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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF BIOFILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/017124
Kind Code:
A1
Abstract:
The object is to form a biofilm having a sufficient quantity and sufficient strength for fixing a bacterial cell. Thus, disclosed is a method for producing a biofilm, which is characterized by co-culturing a lactic acid bacterium belonging to Lactobacillus plantarum and yeast together.

Inventors:
MORINAGA YASUSHI (JP)
FURUKAWA SOICHI (JP)
OGIHARA HIROKAZU (JP)
YAMASAKI MAKARI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063592
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV NIHON (JP)
MORINAGA YASUSHI (JP)
FURUKAWA SOICHI (JP)
OGIHARA HIROKAZU (JP)
YAMASAKI MAKARI (JP)
International Classes:
C12N15/00; C12N1/16; C12N1/20; C12N15/09; C12P7/06; C12N11/02
Foreign References:
JP2007198792A2007-08-09
JP2008047195A2008-02-28
Other References:
KAWARAI T. ET AL.: "Mixed-species biofilm formation by lactic acid bacteria and rice wine yeasts", APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, vol. 73, no. 14, July 2007 (2007-07-01), pages 4673 - 4676, XP008135090
KAWARAI T. ET AL.: "Kobo to Nyusankin no Fukugo Biofilm: Kobo Biofilm Keisei Sokushin Inshi no Dotei", JAPAN SOCIETY FOR BIOSCIENCE, BIOTECHNOLOGY, AND AGROCHEMISTRY 2007 NENDO TAIKAI KOEN YOSHISHYU, 5 March 2007 (2007-03-05), pages 169 + LECTURE NO. 3A07P02, XP008135091
KAWARAI T. ET AL.: "Kobo to Daichokin no Biofilm: Kobo Saibo Hyoso no Denshi Kenbikyo Kansatsu", JAPAN SOCIETY FOR BIOSCIENCE, BIOTECHNOLOGY, AND AGROCHEMISTRY 2006 NENDO TAIKAI KOEN YOSHISHYU, 5 March 2006 (2006-03-05), pages 253 + LECTURE NO. 3C27P13, XP008135093
KAWARAI T. ET AL.: "Kobo to Nyusankin no Biofilm", JAPAN SOCIETY FOR BIOSCIENCE, BIOTECHNOLOGY, AND AGROCHEMISTRY 2006 NENDO TAIKAI KOEN YOSHISYU, 5 March 2006 (2006-03-05), pages 260 + LECTURE NO. 30F383ALPHA
TAKEHITO KAWARAI ET AL.: "Summary of Annual Meeting of JSBBA", JAPAN SOCIETY FOR BIOSCIENCE, BIOTECHNOLOGY, AND AGROCHEMISTRY, 2007, pages 169
Attorney, Agent or Firm:
NOMURA, Kenichi et al. (30-1 Tsuruyacho 3-chome,Kanagawa-ku, Yokohama-shi, Kanagawa, JP)
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Claims:
 ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌と酵母とを共培養することを特徴とするバイオフィルムの生産方法。
 ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌が、受託番号NITE BP-376で寄託されたML11-11であることを特徴とする請求項1に記載のバイオフィルムの生産方法。
 ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌が、配列番号1に記載の塩基配列と97%以上相同な塩基配列からなる16S rDNAを有する乳酸菌であることを特徴とする請求項1に記載のバイオフィルムの生産方法。
 酵母が、サッカロミセス・セレビシエに属する酵母であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のバイオフィルムの生産方法。
 酵母が、配列番号2に記載の塩基配列と97%以上相同な塩基配列からなる18S rDNAを有する酵母であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のバイオフィルムの生産方法。
 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法によって生産されたバイオフィルム。
 ラクトバチルス・プランタラムに属し、有用物質を生産する乳酸菌、又は有用物質を生産する酵母を利用して有用物質を生産する方法であって、前記乳酸菌と前記酵母とを共培養し、培養物中から有用物質を採取することを特徴とする有用物質の生産方法。
 乳酸菌と酵母の共培養によって形成されるバイオフィルムにより両微生物を固定化菌体とすることを特徴とする請求項7に記載の有用物質の生産方法。
 有用物質がエタノールであることを特徴とする請求項7又は8に記載の有用物質の生産方法。
 ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌が、受託番号NITE BP-376で寄託されたML11-11であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の有用物質の生産方法。
 ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌が、配列番号1に記載の塩基配列と97%以上相同な塩基配列からなる16S rDNAを有する乳酸菌であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の有用物質の生産方法。
 酵母が、サッカロミセス・セレビシエに属する酵母であることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一項に記載の有用物質の生産方法。
 酵母が、配列番号2に記載の塩基配列と97%以上相同な塩基配列からなる18S rDNAを有する酵母であることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一項に記載の有用物質の生産方法。
 酵母と乳酸菌を含むバイオフィルムであって、乳酸菌細胞が固体表面に付着し、酵母細胞が乳酸菌細胞を介して固体表面に固定されていることを特徴とするバイオフィルム。
 乳酸菌が、受託番号NITE BP-376で寄託されたML11-11であることを特徴とする請求項14に記載のバイオフィルム。
 乳酸菌が、配列番号1に記載の塩基配列と97%以上相同な塩基配列からなる16S rDNAを有する乳酸菌であることを特徴とする請求項14に記載のバイオフィルム。
 酵母が、サッカロミセス・セレビシエに属する酵母であることを特徴とする請求項14ないし16のいずれか一項に記載のバイオフィルム。
 酵母が、配列番号2に記載の塩基配列と97%以上相同な塩基配列からなる18S rDNAを有する酵母であることを特徴とする請求項14ないし16のいずれか一項に記載のバイオフィルム。
 ラクトバチルス・プランタラムML11-11(受託番号NITE BP-376)。
Description:
バイオフィルムの生産方法

