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Title:
MICROENCAPSULATED SILANE COUPLING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104312
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a microencapsulated silane coupling agent, which comprises: an adduct particle produced from an epoxy compound and an imidazole silane coupling agent; and an ethyl cellulose film which covers around the adduct particle, wherein the ethyl cellulose film is crosslinked with a polyfunctional isocyanate compound. A preferred example of the imidazole silane coupling agent is a compound represented by the formula (1). (Formula 1) wherein R1 and R2 independently represent a hydrogen atom or a lower alkyl group; and R3 represents a lower alkyl group.

Inventors:
NAGASHIMA MINORU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070469
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
November 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SONY CHEM & INF DEVICE CORP (JP)
NAGASHIMA MINORU (JP)
International Classes:
C08L63/00; C08G18/40; C08G59/40; C08K5/544; C09J9/02; C09J11/06; C09J163/00
Domestic Patent References:
WO2004037885A12004-05-06
Foreign References:
JPH0912683A1997-01-14
JPH1192482A1999-04-06
JPH10237079A1998-09-08
JP2005112822A2005-04-28
JP2005002000A2005-01-06
JP2007204669A2007-08-16
JP2008255219A2008-10-23
JP2008255246A2008-10-23
Attorney, Agent or Firm:
TAJIME & TAJIME (JP)
Patent business corporation Tajime international patent firm (JP)
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Claims:
 エポキシ系化合物とイミダゾール系シランカップリング剤とのアダクト体粒子と、その周囲を被覆するエチルセルロース膜とからなり、該エチルセルロース膜が多官能イソシアナート化合物により架橋されているマイクロカプセル化シランカップリング剤。
 該イミダゾール系シランカップリング剤が、式(1)の化合物である請求項1記載のマイクロカプセル化シランカップリング剤。
(R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子または低級アルキル基であり、R3は低級アルキル基である。)
 多官能イソシアナート化合物により架橋される前のエチルセルロース膜を構成するエチルセルロース中の水酸基とエトキシ基との合計量に対するエトキシ基の割合が80~84モル%である請求項1又は2記載のマイクロカプセル化シランカップリング剤。
 請求項1記載のマイクロカプセル化シランカップリング剤の製造方法であって、
 エポキシ系化合物と該イミダゾール系シランカップリング剤とエチルセルロースとを、アニリン点75~85℃で蒸留初留点150~230℃の飽和炭化水素系溶剤中で撹拌しながら110~130℃に加熱して溶解させ、更にエポキシ系化合物とイミダゾール系シランカップリング剤との間にアダクト反応を生じさせて、アダクト体のスラリーを得、該スラリーの温度を80~100℃に冷却した後、多官能イソシアナート化合物を投入してエチルセルロース膜を架橋することを特徴とする製造方法。
 熱硬化型エポキシ樹脂と、請求項1~3のいずれかに記載のマイクロカプセル化シランカップリング剤と、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤とを含有する熱硬化型エポキシ樹脂組成物。
 請求項5記載の熱硬化型エポキシ樹脂組成物と、それに分散している導電性粒子とを含有する異方性導電接着剤。
Description:
マイクロカプセル化シランカッ リング剤

 本発明は、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安 性を損なうことなく、エポキシ樹脂組成物 硬化物の無機表面並びに有機表面に対する ポキシ樹脂組成物の硬化物の密着性を向上 せることのできるマイクロカプセル化シラ カップリング剤に関する。

 半導体チップの接続端子と接続基板上の 路パターンとの接続の際に、ペースト状あ いはフィルム状の異方性導電接着剤が広く 用されるようになっており、この場合、異 性導電接着剤に対しては、半導体チップの 続側表面のパッシベーション膜との接着力 向上させ、異方性導電接着剤と半導体チッ との間、異方性導電接着剤と有機基板との 、そして配線回路の配線金属表面と異方性 電接着剤との間の密着性を向上させること 求められている。

 このため、ビニルトリメトキシシランや ポキシトリメトキシシラン等の有機反応性 とトリアルコキシ基とを備え、比較的沸点 低い一般的なシランカップリング剤を異方 導電接着剤に配合することが行われている しかし、このような一般的なシランカップ ング剤を含有する異方性導電接着剤を介し 半導体チップを配線基板に実装した場合、 ッシベーション膜に対する接着性が十分と 言えず、半田リフロー処理等のヒートショ クにより接着界面に剥離が生じたり、シラ カップリング剤の気化のために硬化した接 剤中にボイドが生じたりするという問題が った。

