HIRAMA HIROYUKI (JP)
KATO YASUSHI (JP)
SUGINOME TAKAYUKI (JP)
BABA YUSUKE (JP)
WO2014156954A1 | 2014-10-02 | |||
WO2013190918A1 | 2013-12-27 | |||
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\¥0 2020/175536 ¢0 ?01/1?2020/007684 請求の範囲 [請求項 1 ] 複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群を少なくとも 含む光学要素と、 該光学要素を収容保持するための内側収容空間を有 する筒状の鏡筒とを有するレンズユニッ トにおいて、 前記レンズ群は、 最も物体側に位置される第 1のレンズと、 この第 1のレンズとその像側で隣接する第 2のレンズとを有し、 前記第 1の レンズと前記第 2のレンズとの間のレンズ間空間内が外部に対して密 閉されるように前記光学要素同士および/または前記光学要素と前記 鏡筒とが互いに気密状態で接着されることを特徴とするレンズユニッ 卜。 [請求項 2] 前記レンズ間空間内が外部に対して密閉されるように光軸方向で互 いに対向する前記第 1のレンズおよび前記第 2のレンズの対向面同士 が互いに接着媒体を用いて接着されることを特徴とする請求項 1 に記 載のレンズユニッ ト。 [請求項 3] 前記接着媒体の透湿度 (カップ法 (」 丨 3 0 2 0 8、 恒温恒湿 状態は 4 0 °〇9 0 % [¾ 1~1、 接着媒体の厚みは 2 0〇 ) で測定) が IV! 前記接着媒体の径方向寸法である接着幅 ( 〇〇 、 前記接着媒体の光軸方向寸法である厚さが丁 、 (〇. 0 0 1 6 X IV! -〇. 0 0 4) 丁 =八 ( 〇〇 であるとき、 接着幅 が 以上であることを特徴とする請求項 2に記載のレンズユ ニッ ト。 [請求項 4] 前記接着媒体の透湿度 IV!が 4 0以上であることを特徴とする請求項 3に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 5] 前記レンズ間空間内が外部に対して密閉されるように光軸方向で互 いに対向する前記第 1のレンズおよび前記第 2のレンズの対向面同士 が互いに接着媒体層によつて接着され、 前記接着媒体層は前記第 1のレンズ側に位置する第 1接着媒体層と 、 前記第 2のレンズ側に位置する第 2接着媒体層とを有し、 〇 2020/175536 61 卩(:171? 2020 /007684 前記第 1接着媒体層と前記第 2接着媒体層との間に薄板状介在物が 介在されていることを特徴とする請求項 1 に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 6] 前記薄板状介在物は、 遮光性有する遮光板、 ヒータまたはゴムシー 卜であることを特徴とする請求項 5に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 7] 前記対向面には、 当該対向面に塗布された接着媒体の前記レンズ間 空間内への流れを抑止する抑止部が設けられていることを特徴とする 請求項 5または 6に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 8] 前記第 1接着媒体層を形成する接着媒体と、 前記第 2接着媒体層を 形成する接着媒体とは異なる種類であることを特徴とする請求項 5か ら 7のいずれか 1項に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 9] 前記第 1および第 2のレンズは、 光軸方向で互いに対向してレンズ の径方向に延びる円環状の対向面を有し、 これらの対向面同士が対向 する対向領域の径方向外側端縁よりも径方向外側で、 前記レンズ間空 間内が外部に対して密閉されるように接着媒体が前記第 1のレンズお よび/または前記第 2のレンズの外表面に塗布されることを特徴とす る請求項 1 に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 10] 前記接着媒体は、 前記第 1のレンズの外表面と前記第 2のレンズの 外表面とにわたって塗布されることを特徴とする請求項 9に記載のレ ンズユニッ ト。 [請求項 1 1 ] 前記接着媒体は、 前記第 1のレンズおよび前記第 2のレンズの外表 面と前記鏡筒の内面とを接着することを特徴とする請求項 1 〇に記載 のレンズユニッ ト。 [請求項 12] 前記接着媒体は、 前記第 2のレンズの外表面と前記鏡筒の内面とを 接着することを特徴とする請求項 9に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 13] 前記対向領域の円環の厚みの 5 0 %以上の範囲に前記接着媒体が塗 布されないことを特徴とする請求項 9から 1 2のいずれか一項に記載 のレンズユニッ ト。 [請求項 14] 前記対向領域の径方向内側で前記接着媒体が塗布されないことを特 〇 2020/175536 62 卩(:171? 2020 /007684 徴とする請求項 1 3に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 15] 前記第 1および第 2のレンズは、 光軸方向で互いに対向してレンズ の径方向に延びる円環状の対向面を有し、 前記第 2のレンズは、 前記第 1および第 2のレンズ同士の間の気密 性を確保する前記接着のための流動性の気密材料が充填される凹部を 前記対向面に有するとともに、 前記凹部から前記第 1のレンズ側に入 り込むように延びる段差部を前記凹部の径方向内側に隣接して有する ことを特徴とする請求項 1 に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 16] 前記段差部は、 前記凹部内に充填される気密材料の径方向内側への 流動を防止する障壁として形成されることを特徴とする請求項 1 5に 記載のレンズユニッ ト。 [請求項 17] 前記第 1のレンズは、 その表面が物体側に向けて凸状を成す凸面と して形成されるとともに、 前記第 2のレンズと対向するその裏面がレ ンズ内側に向けて凹む空洞部を形成する凹面を成し、 前記第 2のレンズの前記段差部は、 前記第 1のレンズの前記凹面と 対向する前記第 2のレンズの部位を前記空洞部内に少なくとも部分的 に入り込ませることによって形成されることを特徴とする請求項 1 5 または 1 6に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 18] 前記空洞部内に入り込む前記第 2のレンズの部位は、 前記空洞部を 形成する前記凹面に圧着嵌合する凸状部として形成されることを特徴 とする請求項 1 7に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 19] 前記第 2のレンズは、 シクロオレフインポリマーを母材とする樹脂 により形成されることを特徴とする請求項 1 5から 1 8のいずれか一 項に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 20] 前記第 1 レンズと前記第 2レンズとの間に介揷される中間スぺーサ を更に備え、 前記レンズ間空間が前記第 1 レンズと前記第 2レンズと前記中間ス ぺーサとによって囲まれ、 〇 2020/175536 63 卩(:171? 2020 /007684 前記第 1 レンズと前記中間スぺーサおよび前記中間スぺーサと前記 第 2レンズはそれぞれ、 前記レンズ間空間内が外部に対して密閉され るように光軸方向で互いに対向する対向面同士が接着媒体により互い に接着されていることを特徴とする請求項 1 に記載のレンズユニッ ト [請求項 21 ] 前記対向面に、 当該対向面に塗布された接着媒体の前記レンズ間空 間内への流れを抑止する抑止部が設けられていることを特徴とする請 求項 2 0に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 22] 前記中間スぺーサはカシメ部を有し、 前記カシメ部は、 前記第 2レンズの前記対向面を前記中間スぺーサ の前記対向面に光軸方向において押し付けるようにしてカシメられて いることを特徴とする請求項 2 0または 2 1 に記載のレンズユニッ ト [請求項 23] 互いに対向する前記第 1のレンズおよび前記第 2のレンズの 2つの 前記対向面の少なくとも一方には、 その一部に、 前記接着媒体または 接着媒体としての前記気密材料の層の厚みを確保するための突起が 5 〜 5 0〇 の高さで設けられることを特徴とする請求項 2から 2 2 のいずれか一項に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 24] 互いに対向する前記第 1のレンズおよび前記第 2のレンズの対向面 同士の間には、 前記接着媒体または接着媒体としての前記気密材料の 層の厚みを確保するためのシートが 5〜 5 0 0 の厚さで配置され ることを特徴とする請求項 2から 2 3のいずれか一項に記載のレンズ ユニッ ト 0 [請求項 25] 前記第 1のレンズおよび前記第 2のレンズの少なくとも一方は、 そ の前記対向面の表面粗さが二乗平均粗さ 0 1 〜 2 0 0 であることを特徴とする請求項 2から 2 4のいずれか一項に記載 のレンズユニッ ト。 [請求項 26] 前記第 1のレンズと前記鏡筒との間をシールするシール部材と、 前 〇 2020/175536 64 卩(:171? 2020 /007684 記鏡筒に設けられ、 径方向内側にカシメられることにより前記内側収 容空間内に組み込まれる前記レンズ群の前記第 1のレンズを光軸方向 で固定するためのカシメ部とを更に有し、 互いに当接する前記第 1のレンズおよび前記第 2のレンズの当接面 の一方には凹部が設けられ、 この凹部には、 前記第 1および第 2のレ ンズ同士の間の気密性を確保する前記接着のための気密材料が充填さ れることを特徴とする請求項 1 に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 27] 前記シール部材の硬度が前記気密材料の硬度よりも高いことを特徴 とする請求項 2 6に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 28] 前記第 1および第 2のレンズ同士が前記当接面で当接する環状の対 向領域と、 前記気密材料が前記凹部に充填されて成る管状の気密領域 とが、 前記第 1および第 2のレンズの径方向に沿って隣接して位置さ れることを特徴とする請求項 2 6または 2 7に記載のレンズユニッ ト [請求項 29] 前記接着媒体または接着媒体としての前記気密材料がその層の厚み を確保するためのフィラーを含有し、 前記フィラーの最大長さが 5〜 5 0〇 であることを特徴とする請求項 2から 2 8のいずれか一項 に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 30] 前記接着媒体または接着媒体としての前記気密材料は、 黒色であっ て、 その光透過率が 4 5 0 n m ~ 6 5 0 n の波長領域で 2 0 %以下 であることを特徴とする請求項 2から 2 9のいずれか一項に記載のレ ンズユニッ ト。 [請求項 31 ] 前記接着媒体または接着媒体としての前記気密材料の硬度がショア 硬度で八 1 〇〜八 1 0 0の範囲内または 0 1 〇〜〇 9 0の範囲内であ ることを特徴とする請求項 2から 3 0のいずれか一項に記載のレンズ ユニッ ト 0 [請求項 32] 前記第 1のレンズおよび前記第 2のレンズは、 その一方がガラス製 であるとともに他方が樹脂製であり、 あるいは、 前記第 1のレンズお 〇 2020/175536 65 卩(:171? 2020 /007684 よび前記第 2のレンズは、 いずれも樹脂製であるとともに、 互いの線 膨張係数の差が ( ) 以上であることを特徴とす る請求項 2から 3 1のいずれか一項に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 33] 前記接着媒体または接着媒体としての前記気密材料の吸水率が 5 . 0 I % (」 丨 3 [< 6 9 1 1 (煮沸 1時間) ) 以下であることを特 徴とする請求項 2から 3 2のいずれか一項に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 34] 前記第 1のレンズと前記第 2のレンズとの間のレンズ間空間内の圧 力が大気圧以下であることを特徴とする請求項 1から 3 3のいずれか —項に記載のレンズユニッ ト。 [請求項 35] 請求項 1から 3 4のいずれか一項に記載のレンズユニッ トを備える ことを特徴とするカメラモジュール。 |
発明の名称 : レンズユニットおよびカメラモジュール
技術分野
[0001 ] 本発明は、 例えば自動車等の車両に搭載される車載カメ ラを構成し得るレ ンズユニッ トおよびカメラモジュールに関する。
背景技術
[0002] 従来から、 自動車に車載カメラを搭載し、 駐車をサポートしたり、 画像認 識により衝突防止を図ったりすることが行な われており、 さらにそれを自動 運転に応用する試みもなされている。 また、 このような車載カメラ等のカメ ラモジュールは、 一般に、 複数のレンズが光軸に沿って並べられて成る レン ズ群と、 このレンズ群を収容保持する鏡筒 (バレル) と、 レンズ群の少なく とも一個所のレンズ間に配置される絞り部材 とを有するレンズユニッ トを備 える (例えば、 特許文献 1参照) 。
[0003] また、 特に車載カメラ用のレンズユニッ トでは、 少なくとも一部が車外に 設置される場合、 防水および防塵のため、 図 3 9に示されるように、 鏡筒 1 1 〇 2の内側収容空間 3内にレンズ群!-が組み込まれて収容保持さ た状態 で、 レンズ群!-の最も物体側に位置される第 1のレンズ 1 1 0 0と鏡筒 1 1 0 2との間に〇リング 1 1 0 4が介揷され、 鏡筒 1 1 0 2の内側のレンズ群 !_内に水や塵埃が侵入しないようにしている この場合、 例えば、 第 1のレ ンズ 1 1 0 0の外周側面 1 1 0 0 3に、 該レンズ 1 1 0 0の像側部分で径が 小さくなった段差状の縮径部 1 1 0 0匕が設けられ、 この縮径部 1 1 0 0匕 に〇リング 1 1 0 4が装着されて、 第 1のレンズ 1 1 0 0の外周側面 1 1 0 0 3と鏡筒 1 1 0 2の内周面 1 1 0 2 3との間で〇リング 1 1 0 4が径方向 で圧縮されることにより、 鏡筒 1 1 0 2の物体側端部が封止された状態とな っている。
[0004] さらに、 鏡筒 1 1 0 2は、 その内側収容空間 3内にレンズ群!-が組み込ま れて収容保持された状態で、 その物体側の端部 (図 3 9において上端部) の 〇 2020/175536 2 卩(:171? 2020 /007684
カシメ部 1 1 2 3が径方向内側にカシメられることにより、 第 1のレンズ 1 1 0 0をこのカシメ部 1 1 2 3で鏡筒 1 1 0 2の物体側端部に固定する。 先行技術文献
特許文献
[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 1 3 _ 2 3 1 9 9 3号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0006] ところで、 前述したように〇リング 1 1 0 4によって防水対策を行なって も、 湿気 (水蒸気) は様々な経路を通じてレンズユニッ ト内に侵入し得る。 そのため、 外気温とレンズユニッ ト内の温度との間の差が大きくなると、 レ ンズユニッ ト内の水蒸気が凝縮してレンズ表面に結露が 生じる。 特に、 外部 との温度差の影響が最も大きい第 1のレンズ 1 1 〇〇とこれに隣接する第 2 のレンズ 1 1 0 1 との間のレンズ間空間 3 1内で、 とりわけ第 1のレンズ 1 1 0 0の裏面 1 1 0 0〇に結露が生じ易い。
[0007] 外気温とレンズユニッ ト内の温度との間の差が大きくなる要因とし ては、 外気が冷たい冬期にレンズユニッ ト内の温度が上昇すること、 例えばレンズ ユニッ トを通じて集光される光を受光して電気信号 に変換するための常時通 電されたイメージセンサ (撮像素子) から伝わる熱によりレンズユニッ ト内 の温度が上昇すること、 あるいは、 前記イメージセンサや周囲環境 (例えば 車両のエンジン) からの熱によりレンズユニッ ト内の温度が高い状態で第 1 のレンズ 1 1 0 0の表面 1 1 0 0 が外気や雨等に晒されたりするなどして 第 1のレンズ 1 1 0 0が冷却されることなどが挙げられる。
[0008] また、 レンズユニッ ト内への水蒸気の侵入を許容する経路として は、 例え ば、 鏡筒 1 1 0 2のカシメ部 1 1 2 3と第 1のレンズ 1 1 0 0との間の隙間 から〇リング 1 1 0 4の周囲の一部並びに第 1のレンズ 1 1 0 0と鏡筒1 1 0 2および/または第 2のレンズ 1 1 0 1 との間の隙間を通じてレンズ間空 間 3 1等へと至る経路、 あるいは、 鏡筒 1 1 0 2を形成する透湿性の樹脂を 〇 2020/175536 3 卩(:171? 2020 /007684
介しての経路などを挙げることができる。 さらに、 レンズユニッ トの像側に 配置されたイメージセンサ (撮像素子) は動作時に 1 〇〇度前後に上昇する が、 その際イメージセンサが搭載された基板に含 まれる水分が水蒸気化して レンズ間空間 3 1 に到達する経路もある。
[0009] いずれにしても、 このような経路を通じて水蒸気がレンズユニ ッ ト内に侵 入し、 前述したような要因により外気とレンズユニ ッ ト内との間で温度差が 生じると、 レンズ間空間 3 1内で、 とりわけ第 1のレンズ 1 1 0 0の裏面1 1 0 0〇に結露が起こり、 撮像画像がぼやけて、 所望の解像度が得られなく なる (視認性が悪化する) 。 したがって、 レンズユニッ トの気密性を更に一 層確保して、 レンズ間空間 3 1内への水蒸気の侵入を抑制することが求め れる。
[0010] 本発明は、 前記事情に鑑みてなされたものであり、 最も物体側に位置され るレンズとこれに隣接するレンズとの間のレ ンズ間空間内への水蒸気の侵入 を抑制してレンズ表面結露を防止できるレン ズユニッ トおよびカメラモジュ —ルを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[001 1 ] 前記課題を解決するために、 本発明は、 複数のレンズが光軸に沿って並べ られて成るレンズ群を少なくとも含む光学要 素と、 該光学要素を収容保持す るための内側収容空間を有する筒状の鏡筒と を有するレンズユニッ トにおい て、
前記レンズ群は、 最も物体側に位置される第 1のレンズと、 この第 1のレ ンズとその像側で隣接する第 2のレンズとを有し、 前記第 1のレンズと前記 第 2のレンズとの間のレンズ間空間内が外部に して密閉されるように前記 光学要素同士および/または前記光学要素と 記鏡筒とが互いに気密状態で 接着されることを特徴とする。
[0012] 本発明においては、 レンズユニッ ト内への水蒸気の侵入を許容する経路と なり得る光学要素同士の間および/または光 要素と鏡筒との間が、 第 1の レンズと第 2のレンズとの間のレンズ間空間内が外部に して密閉されるよ 〇 2020/175536 4 卩(:171? 2020 /007684
うに互いに気密状態で接着される (例えば、 気密材料や接着剤等により接着 される) ため、 高湿環境下であっても、 最も結露が生じ易いレンズ間空間内 への水蒸気の侵入を、 ひいては更に像側からレンズユニッ ト内への水蒸気の 侵入も抑えて (気密性を向上させて) 、 レンズ間空間内の水蒸気量を低下さ せ、 レンズ表面結露、 とりわけ、 第 1のレンズの像側の表面 (裏面) に結露 が生じることを抑制できる。