 本発明は、乳酸菌と酵母の共培養による イオフィルムの生産方法、及びその方法に って生産され得るバイオフィルム、並びに 酸菌と酵母の共培養による有用物質の生産 法に関する。

 酵母を用いた有用物質生産に固定化菌体 用いる方法が知られており、酵母の固定化 体調製法としては、アルギン酸などのゲル 体を用いて固定化する方法などが知られて る。一方、微生物バイオフィルムに関して 、その存在が知られていたが、多くの場合 食品衛生上の問題とされるだけであって、 イオフィルムを有用物質の生産に利用しよ とする例はほとんどない。

 最近、本発明者らによって、ラクトバチル ・カゼイに属する乳酸菌( Lactobacillus   casei  var.  rhamnosus  IFO 3831)の培養濾液中に含まれる物質がサッ カロミセス・セレビシエに属する酵母( Saccharomyces   cerevisiae  協会10号)のバイオフィルム形成を促進する とが報告されている(非特許文献1)。

河原井武人ら、日本農芸化学会2007年度 会講演要旨集、169頁

 酵母菌体の固定化菌体の調製には、アル ン酸のような高価な担体を必要とし、担体 菌体を固定化し、菌体を固定化した担体を 応器に充填するなど、きわめて複雑な工程 必要であった。一方、酵母を単独で培養す ことによってもバイオフィルムは形成され が、バイオフィルムの量、強度とも十分で いため、菌体の固定化に利用されることは かった。また、非特許文献1に記載されてい るバイオフィルム形成促進方法を利用しても 、形成量は十分でなく、やはり菌体の固定化 に利用することはできなかった。

 本発明は、以上の技術的背景の下になさ たものであり、菌体の固定化に十分な量及 強度のバイオフィルムを形成させる手段を 供することを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 意検討を重ねた結果、ラクトバチルス・プ ンタラムに属する乳酸菌と酵母を直接接触 るように培養すると、バイオフィルムの形 量が著しく増加することを見出した。

 乳酸菌と酵母を共培養することにより、 イオフィルムの形成量が増加することは、 特許文献1によって既に明らかになっている 。しかし、非特許文献1で使用されている乳 菌は、ラクトバチルス・カゼイであり、ラ トバチルス・プランタラムを使用している 発明とは異なる。また、バイオフィルムの 成促進効果も、本発明と非特許文献1とでは きく異なり、本発明の方が著しく高い。更 、非特許文献1では、菌体同士を直接接触さ せず、培養濾液によってもバイオフィルムの 形成量を増加させることができるが、本発明 では、菌体同士を直接接触させなければバイ オフィルムの形成量を増加させることができ ないという相違点もある。

 また、形成されるバイオフィルム中では 乳酸菌細胞は固体表面に付着するが、酵母 胞は固体表面に付着せず、乳酸菌を介して 体表面に固定されていることも見出した。

 本発明は、以上のような知見に基づき、 成されたものである。

 即ち、本発明は、以下の(1)~(19)を提供す ものである。

(1)ラクトバチルス・プランタラムに属する 乳酸菌と酵母とを共培養することを特徴とす るバイオフィルムの生産方法。

(2)ラクトバチルス・プランタラムに属する 乳酸菌が、受託番号NITE BP-376で寄託されたML1 1-11であることを特徴とする(1)に記載のバイ フィルムの生産方法。

