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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR MANUFACTURING PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113292
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for manufacturing a plasma display panel, wherein a protective layer (9) is formed by depositing a base film (91) on a dielectric layer (8), then forming a crystal particle paste film on the base film by applying thereto a crystal particle paste in which a plurality of crystal particles (92a) composed of a metal oxide are dispersed, and then firing the base film and the crystal particle paste film. By this method, the plurality of crystal particles can be adhered to the base film in such a manner that the crystal particles are distributed all over the base film. The crystal particle paste has a viscosity at a shear rate of 1.0 s-1 of not less than 1 Pa ⋅ s but not more than 30 Pa ⋅ s.

Inventors:
ISHINO SHINICHIRO
MIZOKAMI KANAME
SAKAMOTO KOYO
SHIOKAWA AKIRA
KADO HIROYUKI
OOE YOSHINAO
KAWARAZAKI HIDEJI
UETANI KAZUO
Application Number:
PCT/JP2009/001053
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
ISHINO SHINICHIRO
MIZOKAMI KANAME
SAKAMOTO KOYO
SHIOKAWA AKIRA
KADO HIROYUKI
OOE YOSHINAO
KAWARAZAKI HIDEJI
UETANI KAZUO
International Classes:
H01J9/02; H01J11/02; H01J11/12; H01J11/22; H01J11/24; H01J11/26; H01J11/34; H01J11/40
Foreign References:
JP2008053012A2008-03-06
JP2007109410A2007-04-26
JP2007280730A2007-10-25
JP2004179170A2004-06-24
JP2007035655A2007-02-08
JPH0877933A1996-03-22
JP2007063503A2007-03-15
JPH07296718A1995-11-10
JP2007048733A2007-02-22
Other References:
See also references of EP 2136386A4
Attorney, Agent or Firm:
IWAHASHI, Fumio et al. (JP)
Fumio Iwahashi (JP)
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Claims:
基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともに前記誘電体層上に保護層を形成した前面板と、
前記前面板に放電空間を形成するように対向配置されかつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに、前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板と
を有し、
前記保護層は、
前記誘電体層上に下地膜を蒸着した後、前記下地膜上に、金属酸化物からなる結晶粒子を溶剤に分散させた結晶粒子ペーストを塗布することにより結晶粒子ペースト膜を形成し、
その後前記結晶粒子ペースト膜を加熱して溶剤を除去することで、前記結晶粒子を全面に亘って分布するように複数個付着させ
前記結晶粒子ペーストは剪断速度1.0s -1 の粘度が1Pa・s以上で30Pa・s以下であるプラズマディスプレイパネルの製造方法。
前記結晶粒子は、平均粒径が0.9μm以上で2μm以下である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
前記下地膜はMgOにより構成した請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
Description:
プラズマディスプレイパネルの 造方法

 本発明は、表示デバイスなどに用いるプ ズマディスプレイパネルの製造方法に関す 。

 プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと 呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能 あることから、65インチクラスのテレビなど で製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC 式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフ ニションテレビへの適用が進んでいるとと に、環境問題に配慮して鉛成分を含まないP DPが要求されている。

 PDPは、基本的には、前面板と背面板とで 成されている。前面板は、フロート法によ 硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と ガラス基板の一方の主面上に形成されたス ライプ状の透明電極とバス電極とで構成さ る表示電極と、表示電極を覆ってコンデン としての働きをする誘電体層と、誘電体層 に形成された酸化マグネシウム(MgO)からな 保護層とで構成されている。一方、背面板 、ガラス基板と、その一方の主面上に形成 れたストライプ状のアドレス電極と、アド ス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体 上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成さ た赤色、緑色および青色それぞれに発光す 蛍光体層とで構成されている。

 前面板と背面板とはその電極形成面側を対 させて気密封着され、隔壁によって仕切ら た放電空間にNe-Xeの放電ガスが400Torr~600Torr 圧力で封入されている。PDPは、表示電極に 像信号電圧を選択的に印加することによっ 放電させ、その放電によって発生した紫外 が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青 の発光をさせてカラー画像表示を実現して る(特許文献1参照)。

特開2007-48733号公報

 プラズマディスプレイパネルの製造方法は 基板上に形成した表示電極を覆うように誘 体層を形成するとともに誘電体層上に保護 を形成した前面板と、前面板に放電空間を 成するように対向配置されかつ表示電極と 差する方向にアドレス電極を形成するとと に放電空間を区画する隔壁を設けた背面板 を有し、保護層は、誘電体層上に下地膜を 着した後、下地膜上に金属酸化物からなる 晶粒子を溶剤に分散させた結晶粒子ペース を塗布することにより結晶粒子ペースト膜 形成し、その後結晶粒子ペースト膜を加熱 て溶剤を除去することで結晶粒子を全面に って分布するように複数個付着させ、結晶 子ペーストは剪断速度1.0s -1 の粘度が1Pa・s以上で30Pa・s以下である。

