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Patent Searching and Data


Title:
INDUSTRIAL TWO-LAYER FABRIC
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044913
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an industrial two-layer fabric constituted of upper-side warps to be woven with upper-side wefts, lower-side warps to be woven with lower-side wefts, and warp-binding threads to be woven with both the upper-side wefts and the lower-side wefts. The upper-side warps and the lower-side warps include a set of upper and lower warps arranged above and below, and a set of warp-binding threads, at least one of which is a warp-binding thread. The upper-side warps constituting the set of upper and lower warps are wholly or partially the incomplete upper-side warps, in which knuckles to appear on the upper side are partially deficient. The set of the warp-binding threads is arranged to adjoin the incomplete upper-side warps. All the knuckles, which are so formed by the warp-binding threads and/or the upper-side warps of the set of the warp-binding threads as to appear on the upper side, complement the knuckle-deficient portion of the incomplete upper-side warps.

Inventors:
UEDA IKUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068175
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON FILCON KK (JP)
UEDA IKUO (JP)
International Classes:
D21F1/10; D03D1/00; D03D11/00
Foreign References:
JP2007119965A2007-05-17
JP2006322109A2006-11-30
JP2006144145A2006-06-08
JP2005350844A2005-12-22
Other References:
See also references of EP 2194186A4
Attorney, Agent or Firm:
SAKAI, Masami et al. (13-5 Akasaka 4-chome, Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
上面側緯糸と織り合わせる上面側経糸、下面側緯糸と織り合わせる下面側経糸、上面側緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わせる経糸接結糸から構成されており、上面側経糸及び下面側経糸が上下に配置する上下経糸の組と、少なくとも1本が経糸接結糸である経糸接結糸の組とを有する工業用二層織物において、上下経糸の組を構成する上面側経糸の全て又は一部が上面側に現れる一部のナックルが欠如している不完全上面側経糸であり、該不完全上面側経糸に隣接するように前記経糸接結糸の組が配置され、該経糸接結糸の組の経糸接結糸及び\又は上面側経糸によって形成される上面側に現れる全部のナックルが該不完全上面側経糸のナックルの欠如した部位を補完することを特徴とする工業用二層織物。
前記不完全上面側経糸が織物の完全組織において、ナックルが2箇所欠如した組織であることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の工業用二層織物。
前記不完全上面側経糸のナックルが欠如した部位を、片側隣に配置している1組の経糸によって補完することを特徴とする、請求の範囲第1項又は2項に記載の工業用二層織物。
前記不完全上面側経糸のナックルが欠如した部位を、両側隣に配置している2組の経糸によって補完することを特徴とする、請求の範囲第1項又は2項に記載の工業用二層織物。
経糸接結糸の組を構成する2本の経糸のうち、一方または両方が隣接する不完全上面側経糸のナックルが欠如した部位を補完することを特徴とする、請求の範囲第1項ないし4項のいずれか一に記載の工業用二層織物。
前記経糸接結糸が、上面側表面に1つのナックルを形成するか、または上面側緯糸に1本分以上離れた2つ以上のナックルを形成する組織であることを特徴とする、請求の範囲第1項ないし5項のいずれか一に記載の工業用二層織物。
Description:
工業用二層織物

 本発明は、工業用二層織物に関し、詳し は、繊維支持性、表面平滑性に優れ、剛性 下の影響もない工業用二層織物に関するも である。

 従来から工業用織物として経糸、緯糸で製 した織物が広く使用されており、例えば製 用織物や搬送用ベルト、ろ布等があり、用 や使用環境に適した織物特性が要求されて る。特に織物の網目を利用して原料の脱水 を行う製紙工程で使用される抄紙用織物で 要求は厳しい。例えば、紙に織物のワイヤ マークが転写しにくい表面平滑性に優れた 物、また原料に含まれる余分な水分を十分 水するための脱水性、過酷な環境下でも好 に使用できる程度の剛性、耐摩耗性を持ち わせたもの、そして良好な紙を製造するた に必要な条件を長期間持続することのでき 織物が要求されている。その他にも繊維支 性、製紙の歩留まりの向上、寸法安定性、 行安定性等が要求されている。さらに近年 は抄紙マシンが高速化しているため、それ 伴い抄紙用織物への要求も一段と厳しいも となっている。
 特に工業用織物の中でも最も要求が厳しい 紙用織物について説明すれば、ほとんどの 業用織物の要求とその解決について理解で る。そこで、以下抄紙用織物を一例として 業用織物における問題点を説明する。

