TODA MASATOSHI (JP)
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See also references of EP 2302024A4
Tamotsu Otani (JP)
粘度指数が95以上の鉱油及び/又は合成油からなる基油に、組成物全量を基準として(A)アルケニルコハク酸イミド0.1~2.0質量%、(B)炭素数6~10の炭化水素基を有する酸性亜リン酸ジエステル0.1~2.0質量%、及び(C)過塩基性アルカリ土類金属のスルホネート、フェネート及びサリチレートの中から選ばれる少なくとも1種を0.001~0.3質量%配合してなる潤滑油組成物。 |
基油の40℃における動粘度が2~20mm 2 /s、かつ粘度指数が100以上である請求項1に記載の潤滑油組成物。 |
基油の引火点が150℃以上である請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。 |
(A)成分のアルケニルコハク酸イミドが、分子量500~1500のポリブテニル基を有するモノタイプ又はビスタイプのポリブテニルコハク酸イミドである請求項1~3のいずれかに記載の潤滑油組成物。 |
(B)成分が炭素数8のアルキル基を有する酸性亜リン酸ジエステルである請求項1~4のいずれかに記載の潤滑油組成物。 |
(C)成分が、JIS K2501(過塩素酸法)による塩基価が200~800mgKOH/gのカルシウムスルホネートである請求項1~5のいずれかに記載の潤滑油組成物。 |
さらに(D)粘度指数向上剤を配合してなる請求項1~6のいずれかに記載の潤滑油組成物。 |
自動車緩衝器用潤滑油である請求項1~7のいずれかに記載の潤滑油組成物。 |
本発明は潤滑油組成物に関する。さらに しくは、本発明は、各種油圧作動油として 適な潤滑油、特に自動車の緩衝器(ショック アブソ-バ)に用いた場合に、オイルシール/ピ ストンロッド間の摩擦力を高め、自動車の走 行時における操縦安定性を向上させると共に 、道路が微小な段差を有することにより自動 車が横方向の力を受けて走行する場合におい ても乗心地を向上させ得る潤滑油組成物に関 するものである。
自動車緩衝器用潤滑油は、主として、車に
適な減衰力を発揮し、操縦安定性を保持す
ために、振動抑制を目的として用いられる
従来、自動車緩衝器用潤滑油は、緩衝器の
イルシール/ピストンロッド、ピストンロッ
ド/ガイドブッシュ、ピストンバンド/シリン
ーなどの摺動部における摩擦を低減するこ
によって振動抑制作用の向上を図ってきた(
例えば、特許文献1、2)。
ところが、近年、高速道路など完備した道
が拡充されたため、高速走行が増加してき
。このような高速走行時においては、タイ
を通して発生する振動は、微小振動状態に
ることが多く、そのことによって操縦安定
が損なわれることがある。しかもこのよう
振動状態は、減衰力が発生しにくい条件で
り、従来の摩擦を低減するという緩衝器用
滑油の開発思想では、その振動を抑制でき
いことが明らかになってきた。
その後、その微小振動状態は、オイルシー
とピストンロッド間の摩擦力を高めること
よって抑制でき、それによって高速走行時
操縦安定性を高め得ることが分ってきた(例
えば、特許文献3)。
しかし、オイルシール/ピストンロッド間の
摩擦力を高める緩衝器用潤滑油は、ピストン
ロッド/ガイドブッシュなどオイルシール/ピ
トンロッド間以外の摺動部の摩擦係数も高
る結果をもたらした。その結果、例えば、
ンホールの上を通過した場合など、道路が
小な段差を有するため、緩衝器に横方向(ピ
ストンロッドに対して垂直方向)の力が働い
場合、ピストンロッド/ガイドブッシュ間の
擦係数が高くなり、その振動を減衰できず
心地を悪化させる現象が認められた。
また、乗心地は、緩衝器油の泡立性によっ
も影響される。油剤自体の摩擦係数が適正