図1は本発明の実施の形態におけるPDPの 構造を示す斜視図である。 図2は本発明の実施の形態におけるPDPの 前面板の構成を示す断面図である。 図3は本発明の実施の形態におけるPDPの 保護層部分を拡大して示す説明図である。 図4は本発明の実施の形態におけるPDPの 保護層において、凝集粒子を説明するための 拡大図である。 図5は結晶粒子のカソードルミネッセン ス測定結果を示す特性図である。 図6は本発明による効果を説明するため に行った実験結果において、PDPにおける電子 放出特性とVscn点灯電圧の検討結果を示す特 図である。 図7は結晶粒子の粒径と電子放出特性の 関係を示す特性図である。 図8は結晶粒子の粒径と隔壁の破損の発 生率との関係を示す特性図である。 図9は本発明によるPDPにおいて、凝集粒 子の粒度分布の一例を示す特性図である。 図10は本発明によるPDPの製造方法にお て、保護層形成の工程を示す工程図である

符号の説明

 1  PDP
 2  前面板
 3  前面ガラス基板
 4  走査電極
 4a,5a  透明電極
 4b,5b  金属バス電極
 5  維持電極
 6  表示電極
 7  ブラックストライプ(遮光層)
 8  誘電体層
 9  保護層
 10  背面板
 11  背面ガラス基板
 12  アドレス電極
 13  下地誘電体層
 14  隔壁
 15  蛍光体層
 16  放電空間
 81  第1誘電体層
 82  第2誘電体層
 91  下地膜
 92  凝集粒子
 92a  結晶粒子

 PDPにおいて、前面板の誘電体層上に形成 れる保護層は、放電によるイオン衝撃から 電体層を保護すること、アドレス放電を発 させるための初期電子を放出することなど 機能を有する。イオン衝撃から誘電体層を 護することは、放電電圧の上昇を防ぐ重要 役割であり、またアドレス放電を発生させ ための初期電子を放出することは、画像の らつきの原因となるアドレス放電ミスを防 重要な役割である。

 保護層からの初期電子の放出数を増加さ て画像のちらつきを低減するためには、た えばMgOにSiやAlを添加するなどの試みが行わ れている。

 近年、テレビは高精細化がすすんでおり 市場では低コスト・低消費電力・高輝度の ルHD(ハイディフィニション)(1920×1080画素:プ ログレッシブ表示)PDPが要求されている。保 層からの電子放出特性はPDPの画質を決定す ため、電子放出特性を制御することは非常 重要である。

 本発明はこのような課題に鑑みなされた ので、高精細で高輝度の表示性能を備え、 つ低消費電力のPDPを実現する。

 以下、本発明の一実施の形態におけるPDP ついて図面を用いて説明する。

 図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構 造を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一 般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりな る前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる 背面板10とが対向して配置され、その外周部 ガラスフリットなどからなる封着材によっ 気密封着されている。封着されたPDP1内部の 放電空間16には、NeおよびXeなどの放電ガスが 400Torr~600Torrの圧力で封入されている。

 前面板2の前面ガラス基板3上には、走査 極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表 示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互 に平行にそれぞれ複数列配置されている。 面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7と 覆うようにコンデンサとしての働きをする 電体層8が形成され、さらに誘電体層8の表面 に酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層9 が形成されている。

 また、背面板10の背面ガラス基板11上には 、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交 する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が いに平行に配置され、下地誘電体層13がア レス電極12を被覆している。さらに、アドレ ス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16 を区切る所定の高さの隔壁14が形成されてい 。隔壁14間の溝にアドレス電極12毎に、紫外 線によって赤色、緑色および青色にそれぞれ 発光する蛍光体層15が順次塗布して形成され いる。走査電極4および維持電極5とアドレ 電極12とが交差する位置に放電セルが形成さ れ、表示電極6方向に並んだ赤色、緑色、青 の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示 のための画素になる。

 図2は、本発明の一実施の形態におけるPDP1 前面板2の構成を示す断面図であり、図2は図 1と上下反転させて示している。図2に示すよ に、フロート法などにより製造された前面 ラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりな 表示電極6と遮光層7がパターン形成されて る。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジ ウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO 2 )などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a 5a上に形成された金属バス電極4b、5bとによ 構成されている。金属バス電極4b、5bは透明 極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的 として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする 電性材料によって形成されている。

 誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成 れたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4 b、5bと遮光層7を覆うように設けられた第1誘 体層81と、第1誘電体層81上に形成された第2 電体層82の少なくとも2層の構成である。さ に第2誘電体層82上に保護層9が形成されてい る。保護層9は、誘電体層8上に形成された下 膜91と、下地膜91上に付着された凝集粒子92 構成されている。

 次に、PDPの製造方法について説明する。 ず、前面ガラス基板3上に、走査電極4およ 維持電極5と遮光層7とが形成される。これら の透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フ トリソグラフィ法などを用いてパターニン して形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロ セスなどを用いて形成され、金属バス電極4b 5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所定の温度 焼成して固化されている。また、遮光層7も 同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリー ン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全 面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用 いてパターニングし、焼成することにより形 成される。

 次に、走査電極4、維持電極5および遮光 7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペ ーストをダイコート法などにより塗布して誘 電体ペースト層(誘電体材料層)が形成される 誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間 置することによって塗布された誘電体ペー ト表面がレベリングされて平坦な表面にな 。その後、誘電体ペースト層を焼成固化す ことにより、走査電極4、維持電極5および 光層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、 誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材 料、バインダおよび溶剤を含む塗料である。 次に、誘電体層8上に酸化マグネシウム(MgO)か らなる保護層9が真空蒸着法により形成され 。以上のステップにより前面ガラス基板3上 所定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光 7、誘電体層8、保護層9)が形成され、前面板 2が完成する。

 一方、背面板10は次のようにして形成さ る。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材 を含むペーストをスクリーン印刷する方法 どで、金属膜を全面に形成した後、フォト ソグラフィ法を用いてパターニングする方 などによりアドレス電極12用の構成物となる 材料層が形成される。そうして、その材料層 を所定の温度で焼成することによりアドレス 電極12が形成される。次に、アドレス電極12 形成された背面ガラス基板11上にダイコート 法などによりアドレス電極12を覆うように誘 体ペーストを塗布して誘電体ペースト層が 成される。その後、誘電体ペースト層を焼 することにより下地誘電体層13が形成され 。なお、誘電体ペーストはガラス粉末など 誘電体材料とバインダおよび溶剤を含んだ 料である。

 次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含 隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状 パターニングすることにより、隔壁材料層 形成した後、焼成することにより隔壁14が形 成される。ここで、下地誘電体層13上に塗布 た隔壁用ペーストをパターニングする方法 しては、フォトリソグラフィ法やサンドブ スト法を用いることができる。次に、隣接 る隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14 側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを 布し、焼成することにより蛍光体層15が形 される。以上のステップにより、背面ガラ 基板11上に所定の構成部材を有する背面板10 完成する。

 このようにして所定の構成部材を備えた 面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電 極12とが直交するように対向配置して、その 囲をガラスフリットで封着し、放電空間16 Ne、Xeなどを含む放電ガスを封入することに りPDP1が完成する。

 ここで、前面板2の誘電体層8を構成する第1 電体層81と第2誘電体層82について詳細に説 する。第1誘電体層81の誘電体材料は、次の 料組成より構成されている。すなわち、酸 ビスマス(Bi 2 O 3 )を20重量%~40重量%を含み、酸化カルシウム(CaO )、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(Ba O)から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%~12重 %含み、酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、二酸化マンガン(MnO 2 )から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%~7重量% 含んでいる。

 なお、酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、二酸化マンガン(MnO 2 )に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr 2 O 3 )、酸化コバルト(Co 2 O 3 )、酸化バナジウム(V 2 O 7 )、酸化アンチモン(Sb 2 O 3 )から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%~7重量% 含ませてもよい。

 また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO )を0重量%~40重量%、酸化硼素(B 2 O 3 )を0重量%~35重量%、酸化硅素(SiO 2 )を0重量%~15重量%、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )を0重量%~10重量%など、鉛成分を含まない材 組成が含まれていてもよく、これらの材料 成の含有量に特に限定はない。

 これらの組成成分からなる誘電体材料を 湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径 0.5μm~2.5μmとなるように粉砕して誘電体材料 粉末が作製される。次にこの誘電体材料粉末 55重量%~70重量%と、バインダ成分30重量%~45重 %とを三本ロールでよく混練してダイコート 、または印刷用の第1誘電体層用ペーストが 作製される。

 バインダ成分はエチルセルロース、また アクリル樹脂1重量%~20重量%を含むターピネ ール、またはブチルカルビトールアセテー である。また、第1誘電体層用ペースト中に は、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオ クチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェ ニル、リン酸トリブチルの少なくとも1つを 加し、分散剤としてグリセロールモノオレ ト、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲ ール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキ ルアリル基のリン酸エステルの少なくとも1 を添加して印刷性を向上させてもよい。

