HATAYAMA SATORU (JP)
TANAKA AKIHIRO (JP)
HATAYAMA SATORU (JP)
WO2006093050A1 | 2006-09-08 | |||
WO2008029688A1 | 2008-03-13 | |||
WO2007049608A1 | 2007-05-03 |
式(1)で表されるジチオカルバメート化合物を50~250℃で加熱することにより重合させることを特徴とするハイパーブランチポリマーの製造方法。 |
前記ハイパーブランチポリマーが、式(4)で表されることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。 |
前記A 1
が式(6)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。 |
前記A 1
が式(7)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。 |
式(8)で表されるジスルフィド化合物を添加することを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。 |
前記式(8)で表されるジスルフィド化合物の添加量が、請求項1記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して1~3質量%であることを特徴とする、請求項5に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。 |
請求項1記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物を、ラジカル開始剤の非存在下、50~250℃で加熱することにより重合させることを特徴とする重合方法。 |
請求項5記載の式(8)で表されるジスルフィド化合物を添加することを特徴とする請求項7に記載の重合方法。 |
前記ジスルフィド化合物の添加量が、請求項1記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して1~3質量%であることを特徴とする請求項8に記載の重合方法。 |
請求項7ないし9の何れか1項に記載の重合方法で得られる生成物。 |
本発明は、ハイパーブランチポリマーの製
方法に関し、詳述すると、スチリル基及び/
又はアクリル基等の重合性不飽和結合基を含
有するジチオカルバメート化合物を加熱する
ことにより重合させるハイパーブランチポリ
マーの製造方法に関する。
また、本発明は、スチリル基及び/又はアク
リル基等の重合性不飽和結合基を含有するジ
チオカルバメート化合物を加熱することによ
り重合させる重合方法及びそれにより得られ
る生成物に関する。
ハイパーブランチポリマーは、デンドリマ
と共にデンドリティック(樹枝状)ポリマー
して分類されている。従来の高分子が一般
に紐状の形状であるのに対し、これらのデ
ドリティックポリマーは、積極的に枝分か
を導入しているため、特異な構造を有する
、ナノメートルオーダーのサイズである点
多くの官能基を保持する表面を形成するこ
ができる点、線状ポリマーに比べて低粘度
できる点、分子間の絡み合いが少なく微粒
的挙動を示す点、非晶性になり溶媒溶解性
制御できる点などにおいて様々な特性を利
した応用が期待されている。
ハイパーブランチポリマーは、線状および
全に分岐した繰り返し単位の混合物を含み
それに対して、理想的なデンドリマーは、
かなる線状の繰り返し単位も有さずに、完
に分岐した繰り返し単位のみを含む。
ハイパーブランチポリマーのデンドリマー
対する利点は、その合成の簡便さが挙げら
、特に工業的生産においては有利である。
般にデンドリマーが保護-脱保護を繰り返し
合成されるのに対し、ハイパーブランチポリ
マーは1分子中に2種類の置換基を合計3個以上
もつ、いわゆるAB X
型モノマーの1段階重合により合成される。
ハイパーブランチポリマーの製造方法とし
は、光重合開始能を持つジチオカルバメー
基を有し、かつスチリル基及び/又はアクリ
ル基を有する化合物の光重合による方法が知
られている。
例えば、ジチオカルバメート基を有するス
レン化合物の光重合によるハイパーブラン
ポリマーの合成法(非特許文献1、2、3参照。
)や、ジチオカルバメート基を有するアクリ
化合物の光重合によるジチオカルバメート
を有するハイパーブランチポリマーの合成
(非特許文献4、5、6参照。)、ジチオカルバメ
ート基を有するスチレン化合物と無水マレイ
ン酸共存下で光重合することによる、主鎖内
に酸無水物が導入された分子末端にジチオカ
ルバメート基を有するハイパーブランチポリ
マーの合成法(非特許文献7参照。)が知られて
いる。
このような光重合によるハイパーブランチ
リマーの製造方法では、高圧水銀灯のよう
光源を用いるため、高価な専用の反応設備
必要となる。
また、このような光重合では、高圧水銀灯
近にゲル化物が大量に発生するという問題
生じる。この為、転化率50%程度しか重合さ
ることができず、多量のモノマーが残存す
為に繰り返し再沈殿精製を行うため、ハイ
ーブランチポリマーは40%程度しか取り出す
とができない。また、ゲル化物の除去とい
煩雑な操作も必要となる。
さらに、反応のスケールアップにおいて、
反応の条件設定の難しさから、同一分子量
同一分岐度のものを製造することが困難で
るという問題も有している。
このように、光重合によるハイパーブラン
ポリマーの製造方法は、工業的に実施困難
あり、優れた工業的製造方法が望まれてい
。
ところで、ジチオカルバメート基を有する
合物及びAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)
ようなラジカル開始剤の存在下、スチリル
及び/又はアクリル基を有するモノマー類を
加熱することにより重合させる方法(特許文
1、2、3、4参照。)が知られている。
この方法では、スチリル基、アクリル基の
重結合部位で重合が進行し、直鎖状のポリ
ーが得られている。
また、分子内にジチオカルバメート基とス
リル基が共存する化合物である4-ビニルベ
ジル-N,N-ジエチルジチオカルバメートを、上
記と同様AIBNの存在下、加熱することにより
合させた例(非特許文献8参照。)が知られて