緩衝器油であっても、泡が多量に発生する
油剤の性能が発揮されず、乗心地が悪化す
という現象である。
したがって、これらの問題を解決するには
オイルシール/ピストンロッド間の摩擦力を
高めると共に、ピストンロッド/ガイドブッ
ュ間などそれ以外の摺動部については、摩
係数を低減し得る潤滑油であるとともに、
立性を抑制できる緩衝器用潤滑油が要求さ
る。
また、自動車緩衝器用潤滑油は、寒冷地 おいても使用されるため、低温流動性が良 であることが求められる。しかし、通常、 温流動性を改良すると、乗心地が悪化する とがある。したがって、乗心地を良好に保 た上で、低温流動性を改良するとことが求 られる。
本発明は、このような状況下で、自動車 緩衝器として用いた場合、自動車の緩衝器( ショックアブソーバ)におけるオイルシール/ ストンロッド間の摩擦力を高めると共に、 ストンロッド/ガイドブッシュ間の摩擦係数 を低減し、かつ泡立ちを抑制して、自動車の 走行時の操縦安定性を向上させ、同時に乗心 地、特に道路が微小な段差を有することによ り緩衝器が横方向の力を受けて走行する場合 においても良好な乗心地を発現する潤滑油組 成物を提供することを目的とするものである 。
本発明者らは、前記の好ましい性質を有す
潤滑油組成物を開発すべく鋭意研究を重ね
結果、特定の基油に、アルケニルコハク酸
ミド、特定の炭素数の炭化水素基を有する
性亜リン酸ジエステル、及び過塩基性アル
リ土類金属のスルホネート、フェネート又
サリチレートを配合することにより、その
的を達成し得ることを見出した。本発明は
かかる知見に基づいて完成したものである
すなわち、本発明は、
〔1〕粘度指数が95以上の鉱油及び/又は合成
からなる基油に、組成物全量を基準として(A
)アルケニルコハク酸イミド0.1~2.0質量%、(B)炭
素数6~10の炭化水素基を有する酸性亜リン酸
エステル0.1~2.0質量%、及び(C)過塩基性アルカ
リ土類金属のスルホネート、フェネート及び
サリチレートの中から選ばれる少なくとも1
を0.001~0.3質量%配合してなる潤滑油組成物、
〔2〕基油の40℃における動粘度が2~20mm 2
/s、かつ粘度指数が100以上である前記〔1〕に
記載の潤滑油組成物、
〔3〕基油の引火点が150℃以上である前記〔1
又は〔2〕に記載の潤滑油組成物、
〔4〕(A)成分のアルケニルコハク酸イミドが
分子量500~1500のポリブテニル基を有するモノ
タイプ又はビスタイプのポリブテニルコハク
酸イミドである前記〔1〕~〔3〕のいずれかに
記載の潤滑油組成物、
〔5〕(B)成分が炭素数8のアルキル基を有する
性亜リン酸ジエステルである前記〔1〕~〔4
のいずれかに記載の潤滑油組成物、
〔6〕(C)成分が、JIS K2501(過塩素酸法)による
基価が200~800mgKOH/gのカルシウムスルホネート
である前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の潤
滑油組成物、
〔7〕さらに(D)粘度指数向上剤を配合してな
前記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の潤滑油
成物、
〔8〕自動車緩衝器用潤滑油である前記〔1〕~
〔7〕のいずれかに記載の潤滑油組成物、
を提供するものである。
本発明によれば、自動車の緩衝器として用
た場合、自動車の緩衝器(ショックアブソー
バ)におけるオイルシール/ピストンロッド間
摩擦力を高めると共に、ピストンロッド/ガ
イドブッシュ間の摩擦係数を低減し、かつ泡
立ちを抑制して、自動車の走行時の操縦安定
性を向上させ、同時に乗心地、特に道路が微
小な段差を有することにより緩衝器が横方向
の力を受けて走行する場合においても良好な
乗心地を発現する潤滑油組成物を提供するこ
とができる。
また、本発明は、良好な操縦安定性と乗心
を保った上で、低温流動性にも優れ、寒冷
