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Patent Searching and Data


Title:
METAL FILM POLISHING LIQUID AND POLISHING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008431
Kind Code:
A1
Abstract:
A metal film polishing liquid comprising, providing that the total amount of metal film polishing liquid is 100 wt.%, 7.0 wt.% or more of a metal oxidizing agent, a water-soluble polymer, an oxidized metal dissolving agent, a metal corrosion preventive agent and water. The water-soluble polymer has a weight average molecular weight of 150,000 or greater and is at least one member selected from among a polycarboxylic acid, a salt of polycarboxylic acid and a polycarboxylic ester. The metal film polishing liquid and polishing method using the same would realize high-speed polishing even under a low polishing load of 1 psi or less, excellence in the planarity of the film having undergone the polishing and high polishing speed from the initial stage of polishing operation.

Inventors:
HAGA KOUJI
FUKASAWA MASATO
AMANOKURA JIN
NAKAGAWA HIROSHI
Application Number:
PCT/JP2008/062352
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI CHEMICAL CO LTD (JP)
HAGA KOUJI
FUKASAWA MASATO
AMANOKURA JIN
NAKAGAWA HIROSHI
International Classes:
B24B37/00; H01L21/304
Foreign References:
JP2002050595A2002-02-15
JP2004311565A2004-11-04
Other References:
See also references of EP 2169710A4
None
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 金属膜用研磨液であって、
 前記金属膜用研磨液全体を100重量%としたとき、7.0重量%以上の金属の酸化剤と、水溶性ポリマと、酸化金属溶解剤と、金属防食剤及び水を含有してなり、
 前記水溶性ポリマは、重量平均分子量が150,000以上であり、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩及びポリカルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である、
金属膜用研磨液。
 前記水溶性ポリマは、金属用研磨液の総量を100重量%としたとき、0.01重量%以上である請求項1記載の金属用研磨液。
 前記金属用研磨液全体を100重量%としたとき0.01~1.0重量%の砥粒を含有してなる請求項1又は2記載の金属用研磨液。
 被研磨膜が、銅、銅合金、銅の酸化物、銅合金の酸化物から選ばれる少なくとも1種である請求項1~3のいずれか記載の金属膜用研磨液。
 研磨定盤の研磨布上に請求項1~4のいずれか記載の金属膜用研磨液を供給しながら、被研磨膜を有する基板を研磨布に押圧した状態で研磨定盤と基板を相対的に動かすことによって被研磨膜を研磨する研磨方法。
Description:
金属膜用研磨液及び研磨方法

 本発明は、特に半導体デバイスの配線工 における金属膜用研磨液及びそれを用いた 磨方法に関する。

 近年、半導体集積回路(以下、LSIと記す。 )の高集積化、高性能化に伴って新たな微細 工技術が開発されている。化学機械研磨(以 、CMPと記す。)法もその一つであり、LSI製造 工程、特に多層配線形成工程における層間絶 縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配 線形成において頻繁に利用される技術である 。この技術は、例えば米国特許第4944836号明 書に開示されている。

 また、最近はLSIを高性能化するために、 線材料となる導電性物質として銅および銅 金の利用が試みられている。しかし、銅ま は銅合金(以下、単に銅系金属ということが ある。)は、従来のアルミニウム合金配線の 成で頻繁に用いられたドライエッチング法 よる微細加工が困難である。

 そこで、あらかじめ溝を形成してある絶 膜上に、銅系金属等の配線金属の薄膜を、 記溝を埋め込むように堆積し、溝部に埋め まれた部分以外の前記薄膜をCMPにより除去 て、埋め込み配線を形成するという、いわ るダマシン法が主に採用されている。この 術は、例えば日本国特開平2-278822号公報に 示されている。

 前記銅系金属を研磨する金属のCMPの一般 な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に 磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を金 膜用研磨液で浸しながら、基板の金属膜を 成した面を研磨パッド表面に押し付けて、 磨パッドの裏面から所定の圧力(以下、研磨 重と記す。)を金属膜に加えた状態で研磨定 盤を回し、研磨液と金属膜の凸部との相対的 機械的摩擦によって凸部の金属膜を除去する ものである。

 CMPに用いられる金属膜用研磨液は、一般 は酸化剤、砥粒及び水からなっており、必 に応じてさらに酸化金属溶解剤、金属防食 等が添加されている。基本的なメカニズム 、まず酸化剤によって金属膜表面を酸化し 酸化層を形成し、その酸化層を砥粒によっ 削り取ると考えられている。凹部の金属膜 面の酸化層は研磨パッドにあまり触れず、 粒による削り取りの効果が及ばないので、C MPの進行とともに凸部の金属膜の酸化層が除 されて基板表面は平坦化される。この詳細 ついてはジャーナル・オブ・エレクトロケ カルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Soc iety)1991年、第138巻、11号、p.3460~3464に開示さ ている。

 CMPによる研磨速度を高める方法として、 属膜用研磨液に酸化金属溶解剤を添加する とが有効とされている。これは、砥粒によ て削り取られた金属酸化物の粒を、研磨液 溶解(以下、エッチングと記す。)させてし うことで、砥粒による削り取りの効果が増 ためであると解釈される。

 但し、凹部の金属膜表面の酸化層もエッ ングされうる。従って、凹部の金属膜表面 酸化層がエッチングされ、露出した金属膜 面が酸化剤によってさらに酸化される、と うことが繰り返されると、凹部の金属膜の ッチングが進行してしまう。すなわち、平 化効果が損なわれることが懸念される。こ ような、凹部の過度なエッチングを防ぐた に、金属膜用研磨液にさらに金属防食剤が 加されている。

 しかしながら、従来のCMPによる埋め込み 線形成は、(1)埋め込まれた配線金属の表面 央部分が等方的に腐食されて皿の様に窪む 象(ディッシング)の発生、配線密度の高い 分で絶縁膜も研磨されて配線金属の厚みが くなる現象(エロージョン或いはシニング)の 発生、(2)研磨傷(スクラッチ)の発生、(3)研磨 の基板表面に残留する研磨カスを除去する めの洗浄プロセスが複雑であること、(4)廃 処理に起因するコストアップ、(5)金属の腐 等の問題が生じる。

 ディッシングや研磨中の銅系金属の腐食 抑制し、信頼性の高いLSI配線を形成するた に、グリシン等のアミノ酢酸又はアミド硫 からなる酸化金属溶解剤及びベンゾトリア ールを含有する金属用研磨液を用いる方法 提唱されている。この技術は例えば特開平8 -83780号公報に記載されている。

 図1に一般的なダマシンプロセスによる配 線形成を断面模式図で示す。図1(a)は研磨前 状態を示し、表面に溝を形成した層間絶縁 1、層間絶縁膜1の表面凹凸に追従するように 形成されたバリア層2、凹凸を埋めるように 積された銅又は銅合金の配線金属3を有する

 まず、図1(b)に示すように、配線金属研磨 用の研磨液で、バリア層2が露出するまで配 金属3を研磨する。次に、図1(c)に示すように 、バリア層2用の研磨液で層間絶縁膜1の凸部 露出するまで研磨する。このとき、層間絶 膜を余分に研磨する、いわゆるオーバー研 が行われることもある。また、図1(a)の状態 から、図1(c)の状態まで一種類の研磨液で研 する工程もある。

 上記で説明してきたように、これまで種 のCMP研磨液が開示されているが、配線金属 研磨工程は一段階で研磨するのが一般的で った。また研磨荷重は、高速に研磨してス ープットをあげるために、比較大きい圧力 、例えば3psi以上の圧力で用いて研磨するこ とが一般的であった。

