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Patent Searching and Data


Title:
CONCENTRATED ACID TREATMENT UNIT, CONCENTRATED ACID TREATMENT METHOD, PLANT RESOURCE PHASE SEPARATION TYPE CONVERSION DEVICE AND CONVERSION METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047358
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are a plant phase separation type conversion device, conversion method, concentrated acid treatment unit, and concentrated acid treatment method, for efficient and continuous production of lignin derivatives and hydrolysed saccharides from plants. A concentrated acid treatment unit (3) has a reaction unit (20) and a stirring and extraction unit (25), and receives a phenol-sorbed starting material (16) formed by defatting starting material (15) derived from a plant using a solvent (14) and sorbing a sorbing phenol (13) to said material, and releases said material as a mixed solution comprising a phenol solution which includes lignophenol derivatives and a concentrated acid solution which includes products of hydrolysis of cellulose. In the reaction unit (20), the phenol-sorbed starting material (16) is mixed with concentrated acid (21A) by stirring, the cellulose is swelled, the lignin is converted to lignophenol, and some of the cellulose is hydrolysed. The stirring and extraction unit (25) receives the solution to be treated delivered from the reaction unit (20) and extracting phenol (33) is stirred in so that the lignophenol dispersed in the concentrated acid solution is extracted in the extracting phenol.

Inventors:
FUNAOKA MASAMITSU (JP)
MIKAME KEIGO (JP)
NODA HIDEO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/068149
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 21, 2009
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN SCIENCE & TECH AGENCY (JP)
KANSAI CHEM ENG (JP)
FUNAOKA MASAMITSU (JP)
MIKAME KEIGO (JP)
NODA HIDEO (JP)
International Classes:
C07G1/00; C13K1/02
Foreign References:
JP2006248955A2006-09-21
JP2001131201A2001-05-15
JPH02233701A1990-09-17
JPH09278904A1997-10-28
JP2008231213A2008-10-02
Other References:
KEIGO MIKAME ET AL.: "Shokubutsu Shigen Renzokushiki Henkan System no Sekkei", PROCEEDINGS OF THE THERMOSETTING PLASTICS SYMPOSIUM JAPAN, 9 October 2008 (2008-10-09), pages 37 - 40
KEIGO MIKAME ET AL.: "Renzokushiki Shokubutsu Shigen Henkan System Plant no Sekkei", HATTEN KENKYU (SORST) FUNAOKA MITSUMASA KENKYU PROJECT 'SHOKUBUTSUKEI BUNSHI SOZAI NO CHIKUJI SEIMITSU KINO SEIGYO SYSTEM', SOKATSU SYMPOSIUM KOEN YOSHIHU, 2009, pages 5 - 8
Attorney, Agent or Firm:
HIRAYAMA KAZUYUKI (JP)
Kazuyuki Hirayama (JP)
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Claims:
 植物資源に由来する原料を溶媒で脱脂しさらに収着用フェノール類を収着してなるフェノール収着原料を導入し、該フェノール収着原料から、リグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液として送出する濃酸処理部であって、
 反応部と攪拌抽出部とを有してなり、
 上記反応部が、上記フェノール収着原料と濃酸とを攪拌混合し上記フェノール収着原料に含まれているセルロースを膨潤させ上記フェノール収着原料に含まれているリグニンのリグノフェノールへの変換を行い、さらに、上記セルロースの一部を加水分解させる処理を行い、
 上記攪拌抽出部が、上記反応部から送出された被処理液を導入し抽出用フェノール類を加え攪拌し濃酸溶液中に分散しているリグノフェノールを上記抽出用フェノール類中に溶解抽出させる処理を行うことを特徴とする、濃酸処理部。
 前記攪拌抽出部が、前記反応部より送出された被処理液を抽出用円筒状容器の一端側より導入し、かつ、複数の注入口の適宜の一つを選択して前記抽出用フェノール類を注入し、容器内の被処理液を複数段階に堰き止めてかつ各堰止位置で攪拌し、複数の液出口の適宜の一つを選択してリグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液として送出するようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の濃酸処理部。
 前記反応部が、攪拌初期に高粘性の塊状となる前記フェノール収着原料を前記攪拌羽根の羽根先端と反応器本体内面とで圧延して細分化する、請求項1又は2に記載の濃酸処理部。
 前記反応部が、反応器本体と、該反応器本体の中心と通して設けられた回転軸と、該回転軸を高速で駆動回転するモータと、上記回転軸に放射方向に設けられており羽根先端が櫛歯状で容器内周面に近接している複数の攪拌羽根と、上記反応器本体の一端側に設けられた前記フェノール収着原料の導入口と、上記反応器本体の他端側に設けられた前記被処理液の液出口とを有し、上記導入口より上記反応器本体内に前記フェノール収着原料を導入し前記濃酸を加えて攪拌混合する攪拌機構造である、請求項3に記載の濃酸処理部。
 前記前期攪拌機は、筒軸方向が上下方向である前記抽出用円筒状容器と、該抽出用円筒状容器の中心に通して設けられた回転軸と、該回転軸を駆動回転するモータと、上記回転軸に設けられていて外径が上記筒状容器の内面に近接しかつ上記被処理液を通流させる小孔を有する複数の堰板と、該堰板間に位置して上記回転軸に設けられていて該堰板間の被処理液を攪拌する抽出用攪拌羽根と、上記抽出用円筒状容器に設けられた前記被処理液の導入口、前記抽出用フェノール類を注入するための適宜の一つが選択される複数の注入口及び前記混合溶液を送出するための適宜の一つが選択される複数の液出口を有してなり、
 該攪拌機を、単数又は複数段処理を行うように複数備え、該単数の攪拌機又は該複数の攪拌機の中の最下流側の攪拌機が、前記被処理液と上記抽出用フェノール類とが攪拌する前記攪拌抽出部として構成されている、請求項3に記載の濃酸処理部。
 前記攪拌抽出部が、さらに前記被処理液の導入口に対応し前記回転軸に設けられた圧送用羽根を有し、該圧送用羽根が、駆動回転されて上記被処理液の導入口より導入した被処理液を攪拌しつつ前記液出口の方向へ圧送する、請求項5に記載の濃酸処理部。
 請求項5に記載の単数の攪拌機又は複数の攪拌機の中の最上流側の攪拌機と、前記反応部とを中継するようにバッファ部を有し、該バッファ部が、上記反応部で処理した被処理液を攪拌して前記セルロースの加水分解とリグニンのリグノフェノールへの変換を進行させる、請求項5又は6に記載の濃酸処理部。
 請求項5に記載の単数の攪拌機又は複数の攪拌機の中の最下流側の攪拌機から送出される処理液を貯留し振動させて反応を促進させる振動反応器を含んで構成されている、請求項7に記載の濃酸処理部。
 前記振動反応器から送出されるリグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液を、所定温度に保持して貯留・攪拌して抽出反応を進行させるバッファ部を有する、請求項8に記載の濃酸処理部。
 前記攪拌抽出部が、筒軸方向が水平方向である前記抽出用円筒状容器と、該抽出用円筒状容器の中心に通して設けられた回転軸と、該回転軸を駆動回転するモータと、上記抽出用円筒状容器内壁に筒軸方向に並んで設けられた円環板である複数の堰板と、各堰板間に位置して上記回転軸に設けられ各堰板間の被処理液を攪拌する抽出用攪拌羽根と、上記抽出用円筒状容器の一端に設けられた前記被処理液導入口と、上記抽出用円筒状容器の中途に設けられた前記抽出用フェノール注入口と、上記抽出用円筒状容器の他端に高さを相違して設けられた前記混合溶液を送出するための複数の液出口と、を有してなる攪拌機で構成されている、請求項2に記載の濃酸処理部。
 前記抽出用円筒状容器の下面部の各堰板間の位置に、残液回収又はフェノール注入のために適宜使用する液出入口を有している、請求項10に記載の濃酸処理部。
 前記攪拌抽出部が、さらに前記被処理液の導入口に対応し前記回転軸に設けられた圧送用羽根を有し、該圧送用羽根が、駆動回転されて上記被処理液の導入口より導入した被処理液を攪拌しつつ前記液出口の方向へ圧送する、請求項11に記載の濃酸処理部。
 植物資源に由来する原料を溶媒で脱脂しさらに収着用フェノール類を収着してなるフェノール収着原料とする原料前処理部と、請求項1乃至12のいずれかに記載の濃酸処理部とからなる、植物資源相分離系変換装置。
 植物資源に由来する原料を溶媒で脱脂しさらに収着用フェノール類を収着してなるフェノール収着原料とする原料前処理部と、請求項1乃至12のいずれかに記載の濃酸処理部と、濃酸処理工程で精製されたリグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液について、フェノール溶液と濃酸溶液との比重差を利用して、リグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液とに液液分離して各別のタンクに回収する回収部と、からなる植物資源相分離系変換装置。
 植物資源に由来する原料を溶媒で脱脂しさらに収着用フェノール類を収着してなるフェノール収着原料を導入し、該フェノール収着原料から、リグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液として送出する濃酸処理方法であって、
 反応部と攪拌抽出部とを有してなり、
 上記反応部は、羽根先端が上記反応器本体内面に近接して回転される攪拌羽根を備えた反応器本体に、上記フェノール収着原料を導入し濃酸を加え攪拌混合し攪拌初期に高粘性の塊状となる上記フェノール収着原料を上記攪拌羽根の羽根先端と反応器本体内面とで圧延し細分化しつつ、上記フェノール収着原料に含まれているセルロースを膨潤させ上記フェノール収着原料に含まれているリグニンのリグノフェノールへの変換を行い、さらに、上記セルロースの一部を加水分解させる処理を行い、
 上記攪拌抽出部は、上記反応部から送出された被処理液を導入し抽出用フェノール類を加え攪拌し濃酸溶液中に分散しているリグノフェノールを上記抽出用フェノール類中に溶解抽出させる処理を行う、
 ことを特徴とする濃酸処理方法。
 原料前処理工程と、濃酸処理工程と、回収工程とを有してなり、
 原料前処理工程は、原料前処理部に植物資源を収容し溶媒を加え攪拌し脱脂して脱脂原料とし、該脱脂原料にフェノール類を加えて攪拌しフェノール収着原料とし、
 濃酸処理工程は、反応部と攪拌抽出部とを有してなり、上記反応部は、羽根先端が上記反応器本体内面に近接して回転される攪拌羽根を備えた反応器本体に、上記フェノール収着原料を導入し濃酸を加え攪拌混合し攪拌初期に高粘性の塊状となり上記反応器本体内面に付着する上記フェノール収着原料を上記攪拌羽根の羽根先端で圧壊することで、上記フェノール収着原料に含まれているセルロースを膨潤させ上記フェノール収着原料に含まれているリグニンのリグノフェノールへの変換を行い、さらに、上記セルロースの一部を加水分解させる処理を行い、上記攪拌抽出部は、上記反応部から送出された被処理液を導入し抽出用フェノール類を加え攪拌し濃酸溶液中に分散しているリグノフェノールを上記抽出用フェノール類中に溶解抽出させる処理を行い、
 回収工程は、濃酸処理工程で精製されたリグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液について、フェノール溶液と濃酸溶液との比重差を利用して、リグノフェノール誘導体を含むフェノール溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶液とに液液分離して各別のタンクに回収する、
 ことを特徴とする植物資源相分離系変換方法。
Description:
濃酸処理部、濃酸処理方法、植 資源相分離系変換装置並びに変換方法