[0013] なお、 上記構成において、 第 1のレンズと第 2のレンズとの間のレンズ間 空間は、 第 1のレンズおよび第 2のレンズのみによって画定されている必要 はない。 すなわち、 レンズ間空間は、 第 1のレンズと第 2のレンズとの間に ありさえすれば、 これらのレンズ以外の光学要素 (例えば、 第 1のレンズと 第 2のレンズとの間に介揷される中間スぺーサ ど) と第 1および第 2のレ ンズとによって画定されても構わない。 また、 上記構成において、 「光学要 素」 とは、 レンズ群を構成するレンズはもとより、 レンズ間に介揷される中 間スぺーサを含めて鏡筒内の光学系に関与す る全ての要素を含むものとする
[0014] また、 上記構成では、 第 1のレンズと鏡筒との間をシールするシール 材 が設けられることが好ましい。 そのようなシール部材は、 レンズユニッ ト内 への水蒸気の侵入を許容する経路中でシール 性能 (防水性能) を確保し、 第 1および第 2のレンズ同士の間のレンズ間空間の密閉状 の形成に寄与し得 る。 また、 上記構成において、 鏡筒は、 径方向内側にカシメられることによ り内側収容空間内に組み込まれるレンズ群の 第 1のレンズを光軸方向で固定 するためのカシメ部を有することが好ましい 。 そのようなカシメ部は、 第 1 のレンズを第 2のレンズに対して押し付ける光軸方向の力 生起するため、 第 1および第 2のレンズ同士の接着界面の密着性、 特に前述した接着媒体に 求められる密着性に寄与し得る。 なお、 カシメに限らず、 別部材である固定 キャップを使用し、 固定キャップをねじ込むことでレンズを固定 する構造と してもよい。 キャップを使用する場合には、 レンズに光軸方向の圧縮荷重が 生じるようにキャップねじ込み荷重を高くす ることが望ましく、 これにより 〇 2020/175536 5 卩(:171? 2020 /007684
、 前記レンズ同士の接着界面の密着性を向上さ せることができる。
[0015] また、 本発明に係るカメラモジユールは、 前記レンズユニッ トを備えるこ とを特徴とする。
このような構成によれば、 前述のレンズユニッ トの作用効果をカメラモジ ユールで得ることができる。
発明の効果
[0016] 本発明によれば、 レンズユニッ ト内への水蒸気の侵入を許容する経路とな り得る光学要素同士の間および/または光学 素と鏡筒との間が、 第 1のレ ンズと第 2のレンズとの間のレンズ間空間内が外部に して密閉されるよう に互いに接着されるため、 高湿環境下であっても、 最も結露が生じ易いレン ズ間空間内への水蒸気の侵入を、 ひいては更に像側へのレンズユニッ ト内へ の水蒸気の侵入も抑えて (気密性を向上させて) 、 レンズ間空間内の水蒸気 量を低下させ、 レンズ表面結露、 とりわけ、 第 1のレンズの像側の表面 (裏 面) に結露が生じることを抑制できる。
図面の簡単な説明
[0017] [図 1]本発明の第 1の実施の形態に係るレンズユニッ トの概略断面図である。
[図 2]図 1のレンズユニッ トを有するカメラモジユールの概略断面図で ある。 [図 3]レンズ対向面同士の接着が接着媒体を用 て行なわれる第 1の実施例を 示す概略的な模式図である。
[図 4]レンズ対向面同士の接着が接着媒体を用 て行なわれる第 2の実施例を 示す概略的な模式図である。
[図 5]図 4の第 1の変形例を示す概略的な模式図である。
[図 6]図 4の第 2の変形例を示す概略的な模式図である。
[図 7] ( 3 ) 〜 (¢0 は、 突起の 4つの形態例を示す線図である。
[図 8]図 4における突起の形成形態の第 1の例を示す第 2のレンズの平面図で ある。
[図 9]図 4における突起の形成形態の第 2の例を示す第 2のレンズの平面図で ある。 〇 2020/175536 6 卩(:171? 2020 /007684
[図 10]突起の形成形態の他の例を示す第 2のレンズの平面図である。
[図 1 1]レンズ対向面同士の接着が接着媒体を用 て行なわれる第 3の実施例 を示す概略的な模式図である。
[図 12] ( 3 ) 〜 ( ¢0 は、 凹部の 4つの形態例を示す線図である。
[図 13]レンズ対向面同士の接着が接着媒体を用 て行なわれる第 4の実施例 を示す概略的な模式図である。
[図 14]図 1 3の第 1の変形例を示す概略的な模式図である。
[図 15]図 1 3の第 2の変形例を示す概略的な模式図である。
[図 16]本発明の第 2の実施の形態に係るレンズュニッ トの要部拡大図である
[図 17] ( 3 ) は、 本発明の第 3の実施の形態に係るレンズュニッ トの要部拡 大図、 (匕) はその変形例を示す要部拡大図である。
[図 18]本発明の第 4の実施の形態に係るレンズュニッ トの要部の拡大断面図 である。
[図 19]レンズ対向面同士の第 1例の接着状態を模式的に示す断面図である [図 20]レンズ対向面同士の第 2例の接着状態を模式的に示す断面図である [図 21]レンズ対向面同士の第 3例の接着状態を模式的に示す断面図である [図 22]本発明の第 5の実施の形態を示すもので、 レンズュニッ トの概略断面 図である。
[図 23]同、 図 2 2に示すレンズュニッ トの要部の拡大断面図である。
[図 24]同、 第 1のレンズと中間スぺーサとの第 1例の接着状態を模式的に示 す断面図である。
[図 25]同、 第 1のレンズと中間スぺーサとの第 2例の接着状態を模式的に示 す断面図である。
[図 26]同、 第 1のレンズと中間スぺーサとの第 3例の接着状態を模式的に示 す断面図である。
[図 27]同、 第 2のレンズと中間スぺーサとの第 1例の接着状態を模式的に示 す断面図である。 20/175536 7 卩(:171? 2020 /007684
[図 28]同、 第 2のレンズと中間スぺーサとの第 2例の接着状態を模式的に示 す断面図である。
[図 29]同、 第 2のレンズと中間スぺーサとの第 3例の接着状態を模式的に示 す断面図である。
[図 30]本発明の第 6の実施の形態に係るレンズユニッ トの要部の模式図であ る。
[図 31]本発明の第 7の実施の形態に係るレンズユニッ トの概略半断面図であ る。
[図 32]本発明の第 8の実施の形態に係るレンズユニッ トの概略半断面図であ る。
[図 33]本発明の第 9の実施の形態に係るレンズユニッ トを示し、 (3) は、 接着媒体塗布前における第 2のレンズが位置される部位での光軸方向と 交 する断面であり、 (匕) は、 接着媒体塗布後における第 2のレンズが位置さ れる部位での光軸方向と直交する断面であり 、 (〇) は、 レンズユニッ トの 光軸方向に沿う概略半断面図である。
[図 34]本発明の第 1 0の実施の形態に係るレンズユニッ トの概略半断面図で ある。
[図 35]経路遮断を詳しく説明するための模式図 あり、 (3) は、 接着媒体 塗布前における第 2のレンズが位置される部位での光軸方向と 交する断面 であり、 (13) は、 接着媒体塗布後における第 2のレンズが位置される部位 での光軸方向と直交する断面であり、 (〇) は、 第 2のレンズが位置される 部位でのレンズユニッ トの光軸方向に沿う極めて概略的な断面図で ある。
[図 36]本発明の第 1 1の実施の形態に係るレンズユニッ トの概略半断面図で ある。
[図 37]透湿度の異なる接着媒体を接着厚さおよ 接着幅を変えて高温高湿環 境下に晒した際の曇りの発生状況を調べた試 験結果の一例を示す。
[図 38]本発明の第 1 2の実施の形態に係るレンズユニッ トの概略断面図であ る。 〇 2020/175536 8 卩(:171? 2020 /007684
[図 39]従来のレンズユニッ トの一例を示す概略断面図である。
発明を実施するための形態
[0018] 以下、 図面を参照しながら本発明の実施の形態につ いて説明する。
なお、 以下で説明される本実施の形態のレンズユニ ッ トは、 特に車載カメ ラ等のカメラモジュール用のものであり、 例えば、 自動車の外表面側に固定 して設置され、 配線は自動車内に引き込まれてディスプレイ やその他の装置 に接続される。 また、 前述した図 3 9を含む全ての図においてレンズについ てはハッチングを省略している。
[0019] (第 1の実施の形態)
図 1は、 本発明の第 1の実施の形態に係るレンズユニッ ト 1 1 を示してい る。 図示のように、 本実施の形態のレンズユニッ ト 1 1は、 例えば樹脂製の 円筒状の鏡筒 (バレル) 1 2と、 鏡筒 1 2の段付きの内側収容空間 3内に配 置される複数のレンズ、 例えば、 物体側から、 第 1のレンズ 1 3、 第 2のレ ンズ 1 4、 第 3のレンズ 1 5、 第 4のレンズ 1 6および第 5のレンズ 1 7か ら成る 5つのレンズと、 2つの絞り部材 2 2 13とを備えている。 2 つの絞り部材 2 2 3 , 2 2匕のうちの物体側から 1番目の絞り部材 2 2 3は 、 第 2のレンズ 1 4と第 3のレンズ 1 5との間に配置されている。 物体側か ら 2番目の絞り部材 2 2匕は、 第 3のレンズ 1 5と第 4のレンズ 1 6との間 に配置されている。 絞り部材 2 2 2 2匕は透過光量を制限し、 明るさの 指標となる 値を決定する 「開口絞り」 またはゴーストの原因となる光線や 収差の原因となる光線を遮光する 「遮光絞り」 である。 このようなレンズユ ニッ ト 1 1 を備える車載カメラは、 レンズユニッ ト 1 1 と、 図示しないイメ —ジセンサを有する基板と、 当該基板を自動車等の車両に設置する図示し な い設置部材とを備えるものである。
[0020] 鏡筒 1 2の内側収容空間 3内に組み込まれて収容保持される複数のレ ズ
1 3 , 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7は、 それぞれの光軸を一致させた状態で積み 重ねられて配置されており、 1つの光軸〇に沿って各レンズ 1 3 , 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7が並べられた状態となって、 撮像に用いられる一群のレンズ 〇 2020/175536 9 卩(:171? 2020 /007684
群!-を構成している。 この場合、 レンズ群!-を構成する最も物体側に位置さ れる第 1のレンズ 1 3は、 物体側に凸面を有するとともに像側に凹面を 有す る球面ガラスレンズであり、 その他のレンズ 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7は樹月旨 レンズであるが、 これに限定されない (例えば、 第 1のレンズ 1 3が樹脂レ ンズであっても構わない;第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4が樹脂製の場 合、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4は、 例えば、 互いの線膨張係 数の差が 4 0 X 1 ( ) 以上 (線膨張係数の異なるレンズ同士の組 み合わせ) であってもよい)
[0021 ] 本実施の形態を含む本発明は、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4 の対向面同士の間の接着 (気密状態での接触) によって第 1のレンズ 1 3と 第 2のレンズ 1 4との間のレンズ間空間 3 1が密閉状態に確保される (後述 する) ことを特徴としており、 レンズの数、 レンズおよび鏡筒の素材等につ いては用途等に応じて任意に設定できる。 また、 本実施の形態において、 像 側に位置される 2つの第 4および第 5のレンズ 1 6 , 1 7は貼り合わせレン ズであるが、 そうである必要はない。 なお、 これらのレンズ 1 3 , 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7の表面には、 必要に応じて、 反射防止膜、 親水膜、 撥水膜等 が設けられる。
[0022] また、 本実施の形態において、 最も物体側に位置される第 1のレンズ 1 3 と鏡筒 1 2との間にはシール部材としての〇リング 2 6が介揷され、 鏡筒 1 2の内側のレンズ群!-内に水や塵埃が侵入し いようにしている。 この場合 、 第 1のレンズ 1 3の外周面 1 3 に、 該レンズ 1 3の像側部分で径が小さ くなった段差状の縮径部 1 3 6が設けられ、 この縮径部 1 3 6に〇リング 2 6が装着されて、 第 1のレンズ 1 3の外周面 1 3 と鏡筒 1 2の内周面 1 2 3との間で〇リング 2 6が径方向で圧縮されることにより、 鏡筒 1 2の物体 側端部が封止された状態となっている。 なお、 第 1のレンズ 1 3と鏡筒 1 2 との間に介揷されるシール部材は、 〇リングに限定されず、 第 1のレンズ 1 3と鏡筒 1 2との間をシールできる環状体であればどの うな形態であって も構わない。 〇 2020/175536 10 卩(:171? 2020 /007684
[0023] 鏡筒 1 2の内側には物体側において円筒状の内壁 1 2匕が設けられ、 この 内壁 1 2匕と外壁 1 2〇との間には溝 1 8が形成されており、 溝 1 8の中に は環状体 27が設けられ、 この環状体 27に〇リング 26が密接している。 内壁 1 2匕と外壁 1 2 3 の間に溝 1 8を形成している理由は、 溝がなく内壁 1 2匕と外壁 1 2 3 とが一体化している場合には壁厚が厚く なるため、 樹脂 の鏡筒 1 2を成形 ·冷却する際に大きくヒケが発生し寸法精度 狂うことを 抑制するためである。 環状体 27は比較的柔らかい弾性を有する物質から構 成され、 例えばテフロン (登録商標) が用いられる。 環状体 27は〇リング 26を光軸方向に支持する機能を有している。 環状体 27は鏡筒 1 2とは別 部材になっているため、 〇リング 26の大きさに応じて高さの異なる環状体 27に変更が可能であり、 〇リング 26が適切な弾性力でシールすることを 担保している。
[0024] また、 鏡筒 1 2は、 その内側収容空間 3内にレンズ群!-が組み込まれて収 容保持された状態で、 その物体側の端部 (図 1 において上端部) のカシメ部 23が径方向内側に熱的にカシメられることに り、 レンズ群!-の最も物体 側に位置される第 1のレンズ 1 3をこのカシメ部 23により鏡筒 1 2の物体 側端部に光軸方向で固定する。 この場合、 安定したカシメを行なえるように 、 カシメ部 23が圧接されるガラスレンズ 1 3の部位は平面状に斜めにカツ 卜された平坦部 1 3匕として形成される。
[0025] また、 鏡筒 1 2の像側の端部 (図 1 において下端部) には、 第 5のレンズ
1 7よりも径の小さい開口部を有する内側フラ ジ部 24が設けられている 。 この内側フランジ部 24とカシメ部 23とにより、 鏡筒 1 2内にレンズ群 !-を構成する複数のレンズ 1 3, 1 4, 1 5, 1 6, 1 7と絞り部材 22 3 , 2213とが光軸方向で保持固定されている。
[0026] 鏡筒 1 2は、 その内径が物体側から像面側に向かって段階 的に小さくなっ ている。 これに対応して、 レンズ 1 3, 1 4, 1 5, 1 6, 1 7は、 物体側 から像面側に向かうにつれて、 外径が小さくなっている。 基本的に、 レンズ 1 3, 1 4, 1 5, 1 6, 1 7それぞれの外径と、 鏡筒 1 2の各レンズ 1 3 〇 2020/175536 1 1 卩(:171? 2020 /007684
, 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7が支持される部分それぞれの内径とは略等 くな つている。 なお、 鏡筒 1 2の外周面には、 鏡筒 1 2を車載カメラに設置する 際に用いられる外側フランジ部 2 5が鏡筒 1 2の外周面に鍔状に設けられて いる。
[0027] また、 図 2は、 図 1のレンズユニッ ト 1 1 を有する本実施の形態のカメラ モジュール 3 0 0の概略断面図である。 図示のように、 カメラモジュール 3 0 0は、 フィルタ 1 0 0が装着されたレンズユニッ ト 1 1 を含んで構成され ている。 なお、 以下で説明する全ての実施の形態に係るレン ズユニッ トは、 図 2に示されるようなカメラモジュールを構成 得るものとする。
[0028] カメラモジュール 3 0 0は、 外装部品である上ケース (カメラケース) 3
0 1 と、 レンズユニッ ト 1 1 を保持するマウント (台座) 3 0 2とを備えて いる。 また、 カメラモジュール 3 0 0は、 シール部材 3 0 3およびパッケー ジセンサ (撮像素子) 3 0 4を備えている。
[0029] 上ケース 3 0 1は、 レンズユニッ ト 1 1の物体側の端部を露出させるとと もに他の部分を覆う部材である。 マウント 3 0 2は、 上ケース 3 0 1の内部 に配置されており、 レンズユニッ ト 1 1の雄ねじ 1 1 3と螺合する雌ねじ 3 〇 2 3 を有する。 シール部材 3 0 3は、 上ケース 3 0 1の内面とレンズユニ ッ ト 1 1の鏡筒 1 2の外周面 1 2 との間に介揷された部材であり、 上ケー ス 3 0 1の内部の気密性を保持するための部材であ 。
[0030] パッケージセンサ 3 0 4は、 マウント 3 0 2の内部に配置されており、 か つ、 レンズユニッ ト 1 1 により形成される物体の像を受光する位置に 配置さ れている。 また、 パッケージセンサ 3 0 4は、 〇〇〇や〇1\/1〇3等を備えて おり、 レンズユニッ ト 1 1 を通じて集光されて到達する光を電気信号に 変換 する。 変換された電気信号は、 カメラにより撮影された画像データの構成要 素であるアナログデータやデジタルデータに 変換される。
[0031 ] 以上のような構成を成すレンズユニッ ト 1 1およびカメラモジュール 3 0
0において、 最も物体側に位置される第 1のレンズ 1 3およびこの第 1のレ ンズ 1 3とその像側で隣接する第 2のレンズ 1 4はそれぞれ、 光軸方向で互 〇 2020/175536 12 卩(:171? 2020 /007684
いに対向する対向面 1 3 1 4 3を有しており、 これらの対向面 1 3
1 4 3同士の対向領域は、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4との間のレ ンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように互いに 着されている。 ここで、 レンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 3 3 , 1 4 8の 「対向領域」 とは、 対 1 4
3同士の光軸方向の間隔が 5 0 0 以下の領域をいうものとする (以下、 本明細書中において同様) 。
[0032] 特に、 本実施の形態では、 対向面 1 3 3 , 1 4 3 同士の対向領域の接着が 接着媒体 4 0を用いて行なわれる (図 1および図 2参照) が、 他の接着形態 によって対向面 1 3 3 , 1 4 3同士が接着されても構わない。
ここで、 本実施の形態で用いられる接着媒体 4 0としては、 例えば、 アク リル系、 エポキシ系、 オレフィン系の接着剤 (以下、 本明細書中において、 アクリル系の接着剤とはアクリル樹脂を 5 0重量%以上含む接着剤、 エポキ シ系の接着剤とはエポキシ樹脂を 5 0重量%以上含む接着剤、 オレフィン系 の接着剤とはオレフィン系樹脂(二重結合を 1箇もった鎖状炭化水素)を 5 0 重量%以上含む接着剤をいうものとする) 、 粘着性を有する (例えばゲル状 の) 弾性材料などを挙げることができ、 また、 このような接着媒体 4 0は、 レンズ 1 3 , 1 4の有効径の外側 (光線が通らない光学面外部位) に設けら れる。 このようにして接着媒体 4 0を対向面 1 3 1 4 3同士の間に配し た状態が特に図 3に模式的に若干誇張して示されている。