 ここで、圧力の単位であるpsiはpound per s quare inchを意味するものでSI単位系ではない 、半導体業界においては一般的に使用され いるため、本明細書においてもpsiを使用す 。なお、1psiは約6.89kPaに相当する圧力であり 、簡単のために約7kPaとされることもある。

 ところで、近年、配線幅が年々狭くなる 伴い、配線金属の信号遅延の影響が無視で なくなってきた。そこで、信号時間の低減 ために比誘電率の小さい層間絶縁膜を使用 る技術が検討されている。しかしながら、 般にこれらの層間絶縁膜自体の機械的強度 小さいので、これらの層間絶縁膜を用いた 層膜構造の機械的強度は小さい。このため CMP工程時の研磨ストレスにより、積層膜界 での剥がれ等による配線不良が発生し易い いう問題があった。

 上記の問題を改善するために、図2に示す ように、配線金属を二段階で研磨する方法が 用いられはじめており、2005年頃以後主流と ってきたようである。この方法では、まず 2(a)の状態から、配線金属が少し残る図2(b)の 状態まで、配線金属を荒削りする一段階目の 研磨と、図2(b)の状態から、実質的にバリア 属が露出する図2(c)の工程まで、仕上げ研磨 る二段階目の研磨を有する。

 一段階目の研磨では高速研磨のために比 的強い荷重(例えば2~3psi)で研磨し、二段階 の研磨では、層間絶縁膜への影響を最小限 抑えるため、低い荷重で研磨する。二段階 の研磨荷重は通常1.5~2psiの圧力とされている 。

 上記の二段階目の研磨荷重としては、層 絶縁膜へのダメージを減らすという観点で 、より低い研磨荷重であることが好ましい しかしながら、従来の研磨液は、3psi以上の 高圧力では良好な研磨速度が得られるものの 、2psi以下、特に1.5psiを下回るような低い研 荷重では急激に研磨速度が低下してしまう のであった。従って、層間絶縁膜のダメー を抑えようとして研磨荷重を下げると、充 なスループットが得られないという問題が った。

 また、従来の研磨液は、初期研磨速度が いものであった。すなわち、一旦研磨が始 れば良好な研磨速度が得られるものの、研 プロセス開始直後は、研磨が全く進行しな ったり、研磨速度が遅かったりする場合が い。そして、この傾向は、研磨荷重が低下 るに従いより顕著になる。従来の研磨方法 、研磨荷重は低くてもせいぜい2psiであるの はこの理由による。しかしながら、研磨効率 を向上するという観点では、研磨開始初期か らでも速い研磨速度が得られる研磨液が求め られていた。

 本発明の目的は、1.5psiを下回る低い研磨 重(例えば1psi以下)である場合においても、 速に研磨できる金属膜用研磨液及びそれを いた研磨方法を提供することである。また 本発明の目的は、研磨開始初期から高い研 速度が得られる金属膜用研磨液及びそれを いた研磨方法を提供することである。

 研磨荷重が低い場合に限らず、研磨速度 向上させる試みとしては、これまで種々検 されてきた。例えば、砥粒の添加量を上げ ことによって機械的研磨の影響を上げるこ で研磨速度を上げる方法がある。しかしな ら、砥粒を増やすことで研磨速度は向上す ものの、表面の凹凸に関わらず研磨が進行 てしまうため、研磨終了後の平坦性が失わ る問題があった。また、有機酸や、カルボ 酸系ポリマの含有量を増やす手法、pHを低 させて配線金属が研磨されやすくなるよう する手法も検討されている。しかしながら いずれも研磨速度はある程度向上するもの 、同時に配線金属が過剰に研磨される、い ゆるディッシングの値が大きくなる、ある はエッチング速度が大きくなるという問題 あった。

 本発明者らは、これまで水溶性ポリマと 属防食剤とを含有してなる研磨液を検討し きたが、この中で、水溶性ポリマと金属防 剤が、銅等の配線金属となんらかの反応層 形成していることを見いだした。この反応 は、従来の研磨液に含まれる金属防食剤に って銅系金属の表面に形成される保護膜と 異なる層に見える。そして、研磨時にはこ 反応層が除去されることによって研磨が進 すると推定される。

 そこで本発明者らは、この反応層を好ま い態様に制御することで、例えば低い研磨 重でも高い研磨速度を有し、また平坦性や 期研磨速度の問題点をも解決できるのでは いかと考えた。そして、検討を重ねた結果 従来の研磨液によって形成される反応層は 常に薄くて硬いものであるため良好な研磨 性が得られにくいと推定した。すなわち、 応層が薄いということは、研磨される層が いということであり、そのために研磨速度 遅くなるのであると推定した。また、反応 が硬いため、研磨圧力が高ければ良好な研 速度が得られるが、研磨圧力が低い場合に 、反応層が削られにくいため研磨速度が急 に下がると推定した。

 従って、上記反応層を、「厚くて柔らか 」ものにすることにより、低研磨荷重にお る良好な研磨速度と、平坦性、初期研磨速 の問題を解決できるとの着想に基づき検討 行った。その結果、金属防食剤と、比較的 子量の大きいポリカルボン酸系ポリマとを 用し、さらに酸化剤の濃度を高くすること 、上記のような「厚くて柔らかい」反応層 形成でき、上記の課題を解決できることを いだし、本発明を完成した。

 より具体的な本発明の態様としては、金 用研磨液の総量を100重量%としたとき、7.0重 量%以上の金属の酸化剤と、水溶性ポリマと 酸化金属溶解剤と、金属防食剤及び水を含 してなり、前記水溶性ポリマは、重量平均 子量が150,000以上であり、ポリカルボン酸、 リカルボン酸の塩及びポリカルボン酸エス ルから選ばれる少なくとも1種である金属膜 用研磨液を挙げることができる。

 本願の開示は、2007年7月10日に出願された 特願2007-180928に記載の主題と関連しており、 れらの開示内容は引用によりここに援用さ る。

 本発明の研磨液は、分子量の高い水溶性 リマを含有するので、1psi以下の低い研磨荷 重下でも高速に研磨できる金属膜用研磨液及 びそれを用いた研磨方法を提供することがで きる。

 また、本発明の研磨液は、水溶性ポリマ 金属防食剤及び酸化剤を併用し、水溶性ポ マの量を所定量以上添加することにより、 磨後の被研磨膜の平坦性に優れる金属膜用 磨液及びそれを用いた研磨方法を提供する とができる。

 また、本発明の研磨液は、分子量の高い 溶性ポリマを含有するので、研磨開始初期 ら高い研磨速度が得られる金属膜用研磨液 びそれを用いた研磨方法を提供することが きる。

図1は、一般的なダマシンプロセスの経 過の断面模式図であり、図1(a)は研磨前、図1( b)はバリア層が露出するまで配線金属を研磨 た状態、図1(c)は層間絶縁膜の凸部が露出す るまで研磨した状態である。 図2は、図1の配線金属を二段階で研磨 て得る方法の経過の断面模式図であり、図2( a)は研磨前、図2(b)は配線金属が少し残るまで 配線金属を荒削りした状態、図2(c)は実質的 バリア金属が露出するまで仕上げ研磨した 態である。 図3は、研磨液中の酸化剤濃度と、反応 層硬さとの関係を示すグラフである。 図4は、酸化剤濃度を変えた場合の、銅 膜の研磨速度と、研磨荷重との関係を示すグ ラフである。 図5は、二軸平均一次粒子径を算出され る粒子形状の一例である。

