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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING POLYTHIOURETHANE RESIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026727
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a polythiourethane resin comprising a step (A) wherein a bi- or more-functional polythiol compound is reacted with sulfur, thereby synthesizing a polythiol oligomer having a disulfide bond, and a step (B) wherein the polythiol oligomer obtained in the step (A) is reacted with a poly(thio)isocyanate group-containing compound. This method for producing a polythiourethane resin is characterized in that the step (A) is performed without using a solvent, while using no catalyst or using a catalyst which is substantially unreactive with a poly(thio)isocyanate group-containing compound. This method enables to produce a polythiol oligomer having a higher refractive index than the bi- or more-functional polythiol compound as the starting raw material, thereby stably producing a practical polythiourethane resin having high refractive index and high Abbe number.

Inventors:
KOUSAKA MASAHISA (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/067019
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 31, 2007
Export Citation:
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Assignee:
HOYA CORP (JP)
KOUSAKA MASAHISA (JP)
International Classes:
C08G18/38; C08G18/16; C08G18/20; C08G18/50; C08G18/73; C08G18/75; C08G18/78; C08G75/14; G02B1/04
Domestic Patent References:
WO2004108787A12004-12-16
Foreign References:
JP2005121679A2005-05-12
JP2005281527A2005-10-13
JPH10120676A1998-05-12
JPH026465A1990-01-10
JP2006509901A2006-03-23
JP2001342172A2001-12-11
JPH03236386A1991-10-22
JPH07118263A1995-05-09
JPH07118390A1995-05-09
JP3415389B22003-06-09
Other References:
See also references of EP 2065415A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu (Bridgestone Toranomon Bldg.6F., 25-2, Toranomon 3-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 (A)二官能以上のポリチオール化合物とイオウとを反応させてジスルフィド結合を有するポリチオールオリゴマーを合成する工程、および(B)該工程(A)で得られたポリチオールオリゴマーとポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物とを反応させる工程を有するポリチオウレタン樹脂の製造方法であって、
該工程(A)を、無触媒条件下またはポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物と実質的に反応しない触媒を使用し、かつ無溶媒条件下で行うことを特徴とするポリチオウレタン樹脂の製造方法。
 二官能以上のポリチオール化合物100gに対する80℃におけるイオウの溶解度が、1g以上である請求項1に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法。
 二官能以上のポリチオール化合物が、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、1,2,3-トリメルカプトプロパン、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、および1,2-ビス(メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパンの中から選ばれる少なくとも1種を含むポリチオール化合物である請求項1または2に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法。
 ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物が、ビス((チオ)イソシアナートメチル)ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、ビス((チオ)イソシアナートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジ(チオ)イソシアナート、ヘキサメチレンジ(チオ)イソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジ(チオ)イソシアナート、ビス((チオ)イソシアナートメチル)-1,4-ジチアン、およびキシリレンジ(チオ)イソシアナートの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法。
 二官能以上のポリチオール化合物とイオウ(S)との配合割合が、二官能以上のポリチオール化合物のメルカプト基に対するS/2のモル当量比で、1:0.01~1:0.5の範囲である請求項1または2に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法。
 ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物と実質的に反応しない触媒が、リン触媒またはイミダゾール系触媒である請求項1または2に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法。
 リン触媒が、下記一般式(I)
  [R 1 4 -P(O)]X  ・・・(I)
(式中、R 1 は炭素数1~4のアルキル基、Xはハロゲン原子を示し、各R 1 は同一でも異なってもよい。)
で表わされる化合物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法。
 イミダゾール系触媒が、下記一般式(II)
(式中、R 2 は炭素数1~4のアルキル基を示す。)
で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法。
 工程(A)の反応において、該反応中または該反応終了後に脱気をする請求項11または2に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法。
Description:
ポリチオウレタン樹脂の製造方

 本発明は、ポリチオウレタン樹脂の製造 法に関し、さらに詳しくは、ジスルフィド 合を有するポリチオールオリゴマーを原料 する、各種光学材料用として好適な光学特 に優れるポリチオウレタン樹脂の製造方法 関するものである。本発明の製造方法によ 得られるポリチオウレタン樹脂は、例えば 光学用レンズ、眼鏡レンズ、コンタクトレ ズ、眼内レンズ、プリズム、光学フィルタ 、光ファイバー、光学ディスク基板等に好 しく使用される。

