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Patent Searching and Data


Title:
GAN SEMICONDUCTOR LIGHT EMITTING ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084834
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a GaN semiconductor light emitting element wherein Au diffusion is prevented in a transparent electrode composed of a metal multilayer film including an Au film. On a sapphire substrate (1), a GaN buffer layer (2), an n-type GaN contact layer (3), an MQW active layer (4) and a p-type GaN contact layer (5) are laminated in sequence. An n-side pad electrode (8) is formed on a surface from which the n-type GaN contact layer (3) is exposed.A metal multilayer film transparent electrode (6) arranged over the entire p-type GaN contact layer (5) is, for instance, composed of Ni/Au/Ti/Ni from the side of the P-type GaN contact layer (5). Diffusion of Au is prevented by having Ti as an Au diffusion preventing metal layer.

Inventors:
SHAKUDA YUKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050213
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
January 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ROHM CO LTD (JP)
SHAKUDA YUKIO (JP)
International Classes:
H01L33/06; H01L33/12; H01L33/32; H01L33/42; H01L33/44; H01L33/62
Foreign References:
JP3068914U2000-05-26
JP2004040061A2004-02-05
JPH11150297A1999-06-02
EP1276186A12003-01-15
US20060081834A12006-04-20
JPH11274554A1999-10-08
JPH11145076A1999-05-28
US20020000643A12002-01-03
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chome, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
 p型GaN系半導体層の表面に透明電極が形成されているGaN系半導体発光素子であって、
 前記透明電極はp型GaN系半導体層と接触する側からNi膜、Au膜、Au拡散防止金属膜の順で積層された金属多層膜を少なくとも含むように構成されていることを特徴とするGaN系半導体発光素子。
 前記Au拡散防止金属膜は、Ti又はPtで構成されていることを特徴とする請求項1記載のGaN系半導体発光素子。
 前記透明電極はAu拡散防止金属膜のp型GaN系半導体層とは反対側に、Ni膜、Mo膜、Cu膜、W膜のいずれか1つが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のGaN系半導体発光素子。
 前記透明電極はAu拡散防止金属膜のp型GaN系半導体層とは反対側に、Al膜又はAl膜とNi膜が順に積層された金属多層膜又はAl膜とNi膜とAl膜とが順に積層された金属多層膜のいずれか1つが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のGaN系半導体発光素子。
Description:
GaN系半導体発光素子

 本発明は、透明電極を備えたGaN系半導体 光素子に関する。

  例えば、窒化物半導体は、照明、バッ ライト等用の光源として使われる青色LED、 色化で使用されるLED、LD等に用いられている 。バルク単結晶の製造が困難なために、サフ ァイア、SiC等の異種基板の上にMOCVD(有機金属 気相成長法)を利用してGaNを成長させること 行われている。サファイア基板は、エピタ シャル成長工程の高温アンモニア雰囲気中 安定性にすぐれているので、成長用基板と て特に用いられる。サファイア基板は絶縁 基板であり、サファイア基板上の窒化物半 体は、エピタキシャル成長後にn型窒化ガリ ム層を露出するまでドライエッチングし、 ッチングされた面にn型コンタクトを形成し て、同一面側にp型とn型の二つの電極を設け いる。

  このようなGaN系半導体発光素子のp電極 形成されるコンタクト層は、GaNを含んだp型 GaN系半導体層で構成されている。p型GaN系半 体層の比抵抗は通常数ωcmと非常に高いので p型層で層方向(横方向)の十分な電流広がり 得ることができない。電流広がりを大きく るためには膜厚を厚く取ればよいが、比抵 が数ωcmのオーダーであると、チップの標準 的な大きさは横方向が数100μm程度になるので 、これに対応する膜厚は数mmのオーダーが必 となり、全く現実的でない。

  そこで、通常、p型GaN系コンタクト層全 をほぼ覆うようなp電極を形成するようにし て、横方向全体に電流が流れるようにしてい る。しかし、p電極側から光を取り出す場合 このままではp電極が光を吸収してしまうの 、数nm程度の非常に薄い透明金属電極が用 られる。例えば、特許文献1では、p型GaNコン タクト層とオーミック接触性の良いNi(ニッケ ル)とAu(金)との金属多層膜が用いられている

