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Patent Searching and Data


Title:
INDUSTRIAL TWO-LAYER FABRIC
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044914
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an industrial two-layer fabric, which is formed to have such dehydrating grooves by a woven structure without decreasing the number of warps as extend in a longitudinal direction for the fabric to run, thereby to retain a dehydrating property and air permeability, and which is excellent in surface smoothness, fiber supporting property and rigidity. The industrial two-layer fabric is constituted of upper-side warps to be woven with upper-side wefts, lower-side warps to be woven with lower-side wefts, and warp-binding threads to be woven with both the upper-side wefts and the lower-side wefts. The upper-side warps and the lower-side warps include a set of upper and lower warps arranged above and below, and a set of warp-binding threads, at least one of which is a warp-binding thread. The industrial two-layer fabric is characterized in that knuckles formed of a set of the warp-binding threads and appearing on the upper side are adjacent and parallel to knuckles formed of the upper-side warps adjoining the set of the warp-binding threads.

Inventors:
UEDA IKUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068176
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON FILCON KK (JP)
UEDA IKUO (JP)
International Classes:
D21F1/10; D03D1/00; D03D11/00
Foreign References:
JP2006322109A2006-11-30
JP2006328585A2006-12-07
JP2007119965A2007-05-17
JP2006144145A2006-06-08
JP2005350844A2005-12-22
Other References:
See also references of EP 2213787A4
Attorney, Agent or Firm:
SAKAI, Masami et al. (13-5 Akasaka 4-chome, Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
上面側緯糸と織り合わせる上面側経糸、下面側緯糸と織り合わせる下面側経糸、上面側緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わせる経糸接結糸から構成されており、上面側経糸及び下面側経糸が上下に配置する上下経糸の組と、少なくとも1本が経糸接結糸である経糸接結糸の組とを有する工業用二層織物において、該経糸接結糸の組の糸によって形成される上面側に現れる全てのナックルが、該経糸接結糸の組に隣接する上面側経糸が形成する上面側ナックルに近接並列することを特徴とする工業用二層織物。
上面側緯糸と織り合わせる上面側経糸、下面側緯糸と織り合わせる下面側経糸、上面側緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わせる経糸接結糸から構成されており、上面側経糸及び下面側経糸が上下に配置する上下経糸の組と、少なくとも1本が経糸接結糸である経糸接結糸の組とを有する工業用二層織物において、上下経糸の組を構成する上面側経糸の全て又は一部が上面側に現れる一部のナックルが欠如している不完全上面側経糸であり、該不完全上面側経糸に隣接するように前記経糸接結糸の組が配置され、該経糸接結糸の組の糸によって形成される上面側に現れる一部のナックルが、該不完全上面側経糸のナックルが欠如した部位を補完するもので、残りのナックルは隣接する上面側経糸が形成する上面側ナックルに近接並列することを特徴とする工業用二層織物。
前記不完全上面側経糸が完全組織において、ナックルが2箇所欠如した組織であることを特徴とする、請求の範囲第2項に記載の工業用二層織物。
前記経糸接結糸の組の経糸の一部の上面側ナックルは、隣接する上面側経糸のナックルに近接並列するものであり、その経糸の他の上面側ナックルは隣接する不完全上面側経糸の欠如したナックルを補完するものであることを特徴とする、請求の範囲第2項または3項に記載の工業用二層織物。
前記経糸接結糸の組のうち1本が、隣接する上面側経糸のナックルに近接並列するナックルを形成するものであって、他の1本が前記不完全上面側経糸の欠如したナックルを補完する組織であることを特徴とする、請求の範囲第2項または3項に記載の工業用二層織物。
前記経糸接結糸の組の糸のそれぞれが、同じまたは異なる上面側経糸のナックルに並列または補完することを特徴とする請求の範囲第1項ないし5項に記載のいずれか一に記載の工業用二層織物。
前記経糸接結糸の組が、2本の経糸接結糸または1本の経糸接結糸と1本の上面側経糸または1本の経糸接結糸と1本の下面側経糸によって構成されていることを特徴とする、請求の範囲第1項ないし6項のいずれか一に記載の工業用二層織物。
前記経糸接結糸が完全組織において、1本または2本の上面側緯糸の上を1回または2回通り、その後下層に潜って1本または2本の下面側緯糸の下を通る組織であることを特徴とする、請求の範囲第1項ないし7項のいずれか一に記載の工業用二層織物。
前記上下経糸の組と経糸接結糸の組を交互に配置したことを特徴とする、請求の範囲第1項ないし8項のいずれか一に記載の工業用二層織物。
Description:
工業用二層織物

 本発明は、組織の組み合わせによって上 側表面に縦溝を形成した工業用二層織物で り、上面側表面に縦溝を形成することによ て脱水性、通気性に優れ、上面側経糸密度 低いことから緯糸の打ち込み本数を増やす とができるため繊維支持性、表面平滑性が 上し、経糸配置本数を減らしてないため剛 低下の影響もない工業用二層織物に関する

 従来から工業用織物として経糸、緯糸で 織したものが広く使用されており、例えば 紙用織物や搬送用ベルト、ろ布等があり、 途や使用環境に適した織物特性が要求され いる。特に織物の網目を利用して原料の脱 等を行う製紙工程で使用される抄紙用織物 の要求は厳しい。例えば、紙に織物のワイ ーマークが転写しにくい表面平滑性に優れ 織物、また原料に含まれる余分な水分を十 脱水するための脱水性、過酷な環境下でも 適に使用できる程度の剛性、耐摩耗性を持 合わせたもの、そして良好な紙を製造する めに必要な条件を長期間持続することので る織物が要求されている。その他にも繊維 持性、製紙の歩留まりの向上、寸法安定性 走行安定性等が要求されている。さらに近 では抄紙マシンが高速化しているため、そ に伴い抄紙用織物への要求も一段と厳しい のとなっている。