においても良好な潤滑油組成物としての性
を示す効果がある。
本発明の潤滑油組成物は、自動車の走行時
操縦安定性を向上させると共に、乗心地、
に、横方向(すなわちピストンロッドに対し
て垂直方向)に力が働いた場合においても、
心地を向上させることを目的として開発さ
たものである。また、寒冷地において使用
ても操縦安定性と乗心地を良好に維持し、
つ低温流動性が優れたものであることを目
とするものである。
走行時、特に高速走行時の操縦安定性を向
させるためには、オイルシール/ピストンロ
ッド間の摩擦力を高めることが必要であり、
また乗心地、特に横方向の力を受けたときの
乗心地を向上させるには、ピストンロッド/
イドブッシュ間の摩擦力を低減することが
められる。
本発明の潤滑油組成物は、前記の要件を満
すために、以下に示すように、特定の基油
、(A)アルケニルコハク酸イミド、(B)炭素数6
~10の炭化水素基を有する酸性亜リン酸ジエス
テル、及び(C)過塩基性アルカリ土類金属スル
ホネートなどを各特定量配合したことを特徴
とする。
本発明の潤滑油組成物における基油として
、粘度指数が95以上であることが必要であ
、100以上であることが好ましく、105以上で
ることがさらに好ましい。このような基油
用いることにより、乗心地、特に横方向の
を受けた場合の走行時における乗心地を高
る効果があり、同時に、低温流動性を改良
る効果も得られる。
なお、ここでいう基油の粘度指数などの性
は、複数の基油を混合して用いる場合は、
合基油の性状を意味している。
このような基油としては、通常、鉱油や合
油が用いられる。この鉱油や合成油の種類
その他については上記の性状を有する限り
特に制限はなく、鉱油としては、例えば、
剤精製、水添精製などの通常の精製法によ
得られたパラフィン基系鉱油、中間基系鉱
又はナフテン基系鉱油などが挙げられる。
また、合成油としては、例えば、ポリブテ
、ポリオレフィン〔α-オレフィン(共)重合
〕〕、各種のエステル(例えば、ポリオール
ステル、二塩基酸エステル、リン酸エステ
など)、各種のエーテル(例えば、ポリフェ
ルエーテルなど)、アルキルベンゼン、アル
ルナフタレンなどが挙げられる。
本発明においては、基油として、上記鉱油
一種用いてもよく、二種以上組み合わせて
いてもよい。また、上記合成油を一種用い
もよく、二種以上組み合わせて用いてもよ
。さらには、鉱油一種以上と合成油一種以
とを組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、鉱油、特にパラフイン系
油や、1-デセンのオリゴマーなどのα-オレ
ィン重合体及びそれらの混合物が好ましく
いられる。
また、本発明の潤滑油組成物は、主に乗用
の緩衝器油として用いられることから、前
基油の粘度としては、40℃の動粘度で2~20mm 2
/sの範囲が好ましく、3~15mm 2
/sの範囲がより好ましく、4~10mm 2
/sがさらに好ましい。
また、前記基油は、引火点が150℃以上であ
ものが好ましく、155℃以上のものがより好
しい。基油の引火点が150℃未満では、使用
件下において泡の発生が増大する場合が多
、そのことによって乗心地を悪化させるこ
がある。
したがって低温流動性を高める目的で、過
に低粘度基材を混合した基油を用いること
好ましくない。
なお、ここでいう引火点は、通常JIS K2265(CO
C法)によって測定されるものである。
本発明の潤滑油組成物においては、(A)成 として、アルケニルコハク酸イミドが用い れる。このアルケニルコハク酸イミドとし は、例えば、一般式(I)
(式中、R 1
はポリオレフィン残基、R 2
は炭素数2~4のアルキレン基、mは1~10の整数を
す。)
で表されるモノタイプのアルケニルコハク酸
イミド、及び一般式(II)
(式中、R 3
及びR 4
は、それぞれ独立にポリオレフィン残基、R 5