 プラスチックはガラスに比べると、軽量 割れにくく、染色が容易なため、近年、各 レンズ等の光学部品に使用されるようにな た。実用化されているプラスチック光学材 としては、ポリ(ジエチレングリコールビス アリルカーボネート)、ポリメチルメタクリ ート、ポリカーボネート等が挙げられる。

 一般に、透明ガラスやプラスチックから る光学材料は、屈折率が高くなるとアッベ が低くなり、逆もまた同様である。従って 一般には、屈折率とアッベ数を同時に高め プラスチック光学材料を製造するのは極め 困難である。

 これに対して、屈折率とアッベ数を同時 高めたプラスチックレンズとして、2,5-ジメ ルカプトメチル-1,4-ジチアン(以下DMMDという) らなるポリチオールをポリイソシアナート 反応させて得たポリチオウレタンレンズが 示されている(特許文献1参照)。特許文献1に 記載されているポリチオウレタンレンズの製 造に用いた原料モノマーであるDMMDは、その 折率が1.646、アッベ数が35.2であり、高屈折 、高アッベ数であるため、得られたポリチ ウレタンレンズも高屈折率、高アッベ数を するが、さらに高い屈折率、アッベ数を有 るプラスチックレンズの開発が望まれてい 。

 そこで、DMMDをメチルスルホキサイド、塩 化第二鉄等の触媒の存在下、空気で酸化して 、DMMDのオリゴマー混合物を得たのち、このDM MDオリゴマー混合物をポリイソシアナートと 応させてポリチオウレタンレンズを製造す 方法が提案されている(特許文献2および特 文献3参照)。この製造方法では、溶媒除去の 工程および必要に応じて単離精製の工程が必 要となり、一定の屈折率及びアッベ数を有す るポリチオウレタン材料を得るのは困難とい う問題がある。

 また、二官能以上ポリチオールとイオウ を、オリゴマー化触媒としてアンモニアま はアミンからなる塩基性触媒存在下、反応 せるポリチオールオリゴマーの製造方法が 案されている(特許文献4参照)。しかしなが 、特許文献4に記載の実施例において、溶媒 を用いる方法が示され、溶媒除去の工程を必 要とする。さらに得られたポリチオールオリ ゴマーをポリ(チオ)イソシアナート基含有化 物と反応させて光学材料用重合体を製造す 際に、前記のオリゴマー化触媒は、ポリ(チ オ)イソシアナート基含有化合物と著しく反 し白濁もしくは凝固するため、触媒除去の 程が必要となり、均質の屈折率及びアッベ を有する光学材料用重合体を得るのは困難 いう問題がある。

特開平3-236386号公報

特開平7-118263号公報

特開平7-118390号公報

特許第3415389号公報

 本発明は、前記問題を解決するためにな れたもので、出発原料の二官能以上のポリ オール化合物よりも高い屈折率およびアッ 数を有するポリチオールオリゴマーを安価 製造し、これを原料に用いた安定した高屈 率および高アッベ数を有する実用的なポリ オウレタン樹脂の効率的な製造方法を提供 ることを目的とする。

