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Title:
LEAD-FREE SOFT SOLDER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/051240
Kind Code:
A1
Abstract:
Although a lead-free soft solder having a composition of Sn-3Ag-0.5Cu is regarded as very likely, this soft solder suffers from the coarsening of Ag3Sn grains when exposed to high -temperature atmosphere, thus being problematic in the reliability of strength. The invention relates to a lead-free soft solder in which the reliability of strength is improved by reducing the content of Ag and the strength lowering due to the reduction in Ag content is compensated by the addition of Zn, namely, a lead-free soft solder which contains by mass Ag: 0.01 to 1.5%, Cu: 0.01 to 1.0% and Zn: 0.1 to 1.0% with the balance being Sn.

Inventors:
HAMADA NAOYUKI (JP)
TAKAGI OSAMU (JP)
HIGASHI KENJI (JP)
TAKIGAWA YORINOBU (JP)
UESUGI TOKUTERU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068895
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ISHIKAWA METAL INC (JP)
UNIV OSAKA PREFECT PUBLIC CORP (JP)
HAMADA NAOYUKI (JP)
TAKAGI OSAMU (JP)
HIGASHI KENJI (JP)
TAKIGAWA YORINOBU (JP)
UESUGI TOKUTERU (JP)
International Classes:
B23K35/26; C22C13/00
Domestic Patent References:
WO2006011204A12006-02-02
Foreign References:
JP2004261863A2004-09-24
JP2003094195A2003-04-02
JP2002239780A2002-08-28
JP2003326386A2003-11-18
JP2005254298A2005-09-22
JP2006289493A2006-10-26
Attorney, Agent or Firm:
HIROKOH, Masaki (1-6 Nishitenma 3-chome, Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 47, JP)
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Claims:
Ag0.01から1.5質量%と、Cu0.01から1.0質量%と、Zn0.1から1.0質量%と、残部がSnからなる鉛フリーはんだ。
 
Ag0.01から1.1質量%と、Cu0.01から1.0質量%と、Zn0.1から1.0質量%と、残部がSnからなる鉛フリーはんだ。
 
Ag0.01から1.0質量%と、Cu0.01から1.0質量%と、Zn0.1から1.0質量%と、残部がSnからなる鉛フリーはんだ。
 
Mg、Al、P、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Ge、Mo、In、Au、Biからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素が更に含まれる請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載された鉛フリーはんだ。
 
In、Biのいずれか若しくは両方の元素が総量で3.0質量%以下含まれる請求項4記載の鉛フリーはんだ。
 
P、Ga、Geからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素が総量で0.5質量%以下含まれる請求項4または5のいずれかの請求項に記載された鉛フリーはんだ。
 
Mg、Al、Ti、Mn、Ni、Moからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素が総量で0.5質量%以下含まれる請求項4乃至6のいずれかの請求項に記載された鉛フリーはんだ。
 
Fe、Co、Auからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素が総量で1.0質量%以下含まれる請求項4乃至7のいずれかの請求項に記載された鉛フリーはんだ。
 
Description:
鉛フリーはんだ

 本発明はSn-Ag-Cu系の鉛フリーはんだであ て、Agの含有量が少ない鉛フリーはんだに関 する。

 電子機器を初めとし、金属同士の接合に 、はんだは大変有用なろう材として知られ いる。従来はSn-Pbの共晶はんだが用いられ おり、すぐれた特性を有していた。しかし Pbを含有するはんだが用いられた製品は、廃 棄された後、pHの高い酸性雨が接触すると、P bが溶出するために環境汚染につながるとさ ている。

 そこで、世界的な規模で、Pbのない鉛フ ーはんだの使用が推奨されており、一部の 域では電気製品には鉛を使用できない法規 が成立している地域すらある。

 それに伴い、鉛フリーはんだの開発も世 的な規模で行われてきた。例えば、Sn-3Ag-3Bi 系、Sn-3.5Ag-2.5Bi-2.5In系、Sn-58Bi系、Sn-9Zn系とい った合金系である。しかし、これらの合金系 はんだは、それぞれ、延性、コスト、高温強 度、耐酸化性といった項目で実用上課題が残 る。

 このように実用に耐えうるために、はん は多くの評価項目をクリアしなければなら い。現在、このような評価項目を総合的に 慮した場合、鉛フリーはんだとして標準と えられつつあるのは、Sn-3Ag-0.5Cu系のはんだ ある。

