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Patent Searching and Data


Title:
FOOD COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026629
Kind Code:
A1
Abstract:
A food composition containing an extract obtained by using a fishery product or a processed fishery product as a raw material, a fruit and/or a fruit extract, and a sweetener at a solid mass ratio of 100:1 to 50:10 to 150 is provided. As the processed fishery product, for example, a dried and smoked fish is used. An extract of this dried and smoked fish is a powder obtained by adding an excipient and a yeast extract containing a sulfur-containing compound to an extract liquid of dried and smoked fish followed by drying, and it is preferred that the yeast extract contains the sulfur-containing compound such that the mass ratio of sulfur element to the solid content of extract liquid of dried and smoked fish is in the range of from 2.5 x 10-6 to 2.5 x 10-1%. It is further preferred that the excipient to be added to the extract liquid of dried and smoked fish contains cyclodextrin at 1 to 35% by mass based on the solid content of extract. The food composition of the invention can be added to various foods, and is useful as a food composition having, for example, an anti-fatigue and/or anti-stress action.

Inventors:
MATSUSHIMA KENJI (JP)
ISHII HIDENORI (JP)
YAMASHITA KINJI (JP)
KURODA MOTONAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066744
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 29, 2007
Export Citation:
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Assignee:
AJINOMOTO KK (JP)
MATSUSHIMA KENJI (JP)
ISHII HIDENORI (JP)
YAMASHITA KINJI (JP)
KURODA MOTONAKA (JP)
International Classes:
A23L1/30; A23L27/00; A23L27/10
Domestic Patent References:
WO2005087022A12005-09-22
WO2004032652A12004-04-22
Foreign References:
JPS4948872A1974-05-11
JP2005046109A2005-02-24
JPH1132721A1999-02-09
Other References:
AJINOMOTO CO., INC.: "Nomu Katsuo Dashi 'Katsuo no Chikara' Hatsubai Dento Shoku no Kenko Kachi o Katsuyo", HATSUBAI DENTO SHOKU NO KENKO KACHI O KATSUYO, 8 November 2006 (2006-11-08), XP003021263
"Katsuo no Chikara de Genki Dashitene Aji no Moto, Kenko Shokuhin No Tsuhan Kaishi", FUJISANKEI BUSINESS 1, 7 November 2006 (2006-11-07), pages 9, XP003021264
AJINOMOTO CO., INC.: "Wafu Chomiryo ni Tsuika 'Kakeru Odashi Umejiso Aji' 23 Nichi kara Hatsubai", NIPPON SHOKURYO SHINBUN, 4 February 1998 (1998-02-04), XP003021265
Attorney, Agent or Firm:
KATO, Asamichi et al. (daVinci BOSEI 7th Floor 20-12,Shin-Yokohama 3-chome,Kohoku-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 33, JP)
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Claims:
 魚介類又は魚介類加工品を原料とする抽出物と、果実及び/又は果実抽出物と、甘味料とを、それぞれの固形分質量にて100:1~50:10~150の割合で含むことを特徴とする食品組成物。
 前記魚介類加工品を原料とする抽出物が、魚節抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の食品組成物。
 前記の果実及び/又は果実抽出物が、梅由来であることを特徴とする請求項1に記載の食品組成物。
 前記魚節抽出物が、魚節抽出液に賦形剤と含硫化合物含有酵母エキスとを添加した後に乾燥して得られる粉末であって、当該酵母エキスが、魚節抽出液の固形分に対して硫黄元素の質量比で2.5×10 -6 ~2.5×10 -1 %の範囲となる含硫化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の食品組成物。
 前記賦形剤が、魚節抽出液の固形分に対して1~35質量%のサイクロデキストリンを含むことを特徴とする請求項4に記載の食品組成物。
 前記含硫化合物が、システイン、グルタチオン、γ-グルタミルシステイン、システニルグリシン、及びそれらの塩から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4又は5に記載の食品組成物。
 前記酵母エキスが、硫黄元素換算で0.025~2.5質量%となるように、システイン、γ-グルタミルシステイン、グルタチオン、システニルグリシン及びそれらの塩から選ばれる何れか1種又は2種以上を添加して調製されることを特徴とする請求項4又は5に記載の食品組成物。
 前記魚節抽出液の乾燥が、スプレードライ法又はドラムドライ法を用いて行なわれることを特徴とする請求項4又は5に記載の食品組成物。
 前記魚節抽出物が、魚節から75~95℃の熱水で30~60分間抽出した抽出液であることを特徴とする請求項2に記載の食品組成物。
 請求項1~9何れか記載の食品組成物を含むことを特徴とする調味料。
 請求項1~9何れか記載の食品組成物を含むことを特徴とする飲食品又は健康補助食品。
 請求項1~9いずれか記載の食品組成物を構成成分として含むことを特徴とする、抗疲労及び/又は抗ストレス作用を有する食品組成物。
 前記食品組成物が鰹節を原料とするものであり、当該食品組成物を1食あたり0.5g以上含有することを特徴とする、請求項12記載の抗疲労及び/又は抗ストレス作用を有する食品組成物。
 対象者の疲労及び/又はストレスを軽減する方法であって、請求項1~9いずれか記載の食品組成物をそのような必要のある対象者に経口的に摂取させることを含む方法。
Description:
食品組成物

[関連出願の記載]
 本発明は、日本国特許出願:特願2006-233193号( 平成18年8月30日出願)、特願2006-233194号(平成18 8月30日出願)及び特願2006-259225号(平成18年9月 25日出願)の優先権主張に基づくものであり、 同出願の全記載内容は引用をもって本書に組 み込み記載されているものとする。
 本発明は、魚介類又は魚介類加工品を原料 する食品組成物、その一例を挙げれば、鰹 より抽出した抽出物を粉末化してなる食品 成物に関するものである。また、当該食品 成物を含む抗疲労及び/又は抗ストレス作用 を有する食品組成物に関するものある。