[0033] また、 本実施の形態において、 対向面 1 3 3 , 1 4 3同士の接着に用いら れる接着媒体 4 0は、 レンズ 1 3 , 1 4同士の線膨張係数差に伴う温度変化 時のレンズの膨張収縮量の違いに起因するレ ンズ 1 3 , 1 4同士の径方向の 相対変位に追従できる 「径方向追従性」 (温度変化に伴うレンズ 1 3 , 1 4 の膨張 (収縮) 後にレンズ 1 3 , 1 4の接着界面に加わる径方向の応力に十 分に耐え得る柔軟性) 、 および/または、 高温環境下におけるレンズ間空間 3 1の内圧上昇に伴うレンズ 1 3 , 1 4同士の光軸〇方向での離間に起因し てレンズ 1 3 , 1 4間の接着界面が剥離しないようにする良好 「密着性」 〇 2020/175536 13 卩(:171? 2020 /007684
(レンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 3 1 4 3に対する接着媒体 4 0の密着性
) 、 あるいは、 光軸〇方向でのレンズ 1 3 , 1 4間の離間変位に追従できる 「光軸方向追従性」 を有している。
[0034] 接着媒体 4 0に求められる 「径方向追従性」 は、 接着媒体 4 0の硬度をシ ョア硬度で八 1 0 ~八 1 0 0 (ショア八硬度 1 0〜 1 0 0) の範囲内または ショア硬度で口 1 0 ~口 9 0 (ショアロ硬度 1 0〜 9 0) の範囲内に設定す ることによって実現できる。 特に、 八3 0 ~八9 5または
範囲内でより好適な結果が得られる。 また、 このような 「径方向追従性」 は 、 接着媒体の硬度をこのような値の範囲内に設 定することに加えまたは代え 、 接着媒体の厚さを所定以上に確保することに よっても実現し得る。 接着媒 体 4 0の厚さを所定以上に確保する (接着媒体 4 0の径方向に沿う動き代を 確保する) ための手段としては、 例えば、 接着媒体 4 0中にフイラーを含ま せ、 これらのフイラーの最大長さを 5〜 5 0 0 に設定することが挙げら れる。 接着媒体中におけるフイラーの配向にもよる が、 フイラーが接着媒体 4 0中で光軸〇方向側に向けて延在していれば その延在するフイラーの長 さによって接着媒体 4 0の厚み (光軸〇方向の寸法) が規定され得る。
[0035] また、 接着媒体 4 0の厚さを所定以上に確保するための他の手 としては 、 互いに対向する第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の 2つの対向面 1 3 3 , 1 4 3の少なくとも一方の一部に突起 (凸部) を 5〜 5 0 0 の 高さで設けることが挙げられる。 そのような例が図 4〜図 6にそれぞれ示さ れている。
[0036] 図 4では、 第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3 の径方向外側 (最も外側) に 突起 4 3が 5〜 5 0 0 の高さで設けられ、 この突起 4 3は、 図 8に示さ れるように環状 (輪帯状) を成していてもよく (環状突起 4 3八) 、 あるい は、 図 9に示されるように、 周方向に沿って互いに所定の角度間隔を隔て て 設けられる断面円形の複数の柱状突起 4 3巳 (図では、 周方向に沿って 9 0 ° の角度間隔を隔てた 4つの柱状突起) であっても構わない。 このような突 起 4 3 (4 3八, 4 3巳) は、 第 1のレンズ 1 3の対向面 1 3 3に当接して 〇 2020/175536 14 卩(:171? 2020 /007684
、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 4 3同士の間 (環 状突起 4 3 の場合には環状突起 4 3 よりも径方向内側 (図 8参照) 、 柱 状突起 4 3巳の場合には柱状突起 4 3巳間および柱状突起 4 3巳よりも径方 向内側 (図 9参照) ) に接着媒体 4 0が充填されるための充填領域を画定し 、 その高さによって接着媒体 4 0の厚み (光軸〇方向の寸法) を構造的に規 定し且つ調整し得る。 なお、 接着媒体 4 0の充填に際し、 図 8に示される環 状突起 4 3 では、 接着媒体 4 0の充填流れを制御し易いとともに、 対向面 1 4 3からの接着媒体 4 0の流出も防止できる。 これに対し、 図 9に示され る柱状突起 4 3巳では、 接着面積を広く確保できることから、 接着力を高め ることができる。
[0037] 図 5では、 第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3の径方向の中央付近に突起 4
3が 5〜 5 0 0 〇1の高さで設けられる。 図 6では、 第 2のレンズ 1 4の対 向面 1 4 3の径方向内側に (例えば、 更に内側に環状領域 4 9 (レンズ有効 径内の領域) を残した状態で突起 4 3が 5〜 5 0〇 の高さで設けられる 。 図 4および図 5では、 接着媒体 4 0が充填 (塗布) されない領域として環 状領域 4 9が確保される。 これらの場合も、 突起 4 3は、 図 8に示されるよ うな環状突起 4 3八であってもよく、 あるいは、 図 9に示されるような複数 の柱状突起 4 3巳であっても構わない。 このような突起 4 3 (4 3八, 4 3 巳) は、 第 1のレンズ 1 3の対向面 1 3 3に当接して、 第 1および第 2のレ ンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 4 3同士の間 (環状突起 4 3八の場合に は環状突起 4 3 の径方向内側および外側の両方、 柱状突起 4 3巳の場合に は、 柱状突起 4 3巳間および柱状突起 4 3巳の径方向内側および外側の両方 ) に接着媒体 4 0が充填されるための充填領域を画定し、 その高さによって 接着媒体 4 0の厚み (光軸 0方向の寸法) を構造的に規定し且つ調整し得る
[0038] なお、 図 4〜図 6において、 環状突起 4 3は 1箇所にのみ設置されている が、 任意に設定できる。 例えば対向面 1 4 3 の外側と内側の 2箇所に設置し てもよい。 同様に、 図 9に示される柱状突起 4 3巳は、 4つに限られるもの 〇 2020/175536 15 卩(:171? 2020 /007684
ではなく、 3つ以上設置することで、 接着媒体 4 0の厚さを確保する目的を 達成できる。
[0039] なお、 突起 4 3 (4 3 , 4 3巳) の断面形状 (径方向に延びる平面で切 断した断面) は、 図 7の (3) に示されるような正方形であってもよく (長 方形等の他の矩形状であってもよい) 、 図 7の (匕) に示されるような三角 形であってもよく、 図 7の (〇) に示されるような台形であってもよく、 図 7の (¢1) に示されるような半円であってもよい。 無論、 これらの形状に限 定されず、 任意の形状を適宜選択することができる。
[0040] また、 第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3に設けられる突起は、 図 1 0に示 されるように、 径方向に沿って延びる径方向延在突起 4 3 0であってもよい 。 この場合の突起 4 3(3の断面形状も図 7に示されるような断面形状を採用 することが好ましい。 特に、 図 1 0では、 径方向延在突起 4 3(3が放射状に 設けられている (4つの径方向延在突起 4 3 0が互いに周方向に 9 0 ° の角 度間隔を隔てて設けられている) 。 このような径方向延在突起 4 3(3は、 径 方向延在突起 4 3(3同士の間に接着媒体 4 0が充填されるための充填領域を 画定し、 接着面 (接着層) を分断することにより、 接着層の全体的な剥離を 防止できる。 すなわち、 接着層を分断することにより、 仮に一部の接着層が 剥離したとしても、 そのような剥離が接着面の全体にわたって広 がることを 抑制できる。 なお、 図 1 0では径方向延在突起 4 3〇が 4つ設定されている が、 これに限るものではなく、 3つ以上の設定とすることにより、 所望の目 的を達成し得る。
[0041 ] なお、 図 4〜図 1 0の例では、 突起 4 3 (4 3八, 4 3巳, 4 3〇 が第
2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3のみに設けられているが、 第 1のレンズ 1 3 の対向面 1 3 3に突起 4 3 (4 3八, 4 3巳, 4 3〇 が設けられてもよく 、 あるいは、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の 2つの対向面 1 3 3 , 1 4 3 の両方に突起4 3 (4 3八, 4 3巳, 4 3〇 が設けられてもよ い。 また、 突起の代わりに、 接着媒体 4 0を充填するための凹部が互いに対 向する第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の 2つの対向面 1 3 3 , 1 〇 2020/175536 16 卩(:171? 2020 /007684
4 3の少なくとも一方の一部に設けられてもよ 。 例えば図 1 1では、 第 2 のレンズ 1 4の対向面 1 4 3の径方向の中央付近に環状の凹部 4 7が設けら れている。 このような接着媒体充填用の凹部 4 7を設ければ、 接着界面から の接着媒体 4 0の流出を防止できるとともに、 接着界面に対する接着媒体 4 0の塗布も容易となる。 また、 凹部 4 7の断面形状 (径方向に延びる平面で 切断した断面) は、 図 1 2の (3) に示されるような長方形であってもよく 、 図 1 2の (13) に示されるような三角形であってもよく、 図 1 2の (〇) に示されるような台形であってもよく、 図 1 2の (¢1) に示されるような半 円であってもよい。 無論、 これらの形状に限定されず、 任意の形状を適宜選 択することができる。 なお、 凹部の幅は、 径方向において、 レンズ対向領域 の確保と接着領域の確保の両立のため、 レンズ 1 3とレンズ 1 4の対向する 領域の 1 〇〜 9 5 %、 より好ましくは 3 0〜 9 0 %であることが好ましい。
[0042] また、 接着媒体 4 0の厚みを構造的に所定以上に確保できる他 手段とし ては、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 4 3同士の間 にシートを 5〜 5 0 0 の厚さで配置することが挙げられる。 この場合、 シートの材料としては防水性があって安価な 巳 が好ましい。 そのよう な例が図 1 3〜図 1 5にそれぞれ示されている。
[0043] 図 1 3では、 対向面 1 3 3 , 1 4 3間の径方向外側に環状のシート 5 2が
5〜 5 0 0 〇1の厚さで配置されている。 このようなシート 5 2は、 対向面 1 3 3 , 1 4 8間に介挿されて、 対向面 1 3 8 , 1 4 8同士の間でシート 5 2よりも径方向内側に接着媒体 4 0が充填されるための充填領域を画定し、 その厚さによって接着媒体 4 0の厚み (光軸〇方向の寸法) を構造的に規定 し且つ調整し得る。 また、 このようなシート 5 2の配置は、 接着媒体厚さの 確保のために前述したようにレンズ 1 3 , 1 4に突起等を加工して設ける必 要性を排除できるため、 レンズ 1 3 , 1 4の成形を容易にし得る。
[0044] 同様に、 図 1 4及び図 1 5には、 それぞれ対向面 1 3 3 , 1 4 3間の径方 向中央付近と径方向内側に環状のシート 5 2が 5〜 5 0 0 の厚さで配置 されている。 〇 2020/175536 17 卩(:171? 2020 /007684
[0045] なお、 図 1 3〜図 1 5において、 環状シート 5 2は 1箇所にのみ設置され ているが、 任意に設定できる。 例えば対向面 1 4 3 の外側と内側の 2箇所に 設置してもよい。 また、 環状シート 5 2は、 図 1 0に示されるように、 径方 向に沿って延びる径方向のシートとしてもよ い。
[0046] また、 前述した接着媒体 4 0に求められる 「密着性」 または 「光軸方向追 従性」 は、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の少なくとも一方の対 向面 1 3 3 ( 1 4 3) の表面粗さを二乗平均粗さ 9で〇. 0 1 ~ 2 0 0 に設定することによって実現できる。 これは、 特に、 前述した 「径方 向追従性」 を敢えて考慮しなくて済むガラスによって第 1および第 2のレン ズ 1 3 , 1 4が形成される場合に有益である。 ガラスの場合には、 高温環境 下におけるレンズ間空間 3 1の内圧上昇に伴うレンズ 1 3 , 1 4間の接着界 面の剥離を特に懸念する必要があるからであ る。
[0047] また、 本実施の形態においては、 更に、 接着媒体 4 0の吸水率が 5 . 〇
1 % (」 丨 3 [< 6 9 1 1 (煮沸 1時間) ) 以下であることが好ましい。 こ のように接着媒体 4 0の吸水率を低く設定すれば、 レンズ間空間 3 1内への 水蒸気の浸入を効果的に抑えることができる 。 また、 本実施の形態では、 接 着媒体 4 0が黒色である (接着媒体 4 0の光透過率が 4 5 0 n m〜6 5 0 n の波長領域で 2 0 %以下である) ことが好ましい。 このように接着媒体 4 0を黒色にしてその光透過率を抑えれば、 遮光、 ゴースト防止のための墨塗 り処理を省くことも可能になる (接着媒体 4 0が墨を兼ねることができる)
。 しかしながら、 このことは、 墨と接着媒体との併用を妨げるものではない 。 さらに、 シート 5 2も 4 5 0〜 6 5 0 n における光線透過率が 2 0 %以 下、 片面反射率が 1 〇%以下である素材を用いることが望ましい これによ り、 迷光に起因するゴーストやフレアの発生を抑 制することができる。 例え ば、 絞り部材として使用されているような樹脂製 の遮光素材や、 金属薄板に 黒化処理を施した遮光素材を用いることがで きる。 また、 本実施の形態では 、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4との間のレンズ間空間 3 1内の圧力 が常温 2 0度で大気圧以下であることが好ましい。 このように、 レンズ間空 〇 2020/175536 18 卩(:171? 2020 /007684
間 3 1内の圧力が大気圧以下であれば、 高温環境下であってもレンズ間空間 3 1の内圧上昇を生起させないで済むため、 内圧上昇に伴うレンズ 1 3 , 1 4同士の光軸〇方向での離間に起因してレン 1 3 , 1 4間の接着界面が剥 離してしまうといった問題を解消できる。 なお、 レンズ間空間 3 1内の圧力 が大気圧以下となるようにレンズ対向面 1 3 3 , 1 4 3同士を接着する手法 としては、 例えば、 真空雰囲気下でレンズ対向面 1 3 3 , 1 4 3 同士の接着 を行なう、 レンズ間空間 3 1 を吸引脱気しながら接着を行なうことなどを 挙 げることができる。
[0048] 以上説明したように、 本実施の形態によれば、 レンズユニッ ト 1 1内への 水蒸気の侵入を許容する経路となり得る第 1のレンズ 1 3および第 2のレン ズ 1 4の対向面 1 3 3 , 1 4 3間が、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4 との間のレンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように互いに 着さ れるため、 高湿環境下であっても、 最も結露が生じ易いレンズ間空間 3 1内 への水蒸気の侵入を、 ひいては更に像側へのレンズユニッ ト 1 1内への水蒸 気の侵入も抑えて (気密性を向上させて) 、 レンズ間空間 3 1内の水蒸気量 を低下させ、 レンズ表面結露、 とりわけ、 第 1のレンズ 1 3の像側の表面 ( 裏面 1 3〇) に結露が生じることを抑制できる。 すなわち、 このようなレン ズ 1 3 , 1 4同士の接着形態によれば、 信頼性の高い密閉状態をレンズ間空 間 3 1で確保できる。
[0049] なお、 本実施の形態において、 第 1のレンズおよび第 2のレンズは、 その —方がガラス製であるとともに他方が樹脂製 であったが、 第 1のレンズおよ び第 2のレンズがいずれも樹脂製であってもよく その場合、 互いの線膨張 係数の差が 4 0 X 1 ( ) 以上 (線膨張係数の異なるレンズ同士の 組み合わせ) であってもよい。 前述したように、 レンズ対向面同士の接着が 接着媒体を用いて行なわれる場合、 その接着媒体は、 レンズ同士の線膨張係 数差に伴う温度変化時のレンズの膨張収縮量 の違いに起因するレンズ同士の 径方向の相対変位に追従できる 「径方向追従性」 を有し得るため、 このよう に線膨張係数の異なるレンズ同士の組み合わ せであっても、 信頼性の高い密 〇 2020/175536 19 卩(:171? 2020 /007684
閉状態をレンズ間空間で確保できる。
[0050] (第 2の実施の形態)
図 1 6は、 本発明の第 2の実施の形態に係るレンズユニッ トの要部拡大図 を示している。 なお、 本実施の形態では、 第 1の実施の形態とは異なり、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4が略同径であるため溝 1 8及び環状体 2 7が設けられておらず、 したがって、 鏡筒 1 2に内壁 1 2匕も形成されてい ない。 また、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の形状も第 1の実施 の形態と若干異なる (第 2のレンズ 1 4は、 物体側に凹面を有するとともに 像側に凸面を有する樹脂レンズである) 。
[0051 ] 図 1 6に拡大して明確に示されるように、 レンズ群!-の第 1のレンズ 1 3 はその像側で第 2のレンズ 1 4と光軸方向で当接しており、 互いに当接する 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の円環状の当接面 1 3 3’ , 1 4 の一方、 本実施の形態では第 2のレンズ 1 4の当接面 1 4 には、 例 えば切り欠き溝状の環状凹部 1 4匕が設けられる。 したがって、 この環状凹 部 1 4匕を伴う当接面 の部位は、 第 1のレンズ 1 3の当接面 1 3 3 と当接していない。 また、 この環状凹部 1 4 13は、 第 1のレンズ 1 3の当 と対向する部位から〇リング 2 6と対向する部位まで延在して いる。 言い換えると、 第 2のレンズ 1 4は、 第 1のレンズ 1 3の当接面 1 3 と対向して第 1のレンズ 1 3を支持するとともに第 1のレンズ 1 3の当 接面 1 3 よりも径方向外側に張り出すように延在する 支持面 1 4 を有 し、 この支持面 1 4八が、 第 1のレンズ と当接する当 接面 1 4 : と、 環状凹部 1 4匕とを有する。
[0052] そして、 この環状凹部 1 4匕には、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同 士の間の気密性を確保する気密材料 1 3 0が充填される。 具体的には、 本実 施の形態では、 レンズユニッ ト 1 1内への水蒸気の侵入を許容する経路とな る部位、 すなわち、 鏡筒 1 2のカシメ部 2 3と第 1のレンズ 1 3との間の隙 間から第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同士の間に形成されるレンズ間空 間 3 1 (第 1のレンズ 1 3の像側の凹面と第 2のレンズ 1 4の物体側の凸面 〇 2020/175536 20 卩(:171? 2020 /007684
とによって画定される) 内へと水蒸気を導き得る第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の当接面 , 1 4 3 ’ 間で、 環状凹部 1 4匕内に気密 材料 1 3 0としての環状のゴム材が圧入等により嵌着 れることにより充填 配置され、 あるいは、 環状凹部 1 4匕内に気密材料 1 3 0としての接着剤 ( 接着媒体) が充填される。