る。
この方法では、スチリル基の二重結合部位
重合が進行し、直鎖状のポリマーが得られ
いる。
また、該非特許文献8には、4-ビニルベンジ
-N,N-ジエチルジチオカルバメートを、AIBNの
存在下、30℃で加熱させた例があるが反応
ほとんど全く進行していない(収率0.8%)。
このように、分子内に、ジチオカルバメー
基と、スチリル基及び/又はアクリル基等の
重合性不飽和結合基とを含有する化合物を、
加熱することにより重合させてハイパーブラ
ンチポリマーを得た報告例はない。
本発明は、このような事情に鑑みてなさ たものであり、経済性および操作性に優れ 高収率で安定的に製造できるハイパーブラ チポリマーの製造方法を提供することを目 とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭
検討を重ねた結果、分子内に、ジチオカル
メート基と、スチリル基及び/又はアクリル
基等の重合性不飽和結合基とを含有する化合
物を、加熱することにより、高収率でハイパ
ーブランチポリマーが得られることを見出し
、本発明を完成した。
さらに、ジスルフィド化合物を添加するこ
で、従来の光重合で得られるハイパーブラ
チポリマーと同等の分子量(絶対分子量)か
同等の分岐の程度を有するハイパーブラン
ポリマーが得られることを見出し、本発明
完成した。
すなわち、本発明は、
1.式(1)で表されるジチオカルバメート化合物
50~250℃で加熱することにより重合させるこ
を特徴とするハイパーブランチポリマーの
造方法、
2.前記ハイパーブランチポリマーが、式(4)で
されることを特徴とする前記1.に記載のハ
パーブランチポリマーの製造方法、
3.前記A 1
が式(6)で表されることを特徴とする、前記1.
は2.に記載のハイパーブランチポリマーの
造方法、
5.式(8)で表されるジスルフィド化合物を添加
ることを特徴とする、前記1.ないし4.の何れ
か1つに記載のハイパーブランチポリマーの
造方法、
6.前記式(8)で表されるジスルフィド化合物の
加量が、前記式(1)で表されるジチオカルバ
ート化合物の質量に対して1~3質量%であるこ
とを特徴とする、前記5.に記載のハイパーブ
ンチポリマーの製造方法、
7.前記式(1)で表されるジチオカルバメート化
物を、ラジカル開始剤の非存在下、50~250℃
加熱することにより重合させることを特徴
する重合方法、
8.前記式(8)で表されるジスルフィド化合物を
加することを特徴とする前記7.に記載の重
方法、
9.前記ジスルフィド化合物の添加量が、前記
(1)で表されるジチオカルバメート化合物の
量に対して1~3質量%であることを特徴とする
前記8.に記載の重合方法、
10.前記7.ないし9.の何れか1つに記載の重合方
で得られる生成物、
を提供する。
本発明のハイパーブランチポリマーの製造
法によれば、ジチオカルバメート基と、ス
リル基及び/又はアクリル基等の重合性不飽
和結合基とを含有する化合物を、加熱するこ
とにより高収率で安定的にハイパーブランチ
ポリマーが得られるので、光重合で必要とな
る光源(高圧水銀灯)が不要となり、経済的に
利である。
また、光重合で問題となったゲル化物が発
しない為、重合転化率も90%程度まで向上さ
ることができ、得量も光重合の約2倍となる
。ゲル化物の除去も不要となり、工程の簡略
化を図ることができる。
さらに本発明のハイパーブランチポリマー
製造方法では、重合速度が光重合の約2倍と
なるため、得量が光反応の約2倍であること
考慮すると、生産効率を約4倍に向上させる
とができる。
また、本発明のハイパーブランチポリマー
製造方法では、光重合と異なりスケールア
プしても同様のハイパーブランチポリマー
製造できることから、大量生産に向いてい
。
以上のような特徴を有する本発明のハイパ
ブランチポリマーの製造方法は、実用的、
業的製法として極めて有用な方法である。
また、本発明のハイパーブランチポリマー
製造方法によれば、添加物として、前記式(
8)で表されるジスルフィド化合物を添加して
、同様に高収率で安定的にハイパーブラン
ポリマーが得られる。
該ジスルフィド化合物を添加すると、ハイ
ーブランチポリマーの分子量及び分岐度を
御することが可能となり、光重合で得られ
ハイパーブランチポリマーの分子量及び分
度と同様のものにすることが可能である。
一般に、該ジスルフィド化合物は、生成す
ポリマーの分子量を低下させる作用を有す
ことが知られているが、本発明のハイパー
ランチポリマーの製造法においては、ハイ
ーブランチポリマーの分岐度を高める効果
有している。
したがって、これらの製造方法を採用する
とにより、低平均分子量から高平均分子量
幅広い平均分子量及び分岐度を有するハイ
ーブランチポリマーを製造することができ
。
以下、本発明についてさらに詳しく説明す
。
本発明に係るハイパーブランチポリマーの
造方法は、分子内に、ジチオカルバメート
と、スチリル基及び/又はアクリル基等の重
合性不飽和結合基とを含有する化合物を、加
熱することにより重合させてハイパーブラン
チポリマーを得る製造方法である。
分子内に、ジチオカルバメート基と、スチ
ル基及び/又はアクリル基等の重合性不飽和
結合基とを含有する化合物としては、特に限
定されないが、好ましくは、前記式(1)で表さ
れるジチオカルバメート化合物が用いられる
。
式(1)中、R 1
は水素原子またはメチル基を表し、R 2
及びR 3
は、それぞれ、炭素原子数1~5のアルキル基、
炭素原子数1~5のヒドロキシアルキル基または
炭素原子数7~12のアリールアルキル基を表す
また、R 2
とR 3
は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成し
ていてもよい。
炭素原子数1~5のアルキル基としては、メチ
基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル
、シクロペンチル基及びノルマルペンチル
等が挙げられる。炭素原子数1~5のヒドロキ
アルキル基としては、ヒドロキシメチル基
ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピ
基等が挙げられる。炭素原子数7~12のアリー
アルキル基としては、ベンジル基及びフェ
