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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR MANUFACTURING PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122738
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a plasma display panel which has highly fine and high-luminance display characteristics and low power consumption. After forming a base film (91), a metal oxide paste composed of metal oxide grains, organic resin components and a diluting solvent is applied and fired so as to form the plurality of metal oxide grains by adhering the grains on the base film (91). The metal oxide paste contains metal oxide grains of 1.5 vol% or less in the paste, and the organic resin component contains organic resin components of two types or more in molecular weight grade.

Inventors:
ISHINO SHINICHIRO
SAKAMOTO KOYO
MIYAMAE YUICHIRO
MIZOKAMI KANAME
OOE YOSHINAO
Application Number:
PCT/JP2009/001523
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
April 01, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
ISHINO SHINICHIRO
SAKAMOTO KOYO
MIYAMAE YUICHIRO
MIZOKAMI KANAME
OOE YOSHINAO
International Classes:
H01J9/02; H01J11/02; H01J11/12; H01J11/22; H01J11/24; H01J11/26; H01J11/34; H01J11/36; H01J11/40
Foreign References:
JP2007149384A2007-06-14
JP2007128891A2007-05-24
JPH0912940A1997-01-14
JP2008034390A2008-02-14
JP2008021660A2008-01-31
Other References:
See also references of EP 2136384A4
Attorney, Agent or Firm:
NAITO, Hiroki et al. (JP)
Hiroki Naito (JP)
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Claims:
基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともに前記誘電体層上に保護層を形成した前面板と、前記前面板に放電空間を形成するように対向配置されかつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記前面板の前記保護層を形成する保護層形成工程は、
前記誘電体層上に下地膜を蒸着して形成する下地膜形成工程と、
前記下地膜に、金属酸化物粒子と有機樹脂成分と希釈溶剤とを含む金属酸化物ペーストを塗布するとともに、その後前記金属酸化物ペーストを焼成して前記下地膜に前記金属酸化物粒子を複数個付着させる金属酸化物粒子形成工程とを備え、
前記金属酸化物ペーストは、前記金属酸化物粒子の含有量が1.5体積%以下で、かつ、前記有機樹脂成分は分子量グレードが少なくとも2種類以上の有機樹脂成分を含むものを用いることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
前記金属酸化物ペーストの前記金属酸化物粒子の含有量が0.01~1.50体積%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
スクリーン印刷法により前記金属酸化物ペーストを塗布することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
Description:
プラズマディスプレイパネルの 造方法

 本発明は、プラズマディスプレイパネル 製造方法に関する。

 プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと 称する)はフラットパネルディスプレイ(FPD)の 中でも高速表示が可能であり、かつ大型化が 容易であることから、映像表示装置および広 報表示装置などの分野で広く実用化されてい る。

 一般的にAC駆動面放電型PDPは3電極構造を 用しており、前面板と背面板の2枚のガラス 基板が所定の間隔で対向配置された構造とな っている。前面板は、ガラス基板上に形成さ れたストライプ状の走査電極および維持電極 よりなる表示電極と、この表示電極を被覆し て電荷を蓄積するコンデンサとしての働きを する誘電体層と、この誘電体層上に形成され た厚さ1μm程度の保護膜とで構成されている 一方、背面板は、ガラス基板上に複数形成 れたアドレス電極と、このアドレス電極を う下地誘電体層と、その上に形成された隔 と、隔壁によって形成された表示セル内に 布された赤色、緑色および青色にそれぞれ 光する蛍光体層とで構成されている。

 前面板と背面板とはその電極形成面側を 向させて気密封着され、隔壁によって仕切 れた放電空間にネオン(Ne)-キセノン(Xe)の放 ガスが53kPa~80.0kPaの圧力で封入されている。 PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印 加することによって放電させ、その放電によ って発生した紫外線が各色蛍光体層を励起し て赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画 像表示を実現している(特許文献1参照)。

 このようなPDPにおいて、前面板の誘電体 上に形成される保護層は、放電によるイオ 衝撃から誘電体層を保護すること、アドレ 放電を発生させるための初期電子を放出す ことなどがあげられる。イオン衝撃から誘 体層を保護することは、放電電圧の上昇を ぐ重要な役割であり、またアドレス放電を 生させるための初期電子を放出することは 画像のちらつきの原因となるアドレス放電 スを防ぐ重要な役割である。