 本発明は、リグノセルロース系複合材料 ある植物資源から糖質とリグノフェノール 導体とに分離し回収しうる植物資源相分離 変換装置及び変換方法、該変換装置及び変 方法に用いる濃酸処理部及び濃酸処理方法 関するものである。

 植物資源を石油の代替工業原料として有 に利用するためには、植物資源を分子素材 して活用する必要があり、分子レベルで高 に複合化された植物体の各構成成分につい 分子機能を活かした状態で効率よく分離す ことが重要となる。

 例えば、木材は、構造及び性質の全く異な 炭水化物とリグニンの複合体である。木材 炭水化物とリグニンの2成分に分離する手法 として、オルガノソルプ法やソルボリシス法 などが提案され、前処理方法として、爆砕法 、オートハイドロリシス法などが提案されて いる。しかし、これらの方法による成分分離 は、高エネルギーを必要とし、しかも分離は 完全には進行しない。これは、細胞壁中で、 炭水化物とリグニンとが複雑に絡み合ってい ることによる。さらに、上記の分離手法は、 高エネルギー付加時にリグニンが大きく変質 し、その後の利用が困難となる。
 したがって、リグニン本来の特性を破壊す ことなく完全な成分分離を達成するために 、構成素材個々に最適環境を設定し、低エ ルギー条件下で両者の絡まりを解くことが 要である。

 木材の組織構造を分子レベルで破壊する つの方法は、硫酸による処理である。例え 濃硫酸処理によってセルロースは膨潤しさ に部分的な加水分解および溶解を生じ、結 として細胞壁構造が破壊される。濃硫酸に る木材の加水分解手法は、すでに技術的に ほぼ確立されており、さらに成分分離とい 意味において完璧かつ安価な方法である。

 しかし、木材の完全利用を目指した成分 離手法として、濃硫酸による木材の加水分 手法は、縮合によるリグニンの不活性化と う重大な欠点を有する。この種の高縮合リ ニンは分子が剛直であるため、通常、構造 飾による活性化あるいはその解重合は困難 あり、これが酸加水分解を核とする木材工 がこれまで成立しなかった理由の一つであ 。濃酸処理過程におけるリグニンの不活性 は、反応系にリグニンに対する媒体がない とに基づく。

 植物体の主たる構成成分である細胞壁構 成分、すなわち、リグニンとセルロースや ミセルロースなどとのリグノセルロース系 合材料を、フェノールと濃酸とを用いて分 ・誘導体化する技術がある(例えば、特許文 献1及び2参照)。

 フェノール誘導体、例えば、クレゾール リグニンの良溶媒であり、しかもその反応 はリグニン芳香核のそれに類似している。 レゾールはリグニンとの親和性が高く、反 系において常にリグニンと共存する。反面 クレゾールは濃酸とほぼ混合しない。そこ 、木粉をまずクレゾールで処理し、木粉内 にクレゾールを十分浸透させる。その後、 合物を室温で激しく撹拌しながら、炭水化 との親和性が高い濃酸を加えると、先ずセ ロースが速やかに膨潤し、これによって木 の組織構造が破壊され、セルロースは更に 水分解される。リグニンは濃酸と混合しな クレゾールによって取り囲まれているので 濃酸が加えられた時点ではリグニンの酸と 接触は可及的に抑制される。攪拌により酸 クレゾール中に混入し、リグニンのベンジ 位にフェノールが結合しリグノフェノール 導体が生成する。

 リグノフェノール誘導体はクレゾール溶液 含まれており、またセルロースの加水分解 は濃酸溶液中に含まれている。クレゾール 留去することにより、MWL(Milled Wood Lignin)よ りも明色で活性なリグノフェノール誘導体が 得られる。他方、酸溶液中には炭水化物がグ ルコース等の単糖、オリゴ糖、ポリマーとし て含有されている。
 処理過程でリグニンは部分的に解重合され が、その際生成したカルボニウムイオンは レゾールにより速やかに安定化され、リグ ンの自己縮合は抑圧される。処理後、撹拌 停止することにより、反応混合物は速やか クレゾール溶液と濃酸溶液とに分離する。

 このような技術においては、リグニンと ルロースを完全分離するために、相分離系 換という手法を用いている。すなわち、予 、リグノセルロース系複合材料をフェノー 化合物で溶媒和させておいた上で、リグノ ルロース系材料を酸と接触させることによ 、リグニンにフェノール化合物を選択的に に対しグラフトさせると同時に、酸でセル ースを膨潤させさらに加水分解し溶解させ リグニンとセルロースを分離するというも である。また、これらの方法において、分 効率を改善する技術もある(特許文献3)。

 さらに、特許文献2には、リグノフェノー ルを成形体の成分として用い、しかも、成形 体として使用が済んだ場合においても、リグ ノフェノールが有機溶媒に可溶であることか ら、再度有機溶媒で回収して再利用できるこ とが開示されている。

特開平2-233701号公報

特開平9-278904号公報

特開2001-131201号公報

 リグニン含有材料から上記した相分離系 換を伴う構造変換によりリグニン誘導体を ようとする場合、リグニン誘導体の収率、 子量、フェノール化合物の導入率等をある 度制御できることが望まれる。特に、リグ ン誘導体と糖質を工業的に得ようとする場 は、効率的な反応をさせるための連続処理 可能な植物資源相分離系変換装置が必要と る。

 本発明は、上記課題に鑑み案出されたも で、リグノセルロース系材料を、リグニン 導体と糖質に変換し、分離するに際して、 物資源からリグニン誘導体と加水分解され 糖質とを効率よく連続して製造し得る植物 源相分離系変換装置及び変換方法、該変換 置及び変換方法に好ましく適用できる濃酸 理部及び濃酸処理方法を提供することを目 とする。

 本発明者等は鋭意研究を重ねたところ、 物資源としてのリグノセルロース系材料を ルロースとリグニン誘導体とに分離するに たり、分離変換に必要とされるファクター 検討し、リグニンに親和性の高い媒体であ フェノール誘導体との親和工程、リグニン- セルロース複合体からの成分分離媒体であり 反応媒体でもある酸性媒体との接触工程に着 目し、反応媒体でもある酸性媒体とフェノー ル収着原料との混合溶液中の反応を、所定の 温度で連続的に行う装置構成と、この反応に より得た誘導体を効率的に回収し得る方法に 想到し、本発明に至った。

 上記目的を達成するため、本発明の濃酸 理部は、植物資源に由来する原料を溶媒で 脂しさらに収着用フェノール類を収着して るフェノール収着原料を導入し、フェノー 収着原料から、リグノフェノール誘導体を むフェノール溶液とセルロースの加水分解 を含む濃酸溶液との混合溶液として送出す 濃酸処理部であって、反応部と攪拌抽出部 を有してなり、反応部が、フェノール収着 料と濃酸とを攪拌混合しフェノール収着原 に含まれているセルロースを膨潤させフェ ール収着原料に含まれているリグニンのリ ノフェノールへの変換を行い、さらに、セ ロースの一部を加水分解させる処理を行い 攪拌抽出部が、反応部から送出された被処 液を導入し抽出用フェノール類を加え攪拌 濃酸溶液中に分散しているリグノフェノー を抽出用フェノール類中に溶解抽出させる 理を行う、ことを特徴とする。

 上記した濃酸処理部は、攪拌抽出部が、 応部より送出された被処理液を抽出用円筒 容器の一端側より導入し、かつ、複数の注 口の適宜の一つを選択して抽出用フェノー 類を注入し、容器内の被処理液を複数段階 堰き止めてかつ各堰止位置で攪拌し、複数 液出口の適宜の一つを選択してリグノフェ ール誘導体を含むフェノール溶液とセルロ スの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶 として送出する構成であることが好ましい

 本発明の濃酸処理部は、反応部が、攪拌 期に高粘性の塊状となるフェノール収着原 を攪拌羽根の羽根先端と反応器本体内面と 圧延し細分化する構成であることが好まし 。さらに、本発明の濃酸処理部は、反応部 、反応器本体と、反応器本体の中心と通し 設けられた回転軸と、回転軸を高速で駆動 転するモータと、回転軸に放射方向に設け れており羽根先端が櫛歯状で容器内周面に 接している複数の攪拌羽根と、反応器本体 一端側に設けられたフェノール収着原料の 入口と、反応器本体の他端側に設けられた 処理液の液出口とを有し、導入口より反応 本体内にフェノール収着原料を導入し濃酸 加えて攪拌混合する攪拌機構造であること 好ましい。

 本発明の濃酸処理部は、攪拌機が、筒軸 向が上下方向である抽出用円筒状容器と、 出用円筒状容器の中心に通して設けられた 転軸と、回転軸を駆動回転するモータと、 転軸に設けられていて外径が筒状容器の内 に近接しかつ被処理液を通流させる小孔を する複数の堰板と、堰板間に位置して回転 に設けられていて堰板間の被処理液を攪拌 る抽出用攪拌羽根と、抽出用円筒状容器に けられた被処理液の導入口、抽出用フェノ ル類を注入するための適宜の一つが選択さ る複数の注入口及び混合溶液を送出するた の適宜の一つが選択される複数の液出口を してなり、攪拌機を、単数又は複数段処理 行うように複数備え、単数の攪拌機又は複 の攪拌機の中の最下流側の攪拌機が、被処 液と抽出用フェノール類とが攪拌する攪拌 出部として構成されていることが好ましい

 本発明の濃酸処理部は、攪拌抽出部が、 軸方向が水平方向である抽出用円筒状容器 、抽出用円筒状容器の中心に通して設けら た回転軸と、回転軸を駆動回転するモータ 、抽出用円筒状容器内壁に筒軸方向に並ん 設けられた円環板である複数の堰板と、各 板間に位置して回転軸に設けられ各堰板間 被処理液を攪拌する抽出用攪拌羽根と、抽 用円筒状容器の一端に設けられた被処理液 入口と、抽出用円筒状容器の中途に設けら た抽出用フェノール注入口と、抽出用円筒 容器の他端に高さを相違して設けられた混 溶液を送出するための複数の液出口と、を してなる攪拌機で構成されていることが好 しい。

 本発明の植物資源相分離系変換装置は、 物資源に由来する原料を溶媒で脱脂しさら 収着用フェノール類を収着してなるフェノ ル収着原料とする原料前処理部と、上記何 かの構成の濃酸処理部と、濃酸処理工程で 製されたリグノフェノール誘導体を含むフ ノール溶液とセルロースの加水分解物を含 濃酸溶液との混合溶液について、フェノー 溶液と濃酸溶液との比重差を利用して、リ ノフェノール誘導体を含むフェノール溶液 セルロースの加水分解物を含む濃酸溶液と 液液分離して各別のタンクに回収する回収 と、からなることを特徴とする。