チル基等が挙げられる。
R 2
とR 3
が互いに結合し窒素原子と共に形成する環と
しては四乃至八員環が挙げられる。そして、
環としてメチレン基を四乃至六個含む環が挙
げられる。また、環としては酸素原子または
硫黄原子と、四乃至六個のメチレン基を含む
環が挙げられる。R 2
とR 3
が互いに結合し窒素原子と共に形成する環の
具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン
環、モルホリン環、チオモルホリン環及びホ
モピペリジン環等が挙げられる。
また、式(1)中、A 1
は前記式(2)及び/又は前記式(3)で表される構
を表す。
式(2)及び式(3)中、A 2
はエーテル結合またはエステル結合を含んで
いてもよい炭素原子数1~30の直鎖状、分岐状
は環状のアルキレン基を表し、X 1
、X 2
、X 3
及びX 4
は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1~20の
ルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、
ロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、
ミノ基、カルボキシル基またはシアノ基を
す。
アルキレン基A 2
の具体例としては、メチレン、エチレン、ノ
ルマルプロピレン、ノルマルブチレン、ノル
マルヘキシレン等の直鎖状アルキレン、イソ
プロピレン、イソブチレン、2-メチルプロピ
ン等の分岐状アルキレンが挙げられる。ま
環状アルキレンとしては、炭素数3~30の単環
式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂
肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4
上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、
トラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する
を挙げることができる。例えば、下記に脂
式脂肪族基のうち、脂環式部分の構造例(a)~(
s)を示す。
また上記X 1
、X 2
、X 3
及びX 4
における炭素原子数1~20のアルキル基として
、メチル基、エチル基、イソプロピル基、
クロヘキシル基及びノルマルペンチル基等
挙げられる。炭素原子数1~20のアルコキシ基
しては、メトキシ基、エトキシ基、イソプ
ポキシ基、シクロヘキシルオキシ基及びノ
マルペンチルオキシ基等が挙げられる。ハ
ゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、
素原子及びヨウ素原子である。X 1
、X 2
、X 3
及びX 4
としては、水素原子または炭素原子数1~20の
ルキル基が好ましい。
また、式(1)のA 1
としては、前記式(6)または前記式(7)で表され
る構造であることが好ましい。式(7)中、mは2~
10の整数を表し、mとしては2または3が好まし
。
式(1)の化合物は式(9)の化合物と式(10)の化合
物との求核置換反応により容易に得ることが
できる。
本求核置換反応は、通常上記2種類の化合物
を両方溶解できる有機溶媒中で行なうことが
好ましい。反応後、水/非水系有機溶剤によ
分液処理や、再結晶処理によって式(1)の化
物を高純度で得ることができる。
式(1)の化合物は、国際公開第2006/093050号パ
フレット、Macromol. Rapid Commun. 21,665-668(2000)
たはPolymer International 51,424-428(2002)に記載の
方法を参照して製造することができる。
式(1)の化合物の具体例としては、N,N-ジエチ
ルジチオカルバミルメチルスチレン及びN,N-
エチルジチオカルバミルエチルメタクリレ
ト等が挙げられる。
本発明の製造方法で得られる式(4)で表さ るハイパーブランチポリマーは、式(11)のビ ニル基を有する開始点部分の構造に、式(12) 繰り返し単位構造が連結した構造をとって る。
式(12)の繰り返し単位同士が連結した構造は
、式(5)の分岐した構造になる場合と、式(13)
線状になる場合があるが、そのいずれをも
含する。すなわち、式(4)で表されるハイパ
ブランチポリマーは、少なくとも1つの式(5)
構造を含有する。
式(4)で表されるハイパーブランチポリマー
は、その末端は、基本的にジチオカルバメ
ト基である。
式(4)で表されるハイパーブランチポリマ としては、その繰り返し単位構造が単一で る場合と二種以上である場合とが考えられ が、そのいずれであってもよい。そして、 えば、繰り返し単位構造が二種、すなわち ポリマーである場合、コポリマーの配列様 はランダムコポリマー、交互コポリマー、 ロックコポリマー、グラフトコポリマーの ずれであってもよい。
また、本発明のハイパーブランチポリマー
製造方法では、前記式(8)で表されるジスル
ィド化合物を添加物として使用できる。
式(8)中、R 4
及びR 5
は、それぞれ、炭素原子数1~5のアルキル基、
炭素原子数1~5のヒドロキシアルキル基または
炭素原子数7~12のアリールアルキル基を表す
また、R 4
とR 5
は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成し
ていてもよい。
炭素原子数1~5のアルキル基としては、メチ
基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル
、シクロペンチル基及びノルマルペンチル
等が挙げられる。炭素原子数1~5のヒドロキ
アルキル基としては、ヒドロキシメチル基
ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピ
基等が挙げられる。炭素原子数7~12のアリー
アルキル基としては、ベンジル基及びフェ
チル基等が挙げられる。
R 4
とR 5
が互いに結合し窒素原子と共に形成する環と
しては四乃至八員環が挙げられる。そして、
環としてメチレン基を四乃至六個含む環が挙
げられる。また、環としては酸素原子または