 近年ではマシンの高速化に伴い、特に優 た脱水性、表面平滑性が要求されている。 水性の向上を目的として特許文献1には、上 面側経糸本数を下面側経糸より少なくするこ とで脱水性を向上させた製紙用織物が示され ている。この織物は上面側経糸配置本数が少 ないため、上面側表面に縦方向の溝が形成さ れ脱水性向上に寄与する。しかし、実質的に 経糸本数が減るため織物の縦方向の剛性が低 下し、伸びやすい織物となってしまう。それ 故、工業用織物として好適に使用することが できなかった。

 また、製紙工程において上面側表面は原料 け取り面、湿紙との接触面となるため繊維 持性、表面平滑性が必要とされている。た 単に上面側経糸を間引くだけでは原料が抜 てしまったり、紙にマークを与えてしまっ りという問題を解決することができない。

特開2005-350844号公報

 本発明は、経糸本数を減らすことなく、 組織によって上面側表面に縦方向に伸びる 水溝を設け、通気性、繊維支持性、表面平 性、剛性に優れた工業用二層織物を提供す ことを目的とする。

 本発明に係る工業用二層織物の最大の特 は、経糸本数を減らすことなく、織組織に って上面側表面に縦方向に伸びる脱水溝を 成した点にある。このような構造とするこ で十分な脱水性、通気性を確保することが きる。この構造は緯糸の打ち込み本数を増 させることができるため、密な表面となり 面平滑性が向上する。また、例えば、上面 組織を平織とした場合でも、縦溝が存在す ため平織を構成する上面側経糸の配置間隔 大きく、通常の平織組織の織物に比べ上面 緯糸のクリンプ長さが長くなり、緯糸の打 込み本数も増やすことができるため繊維支 性を向上させることができる。

 すなわち、本発明は上記課題を解決するた に以下の構成を採用する。
(1)上面側緯糸と織り合わせる上面側経糸、下 面側緯糸と織り合わせる下面側経糸、上面側 緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わせる経糸 接結糸から構成されており、上面側経糸及び 下面側経糸が上下に配置する上下経糸の組と 、少なくとも1本が経糸接結糸である経糸接 糸の組とを有する工業用二層織物において 上下経糸の組を構成する上面側経糸の全て は一部が上面側に現れる一部のナックルが 如している不完全上面側経糸であり、該不 全上面側経糸に隣接するように前記経糸接 糸の組が配置され、該経糸接結糸の組の経 接結糸及び\又は上面側経糸によって形成さ る上面側に現れる全部のナックルが該不完 上面側経糸のナックルの欠如した部位を補 することを特徴とする工業用二層織物であ 。

(2)前記不完全上面側経糸が織物の完全組織に おいて、ナックルが2箇所欠如した組織であ ことを特徴とする、上記(1)記載の工業用二 織物である。ここで完全組織とは、織物組 の最小の繰り返し単位によって構成される 織のことである。
(3)前記不完全上面側経糸のナックルが欠如し た部位を、片側隣に配置している1組の経糸 よって補完することを特徴とする、上記(1) は(2)のいずれか一に記載の工業用二層織物 ある。
(4)前記不完全上面側経糸のナックルが欠如し た部位を、両側隣に配置している2組の経糸 よって補完することを特徴とする、上記(1) は(2)のいずれか一に記載の工業用二層織物 ある。
(5)経糸接結糸の組を構成する2本の経糸のう 、一方または両方が隣接する不完全上面側 糸のナックルが欠如した部位を補完するこ を特徴とする、上記(1)ないし(4)のいずれか に記載の工業用二層織物である。
(6)前記経糸接結糸が、上面側表面に1つのナ クルを形成するか、または上面側緯糸に1本 以上離れた2つ以上のナックルを形成する組 織であることを特徴とする、上記(1)ないし(5) のいずれか一に記載の工業用二層織物である 。

 本発明の織物を構成する経糸は、上面側緯 と織り合わせる上面側経糸、下面側緯糸と り合わせる下面側経糸、そして上面側緯糸 下面側緯糸の両方と織り合わせる経糸接結 から構成されている。
 上面側経糸と下面側経糸は上下に配置して 下経糸の組を形成している。そして、経糸 結糸は2本が交差部を形成するように隣接配 置してなる経糸接結糸の組か、あるいは1本 経糸接結糸と下面側経糸からなる経糸接結 の組か、あるいは1本の経糸接結糸と上面側 糸からなる経糸接結糸の組を形成している 経糸接結糸に関しては、いずれの組を配置 ても構わない。

