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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF PROCESSING SPROUTING CEREALS BY MICROWAVE HEATING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/156051
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of processing sprouting cereals that is applicable to any kind of distributed sprouting cereal such as dry malt, sprouting brown rice, sprouting soybean or the like, which comprises decreasing the enzymatic activity in the sprouting cereal by microwave heating the sprouting cereal to thereby prevent the generation of an offensive smell caused by degradation while maintaining effective components in the sprouting cereal by using a simple procedure within a short period of time.

Inventors:
NAKAHARA KOICHI (JP)
SAWADA MASAKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060971
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUNTORY LTD (JP)
NAKAHARA KOICHI (JP)
SAWADA MASAKO (JP)
International Classes:
A23L7/10; A23L7/20; A23L7/25; C12C1/16; C12G3/00
Foreign References:
JPH03224453A1991-10-03
JP2007143541A2007-06-14
JP2005287394A2005-10-20
Other References:
KRUEGER E. ET AL.: "Use of microwave in malt production", MONATSSCHRIFT FUER BRAUEREI, vol. 34, no. 5, 1981, pages 173 - 178
CARNIELO M. ET AL.: "Application of a Test for Modification in Green and Kilned Malts", BRAUWISSENSCHAFT, vol. 35, no. 7, 1982, pages 168 - 170
Attorney, Agent or Firm:
KITAMURA, Shuichiro (Nakanoshima 2-chome Kita-k, Osaka-shi Osaka 05, JP)
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Claims:
 発芽穀物をマイクロ波加熱処理することにより、前記発芽穀物中の酵素の活性を低減する発芽穀物加工方法。
 マイクロ波加熱処理が、14000J~180000Jのエネルギー量の処理である請求項1に記載の発芽穀物加工方法。
 マイクロ波加熱処理が、70J/g~3300J/gのエネルギー量の処理である請求項1又は2に記載の発芽穀物加工方法。
 前記発芽穀物中に含まれるリポキシゲナーゼ、プロテアーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、及びリパーゼのうち少なくとも1種の酵素の活性を低減させる請求項1~3の何れか1項に記載の発芽穀物加工方法。
 前記発芽穀物が麦芽である請求項1~4の何れか1項に記載の発芽穀物加工方法。
 前記麦芽が乾燥麦芽である請求項5に記載の発芽穀物加工方法。
 請求項5又は6に記載の加工方法によって得られる麦芽製品。
 請求項7に記載の麦芽製品を原料として用いる飲食品。
 請求項7に記載の麦芽製品を原料として用いる麦芽発酵飲料。
 前記麦芽製品を炭素源のうちの10%~100%用いる請求項9に記載の麦芽発酵飲料。
 ビール、発泡酒、リキュール、低アルコール飲料又はノンアルコールビールテイスト飲料である請求項9又は10に記載の麦芽発酵飲料。
Description:
マイクロ波加熱処理による発芽 物加工法

 本発明は、発芽穀物の加工技術及びこれ 用いて得られた麦芽製品、麦芽発酵飲料、 び飲食品に関する。

 発芽穀物とは、例えば、発芽玄米、発芽小 、発芽大麦(麦芽)、発芽大豆、発芽トウモ コシ種実などを意味する。これらは、デン ン等の基質の他、種々の有効成分なども豊 に含まれることから、多くの飲食品の原料 として広く利用されている。特に、麦芽中 は、血圧上昇抑制効果、神経の沈静化、及 肝機能改善効果のあるγ-アミノ酪酸や、甘 や旨みに関わるグリシンベタインなどの有 成分も多く含まれることが知られている。
 発芽穀物は、発芽の際、発芽穀物中に存在 る種々の酵素の働きによって種々の有効成 が生成され得るので、未発芽穀物と比べて 常に栄養価が高い。
 更に、発芽穀物中の種々の酵素は、元々、 物が発芽し光合成を開始するまでの芽や根 エネルギー生成を司るためのものである。 えば、麦芽中のアミラーゼ活性を利用して 麦芽からビール飲料を製造する場合のよう 、そうした酵素の働きを利用して発芽穀物 加工し、飲食品を製造する方法も広く知ら ている。
 従って、従来の発芽穀物の加工方法におい は、一般的に、発芽穀物中に含まれる有効 分等の変性又は分解による低減、並びに発 穀物中の種々の酵素の失活をできる限り抑 るように実施している。

 しかしながら、酵素の中には、発芽穀物を 料として飲食品を製造する際に有用ではな 酵素も存在しており、そのような酵素を特 した上で、その酵素活性を抑えるように発 穀物を加工する方法も例外的に知られてい 。
 例えば、麦芽中に存在するリポキシゲナー という酵素は、脂肪酸類の酸化反応に関与 る酵素であり、ビール飲料製造時の麦汁に まれる脂肪酸類(特に、リノール酸)を酸化 て、9-ヒドロペルオキシドオクタデカン酸(9- HPOD:過酸化脂質の一種)を生成する。その後、 9-HPODは、ビール飲料となって保存される間に 、カードボード臭(劣化したビール飲料が放 特有の異臭)の原因物質とされるトランス-2- ネナール(T2N:アルデヒド類の一種)に変換さ る。従って、リポキシゲナーゼの活性(以下 、LOX活性と称する)を抑えることは、9-HPODの 成を抑えることとなり、その結果、T2Nの発 を防止し得、ビール飲料の品質維持に効果 であると考えられている。

