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Title:
FLUORESCENT MATERIAL, PROCESS FOR PRODUCING THE SAME, AND LUMINESCENT DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084848
Kind Code:
A1
Abstract:
A blue fluorescent material having excellent durability and a high luminance, especially one emitting a high-luminance light by the action of electron rays. The fluorescent material comprises inorganic crystals having a crystal structure which is an AlN crystalline, AlN polycrystalline, or AlN solid-solution crystalline structure. It is characterized in that the inorganic crystals contain at least europium in solution and have an oxygen content of 0.4 mass% or lower and that the fluorescent material emits fluorescence derived from divalent europium ions upon irradiation with an excitation source. More preferably, the fluorescent material contains a given metallic element and silicon. Also provided are a process for producing the fluorescent material and an illuminator including the blue fluorescent material.

Inventors:
HIROSAKI NAOTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050258
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
January 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST FOR MATERIALS SCIENCE (JP)
HIROSAKI NAOTO (JP)
International Classes:
C09K11/64; C09K11/08; H01J29/20; H01J31/12; H01J31/15; H01L33/50
Domestic Patent References:
WO2005019376A12005-03-03
WO2005052087A12005-06-09
Foreign References:
JP2006335832A2006-12-14
JP2005255895A2005-09-22
JP2006351357A2006-12-28
JP2006307081A2006-11-09
JP2006070239A2006-03-16
JP3668770B22005-07-06
JPS60206889A1985-10-18
JP2005255895A2005-09-22
JP2005112922A2005-04-28
JP2003055657A2003-02-26
JP2004285363A2004-10-14
JP2004234690A2004-08-19
JP2006291035A2006-10-26
JPH05152609A1993-06-18
JPH0799345A1995-04-11
JP2927279B21999-07-28
JP2002363554A2002-12-18
JPH09218149A1997-08-19
Other References:
MEGHAN L. CALDWELL ET AL.: "Visible Luminescent Activation of Amorphous AIN: Eu Thin-Film Phosphors with Oxygen", MRS INTERNET JOURNAL NITRIDE SEMICONDUCTOR RESEARCH, vol. 6, no. 13, 2001, pages PL-8
H. H. RICHARDSON ET AL.: "Thin-film electroluminescent devices grown on plastic substrates using an amorphous AIN: Tb3+ phosphor", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 80, no. 12, 2002, pages 2207 - 2209
U. VETTER ET AL.: "Intense ultraviolet cathodoluminescence at 318 nm from Gd3+-doped A1N", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 83, no. 11, 2003, pages 2145 - 2147, XP012035083, DOI: doi:10.1063/1.1605237
See also references of EP 2135919A4
Attorney, Agent or Firm:
AIKAWA, Toshihiko (12-5 Minami Ikebukuro 2-chom, Toshima-ku Tokyo 22, JP)
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Claims:
 AlN結晶、AlNポリタイプ結晶、または、AlN固溶体結晶の結晶構造を持つ無機結晶を含む蛍光体であって、前記無機結晶には少なくとも2価のユーロピウムが固溶しており、前記無機結晶中の酸素量が0.4質量%以下であることを特徴とする蛍光体。
 前記無機結晶が、ウルツ型AlN結晶構造、2H δ 、27R、21R、12H、15Rおよび8Hからなる群から選ばれる結晶構造、あるいは、前記無機結晶中にAl(O、N) 4 四面体骨格を有する結晶構造のいずれかの結晶構造を持つことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
 前記AlNポリタイプ結晶は、Al(O、N) 4 四面体骨格からなる層とEuを含む骨格からなる層とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
 前記無機結晶にケイ素が固溶してなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
 前記無機結晶に炭素が固溶してなることを特徴とする請求項4に記載の蛍光体。
 前記無機結晶が、AlN結晶またはAlNポリタイプ結晶と、SiC結晶との固溶体結晶であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
 前記無機結晶に金属元素A(ただし、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素)が固溶してなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
 前記無機結晶は、組成式Eu a A b Al c Si d O e N f C g (ただし、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素。式中、a+b+c+d+e+f+g=1とする)で示され、
0.00001≦ a ≦0.1・・・・・・・・・(i)
0≦ b ≦0.2・・・・・・・・・・・・・・・・・(ii)
0.4≦ c ≦0.55・・・・・・・・・・・・・(iii)
0.005≦ d ≦0.2・・・・・・・・・・・・(iv)
0.001≦ e ≦0.05・・・・・・・・・・・(v)
0.3≦ f ≦0.55・・・・・・・・・・・・・(vi)
0≦ g ≦0.02・・・・・・・・・・・・・(vii)
以上の条件を満たす組成で表されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
 励起源が100nm以上420nm以下の波長を持つ紫外線または可視光、電子線のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
 請求項1から9のいずれかに記載する蛍光体の製造方法であって、ユーロピウムと、アルミニウムと、必要に応じてケイ素と、必要に応じてA(ただし、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素)とを含有する原料混合物を、窒素雰囲気中において、15×10 2 ℃以上25×10 2 ℃以下の温度範囲で、酸素含有量が0.4質量%以下となるまで焼成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
 ユーロピウムの金属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物またはそれらの組合せと、窒化アルミニウムと、必要に応じて窒化ケイ素と、必要に応じてAの金属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物またはそれらの組合せ(ただし、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素)とを含有する原料混合物を、相対嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で容器に充填した後に、0.1MPa以上100MPa以下の窒素雰囲気中において、15×10 2 ℃以上25×10 2 ℃以下の温度範囲で焼成することを特徴とする請求項10に記載の蛍光体の製造方法。
 前記原料混合物にさらに炭化ケイ素または炭素を含有する化合物を添加することを特徴とする請求項10に記載の蛍光体の製造方法。
 請求項1から9のいずれかに記載する蛍光体を用いた照明器具であって、前記蛍光体の励起源として、330~420nmの波長の光を発する発光光源を有することを特徴とする照明器具。
 前記発光光源はLEDまたはLDであって、前記蛍光体の他に、330~420nmの励起光により520nm~550nmの波長に発光ピークを持つ緑色蛍光体と、330~420nmの励起光により600nm~700nmの波長に発光ピークを持つ赤色蛍光体とを有することを特徴とする請求項13に記載の照明器具。
 前記発光光源はLEDまたはLDであって、前記蛍光体の他には、330~420nmの励起光により550nm~600nmの波長に発光ピークを持つ黄色蛍光体を有することを特徴とする請求項13または14に記載の照明器具。
 前記緑色蛍光体がEuを付活したβ型サイアロン蛍光体であり、前記赤色蛍光体がEuを付活したCaAlSiN 3 蛍光体であることを特徴とする請求項14に記載の照明器具。
 前記黄色蛍光体がEuを付活したα型サイアロン蛍光体であることを特徴とする請求項15に記載の照明器具。
 請求項1から9のいずれかに記載する蛍光体を表示素子として用いた画像表示装置であって、前記蛍光体を発光させる励起源を有することを特徴とする画像表示装置。
 前記画像表示装置は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDまたはSED)または陰極線管(CRT)のいずれかであり、前記励起源が加速電圧10V以上30kV以下の電子線であることを特徴とする請求項18に記載の画像表示装置。
Description:
蛍光体、その製造方法および発 器具

 本発明は、AlN結晶(窒化アルミニウム結晶 )、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体結晶を 体結晶とする蛍光体、その製造方法および の用途に関する。さらに詳細には、該用途 該蛍光体の有する性質、すなわち430nm以上480 nm以下の波長にピークを持つ青色光を発する 性を利用した照明器具および画像表示装置 発光器具に関する。なかでも、10V以上の加 電圧による電子線で励起される画像表示装 に関する。

 蛍光体は、蛍光表示管(VFD(Vacuum-Fluorescent  Display))、フィールドエミッションディスプレ イ(FED(Field Emission Display)またはSED(Surface-Conduc tion Electron-Emitter Display))、プラズマディスプ レイパネル(PDP(Plasma Display Panel))、陰極線管( CRT(Cathode-Ray Tube))、白色発光ダイオード(LED(Li ght-Emitting Diode))などに用いられている。これ らのいずれの用途においても、蛍光体を発光 させるためには、蛍光体を励起するためのエ ネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍 光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光 などの高いエネルギーを有した励起源により 励起されて、可視光線を発する。しかしなが ら、蛍光体は前記のような励起源に曝される 結果、蛍光体の輝度が低下し易く、輝度低下 のない蛍光体が求められている。そのため、 従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、ア ルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光 体に代わり、輝度低下の少ない蛍光体として 、サイアロン蛍光体、酸窒化物蛍光体、窒化 物蛍光体が提案されている。

 このサイアロン蛍光体の一例は、概略以下 述べるような製造プロセスによって製造さ る。まず、窒化ケイ素(Si 3 N 4 )、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ユーロピウム (Eu 2 O 3 )を所定のモル比に混合し、1気圧(0.1MPa)の窒 中において1700℃の温度で1時間保持してホッ トプレス法により焼成して製造される(例え 、特許文献1参照)。このプロセスで得られる Euイオンを付活したαサイアロンは、450から50 0nmの青色光で励起されて550から600nmの黄色の を発する蛍光体となることが報告されてい 。また、β型サイアロンに希土類元素を添 した蛍光体(特許文献2参照)が知られており Tb、Yb、Agを付活したものは525nmから545nmの緑 を発光する蛍光体となることが示されてい 。さらに、β型サイアロンにEu 2+ を付活した緑色の蛍光体(特許文献3参照)が知 られている。

