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Title:
DYE-CONTAINING FOOD FOR USE IN THE TEST ON MASTICATORY FUNCTION, AND METHOD OF MASTICATORY FUNCTION TEST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111411
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a dye-containing food for use in the test on masticatory function. The dye-containing food comprises: a food material which can be divided into small pieces by multiple times of incision like a gummy jelly; and a dye such as carotene. In the test on masticatory function, an evaluation value about masticatory function can be obtained by measuring the concentration of the dye eluted from a piece of the masticated food.

Inventors:
NOKUBI TAKASHI (JP)
IKEBE KAZUNORI (JP)
KURAMOTO TAKAYUKI (JP)
YAMAMOTO TAKAO (JP)
YAMADA YASUMASA (JP)
YAMADA ICHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053630
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
February 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV OSAKA (JP)
UHA MIKAKUTO CO LTD (JP)
NOKUBI TAKASHI (JP)
IKEBE KAZUNORI (JP)
KURAMOTO TAKAYUKI (JP)
YAMAMOTO TAKAO (JP)
YAMADA YASUMASA (JP)
YAMADA ICHIRO (JP)
International Classes:
A61C19/04; A61C19/045
Domestic Patent References:
WO2002102902A12002-12-27
Foreign References:
JPH04182410A1992-06-30
JPH07135913A1995-05-30
JP2004321096A2004-11-18
Other References:
KITAOKA N. ET AL.: "Chakushoku Jelly ni yoru Kanben na Soshaku Noritsu Hyokaho no Kosatsu", THE JOURNAL OF THE JAPAN PROSTHODONTIC SOCIETY, vol. 48, no. 4, 10 August 2004 (2004-08-10), pages 555 - 562
Attorney, Agent or Firm:
NISHIOKA, Nobuyasu (1-13 Uchihonmachi, 2-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 26, JP)
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Claims:
 咀嚼によって複数の咬断片に細分化することが可能であり或いは粘弾性を有する食材中に色素が含有されていることを特徴とする咀嚼機能検査用色素含有食品。
 前記食材はゼラチンを含んでいる請求項1に記載の咀嚼機能検査用色素含有食品。
 前記食材はグミゼリーである請求項2に記載の咀嚼機能検査用色素含有食品。
 前記色素は、カロチン色素である請求項1乃至請求項3の何れかに記載の咀嚼機能検査用色素含有食品。
 前記カロチン色素の含有濃度は0.2%~0.8%である請求項4に記載の咀嚼機能検査用色素含有食品。
 前記カロチン色素の含有濃度は0.3%~0.7%である請求項5に記載の咀嚼機能検査用色素含有食品。
 前記カロチン色素中のβカロチンの含有濃度は、0.0075%~0.0175%である請求項4に記載の咀嚼機能検査用色素含有食品。
 前記色素は、マリーゴールド色素である請求項1乃至請求項3の何れかに記載の咀嚼機能検査用色素含有食品。
 前記色素は、パプリカ色素である請求項1乃至請求項3の何れかに記載の咀嚼機能検査用色素含有食品。
 咀嚼によって複数の咬断片に細分化することが可能な食材に色素が含有されている食品を用いて咀嚼機能を検査する方法であって、咀嚼後の咀嚼機能検査用食品の咬断片から溶出する色素の濃度を測定することにより咀嚼機能評価値を得ることを特徴とする咀嚼機能検査方法。
 咀嚼後の咀嚼機能検査用食品の咬断片を一定時間だけ水洗する水洗工程と、
 水洗後の咬断片を水中で一定時間だけ攪拌する攪拌工程と、
 攪拌後の咬断片の表面から水中へ溶出した色素の濃度を測定する濃度測定工程と、
 予め用意された色素濃度と咀嚼機能評価値との関係に従って、前記測定された色素濃度から咀嚼機能評価値を導出する評価値導出工程
とを有している請求項10に記載の咀嚼機能検査方法。
 前記濃度測定工程では、攪拌後の咬断片を一定時間だけ静置した後、発光素子と受光素子を用いて色素濃度に応じた電圧を検知し、前記評価値導出工程では、予め用意された電圧と咬断片の表面積との関係に従って、前記検知された電圧から咬断片の表面積を導出し、導出された表面積を咀嚼機能評価値とする請求項11に記載の咀嚼機能検査方法。
 前記食材はゼラチンを含んでいる請求項10乃至請求項12の何れかに記載の咀嚼機能検査方法。
 前記色素は、カロチン色素である請求項10乃至請求項13の何れかに記載の咀嚼機能検査方法。
 前記濃度測定工程にて発光素子と受光素子を用いて色素濃度に応じた電圧を検知する際、緑色についての受光部電圧を検知する請求項14に記載の咀嚼機能検査方法。
 前記色素は、マリーゴールド色素である請求項10乃至請求項13の何れかに記載の咀嚼機能検査方法。
 前記色素は、パプリカ色素である請求項10乃至請求項13の何れかに記載の咀嚼機能検査方法。
Description:
咀嚼機能検査用色素含有食品及 咀嚼機能検査方法

