Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
LUBRICATING OIL COMPOSITION FOR CONTINUOUSLY VARIABLE TRANSMISSIONS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111341
Kind Code:
A1
Abstract:
A lubricating oil composition for continuously variable transmissions, prepared by compounding a lube base oil both with overbased calcium sulfonates different in base number under such conditions as to give a total base number of 280 to 500mgKOH/g and a calcium concentration of 280 to 3000ppm by mass based on the whole composition in terms of calcium element and with at least one orthophosphate selected from among phosphates and acid phosphates under such conditions as to give a phosphorus concentration of 50ppm by mass or above. The composition attains a coefficient of metal-metal friction of as high as 0.11 or above and high wear resistance involving specific abrasion loss lower than 2.0×10-8mm3/Nm and brings about high power transmission capacity stable over a long term, particularly in metal belt type continuously variable transmission.

Inventors:
ICHIHASHI TOSHIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051910
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
February 06, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
ICHIHASHI TOSHIHIKO (JP)
International Classes:
C10M163/00; C10M169/04; C10M101/02; C10M137/04; C10M159/24; C10N20/02; C10N30/06; C10N40/04
Domestic Patent References:
WO2000029523A12000-05-25
Foreign References:
JPH0339400A1991-02-20
JPH07268375A1995-10-17
JPH09100487A1997-04-15
JP2000001687A2000-01-07
JP2000109867A2000-04-18
JP2006206924A2006-08-10
JP2001323292A2001-11-22
JP2001342485A2001-12-14
JP2001342486A2001-12-14
JP2005524758A2005-08-18
JP2007217596A2007-08-30
JP2007238721A2007-09-20
Attorney, Agent or Firm:
KINOSHITA & ASSOCIATES (Ogikubo TMbuilding, 26-13, Ogikubo,5-chome, Suginami-k, Tokyo 51, JP)
Download PDF:
Claims:
 無段変速機に用いられる無段変速機用潤滑油組成物であって、
 潤滑油基油と、
 塩基価が280mgKOH/g以上500mgKOH/g以下となる過塩基性カルシウムスルホネートと、
 全体量に対して0.03質量%以上3質量%の正リン酸フォスフェート類と、が配合された
 ことを特徴とした無段変速機用潤滑油組成物。
 請求項1に記載の無段変速機用潤滑油組成物であって、
 前記過塩基性カルシウムスルホネートは、全体量に対するカルシウム濃度として280質量ppm以上3000質量ppm以下で配合された
 ことを特徴とした無段変速機用潤滑油組成物。
 請求項1または請求項2に記載の無段変速機用潤滑油組成物であって、
 前記過塩基性カルシウムスルホネートは、塩基価が異なる複数の過塩基性カルシウムスルホネートの組み合わせである
 ことを特徴とした無段変速機用潤滑油組成物。
 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油組成物であって、
 前記過塩基性カルシウムスルホネートは、カルシウム濃度として全体のリン濃度に対して1.5倍以下で配合された
 ことを特徴とした無段変速機用潤滑油組成物。
 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油組成物であって、
 前記正リン酸フォスフェート類は、フォスフェート類およびアシッドフォスフェート類の少なくともいずれか1種である
 ことを特徴とした無段変速機用潤滑油組成物。
 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油組成物であって、
 前記正リン酸フォスフェート類は、リン濃度として50質量ppm以上で配合された
 ことを特徴とした無段変速機用潤滑油組成物。
 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油組成物であって、
 前記潤滑油基油は、飽和炭化水素成分が90質量%以上、硫黄分が0.03質量%以下、粘度指数が100以上の鉱油および合成油のうちの少なくともいずれか一方である
 ことを特徴とした無段変速機用潤滑油組成物。
 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の無段変速機用潤滑油組成物であって、
 前記無段変速機は、金属ベルトを用いたベルト式無段変速機である
 ことを特徴とした無段変速機用潤滑油組成物。
Description:
無段変速機用潤滑油組成物

 本発明は、無段変速機に用いられる無段 速機用潤滑油組成物に関する。

 従来の無段変速機(Continuously Variable Transmiss ion:CVT)には、例えば金属ベルトタイプ、チェ ンタイプ、トラクションドライブタイプな 、種々のタイプが知られている。いずれの イプのCVTにおいても、高い動力伝達容量が められている。そして、これらCVTの性能は 用いられる潤滑油の特性、具体的には金属 摩擦係数の大小、あるいはトラクション係 の大小に依存し、双方の係数が大きくなる したがって、動力伝達容量も大きくなる。
 このことにより、動力伝達容量が大きく良 に動力を伝達できる各種組成の無段変速機 の潤滑油組成物が知られている(例えば、特 許文献1ないし特許文献5参照)。