(3)ラクトバチルス・プランタラムに属する 乳酸菌が、配列番号1に記載の塩基配列と97% 上相同な塩基配列からなる16S rDNAを有する 酸菌であることを特徴とする(1)に記載のバ オフィルムの生産方法。

(4)酵母が、サッカロミセス・セレビシエに 属する酵母であることを特徴とする(1)ないし (3)のいずれかに記載のバイオフィルムの生産 方法。

(5)酵母が、配列番号2に記載の塩基配列と97 %以上相同な塩基配列からなる18S rDNAを有す 酵母であることを特徴とする(1)ないし(3)の ずれかに記載のバイオフィルムの生産方法

(6)(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法によ って生産されたバイオフィルム。

(7)ラクトバチルス・プランタラムに属し、 有用物質を生産する乳酸菌、又は有用物質を 生産する酵母を利用して有用物質を生産する 方法であって、前記乳酸菌と前記酵母とを共 培養し、培養物中から有用物質を採取するこ とを特徴とする有用物質の生産方法。

(8)乳酸菌と酵母の共培養によって形成され るバイオフィルムにより両微生物を固定化菌 体とすることを特徴とする(7)に記載の有用物 質の生産方法。

(9)有用物質がエタノールであることを特徴 とする(7)又は(8)に記載の有用物質の生産方法 。

(10)ラクトバチルス・プランタラムに属す 乳酸菌が、受託番号NITE BP-376で寄託されたML 11-11であることを特徴とする(7)ないし(9)のい れかに記載の有用物質の生産方法。

(11)ラクトバチルス・プランタラムに属す 乳酸菌が、配列番号1に記載の塩基配列と97% 上相同な塩基配列からなる16S rDNAを有する 酸菌であることを特徴とする(7)ないし(9)の ずれかに記載の有用物質の生産方法。

(12)酵母が、サッカロミセス・セレビシエ 属する酵母であることを特徴とする(7)ない (11)のいずれかに記載の有用物質の生産方法

(13)酵母が、配列番号2に記載の塩基配列と9 7%以上相同な塩基配列からなる18S rDNAを有す 酵母であることを特徴とする(7)ないし(11)の いずれかに記載の有用物質の生産方法。

(14)酵母と乳酸菌を含むバイオフィルムで って、乳酸菌細胞が固体表面に付着し、酵 細胞が乳酸菌細胞を介して固体表面に固定 れていることを特徴とするバイオフィルム

(15)乳酸菌が、受託番号NITE BP-376で寄託さ たML11-11であることを特徴とする(14)に記載の バイオフィルム。

(16)乳酸菌が、配列番号1に記載の塩基配列 97%以上相同な塩基配列からなる16S rDNAを有 る乳酸菌であることを特徴とする(14)に記載 のバイオフィルム。

(17)酵母が、サッカロミセス・セレビシエ 属する酵母であることを特徴とする(14)ない (16)のいずれかに記載のバイオフィルム。

(18)酵母が、配列番号2に記載の塩基配列と9 7%以上相同な塩基配列からなる18S rDNAを有す 酵母であることを特徴とする(14)ないし(16) いずれかに記載のバイオフィルム。

(19)ラクトバチルス・プランタラムML11-11(受 託番号NITE BP-376)。

 本発明により、効率よく、強固なバイオ ィルムの生産が可能になる。また、このよ にして生産されたバイオフィルムを利用す ことによって、アルギン酸などの担体を用 ることなく、固定化菌体によるエタノール どの有用物質の生産が可能になる。