 そこで、そうしたビール飲料の品質維持の め、LOX活性の低い(若しくは喪失した)大麦 品種をスクリーニングしてその麦芽を使用 てビール飲料を製造する方法や、温風で焙 処理してLOX活性を低減させた麦芽を使用し ビール飲料を製造する方法等(特許文献1参照 )が知られている。
 また、穀物にマイクロ波または赤外線を照 する一般的な技術として、穀物を長期間に り高品質で保存することを可能にする穀物 理装置(特許文献2参照)が知られている。

特開2005-102690号公報

特開平3-22946号公報

 しかしながら、上述の低LOX活性の麦芽品 をスクリーニングする方法では、まず、多 の在来種大麦についてスクリーニングを実 して、LOX活性の低い(若しくは喪失した)大 を見つけ出し、その大麦を育成しなければ らない。従って、そうした低いLOX活性を有 る大麦が、大量に安定供給され得るように るまでには、多くの時間と労力そして費用 要求され、大幅なコスト増を招来する虞が る。更に、ビール飲料保存の際の異臭の原 となる物質は、上述のT2Nに限られず、麦芽 に存在するプロテアーゼによって生成され アミノ酸が、麦芽中の糖と反応して生成さ るストレッカーアルデヒドもまた異臭の原 物質となり得る。このため、LOX活性を抑制 ただけでは異臭の発生を十分に抑えること できなかった。

 特許文献1に記載される方法は、製麦工程( 麦から麦芽を製造する工程)にて実施される 法であるため、既存の流通麦芽(乾燥麦芽) 適用するのは難しい。仮に、流通麦芽に適 しようとすると、流通麦芽が焦げ付いてし う虞がある。更にこの方法は、常圧の温風 使用して麦芽を焙燥する方法であり、麦芽 焦げ付かないように、厳密な温度制御の下 ゆっくりと時間をかけて(数時間~数十時間) 施しなければならない。この方法では、原 が大量になればなるほど、均一で速やかな 度制御が困難となるので、多くの時間を要 、処理操作が煩雑になる。
 又、この方法では、LOX活性を十分に低下さ るためには、麦芽の着色を免れることがで ず、その後の麦芽の使用用途が制限されて た。更に、特許文献1に記載される方法では 、温風を使用するため、麦芽中に含まれるγ- アミノ酪酸等の有効成分までも熱分解や重合 によって低減してしまうという問題も生じて いた。

 本発明は、上記実情に鑑みてなされたも であって、例えば、流通している乾燥麦芽 発芽玄米、発芽大豆等いかなる種類の発芽 物にも適用可能であり、短時間且つ簡便な 理操作で、発芽穀物中の有効成分を保持し つ、劣化による異臭の発生を抑えることの きる発芽穀物加工方法を提供するものであ 。

 本発明の発芽穀物加工方法の第1特徴構成は 、発芽穀物をマイクロ波加熱処理することに より、前記発芽穀物中の酵素の活性を低減す る点にある。
〔作用及び効果〕
 本構成によれば、発芽穀物をマイクロ波加 処理すると、発芽穀物中に存在する水分子 どのマイクロ波吸収体に、マイクロ波が吸 されることで分子の回転、振動により熱が 生し、その熱が、発芽穀物中に存在する種 の酵素に伝わり、速やかにそれらの酵素に 変性を生じさせる。これにより、それらの 素活性を低減することができる。その結果 発芽穀物中のリポキシゲナーゼやプロテア ゼ等の酵素活性が低減されて、発芽穀物や の加工品を保存する際の劣化による異臭の 因物質(T2Nやストレッカーアルデヒド等のア ルデヒド類)の生成が抑えられる。このため 発芽穀物やその加工品の品質をより長期に たって維持することが可能になる。
 更に、本発明において適用可能な発芽穀物 ついては特に制限は無く、一般に流通して る発芽穀物を使用することが可能である。 のため、低LOX活性を有する大麦をスクリー ングして育成する必要もなく、大幅なコス 増を招来する虞もない。
 その上、本発明は、熱伝導によらないため 伝導の悪い物質でも内部まで短時間で加熱 き、時間の大幅節約が可能である。即ち、 記特許文献1に記載されるような温風による 熱伝導で処理する技術と比べて、非常に短時 間でリポキシゲナーゼやプロテアーゼの活性 を低減することができる。従って、発芽穀物 の焦げ付きも少なく、発芽穀物の着色や、脂 質の酸化等による劣化(発芽穀物中に含まれ デンプン等の基質や有効成分の変性や分解 よる低減)を招来し難い。更に、マイクロ波 熱によれば、大量の原料(発芽穀物)に対し も、温風で処理する場合よりもより均一で やかな加工処理(加熱処理)を実施することが 可能であるので、処理操作も簡便である。

 本発明の発芽穀物加工方法の第2特徴構成は 、前記マイクロ波加熱処理が、14000J~180000Jの ネルギー量の処理である点にある。
〔作用及び効果〕
 本構成によれば、かかるエネルギー量のマ クロ波によって発芽穀物を処理することに って、発芽穀物の着色を抑制しつつ、確実 酵素活性を低減することができる。

 本発明の発芽穀物加工方法の第3特徴構成は 、マイクロ波加熱処理が、70J/g~3300J/gのエネ ギー量の処理である点にある。
〔作用及び効果〕
 本構成によれば、かかるエネルギー量のマ クロ波によって発芽穀物を処理することに って、より確実に発芽穀物の着色を抑制し つ酵素活性を低減することができる。