[0053] 言い換えると、 本実施の形態では、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同 士が当接面 1 3 3’ , 1 4 : で当接する環状の対向領域 1 4 0と、 気密材 料 1 3 0が環状凹部 1 4匕に充填されることにより当接面 , 1 4 3 同士の当接状態を維持しつつ気密材料 1 3 0が第 1のレンズ 1 3の当接面 1 3 3’ と当接して成る気密領域 1 5 0とが、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の径方向に沿って隣接して位置されている (第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同士が気密状態で接触している) 。 つまり、 本実施の形態では、 水蒸気の通り道となり得る経路、 すなわち、 鏡筒 1 2のカシメ部 2 3と第 1 のレンズ 1 3との間の隙間からレンズ間空間 3 1内へと至る経路中に、 その 上流側から、 〇リング 2 6を伴う防水領域 1 6 0と、 気密領域 1 5 0と、 対 向領域 1 4 0とが順に設けられ、 防水領域 1 6 0と気密領域 1 5 0とが光軸 〇方向に沿ってほぼ隣接して位置させるとと もに、 気密領域 1 5 0と対向領 域 1 4 0とがレンズ 1 3 , 1 4の径方向に沿って隣接して位置されること より、 この経路の防水性および気密性が高く維持さ れている。
[0054] なお、 この場合、 〇リング 2 6から成るシール部材の硬度は気密材料 1 3
0の硬度よりも高く設定されている。 これによれば、 シール部材である〇リ ングによって防水性能を高めつつ、 気密材料に伴うカシメ部に対する反力を 抑制することができる。 また、 この場合、 〇リングは、 前述したようにカシ メ部に対して反力を生起しないように径方向 で圧縮される。 具体的には、 例 えば、 シール部材としての〇リング 2 6は、 防水性能を高めるべく、 その硬 度が 5 0〜 7 0度で、 弾性力が高いことが好ましい。 これに対し、 防水性能 を要さない気密材料 3 0は、 例えばゴム材の場合、 その硬度が約 2 0〜 4 0 度であることが好ましい。 また、 気密材料 1 3 0は、 ゴム材に比べて反力が 〇 2020/175536 21 卩(:171? 2020 /007684
小さい接着剤であることが特に好ましい。 接着剤としては、 低反力の観点か ら、 粘性が高い (例えば、 3程度の粘性を有する) 接着 剤が更に好ましい。 また、 気密材料としては、 このほかにも、 テフロン等を 挙げることができる。
[0055] 以上説明したように、 本実施の形態によれば、 レンズユニッ ト 1 1内への 水蒸気の侵入を許容する経路となる部位、 すなわち、 鏡筒 1 2のカシメ部 2 3と第 1のレンズ 1 3との間の隙間から第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4 同士の間のレンズ間空間 3 1内へと水蒸気を導き得る第 1のレンズ 1 3およ び第 2のレンズ 1 4の当接面 1 3 3’ , 1 4 3’ 間に、 気密材料 1 3 0が介 揷されているため、 経路中に位置する〇リング 2 6によってシール性能 (防 水性能) を確保しつつ、 最も結露が生じ易いレンズ間空間 3 1内への水蒸気 の侵入、 ひいては更に像側へのレンズユニッ ト 1 1内への水蒸気の侵入を抑 えて (気密性を向上させて) 、 レンズ間空間 3 1内の水蒸気量を低下させ、 レンズ表面結露、 とりわけ、 第 1のレンズ 1 3の像側の裏面 1 3〇に結露が 生じることを抑制できる。
[0056] また、 本実施の形態によれば、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の当接 面 1 3 3’ , 1 4 3 ’ 間にこれらを引き離すように気密材料 1 3 0が介揷さ れるのではなく、 第 2のレンズ 1 4の当接面 に環状凹部 1 4匕を設 け、 この環状凹部 1 4匕に気密材料 1 3 0を充填しているため、 レンズ 1 3 , 1 4同士を確実に当接させてレンズ 1 3 , 1 4間の気密性向上に寄与し得 るだけでなく、 レンズ 1 3 , 1 4同士の当接によってレンズ間距離を所望の 距離に正確に保つことができ、 気密材料 1 3 0の介揷によって光学性能に悪 影響が及ぶことを防止できる。
[0057] また、 このように環状凹部 1 4匕内に気密材料 1 3 0を充填すれば、 気密 材料 1 3 0が第 1のレンズ 1 3を介してカシメ部 2 3に対し光軸方向で反力 を生起することもなくなり、 カシメカに悪影響を及ぼさないで済む (カシメ 部 2 3にかかる応力を最小限に抑えてカシメ部 2 3によるレンズ固定の信頼 性を高めることができる) 。 また、 気密材料がカシメ部に対して反力を生起 〇 2020/175536 22 卩(:171? 2020 /007684
しないという観点では、 気密材料が低い弾性力を有することが好まし い。
[0058] また、 本実施の形態によれば、 〇リング 2 6が第 1のレンズ 1 3と鏡筒 1
2との間で径方向に圧縮されるため、 押し潰されて弾性変形された〇リング 2 6の弾発力 (反力) が光軸方向でカシメ部 2 3に作用してカシメカに悪影 響を及ぼさないで済む。
[0059] また、 本実施の形態によれば、 〇リング 2 6の硬度が気密材料 1 3 0の硬 度よりも高く設定されているため、 〇リング 2 6によって防水性能を高めつ つ、 気密材料 1 3 0に伴うカシメ部 2 3に対する反力を抑制することができ る。
[0060] また、 本実施の形態によれば、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同士が 当接面 , 1 4 : で当接する対向領域 1 4 0と、 気密材料 1 3 0が 環状凹部 1 4匕に充填されて成る気密領域 1 5 0とが、 第 1および第 2のレ ンズ 1 3 , 1 4の径方向に沿って隣接して位置されている め、 レンズ 1 3 , 1 4間の良好な気密性能を効果的かつ効率的に 成できる。
[0061 ] なお、 前述した実施の形態では、 対向接領域 1 4 0が径方向内側に位置さ れるとともに気密領域 1 5 0が径方向外側に位置されていたが、 気密領域 1 5 0が径方向内側に位置されるとともに対向領 1 4 0が径方向外側に位置 されてもよい。 また、 前述した実施の形態では、 環状凹部が第 1のレンズ 1 3と当接する第 2のレンズ 1 4の当接面 1 4 に設けられていたが、 第 2 のレンズ 1 4と当接する第 1のレンズ 1 3の当接面 1 3 3 に環状凹部が設 けられても構わない。 また、 前述した実施の形態では、 凹部が切り欠き状の 環状溝として形成されているが、 凹部は、 そこに充填される気密材料が第 1 および第 2のレンズ同士の当接状態を阻害しない形態 あれば、 どのような 形態であってもよい。
[0062] また、 前述した実施の形態では、 シール部材 (〇リング 2 6) と気密材料
1 3 0とが互いに別個の部材であったが、 シール部材と気密材料とを二色成 形等によって一体成形 (硬度が異なる部材同士の一体成形) してもよい。 こ れによれば、 シール部材および気密材料の組み込み性を向 上させることがで 〇 2020/175536 23 卩(:171? 2020 /007684
きるとともに、 部品点数を減らして、 コスト低減を図ることも可能となる。 また、 前述の実施の形態では、 凹部が環状を成していたが、 環状である必要 はなく、 凹部の形態および配置態様は任意に設定でき る。 要は、 レンズ間空 間へと至る水蒸気の侵入を気密領域と対向領 域とによって抑制 (防止) でき ればよい。
[0063] (第 3の実施の形態)
図 1 7は、 本発明の第 3の実施の形態に係るレンズユニッ トの要部拡大図 を示している。 なお、 本実施の形態において、 レンズ群!-を構成する最も物 体側に位置される第 1のレンズ 1 3は、 その表面 1 3チが物体側に向けて凸 状を成す凸面として形成されるとともに、 第 2のレンズ 1 4と対向するその 裏面 1 3〇がレンズ内側に向けて凹む空洞部を形成 る凹面を成す球面ガラ スレンズであり、 第 2のレンズ 1 4は、 物体側に後述する凸状部 1 4 6 を有 する低透湿性の樹脂材料 (例えば、 〇〇 (シクロオレフィンポリマー) な どの樹脂) から成るレンズであり、 その他のレンズ 1 5 , 1 6 , 1 7は樹脂 レンズであるが、 これに限定されない (例えば、 第 1のレンズ 1 3が樹月旨レ ンズであっても構わない) 。
[0064] 図 1 7の (3) に拡大して明確に示されるように、 レンズ群!-の第 1のレ ンズ 1 3は、 その像側で、 第 2のレンズ 1 4と光軸方向で互いに当接してお り、 互いに当接してレンズ 1 3 , 1 4の径方向に延びる第 1のレンズ 1 3お よび第 2のレンズ 1 4の円環状の対向面 1 3 3 , 1 4 3の一方、 本実施の形 態では第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3には、 例えば切り欠き溝状の環状凹 部 1 4〇が設けられる。 したがって、 この環状凹部 1 4〇を伴う対向面 1 4 3の部位は、 第 1のレンズ 1 3の対向面 1 3 3と当接していない。 なお、 環 状凹部 1 4〇の深さ寸法は例えば 5〇〜 5 0 0ミクロンに設定される。
[0065] そして、 この環状凹部 1 4〇には、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同 士の間の気密性を確保する流動性の気密材料 2 3 0が充填される。 すなわち 、 本実施の形態では、 レンズユニッ ト 1 1内への水蒸気の侵入を許容する経 路となり得る部位、 つまり、 鏡筒 1 2のカシメ部 2 3 (図 1参照) と第 1の 〇 2020/175536 24 卩(:171? 2020 /007684
レンズ 1 3との間の隙間から〇リング 2 6 (図 1参照) を通じ、 または、 鏡 筒 1 2の透湿性の樹脂を直接に通じ、 第 1のレンズ 1 3と鏡筒 1 2および/ または第 2のレンズ 1 4との間の隙間を介して、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同士の間に形成されるレンズ間空間 3 1 (第 1のレンズ 1 3の像側 の凹面 1 3〇と第 2のレンズ 1 4の物体側の凸状部 1 4匕 6によって画定さ れる) 内へと水蒸気を導き得る第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の 対向面 1 3 1 4 3 間で、 環状凹部 1 4〇内に気密材料 2 3 0としての例 えば接着剤 (接着媒体) が充填され、 第 1の実施の形態で用いるものと同様 の接着剤を用いることができる。 なお、 接着剤としては、 特に、 アクリル系 の接着剤など低透湿性で粘性が 1〜 5 0 0 3 3程度のものが好ましい。
[0066] また、 このような環状凹部 1 4〇を有する第 2のレンズ 1 4は、 環状凹部 レンズ 1 3側に入り込むように延びる段差部 1 4 を環状 凹部 1 4〇の径方向内側に隣接して有する。 具体的に、 本実施の形態におい て、 この段差部 1 4 は、 第 1のレンズ 1 3の凹面 (裏面) 1 3〇と対向す る第 2のレンズ 1 4の部位を凹面 1 3〇により形成される空洞部内に少なく とも部分的に入り込ませることによって形成 され、 環状凹部 1 4〇内に充填 される気密材料 2 3〇の径方向内側への流動を防止する障壁と ての機能を 有する。 そして、 このようにして第 1のレンズ 1 3の空洞部内に入り込んで 段差部 1 4 を形成する第 2のレンズ 1 4の部位は、 環状凹部 1 4〇の径方 向内側で物体側へと突出する略円形状の凸状 部 1 4 6 を形成する。 なお、 こ のようにして第 2のレンズ 1 4の凸状部 1 4 6 (段差部 1 4 ) を第 1のレ ンズ 1 3側に入り込ませるために、 本実施の形態では、 例えば、 第 1のレン ズ 1 3の縮径部 1 3 6を像側に向けて延在させるように厚く している。 縮径 部 1 3 6を像側に向けて延在させるように厚く形成 れば、 〇リング 2 6 ( 図 1参照) のための装着面積が増大し、 第 1のレンズ 1 3からの〇リング 2 6の脱落を防止できるという利点も得られる また、 第 2のレンズの段差部 を第 1のレンズ側に入り込ませる手段としては、 それ以外にも、 第 1のレン ズの対向面を切り欠くなどして、 段差部の受け入れスペースを確保するなど 〇 2020/175536 25 卩(:171? 2020 /007684
、 様々な形態が考えられる。
[0067] 言い換えると、 本実施の形態では、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同 士が対向面 1 3 3 , 1 4 3 で当接する環状の対向領域 2 4 0と、 気密材料 2 3 0が環状凹部 1 4〇に充填されることにより対向面 1 3 3 , 1 4 3同士の 当接状態を維持しつつ気密材料 2 3 0が第 1のレンズ 1 3の対向面 1 3 3と 当接して成る気密領域 2 5 0とが、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の径 方向に沿って隣接して位置されている。 つまり、 本実施の形態では、 水蒸気 の通り道となり得る経路、 すなわち、 鏡筒 1 2のカシメ部 2 3 (図 1参照) と第 1のレンズ 1 3との間の隙間からレンズ間空間 3 1内へと至る経路中に 、 その上流側から、 〇リング 2 6を伴う防水領域 1 6 0 (図 1 6も参照) と 、 対向領域 2 4 0と、 気密領域 2 5 0とが順に設けられることにより、 この 経路の防水性および気密性が高く維持されて いる。
[0068] なお、 本実施の形態では、 図 1 7の (3) に示されるように、 第 1のレン ズ 1 3の凹面 (裏面) 1 3〇により形成される空洞部内に入り込む第 2のレ ンズ 1 4の凸状部 1 4 6が凹面 1 3〇との間に若干の隙間を存して位置され ているが、 図 1 7の (匕) に示されるように、 凸状部 1 4 6が凹面 1 3〇に 圧着嵌合してもよい。
[0069] 以上説明したように、 本実施の形態によれば、 レンズユニッ ト 1 1内への 水蒸気の侵入を許容する経路となり得る部位 、 すなわち、 第 1および第 2の レンズ 1 3 , 1 4同士の間のレンズ間空間 3 1内へと水蒸気を導き得る第 1 のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の対向面 1 3 3 , 1 4 3間に、 具体的 には、 第 1のレンズ 1 3と当接する第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3に設け られた環状凹部 1 4〇に気密材料 2 3 0が充填されているため、 レンズユニ ッ ト内に吸湿部材や液体を設置 ·封入する複雑かつ高コストな構造形態を伴 うことなく、 最も結露が生じ易いレンズ間空間 3 1内への水蒸気の侵入、 ひ いては更に像側へのレンズユニッ ト 1 1内への水蒸気の侵入を抑えて (気密 性を向上させて) 、 レンズ間空間 3 1内の水蒸気量を低下させ、 レンズ表面 結露、 とりわけ、 第 1のレンズ 1 3の像側の表面 (裏面) 1 3〇に結露が生 〇 2020/175536 26 卩(:171? 2020 /007684
じることを簡単に抑制できる。
[0070] また、 本実施の形態によれば、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の対向
1 4 3間にこれらを引き離すように気密材料 2 3 0が介揷される のではなく、 第 1のレンズ 1 3と当接する第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3 に環状凹部 1 4〇を設け、 この環状凹部 1 4〇に気密材料 2 3 0を充填して いるため、 レンズ 1 3 , 1 4同士を確実に当接させてレンズ 1 3 , 1 4間の 気密性向上に寄与し得るだけでなく、 レンズ 1 3 , 1 4同士の当接によって レンズ間距離を所望の距離に正確に保つこと ができ、 気密材料 2 3 0の介揷 によって光学性能に悪影響が及ぶことを防止 できる。
[0071 ] また、 本実施の形態において、 第 2のレンズ 1 4は、 環状凹部
第 1のレンズ 1 3側に入り込むように延びる段差部 1 4 を環状凹部 1 の径方向内側に隣接して有するため、 段差部 1 4 が、 環状凹部 1 内に 充填される気密材料 2 3〇の径方向内側への流動を防止する障壁を すこと ができ、 したがって、 流動性の気密材料 2 3 0が環状凹部 1 4〇から溢れて 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4同士の間のレンズ間空間 3 1内へ向けて 径方向内側に流れないようにすることができ る。 すなわち、 環状凹部 1 4〇 を安定した気密材料溜まりとして機能させる ことができる。
[0072] また、 本実施の形態において、 第 2のレンズ 1 4の段差部 1 4 は、 第 1 のレンズ 1 3の凹面 1 3〇と対向する第 2のレンズ 1 4の部位を凹面 1 3〇 により形成される空洞部内に少なくとも部分 的に入り込ませることによって 形成されるため、 空洞部に一番近い部位、 すなわち、 レンズ間空間 3 1 を密 閉し易い部位で気密性を確保でき、 水蒸気の侵入を効果的に抑制できる。
[0073] なお、 前述した図 1 7の ) に示されるように、 凸状部 1 4 6を凹面 1
3〇に圧着嵌合させれば、 段差部 1 4 と凹部 1 4〇とによって安定した気 密材料溜まりを形成する径方向外側の気密領 域 2 5 0と第 1のレンズ 1 3の 凹面 1 3〇と第 2のレンズ 1 4の凸状部 1 4 6 とから成る径方向内側の圧着 嵌合領域 2 7 0とによる二重気密状態を実現できるため、 レンズ 1 3 , 1 4 間の気密性が更に高まり、 レンズ間空間 3 1 を確実に密閉してレンズ間空間 〇 2020/175536 27 卩(:171? 2020 /007684
3 1内への水蒸気の侵入を確実に防止できる。
[0074] また、 前述した実施の形態では、 凹部 1 4〇が切り欠き状の環状溝として 形成されているが、 凹部は、 そこに充填される気密材料が第 1および第 2の レンズ同士の当接状態を阻害しない形態であ れば、 どのような形態であって もよい。 要は、 レンズ間空間 3 1へと至る水蒸気の侵入を気密領域 2 5 0に よって抑制 (防止) できればよい。 また、 前述した実施の形態では、 環状の 凹部 1 4〇がレンズ間空間 3 1 に隣接して 1つ設けられているが、 第 2のレ ンズ 1 4の対向面 1 4 3に設けられる凹部は、 対向面 1 4 3のどの部位 (径 方向に沿う任意の部位) に幾つ設けられてもよく、 また、 凹部に付随して設 けられる段差部も 1つに限らない。 また、 凹部に充填される気密材料は、 接 着剤に限定されず、 半ゲル状の気密物質などを挙げることができ る。 接着剤 としては、 例えば、 アクリル系接着剤など低透湿性のものが好ま しい。 ある いは、 凹部内にプチルシール (未加硫シール) やオレフイン系シール剤など シーリング部材を配置してもよい。 第 2のレンズの凹部に気密材料を充填し た後にその上側から鏡筒内に第 1のレンズを組み付ければ、 第 1および第 2 のレンズ間の気密性を確保でき、 第 1および第 2のレンズ同士の間の空間を 密閉空間にし得る。
[0075] (第 4の実施の形態)
図 1 8は、 本発明の第 4の実施の形態に係るレンズユニッ トの要部拡大図 を示している。 本実施の形態では、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の対向面 1 3 3 , 1 4 3同士が、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4と の間のレンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように接着媒 層 4 5 0によって接着されていることを特徴として る。