 本発明の濃酸処理方法は、植物資源に由 する原料を溶媒で脱脂しさらに収着用フェ ール類を収着してなるフェノール収着原料 導入し、フェノール収着原料から、リグノ ェノール誘導体を含むフェノール溶液とセ ロースの加水分解物を含む濃酸溶液との混 溶液として送出する濃酸処理方法であって 反応部と攪拌抽出部とを有してなり、反応 が、羽根先端が反応器本体内面に近接して 転される攪拌羽根を備えた反応器本体に、 ェノール収着原料を導入し濃酸を加え攪拌 合し攪拌初期に高粘性の塊状となるフェノ ル収着原料を攪拌羽根の羽根先端と反応器 体内面とで圧延し細分化しつつ、フェノー 収着原料に含まれているセルロースを膨潤 せフェノール収着原料に含まれているリグ ンのリグノフェノールへの変換を行い、さ に、セルロースの一部を加水分解させる処 を行い、攪拌抽出部が、反応部から送出さ た被処理液を導入し抽出用フェノール類を えて攪拌し濃酸溶液中に分散しているリグ フェノールを抽出用フェノール類中に溶解 出させる処理を行うことを特徴とする。

 本発明の植物資源相分離系変換方法は、 料前処理工程と、濃酸処理工程と、回収工 とを有してなり、原料前処理工程は、原料 処理部に植物資源を収容し溶媒を加えて攪 し脱脂して脱脂原料とし、脱脂原料にフェ ール類を加えて攪拌しフェノール収着原料 し、濃酸処理工程は、反応部と攪拌抽出部 を有してなり、反応部が、羽根先端が反応 本体内面に近接して回転される攪拌羽根を えた反応器本体に、フェノール収着原料を 入し濃酸を加えて攪拌混合し攪拌初期に高 性の塊状となり反応器本体内面に付着する ェノール収着原料を攪拌羽根の羽根先端で 壊することで、フェノール収着原料に含ま ているセルロースを膨潤させフェノール収 原料に含まれているリグニンのリグノフェ ールへの変換を行い、さらに、セルロース 一部を加水分解させる処理を行い、攪拌抽 部が、反応部から送出された被処理液を導 し抽出用フェノール類を加えて攪拌し濃酸 液中に分散しているリグノフェノールを抽 用フェノール類中に溶解抽出させる処理を い、回収工程は、濃酸処理工程で精製され リグノフェノール誘導体を含むフェノール 液とセルロースの加水分解物を含む濃酸溶 との混合溶液について、フェノール溶液と 酸溶液との比重差を利用して、リグノフェ ール誘導体を含むフェノール溶液とセルロ スの加水分解物を含む濃酸溶液とに液液分 して各別のタンクに回収することを特徴と る。

 本発明の濃酸処理部並びに濃酸処理方法 よれば、反応部と攪拌抽出部とを有し、反 部で、フェノール収着原料と濃酸とを攪拌 合しフェノール収着原料に含まれているセ ロースを膨潤させフェノール収着原料に含 れているリグニンのリグノフェノールへの 換を行い、さらに、セルロースの一部を加 分解させる処理を行い、攪拌抽出部で、反 部から送出された被処理液を導入し抽出用 ェノール類を加えて攪拌し濃酸溶液中に分 しているリグノフェノールを抽出用フェノ ル類中に溶解抽出させる処理を行うので、 ェノール収着原料から、リグノフェノール 導体を含むフェノール溶液とセルロースの 水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液とし 生成を円滑に行うことができる。

 本発明の植物資源相分離系変換装置によ ば、上記濃酸処理部を採用しているので、 物資源であるリグノセルロース系材料から 有用なリグノフェノールなどのリグニン誘 体を連続的に抽出して糖を分離することが きる。

 本発明の植物資源相分離系変換方法によ ば、上記濃酸処理部を採用しているので、 物資源であるリグノセルロース系材料を濃 で加水分解し、さらに抽出用フェノール類 加えて連続的に反応させる工程を、一定の 度で連続的に処理することによって、有用 リグノフェノールなどのリグニン誘導体及 糖を、エネルギー消費の少ない常温で連続 に効率よく製造することができる。

本発明の第1の実施の形態に係る植物資 源相分離系変換装置の構成を示すブロック図 である。 図1の変換装置の反応部の構成を模式的 に示す断面図である。 図2及び図13におけるIII-III断面図である 。 図1の変換装置の攪拌バッファ槽の構成 を模式的に示す図である。 図1の変換装置の攪拌抽出部の構成を模 式的に示す断面図である。 図1の変換装置の分離抽出器の構成を示 す模式的な部分断面図である。 図1の変換装置の液液分離抽出器の構成 を示す模式的な部分断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る植物資源 相分離系変換装置の構成を示すブロック図で ある。 図8の変換装置の振動反応器を示す模式 的な部分断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る植物資 相分離系変換装置の構成を示すブロック図 ある。 本発明の第4の実施形態に係る植物資 相分離系変換装置の構成を示すブロック図 ある。 本発明の第5の実施形態に係る植物資 相分離系変換装置の構成を示すブロック図 ある。 図12の変換装置の反応部の構成を示す 面図である。 図12の変換装置の攪拌抽出部の断面図 ある。 図14図におけるXV-XV断面図である。 図12の変換装置の液液分離抽出器の構 を示す模式的な部分断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る植物資 相分離系変換装置の回収部の構成を示すブ ック図である。

 以下、図面に基づいて本発明の実施形態を 細に説明する。
(第1の実施形態)
〔植物資源相分離系変換装置の概略の全体構 成〕
 図1に示すように、植物資源相分離系変換装 置1は、原料前処理部2と濃酸処理部3と回収部 4とを有して構成される。

 原料前処理部2は攪拌乾燥釜10を有し、こ 攪拌乾燥釜10に、例えば自然乾燥させた、 グノセルロース複合体である木粉や草花、 ルプなどの植物資源に由来する原料(以下、 に原料という)15を供給すると共に、クレゾ ル等の収着用フェノール類13やアセトンや ルコール等の溶媒14を供給し原料15中のリグ ンを収着用フェノール類13により溶媒和し フェノール収着原料16を生成する。フェノー ル収着原料とは、リグノセルロース複合体に フェノール類を浸み込ませることでリグニン がフェノールにより溶媒和された状態の原料 と定義する。フェノールがクレゾールの場合 には、クレゾール収着木粉と称する。

 濃酸処理部3は、水平形の反応部20と竪形の 拌抽出部25とを有し、この反応部20に、原料 前処理部2で生成したフェノール収着原料16を 供給すると共に、濃酸供給部21から送液ポン 30を介して濃酸21Aを供給して攪拌しフェノ ル収着原料16を濃酸処理し液体と固形物との 混合溶液(以後、この段階の混合溶液のこと 特に被処理液と称する。)とし、さらに被処 液を攪拌抽出部25に導入し、ここで抽出用 ェノール類33を加えて攪拌し、リグノフェノ ール誘導体を含むフェノール溶液とセルロー スの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液 として送出する。
 攪拌抽出部25は、反応部20より送出された被 処理液を抽出用円筒状容器25Aの一端側より導 入し、かつ、複数の注入口25Hの適宜の一つを 選択して上記抽出用フェノール類を注入し、 容器内の被処理液を複数段階に堰き止めてか つ各堰止位置で攪拌し、複数の液出口25Iの適 宜の一つを選択してリグノフェノール誘導体 を含むフェノール溶液とセルロースの加水分 解物を含む濃酸溶液との混合溶液として送出 するようになっている。

 回収部4は、液液分離抽出器40を有し、この 液分離抽出器40に、濃酸処理工程で精製さ たリグノフェノール誘導体を含むフェノー 溶液とセルロースの加水分解物を含む濃酸 液との混合溶液を導入し、フェノール溶液 濃酸溶液との比重差を利用して、リグノフ ノール誘導体を含むフェノール溶液とセル ースの加水分解物を含む濃酸溶液とに液液 離して各別のタンクに回収する。
 以下、原料前処理部2、濃酸処理部3及び回 部4の構成を各部毎に説明する。

〔原料前処理部2の構成〕
 図1に示すように、原料前処理部2は、攪拌 燥釜10を含んで構成される。攪拌乾燥釜10は 原料に対する攪拌乾燥を行う釜本体10Aと、 本体10Aの底部に送出管10Bで接続されたスト ク部10Cと、釜本体10A内に備えられた攪拌羽 (図示せず)と、攪拌羽根を駆動する駆動源( 示せず)とを備えて構成される。さらに、攪 拌乾燥釜10は、上部に原料(木粉)を供給する 料供給フィーダ11と、収着用フェノール類13 溶媒14を供給するための導入口である薬剤 給部12とが接続され、下部に薬剤回収部17が けられている。
 ここでのフェノール類の供給は、フェノー 収着のためである。フェノール収着は、リ ニンをフェノールで溶媒和することにより グニンと酸との接触頻度の抑制と、リグニ が酸と接触した場合、リグニンの最も反応 性なベンジル位へフェノールをグラフティ グさせ、安定化させると共にフェノール活 を上げるためである。
 ここでのフェノール類の供給量は、木材の 体中に含まれるリグニンを、リグノフェノ ル誘導体に合成するために必要な量とし、 媒と共に使用される。
 フェノール使用量をできるだけ少なくして 脂木粉に直接含浸させると液量が少ないた にムラができてしまう。そこで、木粉が十 に漬かる量のアセトンにフェノールを溶か た後、脱脂木粉に加え、攪拌後、アセトン 留去する。このようにすると、フェノール 用量をできるだけ少なくしかつ均一に含浸 せることができる。
 リグノフェノール誘導体とは、フェニルプ パン骨格のC1(ベンジル位)にフェノール誘導 体が結合した1,1-ビス(アリール)プロパン-2-O- リールエーテル型構造を有する化合物であ 。
 フェノール類として、1価、2価及び3価のい れのフェノールを用いても良い。木粉に含 れるリグニンとフェノール誘導体とにより 成されるリグノフェノール誘導体の疎水性 、リグノモノフェノール誘導体(1価のフェ ール)の疎水性が最も高い。1価のフェノール としては、フェノール、クレゾールなどのア ルキルフェノール、メトキシフェノール、ナ フトールなどを挙げることができる。したが って、疎水性成形体の合成には1価のフェノ ルとしてクレゾールを用いるのが好ましい

 攪拌乾燥釜10に、原料(ここでは自然乾燥さ た木粉を用いる。)15と溶媒(ここではアセト ンを用いる。)14とが投入されると、攪拌を行 う。これにより、原料15は油脂分を取り除か る。その後、攪拌乾燥釜10は、収着用フェ ール類(ここではクレゾールを用いる。)13と 媒14とからなる溶液が投入されると、さら 攪拌を行う。これにより、原料15中のリグニ ンは、収着用フェノール類により溶媒和され る。このとき、原料15の大きさは、クレゾー を十分に収着させるために20~80メッシュ程 が好ましく、さらに20~60メッシュ程度が一層 好ましい。
 その後、アセトンを留去させることにより ェノール類が収着した木粉、すなわちフェ ール収着原料16を得ることができる。