 そこで、従来の一般的なシランカップリ グ剤に代えて、分子内にイミダゾール残基 有するシランカップリング剤を使用するこ が提案されている(特許文献1)。

特開平9-12683号公報

 しかしながら、特許文献1のイミダゾール 系シランカップリング剤をエポキシ樹脂組成 物に配合した場合、エポキシ樹脂用硬化剤と して潜在性硬化剤を使用しても、シランカッ プリング剤にグリシジル基反応性のイミダゾ ール残基が存在するために、エポキシ樹脂組 成物の貯蔵安定性の確保が困難になるという 問題があった。

 本発明の目的は、以上の従来の技術の課 を解決しようとするものであり、エポキシ 脂組成物に配合したときに、そのエポキシ 脂組成物の硬化物が半導体チップのパッシ ーション膜に対して良好な接着力を示し、 着界面での剥離の発生や硬化物にボイドの 生を抑制し、しかもエポキシ樹脂組成物に 好な貯蔵安定性を実現できるようにするこ である。

 本発明者らは、上述の目的を達成するた に、イミダゾール系シランカップリング剤 マイクロカプセル化することに着目し、ど ようにマイクロカプセル化すべきであるか 鋭意研究したところ、エポキシ系化合物と ミダゾール系シランカップリング剤とのア クト体粒子を調製する際に、エチルセルロ スを共存させ、更に、溶剤としてそれらを 温では溶解もしくは混和しないが加熱によ 均一に溶解する特定の飽和炭化水素系溶剤 使用した場合、意外にも、エチルセルロー が、エポキシ樹脂とイミダゾール系シラン ップリング剤とからなるアダクト体粒子の 散安定化に寄与するだけでなく、アダクト 粒子のシェルとしても機能し、しかも多官 イソシアナート化合物とも反応し、その結 、上述の目的を達成するイミダゾール系シ ンカップリング剤が得られることを見出し 本発明を完成させた。

 即ち、本発明は、エポキシ系化合物とイ ダゾール系シランカップリング剤とのアダ ト体粒子と、その周囲を被覆するエチルセ ロース膜とからなり、該エチルセルロース が多官能イソシアナート化合物により架橋 れているマイクロカプセル化シランカップ ング剤を提供する。

 また、本発明は、上述のマイクロカプセ 化シランカップリング剤の製造方法であっ 、エポキシ系化合物と該イミダゾール系シ ンカップリング剤とエチルセルロースとを アニリン点75~85℃で蒸留初留点150~230℃の飽 炭化水素系溶剤中で撹拌しながら110~130℃に 加熱して溶解させ、更にエポキシ系化合物と イミダゾール系シランカップリング剤との間 にアダクト反応を生じさせて、アダクト体の スラリーを得、該スラリーの温度を80~100℃に 冷却した後、多官能イソシアナート化合物を 投入してエチルセルロース膜を架橋すること を特徴とする製造方法を提供する。

 更に、本発明は、熱硬化型エポキシ樹脂 、上述のマイクロカプセル化シランカップ ング剤と、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤と 含有する熱硬化型エポキシ樹脂組成物、並 に、この熱硬化型エポキシ樹脂組成物と、 れに分散している導電性粒子とを含有する 方性導電接着剤を提供する。

 本発明のマイクロカプセル化シランカッ リング剤は、エポキシ系化合物とイミダゾ ル系シランカップリング剤とのアダクト体 子がエチルセルロース膜で被覆され、更に 官能イソシアナート化合物でその表面が架 されている。従って、イミダゾール系シラ カップリング剤の良好な特性を維持しなが も、良好な耐溶剤性を示し、配合されたエ キシ樹脂組成物の貯蔵安定性を向上させる とができる。また、本発明の製造方法によ ば、エチルセルロースが、エポキシ系化合 とイミダゾール系シランカップリング剤と アダクト体粒子を生成する際の分散安定性 寄与し、更に、アダクト体粒子のシェルと ても機能し、そして多官能イソシアナート 合物との反応サイトとなる。よって、優れ 耐溶剤性を示すイミダゾール系シランカッ リング剤を主体とする粒子形状のマイクロ プセル化シランカップリング剤を一つのバ チで製造できる。このことは、選択の際に 倒な試行錯誤を必要とする両親媒性高分子 合物を使用しなくてもよいという付随的な 果もある。