 本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、二官 以上のポリチオール化合物とイオウとを、 触媒条件下または特定の触媒を使用し、か 無溶媒条件下で反応させてポリチオールオ ゴマーを合成し、得られたオリゴマーと、 リ(チオ)イソシアナート基含有化合物とを 応させることにより、前記目的が達成され ことを見出した。本発明はかかる知見に基 いて完成したものである。
 すなわち、本発明は、以下(1)~(9)のポリチオ ウレタン樹脂の製造方法を提供するものであ る。
(1)(A)二官能以上のポリチオール化合物とイオ ウとを反応させてジスルフィド結合を有する ポリチオールオリゴマーを合成する工程、お よび(B)該工程(A)で得られたポリチオールオリ ゴマーとポリ(チオ)イソシアナート基含有化 物とを反応させる工程を有するポリチオウ タン樹脂の製造方法であって、
該工程(A)を、無触媒条件下またはポリ(チオ) ソシアナート基含有化合物と実質的に反応 ない触媒を使用し、かつ無溶媒条件下で行 ことを特徴とするポリチオウレタン樹脂の 造方法。
(2)二官能以上のポリチオール化合物100gに対 る80℃におけるイオウの溶解度が、1g以上で る上記(1)記載のポリチオウレタン樹脂の製 方法。
(3)二官能以上のポリチオール化合物が、2,5- ス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、1,2,3-ト メルカプトプロパン、ビス(メルカプトエチ ル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジス ルフィド、および1,2-ビス(メルカプトエチル オ)-3-メルカプトプロパンの中から選ばれる 少なくとも1種を含むポリチオール化合物で る上記(1)または(2)記載のポリチオウレタン 脂の製造方法。
(4)ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物が ビス((チオ)イソシアナートメチル)ビシクロ (2,2,1)ヘプタン、ビス((チオ)イソシアナート チル)シクロヘキサン、イソホロンジ(チオ) ソシアナート、ヘキサメチレンジ(チオ)イソ シアナート、ジシクロヘキシルメタンジ(チ )イソシアナート、ビス((チオ)イソシアナー メチル)-1,4-ジチアン、およびキシリレンジ( チオ)イソシアナートの中から選ばれる少な とも1種である上記(1)~(3)のいずれかに記載の ポリチオウレタン樹脂の製造方法。
(5)二官能以上のポリチオール化合物とイオウ (S)との配合割合が、二官能以上のポリチオー ル化合物のメルカプト基に対するS/2のモル当 量比で、1:0.01~1:0.5の範囲である上記(1)~(4)の ずれかに記載のポリチオウレタン樹脂の製 方法。
(6)ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物と 質的に反応しない触媒が、リン触媒または ミダゾール系触媒である上記(1)~(5)のいずれ かに記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法 。
(7)リン触媒が、下記一般式(I)
  [R 1 4 -P(O)]X  ・・・(I)
(式中、R 1 は炭素数1~4のアルキル基、Xはハロゲン原子 示し、各R 1 は同一でも異なってもよい。)
で表わされる化合物の中から選ばれる少なく とも1種である上記(6)に記載のポリチオウレ ン樹脂の製造方法。
(8)イミダゾール系触媒が、下記一般式(II)

(式中、R 2 は炭素数1~4のアルキル基を示す。)
で表される化合物の中から選ばれる少なくと も1種である上記(6)に記載のポリチオウレタ 樹脂の製造方法。
(9)工程(A)の反応において、該反応中または該 反応終了後に脱気をする上記(1)~(8)のいずれ に記載のポリチオウレタン樹脂の製造方法

 本発明の製造方法によれば、出発原料の 官能以上のポリチオール化合物よりも高い 折率を有するポリチオールオリゴマーを安 に製造し、これを原料に用いた安定した高 折率および高アッベ数を有する実用的なポ チオウレタン樹脂の効率的な製造方法を提 することができる。

 本発明のポリチオウレタン樹脂の製造方 は、(A)二官能以上のポリチオール化合物と オウとを反応させてジスルフィド結合を有 るポリチオールオリゴマーを合成する工程 および(B)該工程(A)で得られたポリチオール リゴマーとポリ(チオ)イソシアナート基含 化合物とを反応させる工程を有する。

 まず、前記工程(A)について説明する。
 該工程(A)においては、無触媒条件下または リ(チオ)イソシアナート基含有化合物と実 的に反応しない触媒を使用し、かつ無溶媒 件下で、二官能以上のポリチオール化合物 イオウとを反応させて、ジスルフィド結合 有するポリチオールオリゴマーを生成させ ことを特徴とする。
 該工程(A)における反応は、無溶媒条件下で う。これにより、反応後に溶媒を除去する 程を必要とせずに、該工程(A)に続いて後述 る工程(B)を行うことができる。

 該工程(A)においては、原料として二官能以 のポリチオール化合物を使用する。この二 能以上のポリチオール化合物は、直鎖状、 岐鎖状、環状のいずれであってもよく、ま メルカプト基(-SH)を2個以上有していれば、 の官能基、例えばアミン基やヒドロキシル などの活性水素をもつ官能基を有していて よい。
 このような二官能以上のポリチオール化合 の例としては、2,5-ビス(メルカプトメチル)- 1,4-ジチアン、ペンタエリスリトールテトラ スメルカプトアセテート、ペンタエリスリ ールテトラキスメルカプトプロピオナート トリメチロールプロパントリスメルカプト セテート、トリメチロールプロパントリス ルカプトプロピオナート、1,2,3-トリメルカ トプロパン、2,3-ジメルカプト-1-プロパノー 、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビ (メルカプトエチル)ジスルフィド、1,2-ビス( ルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン 等が挙げられる。これらは単独でもよいし、 2種以上を組み合わせて使用してもよい。