符号の説明

1  層間絶縁膜
2  バリア層
3  配線金属
4  粒子
5  外接長方形
L  外接長方形の長径
B  外接長方形の短径

 本発明の金属膜用研磨液の代表的な態様 、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、金属防 剤、水溶性ポリマ及び水を含有してなる金 膜用研磨液である。以下、各成分について 詳細に説明する。

(水溶性ポリマ)
 本発明の研磨液では、重量平均分子量(以下 、Mwと記載することがある。)が15万以上の水 性ポリマを用いることが重要である。重量 均分子量が15万以上であれば、後述する金 防食剤と、銅系金属との反応層を「厚くて らかい」ものとすることができ、低い研磨 重下で高速研磨、平坦性、高い初期研磨速 といった特性を達成することが容易となる 別の表現では、低い研磨荷重であっても、 い研磨荷重であるときと比較して研磨速度 平坦性の変化が少ない研磨液を得ることが きる。例えば、1psiの研磨荷重での研磨速度 2psiの研磨荷重における研磨速度とを比較し たとき、その比が2.5以下であることが好まし く、2.0以下であることがより好ましい。研磨 速度の比較はブランケットウエハの研磨速度 から求めることができる。

 水溶性ポリマの重量平均分子量は15万以 であるが、1.0psi以下の低い研磨荷重下でも 速研磨することができ、また、研磨開始初 に高い研磨速度が得られる点で、水溶性ポ マ重量平均分子量が16万以上であることが好 ましく、18万以上であることがより好ましく 20万以上であることが特に好ましい。水溶 ポリマの重量平均分子量の上限は特に規定 るものではないが、溶解性の観点から、500 以下であることが好ましく、良好な反応層 形成する点では100万以下がより好ましい。

 水溶性ポリマの重量平均分子量は、ゲル ーミエーションクロマトグラフィーにより 準ポリスチレンの検量線を用いて測定する とができ、例えば次に示すような方法で測 することができる。

使用機器:示差屈折計(株式会社日立製作所製 型番L-3300)を備えたHPLCポンプ(株式会社日立 作所製、L-7100)
カラム :Shodex Asahipak GF-710HQ(昭和電工株式会 社製、製品名)
移動相:50mMリン酸水素二ナトリウム水溶液/ア セトニトリル=90/10(V/V)混合液
流量:0.6ml/min
カラム温度:25℃
 本発明で用いられる水溶性ポリマは、後述 る金属防食剤との反応層を制御することが きる点で、分子骨格中にカルボン酸基を有 るポリカルボン酸系ポリマであることが好 しく、具体的にはポリカルボン酸、ポリカ ボン酸の塩及びポリカルボン酸エステルの なくとも1種であるのが好ましい。

 さらに具体的には、例えば、ポリアクリ 酸系ポリマであることがより好ましく、ポ メタクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウ 塩、ポリアクリルアミド、それらのエステ 及びそれらのアンモニウム塩が好ましく、 リアクリル酸が特に好ましい。

 重量平均分子量が15万以上であるポリア リル酸系ポリマは、金属防食剤と併用する とで好適な反応層を形成することができ、 のような挙動は特に重量平均分子量15万以上 のポリアクリル酸において顕著である。すな わち、重量平均分子量が15万以上のポリアク ル酸と金属防食剤とを併用した場合、重量 均分子量が15万未満のポリアクリル酸を使 した場合と比較して、厚くて柔らかい反応 が形成される。

 例えば、重量平均分子量が180,000又は63,000 のポリアクリル酸と、1,2,4-トリアゾールと、 15wt%の過酸化水素を含む二種類の研磨液の中 、シリコン基板上に銅膜を形成したウエハ 浸漬し、それぞれに形成される反応層の厚 と硬さを比較したところ、前者の研磨液(重 量平均分子量180,000)は厚み約130nm、硬さ(Hardnes s)1.5Gpaの反応層を形成し、後者の研磨液(重量 平均分子量63,000)は厚み約100nm、硬さ約1.05Gpa 反応層を形成していることがわかった。

 上記水溶性ポリマの配合量は、低い研磨 重における研磨速度と、より高い初期研磨 度とを得る観点で、金属用研磨液の総量を1 00重量%としたとき、0.01重量%以上であること 好ましい。上記の効果を得た上で、さらに 線金属のディッシング量を低減し、研磨布 への被研磨物の蓄積も低減することができ 点で、配合量としては0.05重量%以上である とがより好ましく、0.1重量%以上であること さらに好ましい。このように比較的多い配 量が好ましい理由は、厚い反応層を形成す ために必要な水溶性ポリマの量が多いため あると思われる。

 従って、配合量を過剰にしても反応層の 成自体には影響が少ないが、場合によって エッチング速度が大きくなり、また研磨速 とその面内均一性の両立が難しくなること あるので、10重量%以下の範囲で配合される とが好ましく、5重量%以下であることがよ 好ましく、2重量%以下であることがさらに好 ましい。

(金属防食剤)
 本発明で用いられる金属防食剤としては、 等の配線金属の表面に吸着し強固な保護膜 形成しうる化合物が挙げられ、具体的には えば、トリアゾール骨格を有する化合物、 リミジン骨格を有する化合物、イミダゾー 骨格を有する化合物、グアニジン骨格を有 る化合物、チアゾール骨格を有する化合物 ピラゾール骨格を有する化合物を挙げるこ ができ、これらは単独でまたは2種類以上を 混合して用いることができる。

 トリアゾール骨格を有する化合物として 、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3 -アミノ-1H-1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリア ール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1- ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、 2,3-ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾー 、4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-カル キシル(-1H-)ベンゾトリアゾール、4-カルボ シル(-1H-)ベンゾトリアゾールメチルエステ 、4-カルボキシル(-1H-)ベンゾトリアゾールブ チルエステル、4-カルボキシル(-1H-)ベンゾト アゾールオクチルエステル、5-ヘキシルベ ゾトリアゾール、[1,2,3-ベンゾトリアゾリル- 1-メチル][1,2,4-トリアゾリル-1-メチル][2-エチ ヘキシル]アミン、トリルトリアゾール、ナ フトトリアゾール、ビス[(1-ベンゾトリアゾ ル)メチル]ホスホン酸、3-アミノトリアゾー 、5-メチルベンゾトリアゾール等を例示す ことができる。

 イミダゾール骨格を有する化合物として 、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾ ール、2-イソプロピルイミダゾール、2-プロ ルイミダゾール、2-ブチルイミダゾール、4- チルイミダゾール、2、4-ジメチルイミダゾ ル、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウン デシルイミダゾール、2-アミノイミダゾール を例示することができる。

 ピリミジン骨格を有する化合物としては ピリミジン、1,2,4-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジ ン、1,3,4,6,7,8-ヘキサハイドロ-2H-ピリミド[1,2- a]ピリミジン、1,3-ジフェニル-ピリミジン-2,4, 6-トリオン、1,4,5,6-テトラハイドロピリミジ 、2,4,5,6-テトラアミノピリミジンサルフェイ ト、2,4,5-トリハイドロキシピリミジン、2,4,6- トリアミノピリミジン、2,4,6-トリクロロピリ ミジン、2,4,6-トリメトキシピリミジン、2,4,6- トリフェニルピリミジン、2,4-ジアミノ-6-ヒ ロキシルピリミジン、2,4-ジアミノピリミジ 、2-アセトアミドピリミジン、2-アミノピリ ミジン、2-メチル-5,7-ジフェニル-(1,2,4)トリア ゾロ[1,5-a]ピリミジン、2-メチルサルファニル -5,7-ジフェニル-(1,2,4)トリアゾロ[1,5-a]ピリミ ン、2-メチルサルファニル-5,7-ジフェニル-4, 7-ジヒドロ-(1,2,4)トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン 4-アミノピラゾロ[3,4-d]ピリミジン等を例示 ることができる。

