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Patent Searching and Data


Title:
MEDICAL TUBE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139847
Kind Code:
A1
Abstract:
A medical tube which has an elliptic sectional shape and comprises a resin mixture formed from a polyurethane resin and a styrene resin. The tube preferably is a medical catheter further having at least one of the following features: (1) the ratio of the average outer diameter to the average wall thickness is from 3.0 to 8.7; (2) the maximum load necessary to crush the tube to completely eliminate the hollow is 10 N or smaller; (4) when the tube slit in the direction perpendicular to the lengthwise direction for the tube in a length of 30% based on the circumference of the tube is subjected to a tensile test, it has a maximum load of 8 N or larger; and (5) the tube has an ellipticity of 50-95%. The medical tube has an excellent balance between suitability for milking and tear strength.

Inventors:
OHARA KAZUMASA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057715
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
April 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KANEKA CORP (JP)
OHARA KAZUMASA (JP)
International Classes:
A61M1/00; A61L31/00; A61M27/00
Domestic Patent References:
WO2006067943A12006-06-29
Foreign References:
JPH08117326A1996-05-14
Attorney, Agent or Firm:
KANEKA CORPORATION (Kita-ku Osaka-shi, Osaka 88, JP)
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Claims:
 断面形状が楕円形であり、ポリウレタン系樹脂とスチレン系樹脂の混合樹脂を含有して形成される医療用チューブ。
 平均肉厚に対する平均外径の比が3.0以上、8.7以下であることを特徴とする請求項1の医療用チューブ。
 チューブの径方向に中空を100%潰す際の最大荷重が10N以下であることを特徴とする請求項1または2の医療用チューブ。
 チューブの長手方向と垂直にチューブ外周における20~30%の長さのスリットを入れたチューブの引張試験の最大荷重が8N以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかの医療用チューブ。
 チューブの長手方向と垂直にチューブ外周における30%の長さのスリットを入れたチューブの引張試験の最大荷重が8N以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかの医療用チューブ。
 楕円率が50~95%であることを特徴とする請求項1~5のいずれかの医療チューブ。
 医療用チューブ中のスチレン系樹脂の重量分率が5%以上、60%以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれかの医療用チューブ。
 前記混合樹脂のショアー硬度が30~95Aであることを特徴とする請求項1~7のいずれかの医療用チューブ。
 医療用チューブの先端から1~5cmの範囲を構成する医療用チューブ中のスチレン系樹脂の重量分率が10%以上、80%以下で、該範囲より手元側を構成する医療用チューブ中のスチレン系樹脂の重量分率が5%以上、60%以下であり、更にチューブ長手方向に造影ラインを有することを特徴とする請求項1~8のいずれかの医療用チューブ。
 前記ポリウレタン系樹脂が脂肪族イソシアネート残基を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれかの医療用チューブ。
 前記スチレン系樹脂がスチレンとイソブチレンとのブロック共重合体であることを特徴とする請求項1~10のいずれかの医療用チューブ。
 前記ブロック共重合体の数平均分子量が50,000~200,000であることを特徴とする請求項11の医療用チューブ。
 前記ブロック共重合体がスチレン-イソブチレン-スチレンのトリブロックであることを特徴とする請求項11または12の医療用チューブ。
 前記ブロック共重合体中のスチレン残基の重量分率が5%以上、50%以下であることを特徴とする請求項11~13のいずれかの医療用チューブ。
 前記医療用チューブが、医療用ドレナージカテーテルである請求項1~14のいずれかの医療用チューブ。
Description:
医療用チューブ

 本発明は、医療用チューブに関するもの 、更に詳細には、ミルキング操作性と引裂 強度のバランスの優れた医療用チューブに するものである。

 一般的な医療用チューブはチューブ内に りが生じるとチューブの機能が失われるた 、新しいものに交換する必要がある。

 柔軟なチューブの場合、その詰まりをチ ーブの外からの外力によって取り除く方法 ある。例えば、医療用ドレナージチューブ は、手によってミルキングという操作を行 ことがある。ミルキングとは、チューブ内 存在する詰りの原因を取り除くために、チ ーブの各部を順次に絞り及び/又は引っ張る 行為である。この行為が容易にできればチュ ーブ交換の手間を省ける反面、強く操作する と切断することがある。