 攪拌乾燥釜10において用いられ薬剤回収 17より回収される回収薬剤(使用済の溶媒及 収着用フェノール類)18は、分離精製して再 用することができる。これにより、溶媒14の 使用量を削減することができる。

〔濃酸処理部3の構成〕
 濃酸処理部3は、原料前処理部2で生成した ェノール収着原料16を供給すると共に、濃酸 供給部21から送液ポンプ30を介して濃酸21Aを 給して攪拌しフェノール収着原料16を濃酸処 理し液体と固形物との混合溶液(以後、この 階の混合溶液のことを特に被処理液と称す 。)とする。
 この濃酸処理部3は、攪拌乾燥釜10で処理さ 送出通路19より送出されるフェノール収着 料16を導入する反応部20と、濃酸(例えば濃硫 酸)を貯留していて一定量の濃酸を反応部20に 供給する濃酸供給部21と、反応部20で処理さ 送出する液体と固形物との被処理液を導入 て所要時間攪拌を行う攪拌バッファ槽22と、 攪拌バッファ槽22から送出される被処理液を 入しかつ抽出用フェノール類を導入して攪 し、リグノフェノール誘導体を含むフェノ ル溶液とセルロースの加水分解物を含む濃 溶液との混合溶液とする攪拌抽出部25と、 含んで構成されている。

 図2に示すように、反応部20は、反応部本体2 0Aと、モータ20Dと、モータ20Dで回転される回 軸20Bと、回転軸20Bに固定された圧送用羽根2 0J及び攪拌羽根20Cと、フェノール収着原料の 口20E及び被処理液の出口20Gと、濃酸の注入 20Eとを有してなる。
 反応部20には、攪拌乾燥釜10で処理され送出 されたフェノール収着原料16を入口20Eより供 すると共に、濃酸供給部21に貯留された濃 21Aを送液ポンプ30によって注入口20Eより供給 する。濃酸としては、例えば、65~72重量%の濃 度の濃硫酸を用いるのが好ましい。なお、複 数の攪拌乾燥釜10でそれぞれ処理したフェノ ル収着原料16を貯めておいて、フェノール 着原料16を回収し纏めてホッパーに投入しホ ッパーを介して反応部20に供給しても良い。

 反応部20は、入口20Eから本体部20A内に流 したフェノール収着原料16と、注入口20Eから 本体部20A内に流入した濃酸21Aと、を攪拌羽根 20Cの回転によって攪拌しフェノール収着原料 (フェノール収着木粉)16が濃酸21Aで加水分解 れ液体と固形物との混合状態の被処理液と る。攪拌羽根20Cの羽根先端20C’と反応器本 20Aの内周面とのクリアランスqを、例えば1mm 小さく設定してある。これは、攪拌初期に 粘性の塊状となる上記フェノール収着原料 上記攪拌羽根の羽根先端と反応器本体20A内 とで圧延し細分化するためである。

 反応部20の本体部20Aの周囲には、冷却水 口20H及び冷却水出口20Iを有する冷却機構を えており、冷却機構は、チラーユニット36( 1参照)から送出される冷却水を冷却水入口20H より導入し冷却機構内部に通流させ冷却水出 口20Iより流出することによって本体部20Aを20 以上40℃よりも低い温度となるように冷却 る。加水分解時の温度を20℃以上40℃とした は、40℃以上では反応が進みすぎるので好 しくなく、また20℃よりも低いとフェノール 収着原料16と固形分との混合溶液である被処 液の粘度が増大したり、固化したりするの 好ましくないからである。

 反応部20がフェノール収着原料16と濃酸21Aと を攪拌し反応させると、フェノール収着原料 16に含まれているセルロースが膨潤する。こ により、混合液は攪拌の初期に粘性を大き する。膨潤したセルロースは、濃酸21Aによ て加水分解され、これにより、混合液は粘 を低下する。反応部20は、本体部20Aにモー 20Dで回転される攪拌羽根20Cを有しているの 、フェノール収着原料16と濃酸21Aとの反応を 促進し、初期混練効率を向上させる。
 これにより、反応部20では、攪拌されたフ ノール収着原料16が濃酸21Aにより加水分解さ れ、一方、フェノール収着原料16から分離し リグニンが活性な側鎖ベンジル位でフェノ ル化されリグノフェノールに変換される。

 反応部20は、濃酸処理されたフェノール収 原料16が所定の処理量に達すると、開閉弁20J を開弁して攪拌バッファ槽22へ送出する。図4 に示すように、攪拌バッファ槽22は、槽本体( 容器:符号無し)と、この槽本体に入口22Aと出 22Bと液面センサ22Cと温度調節器22Dとを備え なる。温度調節器22Dは、例えば加熱用ヒー を備えて構成され、上記した20℃から40℃程 度の温度に調節する。
 攪拌バッファ槽22は、反応部20から送出され た被処理液を入口22Aを通して槽本体内に貯留 し、該被処理液の液面を液面センサ22Cで監視 すると共に、被処理液を温度調節器22Dで一定 の温度に保持する。
 図1に示す送液ポンプ31は、攪拌バッファ槽2 2の槽本体内に貯留するフェノール収着原料16 及び濃酸21A等からなる混練物である固液混合 溶液を常に一定の液面に保つようにして出口 22Bより連続的に攪拌抽出部25へ送出する。
 これにより、攪拌バッファ槽22は、低温の 合などに配管内部で生じる固液混合溶液の 化等を効果的に防止する役目を果たす。

 図1に示すように、送液ポンプ31は、攪拌 ッファ槽22内の被処理液を攪拌抽出部25へ連 続的に送出する。また送液ポンプ32は、タン 33Aに貯留されている抽出用フェノール類(ク レゾール)33を開閉弁33Bを介して攪拌抽出部25 送出する。抽出用フェノール類33は、リグ ンから変換され濃酸処理液中に存在するリ ノフェノールを抽出するための溶媒である

 図5に示すように、攪拌抽出部25は、上下 長い筒状容器である混合容器25Aと、容器内 攪拌する攪拌機構25Bと、を含んで構成され いる。

 混合容器25Aは架台25Cによって支持されて る。攪拌機構25Bは、混合容器25Aの外部に設 られるモータ25Dで駆動される回転軸25Eを備 ている。回転軸25Eには、その上部側から下 側にわたり複数の回転羽根(抽出用攪拌羽根 )25Fと複数の仕切り板(堰板)25Gとが交互に配設 されている。

 図6に示すように、仕切り板(堰板)25Gは、 数の孔25Lを有する円板形状であり、混合容 25Aの円筒空間を円筒軸線に垂直な面でほぼ ぐ構造を有している。孔25Lの大きさや数は 硫酸処理するフェノール収着原料16の種類 応じて設定することができる。回転羽根25F 仕切り板25Gは、濃酸やフェノール類に溶解 ない材料を使用する。回転羽根25Fの材料と ては、弗素樹脂等を用いることができる。

 図5に示すように、攪拌抽出部25は、複数 注入口25Hと複数の出口25Iとを備え、各出口2 5Iに対応して開閉弁25J(図1参照)を備えている

 複数の注入口25Hは混合容器25Aの上部から 部の領域にわたり設けられている。複数の 入口25Hは、例えば、攪拌バッファ槽22より 出された被処理液(フェノール収着原料16及 濃酸21Aの混合溶液)を最下部の注入口25Hから 入するために使用され、中段及び上部側の 入口25Hのいずれかが、抽出用フェノール類3 3を注入するために使用される。

 攪拌抽出部25は、モータ25Dで回転羽根25F 回転することで、図1に示すように、混合容 25Aの下部の注入口25Hから導入する濃酸処理 れたフェノール収着原料16と抽出用フェノ ル類33とを攪拌しつつ、図6に示すように、 切り板25Gの孔25Lを通して混合容器25Aの上部 の仕切り板25Gの孔25Lを順次に通流させる。

 攪拌抽出部25が、最下部以外の注入口25H 選択し抽出用フェノール類33を導入する場合 、選択する注入口25Hの位置が上部になるほど 最下部から導入されるフェノール収着原料16 び濃酸21Aが上昇し到達するまでの時間が余 に必要となる。この到達時間の間は、フェ ール収着原料16及び濃酸21Aの混合溶液の反 が進む。従って、抽出用フェノール類33によ るリグノフェノール抽出前の酸処理時間を制 御することができ、分離効率を高めることが できる。例えば原料が木材の場合には、酸処 理時間を長くして分解を促進させるために上 部側注入口25Hから抽出用フェノール類33を導 すればよい。また、原料が草木やパルプで って、酸処理が反応部20で十分に行われる 合には、より下部側に近い注入口25Hから抽 用フェノール類33を導入すればよい。

 攪拌抽出部25には、混合容器25Aの上部か 下部の領域にわたり複数の注入口25Hが設け れていると共に、複数の出口25Iが設けられ いる。注入口25Hと出口25Iをそれぞれ複数有 ていることにより、処理するバイオマスの 料(原料15)によって、注入口25Hと出口25Iを選 することができ、リグノフェノール抽出前 酸処理時間やリグノフェノール抽出時間を 御することができる。すなわち、注入口25H 出口25Iがたくさんあることにより、注入口2 5Hの選択と出口25Iの選択の組み合わせがたく んできて、トータルの反応時間を細分して 御できる。例えば、草本などの場合は、低 注入口25Hから抽出用フェノール類33を注入 、その後中段より下の出口25Iから処理液を せば、トータルの処理時間は短縮できる。

 攪拌抽出部25においては、抽出用フェノ ル類33を注入する前までは、攪拌乾燥釜10に 混合された収着用フェノール類は既に被処 液中のリグニンと結合しリグノフェノール なっているため、収着用フェノール類とし 存在している形態が極めて少なくなってい 、溶媒としてフェノール類がほとんど存在 ない状態であり、リグノフェノールは、濃 に溶けないで取り囲まれている。そこで、 拌抽出部25では、抽出用フェノール類33を加 えてリグノフェノールを抽出する。攪拌抽出 部25内に抽出用フェノール類33を注入すると 抽出用フェノール類33は、攪拌により濃酸に 取り囲まれているリグノフェノールに接触し て溶解し、濃酸から抽出できる。

 攪拌抽出部25において、抽出用フェノー 類33を注入した後は、リグノフェノールとフ ェノール類とからなる液と、濃酸と濃酸によ り分解されたセルロースなどからなる炭水化 物の液と、の混合液となる。

 従って、攪拌抽出部25は、反応部20より送 出された被処理液を抽出用円筒状容器25Aの一 端側より導入し、かつ、複数の注入口25Hの適 宜の一つを選択して上記抽出用フェノール類 を注入し、容器内の被処理液を複数段階に堰 き止めてかつ各堰止位置で攪拌し、複数の液 出口25Iの適宜の一つを選択してリグノフェノ ール誘導体を含むフェノール溶液とセルロー スの加水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液 として送出するようになっている。