 これらの中で、二官能以上のポリチオール 合物100gに対する80℃におけるイオウの溶解 が1g以上である化合物が好ましい。このイ ウの溶解度が1g以上であると、無溶媒条件下 でオリゴマー化反応が十分に進行する。また イオウを溶解し難いポリチオールを混合して 、耐熱性、加工性等の諸物性を改質すること ができる。以上の観点から、このイオウの溶 解度は、3g以上であることがより好ましい。
 このようなイオウの溶解度を有する二官能 上のポリチオール化合物としては、2,5-ビス (メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、1,2,3-トリ ルカプトプロパン、ビス(メルカプトエチル) スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスル ィド、1,2-ビス(メルカプトエチルチオ)-3-メ カプトプロパン等が挙げられる。
 これらのポリチオール化合物は、1種単独で 又は2種類以上を組み合わせて使用すること でき、さらにその他の二官能以上のポリチ ール化合物を含んでいてもよい。二官能以 のポリチオール化合物を2種以上組み合わせ 使用する場合、この混合物100gに対する80℃ おけるイオウの溶解度が、前記の範囲内で ればよい。高い屈折率およびアッベ数を得 観点から、例えば、ペンタエリスリトール トラキスメルカプトアセテートと2,5-ビス( ルカプトメチル)-1,4-ジチアンとの組み合わ 、ペンタエリスリトールテトラキスメルカ トアセテートとビス(メルカプトエチル)スル フィドとの組み合わせ、1,2-ビス(メルカプト チルチオ)-3-メルカプトプロパンと2,5-ビス( ルカプトメチル)-1,4-ジチアンとの組み合わ 、1,2-ビス(メルカプトエチルチオ)-3-メルカ トプロパンとビス(メルカプトエチル)スル ィド等が好適に挙げられる。

 該工程(A)においては、前記二官能以上の リチオール化合物とイオウとを反応させて ポリチオールオリゴマーを生成させるが、 官能以上のポリチオールとイオウとの反応 、例えば生成物のオリゴマーが二量体の場 、下記反応式で表すことができる。

ここで、R 3 は有機基を示し、nは1以上の整数、好ましく 1、2または3を示す。
 二官能以上のポリチオール化合物とイオウ( S)との配合割合としては、二官能以上のポリ オール化合物のメルカプト基に対するS/2の ル当量比で、1:0.01~1:0.5の範囲とすることが ましい。この当量比が0.01以上であると、ポ リチオール化合物の転化率が向上し、得られ る樹脂の屈折率向上の効果を発揮する。一方 、0.5以下であると、ポリチオウレタン樹脂の 原料として好ましくない分子量の大きな多量 体の生成量を抑えることができ、また流動性 を維持できるため作業性が良好となる。以上 の観点から、前記の配合割合は、二官能以上 のポリチオール化合物のメルカプト基に対す るS/2のモル当量比で、1:0.1~1:0.5の範囲とする がより好ましい。
 前記イオウはいかなる形態でもよく、例え 、結晶状、コロイド状、粉末あるいはイオ 華でもよい。好ましくは、純度98%以上、さ に好ましくは純度99%以上のものを用いる。

 該工程(A)においては、無触媒条件下または リ(チオ)イソシアナート基含有化合物と実 的に反応しない触媒を使用する。
 該工程(A)は、無触媒条件下で反応が進行す が、触媒を使用する場合には、後述するポ (チオ)イソシアナート基含有化合物と実質 に反応しない触媒が選択される。例えば、 述した特許文献4に記載のアンモニアまたは ミンからなる塩基性触媒は、ポリ(チオ)イ シアナート基含有化合物と著しく反応して 粘度が例えば2時間以内に0.5Pa・sを超える程 に上昇し、白濁もしくは凝固するため、こ らの触媒を系から除去した後に、後述する 程(B)を行う必要がある。
 しかしながら、本発明の製造方法によれば 触媒を除去する工程を必要とせずに、該工 (A)に続いて該工程(B)を行うことができ、該 程(B)において該触媒による副反応が起こる となく、目的物を得ることができる。
 ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物と 質的に反応しない触媒としては、リン触媒 たはイミダゾール系触媒等が挙げられる。 こで、ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合 物と実質的に反応しない触媒とは、本発明の 目的を損なわない範囲で、ポリ(チオ)イソシ ナート基含有化合物と反応する触媒も含む とを意味する。