 特に髄液排液用チューブにおいては、手に るミルキング操作によって切断されたチュ ブが脊椎内に残留するという重篤な事例も られる。特許文献1には、体内における破断 が防止されたドレナージカテーテル用チュー ブが開示されている。また、そのような重篤 な事例はチューブに切り傷がある場合に起こ りやすい。

特開2005-237682号公報

 そこで、本発明は、上記の問題点を解決 るものであり、ミルキング操作性と引裂き 度のバランスに優れた医療用チューブを提 することを目的とする。

 本発明は、以下の1または複数の特徴を有 する。

 (1)本発明の特徴の一つは、断面形状が楕 形であり、ポリウレタン系樹脂とスチレン 樹脂の混合樹脂を含有して形成される医療 チューブである。

 (2)本発明の別の特徴は、平均肉厚に対す 平均外径の比が3.0以上、8.7以下であること 特徴とする前記医療用チューブである。

 (3)本発明の別の特徴は、チューブの径方 に中空を100%潰す際の最大荷重が10N以下であ ることを特徴とする前記医療用チューブであ る。

 (4)本発明の別の特徴は、チューブの長手 向と垂直にチューブ外周における20~30%、特 30%の長さのスリットを入れたチューブの引 試験の最大荷重が8N以上であることを特徴 する前記医療用チューブである。

 (5)本発明の別の特徴は、楕円率が50~95%で ることを特徴とする前記医療チューブであ 。

 (6)好適な実施形態では、医療用チューブ のスチレン系樹脂の重量分率が5%以上、60% 下である。

 (7)好適な実施形態では、混合樹脂のショ ー硬度が30~95Aである。

 (8)好適な実施形態では、医療用チューブ 先端から1~5cmの範囲を構成する医療用チュ ブ中のスチレン系樹脂の重量分率が10%以上 80%以下で、該範囲より手元側を構成する医 用チューブ中のスチレン系樹脂の重量分率 5%以上、60%以下であり、更にチューブ長手方 向に造影ラインを有する。

 (9)好適な実施形態では、前記ポリウレタ 系樹脂が脂肪族イソシアネート残基を有す 。

 (10)好適な実施形態では、前記スチレン系 樹脂がスチレンとイソブチレンとのブロック 共重合体である。

 (11)好適な実施形態では、前記ブロック共 重合体の数平均分子量が50,000~200,000である。

 (12)好適な実施形態では、前記ブロック共 重合体がスチレン-イソブチレン-スチレンの リブロックである。

 (13)好適な実施形態では、前記ブロック共 重合体中のスチレン残基の重量分率が5%以上 50%以下である。

 (14)好適な実施形態では、前記医療用チュ ーブが、医療用ドレナージカテーテルである 。

 本発明の上記特徴およびその他の特徴、 よびそれらの効果は、以下の実施形態およ 図面によって明らかにされる。

 本発明により、ミルキング操作性と引裂 強度のバランスに優れた医療用チューブを 供することが可能となる。これにより、詰 り等が生じた際に、ミルキング操作により 因を取り除くことが可能で、更にその際に 断を生じ重篤な事態を生じることを防止す ことが可能となる。

図1(A)(B)(C)は、チューブ断面のパターン 図である。 図2は、圧縮強度の測定に使用される圧 縮試験機の説明図である。 図3は、圧縮強度の測定に使用される圧 縮試験機の説明図である。 図4は、引裂き強度の測定に使用される 引張試験機の説明図である。 図4は、引裂き強度の測定に使用される 引張試験機の説明図である。 図6は、実施形態としての腰椎ドレナー ジカテーテルの模式図である。

符号の説明

20 圧縮試験機
22 押し子
24 把持具
26 サンプルチューブ
40 引張試験機
42 サンプルチューブ
60 腰椎ドレナージカテーテル
62 手元側チューブ
64 先端側チューブ