 次に、この第1誘電体層用ペーストを、表 示電極6を覆うように前面ガラス基板3にダイ ート法あるいはスクリーン印刷法で印刷し 乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点よ 少し高い温度の575℃~590℃で焼成する。

 次に、第2誘電体層82について説明する。第2 誘電体層82の誘電体材料は、次の材料組成よ 構成されている。すなわち、第2誘電体層82 誘電体材料は、酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )を11重量%~20重量%を含み、さらに、酸化カル ウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バ リウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を1.6重 量%~21重量%含み、酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%~7重量% 含んでいる。

 なお、第2誘電体層82の誘電体材料は、酸化 リブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr 2 O 3 )、酸化コバルト(Co 2 O 3 )、酸化バナジウム(V 2 O 7 )、酸化アンチモン(Sb 2 O 3 )、酸化マンガン(MnO 2 )から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%~7重量% 含んでもよい。

 また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO )を0重量%~40重量%、酸化硼素(B 2 O 3 )を0重量%~35重量%、酸化硅素(SiO 2 )を0重量%~15重量%、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )を0重量%~10重量%など、鉛成分を含まない材 組成が含まれていてもよく、これらの材料 成の含有量に特に限定はない。

 これらの組成成分からなる誘電体材料を 湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径 0.5μm~2.5μmとなるように粉砕して誘電体材料 粉末が作製される。次にこの誘電体材料粉末 55重量%~70重量%と、バインダ成分30重量%~45重 %とを三本ロールでよく混練してダイコート 、または印刷用の第2誘電体層用ペーストが 作製される。バインダ成分はエチルセルロー ス、またはアクリル樹脂1重量%~20重量%を含む ターピネオール、またはブチルカルビトール アセテートである。また、第2誘電体層用ペ スト中には、必要に応じて可塑剤としてフ ル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン トリフェニル、リン酸トリブチルを添加し 分散剤としてグリセロールモノオレート、 ルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(K aoコーポレーション社製品名)、アルキルアリ ル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性 を向上させてもよい。

 次にこの第2誘電体層用ペーストを第1誘 体層81上にスクリーン印刷法であるいはダイ コート法で印刷して乾燥させ、その後、誘電 体材料の軟化点より少し高い温度の550℃~590 で焼成する。

 なお、誘電体層8の膜厚については、第1誘 体層81と第2誘電体層82とを合わせて、可視光 透過率を確保するためには41μm以下が好まし 。第1誘電体層81は、金属バス電極4b、5bの銀 (Ag)との反応を抑制するために酸化ビスマス(B i 2 O 3 )の含有量を第2誘電体層82の酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )の含有量よりも多くし、20重量%~40重量%とし いる。そのため、第1誘電体層81の可視光透 率が第2誘電体層82の可視光透過率よりも低 なるので、第1誘電体層81の膜厚を第2誘電体 層82の膜厚よりも薄くしている。

 なお、第2誘電体層82において酸化ビスマス( Bi 2 O 3 )が11重量%以下であると着色は生じにくくな が、第2誘電体層82中に気泡が発生しやすく ましくない。また、第1誘電体層81の酸化ビ マス(Bi 2 O 3 )の含有量が40重量%を超えると着色が生じや くなり透過率を上げる目的には好ましくな 。

 また、誘電体層8の膜厚が小さいほどパネ ル輝度の向上と放電電圧を低減するという効 果は顕著になるので、絶縁耐圧が低下しない 範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定 するのが望ましい。このような観点から、本 発明の実施の形態では、誘電体層8の膜厚を41 μm以下に設定し、第1誘電体層81を5μm~15μm、 2誘電体層82を20μm~36μmとしている。

 このようにして製造されたPDPは、表示電 6に銀(Ag)材料を用いても、前面ガラス基板3 着色現象(黄変)が少なくて、なおかつ、誘 体層8中に気泡の発生などがない。従って、 縁耐圧性能に優れた誘電体層8を実現するこ とができる。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDPにお て、これらの誘電体材料によって第1誘電体 層81において黄変や気泡の発生が抑制される 由について考察する。酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )を含む誘電体ガラスに酸化モリブデン(MoO 3 )、または酸化タングステン(WO 3 )を添加することによって、Ag 2 MoO 4 、Ag 2 Mo 2 O 7 、Ag 2 Mo 4 O 13 、Ag 2 WO 4 、Ag 2 W 2 O 7 、Ag 2 W 4 O 13 といった化合物が580℃以下の低温で生成しや すいことが知られている。本発明の実施の形 態では、誘電体層8の焼成温度が550℃~590℃で ることから、焼成中に誘電体層8中に拡散し た銀イオン(Ag + )は誘電体層8中の酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )酸化セリウム(CeO 2 )、酸化マンガン(MnO 2 )と反応し、安定な化合物を生成して安定化 る。すなわち、銀イオン(Ag + )が還元されることなく安定化されるために 凝集してコロイドを生成することがない。 たがって、銀イオン(Ag + )が安定化することによって、銀(Ag)のコロイ 化に伴う酸素の発生も少なくなるため、誘 体層8中への気泡の発生も少なくなる。