 保護層からの初期電子の放出数を増加さ て画像のちらつきを低減するためには、例 ば酸化マグネシウム(MgO)にシリコン(Si)やア ミニウム(Al)を添加するなどの試みが行われ ている。

 近年、テレビは高精細化がすすんでおり、 場では低コスト・低消費電力・高輝度のフ HD(ハイ・ディフィニション)(1920×1080画素:プ ログレッシブ表示)PDPが要求されている。保 層からの電子放出特性はPDPの画質を決定す ため、電子放出特性を制御することは非常 重要である。

特開2007-48733号公報

 上記課題を解決するために、本発明のPDP 製造方法は、基板上に形成した表示電極を うように誘電体層を形成するとともに誘電 層上に保護層を形成した前面板と、前面板 放電空間を形成するように対向配置されか 表示電極と交差する方向にアドレス電極を 成するとともに放電空間を区画する隔壁を けた背面板とを有するPDPの製造方法であっ 、前面板の保護層を形成する保護層形成工 は、誘電体層上に下地膜を蒸着して形成す 下地膜形成工程と、下地膜に、金属酸化物 子と有機樹脂成分と希釈溶剤とを含む金属 化物ペーストを塗布するとともに、その後 属酸化物ペーストを焼成して下地膜に金属 化物粒子を複数個付着させる金属酸化物粒 形成工程とを備え、金属酸化物ペーストに まれる金属酸化物粒子の含有量が1.5体積%以 下で、有機樹脂成分は分子量グレードが少な くとも2種類以上の有機樹脂成分を含むもの ある。

 このような構成によれば、分散性、印刷 、燃焼性に優れた金属酸化物ペーストによ て、下地膜上に金属酸化物粒子を面内に離 的に均一に付着させることができ、面内の 覆率分布を均一とすることができる。その 果、電子放出特性を改善するとともに、電 保持特性も併せ持ち、高画質と、低コスト 低電圧を両立することのできるPDPを提供す ことにより、低消費電力かつ高精細で高輝 の表示性能を備えたPDPを実現することがで る。

図1は本発明の実施の形態におけるPDPの 構造を示す斜視図である。 図2は同PDPの前面板の構成を示す断面図 である。 図3は同PDPの保護層の形成工程を示すフ ローチャートである。 図4は本発明の実施の形態におけるPDPの 製造方法による金属酸化物粒子の被覆率の測 定結果を示す図である。 図5は結晶粒子のカソードルミネッセン ス測定結果を示す図である。 図6は本発明の実施の形態におけるPDPの 電子放出特性とVscn点灯電圧の検討結果を示 特性図である。 図7は結晶粒子の粒径と電子放出特性の 関係を示す特性図である。 図8は結晶粒子の粒径と隔壁破損の発生 率との関係を示す特性図である。 図9は凝集粒子の粒度分布の一例を示す 図である。

符号の説明

 1  PDP
 2  前面板
 3  前面ガラス基板
 4  走査電極
 4a,5a  透明電極
 4b,5b  金属バス電極
 5  維持電極
 6  表示電極
 7  ブラックストライプ(遮光層)
 8  誘電体層
 9  保護層
 10  背面板
 11  背面ガラス基板
 12  アドレス電極
 13  下地誘電体層
 14  隔壁
 15  蛍光体層
 16  放電空間
 91  下地膜
 92  凝集粒子

 以下、本発明の実施の形態について図面 参照しながら説明する。

 (実施の形態)
 図1は、本発明の実施の形態におけるPDPの製 造方法により製造されたPDP1の構造を示す斜 図である。前面ガラス基板3などよりなる前 板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面 10とが対向して配置され、その外周部をガ スフリットなどからなる封着材によって気 封着されている。PDP1内部の放電空間16には ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)などの放電ガス が53.3kPa~80.0kPaの圧力で封入されている。前面 板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4およ び維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6 ブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行 それぞれ複数列配置されている。前面ガラ 基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うよ にコンデンサとしての働きをする誘電体層8 が形成され、さらにその表面に酸化マグネシ ウム(MgO)などからなる保護層9が形成されてい る。

 背面板10の背面ガラス基板11上には、前面 板2の走査電極4および維持電極5と直交する方 向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに 行に配置され、これを下地誘電体層13が被 している。さらに、アドレス電極12間の下地 誘電体層13上には、放電空間16を区切る所定 高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の には、蛍光体層15が形成されている。蛍光 層15は、紫外線によって赤色、緑色および青 色にそれぞれ発光する。走査電極4および維 電極5とアドレス電極12とが交差する位置に 、放電セルが形成され、カラー表示のため 画素になる。