 以下、本発明の医療用チューブについて 明する。

 1.医療用チューブ
 本発明の医療用チューブとしては、胆管カ ーテル、導尿カテーテル、中心静脈カテー ル、胃瘻カテーテル、吸引カテーテル、血 造影用カテーテル、心臓カテーテル、血管 張カテーテル、血栓除去用カテーテル、硬 外カテーテル、内視鏡カテーテル等のカテ テル類、輸液用チューブ、経腸栄養用チュ ブ、気管支チューブ、腹膜透析用チューブ 輸血用チューブ、導尿カテーテルに接続さ 尿を蓄尿バッグに導出されるのに使用され チューブ等のチューブ類、血液透析用の血 回路、人工心肺用の血液回路、血漿交換用 血液回路などに用いられる回路用チューブ 、医療分野において物質を移送するのに用 られるチューブ類などがある。尚、医療分 において物質を移送するのに用いられるチ ーブ類としては、例えば、多連式血液バッ に取り付けられたチューブ、吸引器とカテ テルを連結するのに用いられるチューブ等 ある。以下、好適な実施形態としてドレナ ジカテーテル(排液用チューブ)を例示して 明するが、本発明はこれに限定されるもの はない。

 2.形状
 本発明の医療用チューブは、ルーメン数が1 であるものに限られるものではなく、2また 3の様に複数のルーメンを有していてもよい また、チューブの長さ方向に垂直なルーメ 形状(断面形状)が図1(A)、(B)、(C)に示すよう 楕円形であることが好ましい。(A)は、その 面形状を楕円形状にすることで、真円形状 対し強度を弱め、容易に径方向に圧縮でき こととなる。(B)は(A)の特徴に加え、更に楕 の長軸方向の肉厚を短軸方向の肉厚に比較 て薄く形成したもので、これにより穿刺針 ピールオフ針等の外套を通過し易い構造に っている。また、(C)は(A)の特徴に加え、更 楕円の短軸方向の肉厚を長軸方向の肉厚に 較して薄く形成したもので、チューブ内の 過性を重視した構造となっている。尚、(B) (C)は、共に肉厚部分を有していることから (A)に比べ各種孔を挿通させる際にプッシャ リティーが優れることとなる。更に(C)は、 径は(B)と同様に楕円形であるが、長軸方向 肉厚を厚くした為にその内孔の形状はより に近く、内部に詰まりを生じにくい点で好 しい。一方、(B)は曲率がより小さく曲がり すい長軸方向の肉厚を薄く形成している為 チューブを径方向に潰す際の強度をより小 くすることが可能となる。尚、図1は、例示 としてルーメン数が1の場合を示したが、前 の様に複数のルーメンを持たせることも可 である。

 さらに、本発明の医療用チューブは、チ ーブ長手方向に造影ラインが1本または2本 上あってもよい。造影ラインとは、カテー ルが体内のどの位置に存在するかを把握す ためにチューブ内に配置するもので、エッ ス線に不透過な材料、例えば、硫酸バリウ 、タングステン等をその造影ライン上に配 して形成することができる(図1中には図示せ ず)。

 また、本発明の医療用チューブは、平均 厚に対する平均外径の比が3.0以上、8.7以下 あることが好ましい。さらに、3.0以上、6.0 下であることがより好ましい。

 外径としては、長径、短径ともに0.5mm以 、3.5mm以下であることが、さらに1.0mm以上、3 .0mm以下であることが好ましく、特に短径が1. 0mm以上、2.0mm以下であることが、また長径が1 .5mm以上、3.0mm以下であることが好ましい。ま た、楕円率(短軸/長軸×100)は50%から95%が好ま い。さらに、60%から90%が好ましい。50%より 小さいと血栓などの異物が通過し難くなり チューブが詰り易くなる。

 3.医療用チューブの構成材料
 本発明の医療用チューブは、ポリウレタン 樹脂とスチレン系樹脂の混合樹脂を含有し 形成されるが、この混合樹脂に対し、更に 種目的で他の樹脂を配合することが可能で る。尚、混合樹脂に対し配合することが可 な樹脂としては、例えばポリエステル系樹 、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹 、ポリブタジエン系樹脂から選ばれる1以上 の樹脂などが挙げられる。

 また、混合樹脂、更に他の樹脂を混合し 樹脂組成物に対し、材料の熱力学的特性や 生体適合性などの特徴を著しく損なわない 囲で、顔料、染料、安定剤、酸化防止剤、 剤、造核剤、増量剤、充填剤、補強剤、造 剤、相溶化剤、などの各種有機/無機物を混 合してもよい。