  これは、p型GaNコンタクト層上にNiを、Ni の上にAu蒸着後、500℃程度の温度で酸素を含 雰囲気中におけるアニール処理によって、 エハを熱アロイすることによりNiとAuとを合 金化し、透光性にしている。

  また、上記のGaN系半導体発光素子を保護 、表面リークを防止してフリップチップボ ディングが行えるように、n側及びp側のパッ ド電極上面を除いてチップの表面を絶縁膜で 覆った発光素子が提案されている。絶縁膜は 透明金属電極上にも設けられるが、光を取り 出す必要性があるので、透明性(透光性)がな ればならず、通常、SiO 2 等の酸化膜が用いられる。

特開平2006-114813号公報

  上記従来技術のように、p型GaNコンタク 層上にNi/Au透明金属電極を設けてp電極側か 光を取り出すようにした場合、以下のよう 問題が発生する。

  同一面側にp電極とn電極の二つの電極を 設ける場合においては、エピタキシャル成長 後にn型GaN層を露出するまでドライエッチン して、n電極を形成する必要がある。また、p 電極とn電極が対向して設けられた発光素子 あっても、チップ毎に分離する際にドライ ッチングで分離溝を形成しておく必要があ 。

  上記のような、ドライエッチングを用 る工程が発生する場合、ドライエッチング のマスクを透明金属電極で代用する試みが われているが、従来技術のように、Ni/Au透明 金属電極であると、ドライエッチングのプラ ズマが透明金属電極下のp型GaNコンタクト層 活性層に損傷を与え、最悪の場合は発光し くなる。したがって、透明金属電極上にマ クを形成して、ドライエッチングを行った 、マスクを除去しなければならず、作業時 とコストが増大していた。

  一方、前述のようにn側及びp側のパッド 電極上面を除いてチップの表面を透明の絶縁 膜で覆った場合は、絶縁膜形成後、透明金属 電極上に形成されている絶縁膜が剥離しやす いという問題も発生していた。

  これらの問題は、透明金属電極が従来 ようにNi/Auの金属多層膜であると、Auが拡散 容易な金属であり、どんな材料とであって 、比較的低い温度(500℃以下)で非常に速く 散してしまうという性質をもつために発生 る。

  最初のドライエッチングの際にマスク して代用できない問題は、Ni/Auの金属多層膜 をアニール処理によって透明化すると、Auの 部が拡散してNiと共晶化し、Au膜の薄くなっ た部分からプラズマ粒子が通過して、コンタ クト層や活性層に損傷を与えるためである。

  また、2番目の透明絶縁膜が剥がれやすい いう問題は、絶縁膜を形成する場合には、 度400℃の雰囲気中でプラズマCVD等を用いて 製されるために、透明金属電極Ni/AuのAuが絶 縁膜に拡散してSiO 2 と共晶化してしまい、SiO 2 が剥離しやすくなるためである。

  そこで、Auを使用せず、Ni/Alの金属多層 による透明金属電極を用いることも考えら るが、透明度を上げるためには、Alの割合 増やさなければならない。しかし、Al(アル ニウム)の割合が増加すると、透明金属電極 身の抵抗値が増加して、発光強度が低下す という問題があった。また、Ni/Au透明金属 極にしても、リーク電流が多く、発光強度 低下するという問題があった。

  本発明は、上述した課題を解決するた に創案されたものであり、Au膜を含む金属多 層膜で構成された透明電極におけるAuの拡散 防止するとともに発光強度を向上させるよ にしたGaN系半導体発光素子を提供すること 目的としている。

  上記目的を達成するために、請求項1記 の発明は、p型GaN系半導体層の表面に透明電 極が形成されているGaN系半導体発光素子であ って、前記透明電極はp型GaN系半導体層と接 する側からNi膜、Au膜、Au拡散防止金属膜の で積層された金属多層膜を少なくとも含む うに構成されていることを特徴とするGaN系 導体発光素子である。