硫黄原子と、四乃至六個のメチレン基を含む
環が挙げられる。R 4
とR 5
が互いに結合し窒素原子と共に形成する環の
具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン
環、モルホリン環、チオモルホリン環及びホ
モピペリジン環等が挙げられる。
式(8)の化合物の具体例としては、テトラ チルチウラムジスルフィド、テトラエチル ウラムジスルフィド、テトラブチルチウラ ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム スルフィド等が挙げられる。
式(4)で表されるハイパーブランチポリマ は、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポ スチレン換算(相対分子量)で測定される重 平均分子量Mwが500~5,000,000であり、または1,000 ~1,000,000であり、または2,000~500,000であり、ま は3,000~100,000である。また、分散度Mw(重量平 均分子量)/Mn(数平均分子量)としては1.0~7.0で り、または1.1~6.0であり、または1.2~5.0である 。
本発明のハイパーブランチポリマーの製造
の反応条件を説明する。
本発明のハイパーブランチポリマーの製造
は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化
合などの公知の重合形式により行なうこと
できる。なかでも溶液重合が好ましい。
本発明のハイパーブランチポリマーの製造
では、反応条件によって、分子量(相対分子
量及び絶対分子量)及び分岐の程度が異なっ
ハイパーブランチポリマーが得られる。
ここで、本願では、分岐の程度を表す指標
して、分岐度=絶対分子量Mw/相対分子量Mw、
び溶液粘度を用いることとする。
分岐度=絶対分子量Mw/相対分子量Mwは、「分
ポリマーのナノテクノロジー 次世代高分
材料の戦略設計」(編著 石津浩二、発行者
株式会社アイピーシー)130頁の「ゲル浸透ク
マトグラフィー分析において多くのハイパ
ブランチポリマーが同等の分子量をもつポ
スチレンより遅く流出することが観察され
いる。これらはいずれもハイパーブランチ
リマーが溶液中で直鎖高分子よりコンパク
な形状をとっていることを示唆している。
という記載から、絶対分子量Mwと相対分子量
Mwの比の値を分岐度とし、分岐の程度を表す
標として本願では定義した。
なお、本願ではGPC-MALSで測定して得た重量
均分子量を絶対分子量Mwと、ゲル浸透クロマ
トグラフィー(ポリスチレン換算)で得た重量
均分子量を相対分子量Mwという。
また、一般的に同一の分子量では直鎖高分
よりハイパーブランチポリマーの溶液粘度
低いことがいわれている(該文献96頁)ことか
ら、分岐の程度を表す指標の目安として本願
でも測定して対比した。
すなわち、同一の絶対分子量Mwでは分岐度
値が大きく、溶液粘度が低いほど分岐が多
存在すると判断する。
以下、前記式(8)で表されるジスルフィド 合物を添加しない場合と添加する場合に分 て、溶液重合における反応条件を説明する
<ジスルフィド化合物を添加しない場合>
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない
のであれば、従来、有機合成で使用されて
る各種溶媒を用いることができ、式(1)の化
物を溶解可能な溶媒であれば特に制限はな
。
具体例としては、非プロトン性極性有機溶
類(N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラ
チルウレア、スルホラン、N-メチルピロリド
ン、N,N-ジメチルイミダゾリジノン等)、エー
ル類(ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオ
キサン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シ
ロヘキサン、オクタン、デカン、デカリン
石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベン
ン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、
ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシ
チレン、テトラリン等)、ハロゲン化炭化水
類(クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジク
ロロエタン、四塩化炭素等)、ケトン類(アセ
ン、メチルエチルケトン、メチルブチルケ
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
ノン等)、アルコキシアルカン類(ジメトキ
エタン、ジエトキシエタン、ジグライム等)
などが挙げられ、これは単独で用いてもよ
、2種以上混合して用いてもよい。
これらの溶媒の中でも、原料となる基質及
添加物の溶解性、安全性、コスト、および
離精製の容易性などを考慮すると、芳香族
化水素類、非プロトン性極性有機溶媒類、
トン類、アルコキシアルカン類が好適であ
。
具体的には、キシレン、o-ジクロロベンゼ
、シクロヘキサノン、ジグライムが挙げら
る。
反応温度は、通常、50~250℃であるが、80~2 00℃が好ましく、100~150℃がより好ましい。
式(1)の化合物の濃度は任意であるが、例 ば1~99質量%であり、または10~95質量%であり または30~90質量%である。
重合時間としては、例えば0.1~100時間であ り、または0.5~30時間であり、または1~15時間 ある。通常、重合時間の経過と共に式(1)の 合物の転化率は増加する。
なお、重合は、通常、窒素、アルゴンな の不活性ガスの雰囲気下、常圧又は加圧下 おいて行うことができる。
得られるハイパーブランチポリマーの絶 分子量Mwは、例えば、25,000~200,000であり、ま たは30,000~150,000である。
得られるハイパーブランチポリマーは、 応溶液中から溶剤留去または固液分離によ 溶剤と分離することができる。また、反応 液を貧溶剤中へ加えることによりハイパー ランチポリマーを沈殿させ、粉末として回 することもできる。