 また、本発明においては、1本の医療用チ ューブにおいて、その一部を他の部分に対し 硬度が異なるように形成することも可能であ る。硬度が異なる様に形成する方法としては 、チューブを構成する樹脂の組成や材質を変 更する方法、チューブの肉厚や形状を変更す る方法等が使用できる。特に樹脂の組成を変 更する場合は、医療用チューブの先端から1~5 cmの範囲を構成する医療用チューブ中のスチ ン系樹脂の重量分率が10%以上、80%以下で、 範囲より手元側を構成する医療用チューブ のスチレン系樹脂の重量分率が5%以上、60% 下とすることが好ましい。これによれば、 元部分に対し比較的柔軟に形成された先端 分が生体組織への損傷を低減し、一方で先 部分に対し硬く形成された手元部分が押し み性を向上することが可能となる。尚、こ 様なチューブの成形方法としては、切替押 成形や、硬度の異なるチューブ部材を熱溶 する方法等を用いることができる。

 4.医療用チューブ構成材料のショアー硬度
 本発明の医療用チューブを構成する材料(ポ リウレタン系樹脂とスチレン系樹脂の混合樹 脂のみであっても良いし、上記の様に他の樹 脂を配合した樹脂組成物であっても良い。) ショアー硬度は、30~95Aであることが好まし 、更に45~80Aであることが好ましい。本発明 説明において用いる「ショアー(Shore)硬度」 は、測定規格ASTM D1706によるショアー硬度 ことである。

 医療用チューブを構成する材料のショア 硬度が30A未満であるとカテーテル自体が柔 になりすぎ体内への挿入操作に支障を来す それがあり、95Aより大きいと体内への挿入 作は容易に行うことができるが、硬すぎる め患者が苦痛や違和感を覚える可能性があ ためである。尚、ポリウレタン系樹脂とス レン系樹脂の混合樹脂のショアー硬度も、 記と同様の理由で30~95Aであることが好まし 、更に45~80Aであることが好ましいが、更に の樹脂を配合した樹脂組成物として使用す 時は、配合する樹脂のショアー硬度も考慮 て調整することができる。

 5.ポリウレタン系樹脂
 ポリウレタン系樹脂は、ポリエーテル(ポリ テトラメチレンオキサイド等)、ポリエステ (アジペート系あるいはポリカプロラクトン )、ポリカーボネートなどをソフトセグメン トとし、トルエンジイソシアネート、ジフェ ニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレ ンジイソシアネート、イソホロンジイソシア ネートなどのジイソシアネート類から形成さ れる成分をハードセグメントとする樹脂等が 挙げられる。そして、ポリウレタン系樹脂と しては、特に、ハードセグメントとなるジイ ソシアネートと鎖延長剤と、ソフトセグメン トとなるポリグリコールで構成されることが 好ましい。いわゆる、ポリエーテル型ポリウ レタン系樹脂の1種であることが好ましい。

 イソシアネート成分としては、4,4’-ジフ ェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3’-ジ フェニルメタンジイソシアネート、トルエン ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネー ト、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシ ネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート の脂環式ジイソシアネートおよび1,6-ヘキサ チレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソ アネートを使用することができ、好ましく 、MDIまたはHMDIである。

 上記鎖延長剤としては、1,4-ブタンジオー ル、エチレングリコール、ジエチレングリコ ール、トリエチレングリコール、プロピレン グリコール、1,6-ヘキサンジオール等の低分 量のジオール等を使用することでき、好ま くは、1,4-ブタンジオールである。また、エ レンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサ チレンジアミン等を鎖延長剤として使用し 分的にウレア結合を導入してもよい。

 ポリグリコール成分としては、ポリエー ルグリコール、ポリカーボネートジオール ポリカプロラクトンジオール、ポリアジペ トジオール等を使用することができる。ま 、ポリエーテルグリコールとしてはポリテ ラメチレングリコール、ポリエチレングリ ール、ポリプロピレングリコール、または れらの共重合体、あるいは混合物を使用す ことができる。