 特に工業用織物の中でも最も要求が厳しい 紙用織物について説明すれば、ほとんどの 業用織物の要求とその解決について理解で る。そこで、以下抄紙用織物を一例に挙げ 説明する。
 近年マシンの高速化に伴い、特に優れた脱 性、表面平滑性が要求されている。脱水性 向上を目的として特許文献1には、上面側経 糸本数を下面側経糸より少なくすることで脱 水性を向上させた製紙用織物が示されている 。この織物は上面側経糸配置本数が少ないた め、上面側表面に縦方向の溝が形成され脱水 性向上に寄与する。しかし、実質的に経糸本 数が減るため織物の縦方向の剛性が低下し、 伸びやすい織物となってしまう。それ故、工 業用織物として好適に使用することができな かった。

 また、製紙工程において上面側表面は原料 け取り面、湿紙との接触面となるため繊維 持性、表面平滑性が必要とされている。た 単に上面側経糸を間引くだけでは原料が抜 てしまったり、紙にマークを与えてしまっ り、伸びを防ぐという問題を解決すること できなかった。

特開2005-350844号公報

 本発明は、経糸本数を減らすことなく、 組織によって織物走行方向である縦方向に びる脱水溝を設け脱水性、通気性を確保し 同時に表面平滑性、繊維支持性、剛性に優 た工業用二層織物を提供することを目的と る。

 本発明の工業用二層織物の最大の特徴は 経糸本数を減らすことなく織組織によって 面側表面に縦方向に伸びる溝を形成してい 点である。このような構造とすることで十 な脱水性、通気性を確保することができる この構造は緯糸の打ち込み本数を増加させ ことができるため、密な表面となり表面平 性が向上する。また、織物表面が平織組織 あったとしても、通常の平織組織の織物に べ上面側緯糸のクリンプ長さが長くなるた 繊維支持性を向上させる効果もある。

 すなわち、本発明者は上記課題を解決する めに以下の構成を採用した。
(1)上面側緯糸と織り合わせる上面側経糸、下 面側緯糸と織り合わせる下面側経糸、上面側 緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わせる経糸 接結糸から構成されており、上面側経糸及び 下面側経糸が上下に配置する上下経糸の組と 、少なくとも1本が経糸接結糸である経糸接 糸の組とを有する工業用二層織物において 該経糸接結糸の組の糸によって形成される 面側に現れる全てのナックルが、該経糸接 糸の組に隣接する上面側経糸が形成する上 側ナックルに近接並列することを特徴とす 工業用二層織物である。

(2)上面側緯糸と織り合わせる上面側経糸、 下面側緯糸と織り合わせる下面側経糸、上面 側緯糸と下面側緯糸の両方と織り合わせる経 糸接結糸から構成されており、上面側経糸及 び下面側経糸が上下に配置する上下経糸の組 と、少なくとも1本が経糸接結糸である経糸 結糸の組とを有する工業用二層織物におい 、上下経糸の組を構成する上面側経糸の全 又は一部が上面側に現れる一部のナックル 欠如している不完全上面側経糸であり、該 完全上面側経糸に隣接するように前記経糸 結糸の組が配置され、該経糸接結糸の組の によって形成される上面側に現れる一部の ックルが、該不完全上面側経糸のナックル 欠如した部位を補完するもので、残りのナ クルは隣接する上面側経糸が形成する上面 ナックルに近接並列することを特徴とする 業用二層織物である。

(3)前記不完全上面側経糸が完全組織において 、ナックルが2箇所欠如した組織であること 特徴とする、上記(2)に記載の工業用二層織 である。
(4)前記経糸接結糸の組の経糸の一部の上面側 ナックルは、隣接する上面側経糸のナックル に近接並列するものであり、その経糸の他の 上面側ナックルは隣接する不完全上面側経糸 の欠如したナックルを補完するものであるこ とを特徴とする、上記(2)または(3)のいずれか 一に記載の工業用二層織物である。

(5)前記経糸接結糸の組のうち1本が、隣接す 上面側経糸のナックルに近接並列するナッ ルを形成するものであって、他の1本が前記 完全上面側経糸の欠如したナックルを補完 る組織であることを特徴とする、上記(2)ま は(3)のいずれか一に記載の工業用二層織物 ある。
(6)前記経糸接結糸の組の糸のそれぞれが、同 じまたは異なる上面側経糸のナックルに並列 または補完することを特徴とする上記(1)ない し(5)のいずれか一に記載の工業用二層織物で ある。

(7)前記経糸接結糸の組が、2本の経糸接結糸 たは1本の経糸接結糸と1本の上面側経糸また は1本の経糸接結糸と1本の下面側経糸によっ 構成されていることを特徴とする、上記(1) いし(6)のいずれか一に記載の工業用二層織 である。
(8)前記経糸接結糸が完全組織において、1本 たは2本の上面側緯糸の上を1回または2回通 、その後下層に潜って1本または2本の下面側 緯糸の下を通る組織であることを特徴とする 、上記(1)ないし(7)のいずれか一に記載の工業 用二層織物である。
(9)前記上下経糸の組と経糸接結糸の組を交互 に配置したことを特徴とする、上記(1)ないし (8)のいずれか一に記載の工業用二層織物であ る。