 魚節あるいは煮干から熱水抽出により取 される抽出物(「だし」)は抽出後、空気中 放置すると、時間の経過とともに抽出直後 だし本来の好ましい風味を速やかに消失し しまう。この抽出だしの風味劣化の遅延と らには腐敗を防止し長期的に保存する上で だしを粉末化する手法が一般的に行われて る。

 だしを粉末化する手法としては、抽出し だしに直接または間接的に熱を加え水分を 発させる方法、又は凍結乾燥やマイクロ波 燥法が公知の常法であるが、前者では熱劣 による初期品質低下が著しく、後者では工 的に大規模な設備投資が必要となり、コス 面から実施は困難である。

 特許文献1(特開平8-107768号公報)では、魚 類又は魚介類加工品を原料とする液状又は ースト状だしの製造工程において含硫化合 を添加することにより、だしが有する本来 風味が強化され、且つ製造後においては風 の劣化を抑制できる技術が開示されている しかしながら、本技術においてはだしの粉 化における劣化抑制効果については確認さ ていない。

 更に特許文献2(特開2005-46109号公報)におい て、燻製品より抽出されたエキス画分に含硫 化合物を添加し賦形剤をして粉末化すること で燻煙臭が増強されることが記載されている 。しかし、だし本来の風味や香りの劣化につ いては何ら記載されておらず、これを抑制す るという課題を認識することができないもの である。

 また、特許文献3(特開平11-32721号公報)に いて、サイクロデキストリンを添加した魚 類エキスを得るに際し、魚節類エキス中の サイクロデキストリン重量に対する、α-及 β-サイクロデキストリンの重量和の割合を60 %以上100%以下で、且つβ-サイクリデキストリ が10%以上とすることにより、本来の魚節類 ほとんど同様の香りを有する魚節類エキス びその乾燥物を得る方法が提案されている しかし、αとβの特定比率のサイクロデキス トリンを用いなければならず、風味や香りの 劣化を抑制する点においても満足すべきもの ではない。

 特に最近、抗疲労組成物として、アンセ ン、カルノシン及びバレニンから選ばれた なくとも1種以上であるイミダゾールジペプ チド類及び/又はその塩を有効成分として含 させること(例えば、特許文献4(特開2002-173442 号公報)参照)、更に、これらのイミダゾール 合物とD-リボースを有効成分として含有さ ること(例えば、特許文献5(特開2002-338473号公 報)が知られている。これらは、魚介類や畜 に多く含まれるアンセリンやカルノシンがAT Paseを活性化することから、魚介類、鶏肉、 肉などから得られるエキスの低分子画分を 限外濾過膜を通して特異的にイミダゾール プチド類、特にアンセリン、カルノシン及 バレニンなどを精製したものである。この から選ばれる少なくとも1種以上の投与によ 運動能力の向上及び抗疲労効果をもつこと 提唱されているが、運動負荷後の疲労回復 際に重要となるATP量の検討は行っていない で、疲労回復との関係は明らかではない。 に、疲労回復用食品組成物として、回遊魚 特に鰹の抽出物を有効成分として含有する 品組成物(例えば、特許文献6(WO2004/032652号パ ンフレット)が知られている。

 一方、抗ストレス組成物として、アンセ ン、カルノシン、バレニン、π-メチルヒス ジン及びτ-メチルヒスチジンの群から選ば た1種以上のイミダゾール化合物を含有する 組成物が、ヒトに対して過度の精神活動によ る疲労感を軽減し、集中力を増強する抗精神 疲労効果を有することが示されている。(例 ば、特許文献7(特開平9-20661号公報)参照)また 、アンセリン、バレニン、π-メチルヒスチジ ン及びτ-メチルヒスチジンの群から選ばれた 1種以上のイミダゾール化合物、又はこれを 成分とする抽出物を添加してなる抗ストレ 飲食品が開示され(例えば、特許文献8(特開 9-20660号公報)参照)、同文献の実施例5ではヒ の計算力試験及び短期記憶力試験を実施し いる。しかしながら、ここに、イミダゾー 化合物を主成分とする抽出物とは、例えば 魚類加工時の煮汁濃縮物から限外濾過及び オン交換樹脂を用いて分離された画分(同文 献実施例6(段落0039)参照)であって、イミダゾ ル化合物の含量は2%以上、好ましくは10%以 、より好ましくは50%以上がよく、特にアン リンの含量は1%以上、好ましくは5%以上、よ 好ましくは20%以上のものである(同文献段落 0014~0015参照)。この組成物は高コストであり 一般食品としては現実的ではないと考えら る。更にまた、回遊魚、特に鰹の抽出物を 効成分として含有する抗ストレス作用を有 る食品組成物も知られている(例えば、特許 献9(WO2005/087022号パンフレット)参照)。

 これらの、抗疲労及び/又は抗ストレス作用 を有する食品組成物に魚介類又は魚介類加工 品を原料とする液体抽出物を高濃度で大量に 利用しようとするときに、回遊魚の抽出物は 特有の苦味やエグ味が感じられるため、風味 や香りの嗜好性を向上することが求められて いた。

特開平8-107768号公報

特開2005-46109号公報

特開平11-32721号公報

特開2002-173442号公報

特開2002-338473号公報

WO2004/032652号パンフレット

特開平9-20661号公報

特開平9-20660号公報

WO2005/087022号パンフレット

 特許文献1~9の開示事項は、本書に引用をも て繰り込み記載されているものとする。
 本発明は、魚介類または魚介類加工品を原 とする液体抽出物を粉末化する際に生ずる 味や香りの劣化を簡便且つ効果的に抑制す ことのできる、食品組成物を提供すること ある。更に本発明は、抗疲労作用及び/又は 抗ストレス作用を有する食品組成物として、 魚介類または魚介類加工品の抽出物を高濃度 で用いる際に、特有の苦味やエグ味を低減す ると共に、風味や香りといった食品の嗜好性 を向上した、抗疲労及び/又は抗ストレス作 を有する食品組成物を提供することにある