 また、本発明で使用する混合樹脂を構成 るポリウレタン系樹脂のショアー硬度は、6 0~95A、特に70~90Aであることが好ましい。60A未 であるとカテーテル自体が柔軟になりすぎ 内への挿入操作に支障を来すおそれがあり 95Aより大きいと体内への挿入操作は容易に うことができるが、硬すぎるため患者が苦 や違和感を覚えたり管腔内表面を損傷した する可能性があるためである。また、これ のポリウレタン材料には、加水分解や酸化 化等に対する耐性を向上させるために、加 分解防止剤、酸化防止剤等が含まれていて よい。

 また、本発明で使用する混合樹脂を構成 るポリウレタン系樹脂は、複数のポリウレ ン系樹脂を混合したものであっても良く、 えば、エステル系ポリウレタン樹脂と炭酸 ステル系ポリウレタン樹脂との混合物等も 適に使用することができる。ここでエステ 系ポリウレタン樹脂としては、4,4’-ジフェ ニルメタンジイソシアネート(MDI)または4,4’- ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HM DI)、及び1,4-ブタンジオールからなるハード グメントと、ポリカプロラクトンジオール たはポリアジペートジオールからなるソフ セグメントから構成されたものなどが挙げ れる。エステル系ポリウレタン樹脂の商品 しては、商品名ミラクトラン E380PNAT/E385PNAT/ E390PNAT(日本ミラクトラン社)や商品名テコフ ックス EG80A/EG85A/EG93A/EG100A(ノベオン社)があ 。

 6.スチレン系樹脂
 本発明で使用する混合樹脂を構成するスチ ン系樹脂としては、スチレンをハードセグ ントとし、イソブテン、ペンテン、4-メチ ペンテン-1等の不飽和オレフィンモノマー、 およびブタジエン、イソプレン等の共役ジエ ン、および共役ジエンを水素添加した水素添 加共役ジエンをソフトセグメントとする共重 合体、例えばスチレン系エラストマーと呼ば れるもの等が好ましく使用できる。ここで、 共重合体として各種形態のものが使用可能で あるが、例えばブロック共重合体、ランダム 共重合体等を好ましく使用することができる 。

 例えば、ブロック共重合体であるスチレ 系エラストマーとして、特に共役ジエン部 1,4結合で構成された、スチレン-ブタジエン -スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレ -スチレン共重合体(SIS)、スチレン-(ブタジエ ン-イソプレン)-スチレン共重合体(SBIS)等が使 用可能である。また、それらの共役ジエン部 を水素添加したスチレン-(エチレン-ブチレン )-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-(エチレ -プロピレン)-スチレン共重合体(SEPS)、スチ ン-(エチレン-エチレン-プロピレン)-スチレ (SEEPS)、スチレン-イソブチレン-スチレン共 合体(SIBS)等も使用可能である。尚、このよ なブロック共重合体の商品としては、SIS(日 合成ゴム社製)、セプトン(クラレ社製)、ク イトン(シェル化学社製)、SIBSTAR(弊社製)等 使用できる。

 また、他のブロック共重合体であるスチ ン系エラストマーとして、共役ジエン部に ニル基が導入されたものも使用することが 能で、具体的には、スチレン-イソプレン- チレン共重合体でイソプレン部に3,4ビニル 合を導入したブロック共重合体などが挙げ れる(具体的な商品としては、ハイブラー(ク ラレ社製)等が挙げられる。)。

 一方、ランダム共重合体であるスチレン エラストマーとして、具体的には、スチレ とブタジエンのランダム共重合体でブタジ ン部を水素添加したランダム共重合体など 使用することができる。

 また、SEBS等のスチレン系エラストマーに 、ポリオレフィン、プロセスオイル等を配合 した混合物も使用することができる。SEBS、SE PSを含む混合物のスチレン系エラストマーと ては、例えばラバロン(三菱化学社製)、セ トンコンパウンド(クラレ社製)、レオストマ ー、アクティマー(理研ビニル社製)等が挙げ れる。

