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Title:
MILK PROTEIN DEGRADATION PRODUCT, MANUFACTURING METHOD FOR MILK PROTEIN DEGRADATION PRODUCT AND BIFIDOBACTERIAL GROWTH-PROMOTING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/150888
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a milk protein degradation product that has excellent mass producibility and requires no protein source other than a milk-derived starting material that is the main culture starting material for bifidobacterium and can promote growth of bifidobacterium, a method for manufacturing said milk protein degradation product, and a bifidobacterial growth-promoting agent that has said milk protein degradation product as the active ingredient. Disclosed are a milk protein degradation product that is obtained by hydrolyzing milk protein using 1 or more selected from a group consisting of live lactobacillus cells comprising cell wall-localized protease (cell wall-enveloped proteinase, PrtP), disrupted cells of the above lactobacillus, and a fraction of the above enzyme fractionated from the above lactobacillus, a method for manufacturing said milk protein degradation product and a bifidobacterial growth-promoting agent having said milk protein degradation product as the active ingredient.

Inventors:
SHIMIZU KANETADA (JP)
YONEZAWA SUMIKO (JP)
OCHI HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056803
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
April 01, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MORINAGA MILK INDUSTRY CO LTD (JP)
SHIMIZU KANETADA (JP)
YONEZAWA SUMIKO (JP)
OCHI HIROSHI (JP)
International Classes:
C07K14/47; A23J3/08; A23K1/16; A23K10/28; A23L1/30; A61K35/20; C12N1/20; C12P21/06; A23L2/52; A61K35/74; A61P1/14; A61P35/00; A61P37/04
Other References:
SAVIJOKI, K. ET AL.: "Proteolytic systems of lactic acid bacteria.", APPLIED MICROBIOLOGY AND BIOTECHNOLOGY, vol. 71, 2006, pages 394 - 406
REIDO, J. R. ET AL.: "Specificity of hydrolysis of bovine kappa-casein by cell envelope-associated proteinases from Lactococcus lactis strains.", APPLIED AND ENVIROMENTAL MICROBIOLOGY, vol. 60, no. 3, 1994, pages 801 - 806
JUILLARD, V. ET AL.: "The extracellular PI-type proteinase of Lactococcus lactis hydrolyzes beta-casein into more than one hundred different oligopeptides.", J. BACTERIOLOGY, vol. 177, no. 12, 1995, pages 3472 - 3478
KUNJI, E. R. S. ET AL.: "The proteolytic systems of lactic acid bacteria.", ANTONIE VAN LEEUWENHOEK, vol. 70, 1996, pages 187 - 221
POCH, M. ET AL.: "A. BEZKOROVAINY, Bovine milk kappa- casein trypsin digest is a growth enhancer for the genus Bifidobacterium.", J. AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY, vol. 39, 1991, pages 73 - 77
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PROULX, M. ET AL.: "Effect of casein hydrolysates on the growth of bifidobacteria.", LAIT, vol. 72, 1992, pages 393 - 404
KEIJI IGOSHI ET AL.: "Nhuhakko Shokuhin ni Okeru Tanpakushitsu Bunkai", MILK SCIENCE, vol. 53, no. 1, 2004, pages 1 - 8
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (JP)
Masatake Shiga (JP)
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Claims:
 細胞壁局在性タンパク質分解酵素 (cell wall-enveloped proteinase、PrtP)を有する乳酸菌の生菌体、前記乳酸菌の菌体破砕物、及び前記乳酸菌から分画された前記酵素画分からなる群より選択される1以上を用いて、乳タンパク質を加水分解することにより得られることを特徴とする乳タンパク質分解物。
 前記乳酸菌がラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)である、請求項1記載の乳タンパク質分解物。
 前記ラクトコッカス・ラクチスが、キシロース資化性を有さず、かつ、ダイアセチル及びアセトインを生成しないことを特徴とする、請求項2記載の乳タンパク質分解物。
 前記乳タンパク質が、カゼイン又はトータルミルクプロテインであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の乳タンパク質分解物。
 前記加水分解が、pH6.0~8.0に調整された乳タンパク質を基質として、20~37℃、乳タンパク質濃度が0.5重量%以上の条件で行われることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の乳タンパク質分解物。
 細胞壁局在性タンパク質分解酵素 (cell wall-enveloped proteinase、PrtP)を有する乳酸菌の生菌体、前記乳酸菌の菌体破砕物、及び前記乳酸菌から分画された前記酵素画分からなる群より選択される1以上を用いて、乳タンパク質を加水分解することを特徴とする、乳タンパク質分解物の製造方法。
 前記乳酸菌がラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)である、請求項6記載の乳タンパク質分解物の製造方法。
 前記ラクトコッカス・ラクチスが、キシロース資化性を有さず、かつ、ダイアセチル及びアセトインを生成しないことを特徴とする、請求項7記載の乳タンパク質分解物の製造方法。
 前記乳タンパク質が、カゼイン又はトータルミルクプロテインであることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の乳タンパク質分解物の製造方法。
 前記加水分解が、pH6.0~8.0に調整された乳タンパク質を基質として、20~37℃、乳タンパク質濃度が0.5重量%以上の条件で行われることを特徴とする請求項6~9のいずれか一項に記載の乳タンパク質分解物の製造方法。
 請求項1~5のいずれか一項に記載の乳タンパク質分解物を有効成分とするビフィズス菌増殖促進剤。
 前記ビフィズス菌がビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)である請求項11記載のビフィズス菌増殖促進剤。
 前記ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌株が、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999株及び/又はビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15700株である請求項12記載のビフィズス菌増殖促進剤。
Description:
乳タンパク質分解物、乳タンパ 質分解物の製造方法及びビフィズス菌増殖 進剤

 本発明は、細胞壁局在性タンパク質分解酵  (cell wall-enveloped proteinase、PrtP)を有する乳 酸菌の生菌体、前記乳酸菌の破砕菌体、及び 前記乳酸菌から分画された酵素画分等を用い て得られるタンパク質分解物、該タンパク質 分解物の製造方法、及び、該タンパク質分解 物を有効成分とするビフィズス菌増殖促進剤 に関する。
 本願は、2008年6月11日に、日本に出願された 特願2008-152951号に基づき優先権を主張し、そ 内容をここに援用する。

 ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌、 なわちビフィズス菌は、ヒトの腸管内で形 される腸内菌叢の優勢菌種の一つであり、 内細菌のバランスを回復する整腸作用や、 疫増強作用、発ガン抑制作用等を有するこ が知られている。
 このため、近年、生活者の健康志向の高ま と共に、ビフィズス菌発酵乳等の生きてい ビフィズス菌を含む食品への需要が高まっ いる。

 ビフィズス菌は、乳性培地における増殖性 悪い。このため、発酵乳中に一定量の、例 ば1×10 7 CFU/mLのビフィズス菌を含有させるために、通 常、酵母エキス等の様々な増殖促進物質を添 加することが行われている。しかし、該増殖 促進物質は一般的に高価であり、かつ、風味 が損なわれるおそれもある。このため、より 安価であり、かつ風味に対する影響が小さい ビフィズス菌の増殖促進剤の開発が求められ ている。