 本発明者らは、前記の目的を達成すべく鋭 研究の結果、鰹などの回遊魚や回遊魚から られる魚介類または魚介類加工品の抽出物 特に魚節の抽出物に対し、果実又は果実抽 物と、甘味料とを所定の割合で配合するこ により、飲みやすくかつ抗疲労、抗ストレ 作用を有する食品組成物が得られることを 出した。さらに風味保持のため、上記魚節 出物が、魚節抽出液の固形分に対して硫黄 素の質量比で2.5×10 -6 ~2.5×10 -1 %の範囲となる含硫化合物含有酵母エキスを 加されること、粉末形態の調製においては 形剤として魚節抽出液の固形分に対して1~35 量%のサイクロデキストリンを添加し乾燥を 行うことにより、だし本来の風味と香りの劣 化が抑制され嗜好性が改善することを見出し 、このような知見に基づいて本発明を完成す るに至った。

 すなわち、本発明の食品組成物は、魚介類 たは魚介類加工品を原料とする抽出物と、 実及び/又は果実抽出物と、甘味料とを、そ れぞれの固形分質量にて100:1~50:10~150の割合で 含むことを特徴とする。好ましい実施形態に おいて、前記抽出物は、魚介類又は魚介類加 工品を原料とする液体抽出物に、サイクロデ キストリンを含む賦形剤と含硫化合物を含む 酵母エキスとを添加した後に、当該液体抽出 物を粉末化することを特徴とする。液体抽出 物に添加される前記賦形剤は、抽出物の固形 分に対して1~35質量%となるサイクロデキスト ンを含み、且つ前記酵母エキスは、抽出物 固形分に対して硫黄元素の質量比で2.5×10 -6 ~2.5×10 -1 %の範囲となる含硫化合物を含むことを特徴 する。前記含硫化合物は、システイン、γ- ルタミルシステイン、グルタチオン、シス ニルグリシン及びそれらの塩から選ばれる れか1種又は2種以上であることが好ましい。 本発明の1つの実施形態において、前記酵母 キスが、硫黄元素換算で0.025~2.5質量%となる うに、システイン、γ-グルタミルシステイ 、グルタチオン、システニルグリシン及び れらの塩から選ばれる何れか1種又は2種以 を添加して調製されることを特徴とする。 発明の他の好ましい実施形態として、前記 末にする工程が、スプレードライ法又はド ムドライ法を用いて行なわれる。本発明の に好ましい実施態様において、前記魚介類 工品が魚節であることを特徴とする。

 さらに、本発明の異なる観点において、 記食品組成物が、長期間にわたって風味や りが維持されると共に抗疲労及び/又は抗ス トレス作用を有することに基づきこれらの機 能を発揮し、従って、これらの用途に使用す ることが好ましい食品組成物を提供するもの である。前記食品組成物に含まれる抽出物は 魚介類または魚介類加工品、好ましくは魚節 、さらに好ましくは鰹節を原料とするもので あり、当該鰹節抽出物固形分を1食あたり0.5g 上含有することが好ましい。

 さらになお別の観点において、本発明は 対象者の疲労及び/又はストレスを軽減する 方法であって、上記食品組成物をそのような 必要のある対象者に経口的に摂取させること を含む。

 本発明の食品組成物は、魚介類または魚 類加工品、好ましくは魚節、さらに好まし は鰹節から抽出される成分に由来するとこ の抗疲労及び/又は抗ストレス作用を有する と共に、これらの原料特有の苦味やエグ味が 低減され、本発明によれば、粉末化する際に 添加したサイクロデキストリンと含硫酵母エ キスによってだしの風味、香りの劣化を抑制 できる粉末調味料及びこれを含有する食品組 成物を、簡便に且つ低コストで製造すること ができる。

 本発明において使用する抽出物の原料と ては、魚介類または魚介類加工品である。 くの場合、生鮮の魚介類よりも魚介類加工 が使用される。魚介類加工品としては魚節 例えば、回遊魚を生切り、煮熟、及び焙乾 行って得られ荒節、並びに荒節にカビ付け 行って得られた枯節等を用いることができ 。原料の節類から熱水抽出を行って抽出液 得た後、そのまま、あるいは濃縮後に乾燥 行って抽出物を得る。また、上記の原料と る節類に水を添加して、プロテアーゼ、ペ チダーゼ等のタンパク質分解酵素を添加し 酵素分解を行った後に熱水抽出操作を行い 抽出物を得ることも可能である。素干品あ いは塩干品の何れも使用されるが、特に魚 が適当である。魚節として「鰹節」「宗太 」「鯖節」「鯵節」「鰯節」「鮪節」「雑 節」「削り節」「粉末節」「荒節」などが 示される。

 このような魚介類または魚介類加工品か 抽出物を得るための一般的な抽出法として 、液化炭酸ガス抽出法、超臨界ガス抽出法 アルコール抽出法、熱水抽出法などがあり 特に限定されるものではないが、好ましい 出方法としては熱水抽出法が適当である。 水抽出の条件としては、魚節を75~95℃の熱 中で30~60分間抽出すればよい。

 上記抽出操作によって得られたエキス画 を粉末化する方法としては、真空乾燥法、 結乾燥法、スプレードライ法、ドラムドラ ヤー法、バキュームドラムドライヤー法、 イクロ波乾燥法などがある。本発明におい はこれら何れの方法も使用可能であるが、 熱劣化が著しいスプレードライ法、ドラム ライヤー法を用いたときの、だしの風味、 りの劣化抑制効果が著しい。

 本発明は、このような魚節抽出物の抗疲 及び/又は抗ストレス作用を効果的に発揮さ せるため、従来品より飲み易く、食品として の嗜好性を向上させるために、果実又は果実 抽出物の添加、及び甘味料の添加を行った。 果実又は果実抽出物の添加による酸味の付与 と甘味料を加えることによる甘さの付与によ り、高濃度の抽出物を単体で飲む上で妨げと なる苦味やエグ味がマスキングされ、嗜好性 を高めることが可能となる。配合の割合とし ては魚節抽出物の固形分100部に対し、果実又 は果実抽出物固形分(果汁においては可溶性 形分として)を1~50部の割合で添加する。好ま しくは2~40部の割合である。