及びR 6
は、それぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基
、nは0~10の整数を示す。)
で表されるビスタイプのアルケニルコハク酸
イミドなどを挙げることができる。
これらのアルケニルコハク酸イミドは、 常、ポリオレフィンと無水マレイン酸との 応で得られるアルケニルコハク酸無水物を ポリアルキレンポリアミンと反応させるこ によって製造することができる。この際、 アルケニルコハク酸無水物とポリアルキレ ポリアミンとの反応比率を変えることによ 、モノタイプのアルケニルコハク酸イミド はビスタイプのアルケニルコハク酸イミド るいはそれらの混合物が得られる。
該アルケニルコハク酸イミドの製造にお て、原料として用いられるポリオレフィン しては、炭素数2~6のオレフィンを重合して られるものが用いられる。このポリオレフ ンを形成するオレフィンとしては、例えば チレン、プロピレン、ブテン(イソブチレン 、1-ブテン)、1-ヘキセン、2-メチルペンテン-1 、1-オクテンなどの炭素数2~8のα-オレフィン 挙げられるが、本発明においては好ましい リオレフィンとして、平均分子量が500~1500 ポリブテンを挙げることができる。
一方、ポリアルキレンポリアミンとしては
一般式(III)又は一般式(IV)
H 2
N-(R 2
NH) m
-H …(III)
H 2
N-(R 5
NH) n
-R 6
-NH 2
…(IV)
(式中、R 2
、R 5
、R 6
、m及びnは前記と同じである。)
で表されるものが用いられる。
このようなポリアルキレンポリアミンと ては、例えば、ポリエチレンポリアミン、 リプロピレンポリアミン、ポリブチレンポ アミンなどが挙げられるが、これらの中で リエチレンポリアミンが好適である。本発 においては、ポリアルケニルコハク酸イミ として、モノタイプ又はビスタイプのいず も用いることができ、また、これらの混合 も用いることができる。
本発明において、この(A)成分のアルケニ コハク酸イミドは、組成物全質量に基づき 0.1~2.0質量%の範囲で配合される。この配合 が0.1質量%未満ではスラッジ分散性が不充分 ある上、摩擦力を増大させる効果が小さく また、2.0質量%を超えるとカジリ現象が生じ たり、摩耗量を増加させる原因となる。した がって、この(A)成分の好ましい配合量は、0.2 ~1.0質量%の範囲で選定される。
本発明の潤滑油組成物においては、(B)成 として、炭素数6~10の炭化水素基を有する酸 性亜リン酸ジエステルが用いられる。この酸 性亜リン酸ジエステルとしては、例えば、一 般式(V)
(式中、R 7
及びR 8
は、それぞれ独立に炭素数6~10のアルキル基
はアルケニル基を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。
前記一般式(V)において、R 7
及びR 8
で示される炭素数6~10のアルキル基又はアル
ニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれ
あってもよい。このようなものとしては、
種ヘキシル基(n-ヘキシル基、イソヘキシル
、シクロヘキシル基など)、各種ヘプチル基
各種オクチル基(n-オクチル基、イソオクチ
基、2-エチルヘキシル基など)、各種ノニル
、あるいは各種デシル基などを挙げること
できる。
前記一般式(V)で表される酸性亜リン酸ジエ
テルの具体例としては、ジヘキシルハイド
ジェンホスファイト、ジヘプチルハイドロ
ェンホスファイト、ジn-オクチルハイドロ
ェンホスファイト、ジ2-エチルヘキシルハイ
ドロジェンホスファイト、ジノニルハイドロ
ジェンホスファイト、ジデシルハイドロジェ
ンホスファイトなどが挙げられる。これらの
中でも、炭素数6~9のアルキル基、さらには分