[0076] また、 本実施形態では、 接着媒体層 4 5 0は、 第 1のレンズ 1 3側に位置 する第 1接着媒体層 4 5 1 と、 第 2のレンズ 1 4側に位置する第 2接着媒体 層 4 5 2とを有し、 第 1接着媒体層 4 5 1 と第 2接着媒体層 4 5 2との間に 薄板状の薄板状介在物 4 5 5が介在されている。
第 1接着媒体層 4 5 1は、 第 1のレンズ 1 3の対向面 1 3 3の全域に亙っ 〇 2020/175536 28 卩(:171? 2020 /007684
て塗布され、 第 2接着媒体層 4 5 2は第 2のレンズ 1 3の対向面 1 4 3の全 域に亙って塗布されている。 対向面 1 3 3および対向面 1 4 3はそれぞれ円 環状に形成され、 外径は対向面 1 3 3の方が対向面 1 4 3 より大きく、 内径 は対向面 1 3 3と対向面 1 4 3とでほぼ等しくなっている。 したがって、 対 向面 1 3 3に塗布されている第 1接着媒体層 4 5 1は、 対向面 1 4 3に塗布 されている第 2接着媒体層 4 5 2より径方向外側に延出している。 また、 第 1接着媒体層 4 5 1 と第 2接着媒体層 4 5 2との層厚は等しくなっているが 、 これに限ることなく、 異なる層厚であってもよい。
また、 第 1接着媒体層 4 5 1 と第 2接着媒体層 4 5 2との間に介在されて いる薄板状介在物 4 5 5は円環状に形成され、 内径および外径は対向面 1 3 3とほぼ等しくなっている。 当該薄板状介在物 4 5 5の内径縁および外径縁 は、 対向面 1 3 3の内径縁および外径縁と径方向の位置がほ 等しくなって いる。
そして、 第 1接着媒体層 4 5 1の上面 (光軸方向物体側の表面) は対向面 1 3 3 に密着し、 下面 (光軸方向像側の表面) は薄板状介在物 4 5 5の上面 に密着している。 また、 第 2接着媒体層 4 5 2の下面 (光軸方向像側の表面 ) は対向面 1 4 3 に密着し、 上面 (光軸方向物体側の表面) は薄板状介在物 4 5 5の下面に密着している。
[0077] 薄板状介在物 4 5 5としては、 例えば、 遮光性有する遮光板、 ヒータまた はゴムシートを使用する。 遮光性のあるこれらの材料を用いることによ り、 第 1のレンズ 1 3の対向面 1 3 3にはゴースト対策のための墨塗りの工程を 省略できる。
薄板状介在物 4 5 5が遮光板 (例えば、 厚さが 1 以下の 3 II 3板) で ある場合、 接着媒体層 4 5 0を形成する接着媒体として、 透明または透光性 を有する比較的接着強度の高い (黒色接着剤より接着強度の高い) ものを使 用することができるとともに、 遮光性を確実に確保できる。
黒色接着剤としては、 例えば接着剤の光透過率が 4 5 0 n m〜6 5 0 n m の波長領域で 2 0 %以下であるものが好ましい。 接着剤を黒色にしてその光 〇 2020/175536 29 卩(:171? 2020 /007684
透過率を抑えれば、 遮光、 ゴースト防止のための墨塗り処理を省くこと も可 能になる一方、 接着強度が低下する虞があるが、 本実施形態では、 第 1接着 媒体層 4 5 1 と第 2接着媒体層 4 5 2との間に遮光板が介在されているので 、 黒塗り処理を省いても遮光性等を確保できる ともに、 透明または透光性を 有する比較的接着強度の高い接着剤を使用で きるので、 所定の接着強度を確 保できる。 また、 黒塗りを行わないことによって、 第 1のレンズ 1 3の対向 面 1 3 3と薄板状介在物 4 5 5の表面との間からの水分の混入を抑制でき
[0078] 薄板状介在物 4 5 5がヒータである場合、 当該ヒータによって第 1のレン ズ 1 3および第 2のレンズ 1 4を加熱することができるので、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4との間のレンズ間空間 3 1内における結露を抑制で きる。 また、 接着媒体層 4 5 0の劣化によって水分が混入した場合でも、 ヒ —夕によってこの水分を加熱することによっ てレンズ表面結露を解消できる なお、 ヒータとしては、 例えば厚さが 1〜 2 程度の平板状のセラミッ クヒータを使用できる。
[0079] 薄板状介在物 4 5 5がゴムシートである場合、 第 1のレンズ 1 3と第 2の レンズとの線膨張係数差に伴う温度変化時の レンズの膨張収縮量の違いに起 因するレンズ同士の径方向の相対変位に追従 できる 「径方向追従性」 がさら に向上する。 すなわち、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4との膨張収縮 量に差があった場合、 この差をゴムシートによって緩和できるので 、 「径方 向追従性」 がさらに向上すとともに、 接着媒体層 4 5 0の接着面の剥がれを 防止できる。 なお、 ゴムシートの厚さは、 5 0〜 1 5 0 〇1程度であるのが 好ましい。
[0080] また、 本実施形態では、 第 1接着媒体層 4 5 1 を形成する接着媒体と、 第
2接着媒体層 4 5 2を形成する接着媒体とは異なる種類であっ もよい。 例えば、 第 1のレンズ 1 3がガラスレンズ、 第 2のレンズ 1 4が樹月旨レン ズである場合に、 ガラスレンズ (第 1のレンズ 1 3) と薄板状介在物 4 5 5 〇 2020/175536 30 卩(:171? 2020 /007684
とを強固に接着できる接着媒体および樹脂 レンズ (第 2のレンズ 1 4) と薄 板状介在物 4 5 5とを強固に接着できる接着媒体を容易に選 できるので、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4とをより強固に接着できる。
また、 第 1接着媒体層の層厚および第 2接着媒体層の層厚を容易に設定で きるので、 前述した 「径方向追従性」 を容易に設定できるとともに、 高める ことができる。
[0081 ] ここで、 本実施形態で用いられる接着媒体としては、 例えば、 アクリル系 、 エポキシ系、 オレフィン系の接着剤、 粘着性を有する (例えばゲル状の) 弾性材料などを挙げることができ、 また、 このような接着媒体は、 レンズ 1 3 , 1 4の有効径の外側 (光線が通らない光学面外部位の対向面 1 3 1
4 3) に設けられる。 また、 これらの接着媒体は併用や混合などの形態で 使 用しても良い。
[0082] また、 本実施形態において、 対向面 1 3 3 , 1 4 3 同士の薄板状介在物 4
5 5を介しての接着に用いられる接着媒体は、 第 1 1の実施形態に示された 接着媒体 4 0と同じ材料 ·物性値を有するものであり、 前述した 「径方向追 従性」 及び 「光軸方向追従性」 を有している。
[0083] また、 本実施形態において、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の 対向面 1 3 8 , 1 4 3の少なくもいずれか一方に、 対向面 1 3 8 , 1 4 8に 塗布された接着媒体のレンズ間空間 3 1内への流れを抑止する抑止部が設け られていてもよい。
この抑止部としては、 対向面 1 3 3 , 1 4 3の少なくとも一方の一部に、 接着媒体を充填するために設けられた凹部で あってもよいし、 接着媒体のレ ンズ間空間 3 1内への流れを抑止する凸部であってもよい このような構成 によれば、 対向面に塗布された接着媒体のレンズ間空間 内への流れを抑止部 によって抑止できるとともに、 接着媒体の塗布も容易となる。
[0084] 例えば図 1 9に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 1
3 3 , 1 4 3の双方の一部に抑止部としての凸部 4 6 0が、 対向面 1 4 8の中心回りに円環状に設けられている。 〇 2020/175536 31 卩(:171? 2020 /007684
[0085] 凸部 4 6 0は、 対向面 1 3 3ではその内周縁に設けられ、 対向面 1 4 3で はその内周縁から所定長さだけ外径側に寄っ た位置に設けられている。 凸部 4 6 0の高さは 5〜 5 0 0 程度が好ましい。 このような凸部 4 6 0は、 第 1のレンズ 1 3をガラスモールドによって形成する際およ 第 2のレンズ 1 4を樹脂射出成形によって形成する際に、 第 1のレンズおよび第 2のレン ズ 1 4と一体的に設けてもよいし、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4を形成した後、 別体に設けてもよい。
[0086] 対向面 1 3 3に設けられた凸部 4 6 0は、 対向面 1 3 3に対向する薄板状 介在物 4 5 5の一方の表面に当接し、 対向面 1 4 3に設けられた凸部 4 6 0 は薄板状介在物 4 5 5の他方の表面に当接している。 したがって、 凸部 4 6 0 , 4 6 0によって薄板状介在物 4 5 5の接着媒体層 4 5 0の厚さ方向の位 置決めを行えるとともに、 第 1接着媒体層 4 5 1および第 2接着媒体層 4 5 2の層厚 (厚さ) を設定でき、 さらに、 対向面 1 3 1 4 3における第 1 接着媒体層 4 5 1および第 2接着媒体層 4 5 2の径方向の領域 (接着媒体の 充填領域) を設定できる。
また、 凸部 4 6 0を設けることによって、 対向面 1 3 3 , 1 4 3に塗布さ れた接着媒体のレンズ間空間 3 1内への流れを抑止できるとともに、 接着媒 体の塗布も容易となる。
[0087] なお、 対向面 1 3 1 4 3 の径方向外側に、 同様の凸部 4 6 0 (図示略
) を設けてもよい。 このようにすると、 第 1接着媒体層 4 5 1および第 2接 着媒体層 4 5 2の層厚をより正確に設定できるとともに、 接着媒体の塗布も 容易となる。
[0088] また、 図 2 0に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 1
3 3 , 1 4 3の双方の一部に抑止部としての凹部 4 6 1が、 対向面 1 3 3 , 1 4 8の中心回りに円環状に設けられている。
凹部 4 6 1は、 対向面 1 3 3ではその内周縁から所定長さだけ外径側に った位置に設けられ、 対向面 1 4 3 ではその内周縁から所定長さだけ外径側 に寄った位置に設けられ、 凹部 4 6 1 , 4 6 1は光軸方向において対応して 〇 2020/175536 32 卩(:171? 2020 /007684
いる。 凹部 4 6 1の深さは 5〜 5 0 0 程度が好ましい。 このような凹部 4 6 1は、 第 1のレンズ 1 3をガラスモールドによって形成する際およ 第 2のレンズ 1 4を樹脂射出成形によって形成する際に、 第 1のレンズ 1 3お よび第 2のレンズ 1 4と一体的に設けてもよいし、 第 1のレンズ 1 3および 第 2のレンズを形成した後、 別体に設けてもよい。
[0089] 対向面 1 3 1 4 3には接着媒体が所定の厚さに塗布されるが 余剰の 接着媒体は凹部 4 6 1 に流入するため、 当該接着媒体のレンズ間空間 3 1内 への流れを抑止できるとともに、 接着媒体の塗布も容易となる。
[0090] また、 図 2 1 に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 1
3 3 , 1 4 3の双方の一部に抑止部としての凹溝 4 6 2が、 対向面 1 3 3 ,
1 4 3 の中心回りに円環状に設けられている。 また、 凹溝 4 6 2は対向面 1 3 3 , 1 4 3の中心に対して放射状に設けてもよい。 この場合、 周方向に隣 り合う凹溝 4 6 2 , 4 6 2は等間隔であってもよいし、 不当間隔であっても よい。
凹溝 4 6 2は、 対向面 1 3 3ではその内周縁から所定長さだけ外径側に った位置から対向面 1 3 3の外周縁まで設けられ、 対向面 1 4 3ではその内 周縁から所定長さだけ外径側に寄った位置か ら対向面 1 4 3の外周縁まで設 けられている。 凹溝 4 6 2の深さは 5〜 5 0 0 程度が好ましい。 このよ うな凹溝 4 6 2は、 第 1のレンズ 1 3をガラスモールドによって形成する際 および第 2のレンズ 1 4を樹脂射出成形によって形成する際に、 第 1のレン ズ 1 3および第 2のレンズ 1 4と一体的に設けてもよいし、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4を形成した後、 別体に設けてもよい。
[0091 ] 対向面 1 3 1 4 3には接着媒体が所定の厚さに塗布されるが 余剰の 接着媒体は凹溝 4 6 2に流入するため、 当該接着媒体のレンズ間空間 3 1内 への流れをさらに抑止できるとともに、 接着媒体の塗布も容易となる。
[0092] また、 前述した接着媒体層 4 5 0を形成する接着媒体に求められる 「密着 性」 または 「光軸方向追従性」 は、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の少なくとも一方の対向面 1 3 3 ( 1 4 3 ) の表面粗さを二乗平均粗さ 〇 2020/175536 33 卩(:171? 2020 /007684
で〇. 0 1 〇1 ~ 2 0 0 〇1に設定することによって実現できる。 これは 、 特に、 前述した 「径方向追従性」 を敢えて考慮しなくて済むガラスによっ て第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4が形成される場合に有益である。 ガラ スの場合には、 高温環境下におけるレンズ間空間 3 1の内圧上昇に伴うレン ズ 1 3 , 1 4間の接着界面の剥離を特に懸念する必要が るからである。
[0093] また、 本実施形態においては、 さらに、 接着媒体の吸水率が 5 .
(」 丨 3 [< 6 9 1 1 (煮沸 1時間) ) 以下であることが好ましい。 このよ うに接着媒体の吸水率を低く設定すれば、 レンズ間空間 3 1内への水蒸気の 浸入を効果的に抑えることができる。 また、 本実施形態では、 接着媒体が黒 色である (接着媒体の光透過率が 4 5〇 1^〇1 ~ 6 5〇 1^ の波長領域で 2 0 %以下である) ことが好ましい。 このように接着媒体を黒色にしてその光透 過率を抑えれば、 遮光、 ゴースト防止のための墨塗り処理を省くこと も可能 になる (接着媒体が墨を兼ねることができる) 。
[0094] また、 本実施形態では、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4との間のレ ンズ間空間 3 1内の圧力が常温 2 0度で大気圧以下であることが好ましい。 このように、 レンズ間空間 3 1内の圧力が大気圧以下であれば、 高温環境下 であってもレンズ間空間 3 1の内圧上昇を生起させないで済むため、 内圧上 昇に伴うレンズ 1 3 , 1 4同士の光軸〇方向での離間に起因してレン 1 3 , 1 4間の接着界面が剥離してしまうといった問 を解消できる。 なお、 レ ンズ間空間 3 1内の圧力が大気圧以下となるようにレンズ 向面 1 3 3 , 1 4 3 同士を接着する手法としては、 例えば、 真空雰囲気下でレンズ対向面 1 3 3 , 1 4 3同士の接着を行なう、 レンズ間空間 3 1 を吸引脱気しながら接 着を行なうことなどを挙げることができる。
[0095] 以上説明したように、 本実施形態によれば、 レンズユニッ ト 1 1内への水 蒸気の侵入を許容する経路となり得る第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の対向面 1 3 3 , 1 4 3間が、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4と の間のレンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように接着媒 層 4 5 0によって互いに接着されるため、 高湿環境下であっても、 最も結露が生じ 〇 2020/175536 34 卩(:171? 2020 /007684
易いレンズ間空間 3 1内への水蒸気の侵入を、 ひいてはさらに像側へのレン ズユニッ ト 1 1内への水蒸気の侵入も抑えて (気密性を向上させて) 、 レン ズ間空間 3 1内の水蒸気量を低下させ、 レンズ表面結露、 とりわけ、 第 1の レンズ 1 3の像側の表面 (裏面 1 3〇) に結露が生じることを抑制できる。 すなわち、 このようなレンズ 1 3 , 1 4同士の接着形態によれば、 信頼性の 高い密閉状態をレンズ間空間 3 1で確保できる。
[0096] また、 接着媒体層 4 5 0は第 1のレンズ 1 3側に位置する第 1接着媒体層 4 5 1 と、 第 2のレンズ 1 4側に位置する第 2接着媒体層 4 5 2とを有し、 第 1接着媒体層 4 5 1 と第 2接着媒体層 4 5 2との間に薄板状介在物 4 5 5 が介在されているので、 第 1接着媒体層 4 5 1 を形成する接着媒体と第 2接 着媒体層 4 5 2を形成する接着媒体とを異なる種類とする とができる。 こ のため、 例えば、 第 1のレンズ 1 3がガラスレンズ、 第 2のレンズ 1 4が樹 脂レンズである場合に、 ガラスレンズ (第 1のレンズ 1 3) と薄板状介在物 4 5 5とを強固に接着できる接着媒体および樹脂 ンズ (第 2のレンズ 1 4 ) と薄板状介在物 4 5 5とを強固に接着できる接着媒体を容易に選 できる また、 第 1接着媒体層 4 5 1の層厚および第 2接着媒体層 4 5 2の層厚を 容易に設定できるので、 前述した 「径方向追従性」 を容易に設定できるとと もに、 高めることができる。
[0097] (第 5の実施の形態)
以下に示される第 5の実施の形態は、 最も物体側に位置するレンズとこれ に隣り合う第 2のレンズと、 中間スぺーサで囲まれたレンズ間空間内への 水 蒸気の侵入を抑制してレンズ表面結露を防止 できるレンズユニッ トおよび力 メラモジュールを提供する。
[0098] 図 2 2は、 第 5の実施の形態に係るレンズユニッ ト 1 1 八を示している。
図示のように、 本実施の形態のレンズユニッ ト 1 1 八は、 例えば樹脂製の円 筒状の鏡筒 (バレル) 1 2と、 鏡筒 1 2の段付きの内側収容空間 3内に配置 される複数のレンズ、 例えば、 物体側 (図 2 2において上側) から、 第 1の 〇 2020/175536 35 卩(:171? 2020 /007684
ガラス製のレンズ 1 3、 第 2のレンズ 1 4、 第 3レンズ 1 5、 第 4レンズ 1 6および第 5レンズ 1 7から成る 5つのレンズと、 4つの絞り部材 22匕, 22〇, 22 とを備えている。
[0099] 4つの絞り部材 2213, 22〇, 22 のうちの物体側から 1番 目の絞り部材 223は、 第 2のレンズ 1 4と第 3レンズ 1 5との間に配置さ れている。 物体側から 2番目の絞り部材 22匕は、 第 3レンズ 1 5と第 4レ ンズ 1 6との間に配置されている。 物体側から 3番目の絞り部材 22〇は、 第 4レンズ 1 6と第 5レンズ 1 7との間に配置されている。 物体側から 4番 目の絞り部材 22 は第 5レンズ 1 7と内側フランジ部 24との間に配置さ れている。
[0100] 絞り部材 223, 2213, 22〇, 22 は透過光量を制限し、 明るさの 指標となる 値を決定する 「開口絞り」 またはゴーストの原因となる光線や 収差の原因となる光線を遮光する 「遮光絞り」 である。 このようなレンズユ ニッ ト 1 1 を備える車載カメラは、 レンズユニッ ト 1 1 と、 図示しないイメ —ジセンサを有する基板と、 当該基板を自動車等の車両に設置する図示し な い設置部材とを備えるものである。
[0101] 鏡筒 1 2の内側収容空間 3内に組み込まれて収容保持される複数のレ ズ