 本発明の発芽穀物加工方法の第4特徴構成は 、前記発芽穀物中に含まれるリポキシゲナー ゼ、プロテアーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラ ーゼ、及びリパーゼのうち少なくとも1種の 素の活性を低減させる点にある。
〔作用及び効果〕
 本構成によれば、リポキシゲナーゼによる 肪酸類の酸化反応、プロテアーゼによるタ パク質分解反応、あるいはリパーゼによる 肪酸の遊離をより確実に抑えることができ 。一方、仕込工程で働くべき酵素であるα- ミラーゼ、β-アミラーゼの活性がマイクロ の照射によりある程度低減した場合には、 れらの酵素による分解の程度が通常と異な ような特徴のある麦芽を得ることができ、 ールの香味設計の上、有用な技術となる。
 尚、本構成において、α-アミラーゼ、β-ア ラーゼの活性が低減され過ぎることがある このような場合、酵素基質は十分に存在す ので、発芽穀物の加工の際に、外部から所 の酵素を添加して補充し、酵素反応を実施 ることもできる。

 本発明の発芽穀物加工方法の第5特徴構成は 、前記発芽穀物が麦芽である点にある。
〔作用及び効果〕
 本構成のように、発芽穀物として麦芽を使 すると、加工後の前記麦芽中の酵素活性が 減される。他方、前記加工後も、前記麦芽 のデンプン等の基質やγ-アミノ酪酸等の有 成分等は保持されている。尚且つ、加工後 前記麦芽は、長期に保存してもアルデヒド 等の異臭が発生し難く、飲食品の原料とし 加工する際に非常に扱い易い。
 特に、本発明により加工された麦芽を、例 ば、ビール飲料製造の原料として使用した 合、製造時の麦汁における、リポキシゲナ ゼやプロテアーゼ等の酵素活性が低減され 、異臭の原因物質(T2Nやストレッカーアルデ ヒド等のアルデヒド類)の生成が抑えられる このため、ビール飲料の品質をより長期に たって維持することが可能になる。
 更に、プロテアーゼによるタンパク質分解 応が抑えられるので、香味成分の一種で、 ク味等のもとになるアミノ酸の生成が抑え れ、アミノ酸含有量の少ない麦汁を得るこ ができる。その結果、本発明により加工さ た麦芽を使用するビール飲料の製造におい は、デンプンや糖化スターチなどの副原料 特に使用しなくとも、コク味や雑味の少な 、すっきりとした味わいのビール飲料を製 することが可能となる。

 本発明の発芽穀物加工方法の第6特徴構成は 、前記麦芽が乾燥麦芽である点にある。
〔作用及び効果〕
 乾燥麦芽は、それ自身が流通対象となるほ 貯蔵性がよく、又、飲食品(例えば、発酵飲 料、水飴等)の製造に供することができるの 好ましい。

 本発明の麦芽製品の特徴構成は、前記加工 法によって得られる点にある。
〔作用及び効果〕
 本構成の麦芽製品は、酵素活性は低減され いるが、デンプン等の基質やγ-アミノ酪酸 の有効成分は保持されている。更に長期保 してもアルデヒド類等の異臭が発生し難く 尚且つ特に目立つ着色もない。このため、 食品の原料として加工する際に非常に扱い い。

 本発明の飲食品の特徴構成は、前記麦芽製 を原料として用いる点にある。
〔作用及び効果〕
 本構成の飲食品は、その品質をより長期に たって維持することが可能であり、且つ、 -アミノ態窒素やトランス-2-ノネナール含有 が低減されている。このため、コク味や雑 の低減が要求される場合に好適である。

 本発明の麦芽発酵飲料の第1特徴構成は、前 記麦芽製品を原料として製造される点にある 。
〔作用及び効果〕
 本構成の麦芽発酵飲料は、その品質をより 期にわたって維持することが可能であり、 つ、α-アミノ態窒素やトランス-2-ノネナー 含有量が低減されているため、コク味や雑 の少ない、すっきりとした味わいの麦芽発 飲料である。

 本発明の麦芽発酵飲料の第2特徴構成は、前 記麦芽製品を炭素源のうちの10%~100%用いる点 ある。
〔作用及び効果〕
 本構成の麦芽発酵飲料は、後述する実施例6 及び実施例7に示されるように、炭素源とし マイクロ波加熱処理していない麦芽を100%使 して調製した麦芽発酵飲料と比べて、香味 定性に優れる。

 本発明の麦芽発酵飲料の第3特徴構成は、ビ ール、発泡酒、リキュール、低アルコール飲 料又はノンアルコールビールテイスト飲料で ある点にある。
〔作用及び効果〕
 前記麦芽発酵飲料として、ビール、発泡酒 リキュール、低アルコール飲料又はノンア コールビールテイスト飲料が好適である。

 以下に本発明の実施の形態を説明する。
〔実施形態〕
 本発明は発芽穀物の加工方法であって、適 なマイクロ波加熱装置を使用して、麦芽等 代表される発芽穀物を所定の処理条件下(例 えば、マイクロ波の出力値、処理時間、処理 量等)にて処理する。これにより、前記発芽 物中の各種酵素活性を低減する。
 以下に、各構成要素や処理条件について説 する。