壷酢から分離した乳酸菌と酵母を共培 した場合のバイオフィルム形成量を示す図 種々の条件でY11-43とML11-11を培養した場 合のバイオフィルム形成量を示す図。 Y11-43とML11-11以外の乳酸菌を共培養した 場合のバイオフィルム形成量を示す図。 ML11-11とY11-43以外の酵母を共培養した場 合のバイオフィルム形成量を示す図。 S.   cerevisiae  協会10号と L.   case i subsp.  rhamnosus  IFO 3831とを共培養た場合のバイオフィルム 成量を示す図。 ML11-11と二倍体酵母又は一倍体酵母を共 培養した場合のバイオフィルム形成量を示す 図(n=3)。 共培養バイオフィルムによる各糖濃度 おける二酸化炭素生成量を示す図。 単独培養酵母細胞による各糖濃度にお る二酸化炭素生成量を示す図。 洗浄による酵母菌数の変化を示す図。 共培養で形成されたバイオフィルムの 微細構造を示す図(1)。酵母細胞が固体表面に 層状に付着している。 共培養で形成されたバイオフィルムの 微細構造を示す図(2)。乳酸菌細胞(小型)は単 で固体表面に付着しているが、酵母細胞(大 型)単独では固体表面に付着していない。 共培養で形成されたバイオフィルムの 微細構造を示す図(3)。乳酸菌細胞(小型)と酵 細胞(大型)が絡み合っている。 単独培養した酵母の微細構造を示す図 。酵母細胞は単独では固定表面にほとんど付 着せず、洗浄すると容易に除かれる。 単独培養した乳酸菌の微細構造を示す 図。乳酸菌は単独でもある程度固体表面に付 着する。 乳酸菌と酵母の共培養4時間目のガラ 表面の状態を示す図(初期付着)。乳酸菌細胞 のみ付着し、酵母細胞は殆ど付着しない。 乳酸菌と酵母の共培養8時間目のガラ 表面の状態を示す図(バイオフィルムへの成 段階)。乳酸菌細胞がフィルム状の集落を形 成、酵母細胞は数が少なく、乳酸菌集落の上 部に付着するが、ガラス表面には付着しない 。 乳酸菌と酵母の共培養12時間目のガラ 表面の状態を示す図(成長したバイオフィル ム)。多数の酵母細胞がバイオフィルム上に 着し始めているがガラス表面に直接付着し いる酵母細胞は存在しない。 乳酸菌と酵母の共培養16時間目のガラ 表面の状態を示す図(完成したバイオフィル ム)。酵母細胞と乳酸菌細胞が絡み合って密 して高細胞密度のバイオフィルムを形成。 乳酸菌と酵母の共培養によるバイオフ ィルム形成機構を模式的に表した図。

 以下、本発明を詳細に説明する。

 本発明のバイオフィルムの生産方法は、 クトバチルス・プランタラムに属する乳酸 と酵母とを共培養することを特徴とするも である。

 乳酸菌としては、ML11-11を用いることが好 ましい。この菌株は、本発明者によって分離 された菌株であり、独立行政法人製品評価技 術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国 葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、受託番号NI TE BP-376として寄託されている(受託日:2007年7 10日)。ML11-11の16S rDNA(塩基配列は配列番号1 示すとおりである。)と高い相同性を示す16S  rDNAを有する菌株は、ML11-11と近縁の菌株で り、ML11-11と同様に酵母との共培養によりバ オフィルムの形成を促進する可能性が高い 従って、このような菌株をML11-11の代わりに 使用してもよい。ここで「高い相同性」とは 、通常、97%以上の相同性をいい、好適には、 99%以上の相同性をいい、最も好適には、100% 相同性をいう。また、ML11-11やML11-11と近縁株 以外の菌株であっても、ラクトバチルス・プ ランタラムに属し、酵母との共培養によりバ イオフィルムの形成を促進できる菌株であれ ば本発明に使用することができる。

 酵母としては、本発明者によって分離され Y11-43を用いることが好ましい。Y11-43の18S rD NA(塩基配列は配列番号2に示すとおりである )と高い相同性を示す18S rDNAを有する菌株は Y11-43と近縁の菌株であり、Y11-43と同様に乳 菌との共培養により高いバイオフィルム形 促進作用を示す可能性が高い。従って、こ ような菌株をY11-43の代わりに使用してもよ 。ここで「高い相同性」とは、通常、97%以 の相同性をいい、好適には、99%以上の相同 をいい、最も好適には、100%の相同性をいう 。Y11-43やその近縁株以外にも、 Saccharomyces   cerevisiae  X2180-1A、 Saccharomyces   cerevisiae  協会7号、 Saccharomyces   cerevisiae  協会10号などの既知のサッカロミセス・セ ビシエに属する酵母を使用することもでき 。また、サッカロミセス・セレビシエ以外 サッカロミセス属の酵母やサッカロミセス 以外の酵母も、乳酸菌との共培養によりバ オフィルムの形成促進効果を持つものであ ば使用することができる。ここで、サッカ ミセス・セレビシエ以外のサッカロミセス の酵母としては、サッカロミセス・パスト アヌス( Saccharomyces   pasteurianus) 、サッカロミセス・バイヤヌス( Saccharomyces   bayanus )などを例示でき、サッカロミセス属以外の 母としては、シゾサッカロミセス( Schizosaccharomyces )属、カンジダ( Candida )属の酵母などを例示できる。

 乳酸菌と酵母の共培養方法は、両微生物 増殖可能な方法であれば特に限定されない 培地としては、その成分として酵母エキス ペプトンやグルコースなどを含んだもの、 えばYPD培地(酵母エキス1%、ペプトン2%、グ コース2%)などを使用することができる。培 温度は特に限定されないが、25~35℃とするの が好ましく、28~30℃とするのが更に好ましい