岐状アルキル基を有する酸性亜リン酸ジエス
テルが好ましく、特に炭素数8のアルキル基
有する酸性亜リン酸ジエステルが好ましい
この(B)成分の酸性亜リン酸ジエステルは、
イルシールとピストンロッド間の摩擦力を
める作用を有する。
本発明においては、(B)成分として、前記 性亜リン酸ジエステルを一種単独で用いて よく、二種以上を組み合わせて用いてもよ 。また、その配合量は、組成物全質量に基 き、0.1~2.0質量%の範囲で選定される。この 合量が0.1質量%未満ではオイルシールとピス ンロッド間の摩擦力の向上効果が充分に発 されず、一方2.0質量%を超えると、その量の 割には効果の向上が認められず、むしろ経済 的に不利となる。この(B)成分の好ましい配合 量は0.3~1.0質量%の範囲で選定される。
本発明の潤滑油組成物においては、(C)成分
して、過塩基性アルカリ土類金属のスルホ
ート、フェネート及びサリチレートの中か
選ばれる少なくとも一種が用いられる。
過塩基性アルカリ土類金属スルホネート等
しては、塩基価(JIS K-2501:過塩素酸法)が200~8
00mgKOH/gのものが好ましく、300~600mgKOH/gのもの
より好ましい。塩基価が200mgKOH/g未満では、
ピストンロッド/ガイドブッシュ間の摩擦係
低減効果が不充分になる場合があり、800mgKOH
/gを超えると、溶解性が不充分になる場合が
って好ましくない。
また、アルカリ土類金属としては、カルシ
ム、マグネシウム、バリウムなどが用いら
るが、性能及び入手性の観点から、カルシ
ムが好ましい。
過塩基性アルカリ土類金属スルホネートは
各種スルホン酸のアルカリ土類金属塩が使
でき、通常、各種スルホン酸のアルカリ土
金属塩を炭酸化する方法により得られる。
ルホン酸としては、芳香族石油スルホン酸
アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸
アルキルアリールスルホン酸等があり、具
的には、例えばドデシルベンゼンスルホン
、ジラウリルセチルベンゼンスルホン酸、
ラフィンワックス置換ベンゼンスルホン酸
ポリオレフィン置換ベンゼンスルホン酸、
リイソブチレン置換ベンゼンスルホン酸、
フタレンスルホン酸などを挙げることがで
る。
過塩基性アルカリ土類金属フェネートは、
常フェノールとして、炭素数1~100のアルキ
基を有するアルキルフェノールや硫化アル
ルフェノールを用い、そのアルカリ土類金
塩を過塩基化して得られる。また過塩基性
ルカリ土類金属サリチレートは、通常サリ
ル酸として、炭素数1~100のアルキル基を有す
るアルキルサリチル酸を用い、そのアルカリ
土類金属塩を過塩基化して得られる。
これらの(C)成分の中で、特に過塩基性カル
ウムスルホネートが好適に用いられる。
この(C)成分は、ピストンロッド/ガイドブッ
シュ間の摩擦を低減する作用を有している。
本発明においては、(C)成分として、前記 塩基性アルカリ土類金属のスルホネート、 ェネート及びサリチレートの中の一種を単 で用いてもよく、二種以上を組み合わせて いてもよい。また、その配合量は、組成物 質量に基づき、0.001~0.3質量%の範囲で選定さ れる。この配合量が0.001質量%未満ではピスト ンロッド/ガイドブッシュ間の摩擦を低減す 効果が充分に発揮されず、一方0.3質量%を超 ると、その量の割には効果の向上が認めら ず、むしろ経済的に不利となる。この(C)成 の好ましい配合量は0.005~0.2質量%の範囲で選 定される。
本発明の潤滑油組成物においては、さらに(
D)成分として、粘度指数向上剤を配合するこ
が好ましい。
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタ
リレート系、ポリイソブチレン系、エチレ
-プロピレン共重合体系、スチレン-ブタジ
ン水添共重合体系などが挙げられる。特に