 グアニジン骨格を有する化合物としては 1,3-ジフェニルグアニジン、1-メチル-3-ニト グアニジン等を例示することができる。

 チアゾール骨格を有する化合物としては 2-メルカプトベンゾチアゾール、2-アミノチ アゾール、4,5-ジメチルチアゾール、2-アミノ -2-チアゾリン、2,4-ジメチルチアゾール、2-ア ミノ-4-メチルチアゾール等を例示することが できる。


 ピラゾール骨格を有する化合物としては、3 ,5-ジメチルピラゾール、3-メチル-5-ピラゾロ 、3-アミノ-5-メチルピラゾール、3-アミノ-5- ヒドロキシピラゾール、3-アミノ-5-メチルピ ゾール等を例示することができる。

 上記のうち、いわゆる通常の防食剤とし の機能に優れ、高い研磨速度と低いエッチ グ速度を両立できるという点では、1,2,3-ト アゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1H-1 ,2,4-トリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾ ル、ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベ ゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾー ル、4-アミノピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、1,2,4- トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、2-メチル-5,7-ジ ェニル-(1,2,4)トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、2 -メチルサルファニル-5,7-ジフェニル-(1,2,4)ト アゾロ[1,5-a]ピリミジンが好ましい。

 また、上記のように厚くて柔らかい反応 を形成するという観点では、1,2,3-トリアゾ ル、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1H-1,2,4-ト アゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、 ンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾト アゾール、5-メチルベンゾトリアゾールから 選択されるトリアゾール化合物を使用するこ とが好ましい。水溶性ポリマとしてポリアク リル酸系ポリマ(特にポリアクリル酸)を使用 る場合は、良好な反応層を形成することが きる点で、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリア ール、ベンゾトリアゾールがより好ましい

 金属防食剤の配合量は、エッチングを抑 しやすくなり、良好な反応層が形成できる で、金属用研磨液の総量を100重量%としたと き、0.001重量%以上であることが好ましく、0.0 1重量%以上であることがより好ましく、0.02重 量%以上であることがさらに好ましい。配合 が多すぎる場合は、金属膜表面に対する保 膜が強固になりすぎて実用レベルの研磨速 が得られない可能性があるため、そのよう 場合は、金属用研磨液の総量100重量%に対し 2.0重量%以下とすることが好ましい。

(金属の酸化剤)
 本発明で用いられる金属の酸化剤(以下、単 に酸化剤ということがある。)としては、配 金属である銅系金属を酸化できるものであ ばよく、具体的には例えば、過酸化水素、 硫酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、過 ウ素酸カリウム、次亜塩素酸及びオゾン水 が挙げられ、これらの中でも理想的な反応 を形成するのを補助できる点で、過酸化水 が特に好ましい。これら金属の酸化剤は1種 を単独で、又は2種類以上を混合して用いる ことができる。

 適用対象の基板が半導体素子を含むシリ ン基板である場合、アルカリ金属、アルカ 土類金属、ハロゲン化物などによる汚染は ましくないので、不揮発成分を含まない酸 剤が望ましい。但し、オゾン水は組成の時 変化が激しいので、このような観点におい も過酸化水素が最も適している。

 金属の酸化剤の配合量は、低い研磨荷重 おける研磨速度に影響を与えるので、慎重 選択する必要がある。従来知られている研 液においても、酸化剤は一般的に使用され ものであるが、その種類や好ましい配合量 研磨液や研磨対象によって異なることから らかなように、単に増やせばよいとか、減 せばよいといったものではない。

 図3は、横軸に研磨液の酸化剤濃度を、縦 軸に反応層硬さをプロットしたグラフである 。過酸化水素濃度は30重量%の過酸化水素水の 配合量によって調節し、実際の過酸化水素配 合量としてプロットした。図3において、白 きの丸(○)は分子量が180,000の、白抜きの三 (△)は分子量が63,000の水溶性ポリマと、金属 防食剤とを併用した研磨液のプロットである 。これらのうち、点Pは後述する実施例に記 した研磨液Eに、点Qは研磨液Aにそれぞれ相 し、他の点は、酸化剤濃度のみを変化させ 研磨液である。図3から明らかなように、ど 酸化剤濃度においても上記水溶性ポリマの 子量が大きい方が、反応層が柔らかくなる とがわかる。

 さらに、図3からわかることは、水溶性ポ リマと金属防食剤を併用する系においては、 酸化剤濃度が増えるに従って被研磨膜表面に 形成される反応層は硬くなる傾向がある。従 って、反応層を相対的に「柔らかく」するた めには、酸化剤の濃度は少ない方がよいこと になる。

 しかしながら、本発明者らは、水溶性ポ マと金属防食剤を併用する系においては、 磨荷重と酸化剤濃度に特異的な関係がある とを見いだした。図4は、横軸に研磨荷重を 、縦軸に銅膜の研磨速度をプロットしたグラ フであり、水溶性ポリマと金属防食剤を併用 する研磨液において、酸化剤としての過酸化 水素濃度を変えた場合に、研磨荷重と研磨速 度の関係がどのようになるかを調べたもので ある。酸化剤濃度は白抜きの丸(○)が3重量% 白抜きの四角(□)が9重量%、白抜きの三角(△ )が15重量%である。

 図4から明らかなように、これまで通常使 用されてきた研磨荷重(3psi近辺以上)の範囲に おいては、酸化剤の濃度が低いほど高い研磨 速度を示すが、研磨荷重が2psiを下回るあた から、酸化剤濃度の低い研磨液の研磨速度 急激に低下することがわかった。このよう 傾向を示す理由はこれまでのところわかっ いないが、少なくとも、単に反応層が柔ら いだけでは、低研磨荷重における充分な研 速度を得ることができないことを意味する

 以上のような観点から、本発明の金属用 磨液において使用される酸化剤の配合量は 反応層の厚みと硬さのバランスの観点で、 属用研磨液の総量を100重量%としたとき、7.0 重量%以上とすることが必要であり、7.5重量% 上であることが好ましく、8.0重量%以上であ ることがより好ましく、8.5重量%以上である とがさらに好ましい、9.0重量%以上であるこ が特に好ましい。また、酸化剤濃度が増え に従って被研磨膜表面に形成される反応層 硬くなる傾向があるため、配合量の上限と ては、良好な研磨速度が得られるという点 、金属用研磨液100重量部に対して20重量部 下とすることが好ましい。

 金属の酸化剤として最も好ましい過酸化 素を使用する場合においては、配合量は濃 から実際に過酸化水素が含まれる量を計算 る。すなわち過酸化水素は、通常、数%~数 %の水溶液として市販されているので、最終 に過酸化水素が上記の配合量となるように 水溶液を配合する。

(反応層:reaction layer)
 これまで説明してきたように、例えば1.5psi 下とか、1.0psi以下という低研磨荷重であっ も良好な研磨速度が得られること、研磨終 後の被研磨面の平坦性に優れること、及び/ 又は、初期研磨速度が高いことといった効果 を得るためには、「厚くて柔らかい」反応層 を形成するような研磨液組成にすることが重 要なファクターであると考えられる。この反 応層は,水溶性ポリマと金属防食剤と配線金 (例えば銅系金属)との三者錯体のようなもの であると推定される。