 本発明のバイオフィルムは、酵母と乳酸 を含むバイオフィルムであって、乳酸菌細 が固体表面に付着し、酵母細胞が乳酸菌細 を介して固体表面に固定されていることを 徴とするものである。本発明のバイオフィ ムは、上述したバイオフィルムの生産方法 従い、ラクトバチルス・プランタラムに属 る乳酸菌と酵母の共培養によって作製する とができるが、ラクトバチルス・プランタ ム以外の乳酸菌と酵母の共培養によって作 してもよい。

 本発明の有用物質の生産方法は、上述し バイオフィルムの生産方法を応用したもの 、ラクトバチルス・プランタラムに属する 酸菌と酵母とを共培養し、培養物中から有 物質を採取することを特徴とするものであ 。

 使用する乳酸菌及び酵母、並びに共培養 方法は、バイオフィルムの生産方法と同様 よい。

 この有用物質の生産方法では、乳酸菌と 母の共培養によりバイオフィルムが形成さ るので、ゲル担体などを用いなくても、微 物を固定化菌体とすることができる。

 有用物質を生産するのは、乳酸菌、酵母 いずれであってもよい。有用物質としては 例えば、乳酸菌の生産する乳酸、バクテリ シンや各種ペプチド類及び各種酵素類など 、酵母の生産するエタノール及び各種酵素 などを挙げることができる。これらの有用 質の中でも、以下の理由からエタノールが も好ましい。エタノール発酵においては、 酵液中のエタノール濃度が高くなると酵母 活性が低下し、発酵反応が進行しなくなる このため、発酵液中のエタノール濃度をあ り高くすることができない。しかし、本発 の方法では、酵母はバイオフィルムによっ 保護されているため、エタノールに対し耐 を示すと考えられる。従って、従来よりも いエタノール濃度においても発酵が進み、 り高濃度のエタノールを含む発酵液を得る とができると考えられる。またエタノール 酵においては、生産性を高めるためにしば ば連続発酵法が用いられているが、連続発 では系内の菌体濃度を安定に保つために、 母菌体の固定化や、系外に漏出した酵母菌 を遠心分離等によって回収して再び系内に すことが実施されている。本発明の方法に づいて、バイオフィルムを形成させること より、酵母菌体をバイオフィルムとして固 化することが容易になるだけでなく、酵母 体の沈降性が向上し、その結果、系外に漏 した酵母菌体の遠心分離等による回収が容 になるという大きな利点がある。

 以下、実施例により本発明を更に詳細に 明する。

〔実施例1〕 バイオフィルム形成菌株のスク リーニング
 鹿児島県の福山地方に伝わる福山壷酢の醸 試料から分離した乳酸菌と酵母とを組み合 せて培養し、バイオフィルムの形成量を調 た。

 2006年秋仕込み5日目と11日目に試料を採取 し(合資会社伊達醸造伊達英史氏より供与頂 た。)、試料から分離した乳酸菌と酵母の共 養を行った。培養は30℃で行い、培養開始 ら24時間後にバイオフィルムをクリスタルバ イオレットで染色し、形成量を1~5の5段階で 価した。この結果を図1に示す。

 幾つかの組み合わせで、乳酸菌、酵母そ ぞれ単独で培養した場合よりも、バイオフ ルム形成量が増加した。最もバイオフィル 形成量が多かったのは、乳酸菌ML11-11と酵母 Y11-43とを共培養した場合であった。

〔実施例2〕ML11-11とY11-43の同定
 16SリボゾームDNA及び18SリボゾームDNAを用い 菌の同定を行ったところ、乳酸菌ML11-11はラ クトバチルス・プランタラム( Lactobacillus   plantarum )、酵母Y11-43はサッカロミセス・セレビシエ( Saccharomyces   cerevisiae  )と同定された。乳酸菌ML11-11の16Sリボゾー DNAの塩基配列を配列番号1に、酵母Y11-43の18S ボゾームDNAの塩基配列を配列番号2に、それ ぞれ示す。