 そして、上面側経糸には、上面側の一部の ックルが欠如している不完全上面側経糸を 置する。一部のナックルが欠如していると 、例えば平織の場合、通常は経糸が1本の緯 糸の上、1本の緯糸の下を交互に通る繰り返 によって構成されているが、経糸が1本の緯 の上を通った後、次いで3本の緯糸の下を通 り、次いで1本の緯糸の上を通る組織として る場合等である。この場合、1つのナックル 欠如しているという。
 ナックルとは経糸が1本(または2本)の緯糸の 上、または下を通るところで緯糸に沿って屈 曲している、織物表面に形成される織り合せ 部をいう。

 そして、この不完全上面側経糸の少なくと 片側隣には必ず経糸接結糸の組が配置され おり、不完全上面側経糸の欠如したナック を補うように経糸接結糸の組の経糸接結糸 たは上面側経糸が上面側緯糸の上を通って ックルを形成する組織とする。
 不完全上面側経糸は少なくとも1箇所以上の 上面側ナックルが欠如しており、その隣に配 置している経糸接結糸または上面側経糸また は経糸接結糸と上面側経糸によって補完され る。補完する経糸接結糸や上面側経糸は表面 に現れる部分で完全上面側経糸に寄り添うた めに上面側経糸間に縦方向の溝が形成される 。
 上面側層には不完全上面側経糸だけでなく 経糸の完全組織を構成する完全上面側経糸 配置しても構わない。完全上面側経糸とは ナックルが欠如することなく一定パターン 繰り返されたものである。

 不完全上面側経糸の組織については、表面 形成するナックル数が少な過ぎると上面側 糸と下面側緯糸の間を通る距離が長くなり 交絡部が少なくなるので剛性が低下し変形 やすい織物になってしまう。そのため、上 側組織を平織組織等の比較的交絡部の多い 織とするのが好ましい。2本の経糸接結糸、 または経糸接結糸と上面側経糸または1本の 糸接結糸によって補完されるため、欠落ナ クル数を完全組織中2つ程度にするのが好ま い。
 その他の上面側表面組織としては、2本の上 面側緯糸の上、次いで2本の上面側緯糸の下 通る組織等がある。また、不完全上面側経 が経糸接結糸に補完されて形成される組織 平織組織とし、完全上面側経糸組織をその の組織としても構わない。

 経糸接結糸の組織は、1本または2本の上 側緯糸の上を通る部分と、1本または複数本 下面側緯糸の下を通る部分を有する組織と るのが好ましい。経糸接結糸があまり上面 表面に多く現れる組織とすると、不完全上 側経糸の欠落部を多くする必要があり、ま 不完全上面側経糸に寄りにくくなるため好 しくない。経糸接結糸は1本、多くても2本 上面側緯糸の上を通る部分を1回または2回形 成する組織とするのが好ましい。例えば、上 面側表面に上面側緯糸1本分以上離れた2つの ックルを形成する組織等である。

 下面側層においては、他の下面側経糸の組 を崩さないような配置とすればよく、1本の 下面側緯糸の下を通る箇所が複数箇所ある組 織等でもよく、他には経糸接結糸が隣接する 下面側経糸と同じ下面側緯糸の下側を揃って 通る部分を有する組織であってもよく、特に 限定されない。
 経糸接結糸は上面側緯糸と織り合わされて ックルを形成した後、下層に潜って下面側 糸と織り合わされ、再び上面側緯糸と織り わされる組織である。このような組織であ ため、織物内に大きな内部空間が形成され 十分なろ水性、通気性を確保できる。

 経糸接結糸と組を形成する上面側経糸の 織についても、経糸接結糸と同様に1本また は2本の上面側緯糸の上を通る部分を1回また 2回形成する組織とするのが好ましい。この 上面側経糸も不完全上面側経糸の欠如したナ ックル部分を補完するものであり、経糸接結 糸と組になっているので上面側表面組織を考 慮して決定すればよい。

 経糸接結糸は不完全上面側経糸のナック が欠如した部分を補完するものであるため 少なくとも不完全上面側経糸の片側隣に経 接結糸の組を配置した構造とすればよく、 側隣に配置したものでもよい。好ましくは 経糸接結糸の組と不完全上面側経糸の組が 互に配置している組織とするとよい。