 反応層の厚みは、シリコン基板上に厚み5 00nm以上の銅箔を積層したウエハを研磨液に25 ℃12時間浸漬し、その後にウエハを水洗して 測サンプルを作製し、断面をSEMで観察する とによって得ることができる。厚みとして 、110nm以上であることが好ましく、120nm以上 であることがより好ましい。

 また、反応層の硬さとしては、上記と同 に研磨液に浸漬したウエハの表面を、ダイ ミック微小硬度計(ナノインテンダー)を用 て測定することができる。具体的には、1.5GP a以下が好ましく、1.4GPa以下がより好ましく 1.3GPa以下がさらに好ましく、1.2GPa以下が特 好ましい。

 上記厚みと硬さは、上記した好ましい範 を両方満たすことが好ましい。すなわち、 応層が「厚いが硬い」という場合、かえっ 研磨速度が低下してしまう傾向がある。逆 、「柔らかいが薄い」という場合、反応層 研磨されやすいものの研磨される反応層自 が少ないため、結局、研磨速度が低下する 向がある。

 従って、本発明の研磨液としては、水溶 ポリマと金属防食剤を少なくとも含有して り、シリコン基板上に厚み500nm以上の銅箔 積層したウエハを25℃で12時間浸漬したとき 、厚みが110nm以上、硬さ1.5Gpa以下の反応層 形成する特性を有してなることが好ましい

(砥粒)
 砥粒としては、例えば、シリカ、アルミナ ジルコニア、セリア、チタニア、ゲルマニ 、炭化珪素等の無機物砥粒、ポリスチレン ポリアクリル、ポリ塩化ビニル等の有機物 粒などが挙げられる。これらの中でも、シ カまたはアルミナが好ましく、コロイダル リカまたはコロイダルアルミナがより好ま い。

(一次粒子径)
 用いる砥粒の一次粒子の平均粒径(以下、単 に一次粒子径ということがある。)としては 研磨液中での分散安定性が良く、CMPにより 生する研磨傷(スクラッチ)の発生数の少ない 点で、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好 しく、30nm以下が特に好ましい。

 上記一次粒子径の測定方法としては、公 の透過型電子顕微鏡(例えば株式会社日立製 作所製のH-7100FA)により測定することができる 。例えば、上記電子顕微鏡を用いて、粒子の 画像を撮影し、所定数の任意の粒子について 二軸平均一次粒子径を算出し、これらの平均 値を求める。粒度分布が広い場合、上記所定 数は、平均値が安定する数量とするべきであ る。砥粒として、コロイダルシリカまたはコ ロイダルアルミナを用いる場合、一般に粒径 がそろっているため、測定する粒子数は例え ば20粒子程度でよい。

 選択した粒子が図5に示すような形状であっ た場合、粒子4に外接し、その長径が最も長 なるように配置した長方形(外接長方形5)を く。そしてその外接長方形5の長径をL、短径 をBとして、(L+B)/2として一粒子の二軸平均一 粒子径を算出する。この作業を任意の20粒 に対して実施し、得られた値の平均値を、 発明における二軸平均一次粒子径(R 1 )という。この操作はコンピュータプログラ で自動化することも可能である。

 また、この操作は、市販の画像処理ソフ を利用して求めてもよい。通常電子顕微鏡 真はグレースケールの画像データとして得 れるが、まず目視して各粒子の境界がわか 程度の画像データを用意する。次に、Adobe(R )社製Photoshop(R) 7.01などの画像処理ソフトで 記画像データを読み込み、イメージメニュ の色調補正を選択し、二階調化する境界の きい値を設定する。

 イメージメニューの色調補正を選択した き、二階調化ダイアログボックスに、選択 囲のピクセルの輝度レベルのヒストグラム 表示される。上記のように画像データがグ ースケールの場合、通常、ヒストグラムに 複数のピークが観測されるので、粒子の輪 を最もよく反映する値をしきい値として選 する。このようにして求めた粒子形状につ て、上記のように外接長方形を設定し、二 平均一次粒子径を算出することができる。

(粒度分布の標準偏差)
 さらに、前記砥粒は研磨特性及び取り扱い の点で粒径がそろっていることが好ましく 具体的には、平均粒度分布の標準偏差が10nm 以下であることが好ましく、5nm以下であるこ とがより好ましい。粒度分布の測定方法とし ては、研磨液中の砥粒をCOULTER Electronics社製 COULTER N4SDに投入し、粒度分布のチャートに より標準偏差の値を得ることができる。

(二次粒子径)
 用いる砥粒の二次粒子の平均粒径(以下、単 に二次粒子径ということがある。)は、研磨 の発生を抑えたり、研磨液の作製時に砥粒 分散しやすくなったりするという観点で、10 0nm以下であることが好ましく、80nm以下がよ 好ましく、60nm以下がさらに好ましい。なお ここでいう二次粒子径とは、研磨液に配合 る前の砥粒の二次粒子径をいうものであり 研磨液中における凝集体粒径を指すもので ない。

 上記二次粒子径は、例えば、上記砥粒を に分散させた試料を作製し、光回折散乱式 度分布計により測定することができる。具 的には例えば、COULTER Electronics社製のCOULTER N4SDを用いて、測定温度:20℃、溶媒屈折率:1.3 33(水)、粒子屈折率:Unknown(設定)、溶媒粘度:1.0 05cp(水)、Run Time:200秒、レーザ入射角:90°、Int ensity(散乱強度、濁度に相当):5E+04~4E+05の範囲 入るように測定し、4E+05よりも高い場合に 水で希釈して測定することができる。後述 るコロイダル粒子は、通常水に分散された 態で得られるので、これを上記濃度に適宜 釈して測定することもできる。

(会合度)
 本発明の研磨液に用いられる砥粒は、一次 子がある程度凝集した凝集粒子であること 好ましい。本発明の研磨液により形成され 「厚くて柔らかい」反応層を研磨する上で 、平坦性に優れる点で、粒子の会合度が1.1 上であることが好ましく、会合度が1.2以上 あることがより好ましい。会合度の上限は 使用する砥粒の一次粒子径によって異なり 二次粒子径が上記で説明した範囲に入って ればよい。通常、研磨液において粒子の凝 はあまり好まれない傾向にあるが、本発明 研磨液において、ある程度の凝集が好まし 理由は詳しくわかっていない。なお、上記 会合度は、これまで説明したようにして二 粒子径と一次粒子径を求め、その比(二次粒 子径/一次粒子径)として得ることができる。

(研磨液中の粒子径)
 本発明の研磨液は、上記砥粒が、研磨液中 おいても上記二次粒子径と同等の平均粒子 及び会合度を有していることが好ましい。 なわち、研磨液中における二次粒子径の中 値(以下スラリー粒径という)としては、100nm 以下であることが好ましく、80nm以下がより ましく、60nm以下がさらに好ましい。上記ス リー粒径の測定方法としては、例えば、マ バーンインストルメンツ社製のマスターサ ザ、堀場製作所製のLA-920等の、レーザ回折 粒度分布計で測定することができる。具体 には、例えば、相対屈折率:1.600の条件で、 子含有量1%以下の液について測定し、D50と て得られる値を、研磨中における二次粒子 の中央値(スラリー粒径)として求めることが できる。なお、砥粒としてシリカやアルミナ を使用する場合、粒子の存在状態は、原料時 と研磨液に分散した後で大きく変化しないの で、研磨液中の粒子径から原料の二次粒子径 を推測することができる。