  また、請求項2記載の発明では、前記Au 散防止金属膜は、Ti又はPtで構成されている とを特徴とする請求項1記載のGaN系半導体発 光素子である。

  また、請求項3記載の発明では、前記透 電極はAu拡散防止金属膜のp型GaN系半導体層 は反対側に、Ni膜、Mo膜、Cu膜、W膜のいずれ か1つが少なくとも形成されていることを特 とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に 載のGaN系半導体発光素子である。

  また、請求項4記載の発明では、前記透 電極はAu拡散防止金属膜のp型GaN系半導体層 は反対側に、Al膜又はAl膜とNi膜が順に積層 れた多層膜又はAl膜とNi膜とAl膜とが順に積 された多層膜のいずれか1つが形成されてい ることを特徴とする請求項1又は請求項2のい れか1項に記載のGaN系半導体発光素子である 。

  透明電極を構成している金属多層膜に いて、p型GaN系半導体層と接触する層につい はNi膜を用いて、オーミック接触を取るこ ができるようにし、Ni膜の上層には化学的安 定性が高く、酸化雰囲気に強いAu膜を用いて 極のコアとし、さらにAu膜の直上には、透 電極を作製する場合や透明電極上に絶縁膜 形成する場合等、高温処理が行われるとき 、Au膜の直下に形成されているNi膜や上層の 縁膜にAuが拡散して共晶化しないように、Au 拡散防止金属膜を設けているので、AuがAu拡 防止膜に固定化されて他の構成物への拡散 防止することができる。

図1は、本発明の第1のGaN系半導体発光 子の断面構造の一例を示す図である。 図2は、ドライエッチング時のマスクの 代わりに金属多層膜透明電極を用いた場合の 素子の発光特性を示す図である。 図3は、第1のGaN系半導体発光素子と従 構造の金属多層膜透明電極を有する発光素 との電流-電圧特性の比較を示す図である。 図4は、第1のGaN系半導体発光素子にお る金属多層膜透明電極の表面状態を示す図 ある。 図5は、第1のGaN系半導体発光素子にド イエッチングを施した後の金属多層膜透明 極の表面状態を示す図である。 図6は、本発明の第2のGaN系半導体発光 子の断面構造の一例を示す図である。 図7は、第2のGaN系半導体発光素子の金 多層膜透明電極の層構造を示す図である。 図8は、第2のGaN系半導体発光素子と従 構造の金属多層膜透明電極を有する発光素 との電流-電圧特性の比較を示す図である。 図9は、第2のGaN系半導体発光素子と従 構造の金属多層膜透明電極を有する発光素 との発光特性の比較を示す図である。 図10は、第2のGaN系半導体発光素子の金 属多層膜透明電極上に形成された絶縁膜の表 面状態を示す図である。 図11は、従来構造の金属多層膜透明電 上に形成された絶縁膜の表面状態を示す図 ある。

符号の説明

1  サファイア基板
2  GaNバッファ層
3  n型GaNコンタクト層
4  MQW活性層
5  p型GaNコンタクト層
6  金属多層膜透明電極
7  p側パッド電極
8  n側パッド電極
9  絶縁膜
10 p側ボンディング電極
11 n側ボンディング電極
61 金属多層膜透明電極
6a、61a Ni膜
6b、61b Au膜
6c、61c Au拡散防止金属膜
61d Al膜
61e Ni膜
61f Al膜

  以下、図面を参照して本発明の一実施形 を説明する。図1(a)は本発明の第1のGaN系半導 体発光素子の断面構造の一例を示し、図1(b) 金属多層膜透明電極6の詳細構成を示す。こ で、GaN系半導体とは、窒素を含む六方晶化 物半導体の中でも良く知られたIII-V族窒化 半導体であり、4元混晶系のAl x Ga y In z N(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表され 。

  したがって、GaN系半導体は、窒化ガリ ム(GaN)等の2元混晶であってもよく、窒化ガ ウムアルミニウム(AlGaN)または窒化アルミニ ムインジウム(InGaN)等の3元混晶、及び窒化 ルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)等の4 混晶であってもよい。これらの材料を基板 に付着させて、発光素子として使用可能な 層半導体構造を製造する。