 酸窒化物蛍光体の一例は、JEM相(LaAl(Si 6-z Al z )N 10-z O z )を母体結晶としてCeを付活させた青色蛍光体 (特許文献4参照)、La 3 Si 8 N 11 O 4 を母体結晶としてCeを付活させた青色蛍光体( 特許文献5参照)が知られている。

 窒化物蛍光体の一例は、CaAlSiN 3 を母体結晶としてEuを付活させた赤色蛍光体( 特許文献6参照)が知られている。また、AlNを 体とする蛍光体として、非特許文献1には、 3価のEuイオンを添加した蛍光体(即ちAlN:Eu 3+ )を室温でマグネトロンスパッタリング法に り非晶質セラミックス薄膜を合成し、580nm~64 0nmにEu 3+ イオンからの発光ピークを有するオレンジ色 あるいは赤色蛍光体が得られたと報告されて いる。非特許文献2には、非晶質AlN薄膜にTb 3+ を付活した蛍光体が電子線励起で543nmにピー を持つ緑色に発光すると報告されている。 特許文献3にはAlN薄膜にGd 3+ を付活した蛍光体が報告されている。しかし 、これらのAlN基の蛍光体はいずれも照明や画 像表示装置用途に向かない非晶質の薄膜であ る。

 電子線を励起源とする画像表示装置(VFD、FED 、SED、CRT)用途の青色蛍光体としては、Y 2 SiO 5 を母体結晶としてCeを固溶させた蛍光体(特許 文献7)やZnSにAgなどの発光イオンを固溶させ 蛍光体(特許文献8)が報告されている。

 本発明者らは、AlN構造を持つ結晶を母体結 とし、2価のEuイオンを添加した蛍光体(即ち AlN:Eu 2+ )を特許文献9(未公開)において提案した。こ 蛍光体は、AlNにSi 3 N 4 とEu 2 O 3 を添加して1800℃以上の高温で焼成すること より得られるものであり、AlN結晶構造にSiと Euと酸素とが固溶して2価のEuイオン(Eu 2+ )が安定化することにより、Eu 2+ 由来の青色の蛍光が発現する。

 さらに本発明者らは、AlN構造を持つ結晶を 体結晶とし、2価のEuイオンを添加した蛍光 は、特に電子線励起において輝度寿命が優 ており、係る蛍光体を用いたフィールドエ ッションディスプレイなどの電子線励起発 素子は、長寿命のディスプレイとなること 特許文献10において提案した。

特許第3668770号明細書

特開昭60-206889号公報

特開2005-255895号公報

国際公開第2005/019376号パンフレット

特開2005-112922号公報

国際公開第2005/052087号パンフレット

特開2003-55657号公報

特開2004-285363号公報

特願2004-234690号明細書

特開2006-291035号公報 Meghan L. Caldwell、他、「Visible Luminescent  Activation of Amorphous AlN:Eu Thin-Film Phosphors wit h Osygen」、MRS Internet Journal Nitride Semiconducto r Research、6巻、13号、1~8ページ、2001年。 H.H.Richardson、他、「Thin-film electroluminescen t devices grown on plastic substrates using an amorp hous AlN:Tb3+ phosphor」、Applied Physics Letters、80 巻、12号、2207~2209ページ、2002年。 U.Vetter,他、「Intense ultraviolet cathodolumines cence at 318 nm from Gd3+-doped AlN」、Physics Lett ers、83巻、11号、2145~2147ページ、2003年。

 紫外LEDを励起源とする白色LEDや画像表示 置の用途には、耐久性に優れ高い輝度を有 る青色の蛍光体が求められている。さらに FEDなどの電子線励起の画像表示装置の用途 は、耐久性に優れ、電子線で高輝度に発光 、色純度が良い蛍光体が求められている。

 電子線励起で用いられる特許文献7に開示 される酸化物の蛍光体は、使用中に劣化して 発光強度が低下するおそれがあり、画像表示 装置で色バランスが変化するおそれがあった 。特許文献8に開示される硫化物の蛍光体は 使用中に分解が起こり、硫黄が飛散してデ イスを汚染するおそれがあった。

 AlN系結晶を母体として2価のEuイオンを付 した蛍光体は、特許文献10に示すように電 線励起特性および耐久性に優れた青色発光 蛍光体であるが、ピーク波長は470nm以上であ り、青色蛍光体としての色純度が十分ではな かった。

 本発明の目的は、このような要望に応え うとするものであり、従来の希土類付活サ アロン蛍光体より発光特性に優れ、従来の 化物蛍光体よりも耐久性に優れた色純度が い青色の蛍光体を提供することを課題とし さらには、電子線で高輝度に発光する色純 がよい青色の蛍光体を提供しようというも である。

 本発明者においては、かかる状況の下で AlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体 晶に、少なくともEuを固溶させた窒化物あ いは酸窒化物について鋭意研究を重ねた結 、特定の組成領域範囲、特定の固溶状態お び特定の結晶相を有するものは、2価のEuイ ン由来の430nm以上480nm以下の範囲の波長に発 ピークを持つ青色蛍光体となることを見い した。さらに、ケイ素が固溶した特定の組 範囲のものは、紫外線や電子線励起で高い 度を有し、特に、電子線で励起される画像 示装置に適することを見いだした。必要に じて、さらに、炭素が固溶した特定の組成 囲のものは、紫外線や電子線励起で高い輝 を有し、特に、電子線で励起される画像表 装置に適することを見いだした。必要に応 て、金属元素A(ただし、AはMg、Ca、Sr、Ba、Zn 、Cdから選ばれる1種または2種以上の元素)を らに含有するものは、発光輝度が高いこと 見いだした。また、結晶中の酸素含有量を0 .4質量%以下とすることにより、色純度に優れ た青色蛍光体となることを見いだした。

 非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3に れば、AlN非晶質薄膜にEu 3+ 、Tb 3+ 、Gd 3+ を付活した薄膜が電子線励起で発光すること が報告されているが、金属元素Aとケイ素と 含むAlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN固 体結晶を母体とする無機化合物を蛍光体と て使用しようと検討されたことはなかった 特許文献10には、特定の金属元素とケイ素と を固溶させたAlN系蛍光体が電子線励起用の蛍 光体となることが記載されているが、酸素含 有量を低減すると蛍光体の発光波長が低波長 に移動し、蛍光体の色純度が良くなることは 、本発明者において初めて見いだされたもの である。

 この知見を基礎にしてさらに鋭意研究を ねた結果、特定波長領域で高い輝度の発光 象を示す蛍光体とその蛍光体の製造方法、 よび優れた特性を有する照明器具、画像表 装置を提供することに成功した。以下(1)~(19 )に、それぞれより具体的に述べる。

(1) AlN結晶、AlNポリタイプ結晶、または、A lN固溶体結晶の結晶構造を持つ無機結晶を含 蛍光体であって、前記無機結晶には少なく も2価のユーロピウムが固溶しており、前記 無機結晶中の酸素量が0.4質量%以下であるこ を特徴とする蛍光体。

(2) 前記無機結晶が、ウルツ型AlN結晶構造、2 H δ 、27R、21R、12H、15Rおよび8Hからなる群から選 れる結晶構造、あるいは、前記無機結晶中 Al(O、N) 4 四面体骨格を有する結晶構造のいずれかの結 晶構造を持つことを特徴とする(1)の蛍光体。

(3)前記AlNポリタイプ結晶が、Al(O、N) 4 四面体骨格からなる層とEuを含む骨格からな 層とから構成されることを特徴とする(1)の 光体。

(4) 前記無機結晶にケイ素が固溶してなる とを特徴とする(1)の蛍光体。

(5) 前記無機結晶に炭素が固溶してなるこ を特徴とする(4)の蛍光体。

(6) 前記無機結晶が、AlN結晶またはAlNポリ イプ結晶と、SiC結晶との固溶体結晶である とを特徴とする(1)の蛍光体。

(7) 前記無機結晶に金属元素A(ただし、AはM g、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群から選ば る1種または2種以上の元素)が固溶してなる とを特徴とする(1)の蛍光体。

(8) 前記無機結晶は、組成式Eu a A b Al c Si d O e N f C g (ただし、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからな 群から選ばれる1種または2種以上の元素。 中、a+b+c+d+e+f+g=1とする)で示され、
0.00001≦ a ≦0.1・・・・・・・・・(i)
0≦ b ≦0.2・・・・・・・・・・・・・・・ ・・(ii)
0.4≦ c ≦0.55・・・・・・・・・・・・・(ii i)
0.005≦ d ≦0.2・・・・・・・・・・・・(iv)
0.001≦ e ≦0.05・・・・・・・・・・・(v)
0.3≦ f ≦0.55・・・・・・・・・・・・・(vi )
0≦ g ≦0.02・・・・・・・・・・・・・(vii)
以上の条件を満たす組成で表されることを特 徴とする(1)の蛍光体。