 特許文献1に記載のものは、耐摩耗性および 極圧性に優れ、摩擦係数を長時間高く維持で き、大容量のトルクを伝達すべく、潤滑油基 油に対して、硫黄系極圧剤と、リン系極圧剤 と、アルカリ土類金属系清浄剤とを配合した 構成が採られている。
 特許文献2に記載のものは、スリップロック アップ装置付き自動変速機におけるシャダー (ロックアップ時に発生する振動)防止の寿命 向上し、ベルト式無段変速機ではスクラッ ノイズ防止の長寿命を向上すべく、基油に 全塩基価50~100mgKOH/gのカルシウムスルホネー トと、亜リン酸エステル類とを配合した構成 が採られている。
 特許文献3に記載のものは、プッシュベルト 式の無段変速機における高い金属間摩擦係数 と、ベルトおよびプーリーに対するすぐれた 摩擦防止性を両立すべく、潤滑油基油に、カ ルシウムなどの金属清浄剤と、リン系摩耗防 止剤とを配合したものである。そして、金属 清浄剤は全体の総重量に対する金属含有量と 全塩基価との比が0.75~4.5の範囲で配合され、 ン系摩耗防止剤は金属清浄剤に由来するカ シウムなどの金属の含有量とリンの含有量 の比が0.5~2.0の範囲で配合した構成が採られ ている。
 特許文献4に記載のものは、動力伝達容量を 向上し安定した動力伝達容量を得るべく、40 における凝集エネルギー密度が0.180GPa以上 炭化水素化合物からなり、40℃における動粘 度が5~150mm 2 /Sの基油に、チオエーテル結合を含むアルキ 基を有するリン酸エステルと、リン酸エス ルおよびそのアミン塩並びに過塩基性カル ウムスルフォネートから選ばれた1種または 2種以上と、を配合した構成が採られている
 特許文献5に記載のものは、十分な耐摩耗性 およびスティックスリップ防止性を長期間に 亘って高水準に維持すべく、潤滑油基油と、 リン化合物と、アルカリ土類金属スルフォネ ート、アルカリ土類金属フェネートおよびア ルカリ土類金属サリシレートから選ばれる少 なくとも1種の有機酸塩とを配合したもので る。そして、全量に対するリン化合物の含 量のリン元素換算値が0.01以上0.2以下、全量 対する有機酸塩の含有量のアルカリ土類金 元素換算値で0.01以上0.2以下、アルカリ土類 金属元素に対するリン元素の割合が0.1以上10 下で配合した構成が採られている。

特開平9-100487号公報

特開平10-306292号公報

特開2001-342485号公報

特開2005-281474号公報

特開2006-152092号公報

 ところで、近年、車両からの二酸化炭素 出の抑制のために燃費効率の向上が試みら ている。このことから、無段変速機におけ さらなる動力伝達容量の増大が望まれてい 。

 本発明は、このような点を考慮して、金 間摩擦係数が高く良好な耐摩耗性が得られ 無段変速機における高い動力伝達容量が安 して得られる無段変速機用潤滑油組成物を 供することを目的とする。

 本発明に記載の無段変速機用潤滑油組成物 、無段変速機に用いられる無段変速機用潤 油組成物であって、潤滑油基油と、塩基価 280mgKOH/g以上500mgKOH/g以下となる過塩基性カ シウムスルホネートと、正リン酸フォスフ ート類と、が配合されたことを特徴とする
 この発明では、潤滑油基油に、塩基価が280m gKOH/g以上500mgKOH/g以下、好ましくは290mgKOH/g以 450mgKOH/g以下の過塩基価カルシウムスルホネ ートと、正リン酸フォスフェートとを配合し ている。
 このことにより、摩擦面に添加剤による潤 膜が形成され、0.11以上の高い金属間摩擦係 数が得られ、比摩耗量が2.0×10 -8 mm 3 /Nmより低い良好な耐摩耗性が得られ、無段変 速機における安定した高い動力伝達容量が得 られる。
 ここで、過塩基価カルシウムスルホネート 塩基価が280mgKOH/gより小さいと、摩擦係数は 高いが摩耗が多くなるという不都合が生じる 。一方、塩基価が500mgKOH/gより大きくなると 油中に分散していないか、摩耗が多くなる いう不都合が生じる。このことにより、配 する過塩基価カルシウムスルホネートとし 、塩基価が280mgKOH/g以上500mgKOH/g以下、好まし くは290mgKOH/g以上450mgKOH/g以下のものを用いる