 例えば、(1)ヒト乳をペプシン処理して得ら たペプチドに、ビフィズス菌増殖促進作用 あること、特に、ヒトタンパク質ラクトフ リンのペプシン分解物に、ビフィズス菌増 促進作用があることが報告されている(例え ば、非特許文献1参照。)。また、(2)アクトミ シン又はアクトミオシンを含む食肉タンパ 質懸濁液をプロテアーゼで処理することに り得られるペプチド含有画分を有効成分と ることを特徴とするビフィズス菌増殖促進 に係る発明が開示されている(例えば、特許 文献1参照。)。
リープケ(Liepke,C.)、他5名、ヨーロピアン ・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eu ropean Journal of Biochemistry)、2002年、第269巻、 712~718ページ。

特開2007-189914号公報

 しかしながら、上記(1)のペプチドは、原 がヒト乳やヒト乳に含有されているタンパ 質であるため、原料の確保が困難であり、 食品に添加する等の産業利用にはあまり適 ない。一方、上記(2)のビフィズス菌増殖促 剤は、原料が食肉タンパク質であるため、 料の確保には特に問題はないが、ペプチド アレルゲンとなり得ることから、ビフィズ 菌発酵乳等の元々食肉由来タンパク質を原 としていない飲食品にこのビフィズス菌増 促進剤を添加することは、食品アレルギー 対する配慮の点から好ましくない。

 本発明は、量産性に優れており、かつ、 フィズス菌の主要な培養原料である乳由来 料以外のタンパク質源を要することなく、 フィズス菌の増殖を促進し得る乳タンパク 分解物、該乳タンパク質分解物の製造方法 及び該乳タンパク質分解物を有効成分とす ビフィズス菌増殖促進剤を提供することを 的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 研究した結果、ラクトコッカス・ラクチス( Lactococcus lactis)に代表される細胞壁局在性タ パク質分解酵素PrtPを有する乳酸菌の生菌体 や前記乳酸菌の菌体破砕物、前記乳酸菌から 分画された細胞壁局在性タンパク質分解酵素 PrtP画分による乳タンパク質分解物が、ビフ ズス菌増殖促進作用を有することを見出し 本発明を完成させた。

 すなわち、本発明は、細胞壁局在性タンパ 質分解酵素(cell wall-enveloped proteinase、PrtP) 有する乳酸菌の生菌体、前記乳酸菌の菌体 砕物、及び前記乳酸菌から分画された前記 素画分からなる群より選択される1以上を用 て、乳タンパク質を加水分解することによ 得られることを特徴とする乳タンパク質分 物を提供するものである。
 また、本発明は、前記乳酸菌がラクトコッ ス・ラクチス(Lactococcus lactis)である前記記 の乳タンパク質分解物を提供するものであ 。
 また、本発明は、前記ラクトコッカス・ラ チスが、キシロース資化性を有さず、かつ ダイアセチル及びアセトインを生成しない とを特徴とする前記記載の乳タンパク質分 物を提供するものである。
 また、本発明は、前記乳タンパク質が、カ イン又はトータルミルクプロテインである とを特徴とする、前記いずれか記載の乳タ パク質分解物を提供するものである。
 また、本発明は、前記加水分解が、pH6.0~8.0 調整された乳タンパク質を基質として、20~3 7℃、乳タンパク質濃度が0.5重量%以上の条件 行われることを特徴とする、前記いずれか 載の乳タンパク質分解物を提供するもので る。
 また、本発明は、細胞壁局在性タンパク質 解酵素 (cell wall-enveloped proteinase、PrtP)を有 する乳酸菌の生菌体、前記乳酸菌の菌体破砕 物、及び前記乳酸菌から分画された前記酵素 画分からなる群より選択される1以上を用い 、乳タンパク質を加水分解することを特徴 する、乳タンパク質分解物の製造方法を提 するものである。
 また、本発明は、前記乳酸菌がラクトコッ ス・ラクチス(Lactococcus lactis)である前記記 の乳タンパク質分解物の製造方法を提供す ものである。
 また、本発明は、前記ラクトコッカス・ラ チスが、キシロース資化性を有さず、かつ ダイアセチル及びアセトインを生成しない とを特徴とする前記記載の乳タンパク質分 物の製造方法を提供するものである。
 また、本発明は、前記乳タンパク質が、カ イン又はトータルミルクプロテインである とを特徴とする、前記いずれか記載の乳タ パク質分解物の製造方法を提供するもので る。
 また、本発明は、前記加水分解が、pH6.0~8.0 調整された乳タンパク質を基質として、20~3 7℃、乳タンパク質濃度が0.5重量%以上の条件 行われることを特徴とする、前記いずれか 載の乳タンパク質分解物の製造方法を提供 るものである。
 また、本発明は、前記いずれか記載の乳タ パク質分解物を有効成分とするビフィズス 増殖促進剤を提供するものである。
 また、本発明は、前記ビフィズス菌がビフ ドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium long um)である前記記載のビフィズス菌増殖促進剤 を提供するものである。
 また、本発明は、前記ビフィドバクテリウ ・ロンガムの菌株が、ビフィドバクテリウ ・ロンガムATCC BAA-999株及び/又はビフィド クテリウム・ロンガム タイプストレインATC C15700株である前記記載のビフィズス菌増殖促 進剤を提供するものである。

 本発明の乳タンパク質分解物は、乳酸菌由 の細胞壁局在性タンパク質分解酵素PrtPによ り乳タンパク質を加水分解することにより得 られるものであるため、量産性に優れており 、比較的安価に製造することも可能である。
 また、本発明のビフィズス菌増殖促進剤は 従来に無くビフィズス菌、特にビフィドバ テリウム・ロンガムを増殖させることがで る。また、有効成分である乳タンパク質分 物は乳由来物質であるため、本発明のビフ ズス菌増殖促進剤は、発酵乳等の乳由来原 でビフィズス菌を培養して製造される飲食 にも、乳タンパク質以外のタンパク質アレ ギーに配慮する必要がなく使用することも 能であり、発酵乳等の乳製品の設計上有用 ある。

ラクトコッカス・ラクチスの各菌株由 のDNAを鋳型として、PrtP酵素遺伝子を検出す るプライマーを用いてPCRを行った結果得られ たPCR産物を、電気泳動法により分離し、染色 により検出したバンドパターンを示した図で ある。

 本発明の乳タンパク質分解物は、細胞壁 在性タンパク質分解酵素PrtP(以下、単に「Pr tP酵素」と記載することがある。)を有する乳 酸菌の生菌体、前記乳酸菌の菌体破砕物、及 び前記乳酸菌から分画された前記酵素画分か らなる群より選択される1以上を用いて、乳 ンパク質を加水分解することにより得られ ことを特徴とする。本発明の乳タンパク質 解物は、ビフィズス菌増殖促進活性を有し いるため、本発明の乳タンパク質分解物を 効成分とすることにより、ビフィズス菌増 促進効果の高い優れたビフィズス菌増殖促 剤を得ることができる。本発明の乳タンパ 質分解物がビフィズス菌増殖促効果を奏す 理由は明らかではないが、乳タンパク質を PrtPを用いて加水分解することにより、ビフ ズス菌増殖促進作用を有するオリゴペプチ が得られるためではないかと推察される。