 本発明は、経糸配置本数を減らすことなく 組織によって上面側表面に縦方向に伸びる 水溝を設けた構造の織物である。本発明の 物を構成する経糸は、上面側緯糸と織り合 せる上面側経糸、下面側緯糸と織り合わせ 下面側経糸、そして上面側緯糸と下面側緯 の両方と織り合わせる経糸接結糸である。
 本発明において、脱水溝を形成するための 法として、(1)並列型と(2)並列+補完型、の2 がある。いずれの方法においても経糸接結 の組を構成する経糸の上面側ナックルが隣 する上面側経糸のナックルに近接並列し、 り合う部分ができることでその移動したと ろに空間が生じ、全体として織物の縦方向 溝が形成されるのである。(2)の並列+補完型 ついては、並列に加え隣接する上面側経糸 ナックルが欠如した部分を経糸接結糸の組 糸が形成するナックルによって補完する構 である。いずれにしても、寄り合う部分と れる部分ができるものであるが、並列、補 共に縦溝を形成するための理論は共通して り、並列は単に経糸接結糸の隣に配置する 面側経糸のナックルに寄り添って配置した のであり、補完は隣接する上面側経糸のナ クルが存在しない部分に経糸接結糸が代わ てナックルを形成するもので、単に隣接す 上面側経糸の組織の違いだけであって大差 ない。

 本発明では、上面側経糸と下面側経糸を上 に配置した上下経糸の組があり、他には少 くとも1本の経糸接結糸からなる経糸接結糸 の組が存在する。
 経糸接結糸の組は、2本の経糸接結糸が交差 部を形成するように隣接配置しているものや 、経糸接結糸と下面側経糸、あるいは経糸接 結糸と上面側経糸からなるものがある。

 上面側経糸については、上面側経糸と下 側経糸から形成される上下経糸の組があり (2)並列+補完型についてはその上面側経糸が 完全上面側経糸と不完全上面側経糸が混在し ている場合や、全てが不完全上面側経糸の場 合がある。不完全上面側経糸とは上面側表面 に形成される一部のナックルが欠如している 糸であり、例えば平織の場合、通常は経糸が 1本の緯糸の上、1本の緯糸の下を交互に通る り返しによって構成されているが、経糸が1 本の緯糸の上を通った後、次いで3本の緯糸 下を通り、次いで1本の緯糸の上を通る組織 している場合等である。この場合、1つのナ ックルが欠如しているという。

 また完全上面側経糸とは経糸の完全組織を 成する糸であり、上面側緯糸と織り合わさ た1本の経糸によって上面側表面に組織を形 成するものであって、ナックルが欠如するこ となく一定パターンが繰り返された一般的な 上面側経糸であり、例えば平織の場合、1本 緯糸の上、1本の緯糸の下を交互に通る繰り しによって構成されたもので、(1)並列型の 下経糸の組の上面側経糸は全て完全上面側 糸である。
 ナックルとは経糸が1本(または2本)の緯糸の 上、または下を通るところで緯糸に沿って屈 曲している織り合せ部をいう。

 上面側経糸については上下経糸の組の他 経糸接結糸の組の上面側経糸が存在する場 がある。経糸接結糸の組は2本の経糸接結糸 からなるもの、経糸接結糸と下面側経糸、経 糸接結糸と上面側経糸からなるものがあるが 、経糸接結糸の組の上面側経糸は隣接する上 下経糸の組の上面側経糸に寄るものであるた め、上下経糸の組の上面側経糸とは組織や機 能が異なるものである。

 経糸接結糸の組織に関しては特に限定はな が、1本または2本の上面側緯糸の上を1回ま は2回通り、その後下層に潜って1または2本 下面側緯糸の下を通る組織とするとよい。 糸接結糸は上層に現れた後、下層に潜る組 であるため、縦溝がある織物層内に内部空 を大きく確保することができ、十分なろ水 、通気性を確保することができる。
 経糸接結糸はその場に留まらず隣接する上 側経糸側に移動する糸であるため、表面に り多くのナックルを形成する組織としない が好ましく、上面側表面組織や上面側経糸 織との兼ね合いにより決定すればよい。経 接結糸は1本、多くても2本の上面側緯糸の を通る部分を1回または2回形成する組織とす るのが好ましい。例えば、上面側表面に上面 側緯糸1本分以上離れた2つ以上のナックルを 成する組織等である。

 経糸接結糸の組の経糸接結糸と上面側経糸 上面側ナックルの全ては並列するか、もし は補完する糸であるが、まずナックルが並 して縦溝が形成される理論について説明す 。
 上面側経糸とその隣の経糸接結糸または経 接結糸の組の上面側経糸は同じ1本または2 の上面側緯糸の上を揃って通る組織である め、その交絡部では緯糸が曲げられて谷に った部分にその2本の経糸のナックルが集ま ことでくっつき合う近接部となり、移動し ことで離れる部分が生じ離れた部分が縦溝 なる。
 また、離れようとする部分の隣接する経糸 で、それぞれの経糸が隣接する上面側緯糸 上にそれぞれナックルを形成するような、 面からみたときに斜め隣に経糸ナックルが 成される組織とするとより縦溝が形成され すい。この組織はナックル同士が反発する うな、移動を後押しする力が生じる組織で るためである。

 例えば、図18に示すように、張力の掛か た経糸1の上を通る緯糸4が、その隣の経糸2 の交点では経糸2の下を通り、また経糸2の上 を通る緯糸3が、その隣の経糸1との交点では 糸1の下を通る2本の経糸と2本の緯糸が交差 る部分で説明すると、緯糸4は経糸1の上を る交絡部では押し上げられて山になり、経 2の下を通るところでは谷になる。一方、緯 3は経糸2の上を通る交絡部では押し上げら て山になり、経糸1の下を通るところでは谷 なる。このように、隣接する2本の経糸と2 の緯糸からなる4つの交点で経糸、緯糸の配 を上下逆の構造とすることで、谷にある経 は山から離れる方向(図18の矢印方向)に移動 しようとするため、隣接する経糸1と2は共に れる方向に動いて、そこに隙間が形成され 。この離れようとする力をナックルの移動 後押しする力として利用している。