 一方、これらの効果を有効にするためには 酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )を含む誘電体ガラス中に酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、酸化マンガン(MnO 2 )の含有量を0.1重量%以上にすることが好まし が、0.1重量%以上7重量%以下がさらに好まし 。特に、0.1重量%未満では黄変を抑制する効 果が少なく、7重量%を超えるとガラスに着色 起こり好ましくない。

 すなわち、本発明の実施の形態におけるP DPの誘電体層8は、銀(Ag)材料よりなる金属バ 電極4b、5bと接する第1誘電体層81では黄変現 と気泡発生を抑制している。また、誘電体 8は第1誘電体層81上に設けた第2誘電体層82に よって高い光透過率を実現している。その結 果、誘電体層8全体として、気泡や黄変の発 が極めて少なく透過率の高いPDPを実現する とが可能となる。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDPの 徴である保護層の構成及び製造方法につい 説明する。

 本発明の実施の形態におけるPDPにおいて 、図3に示すように、保護層9は、誘電体層8 に、不純物としてAlを含有するMgOからなる 地膜91を形成するとともに、その下地膜91上 、金属酸化物であるMgOの結晶粒子92aが数個 集した凝集粒子92を離散的に散布させ、全 に亘ってほぼ均一に分布するように付着さ ることにより構成している。

 ここで、凝集粒子92とは、図4に示すよう 、所定の一次粒径の結晶粒子92aが凝集また ネッキングした状態のものである。固体と て大きな結合力を持って結合しているので なく、静電気やファンデルワールス力など よって複数の一次粒子が集合体の体をなし いるもので、超音波などの外的刺激により その一部または全部が一次粒子の状態にな 程度で結合している。凝集粒子92の粒径と ては、約1μm程度のもので、結晶粒子92aとし は、14面体や12面体などの7面以上の面を持 多面体形状を有するのが望ましい。

 また、このMgOの結晶粒子92aの一次粒子の 径は、結晶粒子92aの生成条件によって制御 きる。例えば、炭酸マグネシウムや水酸化 グネシウムなどのMgO前駆体を焼成して生成 る場合、焼成温度や焼成雰囲気を制御する とで、粒径を制御できる。一般的に、焼成 度は700℃程度から1500℃程度の範囲で選択で きるが、焼成温度が比較的高い1000℃以上に ることで、一次粒径を0.3~2μm程度に制御可能 である。さらに、MgO前駆体を加熱して結晶粒 子92aを得ることで、生成過程において、複数 個の一次粒子同士が凝集またはネッキングと 呼ばれる現象により結合した凝集粒子92を得 ことができる。

 次に、本発明の実施の形態による保護層 有するPDPの効果を確認するために行った実 結果について説明する。

 まず、構成の異なる保護層を有するPDPを 作した。試作品1は、MgOによる保護層のみを 形成したPDPである。試作品2は、Al、Siなどの 純物をドープしたMgOによる保護層を形成し PDPである。試作品3は、MgOによる下地膜91上 金属酸化物からなる結晶粒子の一次粒子の を散布し、付着させたPDPである。試作品4は 本発明品で、MgOによる下地膜上に、上述した ように、凝集粒子と分散溶剤とからなる結晶 粒子ペーストを塗布することにより結晶粒子 ペースト膜を形成し、その後下地膜と結晶粒 子ペースト膜を焼成することにより、結晶粒 子を凝集させた凝集粒子を全面に亘ってほぼ 均一に分布するように付着させたPDPである。 凝集粒子は、金属酸化物からなる複数個の結 晶粒子が凝集したものである。分散溶剤は、 凝集粒子を分散させるための溶剤であって、 エーテル結合を有する脂肪族アルコール系溶 剤または2価以上のアルコール系溶剤のいず かに分類されるものである。なお、試作品3 4において、金属酸化物としては、MgOの単結 晶粒子が用いられている。また、この実施の 形態による試作品4に用いた結晶粒子につい 、カソードルミネッセンスを測定したとこ 、図5に示すような波長に対する発光強度の 性を有していた。なお、発光強度は相対値 表示されている。