 これらの共重合体の数平均分子量は50,000~ 200,000であることが好ましい。さらに、50,000~2 00,000であることで、溶融時は高粘度で、押出 成形がしやすい上、柔軟性とコシがあり、粘 着性も低い、優れたチューブが得られやすく 、特に好適である。これらの共重合体のスチ レン重量は5~50%であることが好適である。更 は10~40%が更に好適である。

 7.チューブ径方向の圧縮強度(ミルキング操 性)
 ミルキング操作を容易に行うことを可能と る為に、医療用チューブにおいて、チュー 径方向の圧縮強度(チューブの径方向に中空 を100%潰す際の最大荷重)が、温度23℃、湿度50 %において、10N以下となる様に設計されてい ことが好ましい。本発明においては、医療 チューブの断面形状が楕円形に形成されお 、更にはポリウレタン系樹脂とスチレン系 脂の混合樹脂を含有して形成されているこ により、他の医療用チューブに必要な特性 維持した上で、この様な圧縮強度を得るこ が可能となる。

 (測定方法)
 チューブ径方向の圧縮強度を測定する方法 して、以下の方法を用いる。図2に示した圧 縮試験機20を用いて測定する。圧縮試験機20 、上部に設けられた直径14.59mmの押し子22と 部に取り付けられた平板24とを備え、押し子 22と平板24の間にチューブ26を配置し、チュー ブの径方向の圧縮試験を行い、図2から図3(中 空を100%潰した状態)になるまでのチューブに かる荷重の変化をチャート上に記録できる う構成されており、このチャートからチュ ブの径方向に中空を100%潰す際の最大荷重を 読みとった。本測定はEZ-TEST(島津製作所)を用 いて実施した。

 この圧縮試験機20により、サンプル長を70 mmとしたチューブ26を試験速度5mm/minで、温度2 3℃、湿度50%において測定する。

 8.引裂き強度
 本発明の医療用チューブは、チューブの長 方向と垂直にチューブ外周における20~30%の さ、特に30%の長さのスリットを入れたチュ ブの引張試験の最大荷重(引裂き強度)が、8N 以上となる様に構成されていることが好まし い。これにより、ミルキング操作の際に切断 を生じ重篤な事態を生じることを防止するこ とが容易となる。医療用チューブの引裂き強 度が、温度37℃において、8N以上であれば、 ューブの体内残留の可能性が極めて低くな 。本発明においては、特に医療用チューブ ポリウレタン系樹脂とスチレン系樹脂の混 樹脂を含有して形成されていることにより ミルキング操作に必要な低い圧縮強度を維 した上で、上記の様な優れた引裂き強度(言 換えれば、医療用チューブに傷が生じた場 でも切断に至ることを防止する能力が高い 性)を得ることが可能となっている。特に、 前述の図1(B)、(C)の様な形状をとる場合は肉 の薄い部分が生じる為に、医療用チューブ ポリウレタン系樹脂とスチレン系樹脂の混 樹脂を含有して形成されていることが、ミ キング操作の際の切断を防止する上で重要 ある。

 (測定方法)
 チューブの引裂き強度の測定方法としては 以下の方法を用いる。図4に示した引張試験 機40を用いて測定する。8~10cmにカットしたチ ーブの内腔に金属板を挿入した状態で、端 ら4~5cmの辺りに刃渡り1.39mmのカミソリ(カミ リの長さは例示であって、具体的にはチュ ブ外周における20~30%の長さ、特に30%の長さ スリットを形成する為に必要な寸法のカミ リを使用すればよい。)を用いてチューブの 長手方向に垂直なスリットを形成した。これ をサンプル42として、図4のようにサンプルの スリットが中央になるようにチャックに取り 付け、チューブが図4から図5の状態になるま の荷重の変化をチャート上に記録し、その の最大荷重を読みとった。本測定はストロ ラフEII-L05(東洋精機製)を用いて実施した。1 .39mmのスリットの長さは例示であって、例え チューブ外周における20~30%の長さの範囲で ればよい。