 イミダゾール系シランカップリング剤を 体とする本発明のマイクロカプセル化シラ カップリング剤は、エポキシ系化合物とイ ダゾール系シランカップリング剤とのアダ ト体粒子と、その周囲を被覆するエチルセ ロース膜とからなり、該エチルセルロース が多官能イソシアナート化合物により架橋 れているものである。

 アダクト体粒子を構成するエポキシ系化 物としては、分子内に2つ以上のエポキシ基 を有する化合物もしくは樹脂が好ましく挙げ られる。これらは液状であっても、固体状で あってもよい。具体的には、ビスフェノール A、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキ サヒドロビスフェノールA、テトラメチルビ フェノールA、ジアリールビスフェノールA、 ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、 クレゾール、テトラブロモビスフェノールA トリヒドロキシビフェニル、ベンゾフェノ 、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘ サフルオロアセトン、テトラメチルビスフ ノールA、テトラメチルビスフェノールF、ト リス(ヒドロキシフェニル)メタン、ビキシレ ール、フェノールノボラック、クレゾール ボラックなどの多価フェノールとエピクロ ヒドリンとを反応させて得られるグリシジ エーテル、またはグリセリン、ネオペンチ グリコール、エチレングリコール、プロピ ングリコール、チレングリコール、ヘキシ ングリコール、ポリエチレングリコール、 リプロピレングリコールなどの脂肪族多価 ルコールとエピクロルヒドリンとを反応さ て得られるポリグリシジルエーテル; p-オ シ安息香酸、β-オキシナフトエ酸のような ドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリン を反応させて得られるグリシジルエーテル ステル、あるいはフタル酸、メチルフタル 、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハ ドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、 ンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エ ドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリ リット酸、重合脂肪酸のようなポリカルボ 酸から得られるポリグリシジルエステル;  ミノフェノール、アミノアルキルフェノー から得られるグリシジルアミノグリシジル ーテル; アミノ安息香酸から得られるグリ ジルアミノグリシジルエステル; アニリン トルイジン、トリブロムアニリン、キシリ ンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビ アミノメチルシクロヘキサン、4,4’-ジアミ ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニ ルスルホンなどから得られるグリシジルアミ ン; エポキシ化ポリオレフィン等の公知のエ ポキシ樹脂類が挙げられる。

 アダクト体粒子を構成する一方のイミダ ール系シランカップリング剤は、分子内に ミダゾリル基と、ジアルコキシ基又はトリ ルコキシ基とを有するシラン化合物であり 好ましくは、以下の式(1)に示す化合物であ 。

 式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素 原子またはメチル、エチル、プロピル、ブチ ルなどの低級アルキル基であり、R3はメチル エチル、プロピル、ブチルなどの低級アル ル基である。具体的な式(1)の好ましい化合 としては、R1及びR2が水素原子であり、R3が チル基の化合物である。

 アダクト体粒子を構成する際に用いるエ キシ系化合物とイミダゾール系シランカッ リング剤との使用割合は、前者が多すぎる アダクト体の反応性が低くなりすぎる傾向 あり、逆に後者が多すぎるとアダクト体の 応性が過剰になる傾向があるので、エポキ 系化合物100質量部に対し、イミダゾール系 ランカップリング剤を好ましくは150~5質量 、より好ましくは100~10質量部、特に好まし は70~25質量部である。

 アダクト体粒子を被覆するエチルセルロ ス膜を構成するエチルセルロースとしては セルロース骨格を構成するβ-グルコース繰 返し単位中に3つ存在する水酸基の置換度が 、繰り返し単位当たりの平均値として、好ま しくは2.25~2.60、より好ましくは2.30~2.55、特に 好ましくは2.40~2.52である。この2.40~2.52という 数値は、換言すると、多官能イソシアナート 化合物により架橋される前のエチルセルロー ス膜を構成するエチルセルロース中の水酸基 とエトキシ基との合計量に対するエトキシ基 の割合が80~84モル%という数値に相当する。水 酸基の置換度がこの範囲を外れると、エチル セルロースの反応系中での溶解性に影響を生 じる。このようなエチルセルロースの具体例 としては、ハーキュレス社のN300、N200、N100、 N50等を挙げることができる。

 エチルセルロースの使用量は、少なすぎ とアダクト体の粒子径が大きくなって分散 定性が低くなる傾向があり、多すぎるとシ ルとならず残渣として残る傾向があるので アダクト体粒子を構成するエポキシ系化合 とイミダゾール系シランカップリング剤と 合計量100質量部に対し、好ましくは1~50質量 部、より好ましくは2.5~25質量部、特に好まし くは5~10質量部である。なお、エチルセルロ ス膜の存在は、試料の熱分解を伴うガスク 分析によりエチルセルロースの特徴的なピ クの存在により確認できる。