 リン触媒としては、下記一般式(I)で表わさ るものが好適に挙げられる。
[R 1 4 -P(O)]X・・・(I)
 ここで、R 1 は炭素数1~4のアルキル基、Xはハロゲン原子 示し、各R 1 は同一でも異なってもよい。また、該アルキ ル基は、直鎖状でも分岐鎖状であってもよい 。
 ハロゲン原子としては、塩素原子および臭 原子が好ましい。
 具体的には、テトラメチルホスホニウムブ マイド、テトラエチルホスホニウムブロマ ド、テトラプロピルホスホニウムブロマイ 、テトラブチルホフホニウムブロマイド、 トラメチルホスホニウムクロライド、テト エチルホスホニウムクロライド、テトラプ ピルホスホニウムクロライド、テトラブチ ホスホニウムクロライド等が挙げられる。

 イミダゾール系触媒としては、下記一般 (II)で表わされるものが好適に挙げられる。

 ここで、R 2 は炭素数1~4のアルキル基を示す。該アルキル 基は、直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。
 具体的には、2-メルカプト-1-メチルイミダ ール、2-メルカプト-1-エチルイミダゾール、 2-メルカプト-1-プロピルイミダゾール、2-メ カプト-1-ブチルイミダゾールが挙げられる
 これらの触媒の添加量は、チオール化合物 対して通常0.01~0.50質量%の範囲、好ましくは 0.05~0.30質量%の範囲である。
 なお、ポリ(チオ)イソシアナート基含有化 物と反応する触媒として前記した特許文献4 記載のアミンからなる塩基性触媒は、本発 の目的に影響を及ぼさない範囲で、必要に じて添加しても差し支えない。具体的には アミンからなる塩基性触媒は、(チオ)イソ アナート基含有化合物との反応により上記 ような粘度の上昇、白濁もしくは凝固が生 ない程度であれば添加することができ、該 媒の添加量としては、チオール化合物に対 て0.0001モル%以下が好ましい。

 前記工程(A)における反応温度は、二官能以 のポリチオール化合物中にイオウが溶解す 温度であれば制限はないが、通常は30~80℃ 好ましくは40~60℃である。
 前記工程(A)における反応時間は、原料の種 、ポリチオール化合物とイオウとの配合割 、触媒の有無や量、反応温度等の様々な条 により異なり、一概に定めることはできな が、実質上未反応のイオウが残存しなくな まで反応させるのが有利である。

 前記工程(A)において、反応中または反応 了後に脱気して、発生する硫化水素を除去 ることが好ましい。硫化水素を除去するこ により、後述する工程(B)において、イソ(チ オ)シアナート基とメルカプト基との官能基 量比が当初の理論構成からずれることなく 応するために、目的物のポリチオウレタン 脂中に気泡を生じることがなく、硫化水素 イソ(チオ)シアナート基含有化合物とが反応 をして脆い樹脂ができることがない。また、 硫化水素を除去することにより、オリゴマー 化反応が進行して未反応のイオウが残存しな くなるまで反応させることができ、後述する 工程(B)において、イオウの析出や白化等を抑 えることができる。

 このようにして生成したポリチオールオリ マーとしては、二量体、三量体および四量 の少なくとも1種を含有し、かつ未反応ポリ チオール化合物を含んでいてもよいオリゴマ ーまたはオリゴマー混合物である。よって通 常、反応液中には、未反応ポリチオール化合 物及び複数種のオリゴマーが含有されている 。
 得られたポリチオールオリゴマーは、実質 メルカプト基2個以上を有する化合物のみか ら構成されており、また分子内にジスルフィ ド結合を有する化合物を含有していることか ら、反応条件を定めることにより、出発原料 の二官能以上のポリチオール化合物より高い 屈折率を有するものになる。また、前記工程 (A)の方法によれば、後述する工程(B)の原料と なるポリチオールオリゴマーを安価に製造す ることができる。

 次に、前記工程(B)について説明する。
 工程(B)は、前記工程(A)で得られたポリチオ ルオリゴマーとポリ(チオ)イソシアナート 含有化合物とを反応させてポリチオウレタ 樹脂を得る工程である。
 本発明の製造方法は、該工程(A)の後に、前 したように溶媒や触媒を除去する工程を必 とせず、該工程(A)で使用した同一反応器内 連続的に該工程(B)を行うこともでき、効率 にポリチオウレタン樹脂を製造することが きる。

 該工程(B)において、原料としては、前記 程(A)で得られたポリチオールオリゴマー反 液をそのまま単離精製することなく使用す ことができる。該反応液は、二官能以上の リチオール化合物の二量体、三量体および 量体の少なくとも1種を含有し、かつ未反応 ポリチオール化合物を含有してもよい。