 上述したように、攪拌抽出部25は、攪拌 ッファ槽22から送出された被処理液と抽出用 フェノール類(クレゾール)33とを攪拌し、リ ノフェノール誘導体を含むフェノール溶液 セルロースの加水分解物を含む濃酸溶液と 混合溶液とする。攪拌抽出部25が、フェノー ル収着原料16と抽出用フェノール類33とを所 時間攪拌すると、開弁している開閉弁25Jを して、図1に示すように、送液ポンプ35が攪 抽出部25で処理された混合溶液を後述する回 収部4の液液分離抽出器40へ送出する。

〔回収部4の構成〕
 図1に示すように、回収部4は、液液分離抽 器40と、フェノール溶液回収タンク44と、濃 溶液回収タンク45と、を含んで構成されて る。
 図7に示すように、液液分離抽出器40は、例 ばガラスや樹脂等からなる密閉構造の縦長 筒状容器40aを含んで構成されている。筒状 器40aの最上部にはリグニン層及び濃酸層の 料供給口40bと、上部には複数の軽液排出口4 0cと、下部には重液排出口40dとが設けられて る。

 液液分離抽出器40においては、軽液である グニン層(リグノフェノールと抽出用フェノ ル類33とからなる層)42が上方へ、重液であ 濃酸層(硫酸により分解されたセルロースな からなる炭水化物とを含む層)43が下方へ分 される。リグニン層42は複数の軽液排出口40 cから速やかに抽出され、フェノール溶液回 タンク44に収容される。
 一方、重液であり下方へ沈殿する濃酸層43 、液液分離抽出器40の下部の重液排出口40d( は下のコック)から濃酸溶液回収タンク45に 収することができる。この濃酸層43をさらに 希釈液処理を継続することにより、該濃酸層 43に含まれている炭水化物を工業原料として 用な糖類に変換することができる。

 本発明の実施形態に係る植物資源相分離 変換装置1によれば、30℃前後の温度で、短 間で連続反応を行うことができ、リグノセ ロース系複合体からなる植物資源を、低エ ルギーで短時間にリグノフェノールと低分 量炭水化物に分離することができる。

(第2の実施形態)
〔植物資源相分離系変換装置の概略の全体構 成〕
 図8に示すように、植物資源相分離系変換装 置1Aは、原料前処理部2と、原料前処理部2か 供給される前処理済の原料を濃酸処理する 酸処理部3Aと、この濃酸処理部3Aで分離され リグノフェノールを回収する回収部4と、か ら構成されている。第2の実施形態で、図1に す植物資源相分離系変換装置1と異なる点は 濃酸処理部3Aの構成である。

〔濃酸処理部3Aの構成〕
 濃酸処理部3Aは、反応部20と濃酸供給部21と 1の攪拌バッファ槽22と第1の攪拌抽出部23と 2の攪拌バッファ槽24と第2の攪拌抽出部25と 動反応器26と第3の攪拌バッファ槽27とを含 で構成されている。

 反応部20の構成は、図1及び図2に示す植物 資源相分離系変換装置1の反応部20と同一の構 造・作用を有しているので、図2を流用して 明を省略する。第1の攪拌バッファ槽22と第2 攪拌バッファ槽24と第3の攪拌バッファ槽27 、図4の攪拌バッファ槽22と同じ構造・作用 有しているので、図4を流用して説明を省略 る。第1の攪拌抽出部23は、図5に示した攪拌 抽出部25と同一の構造・作用を有しているの 、図5を流用して説明を簡略する。

 第1の攪拌抽出部23は、混合容器の下部入 23Hから濃酸処理されたフェノール収着原料1 6が流入する。出口23Iには、開閉弁23Jが設け れている。これにより、濃酸処理されたフ ノール収着原料16は、第1の攪拌抽出部23で所 定時間攪拌された後で、開閉弁23Jを介して第 2の攪拌バッファ槽24に導入される。例えば、 原料が硬い木材の場合には、補助的に第1の 拌抽出部23を設けることによって、酸処理時 間を長くして加水分解を促進することができ る。

 第2の攪拌バッファ槽24には、濃酸処理さ たフェノール収着原料16が導入されると共 、抽出用フェノール類33が開閉弁33Bを介して 導入される。抽出用フェノール類33は、タン 33Aから供給される。濃酸処理されたフェノ ル収着原料16と抽出用フェノール類33とは、 第2の攪拌バッファ槽24で攪拌された後、送液 ポンプ34を介して第2の攪拌抽出部25に送出さ る。

 第2の攪拌抽出部25へは、筒状容器の下部 入口25Hから濃酸処理されたフェノール収着 料16と抽出用フェノール類33とが流入する。

 振動反応器26は、濃酸処理されたフェノー 収着原料16と抽出用フェノール類33とを、さ に反応させる機能を有している。
 図9に示すように、振動反応器26は、流路と る筒状部26Aの中に超音波振動子26Bが挿入さ ており、筒状部26Aの外周部には冷却用配管2 6Cが配置されて構成されている。この冷却用 管26Cにより、筒状部26A内部が所定温度に冷 され、リグニンと濃酸21Aとの不必要な変性 抑制している。この場合、冷却温度として 30℃以下が好ましい。筒状部26A内部は、チ ーユニット36(図1参照)から送出される冷却水 によって冷却される。超音波処理を行うこと によって、後述する回収部4における液液分 を行うために、硫酸層中の炭水化物への可 化と抽出用フェノール類33からなる溶媒中へ のリグノフェノールの可溶化とを促進し、炭 水化物とリグノフェノールの分離を向上させ ることができる。

 振動反応器26で処理されたフェノール収 原料16は、所定の処理量に達すると開閉弁26D と第3の攪拌バッファ槽27とを介して液液分離 抽出器40に送出される。第3の攪拌バッファ槽 27は、第1の攪拌バッファ槽22と同様の構成で り、液面を監視する液面センサと混合溶液 一定の温度にする温度調節器とを備えてい 。これにより、振動反応器26で反応が進ん リグニン層と濃酸層とが、第1の攪拌バッフ 槽22と同様の所定の温度にされ、常に第3の 拌バッファ槽27の液面が一定とされ、連続 に液液分離抽出器40に送出される。

 本発明の第2の実施形態に係る植物資源相 分離系変換装置1Aによれば、30℃前後の温度 、短時間で連続反応を行うことができる。 れにより、リグノセルロース系複合体から る植物資源を低エネルギーで、短時間にリ ノフェノールと低分子量炭水化物に分離す ことができる。図8に示す植物資源相分離系 換装置1Aは、図1に示す植物資源相分離系変 装置1に対して、さらに、第1の攪拌抽出部23 と振動反応器26とが追加されているので、植 などのバイオマスを利用する場合、例えば 葉樹、広葉樹等の木粉のサイズが大きい場 や硬い木粉の処理を効率良く行うことがで る。

 濃酸処理部3の、反応部20と第1の攪拌抽出 部23と振動反応器26との出口側には、それぞ 、第1~第3の攪拌バッファ槽22,24,27を備えてい るので、常にフェノール収着原料16及び濃酸2 1A等からなる混練物である固液混合溶液を、 定の液面とし、かつ、所定の温度にして装 の配管内を輸送することができる。従って 低温の場合などに配管内部で生じる固液混 溶液の固化等を効果的に防止することがで る。

 第1の攪拌抽出部23でフェノール収着原料1 6を濃酸21Aと共に混合するので、炭水化物の 水分解反応を効果的に促進することができ 。

 第2の攪拌抽出部25でフェノール収着原料1 6及び濃酸21Aの混合溶液に抽出用フェノール 33等のフェノール誘導体を加えてリグノフェ ノールを抽出することができる。この場合、 第2の攪拌抽出部25に複数の注入口25Hと出口25I を設けることによってフェノール収着原料16 原料や目的とするリグノフェノールの種類 応じて、リグノフェノール抽出時間等を制 することができ、リグニン層42と濃酸層43と の分離効率を向上させることができる。

 さらに、振動反応器26を設けることで、 応をさらに促進させることによってリグニ 層と濃酸層とを効果的に分離させることが きる。

(第3の実施形態)
〔植物資源相分離系変換装置の概略の全体構 成〕
 図10に示すように、第3の実施形態に係る植 資源相分離系変換装置1Bは、原料前処理部2 、原料前処理部2から供給される前処理済の 原料を濃酸処理する濃酸処理部3Bと、この濃 処理部3Bで分離されたリグノフェノールを 収する回収部4と、から構成されている。

〔濃酸処理部3Bの構成〕
 図10に示すように、濃酸処理部3Bは、図8に す第2の実施形態の濃酸処理部3Aの構成に、 1~第3のバイパスライン51,52,53を付け加えた構 成である。

 すなわち、濃酸処理部3Bは、反応部20と濃 酸供給部21と第1の攪拌バッファ槽22と第1の攪 拌抽出部23と第2の攪拌バッファ槽24と第2の攪 拌抽出部25と振動反応器26と第3の攪拌バッフ 槽27とを含んで構成されている。濃酸処理 3Bは、さらに、抽出用フェノール類33を第2の 攪拌バッファ槽24を介さないで第2の攪拌抽出 部25の注入口25Hに導入するための開閉弁33Cを する第1のバイパスライン51と、第1の攪拌バ ッファ槽22から送出される被処理液を第1の攪 拌抽出部23を介さないで第2の攪拌抽出部25の 入口25Hに導入するための開閉弁54,55を有す 第2のバイパスライン52と、第2の攪拌抽出部2 5から送出される混合液を振動反応器26を介さ ないで液液分離抽出器40に導入するための開 弁56,57を有する第3のバイパスライン53とを えている。

 第1のバイパスライン50を使用する場合は 開閉弁33Bを閉弁し、開閉弁33Cを開弁するこ によって、抽出用フェノール類33が開閉弁33 Cを介して第2の攪拌抽出部25の注入口25Hに導 される。ここで、抽出用フェノール類33は、 第2の攪拌抽出部25の注入口25Hが複数ある場合 には、中部から上部の導入口から注入するよ うにしてもよい。

 第2のバイパスライン52を使用する場合は 開閉弁54を閉弁し、開閉弁55を開弁すること によって、第2の攪拌抽出部25に、反応部20か の処理液と共に抽出用フェノール類33を注 して、リグノフェノールの抽出を行うこと できる。このような構成によれば、植物資 が草本やパルプなどの原料の場合には、処 時間を短縮することができる。

 第3のバイパスライン53を使用する場合は 開閉弁57を閉弁し、開閉弁56を開弁すること によって、第2の攪拌抽出部25における処理液 を液液分離抽出器40に送出することができる このような構成によれば、植物資源が草本 パルプなどの原料の場合には、処理時間を らに短縮することができる。

 植物資源相分離系変換装置1Bにおいて、 2のバイパスライン52と第3のバイパスライン5 3の両方を用いた場合には、濃酸処理部3Bは、 反応部20と第1の攪拌バッファ槽22と第2の攪拌 抽出部25とから構成されており、植物資源相 離系変換装置1Bは、図1の植物資源相分離系 換装置1と同様の構成となる。