 本発明は、咀嚼機能を検査するための食 及びこれを用いた咀嚼機能検査方法に関す ものである。

 従来、咀嚼能率の測定方法として、ピー ッツを用いた篩分法が世界的に用いられて た。ピーナッツを用いた篩分法においては 測定対象者に約3gのピーナッツを規定回数 け咀嚼させた後、ピーナッツの全粉砕片を 収して10メッシュの粗さを有する篩で篩分け する。続いて、篩上に残留したピーナッツ粉 砕片を80℃で1時間乾燥させた後、該ピーナッ ツ粉砕片の重量を測定し、該測定結果から篩 を通過したピーナッツ粉砕片の重量を算出す る。そして、その算出結果から咀嚼前のピー ナッツに対する該ピーナッツ粉砕片の重量% 咀嚼能率評価値として算出する。

 しかし、ピーナッツを用いた咀嚼機能検 方法においては、天然食品であるピーナッ は大きさや硬さが区々であるため、咀嚼能 の測定精度が低い問題があった。又、咀嚼 のピーナッツ粉砕片を乾燥させねばならな ため、咀嚼能率の測定に長い時間がかかる 題があった。

 そこで、発明者らは、グミゼリーを用いた 嚼機能検査方法を開発した。以下、「グミ リー」とは、ゼラチンを含む食品であって 咀嚼により複数の咬断片に細分化すること 可能なものをいう。
 グミゼリーを用いた咀嚼機能検査方法にお ては、検査対象者に検査用グミゼリーを規 回数だけ咀嚼させた後、グミゼリーの全咬 片を回収して水道水により洗浄する。その 、洗浄後のグミゼリー咬断片を蒸留水中で 拌して、咬断片表面から水中に溶出するグ コース濃度を、簡易型血糖値測定器を用い 測定する。

 グミゼリーを用いた咀嚼機能検査方法に れば、グミゼリーは形状や寸法を均一化し 製造することが出来るため、従来のピーナ ツを用いた測定方法に比べて高い測定精度 得ることが出来る。又、咀嚼後のグミゼリ 咬断片を乾燥させる必要がないため、従来 ピーナッツを用いた測定方法に比べて短い 間で測定結果を得ることが出来る。

 しかしながら、発明者らの研究によれば、 ミゼリーを用いた従来の咀嚼機能検査方法 おいても、ピーナッツを用いた咀嚼機能検 方法に比べて測定精度は向上するものの、 然として十分に高い測定精度が得られない とが判明した。
 又、近年検査対象者が健常者、有病者、要 護者、リハビリテーションを行っている者 どと多様化してきていることを背景として 今後の咀嚼機能検査においては、咀嚼の生 的意義に忠実な検査であること、短時間で 嚼能力を検査出来ること、児童から要介護 齢者までを対象とした汎用性の高い検査で ること等が要求される。