 同様にナックルが補完して縦溝が形成さ る理論について説明すると、上面側層にお て、上面側経糸のナックルが欠如した空間 存在すると、糸は均一になろうとそこを埋 るように経糸接結糸のナックルが移動する 象が生じる。さらに、経糸接結糸のナック の移動を後押しする力が生じる組織である めナックルの移動は生じやすい。この後押 する力は前記と同様である。

 補完も並列も上記に示した通り共通の理論 利用して縦溝を形成しており、単に隣接す 上下経糸の組の上面側経糸の組織が異なる けである。補完の場合には上面側表面に形 される一部のナックルが欠如している不完 上面側経糸が存在する。
 不完全上面側経糸の少なくとも片側隣には ず経糸接結糸の組が配置されており、不完 上面側経糸の欠如したナックルを補うよう 経糸接結糸の組の経糸接結糸または上面側 糸が上面側緯糸の上を通ってナックルを形 する組織とすることで、上面側表面に均一 一定パターンが形成される。不完全上面側 糸は完全組織において少なくとも1箇所以上 のナックルが欠如しており、その隣に配置し ている経糸接結糸や上面側経糸によって補完 される。
 均一な表面が必要とされる用途では、補完 ることで形成される表面を均一とするため 上面側表面を形成する不完全上面側経糸、 糸接結糸、上面側経糸の組織とその組み合 せや配置等を十分考慮する必要がある。
 本発明の効果を最大限に発揮できる配置と 、上下経糸の組と経糸接結糸の組を交互に 置することである。

 不完全上面側経糸の組織については、表 に形成するナックル数が少な過ぎると上面 緯糸と下面側緯糸の間を通る距離が長くな 、交絡部が少なくなるので剛性が低下し変 しやすい織物になってしまう。そのため、 完されて形成される上面側組織を平織組織 の比較的交絡部の多い組織とし、不完全上 側経糸は2本の経糸接結糸、または1本の経 接結糸と上面側経糸によって補完されるた 、欠如したナックルの数を完全組織中2つ程 にするのが好ましい。その他には補完され 形成される上面側組織を2本の上面側緯糸の 上、次いで2本の上面側緯糸の下を通る組織 し、そのうちの2本の上面側緯糸の上を通る1 箇所のナックルを経糸接結糸によって補完す ればよい。

 上面側表面組織については、不完全上面 経糸の組織や経糸接結糸の組の経糸接結糸 上面側経糸の組織等を考慮して決定すれば く、前述の通り交絡部の多い平織組織等が ましいが、不完全上面側経糸が経糸接結糸 補完されて形成される組織を平織組織とし 完全上面側経糸組織はその他の組織として 構わない。

 不完全上面側経糸の欠如したナックルは、 に配置する経糸接結糸の組の経糸接結糸か 面側経糸によって補完されるものであるが その経糸接結糸や上面側経糸は補完だけで く、1本の糸の別のナックルで不完全上面側 経糸の上面側ナックルに並列するものであっ ても構わない。つまり、不完全上面側経糸が 隣接する経糸に並列もされ、補完もされる場 合をいう。
 例えば、経糸接結糸の組の1本が上面側に形 成するナックルの一部が隣接する不完全上面 側経糸の欠如した部分を補完し、残りのナッ クルがその不完全上面側経糸のナックルに近 接並列する組織とする糸を2本組にした場合 、他には経糸接結糸の組のうち1本が、不完 上面側経糸の欠如したナックルを補完する ので、他の1本が反対側に隣接する上面側経 糸のナックルに近接並列するナックルを形成 する組織とした2本からなる場合等もある。

 そして、経糸接結糸の組の2本が共に片側隣 に配置している上面側経糸に並列または補完 するものであってもよく、また経糸接結糸の 組の1本が右側の上面側経糸に並列または補 するもので、もう1本が左側の上面側経糸に 列または補完するような、2本が左右に分か れそれぞれ別の糸に寄る構造であっても構わ ない。
 例えば、(1)の並列型の場合、経糸接結糸の を構成する2本の糸が片側隣に隣接する上面 側経糸のナックルに隣接並列する組織となる ようにした場合や、他には経糸接結糸の組の うち、1本が右隣に隣接する上面側経糸のナ クルに近接並列し、他の1本が左隣に隣接す 上面側経糸のナックルに近接並列する組織 した2本からなる場合がある。
 ただし、1本の糸の1つのナックルが右側に 置する上面側経糸に並列、補完し、他の1つ ナックルが左側に配置する上面側経糸に並 、補完するものは好ましくない。このよう 組織とすると、1本の経糸接結糸が右に左に 蛇行しながらナックルを形成する構造となり やすいため、本発明で目的としている縦方向 の溝の形成を阻害する恐れがあるためである 。

 また、下面側層については、下面側経糸 経糸接結糸によって構成されており、組織 特に限定されない。2本の下面側の経糸が並 列して平織を構成する畝織り組織であっても よく、下面側緯糸が下面側表面にロングクリ ンプを形成する構造であってもよい。その他 下面側経糸が単独で1本の下面側緯糸の下、 数本の下面側緯糸の上を通る構造等、特に 定されない。