 そして、本発明では、前記過塩基性カルシ ムスルホネートは、全体量に対するカルシ ム濃度として280質量ppm以上3000質量ppm以下で 配合された構成とすることが好ましい。
 この発明では、過塩基性カルシウムスルホ ートとして、全体量に対するカルシウム濃 が280質量ppm以上3000質量ppm以下、好ましくは 300質量ppm以上600質量ppm以下となる条件で配合 する。
 このことにより、金属表面を保護する潤滑 が形成され、高い金属間摩擦係数および低 耐摩擦性が容易に得られ、無段変速機にお る安定した高い動力伝達容量が容易に得ら る。
 ここで、全体量に対するカルシウム濃度が2 80質量ppmより少なくなると、摩擦係数が低下 るという不都合が生じるおそれがある。一 、全体量に対するカルシウム濃度が3000質量 ppmより多くなると、摩耗が増大するという不 都合が生じるおそれがある。このことにより 、全体量に対するカルシウム濃度が280質量ppm 以上3000質量ppm以下、好ましくは300質量ppm以 600質量ppm以下となる条件で過塩基性カルシ ムスルホネートを配合する。

 また、本発明では、前記過塩基性カルシウ スルホネートは、塩基価が異なる複数の過 基性カルシウムスルホネートの組み合わせ ある構成とすることが好ましい。
 この発明では、過塩基性カルシウムスルホ ートとして、塩基価が異なる複数の過塩基 カルシウムスルホネートの組み合わせ、例 ば塩基価が300のものと塩基価が400のものと それぞれ配合し、全塩基価として280mgKOH/g以 上500mgKOH/g以下とする。
 このことにより、全体量に対するカルシウ 濃度が280質量ppm以上3000質量ppm以下、好まし くは300質量ppm以上600質量ppm以下となる条件で 過塩基性カルシウムスルホネートを配合する ことが容易となり、無段変速機における安定 した高い動力伝達容量が容易に得られる。

 さらに、本発明では、前記過塩基性カルシ ムスルホネートは、カルシウム濃度として 体のリン濃度に対して1.5倍以下で配合され 構成とすることが好ましい。
 この発明では、過塩基性カルシウムスルホ ートとしては、カルシウム濃度として全体 リン濃度に対して1.5倍以下で配合する。
 このことにより、潤滑膜が形成され、カル ウムとリンとの良好な割合により、0.11以上 の高い金属間摩擦係数が得られ、比摩耗量が 2.0×10 -8 mm 3 /Nmより低い良好な耐摩耗性が得られ、無段変 速機における安定した高い動力伝達容量が得 られる。
 ここで、カルシウム濃度として全体のリン 度に対して1.5倍より多くなると、摩擦係数 低下するという不都合が生じるおそれがあ 。このことにより、カルシウム濃度として 体のリン濃度に対して1.5倍以下となる条件 過塩基性カルシウムスルホネートを配合す 。

 また、本発明では、前記正リン酸フォスフ ート類は、フォスフェート類およびアシッ フォスフェート類の少なくともいずれか1種 である構成とすることが好ましい。
 この発明では、正リン酸フォスフェート類 して、フォスフェート類およびアシッドフ スフェート類から選ばれる少なくともいず か1種が用いられる。
 このことにより、相対的に硬い潤滑膜が形 され、耐摩耗性を有しかつ摩擦係数が高く るという特有の効果を奏する。

 さらに、本発明では、前記正リン酸フォス ェート類は、リン濃度として50質量ppm以上 配合された構成とすることが好ましい。
 この発明では、正リン酸フォスフェート類 して、リン濃度が50質量ppm以上、好ましく 150質量ppm以上1000質量ppm以下となる条件で配 する。
 このことにより、潤滑膜が変性し、高摩擦 が得られる。
 ここで、リン濃度として50質量ppmより少な なると、潤滑膜の十分な変性が得られなく るおそれがある。このことにより、リン濃 として50質量ppm以上、好ましくは150質量ppm以 上1000質量ppm以下となる条件で正リン酸フォ フェート類を配合する。なお、正リン酸フ スフェート類の他、亜リン酸ジエステルな 他のリン化合物を添加してもよい。