 そこで本発明の目的は、十分に高い精度 且つ簡便に咀嚼機能を検査することが出来 食品及び咀嚼機能検査方法を提供すること ある。

 本発明に係る咀嚼機能検査用色素含有食品 、咀嚼によって複数の咬断片に細分化する とが可能であり或いは粘弾性を有する食材 に色素を含有していることを特徴とする。
 具体的には、前記食材として、ゼラチンを むグミゼリーを採用することが出来る。又 前記色素としては、カロチン色素、マリー ールド色素、或いはパプリカ色素を用いる とが可能であり、この中でもカロチン色素 最適であり、これに次いでパプリカ色素が 適である。

 そして、本発明に係る咀嚼機能検査方法 、上述の如き咀嚼機能検査用食品を用いて 咀嚼後の咀嚼機能検査用食品の咬断片から 出する色素の濃度を測定することにより咀 機能評価値を得るものである。

 本発明に係る咀嚼機能検査方法は、より具 的には、
 咀嚼後の咀嚼機能検査用食品の咬断片を一 時間だけ水洗する水洗工程と、
 水洗後の咬断片を水中で一定時間だけ攪拌 る攪拌工程と、
 攪拌後の咬断片の表面から水中へ溶出した 素の濃度を測定する濃度測定工程と、
 予め用意された色素濃度と咀嚼機能評価値 の関係に従って、前記測定された色素濃度 ら咀嚼機能評価値を導出する評価値導出工
とを有している。

 前記濃度測定工程では、攪拌後の咬断片を 定時間だけ静置した後、発光素子と受光素 を用いて色素濃度に応じた電圧を検知する
 又、前記評価値導出工程では、予め用意さ た電圧と咬断片の表面積との関係に従って 前記検知された電圧から咬断片の表面積を 出し、導出された表面積を咀嚼機能評価値 する。
 ここで、攪拌後の咬断片の表面から水中へ 出する色素の量(濃度)と咬断片表面積との には高い相関性があるため、色素濃度を電 値として検出すれば、予め用意された電圧 咬断片表面積との関係(回帰式)に従って、前 記検知された電圧から咬断片の表面積を正確 に算出することが出来、精度の高い咀嚼機能 評価値を得ることが出来る。

 本発明に係る咀嚼機能検査用色素含有食 及び咀嚼機能検査方法によれば、従来より 十分に高い精度で且つ簡便に咀嚼機能を検 することが出来る。

カロチン色素入りグミゼリーの成分の 例を示す図表である。 マリーゴールド色素入りグミゼリーの 分の一例を示す図表である。 パプリカ色素入りグミゼリーの成分の 例を示す図表である。 コチニール色素入りグミゼリーの成分 一例を示す図表である。 赤キャベツ色素入りグミゼリーの成分 一例を示す図表である。 一般的なグミゼリーの成分を示す図表 ある。 本発明の基本となる色素入りグミゼリ の成分を示す図表である。 本発明に係る咀嚼機能検査方法を示す 程図である。 複数の色素における波長と吸光度の関 を示すグラフである。 カロチン色素についての波長と吸光度 の関係を希釈度をパラメータとして示すグラ フである。 マリーゴールド色素についての同上の グラフである。 パプリカ色素についての同上のグラフ である。 コチニール色素についての同上のグラ フである。 赤キャベツ色素についての同上のグラ フである。 カロチン色素入りグミゼリーについて の波長と吸光度の関係を表面積をパラメータ として示すグラフである。 マリーゴールド色素入りグミゼリーに ついての同上のグラフである。 パプリカ色素入りグミゼリーについて の同上のグラフである。 カロチン色素入りグミゼリーについて のグルコース濃度と吸光度の相関を示すグラ フである。 マリーゴールド色素入りグミゼリーに ついての同上のグラフである。 パプリカ色素入りグミゼリーについて の同上のグラフである。 カロチン色素入りグミゼリーについて の表面積と受光部電圧の相関を示すグラフで ある。 マリーゴールド色素入りグミゼリーに ついての同上のグラフである。 パプリカ色素入りグミゼリーについて の同上のグラフである。 所定の色素濃度を有するカロチン色素 入りグミゼリーについての3原色毎の表面積 受光部電圧の関係、並びに波長と吸光度の 係を示すグラフである。 他の色素濃度における同上のグラフで ある。 他の色素濃度における同上のグラフで ある。 更に他の色素濃度における同上のグラ フである。 所定の色素濃度を有するパプリカ色素 入りグミゼリーについての3原色毎の表面積 受光部電圧の関係、並びに波長と吸光度の 係を示すグラフである。 他の色素濃度における同上のグラフで ある。 他の色素濃度における同上のグラフで ある。 他の色素濃度における同上のグラフで ある。 更に他の色素濃度における同上のグラ フである。 カロチン色素入りグミゼリーについて の3原色毎の吸光度と電圧値の相関を示すグ フである。 カロチン色素入りグミゼリーについて の緑色の吸光度と対数電圧値の相関を示すグ ラフである。