(コロイダル粒子)
 コロイダルシリカまたはコロイダルアルミ は、粒径、粒度分布及び会合度を制御しや い点でも好ましく、また、これらの砥粒で れば、粒径、粒度分布及び会合度を制御し ときの効果が最も得られやすい。従って、 記で説明した、一次粒子径、二次粒子径、 度分布の標準偏差及び会合度の特性のうち 二種以上を兼ね備えるコロイダルシリカ又 コロイダルアルミナが好ましく、特性を三 以上兼ね備えることがより好ましく、全て ね備えることが最も好ましい。

 コロイダルシリカはシリコンアルコキシ の加水分解または珪酸ナトリウムのイオン 換による公知の製造方法により製造するこ ができ、粒径制御性やアルカリ金属不純物 点で、テトラメトキシシラン又はテトラエ キシシラン等のシリコンアルコキシドを加 分解する方法が最も利用される。また、コ イダルアルミナは硝酸アルミニウムの加水 解による公知の製造方法により製造するこ ができる。

(砥粒の濃度)
 本発明の研磨液は、金属防食剤と水溶性ポ マを併用したことによって増大した、研磨 ッドと被研磨面との間の摩擦力によって研 が進行するものであり、砥粒が実質的に含 れなくても良い。しかしながら、低い研磨 重に対する研磨速度、研磨初期における研 速度を得るためには、砥粒は微量含まれて ることが好ましい。このような観点で、本 明の研磨液における砥粒の含有量は、金属 用研磨液全重量を100重量%としたとき、0.01 量%以上であることが好ましく、0.05重量%以 であることが好ましく、0.1重量%以上である とがさらに好ましい。上限としては、研磨 度の観点では10重量%程度であるが、含有量 多いと研磨終了後の平坦性に劣る傾向があ ため、本発明の研磨液の特性を充分に活か ためには、1.0重量%以下の範囲で砥粒を含む ことが好ましい。

(酸化金属溶解剤)
 本発明で用いられる酸化金属溶解剤は、削 取られた配線金属の粒を溶解させることで 磨速度の促進に寄与していると推定され、 のような機能を有する化合物としては,例え ば、有機酸、有機酸エステル、有機酸のアン モニウム塩、無機酸、無機酸のアンモニウム 塩等が挙げられ、水溶性であれば特に制限は ない。

 酸化金属溶解剤の具体例としては、例えば マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコー 酸、グルタミン酸、グリコン酸、シュウ酸 酒石酸、ピコリン酸、ニコチン酸、マンデ 酸、ピコリン酸、酢酸、ギ酸、コハク酸、 ジピン酸、グルタル酸、安息香酸、キナル ン酸、酪酸、吉草酸、乳酸、フタル酸、フ ル酸、マレイン酸、アミノ酢酸、サリチル 、グリセリン酸、ピメリン酸等の有機酸、 れらの有機酸エステル、これら有機酸のア モニウム塩;
硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、塩酸等の無機酸、 これら無機酸のアンモニウム塩;
などが挙げられる。

 これらの中でも、有機酸が好適であり、 ンゴ酸、クエン酸、コハク酸がより好適で る。これら酸化金属溶解剤は、1種類を単独 で又は2種類以上を混合して用いることがで る。また、実用的な研磨速度を維持しつつ エッチング速度を効果的に抑制できるとい 点で、2種類以上の酸あるいはアンモニウム を混合することも有効である。

 酸化金属溶解剤の配合量は、本発明の金 用研磨液全体に対して、0.001~10重量%とする とが好ましく、より好ましくは0.01~1重量%、 特に好ましくは0.01~0.5重量%である。前記酸化 金属溶解剤の配合量が0.001重量%以上であれば 研磨速度の向上効果が見られる傾向にあり、 10重量%以下であればエッチング速度が大きく なりすぎるのを抑制することができ、配線金 属の腐食の進行を抑制できる傾向がある。

(pH)
 本発明の金属膜用研磨液のpHは、2.0~5.0の範 にあることが好ましい。前記pHが2.0以上で れば、金属の腐食や被研磨表面の荒れ等の 題を抑制し易くなる。金属の腐食や被研磨 面の荒れ等の問題を低減するために、上記 属防食剤の配合量を増やすことも考えられ が、研磨パッドと被研磨表面の間の摩擦が きくなりすぎることに起因する配線不良が 生する場合がある。一方、前記pHが5.0よりも 大きいと、金属の腐食作用が少ないので金属 防食剤の配合量を低減することができるが、 充分な研磨速度が得られにくい傾向にある。 従って、pHが5.0以下である方が、良好な研磨 度を得るために充分な厚さの反応層又は柔 かい反応層が得られやすいと考えられる。

 以上のような観点で、pHとしては2.0~5.0の 囲が好ましい。被研磨表面に生じる問題を 制する点ではpHは2.5以上であることが好ま く、3.0以上であることがさらに好ましい。 た、研磨速度を高める観点では、pHは4.5以下 であることが好ましく、4.3以下であることが さらに好ましい。以上より、全体的なバラン スを考慮すると、pHは2.5~4.5の範囲がより好ま しく、3.0~4.3の範囲が特に好ましい。なお、 磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式 会社製のModel pH81)により、標準緩衝液(フタ 酸塩pH緩衝液:pH4.21(25℃)、中性りん酸塩pH緩 液:pH6.86(25℃))を用いて、2点校正した後、電 を研磨液に入れて、2分以上経過して安定し た後の値を測定することで求められる。

(その他の添加剤)
 本発明の金属膜用研磨液には、上述した材 のほかに、界面活性剤、ビクトリアピュア ルー等の染料、フタロシアニングリーン等 顔料等の着色剤を含有させてもよい。

 本発明の金属膜用研磨液を適用して研磨 れる被研磨膜は、銅、銅合金、銅の酸化物 銅合金の酸化物から選ばれる少なくとも1種 であることが好ましい。銅、銅合金、銅の酸 化物、銅合金の酸化物は、公知のスパッタ法 、メッキ法により成膜できる。

 上記本発明の金属膜用研磨液は、1.5psi以 、特に1.0psi以下の低い研磨荷重下でも高速 研磨することができる。研磨荷重は特に限 されず、0.5psi~7psi(約3.5~50kPa)の範囲で適宜選 択することができる。比誘電率の小さい層間 絶縁膜及びこれらの層間絶縁膜を用いた積層 膜は機械的強度が低いため、研磨荷重として は1.5psi以下であることが好ましく、1.5psi未満 であることがより好ましく、1psi以下である とがさらに好ましく、0.5~1.0psiであることが に好ましく、0.8psi~1.0psiであることが極めて 好ましい。ただし、本発明の金属膜用研磨液 はこのような低い研磨荷重下でも高速で研磨 することができることが特長であって、低い 研磨荷重下において研磨をしなければならな いというわけではない。

(保管方法)
 本発明における研磨液は、上記各成分を複 の液に分けて準備し、研磨直前に、それぞ が所定の濃度になるように混合することも きる。成分によっては、予め混合しておく 安定性が悪くなったり、砥粒が凝集したり る可能性があるが、上記のように複数の液 分けて保存することでこれを解決できる。 た、希釈によって、用途に応じて各成分の を調整できる利点がある。具体的な分け方 しては、例えば、酸化剤を含む液Aと、酸化 剤以外の研磨液組成を配合した液Bに分けて 備し、研磨直前に所定に濃度になるように 合することができる。

(初期研磨速度)
 本発明の金属膜用研磨液は、研磨開始初期 例えば研磨開始60秒後の研磨速度が高く、 磨効率を向上することができる。かかる研 開始初期の研磨速度は、段差付きパターン 板を研磨した場合にも高い研磨速度を達成 ることができる。