  図1(a)では、サファイア基板1の上に、GaN バッファ層2、n型GaNコンタクト層3、MQW活性層 4、p型GaNコンタクト層5が順次積層されており 、p型GaNコンタクト層5から一部領域がメサエ チングされて、n型GaNコンタクト層3が露出 た面にn側パッド電極8が形成されている。一 方、p型GaNコンタクト層5の上面全体に金属多 膜透明電極6が形成されており、金属多層膜 透明電極6の上にp側パッド電極7が設けられて いる。

  MQW活性層4は、多重量子井戸構造(Multi Qu antum Well)を有する活性層であり、井戸層(ウ ル層)を、井戸層よりもバンドギャップの大 な障壁層(バリア層)でサンドイッチ状に挟 だ量子井戸構造を多重化したものとなって る。この量子井戸構造は、多重化せずに1つ しても良く、この場合は、単一量子井戸構 (SQW:Single Quantum Well)となる。

  金属多層膜透明電極6は、図1(b)に示すよ うに、例えば、6a、6b、6c、6dと4層の金属層か ら構成されている。ここで、6aはNi(ニッケル) 膜、6bはAu(金)膜、6cはAu膜6bの拡散を防止する ためのAu拡散防止金属膜であり、6dは例えばNi 膜で構成される。Au拡散防止金属膜6cは、Au膜 6bの直上に設けられており、Ti(チタン)又はPt( 白金)で構成される。TiやPtは、融点がAuより 高く、Auと共晶化しやすい金属であり、AuがA u膜6b直下のNi膜6aに流動化するのを防ぐこと できる。また、6dはNi膜の代わりにMo(モリブ ン)膜、Cu(銅)膜、W(タングステン)膜のいず かを用いても良い。

  ところで、上述したように、n側パッド 極8を作製するためには、p型GaNコンタクト 5~n型GaNコンタクト層3の途中に至るまでメサ ッチングを行わなければならず、このメサ ッチングにはプラズマ等を用いたドライエ チングが使用される。ドライエッチング時 は、通常、サファイア基板1上にGaNバッファ 層2~p型GaNコンタクト層5までを積層し、金属 層膜透明電極6を設ける領域にマスクを形成 、メサエッチングを行ってから、マスクを フトオフし、その後金属多層膜透明電極6を 積層するようにしている。しかし、本発明の ように、金属多層膜透明電極6をNi膜6a、Au膜6b 、Au拡散防止金属膜6c、Ni膜6dとした場合には これを上記メサエッチング時のマスクに流 することができる。

  図1の第1のGaN系半導体発光素子の製造方 法を以下に説明する。製造方法としては、主 としてMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いる MOCVD装置内に、サファイア基板1を搬送し、 ファイア基板1上に、例えば、GaNバッファ層2 を膜厚0.01μm以下で、600~700℃の低温で成長さ る。その後、1000℃以上に基板温度を上げて 、n型GaNコンタクト層3を膜厚3~5μmで積層し、7 00℃程度に温度を下げて、MQW活性層4を井戸層 をInGaN、バリア層をGaNで交互に数周期積層し 厚0.1μmで、次に基板温度を1000℃以上に上げ て、p型GaNコンタクト層5を膜厚0.1~0.3μmで積層 する。

  次に、p型GaNコンタクト層5上の金属多層 膜透明電極6を形成する所定の領域を除いて ジストを形成する。この状態で、Ni/Au/Ti/Niの 金属多層膜とし、これらの膜厚は、例えば、 各々4nm/8nm/1nm/4nmとなるように蒸着により積層 する。その後、レジストをリフトオフし、酸 素を含む雰囲気中で500℃程度の温度でアニー ル処理を行う。このアニール処理により、上 記金属多層膜が透明化される。

  その後、形成した金属多層膜透明電極6を スクの代わりにして、p型GaNコンタクト層5 らn型GaNコンタクト層3が露出するまで一部領 域をドライエッチングする。このドライエッ チングは、プラズマ電力150W、バイアス電力50 Wとし、塩素ガス50cc/分、SiCl 4 ガス5cc/分の流量で、圧力0.6Paで行った。この 条件のドライエッチングを4分間程行い、最 0.6μmまでのGaN系半導体を除去した。