<ジスルフィド化合物を添加する場合>
溶媒としては、前記ジスルフィド化合物を
加しない場合と同様の溶媒を用いることが
きる。
これらの溶媒の中でも、原料となる基質及
添加物の溶解性、安全性、コスト、および
離精製の容易性などを考慮すると、芳香族
化水素類、非プロトン性極性有機溶媒類、
トン類、アルコキシアルカン類が好適であ
。
具体的には、キシレン、シクロヘキサノン
N-メチルピロリドン(以下、NMPという)が挙げ
られる。
前記式(8)で表されるジスルフィド化合物の
記式(1)で表されるジチオカルバメート化合
の質量に対する添加量は、任意であるが、
えば0.1~20質量%であり、または1~10質量%であ
。
得られるハイパーブランチポリマーの分子
(相対分子量及び絶対分子量)、分岐度及び
液粘度を考慮すると、1~3質量%がより好まし
。
反応温度は、通常、50~250℃であるが、80~2 00℃が好ましく、得られるハイパーブランチ リマーの分子量(相対分子量及び絶対分子量 )、分岐度及び溶液粘度を考慮すると、100~150 がより好ましい。
式(1)の化合物の濃度は任意であるが、例 ば1~99質量%であり、または10~95質量%であり または30~90質量%である。
重合時間としては、例えば0.1~100時間であ り、または0.5~30時間であり、または1~15時間 ある。通常、重合時間の経過と共に式(1)の 合物の転化率は増加する。
なお、重合は、通常、窒素、アルゴンな の不活性ガスの雰囲気下、常圧又は加圧下 おいて行うことができる。
得られるハイパーブランチポリマーの絶 分子量Mwは、例えば、前記式(8)で表される スルフィド化合物の前記式(1)で表されるジ オカルバメート化合物に対する添加量が1~10 量%の場合、3,000~50,000である。
溶剤との分離及びハイパーブランチポリ ーの回収については、前記ジスルフィド化 物を添加しない場合と同様の操作が可能で る。
また、本発明は、スチリル基及び/又はアク
リル基等の重合性不飽和結合基を含有するジ
チオカルバメート化合物を、ラジカル開始剤
の非存在下、加熱することにより重合させる
重合方法も提供する。
分子内に、ジチオカルバメート基と、スチ
ル基及び/又はアクリル基等の重合性不飽和
結合基とを含有する化合物としては、特に限
定されないが、好ましくは、前記式(1)で表さ
れるジチオカルバメート化合物が用いられる
。
また、本発明の重合方法は、前記式(8)で表
れるジスルフィド化合物を添加してもよい
本発明の重合方法の反応条件については、
記ハイパーブランチポリマーの製造方法の
応条件と同一である。
以下、本発明について実施例を挙げて詳 するが、本発明はこれらの実施例に何ら限 されるものではない。
以下の実施例において、試料の物性測定に
下記の装置を使用した。
液体クロマトグラフィー
装置:Agilent製 1100Series
カラム:Inertsil ODS-2
カラム温度:40℃
溶媒:アセトニトリル/水=60/40(vol/vol)
検出器:UV-254nm、RI
ゲル浸透クロマトグラフィー
装置:東ソー(株)、HLC-8220GPC
カラム:Shodex KF-804L+KF-803L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV-254nm、RI
絶対分子量 GPC-MALS
装置:Wyatt DAWN HELEOS
測定温度:40℃
粘度測定
装置:東機産業(株)VISCOMETER TV-22 TV-L
1
H-NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM-LA400
溶媒:CDCl 3
内部標準:テトラメチルシラン
元素分析(炭素、水素、窒素)
装置:パーキンエルマー製 PE2400II
燃焼管温度:975℃
元素分析(硫黄)
装置:サーモフィニガン製 Flash EA1112
燃焼管温度:1000℃
熱重量分析
装置:セイコー電子工業(株)製 TG/DTA320
昇温速度:10℃/分
空気量:300ml/分
参考例1
<N,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチ
ンの合成>
2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレ
[セイミケミカル(株)製、CMS-14(商品名)]120g、N
,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3
和物[関東化学(株)製]181g、アセトン1,400gを仕
込み、撹拌下、40℃で1時間反応させた。反応
後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き
、その後エバポレーターで反応溶液からアセ
トンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反
応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン
/水系で分液後、-20℃の冷凍庫内でトルエン
から目的物を再結晶させた。再結晶物を濾
、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g(収率
97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる
度(面積百分率値)は100%であった。融点56℃。
実施例:熱重合
<ジチオカルバメート基を分子末端に有す
スチレン系ハイパーブランチポリマーHPSの
成>
実施例1:ジスルフィド化合物(二硫化テトラエ
チルチウラム(関東化学社製:以下DCDCと記載す
る。))を添加しない場合
100mLの反応フラスコにN,N-ジエチルジチオカ
バミルメチルスチレン(以下S-DC)6g、キシレ
4gをいれて攪拌して完全に溶解した。攪拌し
ながら窒素置換を実施し反応フラスコをオイ
ルバスに入れ、フラスコ内の温度が140℃にな
るまで加熱した。3時間後(フラスコ内の温度
、140±5℃に達した時点から計測した。)、反
応フラスコをオイルバスから出し、室温まで