 本発明で用いる果実又は果実抽出物は、 柑、檸檬、柚子、オレンジなどの柑橘類、 檎、梨、梅などをあげられるが、特に梅を いた時に、魚節との相性が良く摂取し易い 本発明に用いる梅は、青梅自身及びこれを 蔵して得られる一般的な梅干の他、これら 抽出した梅エキスや梅干エキス、更には梅 を作る際の漬け込み液も利用可能である。 、梅の抽出法は前述の抽出物の抽出法と同 に水抽出や熱水抽出が適当である。配合割 としては魚節抽出物の固形分100に対し、梅 や梅干及び抽出物固形分を1~50、好ましくは 2~40の割合で添加する。これを下回るとだし 苦味がマスクしきれず、一方で上回ると梅 呈味が先行し酸味が強く好ましくない。

 さらに甘味料に関してはその種類は問わ い。例えば、アスパルテーム、アセスルフ ームK、ステビアサイド、サッカリンなどの 高甘味度甘味料や、グリシン、アラニンなど のアミノ酸系甘味料、ショ糖、ブドウ糖、麦 芽糖、果糖、トレハロース、ラクトースなど の糖類、蜂蜜、糖蜜などいずれについても使 用することが可能である。また、澱粉の部分 分解物を用いることも可能である。上記の糖 類の一つ以上のものを混合して用いることも 可能である。ただし、上記の糖類の中では、 呈味質、風味質や加工特性の点からショ糖が 好ましい。糖類については魚節固形分の100部 に対して10~150部の割合で添加する。好ましく は80~130部の割合である。さらに好ましくは100 ~130部の割合が好ましい。これを下回ると魚 由来のだしの苦味がマスキングできず、一 で上回ると甘さが残って後味として好まし ない。

 本発明はさらに上記魚節抽出物の製造方 を工夫することにより、魚節抽出物のだし 風味、香りの劣化を抑制し、スープ等の液 食品としたときに飲み易くあるいはカプセ や顆粒状、ゼリー状等の固体状、半固体状 品としても摂取し易い食品組成物を提供す ことができる。

 本発明において、粉末化する際に添加す 賦形剤としては、デキストリン、乳糖、塩 グルタミン酸ナトリウム、グラニュー糖、 ラチン等の公知の賦形剤が使用可能である 、少なくともその一部又は全部にサイクロ キストリンを含むことを特徴とする。サイ ロデキストリンは、D-グルコースがα(1→4) 合で環状構造を形成したものであり、一般 にはグルコースが6個から8個結合したものが 知られ、それぞれ、α-、β-、γ-サイクロデキ ストリンと呼ばれている。デンプンにバチル ス属由来の細菌酵素を作用させて合成される 。内部にある孔隙に一定の大きさの分子を包 接する性質があり、その性質を利用して不安 定な物質の安定化や疎水性物質の可溶化等、 食品や医薬品分野において利用されている。 本発明の方法で使用するサイクロデキストリ ンの形態(種類)は特に限定されないが、コス および品質の観点からβ-サイクロデキスト ンが好ましい。サイクロデキストリンの添 量は、抽出物の固形分に対して1~35質量%の 囲、好ましくは5~20質量%、さらに好ましくは 5~10質量%の範囲で添加される。1質量%より少 いと本発明の効果が得られにくく、35質量% り多いとサイクロデキストリン自体の呈味 影響し、だしの呈味が弱く感じられるとと にコスト的にも負担が大きい。

 本発明において粉末化する際に添加する 硫化合物としては、食品として安全で且つ 硫化合物を多く含有する酵母エキスの形態 添加されることが好ましい。酵母エキスと ては、ビール酵母、パン酵母又はトルラ酵 等の一般的な材料を、自己消化法、酵素消 法又は酸分解法等によって得られる酵母エ スであれば特に制限はなく、これらは市販 を入手し、又は所望により製造することも きる。含硫化合物の含量が高い場合、例え 、培養法や抽出法を工夫することにより得 れるグルタチオン等の含硫化合物を高濃度 含む酵母エキスの場合はそのまま用いるこ もできるが、含硫化合物を別途添加し、そ 含量が所定の範囲となるように調整するこ が好ましい。本発明の方法に用いる含硫化 物としては、食品素材中に一般に含まれる 硫化合物であれば特に限定されず、例えば システイン、シスチン、メチオニン、タウ ン等の含硫アミノ酸、グルタチオン、γ-グ タミルシステイン、システニルグリシン等 含流ペプチド、及びチアミン等の含流ビタ ン等を挙げることができる。その中でも、 にスルフヒドリル基を有する含硫化合物が ましく、例えば、システイン、グルタチオ 、γ―グルタミルシステイン、システニル リシン並びにそれらの塩、及び/又は水和物 を挙げることができる。例えば、システイ は塩酸塩又は水和物でもよく、また、シス ンのようなジスルフィドから還元によって ルフヒドリル基が生成されてもよい。これ のスルフヒドリル基を含む含硫化合物の何 か1つ以上を用いた場合に、本発明に係るだ しの風味、香りの劣化抑制効果が大きい。こ れらの含硫化合物は、1種又は2種以上の組成 として酵母エキスに予め添加するか、又は 母エキスと共に液体抽出物に含硫化合物の 晶又は粉末を散布、添加する方法、含硫化 物の結晶又は粉末を含有する希釈物粉末を 布、添加する方法、含硫化合物の高濃度水 溶液を噴霧、添加する方法などの任意の添 方法が採用されるが、添加終了時に含硫化 物が均一に分布していることが好ましい。