 しかし、Sn-3Ag-0.5Cu系のはんだにも問題点 ある。特に、熱疲労特性など信頼性に多く 解決すべき点があるため、自動車搭載用と 導体パッケージ用では用いられていない。

 Sn-3Ag-0.5Cu系のはんだの信頼性の問題を引き こす原因は、以下のように考えられている Sn-3Ag-0.5Cu系のはんだにおいては、Agの固溶 は使用限界温度である125℃でも0.01質量%以下 であり、Ag 3 Snが分散した分散強化型合金であるといえる

 Sn-3Ag-0.5Cu系はんだの強度は、この分散した1 μm以下の微細なAg 3 Sn粒子により達成されている。しかし、分散 たAg 3 Sn粒子が粗大化するとクリープ強度と熱疲労 性に悪影響を及ぼす。

 自動車搭載用や半導体パッケージ用のはん は高温環境に曝される場合が多い。高温状 では、原子の拡散速度が上昇しAg 3 Sn粒子の粗大化が起こりやすい環境であると える。もし、粗大なAg 3 Sn粒子が形成されてしまうと、粗大な粒子の 分から優先的に亀裂が発生・伝播し破断す 。これがSn-3Ag-0.5Cu系のはんだにおける信頼 の問題の原因であると考えられる。

 この問題を解決し、高信頼性を得るには、A g 3 Sn粒子の粗大化を抑制する必要がある。その 策の1つとしては、はんだ中のAgの含有量を 減させることである。

 Agの低減は、はんだのコストを下げること もつながり、望ましい方向である。しかし Ag 3 Snの微細粒子も同時に低減するため強度自体 低下にも繋がる。そこで、減少したAgの代 りに、強度を向上させる元素の添加が考え れる。これはSn-Ag-Cu-X(Xは添加元素)系の4元系 のはんだである。

 4元系のはんだについては、いくつかの報 告がされている。例えば特許文献1は、はん 接合後の固化の際にウイスカの発生を抑制 るため、擬似防食部としてZnを用いたはんだ が開示されている。このバリエーションの中 で、Sn-Ag-Cu-Zn系のはんだの開示がある。

 特許文献2では、Sn-Ag-Cu系のはんだでは、 合部に金属間化合物が層状に形成されるの 、落下衝撃時の強度が弱いという課題を解 するために、Mg、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、E u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの中より選ば た1つの元素を4番目の元素として含む4元系 はんだについて開示がある。さらに、Sn-Ag-C uにMg,Y、Laの3種を加えた6元系のはんだに対し ては、7番目の元素として、Ni、Fe、Al、Sb、Bi P、Zn、In、Pt、Pdから選ばれたはんだが開示 れている。

 特許文献3には、Sn-Zn系のはんだの引張強度 向上させるためにAgとCuを添加した組成を検 討し報告している。この中でSn-Zn-Ag-Cu組成の んだが開示されている。

特開2006-289493号公報

特開2005-254298号公報

特開平09-94687号公報

 特許文献1や2では、Agの比率が1.0質量%から3. 0質量%であり、Agの含有量としてはまだ多く 開示されている組成で、Ag 3 Sn粒子が粗大化すると強度の低下は免れない

 また、特許文献3では、基本的にSn-Zn系の んだの機械的強度を向上させるものである で、Znは7から9質量%含有されたものである ZnはSnに対し1質量%より多く含有させると耐 化性が劣化する。すなわち、ここで提案さ た発明も、Sn-Ag-Cu系のはんだにおいて、Agの 有量を減らしつつ、強度および信頼性を担 するという課題を可決するものではない。

 本発明はこのような課題を解決するために 到されたものであり、特にその課題解決の めに、第一原理計算から予測された積層欠 エネルギーに基づく強度予測を行った。は だ合金の強度向上にはAg 3 Sn粒子などの第二相粒子による強化方法と固 原子による強化方法が考えられる。しかし 第二相粒子による強化法は高温での環境下 は粒子が粗大化する危険性があり、信頼性 担保するという課題を解決するには適さな 。それゆえ、はんだ合金の強度および信頼 を担保するという課題には固溶原子による 化方法を利用することが望ましい。発明者 は固溶原子による強化の原因について調査 重ねた結果、固溶合金のはんだの強度は固 原子の種類と濃度によって決定される積層 陥エネルギーが大きく関与することを突き めた。そこで多くのSn-X(Xは添加元素)固溶2 合金の積層欠陥エネルギーを第一原理計算 より算出し、強度を予測した。その結果、 溶原子による強化方法を用いた際に最も強 向上に効果がある添加元素はZnであることを 突き止めた。