 補完の例としては、不完全上面側経糸のナ クルが欠如した部位を、片側隣に配置した1 組の経糸によって補完する図7のようなもの 、不完全上面側経糸のナックルが欠如した 位を両側隣に配置する2組の経糸によって補 する図1,3,5のようなものがある。また、経 接結糸の組を構成する2本の経糸の両方によ て補完する図1,3のようなものや、組を構成 る2本のうち1本の経糸によって補完するも がある。
 経糸接結糸の組は2本の経糸接結糸又は1本 経糸接結糸と1本の上面側経糸又は1本の経糸 接結糸と1本の下面側経糸から構成されてお 、そのうち経糸接結糸と上面側経糸が補完 る糸である。

 ここで、経糸接結糸や上面側経糸のナック が不完全上面側経糸のナックルが欠如した 分に移動して組織を補完し、移動すること 上面側経糸間に縦溝が形成される理論につ て説明する。
 上面側層において、上面側経糸のナックル 欠如した空間が存在すると、糸は均一にな うとそこを埋めるように経糸接結糸のナッ ルが移動する現象が生じる。さらに、経糸 結糸のナックルの移動を後押しする力が生 るような組織としているためナックルの移 は生じやすい。
 ナックルの移動を後押しする力とは、斜め に存在する経糸ナックル同士が反発する力 ことであり、この斜め隣に存在する2つの経 糸ナックルとは、隣接する2本の経糸が隣接 る上面側緯糸の上にそれぞれナックルを形 する組織の場合をいう。

 例えば、図10に示すように、張力の掛か た経糸1の上を通る緯糸4が、その隣の経糸2 の交点では経糸2の下を通り、また経糸2の上 を通る緯糸3が、その隣の経糸1との交点では 糸1の下を通る2本の経糸と2本の緯糸が交差 る部分を例にあげて説明すると、緯糸4は経 糸1の上を通る交絡部では押し上げられて山 なり、経糸2の下を通るところでは谷になる 一方、緯糸3は経糸2の上を通る交絡部では し上げられて山になり、経糸1の下を通ると ろでは谷になる。このように、隣接する2本 の経糸と2本の緯糸からなる4つの交点で経糸 緯糸の配置を上下逆の構造とすることで、 にある経糸は山から離れる方向に移動しよ とするため、隣接する経糸1と2は共に離れ 方向(図10の矢印方向)に動こうとする。これ 反発する力である。この反発する力を利用 ることで経糸接結糸や上面側経糸のナック は任意の場所に移動し、また移動したこと 縦方向に伸びる縦溝が形成されるのである

 使用する構成糸の線径については、緻密 平滑な表面とするために上面側表面を構成 る上面側緯糸、上面側経糸は比較的線径の さいものである方が好ましい。経糸接結糸 上面側経糸組織を補完するため上面側経糸 線径を同じにするとよい。緯糸については 上面側層は緻密な表面とするために、上面 緯糸の線径を比較的小さくする。そして下 側層はマシンのロール接触面側となり下面 表面は剛性や耐摩耗性が必要とされるため 下面側緯糸は比較的線径の大きいものであ 方が好ましい。また、上面側経糸、下面側 糸、経糸接結糸の線径を同じとしても、下 側経糸のみを大径としても構わない。上面 緯糸と下面側緯糸の配置比率は1:1であって よく、その他2:1や3:2、4:3等適宜選択できる 下面側緯糸本数を上面側緯糸本数より少な することで横溝も形成され、縦溝と組み合 せることで脱水性、ろ水性がより向上する

 本発明に使用される糸は用途によって選 すればよいが、例えば、モノフィラメント 他、マルチフィラメント、スパンヤーン、 縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテク チャードヤーン、バルキーヤーン、ストレ チヤーンと称される加工糸、あるいはこれ を撚り合わせる等して組み合わせた糸が使 できる。また、糸の断面形状も円形だけで く四角形状や星型等の短形状の糸や楕円形 、中空等の糸が使用できる。また、糸の材 としても、自由に選択でき、ポリエステル ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、 ラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポ エチレンナフタレート、ポリテトラフルオ エチレン、綿、ウール、金属等が使用でき 。もちろん、共重合体やこれらの材質に目 に応じてさまざまな物質を混合したり含有 せた糸を使用しても良い。