1 3, 1 4, 1 5, 1 6, 1 7は、 それぞれの光軸を一致させた状態で積み 重ねられて配置されており、 1つの光軸〇に沿って各レンズ 1 3, 1 4, 1 5, 1 6, 1 7が並べられた状態となって、 撮像に用いられる一群のレンズ 群!-を構成している。 この場合、 レンズ群!-を構成する最も物体側に位置す る第 1のレンズ 1 3は、 物体側に平坦面を有するとともに像側に凹面 を有す る球面ガラスレンズであり、 第 2のレンズ 1 4は物体側および像側にそれぞ れ凸曲面を有する球面ガラスレンズである。 その他のレンズ 1 5, 1 6, 1 7は樹脂レンズであるが、 これに限定されない。 例えば、 第 1のレンズ 1 3 および第 2のレンズ 1 4が樹脂レンズであっても構わない。 第 1および第 2 のレンズ 1 3 , 1 4が樹脂製の場合、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4は、 例えば、 互いの線膨張係数の差が 4〇 1 〇 / ( ) 以上であ 〇 2020/175536 36 卩(:171? 2020 /007684
ってもよい。 ここで、 第 1のレンズと中間スぺーサ同士の接着および 間ス ぺーサと第 2のレンズ同士の接着が接着媒体を用いて行 われる場合、 その 接着媒体は、 レンズ (第 1のレンズおよび第 2のレンズ) と中間スぺーサ同 士の線膨張係数差に伴う温度変化時のレンズ および中間スぺーサの膨張収縮 量の違いに起因するレンズ同士の径方向の相 対変位に追従できる 「径方向追 従性」 を有し得るため、 このように線膨張係数の異なるレンズ同士の 組み合 わせであっても、 信頼性の高い密閉状態をレンズ間空間で確保 できる。
[0102] 本実施形態を含む本発明は、 鏡筒 1 2に、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレン ズ 1 4との間において中間スぺーサ 5 3 0が設けられ、 第 1のレンズ 1 3と 第 2のレンズ 1 4との間、 具体的には、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0とによって囲まれた (画定された) レンズ間空間 3 1 を有し、 第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0、 および中間スぺーサ 5 3 0と第 2のレンズ 1 4は、 それぞれレンズ間空間 3 1内が外部に対して密 閉されるように互いに接着されていることを 特徴としており、 レンズの数、 スぺーサの数やレンズ、 スぺーサおよび鏡筒の素材等については用途 等に応 じて任意に設定できる。
なお、 これらのレンズ 1 3 , 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7の表面には、 必要に 応じて、 反射防止膜、 親水膜、 撥水膜等が設けられる。
[0103] また、 本実施形態において、 最も物体側に位置する第 1のレンズ 1 3と鏡 筒 1 2との間にはシール部材としての〇リング 2 6が介揷され、 鏡筒 1 2の 内側のレンズ群!-内に水や塵埃が侵入しな ようにしている。 なお、 〇リン グ 2 6およびカシメ部 2 3に関連する構成は、 前述した第 1の実施の形態と 同様であるため、 同一符号を付してその説明を省略する。
[0104] また、 第 2のレンズ 1 4はレンズ 1 3 , 1 5 , 1 6 , 1 7より小径に形成 され、 中間スぺーサ 5 3 0に保持固定されている。 鏡筒 1 2の外周面には、 鏡筒 1 2を車載カメラに設置する際に用いられる外 フランジ部 2 5が鏡筒 1 2の外周面に鍔状に設けられている。
[0105] 以上のような構成を成すレンズユニッ ト 1 1 八およびカメラモジュール 3 〇 2020/175536 37 卩(:171? 2020 /007684
0 0八において、 図 2 2および図 2 3に示すように、 最も物体側に位置する 第 1のレンズ 1 3およびこの第 1のレンズ 1 3とその像側で隣接する中間ス ぺーサ 5 3 0はそれぞれ、 光軸方向で互いに対向する対向面 5 3 0
3を有しており、 これら対向面 1 3 3 , 5 3 0 3同士は、 第 1のレンズ 1 3 と第 2のレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0とで囲まれたレンズ間空間 3 1内 が外部に対して密閉されるように接着媒体 (接着剤) 5 4 8によって接着さ れている。
[0106] 中間スぺーサ 5 3 0は円筒状に形成され、 その物体側 (図 2 2および図 2
3において上側) の端面が環状の対向面 5 3 0 3となっている。 また、 中間 スぺーサ 5 3 0の内周面には、 光軸方向と直交する対向面 5 3 0匕が環状に 形成されるとともに、 光軸方向と平行な円筒状の対向面 5 3 0〇が形成され ている。 対向面 5 3 0匕と対向面 5 3 0〇とは断面視において直角に配置さ れている。
[0107] —方、 第 2のレンズ 1 4には、 前記対向面 5 3 0匕と対向する対向面 1 4
3 3が環状に形成されるとともに、 前記対向面 5 3 0〇と対向する対向面 1
4〇〇が円筒状に形成されている。 対向面 1 4 3 3は第 2のレンズ 1 4の有 効径の外側 (光線が通らない光学面外部位) に、 物体側 (図 2 2および図 2 3において上側) を向いて設けられている。 対向面 1 4〇〇は第 2のレンズ 1 4の最外径を形成する円筒面である。 対向面 1 4 8 1 4〇〇は断面視 において直角に配置されている。
そして、 対向面 5 3 0 6 , 1 4 3 3同士、 および対向面 5 3 0〇 , 1 4〇 〇同士はレンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように接着媒 5 4 8によって接着されており、 当該接着媒体 5 4 8は対向面 5 3 0匕, 5 3 0 〇 , 1 4 , 1 4〇〇に密着している。
[0108] また、 中間スぺーサ 5 3 0はその内径側の下端縁にカシメ部 5 3 1 を有し 、 このカシメ部 5 3 1は、 第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3 3を中間スぺ一 サ 5 3 0の対向面 5 3 0匕に光軸方向において押し付けるようにし 径方向 内側に熱的にカシメられている。 〇 2020/175536 38 卩(:171? 2020 /007684
このように、 カシメ部 5 3 1 によって第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3 3 が中間スぺーサ 5 3 0の対向面 5 3 0匕に押し付けられるので、 第 2のレン ズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0との接着界面の密着性、 特に前述した接着媒体 に求められる密着性に寄与し得る。
[0109] ここで、 本実施形態で用いられる接着媒体 (接着剤) としては、 例えば、 アクリル系、 エポキシ系、 オレフィン系の接着剤、 粘着性を有する (例えば ゲル状の) 弾性材料などを挙げることができ、 また、 このような接着媒体は 、 レンズ 1 3 , 1 4の有効径の外側 (光線が通らない光学面外部位の対向面 5 1 3 3 , 1 4 3 3) に設けられ、 さらに、 レンズ 1 4の対向面 1 4〇〇に も設けられる。 また、 これらの接着媒体は併用や混合などの形態で 使用して も良い。
[01 10] また、 本実施形態において、 対向面 5 3 0 3、 対向面 5 3 0匕,
1 4 3 3および対向面 5 3 0〇, 1 4〇〇同士の接着に用いられる接着媒体 (接着剤) は、 レンズ 1 3 , 1 4、 中間スぺーサ 5 3 0の線膨張係数差に伴 う温度変化時のレンズの膨張収縮量の違いに 起因するレンズ 1 3 , 1 4同士 の径方向の相対変位に追従できる 「径方向追従性」 (温度変化に伴うレンズ 1 3 , 1 4および中間スぺーサ 5 3 0の膨張 (収縮) 後にレンズ 1 3と中間 スぺーサ 5 3 0およびレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0の接着界面に加わる 径方向の応力に十分に耐え得る柔軟性) 、 および/または、 高温環境下にお けるレンズ間空間 3 1の内圧上昇に伴うレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0同 士の光軸〇方向での離間およびレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0同士の光軸 方向〇方向での離間に起因してレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0間およびレ ンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0間の接着界面が剥離しないようにする良好 「密着性」 (対向面 5 3 0 3および対向面 5 3 0匕に対 する接着媒体の密着性) 、 あるいは、 光軸〇方向でのレンズ 1 3と中間スぺ —サ 5 3 0間およびレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0間の離間変位に追従で きる 「光軸方向追従性」 を有している。
[01 1 1 ] 接着媒体 (接着剤) は、 第 1の実施形態に示された接着媒体 4 0と同じ材 〇 2020/175536 39 卩(:171? 2020 /007684
料 ·物性値を有するものを用いることにより 「径方向追従性」 と 「光軸方向 追従性」 とを得ることができる。
[01 12] また、 本実施形態において、 第 1のレンズ 1 3および中間スぺーサ 5 3 0 の対向面 1 3 5 3 0 8の少なくもいずれか一方に、 対向面 1 3 5 3
0 3に塗布された接着剤 (接着媒体) のレンズ間空間 3 1内への流れを抑止 する抑止部が設けられていてもよい。
この抑止部としては、 対向面 1 3 3 , 5 3 0 3の少なくとも一方の一部に 、 接着剤を充填するために設けられた凹部であ ってもよいし、 接着剤のレン ズ間空間 3 1内への流れを抑止する凸部であってもよい
[01 13] 例えば図 2 4に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 1
3 3 , 5 3 0 3のうちの対向面 5 3 0 3の一部に抑止部としての凸部 5 6 0 が、 対向面 5 3 0 3の中心回りに円環状に設けられている。 なお、 凸部 5 6 0は対向面 1 3 3に設けてもよい。
[01 14] 凸部 5 6 0は、 対向面 5 3 0 3の内周縁から所定長さだけ外径側に寄った 位置に設けられ、 凸部 5 6 0の内周縁は対向面 1 3 3の内周縁と一致してい る。 凸部 5 6 0の高さは 5〜 5 0 0 程度が好ましい。 このような凸部 5 6 0は、 中間スぺーサ 5 3 0を樹脂射出成形によって形成する際に、 中間ス ぺーサ 5 3 0と一体的に設けてもよいし、 中間スぺーサ 5 3 0を樹脂射出成 形によって形成した後、 別体に設けてもよい。
[01 15] 対向面 5 3 0 3に設けられた凸部 5 6 0は対向面 1 3 3に当接している。
したがって、 凸部 5 6 0によって接着媒体 5 4 8の厚さを設定でき、 さらに 、 接着媒体 5 4 8の径方向の領域 (接着剤の充填領域) を設定できる。 また、 凸部 5 6 0を設けることによって、 対向面 5 3 0 3に塗布された接 着媒体のレンズ間空間 3 1内への流れを抑止できるとともに、 接着媒体の塗 布も容易となる。
[01 16] なお、 対向面 5 3 0 3の径方向外側に、 同様の凸部 5 6 0 (図示略) を設 けてもよい。 このようにすると、 接着媒体の厚さをより正確に設定できると ともに、 接着媒体の塗布も容易となる。 〇 2020/175536 40 卩(:171? 2020 /007684
[01 17] また、 図 2 5に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 5
3 0 3の一部に抑止部としての凹部 5 6 1が、 対向面 5 3 0 3の中心回りに 円環状に設けられている。
凹部 5 6 1は、 対向面 5 3 0 3にその内周縁から所定長さだけ外径側に寄 った位置に設けられている。 凹部 5 6 1の深さは 5〜 5 0 0 程度が好ま しい。 このような凹部 5 6 1は、 中間スぺーサ 5 3 0を樹脂射出成形によっ て形成する際に、 中間スぺーサ 5 3 0と一体的に設けてもよいし、 中間スぺ —サ 5 3 0を樹脂射出成形によって形成した後、 対向面 5 3 0 3 に設けても よい。
対向面 1 3 3 , 5 3 0 3には接着媒体が所定の厚さに塗布されるが 余剰 の接着媒体は凹部 5 6 1 に流入するため、 当該接着媒体のレンズ間空間 3 1 内への流れを抑止できるとともに、 接着媒体の塗布も容易となる。
[01 18] また、 図 2 6に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 5
3 0 3の一部に抑止部としての凹溝 5 6 2が、 対向面 5 3 0 3の中心回りに 円環状に設けられている。 また、 凹溝 5 6 2は対向面 5 3 0 3の中心に対し て放射状に設けてもよい。 この場合、 周方向に隣り合う凹溝 5 6 2 , 5 6 2 は等間隔であってもよいし、 不当間隔であってもよい。
凹溝 5 6 2は、 対向面 5 3 0 3にその内周縁から所定長さだけ外径側に寄 った位置から対向面 5 3 0 3の外周縁まで設けられている。 凹溝 5 6 2の深 さは 5〜 5 0 0 程度が好ましい。 このような凹溝 5 6 2は、 中間スぺ一 サ 5 3 0を樹脂射出成形によって形成する際に、 中間スぺーサ 5 3 0と一体 的に設けてもよいし、 中間スぺーサ 5 3 0を樹脂射出成形によって形成した 後、 対向面 5 3 0 3に設けてもよい。
対向面 1 3 3 , 5 3 0 3には接着媒体が所定の厚さに塗布されるが 余剰 の接着媒体は凹溝 5 6 2に流入するため、 当該接着媒体のレンズ間空間 3 1 内への流れをさらに抑止できるとともに、 接着媒体の塗布も容易となる。
[01 19] また、 本実施形態において、 中間スぺーサ 5 3 0および第 2のレンズ 1 4 の対向面 5 3 0 6 , 1 4 3 3の少なくもいずれか一方に、 対向面 5 3 0 6 , 〇 2020/175536 41 卩(:171? 2020 /007684
1 4 3 3に塗布された接着剤 (接着媒体) のレンズ間空間 3 1内への流れを 抑止する抑止部が設けられていてもよい。
この抑止部としては、 対向面 5 3 0 13 , 1 4 3 3の少なくとも一方の一部 に、 接着媒体を充填するために設けられた凹部で あってもよいし、 接着媒体 のレンズ間空間 3 1内への流れを抑止する凸部であってもよい
[0120] 例えば図 2 7に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 1 4 a a, 5 3 0 のうちの対向面 5 3 0 の一部に抑止部としての凸部 5 7 0が、 対向面 5 3 0匕の中心回りに円環状に設けられている。 なお、 凸部 5 7 0は対向面 1 4 3 3に設けてもよい。
凸部 5 7 0は、 対向面 5 3 0匕の内周縁部に設けられ、 凸部 5 7 0の内周 縁は対向面 1 4 3 3の内周縁と一致している。 凸部 5 7 0の高さは 5〜 5 0 〇 程度が好ましい。 このような凸部 5 7 0は、 中間スぺーサ 5 3 0を樹 脂射出成形によって形成する際に、 中間スぺーサ 5 3 0と一体的に設けても よいし、 中間スぺーサ 5 3 0を樹脂射出成形によって形成した後、 別体に設 けてもよい。
対向面 5 3 0匕, 1 4 3 3間および対向面 間には接着 媒体 5 4 8が充填され、 当該接着媒体 5 4 8は対向面 5 3 0 13 , 1 4 3 3お よび対向面 5 3 0〇 , 1 4〇〇に密着している。
対向面 5 3 0匕に設けられた凸部 5 7 0は対向面 1 4 3に当接している。 したがって、 凸部 5 7 0によって接着媒体 5 4 8の厚さを設定でき、 さらに 、 接着媒体 5 4 8の径方向の領域 (接着剤の充填領域) を設定できる。 また、 凸部 5 7 0を設けることによって、 対向面 5 3 0匕に塗布された接 着媒体のレンズ間空間 3 1内への流れを抑止できるとともに、 接着媒体 5 4 8の塗布も容易となる。
[0121 ] なお、 図 2 7〜図 2 9では、 第 2のレンズ 1 4および中間スぺーサ 5 3 0 の上下方向を図 2 2及び図 2 3に示すものに対して上下逆にして示してい 。 これは、 第 2のレンズ 1 4および中間スぺーサ 5 3 0を鏡筒 1 2に揷入す る前に、 予め一体化するため、 説明の都合上、 上下逆にして示している。 〇 2020/175536 42 卩(:171? 2020 /007684 第 2のレンズ 1 4および中間スぺーサ 5 3 0を一体化する場合、 図 2 7に 示すように、 カシメ部 5 3 1 をカシメる前に (カシメる前のカシメ部 5 3 1 を二点鎖線で示す。 ) 、 中間スぺーサ 5 3 0の対向面 5 3 0匕に所定量の接 着媒体 5 4 8を充填する (塗布する) 。 対向面 5 3 0匕の内周縁部には凸部 5 7 0が設けられているので、 接着媒体 5 4 8は凸部 5 7 0によって堰き止 められて、 レンズ間空間 3 1内への流入が防止される。
[0122] 次に、 中間スぺーサ 5 3 0の内径側に第 2のレンズ 1 4を上方から揷入す るとともに、 その対向面 1 4 8 8を中間スぺーサ 5 3 0の対向面 5 3 0 に 接着媒体 5 4 8を介して当接させる。 これによって対向面 1 4 3 5 3 0 匕間および対向面 1 4〇〇 , 5 3 0〇間に接着媒体が充填されるとともに、 当該接着媒体 5 4 8が対向面 5 3 0匕および対向面 5
3 0〇に面接触して密着する。 なお、 第 2のレンズ 1 4の小径部 1 4 は 中間スぺーサ 5 3 0の内径側に挿入される。
[0123] 最後にカシメ部 5 3 1 を径方向内側に向けてカシメる。 これによって、 第
2のレンズ 1 4は中間スぺーサ 5 3〇の径方向中央部側および対向面 5 3 0 匕側に向けて押圧されるとともに、 第 2のレンズ 1 4の対向面 1 4 3 3が中 間スぺーサ 5 3 0の対向面 5 3 0 13に光軸方向 (図 2 8において上下方向) において押し付けられるので、 第 2のレンズ 1 4は中間スぺーサ 5 3 0に光 軸方向および径方向に位置決めされ、 接着媒体 5 4 8によって強固に接着さ れる。 なお、 接着媒体 5 4 8として熱硬化性のもの使用することによっ 、 —体化された第 2のレンズ 1 4および中間スぺーサ 5 3 0を高温室等に一定 時間保持することによって、 接着媒体 5 4 8が硬化して第 2のレンズ 1 4お よび中間スぺーサ 5 3 0は強固に一体化される。
[0124] また、 図 2 8に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 5
3 0匕の一部に抑止部としての凹部 5 7 1が、 対向面 5 3 0匕の中心回りに 円環状に設けられている。
凹部 5 7 1は、 対向面 5 3 0匕にその内周縁から所定長さだけ外径側に った位置に設けられている。 凹部 5 7 1の深さは 5〜 5 0 0 程度が好ま 〇 2020/175536 43 卩(:171? 2020 /007684
しい。 このような凹部 5 7 1は、 中間スぺーサ 5 3 0を樹脂射出成形によっ て形成する際に、 中間スぺーサ 5 3 0と一体的に設けてもよいし、 中間スぺ —サ 5 3 0を樹脂射出成形によって形成した後、 対向面 5 3 0匕に設けても よい。
対向面 5 3 0匕, 1 4 3 3間および対向面 間には接着 媒体 5 4 8が充填され、 当該接着媒体 5 4 8は対向面 5 3 0 13 , 1 4 3 3お よび対向面 5 3 0〇 , 1 4〇〇に密着している。