 Snに対するZnの最大固溶量は0.4質量%であ 、固溶原子による強化は固溶したZn原子のみ が有効であるので、Znは7から9質量%よりずっ 少ない量の添加で強度を担保できる。さら 、鋭意研究を重ねた結果、Agの含有量を減 しつつ、強度および信頼性を担保するSn-Ag-Cu -Znの4元合金を見出し、本発明を完成するに った。すなわち、本発明は、質量比率で0.01 ら1.5質量%、好ましくは1.1質量%、より好ま くは1.0質量%のAgと、Cu0.01から1.0質量%と、Zn0. 1から1.0質量%と、残部がSnからなる鉛フリー んだを提供するものである。

 本発明は、Sn-Ag-Cu系のはんだにおいて、Agの 含有量を0.01から1.0質量%と低減しているため Ag 3 Snの粗大化による強度信頼性の低下を回避し いる。さらに、Ag自体が減少することによ 強度の低下については、Znを含有させて補償 させている。すなわち、本発明のSn-Ag-Cu-Zn系 はんだは、Sn-3Ag-0.5Cu組成のはんだの強度を ちつつ、Agを減らすことで信頼性の優れた んだを得ることができる。
 

比較例2で「高温放置500時間後」の条件 の場合の組織写真である。 実施例3で「高温放置500時間後」の条件 の場合の組織写真である。 実施例3で「高温放置無し」の条件での リード-はんだ界面の断面写真である。 実施例3で「1000時間後」の条件でのリ ド-はんだ界面の断面写真である。

 本発明のはんだは、Sn-Ag-Cu系の組成を基 とするはんだであり、Agの含有量がSn-3Ag-0.5Cu の組成と比較して低い。本発明のはんだでは 、Agの含有量は、0.01から1.5質量%、好ましく 1.1質量%、より好ましくは1.0質量%の範囲であ る。すでに述べたように、本発明は、Sn-3Ag-0. 5Cu系のはんだの信頼性を確保するために、Ag 含有量を減らすという技術的思想に基づい いる。

 しかし、Agを完全になくしてしまうと、Ag 3 Snの微粒子の存在に基づく強度が得られない しかも、Agが全く存在しない組成の場合は はんだの表面状態から光沢が消えてしまう はんだを用いた製品の場合、接着できてい か否かの検査にはんだの表面光沢で判断す 場合が多い。従って、Agを完全になくしてし まうことは好ましくない。本発明者は、鋭意 検討の結果、Agは0.01質量%以上存在すれば表 光沢を得ることができることを見出した。

 また、Agを1.5質量%より多く含有させると 伸びが劣化する。これは信頼性の低下に繋 るものである。

 次にCuについては、0.01から1.0質量%を含有 する。Cuの含有量が1.0質量%を超えて存在する と、はんだの融点が上昇してしまい、はんだ 付けの際に実装部品に熱ダメージを与えてし まうという問題が発生する。

 また、Cuの含有量が0.01質量%より低くなる と、はんだ付けの対象である電子回路の銅線 のCuがはんだ中に拡散してしまう。これは銅 われと呼ばれる現象であり、銅線が数十μm 度の細い銅線の場合では、はんだ付け時に 線が消失してしまう場合もあり、接合不良 発生に繋がる。

 Znは、Agの含有量を低減させた際の強度低 下を補償するために含ませる元素である。Zn ついては、Agの低減による強度低下を補償 るために、少なくとも0.1質量%は必要である 一方、Znの含有量が多くなると、すでに説 したように耐酸化性が劣化するほか、ぬれ も劣化してしまい、実装部品の接合強度が 下してしまう。

 また、本発明のSn-Ag-Cu-Zn系のはんだは、Mg 、Al、P、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Ge、Mo、In、Au Biからなる群より選ばれた少なくとも1種の 素が更に含まれていてもよい。