 前記ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合 は、ポリイソシアナート基含有化合物また ポリチオイソシアナート基含有化合物を意 する。すなわち、イソシアナート基(-NCO)ま はチオイソシアナート基(-NCS)を2個以上有す 化合物からなる。ポリ(チオ)イソシアナー 基含有化合物としては、光学材料の分野で いることができるものであればよく、その 類は特に制限されるものではないが、ポリ オールオリゴマーの粘度が比較的高いこと ら、一般に粘度の低いポリ(チオ)イソシアナ ート基含有化合物が好ましい。
 本発明で使用することができるポリ(チオ) ソシアナート基含有化合物の具体例として 、ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ(2,2,1 )ヘプタン、ビス(イソシアナートメチル)シク ロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、 ヘキサメチレンジイソシアナート、ジシクロ ヘキシルメタンジイソシアナート、ビス(イ シアナートメチル)-1,4-ジチアン、キシリレ ジイソシアナート等のポリイソシアナート 含有化合物、およびこれらに対応するポリ オイソシアナート基含有化合物が挙げられ 。これらの中で、樹脂の透明性、耐熱性、 び耐候性の観点から、ポリイソシアナート 含有化合物が好ましい。特に好ましくはビ (イソシアナートメチル)ビシクロ(2,2,1)ヘプ ン、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキ サン、イソホロンジイソシアナート、キシリ レンジイソシアナートである。

 また、前述した従来のポリチオウレタン樹 の製造方法のように、オリゴマー化反応に 用した溶媒や触媒を除去する工程を必要と る場合、これらの工程によってポリチオー オリゴマー混合物に含有する未反応ポリチ ール化合物等が減少することがある。その めに、その後にポリ(チオ)イソシアナート 含有化合物とのウレタン化反応を行う際に ポリチオールオリゴマー混合物に含有する ルカプト基の損失の程度によって、ポリ(チ )イソシアナート基含有化合物の配合量を変 える必要があり、一定の屈折率及びアッベ数 を有するポリチオウレタン樹脂を得るのは困 難となるという問題がある。
 一方、本発明の製造方法によれば、前述の うなメルカプト基の損失を考慮することな 、ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物 配合量を、前述したポリチオール化合物の ルカプト基とイオウとの配合割合に基づい 化学量論的に簡便に定めることができる。

 ポリ(チオ)イソシアナート基含有化合物 配合割合としては、前記工程(A)で得られた リチオールオリゴマー混合物のメルカプト に対するポリ(チオ)イソシアナート基含有化 合物の官能基の当量比で、1:0.9~1:1.1の範囲と ることが好ましい。ポリ(チオ)イソシアナ ト基含有化合物の官能基の当量比が0.9以上 あると、使用する重合原料の組み合わせに よるが、良好な耐熱性が得られる。また樹 の切削加工の際、メルカプト臭を抑えるこ ができる。一方、1.1以下であると、重合後 樹脂が黄色く着色することがなく、良好な 候性が得られる。以上の観点から、前記の 合割合は、ポリチオールオリゴマー混合物 メルカプト基に対するポリ(チオ)イソシアナ ート基含有化合物の官能基の当量比で、1:0.95 ~1:1.05の範囲とすることが特に好ましい。

 なお、前記工程(B)において、前記成分以 に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料等の 分を必要に応じて適宜加えることができる

 前記工程(B)において、前記工程(A)で得られ ポリチオールオリゴマー、ポリ(チオ)イソ アナート基含有化合物、および前記任意成 を含む混合物を調製したのち、適量の重合 媒の存在下、熱重合、光重合などの公知の 合方法を用いて重合反応させることにより リチオウレタン樹脂を製造することができ 。重合反応の条件は特に制限はなく、光学 料の分野で通常用いられている条件に従い 合すればよい。重合触媒としては、例えば メチルスズジクロライド等の有機スズ化合 等が挙げられる。
 このように製造されたポリチオウレタン樹 からなる光学製品の製造は、キャスト(注型 重合)法、切削研磨法、射出成形法などによ て行うことができる。キャスト(注型重合)法 で製品を製造する際は、場合によって予め重 合原料混合物中に内部離型剤を混合してもよ い。
 本発明の方法により製造されたポリチオウ タン樹脂は、高屈折率及び高アッベ数(低分 散性)を有し、かつ製品ロット間の屈折率及 アッベ数が一定であるので、光学レンズ、 鏡レンズ、プリズム、光ファイバー、情報 録用基板、着色フィルター、赤外線吸収フ ルター等の光学製品の材料として好適に使 することができる。