 本発明において用いられる乳酸菌は、PrtP 酵素を有している。PrtP酵素は、細胞膜に存 し、細胞表面に活性部位が剥き出しになっ いる酵素である。PrtP酵素を有している乳酸 としては、例えば、ラクトコッカス・ラク ス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococc us lactis subsp.cremoris)やラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus  lactis subsp. lactis)等のラクトコッカス属菌 おいて、PrtPを有する菌株が幾つか報告され いる。

 これまでに、ラクトコッカス・ラクチス由 のPrtP酵素には、P I 型(α―カゼインを余り分解せず、β―カゼイ をC末端の近辺からよく分解する)、P III 型(α―カゼイン及びβ―カゼインをC末端及び N末端の両方からよく分解する)及びその中間 (P I /P III 型)が知られている(例えば、Reid,JR.et al.、Appl ied and Environmental Microbiology、1994年、第60巻 3号、第801~806ページ参照。)。
 具体的には、ラクトコッカス・ラクチス由 のPrtP酵素として、NCBI(National center for Biote chnology Information)にアクセッション番号AY542690 、AY542691等として遺伝子配列が登録されてい PrtP酵素等が挙げられる。

 ある乳酸菌が、PrtP酵素含有乳酸菌(PrtP酵 を有する乳酸菌)であるか否かは、例えば、 PCR(Polymerase Chain Reaction)等の遺伝子解析技術 用いて、PrtP酵素をコードするPrtP遺伝子を しているか否かを調べることにより確認す ことができる。

 PrtP酵素は、細胞外に酵素活性部位を有す るため、培地中のタンパク質を分解すること ができる。例えば、乳酸菌が乳性培地で増殖 するときに、PrtP酵素が、乳性培地中の乳タ パク質を分解し、乳酸菌の生育に必要とな オリゴペプチドやアミノ酸が提供される。 のため、PrtP酵素を有するラクトコッカス・ クチスは、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、25~30 ℃の温度範囲で16時間培養した時に、培地を 固させることができるほど増殖が早く、強 発酵性を有する、という特徴がある。この うな増殖性や発酵性が高いという特徴を利 して、PrtP酵素含有乳酸菌を検出することも できる。その他、PrtP酵素活性を検出するこ によっても、PrtP酵素含有乳酸菌を検出する とができる。

 本発明に用いられる乳酸菌は、PrtP酵素を有 するものであれば特に限定されるものではな いが、ラクトコッカス属菌であることが好ま しく、ラクトコッカス・ラクチスであること がより好ましく、ラクトコッカス・ラクチス ・サブスピーシーズ・クレモリスやラクトコ ッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラク チス等であることがさらに好ましい。
 発酵乳等のビフィズス菌を原料とする乳製 において、従来から原料として使用されて ることから、安全性が高いと考えられるた である。PrtP酵素を有するラクトコッカス・ ラクチスとしては、例えば、ラクトコッカス ・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス NBRC100676 T 株や、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピ ーシーズ・ラクチスJCM20101株等がある。

 本発明において、PrtP酵素含有乳酸菌の前 培養に用いられる培地は、ラクトコッカス・ ラクチスの培養に通常用いられる培地であれ ば、特に限定されるものではないが、Difco(登 録商標) M17 Broth(Becton,Dickinson社製)等の市販 半合成培地や、還元脱脂粉乳培地等の乳性 地であることが好ましい。その他、前培養 用いられる培地には、グルコースや酵母エ ス等の生育促進物質や、L-システイン等の還 元剤等を添加することができる。また、前培 養に用いられる培地は、殺菌処理をしたもの を用いる。該殺菌処理は、通常用いられる方 法で行うことができ、例えば、80~122℃で5~40 間、好ましくは85~95℃で5~35分間の加熱処理 より行うことができる。

 本発明において、乳タンパク質の加水分 に用いられるものとしては、PrtP酵素の酵素 活性を維持しているものであれば、特に限定 されるものではないが、PrtP酵素含有乳酸菌 生菌体、前記乳酸菌の菌体破砕物、及び前 乳酸菌から分画されたPrtP酵素画分であるこ が好ましい。

 本発明において用いられるPrtP酵素含有乳酸 菌の生菌体は、常法により培養した乳酸菌を そのまま用いてもよく、凍結乾燥等の常法に より調整した乾燥菌末であってもよい。培養 した乳酸菌としては、培養に用いた培地ごと 用いてもよく、遠心分離処理等により培地か ら菌体のみを回収した後、適当なバッファー 等に懸濁させたものであってもよい。
 余分な培地等を除去し得ること、また濃縮 希釈により濃度を調整することも可能であ ことから、培地から回収した菌体をバッフ ーに懸濁させたものを用いることが好まし 。

 培地から回収した菌体を懸濁させるバッ ァー等としては、乳酸菌を生菌の状態で懸 させることができる溶媒であれば、特に限 されるものではなく、乳酸菌等の懸濁に通 用いられるバッファー等を用いることがで るが、カルシウムイオンを含むバッファー であることが好ましい。懸濁に用いられる ッファーのpHとしては、4.5~8.0であることが ましい。該バッファーとして、例えば、MES ッファー、HEPESバッファー、リン酸バッフ ー等が挙げられる。その他、生理食塩水で ってもよい。

 本発明において用いられるPrtP酵素含有乳 酸菌の菌体破砕物は、該乳酸菌をPrtP酵素の 素活性を損なうことなく破砕することによ 得られたものであれば、特に限定されるも ではない。このような破砕方法として、例 ば、超音波を利用した破砕処理、ガラスビ ズ破砕処理、浸透圧ショックを利用した破 処理等が挙げられる。なお、これらの破砕 理は、50℃以下、好ましくは室温以下、より 好ましくは10℃以下の低温下において行うこ が好ましい。加熱により、PrtP酵素が失活し てしまうためである。

 本発明において用いられるPrtP酵素含有乳 酸菌から分画されたPrtP酵素画分は、該乳酸 から、PrtP酵素の酵素活性を損なうことなく PrtP酵素を分画することにより得られたもの であれば、特に限定されるものではない。例 えば、培養後に培地から回収された乳酸菌を 、バッファー中に懸濁して保持した後、遠心 分離処理等によって菌体を除去することによ り、乳酸菌の細胞表面から遊離したPrtP酵素 含む上清を、PrtP酵素画分として得ることが きる。該バッファーに、EDTA等のキレート剤 を添加することにより、乳酸菌の細胞表面か らPrtP酵素が遊離されやすくなるため、EDTA等 キレート剤を添加したバッファーを用いる とが好ましい。このような上清を得るため バッファーとしては、例えば、上記生菌体 懸濁に用いることができるバッファーとし 挙げられたものに、EDTA等のキレート剤を添 加したものを用いることができる。また、バ ッファー中に乳酸菌を保持する温度は、50℃ 満であれば特に限定されるものではないが 4~37℃程度であることが好ましく、30℃程度 あることがより好ましい。また、保持時間 、保持温度やバッファーの種類等を考慮し 適宜決定することができるが、1時間以内で あることが好ましく、5~30分間であることが り好ましく、5~15分間であることがさらに好 しい。