〔実施例3〕ML11-11とY11-43のバイオフィルム形 条件の検討
 酵母Y11-43及び乳酸菌ML11-11をそれぞれYPD培地 及びMRS培地(Proteose peptone No. 3, 10.0 g: Beef  Extract, 10.0 g: Yeast Extract, 5.0 g: Dextrose, 20. 0 g: Polysorbate 80, 1.0 g: Ammonium Citrate, 2.0 g :Sodium Acetate, 5.0 g: Magnesium Sulfate, 0.1 g: Ma nganese Sulfate, 0.05 g: Dipotassium phosphate, 2.0 g : (1 L中))を用いて27℃で24時間前培養を行っ 。Y11-43、ML11-11の前培養菌液をYPD培地に接種 し、これを96穴タイタープレートに1ウェル当 たり100μL分注した。前培養菌液は1菌株のみ 接種する場合はYPD培地の100分の1量接種し、2 菌株接種する場合は1菌株当たりYPD培地の200 の1量接種した。前培養菌液接種後、30℃で24 時間静置培養を行い、クリスタルバイオレッ ト(0.1%)染色法によりバイオフィルムを染色し た。染色したバイオフィルムから色素を溶出 させ、溶出した色素の吸光度を測定し、バイ オフィルム形成量として評価した。

 酵母Y11-43と乳酸菌ML11-11のバイオフィルム 形成条件について検討した結果を図2に示す バイオフィルムは、両者を同一の培地中で 培養した場合に顕著に形成が促進されたが ML11-11の単独培養液をフィルター除菌した上 をY11-43の単独培養培地に添加しても形成は 進されなかった。上清を加えた条件では、 養源の欠乏やpHの低下によってバイオフィ ム形成が抑制されている可能性が考えられ ので、この点についても検討を加えたが、Y1 1-43の単独培養にもちいる培地に、ML11-11上清 加えて培地成分を添加したり、pHを7.0に再 整したりしても、バイオフィルム形成は促 されなかった。

 以上の結果は、バイオフィルム形成には 酵母細胞と乳酸菌細胞が直接接触すること 必要なことを示している。

〔実施例4〕 壷酢分離株以外の菌株のバイオ フィルム形成量評価
(使用菌株)
 Y11-43、ML11-11以外の菌株として、以下の菌株 を使用した。

乳酸菌: Leuconostoc   mesenteroides  subsp.  mesenteroides  IAM 1046
     Lactobacillus   sakei  IFO 3541
     Lactobacillus   case i subsp.  rhamnosus  IFO 3831
酵母:  Saccharomyces   cerevisiae  X2180-1A
     Saccharomyces   cerevisiae  協会7号
     Saccharomyces   cerevisiae  協会10号
(培地、培養条件)
 酵母の前培養にはYPD培地を用い、乳酸菌の 培養にはMRS培地を用いた。前培養は、27℃ 24時間行った。

(バイオフィルム形成量の評価)
 酵母、乳酸菌の前培養菌液をYPD培地に接種 、これを96穴タイタープレートに1ウェル当 り100μL分注した。前培養菌液は1菌株のみを 接種する場合はYPD培地の100分の1量接種し、2 株接種する場合は1菌株当たりYPD培地の200分 の1量接種した。前培養菌液接種後、30℃で24 間静置培養を行い、クリスタルバイオレッ (0.1%)染色法によりバイオフィルムを染色し 。染色したバイオフィルムから色素を溶出 せ、溶出した色素の吸光度を測定し、バイ フィルム形成量として評価した。Y11-43とML11 -11以外の乳酸菌を共培養した場合のバイオフ ィルム形成量を図3に、ML11-11とY11-43以外の酵 を共培養した場合のバイオフィルム形成量 図4にそれぞれ示す。

 ML11-11以外の乳酸菌では、Y11-43と共培養して もバイオフィルムの形成量は増えなかった。 一方、ML11-11とY11-43以外の酵母との共培養を ったところ、顕著なバイオフィルム形成の 加が確認された。特に、 S. cerevisiae  X2180に関して、数値はY11-43との共培養には ばないものの、バイオフィルムの形成の仕 が、非常に近似していた。以上のことから Y11-43とML11-11のバイオフィルム形成量増加の 因は、ML11-11の働きによる可能性が高いこと が推測された。また、ML11-11は S. cerevisiae に属する出芽酵母に対し一般的にバイオフィ ルム形成を促進するものと考えられる。

〔比較例〕
 非特許文献1(河原井武人ら、日本農芸化学 2007年度大会講演要旨集、169頁)に記載されて いる Saccharomyces   cerevisiae  協会10号と Lactobacillus   case i subsp.  rhamnosus  IFO 3831を、実施例4と同様の条件で、共培養 し、バイオフィルム形成量を評価した。この 結果を図5に示す。

 図5に示すように S.   cerevisiae  協会10号と L.   case i subsp.  rhamnosus  IFO 3831との共培養によるバイオフィルム形 量は、Y11-43とML11-11の共培養によるバイオフ ィルム形成量の1/10以下であった。