 以下、本発明の実施の形態につき、図面に って具体的に説明する。
 本発明に係る咀嚼機能検査用色素含有食品 、咀嚼によって複数の咬断片に細分化する とが可能な食材中に色素を含有するもので って、前記食材としてはゼラチンを含むグ ゼリーを採用している。又、前記色素とし は、市場に流通している多数の食品用天然 来色素の中から、咀嚼機能検査に好適な色 として、カロチン色素、マリーゴールド色 、或いはパプリカ色素を採用している。

 図1~図5はそれぞれ、カロチン色素入りグミ リー、マリーゴールド色素入りグミゼリー パプリカ色素入りグミゼリー、コチニール 素入りグミゼリー、及び赤キャベツ色素入 グミゼリーの成分の一例を示している。
 これに対し、図6は、従来の一般的なグミゼ リーの成分を示し、この様な一般的なグミゼ リーに対して、図7に示す如く色素を含むそ 他の成分を加えたものを、本発明に係る咀 機能検査用色素含有グミゼリーの基本とし いる。

 本発明に係る咀嚼機能検査方法は、上述 如き咀嚼機能検査用食品を用いて、咀嚼後 咀嚼機能検査用食品の咬断片から溶出する 素の濃度を測定することにより咀嚼機能評 値を得るものである。

 具体的には、本発明の色素含有グミゼリー( 20×20×10mm、約5.5g)を被験者に30回自由咀嚼さ た後、図8に示す如く第1工程S1では、咀嚼後 色素含有グミゼリーの咬断片を30秒間だけ 洗し、咬断片表面に付着した唾液や血液な を除去する。
 第2工程S2では、水洗後の咬断片を水中(35℃ 25ml)に投入し、スターラーを用いて20秒間だ け攪拌し、測定対象である色素を水中に溶出 させると共に、溶出した色素の濃度を均一化 する。

 続いて第3工程S3では、攪拌後の咬断片を1秒 間だけ水中に静置し、その上層部の色素濃度 を発光素子と受光素子を利用して電圧に変換 する。
 その後、第4工程S4では、予め用意された回 式(電圧と表面積の関係)より、変換された 圧から咬断片の表面積を算出し、その結果 咀嚼機能評価値とする。

 以下、咀嚼機能検査に好適な色素の選定実 について説明する。
(1) 通常流通している食品用天然由来色素か の選定(第1次選定)
 実験の対象とした色素は、現在市場に流通 ている食品用天然由来色素の中から食品安 性を配慮して第1次選定を行なった。
 その結果、紅麹、マリーゴールド、カロチ 、リコピン、スピルリナ、クチナシ青、赤 根、ウコン、パプリカ、クチナシ黄、たま ぎ、紫コーン、ブドウ果皮、赤キャベツ、 チニール、エルダーベリー、コウリャン、 ナトー、ベニバナ、及び紅芋の20種類を選 した。