 本発明に使用される構成糸の線径について 、緻密で平滑な表面とするために上面側表 を構成する上面側緯糸、上面側経糸、経糸 結糸は比較的線径の小さいものの方が好ま い。緯糸については、上面側層は緻密な表 とするため、上面側緯糸の線径を比較的小 くする。そして下面側層はマシンやロール 触面側となり下面側表面は剛性や耐摩耗性 必要とされるため、下面側緯糸は比較的線 の大きいものの方が好ましい。また、上面 経糸、下面側経糸、経糸接結糸の線径を同 としても、下面側経糸のみを大径としても わない。上面側緯糸と下面側緯糸の配置比 は1:1であってもよく、その他、2:1や3:2、3:1 4:3、4:1等適宜選択できる。下面側緯糸本数 上面側緯糸本数より少なくすることで脱水 となる横溝も形成され、縦溝と組み合わせ ことで脱水性、ろ水性がより向上する。
 また、下面側緯糸の配置比率を小さくする 、経糸接結糸が上面側緯糸と織り合わせる 分と下面側緯糸と織り合わせる部分の距離 離れるため、隣接する経糸に寄りやすくな 、縦方向の溝が形成され好ましい。

 本発明に使用される糸は用途によって選 すればよいが、例えば、モノフィラメント 他、マルチフィラメント、スパンヤーン、 縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテク チャードヤーン、バルキーヤーン、ストレ チヤーンと称される加工糸、あるいはこれ を撚り合わせる等して組み合わせた糸が使 できる。また、糸の断面形状も円形だけで く四角形状や星型等の短形状の糸や楕円形 、中空等の糸が使用できる。また、糸の材 としても、自由に選択でき、ポリエステル ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、 ラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポ エチレンナフタレート、ポリテトラフルオ エチレン、綿、ウール、金属等が使用でき 。もちろん、共重合体やこれらの材質に目 に応じてさまざまな物質をブレンドしたり 有させた糸を使用しても良い。

 抄紙用ワイヤーとしては種々の材料を用 ることができるが、一般的には上面側経糸 下面側経糸、経糸接結糸、上面側緯糸に剛 があり、寸法安定性に優れるポリエステル ノフィラメントを用いるのが好ましい。ま 、耐摩耗性が要求される下面側緯糸にはポ エステルモノフィラメントとポリアミドモ フィラメントを交互に配置する等、交織す のが剛性を確保しつつ耐摩耗性を向上でき ので好ましい。

 本発明に係る工業用二層織物は、経糸本 を減らすことなく、織組織によって織物走 方向である縦方向に伸びる脱水溝を設けた 物とすることで、脱水性、通気性を確保し 同時に表面平滑性、繊維支持性、剛性が向 するという効果を奏する。

 以下、本発明に係る実施形態について図面 参照して説明する。
 図1~8は本発明の(1)並列型の実施例であり、 1、3、5、7は意匠図であり、図2、4、6、8は 糸に沿った断面図である。図17は経糸接結糸 が上下することによって形成された織物の内 部空間を示す。

 ここで意匠図とは、織物組織の最小の繰 返し単位(完全組織ともいう)であって、こ 完全組織が上下左右に繋織されて織物全体 組織が形成される。以下に示す実施形態1~4 意匠図において、経糸はアラビア数字、例 ば1、2、3・・・で示した。また完全上面側 糸はuを付した数字、不完全上面側経糸はu’ を付した数字、経糸接結糸はbを付した数字 経糸接結糸と組を形成している上面側経糸 u''を付した数字、経糸接結糸b又は上面側経 u''と組を形成する経糸接結糸はBを付した数 字、下面側経糸をdを付した数字で表した。

 経糸の組については上面側経糸(u)と下面側 糸(d)からなる上下経糸の組と、2本の経糸接 結糸(b、B)からなる経糸接結糸の組、不完全 面側経糸(u’)と下面側経糸(d)からなる上下 糸の組、上面側経糸(u'')と経糸接結糸(B)から なる経糸接結糸の組がある。
 緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例 ば1’、2’、3’・・・で示した。緯糸の配 比率によって上面側緯糸と下面側緯糸が上 に配置されている場合と、上面側緯糸のみ 場合があり、上面側緯糸をuを付した数字、 下面側緯糸をdを付した数字で示し、例えば1 u、2’d等と示した。

 また、×は上面側経糸(u、u’、u'')が上面側 糸の上側に位置し上面側表面にナックルを 成していることを示し、□は下面側経糸(d) 下面側緯糸の下側に位置し下面側表面にナ クルを形成していることを示す。●は経糸 結糸(b)が上面側緯糸の上側に位置してナッ ルを形成していることを示し、○はその経 接結糸(b)が下面側緯糸の下側に位置してナ クルを形成していることを示す。また、◆ 経糸接結糸(B)が上面側緯糸の上側に位置し ナックルを形成していることを示し、◇は の経糸接結糸(B)が下面側緯糸の下側に位置 てナックルを形成していることを示す。意 図中の矢印は経糸接結糸(b、B)または上面側 経糸(u'')のナックルが不完全上面側経糸のナ クルが欠如した部位を補完する部分を指し している。
 意匠図中の太枠は経糸接結糸のナックルが 面側経糸ナックルに並列配置している部分 あり、網掛けは図9以降でナックルが欠如し た部分を示している。
 意匠図では糸が上下に正確に重なって配置 れることになっているが、これは図面の都 上であって実際の織物ではずれて配置され いることがある。

(実施形態1)
 図1及び図2は本発明に係る実施形態1の織物 意匠図であり、経糸16本からなる16シャフト の織物である。経糸2、4、6、8は上面側経糸(u )と下面側経糸(d)からなる上下経糸の組であ 、経糸1、3、5、7の一方が経糸接結糸(b)であ 、もう一方が下面側経糸(d)であり、上下経 の組と経糸接結糸の組が交互に配置してい 。