(9) 励起源が100nm以上420nm以下の波長を持つ 紫外線または可視光、電子線のいずれかであ ることを特徴とする(1)の蛍光体。

(10) (1)から(9)のいずれかの蛍光体の製造方法 であって、ユーロピウムと、アルミニウムと 、必要に応じてケイ素と、必要に応じてA(た し、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群 から選ばれる1種または2種以上の元素)とを含 有する原料混合物を、窒素雰囲気中において 、15×10 2 ℃以上25×10 2 ℃以下の温度範囲で、酸素含有量が0.4質量% 下となるまで焼成することを特徴とする蛍 体の製造方法。

 また、窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム 酸化ユーロピウム、及び、必要に応じて元 A(ただし、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdから る群から選ばれる1種または2種以上の元素) 化合物からなる混合物であって、全体とし の酸素含有量が0.4質量%より多い混合物を混 合し、0.1MPa以上100MPa以下の窒素雰囲気中にお いて、15×10 2 ℃以上25×10 2 ℃以下の温度範囲で焼成し、ウルツ型AlN結晶 構造、2H δ 、27R、21R、12H、15Rおよび8Hからなる群から選 れる結晶構造、あるいは、前記無機結晶中 Al(O、N) 4 四面体骨格を有する結晶構造のいずれかの結 晶構造を含む無機結晶を含む蛍光体の製造方 法において、焼成された無機化合物の酸素含 有量が0.4質量%以下となるように前記焼成工 を行うことを特徴とする蛍光体の製造方法 提供することができる。このとき、元素Aは ケイ素が結晶中に固溶することを助ける効 があると考えられ、例えば、元素Aが亜鉛で あった場合、焼成中に揮発して焼成後の無機 化合物から検出が困難になることもあるが、 焼成中にケイ素が結晶中に固溶することを助 けたものと考えられる。更に、微量とはいえ 、2価のイオンが入ることにより電導性が向 して、電子線励起での発光効率が向上し、 度が高くなる効果もあると考えられる。

(11) ユーロピウムの金属、酸化物、炭酸塩、 窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物または それらの組合せと、窒化アルミニウムと、必 要に応じて窒化ケイ素と、必要に応じてAの 属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、 化物、酸窒化物またはそれらの組合せ(ただ 、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群か ら選ばれる1種または2種以上の元素)とを含有 する原料混合物を、相対嵩密度40%以下の充填 率に保持した状態で容器に充填した後に、0.1 MPa以上100MPa以下の窒素雰囲気中において、15 10 2 ℃以上25×10 2 ℃以下の温度範囲で焼成することを特徴とす る(10)の蛍光体の製造方法。

(12) 前記原料混合物にさらに炭化ケイ素ま たは炭素を含有する化合物を添加することを 特徴とする(10)の蛍光体の製造方法。

(13) (1)から(9)のいずれかの蛍光体を用いた 照明器具であって、前記蛍光体の励起源とし て、330~420nmの波長の光を発する発光光源を有 することを特徴とする照明器具。

(14) 前記発光光源はLEDまたはLDであって、 記蛍光体の他に、330~420nmの励起光により520n m~550nmの波長に発光ピークを持つ緑色蛍光体 、330~420nmの励起光により600nm~700nmの波長に発 光ピークを持つ赤色蛍光体とを有することを 特徴とする(13)の照明器具。

(15) 前記発光光源はLEDまたはLDであって、 記蛍光体の他には、330~420nmの励起光により5 50nm~600nmの波長に発光ピークを持つ黄色蛍光 を有することを特徴とする(13)または(14)の照 明器具。

(16) 前記緑色蛍光体がEuを付活したβ型サイ ロン蛍光体であり、前記赤色蛍光体がEuを付 活したCaAlSiN 3 蛍光体であることを特徴とする(14)の照明器 。

(17) 前記黄色蛍光体がEuを付活したα型サ アロン蛍光体であることを特徴とする(15)の 明器具。

(18) (1)から(9)のいずれかの蛍光体を表示素 子として用いた画像表示装置であって、前記 蛍光体を発光させる励起源を有することを特 徴とする画像表示装置。

(19) 前記画像表示装置は、蛍光表示管(VFD) フィールドエミッションディスプレイ(FEDま たはSED)または陰極線管(CRT)のいずれかであり 、前記励起源が加速電圧10V以上30kV以下の電 線であることを特徴とする(18)の画像表示装 。

 本発明の蛍光体は、2価のEuイオンが固溶 たAlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶 結晶相を主成分として含有し、酸素含有量 0.4質量%以下の組成を持つことにより、従来 のサイアロンや酸窒化物蛍光体と比べて430nm~ 480nmでの発光強度が高く、特に、100nm以上420nm 以下の波長を持つ紫外線または可視光で励起 すると効率よく発光するので、白色LEDの用途 の青色蛍光体として優れている。

さらに、電子線で効率よく発光し、色純度 に優れるため、VFD、FED、SED、CRTなどに好適に 使用され得る有用な蛍光体である。

実施例1~3と比較例1のX線回折パターン 実施例1の蛍光測定による励起スペクト ルと発光スペクトル。 実施例1~3と比較例1の電子線励起による カソードルミネッセンススペクトル。 実施例2の蛍光測定による励起スペクト ルと発光スペクトル。 実施例3の蛍光測定による励起スペクト ルと発光スペクトル。 比較例1の蛍光測定による励起スペクト ルと発光スペクトル。 本発明による照明器具(LED照明器具)の 略図。 本発明による画像表示装置(プラズマデ ィスプレイパネル)の概略図。 本発明による画像表示装置(フィールド エミッションディスプレイ)の概略図。

符号の説明

  1 本発明の青色蛍光体(実施例1)と黄色蛍 体との混合物、または、本発明の青色蛍光 (実施例1)と赤色蛍光体と緑色蛍光体との混 物
  2 LEDチップ    3、4 導電性端子    5  ワイヤーボンド  
  6 樹脂層    7 容器    8 赤色蛍光体    9 緑色蛍光体  
  10 青色蛍光体    11、12、13 紫外線発光 セル  
  14、15、16、17 電極    18、19 誘電体層     20 保護層
  21、22 ガラス基板    51 ガラス    52 陰極  
  53 陽極    54 ゲート    55 エミッタ    56 蛍光体
  57 電子

 以下、本発明の実施例について詳しく説 する。

 本発明の蛍光体は、AlN結晶、AlNポリタイプ 晶またはAlN固溶体結晶の結晶構造を有する 機結晶を主成分として含む。AlN結晶はウル 型の結晶構造を持つ結晶である。また、AlN 溶体結晶とはAlNにケイ素や酸素が添加され 結晶である。またAlN固溶体結晶の中には、 晶構造中にAl(O、N) 4 四面体骨格を有する結晶がある。AlN固溶体ま たは結晶構造中にAl(O、N) 4 四面体骨格を有する結晶の例としては、
2Hδ:Si 2.40 Al 8.60 O 0.60 N 11.40
27R:Al 9 O 3 N 7 :1Al 2 O 3 -7AlN
21R:Al 7 O 3 N 5 :1Al 2 O 3 -5AlN
12H:SiAl 5 O 2 N 5 :1SiO 2 -5AlN
15R:SiAl 4 O 2 N 4 :1SiO 2 -4AlN
8H:Si 0.5 Al 3.5 O 2.5 N 2.5 :0.5SiO 2 -0.5Al 2 O 3 -2.5AlN
などの結晶を挙げることができる。これらの 結晶は結晶構造中にAl(O、N) 4 四面体骨格を有する。AlN固溶体結晶において は、固溶した酸素原子はAlN結晶の窒素原子の 一部と置き換わり、ケイ素原子はAlN結晶のAl 子の一部と置き換わることがある。

 AlN固溶体結晶においては、AlNにSiCが固溶し 組成をとることがある。この場合、ケイ素 子はAlN結晶のAlの原子の一部と置き換わる とがある。また、炭素原子はAlN結晶のNの原 の一部と置き換わることがある。また、AlN 溶体結晶においては、固溶した酸素原子と 溶したケイ素原子が、それぞれのAl(O、N) 4 四面体が相互に連なって層をなし、これらの 層が特定の長い周期を持って積み重なった結 晶構造である層状結晶構造をとることがある 。上記の15R、12H、21R、27Rなどは層状結晶構造 をとる。ここで、これらの表記の数字は周期 を表す。これらをポリタイプ結晶という。後 述する金属元素Aは結晶構造中のAl原子と置換 する場合と、酸素が多いAl(O、N) 4 四面体の層に含まれる場合とがある。これら の様々な形態をとる結晶もポリタイプ結晶ま たはAlN固溶体結晶に含まれる。なお、本明細 書において、主成分とは、蛍光体中における AlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体結 晶の結晶構造を有する無機結晶が、10質量%以 上であることを意図する。