 なお、このようにして得られた上清を、 析処理することにより、PrtP酵素画分からキ レート剤を除去することができる。さらに、 分画されたPrtP酵素画分は、凍結濃縮等の公 の手法により、PrtP酵素活性を損なうことな 濃縮することもできる。その他、乳酸菌の 体破砕物を、硫酸アンモニウム沈殿法やク マトグラフィー法等の公知の分画手段を用 て分画することにより得られたPrtP酵素画分 であってもよい。

 本発明において用いられる乳タンパク質は ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の動物(但しヒ トを除く)から採取された乳由来のタンパク であれば、特に限定されるものではなく、 用に通常用いられる乳由来のタンパク質を 宜選択して用いることができる。本発明に いては、産業上の利用価値の高い牛乳に含 れている乳タンパク質であることが好まし 。
 また、牛乳タンパク質としては、カゼイン あってもよく、ホエータンパク質(ホエー中 に含まれるタンパク質)であってもよく、ト タルミルクプロテインであってもよい。
 本発明において用いられる乳タンパク質と ては、牛乳由来のカゼイン又はトータルミ クプロテインであることが好ましく、牛乳 来のカゼインであることがより好ましい。 りビフィズス菌増殖促進効果が高い乳タン ク質分解物を得ることができるためである
 なお、カゼイン、トータルミルクプロテイ 、ホエータンパク質等の乳タンパク質は、 法により調製したものを用いることができ 。また、市販されているものを用いてもよ 。

 本発明の乳タンパク質分解物は、乳タン ク質に、PrtP酵素含有乳酸菌の生菌体、前記 乳酸菌の菌体破砕物、及び前記乳酸菌から分 画されたPrtP酵素画分からなる群より選択さ る1以上を添加して加水分解することにより られる。添加されるPrtP酵素含有乳酸菌の生 菌体、菌体破砕物、及びPrtP酵素画分は、上 のように調整したものを、適宜に凍結濃縮 たは凍結乾燥したものとして添加すること 好ましい。また、この加水分解の反応条件 、PrtP酵素により酵素反応が可能な条件であ ば特に限定されるものではなく、PrtP酵素の 種類、乳タンパク質の種類等を考慮して、適 宜決定することができる。例えば、由来する 乳酸菌が生育(増殖)し得る環境と実質的に同 の条件であれば、PrtP酵素が酵素活性を有す ることが期待できる。

 本発明においては、加水分解における反応 度は、50℃未満であることが好ましく、10~42 ℃であることがより好ましく、20~37℃である とがさらに好ましく、30℃前後であること 特に好ましい。
 また、加水分解に供される乳タンパク質は pH6.0~8.0に調整されたものであることが好ま く、6.0~7.5に調整されたものであることがよ り好ましく、6.5前後に調整されたものである ことがさらに好ましい。基質である乳タンパ ク質のpHが6.0以上である場合には、得られた タンパク質分解物を加熱殺菌する場合に、 ンパク質凝集が生じ難い。一方、乳タンパ 質のpHが8.0以下である場合には、得られた タンパク質分解物を加熱殺菌する場合に、 ンパク質の変性が生じ難い。

 本発明においては、加水分解における反 系中の乳タンパク質濃度は、所望の乳タン ク質分解物の濃度や、添加するPrtP酵素の量 、反応時間等を考慮して適宜決定することが できる。本発明においては、加水分解におけ る乳タンパク質濃度は、0.5重量%以上である とが好ましく、1重量%以上であることがより 好ましい。よりビフィズス菌増殖促進能に優 れた乳タンパク質分解物を得ることができる ためである。

 また、本発明においては、加水分解にお る反応系中に添加されるPrtP酵素含有乳酸菌 の生菌体、菌体破砕物、及びPrtP酵素画分の は、添加する乳タンパク質量等を考慮して 宜決定することができるが、後述するPrtP酵 活性の単位として、1Unit/ml以上となるよう 添加することが好ましい。加水分解の反応 間は、反応温度、乳タンパク質濃度、添加 るPrtP酵素の量等を考慮して適宜決定するこ ができるが、例えば、PrtP酵素含有乳酸菌の 生菌体等の添加量が後述するPrtP酵素活性の 位として3.5Unit/mlであり、反応温度が30℃で る場合には、5時間以上であることが好まし 。

 なお、本発明においては、加水分解によ 得られた乳タンパク質分解物は、反応後の 応液をそのまま用いてもよいが、反応後に 熱処理等により反応液中のPrtP酵素を失活さ せておくことが好ましい。

 本発明のビフィズス菌増殖促進剤は、上 のように製造された乳タンパク質分解物を 効成分とする。このように、乳由来成分を 効成分とするため、発酵乳等の乳由来原料 ビフィズス菌を培養して製造される飲食品 対して、乳タンパク質以外のタンパク質ア ルギーに配慮することなく用いることがで る。

 本発明のビフィズス菌増殖促進剤中に含 れる本発明の乳タンパク質分解物量は、ビ ィズス菌増殖促進効果が得られる量であれ 特に限定されるものではないが、10重量%以 であることが好ましく、15重量%以上である とがより好ましく、20重量%以上であること さらに好ましく、40重量%以上であることが に好ましい。

 本発明のビフィズス菌増殖促進剤の剤型 特に限定されるものではなく、凍結乾燥品 の粉末剤であってもよく、錠剤であっても く、液剤であってもよく、ペースト状であ てもよい。また、本発明のビフィズス菌増 促進剤は、本発明の乳タンパク質分解物に るビフィズス菌増殖促進効果を阻害しない り、その他の成分を含有していてもよい。 の他の成分として、例えば、澱粉や乳糖等 、一般的に添加される剤型補助剤や安定化 等が挙げられる。その他、本発明の乳タン ク質分解物の他に、ビフィズス菌増殖促進 用を有する公知物質を添加してもよい。

 本発明のビフィズス菌増殖促進剤は、具 的には、ビフィズス菌の培養培地に添加す ことにより、ビフィズス菌増殖促進効果を 揮することができる。培養培地に添加する は、ビフィズス菌増殖促進効果が得られる であれば特に限定されるものではなく、ビ ィズス菌増殖促進剤中の乳タンパク質分解 量、ビフィズス菌の培養培地の組成、スタ ターであるビフィズス菌の接種量、ビフィ ス菌の種類等を考慮して、適宜決定するこ ができる。本発明のビフィズス菌増殖促進 としては、例えば、ビフィズス菌の培養培 に対して、0.01~10(V/V)%となるように添加する ことが好ましく、0.1~5(V/V)%となるように添加 ることが特に好ましい。