  その後、蒸着又はスパッタにより、p側 ッド電極7を、Al/Niであれば膜厚200nm/30nm、Ti/ Auであれば膜厚20nm/200nm、Ti/Alであれば膜厚10nm /200nm、Pd/Auであれば膜厚10nm/200nmとして、これ らのいずれかの金属多層膜で作製する。また 、蒸着又はスパッタにより、n側パッド電極8 、Ti/Alであれば膜厚10nm/200nm、Al/Niであれば 厚200nm/30nm等として、これらのいずれかの金 多層膜で作製する。

  各半導体層の製造については、例えば、Ga N層を作製する場合は、キャリアガスの水素 は窒素とともに、Ga原子の原料ガスであるト リメチルガリウム(TMGa)、および、窒素原子の 原料ガスであるアンモニア(NH 3 )を用いた。n型GaNとする場合には、n型のドー パントガスとしてのシラン(SiH 4 )等、p型GaNとする場合には、p型のドーパント ガスとしてのCP 2 Mg(シクロペンタジエチルマグネシウム)等を 記反応ガスに加える。AlGaN層を作製する場合 は、TMGa、NH 3 にトリメチルアルミニウム(TMA)を加える。

  このようにして各半導体層の成分に対 する反応ガス、n型、p型にする場合のドーパ ントガスを供給して、最適な成長温度に変化 させて順次結晶成長させることにより、所定 の組成で、所定の導電型の半導体層を、必要 な厚さに形成した。不純物のドーピング濃度 は、それぞれの原料ガスの流量によって制御 した。

  図4は、金属多層膜透明電極6をNi膜6a、Au 膜6b、Ti膜6c、Ni膜6dと構成し、これらの各層 膜厚ついて、Ni膜6aを4nm、Au膜6bを8nm、Ti膜6c 1nm、Ni膜6dを4nmで構成した場合の表面状態を す。一方、この金属多層膜透明電極6をメサ エッチングのマスクとして用いた場合、上述 した条件のプラズマによるドライエッチング 後の金属多層膜透明電極6の表面状態を示す が図5である。ドライエッチング後であって 、表面荒れの状態は生じていない。

  ドライエッチングの影響が、金属多層 透明電極の表面状態だけではなく、実際にGa N系半導体発光素子の光出力-電流特性に及ぼ 影響を比較したのが、図2である。図2は、 1の第1のGaN系半導体発光素子において金属多 層膜透明電極6を上述のように、Ni膜6a、Au膜6b 、Ti膜6c、Ni膜6dで構成し、上述したドライエ チングのマスクとして用いた場合の光出力- 電流特性をX、金属多層膜透明電極6を従来のN i/Auで構成し、ドライエッチングのマスクと て用いた場合の光出力-電流特性をYで示す。

  本発明における金属多層膜透明電極を いたXでは、電流の増加とともに発光出力も 例して増大しているが、従来の金属多層膜 明電極を用いたYでは発光が見られない。従 来構造のNi/Auの透明電極では、ドライエッチ グの際のプラズマ粒子が透明電極で防ぎき ずに、p型GaN系コンタクト層や活性層にまで ダメージが浸透してしまい、素子が発光しな くなったためである。

  これは、前述したように、Auが拡散しや すい金属であり、どんな材料とであっても、 比較的低い温度(500℃以下)で非常に速く拡散 てしまうという性質をもつためである。Ni/A uの金属多層膜を透明化するアニール処理に いて、Au膜6bの一部のAuが拡散してAlと共晶化 し、Au膜6bの密度が薄くなった部分からプラ マ粒子が通過して、エピタキシャル層にダ ージを与える。一方、Au膜6bの膜厚を厚くす と、プラズマ粒子のダメージを抑制するこ ができるが、電極の透明度がなくなってし うという問題がある。

  しかし、第1のGaN系半導体発光素子の金 多層膜透明電極6の構成とすることで、Ni膜 の拡散を防いで、金属多層膜透明電極6をド ライエッチングの際のマスクとして代用でき 、Au膜6bの膜厚を厚くする必要がないので、 明度も確保できる。