 図2は、本発明の実施の形態におけるPDP1の 面板2の構成を示す断面図であり、図2は図1 上下反転させて示している。図2に示すよう 、フロート法などにより製造された前面ガ ス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる 示電極6と遮光層7がパターン形成されてい 。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウ ムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO 2 )などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a 5a上に形成された金属バス電極4b、5bとによ 構成されている。金属バス電極4b、5bは、透 電極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目 的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とす 導電性材料によって形成されている。誘電 層8は、前面ガラス基板3上に形成されたこれ らの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bと遮 層7とを覆って設けた第1誘電体層81と、第1 電体層81上に形成された第2誘電体層82の少な くとも2層構成としている。

 次に、本発明におけるPDP1の特徴である保 護層9の構成について説明する。図2に示すよ に、保護層9は、誘電体層8上に、酸化マグ シウム(MgO)、もしくはアルミニウム(Al)を含 する酸化マグネシウム(MgO)からなる蒸着によ って下地膜91を形成するとともに、その下地 91上に、金属酸化物である酸化マグネシウ (MgO)の結晶粒子が複数個凝集した凝集粒子92 離散的、かつ全面に亘ってほぼ均一に分布 るように形成している。なお、凝集粒子92 、下地膜91上に2%~12%の範囲の被覆率でかつ全 面に亘ってほぼ均一に分布するように付着さ せている。

 ここで、被覆率とは、1個の放電セルの領 域において、凝集粒子92が付着している面積a を1個の放電セルの面積bの比率で表したもの 、被覆率(%)=a/b×100の式により求めたもので る。実際に測定する場合の方法としては、 えば、隔壁14により区切られた1個の放電セ に相当する領域をカメラにより画像を撮影 、x×yの1セルの大きさにトリミングした後 トリミング後の撮影画像を白黒データに2値 し、その後その2値化したデータに基づき凝 集粒子92による黒エリアの面積aを求め、上述 したように、a/b×100の式により演算すること より求めたものである。

 次に、PDPの製造方法について説明する。 ず、図2に示すように、前面ガラス基板3上 、走査電極4および維持電極5と遮光層7とを 成する。これらの透明電極4a、5aと金属バス 極4b、5bは、フォトリソグラフィ法などを用 いてパターニングして形成される。透明電極 4a、5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され 金属バス電極4b、5bは銀(Ag)材料を含むペース トを所定の温度で焼成して固化している。ま た、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペー トをスクリーン印刷する方法や黒色顔料を 面ガラス基板3の全面に形成した後、フォト ソグラフィ法を用いてパターニングし、焼 することにより形成される。

 そして、走査電極4、維持電極5および遮 層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体 ペーストをダイコート法などにより塗布して 誘電体ペースト層(誘電体材料層)(図示せず) 形成する。その後、誘電体ペースト層を焼 固化することにより、走査電極4、維持電極5 および遮光層7を覆う誘電体層8が形成される なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの 電体材料、バインダおよび溶剤を含む塗料 ある。

 次に、誘電体層8上に酸化マグネシウム(Mg O)からなる下地膜91を真空蒸着法により形成 る。

 以上の工程により、前面ガラス基板3上に 、本発明におけるPDPの凝集粒子92以外の所定 構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘 電体層8、下地膜91)が形成される。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDP1の 保護層9を形成する製造工程について、図3を いて説明する。図3に示すように、誘電体層 8を形成する誘電体層形成工程A1を行った後、 次の下地膜蒸着工程A2において、アルミニウ (Al)を含む酸化マグネシウム(MgO)の焼結体を 材料とした真空蒸着法によって、主として 化マグネシウム(MgO)からなる下地膜91を誘電 体層8上に形成する。

 その後、下地膜蒸着工程A2において形成 た下地膜91上に、金属酸化物粒子となる酸化 マグネシウム(MgO)の結晶粒子が凝集した凝集 子92を、離散的に付着形成させる金属酸化 ペースト膜形成工程A3に入る。金属酸化物ペ ースト膜形成工程A3においては、酸化マグネ ウム(MgO)の結晶粒子が凝集した凝集粒子92が 、有機樹脂成分、希釈溶剤とともに混錬され た金属酸化物ペーストを用いている。この金 属酸化物ペーストをスクリーン印刷法などに より下地膜91上に塗布し、金属酸化物ペース 膜を形成する。