 本発明のビフィズス菌増殖促進剤が添加 れるビフィズス菌の培養培地としては、通 用いられる培地であれば、特に限定される のではなく、所望のビフィズス菌含有製品 種類等を考慮して適宜選択することができ 。例えば、ビフィズス菌発酵乳を製造する めに用いられる発酵用ベースとしては、発 乳の製造に通常用いられるベースであれば 特に限定されるものではない。該ベースは 例えば、牛乳、脱脂乳、生クリーム、バタ 、全粉乳、脱脂粉乳等に、必要に応じて蔗 等の甘味料、ペクチン、果実、フルーツジ ース、寒天、ゼラチン、油脂、香料、着色 、安定剤、還元剤等を配合し、常法に従っ 殺菌、均質化、冷却等することにより調製 ることができる。

 なお、本発明のビフィズス菌増殖促進剤 添加されるビフィズス菌は、常法により前 養したものを用いることができる。ビフィ スの前培養に用いられる培養培地は、通常 いられる培地であれば、特に限定されるも ではないが、乳性培地であることが好まし 。取り扱いが簡便であるため、還元脱脂粉 培地が特に好ましい。該還元脱脂粉乳培地 濃度は、3%(W/W)以上が好ましく、8%(W/W)以上 特に好ましい。その他、前培養に用いられ 培地には、酵母エキス等の生育促進物質や L-システイン等の還元剤等を添加することが できる。特にビフィズス菌は乳性培地での増 殖性が低いため、生育促進物質を添加した培 地を用いることが好ましい。例えば、0.1~1%(W/ W)の酵母エキスを含有した培地を用いること できる。また、前培養に用いられる培地は 殺菌処理をしたものを用いる。該殺菌処理 、通常用いられる方法で行うことができ、 えば、80~122℃で5~40分間、好ましくは85~95℃ 5~35分間の加熱処理により行うことができる 。

 本発明のビフィズス菌増殖促進剤の増殖 象菌は、ビフィズス菌であれば特に限定さ るものではないが、ビフィドバクテリウム ロンガムであることが好ましい。本発明の タンパク質分解物による増殖促進効果が、 り顕著に得られるためである。特に、ビフ ドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999株や、 ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプス レインATCC15700株であることが好ましい。

 また、本発明のビフィズス菌増殖促進剤 、従来に無くビフィズス菌、特にビフィド クテリウム・ロンガムを増殖させることが きるため、本発明のビフィズス菌増殖促進 を用いることにより、より整腸効果が高く 健康管理上も有用な、ビフィズス菌発酵乳 のビフィズス菌含有飲食品を製造すること できる。

 以下、本発明の乳タンパク質分解物の製造 法及びビフィズス菌増殖促進作用について さらに詳細に説明する。
1.ラクトコッカス・ラクチスの菌株のPrtP酵素 保有性の検出
 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・クレモリスNBRC100676 T (ATCC19257 T )株、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・クレモリスATCC-9625株、ラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ NBRC12007(NCDO 497)株、ラクトコッカス・ラクチ ス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株、 びラクトコッカス・ラクチス・サブスピー ーズ・ラクチスJCM20128株が、PrtP酵素を保有 ているか否かを確認した。
 具体的には、ラクトース及びグルコースを0 .5%添加したDifco(登録商標) M17 Broth(Becton,Dickin son社製)に、各菌株を3%接種し、30℃で16時間 養した。遠心分離により菌体を得、DNeasy Blo od and Tissue kit(QIAGEN社製)を用いてDNAを抽出 、PCR法によりPrtP遺伝子の保有性を確認した PCRは参考文献(Journal of Appieid Microbiology、20 06年、第100巻、第1307~1317ページ。)に記載の手 法に準じて行った。プライマーは、フォワー ドプライマーGBf(GCAAATACGGTGACGGCTGCGA)及びリバー スプライマーGB2r(TGAGCATTATAATAGGTCTTCTTCC)のプラ マーセット、もしくはフォワードプライマ GHf(CAAATACGGTGACGGCTGCTAA)及びリバースプライマ GH2r(TAGCATTATAATAGGTCTTCGTCA)のプライマーセット 用いた。

 図1はPCR産物を電気泳動法により分離し、染 色により検出したバンドパターンを示した図 である。図1中、「1」は分子量マーカーを流 たレーンであり、「2」はラクトコッカス・ ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリスNBR C100676 T 株のPCR産物、「3」はラクトコッカス・ラク ス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株の PCR産物、「4」はラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ・ラクチスNBRC12007株のPCR 物、「5」はラクトコッカス・ラクチス・サ スピーシーズ・ラクチスJCM20128株のPCR産物 「6」はラクトコッカス・ラクチス・サブス ーシーズ・クレモリスATCC-9625株のPCR産物を それぞれ流したレーンである。この結果、 クトコッカス・ラクチス・サブスピーシー ・クレモリスNBRC100676 T 株及びラクトコッカス・ラクチス・サブスピ ーシーズ・ラクチスJCM20101株にはPrtP遺伝子の 保有が確認された。一方、ラクトコッカス・ ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリスATC C-9625株、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ピーシーズ・ラクチスNBRC12007株及びラクトコ ッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラク チスJCM20128株では、のそれぞれの菌株には保 していないことが判明した。

2.PrtP酵素活性の単位定義
 まず、0.02%のFTC-カゼインを含む30mM MES-NaOH  バッファー(pH6.5)0.4mlに、0.1mlの市販タンパク 解酵素トリプシン溶液(Sigma社製、酵素活性1 1,100Unit/mg)を添加し、30℃で1時間反応させた 5%のトリクロロ酢酸1.2mlを添加し、ボルテッ スで混合後、室温にて15分静置した。15000×g 、5分の遠心分離した上清液0.3mlを500mM Tris-HCl (pH8.5)2mlに混合し、蛍光強度を測定した。測 はMTP-800AFC/Labマイクロプレートリーダ(コロ 電気株式会社製)を用い、励起波長490nm、蛍 波長530nmの条件で行った。
 一方、前記トリプシン溶液の代わりに、後 の方法で調製したPrtP酵素遺伝子を有するラ クトコッカス・ラクチスの生菌体、菌体破砕 物又はPrtP酵素画分を添加し、同様に分解反 を行った。その結果、上記1ユニットのトリ シンの分解により得られた蛍光強度の値を PrtP酵素遺伝子を有するラクトコッカス・ラ クチスの生菌体、菌体破砕物又はPrtP酵素画 で分解した場合のPrtP酵素活性の1酵素単位と 定義した。

3.乳タンパク質分解物の調製
 まず、70mMのβ―グリセロリン酸2ナトリウム を含む10%(W/W)還元脱脂粉乳を含む乳性培地を 95℃で30分間殺菌し、前記各菌株のシードカ ルチャーを3%接種し、30℃で16時間培養した。 この際、菌株の必要に応じて、培地中に0.5% グルコース及び0.05%の酵母エキスを添加した 。その後、1%のクエン酸3ナトリウムと水酸化 ナトリウム水溶液を用いてpH6.8に調整した後 遠心分離により菌体を得た。次に、菌体を1 0mM塩化カルシウム含有30mM MES-NaOH バッファ (pH6.5)で2回洗浄後、同bufferで懸濁し、10倍濃 した洗浄菌体(生菌体)を得た。また、菌体 一部に対して、90℃で10分の加熱処理を行っ 。
 次に、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.5)溶液に生菌体又は加熱処理菌体を1% 加し、緩やかに撹拌しながら30℃で24時間保 持した。反応後、90℃で10分間の過熱殺菌処 を行い、塩酸でpH4.6に調整し、遠心分離によ り上清液を回収した。回収した溶液は、水酸 化ナトリウム水溶液でpH6.5に調整し、凍結濃 により50分の1容量まで濃縮した。