 本発明において添加される含硫化合物の量 、抽出物の固形分に対して硫黄元素の質量 で2.5×10 -6 ~2.5×10 -1 %の範囲、好ましくは2.5×10 -4 ~2.0×10 -3 %の範囲で添加することが好ましい。添加量 2.5×10 -6 %以下ではだし風味保持の効果は殆ど得られ 、2.5×10 -1 %以上では含硫化合物及び酵母エキス自体の 味が前面に感じられ、だし風味を損ねる可 性がある。したがって特に好ましくは、酵 エキスと含硫化合物とを予め混合し、含硫 合物の濃度を高め、又は所定の濃度範囲と るように調整した含硫酵母エキスを用いる とができる。例えば、硫黄元素換算で0.025~2. 5質量%となるように、システイン、γ-グルタ ルシステイン、グルタチオン、システニル リシン及びそれらの塩から選ばれる何れか1 種又は2種以上を添加して含硫酵母エキスを 製することができる。これを抽出物の固形 に対して0.01~10質量%程度添加することにより 、含硫化合物の濃度を好ましい範囲に調整す ることができる。

 本発明の食品組成物は、上記のように魚 類エキスと、サイクロデキストリンを含む 形剤と、含硫化合物を含む酵母エキスとを 一に粉末化したものであるが、更に、必要 よりその他の添加剤を含んでもよい。その 合の添加剤としては、グルタミン酸ソーダ の調味料、砂糖、塩、香辛料、保存安定剤 着色料、香料等の、風味、呈味、物性改善 等を挙げることができる。また、上記酵母 キスには様々な種類があることから、旨み コクを強化するために、5’-イノシン酸(IMP) ナトリウムや5’-グアニル酸(GMP)ナトリウム 高含量のものを用いてもよい。

 また、魚類及び/又は魚節抽出物が1食あ りの抽出物の固形分換算重量で0.5g以上、好 しくは1.0~10g摂取できるように、本発明の食 品組成物を単独又は上記に示した添加剤と混 合することにより、抗疲労、抗ストレス作用 を有する食品組成物を提供することが可能で ある。なお、ここでいうところの抗疲労、抗 ストレス作用とは、からだを疲労の状態から いち早く回復する疲労回復作用、運動負荷や 精神負荷を与えた際に疲れにくくする効果、 又は日常的に感じる眼精疲労、精神的疲労、 若しくは精神不全等のストレスを軽減し、さ らには頭脳作業の効率を改善する作用を示す 。すなわち、本発明は、このような魚類及び /又は魚節抽出物の抗疲労及び/又は抗ストレ 作用を効果的に発揮させるため、従来品よ 飲み易く、食品としての嗜好性が向上した のである。これらの作用が発揮されるため は、ある程度の期間にわたって摂取する必 があることから食品としての嗜好性は極め 重要である。なお、かかる抗疲労及び/又は 抗ストレス作用を示す有効成分については、 本出願人による先の出願(国際公開第2004/032652 号パンフレット及び国際公開第2005/087022号パ フレット)に基本的に開示されており、これ らの内容は参照により本願に組み込まれるも のとする。

 本発明の食品組成物は、抗疲労、又は抗 トレス作用を妨げない範囲内で適当な添加 を配合することができる。そのような添加 としては、タンパク質(乳タンパク質、大豆 タンパク質等)、糖類、脂肪、ミネラル、ビ ミン類、嬌味成分、賦形成分、静菌成分、 素成分等でありうる。

 このようにして製造された本発明の食品 成物は、そのまま粉末混合物として、ある は適宜液体混合物を調製して医薬品、飲食 、サプリメント、調味料等として用いるこ ができる。飲食品の形態としては、固形又 液状の食品ないし嗜好品、例えば、パン、 類、ごはん、菓子類(ビスケット、クッキー 、ケーキ、キャンデー、チョコレート、チュ ーインガム、和菓子)豆腐及びその加工品、 りん、食酢、醤油、味噌、ドレッシング、 ーグルト、ハム、マヨネーズ等の加工食品 かまぼこ、揚げ天、はんぺん等の水産食品 果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アル ール飲料、茶等の飲料等が挙げられる。

 次に、実施例により本発明をさらに詳細 説明するが、本発明はこれらの例によって ら限定されるものでない。

 鰹節抽出物の粉末化におけるサイクロデ ストリン添加系評価を実施した。まず事前 低分子含硫化合物含有量が少ない酵母エキ (味の素株式会社製「酵母エキスNo.1」、自 消化型酵母エキス、含硫化合物濃度0.05質量% 以下と見積もられる。)100gにシステイン2gを 加しシステイン含有酵母エキスを調製した 一般的に市販されている鰹節を25%(w/w)になる ように調製し、80℃の熱水で60分間抽出した 得られた高濃度鰹節抽出物1000gに、先に調製 したシステイン含有酵母エキスを0.1g、β-サ クロデキストリン(日本食品化工(株)セルデ クスB-100))とデキストリン(三和澱粉工業(株) サンデック♯100」)をあわせて15g添加(各添 割合は下記表1参照)した液体抽出物溶液をス プレードライにて粉末化した。本粉末5gを熱 95gで希釈し、下記表1に付記した評価基準に 従って溶液の官能評価を実施した。

 その結果、下記表1に記すように賦形剤と してデキストリンに代わりサイクロデキスト リンを添加することで鰹だしの風味と香りの 劣化が抑制されかつ好ましかった。

〈評価基準〉評点  5点:強い、または好まし い
          4点:やや強い、またはやや好 しい
          3点:無添加と同じ
          2点:やや弱い、またはやや好 しくない
          1点:弱い、または好ましくな