 研磨初期の研磨速度が高いことの指標とし は、同一研磨荷重下における段差付きパタ ン基板の研磨速度(RR PTW )とパターン無し銅ブランケット基板の研磨 度(RR BTW )の比(RR PTW /RR BTW )が0.4以上であることが挙げられる。

 より具体的には、上記段差付きパターン 板としては、(1)シリコン基板上に膜厚350nm 二酸化珪素を形成し、深さ350nmで、100μmのラ インアンドスペースとなるように溝を形成し た基板/(2)バリア層として前記凹凸に追従す ように形成された膜厚25nmの窒化タンタル/(3) 前記凹凸を埋めるように堆積された膜厚8.5μm の銅膜、の層構造を有する8インチ径シリコ 基板が挙げられる。

 また、上記パターン無し銅ブランケット 板としては、(1)シリコン基板/(2)二酸化珪素 膜厚300nm/(3)バリア層:窒化タンタル膜厚25nm/(4) 銅膜厚1.5μmの膜構造を有する8インチ径シリ ン基板が挙げられる。これらの基板を、研 荷重2psiで、1分間CMP研磨した前後での銅膜厚 差を測定することで初期研磨速度を得ること ができる。

 なお、上記の初期研磨速度は、1psiのよう な低い研磨荷重でも観測できるが、研磨液に よる初期研磨速度の差が小さくなることがあ るので、傾向を知るためには、2psiのような り高い研磨荷重で観測することが好ましい

(研磨方法)
 本発明の研磨方法は、研磨定盤の研磨布上 本発明の金属膜用研磨液を供給しながら、 研磨膜を有する基板を研磨布に押圧した状 で研磨定盤と基板を相対的に動かすことに って被研磨膜を研磨する研磨方法である。

 研磨する装置としては、基板を保持する ルダ(ヘッド)と、研磨布(パッド)を貼り付け 可能でかつ回転数が変更可能なモータ等を取 り付けてある定盤とを有する一般的な研磨装 置が使用できる。研磨布としては、一般的な 不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹 脂などが使用でき、特に制限がないが、研磨 布に金属膜用研磨液がたまるような溝加工を 施すことが好ましい。

 研磨条件には制限はないが、定盤の回転 度は基板が飛び出さないように200rpm以下の 回転が好ましい。研磨荷重はこれまで説明 たとおりである。

 基板の被研磨膜を研磨布に押圧した状態 研磨布と被研磨膜とを相対的に動かすには 具体的には基板と研磨定盤との少なくとも 方を動かせば良い。研磨定盤を回転させる に、ホルダを回転や揺動させて研磨しても い。また、研磨定盤を遊星回転させる研磨 法、ベルト状の研磨布を長尺方向の一方向 直線状に動かす研磨方法等が挙げられる。 お、ホルダは固定、回転、揺動のいずれの 態でも良い。これらの研磨方法は、研磨布 被研磨膜とを相対的に動かすのであれば、 研磨面や研磨装置により適宜選択できる。

 本発明の金属膜用研磨液を研磨装置に供 する方法は、研磨している間、研磨布に金 膜用研磨液をポンプ等で連続的に供給でき ば特に限定されない。さらに、この供給量 制限はないが、研磨布の表面が常に金属膜 研磨液で覆われていることが好ましい。

 研磨終了後の基板は、流水中で良く洗浄 、スピンドライヤ等を用いて基板上に付着 た水滴を払い落としてから乾燥させること 好ましい。

 本発明の金属膜用研磨液は、LSI用の被研 膜の研磨に特に好適に用いることができる 、磁気ヘッド等の他の用途の被研磨膜の研 にも用いることができる。

 以下、実施例により本発明を説明する。 発明はこれらの実施例により限定されるも ではない。

実験例1
 研磨液全重量に対して、重量平均分子量が1 8万のポリアクリル酸を0.6重量%、1次粒子径17n m、2次粒子径の平均粒径が35nmのコロイダルシ リカ砥粒を0.17重量%、クエン酸を0.15重量%、1, 2,4-トリアゾールを0.08重量%、濃度30重量%の過 酸化水素水(試薬特級)を50重量%(過酸化水素の 量として15重量%)、濃度25重量%のアンモニア を0.08重量%および純水を加えて100重量%にな ように配合し、pH3.6の研磨液(A)を作製した。

 なお、コロイダルシリカはテトラエトキ シランのアンモニア溶液中での加水分解に り作製した。

 ポリアクリル酸の重量平均分子量の測定 、示差屈折計(株式会社日立製作所製、型番 L-3300)を備えたHPLCポンプ(株式会社日立製作所 製、L-7100)にGPCカラム(Shodex Asahipak GF-710HQ)を 続し、50mMリン酸水素二ナトリウム水溶液/ セトニトリル=90/10(V/V)混合液を移動相として 用い、流量:0.6ml/min、カラム温度:25℃にて行 た。

実験例2
 重量平均分子量が18万のポリアクリル酸に えて重量平均分子量が22万のポリアクリル酸 を用いること、クエン酸に替えてリンゴ酸を 用いること以外は、実験例1と同様に操作し 、pH3.6の研磨液(B)を作製した。

実験例3
 重量平均分子量が18万のポリアクリル酸に えて重量平均分子量が36万のポリアクリル酸 を用いること、クエン酸に替えてリンゴ酸を 用いること、1,2,4-トリアゾールに替えてベン ゾトリアゾールを用いること以外は、実験例 1と同様に操作して、pH3.6の研磨液(C)を作製し た。

実験例4
 重量平均分子量が18万のポリアクリル酸に えて重量平均分子量が12万のポリアクリル酸 を用いること、クエン酸に替えてコハク酸を 用いること、1,2,4-トリアゾールに替えてベン ゾトリアゾールを用いること以外は、実験例 1と同様に操作して、pH3.6の研磨液(D)を作製し た。

実験例5
 重量平均分子量が18万のポリアクリル酸に えて重量平均分子量が63,000のポリアクリル を用いること、クエン酸に替えてリンゴ酸 用いること以外は、実験例1と同様に操作し 、pH3.6の研磨液(E)を作製した。

実験例6
 濃度30重量%の過酸化水素水(試薬特級)を50重 量%に替えて30重量%(過酸化水素の量として9重 量%)にした以外は実験例1と同様に操作して、 pH3.6研磨液(F)を作製した。

実験例7
  濃度30重量%の過酸化水素水(試薬特級)を50 量%に替えて10重量%(過酸化水素の量として3 量%)にした以外は実験例1と同様に操作して pH3.6研磨液(G)を作製した。

実験例8
 1次粒子径17nm、2次粒子径の平均粒径が35nmの コロイダルシリカ砥粒に替えて1次粒子径25nm 2次粒子径の平均粒径が60nmにした以外は実 例1と同様に操作して、pH3.6研磨液(H)を得た

実験例9
 重量平均分子量が18万のポリアクリル酸に えて重量平均分子量が22万のアクリル酸とメ タクリル酸の共重合体(共重合体比90:10)を用 ること以外は、実験例1と同様に操作して、p H3.6研磨液(I)を得た。

実験例10
 重量平均分子量が18万のポリアクリル酸の 合量を0.6重量%から0.008重量%に替えたこと以 は、実験例1と同様に操作して、pH3.6研磨液( J)を得た。

実験例11
 重量平均分子量が18万のポリアクリル酸の 合量を0.6重量%から0.4重量%に替えたこと以外 は、実験例1と同様に操作して、pH3.6研磨液(K) を得た。

実験例12
 重量平均分子量が18万のポリアクリル酸の 合量を0.6重量%から0.07重量%に替えたこと以 は、実験例1と同様に操作して、pH3.6研磨液(L )を得た。