〔実施例5〕 一倍体酵母によるバイオフィル ム形成
 実用酵母の多くは多数倍体である。したが て、本発明の方法が異なる倍数体の酵母で 同様に適用可能かどうかを実施例4と同様の 方法で検討した。実験には、モデルとして二 倍体実験室酵母X2180及びその一倍体であるハ ロタイプ1Aと、異なるハプロタイプ1Bを使用 し、野生酵母Y11-43と比較した。その結果、一 倍体でも二倍体でも、乳酸菌ML11-11との共培 で、野生酵母と全く同様にバイオフィルム 形成することが確認でき、酵母の倍数性に かわらずバイオフィルム形成が起こること 明らかとなった(図6)。

〔実施例6〕 糖濃度の二酸化炭素生成に及ぼ す影響
 共培養で生成したバイオフィルム形成細胞 び酵母単独培養細胞(浮遊細胞)を用いて10% ら30%のグルコース濃度の培地における二酸 炭素生成量を調べた。YPD培地に酵母Y11-43を 独、又は乳酸菌ML11-11と共に接種し、30℃、24 時間静置培養後、浮遊細胞(単独培養)ならび バイオフィルム形成細胞(共培養)を遠心分 により回収し、洗浄後、グルコースを10~30% 有するYP培地中に加え、30℃にて静置培養し 生成するガス量を測定した。その結果、バ オフィルム、酵母単独培養細胞のいずれを いた場合も、10%及び20%のグルコース濃度培 における二酸化炭素生成量はほぼ同等であ 、30%グルコース濃度培地においては二酸化 素生成が抑制される傾向が見られた(図7及 図8)。この結果より、バイオフィルム形成細 胞は酵母の単独培養で得られる浮遊細胞と同 様に糖から二酸化炭素を生成することが確認 された。これはバイオフィルムをもちいて単 独培養の場合と同様のエタノール生成が可能 なことを意味している。

〔実施例7〕 共培養バイフィルムにおける酵 母細胞の安定性
 バイオフィルムを固定化細胞として利用す ためには、バイオフィルムの機械的衝撃に する安定性が重要となる。そこで、酵母Y11- 43と乳酸菌ML11-11の共培養で形成させたバイオ フィルムの洗浄に対する安定性を評価した。

 シャーレに入れた20mlYPD培地中で酵母Y11-43 と乳酸菌ML11-11を静置条件にて共培養するこ によってステンレス板(1辺25mm)上にバイオフ ルムを形成させた。培養後、バイオフィル が形成されたステンレス板を100ml滅菌生理 塩水に2回浸漬し付着している浮遊細胞を取 除いた後、容器に入れた400mlの滅菌食塩水 に置き、スターラーによる攪拌(1500-1600rpm、 0.7 m/sの流速)で室温にて30分間洗浄を行っ 。洗浄処理後のステンレス板を滅菌食塩水40 mlが入った100ml容ビーカーに入れ、5分間中程 の出力にて超音波処理を行った。処理後細 懸濁液を滅菌生理食塩水にて適宜希釈し生 数を測定した。その結果、酵母単独培養の 合、洗浄によってステンレス板に残存する 胞数は約25%にまで減少したのに対し、乳酸 との共培養によってバイオフィルムが形成 れたステンレス板の場合には、洗浄しても 菌数の減少は3%以下に止まり、バイオフィ ム中の酵母は洗浄しても遊離しにくく、バ オフィルムを形成した細胞は安定的に固体 面に保持されることが明らかとなった(図9)

〔実施例8〕 共培養で形成したバイオフィル ムの構造の走査型電子顕微鏡による観察
 乳酸菌ML11-11と酵母Y11-43を20mlYPD培地に摂取 30℃にて静置培養し、培養液中に設置したカ バーガラスの表面にバイオフィルムを形成さ せた。24時間培養後、カバーガラスを軽く洗 後、ガラス表面に形成されたバイオフィル の構造をガラスに付着したまま走査型電子 微鏡によって観察した。乳酸菌前培養は、M RS培地 (DIFCO) 、酵母前培養はYPD培地 (DIFCO)  にて、それぞれ二代継代培養を27℃で行った バイオフィルム形成は全てYPD培地 (DIFCO)  て行った。構造解析にもちいたバイオフィ ム細胞は、滅菌シャーレに20 mLのYPD培地と アルコールで殺菌したMICRO COVER GLASS 22×22  (MATSUNAMI) 又は、MICRO SLID GLASS 76×26 (MATSUNAMI )を入れ、二代培養菌液を単独時は200 μL、複 合時には100 μLずつ接種し、30℃、24時間静置 培養した。培養後、培地を取り除き、カバー ガラスに形成させたバイオフィルム細胞をカ バーガラスごと50ml容プラスチック容器に入 、0.1 Mリン酸バッファーで2回洗浄した。洗 後もガラス表面上に付着している細胞をバ オフィルム細胞とした。こうして調製した イオフィルム細胞を、常法にしたがい2% グ ルタルアルデヒド溶液による固定、ならびに 、2% オスミウム酸溶液による固定を行った に、臨界点乾燥機 HCP-2 (日立サイエンスシ テムズ株式会社) にて乾燥を行った。その 、イオンスパッタE-1010 (日立サイエンスシ テムズ株式会社) でイオンコーティングを い、アルミニューム試料台に固定した。以 のようにして調整した標品をもちいて、走 型電子顕微鏡3Dリアルサーフェスビュー顕 鏡 VE-8800 (KEYENCE株式会社)により微細構造の 観察を行った。