 次に、各含硫化合物の酵母エキスの系に 評価した。低分子含硫化合物含有量が少な 酵母エキス(味の素株式会社製「酵母エキス No.1」、自己消化型酵母エキス)をコントロー (対照品)に用いて、酵母エキス各100gにシス インは2g、グルタチオンは5g添加し含硫酵母 エキスを調製した。一般的に市販されている 鰹節を25%(w/w)になるように調製し90℃の熱水 30分間抽出した。得られた高濃度鰹節抽出物 1000gに先に調製した酵母エキスを0.1g、β-サイ クロデキストリン(日本食品化工(株)「セルデ ックスB-100」)を5g、デキストリン(三和澱粉工 業(株)「サンデック♯100」)を10g添加した液体 抽出物溶液をスプレードライにて粉末化した 。本粉末5gを熱水95gで希釈し、実施例1の評価 基準に従って溶液の官能評価を実施した。

 その結果、下記表2に記すように含硫化合 物の添加により鰹だしの風味と香りの劣化が 抑制されかつ好ましかった。

[鰹節抽出物への果実抽出物と甘味料の添加 果]
 次に実施例2の試験区1をコントロールとし 風味と香りの劣化が抑制された鰹節抽出物 おける果実と甘味料を添加することでの飲 易さの改善効果を評価した。上記の通りコ トロールには一般的に市販されている鰹節 25%(w/w)になるよう調整し85℃で45分熱水抽出 た高濃度鰹節抽出物1000gに、事前に低分子含 硫化合物含有量が少ない酵母エキス100gにシ テインを2g添加して調整しておいた酵母エキ ス0.1g、β-サイクロデキストリン(日本食品化 (株)「セルデックスB-100」)5g、デキストリン (三和澱粉工業(株)「サンデック♯100」)10g添 しスプレードライにて粉末化した鰹節抽出 粉末(表では鰹だし粉末と記述した)を使用し た。ここへ果実抽出物として市販の梅肉粉末 (井村屋製菓(株)「梅パウダー」)、レモン果 ((株)ポッカコーポレーション「100レモン」) ゆず果汁(青果)、甘味料としてショ糖、蜂 (味の素(株)「はちみつシロップ」)を添加し サンプルを調整し、試飲時の鰹節抽出物濃 が一定となるように希釈(単純に果実抽出物 と甘味料分を上乗せ)して実施例1と同じ評価 準に従って官能評価を実施した。

 その結果、下記の通り、果実抽出物と甘 料を添加することで鰹節抽出物として飲み さが向上した。

[精神的ストレスに対する影響]
 一般的に市販されている鰹節を25%(w/w)にな ように調製し90℃の熱水で45分間抽出した。 られた鰹節抽出物5kgにデキストリン(三和澱 粉工業(株)「サンデック♯100」)を250g添加し 凍結乾燥によって粉末化した。得られた鰹 抽出物粉末100重量部に対して、市販梅肉粉 50.5重量部、グラニュー糖55.9重量部、市販昆 布エキス粉末20.4重量部を混合することによ 、本発明の食品組成物を得た。また、上記 組成物の鰹節抽出物粉末の区分を、鰹節フ ーバー粉末、カラメル、食塩およびデキス リンに置換して、鰹節抽出物粉末以外の原 を同一にして調製した組成物をプラセボ試 として用いた。

 精神的なストレスを表す生化学指標の変 に対する影響調査を二重盲検クロスオーバ 法にて実施した。健康な成人女子35名(平均 齢21.1±1.2歳、平均±標準偏差)を2群に分けて 、上記で調製した食品組成物11.5g(鰹節抽出物 固形分2.4g含有)又はプラセボ試料11.5gを2週間 取させた(第1摂取期間)。6週間のウォッシュ アウト期間の後に、第1摂取期間とは異なる 料を2週間摂取させた(第2摂取期間)。摂取期 前後の測定日の一定時刻に、被験者の唾液 採取し、精神的なストレスを表す生化学指 として報告されているコルチゾール含量な びにアミラーゼ活性を測定した。唾液コル ゾールの分析値を表4に、唾液アミラーゼ活 性の測定結果を表5に示す。表4に示したよう プラセボ摂取時には唾液コルチゾール含量 増加したが、一方、本発明の食品組成物の 取時には減少する傾向が示された。また、 5に示したように、プラセボ摂取時には唾液 アミラーゼ活性は増加したが、一方、本発明 の食品組成物の摂取時には減少する傾向が示 された。すなわち、プラセボ摂取時には、い ずれのストレスの生化学指標も増加し、本発 明の食品組成物の摂取時には減少する傾向が 示された。以上の結果から、本発明の食品組 成物を2週間、継続摂取することにより、精 的なストレスが軽減されることが示された