 本発明のマイクロカプセル化シランカッ リング剤においては、エチルセルロース膜 多官能イソシアナート化合物により架橋さ ているが、多官能イソシアナート化合物と ては、従来より、エポキシ系潜在性硬化剤 マイクロカプセル化の際に用いられている のを使用することができ、トルエンジイソ アナート、メチレンジフェニルジイソシア ート、水添メチレンジフェニルジイソシア ート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、イ ソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレン ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナ ート、水添キシリレンジイソシアナート、テ トラメチルキシレンジイソシアナート、1,3,6- ヘキサメチレントリイソシアナート、リジン ジイソシアナート、トリフェニルメタントリ イソシアナート、トリス(イソシアナートフ ニル)チオホスフェート等を挙げることがで る。これらは1種又は2種以上を組み合わせ 使用してもよい。

 多官能イソシアナート化合物の使用量は 少なすぎるとマイクロカプセル化シランカ プリング剤の耐溶剤性が不充分となる傾向 あり、多すぎるとマイクロカプセルの皮膜 硬くなる傾向があるので、アダクト体粒子1 00質量部に対して好ましくは0.5~50質量部、よ 好ましくは1~20質量部、特に好ましくは2~12 量部である。

 このようにして得られたマイクロカプセ 化シランカップリング剤の形状は好ましく 球状であり、その粒子径は硬化性及び分散 の点から、好ましくは1~10μmであり、より好 ましくは2~7μmである。

 本発明のマイクロカプセル化シランカッ リング剤は、以下のように一つのバッチで 造することができる。

 先ず、エポキシ系化合物とイミダゾール シランカップリング剤とエチルセルロース を、アニリン点75~85℃で蒸留初留点150~230℃ 溶解度パラメーターの飽和炭化水素系溶剤 で撹拌しながら110~130℃に加熱して溶解させ 、更にエポキシ系化合物とイミダゾール系シ ランカップリング剤との間にアダクト反応を 生じさせて、アダクト体のスラリーを得る。

 飽和炭化水素系溶剤としては、室温では エポキシ系化合物、イミダゾール系シラン ップリング剤及びエチルセルロースを溶解 ないが、50℃を超えると溶解しはじめ、100 までには全て溶解するような特性を有し、 つ後述する多官能イソシアナート化合物を なくとも80~100℃で溶解するものを使用する このような溶剤を使用することにより、ア クト体粒子をエチルセルロースで被覆でき 更に多官能イソシアナート化合物で架橋す ことができる。このような飽和炭化水素系 剤の具体例としては、日本工業規格による1 灯油、飽和炭化水素系洗浄溶剤(シェルゾー ルMC-311、シェルケミカルズジャパン社; 0号 ルベント-L、新日本石油社; ミネラルスピリ ットA、新日本石油社)等を使用することがで る。

 飽和炭化水素系溶剤の使用量は、エポキ 系化合物とイミダゾール系シランカップリ グ剤とエチルセルロースに対する溶解力や 成するスラリーの濃度や粘度を考慮して決 することができ、通常、これらの成分の合 量100質量部に対し、300~2000質量部である。

 アダクト体粒子生成の際の撹拌は、プロ ラ式撹拌機、ホモジナイザー等を用いて行 ことができ、粒子径の制御の点から、1000~20 000rpmという条件で行うことが好ましい。

 アダクト体粒子生成の際の反応温度は110~ 130℃であるが、これは、この温度が低すぎる と反応が不十分となる傾向があり、高すぎる と生成したアダクト体の分解を招く傾向があ るためである。

 アダクト体反応は、反応液が茶褐色に変 した時点で終了させる。通常20分~2時間の加 熱により終了する。これにより、アダクト体 粒子のスラリーを得る。

 次に、アダクト体粒子のスラリーを、加 を止め撹拌しながら、エポキシ系化合物と ミダゾール系シランカップリング剤との間 アダクト反応が実質的に生じない温度であ 80~100℃に冷却する。

 この温度を保ちつつ、スラリーに多官能 ソシアナート化合物を添加し、エチルセル ース膜の水酸基との間で架橋反応を行う。 常、20分~2時間反応させることにより架橋反 応は終了する。終了後、スラリーを室温まで 冷却し、固形物を濾別し、ヘキサンなどの有 機媒体で洗浄し、乾燥することにより、耐溶 剤性に優れた、粒子径1~10μmのエポキシ樹脂 潜在性硬化剤の粉末を得ることができる。

