとも一部に絶縁皮膜が設けられ 電気電子部品用複合材料が打ち抜き加工等 より加工された後に折り曲げられた状態で 金属基材上の一部に絶縁皮膜が残存するよ に形成された電気電子部品であって、電気 子部品用複合材料として金属基材と絶縁皮 との密着性を向上させる金属層が介在され 材料を用いているため、金属基材に絶縁皮 が金属層を介して密着し、打ち抜き加工お び曲げ加工等による加工性に優れた電気電 部品を容易に得ることができる。

 さらに、本発明の電気電子部品は、金属 材と絶縁皮膜とが密着しているため、絶縁 膜が設けられていない箇所にめっき等の後 工により後付け金属層が設けられているこ により、絶縁皮膜が金属基材から剥離する とがない。

 また、本発明の電気電子部品用複合材料 製造方法は、金属基材表面に、前記金属基 と絶縁皮膜との密着性を向上させる金属層 、めっき等により設けることにより、金属 材と絶縁皮膜との界面(具体的には金属基材 と金属層との界面および金属層と絶縁皮膜と の界面)を含めた箇所で打ち抜き加工等の加 を施した後に折り曲げ加工を施しても、金 基材と絶縁皮膜との密着性が高い状態を保 、打ち抜き加工等および曲げ加工等による 工性に優れた電気電子部品用材料を容易に ることができる。

 以下、本発明を実施例に基づいてさらに 細に説明するが、本発明はこれらに限定さ るものではない。

[実施例1]
 (試料の説明)
 本発明の具体例として、厚み0.1mm、幅10mmの 属条(金属基材)に電解脱脂、酸洗処理をこ 順に施した後、Niめっき、Znめっき、Feめっ 、Crめっき、Snめっき、Ni-Zn合金めっき、Ni-Fe 合金めっき、Fe-Cr合金めっき、Siめっき、Tiめ っきをそれぞれ0.001μm、0.005μm、0.01μm、0.05μm 、0.1μm、0.5μm施し、次いで各条の絶縁を要す る箇所に絶縁コーティング層を設けて電気電 子部品用複合材料を製造した。金属条にはJIS 合金C5210R(リン青銅、古河電気工業(株)製)を いた。なお、めっき厚は、蛍光X線膜厚計SFT- 3200(セイコープレシジョン(株)製)を用いて10 の平均値により測定した。
 また、比較例として、これとは別に、電解 脂、酸洗処理をこの順に施した後、めっき 施さずに絶縁を要する箇所に絶縁コーティ グ層を設けて電気電子部品用複合材料を製 した。さらに他の比較例として、めっきを1 .0μm施した以外は上記具体例と同様に電気電 部品用材料を製造した。

 (各種条件)
 前記電解脱脂処理は、クリーナー160S(メル ックス(株)製)を60g/l含む脱脂液中において、 液温60℃で電流密度2.5A/dm 2 の条件で30秒間カソード電解して行った。
 前記酸洗処理は、硫酸を100g/l含む酸洗液中 室温で30秒間浸漬して行った。
 前記Niめっきは、スルファミン酸ニッケル40 0g/l、塩化ニッケル30g/l、ホウ酸30g/lを含むめ き液中において、液温55℃で電流密度10A/dm 2 の条件で所定のめっき厚になるようにめっき 槽長とライン速度を調整して行った。
 前記Znめっきは、硫酸亜鉛350g/l、硫酸アン ニウム30g/lを含むめっき液中において、液温 45℃で電流密度20A/dm 2 の条件で所定のめっき厚になるようにめっき 槽長とライン速度を調整して行った。
 前記Feめっきは、硫酸鉄400g/l、硫酸アンモ ウム50g/l、尿素80g/lを含むめっき液中におい 、液温60℃で電流密度30A/dm 2 の条件で所定のめっき厚になるようにめっき 槽長とライン速度を調整して行った。
 前記Crめっきは、無水クロム酸250g/l、硫酸2. 5g/lを含むめっき液中において、液温55℃で電 流密度20A/dm 2 の条件で所定のめっき厚になるようにめっき 槽長とライン速度を調整して行った。
 前記Snめっきは、硫酸スズ55g/l、硫酸100g/lを 含むめっき液中において、液温25℃で電流密 2A/dm 2 条件で所定のめっき厚になるようにめっき槽 長とライン速度を調整して行った。
 前記Ni-Zn合金めっきは、塩化ニッケル75g/l、 塩化亜鉛30g/l、塩化アンモニウム30g/l、チオ アン化ナトリウム15g/lを含むめっき液中にお いて、液温25℃で電流密度0.2A/dm 2 の条件で所定のめっき厚になるようにめっき 槽長とライン速度を調整して行った。
 前記Ni-Fe合金めっきは、硫酸ニッケル250g/l 硫酸鉄50g/l、ホウ酸30g/lを含むめっき液中に いて、液温50℃で電流密度5A/dm 2 の条件で所定のめっき厚になるようにめっき 槽長とライン速度を調整して行った。
 前記Fe-Cr合金めっきは、硫酸鉄40g/l、硫酸ク ロム120g/l、塩化アンモニウム55g/l、ホウ酸40g/ lを含むめっき液中において、液温45℃で電流 密度20A/dm 2 の条件で所定のめっき厚になるようにめっき 槽長とライン速度を調整して行った。
 前記SiめっきおよびTiめっきは、巻取式スパ ッタリング装置SPW-069((株)アルバック製)を用 、PVD法により行った。
 前記絶縁コーティング層は、ワニス(流動状 塗布物)を塗装装置の矩形状吐出口から走行 る金属基材表面に垂直に吐出し、次いで300 で30秒間加熱して形成した。前記ワニスには n-メチル2-ピロリドンを溶媒とするポリアミ イミド(PAI)溶液(東特塗料社製)を用い、樹脂 が8~10μmの範囲となるように形成した。なお 、n-メチル2-ピロリドンを溶媒とするポリイ ド(PI)溶液(荒川化学工業(株)製)、メチルエチ ルケトンを溶媒とするエポキシ樹脂溶液(大 本塗料(株)製)を用いて樹脂厚が8~10μmの範囲 なるように形成したサンプルも得たが、同 の結果が得られた。