[日常疲労感および精神ストレスに対する影 ]
 日常疲労感および精神ストレス(精神的なス トレスを表す生化学指標の変化)に対する本 明の食品組成物摂取の影響調査を二重盲検 ロスオーバー法にて実施した。日常疲労感 ついてはPOMS(Profile of Mood States)試験により 価を行った(横山ら、日本公衆衛生学雑誌;37 ,913-918,1990)。疲労感を有する成人女子(POMS試 の「疲労」スコアのT得点が50点以上の人を 定して被験者とした)15名(平均年齢21.5±1.3歳 平均±標準偏差)を2群に分けて、実施例4に 調製した食品組成物11.6g(鰹節抽出物固形分2. 4g含有)またはプラセボ試料11.6gを2週間摂取さ せた(第1摂取期間)。6週間のウォッシュアウ 期間の後に、第1摂取期間とは異なる試料を2 週間摂取させた(第2摂取期間)。摂取期間前後 の測定日の一定時刻にPOMS試験(金子書房(株) 、No.850を使用した)による気分・感情状態の 査を実施し、「疲労」項目のスコアについ 測定を行った。また、試料摂取期間中の就 時に疲労に関連する項目を調査する自覚症 アンケートを行った。この自覚症状アンケ トは「疲労感」、「目の疲労感」、「集中 」、「眠りの深さ」の4項目からなり、1点 ら5点の5点評価法にて調査した。「疲労感」 および「目の疲労感」については1点(非常に く感じる)、2点(強く感じる)、3点(やや感じ )、4点(あまり感じない)、5点(まったく感じ い)とした。「集中力」については1点(まっ くない)、2点(あまりない)、3点(ややある)、 4点(ある)、5点(非常にある)とした。また、「 眠りの深さ」については、1点(浅い)、2点(や 浅い)、3点(どちらでもない)、4点(やや深い) 、5点(深い)とした。なお、自覚症状アンケー トについてはそれぞれの摂取期間の第1週の7 間のスコアと第2週のスコアのそれぞれの平 均値を求めて比較を行った。さらにPOMS試験 施前に唾液の採取を行い、精神的なストレ を表す生化学指標として報告されているコ チゾール含量ならびにアミラーゼ活性を測 した。POMSの「疲労」スコアの結果を表6に、 自覚症状アンケートの結果を表7に示した。 た、唾液コルチゾールの分析値を表8に、唾 アミラーゼ活性の測定結果を表9に示す。表 6に示したようにプラセボ摂取時には「疲労 スコアが有意に(危険率0.05以下)増加したが 一方、本発明の食品組成物の摂取時には有 な変化は認められなかった。この結果から 発明の食品組成物を摂取することにより「 労感」の増加が抑制されることが示された また、表7に示したようにプラセボ摂取時に 「疲労感」スコアが低下する(疲労が増加す る)傾向を示したが、一方、本発明の食品組 物の摂取時にはスコアに変化は認められな った。また、「目の疲労感」についてはプ セボ摂取時にはスコアが低下する(目の疲労 が増加する)傾向(有意傾向;危険率0.1以下)を 示したが、一方、本発明の食品組成物の摂取 時には有意な変化は認められなかった。「集 中力」についてはプラセボ摂取時にはスコア が有意に(危険率0.05以下)低下する(集中力が 下する)ことが認められたが、一方、本発明 食品組成物の摂取時には有意な変化は認め れなかった。さらに、「眠りの深さ」につ てはプラセボ摂取時にはスコアに変化は認 られなかったが、一方、本発明の食品組成 の摂取時にはスコアが増加する(眠りがより 深くなる)傾向(有意傾向;危険率0.1以下)が確 された。以上の自覚症状アンケートの結果 ら、本発明の食品組成物を摂取することに り「疲労感」や「目の疲労感」の増加が抑 されること、「集中力」の低下が抑制され こと、および「眠りの深さ」が改善するこ が示された。

 表8に示したように、プラセボ摂取時には 唾液コルチゾール含量は増加したが、一方、 本発明の食品組成物の摂取時には減少する傾 向が示された。また、表9に示したように、 ラセボ摂取時には唾液アミラーゼ活性は増 したが、一方、本発明の食品組成物の摂取 には減少する傾向が示された。すなわち、 ラセボ摂取時には、いずれのストレスの生 学指標も増加し、本発明の食品組成物の摂 時には減少する傾向が示された。以上の結 から、本発明の食品組成物を2週間、継続摂 することにより、疲労感を感じている被験 の精神的なストレスが軽減されることが示 れた。

[日常のストレス、疲労などの気分・感情状 及び眼精疲労に対する影響]
 日常のストレス、疲労感などの気分・感情 態および眼精疲労に対する本発明の食品組 物摂取の影響調査を、成人男女9名(年齢39.6 2.4歳、平均±標準偏差)を対象として実施し 。実施例2の試験区1の粉末調味料(鰹節抽出 粉末)100重量部に対して、市販梅肉粉末(井村 屋製菓社製「梅パウダー」)45重量部およびグ ラニュー糖50重量部を混合したものを試験食 して用いた。1週間の前観察期間の後、1日 たりの鰹節抽出物固形分摂取量が2.4gになる うに、上記の組成物(試験食)を2週間摂取さ 、摂取期間前後にPOMS(Profile of Mood States)試 験による気分・感情状態の調査を実施した。 また、試料摂取期間中の朝夕の一定時刻にフ リッカー測定装置(ヒロボー社製、Mepica Digita l Flicker HE-100)を用いた疲労度の測定を行っ 。さらに試料摂取期間中の月曜日から金曜 の夕方の一定時刻に体調に関する自覚症状 ンケートを行った。この自覚症状アンケー は「疲労感」、「肉体の疲労感」、「体力 、「寝起き」、「目の疲れ」、「集中力」 6項目からなり、1点から5点の5点評価法にて 査した。それぞれの評点を示す状態につい は表10に示した。

 なお、自覚症状アンケートについては前 察期間、摂取第1週目、摂取第2週目の月曜 から金曜日までの5日間の平均値を算出し、1 週間後との平均値について比較を行った。前 観察期間前、摂取期間前、摂取1週間後、摂 2週間後のPOMSの「疲労」スコアの変化を表11 示した。

 表11に示したように、本発明の食品組成 の摂取により「緊張-不安」スコアが有意に( p<0.05)低下すること、すなわち改善するこ が示された。また、本発明の食品組成物の 取により「疲労」スコアが低下する傾向(有 傾向;p<0.1)、すなわち改善する傾向が示さ れた。「緊張-不安」が改善されたことから 本発明の食品を摂取することにより、日常 精神的なストレスが軽減される可能性が示 された。また、自覚症状アンケートの結果 表12に示した。

 表12に示したように、「疲労感」、「肉 の疲労感」、「体力」、「寝起き」、「眼 疲れ」、「集中力」のいずれの項目におい も摂取期間において改善する傾向が確認さ た。これらの結果から、本発明の食品組成 を2週間摂取することにより、日常的に感じ 「疲労感」、特に「体の疲労感」や「眼の れ」が改善することが示された。さらに「 中力」が向上することから、頭脳作業の効 改善作用を有する可能性も示唆された。一 、フリッカー値の測定結果を表13に示した 前観察期間、摂取1週目および摂取2週目の月 曜日から金曜日の測定値の平均値を示した。 また、朝の測定値、夕方の測定値に加えて夕 方の測定値から朝の測定値を引いた値(以下 「δフリッカー値」と表記する)についても した。