  図3は、発光特性を示すもので、本発明 おける金属多層膜透明電極6を用いた場合を X、金属多層膜透明電極を従来構成のNi/Auとし 、透明電極上にはマスクを形成してメサエッ チングを行い、ドライエッチングによるGaN系 半導体層へのダメージがない状態にした場合 をYとして表示した。このように、本発明に ける金属多層膜透明電極6を用いたXの方が、 全体の膜厚が厚くなったにもかかわらず、電 圧-電流特性が非常に良くなっており、閾値 流は、従来構成のYの方が非常に高い。これ 、Xの方がリーク電流が少なくなって、発光 強度も向上したことを示している。なお、上 記の効果は、Ni膜6dの代わりにMo膜、Cu膜、W膜 のいずれかを用いても同様の効果が得られる 。

  図6は、本発明の第2のGaN系半導体発光素子 の断面構造の一例を示し、基本的に図1の構 に絶縁膜9を形成した構造となっている。図1 と同じ符号を付している部分は、同じ構成を 示す。p側パッド電極7の上にはp側ボンディン グ用電極10が、n側パッド電極8上にはn側ボン ィング用電極11が形成されている。また、 属多層膜透明電極61は図7のように最大6層の 属層で構成されている。MQW活性層4で発生し た光は、金属多層膜透明電極61を透過して、p 電極側から取り出されるので、絶縁膜9は、 明性のあるものでなくてはならない。した って、可視光領域でも透光性のある酸化絶 膜が用いられ、例えば、SiONやSiO 2 等が挙げられる。

  絶縁膜9にAuが拡散して絶縁膜9が剥離し すくなるのを防ぐために、金属多層膜透明 極61は、p型GaNコンタクト層5側から、Ni膜61a Au膜61b、Au拡散防止金属膜61c、Al膜61d、Ni膜61 e、Al膜61fで構成される。これらの膜厚は、例 えば、Ni膜61aが4nm、Au膜61bが8nm、Au拡散防止金 属膜61cが1nm、Al膜61dが4nm、Ni膜61eが1.5nm、Al膜6 1fが16nmで形成される。また、第1のGaN系半導 発光素子と同様、Au拡散防止金属膜61cにはTi( チタン)又はPt(白金)が用いられる。なお、後 するように、金属多層膜透明電極61は5層又 4層としても良く、少なくともNi、Au、Au拡散 防止金属(Ti又はPt)、Alが各1層使用されている ことが望ましい。

  図6の第2のGaN系半導体発光素子の製造方 法については、図1のGaN系半導体発光素子の 造方法と同様に、サファイア基板1上にp型GaN コンタクト層5までの各半導体層を結晶成長 せて金属多層膜透明電極61を形成した後、p GaNコンタクト層5からn型GaNコンタクト層3が 出するまで一部領域をドライエッチングし p側パッド電極7、n側パッド電極8を形成する p側パッド電極7及びn側パッド電極8は、とも に例えば、Al/Niの金属多層膜とし、これらの 厚は、300nm/500nmとした。

  その後、p側パッド電極7及びn側パッド電 8のボンディング用電極とのコンタクト領域 除いて絶縁膜9としてSiO 2 を例えば5μm程度の厚みで素子表面や側面に 成する。SiO 2 の形成は、プラズマCVDにより形成し、SiH 4 を10sccm、N 2 Oを50sccm、温度400℃、400Wで70分程行った。

  次に、蒸着又はスパッタにより、p側パ ド電極7上にp側ボンディング用電極10を、n パッド電極8上にn側ボンディング電極11を形 する。p側ボンディング用電極10及びn側ボン ディング用電極11ともに、例えば、Ti/Al/Ni/Ti/A uの金属多層膜構成とし、各膜厚は、例えば50 nm/300nm/50nm/50nm/700nmで形成する。

  図10は、第2のGaN系半導体発光素子の表面 態を示すものであり、金属多層膜透明電極61 の層構造を図7の6層ではなく、61fを減らして5 層とし、その構成をNi(61a)/Au(61b)/Ti(61c)/Al(61d)/N i(61e)とした。これらの膜厚は、3nm/8nm/1nm/4nm/1. 5nmとした。また、絶縁膜9もSiONとSiO 2 の2層構造に形成した。