(発芽穀物)
 本発明に適用可能な発芽穀物とは、発芽玄 、発芽小麦、発芽大麦(麦芽)、発芽大豆、 芽トウモロコシ種実等といった、発芽した 物を意味する。穀物の例としては、例えば オオムギ、コムギ、ライムギ、カラスムギ オートムギ、ハトムギなどの麦や、イネ(米) 、トウモロコシ、ヒエ、アワ、キビ、ソバ、 ダイズ、アズキ、エンドウ、ソラマメもしく はインゲンマメなどが挙げられるが、これら に限定されない。
 又、本発明に適用可能な「麦芽」とは、種 を水等に浸漬して発芽させた製麦中の「緑 芽」、及び緑麦芽を乾燥させた「乾燥麦芽 を意味する。特に、「乾燥麦芽」は保存性 よく、それ自身、商品として一般的に流通 るので好ましい。
 更に、「特殊麦芽」の製造に際して本発明 係る方法を適用することができる。例えば ウィートモルトやライモルト等では、大麦 芽と同様に、緑麦芽及び乾燥麦芽の状態で 法を適用することができる。ピートモルト ローストモルト等であれば、本法による処 を施した後に、焙燥処理を施して所望のテ ストを付与することができる。

 尚、本発明に適用可能な発芽穀物には、 全な発芽穀物の他に、その分画物(例えば、 胚乳、幼芽、穀皮など)又は発芽穀物もしく その分画物の処理物も含まれる。前記処理 としては、発芽穀物又はその分画物に何ら の処理を加えたものであれば特に限定され い。例えば、発芽穀物の又はその分画物の 砕物、破砕物、摩砕物、乾燥物、凍結乾燥 又は抽出物(超臨界抽出も含む)、その濃縮物 もしくは抽出後の固形分などが挙げられる。

(酵素)
 本発明における酵素とは、発芽穀物中に存 する酵素を意味している。例えば、リポキ ゲナーゼ、プロテアーゼ、α-アミラーゼ、 -アミラーゼ、リパーゼ等が挙げられるが、 れらに限定されるものではない。中でも発 によって増強するリポキシゲナーゼ、プロ アーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、リ ーゼを効率的に叩けるので、この技術は発 穀物に有効である。
 尚、これらの酵素のうち、劣化に関わるリ キシゲナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼに いては熱安定性の低く、マイクロ波の照射 より効率的に活性が低下することから、本 明の技術が有効である。一方、仕込工程で くべき酵素(α-アミラーゼ及びβ-アミラーゼ などのアミラーゼ類など)の活性についても イクロ波の照射によりある程度低減する。 の結果、アミラーゼ類などによる分解の程 が通常と異なるような特徴のある麦芽を得 ことができ、ビールの香味設計の上、有用 技術である。
 また、例えば、α-アミラーゼ、β-アミラー などのアミラーゼ類などの発芽穀物を加工 る際に有用な酵素の活性が低減され過ぎて まうことがある。このような場合には、酵 基質は十分に存在するので、発芽穀物の加 の際に、外部から所望の酵素を添加して補 し、酵素反応を実施することも可能である この方法を用いると、目的に応じて種々の 素を所定量添加することで、最適な酵素反 を起こすように容易に制御することが可能 なる。従って、本発明によって、飲食品の 料として非常に扱い易い発芽穀物を提供す ことができる。

(処理条件)
 本発明の処理に用いられるマイクロ波の出 値は、特に限定されないが、550W~6000Wの範囲 であることが望ましい。また、処理時間は特 に限定されないが、5秒から300秒の範囲が好 しく、特に10秒から120秒の範囲が好ましい。
 なお、マイクロ波の処理出力(W、ワット)と 理時間(秒)の積は、エネルギー量(J、ジュー ル)として表現される。本発明で用いられる イクロ波の処理のエネルギー量は14000J~180000J のエネルギー量の処理であることが望ましい 。中でも、14000J~120000Jのエネルギー量の処理 あることがより好ましい。
 又、本発明で用いられるマイクロ波の処理 エネルギー量は、単位重量換算では、70J/g~3 300J/gのエネルギー量の処理であることが望ま しい。中でも、330J/g~1500J/gのエネルギー量の 理であることがより好ましい。

(処理装置)
 本発明で用いることが可能な処理装置は、 に限定されないが、例えば、一定の出力で 処理が可能な以下の装置を用いることがで る。尚、バッチ式の処理装置を使用する場 、1回で処理する発芽穀物量は、数g~数kgで ることが好ましい。
(1)バッチ式のマイクロ波処理として、家庭用 電子レンジ(SHARP社:RE-Z7-H6P、マイクロ波2450MHz 出力550W)。
(2)バッチ式のマイクロ波処理として、マイク ロ波加熱装置(CEM社:LabWave9000、マイクロ波2450M Hz、出力6000W)。
(3)コンベア移送とマイクロ波処理を組み合わ せた連続式のマイクロ波処理として、マイク ロ波加熱装置(オシキリ社製マイクロ波オー ン:マイクロンMWC-412、マイクロ波2450MHz、出 1200W)。

 尚、本発明により処理された発芽穀物の 工品(例えば、麦芽製品)は、飲食品として 例えば、酒類・食品類の原料として使用す ことができる。酒類としては、例えば、ビ ル、発泡酒、リキュール、低アルコール飲 といった麦芽発酵飲料等がある。又、食品 としては、ノンアルコールビールテイスト 料、ジュース、コーヒー、茶、麦芽飲料等 清涼飲料、製菓、製パン類、穀粉、麺類、 類、加工食品、調味料等が挙げられるが、 れらに限定されない。尚、本発明において 発泡酒とは、日本の酒税法における発泡酒 いわゆる低麦芽使用比率の発酵飲料を指す