 植物資源相分離系変換装置1Bによれば、 物資源に応じて第2のバイパスライン52と第3 バイパスライン53を使用することによって 植物資源が木材、草木やパルプであるかを わず、単独の装置で処理することができる また、酸処理や抽出用フェノール類33による リグノフェノールの抽出における処理時間を 、植物資源に応じて変えることも可能である 。

(第4の実施形態)
 図11に示すように、第4の実施形態に係る植 資源相分離系変換装置1Cは、図1に示す第1の 実施形態に係る変換装置1に比べ、振動反応 26を付け加えた点のみが相違している。振動 反応器26を付け加えたのは、分離効率を向上 るためであり、振動反応器26は、第2の実施 態に係る植物資源相分離系変換装置1Aに示 振動反応器26と同一である。

(第5の実施形態)
 〔植物資源相分離系変換装置の概略の全体 成〕
 図12に示すように、第5の実施形態に係る植 資源相分離系変換装置1Dは、原料前処理部2A と、濃酸処理部3Cと回収部4とを有して構成さ れる。原料前処理部2Aは、攪拌乾燥釜10と原 供給フィーダ11とを備えてなる。濃酸処理部 3Cは、反応部20と攪拌抽出部28とを備えてなる 。回収部4は、液液分離抽出器41とフェノール 溶液回収タンク44と濃酸溶液回収タンク45と 含んで構成されている。

〔処理原理〕
 植物資源相分離系変換装置1Dは、以下の第1 程~第5工程で植物資源の相分離系変換処理 行う。
 第1工程(原料前処理工程):攪拌乾燥釜10で、 物資源由来の原料(粉体)に溶媒(例えばアセ ン)を加えて攪拌し脱脂して脱脂原料とし、 該脱脂原料にフェノール類(例えばクレゾー )13を加えて攪拌しフェノール収着原料16とす る。
 第2工程(濃酸処理工程):反応部20で、フェノ ル収着原料16に濃酸供給部21から供給される 濃酸(例えば濃硫酸)21Aを加えて攪拌混合しフ ノール収着原料16に含まれているセルロー を膨潤させてフェノール収着原料16に含まれ ているリグニンのリグノフェノールへの変換 を行わせ、さらに、セルロースの一部を加水 分解させる処理を行い、これを被処理液とし て送出する。この工程では、膨潤に伴いセル ロースが高い粘性を呈し混練機本体の内周面 へ付着して回転羽根の回転を妨げる状態にな るのを回避するために、羽根先端を混練機本 体の内周面に近接させてセルロースの混練機 本体の内周面への付着をそぎ落とすようにし て回転羽根を高速回転し短時間にセルロース を膨潤させる。
 第3工程(フェノール処理工程):攪拌抽出部28 、反応部20から送出された被処理液を導入 攪拌してセルロースの加水分解とリグニン リグノフェノールへの変換を進行させ、そ 後抽出用フェノール類(例えばクレゾール)33 加えて引き続き攪拌してリグノフェノール 上記抽出用フェノール類中に抽出させる処 を行い、これにより、セルロースの加水分 物を含む濃酸溶液とリグノフェノール誘導 を含むフェノール溶液との混合溶液として 出する。この工程では、攪拌抽出部28内に 板で構成されたダムを備えることにより、 拌抽出部内に抽出用フェノール類33を注入前 の滞留時間(セルロースを分解するための攪 時間)を確保すると共に、注入後の滞留時間( リグノフェノール誘導体を抽出する攪拌時間 )を確保しており、それによって、植物資源 種々相違してもそれに対応する適切な処理 間を確保することができて、リグノフェノ ル誘導体について分子機能を活かし工業的 用が可能な形態を維持して回収することが きる。
 第4工程(液液分離工程):液液分離抽出器40Aで 、攪拌抽出部28から送出された混合溶液を、 グノフェノール誘導体を含むフェノール溶 と、セルロースの加水分解物を含む濃酸溶 とに液液分離を行う。
 第5工程(溶液回収工程):液液分離抽出器40Aか ら、リグノフェノール誘導体を含むフェノー ル溶液を取り出しフェノール溶液回収タンク 44に回収すると共に、セルロースの加水分解 を含む濃酸溶液を取り出し濃酸溶液回収タ ク45に回収する。
 以下、詳述する。

〔攪拌乾燥釜10の構成〕
 図1に示すように、攪拌乾燥釜10は、原料に する攪拌乾燥を行う釜本体10aと、該釜本体1 0aの底部に送出管10Bで接続されたストック部1 0Cと、釜本体10a内に備えられた攪拌羽根(図示 せず)と、攪拌羽根を駆動する駆動源(図示せ )と、を備えて構成される。

 攪拌乾燥釜10は、釜本体10aの上部に原料 給口10D、溶剤供給口12A及びフェノール類供 口12Bを有し、釜本体10aの下部に薬液回収口17 を有し、さらに、ストック部10Cに送出通路19 有している。

 原料供給口10Dには原料供給フィーダ11が 続されている。原料供給フィーダ11は、原料 としてリグノセルロース系複合材料である木 、草花、藁、竹、あるいはこれらのパルプな どを予め乾燥して細粉処理してなる植物資源 由来の粉体Aを貯留していて、スクリュー回 方式の粉体供給フィーダが使用され、植物 源由来の粉体Aを一定の供給量となるように 給する。木粉の大きさは、反応効率を上げ ために20~60メッシュ以下であることが好ま い。

 溶剤供給口12Aには、図示しない溶剤供給 置が接続される。溶剤供給装置は、アセト あるいはアルコール等の溶媒を貯留してい 、原料供給フィーダ11からの原料の供給量 対し一定割合の供給量となるように溶媒を 給する。

 フェノール類供給口12Bには、例えばm-クレ ールあるいはp-クレゾールなどのフェノール 類を貯留するフェノール類供給装置6が接続 れている。フェノール類供給装置6は、フェ ール類を貯留していて、脱脂処理の終了後 、原料供給フィーダ11からの原料の供給量 対し一定割合の供給量となるようにフェノ ル類を供給する。
 なお、収着に使用するフェノール類と抽出 使用するフェノール類は別のものを使用し も良い。
 ここでのフェノール類の供給は、フェノー 収着のためである。フェノール収着は、リ ニンをフェノールで溶媒和することにより グニンと酸との接触頻度の抑制と、リグニ が酸と接触した場合、リグニンの最も反応 性なベンジル位へフェノールをグラフティ グさせ、安定化させると共にフェノール活 を上げるためである。
 ここでのフェノール類の供給量は、木材の 体中に含まれるリグニンを、リグノフェノ ル誘導体に合成するために必要な量とし、 媒と共に使用される。
 フェノール使用量をできるだけ少なくして 脂木粉に直接含浸させると、液量が少ない めにムラができてしまう。そこで、木粉が 分に漬かる量のアセトンにフェノールを溶 した後、脱脂木粉に加え、攪拌後、アセト を留去する。このようにすると、フェノー 使用量をできるだけ少なくしかつ均一に含 させることができる。
 リグノフェノール誘導体とは、フェニルプ パン骨格のC1(ベンジル位)にフェノール誘導 体が結合した1,1-ビス(アリール)プロパン-2-O- リールエーテル型構造を有する化合物であ 。
 フェノール類として、1価、2価及び3価のい れのフェノールを用いても良い。木粉に含 れるリグニンとフェノール誘導体とにより 成されるリグノフェノール誘導体の疎水性 、リグノモノフェノール誘導体(1価のフェ ール)の疎水性が最も高い。1価のフェノール としては、フェノール、クレゾールなどのア ルキルフェノール、メトキシフェノール、ナ フトールなどを挙げることができる。したが って、疎水性成形体の合成には1価のフェノ ルとしてクレゾールを用いるのが好ましい
 なお、溶剤供給口12Aとフェノール類供給口1 2Bのいずれかが設けられ、図示しない溶剤供 装置及び図示しないフェノール類供給装置 接続され、共通に使用される構成になって てもよい。

 薬液回収口17には、図示しない溶媒回収 ンクが接続されている。この溶媒回収タン は、原料の脱脂処理のために釜本体10aに供 された溶媒が、原料と攪拌されることで原 に含まれていた脂質分を取り込んだ状態に り、脂質分を取り込んだ溶媒を薬液回収口17 を通して回収する。回収した溶媒は、脂質分 等を分離し精製して再利用する。これにより 、溶媒の使用量を削減することができる。

 以上の構成により、攪拌乾燥釜10は、原料 処理工程として、釜本体10aにおいて、一定 合で連続供給される乾燥された植物資源由 の粉体原料と溶媒とを攪拌し粉体原料を脱 処理し脱脂原料を生成し、次いで、脱脂原 に一定割合で供給されるフェノール類を含 て攪拌し、フェノール収着原料として前処 し、フェノール収着原料をストック部10Cに 留する。
 ここで、フェノール収着原料とは、リグノ ルロース複合体にフェノール類を浸み込ま ることでリグニンがフェノールにより溶媒 された状態の原料を称し、フェノールがク ゾールの場合には、クレゾール収着木粉と する。

〔反応部20の構成〕
 図13に示すように、反応部20は、反応器本体 20Aと、モータ20Dと、回転軸20Bと、圧送用羽根 20Jと、攪拌羽根20Cと、フェノール収着原料の 入口20E及び被処理液の出口20Gと、濃酸の注入 口20Fと、を有してなる。

 反応器本体20Aは、円筒状に形成され、筒 が水平でありかつ筒心方向の一端にフェノ ル収着原料の入口20Eを有しかつ筒心方向の 端に被処理液の出口20Gを有する。回転軸20B 、反応器本体20Aの中心に通されていてモー 20Dにより回転される。

 圧送用羽根20Jは、攪拌羽根20Cよりも上流 に位置され、該回転軸20Bの、入口20Eと対応 る部分に固定されていてモータ20Dで回転さ ることによりフェノール収着原料16と濃酸21 Aとを軸方向へ圧送する役目を果たす。これ 対し、攪拌羽根20Cよりも下流側に位置して けられた金属製で円環状の堰板20Kが、被処 液の通路である攪拌羽根20Cの旋回空間を狭 ていて、被処理液に通流抵抗を与え、被処 液が攪拌羽根20Cの旋回空間に留まらせて、 ョートパス(すぐに通過してしまうこと)を少 し抑制する役目を果たす。

 図3に示すように、攪拌羽根20Cは、反応器 本体20Aの中心に通された回転軸20Bに、該回転 軸20Bの回りに例えば4等分配置(90度毎に異な 配置)となるように四つ有して溶接固定され いる。攪拌羽根20Cは、回転軸20Bより放射方 に延びていて、羽根先端20C’が櫛歯形状で かつ羽根先端20C’が反応器本体20Aの内周面 近接していると共に、一の攪拌羽根の羽根 端20C’と他の攪拌羽根の羽根先端20C’とが 鳥配列にずれていて、高速回転されてフェ ール収着原料と濃酸の攪拌を行う役目を果 す。濃酸21Aの注入口20Fは、圧送用羽根20Jに 接して反応器本体20Aに設けられている。