 AlNポリタイプ結晶は、Al(O、N) 4 四面体骨格からなる層とEuを含む骨格からな 層とから構成される構造をとることができ 。Al(O、N) 4 四面体骨格から構成される層はウルツ型AlN結 晶のC軸方向に3層から20層程度積層され、こ 上にEuを含む骨格からなる層が1層から3層程 積層された後に、再びAl(O、N) 4 四面体骨格からなる層(以下、単に、Al(O、N) 4 四面体層とも呼ぶ)が積層される。このよう 異なる骨格からなる層の集合体が相互に繰 返されてAlNポリタイプ結晶が構成される。 なる骨格からなる層の集合体の相互の繰り しは、結晶全体を通じて同じ周期で行われ もよく、場所によりこの周期が異なっても い。Al(O、N) 4 四面体骨格からなる層は、結晶構造を安定化 させる働きがあり、Euを含む骨格からなる層 発光を担う。これらの積層構造はX線回折測 定で判別することは難しく、異なる積層構造 が有ってもAlNポリタイプ結晶のX線回折のピ ク位置は、ウルツ型AlN結晶と大きく変化し い。積層構造における違いは透過型電子顕 鏡により判定することができる。透過型電 顕微鏡でAlNポリタイプ結晶を観察するとAl(O N) 4 四面体層とEuを含む骨格からなる層とを識別 ることができ、それぞれの層の積み重ねの と繰り返しの様子とが観察される。このよ な積層構造をとることにより、発光イオン あるEuイオン同士が適当な距離をおいて結 中に配置される。その結果、Euイオン間の相 互作用による発光強度低下(濃度消光)を低減 る効果を奏する。

 本発明では、これらの結晶を母体結晶と て用いることができる。AlN結晶、AlNポリタ プ結晶またはAlN固溶体結晶は、X線回折や中 性子線回折により同定することができ、純粋 なAlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体 結晶と同一の回折を示す物質の他に、構成元 素が他の元素と置き換わることにより格子定 数が変化したものも本発明の一部として含ま れる。

 本発明の蛍光体における無機結晶は、AlN結 、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体結晶を 体結晶として、これにEuと、必要に応じて 属元素A(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cdから選ばれる1 または2種以上の元素)とケイ素(Si)とが固溶 れ、結晶中に含まれる酸素量を0.4質量%以下 することにより、優れた光学特性を持つ蛍 体となる。ここで、Euは光学活性なイオン なる元素であり、2価のイオンとして固溶さ る。そして、紫外線や電子線で励起するこ によりEu 2+ 由来の発光が起こり、430nmから480nmの範囲の 長にピークを持つ青色光を発光する蛍光体 なる。

 ケイ素の添加効果は次のように考えられる Siは4価の元素であるため、Siが固溶するこ により、2価のイオンであるEu 2+ が結晶内で安定に存在できるようになり、Eu オンが結晶内に取り込まれやすくなる。ま 、ケイ素の添加によりAlN結晶中にケイ素を 有する層状構造を形成しやすくなることが り、Euイオンが層状構造に取り込まれやす なる効果もある。これらにより、蛍光体の 度向上に寄与していると考えられる。

 本発明の蛍光体における無機結晶にさら 炭素(C)を固溶することにより優れた光学特 を持つ蛍光体が得られる。炭素の添加効果 次のように考えられる。AlN結晶とSiC結晶と 共にウルツ型の結晶構造をとることができ ため、これらの結晶は固溶体を形成しやす 。炭素または炭化ケイ素の添加により固溶 の結晶構造が安定化して、輝度向上に寄与 ていると考えられる。また、固溶により発 イオンのエネルギー準位が変動するため、 起スペクトルや発光スペクトルを変化させ 働きもある。

 金属元素Aは必要に応じて添加される。こ の添加効果は次のように考えられる。A元素 2価のイオンとなり得る元素である。そして Mg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群から選 れる1種または2種以上の元素であってよい そして、この金属元素Aには、Siが結晶中に 溶することを助ける効果があると考えられ 。さらに、2価のイオンが入ることにより電 性が向上して、電子線励起での発光効率が 上する効果もあると考えられる。なかでも ZnまたはBaを添加したものは、電子線励起に よる発光強度が高い。

 本発明の実施形態として、AがZnである蛍 体、そして、AがBaである蛍光体が挙げられ 。AがZnである蛍光体は、特に電子線励起で 発光強度が高いため、電子線励起の画像表 装置の用途に適している。AがBaである蛍光 は、電子線励起での発光強度が高く、加え 、蛍光スペクトルのピーク波長がBaを添加 ることにより短波長側に移動し470nm以下の波 長となるため、青の色純度が良くなる。この ため、電子線励起の画像表示装置に用いられ る青色蛍光体の用途に適している。

 結晶中に含まれる酸素量は発光スペクト に影響を及ぼし、酸素含有量が少ない組成 発光ピーク波長が短波長となり、0.4質量%以 下の組成で色純度が優れる青色発光を発する このため、画像表示装置に用いられる青色蛍 光体の用途に適している。

 AlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体 晶の含有割合が高く、輝度が高い蛍光体が られる組成としては、組成式Eu a A b Al c Si d O e N f C g (ただし、AはMg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからな 群から選ばれる1種または2種以上の元素。 中、a+b+c+d+e+f+g=1とする)で示され、以下の条 を全て満たす値から選ばれる組成範囲が好 しい。
0.00001≦ a ≦0.1・・・・・・・・・(i)
0≦ b ≦0.2・・・・・・・・・・・・・・・ ・・(ii)
0.4≦ c ≦0.55・・・・・・・・・・・・・(ii i)
0.005≦ d ≦0.2・・・・・・・・・・・・(iv)
0.001≦ e ≦0.05・・・・・・・・・・・(v)
0.3≦ f ≦0.55・・・・・・・・・・・・・(vi )
0≦ g ≦0.02・・・・・・・・・・・・・(vii)

 ここで、aは発光中心となるEuの添加量を し、原子比で0.00001以上0.1以下となるように するのがよい。a値が0.00001より小さいと発光 心となるEuの数が少ないため発光輝度が低 するおそれがある。0.1より大きいとEuイオン 間の干渉により濃度消光を起こして輝度が低 下するおそれがある。bはA元素の量であり必 に応じて添加する。添加量は、原子比で0.2 下となるようにするのがよい。b値がこの範 囲をはずれると結晶中の結合が不安定になり AlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体結 晶以外の結晶相の生成割合が増え、発光強度 が低下するおそれがある。cはAl元素の量であ り、原子比で0.4以上0.55以下となるようにす のがよい。c値がこの範囲からはずれるとAlN 晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体結晶 外の結晶相の生成割合が増え、発光強度が 下するおそれがある。dはSiの量であり、原 比で0.005以上0.2以下となるようにするのが い。d値がこの範囲からはずれるとEuの固溶 阻害されて輝度が低下するおそれがある。e 酸素の量であり、0.001以上0.05以下となるよ にするのがよい。eが0.001より小さいとEuの 溶が阻害されて輝度が低下するおそれがあ 。eが0.1より大きいとAlN固溶体結晶以外の結 相の生成割合が増え、発光強度が低下する それがある。fは窒素の量であり、0.3以上0.5 5以下とするのがよい。f値がこの範囲からは れるとAlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAlN 溶体結晶以外の結晶相の生成割合が増え、 光強度が低下するおそれがある。gは炭素の 量であり、炭素の添加は必須ではないが添加 する場合は0.02以下とするのがよい。gがこの 囲からはずれると遊離した炭素が析出する め、発光強度が低下するおそれがある。

 本発明の蛍光体を粉体として用いる場合 、樹脂への分散性や粉体の流動性などの点 ら平均粒径が0.1μm以上20μm以下が好ましい また、粉体をこの範囲の単結晶粒子とする とにより、より発光輝度が向上する。

 本発明の蛍光体は、100nm以上420nm以下の波 長を持つ紫外線または可視光で励起すると効 率よく発光するので、白色LED用途に好ましい 。さらに、本発明の蛍光体は、電子線または X線によっても励起することができる。特に 電子線励起では、他の窒化物蛍光体より効 よく発光するため、電子線励起の画像表示 置の用途に好ましい。また、励起源にさら れた場合であっても輝度が低下しにくい。

 本発明の蛍光体に励起源を照射すること より波長430nmから480nmの範囲の波長にピーク を持つ蛍光を発光し、その発光する色は、代 表的にはCIE色度座標上の(x,y)値で、0 ≦ x  0.15、0.05≦ y ≦0.1の値をとり、色純度が良 青色である。

 本発明の蛍光体は、蛍光発光の点から、 の構成成分たるAlN結晶、AlNポリタイプ結晶 たはAlN固溶体結晶を持つ無機結晶を高純度 極力多く含むこと、できれば無機結晶単相 ら構成されていることが望ましいが、特性 低下しない範囲で他の結晶相あるいはアモ ファス相を含んでもよい。この場合、AlN結 、AlNポリタイプ結晶またはAlN固溶体結晶を つ無機結晶の含有量が10質量%以上、より好 しくは50質量%以上であることが高い輝度を るために望ましい。本発明において主成分 する範囲は、AlN結晶、AlNポリタイプ結晶ま はAlN固溶体結晶を持つ無機結晶の含有量が なくとも10質量%以上である。含有量の割合 X線回折測定を行い、AlN結晶、AlNポリタイプ 結晶またはAlN固溶体結晶相を持つ無機結晶と それ以外の結晶相のそれぞれの相の最強ピー クの強さの比から求めることができる。