 そして、本発明では、前記潤滑油基油は、 和炭化水素成分が90質量%以上、硫黄分が0.03 質量%以下、粘度指数が100以上の鉱油および 成油のうちの少なくともいずれか一方であ 構成とすることが好ましい。
 この発明では、潤滑油基油として、飽和炭 水素成分が90質量%以上、硫黄分が0.03質量% 下、粘度指数が100以上の鉱油および合成油 うちの少なくともいずれか一方を用いる。
 このことにより、劣化物の発生が少なくな 、長期間の良好な摩擦特性を保持できる。
 ここで、飽和炭化水素成分が90質量%より少 くなると、劣化物の発生が多くなる不都合 生じるおそれがある。また、硫黄分が0.03質 量%より多くなると、劣化物の発生が多くな という不都合が生じるおそれがある。さら 、粘度指数が100より小さくなると、高温で 摩耗が増大するという不都合が生じるおそ がある。このことにより、飽和炭化水素成 が90質量%以上、硫黄分が0.03質量%以下、粘度 指数が100以上の鉱油および合成油のうちの少 なくともいずれか一方を潤滑油基油として用 いることが好ましい。

 また、本発明では、前記無段変速機は、金 ベルトを用いたベルト式無段変速機である 成とすることが好ましい。
 この発明では、金属ベルトを用いたベルト 無段変速機に適用することが好適である。
 このことにより、耐摩耗性に優れ、高摩擦 数となり、長期間高効率の駆動伝達が得ら る。

 以下に、本発明を実施するための最良の形 について詳述する。
 なお、本実施形態において、金属ベルトを いたベルト式無段変速機に適用する構成を 示するが、この構成に限られない。例えば チェーンを用いたチェーン式無段変速機、 ラクションドライブを用いたトラクション ライブ式無段変速機など、各種の無段変速 を対象とすることができる。

〔無段変速機用潤滑油組成物の構成〕
 本実施形態における無段変速機用潤滑油組 物は、各種の無段変速機、特に金属ベルト 用いたベルト式無段変速機に好適に用いら る。
 この無段変速機用潤滑油組成物は、(A)潤滑 基油と、(B)塩基価が280mgKOH/g以上500mgKOH/g以 となる過塩基性カルシウムスルホネートと (C)正リン酸フォスフェート類と、が配合さ たものである。

  (A成分:潤滑油基油)
 潤滑油基油としては、鉱油と合成油とのう の少なくともいずれか一方、すなわちそれ れ単独あるいは2種以上を組み合わせて用い たり、鉱油と合成油とを組み合わせて用たり してもよい。
 これら鉱油や合成油としては、一般に変速 の基油として用いられるものであればよく 特に制限されないが、例えば、100℃におけ 動粘度が1mm 2 /秒以上50mm 2 /秒以下、特に2mm 2 /秒以上15mm 2 /秒以下が好ましい。動粘度が高すぎると低 粘度が悪化し、低すぎると無段変速機のギ 軸受、クラッチなどの摺動部位における摩 が増大するおそれがある。このため、好ま くは100℃における動粘度が1mm 2 /秒以上50mm 2 /秒以下、特に2mm 2 /秒以上15mm 2 /秒以下のものが用いられる。
 また、潤滑油基油の低温流動性の指標であ 流動点については、特に制限されないが、- 10℃以下、特に-15℃以下が好ましい。
 さらに、潤滑油基油としては、特に制限さ ないが、飽和炭化水素成分が90質量%以上、 黄分が0.03質量%以下、粘度指数が100以上が ましい。ここで、飽和炭化水素成分が90質量 %より少なくなると、劣化生成物が多くなる いう不都合が生じるおそれがある。また、 黄分が0.03質量%より多くなると、劣化生成物 が多くなるという不都合が生じるおそれがあ る。さらに、粘度指数が100より小さくなると 、高温での摩耗が増大するという不都合が生 じるおそれがある。このことにより、飽和炭 化水素成分が90質量%以上、硫黄分が0.03質量% 下、粘度指数が100以上の鉱油や合成油が好 に用いられる。

 そして、鉱油としては、例えばパラフィン 油鉱油、中間基系鉱油、ナフテン基系鉱油 どが用いられる。具体的には、溶剤精製あ いは水添精製による軽質ニュートラル油、 質ニュートラル油、重質ニュートラル油、 ライトストックなどが例示できる。
 一方、合成油としては、ポリα-オレフィン α-オレフィンコポリマー、ポリブテン、ア キルベンゼン、ポリオールエステル、二塩 酸エステル、ポリオキシアルキレングリコ ル、ポリオキシアルキレングリコールエス ル、ポリオキシアルキレングリコールエー ル、ヒンダードエステル、シリコーンオイ などが用いられる。特に、ポリオレフィン ポリオールエステルが好ましい。