 尚、引張試験機40の測定条件は、チャッ 間距離25mm、試験速度500mm/min、温度23℃とし 。

 特に、チューブ径方向の圧縮柔軟性に優 、更に引裂き強度に優れた医療用チューブ 得るために、特にポリウレタンの構成成分 、MDIと1,4-ブタンジオールからなるハードセ グメントと、スチレン-イソブチレンからな ソフトセグメントから構成されており、そ ショアー硬度が60~95Aの範囲であるものを使 することが好ましい。また、ポリウレタン 構成成分が、HMDIと1,4-ブタンジオールからな るハードセグメントと、スチレン-イソブチ ンからなるソフトセグメントから構成され おり、そのショアー硬度が60~95Aの範囲であ ものを使用することが好ましい。これらに れば、チューブ径方向の圧縮柔軟性と引裂 強度に優れた医療用チューブを得ることが きる。

 9.医療用チューブ中のスチレン系樹脂の重 分率
 医療用チューブ中のスチレン系樹脂の重量 率は、5%以上、60%以下であることが好適で る。更には、10%以上、50%以下であることが り好適である。尚、神経や脳に接触する可 性のある医療用チューブ等では、先端部分 手元部分でその硬度を変更することが可能 、例えば前述のようにスチレン系樹脂の重 分率を変更して達成することが可能である 例えば、先端部分(1~5cm)は生体組織の損傷を ぐためにスチレン系樹脂の重量分率を10%以 、80%以下、更には30%以上、80%以下とし、該 囲より手元側のスチレン系樹脂の重量分率 押し込み性を向上する点から5%以上、60%以 、さらに、25%以上、50%以下とすることが考 られる。

 10.医療用チューブの例示(腰椎ドレナージカ テーテル)
 医療用チューブの作成例(2つの例を併記)で る図6に示す腰椎ドレナージカテーテル60は 患者の脊椎内から体外に渡り装着される。 の構成は、脊椎を貫通する中空の手元側チ ーブ62と、更に側孔を有する先端側チュー 64を備えている。その形状は、図6の上図に すような従来からの形状が好適である。中 も先端角度が10~45°、特に10~30°であることが 好適である。カテーテルの先端を45°以下に ることで圧縮弾性率を小さくすることが可 であり、低侵襲性に優れる。また、先端を10 °以下にすると追従性が失われ目的とする部 に到達できないことがある。また、図6の下 図に示すような先端をクロージング加工して いるような形態も好適である。側孔の数や形 状やサイズは、一例であり、他の数や形状や サイズであっても良い。

 (製造例1)スチレンとイソブチレンとのブロ ク共重合体の製造例
 攪拌翼付き10Lの反応容器に、メチルシクロ キサン(モレキュラーシーブスで乾燥したも の)2166mL、塩化メチレン(モレキュラーシーブ で乾燥したもの)1634mL、p-ジクミルクロライ 1.756gを加えた。反応容器を-70℃に冷却した 、α-ピコリン(2-メチルピリジン)0.75mL、イソ ブチレン633mLを添加した。さらに四塩化チタ 30mLを加えて重合を開始し、-70℃にて溶液を 攪拌しながら1.5時間反応させた。次いで反応 溶液にスチレン270mLを添加し、さらに20分間 応を続けた後、大量のメタノールを添加し 反応を停止させた。反応溶液から溶剤等を 去し後に、重合体をトルエンに溶解して2回 洗した。このトルエン溶液をアセトン-メタ ノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得 られた重合体を60℃で24時間真空乾燥するこ によりSIBSを得た。

 得られたSIBSの分子量は110,000、スチレン 量は15%、JIS A 硬度は25であった。

 (比較例1)
 製造例1にて得られたSIBSとテコフレックスEG 85A(ノベオン社製)を重量比10:90で所定量仕込 、2軸押出機(φ4.0、L/D=40、回転数500rpm)で混練 しショアー硬度72AのSIBS/ポリウレタン混練品 押出成形してチューブ(長軸外径1.65mm、短軸 外径1.65mm、肉厚0.375mm;肉厚に対する外径の比 4.4、楕円率100%の円形、比較例1)を作製した 比較例1のチューブの温度23℃、湿度50%にお る径方向の圧縮強度8.0Nであった。また、引 裂き強度は18.9Nであった。