 さらに、このうちInとBiを総量で3質量%ま 含有させることで、はんだの融点を下げる とができる。一方、これより多く含ませる 、はんだが脆くなってしまう。

 また、P、Ga、Geより選ばれた少なくとも1 類の元素を0.5質量%まで含有させてもよい。 これらの元素ははんだが溶融する温度域にお いて、はんだの主構成成分であるSnよりも酸 物生成自由エネルギーが小さい元素である そのため、溶融温度域ではSnよりも優先的 酸化することで、Snの酸化を抑制し、はんだ の表面の光沢を向上させる効果がある。一方 、これらの元素をこれ以上含有させると、濡 れ性の悪化とはんだ付け後の表面のざらつき を招く。

 また、Fe、Co、Auから選ばれた少なくとも1 種類の元素を0.5質量%まで含有させてもよい これらの元素の添加は、はんだごてのこて 喰われを低減させるのに効果がある。しか 、これ以上の量の添加は、濡れ性の低下と 融点の上昇の原因となるので、好ましくな 。

 また、Mg、Al、Ti、Mn、Ni、Moから選ばれた少 くとも1種類の元素を1.0質量%まで含有させ もよい。これらの元素の添加は、強度の向 に効果がある。一方、これらの元素はSnに対 して固溶しないもしくは固溶量が極めて少な いため、これ以上の量の添加は、組織中の析 出物
量の増加をまねき伸びが著しく減少する。

 次に、本発明のSn-Ag-Cu-Zn系のはんだにつ て、実際の実施例について詳細な説明を行 。なお、実施例についての、それぞれの評 項目について、評価項目と判断基準は以下 ようである。

 本発明のSn-Ag-Cu-Zn系の実施例とそれに対 る比較例の組成および各評価項目に関する 価結果を表1~表5に示す。以下これらの表に づいて実施結果を説明する。

 
 

 
 

 

 
 

 

<はんだ鋳造>
 はんだ鋳造用の鋳鉄製釜をガスバーナーで 熱しSnを溶解させる。溶解したSnに表1に示 組成をねらい、Ag、Cu、Znの順に合金元素を 加する。添加後は一定時間の間撹拌し、内 30mm高さ110mmの鋳鉄製鋳型を用いて水冷鋳造 、各組成のはんだ合金を製造した。Sn、Ag、C u、Znの組成によって実施例1乃至11と比較例1 至8のサンプルとした。仕込み組成を表1に示 す。

<組成分析>
 はんだをドリルで削り、細かく切ったはん を秤量し、酸で分解させる。はんだが完全 分解したら、メスフラスコに移し、標線ま 水で薄め分析用試料とした。作成した分析 試料は、誘導結合プラズマ分析(ICP)を用い CuとZnとAgの組成分析を行った。ただしAgの組 成が0.5%を超える場合のみ、Agの含有量はチオ シアン酸カリウム滴定法(JIS Z 3910に準拠)に り測定した。まず分析用試料を硝酸で分解 酸化窒素を除去した後、硫酸第アンモニウ 鉄(III)を指示薬として加えた。その後0.03mol/ Lチオシアン酸カリウム標準溶液で滴定を行 い、溶液が微赤褐色を呈した点を終点とし 。分析用試料のはかり取り量と滴定に使用 たチオシアン酸カリウム標準溶液量からAgの 含有量を算出した。組成分析結果は表1に示 。

<広がり率測定>
 広がり率はJIS Z 3198-3に準じて測定した。 鉄製釜から鋳造した表1の全てのサンプルの んだについて厚さ1.2mmに圧延した後、φ8mmの ペレット状に打ち抜ぬき、アルコールで洗浄 した30×30×0.3mmのCu板に置き、さらに液体フラ ックスを1滴滴下させて試験片とした。ただ 、ペレットは電子天秤で測定した質量とア キメデス法により測定した比重から、あら じめ体積を算出しておいた。試験片を270℃ 設定したソルダバスに浮かせて20秒間加熱す ることで試験片のはんだを溶融させた後、水 平に保ちながら引き上げ、冷却した。あらか じめ測定しておいた体積とマイクロメータで 測定した凝固後の試験片のはんだの高さから 広がり率を算出した。広がり率は一般的に70% を下回ると、実際のはんだ付け作業の際にぬ れの悪さを実感することが多いと言われてい る。そこで広がり率が70%以上で合格(表1での )、70%未満の場合を不合格(表1での×)とした