  (B成分:過塩基性カルシウムスルホネート)
 過塩基性カルシウムスルホネートとしては 各種スルホン酸のカルシウム金属塩で、以 の化1で示すように、通常、各種スルホン酸 のカルシウム金属塩を炭酸化する方法により 得られる。
 スルホン酸としては、芳香族石油スルホン 、アルキルスルホン酸、アリールスルホン 、アルキルアリールスルホン酸などが例示 きる。具体的には、ドデシルベンゼンスル ン酸、ジラウリルセチルベンゼンスルホン 、パラフィンワックス置換ベンゼンスルホ 酸、ポリオレフィン置換ベンゼンスルホン 、ポリイソブチレン置換ベンゼンスルホン 、ナフタレンスルホン酸などが上げられる

 そして、過塩基性カルシウムスルホネート 全塩基価は、280mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であ 。塩基価が280mgKOH/gより小さいと、摩擦係数 高いが摩耗が多くなるという不都合が生じ 。一方、塩基価が500mgKOH/gより大きくなると 、摩耗が多くなるという不都合が生じる。こ のことにより、配合する過塩基価カルシウム スルホネートとして、塩基価が280mgKOH/g以上50 0mgKOH/g以下、好ましくは290mgKOH/g以上450mgKOH/g 下とする。なお、塩基価は、JIS(Japanese Indust rial Standard)-K-2501(過塩素酸法)に従って測定さ れる。
 また、過塩基性カルシウムスルホネートと ては、塩基価が異なる複数の過塩基性カル ウムスルホネートの組み合わせが好ましい 例えば、塩基価が300のものと塩基価が400の のとの2種の組み合わせで、全塩基価が280mgK OH/g以上500mgKOH/g以下となる条件で配合される このように、異なる塩基価のものの組み合 せとすることにより、耐摩耗性の強固な添 剤膜の形成という現象が生じ、高摩擦係数 かつ耐摩耗性に優れるという特有の効果を するので好ましい。
 そして、過塩基性カルシウムスルホネート 、無段変速機用潤滑油組成物の全体量に対 るカルシウム元素換算でのカルシウム濃度 して280質量ppm以上3000質量ppm以下、特に300質 量ppm以上600質量ppm以下となる条件で配合され ることが好ましい。ここで、全体量に対する カルシウム濃度が280質量ppmより少なくなると 、摩擦係数が低下するという不都合が生じる おそれがある。一方、全体量に対するカルシ ウム濃度が3000質量ppmより多くなると、摩耗 増大するという不都合が生じるおそれがあ 。このことにより、全体量に対するカルシ ム濃度が280質量ppm以上3000質量ppm以下、特に3 00質量ppm以上600質量ppm以下となる条件で過塩 性カルシウムスルホネートを配合すること 好ましい。
 また、過塩基性カルシウムスルホネートは 無段変速機用潤滑油組成物中のリン濃度に して、カルシウム元素換算で1.5倍のカルシ ム濃度となる条件で配合される。ここで、 ルシウム濃度が全体におけるリン濃度に対 て1.5倍より多くなると、摩擦係数が低下す という不都合が生じるおそれがある。この とにより、カルシウム濃度として全体にお るリン濃度に対して1.5倍以下、好ましくは0 .5倍以上1.2倍以下となる条件で過塩基性カル ウムスルホネートを配合することが好まし 。

  (C成分:正リン酸フォスフェート類)
 正リン酸フォスフェート類としては、以下 化2に示すように、フォスフェート類および アシッドフォスフェート類の少なくともいず れか1種、すなわちそれぞれ単独もしくは2種 上の組み合わせ、さらにはフォスフェート とアシッドフォスフェート類との組み合わ で利用される。
 フォスフェート類としては、例えばトリク ジルフォスフェートが用いられる。
 アシッドフォスフェート類としては、例え ジ2エチルヘキシルアシッドフォスフェート が用いられる。