4.ビフィズス菌増殖促進活性の測定4-1 ビフ ズス菌数の測定
 トータルミルクプロテイン5%(W/W)、乳糖5%(W/W )を含む培地を90℃で10分間殺菌し、前記のよ に調製したラクトコッカス・ラクチスの各 株の菌体によるカゼイン分解物を一定量添 し、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC B AA-999株のカルチャー0.1%を接種し、37℃で16時 培養した。培養後に、TOSプロピオン酸寒天 地(ヤクルト薬品工業社製)を用いて、段階 釈法によりビフィズス菌数を測定した。

4-2 pH変動の測定
 上記4-1の培養試験にて、ビフィズス菌の増 に伴い、乳酸や酢酸を生成し、培地のpHを 下させることが知られている。このため、 地のpHの低下程度から、ビフィズス菌の増殖 程度を判定することが出来る。pHの測定はpH ーター(HORIBA社製)を用いて行った。なお、本 発明の乳タンパク分解物によるビフィズス菌 増殖促進活性は無添加の対照と比較して、pH 下の違いが0.3以上を基準に判断した。

5.乳タンパク質分解物によるビフィズス菌へ 増殖促進作用
 まず、後記実施例1記載の通り、ビフィドバ クテリウム・ロンガムATCC BAA-999株のカルチ ーを調製した。
 次に、トータルミルクプロテイン5%(W/W)、乳 糖5%(W/W)を含む培地を90℃で10分間殺菌し、前 のように調製したラクトコッカス・ラクチ の各菌株の菌体によるカゼイン分解物を1% 、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-9 99株のカルチャー0.1%を接種し、37℃で16時間 養した。該培養液を急冷し、ビフィズス菌 及びpHを測定した。測定結果を表1に示す。

 無添加対照と比べて、PrtP酵素遺伝子を有す るラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ーズ・クレモリスNBRC100676株及びラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ JCM20101株の生菌体によるカゼイン分解物添加 では、pHが5.0以下まで低下し、ビフィズス菌 が3×10 8 CFU/g前後に達した。対して、PrtP酵素遺伝子を 有しないラクトコッカス・ラクチス・サブス ピーシーズ・クレモリスATCC-9625株、ラクトコ ッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラク チスNBRC12007株、及びラクトコッカス・ラクチ ス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20128株の れぞれの生菌体によるカゼイン分解物添加 は、pHが5.5以上であり、ビフィズス菌数が5 10 7 CFU/g以下で、菌体無処理の対照と大きく違わ かった。一方、加熱処理菌体によるカゼイ 分解物ではビフィズス菌増殖促進活性が見 れなかった。
 すなわち、PrtP酵素遺伝子を有するラクトコ ッカス・ラクチスの生菌株による乳タンパク 質分解物は、ビフィズス菌に対する増殖促進 性を有していることが明らかである。
 なお、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ーシーズ・ラクチスJCM20101株のカゼイン分 物に、より強いビフィズス菌増殖促進活性 見られたことから、以下、JCM20101株を用いて 分解条件の検討を行った。

6.他の市販酵素との比較
 上記3記載の通りに、ラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株 洗浄菌体(PrtP酵素含有生菌体)を得た。
 次に、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.5)溶液にPrtP酵素含有生菌体を、PrtP酵 単位として3.5Units/ml添加し、緩やかに撹拌 ながら30℃で24時間保持した。反応後、90℃ 10分間の加熱殺菌処理を行い、塩酸でpH4.6に 整し、遠心分離により上清液を回収した。 収した上清液は水酸化ナトリウム水溶液でp H6.5に調整し、凍結濃縮により20分の1容量ま 濃縮した。
 一方、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.5)溶液に上記生菌体の変わりに、市販 タンパク分解酵素トリプシン(Sigma社製)を3.5Un its/ml添加し、同様に分解を行った。反応後、 90℃で10分間の加熱殺菌処理を行い、塩酸でpH 4.6に調整し、遠心分離により上清液を回収し た。回収した上清液は水酸化ナトリウム水溶 液でpH6.5に調整し、凍結濃縮により20分の1容 まで濃縮した。
 得られたそれぞれのカゼイン分解物を、上 5記載の方法でビフィズス菌増殖促進テスト を行い、培養後のpHを測定した。結果を表2に 示す。市販タンパク分解酵素トリプシンと比 較して、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ピーシーズ・ラクチスJCM20101株の生菌体によ カゼイン分解物は、強いビフィズス菌増殖 進活性を示した。

7.乳タンパク質の分解時間の影響
 上記3記載の通りに、ラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株 洗浄菌体(PrtP酵素含有生菌体)を得た。
 次に、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.5)溶液にPrtP酵素含有生菌体を、PrtP酵 単位として3.5Units/ml添加し、緩やかに撹拌 ながら30℃で5~24時間保持した。反応後、90℃ で10分間の加熱殺菌処理を行い、塩酸でpH4.6 調整し、遠心分離により上清液を回収した 回収した上清液は水酸化ナトリウム水溶液 pH6.5に調整し、凍結濃縮により20分の1容量ま で濃縮した。
 得られたそれぞれのカゼイン分解物を、上 5記載の方法でビフィズス菌増殖促進テスト を行い、培養後のpHを測定した。結果を表3に 示す。分解5時間~24時間の範囲では、分解時 が長いほうがより強いビフィズス菌増殖促 活性が見られた。すなわち、本発明のPrtP酵 活性3.5Units/mlの場合には、分解5時間以上で れば強いビフィズス菌増殖促進作用が見ら た。なお、PrtP酵素活性を強くした場合には 、より短い分解時間でも充分なビフィズス菌 増殖促進作用を有する分解物を得ることが出 来た。

8.乳タンパク質の分解温度の影響
 上記3記載の通りに、ラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株 洗浄菌体(PrtP酵素含有生菌体)を得た。
 次に、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.5)溶液にPrtP酵素含有生菌体を、PrtP酵 単位として3.5Units/ml添加し、緩やかに撹拌 ながら10~50℃で24時間保持した。反応後、90 で10分間の加熱殺菌処理を行い、塩酸でpH4.6 調整し、遠心分離により上清液を回収した 回収した上清液は水酸化ナトリウム水溶液 pH6.5に調整し、凍結濃縮により20分の1容量 で濃縮した。
 得られたそれぞれのカゼイン分解物を、上 5記載の方法でビフィズス菌増殖促進テスト を行い、培養後のpHを測定した。結果を表4に 示す。分解温度50℃未満において、ビフィズ 菌増殖促進活性が観察された。10℃~42℃で ビフィズス菌増殖促進活性が弱かったが、20 ~37℃では強い活性が見られ、特に30℃前後で より強い活性が見られた。