 表13に示したように、朝、夕方のフリッ ー値は両者ともに摂取期間中に増加する傾 を示すことが確認された。また、δフリッカ ー値については、摂取期間中に大きな変動は 見られなかった。フリッカー値は視覚を通じ た大脳の情報処理能力を反映していると考え られており(柿崎ら、産業医学;34,565-573,1992)、 眼精疲労および脳の疲労の指標として用いら れている。上記のフリッカー値の結果および 自覚症状の「眼の疲れ」が改善傾向を示すこ とから、本発明の食品組成物の摂取により、 眼精疲労が改善することが示された。

[日常疲労感に対する影響]
 日常の気分・感情状態に対する本発明の食 組成物摂取の影響調査を、成人男女9名(年 39.6±2.4歳、平均±標準偏差)を対象として実 した。実施例3で用いた食品組成物を試験食 して用いた。摂取量についても実施例3と同 様とした。1週間の非摂取期間の後、上記の 料(鰹節抽出物固形分2.4g/日になるように)を1 週間摂取させ、非摂取期間および摂取期間の 前後にPOMS(Profile of Mood States)試験による気 ・感情状態の調査を実施した。なお、摂取 間においては1名が脱落したため、8名(39.8±2. 5歳、平均±標準偏差)の結果について解析を った。非摂取期間および摂取期間前後のPOMS 「疲労」スコアの変化を表14に示した。

 表14に示したように、非摂取期間には「 労」スコアが増加する傾向が示されたが、 発明の食品組成物の摂取期間には「疲労」 コアが低下する、すなわち「疲労」が改善 る傾向が示された。また、「疲労」スコア 変化量において、摂取期間の変化量は非摂 期間の変化量と比較して、低値を示す傾向( 意傾向;p<0.1)を示した。上記の結果から、 本発明の食品組成物を1週間摂取することに り、日常的に感じる「疲労」が軽減するこ が示された。

[比較例1]
 上記で示した実施例6および実施例7の実験 は、本発明の調味料粉末に対して、飲み易 を向上させるために梅肉粉末およびグラニ ー糖を混合したものを試験食として用いた すなわち、試験食中の梅肉粉末およびグラ ュー糖が上記の効果に寄与する可能性も考 られた。そこで、実施例6および実施例7で用 いたものと等量の梅肉粉末と糖類の疲労感や ストレスに対する影響について調査を行った 。市販梅肉粉末(井村屋製菓社製「梅パウダ 」)45重量部およびグラニュー糖50重量部に鰹 節フレーバー粉末5重量部を混合したものを 験食として用いた。疲労感を有する成人女 (POMS試験の「疲労」スコアのT得点が50点以上 の人を選定して被験者とした)15名(平均年齢21 .5±1.3歳、平均±標準偏差)に、上記の試験食 梅肉粉末とグラニュー糖の摂取量が実施例6 び実施例7と同じになるように、毎日1回、2 間摂取させた。摂取期間前後の測定日の一 時刻にPOMS試験(金子書房(株)製、No.850を使用 した)による気分・感情状態の調査を実施し 。また、試料摂取期間中の就寝時に疲労に 連する項目を調査する自覚症状アンケート 行った。この自覚症状アンケートは「疲労 」、「眼の疲労感」、「集中力」、「眠り 深さ」の4項目からなり、1点から5点の5点評 法にて調査した。「疲労感」および「眼の 労感」については1点(非常に強く感じる)、2 点(強く感じる)、3点(やや感じる)、4点(あま 感じない)、5点(まったく感じない)とした。 集中力」については1点(まったくない)、2点 (あまりない)、3点(ややある)、4点(ある)、5点 (非常にある)とした。また、「眠りの深さ」 ついては、1点(浅い)、2点(やや浅い)、3点( ちらでもない)、4点(やや深い)、5点(深い)と た。なお、自覚症状アンケートについては れぞれの摂取期間の第1週の7日間のスコア 第2週のスコアのそれぞれの平均値を求めて 較を行った。POMSの結果を表15に、自覚症状 ンケートの結果を表16に示した。

 表15に示したように、本比較例における 験食(梅肉粉末+グラニュー糖+鰹節フレーバ )摂取時には「疲労」および「混乱」スコア 有意に(危険率0.05以下)増加、すなわち悪化 た。また、「緊張-不安」スコアについては 有意傾向(危険率0.1以下)で増加した。また、 覚症状アンケートの結果、「眼の疲労感」 ついては本比較例における試験食の摂取時 はスコアが低下する(眼の疲労感が増加する )傾向(有意傾向;危険率0.1以下)を示した。「 中力」については本試験食摂取時にはスコ が有意に(危険率0.05以下)低下する(集中力が 下する)ことが認められた。また、「眠りの 深さ」についてはスコアに変化は認められな かった。

 以上の結果から、本試験食(梅肉粉末+グ ニュー糖+鰹節フレーバー)には、疲労やスト レスを改善する作用は認められなかった。こ れらの結果から、実施例6および実施例7にお て確認された、疲労やストレスを改善する 用は、本発明の粉末調味料(鰹節抽出物粉末 )によるものであることが示された。

 本発明は、だしの風味、香りの劣化を抑 できる食品組成物を簡便且つ低コストで製 できる。当該食品組成物は種々の食品に添 することができ、例えば、抗疲労及び/又は 抗ストレス作用を有する食品組成物として有 用である。本発明によれば、日常的に感じる 眼精疲労などの疲労感、精神的疲労や精神不 全、あるいは精神的に不安定な状態などのス トレスに由来する状態を予防、軽減すること が可能な、抗ストレス作用、延いては精神負 荷に対する抗疲労作用、さらにはそれらの作 用による集中力の向上や頭脳作業の効率改善 作用を有する食品組成物を容易に提供するこ とができる。従って健康や生活の質を向上さ せるための食品産業分野において有用である 。

 以上、本発明を上記実施例に即して説明 たが、本発明は上記実施例の構成にのみ制 されるものでなく、本発明の範囲内で当業 であればなし得るであろう各種変形、修正 含むことは勿論である。