 特に、本発明により処理された麦芽製品を 料として使用してビール飲料を製造する場 、劣化に係るリポキシゲナーゼ、プロテア ゼ、リパーゼ等の低減させたい酵素の活性 抑えられる。熱安定性の低いこれらの酵素 マイクロ波の照射により効率的に活性が低 することから、本発明の技術が有効である 一方、仕込工程で働くべき酵素(α-アミラー ゼ及びβ-アミラーゼなどのアミラーゼ類など )の活性についてもある程度低減するので、 要に応じて任意の酵素を補充して、必要な 素反応を促進することが可能である。
 尚、酵素は、食品用として使用されるいず の酵素も使用することができる。例えば、 化を進めたい場合には、必要に応じた量の 販のアミラーゼを添加する。
 又、アミノ酸の生成を進めたい場合には、 要に応じた量の市販のプロテアーゼを添加 てタンパク質の分解を促進させる。このよ に、添加する酵素の種類とその量によって 麦汁中に存在する種々の成分(糖類やアミノ 酸など)含量を自在に調整することができる その結果、酵母の資化成分(糖類やアミノ酸 ど)の含量を調整して、ビール飲料の香味を 種々に設計することも可能となる。即ち、酵 母によって資化された糖類やアミノ酸の残り がビール飲料の香味となるため、例えば、ア ミノ酸含量が低いビール飲料については、コ ク味や雑味の少ないすっきりとした味わいの ビール飲料となる。
 本発明に係る麦芽製品の酵素活性は通常(未 処理の)麦芽に比べて低い。麦芽として本発 品のみを用いてビールテイスト飲料を製造 る場合には、酵素の不足に起因する発酵不 が起こらないように、例えば、本発明の麦 の使用比率は、重量比率で5%~70%、より好ま くは10%~66%とすることが好ましい。
 麦芽として本発明品以外の麦芽を併せて用 る場合や外部酵素を用いる場合にはこの限 ではなく、本発明の処理麦芽の使用比率は えば1%~100%の範囲で任意に用いることができ る。

 添加する酵素は、例えば、本発明による処 をしていない未処理麦芽に由来するものを 用しても良い。麦芽には種々の酵素が含ま ているが、それぞれの酵素の活性や量は様 である。例えば、糖化酵素であるアミラー 類の力価(比活性)は、プロテアーゼやリポ シゲナーゼなどの力価と比べて高い。従っ 、本発明に係る加工処理を施した麦芽に、 量の前記未処理麦芽を添加することで糖化 実施すると、プロテアーゼやリポキシゲナ ゼの量が少ない状態での糖化が可能になる この結果、それらの酵素反応が抑えられ、 臭の原因となるアルデヒド類の生成を抑制 ることもできる。すなわち、原料として使 する麦芽のうち、本発明による処理を実施 た麦芽と、未処理麦芽との配合比率とを種 に変更することによって、アミノ酸含量等 由来する香味に関するバリエーションを有 る種々のビール飲料を製造することができ 。
 例えば、炭素源のうち、本発明による処理 実施した麦芽の使用が10%以上であれば香味 定性の改善効果が得られる。一方、本発明 よる処理を実施した麦芽の使用比率が高い 、麦芽でんぷんの分解が不十分になること 懸念される。しかし、例えば、本発明によ 処理を実施した麦芽を、炭素源のうち、70%~ 100%を使用したとしても、外部酵素(アミラー 酵素類)を補強することで麦芽発酵飲料を製 造することができる。

 従来のビール飲料の製造方法においては ビール飲料における過剰なアミノ酸の生成 抑えて、コク味や雑味の少ないすっきりと た味わいのビール飲料を製造するために、 料となる麦芽の他に、デンプンや糖化スタ チなどの副原料を用いて基質バランスを変 ることで調整していた。しかし、本発明に れば、そのような副原料を使用せずに、コ 味や雑味の少ないすっきりとした味わいの ール飲料を製造することが可能となる。

 以下、本発明について、実施例により具 的に説明するが、本発明はこれらに限定さ るものではない。尚、本実施例中、単に「 芽」と表記されているものは、大麦種子由 の乾燥麦芽を表す。又、特に記載がない限 、酵素活性を表す単位「U」は、1分間に1μmo lの基質を変化させることができる酵素量を う。

(実施例1)家庭用電子レンジによる処理
 バッチ式のマイクロ波処理として、家庭用 子レンジ(SHARP社:RE-Z7-H6P、マイクロ波2450MHz 出力550W)を用いて、乾燥麦芽を30~300秒間処理 した。各試料(処理後の乾燥麦芽)を回収し、 下に記載される測定方法によって、そのリ キシゲナーゼ活性(LOX活性)、リパーゼ活性 α-アミラーゼ活性、β-アミラーゼ活性、プ テアーゼ活性、色調を測定した。更に、各 料につき、パネラーによる匂いの官能評価 実施した。匂いの官能評価は、30人の専門パ ネリストにより行った。評価項目として、コ ゲ臭の有無、穀物臭の有無、カラメル香、お よび穀物臭を評価した。