 そして、正リン酸フォスフェート類は、組 物全量基準に対して、0.03質量%以上3質量%以 下、好ましくは0.08質量%以上0.8質量%以下で配 合される。ここで、配合量が0.03質量%より少 くなると、摩擦係数が低下するという不都 が生じるおそれがある。一方、配合量が3質 量%より多くなると、摩耗が増大するという 都合が生じるおそれがある。
 また、正リン酸フォスフェート類は、リン 度が50質量ppm以上、好ましくは150質量ppm以 1000質量ppm以下となる条件で配合することが ましい。ここで、リン濃度して50質量ppmよ 少なくなると、摩擦係数が低下するという 都合が生じるおそれがある。なお、このリ 濃度は、正リン酸フォスフェート由来のリ 濃度であり、無段変速機用潤滑油組成物の ン起源としては、詳細は後述するが、添加 からのリンも含む、すなわち、正リン酸フ スフェート類以外の亜リン酸ジエステルな のリン系化合物を添加してもよい。

  (添加剤)
 そして、無段変速機用潤滑油組成物は、本 明の目的、すなわち金属間摩擦係数が高く 好な耐摩耗性が得られ無段変速機における い動力伝達容量が安定して得られれば、添 剤を適宜配合できる。
 添加剤としては、例えば酸化防止剤、無灰 散剤、金属不活性化剤、消泡剤、粘度指数 上剤、流動点硬化剤、界面活性剤、着色剤 どが適宜用いられる。
 金属不活性化剤としては、例えばベンゾト アゾール、チアジアゾールなどが、単独も くは2種以上を組み合わせて用いられる。こ れら金属不活性化剤は、通常、0.01質量%以上5 質量%以下の割合で配合される。
 酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジ ェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン 、アルキル化-α-ナフチルアミンなどのアミ 系酸化防止剤、ジアルキルチオジプロピオ ート、ジアルキルジチオカルバミン酸誘導 (金属塩は除く)、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド キシベンジル)サルファイド、メルカプトベ ンゾチアゾール、五硫化リンとオレフィンと の反応生成物、硫化ジセチルなどの硫黄系酸 化防止剤が、単独もしくは2種以上を組み合 せて用いられる。特に、ヒンダードフェノ ル系やアミン系のもの、あるいはアルキル チオリン酸亜鉛などが好ましく用いられる これら酸化防止剤は、通常、0.05質量%以上3 量%以下の割合で配合される。
 無灰分散剤としては、例えばポリアルケニ イミド系、ベンジルアミン系、コハク酸イ ド類、ホウ素含有コハク酸イミド類、コハ 酸エステル類、脂肪酸あるいはコハク酸で 表される一価または二価のカルボン酸のア ド類などが、単独もしくは2種以上を組み合 わせて用いられる。これら無灰分散剤は、通 常、0.05質量%以上5質量%以下の割合で配合さ る。
 消泡剤としては、例えばシリコーン系化合 、エステル系化合物などが、単独もしくは2 種以上を組み合わせて用いられる。これら消 泡剤は、通常、0.05質量%以上5質量%以下の割 で配合される。
 粘度指数向上剤としては、例えばポリメタ リレート、エチレン-プロピレン共重合体な どのオレフィン系共重合体、分散型オレフィ ン系共重合体、スチレン-ジエン水素化共重 体などのスチレン系共重合体が、単独もし は2種以上を組み合わせて用いられる。これ 粘度指数向上剤としては、通常、0.01質量% 上10質量%以下の割合で配合される。
 流動点硬化剤としては、例えばポリメタク レートなどが用いられる。この流動点硬化 は、通常、0.01質量%以上10質量%以下の割合 配合される。
 界面活性剤としては、例えばポリオキシエ レンアルキルフェニルエーテルなどが用い れる。この界面活性剤は、通常、0.01質量% 上10質量%以下の割合で配合される。

〔無段変速機用潤滑油組成物の作用効果〕
 上記実施形態によれば、潤滑油基油に、塩 価が280mgKOH/g以上500mgKOH/g以下、好ましくは29 0mgKOH/g以上450mgKOH/g以下の過塩基価カルシウム スルホネートと、正リン酸フォスフェートと を配合している。
 このため、高摩擦係数でかつ耐摩耗性に優 、すなわち0.11以上の高い金属間摩擦係数が 得られ、比摩耗量が2.0×10 -8 mm 3 /Nmより低い良好な耐摩耗性が得られ、無段変 速機における安定した高い動力伝達容量が得 られる。特に、金属ベルトを用いたベルト式 無段変速機に好適である。

 そして、上記実施形態では、過塩基性カル ウムスルホネートとして、全体量に対する ルシウム濃度が280質量ppm以上3000質量ppm以下 、好ましくは300質量ppm以上600質量ppm以下とな る条件で配合している。
 このため高い金属間摩擦係数および低い耐 擦性が容易に得られ、無段変速機における 定した高い動力伝達容量が容易に得られる