(2) グミゼリーとのなじみによる選定(第2次 定)
 先ず、グミゼリーに含有させる必要性から 前記20種類の色素の中でグミゼリーと混合 せたときの状況を判断基準として、第2次選 を行なった。
 その結果、ブドウ果皮及びコウリャンは、 入時に色素の塊が生じ、均一に混入させる とが困難であったため、本発明に使用する 素の対象から除外した。

(3) 各色素の吸光度曲線による分析実験(第3 選定)
 本発明に係る咀嚼機能検査方法は、水に溶 する色素の濃度を発光ダイオードを用いて 学的に検出することから、その検出方法に する吸光度特性を有するかどうかを知るこ を目的として、濃度を全て0.5%に統一した18 類の色素含有グミゼリーを4分割して、表面 積を2400mm 2 に設定し、分光光度計を用いて、各色素特有 の吸光度曲線について分析を行なった。
 尚、吸光度とは、特定の波長の光に対する 質の吸収強度を示す尺度のことであり、色 濃度が高いほど大きな値となる。

 本発明に係る検査方法は、水に溶出した 素の濃度による吸光度の変化を読み取るた 、吸光度の低い色素では、水中に溶出した 素濃度の微細な変化を測定することが困難 ことから、本検査法には適していないと判 した。

 吸光度は300~900nmの全波長について測定し が、この根拠としては、使用した分光光度 において、単一光源で使用できる範囲であ 、且つ後に使用する発光ダイオードの3原色 RGBの波長(R:625nm、G:565nm、B:430nm)をこの範囲に むという点が挙げられる。

 この測定より、図9の如く18種類の吸光度曲 が得られたが、色素を含有させたことによ 影響(ピークの高さや波長)を考慮した場合 ピークの吸光度が低いという理由から、赤 イコン、紅芋、エルダーベリー、リコピン 紅コウジ、紫コーン、クチナシ黄、タマネ を除き、使用した発光ダイオードの青色の 出範囲の波長幅が広く、測定に使用する優 順位の低いことから、400nm付近にピークを有 する、ベニバナ、ウコン、クチナシ黄を除き 、検査用食品として視覚的に受け入れられ難 い、青色系統のクチナシ青及びスピルリナを 除いた。
 その結果、カロチン、マリーゴールド、パ リカ、コチニール、赤キャベツの5種類を選 定した。

 尚、上記5種類以外の色素でも、スピルリ ナ、クチナシ青などのように、ある程度の高 さの吸光度を有するものがみられたが、透明 度が低いことや、青色系統であるなど、検査 用食品として視覚的に受け入れ難いことなど の理由により、対象から除外することとした 。

(5) 5種類の色素の各濃度に対する吸光度検査 (第4次選定)
 グミゼリーに色素を含有させるにあたって 前段階として、色素そのものの吸光度曲線 調べるために、5種類の色素の希釈溶液につ いて、分光光度計を用いて測定を行なった。 本実験では、5種類の色素を様々な濃度に希 し、その希釈度と吸光度との関係を調べた その結果を図10~図14に示す。

 この測定より、カロチンを除く4種類(マ ーゴールド、パプリカ、コチニール、赤キ ベツ)に関しては、高波長領域において、吸 度が略零となり、溶液には懸濁がないこと 分かった。従って、これら4種類の色素は、 測定対象としての基本的な条件には適応して いるものと判断することが出来る。

 但し、カロチンにおいても、色素希釈溶 を更に希釈することにより、懸濁傾向がな なったため、測定対象として使用すること 可能と考えられる。又、カロチン色素にお ては、他の色素より低濃度に希釈した場合 吸光度がより精度の高い測定を行なうこと 出来るというメリットがあるので、他の色 より優先度が高いものと考えられる。この とから、本発明の検査方法における色素濃 の感度、即ち測定精度を高めるという観点 らも、カロチンが他の色素よりも有利な色 であるということが出来る。