 これらの組成をまとめたものを表1、表2に す。

 実験例1~12で得られた研磨液(A)~(L)を用い 、以下の方法により研磨性能を評価した。

(研磨条件)
 基体(I):パターン無し8インチ径ブランケッ シリコン基板
(膜構造:シリコン基板/二酸化珪素膜厚300nm/バ リア層:窒化タンタル膜厚25nm/銅膜厚1.5μm)
 基体(II):パターン付8インチ径シリコン基板( シリコン基板/深さ350nmの溝が形成された膜厚 350nmの二酸化珪素/バリア層:窒化タンタル膜 25nm/銅膜厚8.5μm)
 なお、上記基体(II)は、シリコン基板に、層 間絶縁膜として厚さ350nmの二酸化珪素膜をCVD により形成した。この層間絶縁層にフォト ソ法によって、配線金属部幅100μm、層間絶 部幅100μmが交互に並ぶように、溝深さ350nm 形成して表面に凹部(溝部分)凸部(非溝部分) 形成した。さらにこの表面にそって、スパ タ法によってバリア層として厚さ25nmの窒化 タンタル膜を形成した。前記窒化タンタル膜 の上にめっき法により前記溝を全て埋めるよ うに導電性物質層として銅膜8.5μmを形成した ものである。

 また、表中、BTWはブランケットウエハを し、PTWはパターンウエハを表す。

 研磨パッド:ロデール社製、型番IC1010
 研磨荷重:2psi(約14.0kPa)、1psi(約7.0kPa)
 研磨定盤回転数:93rpm
 ウエハを装着したヘッド回転数:87rpm
 研磨液供給量:200ml/分
(研磨液の評価項目)
(1)研磨速度:基体(I)を上記研磨液で研磨荷重2p si又は1psiで、1分間CMP研磨した前後での銅の 厚の差を電気抵抗値から換算して求めた。

(2)初期研磨速度:基体(II)を上記研磨液で研 荷重2psiで、1分間CMP研磨した前後での銅の 厚の差を電気抵抗値から換算して求めた。

(3)ディッシング量:基体(II)表面で凸部の窒 タンタルのバリア層が露出するまで研磨を った。次に触針式段差計で配線金属部幅100 m、絶縁膜部幅100μmが交互に並んだストライ 状パターン部の表面形状から、絶縁膜部に する配線金属部の膜減り量(ディッシング量 )を求めた。

 以上(1)~(3)の評価結果を表3に示す。

 実験例1~3、6、8、9、11、12では、ブランケ ット基板に対して研磨荷重が2psi(約14.0kPa)、1p si(約7.0kPa)ともに高い研磨速度を示すととも 、パターン付基板に対しても高い初期研磨 度が得られ、且つ良好なディッシング特性 得られた。

 重量平均分子量が120,000のポリアクリル酸 を使用する実験例4は、ブランケット基板に しては、研磨荷重1psiでの研磨速度が、研磨 重2psiでの研磨速度と比較して急激に低下し ている。また、パターン付基板に対しては初 期研磨速度が低下した。重量平均分子量が63, 000のポリアクリル酸を使用する実験例5は、 ランケット基板に対しては研磨荷重が2psi、1 psiともに研磨速度が低下し、パターン付基板 に対しては初期研磨速度が低下した。

 過酸化水素濃度を3重量%にした実験例7は 研磨荷重1psiでは研磨速度が低下し、他の研 磨液と比較してディッシング量が悪化した。 また、ポリアクリル酸の配合量を0.008重量%に した実験例10は、ブランケット基板に対して 研磨荷重が2psi、1psiともに研磨速度が低下 、パターン付基板に対しては初期研磨速度 低下し、研磨時間を200秒以上と長くしても リア膜が露出しなかった。実験例12は、水溶 性ポリマの配合量が低いため、やや研磨速度 が遅いが、さらに添加量の少ない実験例10と 較すると、2psiにおける研磨速度と1psiにお る研磨速度の差が、2倍以下と小さくなり、 期研磨速度も向上している。

 (4)パターンウエハの2段目研磨
 実験例1~12で得られた研磨液(A)~(L)を用いて 基体(II)を下記研磨条件にて研磨荷重2psiで、 銅膜の残膜厚が2000Åになるまで研磨した後 研磨荷重を1psiに下げて研磨を行い、表面全 で窒化タンタルのバリア層が露出するまで 時間を測定した。

 次に触針式段差計で配線金属部幅100μm、 縁膜部幅100μmが交互に並んだストライプ状 ターン部の表面形状から、絶縁膜部に対す 配線金属部の膜減り量(ディッシング量)を めた。結果を表4に示す。

(研磨条件)
 研磨パッド:ロデール社製、型番IC1010
 研磨定盤回転数:93rpm
 ウエハを装着したヘッド回転数:87rpm
 研磨液供給量:200ml/分

 上記研磨時間は、銅膜の残膜厚が2000Åで 研磨荷重を1psiに下げて研磨を開始してから 窒化タンタルのバリア層が露出するまでの 間である。

 実験例1~3、6、8、9、11、12では、パターン 付基板に対して研磨荷重が1psiにおいて高い 磨速度が得られ、且つ良好なディッシング 性が得られた。重量平均分子量が120,000のポ アクリル酸を使用する実験例4及び重量平均 分子量が63,000のポリアクリル酸を使用する実 験例5は、良好なディッシング特性を示した のの、実験例1~3と比較して研磨時間が長く 高い研磨速度が得られなかった。また、過 化水素水濃度を10重量%にした実験例7、ポリ クリル酸の配合量を0.008重量%にした実験例1 0においても実験例1~3、6、8、9、11、12と比較 て研磨時間が長くなった。実験例7はディッ シング特性も劣っていた。実験例12では水溶 ポリマの添加量が少ないため、研磨時間が 干遅いが、実験例10においては200秒と長い 間研磨してもバリア膜が露出しなかったこ からすれば、研磨速度は大幅に改善されて る。

 また、反応層の厚みは、シリコン基板上に み500nm以上の銅箔を積層したウエハを、組 が類似する研磨液A、E、F及びGのそれぞれに 25℃12時間浸漬し、その後にウエハを水洗し て観測サンプルを作製し、断面をSEMで観察し て反応層の厚みを求めた。また、上記と同様 にそれぞれの研磨液に浸漬したウエハの表面 を、ダイナミック微小硬度計(ナノインテン ー)を用いて、反応層の硬度を測定した。結 を、組成の一部及び表3の評価と共に、表5 示す。

 研磨液Eは、研磨液Aと比較して重量平均 子量が小さいので、反応層が薄くなってし い、研磨荷重が高圧でも低圧でも研磨速度 遅い。またパターン付き基板の初期研磨速 も低い。研磨液Fは、研磨液Aと比べて酸化剤 が少ないので、反応層が柔らかくなる。そし て、酸化剤も充分に配合されているので反応 層の厚みもある程度有り、良好な研磨速度で ある。実験例7は、酸化剤が少なく、反応層 柔らかいため高圧であれば研磨速度が速い 、酸化剤が少なすぎるため、反応層の厚み 薄く、低圧における研磨速度が遅い。

産業上の利用の可能性

 本発明により、1psi以下の低い研磨荷重下 でも高速に研磨できる金属膜用研磨液及びそ れを用いた研磨方法を提供することができる 。

 また、本発明により、研磨後の被研磨膜 平坦性に優れる金属膜用研磨液及びそれを いた研磨方法を提供することができる。

 また、本発明により、研磨開始初期から い研磨速度が得られる金属膜用研磨液及び れを用いた研磨方法を提供することができ 。