 外観:
外観試験では、広がり率測定試験後の銅板上 に残されたはんだの表面光沢を同一作業者の 目視により判定した。はんだ付けの品質検査 では表面光沢が判断基準のひとつにされてお り、はんだ表面に発生した「しわ」や「引け 巣」により表面光沢が失われるのは好ましく ない。そこで、はんだ表面の状態を下記の3 に分類した。
(1)合格であり特に良好(表1での○):凝固収縮 よる大きな引け巣はなく、金属光沢があり 品質検査での判定が容易。
(2)合格(表1での△):凝固収縮による大きな引 巣はない。金属光沢は少ないが、品質検査 の判定は可能。
(3)不合格(表1での×):凝固収縮による大きな引 け巣があり、品質検査での判定が不可能。

<高温と室温での強度と伸び>
 鋳鉄製釜から鋳造した表1のすべてのサンプ ルについて比較例6以外のはんだを熱間押出 より直径12mmロッドに成形し、150~180℃数時間 の金属組織の均質化を目的とした熱処理を行 った後に、旋盤にて平行部直径が4mmで平行部 長さが12mmの丸棒引張試験片に加工した。均 性が保てるよう3分割炉が付属された引張試 機にて、歪み速度が一定になるようコンピ ータで制御しつつ、試験温度125℃(高温)お び試験温度25℃(室温)、歪み速度1×10 -3 (1/sec)の条件において引張試験を行った。引 試験機に取り付けたロードセルより測定し 荷重から、試験片に負荷された応力を算出 、歪み量が真ひずみで0.1となったときの応 を強度とした。引張試験前にマイクロメー にてあらかじめ測定した試験片長さと、読 取り顕微鏡にて測定した破断後の試験片長 から、変形量を算出した。

 さらに平行部でのみ変形が起こったもの して、得られた変形量から伸びを算出した なお、引張試験は2回ずつおこない、その平 均値を強度と伸びの値とした。高温での強度 と伸びは、既存合金Sn-3.0Ag-0.5Cuよりも明らか 劣っていると判断できる数値をそれぞれ強 で15MPaと伸びで50%とし、それ以上のものを 格(表2での○)とした。室温での強度と伸び 、既存合金Sn-3.0Ag-0.5Cuよりも明らかに劣って いると判断できる数値をそれぞれ強度で30MPa 伸びで50%とし、それ以上のものを合格(表2 の○)とした。

 <融点>
 鋳鉄製釜から鋳造した表1のすべてのサンプ ルのはんだについて、ドリルで削りだした数 gの切粉をアルミ製のパンに装填し示差熱分 装置により吸熱ピークと発熱ピークを分析 固相線温度と液相線温度を測定した。液相 温度は、完全溶融したときの温度であり、 んだ付けの対象となる部品の耐熱上極めて 要な要素であり、部品の耐熱上230℃未満が ましい。そこで、液相線温度が230℃未満を 格(表2での○)とした。

 <高温放置後の高温での強度と伸び>
 上記の、<高温と室温での強度と伸び> 説明したのと同じ方法で作製した丸棒引張 験片について、恒温器を用いて高温放置を った。高温放置は125℃において200時間、500 間、1000時間経過後にそれぞれ丸棒引張試験 を恒温器からとりだした。高温放置後の丸 引張試験片は<高温と室温での強度と伸び >で説明したのと同じ方法で試験温度125℃( 温)、歪み速度1×10 -3 (1/sec)の条件において引張試験を行い強度と びを測定した。なお、引張試験は2回ずつお ない、その平均値を強度と伸びの値とした 高温放置後の高温での強度と伸びは、既存 金Sn-3.0Ag-0.5Cuよりも明らかに劣っていると 断できる数値をそれぞれ強度で12MPaと伸びで 50%とし、それ以上のものを合格(表3での○)と した。

 <高温放置後の組織>
 上記の高温と室温での強度と伸びで説明し のと同じ方法で作製した丸棒引張試験片に いて、恒温器を用いて高温放置を行った。 温放置は125℃において200時間、500時間、1000 時間経過後にそれぞれ走査電子顕微鏡による 組織観察を行った。図1に比較例2の高温放置5 00時間後、図2に実施例3の高温放置500時間後 組織写真をそれぞれ示す。図中の矢印は20μm である。図1を参照して、比較例2では、高温 置前には観察されなかった粗大化した第2相 粒子が確認された。一方、図2を参照して、 施例3では高温放置後も粗大化した第2相粒子 は確認されなかった。これはたの実施例1、2 4、5、6においても同じであった。従って実 例1乃至6は、高温環境における組織安定性 比較例2よりも優れていると判断できる。