効果及び安定性の点で数平均分子量がおよ
1万~50万、より好ましくは3万~20万のポリメタ
クリレートが好適に用いられる。このポリメ
タクリレートは非分散型、分散型のいずれで
あってもよい。
この粘度指数向上剤は、粘度指数を高め、
温粘度を低減する作用を有している。この
うな粘度指数向上剤の配合量は、通常0.3~35
量%、好ましくは0.5~15質量%の割合で使用さ
る。
本発明の潤滑油組成物においては、本発 の目的が損なわれない範囲で、所望により 他の添加剤、例えば、他のリン酸エステル 化合物、無灰分散剤、酸化防止剤、金属不 性化剤、消泡剤、さらにはシ-ルスウェラー などを、適宜添加することができる。
リン酸エステル系化合物としては、例えば
モノメチルハイドロジェンホスフェート、
ノエチルハイドロジェンホスフェートなど
素数1~8のアルキル基又はアルケニル基を有
る酸性リン酸モノエステルと、炭素数8~20の
アルキル基又はアルケニル基を有するアミン
化合物とからなる酸性リン酸モノエステルア
ミン塩が挙げられ、通常0.05~0.3質量%、好まし
くは0.08~0.12質量%の割合で使用される。
無灰清浄分散剤としては、例えばホウ素含
コハク酸イミド類、ベンジルアミン類、ホ
素含有ベンジルアミン類、コハク酸エステ
類、脂肪酸あるいはコハク酸で代表される
価又は二価カルボン酸アミド類などが挙げ
れ、通常0.1~20質量%、好ましくは0.3~10質量%
割合で使用される。
酸化防止剤としては、例えば、アルキル ジフェニルアミン、フェニル-α-ナフチルア ミン、アルキル化-ナフチルアミンなどのア ン系酸化防止剤、2,6-ジ-t-ブチルフェノール 4,4″-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノー )などのフェノール系酸化防止剤などを挙げ ることができ、これらは、通常0.05~2質量%、 ましくは0.1~1質量%の割合で使用される。
金属不活性化剤としては、例えばベンゾト
アゾール、ベンゾトリアゾール誘導体、ベ
ゾチアゾール、ベンゾチアゾール誘導体、
リアゾール、トリアゾール誘導体、ジチオ
ルバメート、ジチオカルバメート誘導体、
ミダゾール、イミダゾール誘導体などを挙
ることができ、これらは、通常0.005~0.3質量%
の割合で使用される。
消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシ
キサン、ポリアクリレートなどが挙げられ
通常、ごく少量、例えば0.0005~0.002質量%程度
添加される。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細
説明するが、本発明は、これらの例によっ
なんら限定されるものではない。なお、性
評価は、以下に示す方法に従って測定した
(1)シール材の摩擦係数
下記の方法で、シール材の摩擦係数(μ I
)を測定した。
試験機:バウンデン式往復動摩擦試験機
実験条件
油温:60℃
荷重:9.8N
ストローク:10mm
速度:3.0mm/s
摩擦回数:10回
摩擦材:上部=シール材のゴム(NBR)
下部=クロームメッキ鋼板
評価方法:10回摩擦時の摩擦係数μ I
を測定した。この摩擦係数μ I
が大きいほど良好であり、操縦安定性が向上
する。
(2)ガイドブッシュの摩擦係数
下記の方法で、ガイドブッシュ摩擦係数μ II
を測定した。
試験機:クランク式復動摩擦試験機
実験条件:
油温:20℃
荷重:392N
ストローク:±15.0mm
加振周波数1.5Hz
摩擦材:上部=ガイドブッシュ材[表面をテ
ロン(登録商標)コーティングした銅合金]
下部=クロムメッキロッド
評価方法:10回摩擦時の摩擦係数μ II
を測定した。この摩擦係数μ II
が小さいほど良好であり、乗心地が優れる。
(3)泡立ち性
下記の方法で、泡立ち量を測定した。