冷却した後キシレン20gを入れた。この時の転
化率は64%だった(下記、光重合(比較例1)の転
率と比較できるように、おおまかな目安と
て転化率5~6割程度で反応を終了させた。)。
の反応液を300gのメタノールを用いて再沈精
製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得
た。得られた固体をキシレン20gで再溶解し、
メタノール600gを用いて再沈精製を行い、減
濾過、真空乾燥を実施して目的の白色粉末(H
PS)を3.6g得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(
下GPC)によるポリスチレン換算で測定される
相対分子量の重量平均分子量Mwは40,000、分散
Mw/Mnは2.4であった。絶対分子量を測定した
ころ重量平均分子量Mwは78,000であった。
このとき分岐度は1.95であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、ト
ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)と
し、粘度を測定したところ、測定温度20℃で9
6mPa・sであった。
実施例2~5
実施例1の重合温度140℃を表1に示す温度に
更した以外は同様の操作を行い、HPSを得た
実施例6~8
実施例1の重合溶媒キシレンを表2に示す溶
に変更した以外は同様の操作を行い、HPSを
た。
実施例9~14
100mLの反応フラスコに総重量が10gで表3に示
濃度になるようにS-DC、キシレンをいれて攪
拌した。攪拌しながら窒素置換を実施し反応
フラスコをオイルバスに入れ、フラスコ内の
温度が140℃になるまで加熱し、140±5℃に達し
た時点で重合を開始とした。おおまかな目安
として転化率5~6割程度で反応フラスコをオイ
ルバスから出し、室温まで冷却した後キシレ
ン20gを入れた。この反応液を300gのメタノー
を用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行
、白色固体を得た。得られた固体をキシレ
20gで再溶解し、メタノール600gを用いて再沈
製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して
的の白色粉末(HPS)を得た。
実施例15:ジスルフィド化合物(DCDC)を添加する
場合
100mLの反応フラスコにS-DC6g、キシレン4g、DCD
C 0.06g(S-DCの質量に対して1質量%)をいれて攪
して完全に溶解した。攪拌しながら窒素置
を実施し反応フラスコをオイルバスに入れ
フラスコ内の温度が140℃になるまで加熱し
140±5℃に達した時点で重合を開始とした。
おまかな目安として転化率5~6割程度で反応
ラスコをオイルバスから出し、室温まで冷
した後キシレン20gを入れた。この反応液を30
0gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、
圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた
体をキシレン20gで再溶解し、メタノール600g
を用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾
燥を実施して目的の白色粉末を3.6g得た。GPC
よるポリスチレン換算で測定される相対分
量の重量平均分子量Mwは21,000、分散度Mw/Mnは2
.4であった。絶対分子量を測定したところ重
平均分子量Mwは42,000であった。
このとき分岐度は2.00であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、ト
ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)と
し、粘度を測定したところ、測定温度20℃で4
6mPa・sであった。
実施例16~20
実施例15のDCDCの添加量を表4に示す量に変更
した以外同様の操作を行い、HPSを得た。
実施例21~22
100mLの反応フラスコに総重量が10gで表5に示
濃度になるようにS-DC、キシレンを入れ、さ
らにS-DCの質量に対して1質量%になるようにDCD
Cをいれて攪拌した。攪拌しながら窒素置換
実施し反応フラスコをオイルバスに入れ、
ラスコ内の温度が140℃になるまで加熱し、14
0±5℃に達した時点で重合を開始とした。お
まかな目安として転化率5~6割程度で反応フ
スコをオイルバスから出し、室温まで冷却
た後キシレン20gを入れた。この反応液を300g
メタノールを用いて再沈精製を実施し、減
濾過を行い、白色固体を得た。得られた固
をキシレン20gで再溶解し、メタノール600gを
用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥
を実施して目的の白色粉末(HPS)を得た。
実施例23~24
実施例15の重合溶媒のキシレンを表6に示し
溶媒に変更した以外は同様の操作を行い、H
PSを得た。
実施例25~28
実施例15の重合温度140℃を表7に示す温度に
更した以外は同様の操作を行い、HPSを得た
実施例29:大量合成によるマスバランスの確認
5,000mLの反応フラスコにS-DC595g、キシレン255g
、DCDC11.9g(S-DCの質量に対して2質量%)をいれて
拌して完全に溶解した。攪拌しながら窒素
換を実施し反応フラスコをオイルバスに入
、フラスコ内の温度が120℃になるまで加熱
、120±5℃に達した時点で重合を開始とした
12時間後反応フラスコをオイルバスから出
、室温まで冷却した後シクロヘキサノン5.1kg
を入れた。この時の転化率は90%だった。この
反応液を29.8kgのメタノールを用いて再沈精製
を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た
。得られた固体をシクロヘキサノン4.5kgで再
解し、メタノール25kgを用いて再沈精製を行
い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の白