 一方、赤キャベツ、コチニールの希釈溶 を作成する際に水道水を加えたところ、溶 が変色した。これは、本検査法で採用して る重要な作業の一つである、咀嚼して咬断 たグミゼリーを水道水で洗浄する工程があ ことから、変色は、本発明の検査方法では 確な測定値が得られない致命的な現象とい る。従って、この2種類の色素は対象から除 外した。

(6) 各色素を含有したグミゼリー表面からの 素の溶出濃度の測定実験(第5次選定)
 以上の選定によって絞られてきた3種類(カ チン、マリーゴールド、パプリカ)の各色素 それぞれ0.5%含有したグミゼリー(2×2×1cm、 5.5g)を製作し、原型、2分割、4分割、8分割、 16分割の試料に関して、本発明の検査方法の 順に従って、水中に溶出した各色素の濃度 測定し、次に示す事項について検討を行な た。

(6-1) 吸光度曲線における検討
 図15~図17に示す如く、上記3種類の何れの色 においても、分割数(表面積の増加)に応じ 、吸光度曲線も明らかに上昇している。
 又、上記3種類の色素に関して、溶出したグ ルコース濃度と吸光度との関係を調べた。吸 光度は、R:625nm、G:565nm、B:430nmにおける数値を 用いた。その結果を図18~図20に示す。図中に 、直線回帰の式を示しているが、何れの色 においても、グルコース濃度と吸光度との には高い決定係数が認められ、新しい検査 法としてこのような色素を用いることの有 性が示された。

(6-2) グミゼリーの表面積と受光部電圧との 係
 グミゼリー咬断片の表面積と受光部電圧と 関係を調べるために、3種類の色素(カロチ 、マリーゴールド、パプリカ)含有グミゼリ について、発光ダイオードの特性としてのR GBについての受光部電圧、各色素の溶出濃度 グミゼリーの表面積などの相互の関連性を べる実験を行なった。その結果を図21~図23 示す。尚、蒸留水におけるRGBの3点の電圧は 2.00Vに調整した。

 何れの色素においても、2波長(GとB)におけ 、吸光度と受光部電圧との間に高い相関が られる。図21~図23中には近似式と決定係数(R 2 )を示している。3種類の色素の中でカロチン 決定係数が最も大きく、次にパプリカの決 係数が大きくなっていることから、これら2 つの色素がより好適であると考えられる。

(7) カロチンとパプリカの適応濃度に関する 験
 水溶性が高くなることにより、色素溶出時 おける溶液の懸濁が抑えられることから、 溶性の高い、カロチン及びパプリカに関し 、様々な色素含有濃度(0.1%、0.3%、0.5%、0.7% 0.9%)のグミゼリーを製作し、RGBによる受光部 電圧等を測定した。その結果を図24~図32に示 。

 カロチンに関して、濃度0.1%では、色素の溶 出が少なく、測定が困難である。一方、濃度 0.9%では、色素濃度が高いことから、測定値 上限(電圧値)圧)が低くなり、0~2Vという測定 能範囲を有効に使うことが出来ない。
 これに対し、濃度0.3%、0.5%、0.7%では、濃度 高くなるにつれて吸光度も大きくなってお 、電圧の幅も大きくなっており、この範囲 おける測定が有効である。
 尚、好適なカロチン濃度の範囲0.3~0.7%は、 ロチン色素に含まれるβカロチンの濃度に換 算すると、0.0075~0.0175%となる。