 コントロールとして、未処理の乾燥麦芽 ついても同様に測定した。結果を以下の表1 に示す。尚、表1の中で、各酵素活性の値は 上段の値が1g当りの酵素量を示し、下段の値 がコントロールにおける各酵素の活性を100(%) としたときの相対的な値(%)を示す。コントロ ールにおける酵素の活性と比べて、試料にお ける酵素の活性が低い場合には、その値は100 未満になる。

 <LOX活性測定方法>
 氷冷した酢酸緩衝液で抽出した麦芽のリポ シゲナーゼ(LOX)の活性を意味する。LOXとリ ール酸との反応を、波長234nmにおける所定時 間内の溶液の吸光度の増加率から算出した。
 測定は、特開2001-29097Aに従い、以下の手順 より行った。
1.酵素抽出液の調整
 所定の粉砕をした麦芽を、所定量氷冷下の 酸緩衝液で抽出し、遠心分離し、固形分を 去したものを酵素抽出液とした。
2.反応基質液
 氷冷下のホウ酸緩衝液にTWEEN 20、リノール 、水酸化ナトリウム水溶液を所定量加氷冷 で超音波分散させ、ここに脱イオン水を加 たものを反応基質液とした。
3.測定
 25℃に保温したリン酸緩衝液に反応基質液 酵素抽出液の順に加え、振とう攪拌し、セ を25℃に保温した吸光度計で234nmにおける吸 度を5分間測定し、その1分間あたりの吸光 の増加率からLOX活性を測定した。

 <リパーゼ活性測定>
 市販されるリパ-ゼキットS(大日本製薬株式 社製)を使用して実施した。

 <α-アミラーゼ活性測定>
 市販されるキットCERALPHA METHOD(MEGAZYME社製) 使用して実施した。
 このキットにおけるα-アミラーゼ活性測定 原理を以下に記す。
 ブロックp-ニトロフェニルマルトヘプタオ イド(BPNPG7)を基質とし、これにサンプルから 抽出した酵素溶液を加える。生成したp-ニト フェニルマルトサッカライドを耐熱性α-グ コシダーゼで分解する。リン酸三ナトリウ で反応を停止した。生成したp-ニトロフェ ールはフェノラート発光するので、これを41 0nmで吸光度測定した。(McCleary,B.V.and Sheehan,H.( 1987) Journal of Cereal Science, 6 , 237-251.Sheehan, H.and McCleary,B.V.(1988) Biotechnology Techniques, 2 ,  289-292.)

 <β-アミラーゼ活性測定>
 市販されるキット BETAMYL METHOD(MEGAZYME社製) 使用して実施した。
 このキットにおけるβ-アミラーゼ活性測定 原理を以下に記す。
 高レベルのα-グルコシダーゼの存在する Be tamyl(p‐ニトロフェニル マルトペンタオース ;PNPG5)溶液を、サンプルから抽出した酵素溶 と反応させて基質を分解した。この溶液に Trizma baseを加えて反応停止・発色させ、基 から解離したp-ニトロフェノールの吸光度を 測定した。(Mathewson,P.R. and Seabourn,B.W. (1983)  Journal of Agriculture and Food Chemistry. 31, 1322-1 326.  McCleary,B.V.and Codd,R. (1987) Journal of Cere al Science, 9 , 17-33.  Santos, M.M. and RutsnP. ( 1996) Journal of the Institute of Brewing, 102 , 27 1-275.)

 <プロテアーゼ活性測定方法>
 プロテアーゼ活性測定には、酸性カルボキ ペプチダーゼ測定キット(キッコーマン社製 )を用いた。1分間に合成基質から1μmolのアラ ンを遊離する力価(この酵素の活
性に関しては、かかる酵素活性を1Uとする)を 求めた。

 <焙煎度測定方法>
 麦芽50gをミルで粉砕し、色差計(日本電色工 業社製:SE-2000)でハンター式表色系(Lab)によるL (明度)値、a(赤色)、b(黄色)を測定する。測定 は、粉砕麦芽3gを用いた。測定値のバラツ を考慮して、3回測定を行い、平均値とした 尚、L(明度)は、数値が大きいほど明るいこ を意味し、焙煎度の指標とした。a(赤色)は ラスの値が大きいほど赤色を呈しており、 イナスの値が大きいほど緑色を呈している とを意味する。b(黄色)は、プラスの値が大 いほど黄色を呈しており、マイナスの値が きいほど青色を呈していることを意味する

 上記表1に示すように、本法を施した乾燥 麦芽では、着色を抑制しつつ種々の酵素活性 が低減された。

(実施例2)マイクロ波連続処理装置による処理
 コンベア移送とマイクロ波処理を組み合わ た連続式のマイクロ波処理として、マイク 波加熱装置(オシキリ社製マイクロ波オーブ ン:マイクロンMWC-412、マイクロ波2450MHz、出力 1400W)を用いた。乾燥麦芽200gを10~60秒間処理し た。各試料(処理後の乾燥麦芽)を回収し、以 に記載される測定方法によって、そのリポ シゲナーゼ活性(LOX活性)、リパーゼ活性、α -アミラーゼ活性、β-アミラーゼ活性、プロ アーゼ活性、色調を測定した。更に、各試 につき、パネラーによる匂いの官能評価を 施した。匂いの官能評価は、30人の専門パネ リストにより行った。評価項目として、コゲ 臭の有無、穀物臭の有無、カラメル香、およ び穀物臭を評価した。