 本発明のマイクロカプセル化シランカッ リング剤は、公知の熱硬化型エポキシ樹脂 、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤と、必要に じて添加される他の添加剤(例えば、顔料、 フィラー剤など)と共に常法に従って均一に 合撹拌させることにより低温速硬化型の熱 化性エポキシ樹脂組成物を与えることがで る。通常、熱硬化型エポキシ樹脂100質量部 対し、マイクロカプセル化シランカップリ グ剤を好ましくは1~20質量部、より好ましく 3~10質量部の割合で配合する。他方、エポキ シ樹脂用潜在性硬化剤を好ましくは10~100質量 部、より好ましくは25~70質量部の割合で配合 る。エポキシ樹脂用潜在性硬化剤としては イミダゾール系潜在性硬化剤(ノバキュアシ リーズ、旭化成社;アミキュア、味の素ファ ンテクノ社)、ポリアミン系潜在性硬化剤(フ ジキュアー、富士化成工業社)等が挙げられ 。

 この熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、耐 剤性に優れ、密着力に優れたマイクロカプ ル化シランカップリング剤を使用している で、一剤型であるにもかかわらず、貯蔵安 性に優れている。しかも、界面隔離が生じ くく、ボイドの発生も抑制されている。

 なお、この熱硬化型エポキシ樹脂組成物 、更に、異方性導電接続用の公知のニッケ 粒子等の導電性粒子や、フェノキシ樹脂等 公知の成膜樹脂などを配合することにより 異方性導電接着剤として使用することがで る。フィルム状に成形すれば、異方性導電 ィルムとしても使用することができる。導 性粒子の種類、粒径、配合量、成膜成分の 類、配合量、フィルム厚等は、公知の異方 導電ペーストや異方性導電フィルムと同じ 成とすることができる。代表的な異方性導 ペースト若しくはフィルムの配合例は、エ キシ樹脂用潜在性硬化剤8~12質量部、フェノ キシ樹脂50~80質量部、エポキシ系化合物20~50 量部、エポキシ変性ポリオレフィン5~30質量 、マイクロカプセル化シランカップリング 1~20質量部、導電性粒子1~20質量部である。 の他、必要に応じて溶剤、希釈用モノマー どを適宜配合することができる。このよう 異方性導電ペーストや異方性導電フィルム 、150℃で5秒程度の低温短時間接続を可能と 、導通抵抗も低く、接着強度も良好なもの なる。

 以下、本発明を実施例により具体的に説 する。

  実施例1(マイクロカプセル化シランカップ リング剤の調製)
 熱電対、撹拌装置、及び冷却装置を備えた ラス製の三口フラスコに、液状エポキシ樹 (EP828、ジャパンエポキシレジン社)23質量部 イミダゾールシラン(IS1000、ジャパンエナジ ー社;R1及びR2がHである式(1)の化合物に相当)7 量部、及び10%エチルセルロース溶液(N100、 ーキュレス社; 水酸基の置換度80~105)30質量 、及びミネラルスピリット(新日本石油社)70 量部を投入し、1800rpmで撹拌しながら加熱し た。溶剤が環流し、混合物の温度が約120℃に なった時点で、フラスコをウォーターバスで 冷却し、混合物の温度が約80℃になった時点 、多官能イソシアナート化合物(コロネート L45,日本ポリウレタン社)0.3gを投入し、撹拌し ながら常温まで冷却し、スラリー状のマイク ロカプセル化シランカップリング剤混合液を 得た。得られたスラリー混合物を濾別し、得 られた固体をヘキサンで洗浄した後、真空オ ーブンにて50℃で12時間減圧乾燥し、真球状 平均粒径4.6μmのマイクロカプセル化シラン ップリング剤を得た。

  実施例2(熱硬化型エポキシ樹脂組成物の調 製)
 実施例1で得たマイクロカプセル化シランカ ップリング剤5質量部、フェノキシ樹脂(YP-50 東都化成社)20質量部、液状エポキシ樹脂(EP82 8、ジャパンエポキシレジン社)50質量部、球 溶融シリカ(DF-5V、龍森社)80質量部、及びエ キシ樹脂用潜在性硬化剤(ノバキュアー HX-39 41HP、旭化成社)30質量部を、混合し、熱硬化 エポキシ樹脂組成物を調製した。