 図33に示す如く、カロチンにおいて、RGBに いての受光部電圧と吸光度との関係を見る 、RGBともに測定電圧のばらつきが少なく、 ずかな表面積の違いに対しても十分対応し 電圧値が得られることが示された。
 特に緑(G)について吸光度と受光部電圧との 係を検証したところ、図34に示す様に、吸 度と対数変換した電圧との関係では直線性 得られ、然も高い決定係数が得られた。従 て、カロチンにおけるGについての受光部電 と吸光度との関係に基づく検査方法が、臨 的にも十分活用できることが判明した。

 又、カロチンを、蒸留水と水道水の両方 希釈し、データに違いが出るかを検討した 、両者において吸光度と受光部電圧の測定 果は略一致した。従って、検査時に水道水 使用しても支障がないものと言える。

 一方、パプリカに関しては、異なる濃度 においては、測定値に差はみられるものの 同一濃度においては、グミゼリーの表面積 増加に対する電圧の変化が小さく、測定精 の点ではカロチンよりもやや劣ると言える

 上述の如く、グミゼリーに含有すべき色 の選定に関して、全ての色素についてグミ リー咬断片の表面積に対する電圧変化が見 れるが、その中でも変化率の大きい色素及 測定対象となる波長が検査に適している。 、測定電圧値のばらつきが少ないものが、 り適している。又、グミゼリー咬断片の表 積の違いによる電圧値の幅が広く、僅かな 面積の違いに対しても、電圧が十分対応し 値が得られる必要がある。

 この様な観点において、カロチンは、吸光 に対する電圧変化において吸光度の幅が広 ことから、他の色素よりも有利であると言 る。
 又、3原色RGBについての各波長における受光 部電圧の値から咬断片の表面積を回帰する際 の決定係数は、3原色の中では緑色について が最も大きいことから、緑色を用いて受光 電圧を検知し、その値から咬断片表面積を 出する方法が最適である。

 上述の如く本発明に係る咀嚼機能検査用色 含有食品を用いた咀嚼機能検査方法は、咀 後の咬断片から溶出する色素の濃度を光学 に測定することにより、咬断片表面積等の 嚼機能評価値を得るものであり、咀嚼の生 的意義に忠実な検査であるため、高精度の 査結果が得られる。
 又、色素含有食品の咀嚼後、約90秒後には 断片表面積が数値として得られるので、短 間で咀嚼能力を検査することが出来、児童 ら要介護高齢者までを対象とした汎用性の い咀嚼機能検査が実現される。

 従って、本発明に係る咀嚼機能検査用色素 有食品及び咀嚼機能検査方法は、治療前の 嚼能力検査や歯科治療効果の評価として利 することが出来、情報の共有化により歯科 療への理解度が高まることが期待される。
 又、児童、学童の集団口腔検診にも活用出 、年齢に応じた個々の咀嚼能力の発達状態 正確に評価することが出来る。更に、成人 高齢者、或いは介護施設等における外来者 入居者に対する咀嚼能力を評価することが 来、個々の咀嚼能力に応じた食事の提供、 食・咀嚼・嚥下指導等を有効に行なうこと 可能となる。

 尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲 で種々の変形が可能である。例えば、測定 象となる色素を添加すべき食材としては、 ミゼリーに限らず、マシュマロ、チューイ ガム、ソフトキャンディー、キャラメルの 、種々のゲル化剤を用いて製造される食材( 菓子)を採用することが出来る。ここでゲル 剤としては、ペクチン、ジェランガム、カ ギーナン、寒天、ファーセレラン、アルギ 酸等の海藻抽出物、ローカストビーンガム タラガム、グアガム、タマリンド種子多糖 、アラビアガム、トラガントガム、カラヤ ム、澱粉、大豆蛋白、小麦蛋白等の植物系 然高分子物質、キサンタンガム、プルラン デキストラン、カードランの微生物産生天 高分子物質、カゼイン、アルブミン等の動 系天然高分子物質、及び加工澱粉の何れか1 、或いは複数種の混合物をゲル化したもの 採用することが出来る。
 又、色素としては、上述の天然着色料に限 ず、合成着色料を採用することも可能であ 。