 工業用織物としては種々の材料を用いる とができるが、一般的には、上面側経糸、 面側経糸、経糸接結糸、上面側緯糸には剛 があり、寸法安定性に優れるポリエステル ノフィラメントを用いるのが好ましい。ま 、耐摩耗性が要求される下面側緯糸にはポ エステルモノフィラメントとポリアミドモ フィラメントを交互に配置する等、交織す のが剛性を確保しつつ耐摩耗性を向上でき 好ましい。

 本発明は、経糸本数を減らすことなく、 組織によって上面側表面に縦方向に伸びる 水溝を設けることにより、繊維支持性、表 平滑性、剛性に優れた工業用二層織物を提 するという効果を奏する。

 以下、本発明に係る実施形態について図面 参照して説明する。
 図1~9は本発明に係る実施形態の例を示す図 ある。図1、3、5、7は意匠図であり、図2、4 6、8は各意匠図の経糸1~4についての各断面 である。図9は経糸接結糸によって形成され 織物の内部空間を示す。図10は経糸1,2と緯 3,4の交絡部を示した図であり、これを用い 以下に縦方向の溝を形成する理論について 明する。
 ここで意匠図とは、織物組織の最小の繰り し単位であって、この完全組織が上下左右 繋織されて織物全体の組織が形成される。 匠図において、経糸はアラビア数字、例え 1、2、3・・・で示した。また完全上面側経 はuを付した数字、不完全上面側経糸はu’ 付した数字、経糸接結糸と組を形成してい 上面側経糸はu’’を付した数字、経糸接結 はbを付した数字、経糸接結糸bと組を形成 る経糸接結糸はBを付した数字、下面側経糸 dを付した数字で表した。

 また上面側経糸(u、u’)と下面側経糸(d)から なる上下経糸の組と、上面側経糸(u’’)と経 糸接結糸(b)からなる経糸接結糸の組と、2本 経糸接結糸(b、B)からなる経糸接結糸の組と 下面側経糸(d)と経糸接結糸(b)からなる組の 合がある。
 緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例 ば1’、2’、3’・・・で示した。緯糸の配 比率によって上面側緯糸と下面側緯糸が上 に配置されている場合と、上面側緯糸のみ 場合がある。ここで上面側緯糸はuを付した 数字、下面側緯糸はdを付した数字で表した

 また、×は上面側経糸が上面側緯糸の上 に位置してナックルを形成していることを し、□は下面側経糸が下面側緯糸の下側に 置してナックルを形成していることを示す ◆は経糸接結糸が上面側緯糸の上側に位置 てナックルを形成していることを示し、◇ その経糸接結糸が下面側緯糸の下側に位置 てナックルを形成していることを示す。ま 、●も経糸接結糸が上面側緯糸の上側に位 してナックルを形成していることを示し、 はその経糸接結糸が下面側緯糸の下側に位 してナックルを形成していることを示す。 匠図中の矢印は経糸接結糸又は上面側経糸 ナックルが不完全上面側経糸の欠如したナ クルを補完する部分を指し示している。

 意匠図では糸が上下に正確に重なって配 されることになっているが、これは図面の 合上であって実際の織物ではずれて配置さ ていることがある。特に経糸接結糸は不完 経糸の欠如したナックルを補完するため、 面側経糸に接近し、そこには縦溝が形成さ る。つまり意匠図に示された重なりとは大 くずれている。

(実施形態1)
 図1及び図2は本発明に係る実施形態1の織物 意匠図及び経糸に沿った断面図であり、経 16本からなる16シャフトの織物である。経糸 2、4、6、8の一方が経糸接結糸bであり、もう 方が下面側経糸dである。経糸1、3、5、7は 面側経糸u、u’と下面側経糸dの組であり、 面側経糸1、5が不完全上面側経糸u’であり 上面側経糸3、7は完全上面側経糸uを有する 下経糸の組である。
 不完全上面側経糸はナックルが2箇所欠如し た平織組織であり、その両側には経糸接結糸 と下面側経糸からなる経糸接結糸の組が配置 されている。そして、該不完全上面側経糸の ナックルが欠如した部分をその両側に配置し ている経糸接結糸が形成するナックルで補完 することで、上面側表面に上面側経糸1本分 平織組織を形成する。