 攪拌羽根20Cの羽根先端20C’と反応器本体2 0Aの内周面とのクリアランスqを、例えば1mmと 小さく設定しているのは、攪拌初期に高粘性 の塊状となるフェノール収着原料を攪拌羽根 20Cの羽根先端と反応器本体20A内面とで圧延し 細分化するためである。詳述すると、フェノ ール収着原料に濃酸(具体的には硫酸を用い のが好ましい。)を加えて攪拌混合すると、 ルロースが膨潤し粘性を高くする。粘性の いセルロースが反応器本体20Aの内周面に付 して膜厚を大きく成長すると、攪拌羽根20C 回転を大きく阻害するので、クリアランスq を小さくすることで、反応器本体20Aの内周面 におけるセルロースの膜が厚くなるのを阻み 、攪拌羽根20Cの高速回転を確保し、高い攪拌 力と混練力とを有して短時間の攪拌でセルロ ースを効果的に膨潤できるようにすることに ある。

 反応部20は、フェノール収着原料16を導入 し、該フェノール収着原料16と濃酸21Aとを攪 混合してフェノール収着原料16に含まれて るセルロースを膨潤させてフェノール収着 料16に含まれているリグニンのリグノフェノ ールへの変換を行わせ、さらに、セルロース の一部を加水分解させる処理を行い、被処理 液として送出する。リグニンのリグノフェノ ールへの変換とは、フェノール類によりフェ ノール収着原料16に含まれるリグニンの側鎖 ンジル位がフェノール化してリグノフェノ ル誘導体とする反応である。

 反応部20は、圧送用羽根20Jがフェノール収 原料16の軸方向の送りを担持し、攪拌羽根20C がフェノール収着原料16と濃酸21Aの攪拌混合 担持する。この攪拌混合は、反応温度を20 ~40℃の範囲内となるように維持する必要が り、温度調節手段が付設されている。温度 節手段は、反応器本体20Aを取り巻いて設け れた水ジャケット20Lと、水ジャケット20Lに けられた冷却水入口20H及び冷却水出口20Iと 図1に示すチラーユニット36とからなり、チ ーユニット36から給送される冷却水が冷却水 入口20Hを通り、水ジャケット20Lを循環して冷 却水出口20Iを通り、チラーユニット36に戻る 環を行う(図12参照)。温度調節手段は、夏場 は反応熱で20℃~40℃よりも高くなるので冷却 行うが、寒冷期は20℃~40℃よりも低くなる で冷却水に代えて温水を流し反応温度が20℃ ~40℃の範囲内となるように加温する。
 反応温度を20℃~40℃の範囲内とする意義は 加水分解時の温度が40℃以上ではフェノール と濃酸の親和性が高くなり、反応が進みすぎ るので好ましくないこと及び加水分解時の温 度が20℃よりも低いと反応効率が低下すると にフェノール収着原料と濃硫酸との被処理 の粘度が増大し、あるいは固化して送液管 詰まるので好ましくないことに基づくもの ある。

〔攪拌抽出部28の構成〕
 図14に示すように、攪拌抽出部28は、抽出用 円筒状容器28aと、モータ28cと、回転軸28bと、 圧送用羽根28dと、複数の攪拌羽根28e 1 ~28e 5 と、被処理液の液入口28f及び複数の液出口28g 1 ~28g 4 と、複数の液回収口28k 1 ~28k 6 と、薬液注入口28hと、ダムを構成する複数の 堰板28j 1 ~28j 4 と、を備える。

 抽出用円筒状容器28aは円筒状で筒心が略水 である。回転軸28bは、抽出用円筒状容器28a 中心に通されていてモータ28cにより回転さ る。圧送用羽根28dは、回転軸28bの液入口側 端部に固定され回転されることにより反応 20で処理した被処理液を軸方向へ圧送する 目を果たす。複数の攪拌羽根28e 1 ~28e 5 は、回転軸28bより設けられ抽出用円筒状容器 28aの空間を複数に輪切りした各輪切空間に位 置され、放射方向に延びていて羽根面が軸線 に平行な面であり被処理液を抽出用円筒状容 器28aの周方向へ圧送して攪拌を行う役目を果 たす。セルロースは膨潤すると粘性を増すが 、加水分解され炭水化物になると粘性が低下 する。このため、攪拌羽根28eは、羽根先端と 円筒部内周面とのクリアランスを小さく設定 される必要はない。

 液入口28fは、反応部20で処理した被処理液 導入する通路である。液出口28g 1 ~28g 4 は、高さを相違して複数設けられている。液 出口28g 1 ~28g 4 には、仕切弁28s 1 ~28s 4 が設けられていて、いずれかの液出口が選択 され対応する仕切弁が開弁されることで、被 処理液を滞留させる液面レベルを設定するこ とができ、被処理液の通過時間を調整するこ とができる。
 攪拌抽出部28は、反応部20で処理した被処理 液を小流量の導入量で液入口28fより抽出用円 筒状容器28a内へ連続して導入し、該被処理液 に圧送用羽根28dで送りを与え、攪拌羽根28e 1 ~28e 5 で攪拌し、抽出用フェノール類を注入され攪 拌されて混合溶液となり液出口28g 1 ~28g 4 のいずれかより送出させる。

 液回収口28k 1 ~28k 6 には、仕切弁28m 1 ~28m 6 が設けられていて全部が処理終了時に開弁さ れることで、攪拌抽出部28での処理終了時に 出用円筒状容器28a内の堰板28j 1 ~28j 4 間に残る混合用液を流下させて回収すること ができる。液回収口28k 2 ~28k 6 は、草本など短時間処理で変換できる原料の ときは、仕切弁28m 2 ~28m 6 を開くことで混合用液の出口とすることがで きる。

 薬液注入口28hは、液入口28fから所要寸法離 た位置に設けられ、フェノール類供給装置6 から給送される抽出用フェノール類を注入す る。抽出用フェノール類を注入する目的は、 攪拌抽出部28内の上流側での滞留攪拌により セルロースの加水分解を進行させ、これに い、リグニンのフェノール化反応を進行さ リグノフェノール誘導体に変化させて、該 グノフェノール誘導体が濃酸溶液中に分散 ている状態において、抽出用フェノール類 注入することでリグノフェノール誘導体を 酸溶液中から抽出用フェノール類へ移行さ るためである。
 なお、抽出用フェノール類の注入時期を遅 せるために、液回収口28k 2 ~28k 5 に、フェノール類供給装置6から給送される 出用フェノール類を注入管を仕切弁を介し 並列接続して、液回収口28k 3 ~28k 5 のいずれかより抽出用フェノール類を注入し ても良い(図示せず)。

 攪拌抽出部28は、反応部20の場合と同様に 、抽出用円筒状容器28aを取り巻く水ジャケッ ト28pと、水ジャケット28pに設けられた温度調 節水入口28qと温度調節水出口28rと、図1に示 チラーユニット36(共用)とからなる温度調節 段が付設されており、抽出用円筒状容器28a の反応温度が20℃~40℃の範囲内となるよう 温度調節される。

 図15に示すように、堰板28j 1 ~28j 4 は、テフロン(登録商標)板よりなり、ドーナ 形状になっていて、抽出用円筒状容器28aの 周に設けられたフランジ28i 1 ~28i 4 に締結具(ボルト・ナット)で固定されている 堰板28j 1 ~28j 4 は、被処理液を貯留するダムを上記混練機本 体内に円筒方向の配列で複数画成する。堰板 28j 1 ~28j 4 は、ドーナツ形状であるので、中心孔を小さ くするとダム間に溜められる液量を多くする ことができ、中心孔を大きくするとダム間に 溜められる液量を少なくすることができ、滞 留時間を調整することができる。すなわち、 堰板28j 1 ~28j 4 は、抽出用円筒状容器28a内に被処理液を滞留 させる複数のダムの役目を果たしている。被 処理液は、圧送用羽根28dによる送り込みによ り、抽出用円筒状容器28a内を充満しないで、 堰板28j 1 ~28j 4 を順次に溢流して下流のダムに移る。

 攪拌羽根28e 1 ~28e 6 は、ドーナツ形状の各堰板28j 1 ~28j 4 で堰き止められた被処理液を攪拌する。攪拌 羽根28e 1 ~28e 6 は、攪拌機能を有し、下流のダムへの送り出 し機能は有しない。各ダムに貯留される被処 理液は、それぞれ対応する攪拌羽根で攪拌さ れつつ上流の堰板の中心孔を通り下流のダム に流入する。各ダムでの滞留時間を長くする にはドーナツ形状の堰板28j 1 ~28j 4 の中心孔の径を小さく設け、また滞留時間を 短くするには孔を大きく設けることで、滞留 時間を調整することができる。

 抽出用フェノール類の注入位置は、図14で 上側の薬液注入口28hとなっているが、抽出 円筒状容器28a下側の液回収口28k 1 ~28k 4 を使用できる。従って、堰板28j 1 ~28j 4 の存在によって、被処理液が注入された薬液 と混練される前の攪拌時間と、被処理液が注 入された薬液と混練され混合溶液になるまで の攪拌時間の両方を制御することができるか ら、抽出用フェノール類を加えないでセルロ ースの加水分解とリグニンのリグノフェノー ルへの変換を適度な時間を掛けて進行させる ことができ、そして、抽出用フェノール類を 加えてリグノフェノールを抽出用フェノール 類中に抽出させる処理を適度な時間を掛けて 進行させることができる。

 従って、攪拌抽出部28は、反応部20より送出 された被処理液を抽出用円筒状容器25Aの一端 側より導入し、かつ、複数の注入口(28h、28k 1 ~28k 4 )の適宜の一つを選択して抽出用フェノール を注入し、容器内の被処理液を複数段階に き止めてかつ各堰止位置で攪拌し、複数の 出口(28g 1 ~28g 4 )の適宜の一つを選択してリグノフェノール 導体を含むフェノール溶液とセルロースの 水分解物を含む濃酸溶液との混合溶液とし 送出するようになっている。

〔回収部の構成〕
 図12に示すように、回収部4Aは、液液分離抽 出器41と、濃酸溶液回収タンク45と、フェノ ル溶液回収タンク44と、を含んで構成されて いる。

 図16に示すように、液液分離抽出器41は、例 えばガラスや樹脂等からなる筒心方向をほぼ 垂直にかつ密閉円筒状に形成された密閉構造 の筒状容器41aと、筒状容器41aの最上部及び中 程に設けられた、攪拌抽出部28から送出され リグノフェノール誘導体とフェノールとセ ロースの加水分解物と濃酸とを含む混合溶 の供給口41b 1 ,41b 2 と、供給管に設けられた供給側切替弁41c 1 ,41c 2 と、筒状容器41aの中間部に設けられた複数の 軽液取出口41d 1 ~41d 4 と、筒状容器41aの下部に設けられた重液取出 口41eと、軽液取出口41d 1 ~41d 4 及び重液取出口41d 5 の取出管に設けられた取出側切替弁41f 1 ~41f 5 、とを有してなる。なお、筒状容器41aへの混 合溶液の供給を、筒状容器41aに対して横から 行う供給口41b 1 ,41b 2 に限定されるものでなく、筒状容器41aの真上 から液面へ直接入れても差し支えない。この 場合、混合溶液を筒状容器41aの内面を伝わら せて行うのが良い。