  実施例3(熱硬化型エポキシ樹脂組成物の調 製)
 実施例1で得たマイクロカプセル化シランカ ップリング剤の使用量を5質量部から10質量部 に変更する以外は、実施例2と同様にして熱 化型エポキシ樹脂組成物を調製した。

  比較例1(熱硬化型エポキシ樹脂組成物の調 製)
 実施例1で得たマイクロカプセル化シランカ ップリング剤に代えて、イミダゾールシラン カップリング剤(IS1000、ジャパンエナジー社) マイクロカプセル化せずに使用すること以 は、実施例2と同様にして熱硬化型エポキシ 樹脂組成物を調製した。

  比較例2(熱硬化型エポキシ樹脂組成物の調 製)
 実施例1で得たマイクロカプセル化シランカ ップリング剤に代えて、2-(3,4-エポキシシク ヘキシル)エチルトリメトキシシラン(A-187、 本ユニカー社)を使用すること以外は、実施 例2と同様にして熱硬化型エポキシ樹脂組成 を調製した。

  評価試験
 実施例2、3及び比較例1、2で得られた熱硬化 型エポキシ樹脂組成物について、以下の試験 ・評価を行った。得られた結果を表1に示す

<貯蔵安定性試験>
 熱硬化型エポキシ樹脂組成物を、剥離シー 上に25μm厚で塗工し、それを55℃の恒温槽に 入れ、24時間後に取り出したものを、室温の チルエチルケトンに浸漬し、目視にて観察 た。膜の形状が消失した状態である場合を 蔵安定性が良好と判定し、膜の形状が保た た状態である場合を不良(硬化)と判定した

<接着強度試験>
 熱硬化型エポキシ樹脂組成物を用いて、試 用半導体チップを所定の導通抵抗評価用パ ーンに圧着して圧着サンプルを作成し、そ 圧着後の接着特性について、強度試験機(BT- 2400、Dage社)を用いてダイシェア強度を測定し て確認した。実用上、ダイシェア強度が40Kgf/ 3mm 2 以上であることが望まれる。

<界面剥離試験>
 上記の接着強度試験と同様に圧着サンプル 作成し、それを85℃、85%RHの雰囲気中に放置 した後、リフロー処理(最高温度250℃)を3回施 した。その後、半導体チップの接続界面の剥 離の有無を、超音波顕微鏡(HYE-FOCUS、日立建 社)にて観察した。

<接続信頼性試験>
 上記の接着強度試験と同様に圧着サンプル 作成し、初期絶縁抵抗値を測定した。10 10 ω以上であることが望まれる。続いて、プレ シャークッカー試験(PCT:110℃、85%RH、500時間 )と、温度サイクル試験(TCT:-55℃←→125℃)と 別々の圧着サンプルに対して行い、所定回 (1000回)にて不連続導通抵抗測定を行い、オ プンが観察されるか否かを観察した。なお 導通抵抗値maxが1ω以下(OPENなし)という状態 良好と判定した。

 実施例1のマイクロカプセル化シランカッ プリング剤は、エポキシ樹脂とイミダゾール 系シランカップリング剤とのアダクト体の粒 子をエチルセルロースで被覆し、多官能イソ シアナート化合物で架橋して得られたもので ある。従って、実施例1のマイクロカプセル シランカップリング剤を使用した実施例2及 3の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、いずれ の試験項目についても良好な結果が得られた 。それに対し、比較例1の熱硬化型エポキシ 脂組成物は、マイクロカプセル化されてい いイミダゾールシランカップリング剤を使 しているので、貯蔵安定性に問題があった また、比較例2の熱硬化型エポキシ樹脂組成 は、シランカップリング剤として、マイク カプセル化されていない従来タイプのシラ カップリング剤を使用しているので、貯蔵 定性にも問題がないものの、ダイシェア強 が低く、接着力にも問題があった。このた 、剥離の問題や耐PCT、TCT性にも問題が生じ いた。

 本発明のマイクロカプセル化シランカッ リング剤は、エポキシ系化合物とイミダゾ ル系シランカップリング剤とのアダクト体 子がエチルセルロース膜で被覆され、更に 官能イソシアナート化合物でその表面が架 されている。このため、本発明のマイクロ プセル化シランカップリング剤をエポキシ 脂組成物に配合した場合、エポキシ樹脂組 物の硬化物と半導体チップのパッシベーシ ン膜との間に良好な接着性を実現でき、接 界面での剥離の発生や硬化物にボイドの発 を抑制し、しかもエポキシ樹脂組成物に良 な貯蔵安定性を実現できる。




 
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