 (評価結果)
 得られた電気電子部品用複合材料について 打抜き加工性及び曲げ加工性の評価を行っ 。
 打抜き加工性の評価は、クリアランス5%の 型を用いて5mm×10mmの矩形状に試料を打抜い 後、赤インクを溶かした水溶液中に浸漬し 打抜き端部における樹脂の剥離幅が、5μm未 の場合を◎、5μm以上10μm未満の場合を○、1 0μm以上の場合を×とした。
 曲げ加工性の評価は、クリアランス5%の金 を用いて5mm×10mmの矩形状に試料を打抜いた 、試料端部から1mmの位置に曲げ加工が施さ る様に構成された曲率半径0.1mm、曲げ角度120 度の金型を用いて曲げ加工を施し、曲げ内側 における樹脂の剥離有無と曲げ外側を延長し た先の端部における樹脂の剥離有無を光学実 態顕微鏡40倍で観察することにより判定した 剥離のないもの(樹脂の付着状態が維持され ているもの)を○、剥離の発生したもの(樹脂 付着状態が維持されていないもの)を×とし 。また同時に、曲げ加工部におけるめっき 地の割れの有無を観察し、めっき曲げ性を ×で評価した。その結果を表1に示す。

 比較例の試料No.61は、下地めっき処理を していないため、樹脂の打抜き性及び曲げ が劣った。比較例62~71は、樹脂の打抜き性及 び曲げ性は優れるが、めっき層が厚くめっき 部に割れを生じた。これに対し本発明の試料 No.1~60では、樹脂の打抜き性及び曲げ性に優 、かつめっき部にも割れを生じていないた 、精密プレス加工用途に適し、曲げ加工を う用途にさらに適する。特にNiめっき及びZn っきを施した試料No.1~12は、めっき厚が薄い 領域においても優れた効果が得られる。

 [実施例2]
 金属条としてJIS合金C7701R(洋白、三菱電機メ テックス(株)製)を用いた他は、実施例1と同 に行った。その結果を表2に示す。

 比較例の試料No.132は、下地めっき処理を していないため、樹脂の打抜き性及び曲げ が劣った。比較例133~142は、樹脂の打抜き性 及び曲げ性は優れるが、めっき層が厚くめっ き部に割れを生じた。これに対し本発明の試 料No.72~131では、樹脂の打抜き性及び曲げ性に 優れ、かつめっき部にも割れを生じていない ため、精密プレス加工用途に適し、曲げ加工 を伴う用途にさらに適する。特にNiめっき及 Znめっきを施した試料No.72~83は、めっき厚が 薄い領域においても優れた効果が得られる。 すなわち、実施例1と同様、実施例2の試料No.7 2~131は、樹脂の打抜き性が優れるため、精密 レス加工用途、特に曲げ加工を伴う用途に することがいえる。

 [実施例2]
 金属条としてSUS304-CPS(ステンレス、日新製 (株)製)を用いた他は、実施例1と同様に行っ 。その結果を表3に示す。

 比較例の試料No.203は、下地めっき処理を していないため、樹脂の打抜き性及び曲げ が劣った。比較例204~213は、樹脂の打抜き性 及び曲げ性は優れるが、めっき層が厚くめっ き部に割れを生じた。これに対し本発明の試 料No.143~202では、樹脂の打抜き性及び曲げ性 優れ、かつめっき部にも割れを生じていな ため、精密プレス加工用途に適し、曲げ加 を伴う用途にさらに適する。特にNiめっき及 びZnめっきを施した試料No.143~154は、めっき厚 が薄い領域においても優れた効果が得られる 。すなわち、実施例1と同様、実施例3の試料N o.143~202は、樹脂の打抜き性が優れるため、精 密プレス加工用途、特に曲げ加工を伴う用途 に適することがいえる。

産業上の利用の可能性

 本発明の電気電子部品用複合材料は、金 基材と絶縁皮膜との界面を含めた箇所で打 抜き加工等の加工を施した後に折り曲げ加 を施しても金属基材と絶縁皮膜との密着性 高い状態を保つので、打ち抜き加工および げ加工等による加工性に優れた電気電子部 用複合材料として好適である。

 本発明をその実施態様とともに説明したが 我々は特に指定しない限り我々の発明を説 のどの細部においても限定しようとするも ではなく、添付の請求の範囲に示した発明 精神と範囲に反することなく幅広く解釈さ るべきであると考える。
 本願は、2006年12月27日に日本国で特許出願 れた特願2006-350875、及び2007年12月25日に日本 で特許出願された特願2007-333316に基づく優 権を主張するものであり、これらはいずれ ここに参照してその内容を本明細書の記載 一部として取り込む。