 これらの4種類の保護層の構成を有するPDP について、その電子放出性能と電荷保持性能 を調べた。

 なお、電子放出性能は、大きいほど電子 出量が多いことを示す数値で、放電の表面 態及びガス種とその状態によって定まる初 電子放出量をもって表現される。初期電子 出量については表面にイオン或いは電子ビ ムを照射して表面から放出される電子電流 を測定する方法で測定できるが、パネルの 面板表面の評価を非破壊で実施することが 難を伴う。そこで、ここでは、特開2007-48733 号公報に記載されているように、放電時の遅 れ時間のうち、統計遅れ時間と呼ばれる放電 の発生しやすさの目安となる数値が測定され る。そうして、その数値の逆数を積分するこ とで、初期電子の放出量と線形に対応する数 値が算出される。そのため、ここではこの算 出された数値を用いて電子放出量が評価され ている。この放電時の遅れ時間とは、パルス の立ち上がりから放電が遅れて行われる放電 遅れの時間を意味する。放電遅れは、放電が 開始される際にトリガーとなる初期電子が保 護層表面から放電空間中に放出されにくいこ とが主要な要因として考えられている。

 また、電荷保持性能は、その指標として PDPとして作製した場合に電荷放出現象を抑 るために必要とする、走査電極に印加する 圧(以下Vscn点灯電圧と呼称する)の電圧値が いられた。すなわち、Vscn点灯電圧の低い方 が電荷保持性能が高いことを示す。このこと は、PDPのパネル設計上でも低電圧で駆動でき るため、電源や各電気部品として、耐圧およ び容量の小さい部品を使用することが可能と なる。現状の製品において、走査電圧を順次 パネルに印加するためのMOSFETなどの半導体ス イッチング素子には、耐圧150V程度の素子が 用されている。そのため、Vscn点灯電圧とし は、温度による変動を考慮し、120V以下に抑 えるのが望ましい。

 図6は、これらの電子放出性能と電荷保持 性能について調べた結果を示している。この 図6から明らかなように、試作品4は、電荷保 性能の評価において、Vscn点灯電圧を120V以 にすることができ、しかも電子放出性能は6 上の良好な特性を得ることができる。

 すなわち、一般的にはPDPの保護層の電子 出性能と電荷保持性能は相反する。例えば 保護層の製膜条件を変更したり、また、保 層中にAlやSi、Baなどの不純物をドーピング て製膜することにより、電子放出性能を向 することは可能であるが、副作用としてVscn 点灯電圧も上昇してしまう。

 本発明の実施の形態による保護層9を形成 したPDPにおいては、電子放出性能としては6 上の特性で、電荷保持性能としてはVscn点灯 圧が120V以下のものを得ることができる。そ うして、高精細化により走査線数が増加し、 かつセルサイズが小さくなる傾向にある、PDP の保護層に対しては、電子放出性能と電荷保 持性能の両方を満足させることができる。

 次に、本発明の実施の形態によるPDPの保 層9に用いた結晶粒子の粒径について説明す る。なお、以下の説明において、粒径とは平 均粒径を意味し、平均粒径とは、体積累積平 均径(D50)のことを意味している。

 図7は、上記図6で説明した本発明の試作 4において、MgOの結晶粒子の粒径を変化させ 電子放出性能を調べた実験結果を示す。な 、図7において、MgOの結晶粒子の粒径は、結 晶粒子をSEM観察することで測定した。

 この図7に示すように、粒径が0.3μm程度に 小さくなると、電子放出性能が低くなり、ほ ぼ0.9μm以上であれば、高い電子放出性能が得 られることがわかる。

 ところで、放電セル内での電子放出数を 加させるためには、下地膜91上の単位面積 たりの結晶粒子92aの数は多い方が望ましい 本発明者らの実験によれば、前面板2の保護 9と密接に接触する背面板10の隔壁14の頂部 相当する部分に結晶粒子92aが存在すること 、隔壁14の頂部を破損させる可能性がある。 その破損した材料が蛍光体層15の上に乗るな によって、該当するセルが正常に点灯消灯 なくなる現象が発生することがわかった。 の隔壁破損の現象は、結晶粒子が隔壁頂部 対応する部分に存在しなければ発生しにく ことから、付着させる結晶粒子数が多くな ば、隔壁の破損発生確率が高くなる。

 図8は、上記図6で説明した本発明の実施 形態の試作品4において、下地膜91の単位面 当たりに粒径の異なる同じ数の結晶粒子を 布し、隔壁破損の関係を実験した結果を示 図である。

 この図8から明らかなように、結晶粒子径 が2.5μm程度に大きくなると、隔壁破損の確率 が急激に高くなる。しかし、結晶粒子径が2.5 μmより小さければ、隔壁破損の確率は比較的 小さく抑えることができることがわかる。