 上面側経糸は平織組織であり、1本の上面 側緯糸の上下を交互に通る。そして、経糸接 結糸は1本の上面側緯糸の上を通った後、下 に潜って1本の下面側緯糸の下を通る組織で り、上下層を織り合わせている。経糸接結 の上面側ナックルは上面側経糸の一部のナ クルに並列しており、例えば、図1及び図2 示す如く、経糸接結糸1bはその隣の上面側経 糸(2u)が上面側緯糸(7’u)の上に形成したナッ ルに近接並列している。そして、経糸接結 (3b)はその隣の上面側経糸(2u)が上面側緯糸(5 ’u)の上に形成したナックルに近接並列して る。これにより、経糸(1)と(3)の部分に縦方 に伸びる溝が形成される。

 上記の形態によって、通常の平織に比べ 糸の打ち込み本数を増やすことができ、上 側経糸は組織上は平織だが、通常の平織組 よりも上面側緯糸は長いクリンプとなるた 繊維支持性に優れたものとなる。

 また、経糸接結糸は上面側緯糸と織り合わ れてナックルを形成した後、下層に潜って 面側緯糸と織り合わされ、再び上面側緯糸 織り合わされる組織である。このような組 であることと経糸接結糸が縦溝間に配置し いることが相まって、織物内に大きな内部 間(図17の斜線部分)が形成され、十分なろ水 性、通気性を確保できる。
 下面側層は隣接する2本の下面側経糸、また は下面側経糸と経糸接結糸が同じ下面側緯糸 の上下を通る畝織組織となっているため剛性 に優れた織物である。

(実施形態2)
 図3及び図4は本発明の実施形態2の織物の意 図である。実施形態1と同じ16シャフトの上 平織組織の織物で、経糸1、3、5、7は上面側 経糸(u)と下面側経糸(d)からなる上下経糸の組 であり、経糸2、4、6、8は経糸接結糸(b、B)の であり、上下経糸の組と経糸接結糸の組が 互に配置している。実施形態1とは、経糸接 結糸の組が2本の経糸接結糸からなるところ 異なる。

 上面側経糸は平織組織であり、その両側 は経糸接結糸の組が配置されている。経糸 結糸は1本の上面側緯糸の上を通った後、下 層に潜って1本の下面側緯糸の下を通る組織 あり、上下層を織り合わせている。経糸接 糸の上面側ナックルは隣接する上面側経糸 ナックルに並列しており、それによって上 側経糸間とその層内に縦方向に伸びる空間 形成される。本実施形態では経糸接結糸の の一方の糸は右側隣に配置する上面側経糸 1つのナックルに並列し、もう一方の糸は左 隣に配置する上面側経糸の1つのナックルに 並列している。このように、組の中でそれら が分かれて別の糸に並列して配置しても構わ ない。

 下面側層組織については実施例1と同じであ る。
 実施形態1と同様に、上面側経糸間に縦溝が 形成され、その層内にも内部空間が形成され るため、通気性、ろ水性に優れ、また緯糸の 打ち込み本数を増やすことができるため、表 面平滑性、繊維支持性に優れた織物となる。

(実施形態3)
 図5及び図6は本発明の実施形態3の織物の意 図である。実施形態1と同じ16シャフトの上 平織組織の織物だが、上面側緯糸と下面側 糸の配置比率が4:1である点が異なるが、そ 以外は同じ構造である。このように下面側 糸本数を減らすことで下面側の横方向にも が形成され脱水性がさらに向上する。下面 緯糸本数が少ない分、その線径を大きくす ば耐摩耗対策となる。

(実施形態4)
 図7及び図8は本発明の実施形態4の織物の意 図である。実施形態2と同じ16シャフトの上 平織組織の織物だが、上面側緯糸と下面側 糸の配置比率が3:1である点が異なり、経糸 結糸が1本の上面側緯糸の上を2回通るナッ ルを形成する組織である。

 一方の経糸接結糸は1本の上面側緯糸の上を 通った後、下層に潜って1本の下面側緯糸の を通る組織であり、もう一方は離れた2つの 面側緯糸の上を通り、その後下層にもぐっ 下面側緯糸の下を通る組織である。2本の経 糸接結糸(b、B)の上面側ナックルは上面側経 の一部のナックルに並列しており、例えば 図7及び図8に示す如く、経糸接結糸(2b)はそ 隣の上面側経糸(3u)が上面側緯糸(1’u)の上に 形成したナックルに近接並列している。そし て、経糸接結糸(2B)は上面側経糸(3u)が上面側 糸(5’u、9’u)の上に形成したナックルに近 並列している。
 これにより経糸接結糸の組(2b,2B)と上下経糸 の組(3u,3d)が近接し合い、経糸(2)のところに 溝が形成される。

 他の実施形態同様に、上面側経糸間に縦 が形成され、その層内にも内部空間が形成 れるため、通気性、ろ水性に優れ、また緯 の打ち込み本数を増やすことができるため 表面平滑性、繊維支持性に優れた織物とな 。

 更に、本発明に係る実施形態5~8について図 を参照して説明する。
 図9~16は本発明に係る(2)並列+補完型の実施 態の例を示す図である。図9、11、13、15は意 図である。図10、12、14、16は経糸1~4につい の各断面図である。

(実施形態5)
 図9は本発明に係る実施形態5の織物の意匠 であり、経糸16本からなる16シャフトの織物 ある。経糸1、3、5、7は上面側経糸(u)と下面 側経糸(d)からなる上下経糸の組であり、その うち経糸1、5が不完全上面側経糸(u’)であり 経糸3、7は完全上面側経糸(u)である。そし 、経糸2、4、6、8は2本の経糸接結糸からなる 経糸接結糸の組(b,B)であり、上下経糸の組と 糸接結糸の組が交互に配置している。上面 緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。