 具体的には、図2に示す如く不完全上面側 経糸1u’は、上面側緯糸7’u、11’uの部分で ックルが欠如している平織組織である。そ て、その片側隣の経糸接結糸2bは上面側緯糸 11’uと織り合わされてナックルを形成してお り、不完全上面側経糸1u’の欠如した部分を 完している。同様に、経糸接結糸8bは上面 緯糸7’uと織り合わされてナックルを形成し ており、不完全上面側経糸1u’の欠如した部 を補完している。これにより、両側の経糸 結糸は不完全上面側経糸に寄るため、意匠 上の経糸2、4、6、8の部分には縦方向に伸び る溝が形成され、織物全体として均一な間隔 で溝が形成される。

 本実施形態1では、不完全上面側経糸は2つ ナックルが欠如している組織であるが、あ り多くのナックルが欠如する組織だと上面 緯糸との交絡部が少なくなり剛性不足とな てしまう。上面側緯糸においても同様であ 。また、ここでは平織組織をベースとして るが、交絡部が少ない1/3組織等では同様な 由から剛性不足になってしまうため好まし ない。
 また、経糸接結糸は上面側緯糸と織り合わ れてナックルを形成した後、下層に潜って 面側緯糸と織り合わされ、再び上面側緯糸 織り合わされる組織である。このような組 であるため織物内に大きな内部空間が形成 れ、十分なろ水性、通気性を確保すること できる(図9参照)。
 下面側層は下面側経糸の両側に配置する経 接結糸と下面側経糸と共に1本の下面側緯糸 の下を通り、下面側緯糸は下面側に5本分の ングクリンプを形成する構造であるため、 性、耐摩耗性に優れた構造といえる。

(実施形態2)
 図3及び4は本発明に係る実施形態2の織物の 匠図及び経糸に沿った断面図である。経糸1 6本からなる16シャフトの織物であり、経糸の 配置は実施形態1と同じである。
上面側層は経糸が2本の上面側緯糸の上、2本 上面側緯糸の下を通る組織と平織組織が交 に配置された組織であり、経糸接結糸(b)と 完全上面側経糸(u’)の組み合わせによって 面側表面に2/2組織を形成しており、完全上 側経糸(u)によって平織組織を形成している
 不完全上面側経糸(u’)は連続する2本の上面 側緯糸の上を通るナックルが2箇所欠如した 織であり、その両側に経糸接結糸と下面側 糸からなる経糸接結糸の組(b,d)を配置してい る。そして、該不完全上面側経糸のナックル が欠如した部分を、その両側に配置するそれ ぞれの経糸接結糸(b)が形成したナックルで補 完することで、上面側表面に上面側経糸1本 の2/2組織を形成する。
 本実施形態のように経糸接結糸(b)は連続す 2本の上面側緯糸の上を通ってナックルを形 成する組織であってもよく、このように上面 側表面を2種類の経糸組織で構成しても構わ い。
 下面側層は1本の下面側経糸の両隣に隣接す る2本の経糸接結糸が交代で下面側経糸が通 下面側緯糸と同じ下面側緯糸の下を通るジ ザグ組織であり、下面側緯糸もロングクリ プとなるため耐摩耗性、剛性に優れる。

(実施形態3)
 図5及び図6は本発明の実施形態3の織物の意 図及び経糸に沿った断面図である。実施形 1と同じ16シャフトの上面平織組織の織物だ 、上面側に完全な平織組織を形成している 全上面側経糸(u)は存在せず、上面側経糸の てが不完全上面側経糸(u’)となっている。
 実施形態1、2では経糸接結糸と下面側経糸 らなる経糸接結糸の組を配置していたが、 実施形態ではそれの代わりに2本の経糸接結 (b、B)からなる経糸接結糸の組を配置した。
 不完全上面側経糸はナックルが2箇所欠如し た平織組織であり、ナックルが欠如した部分 をその両側に配置している経糸接結糸のナッ クルで補完することで、上面側表面に上面側 経糸1本分の平織組織を形成している。