 なお、本発明における金属酸化物ペース の詳細については、後ほど述べる。また、 地膜上に金属酸化物ペースト膜を形成する 法としては、スクリーン印刷法以外に、ス レー法、スピンコート法、ダイコート法、 リットコート法などを用いることができる

 次に、金属酸化物ペースト膜を乾燥させ 乾燥工程A4を行う。その後、下地膜蒸着工 A2において形成した下地膜91と、乾燥工程A4 実施した金属酸化物ペースト膜とを、数百 の温度で加熱焼成する焼成工程A5において同 時に焼成する。この焼成工程A5において、金 酸化物ペースト膜に残っている溶剤や樹脂 分を除去することにより、下地膜91上に酸 マグネシウム(MgO)の結晶粒子が凝集した凝集 粒子92を付着させた保護層9を形成することが できる。

 これらの金属酸化物ペースト膜形成工程A 3と、乾燥工程A4と、焼成工程A5とが金属酸化 粒子形成工程となる。

 なお、以上の説明では、下地膜91として 酸化マグネシウム(MgO)を主成分としたが、下 地膜91にはイオン衝撃から誘電体層8を守るた めの高い耐スパッタ性能を有することであり 、高い電荷保持能力、すなわちあまり電子放 出性能が高くなくてもよい。

 従来のPDPでは、一定以上の電子放出性能と スパッタ性能という二つを両立させるため 酸化マグネシウム(MgO)を主成分とした保護 を形成する場合が非常に多かった。しかし がら、本発明では、金属酸化物の結晶粒子 よって、電子放出性能を支配的に制御する 成としている。そのために、下地膜91は酸化 マグネシウム(MgO)である必要は全くなく、酸 アルミニウム(Al 2 O 3 )などの耐スパッタ性能に優れる他の材料を いても全く構わない。

 また、上述の説明では、金属酸化物の結 粒子として酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒 を用いて説明したが、この他の結晶粒子で 、酸化マグネシウム(MgO)同様に高い電子放出 性能をもつ、ストロンチウム(Sr)、カルシウ (Ca)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)などの 属酸化物による結晶粒子を用いても同様の 果を得ることができる。そのため、結晶粒 の種類としては、特に酸化マグネシウム(MgO) に限定されるものではない。

 以上の工程により、前面ガラス基板3上に 、走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層 8、下地膜91、金属酸化物粒子となる結晶粒子 の凝集粒子92が形成される。

 一方、背面板10は次のようにして形成さ る。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材 を含むペーストをスクリーン印刷する方法 、金属膜を全面に形成した後、フォトリソ ラフィ法を用いてパターニングする方法な によりアドレス電極12用の構成物となる材料 層を形成する。この材料層を所定の温度で焼 成することによりアドレス電極12を形成する 次に、アドレス電極12が形成された背面ガ ス基板11上に、ダイコート法などによりアド レス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗 して誘電体ペースト層を形成する。その後 誘電体ペースト層を焼成することにより下 誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペー トはガラス粉末などの誘電体材料とバイン および溶剤を含んだ塗料である。

 次に、下地誘電体層13上に隔壁14の材料を 含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形 状にパターニングすることにより、隔壁材料 層を形成する。その後、この隔壁材料層を焼 成することにより隔壁14を形成する。ここで 下地誘電体層13上に塗布した隔壁形成用ペ ストをパターニングする方法としては、フ トリソグラフィ法やサンドブラスト法など 用いることができる。次に、隣接する隔壁14 間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に 光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、 成することにより蛍光体層15が形成される。 以上の工程により、背面ガラス基板11上に所 の構成部材を有する背面板10が完成する。

 このようにして所定の構成部材を備えた 面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電 極12とが直交するように対向配置して、その 囲をガラスフリットで封着し、放電空間16 ネオン(Ne)、キセノン(Xe)などを含む放電ガス を封入することによりPDP1が完成する。

 次に、本発明におけるPDPの製造方法の、 属酸化物ペースト膜形成工程A3において、 属酸化物の結晶粒子を付着させた層を下地 91に形成するための金属酸化物ペーストにつ いて説明する。特に、ペーストの量産安定性 効果を確認するために行った実験結果につい て説明する。以降の説明中で述べる使用薬品 種、およびその量などの数値条件は、本発明 の範囲内の一例に過ぎず、本発明はこれに限 定されない。