 以下、実施例により本発明を更に詳しく説 するが、本発明はこれらの実施例によって 定されるものではない。なお、各物性は下 の方法に従って測定した。
(1)外観
 得られたポリチオウレタン樹脂の透明性を 眼により観察した。
(2)屈折率およびアッベ数
 得られたポリチオウレタン樹脂の屈折率(nd ne)およびアッベ数(νd、νe)を株式会社島津 バイス製造製の精密屈折計 KPR-200を用いて 温度は22℃で測定した。

実施例1
 ポリチオール化合物として2,5-ビス(メルカ トメチル)-1,4-ジチアン31.80質量部とペンタエ リスリトールテトラキスメルカプトアセテー ト21.60質量部とイオウ0.80質量部を秤量し、80 にて攪拌しながらイオウを溶解させた。初 黄色に着色していた溶解液は硫化水素を発 させながら徐々に透明体に退色していき反 が進行した。60分後にガスの発生が無くな 溶液が透明になった後に、室温まで冷却し13 3mPaにて減圧攪拌しポリチオール化合物中に 存している硫化水素を除去して、ポリチオ ルオリゴマー混合物(未反応を含む)を得た。
 続いてポリイソシアナート基含有化合物と てビス(イソシアナートメチル)ビシクロ(2,2, 1)ヘプタン46.40質量部、紫外線吸収剤として プロ化成(株)製SEESORB7070.10質量部、内部離型 として酸性リン酸エステル(商品名:JP506H、 北化学工業(株)製)0.15質量部、および重合触 としてジメチルスズジクロライド0.10質量部 を加えて攪拌溶解したものを、上記で得たポ リチオールオリゴマー混合物(未反応を含む) 加えて混合し、133mPaで15分間攪拌脱気を行 た後に、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)フィルタ (孔径:5μm)にて濾過して眼鏡レンズ用成型型 に注入した。これを10℃近傍から120℃近傍ま 24時間かけて脈理が生じないように徐々に 熱重合させてレンズ形状のポリチオウレタ 樹脂を得た。得られた樹脂の外観、その屈 率およびアッベ数を表1に示す。

実施例2~14
 表1および表2に示すポリチオール化合物お びポリイソシアナート基含有化合物とした 外は実施例1と同様の方法でレンズを作製し 。得られた樹脂の外観、その屈折率および ッベ数を表1および表2に示す。

実施例15
 表2に示すポリチオール化合物、イオウおよ びオリゴマー化触媒としてテトラブチルホス ホニウムブロマイド0.02質量部を秤量し、80℃ にて攪拌しながらイオウを溶解させたこと以 外は実施例1と同様の方法でポリチオールオ ゴマー混合物(未反応を含む)を得た。
 続いて表2に示すポリイソシアナート基含有 化合物を使用したこと以外は実施例1と同様 方法でレンズを作製した。得られた樹脂の 観、その屈折率およびアッベ数を表2に示す
実施例16
 表2に示すポリチオール化合物、イオウおよ びオリゴマー化触媒として2-メルカプト-1-メ ルイミダゾール0.03質量部を秤量し、80℃に 攪拌しながらイオウを溶解させたこと以外 実施例1と同様の方法でポリチオールオリゴ マー混合物(未反応を含む)を得た。
 続いて表2に示すポリイソシアナート基含有 化合物を使用したこと以外は実施例1と同様 方法でレンズを作製した。得られた樹脂の 観、その屈折率およびアッベ数を表2に示す