 具体的には、不完全上面側経糸(3u’)は、上 面側緯糸(6’u、8’u)の部分でナックルが欠如 している平織組織である。そして、その片側 隣の経糸接結糸(2B)が上面側緯糸(6’u)と織り わされてナックルを形成しており、不完全 面側経糸(3u’)の欠如した部分を補完してい る。同様に、経糸接結糸(4b)が上面側緯糸(8’ u)と織り合わされてナックルを形成しており 不完全上面側経糸(3u’)の欠如した部分を補 完している。
 また、不完全上面側経糸(5u’)においては、 上面側緯糸(3’u、5’u)の部分でナックルが欠 如している平織組織である。そして、その片 側隣の経糸接結糸4Bが上面側緯糸(3’u)と織り 合わされてナックルを形成しており、不完全 上面側経糸(5u’)の欠如した部分を補完して る。同様に、経糸接結糸(6b)が上面側緯糸(5 u)と織り合わされてナックルを形成しており 、不完全上面側経糸(5u’)の欠如した部分を 完している。
 その他の部分も同様に経糸接結糸(b、B)が不 完全上面意匠図上の経糸(2、4、6、8)の部分に 縦溝が形成され、織物全体として均一な間隔 で縦方向の溝が形成される。

 本実施形態では、組を形成する2本の経糸接 結糸が組内で分かれてそれぞれ別の不完全上 面側経糸の欠如部を補完する組織である。ま た、前記実施形態と同様に経糸接結糸は上面 側緯糸と織り合わされてナックルを形成した 後、下層に潜って下面側緯糸と織り合わされ る組織であるため、織物内に大きな内部空間 が形成され、十分なろ水性、通気性を確保で きる。
 下面側層は隣接する下面側経糸と経糸接結 が同じ下面側緯糸の下を通る、畝織り組織 あり剛性に優れる。

(実施形態4)
 図7及び図8は本発明に係る実施形態4の織物 意匠図及び経糸に沿った断面図である。実 形態1と同じ16シャフトの上面平織組織の織 だが、不完全上面側経糸(u’)の欠如したナ クルを、片側隣に配置する上面側経糸(u’ )と経糸接結糸(b)のナックルによって補完す ものである。
 本実施形態においては、上面側に完全な平 組織を形成している完全上面側経糸(u)は存 しておらず、経糸接結糸の組は経糸接結糸( b)と上面側経糸(u’’)とによって構成されて る。
 不完全上面側経糸(u’)は、ナックルが4箇所 欠如した平織組織であり、ナックルが欠如し た部分をその片側隣に配置している経糸接結 糸と上面側経糸のナックルで補完することで 、上面側表面に上面側経糸1本分の平織組織 形成している。

 具体的には、不完全上面側経糸(1u’)は、 上面側緯糸(3’u、7’u、11’u、15’u)の部分で ナックルが欠如している平織組織である。そ して、その片側隣の経糸接結糸(2b)が上面側 糸(3’u、11’)uと織り合わされてナックルを 成しており、更に上面側経糸(2u’’)が上面 側緯糸(7’u、15’u)と織り合わされてナック を形成しており、不完全上面側経糸(1u’)の 如した部分を補完している。前述の実施形 では不完全上面側経糸はその両側に配置し いる経糸接結糸によってナックルを補完し いたが、このように経糸接結糸と、それと になっている上面側経糸で組織を補完して 構わない。

 その他の部分も同様に経糸接結糸(b)と上 側経糸(u’’)が不完全上面側経糸(u’)に寄 合うため、意匠図上の経糸(2、4、6、8)の部 に縦溝が形成され、織物全体として均一な 隔で縦方向の溝が形成される。

 このようにして、組織の組み合わせによ 上面側表面に縦方向に伸びる溝を形成した 物とすることで、脱水性、通気性、表面平 性、繊維支持性、剛性に優れた織物とする とができる。

本発明に係る実施形態1の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態1の経糸1-4に沿った断面図であ る。 本発明に係る実施形態2の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態2の経糸1-4に沿った断面図であ る。 本発明に係る実施形態3の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態3の経糸1-4に沿った断面図であ る。 本発明に係る実施形態4の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態4の経糸1-4に沿った断面図であ る。 経糸接結糸によって形成された織物の 部空間を示す。 隣接する2本の経糸と緯糸を用いて縦 が形成される理論を説明するための図であ 。

符号の説明

  1u、3u・・・ 完全上面側経糸
  1u’、3u’・・・ 不完全上面側経糸
  2u’’、4u’’・・・ 経糸接結糸と組に っている上面側経糸
  2b、4b・・・ 経糸接結糸
  2B、4B・・・ 経糸接結糸
  2d、4d・・・ 下面側経糸
  1’u、2’u・・・16’u 上面側緯糸
  1’d、3’d・・・15’d 下面側緯糸