色粉末(HPS)を476g得た。得率は80%であった。GPC
によるポリスチレン換算で測定される相対分
子量の重量平均分子量Mwは20,000、分散度Mw/Mn
2.4であった。絶対分子量を測定したところ
量平均分子量Mwは39,000であった。
このとき分岐度は1.95であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、ト
ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)と
し、粘度を測定したところ、測定温度20℃で4
4mPa・sであった。
参考例2
<N,N-ジエチルジチオカルバミルエチルメタ
リレートの合成>
2Lの反応フラスコに、クロロエチルメタク
レート[ランカスター社製]100g、N,N-ジエチル
チオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東
学(株)製]178g、アセトン1,100gを仕込み、撹拌
、40℃で14時間反応させた。反応後、析出し
た塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エ
バポレーターで反応溶液からアセトンを留去
させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末を
1,2-ジクロロエタンに再溶解させ、1,2-ジクロ
エタン/水系で分液後、1,2-ジクロロエタン
から1,2-ジクロロエタンを留去させて黄色液
の目的物171g(収率97%)を得た。液体クロマト
ラフィーによる純度(面積百分率値)は96%で
った。
<ジチオカルバメート基を分子末端に有す
アクリル系ハイパーブランチポリマーの合
>
実施例30:ジスルフィド化合物(DCDC)を添加しな
い場合
100mLの反応フラスコにN,N-ジエチルジチオカ
バミルエチルメタクリレート(以下EMA-DC)2g、
NMP3gをいれて攪拌して完全に溶解した。攪拌
ながら窒素置換を実施し反応フラスコをオ
ルバスに入れ、フラスコ内の温度が100℃に
るまで加熱し、100±5℃に達した時点で重合
開始とした。5時間後反応フラスコをオイル
バスから出し、室温まで冷却した後NMP5gを入
た。この時の転化率は66%だった。この反応
を100gのメタノールを用いて再沈精製を実施
し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得ら
れた固体をNMP5gで再溶解し、メタノール100gを
用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥
を実施して目的の白色粉末(HPEMA)を0.6g得た。G
PCによるポリスチレン換算で測定される相対
子量の重量平均分子量Mwは68,000、分散度Mw/Mn
は2.6であった。絶対分子量を測定したところ
重量平均分子量Mwは110,000であった。
このとき分岐度は1.62であった。
粘度の測定を次のように行った。HPEMA0.6g、
ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)
し、粘度を測定したところ、測定温度20℃
1,113mPa・sであった。
実施例31:ジスルフィド化合物(DCDC)を添加する
場合
100mLの反応フラスコにEMA-DC6g、NMP9g、DCDC0.06g(
EMA-DCの質量に対して1質量%)をいれて攪拌して
完全に溶解した。攪拌しながら窒素置換を実
施し反応フラスコをオイルバスに入れ、フラ
スコ内の温度が100℃になるまで加熱し、100±5
℃に達した時点で重合を開始とした。16時間
反応フラスコをオイルバスから出し、室温
で冷却した後NMP45gを入れた。この時の転化
は50%だった。この反応液を600gのメタノール
を用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い
、白色固体を得た。得られた固体をNMP55gで再
溶解し、メタノール600gを用いて再沈精製を
い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の
色粉末(HPEMA)を3g得た。GPCによるポリスチレ
換算で測定される相対分子量の重量平均分
量Mwは42,000、分散度Mw/Mnは2.5であった。絶対
子量を測定したところ重量平均分子量Mwは65
,000であった。
このとき分岐度は1.55であった。
粘度の測定を次のように行った。HPEMA0.6g、
ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)
し、粘度を測定したところ、測定温度20℃
538mPa・sであった。
比較例:光重合
比較例1
<ジチオカルバメート基を分子末端に有す
スチレン系ハイパーブランチポリマーHPSの
成>
50mlの反応フラスコに、S-DC6g、キシレン4gを
込み、反応系内を窒素置換した。この溶液
100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL-100
]から距離5cmの位置に固定し、外部照射によ
光重合反応を、撹拌下、室温で7時間行なっ
。この時の転化率は55%だった(前記実施例の
転化率と比較できるように、おおまかな目安
として転化率5~6割程度で反応を終了させた。
)。この時フラスコ内部にキシレンへの不溶
(ゲル化物)が発生した為、キシレン20gをいれ
て希釈した後、ろ紙(桐山ろ紙5B)を用いて不
物のろ別をおこなった。この反応液を300gの
タノールを用いて再沈精製を実施し、減圧
過を行い、白色固体を得た。得られた固体
キシレン20gで再溶解し、メタノール600gを用
いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を
実施して目的のHPSを2.4g得た。得率40%。
GPCによるポリスチレン換算で測定される相
分子量の重量平均分子量Mwは15,000、分散度Mw
/Mnは4.0であった。元素分析は、炭素64.6%、水
7.4%、窒素5.0%、硫黄25.3%であった。熱重量分
析より、5%重量減少温度は248℃であった。
絶対分子量を測定したところ重量平均分子