 その結果、共培養の系では酵母細胞が単 でバイオフィルムを形成している部位は見 せなかったのに対し、乳酸菌細胞は単独で 固体表面に付着する傾向が認められた(図11) 。また共培養で形成されたバイオフィルム中 では、酵母細胞と乳酸菌細胞が絡み合って存 在していた(図12)。一方、酵母単独培養では 母細胞はガラス表面にほとんど付着しない( 13)のに対し、乳酸菌の場合単独培養でもあ 程度細胞がガラス表面に付着しバイオフィ ムを形成する傾向が認められた(図14)。

〔実施例9〕 共培養におけるバイオフィルム 形成過程の位相差顕微鏡による観察
 図15~18には共培養におけるバイオフィルム 成の経時的変化の観察結果を示した。乳酸 ML11-11と酵母S. cerevisiaeBY4741を前述と同様に YPD培地にて30℃で共培養し、培養液中に設置 したカバーガラス表面にバイオフィルムを形 成させた。培養開始後4時間ごとにカバーガ スを培地から取り出して、軽く洗浄した後 ガラスの表面に形成されたバイオフィルム システム顕微鏡 BX60 (OLYMPUS)をもちいた位相 差観察した。

 その結果、培養の4時間目には乳酸菌がガ ラス表面へ付着し始めたが、酵母の付着は殆 ど認められなかった(図15)。培養8時間目には 酸菌細胞がガラス表面にフィルム状集落を 成していたが、フィルムを構成する酵母細 は乳酸菌に比べて極めて数が少なく、ガラ 表面には付着せず、すべて乳酸菌集落の上 に付着していた(図16)。ついで、培養12時間 のガラス表面には急速に成長したバイオフ ルムが観察され、多数の酵母細胞が乳酸菌 胞のバイオフィルムを土台として付着し始 ていたが、やはりガラス表面に直接付着し いる酵母細胞は観察されなかった(図17)。さ らに培養16時間目のガラス表面には酵母細胞 乳酸菌細胞が絡み合って高細胞密度のバイ フィルムが形成されていた(図18)。

 これらの所見より、図19に図示するよう 、まず乳酸菌細胞が固体表面に付着して薄 バイオフィルムを形成し、次いで乳酸菌が 母細胞同士を架橋して酵母細胞と乳酸菌細 の凝集体を形成、沈降して、固体表面にあ かじめ形成された乳酸菌のバイオフィルム 土台として、顕著な複合バイオフィルムを 成していくことが強く示唆された。

 以上の結果より、本発明のバイオフィルム 形成には、酵母と乳酸菌の細胞同士の直接 触が不可欠なこと、および、本発明のバイ フィルムが、「酵母と乳酸菌を含むバイオ ィルムであって、乳酸菌細胞が固体表面に 着し、酵母細胞が乳酸菌細胞を介して固体 面に固定されていることを特徴とするバイ フィルム」であることがあきらかとなった 細胞同士の直接接触による架橋形成によっ バイオフィルムが形成される例はこれまで 告はなく、また、このような酵母と乳酸菌 含むバイオフィルムであって、乳酸菌細胞 固体表面に付着し、酵母細胞が乳酸菌細胞 介して固体表面に固定されていることを特 とするバイオフィルムは、これまで観察さ たことはなく、本発明のバイオフィルムは く新規な構造物と考えられる。
 本明細書は、本願の優先権の基礎である日 国特許出願(特願2007-198792号及び特願2008-04719 5号)の明細書および/または図面に記載されて いる内容を包含する。また、本発明で引用し た全ての刊行物、特許および特許出願をその まま参考として本明細書にとり入れるものと する。




 
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