 金属酸化物ペーストについて、表1で示す 組成によって調製した。

 組成物1は、金属酸化物としては粒径1.2μm の酸化マグネシウム(MgO)結晶粒子の粉末0.2体 %、希釈溶剤としてはブチルカルビトール68. 4体積%とターピネオール22.8体積%とを用いた また、有機樹脂成分としてはエチルセルロ ス(日新化成社製)を用い、粘度が10cPの分子 グレードのエチルセルロース(ロットa)を3.44 積%、粘度が100cPの分子量グレードのエチル ルロース(ロットA)を5.16体積%の割合で溶解 混合したものを用いた。これらの金属酸化 の粉末、ブチルカルビトールとターピネオ ル、エチルセルロースとを3本ロールで均質 分散混合して、金属酸化物ペーストを調製 たものである。この組成物1のペースト粘度 は19920mPa・sであった。ここでペースト粘度は 、レオストレスRS600(Hakke社製)を用い、せん断 速度D=1(1/s)時の粘度値で示している。

 また、組成物2は、10cPの分子量グレード エチルセルロース(ロットb)を2.60体積%、100cP 分子量グレードのエチルセルロース(ロット B)を6.00体積%用いた以外は、全て上述の組成 1と同じ組成でペーストを調製したもので、 成物2の粘度は21050mPa・sであった。

 また、組成物3は、10cPの分子量グレード エチルセルロース(ロットc)を2.60体積%、100cP 分子量グレードのエチルセルロース(ロット C)を6.00体積%用いた以外は、全て上述の組成 1と同じ組成でペーストを調製したもので、 成物3の粘度は19400mPa・sであった。

 また、組成物4は、10cPの分子量グレード エチルセルロース(ロットd)を1.72体積%、100cP 分子量グレードのエチルセルロース(ロット D)を6.88体積%用いた以外は、全て上述の組成 1と同じ組成でペーストを調製したもので、 成物4の粘度は20070mPa・sであった。

 なお、本発明の実施の形態において、有 樹脂成分はエチルセルロースを用いている 、それ以外にも、ヒドロキシプロピルセル ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド キシプロピルメチルセルロースフタレート ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセ ートなどのセルロース誘導体を用いること できる。

 また、上述のセルロース誘導体の他に、 クリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチ 、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、 タクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル メタクリル酸イソブチル、フマル酸モノメ ル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプ ピル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸 ノエチル、マレイン酸モノプロピル、ソル ン酸、ヒドロキシメチルアクリレート、2- ドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ メチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピ メタクリレート、ヒドロキノンモノアクリ ート、ヒドロキノンモノメタクリレート、 ドロキノンジアクリレート、ヒドロキノン 2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロ キシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプ ピルメタクリレート、N-ブチルアクリレー 、N-ブチルメタクリレート、イソブチルアク リレート、イソブチルメタクリレート、2-エ ルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシ メタクリレート、ベンジルアクリレート、 ンジルメタクリレート、フェノキシアクリ ート、フェノキシメタクリレート、イソボ ニルアクリレート、イソボルニルメタクリ ート、エチレングリコールジメタクリレー 、トリエチレングリコールジアクリレート トリエチレングリコールジメタクリレート テトラエチレングリコールジアクリレート テトラエチレングリコールジメタクリレー 、ブチレングリコールジメタクリレート、 ロピレングリコールジアクリレート、プロ レングリコールジメタクリレート、トリメ ロールエタントリアクリレート、トリメチ ールエタントリメタクリレート、トリメチ ールプロパントリアクリレート、トリメチ ールプロパントリメタクリレート、テトラ チロールプロパンテトラアクリレート、テ ラメチロールプロパンテトラメタクリレー 、1.6-ヘキサンジオールジアクリレート、1.6- ヘキサンジオールジメタクリレート、カルド エポキシジアクリレート、グリシジルメタク リレート、グリシルメタクリレートエチレン グリコールジアクリレート、これら例示化合 物の(メタ)アクリレートをフマレートに代え フマル酸エステル、マレエートに代えたマ イン酸エステル、クロトネートに代えたク トン酸エステル、イタコネートに代えたイ コン酸エステル、ウレタンメタクリレート スチレン、アクリルアミド、メタクリルア ド、アクリロニトリル、メタクリロニトリ などの重合体または共重合体などのアクリ 系樹脂を単独もしくはセルロース誘導体と 合せて使用してもよい。