対向面 14 a a 5 3 0匕には接着媒体 5 4 8が所定の厚さに塗布される が、 余剰の接着媒体 5 4 8は凹部 5 7 1 に流入するため、 当該接着媒体のレ ンズ間空間 3 1内への流れを抑止できるとともに、 接着媒体の塗布も容易と なる。
[0125] また、 図 2 9に模式的に示すように、 本実施形態では、 円環状の対向面 5
3 0匕の一部に抑止部としての凹溝 5 7 2が、 対向面 5 3 0匕の中心回りに 円環状に設けられている。 また、 凹溝 5 7 2は対向面 5 3 0匕の中心に対し て放射状に設けてもよい。 この場合、 周方向に隣り合う凹溝 5 7 2 , 5 7 2 は等間隔であってもよいし、 不当間隔であってもよい。
凹溝 5 7 2は、 対向面 5 3 0匕にその内周縁から所定長さだけ外径側に った位置から対向面 5 3 0匕の外周縁まで設けられている。 凹溝 5 7 2の深 さは 5〜 5 0 0 程度が好ましい。 このような凹溝 5 7 2は、 中間スぺ一 サ 5 3 0を樹脂射出成形によって形成する際に、 中間スぺーサ 5 3 0と一体 的に設けてもよいし、 中間スぺーサ 5 3 0を樹脂射出成形によって形成した 後、 対向面 5 3 0 3に設けてもよい。
対向面 5 3 0匕, 1 4 3 3間および対向面 5 3 0〇, 間には接着 媒体 5 4 8が充填され、 当該接着媒体 5 4 8は対向面 5 3 0 13 , 1 4 3 3お よび対向面 5 3 0〇 , 1 4〇〇に密着している。
対向面 1 4 3 3 , 5 3 0 6には接着媒体が所定の厚さに塗布されるが 余 剰の接着媒体は凹溝 5 7 2に流入するため、 当該接着媒体 5 4 8のレンズ間 空間 3 1内への流れをさらに抑止できるとともに、 接着媒体 5 4 8の塗布も 〇 2020/175536 44 卩(:171? 2020 /007684
容易となる。
[0126] また、 前述した接着媒体 5 4 8に求められる 「密着性」 または 「光軸方向 追従性」 は、 第 1のレンズ 1 3および中間スぺーサ 5 3 0の少なくとも一方 の対向面 1 3 3 (5 3 0 3) および第 2のレンズ 1 4および中間スぺーサ 5 3 0の少なくとも一方の対向面 1 4 3 3 (5 3 0 13) の表面粗さを二乗平均
これは、 特に、 前述した 「径方向追従性」 を敢えて考慮しなくて済むガラス によって第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4、 中間スぺーサ 5 3 0が形成さ れる場合に有益である。 ガラスの場合には、 高温環境下におけるレンズ間空 間 3 1の内圧上昇に伴う第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0間および第 2のレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0間の接着界面の剥離を特に懸念する必 要があるからである。
[0127] また、 本実施形態においては、 さらに、 接着媒体の吸水率が 5 . 0w t %
(」 丨 3 [< 6 9 1 1 (煮沸 1時間) ) 以下であることが好ましい。 このよ うに接着媒体の吸水率を低く設定すれば、 レンズ間空間 3 1内への水蒸気の 浸入を効果的に抑えることができる。 また、 本実施形態では、 接着媒体が黒 色である (接着媒体の光透過率が 4 5〇 1^〇1 ~ 6 5〇 1^ の波長領域で 2 0 %以下である) ことが好ましい。 このように接着媒体を黒色にしてその光透 過率を抑えれば、 遮光、 ゴースト防止のための墨塗り処理を省くこと も可能 になる (接着媒体が墨を兼ねることができる) 。
[0128] また、 本実施形態では、 レンズ間空間 3 1内の圧力が常温 2 0度で大気圧 以下であることが好ましい。 このように、 レンズ間空間 3 1内の圧力が大気 圧以下であれば、 高温環境下であってもレンズ間空間 3 1の内圧上昇を生起 させないで済むため、 内圧上昇に伴うレンズ 1 3 , 1 4と中間スぺーサ 5 3 0の光軸〇方向での離間に起因してレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0間およ びレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0間の接着界面が剥離してしまうといった 問題を解消できる。 なお、 レンズ間空間 3 1内の圧力が大気圧以下となるよ うに対向面 1 4 3 3と対向面 5 3 0匕と接着する手法と 〇 2020/175536 45 卩(:171? 2020 /007684
しては、 例えば、 真空雰囲気下で対向面 1 3 1 4 3 3と対向面 5 3 0 3 , 5 3 0匕との接着を行なう、 レンズ間空間 3 1 を吸引脱気しながら接着を 行なうことなどを挙げることができる。
[0129] また、 本実施の形態では第 1のレンズ 1 3の対向面 1 3 3と中間スぺーサ
5 3 0の対向面 5 3 0 3との間に接着媒体 5 4 8によって 1層の接着媒体層 5 5 0を形成したが、 これに代えて、 前述した第 4の実施の形態の図 1 9〜 図 2 1 に示されるように、 接着媒体層 5 5 0を、 第 1のレンズ 1 3側に位置 する第 1接着媒体層と、 中間スぺーサ 5 3 0側に位置する第 2接着媒体層と を有する構成とし、 第 1接着媒体層と第 2接着媒体層との間に薄板状介在物 を介在させてもよい。 すなわち、 図 1 9〜図 2 1 において第 2のレンズ 1 4 を中間スぺーサ 5 3 0に置き換えた形態としてもよい。 薄板状介在物として は、 例えば、 遮光性有する遮光板、 ヒータまたはゴムシートを使用する。 遮 光性のあるこれらの材料を用いることにより 、 第 1のレンズ 1 3の対向面 1 3 3にはゴースト対策のための墨塗りの工程を 略できる。
薄板状介在物を第 2のレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0との間に、 第 1接 着媒体層と第 2接着媒体層を介して、 接着する接着形態並びに接着方法は第 4の実施形態で説明した通りである。
[0130] 以上説明したように、 本実施形態によれば、 第 1のレンズ 1 3と中間スぺ —サ 5 3 0、 および中間スぺーサ 5 3 0と第 2のレンズ 1 4は、 それぞれレ ンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように互いに 着されているた め、 高湿環境下であっても、 最も結露が生じ易いレンズ間空間 3 1内への水 蒸気の侵入を、 ひいてはさらに像側へのレンズユニッ ト内への水蒸気の侵入 も抑えて (気密性を向上させて) 、 レンズ間空間 3 1内の水蒸気量を低下さ せ、 レンズ表面結露、 とりわけ、 第 1のレンズ 1 3の像側の表面 (裏面) 1 3〇に結露が生じることを抑制できる。 すなわち、 このようなレンズ 1 3 ,
1 4と中間スぺーサ 5 3 0との接着形態によれば、 信頼性の高い密閉状態を レンズ間空間 3 1で確保できる。
[0131 ] また、 第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0とは、 光軸方向で互いに対 〇 2020/175536 46 卩(:171? 2020 /007684
向する対向面 1 3 3 , 5 3 0 3 同士が接着媒体 (接着剤) 5 4 8によって接 着され、 中間スぺーサ 5 3 0と第 2のレンズ 1 4とは、 光軸方向で互いに対 向する対向面 5 3 0匕, 1 4 3 3同士が接着媒体 5 4 8によって接着されて いるので、 接着媒体 5 4 8は、 第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0の線 膨張係数差および中間スぺーサ 5 3 0と第 2のレンズ 1 4の線膨張係数差に 伴う温度変化時の第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0の膨張収縮量の違 いおよび中間スぺーサ 5 3 0と第 2のレンズ 1 4の膨張収縮量の違いに起因 するレンズ 1 3 , 1 4の径方向の相対変位に追従できる 「径方向追従性」 ( 温度変化に伴うレンズの膨張 (収縮) 後にレンズ接着界面に加わる径方向の 応力に十分に耐え得る柔軟性) 、 および/または、 高温環境下におけるレン ズ間空間 3 1の内圧上昇に伴う第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0との 光軸方向での離間および中間スぺーサ 5 3 0と第 2のレンズ 1 4との光軸方 向での離間に起因して接着界面が剥離しない ようにする良好な 「密着性」 ( 第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 3 0の対向面 1 3 3 , 5 3 0 3に対する接 着媒体 5 4 8の密着性および中間スぺーサ 5 3 0と第 2のレンズ 1 4の対向 面 5 3 0匕, 1 4 3 3に対する接着媒体の密着性) 、 あるいは、 光軸方向で の第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0間の離間変位および中間スぺーサ 5 3 0と第 2のレンズ 1 4間の離間変位に追従できる 「光軸方向追従性」 を 有することにより、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4に 「径方向追 従性」 および 「光軸方向追従性」 を得ることができる。
[0132] また、 第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0 3 に抑止部 5 6 0 , 5 6 1 , 5 6 2が設けられ、 第 2のレンズ 1 4と中間スぺ -サ 5 3 0の対向面 5 3 0匕に抑止部 5 7 0 , 5 7 1 , 5 7 2が 設けられているので、 対向面に塗布された接着媒体 5 4 8のレンズ間空間 3 1内への流れを抑止部によって抑止できると もに、 接着媒体 5 4 8の塗布 も容易となる。
[0133] また、 接着媒体層 5 5 0は第 1のレンズ 1 3側に位置する第 1接着媒体層
5 5 1 と、 中間スぺーサ 5 3 0側に位置する第 2接着媒体層 5 5 2とを有し 〇 2020/175536 47 卩(:171? 2020 /007684
、 第 1接着媒体層 5 5 1 と第 2接着媒体層 5 5 2との間に薄板状介在物 5 5 5が介在されているので、 第 1接着媒体層 5 5 1 を形成する接着媒体と第 2 接着媒体層 5 5 2を形成する接着媒体とを異なる種類とする とができる。 このため、 例えば、 第 1のレンズ 1 3がガラスレンズ、 中間スぺーサ 5 3 0 が樹脂製である場合に、 ガラスレンズ (第 1のレンズ 1 3) と薄板状介在物 5 5 5とを強固に接着できる接着媒体および樹脂 の中間スぺーサ 5 3 0と 薄板状介在物 5 5 5とを強固に接着できる接着媒体を容易に選 できる。 また、 第 1接着媒体層 5 5 1の層厚および第 2接着媒体層 5 5 2の層厚を 容易に設定できるので、 前述した 「径方向追従性」 を容易に設定できるとと もに、 高めることができる。
[0134] (第 6の実施の形態)
ところで、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の対向面 1 3 3 , 1 4 3同士を接着媒体により接着する場合、 接着媒体の硬度によっては所定の 状況下でレンズに割れが生じる場合もある。 特に、 第 1のレンズ 1 3がガラ ス製で且つ第 2のレンズ 1 4が樹脂製である場合など線膨張係数が異な レ ンズの組み合わせにおいて、 接着媒体が例えばエポキシ系の接着剤などの 水 を透過し難い硬質な接着剤 (例えば、 硬度がショア硬度で口 8 0前後) であ る場合には、 接着剤の高硬度に起因してレンズ間を強固に 接着できるものの 、 レンズ 1 3 , 1 4同士の線膨張係数差に伴う温度変化時のレ ズの膨張収 縮量の違いに起因するレンズ 1 3 , 1 4同士の径方向の相対変位によって接 着剤がガラス製の第 1のレンズ 1 3から剥がれ、 それに伴って第 1のレンズ 1 3に作用する応力により第 1のレンズ 1 3の表面に割れが生じる場合があ る。 特に、 このような割れ現象は、 レンズの形状やレンズ同士の接合形態に も起因して応力集中が生じ易いレンズ 1 3 , 1 4同士の対向領域の径方向内 側で起こり易い。
[0135] 本発明者らは、 このような割れ現象の主な原因が、 互いに対向するレンズ
1 3 , 1 4の対向面 1 3 3^ , 1 4 8の対向領域の全体にわたって硬質の接着 媒体 (接着剤) を塗布するためであることを様々な実験等に より突き止めた 〇 2020/175536 48 卩(:171? 2020 /007684
。 第 1のレンズ 1 3がガラス製で且つ第 2のレンズ 1 4が樹脂製であって、 接着媒体がエポキシ系の接着剤を含む例えば ショア硬度で口 7 0以上の高い 硬度を有する接着剤である場合には、 図 3 0に示されるように、 互いに対向 するレンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 3 1 4 8の円環状の対向領域において
、 円環の内周から円環の厚み (円環の外径と内径との間の差) の 5 0 %をこ えた範囲に接着媒体が塗布されないようにす ることによって前述した第 1の レンズの割れ現象を回避できる。 換言すると、 円環状の対向領域の外周から 円環の厚みの 5 0 %以内の範囲にのみ接着剤が塗布されるよう する。 ここ で、 レンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 4 3 の対向領域とは、 対向面 1 3
3 , 1 4 3の光軸方向の間隔が 5 0 0 以下の領域をいうものとする。
[0136] 以下の図 3 1〜図 3 6に示されるそれぞれの実施の形態は、 第 6の実施の 形態と同様に、 例えば、 前記接着媒体がエポキシ系の接着剤を含む例 えばシ ョア硬度で口 7 0以上の高い硬度を有する接着剤である場合 、 第 1のガラ ス製のレンズの表面に割れが生じることを抑 制するために、 第 1のレンズと その隣接する樹脂製の第 2のレンズあるいは中間スぺーサの対向面間 ある 円環状の対向領域 8に接着剤を積極的に設けないことを特徴と るものであ り、 レンズユニッ トにおける接着媒体塗布形態の例を示してい る。 なお、 こ こで、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の対向面 1 3 3 , 1 4 3 間 である円環状の対向領域 8とは、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレンズ 1 4の対 向面 1 3 3 , 1 4 3の光軸方向の間隔が 5 0 0 以下の領域をいい、 間隔 0の当接領域も含むものとする。
[0137] (第 7の実施の形態)
図 3 1 に示される第 7の実施の形態に係るレンズユニッ ト 1 1 巳では、 ガ ラス製の第 1のレンズ 1 3および樹脂製の第 2のレンズ 1 4 (以下、 図 3 4 までの全ての図において同様) の対向面 1 3 3 , 1 4 3同士が対向 (当接状 態も含む) する対向領域 8の径方向外側端縁 よりも径方向外側で、 レンズ 間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように接着媒 4 0 (本実施の形態 では、 ショア硬度が口 8 0前後のエポキシ系の接着剤) が第 1のレンズ 1 3 〇 2020/175536 49 卩(:171? 2020 /007684
の外表面 (底面;像側の表面) と第 2のレンズ 1 4の外表面 (鏡筒 1 2の内 面に面する外周側面) とにわたって塗布されている。 この場合、 接着媒体 4 0は、 第 1のレンズ 1 3の像側に面する表面のうち第 2のレンズ 1 4の対向 面 1 4 3 と当接あるいは対向しない径方向外側の 外表面部位 1 3 IIと、 この 外表面部位 1 3 IIに隣接して鏡筒 1 2の内面と対向する第 2のレンズ 1 4の 外周側面である外表面部位 1 4 とにわたって連続的に延在している (!_字 形塗布形態) 。 接着媒体 4 0のこのような塗布形態では、 塗布過程において 接着媒体 4 0が表面張力により円環状の対向領域 に若干浸透することがあ り得るが、 部分的にでも円環の外周から円環の厚み (円環の外径と内径との 間の差) の 5 0 %をこえる範囲に接着媒体 4 0が入り込むことはないため、 温度変化時に接着媒体 4 0により第 1のレンズ 1 3に大きな応力が作用して 第 1のレンズ 1 3に割れが発生することを防止できる。 また、 このようにし て接着媒体 4 0が塗布された第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4は、 接着媒体 4 0を伴った一体のユニッ トとして組み合わされた状態で鏡筒 1 2 内に組み込まれる。 このようなレンズ 1 3 , 1 4のユニッ ト化は、 レンズ間 空間 3 1内の気密試験 (密閉状態を確認する試験) をユニッ ト単体で行なえ るという利点を有する。
[0138] (第 8の実施形態)
図 3 2に示される第 8の実施の形態に係るレンズユニッ ト 1 1 〇では、 先 と同様、 第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4の対向面 1 3 3 , 1 4 3 同士が対向する対向領域 の径方向外側端縁 よりも径方向外側で、 レンズ 間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように接着媒 4 0が第 1のレンズ 1 3の外表面である外周側面と第 2のレンズ 1 4の外表面である外周側面と にわたって塗布されている。 この場合、 接着媒体 4 0は、 鏡筒 1 2の内面と 対向する第 1のレンズ 1 3の外表面部位 1 3 丨 と、 この外表面部位 1 3 丨 に 隣接して鏡筒 1 2の内面と対向する第 2のレンズ 1 4の外表面部位 1 4 IIと にわたって連続的に延在している (ストレート塗布形態) 。 このようにして 接着媒体 4 0が塗布された第 1のレンズ 1 3および第 2のレンズ 1 4も、 接 〇 2020/175536 50 卩(:171? 2020 /007684
着媒体 4 0を伴った一体のユニッ トとして組み合わされた状態で鏡筒 1 2内 に組み込まれる。 また、 接着媒体 4 0のこのような塗布形態でも、 塗布過程 において接着媒体 4 0が表面張力により円環状の対向領域 に若干浸透する ことがあり得るが、 部分的にでも円環の外周から円環の厚み (円環の外径と 内径との間の差) の 5 0 %をこえる範囲に接着媒体 4 0が入り込むことは抑 制できる。
[0139] (第 9の実施形態)