 以上の結果に基づくと、本発明の実施の 態のPDPにおける保護層においては、結晶粒 92aとして、粒径が0.9μm以上で2.5μm以下のも が望ましいと考えられる。しかし、PDPとし 実際に量産する場合には、結晶粒子92aの製 上でのばらつきや保護層9を形成する場合の 製造上でのばらつきを考慮する必要がある。

 このような製造上でのばらつきなどの要 を考慮するために、結晶粒子の粒径を変化 せて実験を行った。図9は、一例としての結 晶粒子の粒径とその粒系を有する結晶粒子が 存在する頻度を示している。図9に示す結晶 子の例において、平均粒径が0.9μm以上で2μm 下の範囲にある結晶粒子を使用すれば、上 した本発明の効果を安定的に得られること わかった。

 以上のように本発明による保護層を形成 たPDPにおいては、電子放出性能としては、6 以上の特性で、電荷保持性能としてはVscn点 電圧が120V以下のものを得ることができる。 たがって、高精細化により走査線数が増加 、かつセルサイズが小さくなる傾向にあるP DPの保護層として、電子放出性能と電荷保持 能の両方を満足させることができる。これ より、高精細で高輝度の表示性能を備え、 つ低消費電力のPDPを実現することができる

 次に、本発明によるPDPにおいて、保護層 形成する方法としては、誘電体層上に下地 を蒸着した後、その下地膜上に、金属酸化 からなる複数個の結晶粒子を溶剤に分散さ た結晶粒子ペーストを塗布することにより 晶粒子ペースト膜を形成し、その後結晶粒 ペースト膜を加熱して溶剤を除去する工程 より、結晶粒子を付着させることができる その製造工程の一例について、図10を用い 説明する。

 図10に示すように、第1誘電体層81と第2誘 体層82との積層構造からなる誘電体層8を形 する誘電体層形成ステップS11が行われる。 の後、次の下地膜蒸着ステップS12において Alを含むMgOの焼結体を原材料とした真空蒸 法によって、MgOからなる下地膜が誘電体層8 第2誘電体層82上に形成される。

 その後、下地膜蒸着ステップS12において 成された未焼成の下地膜上に、複数個の結 粒子を離散的に付着させる結晶粒子ペース 膜形成ステップS13が行われる。

 この工程においては、まず、所定の粒径 布を持つ凝集粒子92を、樹脂成分とともに エチレングリコール、ジエチレングリコー 、プロピレングリコール、グリセリン、ジ チレングリコールモノブチルエーテル、ジ チレングリコールジエチルエーテル、ジエ レングリコールモノブチルエーテルアセテ ト、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、ベン ジルアルコール、テルビネオールなどのエー テル結合を有する脂肪族アルコール系溶剤ま たは2価以上のアルコール系溶剤のいずれか 分類される分散溶剤を単一または混合溶媒 して使用して混合した結晶粒子ペーストが 備される。結晶粒子ペースト膜形成ステッ S13において、その結晶粒子ペーストをスク ーン印刷法などの印刷により、未焼成の下 膜上に塗布して結晶粒子ペースト膜が形成 れる。

 なお、結晶粒子ペーストを未焼成の下地 上に塗布して結晶粒子ペースト膜を形成す ための方法として、スクリーン印刷法以外 、スプレー法、スピンコート法、ダイコー 法、スリットコート法等も用いることがで る。

 この結晶粒子ペースト膜を形成した後、 燥ステップS14で、結晶粒子ペースト膜は乾 される。

 その後、下地膜蒸着ステップS12において 成した未焼成の下地膜と、結晶粒子ペース 膜形成ステップS13において形成し乾燥ステ プS14を実施した結晶粒子ペースト膜とが、 熱ステップS15において数百℃の温度で加熱 れる。同時に焼成を行い、結晶粒子ペース 膜に残っている溶剤や樹脂成分を除去する とにより、下地膜91上に複数個の凝集粒子92 を付着させた保護層9を形成することができ 。

 なお、樹脂成分は、塗布方法により必要 応じて使用すればよく、スプレー法、スリ トコート法などのように樹脂成分が必ずし 必要のない場合は、使用せずとも良い。

 ところで、本発明の方法においては、所 の結晶粒子を含む結晶粒子ペーストを、ス レー法やスピンコート法、スクリーン印刷 、ダイコート法、スリットコート法等の薄 あるいは厚膜を生成する方法で塗布し、そ 後乾燥または焼成等の加熱する方法によっ 溶媒成分を除去する方法を用い、結晶粒子 均一に分布するように付着させる。一方、 燥または焼成は、ペーストの溶媒成分とし の溶剤により決定される。すなわち、溶媒 分が、エタノールなどの揮発温度の低い溶 からなっている際には、80℃から120℃程度 乾燥工程により溶媒成分を揮発除去させる とができる。しかし、溶媒にターピネオー やエチルセルロース系などの揮発温度が比 的高い、または蒸気圧が低い成分が混合さ ている場合には、250℃から500℃程度の最高 度を有する焼成ステップを経ることが必要 なる。