 また、表1に記載の希釈溶剤は、ジエチレ ングリコールモノブチルエーテル(ブチルカ ビトール)とターピネオールを用いているが それ以外にも、エチレングリコールモノメ ルエーテル、エチレングリコールモノエチ エーテル、プロピレングリコールモノメチ エーテル、プロピレングリコールモノエチ エーテル、ジエチレングリコールモノメチ エーテル、ジエチレングリコールモノエチ エーテル、ジエチレングリコールジメチル ーテル、ジエチレングリコールジエチルエ テル、プロピレングリコールモノメチルエ テルアセテート、プロピレングリコールモ エチルエーテルアセテート、2-メトキシブ ルアセテート、3-メトキシブチルアセテート 、4-メトキシブチルアセテート、2-メチル-3- トキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキ シブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブ ルアセテート、2-エトキシブチルアセテー 、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキ ブチルアセテート、2-メトキシペンチルア テートなどを、単独でも、または2種以上を 合せても使用できる。

 また、ペースト中には、必要に応じて可 剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジ チル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブ ルを添加し、分散剤としてグリセロールモ オレート、ソルビタンセスキオレヘート、 モゲノール(Kaoコーポレーション社製品名) アルキルアリル基のリン酸エステルなどを 加してもよい。

 以上のように調製した金属酸化物ペース を走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体 8、下地膜91が形成された前面ガラス基板3上 に、スクリーン印刷法を用いて塗布する。こ のようにして、酸化マグネシウム(MgO)の結晶 子が複数個凝集した凝集粒子92を下地膜91上 に付着させた層を形成し、各組成物1~4におけ る下地膜91上への凝集粒子92の被覆率と、そ 被覆率のばらつきとを調べた。この結果を 4に示す。なお、スクリーン印刷法に用いた クリーン版にはL380Sメッシュを使用した。 こで言う被覆率のばらつきとは、前述の方 で求めた面内54点の被覆率について、標準偏 差σと平均値Mを求め、σを平均で割った値で る。すなわち、被覆率面内ばらつき=σ/M×100 (%)で表される。

 図4からわかるように、分子量グレードが 2種類以上の有機樹脂成分であるエチルセル ースを含む組成とすることにより、ペース 中に含まれる金属酸化物量、溶剤量、有機 脂成分量のいずれの比率も変えることなく 度を安定化させることができ、その結果、 クリーン印刷性への影響を抑えることが可 で、被覆率平均、被覆率面内ばらつきを安 化させることができる。

 なお、上記組成物中、エチルセルロース 分子量グレードを異ならせる例として、10cP のエチルセルロースと100cPのエチルセルロー を用いる例を示したが、それ以外にも4cP、4 5cP、200cP、300cPのエチルセルロースを用いる とができる。

 なお、前述のように、本発明の実施の形 におけるPDP1では、その放電特性上、酸化マ グネシウム(MgO)の凝集粒子92の被覆率は、2%~12 %の範囲が望ましいとしている。このとき、 覆率は金属酸化物ペースト膜の膜厚で決定 れるため、スクリーン印刷で形成可能な膜 範囲に基づくと、金属酸化物ペースト中の 化マグネシウム(MgO)の凝集粒子92の含有量は0 .01体積%~1.5体積%の範囲が好ましい。

 以上のように、本発明における金属酸化 の粒子と有機樹脂成分と希釈溶剤を含む金 酸化物ペーストとして、ペースト中に含ま る金属酸化物の粒子の含有量を1.5体積%以下 とし、有機樹脂成分は分子量グレードが2種 以上の有機樹脂成分を含むようにしている この結果、このような金属酸化物ペースト 用いると、その粘度特性とともに分散性、 刷性、燃焼性が安定するために、スクリー 印刷法によって下地膜91面上への均一な塗布 と、粘度変化などのない量産安定性に適した ペーストを実現することができる。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDPの 造方法によって製造したPDP1の性能を比較し た実験結果について説明する。