 他の結晶相あるいはアモルファス相は、 えば、導電性を持つ無機物質であり得る。V FDやFEDなどにおいて、本発明の蛍光体を電子 で励起する場合には、蛍光体上に電子が溜 ることなく外部に逃がすために、ある程度 導電性を持つことが好ましい。導電性物質 しては、Zn、Ga、InおよびSnからなる群から ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物 、酸窒化物、または窒化物、あるいはこれら の混合物を挙げることができる。なかでも、 酸化インジウムとインジウム-スズ酸化物(ITO) は、蛍光強度の低下が少なく、導電性が高い ため好ましい。

 本発明の蛍光体は青に発色するが、黄色 赤色などの他の色との混合が必要な場合は 必要に応じてこれらの色を発色する無機蛍 体を混合することができる。

 本発明の蛍光体は、組成により励起スペ トルと蛍光スペクトルが異なり、これを適 選択組み合わせることによって、さまざま 発光スペクトルを有してなるものに設定す ことができる。その態様は、用途に基づい 必要とされるスペクトルに設定すればよい

 本発明の無機物質を含む蛍光体の製造方 は、特に限定されないが、一例として次の 法を挙げることができる。

 ユーロピウムと、アルミニウムと、必要 応じてケイ素と、必要に応じてA(ただし、A 、Mg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群から ばれる1種または2種以上の元素)とを少なく も含む原料混合物を、窒素雰囲気中におい 、1500℃以上2500℃以下の温度範囲で、酸素 有量が0.4質量%以下となるまで焼成する製造 法である。

 原料を所定量混合し、この原料混合物を 相対嵩密度40%以下の充填率に保持した状態 容器に充填する。そして、0.1MPa以上100MPa以 の窒素雰囲気中において、1500℃以上2500℃ 下の温度範囲で焼成する。このようにする とより、AlN結晶、AlNポリタイプ結晶またはAl N固溶体結晶に、少なくともEuと、必要に応じ て金属元素Aとケイ素とが固溶してなる本発 の蛍光体を製造することができる。最適焼 温度は組成により異なる場合もあり、適宜 適化することができる。一般的には、1950℃ 上2100℃以下の温度範囲で焼成することが好 ましい。このようにして高輝度の蛍光体が得 られる。焼成温度が1500℃より低いと、発光 心となるEuがAlN結晶、AlNポリタイプ結晶また はAlN固溶体結晶中に固溶し難く、粒界相中に 残留すると考えられる。この場合は、酸化物 ガラスをホストとする発光となって、目的と する波長の光を放つ光輝度の蛍光体は得られ 難い。また、焼成温度が2500℃を超えると、 殊な装置が必要となり工業的に好ましくな 。

 焼成工程は、仮に含有する酸素量が0.4質量% よりも多いのであれば、0.4質量%以下になる で加熱を続ける。1950℃以上の温度に原料混 物あるいはAlN系の蛍光体を加熱すると、処 物に含まれている酸素が処理物の外に揮発 て含有量が低下する。窒素雰囲気下での高 焼成であるので、焼成温度が高温であれば るほど、および、焼成時間が長いほど、酸 含有量の低下を促進させることができる。 お、焼成温度および/または焼成時間は、最 終的に得られる蛍光体中の酸素含有量が0.4質 量%以下となるように適宜調整される。なお 焼成によって酸素含有量を0.4質量%以下に低 させることができるため、出発原料におけ 酸素含有量は0.4質量%以下である必要はなく 、0.4質量%を超えていてもよい。
 酸素量が低下すると、発光中心となるEuイ ン周りの環境が変化して、発光波長が低波 化して青色としての色純度が向上する。本 明の蛍光体の代表的な色度としては、発光 がCIE色度座標上の(x,y)値で、0 ≦ x ≦0.15、 0.05≦ y ≦0.1の値の範囲となる色純度に優れ た青色蛍光体が得られる。酸素含有量が0.4質 量%を越えるとこの効果は少ない。

 金属元素Euの出発原料としては、Eu元素の 金属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、 塩化物または酸窒化物を用いることができる 。中でも、大気中での安定性と入手のし易さ から酸化ユーロピウムを用いるのが好ましい 。

 金属元素Aの出発原料としては、Aの金属 酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化 、酸窒化物またはそれらの組合せ(ただし、A は、Mg、Ca、Sr、Ba、ZnおよびCdからなる群から 選ばれる1種または2種以上の元素)を用いるこ とができる。AがZnの場合は、酸化亜鉛を用い るのが好ましい。AがBaの場合は、炭酸バリウ ムを用いるのが好ましい。

 ケイ素源の出発原料としては、金属ケイ 、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、 イ素を含む有機物前駆体、シリコンジイミ 、シリコンジイミドを加熱処理して得られ アモルファス体などを用いることができる 、一般的には窒化ケイ素または炭化ケイ素 用いることができる。これらは、反応性に み、高純度な合成物を得ることができるこ に加えて、工業原料として生産されており 手しやすい利点がある。窒化ケイ素として 、α型、β型、アモルファス体、およびこれ らの混合物を用いることができる。炭化ケイ 素としては、α型、β型、アモルファス体、 よび、これらの混合物を用いることができ 。

 アルミニウム源の出発原料としては、金 アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ア ミニウム、アルミニウムを含む有機物前駆 などを用いることができるが、通常は窒化 ルミニウムを用いるのがよい。これらは、 応性に富み、高純度な合成物を得ることが きることに加えて、工業原料として生産さ ており入手しやすい利点がある。

 なお、原料混合物は、さらに炭素を含有 る炭素源を含んでもよい。上述したように 炭素の添加により、得られる蛍光体の輝度 向上し得る。炭素源の出発原料としては、 化ケイ素、炭素を含有する化合物などを用 ることができるが、通常は炭化ケイ素を用 るのがよい。炭素を含有する化合物として 、炭素、炭素とケイ素を含有する有機物な を用いることができる。これらは、工業原 として生産されており入手しやすい利点が る。

 焼成時の反応性を向上させるために、必 に応じて出発原料の混合物に、焼成温度以 の温度で液相を生成する無機化合物を添加 ることができる。無機化合物としては、反 温度で安定な液相を生成するものが好まし 、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Alの元素のフッ 物、塩化物、ヨウ化物、臭化物、あるいは ン酸塩が適している。さらに、これらの無 化合物は、単体で添加するほか2種以上を混 合してもよい。なかでも、フッ化バリウムお よびフッ化アルミニウムは合成の反応性を向 上させる能力が高いため好ましい。無機化合 物の添加量は特に限定されないが、出発原料 である金属化合物の混合物100重量部に対して 、0.1重量部以上10重量部以下で、特に効果が きい。0.1重量部より少ないと反応性の向上 少なく、10重量部を越えると蛍光体の輝度 低下するおそれがある。これらの無機化合 を添加して焼成すると、反応性が向上して 比較的短い時間で粒成長が促進されて粒径 大きな単結晶が成長し、蛍光体の輝度が向 する。

 窒素雰囲気は0.1MPa以上100MPa以下の圧力範 のガス雰囲気がよい。より好ましくは、0.5M Pa以上10MPa以下がよい。窒化ケイ素を原料と て用いる場合、0.1MPaより低い窒素ガス雰囲 中で1820℃以上の温度に加熱すると、原料が 分解し易くなるのであまり好ましくない。0 .5MPaより高いとほとんど分解しない。10MPaあ ば十分であり、100MPa以上となると特殊な装 が必要となり、工業生産に向かない。

 粒径数μmの微粉末を出発原料とする場合 混合工程を終えた金属化合物の混合物は、 径数μmの微粉末が数百μmから数mmの大きさ 凝集した形態をなす(以下「粉体凝集体」と ぶ)。本発明では、粉体凝集体を嵩密度40%以 下の充填率に保持した状態で焼成する。ここ で、相対嵩密度とは、容器に充填された粉体 の質量を容器の容積で割った値(嵩密度)と粉 の物質の真密度との比である。通常のサイ ロンの製造では、加圧しながら加熱するホ トプレス法や金型成形(圧粉)後に焼成を行 う製造方法が用いられるが、このときの焼 は粉体の充填率が高い状態で行われる。し し、本発明では、粉体に機械的な力を加え ことなく、また予め金型などを用いて成形 ることなく、混合物の粉体凝集体の粒度を ろえたものを、そのままの状態で容器など 嵩密度40%以下の充填率で充填する。必要に じて、該粉体凝集体を、ふるいや風力分級 どを用いて、平均粒径500μm以下に造粒して 度制御することができる。また、スプレー ライヤなどを用いて直接的に500μm以下の形 に造粒してもよい。また、容器は窒化ホウ 製を用いると蛍光体との反応が少ない利点 ある。