 また、上記実施形態では、過塩基性カルシ ムスルホネートとして、塩基価が異なる複 の過塩基性カルシウムスルホネートの組み わせ、例えば塩基価が300のものと塩基価が4 00のものとをそれぞれ配合し、全塩基価とし 280mgKOH/g以上500mgKOH/g以下としている。
 このため、高摩擦係数でかつ耐摩耗性に優 、全体量に対するカルシウム濃度が280質量p pm以上3000質量ppm以下、好ましくは300質量ppm以 上600質量ppm以下となる条件で過塩基性カルシ ウムスルホネートを配合することで、無段変 速機における安定した高い動力伝達容量が容 易に得られる。

 さらに、上記実施形態では、過塩基性カル ウムスルホネートとしては、元素換算でカ シウム濃度として全体のリン濃度に対して1 .5倍以下で配合している。
 このため、摩擦面で相対的に硬い耐摩耗性 潤滑膜が形成され、カルシウムとリンとの 好な割合により、0.11以上の高い金属間摩擦 係数が得られ、比摩耗量が2.0×10 -8 mm 3 /Nmより低い良好な耐摩耗性が得られ、無段変 速機における安定した高い動力伝達容量が得 られる。

 そして、上記実施形態では、正リン酸フォ フェート類として、フォスフェート類およ アシッドフォスフェート類から選ばれる少 くともいずれか1種を用いている。
 このため、摩擦面で耐摩耗性の潤滑膜を形 でき、耐摩耗性に優れかつ高摩擦係数が得 れる。

 さらに、上記実施形態では、正リン酸フォ フェート類として、リン濃度が50質量ppm以 、好ましくは150質量ppm以上1000質量ppm以下と る条件で配合している。
 このため、耐摩耗性の潤滑膜が高摩擦化す という現象が生じ、耐摩耗性に優れかつ高 擦係数が得られ、高摩擦係数でかつ、耐摩 性の潤滑膜を形成できる。

 また、上記実施形態では、潤滑油基油とし 、飽和炭化水素成分が90質量%以上、硫黄分 0.03質量%以下、粘度指数が100以上の鉱油お び合成油のうちの少なくともいずれか一方 用いている。
 このため、酸化安定性に優れ、長期間安定 た高摩擦係数で、耐摩耗性に優れるという 有の効果を奏する。

〔実施形態の変形例〕
 なお、以上に説明した態様は、本発明の一 様を示したものであって、本発明は、前記 た実施形態に限定されるものではなく、本 明の目的および効果を達成できる範囲内で 変形や改良が、本発明の内容に含まれるも であることはいうまでもない。また、本発 を実施する際における具体的な構造および 状などは、本発明の目的および効果を達成 きる範囲内において、他の構造や形状など しても問題はない。

 すなわち、本発明の無段変速機用潤滑油組 物としては、上述したように、金属ベルト 用いたベルト式無段変速機に限らず、例え 、チェーンを用いたチェーン式無段変速機 トラクションドライブを用いたトラクショ ドライブ式無段変速機など、各種の無段変 機を対象とすることができる。
 そして、過塩基性カルシウムスルホネート しては、全体量に対するカルシウム濃度が2 80質量ppm以上3000質量ppm以下で配合する場合に 限らず、全体量に対するカルシウム濃度が280 質量ppmより少なくなる条件、あるいは3000質 ppmより多くなる条件で配合してもよい。ま 、塩基価が異なる複数の過塩基性カルシウ スルホネートを組み合わせて用いる場合に られず、1種単独で用いてもよい。さらに、 体のリン濃度に対してカルシウム濃度が1.5 となる条件で過塩基性カルシウムスルホネ トを配合する場合に限らず、カルシウム濃 が1.5倍より少なくなる条件で配合してもよ 。
 また、正リン酸フォスフェート類としては リン元素換算でリンの濃度が50質量ppm以上 配合する場合に限らず、リン濃度が50質量ppm より少ない条件で配合してもよい。
 さらに、潤滑油基油としては、上述した組 物に限らず、無段変速機用として利用でき いずれの鉱油や合成油を用いることができ 。