 まず構成の異なる保護層を有するPDPを試 した。試作品1は、酸化マグネシウム(MgO)膜 みによる保護層9を形成したPDP1、試作品2は アルミニウム(Al)、シリコン(Si)などの不純 をドープした酸化マグネシウム(MgO)のみによ る保護層9を形成したPDP、試作品3は、本発明 掛かるPDP1で、酸化マグネシウム(MgO)の下地 91上に金属酸化物からなる結晶粒子の凝集 子92を全面に亘ってほぼ均一に分布するよう に付着させたPDP1である。なお、試作品3にお て、金属酸化物としては、酸化マグネシウ (MgO)の単結晶粒子を用い、カソードルミネ センスを測定したところ、図5に示すような 性を有していた。

 これらの3種類の保護層9の構成を有するPD P1について、その電子放出性能と電荷保持性 を調べた。

 なお、電子放出性能は、大きいほど電子 出量が多いことを示す数値で、放電の表面 態、およびガス種とその状態によって定ま 初期電子放出量をもって表現する。初期電 放出量については表面にイオン、あるいは 子ビームを照射して表面から放出される電 電流量を測定する方法で測定できるが、前 板2表面の評価を非破壊で実施することは困 難を伴う。そこで、特開2007-48733号公報に記 されているように、放電時の遅れ時間のう 、統計遅れ時間と呼ばれる放電の発生しや さの目安となる数値を測定した。その数値 その逆数を積分すると、初期電子の放出量 線形に対応する数値になるため、ここでは の数値を用いて評価している。この放電時 遅れ時間とは、パルスの立ち上がりから放 が遅れて行われる放電遅れの時間を意味す 。放電遅れは、放電が開始される際にトリ ーとなる初期電子が保護層9表面から放電空 16中に放出されにくいことが主要な要因と て考えられている。

 また、電荷保持性能は、その指標として PDP1として作成した場合に電荷放出現象を抑 えるために必要とする、走査電極4に印加す 電圧(以下Vscn点灯電圧と呼称する)の電圧値 用いた。すなわち、Vscn点灯電圧の低い方が 荷保持能力の高いことを示す。このことは PDPのパネル設計上でも低電圧で駆動できる め、電源や各電気部品として、耐圧および 量の小さい部品を使用することが可能とな 。現状の製品において、走査電圧を順次パ ルに印加するためのMOSFETなどの半導体スイ チング素子には、耐圧150V程度の素子が使用 されている。そのため、Vscn点灯電圧として 、温度による変動を考慮して120V以下に抑え のが望ましい。

 これらの電子放出性能と電荷保持性能に いて調べた結果を図6に示している。図6に いて、横軸の電子放出性能は試作品1におけ 電子放出性能を基準として示している。図6 から明らかなように、酸化マグネシウム(MgO) 下地膜91上に、酸化マグネシウム(MgO)の結晶 粒子の凝集粒子92を全面に亘ってほぼ均一に 布するように形成した試作品3は、電荷保持 性能の評価において、Vscn点灯電圧を120V以下 することができる、さらに、電子放出性能 試作品1に比較して6倍以上の良好な特性を ることができている。

 一般的にはPDP1の保護層9の電子放出能力 電荷保持能力は相反する。例えば、保護層9 成膜条件を変更し、また、保護層9中にアル ミニウム(Al)やシリコン(Si)、バリウム(Ba)など の不純物をドーピングして成膜することによ り、電子放出性能を向上することは可能であ るが、副作用としてVscn点灯電圧も上昇して まう。

 しかしながら、本発明によれば高精細化 より走査線数が増加し、かつセルサイズが さくなる傾向にあるPDPに対して、電子放出 力と電荷保持能力の両方を満足させる保護 9を形成することができる。

 次に、試作品3に用いた結晶粒子の粒径に ついて説明する。なお、以下の説明において 、粒径とは平均粒径を意味し、平均粒径とは 、体積累積平均径(D50)のことを意味している

 図7は、図6で説明した本発明の試作品3に いて、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子の 径を変化させて電子放出性能を調べた実験 果を示すものである。なお、図7において、 化マグネシウム(MgO)の結晶粒子の粒径は、 イクロトラックHRA粒度分布計にて、試薬1級 上のエタノール溶液中で粒度分布を測定し ときの平均粒径を示し、さらに結晶粒子をS EM観察することにより測定している。