9.PrtP酵素活性依存性
 上記3記載の通りに、ラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株 洗浄菌体(PrtP酵素含有生菌体)を得た。
 次に、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.5)溶液にPrtP酵素含有生菌体を、PrtP酵 単位として0.01~10Units/ml添加し、緩やかに撹 しながら30℃で24時間保持した。反応後、90 で10分間の加熱殺菌処理を行い、塩酸でpH4.6 に調整し、遠心分離により上清液を回収した 。
 回収した上清液は水酸化ナトリウム水溶液 pH6.5に調整し、凍結濃縮により20分の1容量 で濃縮した。
 得られたそれぞれのカゼイン分解物を、上 5記載の方法でビフィズス菌増殖促進テスト を行い、培養後のpHを測定した。結果を表5に 示す。それぞれの分解物によるビフィズス菌 増殖促進作用は、PrtP酵素活性に依存して強 なり、1Units/ml以上の酵素活性でより強いビ ィズス菌増殖促進活性が見られた。

10.乳タンパク質分解時の基質濃度の影響
 上記3記載の通りに、ラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株 洗浄菌体(PrtP酵素含有生菌体)を得た。
 次に、1~10%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッ ァー(pH6.5)溶液にPrtP酵素含有生菌体を、PrtP 素単位として3.5Units/ml添加し、緩やかに撹 しながら30℃で24時間保持した。反応後、90 で10分間の加熱殺菌処理を行い、塩酸でpH4.6 調整し、遠心分離により上清液を回収した 回収した上清液は水酸化ナトリウム水溶液 pH6.5に調整し、凍結濃縮により20分の1容量 で濃縮した。
 得られたそれぞれのカゼイン分解物を、上 5記載の方法でビフィズス菌増殖促進テスト を行い、培養後のpHを測定した。結果を表6に 示す。それぞれの分解物によるビフィズス菌 増殖促進作用は、カゼインタンパク濃度0.5% 上でビフィズス菌増殖促進活性が見られ、 に1%以上の濃度でより強い活性が見られた。

11.乳タンパク質分解時のpHの影響
 上記3記載の通りに、ラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株 洗浄菌体(PrtP酵素含有生菌体)を得た。
 次に、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.0~8.0)溶液にPrtP酵素含有生菌体を、PrtP 酵素単位として3.5Units/ml添加し、緩やかに撹 しながら30℃で24時間保持した。反応後、90 で10分間の加熱殺菌処理を行い、塩酸でpH4.6 に調整し、遠心分離により上清液を回収した 。
 回収した上清液は水酸化ナトリウム水溶液 pH6.5に調整し、凍結濃縮により20分の1容量 で濃縮した。
 得られたそれぞれのカゼイン分解物を、上 5記載の方法でビフィズス菌増殖促進テスト を行い、培養後のpHを測定した。結果を表7に 示す。pH6.0~8.0の範囲ではビフィズス菌増殖促 進活性が見られ、特にpH6.5前後ではより強い 性が見られた。

12.PrtP酵素含有菌体破砕物による分解活性
 上記3記載の通りに、ラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株 洗浄菌体を得た。続いて、この洗浄菌体を 超音波破砕機(BRANSON SONFIER 450)を用いて10分 間以上の超音波破砕処理を行い、菌体を破砕 した後、遠心分離(5000×g、10分)により未破砕 体を除き、菌体破砕物を得た。なお、菌体 砕物に生きている細胞が存在しないことは 顕微鏡観察及びコロニー培養で確認した。
 次に、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.5)溶液に菌体破砕物をPrtP酵素単位と て1Units/ml添加し、緩やかに撹拌しながら30℃ で16時間保持した。反応後、90℃で10分間の加 熱処理を行い、塩酸でpH4.6に調整し、遠心分 により上清液を回収した。回収した上清液 水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5に調整し、 結濃縮により50分の1容量まで濃縮した。
 得られたそれぞれのカゼイン分解物を、上 5記載の方法でビフィズス菌増殖促進テスト を行い、培養後の、培養後のビフィズス菌数 及びpHを測定した。無添加の対照ではビフィ ス菌が1.5×10 7 CFU/ml、pHが6.18であったのに対して、上記菌体 破砕物によるカゼイン分解物添加では、ビフ ィズス菌が2.8×10 8 CFU/ml、pHが5.31まで低下した。これらの結果か ら、本発明の菌体破砕物が、ビフィズス菌に 対する増殖促進性を有していることが明らか である。

13.PrtP酵素画分による分解活性
 上記3記載の通りに、ラクトコッカス・ラク チス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株 洗浄菌体を得た。続いて、この洗浄菌体を 10mM EDTA・2Naを含む30mM MES-NaOH バッファー(p H6.5)に懸濁し、30℃で10分間保持した。その後 急冷し、4℃の遠心分離(8500×g、10分)により遊 離したPrtP酵素を含む上清液を得た。このPrtP 素画分を、10mM塩化カルシウムを含む30mM MES -NaOH バッファー(pH6.5)で一晩透析した後、凍 濃縮により50分の1容量まで濃縮し、これをP rtP酵素画分とした。
 次に、1%カゼインを含む50mM Tris-HCl バッフ ー(pH6.5)溶液に、このPrtP酵素画分をPrtP酵素 位として1Units/ml添加し、緩やかに撹拌しな ら30℃で16時間保持した。反応後、90℃で10 間の加熱処理を行い、塩酸でpH4.6に調整し、 遠心分離により上清液を回収した。回収した 上清液は水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5に調 し、凍結濃縮により50分の1容量まで濃縮し 。
 得られたそれぞれのカゼイン分解物を、上 5記載の方法でビフィズス菌増殖促進テスト を行い、培養後のpHを測定した。無添加の対 ではビフィズス菌が1.75×10 7 CFU/ml、pHが6.17であったのに対して、上記PrtP 素画分によるカゼイン分解物添加では、ビ ィズス菌が3.8×10 8 CFU/ml、pHが5.34まで低下した。これらの結果か ら、本発明のPrtP酵素画分が、ビフィズス菌 対する増殖促進性を有していることが明ら である。

 以上のように、PrtP酵素遺伝子を有するラ クトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ ・クレモリスNBRC100676株及びラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスJCM20 101株の生菌体、菌体破砕物、及びPrtP酵素画 による乳タンパク質分解物には、ビフィズ 菌に対する増殖促進活性を有していること 明らかになった。また、その活性は、一般 な市販タンパク分解酵素による分解物より いことが判明した。

 また、これらのPrtP酵素遺伝子を有するラク トコッカス・ラクチスは、ダイアセチル及び アセトインを生成しないため、これらの乳酸 菌を用いることにより、風味の良い発酵物を 製造し得ることも期待できる。
 さらに、高いビフィズス菌数を確保するた に、ビフィズス菌スターターを、これらのP rtP酵素遺伝子を有するラクトコッカス・ラク チスの生菌体、菌体破砕物、又はPrtP酵素画 による乳タンパク質分解物を添加して発酵 てもよい。