 嵩密度を40%以下の状態に保持したまま焼 するのは、原料粉末の周りに自由な空間が る状態で焼成するためである。最適な嵩密 は、顆粒粒子の形態や表面状態によって異 るが、好ましくは20%以下がよい。このよう すると、反応生成物が自由な空間に結晶成 するので結晶同士の接触が少なくなり、表 欠陥が少ない結晶を合成することが出来る 考えられる。これにより、輝度が高い蛍光 が得られる。嵩密度が40%を超えると焼成中 部分的に緻密化が起こって、緻密な焼結体 なってしまい結晶成長の妨げとなり蛍光体 輝度が低下するおそれがある。また微細な 体が得られ難い。また、粉体凝集体の大き は500μm以下が、焼成後の粉砕性に優れるた 特に好ましい。

 次に、充填率40%以下の粉体凝集体を前記 件で焼成する。焼成に用いる炉は、焼成温 が高温であり焼成雰囲気が窒素であること ら、金属抵抗加熱方式または黒鉛抵抗加熱 式であってよい。炉の高温部の材料として 素を用いた電気炉が好ましい。焼成は、常 焼結法やガス圧焼結法などの外部から機械 な加圧を施さない焼成方法によるのが、所 の範囲の嵩密度を保ったまま焼成するため 好ましい。

 焼成して得られた粉体凝集体が固く凝集 ている場合は、例えばボールミル、ジェッ ミル等の工業的に通常用いられる粉砕機に り粉砕する。なかでも、ボールミル粉砕は 径の制御が容易である。このとき使用する ールおよびポットは、窒化ケイ素焼結体ま はサイアロン焼結体製等が好ましい。粉砕 平均粒径20μm以下となるまで施す。特に好 しくは平均粒径20nm以上10μm以下である。平 粒径が20μmを超えると粉体の流動性と樹脂へ の分散性が悪くなり、発光素子と組み合わせ て発光装置を形成する際に部位により発光強 度が不均一になる。20nm以下となると、粉体 取り扱う操作性が悪くなる。粉砕だけで目 の粒径が得られない場合は、分級を組み合 せることができる。分級の手法としては、 い分け、風力分級、液体中での沈殿法など 用いることができる。

 なお、本明細書において、平均粒径とは 以下のように定義される。粒子径は、沈降 による測定においては沈降速度が等価な球 直径として、レーザ散乱法においては散乱 性が等価な球の直径として定義される。ま 、粒子径の分布を粒度(粒径)分布という。 径分布において、ある粒子径より大きい質 の総和が、全粉体のそれの50%を占める場合 粒子径が、平均粒径D50として定義される。 の定義および用語は、いずれも当業者にお て周知であり、例えば、JISZ8901「試験用粉体 および試験用粒子」、または、粉体工学会編 「粉体の基礎物性」(ISBN4-526-05544-1)の第1章等 文献に記載されている。本発明においては 分散剤としてヘキサメタクリン酸ナトリウ を添加した水に試料を分散させ、レーザ散 式の測定装置を使用して、粒子径に対する 積換算の積算頻度分布を測定した。なお、 積換算と重量換算の分布は等しい。この積 (累積)頻度分布における50%に相当する粒子 を求めて、平均粒径D50とした。以下、本明 書において、平均粒径は、上述のレーザ散 法による粒度分布測定手段によって測定し 粒度分布の中央価(D50)に基づくことに留意さ れたい。平均粒径を求める手段については、 上述以外にも多様な手段が開発され、現在も 続いている現状にあり、測定値に若干の違い が生じることもあり得るが、平均粒径それ自 体の意味、意義は明確であり、必ずしも上記 手段に限定されないことを理解されたい。

 さらに、焼成後に無機化合物を溶解する 剤で洗浄することにより、焼成により得ら た反応生成物に含まれるガラス相、第二相 または不純物相などの蛍光体以外の無機化 物の含有量を低減すると、蛍光体の輝度が 上する。このような溶剤としては、水およ 酸の水溶液を使用することができる。酸の 溶液としては、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化 素酸、有機酸とフッ化水素酸の混合物など 使用することができる。なかでも、硫酸と ッ化水素酸の混合物は効果が大きい。この 理は、焼成温度以下の温度で液相を生成す 無機化合物を添加して高温で焼成した反応 成物に対しては、特にその効果が大きい。

 以上の工程で微細な蛍光体粉末が得られ が、輝度をさらに向上させるには熱処理が 果的である。この場合は、焼成後の粉末、 るいは粉砕や分級により粒度調整された後 粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で 熱処理することができる。1000℃より低い温 では、表面の欠陥除去の効果が少ない。焼 温度以上では粉砕した粉体どうしが再度固 するため好ましくない。熱処理に適した雰 気は、蛍光体の組成により異なるが、窒素 空気、アンモニア、水素から選ばれる1種ま は2種以上の混合雰囲気中を使用することが でき、特に窒素雰囲気が欠陥除去効果に優れ るため好ましい。

 以上のようにして得られる本発明の蛍光 は、通常の酸化物蛍光体や既存のサイアロ 蛍光体と比べて、高輝度の可視光発光を持 ことが特徴である。なかでも特定の組成で 、430nm以上480nm以下の範囲にピークを持つ青 色の発光をすることが特徴であり、照明器具 、画像表示装置に好適である。これに加えて 、高温にさらしても劣化しないことから耐熱 性に優れており、酸化雰囲気および水分環境 下での長期間の安定性にも優れている。

 本発明の照明器具は、少なくとも発光光 と本発明の蛍光体とを用いて構成される。 明器具としては、LED照明器具、蛍光ランプ どがある。LED照明器具では、本発明の蛍光 を用いて、特開平5-152609号公報、特開平7-993 45号公報、特許公報第2927279号などに記載され ているような公知の方法により製造すること ができる。この場合、発光光源は330~420nmの波 長の光を発するものが望ましく、中でも330~42 0nmの紫外(または紫)LED発光素子またはLD発光 子が好ましい。

 これらの発光素子としては、GaNやInGaNな の窒化物半導体からなるものがあり、組成 調整することにより所定の波長の光を発す 発光光源となり得る。

 照明器具において本発明の蛍光体を単独で 用する方法の他に、他の発光特性を持つ蛍 体と併用することによって、所望の色を発 る照明器具を構成することができる。この 例として、330~420nmの紫外LEDまたはLD発光素 と、この波長で励起されて550nm以上600nm以下 波長に発光ピークを持つ黄色蛍光体と、本 明の青色蛍光体との組み合わせがある。こ ような黄色蛍光体としては特開2002-363554号 報に記載のα-サイアロン:Eu 2+ や特開平9-218149号公報に記載の(Y、Gd) 2 (Al、Ga) 5 O 12 :Ceを挙げることができる。この構成では、LED またはLDが発する紫外線が蛍光体に照射され と、青、黄の2色の光が発せられ、これの混 合により白色の照明器具となる。

 別の一例として、330~420nmの紫外LEDまたはLD 光素子と、この波長で励起され520nm以上550nm 下の波長に発光ピークを持つ緑色蛍光体と 600nm以上700nm以下の波長に発光ピークを持つ 赤色蛍光体と、本発明の青色蛍光体との組み 合わせがある。このような緑色蛍光体として は特開2005-255895号公報に記載のβ-サイアロン: Eu 2+ を、赤色蛍光体としては、国際公開第2005/0520 87号パンフレットに記載のCaSiAlN 3 :Eu 2+ を挙げることができる。この構成では、LEDま たはLDが発する紫外線が蛍光体に照射される 、赤、緑、青の3色の光が発せられ、これの 混合により白色の照明器具となる。

 別の手法として、330~420nmの紫外LEDまたはLD 光素子と、この波長で励起され520nm以上550nm 下の波長に発光ピークを持つ緑色蛍光体と この波長で励起されて550nm以上600nm以下の波 長に発光ピークを持つ黄色蛍光体と、この波 長で励起されて600nm以上700nm以下の波長に発 ピークを持つ赤色蛍光体と、本発明の青色 光体との組み合わせがある。このような緑 蛍光体としては特開2005-255895号公報に記載の β-サイアロン:Eu 2+ を、このような黄色蛍光体としては特開2002-3 63554号公報に記載のα-サイアロン:Eu 2+ や特開平9-218149号公報に記載の(Y、Gd) 2 (Al、Ga) 5 O 12 :Ceを、このような赤色蛍光体としては、国際 公開第2005/052087号パンフレットに記載のCaSiAlN 3 :Euを挙げることができる。この構成では、LED またはLDが発する紫外光が蛍光体に照射され と、青、緑、黄、赤の4色の光が発せられ、 光が混合されて白色または赤みがかった電球 色の照明器具となる。

 本発明の画像表示装置は少なくとも励起 と本発明の蛍光体とで構成され、蛍光表示 (VFD)、フィールドエミッションディスプレ (FEDまたはSED)、プラズマディスプレイパネル (PDP)、陰極線管(CRT)などがある。本発明の蛍 体は、100~190nmの真空紫外線、190~380nmの紫外 、電子線などの励起で発光することが確認 れており、これらの励起源と本発明の蛍光 との組み合わせで、上記のような画像表示 置を構成することができる。

 本発明の蛍光体は、電子線の励起効率が れるため、加速電圧10V以上30kV以下で用いる 、VFD、FED、SED、CRT用途に適している。

 FEDは、電界放射陰極から放出された電子 加速して陽極に塗布した蛍光体に衝突させ 発光する画像表示装置であり、5kV以下の低 加速電圧で光ることが求められており、本 明の蛍光体を組み合わせることにより、表 装置の発光性能が向上する。