試験機:特開平10-170506号公報の図1に示す泡
ち試験装置
測定条件
噴射ノズル口径:φ1.0mm
液面からのノズル高さ:55mm
油温:60℃
試料油循環流量:1420ml/分
測定方法
噴射ノズルから試料油の液面に30秒間
射した後の泡の量(ml)を計測した。
泡の量が少ないほど良好であり、乗心
の低下を抑制することができる。
(4)走行実験(操縦安定性及び乗心地の確認)
実験方法:
5人乗りセダン(複筒型ショックアブソーバ
着)を用い、コンクリートの継ぎ目、及びマ
ホールがある一般コンクリート舗装道路を2
0~60km/hの速度で走行し、乗員4名により、操縦
安定性及び乗心地について評点法による評価
を行った。
評点法の評点は、操縦安定性、乗心地それ
れについて、標準を基準の0.0点とし、+2.0~-2
.0の間の評点を付した。
評価は、4名の乗員の操縦安定性、乗心地そ
れぞれの評点の平均値で表した。
(5)低温粘度
JPI-5S-26-85に準拠し、-40℃におけるBF(ブルッ
フィールド)粘度を測定した。
実施例1、2及び比較例1~3
第1表に示す種類の基油と各種添加剤とを、
第1表に示割合で配合して潤滑油組成物を調
し、性状及び性能を測定した。結果を第1表
示す。
[注]
*1:パラフィン系鉱油、40℃動粘度9.05mm 2
/s、粘度指数109、引火点174℃
*2:パラフィン系鉱油、40℃動粘度7.08mm 2
/s、粘度指数115、引火点164℃
*3:パラフィン系鉱油、40℃動粘度8.02mm 2
/s、粘度指数74、引火点154℃
*4:パラフィン系鉱油、40℃動粘度4.32mm 2
/s、粘度指数83、引火点138℃
*5:ポリブテニル基分子量950、塩基価(過塩素
酸法)40mgKOH/g
*6:数平均分子量14万のポリメタクリレート
*7:フェノール系酸化防止剤、脂肪酸アミド
脂肪酸モノグリセライド、酸性リン酸エス
ルアミン塩、消泡剤、硫黄系シールスウェ
ーを含む混合物
第1表から分かるように、粘度指数が高く110
以上の基油を用い、(A)、(B)、(C)各成分を適性
量配合した本発明の潤滑油組成物(実施例1、2
)は、シール材摩擦係数μ I
(摩擦力)が0.31と高いとともに、ガイドブッシ
ュ摩擦係数μ II
が0.040と0.038と低く、泡立ち量も少ない(30と20
ml)ため、操縦安定性と乗心地が評点+1.7以上
あってともに良好である。また、-40℃のBF低
温粘度も1300mPa・sと低く、低温流動性も良好
ある。
これに対し、(C)成分を配合しない比較例1の
潤滑油組成物は、ガイドブッシュ摩擦係数μ II
が、0.053で実施例1、2より高いため、乗心地
劣る(評点「+0.8」)。
また、(A)、(B)、(C)各成分を配合するものの
粘度指数が77の基油(引火点は138℃の基油)を
用いる比較例2の組成物は、ガイドブッシュ
擦係数が0.038で実施例1より低いが、泡立ち
が極めて多い(120ml)ため、乗心地は著しく悪
する(評点「-1.5」)。
さらに(A)、(B)、(C)各成分をいずれも含有し
い比較例3は、操縦安定性の低下が著しい(
点「-1.6」)。
本発明の潤滑油組成物は、自動車の緩衝器
として使用した場合、オイルシール/ピスト
ンロッド間の摩擦力を高めて自動車の走行時
の操縦安定性を向上させると共に、ピストン
ロッド/ガイドブッシュ間の摩擦係数を低減
、かつ泡立ちを抑制して、乗心地、特に道
が微小な段差を有することにより緩衝器が
方向の力を受けて走行する場合においても
好な乗心地を発現する。また、良好な操縦
定性と乗心地を保った上で、低温流動性に
優れ、寒冷地においても良好な性能を示す
したがって、本発明の潤滑油組成物は、各
の油圧装置に用いる潤滑油として有用であ
、中でも、緩衝器用潤滑油、特に四輪用、
輪用を問わず、複筒型や単筒型など種々の
動車用緩衝器用潤滑油として有効に利用す
ことができる。