 コントロールとして、未処理の乾燥麦芽 ついても同様に測定した。結果を以下の表2 に示す。尚、表2の中で、各酵素活性の値は 上段の値が1g当りの酵素量を示し、下段の値 がコントロールにおける各酵素の活性を100(%) としたときの相対的な値(%)を示す。コントロ ールにおける酵素の活性と比べて、試料にお ける酵素の活性が低い場合には、その値は100 未満になる。

 上記表2に示すように、本法を施した乾燥 麦芽では、着色を抑制しつつ種々の酵素活性 が低減された。

(実施例3)高出力マイクロ波装置による処理
 バッチ式のマイクロ波処理として、マイク 波加熱装置(CEM社:LabWave9000、マイクロ波2450MH z、出力6000W)を用いて、乾燥麦芽100gを10~30秒 処理した。各試料(処理後の乾燥麦芽)を回収 し、以下に記載される測定方法によって、そ のリポキシゲナーゼ活性(LOX活性)、リパーゼ 性、α-アミラーゼ活性、β-アミラーゼ活性 プロテアーゼ活性、色調を測定した。更に 各試料につき、パネラーによる匂いの官能 価を実施した。匂いの官能評価は、30人の 門パネリストにより行った。評価項目とし 、コゲ臭の有無、穀物臭の有無、カラメル 、および穀物臭を評価した。

 コントロールとして、未処理の乾燥麦芽 ついても同様に測定した。結果を以下の表3 に示す。尚、表3の中で、各酵素活性の値は 上段の値が1g当りの酵素量を示し、下段の値 がコントロールにおける各酵素の活性を100(%) としたときの相対的な値(%)を示す。コントロ ールにおける酵素の活性と比べて、試料にお ける酵素の活性が低い場合には、その値は100 未満になる。

 上記表3に示すように、本法を施した乾燥 麦芽では、着色を抑制しつつ種々の酵素活性 が低減された。

(実施例4) 麦芽使用比率が重量比率で66%の発 飲料の製造例
 麦芽使用比率66%の麦芽発酵飲料を以下のよ にして調製した。即ち、実施例1で得られた 処理済の乾燥麦芽のうち試料No.2(マイクロ波2 450MHz 出力550W 60秒処理、処理エネルギー33000 J)と同じ条件で処理した麦芽66%と、市販の酵 糖化水飴34%とを含む原料を用い、粉砕した 芽を糖化し、ろ過して麦汁を得た。更に、 の麦汁にホップを投入して煮沸して冷却し 後、ビール醸造用酵母を添加して発酵させ 、発酵飲料を調製した。また、コントロー として未処理の麦芽を66%用いた発酵飲料を 整した。
 以下に記載される測定方法によって、そのF AN、EBCカラー、劣化度(28℃3週間)、T2N量を測 した。その結果、着色の抑制された劣化し い発酵飲料が得られた。

<FAN(α-アミノ態窒素)測定方法>
 2,4,6-trinitrobenzenesulfonic acid(TNBS)が遊離のα- ミノ基と反応して生成する化合物が酸性で 大吸収を持つことを利用して、α-アミノ酸 測定した。測定に際しては、最大吸収を分 光度計波長340nmとした。具体的にはサンプル (試料)を適当に希釈し、これにリン酸緩衝液 TNBS溶液を加え、所定時間、所定温度で保持 した後、反応停止液を加え、吸光度を測定し た。この吸光度を既知濃度のグリシン標準水 溶液から求めた検量線に照らし合わせて、サ ンプル中のα-アミノ態窒素濃度(mg/100ml)を算 し、生成したアミノ酸量を評価した。

<EBCカラー測定方法>
 濁りが無く透明麦汁としての分光特性を持 試料の430nmの単色光での吸光度を測定し、 の値にファクター(25)を乗じることによりEBC 度を得た。
EBC色度=〔430nmの吸光度〕×25

<劣化度測定方法>
 劣化度の評価は専門パネリストによる官能 価で行った。コゲ臭の有無、穀物臭の有無 カラメル香、および不快な穀物臭、T2N臭な を評価した。劣化臭のないフレッシュな状 を0とし5段階で評価した。数値が大きいほ 劣化が強い。

<T2N量測定方法>
 T2Nとはtrans-2-nonenalのことである。T2Nには、 離型(フリー体)と結合型(タンパク質やポリ ェノール等と結合している)とがあるが、本 発明においてはT2Nとはこれらの総量をいう。 ビール飲料におけるT2N濃度の測定は以下に記 載の方法で行った。
(1)ビール飲料80gについて窒素バブリングを行 う(30分間)。
(2)(1)の液を100℃で、120分保持する。
(3)(2)の液40gを固相抽出セップパックC8(Waters社 製)にて抽出する。
(4)水洗の後、メタノール2mLにて溶出する。
(5)(4)にヒドラジン200μL、33%酢酸300μLを入れて 25℃、2時間においてHPLC分析を行う。

 発酵飲料の評価結果を表4に示す。麦芽使用 率66%の発酵飲料は、外部酵素を添加しなくて も、発酵不良などの工程上の不具合は認めら れなかった。又、得られた発酵飲料の遊離ア ミノ酸濃度及びT2N濃度はコントロールより低 く、明るい色調のものが得られた。
 本発明の麦芽加工品を原料として用いる場 、少なくとも、麦芽使用比率が約66%以上で れば、その色調が明るく、又、未処理の麦 を利用したときに比べて遊離アミノ酸濃度 びT2N濃度が低い、良好な発酵飲料が得られ ことが分かった。