 次に本発明を以下に示す実施例によって らに詳しく説明するが、これはあくまでも 発明を容易に理解するための一助として開 したものであって、本発明は、これらの実 例に限定されるものではない。

<実施例1>
 原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93 重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末(宇部 産製SN-E10グレード)、比表面積3.3m 2 /g、酸素含有量0.85%の窒化アルミニウム粉末( クヤマ製Fグレード)、および純度99.9%の酸化 ユーロピウム粉末(信越化学製)を用いた。

 組成式Eu a A b Al c Si d O e N f C g において、a=0.0024、b=0、c=0.464、d=0.0286、e=0.002 4、f=0.5026およびg=0で示される出発原料組成を 得るべく、窒化ケイ素粉末6.433質量%、窒化ア ルミニウム粉末91.641質量%、酸化ユーロピウ 粉末1.926質量%を秤量し、窒化ケイ素焼結体 の乳鉢と乳棒とを用いて混合した後に、目 き125μmのふるいを通すことにより流動性に れる粉体凝集体を得た。なお、この混合粉 には原料粉末由来の不純物酸素量が0.85質量% 以上含まれている。この粉体凝集体を直径20m m高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自 落下させて入れたところ、嵩密度は約15体 %であった。嵩密度は、投入した粉体凝集体 重量とるつぼの内容積と粉体の真密度とか 計算した。つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱 式の電気炉にセットした。焼成操作は、ま 、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし 室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し 800℃で純度が99.9995体積%の窒素を導入して ス圧力を1MPaとし、毎時500℃で1950℃まで昇温 し、その温度で24時間保持した。

 合成した試料25mgを白金るつぼに計り取り、 炭酸ナトリウム0.75gとホウ酸0.3gとを加えて加 熱溶解し、塩酸および水を加えた溶液に対し て、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析を行い、構 成するカチオン元素の定量を行った。また、 試料約10mgをスズカプセルおよびニッケルバ ケットに入れて、LECO社のTC436型酸素窒素分 計を用いて、赤外線吸収法により酸素を、 伝導度法により窒素を定量した。これらの 定により、合成した試料の組成は、Eu 0.0013 Al 0.484 Si 0.016 O 0.0005 N 0.4982 であり、酸素量が0.04±0.01質量%まで低減した

 合成した試料を窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒 を用いて粉砕し、CuのK α 線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行った。そ の結果、図1に示す様に、得られたチャート らウルツ型AlN構造の結晶の生成が確認され その他の結晶相は検出されなかった。

 得られた粉末に、波長365nmの光を発する ンプで照射した結果、青色に発光すること 確認した。この粉末の発光スペクトルおよ 励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用い 測定した。図2に、ホトルミネッセンス測定 おける、励起スペクトルおよび発光スペク ルを示す。287nmの波長に励起スペクトルの ークがあり、励起スペクトルのピーク波長 の励起において、463nmに発光スペクトルのピ ークを持つ青色光を発する蛍光体であること が分かった。なお、励起スペクトルおよび発 光スペクトルは、市販のYAG:Ce蛍光体(化成オ トニクス製、P46Y3)を450nmで励起した時の発光 強度が1となるように規格化して示してある

 電子線を当てたときの発光特性(カソード ルミネッセンス、CL)を、CL検知器を備えたSEM 観察し、CL像を評価した。この装置は、電 線を照射して発生する可視光を検出して二 元情報である写真の画像として得ることに り、どの場所でどの波長の光が発光してい かを明らかにするものである。加速電圧500V おける、CLスペクトルを、図3に示す。発光 ペクトル観察により、この蛍光体は電子線 励起されて青色発光を示すことが確認され 。

 得られた粉末について、日立製作所製の走 透過型電子顕微鏡(HD―2300C型)を用いて原子 置を観察した。試料はウルツ型AlN結晶のC軸 方向に積層した構造を有し、Al(O、N) 4 四面体層とEuを含む骨格からなる層とが積層 た構造であった。

<実施例2>
 原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93 重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末(宇部 産製SN-E10グレード)、比表面積3.3m 2 /g、酸素含有量0.85%の窒化アルミニウム粉末( クヤマ製Fグレード)、および純度99.9%の酸化 ユーロピウム粉末(信越化学製)を用いた。

 組成式Eu a A b Al c Si d O e N f C g において、a=0.0024、b=0、c=0.464、d=0.0286、e=0.002 4、f=0.5026およびg=0で示される出発原料組成を 得るべく、窒化ケイ素粉末6.433質量%、窒化ア ルミニウム粉末91.641質量%、酸化ユーロピウ 粉末1.926質量%を秤量し、窒化ケイ素焼結体 の乳鉢と乳棒とを用いて混合した後に、目 き125μmのふるいを通すことにより流動性に れる粉体凝集体を得た。なお、この混合粉 には原料粉末由来の不純物酸素量が0.85質量% 以上含まれている。この粉体凝集体を直径20m m高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自 落下させて入れたところ、嵩密度は約15体 %であった。嵩密度は、投入した粉体凝集体 重量とるつぼの内容積と粉体の真密度とか 計算した。つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱 式の電気炉にセットした。焼成操作は、ま 、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし 室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し 800℃で純度が99.9995体積%の窒素を導入して ス圧力を1MPaとし、毎時500℃で2050℃まで昇温 し、その温度で4時間保持した。

 合成した試料25mgを白金るつぼに計り取り、 炭酸ナトリウム0.75gとホウ酸0.3gとを加えて加 熱溶解し、塩酸および水を加えた溶液に対し て、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析を行い、構 成するカチオン元素の定量を行った。また、 試料約10mgをスズカプセルおよびニッケルバ ケットに入れて、LECO社のTC436型酸素窒素分 計を用いて、赤外線吸収法により酸素を、 伝導度法により窒素を定量した。これらの 定により、合成した試料の組成は、Eu 0.0014 Al 0.479 Si 0.0154 O 0.0010 N 0.5032 であり、酸素量が0.08±0.01質量%まで低減した

 合成した試料を窒化ケイ素製の乳鉢と乳 とを用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X 回折測定(XRD)を行った。その結果、図1に示 様に、得られたチャートからウルツ型AlN構 の結晶の生成が確認され、その他の結晶相 検出されなかった。

 得られた粉末に、波長365nmの光を発する ンプで照射した結果、青色に発光すること 確認した。この粉末の発光スペクトルおよ 励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用い 測定した。図4に、ホトルミネッセンス測定 おける、励起スペクトルおよび発光スペク ルを示す。290nmの波長に励起スペクトルの ークがあり、励起スペクトルのピーク波長 の励起において、462nmに発光スペクトルのピ ークを持つ青色光を発する蛍光体であること が分かった。

 電子線を当てたときの発光特性(カソード ルミネッセンス、CL)を、実施例1と同様に、CL 検知器を備えたSEMで観察し、CL像を評価した 加速電圧500Vにおける、CLスペクトルを、図3 に示す。発光スペクトル観察により、この蛍 光体は電子線で励起されて青色発光を示すこ とが確認された。

<実施例3>
 原料粉末は、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93 重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末(宇部 産製SN-E10グレード)、比表面積3.3m 2 /g、酸素含有量0.85%の窒化アルミニウム粉末( クヤマ製Fグレード)、純度99.99%の酸化亜鉛 末(高純度化学製試薬級)、および純度99.9%の 化ユーロピウム粉末(信越化学製)を用いた

 組成式Eu a Zn b Al c Si d O e N f C g において、a=0.0024、b=0.004762、c=0.45952、d=0.02857 1、e=0.007143、f=0.497604およびg=0で示される出発 原料組成を得るべく、窒化ケイ素粉末6.368質 %、窒化アルミニウム粉末89.787質量%、酸化 ーロピウム粉末2.000質量%、酸化亜鉛粉末1.85 量%を秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と 乳棒とを用いて混合した後に、目開き125μmの ふるいを通すことにより流動性に優れる粉体 凝集体を得た。なお、この混合粉末には原料 粉末由来の不純物酸素量が0.85質量%以上含ま ている。この粉体凝集体を直径20mm高さ20mm 大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下さ て入れたところ、嵩密度は約15体積%であっ 。嵩密度は、投入した粉体凝集体の重量と つぼの内容積と粉体の真密度とから計算し 。つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電 炉にセットした。焼成操作は、まず、拡散 ンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温か 800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で 度が99.9995体積%の窒素を導入してガス圧力を 1MPaとし、毎時500℃で2050℃まで昇温し、その 度で4時間保持した。

 合成した試料25mgを白金るつぼに計り取り、 炭酸ナトリウム0.75gとホウ酸0.3gを加えて加熱 溶解し、塩酸および水を加えた溶液に対して 、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析を行い、構成 するカチオン元素の定量を行った。また、試 料約10mgをスズカプセルおよびニッケルバス ットに入れて、LECO社のTC436型酸素窒素分析 を用いて、赤外線吸収法により酸素を、熱 導度法により窒素を定量した。これらの測 により、合成した試料の組成は、Eu 0.0008 Al 0.488 Si 0.0103 O 0.0006 N 0.500 であり、酸素量が0.05±0.02質量%まで低減した なお、合成した試料の組成式の指数の合計 1になっていないのは、添加した亜鉛は焼成 中に揮発し、残存量は検出限界の0.01質量%ま 低減したもののわずかながらにZnが存在す ためと考えられる。