 次に実施例を示して本発明をさらに詳細 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。

[実施例1] PrtP酵素含有生菌体によるカゼイン 分解物の調製1
 まず、ラクトース及びグルコースを0.5%添加 したDifco(登録商標)M17 Broth(Becton,Dickinson社製)1 00Lを、121℃で15分間殺菌し、ラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリスN BRC100676株のシードカルチャーを3L接種し、30 で16時間培養した。続いて、遠心分離(8500×g 10分間、4℃)によりPrtP酵素含有生菌体を得 。
 次に、100Lの10%カゼイン(フォンテラ社製)溶 に得られたPrtP酵素含有生菌体を添加し、緩 やかに撹拌しながら30℃で24時間保持した。 応後、90℃で10分間の加熱殺菌処理を行い、 結乾燥により10.5kgのカゼイン分解物を得た

[実施例2] PrtP酵素含有生菌体によるカゼイン 分解物の調製2
 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・クレモリスNBRC100676株のシードカルチャ ーに代えて、ラクトコッカス・ラクチス・サ ブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株のシード ルチャーを用いた以外は、実施例1と同様に してカゼイン分解物11kgを得た。

[実施例3] PrtP酵素含有菌体破砕物によるカゼ イン分解物の調製1
 まず、ラクトース及びグルコースを0.5%添加 したDifco(登録商標)M17 Broth(Becton,Dickinson社製)1 00Lを、121℃で15分間殺菌し、ラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリスN BRC100676株のシードカルチャーを3L接種し、30 で16時間培養した。続いて、遠心分離(8500×g 10分間、4℃)により菌体を得た。次に、この 菌体を30分間の超音波処理(BRANSON SONFIER 450、 10分間破砕処理)により菌体を破砕した後、遠 心分離(8500×g、10分、4℃)により未破砕菌体を 除き、凍結濃縮し、PrtP酵素含有菌体破砕物 得た。
 次に、100Lの10%カゼイン(フォンテラ社製)溶 に得られたPrtP酵素含有菌体破砕物を添加し 、緩やかに撹拌しながら30℃で24時間保持し 。反応後、90℃で10分間の加熱殺菌処理を行 、凍結乾燥により10kgのカゼイン分解物を得 た。

[実施例4] PrtP酵素含有菌体破砕物によるカゼ イン分解物の調製2
 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・クレモリスNBRC100676株のシードカルチャ ーに代えて、ラクトコッカス・ラクチス・サ ブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株のシード ルチャーを用いた以外は、実施例3と同様に してカゼイン分解物10.1kgを得た。

[実施例5] PrtP酵素画分によるカゼイン分解物 の調製1
 まず、ラクトース及びグルコースを0.5%添加 したDifco(登録商標)M17 Broth(Becton,Dickinson社製)1 00Lを、121℃で15分間殺菌し、ラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリスN BRC100676株のシードカルチャーを3L接種し、30 で16時間培養した。続いて、遠心分離(8500×g 10分間、4℃)により菌体を得た。
 次に、この菌体を、5Lの10mM EDTA・2Naを含む3 0mM MES-NaOH バッファー(pH6.5)に懸濁し、30℃で 10分間保持した。その後急冷し、遠心分離(850 0×g、10分間、4℃)により遊離したPrtP酵素を含 む上清液を得た。この上清液を、10mM塩化カ シウムを含む30mM MES-NaOH buffer(pH6.5)で一晩透 析し、凍結濃縮により2L容量まで濃縮し、PrtP 酵素画分を得た。
 次に、100Lの10%カゼイン(フォンテラ社製)溶 に得られたPrtP酵素画分を添加し、緩やかに 撹拌しながら30℃で24時間保持した。反応後 90℃で10分間殺菌の過熱処理を行い、凍結乾 により10.1kgのカゼイン分解物を得た。

[実施例6] PrtP酵素画分によるカゼイン分解物 の調製2
 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・クレモリスNBRC100676株のシードカルチャ ーに代えて、ラクトコッカス・ラクチス・サ ブスピーシーズ・ラクチスJCM20101株のシード ルチャーを用いた以外は、実施例5と同様に してカゼイン分解物10.1kgを得た。

[実施例7] PrtP酵素含有生菌体によるカゼイン 分解物によるビフィズス菌スターターの調製
 まず、上記実施例1記載の方法に調製したカ ゼイン分解物を0.1%(W/W)となるように添加した 10%(W/W)脱脂粉乳を含む培地1000mLを、90℃で30分 間殺菌した。この殺菌済みの培地に、ビフィ ドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999株のシ ドカルチャーを100mL接種し、37℃で5時間培養 し、カルチャーを得た。得られたカルチャー のpHは4.7で、ビフィズス菌数は1.2×10 9 CFU/gであった。

[実施例8] PrtP酵素含有生菌体によるカゼイン 分解物による整腸剤の調製
 乾燥殺菌した澱粉59kg、砂糖40kgに、上記実 例2記載の方法に調製したカゼイン分解物1kg 加えて、均一に混合し、整腸剤約100kgを得 。

[実施例9] PrtP酵素含有生菌体によるカゼイン 分解物による飲料の調製
 りんごジュース100kgに、上記実施例1記載の 法に調製したカゼイン分解物1kgを加えて、1 40℃で2秒間殺菌し、ペットボトルに充填し、 本発明の乳タンパク質分解物含有飲料を得た 。この飲料は、ビフィズス菌増殖作用が期待 できる飲料である。

[実施例10] PrtP酵素含有生菌体によるカゼイ 分解物による飼料の調製
 脱脂粉乳100kgに、上記実施例2記載の方法に 製したカゼイン分解物1kgを加えて、均一に 合し、本発明の乳タンパク質分解物含有飼 として約100kgを得た。

[実施例11] PrtP酵素含有生菌体によるトータ ミルクプロテイン分解物の調製
 実施例1と同様にして、ラクトコッカス・ラ クチス・サブスピーシーズ・クレモリスNBRC10 0676株のシードカルチャーに代えて、ラクト ッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラ チスJCM20101株のシードカルチャーを用いて、 PrtP酵素含有生菌体を得た。
 次に、100Lの10%トータルミルクプロテイン( ライ社製)溶液に、得られたPrtP酵素含有生菌 体を添加し、緩やかに撹拌しながら30℃で24 間保持した。反応後、90℃で10分間の加熱殺 処理を行い、凍結乾燥により10.2kgのトータ ミルクプロテイン分解物を得た。

 本発明の乳タンパク質分解物は、ビフィ ス菌増殖促進活性を有するため、ビフィズ 菌含有発酵乳等のビフィズス菌含有飲食品 の製造分野で利用が可能である。また、本 明の乳タンパク質分解物は、牛乳等の乳タ パク質を原料とするため、本発明の乳タン ク質分解物を用いることにより、乳製品の でビフィズス菌含有製品の設計が可能とな 有用であるため、特に乳製品の分野で利用 可能である。




 
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