 図7に示すように、粒径が0.3μm程度に小さ くなると、電子放出性能が低くなり、ほぼ0.9 μm以上であれば、高い電子放出性能が得られ ることがわかる。

 ところで、放電セル内での電子放出数を 加させるためには、保護層9上の単位面積あ たりの結晶粒子数は多い方が望ましい。本発 明者らの実験によれば、前面板2の保護層9と 接に接触する背面板10の隔壁14の頂部に相当 する部分に結晶粒子が存在することで、隔壁 14の頂部を破損させる。その結果、その材料 蛍光体層15の上に乗るなどによって、該当 るセルが正常に点灯消灯しなくなる現象が 生することがわかった。この隔壁破損の現 は、結晶粒子が隔壁14の頂部に対応する部分 に存在しなければ発生しにくいことから、付 着させる結晶粒子数が多くなれば、隔壁14の 損発生確率が高くなる。

 図8は、図6で説明した本発明における試 品3において、単位面積当たりに粒径の異な 同じ数の結晶粒子を散布し、隔壁破損の関 を実験した結果を示す図である。この図8か ら明らかなように、結晶粒子径が2.5μm程度に 大きくなると、隔壁破損の確率が急激に高く なるが、2.5μmより小さい粒子径であれば、隔 壁破損の確率は比較的小さく抑えることがで きることがわかる。

 以上の結果に基づくと、本発明に掛かるP DP1における保護層9においては、結晶粒子が 集した凝集粒子92として、粒径が0.9μm以上2.5 μm以下のものが望ましいと考えられるが、PDP として実際に量産する場合には、結晶粒子の 製造上でのばらつきや保護層9を形成する場 の製造上でのばらつきを考慮する必要があ 。

 図9は、本発明の実施の形態におけるPDP1 用いた、凝集粒子92の粒度分布の一例を示す 図である。凝集粒子92は図9に示すような分布 を有する。図7に示す電子放出特性、および 図8に示す隔壁破損特性から、平均粒径であ 体積累積平均径(D50)が、0.9μm~2μmの範囲にあ る凝集粒子92を使用することが望ましい。

 以上のように、本発明の実施の形態にお る金属酸化物ペーストを用いて形成した保 層9を有するPDP1においては、電子放出能力 して6以上の特性を有し、電荷保持能力とし はVscn点灯電圧が120V以下のものを得ること できる。その結果、高精細化により走査線 が増加し、かつセルサイズが小さくなる傾 にあるPDP1の保護層9として、電子放出能力と 電荷保持能力の両方を満足させ、高精細で高 輝度の表示性能を備え、かつ低消費電力のPDP を実現することができる。

 ところで、本発明におけるPDPにおいては 上述したように、酸化マグネシウム(MgO)の 晶粒子の凝集粒子92は、2%~12%の範囲の被覆率 でかつ全面に亘って分布するように付着させ ている。これは、本発明者らが凝集粒子92の 覆率を変化させたサンプルを試作し、それ のサンプルの特性を調べた結果に基づいて る。すなわち、凝集粒子92の被覆率が高く るにしたがって、Vscn点灯電圧が大きくなっ 悪化し、逆に被覆率が小さくなるにしたが て、Vscn点灯電圧が小さくなる特性を示すこ とがわかった。すなわち、酸化マグネシウム (MgO)の凝集粒子92を付着させたことによる効 を十分に発揮させるためには、凝集粒子92の 被覆率は12%以下とすれば良いことがわかった 。

 一方、酸化マグネシウム(MgO)の凝集粒子92 は、特性のばらつきを小さくするためには各 放電セルに存在していることが必要である。 そのためには下地膜91上に全面に亘ってほぼ 一に分布するように付着させる必要がある したがって、被覆率が小さい場合、面内で ばらつきが大きくなる傾向を示し、凝集粒 92の放電セル間における付着状態のばらつ が大きくなってしまうことがわかった。本 明者らが実験した結果では、被覆率が4%以上 になるように酸化マグネシウム(MgO)結の凝集 子92を付着させると、面内ばらつきを約4%以 下に抑えることができることがわかった。ま た、被覆率が2%以上になるように酸化マグネ ウム(MgO)の結晶粒子の凝集粒子92を付着させ た場合も、面内ばらつきを約6%程度に抑える とができ、実用上は問題ないことがわかっ 。

 これらの結果より、本発明においては、 覆率が2%~12%の範囲になるように酸化マグネ ウム(MgO)の結晶粒子の凝集粒子92を付着させ るのが望ましく、より好ましくは被覆率が4%~ 12%の範囲になるよう凝集粒子92を付着させる が望ましい。

 以上のように本発明は、高精細で高輝度 表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実 する上で有用である。




 
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