 (比較例2)
 製造例1にて得られたSIBSとテコフレックスEG 85A(ノベオン社製)を重量比20:80で所定量仕込 、2軸押出機(φ4.0、L/D=40、回転数500rpm)で混練 しショアー硬度67AのSIBS/ポリウレタン混練品 押出成形してチューブ(長軸外径1.65mm、短軸 外径1.65mm、肉厚0.375mm;肉厚に対する外径の比 4.4、楕円率100%の円形、比較例2)を作製した 比較例2のチューブの温度23℃、湿度50%にお る径方向の圧縮強度9.0Nであった。また、引 裂き強度は17.0Nであった。

 (比較例3)
 製造例1にて得られたSIBSとテコフレックスEG 85A(ノベオン社製)を重量比40:60で所定量仕込 、2軸押出機(φ4.0、L/D=40、回転数500rpm)で混練 しショアー硬度56AのSIBS/ポリウレタン混練品 押出成形してチューブ(長軸外径1.65mm、短軸 外径1.65mm、肉厚0.375mm;肉厚に対する外径の比 4.4、楕円率100%の円形、比較例3)を作製した 比較例3のチューブの温度23℃、湿度50%にお る径方向の圧縮強度5.0Nであった。また、引 裂き強度は12.5Nであった。

 (実施例1)
 製造例1にて得られたSIBSとテコフレックスEG 85A(ノベオン社製)を重量比10:90で所定量仕込 、2軸押出機(φ4.0、L/D=40、回転数500rpm)で混練 しショアー硬度72AのSIBS/ポリウレタン混練品 押出成形してチューブ(長軸外径1.70mm、短軸 外径1.27mm、肉厚0.372mm;肉厚に対する外径の比 3.4~4.6、楕円率(短軸/長軸×100)=75%の楕円形、 実施例1)を作製した。実施例1のチューブの温 度23℃、湿度50%における径方向の圧縮強度7.4N であり比較例1に比べ低く、良好であった。 た、引裂き強度は17.6Nであり良好であった。

 (実施例2)
 製造例1にて得られたSIBSとテコフレックスEG 85A(ノベオン社製)を重量比20:80で所定量仕込 、2軸押出機(φ4.0、L/D=40、回転数500rpm)で混練 しショアー硬度67AのSIBS/ポリウレタン混練品 押出成形してチューブ(長軸外径1.73mm、短軸 外径1.20mm、肉厚0.378mm;肉厚に対する外径の比 3.2~4.6、楕円率(短軸/長軸×100)=69%の楕円形、 実施例2)を作製した。実施例2のチューブの温 度23℃、湿度50%における径方向の圧縮強度7.0N であり比較例2に比べ低く、良好であった。 た、引裂き強度は15.8Nであり良好であった。

 (実施例3)
 製造例1にて得られたSIBSとテコフレックスEG 85A(ノベオン社製)を重量比40:60で所定量仕込 、2軸押出機(φ4.0、L/D=40、回転数500rpm)で混練 しショアー硬度56AのSIBS/ポリウレタン混練品 押出成形してチューブ(長軸外径1.75mm、短軸 外径1.15mm、肉厚0.37mm;肉厚に対する外径の比 3.1~4.7、楕円率(短軸/長軸×100)=66%の楕円形、 施例3)を作製した。実施例3のチューブの温 23℃、湿度50%における径方向の圧縮強度4.3N あり比較例3に比べ低く、良好であった。ま た、引裂き強度は11.5Nであり良好であった。

 (比較例4)ポリウレタン製カテーテル
 テコフレックスEG85A(ノベオン社製)を押出成 形してチューブ(長軸外径1.65mm、短軸外径1.65m m、肉厚0.375mm;肉厚に対する外径の比は4.4、楕 円率100%の円形、比較例4)を作製した。比較例 4のチューブの23℃、50%における径方向の圧縮 強度18.6Nであり不十分であった。しかし、引 き強度は14.3Nであり良好であった。

 (比較例5)シリコーン製ドレナージカテーテ 製品
 スパイナルドレナージカテーテル(カネカメ ディックス社製)(長軸外径1.65mm、短軸外径1.65 mm、肉厚0.375mm;肉厚に対する外径の比は4.4、 円率100%の円形)の23℃、50%における径方向の 縮強度4.9Nであり良好であった。しかし、引 裂き強度は4.5Nであり不十分であった。