Mwは31,000であった。
このとき分岐度は2.07であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、ト
ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)と
し、粘度を測定したところ、測定温度20℃で3
2mPa・sであった。
比較例2~3
比較例1の高圧水銀灯からの距離を表8に示
距離にした以外同様の操作を行い、HPSを得
。
比較例4
1,500mlの反応フラスコに、S-DC800g、トルエン5
33gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製
した後、反応系内を窒素置換した。この溶液
の真中から400Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株
)製、HL-400B]を点灯させ、内部照射による光重
合反応を、撹拌下、室温で7時間行なった。
の時フラスコ内部にトルエンへの不溶物(ゲ
化物)が発生した為、トルエン2.7kgをいれて
釈した後、ろ紙(桐山ろ紙5B)を用いて不溶物
のろ別をおこなった。この反応液を80kgのメ
ノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾
を行い、白色固体を得た。得られた固体を
ルエン1.6kgで再溶解し、メタノール40kgを用
て再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を
施して目的のHPSを318g得た。得率40%。
GPCによるポリスチレン換算で測定される相
分子量の重量平均分子量Mwは20,000、分散度Mw
/Mnは3.51であった。絶対分子量を測定したと
ろ重量平均分子量Mwは32,000であった。
このとき分岐度は1.60であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、ト
ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)と
し、粘度を測定したところ、測定温度20℃で3
7mPa・sであった。
比較例5
<1,2-ビス(N,N-ジエチルジチオカルバミル)エ
ン EDC2の合成>
1,000mlの反応フラスコに、1,2-ジクロロエタ
、N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウ
3水和物[関東化学(株)製]109g、アセトン400gを
仕込み、撹拌下、40℃で18時間反応させた。
応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して
き、その後エバポレーターで反応溶液から
セトンを留去させ、反応粗粉末を得た。こ
反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トル
ン/水系で分液後、トルエンを留去させて白
の粗結晶を得た。この粗結晶をトルエン180g
用いて再結晶を行い、目的の白色結晶(EDC2)48g
(収率75%)を得た。液体クロマトグラフィーに
る純度(面積百分率値)は99%であった。
比較例6
<直鎖状ポリクロロメチルスチレン LPS-Clの
合成>
100mlの反応フラスコに、クロロメチルスチ
ン[セイミケミカル(株)製、CMS-14(商品名)]20g
トルエン20g、EDC2 0.24gを仕込み、反応系内を
窒素置換した。この溶液を100Wの高圧水銀灯[
ン特殊光源(株)製、HL-100]から距離5cmの位置
固定し、外部照射による光重合反応を、撹
下、室温で5時間行なった。この時の転化率
は20%だった。トルエン60gをいれて希釈した後
、この反応液を1,000gのメタノールを用いて再
沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体
を得た。得られた固体をキシレン10gで再溶解
し、メタノール1,000gを用いて再沈精製を行い
、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的のLPS-Cl
を2.8g得た。得率14%。
比較例7
<ジチオカルバメート基を側鎖に有する直
状ポリスチレン LPSの合成>
100mlの反応フラスコに、比較例6にて合成し
LPS-Cl2.0g、N,N-ジエチルジチオカルバミド酸
トリウム3水和物[関東化学(株)製]4.0g、NMP48g
仕込み、撹拌下、40℃で18時間反応させた。
応後、反応溶液からNMPを留去させ、反応粗
末を得た。この反応粗粉末をトルエン20gに
溶解させ、トルエン/水で分液後、トルエン
を留去させて白色固体を得た。この白色固体
をトルエン20g用いて溶解し、メタノール600g
用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾
を実施して目的のLPSを3.2g得た。得率91%。
GPCによるポリスチレン換算で測定される相
分子量の重量平均分子量Mwは35,000、分散度Mw
/Mnは2.2であった。
絶対分子量を測定したところ重量平均分子
Mwは42,000であった。
このとき分岐度は1.20であった。
粘度の測定を次のように行った。LPS0.6g、ト
ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)と
し、粘度を測定したところ、測定温度20℃で9
5mPa・sであった。
比較例7と実施例15の結果を表9に示す。
試験例1
<TEM(透過型電子顕微鏡)観察>
実施例1及び比較例1で合成したハイパーブ
ンチポリマーを0.01wt%となるようにTHF(関東化
学社製)に溶解し、得られた溶液をカーボン
ッシュグリッドに滴下、乾燥してTEM観察用
ンプルを作製した。TEM観察(日立製作所H-8000)
を行った結果、いずれのハイパーブランチポ
リマーも約1ないし2nmの粒径を有する球形状
粒子が観測された。実施例1及び比較例1で合
成したハイパーブランチポリマーのTEM像を、
それぞれ図1及び図2に示す。それらハイパー
ランチポリマーは互いに同程度の形状及び
径を有するものと認められる。