また、 図 3 3に示される第 9の実施の形態に係るレンズユニッ ト 1 1 0で は、 レンズ群!-を構成する第 1のレンズ 1 3を除く各レンズ 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7が、 光軸方向に対して垂直な断面内で鏡筒 1 2と周方向で点接触す る (例えば、 光軸方向に対して垂直な断面において、 鏡筒 1 2の内周面が多 角形を成し且つレンズが円形を成す) ことにより、 径方向で鏡筒 1 2の内面 との間に隙間〇を形成している (図 3 3の (3) 参照) 。 そして、 この実施 の形態でも、 対向領域 8の径方向外側端縁?よりも径方向外側で、 接着媒体 4 0が第 2のレンズ 1 4の外表面に塗布されている。 しかしながら、 この場 合、 接着媒体 4 0は、 鏡筒 1 2の内面と第 2のレンズ 1 4との間に形成され る隙間 <3を完全に埋めるように、 第 2のレンズ 1 4の物体側に面する外表面 部位 1 4 丨 と鏡筒 1 2の内面に対向する第 2のレンズ 1 4の外周側面である 外表面部位 1 4 IIとにわたって連続的に延在して、 第 2のレンズ 1 4の外表 面部位 1 4 IIと鏡筒 1 2の内面とを接着している。 接着媒体 4 0のこのよう な塗布形態では、 対向領域 の面積の 1 0 0 %の範囲 (円環の厚みの 1 0 0 %) にわたって完全に接着媒体 4 0が塗布されないようにすることができ、 したがって、 イメージセンサ (撮像素子) 3 0 4 (図 2参照) 側からの水蒸 気がレンズ間空間 3 1 に到達する経路を遮断することができ、 その結果、 第 2のレンズ 1 4の外表面の接着媒体 4 0と第 1のレンズ 1 3の側面の〇リン グ 2 6とによってレンズ間空間 3 1の外部に対する密閉性が確保される。 こ の場合、 対向領域 8の径方向外側端縁 の近傍で第 1のレンズ 1 3の外表面 と第 2のレンズ 1 4の外表面とにわたって接着媒体 4 0を設ければレンズ間 〇 2020/175536 51 卩(:171? 2020 /007684
空間 3 1の密閉性をさらに向上させることができる
[0140] なお、 各レンズを光軸方向に対して垂直な断面内で 鏡筒 1 2と周方向で点 接触させる方法は、 鏡筒 1 2の内面を多角形にする場合に限らず、 鏡筒 1 2 の内周に突起状のリブを設けて点接触するよ うにしてもよい。 ここで、 点接 触とは、 光軸方向に対して垂直な断面内で点接触して いるものをいい、 光軸 方向に直線状に接触しているものを含むもの である。 また、 本実施の形態で は第 2のレンズ 1 4と鏡筒 1 2とを接着しているが、 これに限らず、 第 2〜 第 5レンズのいずれかあるいは複数のレンズと 筒 1 2とを接着するもので もよい。
[0141 ] (第 1 0の実施形態)
また、 図 3 4に示される第 1 0の実施の形態に係るレンズユニッ ト 1 1 巳 は、 図 3 2の変形例であり、 図 3 2と同様に、 接着媒体 4 0は、 鏡筒 1 2の 内面と対向する第 1のレンズ 1 3の外表面部位 1 3 丨 と、 この外表面部位 1
3 I に隣接して鏡筒 1 2の内面と対向する第 2のレンズ 1 4の外表面部位 1
4 IIとにわたって連続的に延在している。 ただし、 本実施の形態では、 接着 媒体 4 0はレンズ 1 4の外表面部位 1 4 を鏡筒 1 2の内面にも接着してい る。 接着媒体 4 0のこのような塗布形態でも、 塗布過程において接着媒体 4 0が表面張力により円環状の対向領域 に若干浸透することがあり得るが、 円環の外周から円環の厚み (円環の外径と内径との間の差) の 5 0 %をこえ る範囲に接着媒体 4 0が入り込むことは抑制できる。
[0142] 以上のごとく、 円環状の対向領域 の外周から円環の厚みの 5 0 %をこえ る範囲に接着媒体 4 0が塗布されないように、 対向領域 の径方向外側端縁 よりも径方向外側で、 レンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるよう に接着媒体 4 0が第 1のレンズ 1 3および/または第 2のレンズ 1 4の外表 面に塗布されれば、 前述したように、 レンズ 1 3 , 1 4同士の線膨張係数差 に伴う温度変化時のレンズの膨張収縮量の違 いに起因するレンズ 1 3 , 1 4 同士の径方向の相対変位によって接着媒体 4 0がガラス製の第 1のレンズ 1 3から剥がれ、 それに伴って第 1のレンズ 1 3に作用する応力により第 1の 〇 2020/175536 52 卩(:171? 2020 /007684
レンズ 1 3の表面に割れが生じるといった現象を回避 きる。
[0143] また、 前述したように、 レンズユニッ ト内への水蒸気の侵入を許容する経 路としては、 様々なものがあるが、 レンズ間空間 3 1内への水蒸気の侵入経 路も様々である。 レンズ間空間 3 1内で、 とりわけ第 1のレンズ 1 3の裏面 1 3〇に結露が起こり、 撮像画像がぼやけて、 所望の解像度が得られなくな るという視認性の悪化を防止するには、 レンズ間空間 3 1内への水蒸気の侵 入を抑制することが求められる。 しかしながら、 特に、 図 3 3に関連して説 明したように、 レンズ 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7が光軸方向に対して垂直な断 面内で鏡筒 1 2と周方向で点接触する (すなわち、 光軸方向に対して垂直な 断面において、 鏡筒 1 2の内周面が多角形を成し且つレンズが円形 成す) ことにより、 径方向で鏡筒 1 2の内面との間に隙間 0 (したがって、 光軸方 向に沿って連続的に延びる連通路) を形成している場合には、 レンズユニッ 卜を通じて集光される光を受光して電気信号 に変換するための常時通電され たイメージセンサ (撮像素子) 3 0 4 (図 2参照) の基板に含まれる水分が 基板の加熱によって水蒸気化して内側収容空 間 3 1内へと侵入し得る。 前述 した図 3 3の実施の形態は、 このような問題も解消できるものであり、 接着 媒体 4 0が第 2のレンズ 1 4の外表面部位 1 4 を鏡筒 1 2の内面にも接着 させるようにすることで、 イメーセンサ (撮像素子) 3 0 4側からの水蒸気 がレンズ間空間 3 1 に到達する経路を遮断することができる。
[0144] 図 3 5を用いてこの遮断についてさらに詳しく説 すると、 図 3 5に示さ れるレンズユニッ ト 1 1 では、 像側からレンズ間空間 3 1内へと向かう気 体流通経路 (各レンズ 1 4 , 1 5 , 1 6 , 1 7と鏡筒 1 2の内面との間の各 隙間 <3によって形成される光軸方向に沿って連 的に延びる連通路) を遮断 するように隙間 <3に接着媒体 4 0が充填される。 具体的には、 図 3 3と同様 に、 接着媒体 4 0は、 鏡筒 1 2の内面と第 2のレンズ 1 4との間に形成され る隙間 <3を完全に埋めるように、 物体側に面する第 2のレンズ 1 4の外表面 部位 1 4 丨 と鏡筒 1 2の内面に対向する第 2のレンズ 1 4の外表面部位 1 4 とにわたって連続的に延在して、 第 2のレンズ 1 4の外表面部位 1 4 と 〇 2020/175536 53 卩(:171? 2020 /007684
鏡筒 1 2の内面とを接着している。 しかしながら、 像側からレンズ間空間 3 1内へと向かう気体流通経路を遮断するよう 接着媒体 4 0が充填される隙 間〇は、 第 2のレンズ 1 4と鏡筒 1 2との間の径方向の隙間〇だけでなく、 これに代えてまたはこれに加えて、 他のレンズ 1 5 , 1 6 , 1 7と鏡筒 1 2 との間の径方向の隙間〇であってもよい。 このような接着媒体 4 0による気 体流通経路の遮断により、 撮像素子 3 0 4から内側収容空間 3内に取り込ま れた水蒸気がレンズ間空間 3 1内に侵入して第 1のレンズ
に結露を生じさせるといった事態を回避でき る。
[0145] (第 1 1の実施の形態)
図 3 6は、 前述した図 2 2のレンズユニッ トの構成において、 図 3 1 に示 されるような!-字形の接着媒体塗布形態を 脂製の中間スぺーサ 5 3 0と第 1のガラス製のレンズ 1 3との間に適用した第 1 1の実施の形態を示す。 具 体的には、 図 2 2と同様に第 2のレンズ 1 4と中間スぺーサ 5 3 0との間に 接着媒体 5 4 8が介在するとともに、 第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0との間の前述した接着媒体 5 4 8に代えて!-字形の接着媒体塗布形態が採 用される。 より具体的には、 この実施の形態に係るレンズユニッ ト 1 1 ◦に おいて、 第 1のレンズ 5 3
0 3同士が対向する円環状の対向領域 の径方向外側端縁 よりも径方向外 側で、 レンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように接着媒 4 0が 第 1のレンズ 1 3の外表面 (底面;像側の表面) と中間スぺーサ 5 3 0の外 表面 (鏡筒 1 2の内面に面する外周側面) とにわたって塗布されている。 こ の接着媒体 4 0はエポキシ系の接着剤を含む例えばショア 度で 0 7 0以上 の高い硬度を有する接着剤である。
この場合、 接着媒体 4 0は、 第 1のレンズ 1 3の像側に面する表面のうち 中間スぺーサ 5 3 0の対向面 1 5 0 3と当接あるいは対向しない径方向外側 の外表面部位 1 3 IIと、 この外表面部位 1 3 IIに隣接して鏡筒 1 2の内面と 対向する中間スぺーサ 5 3 0の外周側面である外表面部位 5 3 0 とにわた って連続的に延在している (I -字形塗布形態) 。 接着媒体 4 0のこのような 〇 2020/175536 54 卩(:171? 2020 /007684
塗布形態では、 塗布過程において接着媒体 4 0が表面張力により円環状の対 向領域 に若干浸透することがあり得るが、 部分的にでも円環の外周から円 環の厚み (円環の外径と内径との間の差) の 5 0 %をこえる範囲に接着媒体 4 0が入り込むことはないため、 温度変化時に接着媒体 4 0により第 1のレ ンズ 1 3に大きな応力が作用して第 1のレンズ 1 3に割れが発生することを 防止できる。 また、 このような第 1のレンズ 1 3と中間スぺーサ 5 3 0との 間にわたる接着媒体 4 0の塗布形態は、 !_字形塗布形態に限らず、 図 3 2に 関連して前述した鏡筒 1 2との接着を伴わないストレート塗布形態や 図 3 4に関連して前述した鏡筒 1 2との接着を伴うストレート塗布形態、 あるい は、 図 3 3に関連して前述した塗布形態、 すなわち、 中間スぺーサ 5 3 0と 鏡筒 1 2との間の隙間を完全に埋めるように接着媒 4 0が塗布される塗布 形態であってもよい。 なお、 第 2のレンズ 1 4と中間スぺーサを接着する接 着媒体は、 エポキシ系の接着剤に限らず第 1の実施形態で説明したような接 着剤を用いることができる。
[0146] (第 1 2の実施の形態)
また、 本発明者らは、 様々な試行錯誤の結果、 特に透湿度が 4 0
2 4 II 「以上の接着媒体に関し、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の対向 面 1 3 3 , 1 4 3間に侵入しようとする水蒸気がレンズ間空 3 1内へ達し 得ない接着幅を様々な実験等により突き止め 、 そのような接着幅を算出する 計算式を見出した。 すなわち、 接着媒体の透湿度が IV! 2 4 〇
、 接着媒体の径方向寸法である接着幅が (01 111) 、 接着媒体の光軸方向寸 法である厚さが丁 ( ) 、 (〇. 0 0 1 6 1\/1 - 0 . 0 0 4) 丁 =八 ( であるとき、 接着幅 が必要最低接着幅 以上であれば、 第 1および 第 2のレンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 4 3間に侵入しようとする水蒸 気がレンズ間空間 3 1内へ達することを防止できることが分かっ 。 これを 裏付ける試験データが図 3 7に示されている。
[0147] 図 3 7は、 透湿度が異なる 3種の接着媒体を接着厚さおよび接着幅を変 て高温高湿環境下に晒した際の曇りの発生状 況を調べた試験結果の一例を示 〇 2020/175536 55 卩(:171? 2020 /007684
す。 この試験では、 接着媒体として、 透湿度 (9 /〇1 2 2 4 11 〇 が 4 5で あるオレフィン系の接着剤 (オレフィン系樹脂(二重結合を 1箇もった鎖状炭 化水素)を 1 〇〇重量%含む接着剤) 、 透湿度が 5 0であるアクリル系の接 着剤 (アクリル樹脂を 1 〇〇重量%含む接着剤) 巳、 および、 透湿度が 6 0 であるアクリル系の接着剤 (アクリル樹脂を 1 〇〇重量%含む接着剤) 〇を それぞれ用い、 2 0 〇1、 2 5 〇!および 3 0 〇!のそれぞれの接着厚さ ( 接着層厚み) 丁および 1 . 4〇1 111、 1 . および 2 . 1 01 111のそれぞれ の接着幅 に関して、 接着剤八, 巳, 0により対向面同士が接着された第 1 および第 2のレンズ 1 3 , 1 4を含むレンズユニッ トの高温高湿環境下での 第 1のレンズ 1 3の裏面 (レンズ間空間 3 1内に面する第 1のレンズ 1 3の 表面) 1 3〇における曇りの発生の有無を調べた。 また、 図 3 7には、 それ それの接着厚さ丁ごとに各接着剤 , 巳, 0に関して先の算出式に基づいて 計算された必要最低接着幅 (必要接着幅) が記載されている。 ここで、 レ ンズユニッ トを高温高湿環境下に晒す具体的な条件とし て、 6 0 ° 〇9 0 % [¾
1 ~ 1の恒温恒湿槽内に 2 4時間にわたってレンズユニッ トを配置した。 また、 透湿度の測定法としては、 カップ法 (」 丨 3
0 2 0 8、 恒温恒湿状態は 4 0 °〇 9 0 % [¾ 1 ~ 1、 接着媒体の厚みは 2 0 0 を採用した。 また、 曇りの発生の有無の判断は、 以下の手順 (3) (b ) (〇) ( ) (6) に基づいて行なわれた。 (3) 6 0 °C 9 0 % R Hの恒 温恒湿槽からレンズユニッ トを取り出す。 (匕) レンズユニッ トを常温 (2 5 °〇) に 1 5分間晒す。 (〇) レンズユニッ トを 6 5 °〇の恒温槽に 1 5分間 晒す。 (〇1) 第 1のレンズの表面に 2 5 °〇の水を 5秒間スプレーする。 (6 ) 第 1のレンズの裏面 (レンズ間空間内に面する第 1のレンズの表面) にお ける曇りの発生の有無を確認する (図中、 〇は、 曇りが発生しなかったこと を示し、 は、 曇りが発生したことを示す) 。
[0148] これらの結果から分かるように、 曇りが生じなかった接着幅 はいずれも 必要最低接着幅 以上であり、 一方、 曇りが発生した接着幅 はいずれも必 要最低接着幅 を下回っており、 接着幅 が必要最低接着幅 以上であれば 〇 2020/175536 56 卩(:171? 2020 /007684
、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 4 3間に侵入しよ うとする水蒸気がレンズ間空間 3 1内へ達しないことが裏付けられた。 また 、 これらの結果からも分かるように、 接着厚さ丁が大きくなるほど、 水蒸気 が透過し易くなる (水蒸気が入り込む接着媒体の断面積が大き くなるため) ことから、 必要最低接着幅 も大きくなり、 したがって、 接着媒体の塗布量 を減らしてコスト低減を図るためには、 接着厚さを小さくすることが好まし い。 なお、 このような接着幅 と必要最低接着幅八との間の前述した関係は 、 無論、 水蒸気を透過し難い透湿度が 4 0以下の接着媒体にも当てはまる。
[0149] このように、 第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 4 3 同士を接着する接着媒体の接着幅 が必要最低接着幅 以上であれば、 第 1 および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の対向面 1 3 1 4 3間に侵入しようとす る水蒸気がレンズ間空間 3 1内へ達することを防止でき、 したがって、 第 1 のレンズと第 2のレンズ 1 3 , 1 4との間のレンズ間空間 3 1内が外部に対 して密閉され、 高温高湿環境下であっても、 レンズ間空間 3 1内の水蒸気量 を低下させて、 レンズ表面結露、 とりわけ、 第 1のレンズ 1 3の像側の表面 (裏面) 1 3〇に結露が生じることを抑制できる。
[0150] 図 3 8には、 このような接着媒体の接着幅に特徴を有する 具体的な一例で ある第 1 2の実施の形態に係るレンズユニッ ト 1 1 1 ~ 1が示されている。 図示 のように、 このレンズユニッ ト 1 1 1 ~ 1では、 第 1のレンズ 1 3と第 2のレン ズ 1 4との間のレンズ間空間 3 1内が外部に対して密閉されるように、 光軸 方向で互いに対向して径方向に延びる第 1および第 2のレンズ 1 3 , 1 4の 円環状の対向面 1 3 3 , 1 4 3間に接着媒体 4 0が塗布される。 この場合、 接着媒体 4 0の透湿度が IV! 接着媒体 4 0の径方向寸 法である接着幅が ( 〇〇 、 接着媒体 4 0の光軸方向寸法である厚さが丁 ( 〇!) 、 (〇. 0 0 1 6 X 1^— 0 . 0 0 4) 丁 =八 (111 111) であるとき
、 接着媒体 4 0の接着幅 は必要最低接着幅 以上に設定されている。
[0151 ] 使用される接着媒体 4 0は、 ここでは、 透湿度 IV!が 4 0以上の接着剤であ る。 具体的には、 オレフィン系の接着剤 (オレフィン系樹脂(二重結合を 1箇 〇 2020/175536 57 卩(:171? 2020 /007684
もった鎖状炭化水素)を 5 0重量%以上含む接着剤) または透湿度 IV!が 4 0以 上のアクリル系の接着剤 (アクリル樹脂を 5 0重量%以上含む接着剤) など が挙げられるが、 透湿度 1\/1が4 0以上のウレタン系の接着剤 (ウレタン樹脂 を 5 0重量%以上含む接着剤) が使用されてもよく、 あるいは、 透湿度が 4 〇未満の接着剤、 例えばエポキシ系の接着剤 (エポキシ樹脂を 5 0重量%以 上含む接着剤) が使用されてもよい。 無論、 接着剤以外の接着媒体、 例えば 、 粘着性を有する (例えばゲル状の) 弾性材料などが使用されてもよい。 な お、 このような接着媒体 4 0は、 レンズ 1 3 , 1 4の有効径の外側 (光線が 通らない光学面外部位) に設けられ、 前述したような 「径方向追従性」 、 「 密着性」 および 「光軸方向追従性」 を有することが好ましい。
[0152] なお、 前述した実施の形態において、 レンズ、 中間スぺーサ, 鏡筒などの 形状、 並びに、 突起および凹部の形状等は、 前述した実施の形態に限定され ない。 また、 前述した実施の形態は、 レンズ表面結露を防止する手段を開示 するが、 このような結露防止手段に加えて従来から行 われているレンズユニ ッ ト内部に吸湿部材を設置する方法などを併用 することを妨げるものではな い。 また、 前述した全ての実施の形態において、 第 2のレンズ 1 4が低透湿 性 (例えば、 厚み〇. において 3 0 9 / 01 2 2 4 以下) の樹脂 (例えば、 〇〇 (シクロオレフインポリマー) などの材料または〇〇 を 母材とする樹脂) で構成されるのが好ましい。 これにより、 第 1および第 2 のレンズ 1 3 , 1 4間の気密性はもとより、 第 2のレンズ 1 4自体の透湿に よるレンズ間空間 3 1内への水蒸気の侵入も防止できる。 また、 本発明の要 旨を逸脱しない範囲内において、 前述した実施の形態の一部または全部を組 み合わせてもよく、 あるいは、 前述した実施の形態のうちの 1つから構成の 一部が省かれてもよい。 また、 各実施形態において記載された技術的事項は 、 その効果を得るために他の実施形態に用いる ことができる。
符号の説明
[0153] 1 1 レンズユニッ ト
1 2 鏡筒 5536 58 卩(:171? 2020 /007684 3 第 1のレンズ
3 ^ 対向面
33’ 当接面
3〇 裏面 (凹面)
3チ 表面 (凸面)
4 第 2のレンズ
43 対向面
43’ 当接面
4匕 環状凹部 (凹部)
4〇 環状凹部 (凹部)
4 段差部
46 凸状部
6 〇リング (シール部材)
0 接着媒体
3, 43八, 43巳, 43〇 突起
7 凹部
2 シート
30, 230 気密材料
40 対向領域
50 気密領域
50 接着媒体層
5 1 第 1接着媒体層
52 第 2接着媒体層
55 薄板状介在物 (遮光板、 ヒータ、 ゴムシート)
60 凸部 (抑止部)
6 1 凹部 (抑止部)
62 凹溝 (抑止部)
30 中間スぺーサ 〇 2020/175536 59 卩(:171? 2020 /007684
5303 , 5306 対向面
53 1 カシメ咅6
548 接着媒体
560, 570 凸部 (抑止部)
56 1 , 57 1 凹部 (抑止部)
562, 562 凹溝 (抑止部)
300 カメラモジュール
!_ レンズ群
〇 光軸
3 内側収容空間
31 レンズ間空間