 合成した試料を窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒 用いて粉砕し、CuのK α 線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行った。そ の結果、図1に示す様に、得られたチャート らウルツ型AlN構造の結晶の生成が確認され その他の結晶相は検出されなかった。

 得られた粉末に、波長365nmの光を発する ンプで照射した結果、青色に発光すること 確認した。この粉末の発光スペクトルおよ 励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用い 測定した。図5に、ホトルミネッセンス測定 おける、励起スペクトルおよび発光スペク ルを示す。288nmの波長に励起スペクトルの ークがあり、励起スペクトルのピーク波長 の励起において、464nmに発光スペクトルのピ ークを持つ青色光を発する蛍光体であること が分かった。

 電子線を当てたときの発光特性(カソード ルミネッセンス、CL)を、実施例1と同様に、CL 検知器を備えたSEMで観察し、CL像を評価した 加速電圧500Vにおける、CLスペクトルを、図3 に示す。発光スペクトル観察により、この蛍 光体は電子線で励起されて青色発光を示すこ とが確認された。

<比較例1>
 実施例1において、1950℃での保持時間を4時 に短縮させた以外は同一であるため説明を 略する。

 実施例1と同様に、ICP分析を行い、構成する カチオン元素の定量を行った。また、実施例 1と同様に、赤外線吸収法により酸素を、熱 導度法により窒素を定量した。これらの測 により、合成した試料の組成は、Eu 0.0008 Al 0.488 Si 0.0103 O 0.0006 N 0.5003 であり、酸素含有量は0.43±0.01質量%であり、 素含有量は仕込みより低下したものの、依 として0.4質量%を超えていた。実施例1およ 比較例1から、同じ出発原料組成および同じ 成温度であっても、焼成時間を長くするこ により、酸素含有量が効果的に低下するこ が示された。

 合成した試料を窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒 を用いて粉砕し、CuのK α 線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行った。そ の結果、図1に示す様に、得られたチャート らウルツ型AlN構造の結晶の生成が確認され その他の結晶相は検出されなかった。

 得られた粉末に、波長365nmの光を発する ンプで照射した結果、青色に発光すること 確認した。この粉末の発光スペクトルおよ 励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用い 測定した。図6に、ホトルミネッセンス測定 おける、励起スペクトルおよび発光スペク ルを示す。288nmの波長に励起スペクトルの ークがあり、励起スペクトルのピーク波長 の励起において、467nmに発光スペクトルのピ ークを持つ青色光を発する蛍光体であること が分かった。

 電子線を当てたときの発光特性(カソード ルミネッセンス、CL)を、実施例1と同様に、CL 検知器を備えたSEMで観察し、CL像を評価した 加速電圧500Vにおける、CLスペクトルを、図3 に示す。発光スペクトル観察により、この蛍 光体は電子線で励起されて青色発光を示すこ とが確認された。CLにおいても、発光波長が 波長であり、青色の色純度が良くないこと 確認された。

 <実施例4>
 原料粉末は、平均粒径0.5μmの炭化ケイ素粉 (住友大阪セメント製)、比表面積3.3m 2 /g、酸素含有量0.85%の窒化アルミニウム粉末( クヤマ製Fグレード)、および、純度99.9%の酸 化ユーロピウム粉末(信越化学製)を用いた。

 組成式Eu a A b Al c Si d O e N f C g において、a=0.001、b=0、c=0.468909、d=0.030091、e=0 .001、f=0.468909およびg=0.030091で示される出発原 料組成を得るべく、炭化ケイ素粉末5.597質量% 、窒化アルミニウム粉末93.175質量%、酸化ユ ロピウム粉末1.23質量%を秤量し、窒化ケイ素 焼結体製の乳鉢と乳棒とを用いて混合した後 に、目開き125μmのふるいを通すことにより流 動性に優れる粉体凝集体を得た。焼成操作は 、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空 とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加 熱し、800℃で純度が99.9995体積%の窒素を導入 てガス圧力を1MPaとし、毎時500℃で2000℃ま 昇温し、その温度で8時間保持した。

 合成した試料を実施例1と同様の手法で測定 した結果、酸素量は0.4質量%以下であること 確認した。次いで、合成した試料を窒化ケ 素製の乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、CuのK α 線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行った。得 られたチャートからウルツ型AlN構造の結晶の 生成が確認され、その他の結晶相は検出され なかった。
 得られた粉末に、波長365nmの光を発するラ プで照射した結果、青色に発光することを 認した。

 電子線を当てたときの発光特性(カソード ルミネッセンス、CL)を、実施例1と同様に、CL 検知器を備えたSEMで観察し、この蛍光体は電 子線で励起されて青色発光を示すことが確認 された。この粉末の発光スペクトルおよび励 起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測 定した。その結果、292nmの波長に励起スペク ルのピークがあり、励起スペクトルのピー 波長での励起において、465nmに発光スペク ルのピークを持つ青色光を発する蛍光体で ることが分かった。以上、実施例1~4によれ 、得られた蛍光体中の酸素量を0.4質量%以下 することにより、短波長の発光ピーク波長 有する色純度のよい青色蛍光体となること 分かった。このように酸素含有量を制御す ことによって、発光スペクトルのピーク位 をナノメートルオーダで短波長側に調整で ることは、デバイス設計上有利である。

<実施例5>
 次に、本発明の窒化物からなる蛍光体を用 た照明器具について説明する。図7に、照明 器具としての白色LEDの概略構造図を示す。本 発明の窒化物からなる蛍光体およびその他の 蛍光体を含む混合物蛍光体1と、発光素子と て380nmの近紫外LEDチップ2を用いる。本発明 実施例1の蛍光体と、Ca 0.75 Eu 0.25 Si 8.625 A1 3.375 O 1.125 N 14.875 の組成を持つCa-α-サイアロン:Euの黄色蛍光体 とを樹脂層6に分散させた混合物蛍光体1をLED ップ2上にかぶせた構造とし、容器7の中に 置する。導電性端子3、4に電流を流すと、ワ イヤーボンド5を介して電流がLEDチップ2に供 され、380nmの光を発し、この光で黄色蛍光 および青色蛍光体の混合物蛍光体1が励起さ てそれぞれ黄色および青色の光を発し、黄 および青色が混合されて白色の光を発する 明器具として機能する。この照明器具は、 光効率が高い特徴がある。

<実施例6>
 図7を参照して、上記配合とは異なる配合設 計によって作製した照明器具を示す。先ず、 発光素子として380nmの紫外LEDチップ2を用い、 本発明の実施例1の蛍光体と、特許文献3の実 例1に記載の緑色蛍光体(β-サイアロン:Eu)と 許文献6の実施例1に記載の赤色蛍光体(CaSiAlN 3 :Eu)とを樹脂層6に分散させて混合物蛍光体1と して紫外LEDチップ2上にかぶせた構造とする 導電性端子3、4に電流を流すと、LEDチップ2 380nmの光を発し、この光で青色蛍光体と緑色 蛍光体と赤色蛍光体とが励起されて青、緑、 赤色の光を発し、これらの蛍光体からの光が 混合されて白色の光を発する照明器具として 機能する。

<実施例7>
 次に、本発明の窒化物蛍光体を用いた画像 示装置の設計例について説明する。図8は、 画像表示装置としてのプラズマディスプレイ パネルの原理的概略図である。赤色蛍光体(Y( PV)O 4 :Eu)8と緑色蛍光体(Zn 2 SiO 4 :Mn)9と本発明の実施例1の青色蛍光体10とがそ ぞれのセル11、12、13の内面に塗布されてい 。電極14、15、16、17に通電するとセル中でXe 放電により真空紫外線が発生し、これにより 蛍光体が励起されて、赤、緑、青の可視光を 発し、この光が保護層20、誘電体層19、ガラ 基板22を介して外側から観察され、画像表示 として機能する。

<実施例8>
 図9は、画像表示装置としてのフィールドエ ミッションディスプレイパネルの原理的概略 図である。本発明の実施例1の青色蛍光体56が 陽極53の内面に塗布されている。陰極52とゲ ト54との間に電圧をかけることにより、エミ ッタ55から電子57が放出される。電子は陽極53 と陰極52との電圧により加速されて、蛍光体5 6に衝突して蛍光体56が発光する。全体はガラ ス51で保護されている。図は、1つのエミッタ と1つの蛍光体からなる1つの発光セルを示し が、実際には青色の他に、緑色、赤色のセ が多数配置されて多彩な色を発色するディ プレイが構成される。緑色や赤色のセルに いられる蛍光体に関しては特に指定しない 、低速の電子線で高い輝度を発するものを いるとよい。

 本発明の窒化物蛍光体は、従来のサイア ンとは異なる青色の発光を示し、さらに励 源に曝された場合の蛍光体の輝度の低下が ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに 適に使用される窒化物蛍光体である。今後 電子線励起の各種表示装置において大いに 用され、産業の発展に寄与することが期待 きる。