実施例17
 ポリチオール化合物として2,5-ビス(メルカ トメチル)-1,4-ジチアン37.01質量部、ビス(メ カプトエチル)スルフィド26.88質量部、ペン エリスリトールテトラキスメルカプトアセ ート32.32質量部とイオウ3.78質量部を秤量し 60℃にて攪拌しながらイオウを溶解させた。 イオウが溶解すると共に溶液中から硫化水素 が発生し、黄色く着色していた溶液が徐々に 透明な溶液に退色していき、反応が進行した 。およそ24時間後、ガスの発生もほとんどな なったことを確認したのち、50℃に保温し 133mPaにて減圧攪拌し、ポリチオール中に溶 している硫化水素を除去して、ポリチオー オリゴマー混合物を得た。
 続いてポリイシシアナート基を含む化合物 してイソホロンジイソシアナート46.85質量 、紫外線吸収剤としてシプロ化成(株)製SEESOR B707を1.0質量部、内部離型剤として酸性リン エステル(商品名:JP506H、城北化学工業(株)製) 0.18質量部、および重合触媒としてジメチル ズジクロライド0.40質量部を加えて攪拌溶解 たものに、上記で得たポリチオールオリゴ ー混合物のうちの53.15質量部を加えて混合 、133mPaで45分間攪拌脱気を行った後に、ポリ 4フッ化エチレン(PTFE)フィルター(孔径:5μm)に 濾過して眼鏡レンズ用成型型に注入した。 れを10℃近傍から130℃近傍まで24~48時間かけ て脈理が生じないように徐々に加熱重合させ てレンズ形状のポリチオウレタン樹脂を得た 。得られた樹脂の外観、その屈折率およびア ッベ数を表3に示す。
実施例18
 実施例17と同様の方法でポリチオールオリ マー混合物を得た。
 続いて、ポリイソシアナート基を含む化合 としてイソホロンジイソシアナートを38.85 量部、ヘキサメチレンジイソシアナートを6. 10質量部、および上記で得たポリチオールオ ゴマー混合物のうちの55.05質量部を用いた と以外は、実施例17と同様の方法でレンズ形 状のポリチオウレタン樹脂を得た。得られた 樹脂の外観、その屈折率およびアッベ数を表 3に示す。

比較例1
 ポリチオール化合物として2,5-ビス(メルカ トメチル)-1,4-ジチアン26.50質量部とペンタエ リスリトールテトラキスメルカプトアセテー ト27.00質量部を秤量し混合する。
 続いてポリイソシアナート基含有化合物と てビス(イソシアナートメチル)ビシクロ(2,2, 1)ヘプタンを51.50質量部と紫外線吸収剤とし シプロ化成(株)製SEESORB707を0.10質量部、内部 型剤として酸性リン酸エステル(商品名:JP506 H、城北化学工業(株)製)を0.15質量部、重合触 としてジメチルスズジクロライドを0.10質量 部加えて攪拌溶解したものを加えて混合し、 133mPaで15分間攪拌脱気を行った後に、PTFEフィ ルター(孔径:5μm)にて濾過して眼鏡レンズ用 型型に注入した。これを10℃近傍から120℃近 傍まで24時間かけて脈理が生じないように徐 に加熱重合させてレンズ形状のポリチオウ タン樹脂を得た。得られた樹脂の外観、そ 屈折率およびアッベ数を表2に示す。

比較例2
 ポリチオール化合物として2,5-ビス(メルカ トメチル)-1,4-ジチアン53.00質量部とペンタエ リスリトールテトラキスメルカプトアセテー ト54.00質量部とイオウを16.00質量部、触媒と てジエチルアミン0.0146質量部及び溶媒とし テトラヒドロフラン(THF)84.55質量部を入れ、6 0℃に加温しながら攪拌した。途中、硫化水 の気泡が発生するが、30分間後には気泡の発 生は減少しはじめた。気泡の発生が完全にな くなった時点で100℃に温度を上げてTHFを留去 し、133mPaの真空度で30分間、減圧処理を行っ ポリチオールオリゴマー混合物(未反応を含 む;混合物A)を得た。続いて、その混合物A中 ら53.50質量部をビーカーに取出し、ポリイソ シアナート基含有化合物としてキシリレンジ イソシアナートを42.30質量部、紫外線吸収剤 してシプロ化成(株)製SEESORB707を0.10質量部、 内部離型剤として酸性リン酸エステル(商品 :JP506H、城北化学工業(株)製)を0.15質量部、お よび重合触媒としてジメチルスズジクロライ ドを0.02質量部加えて攪拌溶解したものを、 合物Aの入ったビーカーに加えて混合し、133m Paで15分間攪拌脱気を行った後に、PTFEフィル ー(孔径:5μm)にて濾過して眼鏡レンズ用成型 型に注入した。注入中、調合済みの原料が徐 々に発熱し、注入が困難になってきたので操 作を終了した。
 得られたレンズは、対流のような痕と気泡 発生がみられ、均一な透明樹脂ではなく光 特性を得ることができなかった。

 本発明の製造方法により、高屈折率及び アッベ数(低分散性)を有し、かつ製品ロッ 間の屈折率及びアッベ数が一定であるポリ オウレタン樹脂を効率的に製造することが きる。このポリチオウレタン樹脂は、光学 ンズ、眼鏡レンズ、プリズム、光ファイバ 、情報記録用基板、着色フィルター、赤外 吸収フィルター等の光学製品の材料として 適に使用することができる。