 <基板実装>
 鋳鉄製釜から鋳造したサンプルについて熱 押出によりロッドに成形した後に数十μmの 末に加工し、さらにフラックスと混合する とでソルダペーストに加工した。得られた ルダペーストを用いて四辺型ICパッケージ プリント基板に実装した。実装に用いた四 型ICパッケージは1辺に0.5mmピッチで25本のリ ドがあり、リードの材質は銅で表面にスズ っきを施されている。基板材質はガラスエ キシであり、はんだが接合されるランドの 質は表面めっきが施されていない銅である 実装にはソルダペーストを印刷、四辺型IC ッケージを搭載した後にリフロー炉を用い はんだを溶融させた。

 <ボイド観察>
 上記の基板実装で説明した方法で実装後の 板について、透過型のX線検査装置を用いて 四辺型ICパッケージのリード部分に発生して るボイドを観察した。ボイドは不ぬれのた に残った気泡、フラックスの分解ガスなど 原因によるもので数十μmのボイドが形成さ る。ボイドは発生した位置により信頼性に 響を与えることが知られており、特に信頼 に悪影響を与える場所は、リード下部であ とされる。リード下部にボイドが存在する どうかを、X線検査装置で画像撮影し、その 画像からリード下部に存在するボイド数をカ ウントした。比較例1から6及び実施例2につい てカウントしたところ全てにおいてボイド数 は0(ゼロ)であった。リード下部にボイドがな いことを確認できたため、判定はすべて合格 (表5での○)とした。

 <ぬれ上がり率測定>
 上記の基板実装で説明した方法で実装後の 板について、リード先端断面を250倍の実体 微鏡で観察、撮影し、銅リード先端断面に して、はんだが覆っている部分の割合でぬ 上がり率を決定した。具体的にはリード先 断面写真において茶色に見えた部分を銅の ードと判断し、銀色に見えた部分をはんだ 分であると判断して、はんだ部分の面積率 ら測定した。ぬれ上がり率は、既存合金Sn-3 .0Ag-0.5Cuよりも明らかに劣っていると判断で る数値を55%とし、それ以上のものを合格(表5 での○)とした。結果を表5に示す。

 <プル強度測定>
 上記の<基板実装>で説明した方法で実 後の基板は恒温器を用いて高温放置を行っ 。高温放置は125℃において200時間、500時間 1000時間経過後にそれぞれ基板を恒温器から り出した。高温放置前(放置時間0時間)およ 高温放置後の基板を用いて、JIS Z 3198-6に る鉛フリーはんだ試験方法に準拠してはん 継手45度プル試験を行い、プル強度を測定し た。プル強度は四辺型ICパッケージのリード 分を先端がフック形状に加工された金属棒 基板に対して45度の方向に引っ張り、破断 至るまでにかかった最大の荷重をプル強度 した。プル試験はプル速度を10mm/minで、各基 板で8本ずつ実施し、8本の平均値をプル強度 値とした。プル強度は、既存合金Sn-3.0Ag-0.5C uよりも明らかに劣っていると判断できる数 を6N(ニュートン)とし、それ以上のものを合 (表4での○)とした。

 <破断形態測定>
 上記プル強度測定で説明した方法でプル試 を行った後の破断形態を評価した。破断形 としてリード自体が破断した形態をAとする 。リードとはんだの界面で破断した形態をB する。はんだ自体が破断した形態をCとする はんだとランドの界面で破断した形態をDと する。ランドとガラスエポキシの基板の界面 で破断した形態をEとする。破断形態測定で 、接合部分において最も耐久性が無い部分 破断する。破断形態がAのときは、はんだ接 によって形成された接合部よりも、リード 分の耐久性が低いことがわかる。同様に破 形態がBのときは、はんだ付け時に形成され た部品とはんだ界面、Cのときは、はんだ合 、Dのときは、はんだ付け時に形成されたは だとランド界面、Eのときは、ランドと基板 の接着力がそれぞれ最も耐久性がないという ことになる。したがって、破断形態がC以外 ときは、接合部に存在するはんだ合金は、 久性を有していると判断できるので、破断 態にCを含まないものを合格(表4での○)とし 。