 液液分離抽出器41では、攪拌抽出部28から送 出されるリグノフェノール誘導体とフェノー ルとセルロースの加水分解物と濃酸とを含む 混合溶液が供給口41b 1 又は41b 2 から流入・貯留する。すると、セルロースの 加水分解物であるグルコース等の単糖、オリ ゴ糖、ポリマーなどを含む濃酸溶液は重液で あるため下方へ沈殿し、上側にはリグノフェ ノール誘導体を含む軽液のフェノール溶液が 残る状態に液液分離する。

 液液分離抽出器41内のフェノール溶液42は、 取出側切替弁41f 1 ~41f 4 のいずれかを開弁して軽液取出口41d 1 ~41d 4 のいずれかより速やかに抽出され、フェノー ル溶液回収タンク44に収容される。液液分離 出器40A内の下層に分離される濃酸溶液43は 取出側切替弁41f 5 を開弁して重液取出口41d 5 から濃酸溶液回収タンク45に回収される。濃 溶液回収タンク45に回収された濃酸溶液は 図示しないが、さらに希釈液処理を継続す ことにより、工業原料として有用な糖類に 換することができる。供給口41b 1 より混合溶液を供給するときは、液液分離抽 出器41の液液分離はバッチ処理になり軽液取 口41d 1 ~41d 4 から分子量を概略分けてフェノール溶液を抽 出でき、供給口41b 2 より混合溶液を供給するときは、軽液取出口 41d 1 からフェノール溶液を連続抽出できる。

 この実施形態によれば、反応部20におい 、反応器本体20Aの内周面に沿った環状空間 を高速回転する攪拌羽根20Cによって、フェ ール収着原料16と濃酸21Aとを攪拌混合する。 攪拌羽根20Cは、攪拌によりフェノール収着原 料に含まれているセルロースを濃酸と接触さ せる。セルロースの膨潤は、濃酸と接触する ことで生じる。攪拌羽根20Cは、反応器本体20A の内周面とのクリアランスqが小さいので、 潤し粘性を増したセルロースが混練機本体 内周面へ付着し厚膜に成長することを阻む とができ、高速回転を維持することができ 。このため、セルロースを短時間で膨潤さ ることができる。攪拌羽根20Cは、膨潤した ルロースを強力な攪拌・混練力で練り込み 膨潤したセルロースの部分加水分解を行い 粘性を低下させる。このとき、同時にリグ ンのリグノフェノールの変換を速やかに行 。

 そして、攪拌抽出部28では、反応部20で処 理した被処理液を抽出用円筒状容器28a内に導 入し、抽出用フェノール類を注入するまでの 間の攪拌時間と、注入後の攪拌時間を、装置 がコンパクトでありながら必要十分に確保し 得る。攪拌抽出部28では、上流側で反応部20 処理の延長の攪拌を行って、セルロースの 水分解とリグニンのリグノフェノールへの 換を必要な反応時間を掛けて進行させるこ ができ、下流側では抽出用フェノール類33を 加えて引き続き攪拌してリグノフェノールを 抽出用フェノール類中に抽出させる処理を行 うことができ、リグノフェノール誘導体とセ ルロースの加水分解物と濃酸とフェノール類 を含む混合溶液として送出することができる 。

 上記実施形態に係る植物資源相分離系変換 置1、1A~1Dによれば、リグノセルロース系複 材料である植物資源から、リグノフェノー 誘導体を含むフェノール溶液と、セルロー の加水分解物であるグルコース等の単糖、 リゴ糖、ポリマーなどを含む濃酸溶液とに 各構成成分について分子機能を活かした状 で効率良く分離回収することができ、特に 植物資源が種々相違してもリグノフェノー 誘導体について分子機能を活かし工業的利 が可能な形態を維持して回収することがで る。
 また上記実施形態に係る植物資源相分離系 換装置によれば、植物資源である木材、特 針葉樹等、草花、藁などの原料から再使用 可能なリグノフェノールなどのリグニン誘 体を、エネルギー消費の少ない常温で連続 に効率よく連続的に抽出し、糖類等を分離 ることができ、さらに炭水化物も回収する とができる。
 また上記実施形態に係る植物資源相分離系 換装置によれば、効率的な反応をさせるた の連続処理が可能であり、リグニン誘導体 糖質を工業的に得ることができる植物資源 分離系変換装置及び方法を提供することが きる。

(第6の実施形態)
〔回収部の構成〕
 次に、第6の実施形態に係る植物資源相分離 系変換装置の回収部について説明する。
 図17に示す回収部4Bは、図1に示した回収部4 、さらにリグニン層42をアルカリ処理する ルカリ処理部60と、アルカリ処理部60で回収 れた親和層からリグノフェノールを抽出す 貧溶媒タンク61とを設けた構成を有してい 。

 アルカリ処理部60では、液液分離抽出器40 から抽出されたリグニン層42をアルカリ金属 合物と接触させ、不溶区分60Aと親和層60Bと 分画する。不溶区分60Aはリグニン層に含ま る硫酸等の濃酸21Aとアルカリ金属化合物と 反応によって生じる。不溶区分60Aの一部に 、リグニン層42とアルカリ金属化合物との 応によるクレゾールのアルカリ塩も含まれ いる。親和層60Bはリグニン層である。アル リ金属化合物としては、弱塩基性が好まし 、例えば、ナトリウムの炭酸塩を用いるこ ができる。

 貧溶媒タンク61には、リグノフェノール 貧溶媒が収容されている。アルカリ処理部60 で分画された親和層60Bのリグノフェノールは 、貧溶媒によって沈殿物61Aとして回収される 。沈殿物61Aがリグノフェノールとなる。貧溶 媒としては、ジイソプロピルエーテル,ジエ ルエーテル,n-ヘキサン等を用いることがで る。

 上記回収部4Bによれば、リグニン層に含 される濃酸層をアルカリ処理部60でアルカリ 処理することによって、リグニン層42から濃 層43を効果的に削除することができ、リグ フェノールの回収効率を著しく高めること できる。これにより、ジイソプロピルエー ル等の貧溶媒の使用量を削減することがで る。

 植物資源相分離系変換装置1Aを用いて、ヒ キ木粉からリグノフェノールを抽出した具 例について説明する。
 攪拌乾燥釜10にヒノキ木粉5kgを入れ、溶媒14 としてアセトン50リットルを注入し、加温下1 時間攪拌した。アセトンを抜き、再びアセト ンを加え攪拌した。これを3回行ない脱脂木 を得た。脱脂木粉に収着用フェノール類13と してp-クレゾール2.5kgを溶かしたアセトンを え1時間攪拌した。加温、減圧によりアセト を留去し、フェノール収着原料16を得た。

 次に、反応部20に72%濃酸21Aを40cm 3 /分の流量で供給し、フェノール収着原料16を 12g/分で供給した。
 反応部20より溶出される処理液を第1の攪拌 ッファ槽22に導入し、攪拌しながら、第1の 拌抽出部23の下段へ送出した。処理液を第1 攪拌抽出部23の最上段より回収し、第2の攪 バッファ槽24へ送出した。この際、リグノ ェノール抽出用のm,p-抽出用フェノール類33 20cm 3 /分で供給した。
 次に、処理液を第2の攪拌バッファ槽24で攪 した後、処理液を第2の攪拌抽出部25の下段 注入し、最上段より回収して振動反応器26 送出した。振動反応器26で超音波処理された 処理液は第3の攪拌バッファ槽27を介して、液 液分離抽出器40へ送出した。
 最後に、液液分離抽出器40内で、リグノフ ノールを含むリグニン層42と炭水化物を含む 硫酸層43とを分離した。

 以上の工程によって、植物資源相分離系 換装置1Aを用いて、ヒノキ木粉16からリグノ フェノールを連続的に抽出することができた 。

 本発明は上記実施例に限定されることな 、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内 種々の変形が可能であり、それらも本発明 範囲内に含まれる。例えば、図10に示す装 構成における第1の攪拌抽出部23、第2の攪拌 出部25及び液液分離抽出器40をそれぞれ複数 段に設けることなども本発明の範囲内に含ま れる。

 1,1A,1B,1C,1D…植物資源相分離系変換装置
 2…原料前処理部
 3,3A,3B,3C…濃酸処理部
 4,4A,4B…回収部
 10…攪拌乾燥釜
 10A…釜本体
 10B…送出管
 10C…ストック部
 11…原料供給フィーダ
 12…薬剤供給部
 13…収着用フェノール類
 14…溶媒
 15…原料
 16…フェノール収着原料
 17…薬剤回収部
 18…回収薬剤(使用済の溶媒及び収着用フェ ール類)
 20…反応部
 20A…反応部本体
 20B…回転軸
 20C…攪拌羽根
 20D…モータ
 20E…入口
 20F…注入口
 20G…出口
 20H…冷却水入口
 20I…冷却水出口
 20J…圧送用羽根
 21…濃酸供給部
 21A…濃酸
 22…攪拌バッファ槽
 22A…入口
 22B…出口
 22C…液面センサ
 22D…温度調節器
 23…第1の攪拌抽出部
 24…第2の攪拌バッファ槽
 25…第2の攪拌抽出部
 25A…混合容器
 25B…攪拌機構
 25C…架台
 25D…モータ
 25E…回転軸
 25F…回転羽根
 25G…仕切り板
 25H…導入口
 25I…出口
 25J…開閉弁
 26…振動反応器
 26A…筒状部
 26B…超音波振動子
 26C…冷却用配管
 27…第3の攪拌バッファ槽
 28…攪拌抽出部
 28a…抽出用円筒状容器
 28b…回転軸
 28c…モータ
 28d…圧送用羽根
 28e1~28e5…攪拌羽根
 28f…被処理液の液入口
 28g1~28g4…被処理液の液出口
 28h…薬液注入口
 28j1~28j4…堰板
 28k1~28k6…液回収口
 30…送液ポンプ
 31…送液ポンプ
 32…送液ポンプ
 33…抽出用フェノール類
 33A…タンク
 33B…開閉弁
 33C…開閉弁
 34…送液ポンプ
 35…送液ポンプ
 36…チラーユニット
 40…液液分離抽出器
 42…リグニン層
 43…硫酸層
 50…第1のバイパスライン
 51…第2のバイパスライン
 52…第3のバイパスライン
 53…開閉弁
 54…開閉弁
 55…開閉弁
 56…開閉弁
 57…開閉弁
 60…アルカリ処理部
 60A…不溶区分
 60B…親和層
 61…貧溶媒タンク
 61A…沈殿物




 
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