 上面側表面に形成される組織は平織組織で り、1本の上面側緯糸の上下を交互に通る。 そして、経糸接結糸は1本の上面側緯糸の上 通った後、下層に向かい次いで1本の下面側 糸の下を通る組織であり、上下層を織り合 せている。図9、10に示す如く、組を形成す 経糸接結糸のうち一方(B)は隣接する不完全 面側経糸のナックルを補完するものであり もう一方(b)は隣接する上面側経糸ナックル 一部に並列するナックルを形成するもので る。
 例えば、経糸接結糸2では、一方の経糸接結 糸(2B)はその隣に配置している不完全上面側 糸(1u’)のナックルが欠如した部位を補完す ものであり、上面側緯糸(1’u)と織り合わさ れている。そして、もう一方の経糸接結糸(2b )はその反対隣に配置している完全上面側経 (3u)のナックルの1つに並列するようにナック ルを形成するものであって、上面側緯糸(6’u )と織り合わされている。

 また、不完全上面側経糸(1u’)の反対隣に 配置している経糸接結糸(8B)も上面側緯糸(7’ u)と織り合わされ、欠如したナックルが補完 れる。不完全上面側経糸(1u’)は両側から組 織を補完されることで上面側表面に擬似的に 経糸1本分の平織組織を形成する。また、不 全上面側経糸は両側から挟まれて補完され 上面側表面の経糸1と経糸3の間に溝が形成さ れる。しかも、上面側表面組織は平織ではあ るものの経糸間に溝が形成されているため、 上面側緯糸が表面に長いクリンプ(浮き)を形 する構造であり、繊維支持性が優れたもの なる。

 同様に、完全上面側経糸(3u)の反対隣の経 糸接結糸(4b)は、完全上面側経糸(3u)のナック の1つに並列するようにナックルを形成する ために、上面側緯糸(8’u)と織り合わされて る。経糸接結糸(b、B)はその後下面側に下が ものであるためナックルが突出することは く、上面側経糸(3u)が形成している平織組織 に影響を与える程のものではない。

 また、経糸接結糸は上面側緯糸と織り合わ れてナックルを形成した後、下層に潜って 面側緯糸と織り合わされ、再び上面側緯糸 織り合わされる組織である。このような組 であることと経糸接結糸が縦溝間に配置し いることが相まって、織物内に大きな内部 間が形成され、十分なろ水性、通気性を確 できる(図17の斜線部参照)。
 下面側層は隣接する下面側経糸と経糸接結 が同じ下面側緯糸の下を下面側緯糸1本交互 に通る畝織組織となっているため剛性に優れ 、且つ下面側層にも縦方向に伸びる溝が形成 されるため、ろ水性、通気性にも優れた織物 である。

(実施形態6)
 図11は本発明に係る実施形態6の織物の意匠 である。前記実施形態5と同じ16シャフトの 面平織組織の織物で、経糸1、5は不完全上 側経糸(u’)と下面側経糸(d)からなる上下経 の組であり、経糸3、7は完全上面側経糸(u)と 下面側経糸(d)からなる上下経糸の組であり、 経糸2、4、6、8は2本の経糸接結糸(b)、(B)から る経糸接結糸の組であり、上下経糸の組と 糸接結糸の組が交互に配置している。1本の 経糸接結糸が、2つのナックルを形成する組 であって、一方のナックルは隣接する上面 経糸のナックルが欠如した部位を補完する のであって、もう一方のナックルは隣接す 上面側経糸の一部のナックルに並列するも である。このように、1本の経糸接結糸のナ クルが補完と並列の2つの働きをするもので あっても構わない。

 上面側表面に形成される組織は平織組織で り、1本の不完全上面側経糸においては4つ ナックルが欠如している。その両側には経 接結糸の組が配置されており、図12に示す如 く一方の経糸接結糸(b)は1本の上面側緯糸の を通った後、下層に潜って1本の下面側緯糸 下を通り、次いで上層に上がって1本の上面 側緯糸の上を通り、再び下層に潜って1本の 面側緯糸の下を通る組織で上下層を織り合 せている。組を形成する2本の経糸接結糸(B) 両方とも、一つのナックルが隣接する不完 上面側経糸(u’)のナックルが欠如した部位 補完しており、もう一つのナックルは同じ 完全上面側経糸(u’)の1つのナックルに並列 するナックルを形成している。
 経糸接結糸が隣接する上面側経糸に寄るこ で上面側の縦方向に溝が形成されることを 慮すると、例え上面側経糸ナックルが複数 在しても、本実施形態のように1本の経糸接 結糸における全てのナックルが同じ側にある 上面側経糸のナックルに並列もしくは補完す る構造とすると溝が形成されやすい。また、 本実施形態では、上面側緯糸に比べ下面側緯 糸の配置比率を少なくした。これにより、経 糸接結糸の上面側緯糸との織り合わせ部から 、下面側緯糸との織り合わせ部までの距離が 長くなり、上下層に伸びる経糸接結糸の角度 も緩やかになるので、経糸接結糸は隣の上面 側経糸に寄りやすくなり、更に上面側層の縦 方向に溝が形成されやすい。

 経糸接結糸は上面側緯糸の上を通り、その 下面側層に潜る組織であるため、織物層内 内部空間が形成される。下面側層組織につ ては2本の下面側の経糸が並んで1本の下面 緯糸の上、下を通る畝織組織である。
 前記実施形態と同様に、上面側経糸間に縦 が形成され、その層内にも内部空間が形成 れるため、通気性、ろ水性に優れ、また緯 の打ち込み本数を増やすことができるため 表面平滑性、繊維支持性に優れた織物とな 。