  一方、図11は、従来構造の金属多層膜透明 電極Ni/Auを用いたGaN系半導体発光素子表面の 態を示し、その膜厚は4nm/8nmとした。また絶 縁膜は、図10と同様、SiONとSiO 2 の2層構造で構成した。図10、11(a)でやや白ぽ 長方形状で表されている部分が、絶縁膜で り、その前後に見えるのがp電極とn電極で る。図10では、特に、表面的には問題がない が、図11(a)では、絶縁膜の一部が渦巻き形状 白く光っているのがわかる。図11(b)は、図11 (a)で白く光っている部分を拡大したものであ り、はっきりと、渦巻き状の縞が現われてい るのがわかる。これは、絶縁膜が剥離して、 光の干渉が発生したことを示す。

  以上のように、従来構造の金属多層膜 明電極Ni/Auでは、その上に形成された絶縁膜 が剥離するという現象が発生するが、本発明 の金属多層膜透明電極では、光の干渉縞が発 生しておらず、絶縁膜の剥離が生じなかった 。これは、従来構造では、絶縁膜9を形成す 場合に、上記のように400℃程度の温度で長 間かけて作製するものであるから、金属多 膜透明電極中のAuが流動化して絶縁膜9中に 散してしまうためである。

  また、金属多層膜透明電極61上の絶縁膜 9が剥離しないという効果だけではなく、以 のような効果も生じる。図9は、図6の構成を 用いて、本発明の金属多層膜透明電極61の構 をNi/Au/Ti/Al/Niの5層構造にしたものをZ3で、Ni /Au/Ti/Al/Ni/Alと6層構造にしたものをZ4で示す。 これらの膜厚は、Z3が3nm/8nm/1nm/4nm/1.5nm/16nm、Z4 が3nm/8nm/1nm/4nm/1.5nmである。一方、従来構造の 金属多層膜透明電極としてNi(4nm)/Au(8nm)で構成 したものをZ2で示し、Ni(4nm)/Au(8nm)/Al(16nm)で構 したものをZ3で示す。

  本発明による金属多層膜透明電極を示 Z4、Z3の方が従来構造Z1又はZ2よりも膜厚は厚 くなって光の透過率が減少しているにもかか わらず、発光強度が向上していることがわか る。特に、Z4は6層構造にかかるもので、膜厚 がもっとも厚く光の透過率も最も低いはずで あるが、輝度が増大しており、顕著な発光強 度の改善が見られる。

  この理由を示すのが、図8である。Z1、Z2、 Z3、Z4は、図9のZ1、Z2、Z3、Z4にかかる金属多 膜透明電極に対応している。図8の横軸は電 (Vf)、縦軸は電流(If)を示し、Vfの単位はボル ト(V)、Ifの単位は10 -6 アンペア(A)を示す。この電流-電圧特性を測 する構成として、p型GaN層上に従来構造又は 発明の金属多層膜透明電極を形成し、この 属多層膜透明電極上に所定間隔を開けて、 定用の+側の正電極と-側の負電極を配置し 前記正電極と負電極との間に電流を流して 電流-電圧特性、すなわち金属多層膜透明電 の抵抗値を測定した。なお、前記の正電極 負電極ともに、Al/Niの金属多層膜で構成し 。

  図8からもわかるように、従来構造の金 多層膜透明電極を用いたZ1、Z2では、金属多 層膜透明電極の抵抗値が大きく、一定の電流 を得るには、高い電圧をかけなければならな い。しかし、本発明の金属多層膜透明電極61 用いたZ3、Z4では、金属多層膜透明電極の抵 抗値が非常に小さくなり、わずかの電圧で、 大きな電流が流れていることがわかる。以上 のように、本発明の金属多層膜透明電極は、 その上に形成した絶縁膜の剥離を防止するこ とができるだけでなく、透明電極の抵抗値も 減少させることができ、発光強度を向上させ ることができる。




 
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