(実施例5)
 実施例5として、大麦、乾燥麦芽(発芽穀物) カラメル麦芽、メラノイジン麦芽、並びに 対照として実施例2に記載の試料No.5,6,7の麦 (本発明により処理された麦芽)について、γ -アミノ酪酸の含有量、グリシンベタインの 有量をそれぞれ以下に記載される方法によ て測定した。その結果を表5に示す
<γ-アミノ酪酸測定方法>
 麦汁を純水で10倍に希釈し、L-8800型高速ア ノ酸分析計(HITACHI製)により定量を行った。
<グリシンベタイン測定方法>
 麦汁を0.45μmのフィルターでろ過後、Develosil  ODS5(野村化学製)を用いたHPLCにて分析した。 この分析の際、5%メタノールを溶媒として示 屈折率計で定量した。(Mutation Research 439 (1 999) 267-276)

 表5に示すように、穀物に含まれる有用成 分として知られているγ-アミノ酪酸やグリシ ンベタインの含有量は、未発芽大麦では僅か に含まれるのみである。発芽に伴って、それ らの含有量は大幅に増加する。しかし、従来 の麦芽加工方法を施すと、それらの含有量は 大幅に減少していた。一方、本法を適用した 場合、処理前の乾燥麦芽のγ-アミノ酪酸やグ リシンベタインの含有量と同レベルに処理後 のそれらの含有量を維持することが出来た。

(比較例1)
 比較例1として、製麦時の乾燥後の工程で、 所定の温度において温風による通常の焙煎処 理を実施し、メラノイジン麦芽とカラメル麦 芽を製造した。製造したメラノイジン麦芽と カラメル麦芽について、実施例1と同様の測 方法によって、そのリポキシゲナーゼ活性(L OX活性)、リパーゼ活性、α-アミラーゼ活性、 β-アミラーゼ活性、プロテアーゼ活性、色調 を測定した。更にパネラーによる匂いの官能 評価を実施した。尚、コントロールとして、 未処理の乾燥麦芽についても同様に測定した 。結果を表6に示す。

 次いで、上記の各麦芽(コントロール、メラ ノイジン麦芽、カラメル麦芽)を粉砕した後 糖化し、ろ過して麦汁を得た。得られた各 料の麦汁について、実施例4と同様の測定方 によって、そのFAN、EBCカラー、T2N量、フル ラールを測定した。パネラーによる匂いの 能試験も併せて実施した。その結果を表7に 示す。
<フルフラール測定方法>
 麦汁1mLをミリポア社製のポアサイズ0.45μmの フィルターを通した。ろ過した麦汁のうち10 Lを、HPLC分析に供した。分析はHPLCシステムCL ASS-VPシリーズ(島津製作所社製)にて、Deverosil- C30-UG5(野村化学社製4.6×150mm)カラムを用いて った。分析条件はA液を0.05%TFA(トリフルオロ 酸)水溶液、B液を0.05%TFA、90%アセトニトリル 溶液とし、流速1.0mL/minにて、B液0%から20%まで の100分間の直線グラジエントとした。又、検 出は波長300nmのUV吸収にて行った。

 (実施例6)麦芽使用比率が100%の発酵飲料の使 用例 その1(処理麦芽100%使用)の場合
 炭素源として、本発明の処理麦芽を100%の用 いた発酵飲料を以下のように調製した。即ち 、実施例1で得られた処理済みの乾燥麦芽の ち試料No.2(マイクロ波2450MHz 出力550W 60秒処 、処理エネルギー 660J/g)と同じ条件で処理 た麦芽を粉砕して、処理により低下した糖 酵素の活性を補うべく、外部酵素として市 のアミラーゼ類を添加して糖化し、濾過し 麦汁を得た。更に、この麦汁にホップを投 して煮沸して冷却した後、ビール醸造用酵 を添加して発酵させて、発酵飲料を調製し 。コントロールとして未処理の麦芽を100%用 いた発酵飲料を調製した。
 得られた飲料について、そのFAN、EBCカラー T2N量、劣化度(28℃3週間)を上述の方法で測 した。結果を表8に示す。その結果、すっき した味わいと明るい色調を持ち、且つ、劣 し難い発酵飲料が得られた。表8のとおり、 香味安定性は飛躍的に向上した。

(実施例7) 麦芽使用比率が100%の発酵飲料の使 用例 その2(処理麦芽:未処理麦芽=10:90)の場合
 炭素源として、実施例1の試料No.2と同じ条 で処理した麦芽10%と未処理麦芽90%用いて、 芽100%の麦芽発酵飲料を調製した。麦芽を粉 して糖化し、濾過した麦汁を得た。更にこ 麦汁にホップを投入して煮沸して冷却した 、ビール醸造用酵母を添加して発酵させて 発酵飲料を調製した。コントロールとして 処理麦芽100%の発酵飲料を調製した。
 得られた飲料について、そのFAN、EBCカラー T2N量、劣化度(28℃3週間)を上述の方法で測 した。結果を表9に示す。その結果、処理麦 を10%使用することで、未処理麦芽100%使用し たときにくらべ、香味安定性に優れた発酵飲 料が得られることがわかった。

 本発明の発芽穀物加工方法は、例えば、 ール、発泡酒、リキュール、低アルコール 料又はノンアルコールビールテイスト飲料 の麦芽発酵飲料を製造する際に利用するこ ができる。