(実施形態7)
 図13は本発明に係る実施形態7の織物の意匠 である。前記実施形態と同じ16シャフトの 面平織組織の織物で、経糸1、3、5、7は不完 上面側経糸(u’)と下面側経糸(d)からなる上 経糸の組であり、経糸2、4、6、8は上面側経 (u'')糸と経糸接結糸(B)からなる経糸接結糸の であり、上下経糸の組と経糸接結糸の組が 互に配置している。上面側緯糸(u)と下面側 糸(d)の配置比率は2:1である。本実施形態に いて、上面側経糸は平織組織を形成するも であり、完全上面側経糸がなく2つのナック ルが欠如している不完全上面側経糸が存在し ている。

 また、経糸接結糸の組が上面側経糸と経 接結糸から構成されており、その上面側経 は隣接する不完全上面側経糸の欠如したナ クルを補完するもので、経糸接結糸は不完 上面側経糸のナックルに並列するナックル 形成するものである。前記の実施形態では 完全上面側経糸は両側に配置している経糸 結糸によって組織を補完したり、並列ナッ ルを形成したりしているが、本実施形態で 経糸接結糸だけでなく、それと組を形成す 上面側経糸も補完のためのナックルを形成 る構造となっている。さらに実施形態6と同 じように、本実施形態は不完全上面側経糸の 両側からではなく片側隣に配置している経糸 接結糸と上面側経糸によってナックルを補完 、並列するものである。このように、経糸接 結糸によって補完するだけでなく、本実施形 態のように経糸接結糸の組を構成する上面側 経糸によって欠如ナックルを補完しても構わ ない。

 具体的には、図14に示す如く不完全上面側 糸(1u’)は上面側緯糸(6’u)と(14’u)の部分で ックルが欠如した平織組織である。そして その隣の2は上面側経糸(2u'')と経糸接結糸(2B )からなる経糸接結糸の組であり、上面側経 (2u'')は上面側緯糸(6’u)と(14’u)と織り合わ れ上面側表面にナックルを形成している。 の不完全上面側経糸(1u’)では該部分のナッ ルが欠如しているためそれを補完するよう 上面側経糸(2u'')が不完全上面側経糸(1u’)に 寄る。さらに、経糸接結糸(2B)では、上面側 糸(2’u)と(10’u)と織り合わされ上面側表面 ナックルを形成している。隣の不完全上面 経糸(1u’)も該部分にナックルを形成してお 、上面側経糸(1u’)と経糸接結糸(B)の形成す るナックルが並列配置する。それらも寄り合 うことで、意匠図上の経糸2の上面側に縦方 に伸びる溝が形成される。
 その他の経糸でも同じことが言え、上面側 面に均一な間隔で縦方向の溝が形成される

 また、経糸接結糸は上面側緯糸と織り合 されてナックルを形成した後、下層に潜っ 下面側緯糸と織り合わされ、再び上面側緯 と織り合わされる組織である。このような 織であることと経糸接結糸が縦溝間に配置 ていることが相まって、織物内に大きな内 空間が形成され、十分なろ水性、通気性を 保できる(図17の斜線部参照)。

 下面側層組織については2本の下面側の経糸 が並んで1本の下面側緯糸の下を通り。次い 3本の下面側緯糸の上を通る組織であって、 面側緯糸が経糸6本分のロングクリンプを形 成する組織のため、耐摩耗性に優れたものと なる。
 前記実施形態と同様に、上面側経糸間に縦 が形成され、その層内にも内部空間が形成 れるため、通気性、ろ水性に優れ、また緯 の打ち込み本数を増やすことができるため 表面平滑性、繊維支持性に優れた織物とな 。

(実施形態8)
 図15は本発明に係る実施形態8の織物の意匠 である。シャフト数、糸の配置等は前記実 形態7と同じである。しかし、実施形態7で 経糸接結糸の組のうち、経糸接結糸が隣の 面側経糸のナックルに近接並列するように ックルを上面側表面に形成し、それと対に る上面側経糸が隣の不完全上面側経糸のナ クルが欠如した部位を補完するものであっ が、本実施形態では図16に示す如く経糸接結 糸(u''、B)の組のうち、経糸接結糸(B)が隣の不 完全上面側経糸(u’)のナックルが欠如した部 位を補完するもので、それと対になる上面側 経糸(u'')が隣の上面側経糸(u’)のナックルに 接並列するようにナックルを上面側表面に 成する。
 実施形態7と8は類似しており、経糸接結糸 組の内のどちらか一方によってナックルの 如した部位を補完しても、隣接する上面側 糸のナックルに近接並列しても構わない。

本発明に係る実施形態1の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態1の経糸1~4に沿った断面図であ る。 本発明に係る実施形態2の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態2の経糸1~4に沿った断面図であ る。 本発明に係る実施形態3の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態3の経糸1~4に沿った断面図であ る。 本発明に係る実施形態4の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態4の経糸1~4に沿った断面図であ る。

本発明に係る実施形態5の完全組織を示 す意匠図である。 実施形態5の経糸1~4に沿った断面図で る。 本発明に係る実施形態6の完全組織を す意匠図である。 実施形態6の経糸1~4に沿った断面図で る。 本発明に係る実施形態7の完全組織を す意匠図である。 実施形態7の経糸1~4に沿った断面図で る。 本発明に係る実施形態8の完全組織を す意匠図である。 実施形態8の経糸1~4に沿った断面図で る。 上下する経糸接結糸に沿った織物の内 部空間を示す断面図である。 ナックルが並列して縦溝が形成される 理論を説明するための図である。

符号の説明

 1、2、3・・・8   上下経糸の組、経糸接結 糸の組
 1u、2u・・・    上面側経糸
 1d、2d・・・    下面側経糸
 1b、1B・・・    経糸接結糸
 1’u、2’u・・・  上面側緯糸
 1’d、3’d・・・  下面側緯糸
 1u''、2u''・・・  経糸接結糸の組の上面側 糸
 1u’、2u’・・・  不完全上面側経糸