 また、スクリーン印刷法によって膜形成 る場合、スクリーンのメッシュ粗さなどに ってその膜厚を制御することができる。と ろで、メッシュの面内バラツキの観点から ると、その膜厚は薄すぎても、バラツキが きくなるし、また、粒子濃度を薄くし膜厚 厚くして膜形成すると、ペースト中の粒子 分布に関してバラツキが大きくなる傾向が る。さらに、粘度によって、そのペースト の粒子の沈降速度が定まり粘度が高いほど 降速度が遅くなるため安定した生産を期待 きるが、ペースト中の粒子の分布を一定に るため、3本ローラーなどで撹拌をする時間 が長くなり、ペースト生産上の効率が非常に 悪くなる。

 PDPのような、大きな面積を一様にスクリー 印刷法によって印刷する場合には、これま の種々の結果から、膜厚を10μm程度にする とが最も安定して生産できることが分かっ いる。そのため、膜厚中心目標を10μmとして 、周辺の環境を考えると、ペーストとして、 剪断速度1.0s -1 の粘度が20Pa・s以上で30Pa・s以下の範囲で良 な分布にて塗布することができた。また、 降が最も大きいと考えられる粒径最大の場 にも、1Pa・s以上であれば充分な時間安定し 使用することができた。そのため、剪断速 1.0s -1 での粘度として20Pa・s以上で30Pa・s以下の範 であれば、問題なく印刷法による散布を実 することができる。

 一方、ダイコーターやスリットコーター どと呼ばれるコーター類では、比較的低粘 で、蒸発温度の低い溶剤を用いたペースト も膜形成が可能である。しかしながら、粘 が低くなると言うことで、非常に大きな速 で粒子が沈降し、そのため、安定した生産 するためには、粘度及びその粒径の調整を なければならない。結果として、前述した 刷法の場合とほぼ同じ出来上がりの粒子面 布にするためには、沈降によるバラツキが 述した印刷によるバラツキ以下にしなけれ ならない。しかし、最大の粒径の場合を考 ると、ペースト粘度は30Pa・s以下にする必 がある。一方、最低の粒径で、実際のペー ト運用である数日のポットライフを考えた には、同様に1Pa・s以上あればよい。

 以上の説明では、保護層9として、MgOを例に 挙げたが、下地に要求される性能はあくまで イオン衝撃から誘電体を守るための高い耐ス パッタ性能を有することであり、高い電荷保 持性能、すなわちあまり電子放出性能が高く なくてもよい。従来のPDPでは、一定以上の電 子放出性能と耐スパッタ性能という二つを両 立させるため、MgOを主成分とした保護層9を 成する場合が非常に多かった。しかし、電 放出性能が金属酸化物単結晶粒子によって 配的に制御される構成を取るため、MgOであ 必要は全くなく、Al 2 O 3 等の耐衝撃性に優れる他の材料を用いても全 く構わない。

 また、本発明の実施の形態実施例では、 結晶粒子92aとしてMgO粒子を用いて説明した 、この他の単結晶粒子でも、MgO同様に高い 子放出性能を持つSr、Ca、Ba、Al等の金属の 化物による結晶粒子を用いても同様の効果 得ることができる。そのため、単結晶粒子 粒子種としてはMgOに限定されるものではな 。

 従来のPDPにおいては、保護層に不純物を 在させることで電子放出特性を改善しよう する試みが行われている。しかし、保護層 不純物を混在させ、電子放出特性を改善し 場合、これと同時に保護層表面に電荷が蓄 され、メモリー機能として使用しようとす 際の電荷が時間と共に減少する減衰率が大 くなってしまう。そのため、これを抑える めの印加電圧を大きくする等の対策が必要 なる。このように保護層の特性として、高 電子放出能を有すると共に、メモリー機能 しての電荷の減衰率を小さくする、すなわ 高い電荷保持特性を有するという、相反す 二つの特性を併せ持たなければならないと う課題がある。

 しかし、以上の説明から明らかな通り、 発明は、電子放出特性を改善するとともに 電荷保持特性も併せ持ち、高画質と、低コ ト、低電圧を両立することのできるPDPを提 できる。このことにより、低消費電力で高 細で高輝度の表示性能を備えたPDPを実現す ことができる。

 また、本発明の製造方法によれば、下地 に複数個の凝集粒子を全面に亘ってほぼ均 に分布するように付着させることが可能で る。

 以上のように本発明は、高精細で高輝度 表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実 する上で有用な発明である。