 <実装後の組織観察>
 上記の基板実装で説明した方法で実装後の 板は恒温器を用いて高温放置を行ったあと 実施例1から6と比較例2について実装後のプ ント基板と部品のリード界面について走査 子顕微鏡による組織観察をおこなった。実 直後の組織観察では、はんだ付け時に形成 れたと考えられる金属間化合物層がリード- はんだ間およびはんだ-ランド間に観察され 。いずれの合金においても、金属間化合物 の厚みが10μm以下となっていたことから、は んだ付けは良好に完了していることが確認で きた。また、125℃において200時間、500時間、 1000時間経過後のプリント基板についても同 に組織観察を行ったところ、実施例1から6は 比較例2よりも、金属間化合物層の成長が少 いことが明らかになった。

 図3および図4には、実施例3のはんだの場 の金属間化合物層の成長を例示する。図3は 、はんだづけ直後のリードとはんだ間の断面 の走査電子顕微鏡写真であり、図4は、1000時 後の断面写真である。写真の矢印は10μmで る。符号10はリード部分であり、符号12はは だ部分である。リード部10とはんだ部12の間 に存在するのが金属間化合物層(符号14)であ 。写真ではリード10とはんだ12の中間の色合 で見える。金属間化合物層について、図3と 図4を比較してみると、ほとんど変化してい い。

 実施例1とから実施例11を参照すると、外 、広がり率、融点、室温強度、室温伸び、 温強度、高温伸び、高温放置後の高温強度 高温放置後の高温伸び、プル強度、高温放 後のプル強度、プル試験時の破断形態測定 ボイド観察、ぬれ上がり率といった評価項 で、上記の判定基準をパスすることができ 。この間のAg、Cu、Znの組成範囲は、Agが0.01 量%から1.0質量%であり、Cuが0.01質量%から1.0 量%であり、Znが0.1質量%から1.0質量%であっ 。これは本発明のはんだの組成範囲であり 本発明の鉛フリーはんだが良好な特性を有 ることを示している。

 比較例7は、Agが3.0質量%含まれているSn-Ag- Cuで標準とされる組成にZnが0.4質量%含まれる 合である。この場合は伸びの評価項目でバ の評価となった。したがって、Sn-Ag-Cuに単 Znを入れたのではバランスが崩れてしまうこ とがわかる。

 比較例3は、Sn-Ag-Cuの標準組成からAgの量を1. 0質量%に減少させた場合であり、Ag 3 Sn粒子の粗大化を抑制する効果があると考え れる。しかし、室温強度と高温強度が低下 てしまった。

 比較例6は、Agの割合を0.01質量%とさらに なくした場合で、CuをSn-Ag-Cuの標準比率(0.5質 量%)より大きくした(2.0質量%)場合を示す。Zn 0.01質量%含有させているものの、液相融点が 高くなってしまった。

 比較例5は、Sn-Ag-Cuの標準組成から、Agの 有量を0.3質量%に減少させ、Agを減少させた に生じた室温強度と高温強度の低下(比較例2 参照)をZnで補償する趣旨の組成である。しか し、Znが1.5質量%と多かったために、広がり率 が低下してしまった。比較例5は、AgとCuにつ ては、本発明の規定範囲に含まれるが、Zn 多い場合である。これから分かるようにAgを 減少させた補償としてZnを添加させるといっ も、1.0質量%を超える範囲では、多すぎると いえる。

 比較例4は、Sn-Ag-Cuの標準組成からAgの含 量を0.3質量%に減少させ、Cuの含有量を0.7質 %に増やした場合を示す。基本的にAgを低下 せているので、比較例3同様、室温強度と高 強度が低下した。

 比較例7は、Agの含有量を0.005質量%とさら 低下させ、CuとZnをそれぞれ0.1質量%含有さ たものである。この場合は、高温強度が低 するとともに、外観も不良となった。これ り実施例1乃至6で示される範囲のように、Ag 少なくとも0.01質量%以上は必要である。

 比較例8は、Ag,Cu、Znを全く含まないSnだけ の場合である。この場合は外観、広がり率、 高温強度、融点など、多くの点で実用に耐え ない。

 以上のように本発明は、Sn-Ag-Cu-Znの4元系 組成を有し、Agを0.01から1.0質量%、Cuを0.01か ら1.0質量%、Znを0.1から1.0質量%、残部がSnから なる鉛フリーはんだであり、Sn-Ag-Cu系のはん と比較してAgの割合を少なくして、熱疲労 起こりにくくした。一方、Znを所定量含有さ せることで高温強度や伸びが低下しないよう に担保することができた。

 本発明は鉛フリーはんだに利用することが きる。