 次に、実施例および比較例を挙げて、本発 をさらに詳しく説明する。
 なお、本発明は、これらの実施例などの記 内容に何ら制限されるものではない。

  (実施例1~3、比較例1~5)
 上述した実施形態における無段変速機用潤 油組成物の性能を確認する実験を実施した 実験としては、以下の表1の配合表に示すよ うに、各種の潤滑油組成物を調製し、それぞ れの性能試験、すなわち摩耗係数および比摩 耗量について測定し、比較評価した。
 A成分である潤滑油基油としては、パラフィ ン系高度精製鉱油(商品名:90N)を用いた。
 また、B成分である過塩基性カルシウムスル ホネートとしては、カルシウム元素換算での カルシウム濃度が15%で、塩基価が400のもの(B1 )と、カルシウム元素換算でのカルシウム濃 が10%で塩基価が300のもの(B2)と、を用いた。
 さらに、C成分である正リン酸フォスフェー ト類としては、リン元素換算でリン濃度が8.0 9%のトリクレジルフォスフェートと、リン元 換算でリン濃度が9.39%のジ2エチルヘキシル シッドフォスフェートと、リン元素換算で ン濃度が1.31%の亜リン酸とを用いた。
 また、添加剤として、酸化防止剤、分散剤 銅不活性化剤、粘度指数向上剤、消泡剤を いた。
 なお、比較例として、上記実施形態におけ C成分を用いず、亜リン酸エステルを用いた もの(比較例1)、上記実施形態におけるB成分 ある過塩基性カルシウムスルホネートを用 ず、中性のカルシウムスルホネートを用い もの(比較例2)、カルシウム濃度およびリン 度が十分でないもの(比較例3)、カルシウム 度とリン濃度との割合を調整したもの(比較 4)、リン成分をふくまないもの(比較例5)を いた。

  (性能試験)
 表1に示す実施例1~3および比較例1~5の各性能 試験を実施した。性能試験としては、摩擦係 数および比摩耗量を測定した。これら測定結 果を、表1に示す。
   (1)摩擦係数の測定
 摩擦係数の測定は、ブロックオンリング型 擦試験機(ファレックス社製)を用いて、以 の摩擦条件で実験し、所定の滑り速度にお る5分後の全摩擦係数を測定した。ここで、 験片は、ASTM D-3704-78に規定する下記のもの 使用した。
  ・荷重:1200N
  ・油温:100℃
  ・試験片:リング…Ni-Mo鋼 SAE4620Steel
       ブロック…冷間加工工具鋼 SAE01Ste el
  ・滑り速度:0.5m/秒
  ・滑り距離:1000m
   (2)比摩耗量の測定
 比摩耗量の測定は、上記条件におけるブロ クの摩耗体積より測定した。

   (3)結果
 比較例5は、リン成分を含まない例である。 この比較例5では、十分な耐摩耗性を有する のの摩擦係数は非常に低い。このことは、B 分が摩擦面において耐摩耗性の潤滑膜を形 していることの裏づけであり、本発明の論 の一つになっている添加剤による保護膜の 成を示すものである。そして、比較例5にC 分を配合した実施例3においては、良好な比 耗量を示しながら、摩擦係数が高い。これ より、B成分、C成分の配合が本発明の目的 ある高摩擦係数でかつ耐摩耗性を有する必 の成分であることがわかる。
 また、比較例1では、C成分の代わりに亜リ 酸を用いた例である。この比較例1は、比摩 量は良好であるが、摩擦係数が低い。これ 対して、C成分のトリクジルフォスフェート を用いた実施例1は比摩耗量が良好で、かつ 高摩擦係数となっている。
 さらに、比較例2では、B成分の代わりに中 カルシウムスルホネートを用いた例である この比較例2は、摩擦係数は目的とするレベ に達しているが、比摩耗量は大きい。これ 対して、B成分の過塩基性スルホネートを配 合した実施例2においては、高摩擦係数で有 、かつ目的とする比摩耗量となっているこ がわかる。
 また、比較例3では、C成分を下限値未満と た。この比較例3では、比摩耗量に関しては 的を達するものの、摩擦係数は目的に達せ 低い。これに対して、C成分を本発明の範囲 内の配合とする(実施例2,3)ことで、目的とす 高摩擦係数と比摩耗量が得られた。
 さらに、比較例4では、C成分の上限値を超 、過大に配合した。この比較例4では、摩擦 数は高いものの、比摩耗量は目的に達せず い。これに対して、C成分を本発明の範囲内 の配合とする(実施例1)ことで、目的とする高 摩擦係数と比摩耗量が得られた。

 本発明は、金属ベルトタイプ、チェーン イプ、トラクションドライブタイプなどの 種の無段変速機に用いられる無段変速機用 滑油組成物として利用できる。